平成4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成四年六月三十日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第八十六号から議案第百六号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十六号から議案第百六号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 浩
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村  昇
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   玉 置 英 夫
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三十三分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第八十六号から議案第百六号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 41番野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。
 早いもので、県会議員に当選させていただきまして一年が過ぎました。先輩議員のおかげで無事議員を務めることができましたこと、本当にうれしく思っておりますし、また今後とも先輩議員の温かいご指導をよろしくお願いする次第でございます。
 日置川の町長選挙も二十八日に決定をいたしました。その中で、「何でもかんでも反対の社会党」というある新聞記事がございましたが、我々社会党は、国会においても、政府が提案する法案にいろんな形で賛成をしてきた部分もありますし、また県議会においても、知事が提案された条例等にも積極的に賛成を重ねてきましたので、何でもかんでも反対の社会党ではないことをぜひともご理解賜りたいと思います。
 それでは、通告順序に従いまして一般質問をさせていただきます。
 最初に、南紀白浜空港ジェット化による関連事業の取り組みについて質問いたします。
 これからの紀南地方の経済、文化、観光等の浮揚、活性化のかぎを握る新南紀白浜空港の整備事業は、和歌山県の三大プロジェクトの一つであります。南紀白浜空港のジェット化は、昭和六十一年に候補地が決定されて以来、整備五箇年計画が策定され、それを受けて設置された空港建設事務所が用地交渉に当たり、これまで九七%の用地確保を達成できたわけでございます。残す三%についても、精力的に交渉を進めていくという提案説明がございました。担当の職員の方々がジェット化事業に向けての地元の理解を得るために並み並みならぬ努力を払っていることに深く敬意を表するとともに、地元を初め地権者の方々の深い理解をいただくために地元のお二人の先輩議員が仲介のご苦労をいただいていることに、改めて敬意を表するものでございます。
 そして、新南紀白浜空港建設も、多くの課題を解決しながら、当初の予定より事業がおくれたものの、去る四月二十三日に起工式が行われ、開港に向けてスタートいたしました。紀南地方の県民は、このジェット化によって、経済、文化、観光面で大きな発展を期待し、そして大きな夢を託していると言っても過言ではございません。
 そこで、今日までの工事の進捗状況と開港の見通しはいつごろになるのか、お伺いしたいと思います。
 県土木が県民向けに作成したジェット化整備のパンフレットによりますと、平成七年度の需要予測は、東京三往復六便、名古屋二往復四便、福岡二往復四便の合わせて十四便となっております。平成七年度には年間三十万人余りの利用客の需要予測が立てられ、さらに平成十二年度には名古屋便が一往復ふえて十六便となり、年間三十五万人余りの需要予測が立てられております。過去には、大阪便が廃便、名古屋便が休航となっています。私は、今度の新空港では、廃便あるいは休航は紀南活性化のためにも二度とあってはならないと思うのであります。
 そこで、この路線の導入と予測利用客数の根拠についてお伺いいたします。
 世界リゾート博の開催を契機に観光リゾート立県を推し進める本県にとって、平成十二年度の三十五万人余りといった需要予測や東京便が六便という想定では、現在の便数と変わりません。観光客の大幅な招致はもちろんのこと、東京へ向かう県民の利便性からも、今と同じではうなずけません。生活のゆとり、豊かさが盛んに叫ばれ、今後、長期滞在型リゾートに移行していく中で、都市圏からの観光客招致を積極的に図るため、これらの需要予測を上回る東京便の増便等に取り組む必要があると考えます。また、就航予定の機種はMD87の百三十人乗りとMD81の百六十人乗りの二つが挙げられております。これらの機種は現在のYSの六十七人乗りより倍増となっていますが、観光客並びに貨物輸送の大幅アップを図るためにも、今後、乗り入れる機種の検討と利用促進を図る必要があると考えます。ご所見をお伺いいたしたいと思います。
 現空港の跡地五十五ヘクタールの利用について、地元特産の花卉類などを都市へ出荷するフライト農業・水産業の基地や研究所、また会議所、先端ソフト産業の誘致等、いろいろな施設が可能と考えられますが、この跡地利用についてもお伺いしたいと思います。
 和歌山県にとって史上初めてジェットの離発着する空港ができるのでありますから、この空港に通ずるアクセス道路の整備と問題についてお伺いいたします。
 高速道路は、今、御坊まで平成七年三月の供用開始に向けて事業が着々と進められております。御坊以南についても着々と計画が進められておりますが、田辺市までの開通はかなりの年数を要するものと考えます。白浜を中心とした紀南地方の観光地周辺の道路状況を見たとき、例えば、ことしのゴールデンウィークの四月二十九日から五月五日までの七日間、白浜有料道路の利用車数は一日一万六千台に膨れ上がり、白浜温泉に通じる道路は大渋滞するほか、田辺市の繁華街へ通じる国道四十二号、国道四十二号バイパス、そして国道四十二号郵便橋付近なども大渋滞を生じたのが現状であります。このような渋滞道路では、長期滞在型リゾートが志向される中で新空港が完成しても、観光面でのイメージを悪くし、紀南を訪れる観光客が広域観光を楽しめないことが予想されます。田辺市においても、滝内地域に七月一日に国立南和歌山病院が開院し、また森林公園、新庄総合公園、リゾート計画が進められるなど、交通量も増大してくるのは申すまでもございません。
 そこで、文里湾架橋で大渋滞を解消し、空港へのアクセス道路とし、さらに南白浜道路から国道三百十一号線に通じる新たなバイパス道路を整備することが必要かと思います。ご所見をお伺いいたします。
 続きまして、JR紀勢本線の県民の利便性の向上について質問させていただきます。
 さきに新空港における紀南観光等のあり方についてお尋ねいたしましたが、観光立県としての観光客の招致や、さらに紀南経済の浮揚に大きくかかわる紀勢本線のあり方についてお尋ねいたします。
 当初予算でミニ新幹線の調査研究費を計上されておりますことは、今後の紀勢本線のスピードアップを図る上においても喜ばしいことでございます。JR東海がこの春にダイヤ改正し、名古屋駅─紀伊勝浦駅間に新型車両のワイドビュー南紀号を導入し、所要時間も約四十分短縮、利用客もふえたと、テレビ、新聞等で大きく伝えられましたが、県といたしましてもこのワイドビュー南紀号の白浜までの乗り入れを働きかける考えはないでしょうか。
 また、現在、和歌山─新宮間の所要時間はおよそ三時間で以前に比べると短縮されましたが、名古屋─紀伊勝浦間が四十分短縮されたことを受けて、紀勢本線も白浜─新宮間での時間短縮がぜひとも必要と考えます。それは、新宮生活圏からの南紀白浜空港の利用拡大の上から見ても当然と考えるものであります。県といたしましてもJR西日本に働きかけていただきたく存じますが、お考えをお伺いいたしたいと思います。
 また、紀勢本線にスーパーくろしおが導入され、新大阪駅や京都駅乗り入れが実現し、利用率もよいと聞いております。先日も、東京からの新幹線を乗り継いでスーパーくろしおを利用いたしましたが、時間帯によっては指定席も自由席も満席で、多くの利用客が立ちながら和歌山に帰ってきています。また、新大阪駅へ向かう車両も同じような状況をよく見かけます。六両編成を二、三両ふやしてくれたら快適な気分になるのですが、いかがなものでしょうか。
