平成4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成四年七月一日(水曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第八十六号から議案第百六号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十六号から議案第百六号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 休会決定の件
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 浩
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村  昇
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   玉 置 英 夫
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ──────────────────
 午前十時三分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
 ──────────────────
○議長(山本 一君) 日程第一、議案第八十六号から議案第百六号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 三点、質問をいたしますが、特に南紀新空港と白浜町財政についてというこの項目については、要望にとどめたいと思います。したがって、当局の答弁は省略をしていただいて結構であります。
 去る六月二十八日執行された日置川町長選挙は、七十三票差でその当落の明暗を分けた、まことに厳しい選挙戦であったことは既にご承知のとおりであります。「反原発の三倉氏再選」「日置川町民ノー原発再び選択」「反原発町政さらに一期」等々、各紙は一斉にこのように報道したところであります。
 現職に対し返り咲きをねらった前職は、「原発については、やらないと言ったらやらない。約束します」と至るところで公約していたけれども、率直に言って、町民は原発反対についてよりトーンの高い、私から言わしむれば質の高い方を選択したと思うのであります。もちろん選挙は、わけても地方選挙にはいろいろな要素が含まれているけれども、今後の日置川町政は原発の火種を消す、より決定的な段階を迎えたのであります。
 以下、二点、三点、質問をいたします。
 一つ。関西電力立地部長浦木氏は、選挙結果のコメントで「当社としては、引き続き原子力発電に対する地元の皆様のご理解が得られるよう粘り強く努力を重ねてまいりたい」としているが、こういった白々しい発言は町民と県民を愚弄するものであると私は思う。県の見解を問うものであります。
 二つ目。県は第二次中計の中で、エネルギー資源対策として「国は総合的なエネルギー対策を推進しているところであり、県としては電源立地について、今後とも地元の意向を尊重しつつ、適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、地域振興の立場で対応する」としているが、四年前に引き続く今回の結果から見て、日置川町での原子力発電所の設置問題に県は今どう対応しようとするのか、その方針を問うものであります。
 三つ目。紀伊半島南部から中部にかけて、原発立地をめぐって住民が政争に巻き込まれて既に二十余年の歳月が過ぎております。原発によって町が二分され、そのためにエネルギーを投入してお互いに争う県民に対し、県は責任がないと言うのか、あるいは県にその責任はないのだろうか、あわせて答弁を求めます。
 昨日の夕刊にも大きく載ってございましたけれども、けさの新聞でも田辺市における──これはきょう私が扱う問題とは別でございますが、「芳養リゾート計画 白紙撤回に 一千億の開発事業消える」と麗々しく載ってございます。こういった問題と非常に深いかかわりを持つリゾート、特に燦黒潮リゾートの田辺湾リゾート構想とリゾート法の問題について、見解を問いたいと思います。
 私は、過去四回、当議場を通じて田辺湾リゾート構想に関連しての質問を重ねてきたところでありますが、去る四月二十一日、田辺市は丸紅商社の当計画規模縮小の申し出を受け、一定の方向づけの中でその縮小計画を発表したところであります。
 ご承知のように、この開発計画は、海洋レジャーを中心とした新しい町づくりをコンセプトに、昭和六十三年八月、丸紅、田辺市、和歌山県の三者の立ち会いのもとに発表した、いわば世間をあっと驚かせた一大民活プロジェクトであります。
 ちなみに、知事は「本計画が県の主要民活プロジェクトとして重点整備地区である田辺・白浜地域の雇用の創出、産業の振興等、地域の活性化に大いに寄与するものと確信しており、今後、同計画の実現に向けて積極的な取り組みを行っていく」との談話を発表、また、田辺市長は「今後、地元関係者との話し合い、関係法令との調整など、たくさんの仕事がございますが、市といたしましては、市民合意の上に立ち、全力を傾注してまいります」との決意を述べ、さらに、龍野丸紅社長は「当社は田辺湾の持つ美しい自然を生かした国際的な総合リゾート開発を目指しており、今回の大規模マリーナを核とした海洋リゾート事業を田辺市と共同して積極的に進めていく所存です」と、それぞれ並々ならぬ抱負と決意を開陳したところであります。
 当初一千億を投じるとしたこの計画は、その後、平成元年二月の基本協定の調印に際して「二千億をかける」とし、平成四年四月春に着工し、七年に一部オープンさせるとの計画を発表。同計画によれば、田辺湾に面した新庄町内の浦、鳥の巣半島の陸地部分百十ヘクタール──甲子園球場の約四十倍強であります──を開発、六百隻収容のマリーナ、七百五十室のリゾートホテル、十四棟二千八百室のコンドミニアムやマンションと五百五十戸の別荘のほか、テニスコート、プール、人工ビーチなどをつくる、完成すると国内外から長期滞在の観光客年間二百万人の受け入れを想定、将来は大学をもつくり、若者に働く場所ができ、市税増収やゆとりのある市政が可能になるとの発表であります。
 私は、同計画の発表後、五日目だったか四日目であったか、新聞紙上で図示された青写真を参考にしながら、この周辺海岸を小舟に乗って見て回りました。そのとき、この狭い湾内にヨット六百隻を浮かべるなどという計画は、当時、東京湾内でなだしお事件というのが起こりましたが、それに似た事故を毎日引き起こすだろうなと思いました。そして、大変気になったのは、鳥の巣というところや内の浦の住民の皆さんはこの突然の発表で驚かれるだろうなと。また、この海域の漁民や漁業組合の皆さんはどう反応されるだろうか。そして、特に私は、私の町・白浜町の観光のあり方とこの計画はどう関連するのだろうかということを考えました。   ご承知のように、白浜町は明治以来──「万葉の時代から」と言うと大げさでありますが──ようやく旅館やホテルが建ち並び出し、一時は六十数軒になった。そして今、二十何軒になった。そういう、いわば皆さん方の営々とした努力の中で、県や町自身の努力も相まって、ようやく年間を通じて三百万を超す観光客を受け入れる町になるまでには百年以上かかっておるんです。しかし、この一大プロジェクトは、できれば二百万人をここに引きつけるんだなどということを言うている。
 そういうことを考えたときに、この白浜のいわば利益、白浜というエゴ、そういう立場から言って、こういうものができた場合にこれはどうなるんだろうかという一つの驚きと、そしてこれをどう整合性のあるものにしていくべきだろうかというようなことを──私は田辺の市長でもございませんし、白浜の町長でもございません。まして和歌山県知事でもございません。しかし、住民の一人として、白浜町に責任を持つ一人として、こういう計画は一体どうなんだろうかということも考えながら、発表後の九月県議会で──これが発表されたのは八月だったので──県当局にただしたところであります。また、大きなこと言ってもだめだ、できることからしなさいよという立場で同計画の縮小案や、一体、鳥の巣の人たちはそのことを知っているのか、そういう話し合いがされておるのか、されていないじゃないかと、住民合意への手法についてもたびたび提言や質問を重ねてきたところでもあります。それらの質疑応答は議事録に譲ることとするが、私の縮小意見に少しでも耳をかしてくれていたとするならば、発表後の五年目のこの夏には「完成への夢膨らむ 田辺湾リゾート」といった朗報が広がっていたであろうと思うと、まことに残念であります。
 このような現状に立って、以下、数点質問をいたします。
 一つ。開発計画二千億規模の田辺湾リゾート開発は、バブル崩壊による景気の後退と一部地権者の反対を理由として、金額で三分の一の約七百億に、面積で四分の一の約三十ヘクタールに縮小するとしているが、一部地権者の反対などというのは、私は理由にはならないと思うのであります。なぜならば、以前からも繰り返し述べてきたところだが、開発計画の発表は企業や行政側の一方的宣伝であり、他人の土地に線引きをして計画発表を行う、このような無神経さこそが根本的に誤っているのであって──いつか申し上げましたが、「知事官舎のところはいいな。わしは、あそこをテニスコートにするんだ」と発表したら知事はどう思うか。「そうでございますか。結構ですね」とは言わない。本人の知らないところへ、そこをテニスコートにするんだ、どこへ何をするんだと、そんな企業の横暴、しかも行政もそれに加担しながらの無神経さ、そういうことは必ず破綻するのはわかっておる。こういうような無神経さこそが根本的に誤っているのであって、計画がはかどらないからといって「一部住民の反対のために」とすりかえる理由づけは理由にならないと、私は思うのであります。
 したがって、このたび縮小案を──それでも七百億であります。レオマワールドはもう数年前に完成いたしておりますが、これは七百億であります。七百億といっても大したものです。二千億から七百億に縮小したといっても、これは大したものであります。しかし、この縮小案を行おうとするのであるならば、企業と行政側はまず住民に謝罪をする。そこから再出発すべきである。まだそのスタンスがない。そうじゃなくて、縮小するんだと言ってまた発表している。絶対できない。私はそのことを断言してはばからないのであります。今日、そういうようなことで物事ができると思うと大間違いであります。恐らくこれは、大変失礼な言い方でありますけれども、やめると言ったら格好がつかないから縮小案ということで今のところごまかしていく、私はそういうような気持ちさえ持つのであります。そうであるとは言いません。気持ちさえ持つのであります。
 なぜならば、そこに誠意がない。明治以来そこに住んでいる人々がある日、突然そんなことを発表されて、「わしら、そんなになるんか。なぜ、そんなことせんならんのな」と。住民はそう。一方は、ばんばん青写真で発表する。そして、オーストラリアへ見に行ってきた、ここはオーストラリアにある海岸とよく似ているというようなことを麗々しく新聞で発表する。何を言うか。田辺の五万、七万の人が賛成を仮にしても、そういう内の浦の十数軒が反対すればできないんです。自明の理であります。ですから、そういう該当地の人々に対して謝罪をするというところから出発しない限り、これはだめだ。いかがなものでしょうか。お答え願いたいのであります。
