平成4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第八十六号から議案第百六号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 三点、質問をいたしますが、特に南紀新空港と白浜町財政についてというこの項目については、要望にとどめたいと思います。したがって、当局の答弁は省略をしていただいて結構であります。
 去る六月二十八日執行された日置川町長選挙は、七十三票差でその当落の明暗を分けた、まことに厳しい選挙戦であったことは既にご承知のとおりであります。「反原発の三倉氏再選」「日置川町民ノー原発再び選択」「反原発町政さらに一期」等々、各紙は一斉にこのように報道したところであります。
 現職に対し返り咲きをねらった前職は、「原発については、やらないと言ったらやらない。約束します」と至るところで公約していたけれども、率直に言って、町民は原発反対についてよりトーンの高い、私から言わしむれば質の高い方を選択したと思うのであります。もちろん選挙は、わけても地方選挙にはいろいろな要素が含まれているけれども、今後の日置川町政は原発の火種を消す、より決定的な段階を迎えたのであります。
 以下、二点、三点、質問をいたします。
 一つ。関西電力立地部長浦木氏は、選挙結果のコメントで「当社としては、引き続き原子力発電に対する地元の皆様のご理解が得られるよう粘り強く努力を重ねてまいりたい」としているが、こういった白々しい発言は町民と県民を愚弄するものであると私は思う。県の見解を問うものであります。
 二つ目。県は第二次中計の中で、エネルギー資源対策として「国は総合的なエネルギー対策を推進しているところであり、県としては電源立地について、今後とも地元の意向を尊重しつつ、適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、地域振興の立場で対応する」としているが、四年前に引き続く今回の結果から見て、日置川町での原子力発電所の設置問題に県は今どう対応しようとするのか、その方針を問うものであります。
 三つ目。紀伊半島南部から中部にかけて、原発立地をめぐって住民が政争に巻き込まれて既に二十余年の歳月が過ぎております。原発によって町が二分され、そのためにエネルギーを投入してお互いに争う県民に対し、県は責任がないと言うのか、あるいは県にその責任はないのだろうか、あわせて答弁を求めます。
 昨日の夕刊にも大きく載ってございましたけれども、けさの新聞でも田辺市における──これはきょう私が扱う問題とは別でございますが、「芳養リゾート計画 白紙撤回に 一千億の開発事業消える」と麗々しく載ってございます。こういった問題と非常に深いかかわりを持つリゾート、特に燦黒潮リゾートの田辺湾リゾート構想とリゾート法の問題について、見解を問いたいと思います。
 私は、過去四回、当議場を通じて田辺湾リゾート構想に関連しての質問を重ねてきたところでありますが、去る四月二十一日、田辺市は丸紅商社の当計画規模縮小の申し出を受け、一定の方向づけの中でその縮小計画を発表したところであります。
 ご承知のように、この開発計画は、海洋レジャーを中心とした新しい町づくりをコンセプトに、昭和六十三年八月、丸紅、田辺市、和歌山県の三者の立ち会いのもとに発表した、いわば世間をあっと驚かせた一大民活プロジェクトであります。
 ちなみに、知事は「本計画が県の主要民活プロジェクトとして重点整備地区である田辺・白浜地域の雇用の創出、産業の振興等、地域の活性化に大いに寄与するものと確信しており、今後、同計画の実現に向けて積極的な取り組みを行っていく」との談話を発表、また、田辺市長は「今後、地元関係者との話し合い、関係法令との調整など、たくさんの仕事がございますが、市といたしましては、市民合意の上に立ち、全力を傾注してまいります」との決意を述べ、さらに、龍野丸紅社長は「当社は田辺湾の持つ美しい自然を生かした国際的な総合リゾート開発を目指しており、今回の大規模マリーナを核とした海洋リゾート事業を田辺市と共同して積極的に進めていく所存です」と、それぞれ並々ならぬ抱負と決意を開陳したところであります。