 また、紀南の先輩、同僚議員を初め紀南の方々の間では、早朝、紀南へ向かう特急列車がない、そして紀南から夜八時以降に和歌山駅へ向かう特急列車がないということをよく聞きます。現行では、和歌山駅から紀南向きの特急の朝一番列車は、天王寺駅午前八時発、和歌山駅八時五十二分発で、新宮駅に正午の到着となっております。さらに、紀南方面から和歌山駅方面、天王寺駅方面へ向かう最終の特急は、新宮駅発が十七時二十四分、紀伊田辺駅発が十九時二十三分と早いのが現状であります。仕事関係で早朝や深夜にかけて県内を駆け回るビジネスマンや単身赴任者がふえている今日、この方々が休日の前夜に帰宅できるような利便性を図るために、早朝、夜半便の列車ダイヤ改正をJR西日本に強く働きかけるべきだと存じますが、ご見解をお聞きしたいと思います。
 続きまして、カメムシ対策とひょう、カメムシ被害農家の対策についてお伺いいたします。
 紀南地方の中でも田辺周辺の農家は、ミカン、梅、スモモなどを主に生産され、農業経営をされております。農家では、後継者あるいは花嫁問題を持ちながら、家族挙げての収穫作業にかかる前に、今回、ひょうやカメムシで大変頭を痛めました。カメムシの異常発生によって、スモモ、梅などの果実に被害が出たからであります。昨年も、紀南地方では台風の後、異常発生し、ミカンなどに被害が出て田辺の地方紙で大きく取り上げられたこともあります。ことしもまた四月末から異常発生し、梅、スモモ等の被害が出始めました。五月十六日の地方紙によりますと、テニスコートの照明に群がるカメムシの写真が掲載され、カメムシが飛ぶというより降るような感じがして気分が悪かったというテニスをしていた若者の声を紹介しておりました。このほど田辺市のJA紀南がカメムシの被害状況をまとめた資料によりますと、梅、スモモの被害面積は二百十四ヘクタール、被害農家軒数は二千三百戸、推定被害額は四億九千万円となっております。
 ご存じのように、カメムシは一センチほどの小さな青い虫ですが、危険を感じると臭い体液を発散させ、嫌がられている虫でございます。この虫が、ミカン、柿、梅、ナシ、桃などに食いついて果汁を吸うので、果実を落果させたり、ひどい奇形の果実にしてしまいます。私もカメムシの被害にあった梅の実を見せてもらいましたが、果実の中はスポンジのようになり、これでは商品価値はないと思いました。
 カメムシの被害については古くから知られており、明治四十四年、大正十一年、昭和十年に静岡、大阪、長崎などで大発生の記録が残されているようであります。二流の害虫として取り扱われてきたため注目されず、研究もされなかったそうでございます。ところが近年、全国的に発生する傾向にあり、昭和四十八年以降、何度も大発生に見舞われ大きな被害を受けたことから、今やカメムシは害虫の最右翼に上げられております。「日本農業新聞」等の報道によりますと、ことしも西日本で異常発生の傾向にあり、各地で発生予察注意報が出されております。
 カメムシの生態については、冬は杉、ヒノキの種子をえさにして育ち、越冬して春から秋にかけて森林のえさが不足すると森林から出て、果樹園に飛んできては被害を及ぼすようで、特にことしは、昨年、一昨年の台風で森林が荒れたために食糧不足で果樹園へ飛んできたのではないかと言われております。カメムシ異常発生は昨年、ことしの出来事ではなく、将来にわたっても再び起こることが予想されますので、小手先の一斉防除で済まされるほど簡単なものでないと考えます。県としても、カメムシに対する防除研究と総合的な対策の取り組みを強化する必要があると考えますが、ご所見を伺いたいと思います。
 また、越冬密度調査といって森に入って落ち葉の下で越冬しているカメムシの数を調べたり、光に集まってくるカメムシを調べる予察灯による調査などがあるそうでございます。また、ヒノキや杉の種子が多いか少ないかによって発生予測をする方法や、夏の降水日数が十六日以下の年は被害が多発する傾向にあることから、夏期の降雨日数から被害の予測を立てる方法もあると聞いております。
 いずれにせよ、地域での防除調査、予測の実施体制が必要であると考えます。現在、地域で農業改良普及員の方々が中心となって防除対策を講じられていると聞いておりますが、どのような対策をされているのか、伺いたいと思います。
 次に、被害農家対策について。
 カメムシ被害に遭っている紀南地方の農家が、ことしはひょうによる被害も加わり、二重の被害に苦しんでおります。ことしの四月十五日、午後六時三十分ごろ、同じく午後八時ごろの二回にわたり、紀南地方に珍しくひょうが降りました。降った地域は、地形の関係もあって新庄、万呂、長野、上秋津、三栖地域に限られ、スモモ、梅の実が膨らみ始めたばかりの時期だったことから、そのスモモ、梅の実が傷つけられました。JA紀南の調査の結果、被害面積は梅、スモモ合わせて三百九十九ヘクタール、被害金額は約八億六千万円に上っており、カメムシ被害金額と合わせて約十三億五千万円になり、農家は大きな打撃を受けています。JA紀南全体で、ひょう、カメムシの被害によって、ことしの梅の生産予想は昨年の七三%という落ち込みですが、五○%以上の被害を受けた農家が約五十戸ほどあり、万呂、三栖、長野地区は専業梅農家も多く、事態は深刻でございます。
 そこでJA紀南では、被害農家対策として、一つには農業共済金の支払い、二つ目には自作農維持資金の貸し付け、三つ目には被害を受けた梅のジュース等への加工対策を考えていますが、十分ではございません。県としても、生活営農資金等の貸し付けなど被害者対策に積極的な対応を望むものですが、ご見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、禁煙の取り組みと青少年の禁煙教育について質問させていただきます。この件については昭和六十三年三月に中村隆行県会議員も質問されておりますけれども、私なりに別の角度から質問をさせていただきます。
 五月三十一日は世界禁煙デー、世界保健機関が提唱して始まったこの世界禁煙デーには、世界各地で禁煙に向けてさまざまな取り組みが行われたようであります。我が国でも、禁煙デーには政府みずから閣議での禁煙を実行し、禁煙推進をアピールしてこられた政府に限らず、広く各地で禁煙に向けての取り組みがなされ、北海道では道庁の一階にノーたばこ展、新潟市では講演会を開催、東京では五月三十一日に日本禁煙医師連盟が発足し、同じく厚生省主催の喫煙と健康問題についてのシンポジウムが開催されたところであります。こうして取り組みが進められた結果、近年、我が国の喫煙率は次第に低下しておりますが、和歌山県の取り組みはいかがでしたか。
 日本人の成年男子の喫煙率は、一九六五年ごろには八○%以上あったのが、一九八五年には六五・五%、さらに一九九○年には六○・五%に減少しております。人々の健康を考える上で、こうした傾向は大変喜ばしいことと思います。しかし、欧米諸国の成人男子の喫煙率三○%台に比べると、まだまだ喫煙率は高いと言わざるを得ません。
 最近、若者の喫煙、とりわけ生命をはぐくむ若い女性の喫煙がふえているように思います。ご承知でしょうが、たばこの害は脳卒中、胃がん、胃潰瘍、心筋梗塞、狭心症、肝硬変、肝臓がん、特に女性の場合の流産、早産、低体重児出産などが挙げられております。間接喫煙によって妊婦がたばこを吸った場合、子供がぜんそく様気管支炎にかかり入院する率が高いとも言われております。最近、家族の喫煙によて膵臓がんが増加していることは、ことし三月三日に国立がんセンターで開かれた国際がん研究シンポジウムで同センターの渡辺疫学部長が調査研究を発表されたところであります。
 昨年度、厚生省がまとめた人口動態統計によりますと、和歌山県のがんによる死亡率は全国ワースト五位、心疾患ワースト二位、脳血管疾患ワースト十位という統計が出ております。食生活や環境問題などさまざまな要因が考えられますが、喫煙も一因であると言えましょう。がん死亡率全国ワートス五位という汚名を返上する意味からも、県が率先して禁煙運動を推進し、また分煙対策を進めるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、青少年の喫煙教育について。
 青少年の非行のうち、毎年、上位を占めるものに喫煙問題がございます。列車の中やカラオケボックス等でたばこを吸っているという話をよく聞いたり見かけたりしますが、最近の青少年の喫煙実態はいかがでしょうか。喫煙開始年齢と肺がん死亡率の関係が明らかにされております。