 二つ目。四年前、知事が「今後、同計画の実現に向けて積極的な取り組みを行っていく」と談話発表を行ったことは前段で述べたが、県の燦黒潮リゾート構想の中核事業として位置づけた本計画が大幅に縮小されたとする現状に対し、知事はどのような所見を持っているのか、伺うものであります。
 三つ目。「リゾート法を廃止して出直せ」とする昨年の十一月十八日の朝日新聞の社説は、日本弁護士会が現行のリゾート法の廃止を求める決議を採択したその趣旨に賛意を表明した論説でありましたが、結論として、現行のリゾート法に欠けているものとして次の四点が指摘されているところであります。
 すなわち、一、いかにゆっくり休める社会を実現するか、二、自然保護を基本とした統一的な土地利用の基本法を整備する、三、環境アセスメント法の制定、四、地域住民主体の計画づくりを国と自治体が支援していく体制等であります。また、「リゾート法が制定されて五年。しかし、日本各地での開発騒ぎを見れば、同法が国土と国民に何をもらたすかを知るには十分だ。このままでは悔いを将来に残す」と論述したものであります。まさにこの指摘のように、施行後丸五年、重点整備地区の指定を受けた三十五道府県のうち三分の二の二十三道県で、計画の一部中止、規模縮小となっており、その主たる原因がバブル経済の崩壊、環境保護運動の高まりと分析されているところであります。
 このような現状に立って、国土庁は、この四月から学識経験者による検討委員会を設け、リゾート法の本格的な見直しに入ったが、今後、民間より国が前面に出てリゾート整備に財政面での支援を強めるよう求めている自治体が多い中で、以前県の総務部長をなされておった斉藤恒孝氏──国土庁地方振興局の総務課長をなさっている──の談話が発表されておりました。「国が個々の企業リゾート事業に対し直接支援することは財政的にも難しいが、この検討委員会で何ができるか検討していきたい」とし、また、「リゾート列島」の著者、熊本大学の佐藤誠教授は、「バブル崩壊とともに花(リゾート)が枯れるのは当然の結果だ。八〇年代後半の金余り現象が大都市では地上げに、地方ではリゾートという形であらわれた。法律を廃止するのは難しいと思うが、余暇について制度的保障をするなど、もっと生活者の立場に立った補完的な法律や制度が必要だ」とも述べているが、現行のリゾート法の見直しについて、引用したこれらの諸点ともあわせて県の所見を伺うものであります。
 四つ目。一九九一年度「観光白書」によれば、国民一人当たりの年間の旅行回数は一・五四回、二・九四泊、一世帯当たりの旅行費用は十二万四千円、二〇〇〇年になっても野村総研の予測ではこれらの数字は微増するだけ、まだ当分、時間と金は長期滞在型リゾートどころではないとあります。また、この三月、近畿二府六県で構成する近畿府県観光委員会と紀の国黒潮国際観光モデル地区推進協議会の観光セミナーが西牟婁郡のすさみ町で開かれたが、その際、講演された永田さんという方は──リゾート関係の専門家で総合研究開発機構理事をなさっております──「昨年、海外へ旅行した人は千五百万人。毎年ふえ続け、年間二千五百万から三千万人が予想される。国内観光地(リゾート地をも含む)は、二泊三日の滞在が主流になる。─中略─したがって、これからのリゾート地や観光地は二泊三日滞在に焦点を当てた対策、開発をすべきだ」と述べています。こういった現実的で堅実な意見や分析について、県の観光的立場からの考え方をこの際ぜひ伺っておくものであります。
 五つ目。県は、第四次長計において原子力発電所設置への対応について、適地性、安全性、住民の合意を条件とするいわゆる三原則を掲げたが、私は県内各地におけるゴルフ場開発やその他の開発についての住民の反対運動を見聞する中で、今後のリゾート開発を中心とする諸々の誘致についても、この種の指針が必要ではないかと思うのであります。
 一般的に言って、「住民の合意」という場合、市町村長並びに議会の決定が優先されなければならないことは自明の理であるが、今日の状況は必ずしもそう運んでいないのであります。このことは、開発計画をした企業が、該当地区の一部の幹部や一部の有力な人々だけで話し合いを行い、対象地区や関係団体の間の意見等が集約されていない状況のまま進んでいる事例が間々あるからであります。したがって、関係法令や規則等の解説や留意事項以前の問題である、該当地区住民との間に合意や納得を得るための指導のあり方がより重視されなければならないと思うのであります。答弁を求める次第であります。
 今期定例議会の提案説明の中で知事は、「南紀新空港の建設については、皆様方のご協力により、去る四月二十三日に新空港本体工事の起工式を挙行することができました。また、懸案となっております用地買収の進捗は、現在九七%が解決済みとなり、残る三%についても鋭意努力し、その早期開港を目指して精いっぱい取り組んでまいります」との、決意を込めた報告を行ったところであります。
 新空港本体工事の進行の中で、白浜町当局と議会もまた、現空港建設事務所の皆さんとともども一体となって、本来、白浜町がその責めを果たさなければならない町営斎場、清掃センター、不燃焼物処理場等の衛生三施設、いわゆる三点セットの移転先や該当地区、鴨居地区の花卉団地の移転等を含め、今、昼夜を分かたぬ努力を重ねているところであります。
 新空港に直接関連する白浜町に係るこれらの全体事業費は、平成四年度から七年にかけてほぼ百九億円を要し、その財源内訳は国、県、支出金、地方債、その他必要経費五十六億円、白浜町五十三億円であります。白浜町の一般会計財源は、年六十億内外であります。
 これがため、白浜町は町財政調整基金十七億円をこれに充当し──これには、私もかつてお金をため、この貴重な十七億の一部をなしておりますけれども──平成四年度十一億円、平成五年度三十五億円、平成六年度二億五千万、平成七年度三億六千万の計画に立ってその執行と予定をしているが、先ほど申し上げましたように白浜町の年間一般予算は六十億余の規模のため、全体事業として三十六億円の一般財源の不足を生じ、厳しい財政運営と相なっております。そのため、このままで行けば白浜町は空港完成時には財政再建団体になることは必至の状況にあると分析をされてございます。
 これらの事業の経過や状況、予算の内訳についての詳細は省略することにするが、その辺の事情について県においても十分配慮され、今後に処していただきたいことをこの機会に要望いたしておくものであります。先ほど申し上げましたとおり、答弁は不要であります。
 どうもありがとうございます。
○議長(山本 一君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 日置川町の原発についての問題でございまして、お話のように、長期間にわたり、さまざまな意見が交わされ、議論が続けられたところでございます。しかしながら私は、このことは、意見の違いはあるにせよ、町の将来を思い、町の発展を思い、住みやすい郷土づくり、ふるさとを愛する熱情からこうしたご意見があったものと、そのように理解しているところでございます。
 県としての今後の対応の問題でございますけれども、地方の人の意見を十分拝聴しながら対処してまいりたいと思っております。
 それから、田辺湾のリゾート構想について、いろいろご意見を承ったわけでございます。
 話ございましたように、田辺湾総合リゾート開発計画におきましては、民間計画の一部が種々の事情によって変更をされたと思っておるわけでございます。私も、非常に遺憾だ、しかし企業がもう少し突っ込むべきではないかというコメントも申し上げたところでございます。
 しかし、こうしたリゾート構想は一部変更になったわけでございますけれども、リゾート構想の中核地である田辺・白浜重点整備地区においては、当該開発計画のみならず、千里海岸総合リゾート構想、東急南紀田辺リゾート計画、コガノイ・ベイ・ホテル等が具体化しており、これらが一体となって総合的な高いリゾート地が形成されつつあるわけでございます。それらを重点にして、なお一層考えていかなければならないと思っております。
 田辺湾総合リゾート開発計画につきましては、今後とも田辺市が中心となってその実現を図られるわけでございますけれども、県としても、市町となお連携を密にいたしまして、今後のリゾート計画の推進を着実に進めてまいりたいと思っております。
 白浜空港の問題は要望でございますので、承っておきます。
○議長(山本 一君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) お答えをいたします。
 まず、関西電力立地部の選挙結果に対するコメントの問題でございますが、関西電力のコメントは電気事業者の立場からの発言であろうと考えてございます。
 次に、原発設置に対する県の対応についてでございますが、県としては、電源立地の問題については第二次中期実施計画に明記しておりますとおり、今後とも地元の意向を尊重しつつ、三原則を堅持し、地域振興の立場で対応することといたしてございます。
 次に、燦黒潮リゾート、田辺湾リゾート構想とリゾート法についての二点のご質問にお答えいたします。
 まずリゾート法の見直しについてでございますが、議員からお話がございましたように、リゾート法に関する広範な議論がマスコミや大学教授等々から提起されてございます。一方、先般、経済審議会より答申されました新経済五カ年計画におきましては、年間総労働時間千八百時間の達成を初め、安く利用できる公的施設の整備など、国民の余暇活動の充実への対応策が明記され、豊かさとゆとりを実感できる生活大国の実現がうたわれたところでございます。
 こうした新たな社会経済情勢に対応すべく、国におきましては、総合保養地域整備研究会を設け、良質で安価なリゾート地の形成を図るための公的資金の導入、地域の歴史、文化に根差した個性的なリゾート整備への誘導、環境保全への一層の配慮などを内容とした、リゾート法の運用の見直しについて検討が始められてございます。
 県としては、燦黒潮リゾート構想を推進していくという基本的姿勢は変わりございませんが、今般の国におけるリゾート法の運用の見直しに当たりましては、公共投資の優先配分や民間投資を誘発する国等による先導的プロジェクトの実施など、施策の充実を要望いたすとともに、県としても、必要に応じ、リゾート整備の手法等につきまして所要の検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、リゾート開発に係る住民合意についてでございますが、総合保養地域整備法に基づくリゾート構想に位置づけられた開発計画につきましては、県の基本構想策定の段階で、関係する地元市町村との協議により、その意見を反映することが法的に義務づけられてございます。さらに、本県のリゾート構想におきましては、基本構想の策定段階で、県、地元の市町村並びに産業、労働、女性、青年等の各分野の方々で構成される燦黒潮リゾート構想推進連絡協議会を設置いたしまして、普及啓発及び意見集約を図ってきたところでございます。
 今後、県といたしましては、構想に位置づけられた計画について、地元住民へのなお一層の周知徹底を図るよう市町村を指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 浜本議員にお答えいたします。
