平成4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第六号 平成四年三月十六日(月曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十三号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十三号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 請願付託
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村 翼
 10 番 小 川 武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田 亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本 一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田 豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗 正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本 進
 41 番 野見山  海
 42 番 森 正 樹
 43 番 浜 本 収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(二人)
 16 番 西 本 長 浩
 47 番 山 崎 幹 雄
明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 若 林 弘 澄
 土木部長 山 田 功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  玉 置 英 夫
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
  水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 倉 本 辰 美
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 大 畑 巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第一号から議案第八十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 38番和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 平成四年当初議会も、議会運営委員長大江先生の真摯なご精励によりまして円満に今日まで運んでまいりました。一般質問も本日一日となりました。いましばらくご清聴を賜りたいと思います。
 通告に従いまして、スポーツの振興と施設整備について、質問と提言をさせていただきたいと思います。
 過日、同僚の高瀬議員が、これらの関係で自分の経験を踏まえ、さらに現在の和歌山県のスポーツのあり方等について、まじめなご提言をなされておりました。一部重複する部分もあろうかと思いますが、ご容赦いただきたいと思います。
 今、四月の開幕を前にしてオープン戦たけなわのプロ野球でございます。昨今ではサッカーや相撲にファンの層が移動しつつあるとはいえ、ドラフトの新戦力や新外人の活躍をそれぞれのチームを応援するファン心理としてにぎやかにいろいろと話がされてきています。また、高校球児たちの選抜大会が県代表として南部、日高高校の二校の出場という喜びと期待を受けて開会されようとしています。
 今、私の手元にグリーンピア南紀への要望事項がございます。これは、昨年夏、ドーム球場での都市対抗野球で活躍をした住金野球団高多監督からのものであります。下川議員を初め東牟婁選出の県会議員の皆様からの強い要請もあって、住金野球団にグリーンピア南紀でのスプリングキャンプをお願いして、三年間の現地体験からのものであります。過日、その利用した体験からの感想と要望をただしたことに答えてくれたものであり、以下、紹介をいたします。
 「グリーンピア南紀でのスプリングキャンプは今回で三年目ですが、いずれも天候に恵まれ大いに成果を上げています」。「全体的な印象」としては、「長期滞在してもストレスが溜まらない」、「従業員の接客態度が特によい。これが第一の理由」。「客室の快適性、温泉(浴場)、食事の内容とも申し分ない」。
 二点目に、「施設についての要望事項」として、「投手用ブルペン」については、「簡単な囲いがあれば、もっと良くなる。例えば工事用のシート等で囲う」、「サブグラウンド(ブルペン横)」については、「内野の守備練習ができる程度に土質が改良されれば、キャンプ地としての格上げ可」、「外野防球ネット」については、「ライト側のネットは絶大な効果有り。(ボールがグラウンドへ自動的に返る構造は大ヒット)、ライト側の伸延とレフト側への新設で更に効果アップが期待できる」。
 三点目に、「更にに欲をいえば(プロ球団のキャンプ等を誘致するには)」として「 1雨天練習場 2メインスタジアム 3ウエイトトレーニング場が必要と考える」。
 特に、プロ球団のキャンプ誘致等の項目については、「住友金属野球団として必ずしも必要というものではありません。グリーンピア南紀として、グレードアップを望まれる場合の御参考にして頂ければと思って掲げてみました。但し、大きさ(広さ)についての一応のプランは各々持っています。今後とも宜しくお願い申し上げます」。
 これが、住金野球団高多監督からの私に対する答えであります。
 以上、主としてハード面の指摘であるわけですが、県下の実業団野球団として、しかもグリーンピア南紀で三年間キャンプを張っていることをご承知おきの方は以外と少なかったのではないか。住金野球団のPRも下手だと思います。県の関係の皆さん方においても、せっかくの南紀のこの施設を関連させて、ドーム球場で活躍している実業団のキャンプ等をできれば機会あるごとに県民の皆さんにご紹介をしていただくことなども一つの方策ではなかったかと思うわけですが、私はこれに加えて、数多く訪れる報道陣やギャルを中心としたファンへの対応というソフト面も考慮する必要があると考えるわけであります。
 今、プロ野球のキャンプ誘致は、南国を中心に、実績を持つ海外の国を含め激しい競争であるだけに、ハード、ソフト両面の整備充実が必要ですけれども、せっかくのグリーンピア南紀と自然と温泉を中心とした恵まれた南紀、熊野との連動等も考え、それぞれの環境を生かす意味でもプロ野球キャンプの誘致を実現したいものであります。地域活性化への波及効果も極めて大きいと考えます。年金事業団とのかかわりもございますけれども、和歌山県単独事業、公共事業として、グリーンピア南紀の後背地でまだ余っている土地などの活用を含め、ひとつ思い切ってプロ野球の誘致に向けてご努力をいただきたい。そういう環境整備ができれば、恐らくオリックスの土井監督と下川議員との関係を含め誘致合戦にご協力いただけるんではないか。こういう期待を含めて、今後、地元関係者の協力をいただき、ぜひ実現する方向での知事のご所見をいただきたいのであります。
 次に、スポーツ施設の整備充実について、こんな話を聞いたのであります。
 本年二月二十三日、県教育委員会、社団法人和歌山県体育協会が主催した和歌山県スポーツ講演会に講師として見えられた文部省スポーツ功労特別指導委員で世界卓球連盟会長である荻村伊智朗さんが、講演の後、県立体育館を訪れ、関係者との雑談の中で新しくつくられた東京体育館の話をされ、多額の予算を使って建設された割には利用しづらい体育館であること、またスポーツ施設は、言葉をかえるなら、多数の人が集まる場所でありますから、文化の発信基地でもあるというふうに話されたそうであります。古くなっている現在の県立体育館から、今回、操車場跡地に建設を進めるため予算提案されている多目的ホールに関連して、東京体育館の経験から各方面の意見をより多く聞くこと、とりわけ利用する関係者の声を反映した施設にすることがハード、ソフト両面から利用しやすいものになると話されたと聞きました。これは、当然あるべき姿勢だと思います。
