平成4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、通告に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、平和のために自治体行政は何かをしなければならないのではないか、何かすることができるのではないか、そういうテーマで質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
 実は、この問題は、昨年の九月議会でも非核宣言の提案ということで取り上げさせていただいたテーマでございます。そのとき私は、おおむね次のように述べさせていただきました。
 戦争の記憶が、今は随分と風化してきているのではないだろうか。特に若い世代、子供たちの世代には、それが著しい傾向になっているのではなかろうか。しかし、現在の世上は必ずしも安閑とした時代でもないし、地球的な視野で見ればきな臭い現実があちらこちらに起こっている。日本はおかげで現在は平和だけれども、必ずしも未来永劫にそれが保障されているというわけではなかろう。また、現在の平和憲法と平和を求める人々、あるいは戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないと誓った人々の深い思いが現在の平和を支えていたと思う。だとするならば、先人、並びに現在に生きる我々が、今日までの平和を支えてきた根源的な力、平和憲法の遵守と日本国民が戦争のために再び銃を持たないという思いを、可能な努力を払いながら来るべき若い世代に継承していくべきではなかろうか。そして、そのために県行政が何らかの行政措置を講ずることが必要ではなかろうか。大体、以上のような要旨でお尋ねをしたところでございます。
 それに対して知事は、ご記憶あろうかと思いますが、概略、次のように答弁をされた次第です。
 いろいろな提言があったけれども、県議会初め県民各層の幅広い議論がなされて、そうした議論の盛り上がりを踏まえることが大切だ、また、平和というものは口で言うことは易しいことだけれども、口だけではだめなんだ、いかに平和を維持するかという方法論が一番問題なんだ、その問題を真剣に考えておくことが大切だ、過去の戦争の経過から見ても、ただ口で平和を言うだけではだめだ、口で言うだけでは簡単に平和は来ない、こういうふうに答弁をされたわけです。
 私は、この答弁のある部分については賛同するところもありました。しかし、その大部分については不満を感じておりました。残念ながら時間切れでございまして、再々質問をするわけにいかなかったわけでございます。昨今、国会でPKO法案の問題なども相当論議をされました。あるいはまた、それを通じて平和ということについて国民としてしっかり考えなければならないような機運も起こってまいったところであろうかと思い、再びこの問題を取り上げさせていただくことにしたわけでございます。
 前回の知事答弁の中に、県民の深い議論の盛り上がりが必要だというお話がございました。私は、そのとおりだと思います。県民の幅広い議論があってこそ、平和を自覚していこう、平和を維持していこうということがそれぞれに高まってくるのだと思いますけれども、私はそれを待つのではなくて、そういう機運を大きく盛り上げていくために積極的なイニシアを知事が発揮されるべきではなかろうかと思うわけです。そして、五十の地方公共団体のうち既に三十二の市町村が非核自治体宣言あるいは平和と非核の宣言を発して、たとえささやかであっても何らかの形で平和を維持していくために、ともに決意を新たにしていこうではないかという運動をされている現在であります。だから、今、改めて県民の広い議論を待つという、そしてそれを待ってから何かを起こそうというのではなくて、そういう運動が既に高まっているわけですから、それに積極的にこたえ、さらにそれを大きくしていこうとされるのが知事の務めではなかろうかと思うわけです。
 あるいはまた、平和は口で言うだけではだめだ、口で言うのは易しいが大切なのは方法論だと、こう知事はおっしゃいました。確かに、それもそのとおりであります。しかし私は、大切な方法論の前にその方法論を生み出していく、平和を切実に願う気持ちをもっと涵養していくことが重要ではなかろうかと思うわけです。そういう切なる気持ちの上に立ってこそ、適正な方法論も生まれてくるのではなかろうかと考えるわけです。そういう点では、方法論が大事だから今、平和を涵養するような自治体行政はもうちょっと考えなければならないというような論議ではおかしいのではなかろうかと思うわけです。