 当初一千億を投じるとしたこの計画は、その後、平成元年二月の基本協定の調印に際して「二千億をかける」とし、平成四年四月春に着工し、七年に一部オープンさせるとの計画を発表。同計画によれば、田辺湾に面した新庄町内の浦、鳥の巣半島の陸地部分百十ヘクタール──甲子園球場の約四十倍強であります──を開発、六百隻収容のマリーナ、七百五十室のリゾートホテル、十四棟二千八百室のコンドミニアムやマンションと五百五十戸の別荘のほか、テニスコート、プール、人工ビーチなどをつくる、完成すると国内外から長期滞在の観光客年間二百万人の受け入れを想定、将来は大学をもつくり、若者に働く場所ができ、市税増収やゆとりのある市政が可能になるとの発表であります。
 私は、同計画の発表後、五日目だったか四日目であったか、新聞紙上で図示された青写真を参考にしながら、この周辺海岸を小舟に乗って見て回りました。そのとき、この狭い湾内にヨット六百隻を浮かべるなどという計画は、当時、東京湾内でなだしお事件というのが起こりましたが、それに似た事故を毎日引き起こすだろうなと思いました。そして、大変気になったのは、鳥の巣というところや内の浦の住民の皆さんはこの突然の発表で驚かれるだろうなと。また、この海域の漁民や漁業組合の皆さんはどう反応されるだろうか。そして、特に私は、私の町・白浜町の観光のあり方とこの計画はどう関連するのだろうかということを考えました。   ご承知のように、白浜町は明治以来──「万葉の時代から」と言うと大げさでありますが──ようやく旅館やホテルが建ち並び出し、一時は六十数軒になった。そして今、二十何軒になった。そういう、いわば皆さん方の営々とした努力の中で、県や町自身の努力も相まって、ようやく年間を通じて三百万を超す観光客を受け入れる町になるまでには百年以上かかっておるんです。しかし、この一大プロジェクトは、できれば二百万人をここに引きつけるんだなどということを言うている。
 そういうことを考えたときに、この白浜のいわば利益、白浜というエゴ、そういう立場から言って、こういうものができた場合にこれはどうなるんだろうかという一つの驚きと、そしてこれをどう整合性のあるものにしていくべきだろうかというようなことを──私は田辺の市長でもございませんし、白浜の町長でもございません。まして和歌山県知事でもございません。しかし、住民の一人として、白浜町に責任を持つ一人として、こういう計画は一体どうなんだろうかということも考えながら、発表後の九月県議会で──これが発表されたのは八月だったので──県当局にただしたところであります。また、大きなこと言ってもだめだ、できることからしなさいよという立場で同計画の縮小案や、一体、鳥の巣の人たちはそのことを知っているのか、そういう話し合いがされておるのか、されていないじゃないかと、住民合意への手法についてもたびたび提言や質問を重ねてきたところでもあります。それらの質疑応答は議事録に譲ることとするが、私の縮小意見に少しでも耳をかしてくれていたとするならば、発表後の五年目のこの夏には「完成への夢膨らむ 田辺湾リゾート」といった朗報が広がっていたであろうと思うと、まことに残念であります。
 このような現状に立って、以下、数点質問をいたします。
 一つ。開発計画二千億規模の田辺湾リゾート開発は、バブル崩壊による景気の後退と一部地権者の反対を理由として、金額で三分の一の約七百億に、面積で四分の一の約三十ヘクタールに縮小するとしているが、一部地権者の反対などというのは、私は理由にはならないと思うのであります。なぜならば、以前からも繰り返し述べてきたところだが、開発計画の発表は企業や行政側の一方的宣伝であり、他人の土地に線引きをして計画発表を行う、このような無神経さこそが根本的に誤っているのであって──いつか申し上げましたが、「知事官舎のところはいいな。わしは、あそこをテニスコートにするんだ」と発表したら知事はどう思うか。「そうでございますか。結構ですね」とは言わない。本人の知らないところへ、そこをテニスコートにするんだ、どこへ何をするんだと、そんな企業の横暴、しかも行政もそれに加担しながらの無神経さ、そういうことは必ず破綻するのはわかっておる。こういうような無神経さこそが根本的に誤っているのであって、計画がはかどらないからといって「一部住民の反対のために」とすりかえる理由づけは理由にならないと、私は思うのであります。