 田辺湾総合リゾート開発計画の実現は、田辺市周辺地域ひいては紀南地域の活性化に大きく寄与するものと考えますが、当計画は大規模かつ総合的な計画であり、地域に与える影響も大きいことから、広く地域の人々の理解と合意を求めるために、当計画が公表される以前より、地元関係団体等に対して説明を行ってきたと聞いてございます。また、このたびの変更案についても、発表以前に田辺市及び企業が地元に対して説明を行うなど、地域の人々との接触を通じ、積極的に理解を求める活動が行われてきたものと考えてございます。県といたしましても、企業に対して田辺市及び地元との連絡を密にするよう指導しているところでございます。
 次に観光地と旅客の動向でございますが、議員ご指摘のように、「観光白書」では国民一人当たりの宿泊数は二泊ないし三泊が主流となっております。一方、観光は、近年の社会経済情勢の変化に伴いまして、従来の単なる景勝地めぐりから歴史的文化資源の散策、森林浴やアウトドアスポーツなど参加型や体験型のものへと、ニーズが変化してきてございます。
 県といたしましても、こうした状況を踏まえ、世界リゾート博に向け、本県の持つ豊かな自然をPRするため、ネイチャーランドキャンペーンを昨年から県内各地で展開しているところであり、また、低廉で宿泊していただけるためにオートビレッジやキャンプ場、また大塔村のフィッシングパークの整備など、市町村や民間の協力もいただきながら進めているところでございます。
 また、観光客がもう一度来てみたいと思う気持ちになるのは、やはり真心のこもったサービスになると思います。従来から「まごころキャンペーン」を実施いたしまして、接遇マナーの向上や観光意識の高揚を関係機関、関係団体の協力もいただきながら進めているところでございます。
 なお、今後とも観光客のニーズを的確に把握しながら、堅実に本県の観光振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 企画部長の答弁──計算をさせると何にもできないんですけど、記憶力だけは人より少しすぐれていると私は自負しております。
 四年前に日置川町長選挙がございました。そしてそのときに、私はこの問題についてお聞きいたしました。当時も関西電力はコメントを発表した。同じコメントであったと思います。そして、四年たった今も、先ほど申し上げましたようなコメントがありましたが、そういう白々しい発言をどう思うかということをお聞きしました。
 そうすると、企画部長いわく「関西電力のコメントにつきましては、電気事業者の立場からのものであると考える次第」──わかってるというんや、そんなこと。四年前も前企画部長がそういう答弁をなされました。何と、前企画部長、現企画部長、緊密な連絡を──このためにはとってはないんですけど、固いガードだなと思います。
 「電気事業者の立場からのものであります」──それは当たり前のことや。そんなことはわかっておる。そういう第三者の客観的な立場で「あれは電気事業者が言うているんだよ」と。なぜそんなことを僕が聞かなならんのや。私本人が言うているんや。電気事業者がそういうことを言うているけれども県はどう思うかと。
 その答えがない。四年前もなかった。四年たった今もない。そうすると、「やっぱり関西電力に遠慮しておるんかの」と。その部面だけを取り出してみると、一般的には「県の人ら、知事さんらも大概な人やけども、やっぱり関西電力に遠慮してるんやな」となる。「三倉、よく勝ったな」と、そこまでは言わなくてもいい。「三倉、おまえよく勝ったな。もう原発やめさそうら」と、そこまではそういう短絡的な言葉では言えないにしても、「あれは電気事業者が勝手に言うているんだ」という発言は私は──これ、攻めてみてもやっぱりまた同じ答弁。やってみましょうか。再答弁を求めます。それが一つ。
 先ほど、知事が田辺湾の総合リゾート開発の問題について言われておりましたが、四月二十二日、仮谷知事は記者会見で、「用地取得の難航が一番の理由だと聞いているが、もう少し企業が本腰を入れなくてはいけなかったのではないか」と言及してございます。
 知事は串本の和深の人。和深の人のようなしゃべり方をすれば、「丸紅ら、もう少し本腰を入れてやってもらわなんだらあくか」、こう言うたと解釈できるわけです。そんな言葉では知事は言えない。和深の人という立場だったらそう言える。しかし、私はそうだと思う。企業が発表だけをして、そしてその後は、しり食らえ観音。そういう形で、本腰をひとつも入れていない。そういうことであっては、先ほど申し上げた「芳養湾 一千億の開発事業消える」──むなしい記事であります──こういうことばかりが繰り返される。今後も、私は県内でかなりそういう問題が続くと思います。
 これは、バブル経済がどうだとか、何がどうだというようなことを言いますけれども、もちろん基本的にはそれがありますけれども、しかし、住民の抵抗に遭うと「一部住民が反対するからできないんだ」などというセンスはもう古いと思うんです。することをして、その上でという話なら別ですけれども。人をなめたようなことするな。たった十軒か十五軒であっても、明治以来、先祖代々ずっと住んで漁業を営んでいる人たちにとっては、そこはまさに別天地や。我がふるさとや。それをある日突然、朝起きてみたら「おまえの土地は、この前を皆買われて、ボートがいっぱい走るんや」て、そんなばかな話はない。そういうことについての謝罪や反省がない。
 だから、わしは予言しておきますが、縮小案は、発表してもできない。しかし一方では、やっぱり知事としたら、縮小案でも何であっても、そういう企業が来てくれると大変うれしいんだから、その気脈を合わせてもっと住民の中に入っていって、そしてそういう人々と胸襟を開いた話をしていく。「悪かったな」という話をしていく。そんなことでなかったら、ネクタイを締めてテレビで幾ら言うても、それはあかん。私は、そういう姿勢が大変問題だと思うということをさらに付言をしておきます。
 先ほど知事が言われた答弁、日置川の原発に関して「地方の人の意見を聞いて対処する」という、「地方」というような言葉を言われておりましたけれども、ちょっと意味が不明瞭であります。言い直せとは、もう言いません。けれども、大変意味が不明瞭。「地方の人」と言うたら、新宮の人の話かな、加太の方の人の話かなと。私が質問しているのは日置川の、まさに争われた選挙について聞いているんです。日置川町であります。だから、「地方」というのは、書いたやつを読み間違えたのかな。その辺はわからんのですけれども、ちょっと不明瞭であるということを指摘しておきます。
 以上です。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 先ほど私が「地方の人」と言うたのは、「地元の人」でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えをいたします。
 関西電力のコメントにつきましては、先ほどご答弁させていただきましたように、電気事業者の立場からの発言であろうと考えます。
 県といたしましては、電源立地につきましては、地元の意向を尊重しつつ三原則を堅持して、地域振興の立場で対応いたしてまいる所存でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 「きょうはお天気ですか。きょうは台風ですか」と聞かれたら、「きょうは台風です」あるいは「天気です」と、どちらかで答えなければならないと思います。
 この関西電力のこのコメントはどうなと、その解釈を聞いているんです。すると、「それは電気事業者が勝手に言うているんだ」と。「勝手」という言葉を言うぐらいだったらまだましやけど、ただ「言うているんや」と。そしてそれは三原則どうこうと。それはわかっておるんです。そんなことを聞いているんじゃない。これはどう思うか。腹立つのか、腹立たないのか。これをどうせえと言うんか。「関西電力、おまえそんなこと言うてええんか」と言うて電話の一本ぐらいかけてやれ、そういう立場で私は聞いておる。
 やっぱり同じ答弁であること、大変不満であるということを表明いたします。
 終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速、質問をしてまいります。
 大規模開発と環境保全について、まずお尋ねをいたします。
 去る六月三日から十四日まで、ブラジルで国連環境開発会議(地球サミット)が開かれました。この会議は、国連の環境と開発のための委員会の呼びかけで、各国政府及び環境NGO(非政府組織)代表が一堂に会して地球環境問題について対策を協議し、立場の違いを超えて共同で対応していこうというものです。
 今大きな国際的問題となっているCO2(二酸化炭素)の増大による地球温暖化、フロンによるオゾン層破壊、酸性雨などNOX による大気汚染の激化等々、地球環境の破壊が深刻となり、国際世論が喚起された結果とも言えるのではないでしょうか。
 ここには、世界百八十三カ国の首脳や政府代表が参加、そして並行して世界各国のNGOによる環境問題についてのグローバルフォーラム92など、百六十五カ国、七千五百団体が、毎日四万人を超える大きな大会として成功させました。
 地球サミットでは、「環境と開発に関するリオ宣言」、具体的な実行指針となる「アジェンダ21」、「森林に関する原則声明」や地球の温暖化を防ぐための「気候変動枠組み条約」、野生種の保護を目指す「生物多様性条約」に、それぞれ百五十三カ国と百五十七カ国が調印したことも報道されました。
 ここに日本からも、公害被害者や科学者、弁護士、労働組合、住民団体、消費者団体など多数が参加をいたしました。NGOから地球環境保全に最も非協力的、消極的だったアメリカに最悪の金賞が、そして日本政府にゴールデンベビー賞が贈られたことは、今の日本政府の環境に対する姿勢がうかがえるところであります。
 一方、環境保全のための途上国援助への資金づくりで、また、工場の脱硫脱硝装置や自動車の排ガス規制技術など、日本は幾つかの汚染防除技術のいずれにおいても大きな役割を果たしてきていますし、これを国際的に期待されている現実でもあります。
 こうした国際化した環境問題は、国内でもリゾート法成立以来、特に拡大されていると言われます。既に三十五県が国のリゾート法に基づく構想の承認が終わり、最終的には四十一県に達するようであります。特定地域の面積は我が国の農用地面積に匹敵するとも言われています。また、広さばかりでなく、これまで開発の手の及ばなかった比較的良好なわずかに残された自然環境の地域が開発対象になっていることとあわせて、国立公園や自然環境保全法による保全地域あるいは保安林、農地でも農振地域が組み込まれているのであります。
 しかも、リゾート開発はいずこも、金太郎あめと言われているように、ゴルフ場、ホテル、マリーナが主体です。これに関連するアクセス道路などを含め、森林伐採や土地造成、海浜埋め立てを伴うもので、貴重な自然が破壊され、農林業への影響は避けられないと思うのです。「まず開発ありき」のリゾート法のもとでは、乱開発と環境破壊を招かざるを得ない状態になってきています。
 全国各地の状況を調べてみますと、企業の撤退、自治体の財政負担の過重、住民の反対などによって、計画の見直しや縮小、断念に追い込まれている状況にあります。お隣の淡路島は、四十一の事業計画のうち、今着工あるいは実施計画段階にあるのがわずかに七つの事業です。そして兵庫県は、十五の計画が規模縮小、そして十が見直しをやらなければならないということになっています。また、三重県の鳥羽市や九州の福岡県、そして山口、沖縄、静岡、山梨、北海道など、その他の地方自治体でも見直しが相次いでいると言われています。
 そこで、お尋ねをいたします。
 本県における燦黒潮リゾート構想の七重点整備地区ごとの具体的計画の進捗状況と今後の見通しについて、企画部長にお答えいただきたいと思います。