 あるいはまた、口で言うだけではだめなんだ、こういうふうにおっしゃられましたけれども、まさに口で言うだけではだめだから、それこそ行為が必要なわけです。自治体がなせることというのは、平和を守っていこう、憲法を大切にしていこう、そういうふうに思う県民の心をはぐくんでいく、そういう行為こそ求められているのではないでしょうか。知事は前回の答弁の中でも、国民的な行為こそが今の平和を守ってきた力だ、県民一人一人の力が今の平和を維持していく上で大きな力になっているんだということもおっしゃられたわけでございます。したがって、そういう立場で、今、この和歌山県が非核宣言を発するなり、あるいはたとえそういう形ではなくても、お互いが平和憲法を守って決して戦争の惨禍を忘れない、二度と銃は持たないんだという誓いを新たに次の世代に継承していく、何らかの形でそういう行政があってもしかるべきではないかと思うわけでございます。そういう点で、知事は現在いかがお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと思います。
 続きまして、環境保全について幾つかお尋ねをいたします。
 地球環境サミットというのが開かれまして、昨今のマスコミには環境問題が報じられていない日はないといったような現状でございます。地球環境を守っていくために、国民あるいは県民一人一人がみずからの対応を考えていかなければならない、そういう時代になっているのだと思います。もちろん、現在の地球環境の破壊は、毎日の生活を営んでいる個人の責任が主なものではないと思います。それは、乱開発や化学物質の無制限な放出をする企業、それを許した国の姿勢、あるいはさまざまな公害物質の放出をそのままに許してきた環境、そういうのが今の地球環境の危機を生み出してきた実態であろうかと思います。
 しかし、私はきょう、そういうような企業責任、あるいは国の責任、行政責任についてお尋ねするつもりはございません。県民一人一人が地球を大切にしていこう、私たちの住む環境を大事にしていこう、自分たちのふるさとを美しく守っていこう、こういう気持ちをどうこれから育てていくのか。地球サミットを契機として環境保全の声が大きく高まっているときに、お互いにそういう自覚を高め、それをさらに一層促していく、そういう行政が今必要なのではなかろうかと思うわけでございます。
 スプレーを振るとフロンが出る、てんぷらを揚げると廃油ができる、そういうことはみんな知っていて、多くの方々はこれは何らかの害があるだろうと思ってはいても、そうしたらどうしたらいいのか、どうしようかというところまではなかなかいかないのが現実であります。生活をすれば、必ず廃棄物は出てまいります。その廃棄物の処理に対して、個人が責任を持てないことも多々あります。多くの問題について行政はこたえておられますけれども、また多くの問題にこたえられていないという現実もあるわけであります。そういうときに、県民一人一人が地球環境を大切にする、自分たちの環境を大切にするという自覚を大きく持っていくかどうか、これは今後大きな問題になってくるのではないかと思います。
 そういう思いで県行政がどんなことをされているのかを振り返ってみたら、私は随分勉強させられました。立派な冊子などもつくっておられて、多くの方々に配布されておるそうです。あるいは、小学生には副読本をつくって学ばせているようです。また、ことしに入って中学生に対しても副読本をつくって配られた。先日、その副読本類あるいは家庭対象につくられた冊子を読ませていただきました。なかなかいいことが書いてあって、私自身、反省させられる点もございました。あるいは、川を汚してはいけないということで講習会が持たれ、多くの方々がそれに参加されている。随分と努力されていることに気がつきました。関係各位に対して敬意を表したいと思うわけであります。
 しかし同時に、一つの物足りなさも感じました。それは、スケールの小ささ、系統性をどこまで持つかという問題です。