 喫煙と健康に関する研究では我が国の第一人者である予防がん学研究所長の平山雄先生が、一九六五年から調査研究され、現在もなお続けられています。調査を始めて十六年間の調査結果では、たばこを吸い始めた年齢が早ければ早いほど肺がん死亡率が高くなっています。五十歳から五十九歳までに死亡した人、つまり早死した人を調べた結果、早死した人の中には十四歳以下でたばこを吸い始めた人が非常に多いことも判明しております。さらに、喫煙は成長期の子供にとって、体の発育、脳の発達に大きな障害となることも調査結果で報告されております。
 聞くところによりますと、青少年の喫煙年齢も低年齢化してきているそうですが、これを放置することはできないと思います。健康で文化的な生活を目指す県としても対応を考えることが必要かと存じます。もちろん、教育現場では生徒指導の先生を中心に、あるいは「保健」等の授業で禁煙教育に取り組んでいただいていることは十分承知しておりますが、教育委員会としても現場の教師に任せるのではなく、小学校から高校まで一貫して禁煙教育の指導性を発揮していくことが必要かと思います。教育長のご見解をお伺いいたします。
 私の手元に、禁煙教育について先進的に取り組んでおられる群馬県の教育委員会が高校生向けに発行、配布した「喫煙による健康への影響」という一冊の冊子があります。表紙をめくると、喫煙のため汚れた、ショッキングな肺のカラー写真があります。内容は、一つ目に青少年と喫煙、二つ目にたばこの煙とは、三つ目に人体に対するたばこの害、四つ目に成長過程における喫煙の影響、五つ目に喫煙とがんの関係など、九項目についてわかりやすく解説をしております。
 禁煙教育については教育委員会も率先して冊子を作成するなり、喫煙が低年齢化してきている中で小中学生向けのわかりやすい禁煙教育冊子を作成して配布する考えはないでしょうか、ご見解をお伺いいたしまして、一回目の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 南紀白浜空港の現状と見通しについてでございます。
 当初の計画では平成六年四月開港の予定で事業を進めてまいったわけでございますが、用地買収、地元調整などによって本体工事の着工が二年ほどおくれておるところでございます。しかしながら、先ほど話ございましたように、県会議員、市長さん、町長さん初め関係の皆さんのご努力によって用地買収も残り三%となり、また白浜町において衛生施設や花卉団地の移転経費が予算措置されるなど、解決に向かって進んでいるわけでございます。皆様には大変ご苦労いただいており、ありがたく思っております。
 今後の工程の問題でございますけれども、少しでもおくれを取り戻し、一日も早く一番機が飛べるように努力してまいりたいと思っております。
 その他の問題につきましては、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答え申し上げます。
 まず、南紀白浜空港の利用客の需要予測については、昭和六十一年度の第五次空港整備五箇年計画組み入れのときに算定をしたものであります。当時の経済情勢及び国の予測値を参考にして、経済成長率、国内線利用の伸び率、鉄道利用者数等の流動状況、現空港の利用者数、紀南地方の観光入り込み客数などを勘案して予測したものでございます。
 路線の選定については、需要の高い東京、名古屋、福岡の三路線を考えたものであります。これらは、あくまで計画段階での想定でございます。また、路線の確保については、航空会社の採算性、相手空港の受け入れ能力等の問題があり、さらに地元の熱意も欠かせません。今後、皆様方のご支援を得ながら、国及び航空事業者等へ働きかけるなど努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、乗り入れ機種の導入等でございます。
 ジェット化されることにより、定員の輸送能力は約二倍、貨物の積載量は約四倍となりますけれども、この乗り入れ機種の導入について航空事業者等へ働きかけをしてまいりたいと思います。また、輸送能力を最大限活用する必要がございます。今後、関係部局で協議をするとともに、市町村及び関係団体のご協力をいただき、利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に現空港の跡地利用でございますが、議員の貴重なご意見も参考にしながら、紀南地域の活性化を図る観点から、庁内関係部局により検討を進めてまいりたいと考えております。
 最後に、新空港と周辺道路網の整備の関係でございます。
 議員ご指摘のゴールデンウィークなどにおける交通渋滞につきましては、平成二年七月に、国、県など関係者による白浜・田辺地域休日渋滞対策推進協議会において渋滞実態調査を行い、渋滞の原因、対策などを協議いたしました。この結果、最大の渋滞時間帯は休日の最終日の夕方であり、また田辺市田鶴交差点が最大のネックになっていること、白浜町内の駐車場不足による路上駐車が渋滞の原因となっていることなどが判明いたしました。したがいまして、田辺・白浜地区の休日渋滞対策としては、当面、国道四十二号の田鶴交差点の改良が最優先課題となっております。これを含めて、田辺バイパスの早期完成を国へ要望しているところでございます。
 また、文里湾架橋等のご提言については、今後の課題として勉強させていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) JR紀勢本線の県民の利便性の向上に対する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ワイドビュー南紀の白浜乗り入れについてでございます。
 JR東海によるワイドビュー南紀号については、本年三月から勝浦─名古屋間に一日五往復運行され、利用者の好評を得ているところであり、乗降客も増加を見てございます。
 議員ご指摘の南紀号の白浜までの導入については、JR東海、JR西日本両社の調整や利用者の動向等、問題もあろうかと思いますが、紀南地域の観光振興、経済浮揚を図る上から重要な課題と考えてございまして、今後、事業者に対し強く働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、白浜─新宮間の特急の時間短縮についてでございます。
 現在、白浜─新宮間はJR特急で約一時間四十五分を要しております。スピードアップによる時間短縮を図るためには複線化や線形改良等を図る必要があり、これまでもJR西日本等、関係機関に要望を重ねてまいったところでございますが、多額の投資や技術面など、いろいろ困難な問題があると聞いてございます。
 このため、本年度、ミニ新幹線を初め紀勢本線の高速化等について、紀伊半島における高速交通体系の整備構想に関する調査を実施することとし、運輸省、学識経験者並びにJR西日本、JR東海等、関係事業者から成る調査委員会を去る六月八日に開催したところであり、今後の整備構想や事業費、技術面等の問題点の検討を進めることといたしてございます。
 今後、当委員会の検討結果を踏まえつつ、紀勢本線の高速化等については、県議会のご指導、ご支援をいただきながら、運輸省、JR西日本、JR東海等、関係機関に対し積極的に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、スーパーくろしお号の増両についてでございます。
 特急くろしお号の増便等輸送力増強については、かねてからJR西日本に対し強く働きかけてまいったところでございます。特急くろしお号の新大阪乗り入れについては、当初七往復であったものが現在九往復となり、また議員ご指摘のスーパーくろしお号については、昨年春のダイヤ改正以来、利用客の多い時期は白浜まで九両で運転されているところでございますが、さらなる利便性の向上と輸送力の増強を図るため、引き続きJR西日本に対し働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、早朝等の増便についてでございます。
 紀勢本線については、かねてから特急くろしお号の新大阪駅乗り入れ列車の増便等、運輸省、JR西日本に対し働きかけを行い、一定の成果をおさめてまいったところでございます。