 この多目的ホールに関連して、実は昨年十二月議会の総務委員会で石田議員の方から、操車場跡地の利用についていろんな考え方が先走りするかのように報道されているが、議会や県民の要望を反映した上で施設整備を進めるべきだと考えるけれども、意見を反映する場もないではないかとただしたのであります。手順の問題を指摘されたわけであります。今予算に多目的ホール建設のため基本設計の策定として二億二百万円が提案されているだけに、議会の意見をどのように反映さし得るのか、お伺いするものであります。
 私は、政治家の先見性や行政の責任という点について、常々残念に思っていることがあります。それは、県民文化会館建設時になぜ地下駐車場をつくらなかったのか、利用する側に立った計画にできなかったのか、また県庁との間を地下道で結び、そこに庁内の附属施設や現在でも県職員の皆様が利用されている周辺食堂の方々にもご協力いただき、地下街的なものにしながら地上周辺の整備を図るといった発想を持てなかったかということであります。今日の県庁の状態を見るとき、このような発想が当時生かされていれば、また趣の異なる庁舎論議になっているのではないでしょうか。
 県内のスポーツ施設の中心は紀三井寺総合グラウンドと野球場だと思いますが、将来的にもこの状態でよいのか。ナイター設備のある球技場を要望する声も多いのであります。
 県議会野球部として、毎年、国体開催県での大会、近畿大会での各施設を実感するとき、和歌山県下の市町村を含め、それぞれのスポーツ施設が有効に機能する配置と利用しやすい設備になっているのか疑問視せざるを得ないのであります。また、過日の決算審査特別委員会でも指摘されていましたけれども、国体参加の本県選手団の昨今の成績の推移が問われています。成績にこだわるわけではありませんけれども、和歌山国体以降十分な成果を上げてきたのかどうか。こういう実情の上に立って、選手を指導する指導者の育成、施設を含めた環境整備、スポーツに参加するすそ野の拡大、健康和歌山を推進する意味では老若男女、県民総参加が理想であります。
 今、それぞれの競技にみずからの仕事、みずからの生活環境を捨ててボランティア精神で参加をしていただいている審判の皆さんの一日の手当がどの程度なのか、ご存じでしょうか。今、審判の皆さんが後継者の育成に苦労されております。若い人が集まってこないんです。そういう中でも、おのおのが一生懸命好きなスポーツに参加をし、審判を通してそのスポーツの振興にご協力をいただいているような実情がございます。
 私は、これから市町村との連携による各地域の特性を生かした、例えば、一村一品という運動が全国を駆けめぐりましたが、一村一スポーツ、このような施設づくりを考えられないかどうか、特に二十一世紀への青写真を持ってはどうかと考えるものであります。市町村おのおのが競合するかのような施設整備ではなく、拠点となるメーンの施設は県が責任を持ち、多岐にわたるスポーツ施設を各市単位でも郡単位でも特色を出して分担整備をし、全国に誇れる競技施設としてその競技の全国大会を誘致したいものであります。今までは中途半端なものを多くつくってきたわけであります。
 ちなみに、近畿二府四県での「国際」、「全国」と言われる定着した競技は、有名なものとして、大阪国際女子マラソンを筆頭に、大阪では全日本大学女子駅伝大会、大阪国際室内陸上大会、全国高等学校ラグビー・フットボール大会、全国大学相撲選手権大会、京都では都道府県対抗女子駅伝大会、全国高校駅伝競争大会──これは男女であります──滋賀県では昨日のびわ湖毎日マラソンがあり、奈良県では明日香ひなまつり古代マラソン、兵庫県では篠山ABCマラソンと、継続して行われています。和歌山県では、五月に全国大学実業団選抜相撲大会、四月に全国投てきカーニバルが開催されています。大学実業団選抜相撲大会は全国的にも知られている内容ですが、投てき大会などは全国的にインパクトの弱いスポーツイベントだと思います。県庁相撲部を中心に全国に紹介されているこの五月の大会も、現在の土俵や観客席で満足できるものでしょうか。岡本議員が一生懸命努力されているようであります。また、県立武道館も今日の状態でいいのかどうか、見詰め直して見る必要があると思います。
 スポーツの振興は言いやすいけれども、環境整備は時間と金がかかるだけに、県下全域で有効に機能する施設の配置とスポーツへの情熱を高める指導者の育成、選手層の拡大等々計画的に進め、近畿各県にない和歌山の海、山、自然を生かしたスポーツイベントを誘致し、毎年開催される大会にしてほしい、この努力を要望し、知事のご所見をお伺いしたいのであります。
 二点目に、国連・障害者の十年に関連して質問いたします。
 今議会でも国連・障害者の十年に関連して、北村・村岡両議員がそれぞれの視点から質問と提言をなされました。また、昨日は第十五回障害児者家族のつながりを広める文化祭が、多くの団体の後援のもと、県立体育館で開催されました。障害児者の社会生活への「完全参加と平等」を目指し、十年間の総括と新たな取り組みを求める目的を持つものであります。
 本年度予算にも、障害者福祉の充実を目指し、施設や福祉工場整備に補助する予算が積極的に組まれています。しかし、県下の作業場、授産施設等の現状を見ると、自立への努力を懸命に続けられていますが、関係者の指導とご努力もあって自主製品や下請作業によってつくられた製品の紹介や展示会も催されているわけですが、量販される環境にないことも事実であります。販路とされているのは主としてバザーや各種の催し時に出品される程度であり、農作物の栽培に取り組んでいる施設の場合でもほとんどが園内での消費であり、保護者の協力や関係職員、周辺住民の協力による売り上げが実情であります。それだけに、各施設の経営面の自立や保護者の苦労は大変だと思うのであります。そこに、県政の福祉行政の一つの課題もあると言えます。そのため、財政援助や補助のあり方が常に要望されるのであります。
 私は、過日の決算審査特別委員会で一つの提言をいたしました。それは、休耕田の活用も含めて大型の花の共同栽培と販路開拓についてであります。今議会でも紹介されていますが、県下の花卉産地の生産、出荷量は、皆さんの努力で年々増加し、作付面積、品種、販売実績も伸びている今日、花卉農家の皆さんと競合するかの視点ではなく、年間を通して難しい花づくりの中で、比較的育てやすく、つくりやすい品種を選び、作業の指導を受けながら、土になじむ生活のリズムをつくる花づくりの大型の共同作業施設を民間企業と協力してつくってはどうかということであります。そこでつくられた花などを県内の病院や医院の皆さんに購入していただくという販路の拡大が可能になれば自立への一助となるのではないか、民生部長の答弁を求めます。
 次に、コスモパーク加太計画に関してであります。
 三月九日、一般質問初日、先輩の富田議員からご質問がございました。新聞その他にも報道されているところであります。県勢発展に向けて加太土取り跡地の活用としてコスモパーク加太計画は、関西新空港と連動さし得る複合機能を持つ未来都市として期待をされ、推進機構を構成する皆さんや県市当局の関係者を中心に英知を集めて検討を続けられてきたわけですが、今後、十年を予測し、二十一世紀初頭に案画されてきた魅力ある都市が実現しているであろうか。期待されている推進機構の検討が大変苦しい状況にあると推察するのであります。大阪府が進めている前島計画も大きく後退している厳しい経済環境であり、当初予想された激しい競争率の中でも進出を希望していた企業も、バブル経済の破綻から大半が後退もしくは進出計画を見直しているのであります。優遇制度を出している大阪の前島でもこの実態であります。