 例えば、川を汚さないでおこうという講習会をある河川の流域で行います。ことしそれが行われたら、次にそこでやられるのはいつの日になるだろうか。恐らく、十数年待たなければならないのではないかと思います。来年はどこかの河川、その次の年はまたどこかの河川ということで転々としてまいります。そこでは系統性がなく、せっかく環境保護のために与えられた経験なり知識が忘れ去られていく、あるいはまた半減していくような事態にもあるわけです。
 社会人対象に、きれいな冊子が配られています。非常にいい冊子です。ところが、これがどれだけ発行されているかというと、一万数千部だそうです。三十五万の世帯があるわけです。それの微々たる対象にしか出されていない。これでは十分の効果を上げられない。私だけがやってもという意識はどこかで残るわけです。県民総ぐるみというような運動にしていくことが大事ではなかろうかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
 みそ汁一杯を流すと、ふろおけに五杯の水がないと魚がすめないそうです。米のとぎ汁を流しますと、ふろおけに六、七杯の水がないと魚がすめない。ビールをコップ一杯流しますと十数杯の水がないとだめだと、こういうこともその冊子で教えられました。以来私は、ビールは一滴も残さずに飲み干すことにしているわけですが、てんぷら油は飲むわけにいきませんし、米のとぎ汁も飲めません。そういう問題をみんなで考えていくことが必要ではなかろうかと思うわけです。
 そこで、この際、今まで行われてきた環境教育をもっと大幅に、ダイナミックに展開されてはどうだろうか。一万数千戸に配布したパンフレットは、三十五万の家庭に配られるようにしてはどうだろうか。小中学校の生徒に配った副読本は、高等学校用にも編さんされ、環境の大切さ、私たちの住む地球を守っていこうという学生を育てていくようにしてはどうだろうか。
 それぞれのサイドで努力をされておりますが、県行政としての一層のご努力を期待したいと思うのでございます。この点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
 続きまして、学校の五日制についてお尋ねを申し上げます。
 五日制の問題について、私は今まで、基本的には賛成の立場からいろいろご意見を申し上げてまいりましたし、本日もその立場から論議をさせていただきたいと思うわけでございます。
 九月からの月一回の土曜休校を前にして、考えるべきことあるいは対応しなければならないことが随分と残っているのではなかろうかと思うわけでございます。その一つは、お父さんやお母さん、先生方、あるいはまた子供たちに対して土曜休日の積極的な意味についてどこまで浸透されているんだろうか、土曜休日の意味というものがどのように県民各層の中に普及されているのであろうか、この問題が一つであります。
 また、土曜日をカットすればその分はどこで勉強するのかというような問題、さらにまた指導要領──これはもともと六日制を前提につくられた学習指導要領でありますが、それをそのまま現行どおりやっていってもいいんだろうかという問題があります。あるいはまた、巷間うわさされている、土曜日が休日になれば塾産業が発展するだろうというようなことについて、塾の対策をどのようにしたらいいのだろうか等、まだまだ残された問題があるのではないかと思いますので、お尋ねをさせていただきたいと思うわけでございます。
 お父さんやお母さん方、子供さんの多くは、九月から月一回土曜日が休みになるということは知っておられます。ところが、これは専らマスコミ情報ですね。新聞で読んだとか、テレビで見たとか。こういうことでは、本当に五日制の意味というのをわかっていただけないのでないかと思うわけです。そういういろんな準備がどのように進んでいるかということについて、その積極的な意味が私の方にもなかなか伝わってこない。伝わってくれば、社会としてその土曜日をどう生かしていくかという前向きの論議がもっともっと起こっていいわけですが、なかなかそうもならないというのが現実です。もちろん、その話がごく最近に出てきて急激に進んでいるところに問題があるというのを私も承知しているわけですけれども、しかし、それだったらそれなりに早い対応が求められるのではないかと思うわけなんです。