 議員ご指摘の、早朝、夜半の特急くろしお号の増発については、紀南地域における利便性の向上を図る上からも重要な課題であると考えてございます。利用者の動向等の問題もあろうかとは思いますが、今後ともJR西日本に対し強く働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) カメムシ対策とひょう、カメムシ被害農家に対する質問にお答えをいたします。
 まず、カメムシの調査研究についてでございます。
 国の試験場と連携しながら、発生生態の解明等、調査研究に取り組んできたところでございます。生態といたしましては、杉、ヒノキ等の山林内で越冬し、雑食性で移動性が大きく、しかも夜行性であることがこれまでに解明されております。しかしながら、山林からの離脱時期、えさ、気象条件による発生量の変動等により、農作物に対する加害時期など的確に予測しがたい厄介な害虫となってございます。こうした中で、県といたしましては、発生状況調査の実施とあわせ、防除薬剤と黄色灯による防除効果試験等に取り組んできたところでございます。
 今後は、山林等での発生状況、飛来数の把握等、発生予察体制の強化と、現在研究中の集合フェロモン、天敵等を利用した防除技術の実用化と総合防除技術の確立のため、重要な研究課題として取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、防除対策にかかわる農業改良普及員の対応についてでございます。
 農林水産部関係課、試験研究機関及び関係団体で構成する県カメムシ防除対策協議会への参画、また地域対策協議会において市町村、農協、果樹研究会とも連携をし、対策を実施する上で農業改良普及員が中心的な役割を果たしております。現在、杉、ヒノキ等の寄生状況や予察灯による飛来調査など発生状況を把握しながら、一斉防除の推進に取り組んでいるところでございますが、今後ともさらに積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 最後に、ひょう、カメムシの被害農家に対する救済措置については、農業災害補償法に基づく果樹共済を適用すべく、現在、被害調査、損害評価について取りまとめの作業中であり、早期に被害農家へ共済金が支払いできるよう指導してまいりたいと存じております。
 融資対策については、議員お話しの生活営農資金よりも低利な自作農維持資金の活用を考えてございます。現在、梅の被害に対する第一次借入希望額は五千万円となっており、国と協議中であります。承認があり次第、早急に貸付手続等をしてまいりたいと存じます。
 なお、他の果樹につきましても、被害の状況に応じて資金の需要量調査を行ってまいります。
 また、この機会に農家に対し農業共済制度の理解を図るための啓発活動と加入促進について強く指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 禁煙の取り組みと青少年の禁煙教育について、県行政の中での禁煙、分煙対策についてお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、喫煙は、がん、循環器疾患等の発生の危険因子であるとされており、喫煙者だけでなく周りの非喫煙者の健康にも影響を及ぼすことから、疾病予防の面からも喫煙対策は重要な課題と認識をしております。
 県としても、WHOの世界禁煙デーを中心に、県庁各課と出先機関、関係団体に禁煙、分煙対策の推進について呼びかけ、ポスターなどを配布するとともに、保健所において衛生教育の場や各種事業により普及啓発に努めているところでございます。今後とも、喫煙と健康問題について理解を深めるため努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 禁煙教育についてお答えいたします。
 未成年者の喫煙の実態については、全国的に増加の傾向にあります。本県でも、平成三年に喫煙で補導された者は小学生十三名、中学生三百六十三名、高校生千六百七十五名、合計二千五十一名で、前年度に比べて一六%の増加となっております。
 未成年者の喫煙は、がんや動脈硬化を初め多くの成人病の誘因となり、またさまざまな非行につながることが多く、健康を守る上からも、生徒指導上からも重大な教育問題であると考えてございます。
 このため、各中学校、高等学校においては、教科「保健」の授業で計画的に指導するとともに、映画やビデオ教材等を活用したり、医師の協力を得て講演会を開催するなど、保健指導、生徒指導の両面から喫煙の防止に取り組んでいるところであります。
 また、教育委員会といたしましても、各種の指導資料やパンフレット、ポスター等を各学校に配布してその活用を促すとともに、養護教諭研究会、生徒指導部長会議を初め各種の会議や研修会等において取り組みについての理解を深めているところでございます。しかしながら、未成年者の喫煙がなお増加し、低年齢化の傾向にある現状を踏まえ、ご提言いただきました小学生を含む禁煙教育の推進について、保護者はもとより関係機関やPTAとの連携をさらに深め、指導の徹底を図ってまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁、ありがとうございました。
 白浜空港については、いろんな問題、課題がございましたので二年近くおくれておりますけれども、一日も早くこのおくれを取り戻して、そして事故のないように開港に向けて取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
 二つ目には、平成七年度には三十万人余りの予測が立てられておりますけれども、紀南地方ではこの受け入れ態勢が必要かと思います。また、この空港の利用拡大をどのようにしていくか、その意味で各団体、関係者と利用促進協議会を発足し、あるいは充実して、対応策を今から考えていく必要があろうかと思います。また、紀南地方への招致の全国的なPRを積極的に取り組む必要があろうかと思いますので、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つはアクセス道路の関係でございますが、田辺周辺の整備については、私は文里湾架橋はどうしても必要になってくるのではないだろうかと思います。田辺市においても、過去五十三年ごろから調査研究をいたしまして、県行政の方に何回か陳情もなされたようであります。その当時と今では交通量等もかなり変わってきておりますし、田辺市においても再びこの構想を掲げて取り組んでいこうという意気込みで頑張っておりますので、どうか県といたしましても、ぜひとも前向きに調査研究をしていただくことを強く要望しておきたいと思います。
 もう一点、JRの関係でございます。
 南紀白浜空港を紀南の県民がこぞって利用することによって、経済、文化、観光面に大きな影響を及ぼすものだと私は思います。そういった意味で、特急の時間短縮が非常に必要かと思いますので、ぜひともJRの方に力強く申し込みをしていただきたいと思います。また、最終便の特急の時間繰り上げ、繰り下げについても、できないとすれば急行あるいは快速を取り入れられるようなこともあわせて要望していただければ光栄かと思います。
 以上をもって、要望に終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十三分休憩
 ──────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、通告に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、平和のために自治体行政は何かをしなければならないのではないか、何かすることができるのではないか、そういうテーマで質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
 実は、この問題は、昨年の九月議会でも非核宣言の提案ということで取り上げさせていただいたテーマでございます。そのとき私は、おおむね次のように述べさせていただきました。