 加太土取り事業に関連した意見や行動は本議場において多くの議員が取り上げたところであり、関空対策特別委員会でも関空会社に対して県民の声を厳しく反映してきた経過があります。とりわけ土砂単価については、県益のために一円でも高く引き取ってもらうべく努力と行動を続けたのであります。土取り事業は、開始がおくれたにもかかわらず、昨年の年末に無事故で予定量を空港島に搬出完了したところであり、関係者のご努力に感謝するものであります。しかし一方では、振動や騒音に対し理解と協力をされた地元住民の皆さんを忘れてはならないのであります。暫定単価立米当たり千三十円から最終立米当たり千二百二十五円と決定された土砂単価による土取り事業の概算収支は約二百億円強の収支アンバラスの結果になっている今日、現在進めようとしている粗造成事業にもさらに七十億円から八十億円の事業費が必要だと言われています。このような状況の中で土砂単価の交渉の際、関空会社から強調された跡地評価益や受益者負担を前提に、収支のアンバランスを解消する分譲単価を決定するのか。ならば高い分譲地となることは避けられないのであります。このような事態になりますと、今予測以上に進んでいる経済環境の悪化と民間企業を取り巻く状況を考慮するとき、複合都市を形成する条件は崩れつつあると私は見ています。また、計画の中に含まれている住宅ゾーンなども、和歌山市が現在進めている第四団地のような住宅やマンションだけでは関空関連の魅力ある町づくりにならないということを指摘したいのであります。苦しい決断かもしれませんが、大きく激しく変化する環境に対し柔軟に幅広く計画を見直す時期ではないか、知事に訴えたいのであります。
 和歌山市の積極的な取り組みと協力を促しながら、公共事業を盛り込み、二十一世紀への県民の財産として評価される魅力ある計画を練り直してはいかがでしょうか。知事のご所見をお伺いし、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 和田正人議員にお答え申し上げます。
 スポーツ振興と施設整備について、第一点としてグリーンピア南紀のグレードアップの問題でございます。
 住友金属野球団の皆さんがスプリングキャンプをグリーンピア南紀でやっていただいた、その経過を見てのよき点、これから直すべき点等を指摘していただいたわけでございますけれども、あそこでやっていただいたことに、心から感謝申し上げる次第でございます。
 お話ございましたように、宿舎等については六十一年に開設以来、県内県外の多数の皆さんが訪れていただいて好評を得ておるわけでございます。ただ、スポーツ施設の活用についてでございます。先ほど指摘された点を聞きながら、前にも下川議員からいろいろ指摘されたことも思い出しておるわけでございます。
 特に未利用地が二百七十ヘクタールあるわけでございまして、これについては事業団に対して第三セクターでやらしてくれ、こちらが第三セクターでやるから土地を貸してくれということを申し入れておるわけでございますけれども、まだその結論に立ち至っていないわけでございます。現在、使っているところの施設充実については幾らか努力していただいておるわけでございます。
 提言のございましたグラウンドの整備については、お話ございましたように紀南の活性化であるし、それを有効に使う意味からも、今後とも整備を十分検討してまいりたいと思っております。
 しかしまた、そうしたハード面だけではなしにソフト面にももっと力を入れよということでございます。紹介等いろいろソフト面の問題があるわけでございますけれども、そうした点についても十分対処してまいりたいと思っております。
 それから、市町村のスポーツ施設と県との関係、また市町村との連携において、競合するものでなくて特色ある施設と全国大会の誘致を図れということでございます。
 お話ございましたように、スポーツ施設の整備充実や全国大会の誘致は、県民の体力をつくり、競技力の向上を図る上で極めて重要なことでございます。このために現在、屋外スポーツの拠点である紀三井寺公園を中心にして、県有体育施設の整備充実はもとより、さらに屋内における国際的、全国的な規模の競技大会、ニュースポーツ大会の開催ができる多目的ホールなどの検討を重ねているところでございます。
 今後は、これらの県施設を拠点として市町村の体育施設を有機的に結びつけながら、それぞれの地域において生涯スポーツ、競技スポーツを育成して振興させるように市町村と十分協力してまいりたいと思っております。市町村の施設でございますから、こちらから一方的なことは言えませんけれども、お互いに協力し合っていく。特にスポーツ施設をつくる際は、文部省の許可をもらってつくる場合、都市計画の許可をもらって都市計画のもとにおいてつくる場合、市町村が単独でつくる場合の三つあるわけでございます。そうした点から起債が必要になってまいりますので、それらを絡み合わせつつ、できるだけ話し合いをやっていくという形で進めてまいりたいと思っております。
 次に、コスモパーク加太計画についてでございます。
 二十一世紀へ向けて、情報化、国際化に対応できる魅力ある新しい町づくりを目指して、民間企業のノーハウを活用しながら推進しているところでございます。ご指摘のとおり、急激な経済情勢の変化は大阪のりんくうタウン、また東京都において計画されている東京臨海部副都心計画等にも影響を及ぼしているところでございます。こうした経済動向の不確定な時期でございますけれども、コスモパーク加太計画は長期的な展望を必要とするプロジェクトと存じておるわけでございます。
 今後とも、ご提言の趣旨を踏まえながら、経済状況を慎重に見きわめつつ、和歌山市とも十分連携をとって柔軟に対応し、未来に向けた複合都市の建設を目指してまいる所存でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 多目的ホールの進め方についてお答えを申し上げます。
 和歌山操車場駅跡地は、既成市街地に残された貴重な土地であり、公共利用を目的とした構想を策定して日本国有鉄道清算事業団と交渉を重ねてきたところでございます。健康福祉センター、総合庁舎、多目的ホールを整備するべく庁内で検討を重ねてきたところでございます。現段階では、いまだ各施設の大まかなイメージを検討している段階でございまして、基本構想案がまとまった段階で議会のご意向も承りながら計画をまとめてまいりたいと考えてございます。
 多目的ホールの計画の策定に際しましては、広く県民の利用が可能であり、利便性も考慮した施設とするために、専門家の意見や他府県の例等を十分参考にするとともに、議員ご提言の趣旨を十分踏まえて検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 和田議員にお答えをいたします。
 国連・障害者の十年の最終年に当たり、障害者の自立促進を図るための貴重なご提言をいただきましたが、県内授産施設等においては生産性や販路等に問題もあり、障害者が安定した収入を得て自立を図るためには、議員ご指摘のとおり、民間企業の一層の協力を得ていく必要があります。今後は、新しい視点に立った施策の展開を民生部だけではなく、なお一層全庁的な取り組みをしていかなければならないと考えております。
 具体的なご提言の花の栽培については、私も障害者が園芸など土に親しむことは豊かな人間性を育てる上からも非常に大切なことだと存じますが、技術や販路等の問題もございますので、農林水産部とともに研究してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番和田正人君。
○和田正人君 三点に絞った質問に、それぞれお答えをいただきました。以下、要望意見ということでそれぞれ申し上げます。
 一点目の、スポーツ振興と施設整備に関連してであります。
 スポーツイベントと県民の協力についてという立場で、私は昭和五十八年に県議会に初めて当選させていただいた当時、一般質問で、和歌山の道路事情を後ろ向きに考えるのではなく、この地形を利点としてツール・ド・フランスのようにはできなくても、自転車のロードレース全国大会を誘致できないかと発言をいたしました。その当時の答弁の骨子は、交通規制が難しいからということでございました。それ以来、私は、問題があるからやれないのではなく、実行するために問題点をどうクリアしていくのか、こういう物事に対する姿勢を持ってほしいということを機会あるごとに各委員会等で発言してまいりました。積極性、それが活性化への原点であると考えるからであります。