 いろいろ理由や事情はあろうかと思いますけれども、月一回だから混乱さえなければいいんじゃないかと考えられる方もおられるかと思いますが、そういうことでは一日の休みが二日になり、三日あるいは五日になっていく、そういう流れにだらだらっと対応していくようなことになりかねません。もちろん、教育委員会はそのようなぶざまなことは考えておられないと私は信頼を申し上げておる次第でありますが、しかし、そういうことが伝わってこない現状にあるというのが実情であろうかと思います。その準備の進捗状況をひとつお教えいただきたいと思います。
 それから、塾の問題でございます。
 これについては一部の報道もあったかと思いますけれども、教育委員会が土曜の休塾というふうな申し入れをしたとお聞きしておりますが、どのようにされているのかということをひとつ明らかにしていただきたい。それに対して、塾関係者がどのような対応をされてきたのかということについても教えていただきたいと思います。
 それから、塾の問題というと、塾の経営者だけではなくて、塾へ通わせる親の問題もまたあるわけです。その辺をどういうふうに対応していくのかということも考えられなければならないのではないかと思うわけです。そういう点、教育委員会がどのようにお考えになり、対応されているのかということをお教えいただきたいと思います。
 この際、本筋から若干外れますが、子供たちは学校から帰ると塾へ通うというのがごく普通の状態になっているようですね。私も、最近あちこちで、残業のない社会をつくってお父さんと一緒に夕食を食べて一家団らんができるような政治にしようじゃないかというような話をすることがちょこちょこあるんですね。そしたら、お父さんは帰ってきても子供が塾でおりませんと、こういうような話が出てくるんですよ。一家団らんに欠けるのはお父さんだけじゃなくて、子供自身も欠けてしまうような風潮が随分とあるようなんです。
 まあ、すべてではありませんけれども、しかし、それほどまでに塾に頼らなければならない状態はどうして起こってきたんだろうか、こういうことをどう考えたらいいんだろうか、塾がなくてもいいような教育は実現できないものだろうかということを思うわけでございます。そういう点、若干本筋から離れたことになりますけれども、教育長のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
 それから、土曜日の休みの分の授業をどこへ持ってくるかという論議がよくやられておるようでございます。短縮の見直しだとか、水曜の午後をどうするとか、学校行事の見直しとか、ゆとりの時間を活用したらどうだろうかと、そんな話がいろいろ出てまいります。
 私は、土曜日の分を別の日にそのまま持ってこようかという考えは、どうも五日制の趣旨に反するのではないかと思うんです。土曜日のゆとりを保障するかわりにその分だけを別のところへ持っていくということになれば、別のところが過密になるわけですから、そういうことでは本来的な目的を達成することができないのではないかと思うわけです。
 学校行事の見直しということもありますけれども、学校行事などというのは子供たちにとっては学校の中での息抜きなんですね。清涼剤なんです。私自身も、学校行事の楽しかった思い出、あるいはつらかったこともありますけれども、そういう思い出が鮮明に残っております。それは、学校生活を送る上での一つの刺激でもあったし、清涼剤でもあったと思うんです。だから、安易に学校行事を見直して、それじゃ運動会の練習を二日ほど削ろうかと、そこまで考えておられないと思いますけれども、そういうことであってはだめじゃないかと思います。そこで、土曜日のカット分をどうするかについての基本的なお考えをいま一度お聞かせいただきたいと思います。
 それから、新指導要領との関係でございます。
 冒頭に申し上げたように、現在、小学校でことしから始まった新指導要領、そしてまた来年から中学校で始まろうとしている指導要領でございますが、これは六日制を前提としてつくられていると思うんですね。この指導要領は、五日制なんか全く考えられなかった状況の中でつくられているのではないかと思います。奥で何か考えられていたかどうか知りませんけれども、少なくとも表面には出ておりません。こういうような指導要領であれば、五日制の理念と反するのではないかと思うんです。真っ向から反しなくても無理が出てくるんじゃないかと思います。