 戦争の記憶が、今は随分と風化してきているのではないだろうか。特に若い世代、子供たちの世代には、それが著しい傾向になっているのではなかろうか。しかし、現在の世上は必ずしも安閑とした時代でもないし、地球的な視野で見ればきな臭い現実があちらこちらに起こっている。日本はおかげで現在は平和だけれども、必ずしも未来永劫にそれが保障されているというわけではなかろう。また、現在の平和憲法と平和を求める人々、あるいは戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないと誓った人々の深い思いが現在の平和を支えていたと思う。だとするならば、先人、並びに現在に生きる我々が、今日までの平和を支えてきた根源的な力、平和憲法の遵守と日本国民が戦争のために再び銃を持たないという思いを、可能な努力を払いながら来るべき若い世代に継承していくべきではなかろうか。そして、そのために県行政が何らかの行政措置を講ずることが必要ではなかろうか。大体、以上のような要旨でお尋ねをしたところでございます。
 それに対して知事は、ご記憶あろうかと思いますが、概略、次のように答弁をされた次第です。
 いろいろな提言があったけれども、県議会初め県民各層の幅広い議論がなされて、そうした議論の盛り上がりを踏まえることが大切だ、また、平和というものは口で言うことは易しいことだけれども、口だけではだめなんだ、いかに平和を維持するかという方法論が一番問題なんだ、その問題を真剣に考えておくことが大切だ、過去の戦争の経過から見ても、ただ口で平和を言うだけではだめだ、口で言うだけでは簡単に平和は来ない、こういうふうに答弁をされたわけです。
 私は、この答弁のある部分については賛同するところもありました。しかし、その大部分については不満を感じておりました。残念ながら時間切れでございまして、再々質問をするわけにいかなかったわけでございます。昨今、国会でPKO法案の問題なども相当論議をされました。あるいはまた、それを通じて平和ということについて国民としてしっかり考えなければならないような機運も起こってまいったところであろうかと思い、再びこの問題を取り上げさせていただくことにしたわけでございます。
 前回の知事答弁の中に、県民の深い議論の盛り上がりが必要だというお話がございました。私は、そのとおりだと思います。県民の幅広い議論があってこそ、平和を自覚していこう、平和を維持していこうということがそれぞれに高まってくるのだと思いますけれども、私はそれを待つのではなくて、そういう機運を大きく盛り上げていくために積極的なイニシアを知事が発揮されるべきではなかろうかと思うわけです。そして、五十の地方公共団体のうち既に三十二の市町村が非核自治体宣言あるいは平和と非核の宣言を発して、たとえささやかであっても何らかの形で平和を維持していくために、ともに決意を新たにしていこうではないかという運動をされている現在であります。だから、今、改めて県民の広い議論を待つという、そしてそれを待ってから何かを起こそうというのではなくて、そういう運動が既に高まっているわけですから、それに積極的にこたえ、さらにそれを大きくしていこうとされるのが知事の務めではなかろうかと思うわけです。
 あるいはまた、平和は口で言うだけではだめだ、口で言うのは易しいが大切なのは方法論だと、こう知事はおっしゃいました。確かに、それもそのとおりであります。しかし私は、大切な方法論の前にその方法論を生み出していく、平和を切実に願う気持ちをもっと涵養していくことが重要ではなかろうかと思うわけです。そういう切なる気持ちの上に立ってこそ、適正な方法論も生まれてくるのではなかろうかと考えるわけです。そういう点では、方法論が大事だから今、平和を涵養するような自治体行政はもうちょっと考えなければならないというような論議ではおかしいのではなかろうかと思うわけです。
 あるいはまた、口で言うだけではだめなんだ、こういうふうにおっしゃられましたけれども、まさに口で言うだけではだめだから、それこそ行為が必要なわけです。自治体がなせることというのは、平和を守っていこう、憲法を大切にしていこう、そういうふうに思う県民の心をはぐくんでいく、そういう行為こそ求められているのではないでしょうか。知事は前回の答弁の中でも、国民的な行為こそが今の平和を守ってきた力だ、県民一人一人の力が今の平和を維持していく上で大きな力になっているんだということもおっしゃられたわけでございます。したがって、そういう立場で、今、この和歌山県が非核宣言を発するなり、あるいはたとえそういう形ではなくても、お互いが平和憲法を守って決して戦争の惨禍を忘れない、二度と銃は持たないんだという誓いを新たに次の世代に継承していく、何らかの形でそういう行政があってもしかるべきではないかと思うわけでございます。そういう点で、知事は現在いかがお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと思います。
 続きまして、環境保全について幾つかお尋ねをいたします。
 地球環境サミットというのが開かれまして、昨今のマスコミには環境問題が報じられていない日はないといったような現状でございます。地球環境を守っていくために、国民あるいは県民一人一人がみずからの対応を考えていかなければならない、そういう時代になっているのだと思います。もちろん、現在の地球環境の破壊は、毎日の生活を営んでいる個人の責任が主なものではないと思います。それは、乱開発や化学物質の無制限な放出をする企業、それを許した国の姿勢、あるいはさまざまな公害物質の放出をそのままに許してきた環境、そういうのが今の地球環境の危機を生み出してきた実態であろうかと思います。
 しかし、私はきょう、そういうような企業責任、あるいは国の責任、行政責任についてお尋ねするつもりはございません。県民一人一人が地球を大切にしていこう、私たちの住む環境を大事にしていこう、自分たちのふるさとを美しく守っていこう、こういう気持ちをどうこれから育てていくのか。地球サミットを契機として環境保全の声が大きく高まっているときに、お互いにそういう自覚を高め、それをさらに一層促していく、そういう行政が今必要なのではなかろうかと思うわけでございます。
 スプレーを振るとフロンが出る、てんぷらを揚げると廃油ができる、そういうことはみんな知っていて、多くの方々はこれは何らかの害があるだろうと思ってはいても、そうしたらどうしたらいいのか、どうしようかというところまではなかなかいかないのが現実であります。生活をすれば、必ず廃棄物は出てまいります。その廃棄物の処理に対して、個人が責任を持てないことも多々あります。多くの問題について行政はこたえておられますけれども、また多くの問題にこたえられていないという現実もあるわけであります。そういうときに、県民一人一人が地球環境を大切にする、自分たちの環境を大切にするという自覚を大きく持っていくかどうか、これは今後大きな問題になってくるのではないかと思います。
 そういう思いで県行政がどんなことをされているのかを振り返ってみたら、私は随分勉強させられました。立派な冊子などもつくっておられて、多くの方々に配布されておるそうです。あるいは、小学生には副読本をつくって学ばせているようです。また、ことしに入って中学生に対しても副読本をつくって配られた。先日、その副読本類あるいは家庭対象につくられた冊子を読ませていただきました。なかなかいいことが書いてあって、私自身、反省させられる点もございました。あるいは、川を汚してはいけないということで講習会が持たれ、多くの方々がそれに参加されている。随分と努力されていることに気がつきました。関係各位に対して敬意を表したいと思うわけであります。
 しかし同時に、一つの物足りなさも感じました。それは、スケールの小ささ、系統性をどこまで持つかという問題です。
 例えば、川を汚さないでおこうという講習会をある河川の流域で行います。ことしそれが行われたら、次にそこでやられるのはいつの日になるだろうか。恐らく、十数年待たなければならないのではないかと思います。来年はどこかの河川、その次の年はまたどこかの河川ということで転々としてまいります。そこでは系統性がなく、せっかく環境保護のために与えられた経験なり知識が忘れ去られていく、あるいはまた半減していくような事態にもあるわけです。
 社会人対象に、きれいな冊子が配られています。非常にいい冊子です。ところが、これがどれだけ発行されているかというと、一万数千部だそうです。三十五万の世帯があるわけです。それの微々たる対象にしか出されていない。これでは十分の効果を上げられない。私だけがやってもという意識はどこかで残るわけです。県民総ぐるみというような運動にしていくことが大事ではなかろうかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