 したがって、このたび縮小案を──それでも七百億であります。レオマワールドはもう数年前に完成いたしておりますが、これは七百億であります。七百億といっても大したものです。二千億から七百億に縮小したといっても、これは大したものであります。しかし、この縮小案を行おうとするのであるならば、企業と行政側はまず住民に謝罪をする。そこから再出発すべきである。まだそのスタンスがない。そうじゃなくて、縮小するんだと言ってまた発表している。絶対できない。私はそのことを断言してはばからないのであります。今日、そういうようなことで物事ができると思うと大間違いであります。恐らくこれは、大変失礼な言い方でありますけれども、やめると言ったら格好がつかないから縮小案ということで今のところごまかしていく、私はそういうような気持ちさえ持つのであります。そうであるとは言いません。気持ちさえ持つのであります。
 なぜならば、そこに誠意がない。明治以来そこに住んでいる人々がある日、突然そんなことを発表されて、「わしら、そんなになるんか。なぜ、そんなことせんならんのな」と。住民はそう。一方は、ばんばん青写真で発表する。そして、オーストラリアへ見に行ってきた、ここはオーストラリアにある海岸とよく似ているというようなことを麗々しく新聞で発表する。何を言うか。田辺の五万、七万の人が賛成を仮にしても、そういう内の浦の十数軒が反対すればできないんです。自明の理であります。ですから、そういう該当地の人々に対して謝罪をするというところから出発しない限り、これはだめだ。いかがなものでしょうか。お答え願いたいのであります。
 二つ目。四年前、知事が「今後、同計画の実現に向けて積極的な取り組みを行っていく」と談話発表を行ったことは前段で述べたが、県の燦黒潮リゾート構想の中核事業として位置づけた本計画が大幅に縮小されたとする現状に対し、知事はどのような所見を持っているのか、伺うものであります。
 三つ目。「リゾート法を廃止して出直せ」とする昨年の十一月十八日の朝日新聞の社説は、日本弁護士会が現行のリゾート法の廃止を求める決議を採択したその趣旨に賛意を表明した論説でありましたが、結論として、現行のリゾート法に欠けているものとして次の四点が指摘されているところであります。
 すなわち、一、いかにゆっくり休める社会を実現するか、二、自然保護を基本とした統一的な土地利用の基本法を整備する、三、環境アセスメント法の制定、四、地域住民主体の計画づくりを国と自治体が支援していく体制等であります。また、「リゾート法が制定されて五年。しかし、日本各地での開発騒ぎを見れば、同法が国土と国民に何をもらたすかを知るには十分だ。このままでは悔いを将来に残す」と論述したものであります。まさにこの指摘のように、施行後丸五年、重点整備地区の指定を受けた三十五道府県のうち三分の二の二十三道県で、計画の一部中止、規模縮小となっており、その主たる原因がバブル経済の崩壊、環境保護運動の高まりと分析されているところであります。
 このような現状に立って、国土庁は、この四月から学識経験者による検討委員会を設け、リゾート法の本格的な見直しに入ったが、今後、民間より国が前面に出てリゾート整備に財政面での支援を強めるよう求めている自治体が多い中で、以前県の総務部長をなされておった斉藤恒孝氏──国土庁地方振興局の総務課長をなさっている──の談話が発表されておりました。「国が個々の企業リゾート事業に対し直接支援することは財政的にも難しいが、この検討委員会で何ができるか検討していきたい」とし、また、「リゾート列島」の著者、熊本大学の佐藤誠教授は、「バブル崩壊とともに花(リゾート)が枯れるのは当然の結果だ。八〇年代後半の金余り現象が大都市では地上げに、地方ではリゾートという形であらわれた。法律を廃止するのは難しいと思うが、余暇について制度的保障をするなど、もっと生活者の立場に立った補完的な法律や制度が必要だ」とも述べているが、現行のリゾート法の見直しについて、引用したこれらの諸点ともあわせて県の所見を伺うものであります。