 教育長も文教委員会で、一日、二日なら何とかこなせるだろうけれども、三日になれば何らか考えなければならないかもしれないというようなニュアンスのお話をされたことがございました。私もそのとおりだと思いますけれども、日時がたってからこの新指導要領を見直してもらいたいと言い始めても、矛盾が大きくなってからでは遅過ぎると思うんです。
 それで、何とか今から新指導要領を見直して、五日制にマッチするような指導要領をつくっていこうではないかということをお考えいただいて、それをしかるべき国の機関、文部省へでも具申をしていただけないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。ひとつご答弁をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、生涯学習と図書館ということでお尋ねを申し上げたいと思います。
 私は、昨年の六月議会で、生涯学習と公民館というテーマで私なりのご意見を申し上げさせていただいたわけでございますけれども、今回は、公民館と並んで重要な機関である図書館が現在どのような状態になっているのか、生涯学習を発展させていく上でそれをどのように機能させていかなければならないのかというあたりをお尋ねしたいと思うんです。
 経済企画庁が昨年発表した国民生活指標によりますと、日本は生活水準では相当高くなってヨーロッパ並みになっているところもあるけれども、文化とか学習になると随分差がございます。当然のことですが、日本の方が劣っている。図書館なんかも随分と差がある。そういう経済企画庁の文言をとらえて、日本図書館協会が、これは日本文化のひずみなんだ、これを正していくところに正常な文化の発展の方向もあるのではないかというような話が出ておりました。
 図書館のない自治体は、全国的に見ると六五%あるそうです。和歌山県ではどれだけかというと、七四%です。町村単位では、全国的に見ると七九%が図書館を持っていない。ところが、和歌山はどうかというと八六%が持っていない。こういうふうに一○%ぐらいずつの開きがあるわけです。農山村地域を多く抱えている県でございますから、都市部のところだけと並行して比べるわけにはいかないと思いますけれども、しかし、そういうふうにおくれがあるのは事実のようであります。
 片一方で、生涯教育の重要性が叫ばれているわけですね。お花とか習字を趣味的に習っていくという生涯教育の段階であれば、別に図書館のことなどあえて大きな声で言わなくてもいいかと思いますけれども、これからの展望されている生涯教育ということを考えると、やはり本格的な生涯教育には本格的な図書館というのが並列していかなければ、それは発展していく上で大きな障害になってくると思うんです。そういう点で、生涯教育と図書館というのをどのようにお考えになっておられるのか、現在の状況をどのように評価されておって、この問題を長期総合計画ではどのように解決していこうとしているのか、その現状はどうか、こういうあたりをひとつ明らかにしていただければと思います。
 また、幾つかの町村で合同して図書館を建設していこうというようなプランを長計の中に持っているようでありますが、そういう問題は現在ではどうなっているのか、そういうこともお聞かせいただければと思います。
 また、図書館の利用状況について考えてみますと、図書館で本を借りる人というのは、人口比で言いますと、日本で平均すると八・四%しかないそうですね。これは随分低い話だなと思うんですけれども、では和歌山県ではどうだろうかということになるわけですが、これは私、知りません。五十の公共団体のうち十三しか図書館を持っていないわけですから、ひょっとするともっと少ないかもわかりません。この辺どういうふうに掌握されているのか、わかっていれば教えてください。わからなければ結構です。図書館の利用状況の現状ですね、お調べになっていることがあれば教えていただければと思います。
 また学校図書館の利用状況なども、この間ちょっと見てみましたら、小中学校はなかなかわかりにくいんですけれども、高等学校なんかになると相当立派な図書館が設置されております。しかし、貸し出された総数を生徒数で割ってみると年間一・九冊です。学校に格差があって高いところと低いところがあるわけですが、平均すると一・九冊になる。もったいない話だなと思うんです。先生方や司書の方も頑張っておられるわけですけれども、そういう状況です。もっと読書をしなければならない世代ですから、図書館を利用できないものだろうかと思うわけです。何か教育長、お考えになっておられればお教えいただきたいと思うわけでございます。