 今、時間短縮や余暇を過ごす環境整備が求められ、全国でリゾート法に基づき整備されようとしているようなそれぞれの施設も、けさのNHKニュースでも報道されていましたように、いろいろ見直さなければならない環境が厳しく起こっているわけであります。将来にわたって働く人たちが、安い手ごろな値段で長期滞在をし、いろんな意味で生活をエンジョイし、リフレッシュして、新しい意欲を持って社会と自分の家族、そして仕事に取り組んでいけるような環境をつくる。その中でスポーツと親しむ、その環境整備がどうなされているか、このことが当然問われる時代になっていると思うわけであります。県民生活にもかかわるスポーツ施設の整備を市町村とも十分連携をとって進めてまいりたいと、知事から、現状認識の上でいろいろと考えながらご答弁をいただきました。
 さらに、グリーンピア南紀についても、結果は予測できませんけれども、どうかプロ野球のキャンプを誘致するんだという意気込みで県単独の施設整備を進める、そして地元関係者の協力を積極的に進められるよう強く要望しておきたいと思います。
 二点目の、国連・障害者の十年に関連しての要望であります。
 民生部長の答弁に関連して、民間企業の一層の協力と全庁的な取り組みに触れられましたので、今後の展開について一言申し添えておきます。それは、今「地球に優しく、人に優しく」という言葉が多く使われています。これは、二十一世紀への課題を提起している言葉であります。
 戦後の日本は、昭和三十年代に入ってから大量生産、大量販売という経済活動で内外での成長を続け、そこから集中豪雨方式、牛若丸方式という海外輸出戦略で販売網を拡大し、貿易摩擦問題から海外現地生産方式の採用など企業活動を変化させながらも、国全体では貿易収支の黒字基調を続けているのであります。しかし、昨今のジャパンパッシングにかかわらず、これからの企業のあり方は金融、証券業界にとどまらず見直されるべきときであります。従業員の福祉向上はもとより、地域社会にどのように貢献するか、利益の還元を社会にどうしていくのか、これを問われる時代だと私は考えています。
 本年四月、ご案内のとおり、創立五十年を迎える和歌山製鉄所の戦前の歴史はともかく、今日までの和歌山とのかかわりの中で果たした役割、批判される事態など数多くの経過を踏まえ、今後に対処し、地域社会との共存共栄を図っていく節目を迎えているとき、私が提言をいたしました障害を持つ人たちへの花づくりの協力など、積極的に対応されると期待をしているのであります。今後、官民一体となって社会参加と自立を目指す、障害を持つ皆さんへの他府県にない施策を早く実現されるよう要望しておきます。
 三点目の、コスモパーク加太に関する知事のご答弁は、現状ではそれ以上踏み込めない事態として私も理解はいたします。
 仮谷知事、あなたは県政を進める司令官であります。今、風化されつつある世相とはいえ、第二次大戦において戦死をされた多くの英霊の中には、勇気ある撤退を指令できなかった司令官の判断による戦死者も多数いた事実は、その後の戦記によっても明らかであります。コスモパーク加太計画を取り巻く情勢と、いたずらに戦死に至らしめた南方方面の戦争とを同じ次元で論じるのは英霊に対し失礼ではありますが、県政の司令官として勇気ある撤退や変化に対応する計画変更は恥ずかしいことではありません。過去正しかったことが今日も正しいかどうか、価値判断の問題であり、いかに英知を集めた計画であっても、経済行為を伴う事業には、その背景や経済環境の変化という避けては通れない事態があるのであります。
 私は、過去の本会議において、関空と和歌山県という関係から常設展示場の設置について、幕張メッセ以前に提言したつもりであります。さらに、ODA(政府開発援助)の窓口を和歌山に誘致してはと提言をいたしました。今、PKO法案を含め、日本の国際貢献が改めて問われているわけですが、最近の状況は、海外協力隊の皆さんが誘拐を初めとして危険な状態に置かれている債務国のニュースが多くなっているだけに、海外援助や開発援助のあり方が問われているのであります。それだけに、コスモパーク加太にODAの窓口を誘致し、そこを通らなければ人も金も出ない組織と設備を公共の立場から設置してほしいのであります。そして、常設展示場には、一例でありますが、メーカーの協力を得てあらゆる農機具を常時展示する、メーカーからの派遣職員による指導がされる環境を整備した展示場であれば、発展途上国とりわけ農業の生産性向上を望む国々への援助と指導の役割、そして関西新空港におりた関係者は必ず和歌山に来なければならないのであります。和歌山にどうして来さすか。開かれた和歌山を目指し、国際都市和歌山を機能させていくためには受け身であってはならないのであります。和歌山から発信するものが必要なのであります。コスモパーク加太は二十一世紀への県民の財産であるだけに、誤りのない選択と幅広い視野に立って事業の遂行を知事に要望し、私の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 私は、紀勢線の高規格化、すなわちこの和歌山に新幹線を走らせてみてはどうかという提言を申し上げ、仮谷知事のお考えをお聞かせいただくとともに、議会の先輩・同僚の皆さん、県当局、広く県民の皆さんにこの問題の大切さをご認識いただき、「新幹線を和歌山に」という運動が必ずや大きなものとなっていくことを期待して質問を行うものであります。
 本日で一般質問も最終日、今議会においても県勢浮揚のための議論が数多く行われておりますが、県勢浮揚のために毎議会必ず行われておるのが陸・海・空にわたる交通体系の整備についての議論であります。そして、そのかいあってそれぞれ着実に進んできているのが現状であります。まず高速道路は、知事を先頭に県議会も議連を結成し、県民挙げての運動に取り組み、堺─岸和田間が平成四年度に完成、湯浅御坊道路が六年度供用開始、橋本─高野口間が事業着手、御坊─南部間が整備計画に、海南─御坊─田辺─すさみ間が基本計画に決定されております。海は、マリーナシティ、日高港、新宮港の整備、そしてテクノスーパーライナーにジェットフォイルと、かなり話題が多くなってまいりましたし、空についても、関空、南紀新空港、ヘリコプターといったぐあいであります。
 しかしながら、陸のうち鉄道については、新大阪乗り入れ、スーパーくろしお、ワイドビュー南紀の投入、和歌山大学駅、広川駅の設置など一定の成果はあったものの、他の交通体系の整備に比べればまだまだの感がいたします。つまり、依然として和歌山─新宮間は特急電車でも三時間余り、和歌山─橋本間に至っては各駅停車しかなく、一時間もかかってしまう状況に変化がないと言いたいのであります。一時間、三時間は、東海道新幹線の新大阪─名古屋間、新大阪─東京間の時間であり、新大阪─新宮間の四時間は、新大阪からのぞみ号に乗ると東京で乗りかえて福島市まで行ってしまう時間であります。乱暴な言い方をすれば、大阪から新宮は福島ほどのところにある、それほど遠いところだということであります。
 県においても、紀勢線の複線化、線形改良、和歌山線の複線化、冷房化を毎年国に要望しておりますが、均衡ある国土の発展、均衡ある県土の発展を目指すのであれば、この時間と距離のアンバランスを何とか解消しなければなりません。やはり、鉄道は大勢の人や物を、安く、正確、安全に、しかも速く輸送できるすばらしい交通手段ですから、幾ら国鉄が民営化され株式会社になったといっても鉄道事業の果たす役割、公共性は大きく、特に鉄道移送のほとんどをJRに頼らなければならない本県にとって、紀勢線、阪和線、和歌山線の運行や沿線開発は一企業の経営方針だけで決められてはかなわないのであります。私たちも、いつまでも待っているばかりではおれません。そろそろ本県においても、鉄道の高規格化、すなわちミニ新幹線やスーパー特急などを導入するための議論を始めてももう決して早くない、そんな時期に来ているのではないでしょうか。こうは申しましても、そんなものできるものかとか、新幹線より優先してやらなければならない問題がほかにあるではないかと言う人がいるかもしれません。それなら、私はぜひとも申し上げたい、「もう世の中はリニアの時代だ」と。「新幹線などは、昭和四十五年に法律ができて、基本計画や整備計画はもうとっくにできているんですよ」と。