 四つ目。一九九一年度「観光白書」によれば、国民一人当たりの年間の旅行回数は一・五四回、二・九四泊、一世帯当たりの旅行費用は十二万四千円、二〇〇〇年になっても野村総研の予測ではこれらの数字は微増するだけ、まだ当分、時間と金は長期滞在型リゾートどころではないとあります。また、この三月、近畿二府六県で構成する近畿府県観光委員会と紀の国黒潮国際観光モデル地区推進協議会の観光セミナーが西牟婁郡のすさみ町で開かれたが、その際、講演された永田さんという方は──リゾート関係の専門家で総合研究開発機構理事をなさっております──「昨年、海外へ旅行した人は千五百万人。毎年ふえ続け、年間二千五百万から三千万人が予想される。国内観光地(リゾート地をも含む)は、二泊三日の滞在が主流になる。─中略─したがって、これからのリゾート地や観光地は二泊三日滞在に焦点を当てた対策、開発をすべきだ」と述べています。こういった現実的で堅実な意見や分析について、県の観光的立場からの考え方をこの際ぜひ伺っておくものであります。
 五つ目。県は、第四次長計において原子力発電所設置への対応について、適地性、安全性、住民の合意を条件とするいわゆる三原則を掲げたが、私は県内各地におけるゴルフ場開発やその他の開発についての住民の反対運動を見聞する中で、今後のリゾート開発を中心とする諸々の誘致についても、この種の指針が必要ではないかと思うのであります。
 一般的に言って、「住民の合意」という場合、市町村長並びに議会の決定が優先されなければならないことは自明の理であるが、今日の状況は必ずしもそう運んでいないのであります。このことは、開発計画をした企業が、該当地区の一部の幹部や一部の有力な人々だけで話し合いを行い、対象地区や関係団体の間の意見等が集約されていない状況のまま進んでいる事例が間々あるからであります。したがって、関係法令や規則等の解説や留意事項以前の問題である、該当地区住民との間に合意や納得を得るための指導のあり方がより重視されなければならないと思うのであります。答弁を求める次第であります。
 今期定例議会の提案説明の中で知事は、「南紀新空港の建設については、皆様方のご協力により、去る四月二十三日に新空港本体工事の起工式を挙行することができました。また、懸案となっております用地買収の進捗は、現在九七%が解決済みとなり、残る三%についても鋭意努力し、その早期開港を目指して精いっぱい取り組んでまいります」との、決意を込めた報告を行ったところであります。
 新空港本体工事の進行の中で、白浜町当局と議会もまた、現空港建設事務所の皆さんとともども一体となって、本来、白浜町がその責めを果たさなければならない町営斎場、清掃センター、不燃焼物処理場等の衛生三施設、いわゆる三点セットの移転先や該当地区、鴨居地区の花卉団地の移転等を含め、今、昼夜を分かたぬ努力を重ねているところであります。
 新空港に直接関連する白浜町に係るこれらの全体事業費は、平成四年度から七年にかけてほぼ百九億円を要し、その財源内訳は国、県、支出金、地方債、その他必要経費五十六億円、白浜町五十三億円であります。白浜町の一般会計財源は、年六十億内外であります。
 これがため、白浜町は町財政調整基金十七億円をこれに充当し──これには、私もかつてお金をため、この貴重な十七億の一部をなしておりますけれども──平成四年度十一億円、平成五年度三十五億円、平成六年度二億五千万、平成七年度三億六千万の計画に立ってその執行と予定をしているが、先ほど申し上げましたように白浜町の年間一般予算は六十億余の規模のため、全体事業として三十六億円の一般財源の不足を生じ、厳しい財政運営と相なっております。そのため、このままで行けば白浜町は空港完成時には財政再建団体になることは必至の状況にあると分析をされてございます。
 これらの事業の経過や状況、予算の内訳についての詳細は省略することにするが、その辺の事情について県においても十分配慮され、今後に処していただきたいことをこの機会に要望いたしておくものであります。先ほど申し上げましたとおり、答弁は不要であります。
 どうもありがとうございます。
○議長(山本 一君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 日置川町の原発についての問題でございまして、お話のように、長期間にわたり、さまざまな意見が交わされ、議論が続けられたところでございます。しかしながら私は、このことは、意見の違いはあるにせよ、町の将来を思い、町の発展を思い、住みやすい郷土づくり、ふるさとを愛する熱情からこうしたご意見があったものと、そのように理解しているところでございます。