 次に、ゴルフ場開発についてお尋ねを申し上げます。
 去る六月十日、二年間の経過措置を経て林野庁長官通達により、ゴルフ場の造成に係る切り土量、盛り土量はそれぞれ十八ホール当たりおおむね二百万立方メートル以下とするという、森林を守る立場から厳しい規制が加えられてまいりました。それまでは野放しの状態でありましたから当然といえば当然でありましょうが、今後はゴルフ場開発にわずかばかりの歩をとめたことになりましょう。
 これまで、事前協議中の開発業者により地元住民や地権者、水利権者、漁業組合への執拗な同意工作が行われ、許可申請に必要な書類が不十分なまま県事務所に申請した事業者も数多くあるものと、地元住民の訴えから推察できます。中には、事前協議を申請して、県からの意見通達が五月二十四日に出され、わずか十八日後には本申請という到底考えられない申請まで受け付けている実態ですから、届け出制や事前協議のあり方について疑わざるを得ません。まさに、これこそ駆け込み申請そのものだと言えます。届け出制と事前協議制の目的と効果について、関係部長の所見をお伺いいたします。
 続いて、計画当初からの住民参加と資料公開の保障及び住民合意についてお尋ねをいたします。
 私たち住民、特に開発計画地周辺住民は、計画のあることすらなかなか知らないし、知らされないことが多々あります。特に、事ゴルフ場開発については特徴的であるようにも思うのです。どうしてなのでしょうか。
 本県の方針としてゴルフ場等開発計画に関する取扱いで明記をされていますが、ここでは「地域振興として地元市町村及び地元住民が積極的に要請している計画(予定地)に限って届け出を受け付けるものとする」とし、その地域振興として、過疎対策関連事業、同和対策関連事業、観光・リゾート対策関連事業、その他特に地域振興に寄与すると認められるものの四つを位置づけ、限定しているのです。ですから、この要件を満たしているのであれば、企業は住民に開発計画の具体的説明を資料公開の上で行い地元住民の意見や要求にこたえる、そんな努力を当然しなければならないと思うのです。多くの企業が地元の住民の協力や理解を得る積極的な努力を怠ってきた結果として、現在の多くの住民運動があるのではないでしょうか。
 現状はといいますと、地元住民が具体的計画を知り得る段階は、多くは届け出受理後あるいは事前協議申請終了後でありますから、地元住民としましては、直接、しかも最も被害や影響を受ける者が無視されているわけですから、開発業者とともに行政不信が起こるのは当然だと思います。
 開発許可申請まで一度も地元自治会への説明会も開催されないばかりか、この六月十一日、林地開発そのものが改正された時点においても、その後においても説明会が行われていない自治会すらあることを記憶にとどめていただきたいと思います。
 地元同意を得るため、例えば、海南市の全日空海南ゴルフでは同意料として三億八千万円、同意していない自治会も後で同意したら別途支払う、あるいは和歌山市のフォレストシティでは開発協力金あるいは迷惑料として二億円、またすさみ町の里野台では一世帯五百万円といった、住民合意を金で買うといった企業活動が平然と行われているのです。私は、こういった住民の誠意を金で買うような許せない業者に対して大きな怒りを覚えます。企業に対する今までの県当局の行政指導のあり方が問われなければなりません。また、地権者、水利組合、漁業組合の同意についても多くの疑問が語られているのです。
 この間、地元合意についての住民団体の皆さんや私らのこれまでの質問、折衝に対する答弁は、住民合意は法的義務はないが、地元住民とのトラブルを避けるため、行政指導として開発業者に対し関係地元合意を同意書として得るよう指導を行ってきた、その内容は、開発業者は関係単位自治会に計画を説明し、そこで出された意見や質問等にも答え、結論に至った経過について書面で提出するよう指導してきており、この結果の経過を許可判断の重要な参考材料にするということでありました。つけ加えますと、和歌山市のフォレストシティ計画地である有功地区住民に対しては、開発区域周辺単位自治会については自治会の総意による同意書、浸水被害地区住民単位自治会については調整協議書を提出するよう指導し、協議書も同意書同等に扱うことを明確に答弁されています。
 しかし、現実には指導の効果が十分あらわれていないのは残念なことであります。法律が不十分であるならば、地方自治体として、行政指導にとどめず、行政の上乗せ条件として住民合意を許可条件に義務づけする必要が求められていると思うのです。関係部長のご所見をお尋ねします。
 あえて申し上げなければなりません。ゴルフ場開発計画の地元では住民を二分するような感情問題が発生している中で、「開発問題がなければ隣や近所が仲よく生活していけたのに。本当に悲しいことだ」と涙を流しながら叫んでいる住民の皆さんたちの気持ちを真摯に受けとめ、対応を願うものです。
 最後に、住民の立場に立った環境アセスメントについてお伺いいたします。
 私は、一九八九年九月議会において、リゾート法成立に伴い、ゴルフ場を初めとした大規模な乱開発による自然環境破壊を事前に防止する環境アセスメントの緊急性をただしてまいりました。民間事業の開発に係るアセスメントには、住民参加と情報公開の保障や一定面積以上の開発についての義務づけ、広く地域の環境を評価範囲とすることなどを要望してまいったところです。
 昨日、環境影響評価指導要綱が完成し、記者発表が行われたようです。約三年にわたっての担当者の努力に感謝を申し上げると同時に、実効ある要綱にさらにつくり上げていただきますよう改めて要望しておきたいと思います。
 私は、本朝その指導要綱を見せていただいたばかりで細かなところまで分析していませんので、いろいろ申し上げられませんが、私の要望しておりました住民参加と公開の保障、一定面積以上の開発に対するアセスメントの義務づけ、そして地域住民への説明会開催や住民の意見提出という形での市民参加の道が保障されていることは、評価したいと思います。
 しかし、開発許可において計画の変更や中止措置を含む規制にならない点や、審査は民主的な第三者機関で行うことなどの方法がまだ明らかになっていません。私は、県の環境政策は、県民が安全、健康でかつ快適な環境を享受する権利の実現、そして良好な環境を将来の世代に引き継ぐことを自治体の制度としてぜひとも充実、発展させることであり、真の住民の立場に立った環境アセスメントの実現であろうかとも思うのですが、関係部長の指導要綱についての見解をお答えいただきたいと思います。
 一回目の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 村岡議員にお答えをいたします。
 まず、燦黒潮リゾート構想の七重点整備地区ごとの具体的な進捗状況と見通しについてでございます。
 燦黒潮リゾート構想に位置づけているプロジェクトの進捗状況でございますが、全プロジェクト七十五件のうち、一部施設の完成したものから事前協議中のものまで含め、三十四プロジェクトが進展しているところでございます。これを本構想の中核地である田辺・白浜地区で見ますと十六のうち九プロジェクト、またその北部地区の加太・紀泉地区、和歌浦湾地区、西有田・白崎地区の三地区で見ますと二十八のうち十七プロジェクト、南部地区の勝浦・太地地区、潮岬地区、枯木灘地区の三地区で見ますと三十一のうち八プロジェクトが進展しているところでございます。
 また、計画の見通しにつきましては、経済情勢の変化などにより計画の進展に若干の影響が見られますが、リゾート地の形成には相当長期間を要するものでございますので、今後とも地元市町村との連携を密にし、民間企業の積極的な誘致を図りながら自然と共生する個性豊かな海洋性リゾートの形成を推進し、地域振興を図ってまいる所存でございます。
 次に、ゴルフ場等の開発についての届け出制の目的と効果についてのご質問でございます。
 県土の総合的かつ計画的な利用を図るためには、適正な土地利用を推進することが重要でございます。特にゴルフ場開発計画につきましては、こうした観点から、個別法による開発許可申請手続の以前の取り扱いとして、昭和六十三年十二月一日にゴルフ場等開発計画(予定地)に関する取り扱いを定めたところでございます。
 この通達によりまして、過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策、その他特に地域振興に寄与するもののいずれかに該当すると認められ、地域振興として地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画に限り受け付けるものとしてございます。このことにより、地元市町村との連絡調整が緊密化されるとともに、土地利用の総合的な調整や地域振興等の位置づけが明確化されるなど、十分効果が果たされているものと考えてございます。
 次に、計画当初からの住民参加と資料公開の保障についてでございます。
 ゴルフ場の新規開発計画につきましては、個別法による開発許可申請手続の以前の取り扱いとして、先ほど申し上げたように通達を定め、過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策、その他特に地域振興に寄与するもののいずれかに該当すると認められ、地域振興として地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画に限り受け付けるものとしてございます。
 なお、届け出書の公開についてでございますが、まだ構想、計画の段階のもので不確定の要素が多く含まれていることから、公開することで無用の混乱を招くおそれがあること、また企業秘密や個人のプライバシー等の問題もあり、公表は差し控えさせていただいてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) ゴルフ場等の開発についてお答えを申し上げます。
 まず林地開発許可制度の事前協議制でございますが、林地開発許可制度では、開発計画の内容について早期把握、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全等、許可要件の指導及び他の法令による関係課室との調整、開発許可事務を適正、円滑に実施する意味から事前協議制を定めているところでございます。従って、申請者の指導、関係機関との連携など効果的に実施をされておりまして、その効果があると判断をしてございます。
 次に、林地開発許可制度に係る資料の公開につきましては、用地関係を初め申請者の利害に絡む難しい面もございますが、計画がある程度具体化した時点で、事前協議済みの開発計画について、位置図、区域図等その計画の概要は関係者等に問い合わせがあれば対応をしているところでございます。
 次に住民合意の問題でございますが、林地開発許可制度の円滑な実施を図る立場から地元との調整を図ることは大切であり、また極めて重要なことと考えてございます。このため、関係区域内及び隣接直下の自治会あるいは関係団体の同意を得るよう指導しているところでございます。なお自治会の範囲については、市町村長の意見によって同意の範囲を指導してございます。
 最後に、開発申請の許可条件に地元住民合意を義務づけることでございますが、林地開発許可の申請に当たっては、地元住民の意向を尊重する意味から、地元関係住民の同意を得るよう指導しておるところでございます。また、開発許可に際しては、事業実施の安全性、確実性を期するための許可条件を付しておりますが、その許可条件の一つとしての住民同意の義務づけは、制度上適切でないものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 私は、都市計画法の開発許可に関連をいたしましてお答えを申し上げます。