 私は、全国新幹線鉄道図を初めて見たとき驚きました。驚いたというより腹が立ちました。いつの間にこんなもの決まったんよという思いでございます。全国津々浦々まで、昨年、全国で一番おくれていると言って橋本大二郎知事が誕生した高知県にも、ちゃんと基本計画があります。それにもかかわらず、我が和歌山県、紀伊半島がすっぽり白地になっているのであります。こんなもの、許されません。そもそも私は、「紀伊半島」という表現が気に入りません。気に入りませんが、もし半島と言うなら、中国地方や東北地方だって中国半島、東北半島ではありませんか。その中国半島や東北半島に新幹線があるのなら、紀伊半島に新幹線があっても不思議でない。不思議でないというよりも、あってしかるべきであると考えます。
 昨年、運輸省は、運輸審議会が出した「二十一世紀に向けての九○年代の交通政策の基本的課題について」という答申を受け、平成三年度運輸経済年次報告いわゆる「運輸白書」を発表しました。その中で、二十一世紀に向けての運輸行政について、東京一極集中を是正し、多極分散による国土の均衡ある発展を実現するためには、鉄道を中心とする公共交通機関の見直しと、高速化、快適性の向上による交通体系の再構築の姿勢を強調し、特に鉄道については、地球環境問題を初めとした環境問題への対応の必要性の高まりや将来の需給が不透明な石油エネルギー問題への対応の可能性を考慮し、環境への負荷が少なく、省エネルギー型の高速交通機関である高速鉄道ネットワークの形成・充実を積極的に推進していくことが望ましいとの考え方を示しております。そして、整備新幹線の建設推進を図り、在来鉄道についても、新幹線と在来鉄道の直通運転の推進、新幹線と在来鉄道の乗り継ぎ利便の向上によりトータルでの所要時間の短縮を図る、また最高速度時速百六十キロ以上、表定速度──これは、駅での停車時間を入れた平均速度のことであります──時速百キロ以上の特急の運行を目指すなど、表定速度の大幅な向上を目的として線形改良、軌道強化、車両改良、新型車両の投入等を推進するとしております。
 まさに、それに連動して、昨年、整備五新幹線のうち工事実施計画の申請がなされている東北、北陸、九州の各新幹線が、従来のフル規格新幹線に加えて、スーパー特急やミニ新幹線の新手法をもって着工されました。そして、幹線鉄道活性化事業として本年七月一日には奥羽線、福島─山形間の新幹線直通運転化、いわゆる山形新幹線が開通いたします。同様の秋田新幹線も平成八年の完成を目指し、この三月十三日に着工されましたし、北越北線の高規格化は平成七年の開業を目指しているのであります。
 さて、私は本年一月、議会の先輩・同僚の皆さん十一名とともに、この山形新幹線の試験運転に乗る機会を得ました。山形新幹線つばさ号は、新開発の四○○型車両で、ジェット機を思わせる精悍なフォルムとシルバーメタリックのボディーにグリーンのペインティング、まさに空気を切り裂く弾丸といった感じであります。このつばさ号は、東京─福島間の東北新幹線上では最高時速二百七十五キロのやまびこに連結運転し、福島駅で切り離された後、新幹線と同じレール幅に統一された奥羽本線を山形まで最高速度百三十キロで単独運転され、東京─山形間を乗りかえせずに四十二分間短縮の二時間二十七分で結ぶ、画期的なものであります。
 この山形新幹線方式いわゆるミニ新幹線の特徴は、従来の東海道、山陽のようなフル規格新幹線が全線新設するのに比べて、在来線の線形改良等をするだけで投資額が少なくて済むということで、山形の場合、フル規格だと三千三百三十億円と試算された建設費が、その十分の一以下の三百十五億円で済んだのです。もう既に地元では、山形観光をPRするチャンスと観光誘客作戦も展開され、企業誘致にも順風が吹き始めたと聞きます。飛行機のファーストクラスのようないすに座り、時速二百四十キロでも本当に静かな車中で、私は北国の荒涼とした景色を車窓に眺めながら、青い太平洋をバックにして、降り注ぐ陽光に銀色の体を輝かせながら疾走する紀の国新幹線の雄姿に思いをはせたのでありますが、これは私一人だけのものではありませんでした。このときから、「和歌山に新幹線を」という小さい運動が始まったのであります。
 仮谷知事には、こうした運動に早速対応し、本年度当初予算に総合交通ネットワーク推進事業として一千万円の調査費を計上し、その姿勢を見せていただきました。ここでお礼を申し上げますとともに、改めて県内鉄道網の整備、特に高規格化についてのお考えをお示しいただきたいのであります。
 南北に長い本県の均衡ある県土の発展、関空初め湾岸のビッグプロジェクトの経済波及効果を最大限県内に吸収するため和歌山に新幹線がぜひ必要であり、私は今こそその実現に向けてスタートするときであると確信いたします。二十一世紀につなぐ二十世紀の詰めの大切な時期の県政を担当される仮谷知事の積極的なご答弁を期待して、私の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村裕一議員にお答え申し上げます。
 お答え申し上げるというよりも、いろいろお教えいただき、また卓見を承らせていただいたわけでございますけれども、紀勢線の高規格化についてどう考えるか、どう取り組むかということでございます。
 私も、県勢の発展には交通網の充実が先決だということで、関西国際空港、白浜空港、高速道路の南伸等、交通網の整備について最善の努力を払っておるわけでございます。
 また、議員から提言ございました鉄道についても、多くの人、多くの物を運ぶ輸送力、時間がきちっとしている定時性という観点から地域にとって非常に重要な交通機関であると考え、かねてから積極的に取り組んでまいっておるところでございます。紀勢線の複線電化、和歌山線の電化、さらには特急くろしお号の新大阪乗り入れ等、一定の成果をおさめてまいっておるところでございます。
 しかし、話ございましたようにリニアモーターカー時代になってきておるわけでございまして、高速化や利便性の向上など、鉄道に対するより高いニーズに対応していくことが今後とも極めて重要なことだと考えておるところでございます。
 特に、話ございましたように、最近は全国的に見て鉄道復権と言われるような風潮もあるわけでございまして、鉄道の持つ機能、役割が改めて見直されつつございます。東北新幹線を活用したミニ新幹線の導入もその一つでございます。また、一昨日、新幹線のぞみ号が東京─大阪間を三十分短縮するという事態にもなっておるわけでございます。
 このような中で、県内の幹線鉄道のさらなる高速化、利便性の向上を図るため、運輸省、JR等関係機関の協力が一番大事だと思うわけでございます。こうした皆さんと一緒になってテーブルを囲んで、和歌山の鉄道網をいかにしていくかということを真剣に討議して道を開くことが極めて大事なことだと思っておるわけでございます。こうした観点から予算を計上させていただいて、ミニ新幹線問題について積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 仮谷知事には非常に積極的なご答弁をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
 昨年の夏、県議会の野球大会で石川県に参りました。ちょうどそのころ新聞やテレビで流れていたのが、北陸新幹線がいよいよ着工されるというニュースでございました。私も石川県に行くまで知りませんでしたが、帰ってきてからも和歌山では新幹線のことは余り話題になっておりませんでした。非常に残念な記憶があるわけでございます。
 おくれておった整備新幹線やミニ新幹線が着工できるようになったのは、鉄道整備基金の設立によるからでございます。この基金は、既設新幹線の売却益などを原資にして整備新幹線や在来線の高規格化などに助成するのでありますが、これとてオールマイティーではなく、やはり山形県や秋田県と同様に、地元もそれなりに負担しなくてはなりません。