 県としての今後の対応の問題でございますけれども、地方の人の意見を十分拝聴しながら対処してまいりたいと思っております。
 それから、田辺湾のリゾート構想について、いろいろご意見を承ったわけでございます。
 話ございましたように、田辺湾総合リゾート開発計画におきましては、民間計画の一部が種々の事情によって変更をされたと思っておるわけでございます。私も、非常に遺憾だ、しかし企業がもう少し突っ込むべきではないかというコメントも申し上げたところでございます。
 しかし、こうしたリゾート構想は一部変更になったわけでございますけれども、リゾート構想の中核地である田辺・白浜重点整備地区においては、当該開発計画のみならず、千里海岸総合リゾート構想、東急南紀田辺リゾート計画、コガノイ・ベイ・ホテル等が具体化しており、これらが一体となって総合的な高いリゾート地が形成されつつあるわけでございます。それらを重点にして、なお一層考えていかなければならないと思っております。
 田辺湾総合リゾート開発計画につきましては、今後とも田辺市が中心となってその実現を図られるわけでございますけれども、県としても、市町となお連携を密にいたしまして、今後のリゾート計画の推進を着実に進めてまいりたいと思っております。
 白浜空港の問題は要望でございますので、承っておきます。
○議長(山本 一君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) お答えをいたします。
 まず、関西電力立地部の選挙結果に対するコメントの問題でございますが、関西電力のコメントは電気事業者の立場からの発言であろうと考えてございます。
 次に、原発設置に対する県の対応についてでございますが、県としては、電源立地の問題については第二次中期実施計画に明記しておりますとおり、今後とも地元の意向を尊重しつつ、三原則を堅持し、地域振興の立場で対応することといたしてございます。
 次に、燦黒潮リゾート、田辺湾リゾート構想とリゾート法についての二点のご質問にお答えいたします。
 まずリゾート法の見直しについてでございますが、議員からお話がございましたように、リゾート法に関する広範な議論がマスコミや大学教授等々から提起されてございます。一方、先般、経済審議会より答申されました新経済五カ年計画におきましては、年間総労働時間千八百時間の達成を初め、安く利用できる公的施設の整備など、国民の余暇活動の充実への対応策が明記され、豊かさとゆとりを実感できる生活大国の実現がうたわれたところでございます。
 こうした新たな社会経済情勢に対応すべく、国におきましては、総合保養地域整備研究会を設け、良質で安価なリゾート地の形成を図るための公的資金の導入、地域の歴史、文化に根差した個性的なリゾート整備への誘導、環境保全への一層の配慮などを内容とした、リゾート法の運用の見直しについて検討が始められてございます。
 県としては、燦黒潮リゾート構想を推進していくという基本的姿勢は変わりございませんが、今般の国におけるリゾート法の運用の見直しに当たりましては、公共投資の優先配分や民間投資を誘発する国等による先導的プロジェクトの実施など、施策の充実を要望いたすとともに、県としても、必要に応じ、リゾート整備の手法等につきまして所要の検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、リゾート開発に係る住民合意についてでございますが、総合保養地域整備法に基づくリゾート構想に位置づけられた開発計画につきましては、県の基本構想策定の段階で、関係する地元市町村との協議により、その意見を反映することが法的に義務づけられてございます。さらに、本県のリゾート構想におきましては、基本構想の策定段階で、県、地元の市町村並びに産業、労働、女性、青年等の各分野の方々で構成される燦黒潮リゾート構想推進連絡協議会を設置いたしまして、普及啓発及び意見集約を図ってきたところでございます。