 本離れというのは、年を経るごとに進んでいるようですね。全国学校図書館協議会の調べによりますと、今、一カ月に本を読む冊数というのは、薄いのやら漫画も入っているそうなんですが、小学生で五・八冊、中学生で一・九冊、高等学校になると一・四冊ぐらいだそうです。文部省の調べで、高等学校で一カ月に一冊も本を読まない生徒がどのくらいおるかというのを抽出アンケートでやってみると、七割が読んでいなかったというような統計も出ているわけです。本離れの傾向というのがあるわけです。別に何も本だけが人生ではありません、グラウンドにも人生がありますから、図書館だけをわあわあ言うわけではありませんけれども、これから生涯教育を発展させていく上での一つのかなめ、ポイントになってくるんではなかろうかと思いまして、この点について気になるわけでございます。
 そういう点で、旺盛な読書意欲を喚起して大いに図書館も利用される、そして和歌山県の生涯教育がぐんぐんと発展していくような状況をぜひともつくり上げていきたいし、私たちもできることをしながら頑張っていきたいと思うわけですが、教育長はその辺どのようなお考えを持っておられるのかお聞きいたしまして、私の第一問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 平和のための行政ということでございます。
 昨今の世界情勢は、ソ連邦の崩壊、またソ連共産党の崩壊によりまして東西間の緊張緩和は進みつつあると思うわけでございます。しかしながら、昨年の湾岸戦争、また現在のカンボジアの問題等をめぐって、国際間の紛争解決や民生安定のために我が国がいかなることをなすべきかということはさきの国会において論議されたところでございます。
 平和問題については、私は鶴田議員にお答え申し上げたわけでございますけれども、今日の我が国の繁栄を築いたのは、一にかかって国民一人一人の努力と平和が続いたたまものであると思っております。もとより、県民一人一人が平和のとうとさを十分自覚することが大切でもございますし、私も、平和を支える重要な柱として自由と民主主義が十分必要であるということを認識しております。そうした面において、行政においても積極的に取り組んでおるところでございます。
 現在の世界情勢を見ても、歴史的な由来、民族間の対立、隣接諸国との政治体制の相違、宗教問題等々、解決困難な問題が非常に多いわけでございまして、一地方団体がなし得るにはおのずから限界があると思うわけでございます。
 いろいろ提案いただきましたが、ご意見として承らせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 環境保全の県民的意識の高揚のためにとのご質問にお答えを申し上げます。
 県民一人一人が環境問題に対する理解と認識を深め、環境保全のための行動を心がけていくことが重要であると認識をしております。
 これまで、小中学生向け副読本、一般社会人向け冊子、生活排水啓発パンフレットの作成やビデオの制作などを行うとともに、環境月間記念シンポジウムや和歌山環境フェアの開催など普及啓発活動に継続的に取り組んでいるところであります。
 平成元年度に設立した地域環境保全基金の運用益を今後とも有効に活用し、テーマ、対象者、地域性、媒体などを考慮し、新たな話題や身近な問題を取り入れ、意識の高揚、環境保全への参加を図ってまいりたいと考えてございます。
 さらに、市町村や関係機関に働きかけていくとともに、環境保全推進員の活動を活発にし、計画的、体系的に普及啓発を展開してまいりたいと考えてございます。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校五日制、生涯学習と図書館教育についてお答えいたします。
 学校週五日制については、昨年十一月に教育委員会内に検討委員会を設置して以来、今日まで約八カ月にわたり、教育課程上の創意と工夫や休業日となる土曜日における学校外活動の場と機会の提供、教職員の勤務のあり方など、多くの課題についてあらゆる角度から検討してきたところでございます。その間、約三十にも及ぶ関係団体から意見を聞くとともに、保護者の理解と協力を得ることが大切であるという観点から、近畿で初めて全県的な規模で学校週五日制に関するアンケート調査を実施いたしました。