 みそ汁一杯を流すと、ふろおけに五杯の水がないと魚がすめないそうです。米のとぎ汁を流しますと、ふろおけに六、七杯の水がないと魚がすめない。ビールをコップ一杯流しますと十数杯の水がないとだめだと、こういうこともその冊子で教えられました。以来私は、ビールは一滴も残さずに飲み干すことにしているわけですが、てんぷら油は飲むわけにいきませんし、米のとぎ汁も飲めません。そういう問題をみんなで考えていくことが必要ではなかろうかと思うわけです。
 そこで、この際、今まで行われてきた環境教育をもっと大幅に、ダイナミックに展開されてはどうだろうか。一万数千戸に配布したパンフレットは、三十五万の家庭に配られるようにしてはどうだろうか。小中学校の生徒に配った副読本は、高等学校用にも編さんされ、環境の大切さ、私たちの住む地球を守っていこうという学生を育てていくようにしてはどうだろうか。
 それぞれのサイドで努力をされておりますが、県行政としての一層のご努力を期待したいと思うのでございます。この点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
 続きまして、学校の五日制についてお尋ねを申し上げます。
 五日制の問題について、私は今まで、基本的には賛成の立場からいろいろご意見を申し上げてまいりましたし、本日もその立場から論議をさせていただきたいと思うわけでございます。
 九月からの月一回の土曜休校を前にして、考えるべきことあるいは対応しなければならないことが随分と残っているのではなかろうかと思うわけでございます。その一つは、お父さんやお母さん、先生方、あるいはまた子供たちに対して土曜休日の積極的な意味についてどこまで浸透されているんだろうか、土曜休日の意味というものがどのように県民各層の中に普及されているのであろうか、この問題が一つであります。
 また、土曜日をカットすればその分はどこで勉強するのかというような問題、さらにまた指導要領──これはもともと六日制を前提につくられた学習指導要領でありますが、それをそのまま現行どおりやっていってもいいんだろうかという問題があります。あるいはまた、巷間うわさされている、土曜日が休日になれば塾産業が発展するだろうというようなことについて、塾の対策をどのようにしたらいいのだろうか等、まだまだ残された問題があるのではないかと思いますので、お尋ねをさせていただきたいと思うわけでございます。
 お父さんやお母さん方、子供さんの多くは、九月から月一回土曜日が休みになるということは知っておられます。ところが、これは専らマスコミ情報ですね。新聞で読んだとか、テレビで見たとか。こういうことでは、本当に五日制の意味というのをわかっていただけないのでないかと思うわけです。そういういろんな準備がどのように進んでいるかということについて、その積極的な意味が私の方にもなかなか伝わってこない。伝わってくれば、社会としてその土曜日をどう生かしていくかという前向きの論議がもっともっと起こっていいわけですが、なかなかそうもならないというのが現実です。もちろん、その話がごく最近に出てきて急激に進んでいるところに問題があるというのを私も承知しているわけですけれども、しかし、それだったらそれなりに早い対応が求められるのではないかと思うわけなんです。
 いろいろ理由や事情はあろうかと思いますけれども、月一回だから混乱さえなければいいんじゃないかと考えられる方もおられるかと思いますが、そういうことでは一日の休みが二日になり、三日あるいは五日になっていく、そういう流れにだらだらっと対応していくようなことになりかねません。もちろん、教育委員会はそのようなぶざまなことは考えておられないと私は信頼を申し上げておる次第でありますが、しかし、そういうことが伝わってこない現状にあるというのが実情であろうかと思います。その準備の進捗状況をひとつお教えいただきたいと思います。
 それから、塾の問題でございます。
 これについては一部の報道もあったかと思いますけれども、教育委員会が土曜の休塾というふうな申し入れをしたとお聞きしておりますが、どのようにされているのかということをひとつ明らかにしていただきたい。それに対して、塾関係者がどのような対応をされてきたのかということについても教えていただきたいと思います。
 それから、塾の問題というと、塾の経営者だけではなくて、塾へ通わせる親の問題もまたあるわけです。その辺をどういうふうに対応していくのかということも考えられなければならないのではないかと思うわけです。そういう点、教育委員会がどのようにお考えになり、対応されているのかということをお教えいただきたいと思います。
 この際、本筋から若干外れますが、子供たちは学校から帰ると塾へ通うというのがごく普通の状態になっているようですね。私も、最近あちこちで、残業のない社会をつくってお父さんと一緒に夕食を食べて一家団らんができるような政治にしようじゃないかというような話をすることがちょこちょこあるんですね。そしたら、お父さんは帰ってきても子供が塾でおりませんと、こういうような話が出てくるんですよ。一家団らんに欠けるのはお父さんだけじゃなくて、子供自身も欠けてしまうような風潮が随分とあるようなんです。
 まあ、すべてではありませんけれども、しかし、それほどまでに塾に頼らなければならない状態はどうして起こってきたんだろうか、こういうことをどう考えたらいいんだろうか、塾がなくてもいいような教育は実現できないものだろうかということを思うわけでございます。そういう点、若干本筋から離れたことになりますけれども、教育長のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
 それから、土曜日の休みの分の授業をどこへ持ってくるかという論議がよくやられておるようでございます。短縮の見直しだとか、水曜の午後をどうするとか、学校行事の見直しとか、ゆとりの時間を活用したらどうだろうかと、そんな話がいろいろ出てまいります。
 私は、土曜日の分を別の日にそのまま持ってこようかという考えは、どうも五日制の趣旨に反するのではないかと思うんです。土曜日のゆとりを保障するかわりにその分だけを別のところへ持っていくということになれば、別のところが過密になるわけですから、そういうことでは本来的な目的を達成することができないのではないかと思うわけです。
 学校行事の見直しということもありますけれども、学校行事などというのは子供たちにとっては学校の中での息抜きなんですね。清涼剤なんです。私自身も、学校行事の楽しかった思い出、あるいはつらかったこともありますけれども、そういう思い出が鮮明に残っております。それは、学校生活を送る上での一つの刺激でもあったし、清涼剤でもあったと思うんです。だから、安易に学校行事を見直して、それじゃ運動会の練習を二日ほど削ろうかと、そこまで考えておられないと思いますけれども、そういうことであってはだめじゃないかと思います。そこで、土曜日のカット分をどうするかについての基本的なお考えをいま一度お聞かせいただきたいと思います。
 それから、新指導要領との関係でございます。
 冒頭に申し上げたように、現在、小学校でことしから始まった新指導要領、そしてまた来年から中学校で始まろうとしている指導要領でございますが、これは六日制を前提としてつくられていると思うんですね。この指導要領は、五日制なんか全く考えられなかった状況の中でつくられているのではないかと思います。奥で何か考えられていたかどうか知りませんけれども、少なくとも表面には出ておりません。こういうような指導要領であれば、五日制の理念と反するのではないかと思うんです。真っ向から反しなくても無理が出てくるんじゃないかと思います。
 教育長も文教委員会で、一日、二日なら何とかこなせるだろうけれども、三日になれば何らか考えなければならないかもしれないというようなニュアンスのお話をされたことがございました。私もそのとおりだと思いますけれども、日時がたってからこの新指導要領を見直してもらいたいと言い始めても、矛盾が大きくなってからでは遅過ぎると思うんです。
 それで、何とか今から新指導要領を見直して、五日制にマッチするような指導要領をつくっていこうではないかということをお考えいただいて、それをしかるべき国の機関、文部省へでも具申をしていただけないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。ひとつご答弁をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、生涯学習と図書館ということでお尋ねを申し上げたいと思います。