 そういう意味で、今年度の調査費が有効に活用されて、新幹線についての議論が県議会はもとより広く県民の皆さんの間でどんどんと広まってきて、盛り上がりが大きくなることを期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三分休憩
 ──────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成四年度の予算審議をする今議会の一般質問も、私をもって実に十九名の登壇を数え、各般にわたる質疑のしんがりを務めることになりました。すべて出尽くした感もするのでありますが、通告に従いまして質問をいたしますので、しばらくご清聴をお願い申し上げます。
 今、国政では予算審議の最中でありますが、共和事件や佐川急便事件と相も変わらぬ金にまつわる汚職事件が発生し、政治を志す者の一人としてまことに恥ずかしい限りであります。このために、来年度予算も暫定予算を組まなければならない状況とも言われてございます。
 このような中で、今月の二日から十三日まで、京都国際会館においてワシントン条約会議が開かれました。これは、もう一つの言い方では「人間の人間による人間のための動植物会議」と名づけておるそうでございますが、私はこの会議の成り行きに注目してまいりました。それで、水産業、カツオ・マグロ振興についてお伺いいたします。
 まず、このワシントン条約の概略を申し上げますと、一九七五年にワシントンで採択、発効した条約で、「絶滅のおそれのある野生動植物の貿易を規制し、密漁、密猟の乱獲を防ぐため」となってございます。我が国がこの条約に加盟したのは五年おくれの一九八○年、世界参加国で実に六十番目というスローモーで、国内法の整備がおくれ、国際的には「条約劣等国」、「密輸大国」のレッテルを張られているのが現状であります。経済大国と言われる日本の裏面に見られる、何でも食べる、何でも欲しい、金に明かして求めるという恥ずかしい行為はこの国際会議を期に払拭し、優等国に成長する努力が必要とも思うものであります。社会教育や学校教育の場で、ワシントン条約の意義や目的、生き物を大切にするという取り組みも必要だと考えるものであります。
 ワシントン条約京都会議の報道を見ますと、「消費大国日本、責任問う声高く」「食習慣超え保護運動も」「マグロ取引規制の動き」「大量買い付け反省必要」等々の記事が連日報道されました。この中に、本県串本町のアカウミガメや那智勝浦町を中心とするクロマグロの記事が出てございます。
 那智勝浦町は、日本国内で数少ないカツオ・マグロの漁業基地であります。和歌山県水産業界における生産高の中で最大の水揚げ量を持っているのがカツオ・マグロ漁業であります。カツオ・マグロ漁業の県内の実態を見ますと、近海、遠洋合わせて五十企業体、六十一隻が、主として太平洋、インド洋、遠く南アメリカ沖、アフリカ近海まで操業に出漁してございます。平成元年度の水揚げ高を見ますと、日本カツオ・マグロの生産量約三十万トン、生産額にして三千二百四十六億円、和歌山県は一万四千トン、百八十二億円であります。ちなみに、今問題になっているクロマグロだけを見ますと、四千五百トンの実績を上げてございます。
 そもそもマグロを日本で食べ始めたのはいつごろかと申しますと、定かではございませんけれども、天保のころと言われてございます。しょうゆのたまりに漬けて保存食として食用したとされてございます。また、すしのネタとして用いられたのは、江戸末期に江戸前ずしの「恵美須」というおすし屋さんが握ったのが始まりと言われ、明治時代に日本全国に広まったとされてございます。現在は、日本が世界各国との貿易交流の広まりから、日本ブームと相まって日本食、すしが進出し、東南アジアからカナダ、北米、南米とマグロの需要が伸びているのが実情であります。
 以上、ワシントン条約京都会議の成り行きに注目しながら、カツオ・マグロ漁業について申し上げました。
 さきに、二百海里問題で漁場が狭められ、捕鯨禁止で日本の捕鯨漁業に大きな打撃を受け、鯨の町太地町を中心に和歌山県にも影響は大きく、世界的な緊縮に直撃されたことは記憶に新しいところでございます。
 京都会議の結論はICCAT(アイキャット)で自主規制となりましたが、クロマグロ規制は日本の水産業界、わけても日本鰹鮪連合会を中心に先行き不安を憂慮しているのが実情と言われています。県として、この点について、その対策はいかがかをお伺いするものであります。
 和歌山県の地形は、半分は海に面し、半分は山に連なり、昔から漁業の盛んな土地柄で、熊野灘のサンマ漁、すさみ町を中心とするケンケン漁、前述したカツオ・マグロ等、魚種、漁法は多岐にわたり、水産県として発展してまいりましたが、現在の指導研究施設はいまひとつおくれた感がするのであります。水産県と言われる他府県では、研究施設の整備充実を図り、バイオを駆使して高級魚の育苗、放流、養殖に積極的に取り組んで実績を上げてございます。県当局のこれらの取り組み状況をお伺いするものであります。
 次に、農業研究施設の整備充実であります。
 この問題については段々の質疑がございましたが、最近の農業の作物状況を見ますと、水田では米、畑ではかんきつという形であった時代から作付品目がさま変わりしてございます。特に、農産物の自由化から、米はつくるな、ミカンの木は切れと大変革を余儀なくされ、ほとんどが野菜、花、高級果実等、施設栽培に移ってございます。
 県は、昭和六十二年度、紀中地域の農業試験研究機関の統合を行い、御坊市塩屋町に近代的な暖地園芸総合指導センターも開設したのであります。この施設はオープンして年わずかでありますが、利用者数が多く、昭和六十二年七月から平成三年末までの視察、研修等の来場者数は延べ人員にして二万人に及んでおります。研究成果としては、バラのロックウール栽培──水溶液栽培でございますが──バイオ技術開発による新品種の育成、苗の省力的増殖技術の開発等、若い研究員の努力で着々と実績を上げてございます。中でも、仮谷知事が命名したクリスタル・クイーン──カスミソウの一種でございますが──は花市場では大変な評判とのことであります。
 しかし、この暖地園芸総合指導センターが県立農業試験場の分場のために、すべてに不便で何事も本場の決裁を受けなければならないというのが現状であります。前段、成果の一例を申し上げましたが、この際、昇格、独立して整備充実することが若い研究員や職員の士気高揚につながり、さらに発展向上すると思うものでありますが、農林水産部長のご答弁をお願い申し上げます。
 続いて、マリーナ建設についての諸問題であります。
 県は今議会に遊漁船等の漁港利用取扱要綱制定案を提出し、先日、浜口議員が質問したところではありますが、私はこの制定に賛成するものであります。法制定や条例制定時に完璧なものはないのであって、今後予想される遊漁船、プレジャーボートの係留対策として評価するものであります。
 本論に入る前に、「ゴミ」と「ごみ」という言葉について簡単に申し上げたいと思います。ある雑誌に、「『ゴミ』は人間が何らかの手を加えなければ処理できないもの、または処理不能なもの、『ごみ』は、自然界の微生物の力で分解されて最終的に循環できるもの」と定義づけて、ごみのあり方を分けてございました。昔は「ごみ」のことを「じんかい」と言い、今は「廃棄物」と漢字で書きます。「ちり」というのは仏教語で、十のマイナス十一乗の世界、実は目に見えないミクロの世界であります。今の廃棄物は、処理困難で目に見えるマクロの世界であり、厄介者であります。
 さて、廃棄物で処理困難なものについて申し上げますと、廃ビ──ビニールの古いものです──廃プラ、古自動車、古タイヤ、廃セラ等々がございますが、特に繊維プラスチックを取り上げたいと思います。
 日本経済が落ち始めたとはいえ、海上レジャーブームでプレジャーボートがふえ始め、運輸省推計で現在三十万隻と言われてございます。水産庁の推計では、漁船を中心として三十二万隻の船が繊維プラスチック、いわゆるFRP船と言われてございます。