 今後、県といたしましては、構想に位置づけられた計画について、地元住民へのなお一層の周知徹底を図るよう市町村を指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 浜本議員にお答えいたします。
 田辺湾総合リゾート開発計画の実現は、田辺市周辺地域ひいては紀南地域の活性化に大きく寄与するものと考えますが、当計画は大規模かつ総合的な計画であり、地域に与える影響も大きいことから、広く地域の人々の理解と合意を求めるために、当計画が公表される以前より、地元関係団体等に対して説明を行ってきたと聞いてございます。また、このたびの変更案についても、発表以前に田辺市及び企業が地元に対して説明を行うなど、地域の人々との接触を通じ、積極的に理解を求める活動が行われてきたものと考えてございます。県といたしましても、企業に対して田辺市及び地元との連絡を密にするよう指導しているところでございます。
 次に観光地と旅客の動向でございますが、議員ご指摘のように、「観光白書」では国民一人当たりの宿泊数は二泊ないし三泊が主流となっております。一方、観光は、近年の社会経済情勢の変化に伴いまして、従来の単なる景勝地めぐりから歴史的文化資源の散策、森林浴やアウトドアスポーツなど参加型や体験型のものへと、ニーズが変化してきてございます。
 県といたしましても、こうした状況を踏まえ、世界リゾート博に向け、本県の持つ豊かな自然をPRするため、ネイチャーランドキャンペーンを昨年から県内各地で展開しているところであり、また、低廉で宿泊していただけるためにオートビレッジやキャンプ場、また大塔村のフィッシングパークの整備など、市町村や民間の協力もいただきながら進めているところでございます。
 また、観光客がもう一度来てみたいと思う気持ちになるのは、やはり真心のこもったサービスになると思います。従来から「まごころキャンペーン」を実施いたしまして、接遇マナーの向上や観光意識の高揚を関係機関、関係団体の協力もいただきながら進めているところでございます。
 なお、今後とも観光客のニーズを的確に把握しながら、堅実に本県の観光振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 企画部長の答弁──計算をさせると何にもできないんですけど、記憶力だけは人より少しすぐれていると私は自負しております。
 四年前に日置川町長選挙がございました。そしてそのときに、私はこの問題についてお聞きいたしました。当時も関西電力はコメントを発表した。同じコメントであったと思います。そして、四年たった今も、先ほど申し上げましたようなコメントがありましたが、そういう白々しい発言をどう思うかということをお聞きしました。
 そうすると、企画部長いわく「関西電力のコメントにつきましては、電気事業者の立場からのものであると考える次第」──わかってるというんや、そんなこと。四年前も前企画部長がそういう答弁をなされました。何と、前企画部長、現企画部長、緊密な連絡を──このためにはとってはないんですけど、固いガードだなと思います。
 「電気事業者の立場からのものであります」──それは当たり前のことや。そんなことはわかっておる。そういう第三者の客観的な立場で「あれは電気事業者が言うているんだよ」と。なぜそんなことを僕が聞かなならんのや。私本人が言うているんや。電気事業者がそういうことを言うているけれども県はどう思うかと。
 その答えがない。四年前もなかった。四年たった今もない。そうすると、「やっぱり関西電力に遠慮しておるんかの」と。その部面だけを取り出してみると、一般的には「県の人ら、知事さんらも大概な人やけども、やっぱり関西電力に遠慮してるんやな」となる。「三倉、よく勝ったな」と、そこまでは言わなくてもいい。「三倉、おまえよく勝ったな。もう原発やめさそうら」と、そこまではそういう短絡的な言葉では言えないにしても、「あれは電気事業者が勝手に言うているんだ」という発言は私は──これ、攻めてみてもやっぱりまた同じ答弁。やってみましょうか。再答弁を求めます。それが一つ。
 先ほど、知事が田辺湾の総合リゾート開発の問題について言われておりましたが、四月二十二日、仮谷知事は記者会見で、「用地取得の難航が一番の理由だと聞いているが、もう少し企業が本腰を入れなくてはいけなかったのではないか」と言及してございます。