 まず事前協議制の目的、効果ということでございますが、都市計画法の開発許可に係る事前協議制度は、大規模な開発構想について、申請者に対し総合的に指導することにより、計画内容の適正化及び事務処理の合理化を図ることを目的として設けられております。
 具体的には、県及び地元市や町の関係部局で構成される大規模開発調整協議会において、個々の開発構想案について、申請者に対し、開発に必要な諸手続、設計に当たって考慮すべき基盤整備、防災対策等を指導しているところであります。この事前協議制度により、関係機関の連携のもとに各種手続などが適正かつ円滑に進められるよう努めているところであります。
 次に住民参加あるいは資料公開の問題でございますが、開発許可に関する資料の公開につきましては、構想・計画段階の場合は区域や設計内容等にまだ不確定の要素が多く含まれていることから混乱を招くおそれがあると考えられること、また資料の中には事業活動や個人の利害に絡む情報も含まれているというようなことから、原則として資料自体を一般に公開するということは難しいと考えております。なお、事前協議済みの大規模な開発計画については、関係者等から問い合わせがあれば、その位置、計画概要等について説明を行っておるところであります。
 次に住民合意の問題でございますが、住民合意については、開発事業者に対し、開発行為の工事中及び完成後のトラブル防止の観点から、開発区域及び隣接する自治会の同意を得るように指導をしております。地元自治会の意向につきましては、開発計画を十分に説明して理解を得るよう開発事業者に対する指導を行っているところでございます。
 それから、開発申請及び許可条件に地元の住民合意を義務づけてはどうかという問題でございますが、大規模な開発事業については地元住民の意見を尊重するという立場から、開発申請者に対し、地元説明会を行って計画内容を説明するとともに、地元自治会の同意を得るように現在指導しております。
 なお、都市計画法におきましては、開発許可に当たって適正な土地利用を確保する観点から許可基準を規定しているものであり、法律上定められている土地改良区等の公共施設管理者の同意は必要でありますけれども、いわゆる一般的な住民合意を許可の条件として義務づけるということは法制度上適切ではないと考えられます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 環境アセスメントについてでございますが、本日公布された和歌山県環境影響評価指導要綱では、事業者に対して環境影響評価準備書の作成、縦覧、説明会などの手続を実施させることとなります。関係地域住民は、準備書を閲覧し、説明会に参加し、公害の防止及び自然環境の保全の見地から意見を述べることができます。県としては、関係市町村長の意見を聞き、環境保全の見地から事業者に対し意見を述べることとしております。
 これらの意見は、事業者の作成する環境影響評価書に反映され、再度縦覧されることとなっております。このような手続を通じ、環境アセスメント制度を適正に運用してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、お答えをいただいたわけですけれども、大体、予想はできておりました。
 特に、今住民の皆さんたちが非常に問題にしていること、なぜ反対運動が起きているかという問題、とりわけこの事前協議制が本当に効果的に今働いているのかどうかという問題について、届け出のときの開発同意書はだれのものが必要なのかということと、事前協議申請のときにはだれの同意書が必要なのかということをもう一回お答えください。
 それから、今、最初の届け出のときに、地域振興の四項目に該当し地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画のみを受け付けるというふうになっているわけですけれども、問題はこの「地域住民が積極的に要望している計画」について、その周辺住民の皆さんたちの意見をどうくみ上げられているのか、どう反映された形での積極的要望なのか、このことについてお答えください。また、「地域振興」とおっしゃいますけれども、具体的に中身は何なのか、もう一回お答えください。
 それから、資料を公開すると無用に混乱を招くというふうにおっしゃいました。企業の秘密云々ということはあると思います。しかし、住民側にとっては何も混乱は起こらないわけです。一体どんな混乱が起こると判断をされているのか、お答え願いたいと思います。
 住民合意のあり方ですけれども、私が先ほど申し上げましたように、住民合意とはその開発区域の周辺住民の同意だと。そして、単位自治会の総意のもとに、総会あるいは投票といったものが民主的に行われ、自治会長が代表として印鑑を押すんだと。これが住民合意だというふうに、今までも繰り返し建築課や林業課も答えてこられました。この点について、そうなのか、もう一回お答えいただきたいと思います。
 それで、特に県は、法律的な根拠はないけれども、後のトラブルが起こらないためにも住民合意をとるように業者に対して指導しているんだとおっしゃってきたわけですけれども、現実的には、先ほども申し上げましたように、海南の全日空のゴルフ場の場合は同意料という形での協定書が明らかに文章化されているわけです。一体、そういう形での同意のとり方が行政として本当にいいのかどうか。有功のフォレストシティでは同じような形で開発協力金、迷惑料として二億円が支払われてきているということですけれども、そういった住民合意のとり方が本当にいいのかどうかという問題をお答えいただきたいと思います。
 それから、駆け込み申請──担当者の皆さんたちは駆け込み申請ではないとおっしゃっているわけですけれども、六月十日のあの厳しい林地開発の改正によって、どのゴルフ場でも実際に今までの土量でできないという判断のもと、何としても旧法でつくらなければならないという状態の中で、二十二にも及ぶゴルフ場の駆け込み申請が行われているわけです。こういったところから見てみますと、この受付のときに、法的にも住民合意の面でも本当に正しく、事前協議のときに指導されたものがクリアされて出されたのかどうか。
 美里の真国ゴルフなんていうのは、五月二十五日に事前協議の意見書が出されて、十八日後にはもう申請が出ているわけですからね。これは、里道など未解決の問題がいっぱい残されたまま申請をされている。ましてや地域の地権者の同意も、水利権者や漁業組合の皆さんたちの同意すらとれていない、そういうゴルフ場もあるわけです。
 こういった状態のままで行政が受付をし、許可には一定の期間が要るでしょうけれども、もしその許可を出すとするならば、本当にその限られた法律を守っているのかどうか。実際的には六月十一日以降これはだめになるわけですから。そういった問題から見てみると、この開発許可申請というものは本当に法的なものが守られたものだったのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
 まず、以上の点について。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えをいたします。
 第一点は届け出書にだれのものが必要なのかということ、それから第二点は地域住民が積極的に要望していること、あわせてお答えをさせていただきます。
 ゴルフ場計画が地域振興に資するということで地元の市町村及び地域住民が積極的に要望をしているかどうかを、届け出書の場合の判断基準といたしてございます。こうしたことから、地元市町村としては、その首長である市町村長、また地域住民としては地域を代表する、例えば区長であるとか自治会長等からの推進要望を判断基準といたしておるところでございます。
 それから地域振興に関するご質問でございますが、ゴルフ場の開発は、スポーツ振興はもとより雇用の拡大、地域産業の振興、市町村財政への貢献等が見込まれているところでございます。
 しかしながら、無秩序な開発を抑制するために、本県の重要施策である過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策等、地域振興に資するものに限って受理をいたしておるところでございます。
 最後に、無用の混乱のご質問でございます。
 届け出の段階では構想・計画の段階でございまして、確定したものではございませんので、無用の混乱を招くおそれがあると判断をいたしてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 再質問にお答えをいたします。
 まず事前協議制の同意の関係でございますが、先ほどお答えを申し上げましたように、開発直下の自治会、そして関係団体の同意を得るように強く指導しておるところでございます。
 また、特に住民合意の問題につきましては、開発あるいは許可の際に住民とのトラブルを避けて開発がスムーズにいくよう、住民の理解を得るよう、これも強く指導してございます。
 次に、同意に関する取り扱いの問題で金銭等のお話がございました。同意の取得方法については種々論議もあり難しい問題でございますが、地元との話し合いを進めてもらうよう開発事業者に対して指導しておるところでございます。
 次に、駆け込み申請というふうに思われるということでございますけれども、ゴルフ場の計画というのは大変長期にわたって計画がなされており、私どもの判断といたしましては、短期間に事前協議、そしてすぐ申請ということはあり得ないという判断をしてございます。また申請に際しましては、法的な要件がクリアをされておりますので、県としては受理をいたしました。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 事前協議に際しましては、先ほど申し上げましたように、地元自治会、これは主にその当該区域及び隣接区域の地元自治会の同意を得るということで指導しております。さらに、単位自治会についてのお話もございました。連合自治会の同意という場合もございます。これも一般的には地元同意の一つの形であるとは考えております。具体的にはいろいろなケースがあろうかと思いますが、地元市町村の意見も聞きつつ、これに対処してまいりたいと考えております。
 それから同意料の問題でございますが、これは今ほど農林水産部長から答弁があったとおりと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 農林水産部長、あなたは今、駆け込み申請の部分で、駆け込み申請ではなさそうでありそうでというあれでしたけれども、この二十二のうち、期間を見てみますと──もちろん長いのもございます。一年半あるいは三年かけてじっくりとやってきたところもございます。しかし、実際に届け出の制度が変わった後、六十三年十二月一日からですか、ここを見てみますと、だんだん早くなっているんです。一番長いもので一年半。そして平成三年度に入ってきますと、もう軒並みに三カ月、二カ月、五カ月という状態なんです。
