平成4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜口矩一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 私は、昨年の九月議会の折、質問を林業問題一本に絞り、改正・成立を見た林野関係二法に関連して、本県林業の厳しいの一語に尽きる現状と課題について、森林法の一部改正に伴う県対応に関し具体的な問題点、要望等を披瀝して質問いたしました。
 知事よりは、林野二法の改正による森林・林業活性化のための諸施策について、労働力問題を初めとして積極的に取り組む、また農林水産部長からは、放置森林の増加、間伐等の手入れ不足は県土保全に大きく影響との認識に立ち、新たに策定の林業整備事業計画などにより森林の整備を推進する、来るべき国産材時代に向けて、森林管理を最重点課題として民有林、国有林を一本化して流域単位に森林整備や生産流通、加工体制を推進する管理システムを構築するとともに、林業従事者の育成確保や就業条件の改善を図る、また労働力確保に関しては、雇用の一層の安定のため林業従事者福祉向上対策や三期活力山振事業で森林組合労働力確保対策をさらに充実する旨のご答弁をいただき、私、高く評価の旨申し上げますとともに、外材の大量輸入問題、市町村対策、労働力確保と福祉対策等についての具体的な対応策をご要望申し上げ、その後の推移、期待を寄せつつ注目してまいりました。
 その後、日なお浅い今日の状況とは申せ、例えば古くから熊野材の名声で周知、木材王国を誇ってきた私どもの新宮・東牟婁地方の現状一つを見ましても、今春の植林面積は戦後のピーク時の五%にまで落ち込むのではないかと憂慮されているとのこと。ちなみに、東牟婁県事務所の調査では、今年二月半ばから三月中旬にかけての植林面積予想は百二十から百五十ヘクタール、それも一昨年の台風十五号による風倒木被害跡地の十五ないし十六ヘクタール増植を含めての見通しということでございます。
 なお、ご参考までに数字を申し上げますが、戦後の昭和二十九年の植林面積は三千ヘクタール以上、その後、年ごとに低下して三十九年には千九百六十ヘクタール、それが平成三年には二百ヘクタール、本年はさらに減少し、中には放置山林も出始めている由。なお、植林には人工林伐採の跡に植林する再造林と雑木を切り開いて植林する拡大造林の二種類がありますが、現在ではそのほとんどが再造林であり、また年間植林の七〇ないし八〇%は補助造林で、放置山林地域は林道や作業道未整備のところの由、伺っております。
 県当局では、戦後植林した木が伐採されると植林面積はやや増加すると見ていると聞いています。土地が肥えてかつ作業のしやすい地域では再造林も早いと思いますが、悪条件のところでは、先ほどの実例のとおり放置のおそれに加えて、森林組合の作業班一つを見ましても平均年齢は五十の半ばを超え、若者いわゆる後継者は探してもない現状であり、そのまま推移と考えた場合、作業に従事する人手を確保することが果たして可能かどうか。
 現状は、山で働こうにも連続して働く仕事に恵まれず、やむなく転職、それゆえ、風倒木被害のような急を要する仕事が生じても早速の人手が確保でき得ないという悪循環に悩まされるという事例、何度か耳にしますし、山村の過疎化現象もマイナスし、後継者育成には抜本的な対策が必要なこと、ご承知の御事と存じます。
 加えて、苗木づくり等に対する獣害例も現実に起こって対策を求められておりますし、厳しさはより一層深刻化している現状ですが、その一方で、これも新聞報道による一事例ですが、日本集成材工業協同組合と本県木材協同組合連合会が協力して、集成材の普及と啓発を目指し、紀の国会館を会場として大型木質研究会を開いた。