 県は今、マリーナシティ建設に全力を挙げ、海上タウン誕生に拍車をかけていますが、完成待ち遠しい限りであります。ここに係留や停船することについて具体的な計画検討されていることは伺ってございますが、廃船になったときの処理等について何ら具体的なことができていないように聞くのであります。
 プレジャーボートや漁船、いわゆるFRP船の廃船が「浮かぶ粗大ごみ」として全国各地に三千隻余りも放置されているのが現状と言われてございます。漁船は漁港に係留いたしますが、プレジャー船はマリーナが少なく、十二万隻ほどが河川や港に無断係留されているのが実情と言われてございます。また五トン未満の船は、所有者名や船籍票が要らないために、不法係留しても放置しても所有者不明のため処置に困るものでございます。この五トン未満の船が難物であります。このFRP船を産業廃棄物として処理するのに一隻十五万円から三十万円ぐらいかかるために、ほとんど放置されているのが実情であります。
 和歌山県は海岸線が長く、リアス式海岸で漁港、港湾が多く、係留する適地が多くあります。レジャーを楽しくするためにも、トラブルをなくするためにも、前段申し上げた、「ごみ」として産業廃棄物処理をしなくても済むように、県として一日も早く関係条例をつくるべきだと思うのであります。河川課だ港湾課だとあちこち持ち回るのではなくて、県全体の問題として取り組むことを強く要望しておきます。
 次に、老人福祉対策であります。
 さきの議会においてシルバータウン建設の提言を申し上げたところでありますが、平成三年度の県の老年人口調査の集計と過疎地域の町村の老人の占める割合を見て、再度質問をすることになった次第でございます。
 高齢化の進行速度が早く、本県総人口に占める割合は一五・五%、及び四十三市町村が県平均よりも上回っているのが驚きであります。また、ひとり暮らしの老人は平成三年度末で二万八百余名と、一二・三%を占めてございます。県は重要事項として位置づけ、長寿社会への対応として老人福祉施設の整備やホームヘルパーの増員、デイ・サービスセンターの新設等々、各般にわたって予算計上をされていることに敬意を表するものであります。高齢者生活福祉センターの建設計画もありますが、この施設に少人数のひとり暮らしの老人が泊まれるようにできないものでしょうか。
 ことしの年明けに、私の近くの山村でひとり暮らしのお年寄りが焼死するという痛ましい出来事がありました。ひとり暮らしで高齢者だから老人ホームに入所を勧めたこともあったようでございますけれども、長年住みなれた墳墓の地を離れがたく、この事故に遭ったということを聞き、小規模施設づくりを思いついた次第でございます。
 福祉施策の先進県として頑張っている仮谷知事、和歌山方式高齢者対策事業として取り組んでほしいと願うものでありますが、ご所見をお伺い申し上げます。
 続いて、米軍機事故についてであります。
 これは、この議場でたびたび取り上げられており、今議会でも鶴田議員の質問がございました。県当局は、和歌山県域は中止区域ではないが粘り強く中止を申し入れる、また毅然たる態度で対処してまいると答弁されてございます。
 私は、十津川でワイヤ切断事故で被害を受けた井硲林産さんとはじっこんでありまして、昨年の十二月に相談にあずかっております。二度被害をこうむったが、その都度、誠心誠意をもって対処するという返事が来るけれども、それよりも中止をしてほしいと話されておりました。昨年の事故発生時は、ちょうど木材を搬送中でなかったのが幸いで、搬送中であれば大きな人災事故になったと、こうも話しておりました。この作業現場で働いているのは、すべて日高郡龍神村の方でございます。事件以来、この現場に入ることを強く拒否したが、井硲林産の要請と働かねば収入がなくなるということから渋々戻ったということでございます。以来、少しの間は飛来しなかったが、年が変わってから同じように富田川筋、日高川筋に米空軍攻撃機F14トムキャットやAV8Bハリアー機が飛来しているのが実態でございます。
 このようなことがお隣の徳島県でもあり、県議会は三回にわたり「低空飛行訓練に関する意見書」を全会一致で可決し、文書をもって米国に申し入れ、さらに県議会正副議長、各会派代表、県の総務部長、担当課長ら一行十六名が、日本外務省、米国大使館、県選出国会議員に中止要請を行ってございます。和歌山県としてもこのような行動を起こすべきと思うのでありますが、当局のお考えを伺うものでございます。
 そして、この質問をすることについて井硲さんと連絡をとりましたところ、龍神村から行かれている皆さんが十津川の事件以来おびえておるので、現場を十津川から龍神村に変えた。しかし、またその龍神村に飛来してくるために、やはり職場を離れたいという申し出があったことで、会社としての新たな苦悩を持っているということも話されてございました。
 最後に、リゾート開発の現況を伺いたいと思います。
 この質問項目が今議会の最後でありますが、くしくも、このリゾート問題推進の中心的役割を果たしてきた川端企画部長の最後の答弁になるかと思いますけれども、長年のご苦労に感謝をしながら質問を進めてまいります。
 リゾート法(総合保養地域整備法)が一九八七年五月に成立し、今日まで国土の二割をリゾート地に変えるという全国各地でブームが沸き起こったこの事業計画も、バブル経済の崩壊で様相が一変し、夢さめたリゾート列島となりつつあります。
 そもそもこの法律の目的は、余暇の利用、地域振興、民間活力による内需拡大の一石三鳥をうたったものであります。国としては、国有林等の開発規制を緩和し、課税の特例を設け、内需拡大に資金大口融資というものでございました。これに目をつけたのは開発屋さんという土地ブローカー的な人が多く、本来の趣旨と外れた計画、いわゆる開発一辺倒で利潤追求型のために計画がずさんで行き詰まったり、自然保護団体の反対で計画変更を余儀なくされたり、バブル経済の破綻で資金難に陥ったりと、各地でトラブルが起こってございます。平成三年の中ごろに大手新聞社が世論調査をいたしましたが、三十道府県中十一県が基本構想の見直しを迫られている結果が出てございます。金融機関の試算を見ても、経済効果は期待薄と出てございます。
 一九九一年度の「観光白書」を見ますと、国民一人当たりの年間旅行回数は一・五四回、宿泊日数二・九四回(約二日)でございます。一世帯当たりの旅行費用は十二万四千円で、西暦二○○○年になっても微増程度で、時間と金のかかる長期滞在型リゾートどころではないという結果が出ております。報道機関や日弁連などが法廃止を叫び出したからか、国土庁が施設稼働や環境保全調査に入り、農水省は森林開発基準見直しをいたしております。二十一の道府県で安易に開発をしてはならないという条例や要綱を制定してございますが、和歌山県にはまだございません。
 和歌山県も、他府県に漏れず、このリゾート法制定を受けて燦黒潮リゾート構想を立てて取り組んでまいりました。新春早々には紀南総合開発計画を策定すると発表されてございます。内容は定かでございませんけれども、世界級リゾート構想が中心だと漏れ聞いてございます。
 しかし、県下各地で反対署名運動、立ち木トラスト、自然保護学習会、また法的決着をと裁判事件まで起こり、最近ではバスを連ねて県に反対陳情が来るなど、さまざまな反対運動が起こってございます。このまま進めようとするならば、まず自然保護を基本とした土地利用基本法の整備、環境アセスメント法の制定、地域住民主体の計画作成が必要と思うものであります。
 以上、申し述べた点を踏まえて、県が進めているリゾート開発の現況をお伺いするものでございます。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員から、老人福祉対策にもっときめ細かな愛の手をということで、高齢者の方が長年住みなれた地域で生活する方法を考えよということでございます。
 県としても、山村地域における高齢者の方々に対して、交流の場、また住まいを一体として生活できる高齢者生活福祉センターの整備を進めておるわけでございまして、地域住民の皆さんから非常に好評をいただいており、これの整備をなお一層進めてまいりたいと思っているところでございます。また、より地域に密着した形の小センターづくりを進める必要があると考えており、県単独事業としてゆうゆうコミュニティ整備事業も実施してまいりたいと考えているところでございます。