 私は、昨年の六月議会で、生涯学習と公民館というテーマで私なりのご意見を申し上げさせていただいたわけでございますけれども、今回は、公民館と並んで重要な機関である図書館が現在どのような状態になっているのか、生涯学習を発展させていく上でそれをどのように機能させていかなければならないのかというあたりをお尋ねしたいと思うんです。
 経済企画庁が昨年発表した国民生活指標によりますと、日本は生活水準では相当高くなってヨーロッパ並みになっているところもあるけれども、文化とか学習になると随分差がございます。当然のことですが、日本の方が劣っている。図書館なんかも随分と差がある。そういう経済企画庁の文言をとらえて、日本図書館協会が、これは日本文化のひずみなんだ、これを正していくところに正常な文化の発展の方向もあるのではないかというような話が出ておりました。
 図書館のない自治体は、全国的に見ると六五%あるそうです。和歌山県ではどれだけかというと、七四%です。町村単位では、全国的に見ると七九%が図書館を持っていない。ところが、和歌山はどうかというと八六%が持っていない。こういうふうに一○%ぐらいずつの開きがあるわけです。農山村地域を多く抱えている県でございますから、都市部のところだけと並行して比べるわけにはいかないと思いますけれども、しかし、そういうふうにおくれがあるのは事実のようであります。
 片一方で、生涯教育の重要性が叫ばれているわけですね。お花とか習字を趣味的に習っていくという生涯教育の段階であれば、別に図書館のことなどあえて大きな声で言わなくてもいいかと思いますけれども、これからの展望されている生涯教育ということを考えると、やはり本格的な生涯教育には本格的な図書館というのが並列していかなければ、それは発展していく上で大きな障害になってくると思うんです。そういう点で、生涯教育と図書館というのをどのようにお考えになっておられるのか、現在の状況をどのように評価されておって、この問題を長期総合計画ではどのように解決していこうとしているのか、その現状はどうか、こういうあたりをひとつ明らかにしていただければと思います。
 また、幾つかの町村で合同して図書館を建設していこうというようなプランを長計の中に持っているようでありますが、そういう問題は現在ではどうなっているのか、そういうこともお聞かせいただければと思います。
 また、図書館の利用状況について考えてみますと、図書館で本を借りる人というのは、人口比で言いますと、日本で平均すると八・四%しかないそうですね。これは随分低い話だなと思うんですけれども、では和歌山県ではどうだろうかということになるわけですが、これは私、知りません。五十の公共団体のうち十三しか図書館を持っていないわけですから、ひょっとするともっと少ないかもわかりません。この辺どういうふうに掌握されているのか、わかっていれば教えてください。わからなければ結構です。図書館の利用状況の現状ですね、お調べになっていることがあれば教えていただければと思います。
 また学校図書館の利用状況なども、この間ちょっと見てみましたら、小中学校はなかなかわかりにくいんですけれども、高等学校なんかになると相当立派な図書館が設置されております。しかし、貸し出された総数を生徒数で割ってみると年間一・九冊です。学校に格差があって高いところと低いところがあるわけですが、平均すると一・九冊になる。もったいない話だなと思うんです。先生方や司書の方も頑張っておられるわけですけれども、そういう状況です。もっと読書をしなければならない世代ですから、図書館を利用できないものだろうかと思うわけです。何か教育長、お考えになっておられればお教えいただきたいと思うわけでございます。
 本離れというのは、年を経るごとに進んでいるようですね。全国学校図書館協議会の調べによりますと、今、一カ月に本を読む冊数というのは、薄いのやら漫画も入っているそうなんですが、小学生で五・八冊、中学生で一・九冊、高等学校になると一・四冊ぐらいだそうです。文部省の調べで、高等学校で一カ月に一冊も本を読まない生徒がどのくらいおるかというのを抽出アンケートでやってみると、七割が読んでいなかったというような統計も出ているわけです。本離れの傾向というのがあるわけです。別に何も本だけが人生ではありません、グラウンドにも人生がありますから、図書館だけをわあわあ言うわけではありませんけれども、これから生涯教育を発展させていく上での一つのかなめ、ポイントになってくるんではなかろうかと思いまして、この点について気になるわけでございます。
 そういう点で、旺盛な読書意欲を喚起して大いに図書館も利用される、そして和歌山県の生涯教育がぐんぐんと発展していくような状況をぜひともつくり上げていきたいし、私たちもできることをしながら頑張っていきたいと思うわけですが、教育長はその辺どのようなお考えを持っておられるのかお聞きいたしまして、私の第一問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 平和のための行政ということでございます。
 昨今の世界情勢は、ソ連邦の崩壊、またソ連共産党の崩壊によりまして東西間の緊張緩和は進みつつあると思うわけでございます。しかしながら、昨年の湾岸戦争、また現在のカンボジアの問題等をめぐって、国際間の紛争解決や民生安定のために我が国がいかなることをなすべきかということはさきの国会において論議されたところでございます。
 平和問題については、私は鶴田議員にお答え申し上げたわけでございますけれども、今日の我が国の繁栄を築いたのは、一にかかって国民一人一人の努力と平和が続いたたまものであると思っております。もとより、県民一人一人が平和のとうとさを十分自覚することが大切でもございますし、私も、平和を支える重要な柱として自由と民主主義が十分必要であるということを認識しております。そうした面において、行政においても積極的に取り組んでおるところでございます。
 現在の世界情勢を見ても、歴史的な由来、民族間の対立、隣接諸国との政治体制の相違、宗教問題等々、解決困難な問題が非常に多いわけでございまして、一地方団体がなし得るにはおのずから限界があると思うわけでございます。
 いろいろ提案いただきましたが、ご意見として承らせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 環境保全の県民的意識の高揚のためにとのご質問にお答えを申し上げます。
 県民一人一人が環境問題に対する理解と認識を深め、環境保全のための行動を心がけていくことが重要であると認識をしております。
 これまで、小中学生向け副読本、一般社会人向け冊子、生活排水啓発パンフレットの作成やビデオの制作などを行うとともに、環境月間記念シンポジウムや和歌山環境フェアの開催など普及啓発活動に継続的に取り組んでいるところであります。
 平成元年度に設立した地域環境保全基金の運用益を今後とも有効に活用し、テーマ、対象者、地域性、媒体などを考慮し、新たな話題や身近な問題を取り入れ、意識の高揚、環境保全への参加を図ってまいりたいと考えてございます。
 さらに、市町村や関係機関に働きかけていくとともに、環境保全推進員の活動を活発にし、計画的、体系的に普及啓発を展開してまいりたいと考えてございます。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校五日制、生涯学習と図書館教育についてお答えいたします。
 学校週五日制については、昨年十一月に教育委員会内に検討委員会を設置して以来、今日まで約八カ月にわたり、教育課程上の創意と工夫や休業日となる土曜日における学校外活動の場と機会の提供、教職員の勤務のあり方など、多くの課題についてあらゆる角度から検討してきたところでございます。その間、約三十にも及ぶ関係団体から意見を聞くとともに、保護者の理解と協力を得ることが大切であるという観点から、近畿で初めて全県的な規模で学校週五日制に関するアンケート調査を実施いたしました。
 特に、アンケート調査の結果からは、学力水準の維持向上、留守家庭の子供への対応のあり方、学校外活動の場や機会の充実などにかかわる課題が出されました。