 特に、アンケート調査の結果からは、学力水準の維持向上、留守家庭の子供への対応のあり方、学校外活動の場や機会の充実などにかかわる課題が出されました。
 現在、こうした県民の皆さん方の声を踏まえて、九月からの円滑な実施に向けて鋭意取り組んでいるところであり、さらに近日中に市町村教育委員会並びに関係機関との学校週五日制に係る連絡協議会を開催し、実施に伴う具体的な諸課題への対応について協議することとしております。
 次に、学習塾に対する対策についてであります。
 文部省は、本年五月に学習塾の団体に対して営業の自粛を要請してございますが、本県においても、保護者へのアンケート調査の結果、過度の学習塾通いにつながるのではないかとの不安が出されております。
 そのため、教育委員会といたしましては、このほど県内の学習塾関係者に対して、学校週五日制の趣旨の理解と協力を要請するとともに、休みとなる第二土曜日が過度の学習塾通いなどにつながらないよう適切な配慮をお願いしたところでございます。塾関係者からは、学校週五日制の趣旨について一定の理解が得られたものと受けとめてございます。また県民に対しては、過日、ラジオ放送等を通して学校週五日制の趣旨の説明を行ったところであり、今後さらに広報紙の活用を初め、さまざまな機会をとらえて理解と協力を得るよう努めてまいりたいと考えてございます。
 県内の学習塾の状況について、正確な把握は困難な面がございますが、社団法人や私塾組合等に加盟しているのが六十余りあり、そのほかに未加入のものが少なからずあると見られます。こうした背景には、高学歴志向や受験競争の過熱化等の社会的風潮があると考えられますが、児童生徒の健全育成及び学校教育に対する信頼という観点から、今後とも保護者の期待にこたえるため、教職員が汗をかいて子供に一層深くかかわり、学校教育が充実するよう努めてまいる所存であります。
 学校週五日制が月一回導入される場合、学力水準の維持向上を図るため、学習指導要領に示されている標準授業日数及び時数を確保することは、本県にとっては特に大切であると思っております。このことは、学校行事の精選や学校裁量の時間の活用、短縮授業の見直しなどによって対応できるものと考えてございます。その際、子供に対し過重な学習の負担感を与えないよう、学習のリズムや集中力の保持などの面から学習指導内容や方法を工夫する必要があります。
 今後、学校週五日制が段階的に拡充していく場合には慎重な対応が必要であると考えております。月二回の導入に関する調査研究協力校の研究の成果等も踏まえながら、文部省及び都道府県教育長協議会との意思の疎通を図りつつ、教育課程編成のあり方と学習指導要領の関連について幅広く検討していく必要があるものと考えております。
 次に、生涯学習と図書館についてでございます。
 図書館は、地域住民の身近にあって、人々の多様化、高度化する学習ニーズにこたえるための豊富な資料と情報を提供する中核施設として、県民の生涯学習を進める上でも欠くことのできない重要なものと考えてございます。
 現在、建設中の新しい図書館は、平成五年度の開館を目途に諸準備を進めてございまして、収蔵能力は百万冊を有し、コンピューターシステムによる図書館サービスの向上を図ることとしております。また、現在、県内全市町村と接続して運用してございます学習情報提供システムを活用してこの新しい図書館と結び、さらに県内にある図書館や国立国会図書館、全国の主要図書館とのネットーワーク化を進めるよう努め、図書館サービスの地域格差の解消を目指したいと考えております。
 市町村における図書館の整備につきましては、長期総合計画で平成二年度に十七館を目標としてございましたが、現在、十三館の状況となってございます。しかしながら、現時点では四カ町村で建設計画や構想がなされている状況でございます。
 次に、図書館の利用状況についてでございます。
 県立図書館については、平成元年度の貸出冊数十九万四千五百五十六冊に対し、平成三年度は二十二万九千七百六十五冊となり、元年度比一一八・一%となってございます。一方、市町村立図書館については、平成元年度の貸出冊数百三十八万五千七百四十四冊に対し、平成三年度は百四十三万七千四百五十五冊となり、元年度比一○三・七%となってございます。