 このように、地域と密着した福祉サービスの充実について、なお一層努力してまいりたいと思っております。
 その他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○副議長(平越孝哉君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) まず、遠洋漁業に係る水産業の振興策についてお答えいたします。
 ワシントン条約京都会議などに見られる国際的な漁業規制に対する対応についてでありますが、近年の漁業をめぐる国際情勢は、二百海里体制の定着化や捕鯨問題、公海流し網漁業問題に加え、このたびのクロマグロの取り扱いに見られるような新たな規制の動きが生じるなど、極めて厳しいものとなってございます。こうした国際的な動きはさらに強まることも予想され、日本でも有数のマグロ漁業基地勝浦港を有する本県にとっても深刻に受けとめているところでございます。
 これまで、マグロ漁業問題については、労働力の確保や魚価の安定対策とともに、海外漁場の確保について国や関係県、関係団体ともども協調しながら取り組んでまいりましたが、今後とも一層連携を密にしながら適時適切に対処してまいりたいと存じます。
 次に、水産研究施設の充実についてでございます。
 先ほど述べましたような国際的な動きの中で、沿岸域の高度利用がより一層求められるところであり、とりわけ沿岸漁業の振興は重要であると認識いたしております。このため水産研究機関では、資源の培養と漁業の生産性を高めるための基礎的な調査研究を初め、イセエビ、ハタ類など地域特産魚種や、トラフグなど有用魚種の開発にも取り組んでいるところでございます。今後、さらに水産研究施設の整備充実はもとより、新たな技術開発にも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 二点目の、農業試験研究施設の充実についてでございます。
 多様化する農業情勢の中で試験研究機関の果たす役割は極めて重要であることから、これまでも地域農業に見合った特色ある試験研究機関の設置を図りながら、研究開発の充実強化に鋭意取り組んでまいったところでございます。
 特に、昭和六十二年に御坊市に設置した暖地園芸総合指導センターは、議員お話しのとおり、農業分野におけるバイオテクノロジーの中核研究機関として、また花卉の生産技術開発を初め、野菜、梅の生産安定技術への取り組みなど、地域に密着した試験研究並び指導機関として多くの成果をおさめているところでございます。
 今後とも、種苗増殖技術など地域課題の解決はもとより、先端技術の開発により一層取り組むとともに、議員お話しの組織の独立の問題についても十分検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 米軍機の低空飛行に係る中止要請についてでございます。
 先日もご答弁を申し上げましたように、本県における低空飛行は奈良県と同様に非常に危険性の高いものでございます。米軍機の飛行については、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律で多くの規制が適用除外とされておりますが、公共の安全に配慮することは当然のことであると考えられますので、今後とも粘り強く中止要請を行ってまいりたいと考えております。
 その具体策については、外務省の見解、考え方もただした上で、議員ご指摘の米国大使館への中止要請などを含めて効果的な方策を考えてまいりたいと存じます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) リゾート開発についてお答えを申し上げます。
 本県では、第四次長期総合計画において県土づくりの方向をテクノ&リゾートと掲げまして、リゾート整備を地域振興策の重要な柱の一つと位置づけ推進していくことといたしてございます。
 燦黒潮リゾート構想では、自然の保全と活用を基調として、各種スポーツ施設、文化施設、休養施設等の整備を推進し、リゾート客を初め、地域の人々も十分楽しめる新しい町づくりを目指してございます。また、地域産業と連携したリゾート整備を推進して地域の活性化を図るとともに、住みよい生活環境を創出することにより先端産業等の立地を進め、若者の定着できる活力ある県土づくりを目指してございます。
 現在、ゴルフ場の開発については、議員ご指摘のように、住民の方々の一部で反対運動が起こってございますが、本県では昭和六十三年からゴルフ場等開発計画に関する取扱いを定め、特に地域振興に寄与するものに限り受け付けているところでございます。また大規模な開発に当たっては、都市計画法、森林法等の関係法令に基づき、安全性、自然環境との調和、土地利用との調整などの審査、指導を行っているところでございます。さらに今後、環境影響評価の制度化により、より一層の自然環境との調和を図ってまいります。
 特に、燦黒潮リゾート構想の推進に当たっては、関連事業の整備や地域産業の参画等、関係部局や地元市町村及び各重点整備地区の推進協議会と十分連携しながら対応してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番木下秀男君。
○木下秀男君 丁重な答弁をいただきましてありがとうございました。
 若林農林水産部長も、これをもって長年の県庁職を勇退ということでございますが、本当にご苦労さんでございました。
 要望でございますが、先ほど申し上げたように、漁業においても、農業においても、どういうわけか世界で波立てば必ずその波を和歌山県がもろに受けているような実情でございます。特に厳しい状態に向かうこれからでございますから、先ほど申し上げたように、漁業面についても農業面についても研究指導機関というのが一番頼りにされますので、その充実に引き続きご尽力をお願い申し上げます。
 また、リゾートの件でございますが、これは部長も緻密な計画を立てられたと思いますけれども、時代の流れと経済変動によって大きくさま変わりをしてきたのがこのリゾート開発の状況であろうと思います。
 けさ一番のニュースでも、国土庁はリゾート開発法の見直しを行うと申してございます。現実に、今、立地しようとしている市町村、関係する地域では、もろもろの要求のために音を上げているのが現状でございます。県がこれを進めようとするのであれば、その実情をよく把握した上で、開発承認する限りはその町村に負担にならないように、立地していない町村とは別な点で協力し指導していくということでなければこのリゾートの成功はあり得ないと思いますので、その点を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
○副議長(平越孝哉君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○副議長(平越孝哉君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○副議長(平越孝哉君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○副議長(平越孝哉君) 次に、お諮りいたします。三月十七日から十九日までは各常任委員会審査のため、また二十一日は議事の都合により休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、三月十七日から十九日まで、及び二十一日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(平越孝哉君) 次会は、三月二十三日再開いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十八分散会

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