 あなたは長期にわたって事前協議のクリアのためにやっているというふうにおっしゃいますけれども、二カ月、三カ月で果たして住民とのコンセンサスとかそういうものが──とれているところもあると思います、確かに。しかし、今、この二十二のうちの十カ所は住民の反対運動が起こっているわけです。こういう状態を見てみますと、やっぱりこの住民への説明、それから先ほど浜本先生がおっしゃった、住民に対する誠意というか業者や行政側の指導のあり方というものが、実際にはこの地元の人たちの理解を得るような形ではないんです。
 だから、私があえて言っているのは、こういう六月十日を起点にした慌てた──あなたのところの指導というのは、書類は全部が全部そろわなくても構わないよ、見通しがあるならばその見通しもつけて書類を出しなさいと、こういうことになっているんでしょう。そこに大きな問題があると思っているんです。本当に事前協議に長い間かけてその地域のためにやるとするならば、本当にまじめに、そして住民の皆さんたちのこの思いや不安をどうやって解決していくのか、そういう企業の努力がないんです。
 あなたたちは、私たちが住民の皆さんたちと交渉するときには「強く指導いたします」と。確かにやっていただいているんです。だけども、それがなかなか、業者に伝わっているのか、伝わらないのか。それともやらないのか。ここのところを、開発業者のこの横暴さ、不誠意さを、もっともっとあなたたちが見きわめないといけないと思うんです。
 だから、私がるる言っているように、真国なんていうのはもうとんでもない話です。地権者の同意もないわ、水利組合の同意もないわ、里道の変更もないわ、そういった問題が全く未解決のままで出されている。町議会とか町長さんというのは、積極的に推進をするために同意書も意見書も書かれてきています。でも、最も被害をこうむる肝心の地元住民の皆さんたちの開発に対する気持ちが全く反映されないというのが今の事態です。農林水産部長や土木部長がおっしゃることは、余りにも白々しい答弁なんです。現地は大変なんです。
 だから、その問題をどう解決していくのか。そして事前協議のあり方が、本当にまともに業者に指導をされて、日常的にその問題をクリアするための努力がされているのかどうか。実際に、この事前協議のときにあなたたちは、「問題については速やかに解決をしなさい」とわざわざ書いているでしょう。だから、そういった問題が──それはそれで積極的な姿勢として受け取りますけれども──業者やあなたたちに対する不信感を生んでいるんです。申請のときにはそれはもうすべてクリアされて出てくると、住民はそういうふうに理解をするんです。
 だから、今あなたは事前協議で十分コンセンサスはとれていて申請がなされてきたものだというふうに答弁なさいましたけれども、これは私は納得できません。今、地元の問題を抱えている人たちというのは、あなたのおっしゃっているようなことでは事は済んでいないんですよ。この問題については、業者あるいは県の行政としての指導のあり方が問われると思います。その地域で本当にその開発をし発展させていくというふうに考えるならば、町づくりの観点、そして過疎対策の問題から見るならば、もっともっと住民の皆さんたちに積極的に声をかけていくと。
 あなた、今おっしゃいましたね。開発がスムーズにいくように地域住民の同意を得るんだと。「まず開発ありき」なんですよ、行政の考え方が。住民がその計画を聞いて、なるほどそれはいいことだなと本当に積極的に思うならば、こんな運動は起こっていないんですよ。さまざまな地域住民の思い、町づくりの問題についてもいろいろな意見をいっぱいお持ちでしょう。そういった問題を大事にするということ。このゴルフ場とかそれに複合する施設といったものの開発については、余りにも住民が無視されているということなんです。
 これは、事業者、企業だけの問題ではありません。地元の住民の皆さんたちも、ここに住みつきたいし、子や孫たちにもふるさととしてここに帰ってきてほしいと、こういう思いで今みんな一生懸命考えているんです。だから、おっかぶせるようなこういう巨大な開発というものについて、もっと行政の方で、住民の立場も考えて、ただ「地域活性化のため」と言うだけではなく本当にそうであるのかどうか、もっと真剣に考えていただきたいと思います。被害をこうむるその周辺住民の人たちの思いを、もっともっと酌み取っていただきたいというふうに思います。
 だから──もうこれ以上申しませんけれども、とにかく、今の住民運動が起こっているのは行政指導のあり方と業者の姿勢に大きな問題があるということをつけ加えて、発言を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十分休憩
 ──────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番中村隆行君。
 〔中村隆行君、登壇〕(拍手)
○中村隆行君 議員各位の温かいご厚情を賜り、質問の機会を与えていただきましたことに厚く感謝申し上げます。
 今回の質問が、私の県議会議場における最後の質問になります。
 昭和五十四年の初当選以来、長年にわたり浅学非才な私を励まし支え続けてきてくださいました、仮谷知事を初めとする行政の皆様方並びに県議会議員の皆様方、そして県議会壇上にお送りいただきました那賀郡の多くの皆様方に、この場をおかりいたしまして心から御礼を申し上げる次第でございます。
 「われ男の子 意気の子 名の子 つるぎの子 詩の子 恋の子 あゝもだえの子」、これは、ご承知のとおり与謝野鉄幹の歌であります。血気盛んでしかも悩み多き男子の心境をこれほどまでに端的に表現した短歌はほかに例がないと言われており、私の大変好きな歌の一つでございます。
 また、古代中国に「花に重ねて開く日あるも、人に再び少年なし」という言葉があります。花は春になれば再び美しく咲き誇るが、人間には若いとき、すなわち光り輝くときは二度とは訪れないということであります。
 生意気ではございますが、このような言葉から一つの決断をした現在の私の心境をお察しいただければ大変うれしく存じます。
 私が初当選させていただきました昭和五十四年は、一九七〇年代の終わりの年に当たり、大変な激動の年でありました。年明け早々にホメイニ師によりイラン革命が挙行されましたが、我が国への影響も大きく、国際石油資本が対日原油の供給削減を通告し、第二次石油危機に陥ったのであります。ガソリンスタンドの日曜祝日全面休業を実施するなど、「省エネ」という言葉が流行語になるほどでありました。アジア初の東京サミットがエネルギー問題に終始したのも、ご案内のとおりであります。
 国内でも、ダグラス・グラマン疑惑やKDD疑惑などが勃発し、十月の総選挙では自民党が過半数割れを起こすなど、大いに揺れ動いた年でありました。
 一方、県内では、新人の台頭が目立った県議選、本県の政界図を多党化時代に塗りかえたと言われる総選挙、さらには仮谷知事の圧勝に終わった知事選など、選挙に明け暮れました。
 春の統一地方選で初当選を果たしましたが、議員バッジを初めて胸につけたときの喜びと責任の重大さに強く胸に感じた思いは、一生涯忘れることができないのであります。
 もう一つ、私たち和歌山県民にとりまして忘れることのできない、うれしい出来事がありました。箕島高校が甲子園で春夏連覇し、さらに住友金属和歌山製鉄所が社会人選手権で優勝し、この年、本県の野球界は甲子園球場を舞台にして名声を国内にとどろかせたのであります。春、夏、秋の甲子園制覇は史上初めてのことで、春の紫紺、夏の真紅、秋のダイヤモンド旗と、三本の優勝旗が紀州路に勢ぞろいし、私たち県民は得意満面でありました。とりわけ、奇跡の同点ホームランで有名になりました夏の箕島─星稜戦は、私たちに何かを教えてくれるほどの試合でありました。また、全国議員野球全国制覇など、さまざまなことがついきのうのように思い出されます。
 初当選以来、私は常々、那賀地方の活性化はいかにすべきかを考えてまいりました。特に、関西国際空港の開港をその千載一遇のチャンスと受けとめ、開港のインパクトをどのようにすれば那賀地方に引き込むことができるか、さまざまな角度から検討を続け、本議場において質問をしてまいりました。泉佐野打田線の拡幅の問題、泉佐野岩出線の大阪府との連携強化の問題など、府県間道路の重要性を訴えるとともに、那賀地方と空港間のバス運行の必要性を主張してまいりました。
 その他の交通網整備の問題といたしましては、竹房橋のかけかえ、通称「紀の川右岸道路」の整備、国道二十四号線和歌山バイパスの岩出からの着工、川辺橋を中心とした道路整備、京奈和道路の早期完成などについてもお話をさせていただきました。
 さらに、JR阪和線の山中渓と紀伊駅の間にパーク・アンド・ライド方式の新しい駅を設置する構想は、本議場での初質問でありました。昭和五十五年二月議会で提案させていただいて以来、私の考え方を展開してまいったところでございます。
 また、フライト農業や地場産業の育成、農業地域への企業誘致等の重要性も訴えてまいりました。教育振興の観点からも、那賀高校実習地の有効利用の問題などについても主張してまいりました。
 岩出町を中心とした那賀地方の活性化につきましては、今後とも全力を傾けて努力していきたいと決心しているところであります。
 我が国を代表する仏教哲学者であり禅などの東洋思想を西洋に広めたことで知られております鈴木大拙先生は、あるとき弟子に偉い人と凡人の違いについて問われ、こう答えたそうであります。「真っ黒になって黙々と朝から晩まで働き、時節が来れば『さよなら』で消えていく。このような人を『偉い人』と自分は言いたい」と。一個の正直な人間となって信用のできる者となれというのが先生の信念であったとのことでございます。私も、残された人生を目標に向かって、真っ黒になって黙々と精いっぱい力を尽くす所存であります。皆様方のお支えを切にお願いする次第でございます。
 さて、質問に移りたいと思います。
 間近に控えた関西国際空港の開港とともに歩む那賀地方の基盤整備等の進捗状況について、お伺いいたします。
 多極分散型国土の形成を基本方向とした第四次全国総合開発計画が昭和六十二年にスタートし、また機を同じくして、東京一極集中是正のキーを握るとも考えられる関西国際空港の第一期計画の建設が、平成六年夏の完成を目指して着手されたわけであります。
 この国家的プロジェクトである関西国際空港の建設を核として、今、関西圏では四十兆円もの規模でさまざまなプロジェクトが大阪湾ベイエリアを中心に展開されております。こうした状況のもと、関西国際空港の至近距離に位置する本県におきましても、空港のインパクトを最大限に生かした諸施策を県市町村挙げて積極的に展開されているところであります。
 私も、県議会議員の一人といたしまして、機会あるごとに県内を歩き、肌で感じていますことは、我が郷土・和歌山県は、これまで半島であるがゆえに国土軸から離れた外的要因から、高度成長期でありました昭和四十年代から五十年代にかけては、北部臨海地域を除き、全国レベルから見れば一部の地域産業が小さく成長したにすぎません。
 こうしたことから、「道の仮谷」とも言われるほど、知事におかれましては、道路網の整備を中心に県勢発展のために懸命のご努力をなされたわけであります。その結果、私が初めて県議会議員に当選させていただいた昭和五十四年当時と比較いたしまして、比べ物にならないほどよくなりました。心より敬意を表するものであります。
 さて、間もなく世界に二十四時間開かれたスーパーハブ空港・関西国際空港が開港されます。この関西国際空港の開港をターゲットにした本県の主要プロジェクトが今、県内各地でつち音を立て、急ピッチでその工事が進められております。