 現在、こうした県民の皆さん方の声を踏まえて、九月からの円滑な実施に向けて鋭意取り組んでいるところであり、さらに近日中に市町村教育委員会並びに関係機関との学校週五日制に係る連絡協議会を開催し、実施に伴う具体的な諸課題への対応について協議することとしております。
 次に、学習塾に対する対策についてであります。
 文部省は、本年五月に学習塾の団体に対して営業の自粛を要請してございますが、本県においても、保護者へのアンケート調査の結果、過度の学習塾通いにつながるのではないかとの不安が出されております。
 そのため、教育委員会といたしましては、このほど県内の学習塾関係者に対して、学校週五日制の趣旨の理解と協力を要請するとともに、休みとなる第二土曜日が過度の学習塾通いなどにつながらないよう適切な配慮をお願いしたところでございます。塾関係者からは、学校週五日制の趣旨について一定の理解が得られたものと受けとめてございます。また県民に対しては、過日、ラジオ放送等を通して学校週五日制の趣旨の説明を行ったところであり、今後さらに広報紙の活用を初め、さまざまな機会をとらえて理解と協力を得るよう努めてまいりたいと考えてございます。
 県内の学習塾の状況について、正確な把握は困難な面がございますが、社団法人や私塾組合等に加盟しているのが六十余りあり、そのほかに未加入のものが少なからずあると見られます。こうした背景には、高学歴志向や受験競争の過熱化等の社会的風潮があると考えられますが、児童生徒の健全育成及び学校教育に対する信頼という観点から、今後とも保護者の期待にこたえるため、教職員が汗をかいて子供に一層深くかかわり、学校教育が充実するよう努めてまいる所存であります。
 学校週五日制が月一回導入される場合、学力水準の維持向上を図るため、学習指導要領に示されている標準授業日数及び時数を確保することは、本県にとっては特に大切であると思っております。このことは、学校行事の精選や学校裁量の時間の活用、短縮授業の見直しなどによって対応できるものと考えてございます。その際、子供に対し過重な学習の負担感を与えないよう、学習のリズムや集中力の保持などの面から学習指導内容や方法を工夫する必要があります。
 今後、学校週五日制が段階的に拡充していく場合には慎重な対応が必要であると考えております。月二回の導入に関する調査研究協力校の研究の成果等も踏まえながら、文部省及び都道府県教育長協議会との意思の疎通を図りつつ、教育課程編成のあり方と学習指導要領の関連について幅広く検討していく必要があるものと考えております。
 次に、生涯学習と図書館についてでございます。
 図書館は、地域住民の身近にあって、人々の多様化、高度化する学習ニーズにこたえるための豊富な資料と情報を提供する中核施設として、県民の生涯学習を進める上でも欠くことのできない重要なものと考えてございます。
 現在、建設中の新しい図書館は、平成五年度の開館を目途に諸準備を進めてございまして、収蔵能力は百万冊を有し、コンピューターシステムによる図書館サービスの向上を図ることとしております。また、現在、県内全市町村と接続して運用してございます学習情報提供システムを活用してこの新しい図書館と結び、さらに県内にある図書館や国立国会図書館、全国の主要図書館とのネットーワーク化を進めるよう努め、図書館サービスの地域格差の解消を目指したいと考えております。
 市町村における図書館の整備につきましては、長期総合計画で平成二年度に十七館を目標としてございましたが、現在、十三館の状況となってございます。しかしながら、現時点では四カ町村で建設計画や構想がなされている状況でございます。
 次に、図書館の利用状況についてでございます。
 県立図書館については、平成元年度の貸出冊数十九万四千五百五十六冊に対し、平成三年度は二十二万九千七百六十五冊となり、元年度比一一八・一%となってございます。一方、市町村立図書館については、平成元年度の貸出冊数百三十八万五千七百四十四冊に対し、平成三年度は百四十三万七千四百五十五冊となり、元年度比一○三・七%となってございます。
 また、県立高等学校の図書館の利用状況でございますが、近年、青少年の活字離れの傾向もあって生徒への貸し出しが全般的に低調であることは否定できません。学校図書館は、学校における教育活動を展開するに当たっての資料センター、情報センターとしての機能や、生徒が調査研究等を通じ主体的に学習活動を行う学習センターとしての機能を持ってございます。今後、学校の授業と関連づけた利用方法や読書会、さらには資料展示会などを行うことによって生徒の読書意欲を喚起し、幅広く利用できるよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 たくさんしたいわけですが、時間がもう五分しかないようですので、知事さんだけにさせていただきます。
 平和を守っていくという県民世論を喚起していく、その上で行政は何かできないかということでお尋ねをしたわけですが、知事は知事なりのお考えを持ってやっておられるんだろうとは思いますけれども、知事は先ほどの答弁の中で、問題が大きくて一地方公共団体でなし得ることはおのずから限界があると、こういうふうにおっしゃられました。そのとおりだと思うんです。しかし、その限界の中でどれだけのことができるかということが今問われているんじゃないかと思うんですね。そういう点で、今、県下の三十二の市町村がいろんな形で平和のための取り組みをやっておられるのは大切なことじゃないかと思うんです。
 例えば、今度、和歌山市が広島へ平和のバスを出すという計画をされています。乗っていかれる人は三十人ばかりでわずかなんですけれども、そういう一つのプレーがいろんな意味で和歌山市民に影響を与えておる。原爆は絶対嫌だなあというような話がそういう行事の中から大きく広がっていく、そういう集いがまたどこかで連鎖して行われるというようなことが起こっているわけですね。私は、こういったことは大事じゃないかと思うんです。
 和歌山県でも何千名の犠牲者が出たあの戦争の惨禍を県行政としても伝えていく、継承して平和のとうとさを来るべき世代へ伝えていくというような行政はあってしかるべきではないかなあと思うんです。それは、おのずと限界があるという、その限界の中でできる仕事ではないかと思うのですがいかがでございましょうか、お尋ねを申し上げたいと思います。
 あと、簡単に要望を二、三いたします。
 環境衛生の関係でお願いをしたいと思うんです。先ほど言われたような事業は大切なことだと思いますけれども、予算が少ないと思うんです。基金の枠内だけで考えられておると前進しないと思うんです。財政上の問題もいろいろあって困難な面もあろうかと思いますけれども、基金の枠を超えて事業化していくというようなことを積極的にお考えいただきたいと思います。
 それから、教育長にもう一つお願いを申し上げたいと思います。
 図書館ですが、ことしまでの計画では三、四館のおくれがあるということなんです。西暦二○○○年までの計画では、二十七館をつくっていこうという計画なんですね。あと八年なんです。今十三館でしょう。あと十四館つくらなならん。そういうような大きな仕事がまだ残されております。相当馬力をかけてやっていただかないと難しいんじゃないかと思います。金の問題がありますから、市町村のしりをたたくだけではうまくいかない。聞くところによりますと、図書館をつくるために県から市町村におりる補助金というのは百万ほどしかないそうですね。これじゃお話にならないわけです。いろいろと工夫をして市町村の図書館行政が大きく前進するように援助されることを要望申し上げておきたいと思います。
 知事に、ひとつ答弁をお願いいたします。
○副議長(平越孝哉君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答えします。
 平和ということは、私も先ほど申しましたように、自由主義と民主主義、これが一番の根底だと思うんです。そうした意味において県の行政を行っておるわけでございます。
 また、戦争の悲惨さを思い出すということ、これは大事なことだと思います。近く、和歌山市が戦災でやられた日が参ります。そこにも毎年参っております。慰霊祭にも参りまして、戦争がもう二度とないように心から願っております。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十九分散会

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