 また、県立高等学校の図書館の利用状況でございますが、近年、青少年の活字離れの傾向もあって生徒への貸し出しが全般的に低調であることは否定できません。学校図書館は、学校における教育活動を展開するに当たっての資料センター、情報センターとしての機能や、生徒が調査研究等を通じ主体的に学習活動を行う学習センターとしての機能を持ってございます。今後、学校の授業と関連づけた利用方法や読書会、さらには資料展示会などを行うことによって生徒の読書意欲を喚起し、幅広く利用できるよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 たくさんしたいわけですが、時間がもう五分しかないようですので、知事さんだけにさせていただきます。
 平和を守っていくという県民世論を喚起していく、その上で行政は何かできないかということでお尋ねをしたわけですが、知事は知事なりのお考えを持ってやっておられるんだろうとは思いますけれども、知事は先ほどの答弁の中で、問題が大きくて一地方公共団体でなし得ることはおのずから限界があると、こういうふうにおっしゃられました。そのとおりだと思うんです。しかし、その限界の中でどれだけのことができるかということが今問われているんじゃないかと思うんですね。そういう点で、今、県下の三十二の市町村がいろんな形で平和のための取り組みをやっておられるのは大切なことじゃないかと思うんです。
 例えば、今度、和歌山市が広島へ平和のバスを出すという計画をされています。乗っていかれる人は三十人ばかりでわずかなんですけれども、そういう一つのプレーがいろんな意味で和歌山市民に影響を与えておる。原爆は絶対嫌だなあというような話がそういう行事の中から大きく広がっていく、そういう集いがまたどこかで連鎖して行われるというようなことが起こっているわけですね。私は、こういったことは大事じゃないかと思うんです。
 和歌山県でも何千名の犠牲者が出たあの戦争の惨禍を県行政としても伝えていく、継承して平和のとうとさを来るべき世代へ伝えていくというような行政はあってしかるべきではないかなあと思うんです。それは、おのずと限界があるという、その限界の中でできる仕事ではないかと思うのですがいかがでございましょうか、お尋ねを申し上げたいと思います。
 あと、簡単に要望を二、三いたします。
 環境衛生の関係でお願いをしたいと思うんです。先ほど言われたような事業は大切なことだと思いますけれども、予算が少ないと思うんです。基金の枠内だけで考えられておると前進しないと思うんです。財政上の問題もいろいろあって困難な面もあろうかと思いますけれども、基金の枠を超えて事業化していくというようなことを積極的にお考えいただきたいと思います。
 それから、教育長にもう一つお願いを申し上げたいと思います。
 図書館ですが、ことしまでの計画では三、四館のおくれがあるということなんです。西暦二○○○年までの計画では、二十七館をつくっていこうという計画なんですね。あと八年なんです。今十三館でしょう。あと十四館つくらなならん。そういうような大きな仕事がまだ残されております。相当馬力をかけてやっていただかないと難しいんじゃないかと思います。金の問題がありますから、市町村のしりをたたくだけではうまくいかない。聞くところによりますと、図書館をつくるために県から市町村におりる補助金というのは百万ほどしかないそうですね。これじゃお話にならないわけです。いろいろと工夫をして市町村の図書館行政が大きく前進するように援助されることを要望申し上げておきたいと思います。
 知事に、ひとつ答弁をお願いいたします。
○副議長(平越孝哉君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答えします。
 平和ということは、私も先ほど申しましたように、自由主義と民主主義、これが一番の根底だと思うんです。そうした意味において県の行政を行っておるわけでございます。
 また、戦争の悲惨さを思い出すということ、これは大事なことだと思います。近く、和歌山市が戦災でやられた日が参ります。そこにも毎年参っております。慰霊祭にも参りまして、戦争がもう二度とないように心から願っております。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十九分散会

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