 その中におきまして、ここで我がふるさと那賀郡に目を向けますと、近年、松下電池工業が操業開始されたのを初め、数多くの先端技術産業の県外企業が進出しているほか、和泉かつらぎ研究学園構想の核とも言える近畿大学生物理工学部の建設が、平成五年四月の開設を目指して順調に工事が進められております。また、先端技術産業のさらなる誘致を図るための産業用地の受け皿として、北勢田工業団地の造成が完了したのを初め、当地域におきましては紀の川臨空都市の拠点としての条件が着々と整いつつあります。
 一方、当地域は、超付加価値産業、科学技術、研究施設の立地とともに、県都和歌山市に隣接しているという立地条件もありまして、ベッドタウン化が進み、人口減少が続いている県内においては唯一、人口が急増している地域であります。それに加えまして、近年における社会的傾向である持ち家志向の高まりから、関西国際空港、大阪都心部の一時間以内の通勤圏に位置するという好条件もあり、増加人口の五〇%が大阪からの転入者というほど、その増加は目をみはるものがございます。
 以上、申し上げましたように、和歌山県勢のさらなる発展を握っていると言っても過言でない那賀地方の基盤整備の進捗状況並びに今後の見通しについて、お尋ねいたします。
 まず土木部長には、関西国際空港とのアクセス等の交通機関の整備、国際化、高度情報化に対応した都市基盤、都市環境の観点から、また高等教育・研究機関の充実、新たな先端技術産業の導入、既存の地域産業の高度化を進める観点からの条件整備とも言える基盤整備関連のうち、主要な事業についてお伺いいたします。
 一つは、府県間道路である泉佐野岩出線及び泉佐野打田線、また泉大津粉河線については、国道昇格されたことによりその進捗が促進されるのかという点もあわせてご答弁願います。
 二つ目は、和歌山市へのバイパス道路である国道二十四号和歌山バイパスと平成二年十一月に基本計画が決定された関西大環状軸、さらには第二国土軸の軸上に位置する京奈和自動車道紀北道路の現状と工事着工時期、完成予定時期をお伺いいたします。
 三つ目は、人口急増地域にとって緊急を要する事業である紀の川流域下水道の那賀処理区についてはまだその進展が目に見えてきておりませんので、その建設の着手の時期、規模、課題点などをあわせてご答弁願います。
 四点目は、和歌山地方生活圏の活性化を図るため、岩出・打田両町にまたがって策定した南麓サイエンスパーク整備計画の中の基盤施設の一つである関連河川の整備状況と今後の取り組み方針についてご答弁願います。
 次に、関西国際空港の立地により、今、泉南地域は人口が急増し、阪南町が市に昇格するなど、まさに日本の空の離発着基地として人、物の集積が急速に進んでおります。こうしたインパクトを含んだ、すなわち臨空型の農業の育成等による産業基盤関連、特に広域農道について知事にお伺いいたします。
 一つは、広域営農団地農道、紀の川右岸地区であります。地元住民の待望久しかったこの農道は、平成四年度末には橋本市から岩出町までの全線が開通するとのことでございますが、特に根来地区では現在でもその工事が進められておりますが、果たして平成四年度末には全線開通できるのか、お伺いいたします。
 二つ目は、現在、橋本市からかつらぎ町まで採択されている紀の川左岸道路について、平成四年度は用地買収、測量設計に取り組まれていると聞いております。今後、この左岸道路が那賀地方まで延伸される見通しはどうなのか、あわせてお伺いいたします。
 以上、関西国際空港の最もインパクトを受ける那賀地方が昭和六十二年三月にSTEPP計画として建設大臣からも認定を受け、公共事業の重点地域として大きな期待をかけられており、今や総仕上げの時期を迎えているという現在の情勢を踏まえて、ご答弁をお願いいたします。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト構想についてお尋ねいたします。
 和歌山の母なる川である紀の川は、紀伊半島と京阪神大都市圏を結ぶ地域を流れ、紀北県民の飲料水の供給を一手に担っており、まさに「水のないところには町は栄えず」と言われるほど、多大の貢献を果たし、その存在は今後ますます増していくものと思われます。
 また、河川は、私の幼い時代には単なる子供の川遊び、魚釣りの場としての存在でありましたが、近年においては、国民の余暇時間の増大に伴い、子供から老人まで、国民すべての憩いの場として大きく脚光を浴びているところでございます。
 こうした国民のライフスタイルの移り変わりから、自然を求める志向が高まり、「ウオーターフロント」「リバーサイドフロント」という言葉で呼ばれておりますが、自然に満ちた水に親しめる河川の環境整備が大都市またはその周辺において重点的に進められております。
 このような折、本県において昨年十月に公表されました紀の川リバーサイドグリーンベルト構想は、実にタイムリーなニュースでございました。この構想が実現されれば、本県の県民、市民のみならず京阪神都市住民のオアシスとして注目を浴びることと思われます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 一つは、この構想に対する今後の取り組みであります。
 二つ目は、岩出町においても町民の憩いの場として既に岩出橋の下流域に大宮緑地の整備を進めておりますが、この構想の整備と一体的に進めていく必要性から、今後、ぜひ、岩出町もその一員として参加させていただきたいと存じます。
 以上、二点のご答弁をお願いいたします。
 次に、那賀郡を含む紀北地域の観光振興についてお尋ねいたします。
 紀北地域はのどかな田園地帯でありますが、最近は近代的な地域として発展しつつあります。名刹根来寺や粉河寺、また有吉佐和子さんの小説で有名な華岡青洲や旧名手本陣など、古くから歴史、文化にあふれており、最近では、若者に人気があるパラグライダーやハングライダーの最高のポイントとして人気を博しております。また、豊かな自然を背景として、春には桜、桃が満開となり、夏にはイチゴ狩り、ホタル、屋形船、そして葛城高原や植物公園緑花センターなどには、四季折々、大勢のハイキング客が訪れております。このように、那賀郡内の各町は観光資源に恵まれ、観光振興に努力しているわけでございます。
 関西国際空港が二十四時間世界に開かれた空港として開港したその暁には、県内で一番近い那賀郡に、世界の国から、そして日本じゅうからたくさんの観光客が訪れることを思いめぐらすとき、和歌山県の飛躍発展もいよいよこれからだなと、胸躍る気がいたします。また、当地域は、東に霊峰高野山、西には紀州徳川家のおひざ元の和歌山市が控え、そして平成六年には世界リゾート博が開催されます。これらを初めとして、かつての大和街道にはさまざまな歴史、文化が数多く残っております。
 一方、今日の観光客のニーズは変化に富んできており、受け入れ側としては個人の多種多様な要求にこたえる観光基地づくりが必要となっております。また、世界のさまざまな国の人々は、その人々が最も興味を持つテーマのもとに、日本の歴史、文化、生活を求めて観光に来るわけで、現在のように市町村が個別に観光振興を図っていてはとても対応できないのではないでしょうか。
 ここでお尋ねしたいのは、紀の川沿線のそれぞれの個性ある観光資源や施設を積極的に活用し、京阪神はもとより、全国からたくさんの観光客を受け入れるため、那賀郡を初め和歌山市や伊都郡が手を取り合って広域的な観光に取り組む必要があるのではないでしょうか。商工労働部長にご所見をお伺いしたいと思います。
 次に、福祉対策について民生部長にお尋ねします。
 私は、障害者福祉行政推進の四十年余の歴史の中で、障害者福祉の理念を社会全体に定着させるとともに飛躍的な施策の充実をもたらしたのは、昭和五十六年の国際障害者年を契機とし、昭和五十七年にスタートした国連・障害者の十年での取り組みによるものであると確信いたします。
 本県におきましても、昭和五十七年に障害者にかかる和歌山県長期行動計画を策定するとともに、障害者対策推進本部を設置し、総合的かつ体系的な推進体制のもとに全県民的な取り組みが実施されてきたところであります。
 こうした全国民とも言うべき規模で取り組んでまいりました国連・障害者の十年も、いよいよ最終年に入りましたが、県を初め市町村並びに関係機関等のご努力によって積み重ねてこられた障害者福祉がこの十年の終了とともに後退するのではないかという心配が、障害者団体等を初め多くの県民の間に起こっております。しかも、障害者の現状は、身体障害者数、精神薄弱者数ともに十年前に比べると増加しており、厳しいものがあると聞いております。
 幸い、仮谷知事はこの十年の終了後における対応について、さきの県議会において「国連・障害者の十年の最終年を迎えるに当たり、十年間の実績を点検し、評価を行い、課題を明らかにし、さらにきめの細かい施策の充実を図る」と述べられるとともに、新しい指針については国の動向を見ながら検討するという、障害者福祉の充実に向けた決意の旨の答弁がなされたところであります。
 国際障害者年に関する特別委員会においても、昨年十二月に第二の障害者の十年の決議を行っているところであります。私もまた、施策の充実を図る上においても第二の障害者の十年の設定を強く求めるものでありますが、国の動向が今最も気がかりなところであります。
 そこで質問でございますが、国に対して第二の障害者の十年の設定の取り組みを強く働きかけていただくようお願いするとともに、現在の状況をどのように把握されているのか、お答え願います。
 次に、高齢者対策について申し上げます。
 私の住む岩出町は、高齢化の進む和歌山県の市町村の中では唯一、全国平均より高齢化率が低い町であります。若い活力がみなぎろうとしています。
 しかし、今、岩出町に住んでいる若い方々も、いずれは老後を迎えます。したがって、健やかで生きがいに満ちた老後生活が保障されていることが、さらに若い人たちの定着を促し、町の活性化を促すものと考えております。
 県の本年度の高齢者対策予算は実質で対前年度比二三%増の八十四億六千五百二十一万六千円であり、これを担当課では「末広がり、よき老後に人群がる」とごろ合わせしているように伺っております。まさに、安心のできる、心配のない老後生活が保障されていることが結局は人の集積を招き、町や県全体の活性化につながるということであろうと考えます。
 岩出町では、特別養護老人ホーム偕楽園が拠点施設となって、入所者のお世話はもとよりでありますが、町の事業としてデイ・サービス事業、ショートステイ事業、あらゆる介護相談窓口となる在宅介護支援センター事業を進めており、広く岩出町全体の皆様方に開かれた施設として、住民に頼りにされ、喜ばれております。今後は、このような高齢者サービスのネットワークを県下全体に広げていくことが課題であると思います。
 そこで質問でございますが、全国より高齢化の進む本県において、今後の高齢者サービスをどのようなビジョンのもとに進められるのか、また長寿社会に向けて県民全般の啓発のための県民憲章の制定なども必要かと思いますが、いかがでしょうか。民生部長の答弁をお願いいたします。
 以上で私の質問のすべてを終わらせていただきますが、四期十三年を超える議員生活を本当に充実して送らせていただきましたことを思い返しますと、万感胸に迫る思いがいたします。これも、ひとえに仮谷県知事初め県議会議員諸先輩の方々、県民の方々の温かいご支援があったればこそでございます。この機会をおかりいたしまして、重ねて厚く御礼申し上げます。
 それでは、私にはまだ議員としての責務も残っていますが、人には宿命、使命というものがございます。和歌山県をさらに住みよく、また豊かにしていくという政治姿勢はこれからもさらに強く持ち続けたいと思っておりますし、地域の発展のために身を賭して頑張る所存でございます。