 知事は串本の和深の人。和深の人のようなしゃべり方をすれば、「丸紅ら、もう少し本腰を入れてやってもらわなんだらあくか」、こう言うたと解釈できるわけです。そんな言葉では知事は言えない。和深の人という立場だったらそう言える。しかし、私はそうだと思う。企業が発表だけをして、そしてその後は、しり食らえ観音。そういう形で、本腰をひとつも入れていない。そういうことであっては、先ほど申し上げた「芳養湾 一千億の開発事業消える」──むなしい記事であります──こういうことばかりが繰り返される。今後も、私は県内でかなりそういう問題が続くと思います。
 これは、バブル経済がどうだとか、何がどうだというようなことを言いますけれども、もちろん基本的にはそれがありますけれども、しかし、住民の抵抗に遭うと「一部住民が反対するからできないんだ」などというセンスはもう古いと思うんです。することをして、その上でという話なら別ですけれども。人をなめたようなことするな。たった十軒か十五軒であっても、明治以来、先祖代々ずっと住んで漁業を営んでいる人たちにとっては、そこはまさに別天地や。我がふるさとや。それをある日突然、朝起きてみたら「おまえの土地は、この前を皆買われて、ボートがいっぱい走るんや」て、そんなばかな話はない。そういうことについての謝罪や反省がない。
 だから、わしは予言しておきますが、縮小案は、発表してもできない。しかし一方では、やっぱり知事としたら、縮小案でも何であっても、そういう企業が来てくれると大変うれしいんだから、その気脈を合わせてもっと住民の中に入っていって、そしてそういう人々と胸襟を開いた話をしていく。「悪かったな」という話をしていく。そんなことでなかったら、ネクタイを締めてテレビで幾ら言うても、それはあかん。私は、そういう姿勢が大変問題だと思うということをさらに付言をしておきます。
 先ほど知事が言われた答弁、日置川の原発に関して「地方の人の意見を聞いて対処する」という、「地方」というような言葉を言われておりましたけれども、ちょっと意味が不明瞭であります。言い直せとは、もう言いません。けれども、大変意味が不明瞭。「地方の人」と言うたら、新宮の人の話かな、加太の方の人の話かなと。私が質問しているのは日置川の、まさに争われた選挙について聞いているんです。日置川町であります。だから、「地方」というのは、書いたやつを読み間違えたのかな。その辺はわからんのですけれども、ちょっと不明瞭であるということを指摘しておきます。
 以上です。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 先ほど私が「地方の人」と言うたのは、「地元の人」でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えをいたします。
 関西電力のコメントにつきましては、先ほどご答弁させていただきましたように、電気事業者の立場からの発言であろうと考えます。
 県といたしましては、電源立地につきましては、地元の意向を尊重しつつ三原則を堅持して、地域振興の立場で対応いたしてまいる所存でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 「きょうはお天気ですか。きょうは台風ですか」と聞かれたら、「きょうは台風です」あるいは「天気です」と、どちらかで答えなければならないと思います。
 この関西電力のこのコメントはどうなと、その解釈を聞いているんです。すると、「それは電気事業者が勝手に言うているんだ」と。「勝手」という言葉を言うぐらいだったらまだましやけど、ただ「言うているんや」と。そしてそれは三原則どうこうと。それはわかっておるんです。そんなことを聞いているんじゃない。これはどう思うか。腹立つのか、腹立たないのか。これをどうせえと言うんか。「関西電力、おまえそんなこと言うてええんか」と言うて電話の一本ぐらいかけてやれ、そういう立場で私は聞いておる。
 やっぱり同じ答弁であること、大変不満であるということを表明いたします。
 終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。

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