 どうか、これからもお力添えをいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの中村隆行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま、中村隆行議員から、県会議員としての最後だと、決意の表明をされたわけでございます。
 また、初当選以来、往時を振り返っての数々の思い出を語られました。私も話を承りながら、いろいろお世話になりました点、県政のためにご努力いただいた点、走馬灯のごとく浮かんでくるわけでございまして、本当に心から感謝申し上げます。
 今後とも、ますます体に留意されて、県勢発展のためにも、分野は違っても活躍されますよう、ご指導いただきますよう、心からお願い申し上げる次第でございます。
 答弁に移らせていただきます。
 広域農道の問題でございますけれども、中村議員を初め県会議員の皆さんのご協力により右岸道路は順調に進んでおりまして、話ございましたように、本年度中に全線が開通する見通しとなっておるわけでございます。
 また、左岸の道路につきましては、伊都地域では十八キロのうち十一キロは事業が平成三年から採択され、現在、用地買収を進めておるわけでございまして、残りの七キロにつきましては、ことしの六月に国に対して強く事業採択を要望したところでございます。
 話ございました那賀地方への延伸につきましては、紀の川の両岸の農業振興、生活向上を図る上からも必要でございまして、現在、県単独の調査費をつけさせていただいて調査を進めておるわけでございますけれども、関係の皆さんのご協力を得、また関係機関等の協力も得て進めてまいりたいと思っております。
 それから、紀の川リバーサイドグリーンベルト構想でございますけれども、紀の川大堰の建設等によりまして、高水敷が整備されることを契機に河口部から岩出橋までの約十六キロメートルの区間に公園整備を図ってまいります。
 紀の川下流部における不法占用対策を建設省、市ともどもより一層強力に進めるとともに、本年度から堤外民地の買収、公園整備の基本計画調査に着手することとなっておるわけでございまして、計画策定に当たりましては県民の皆さんのご意見を反映させながら進めてまいりたいと思っております。
 ご要望のございました岩出橋の下流流域につきましては、既存の施設、また岩出町の公園整備計画との整合性ということが緊要なことでございますので、そうした点につきまして十分な配慮を重ねてまいりたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 那賀地方の基盤整備の進捗状況についてお答えを申し上げます。
 一点目の府県間道路につきましては、紀の川利水に関する協定書などに基づき、両府県において整備を進めているところでございます。
 泉佐野岩出線につきましては、両府県において四車線の都市計画決定を行い、県内では根来工区を中心に用地買収を進めております。また、大阪府においてはバイパスとなる都市計画道路泉南岩出線及び樽井男里線の整備が進められ、空港開港までに暫定的に二車線の概成が図られると聞いております。
 次に泉佐野打田線につきましては、両府県とも改良工事は概成をしており、現在、府県境部においてお互いに計画の調整を図りながらさらに線形改良事業等に取り組んでいるところであります。
 泉大津粉河線につきましては、現在、府県境部のトンネルの基礎調査を進めておりますが、今後とも、県管理一般国道の整備を促進するための補助金等の枠の拡大について努力をしてまいります。
 二点目の国道二十四号和歌山バイパスにつきましては、現在までに全長十・三キロのうち和歌山市川永から田屋間の約三・七キロが供用されております。残りの区間につきましては、一部用地の未買収はございますが、平成四年度末供用を目途に鋭意工事が進められております。
 京奈和自動車道紀北道路につきましては、現在、整備計画の策定に必要な諸調査が国により進められております。平成三年四月には関係二市十町一村により京奈和自動車道建設促進協議会が設立され、事業化に向けて支援体制も整ったところでございます。県としましても、促進協議会等のご協力を得ながら、整備計画決定を早期に実現するよう、国等、関係機関へ強く要望をしてまいります。
 次に紀の川流域下水道那賀処理区でございますが、紀の川流域全体の三市十二町の下水道整備計画につきまして、昭和五十九年に定められた紀の川流域別下水道整備総合計画の見直しを現在行っております。この上位計画に基づきまして、本年度から那賀郡内の下水道整備基本計画の策定に着手をすることにしております。今後、関係町と連携を図りながら、平成五年度には地元説明を行い、那賀処理区として都市計画決定等の法手続を進める予定にしております。引き続き、早期に事業着手すべく取り組んでまいりたいと考えております。
 次に南麓サイエンスパーク整備計画の関連河川でございますが、関連河川といたしましては、春日川、根来川、住吉川を初め、支川を含めて七河川がございます。春日川につきましては、昭和五十九年度から補助事業として県道打田岩出線の岡田橋からJR和歌山線までを概成しており、現在、その上流区間の用地取得の促進を図っているところであります。今後は、JR橋梁の改築等、事業の促進を図ってまいります。
 根来川につきましては、平成二年度から調査設計を行っております。引き続いて、今年度より県単独事業で用地買収に着手することとしており、地元関係者の協力を得ながら事業の促進を図ってまいります。なお、支川の山田川につきましては河川事業で、根来寺周辺の菩提川、大谷川につきましては、砂防事業で完了をしております。
 住吉川につきましては、改修計画を立案したところであり、地元関係者の理解と協力を得、事業化に向けて努力をしてまいります。
 その他の関連河川につきましても、早期改修に向け、事業の促進を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 中村議員にお答えいたします。
 今日の観光客の動向や志向を考えますと、観光の振興は一市町村だけではなく広域的に進めることが効果的であり、重要なことと認識をしてございます。
 議員ご指摘のとおりに、紀北地域は和歌浦を初め根来寺、粉河寺、高野山など、歴史的文化遺産が数多く残されてございます。こうした地域には、京阪神を初め、県外から四季を通じて多くの観光客の皆さん方が訪れてございます。
 とりわけ、平成六年夏に開港されます関西国際空港、それに合わせて開催されます世界リゾート博によりまして、今後ますます県外からの観光客の増加が見込まれます。
 このような状況の中で、紀北地域の和歌山市、橋本市、那賀郡、伊都郡の二市十町一村が一体となりまして今後観光振興に取り組んでいこうと、昨年十一月に紀の川みち広域観光連絡協議会が設立されたわけでございます。この協議会の設立によりまして、今後、紀北地域の効果的な観光客の誘致が図られるものと期待をいたしてございます。
 それだけに、県といたしましても、当協議会の今後の取り組みに対して積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 中村議員にお答えをいたします。
 まず、障害者対策でございます。
 国連・障害者の十年終了後における第二の障害者の十年の設定についてでございますが、十二月定例県議会において知事からお答えいたしましたとおり、「完全参加と平等」の理念の実現を目指して取り組んでまいりましたこの十年は、議員ご意見のとおり、障害者福祉の増進に極めて大きな意義があったと認識いたしております。
 とりわけ、近年、障害者が増加傾向にあり、そのニーズも多様化する中で、国連・障害者の十年終了後においても、長期的展望に立ったきめ細かい障害者対策の充実が必要であると痛感しているところであり、去る六月十九日に行った平成五年度政府予算に対する要望において、障害者対策の長期的な取り組みの推進について厚生省に対して要望いたしましたが、その実現に向け、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 また国においても、長期的な取り組みの必要性の認識に立って、厚生省に設置している中央心身障害者対策協議会の五つの部会において、今後の障害者対策等について年内を目途に意見具申を行えるよう精力的に審議が行われていると聞き及んでいるところであり、この意見具申を踏まえ、国連の動き等を勘案しながら決定されるものと考えてございます。
 なお、去る四月二十三日、北京において開催されました国連アジア太平洋経済社会委員会において「アジア・太平洋障害者の十年」が決議されたところであり、国連本部並びに我が国における第二の障害者の十年の設定に大きな弾みがかかるものと期待をいたしております。
 次に、高齢者対策についてお答えをいたします。
 高齢者対策に関してでございますが、高齢化の進む本県においては高齢者対策は県政の重要課題であり、鋭意その推進に努めているところでございます。
 議員ご指摘の高齢者サービスのネットワークづくりにつきましては、国のゴールドプランを上回る水準を目標とした喜の国長寿保健福祉プランに沿って、在宅福祉サービス、高齢者施設の整備の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、この目標を着実に実現するために、現在、全国に先駆けて県及び県下市町村において、老人保健福祉計画の策定を進めているところでございます。また、これからの人生八十年時代の長寿社会を県民のだれもが長寿を喜び合える明るく活力に満ちた社会にしていくため、県民一人一人の意識の高揚が重要であると考えております。
 このため、議員ご指摘の県民憲章の制定について、本年から実施することとなりました喜の国いきいきキャンペーン事業の一環として取り組むことといたしてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) 以上で、中村隆行君の質問が終了いたしました。
○副議長(平越孝哉君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○副議長(平越孝哉君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○副議長(平越孝哉君) 次に、お諮りいたします。明二日及び三日は常任委員会審査のため、また四日は議事の都合により、休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、七月二日から四日までは休会とすることに決定をいたしました。
○副議長(平越孝哉君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
 ───────────────────
 総務委員会 第 一 委 員 会 室
 厚生委員会 第 二 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
 建設委員会 第 五 委 員 会 室
 文教委員会 第 六 委 員 会 室
 ───────────────────
○副議長(平越孝哉君) 次会は、七月六日再開いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十三分散会

このページの先頭へ