 なお、この集成材は木質建築資材の中では最もすぐれた品質と性能を持っている部材として評価が高まっているということで、昨年、大阪の鶴見緑地で開かれた国際花と緑の博覧会のパビリオンにも大断面集成材が多量使用されたし、また日本最大規模の木造建築物とも言われる龍神村の村民体育館など、全国に誇れる建物にも使用されており、何よりもこの集成材は、幅や厚さ、長さなど、サイズが自由につくれ、長大材やアーチ材のような任意のデザインも可能とのこと、注目に値する取り組みであります。
 加えて、質は異なりますが、これも龍神村森林組合が、労働力確保対策として公務員並みの待遇で林業作業員を募集しているとのこと。しかも、この取り組みは、年々山林労働者が減少傾向にある中で、この現状を何とかして打破しようと全国から働き手を募っているものであります。
 これに対して、既に大阪、奈良、京都、岡山から募集内容の問い合わせがあり、出足は好調の模様。中には家を売って龍神村に住みたいと言った人もいるとか聞き及んでおり、将来展望に期待の思いで注目しておりますが、総体的な見方としては厳しさ依然の現状であり、そのような中で展望開拓を求めて、ある町では積極的な町対応のため森林交付金制度の創設実現を真剣に願っているとの事実もあえて申し上げ、ご検討を賜りたいと存じます。
 なお、公益的機能や国際的な観点を含めての課題については十分ご認識の御事と思いますので省略させていただきますが、何と申しましても、その役割の多面性、重要性、しかも広範にわたっての課題ゆえ、新たに策定の森林整備事業計画に基づいての市町村当局を含めた森林整備協定、また施業代行問題等々、林業活性化のための県対応急務と考え、法改正後いまだ日浅しとは申せ、厳しさに苦慮の現状、加えて川上、川下を含めた取り組みの必要性つぶさに検討するとき、手をこまぬいて黙視するを許されない現状と考える一人ですが、どのようにお考えか、現状認識についてのご見解と今日まで取り組んでまいられた具体的な県対応、それに平成四年度県予算編成に関連しての具体的な施策、将来展望等についての知事並びに関係部長のご答弁をお願いいたします。
 次に、県漁港管理条例の一部改正による遊漁船等の漁港施設使用料金徴収の件に関連して、私どもの地方における現状と改正実施後の見通し私案を述べ、問題点数点を提示して当局のご見解をお伺いいたします。
 この改正は、クルージングや釣りをするプレジャーボートの急増による漁船とのトラブルを見かねた県当局が、その対応策として漁港で受け入れるプレジャーボートから停泊料金を徴収、その収入金を係留施設の充実に充てることを企画し、本定例議会に改正案を提出し、四月から実施の予定とのことですが、この制度は全国的にも珍しい上、長期間にわたる無断停泊による漁港占領や漁船の出入りに支障等のトラブルに悩んでいる他の自治体にも波及云々の新聞報道に接し、私どもの地方における遊漁船の現状等々とのかかわり、その他への影響等々を推測しつつ成り行きを注目している一人です。
 申すまでもございませんが、漁港は漁業振興を目的として設置されています。しかしながら、それが遊漁船等に占領されても、漁船以外の船を規制する法律はなく、ために漁業者が迷惑をこうむっているケースの実在することは、以前私どもの党による漁民の方々対象のある地方における調査でも十分に承知していましたし、既に神奈川県でも一つの漁港に限定して同様の制度を設け試行の由伺っていますが、今回の本県条例改正措置は、県管理八漁港すべてが対象、加えて県内九十一港の漁港管理主体の市や町にも同様の規制対応の措置を働きかけている由伺い、漁港管理のより一層の適正化のための法的な措置を目指すという当初の目的が、果たして何らのトラブルもなく平穏裏に達成できるかと心配するの余り、私どもの地方の現状と予想される問題点を述べ、ご見解をお伺いいたします。
 まず私どもの地方の実情ですが、一例を挙げますと、私の住んでいる宇久井では、遊漁船関係のもので「いなり会」を結成して、漁業組合、関係漁民と、漁港の施設利用はもちろん漁港出入りその他を事前に話し合い、了解を得て行動しています。なお、他地域、例えば新宮あたりから新たに参入の遊漁船主にもその旨を伝えて遵守を求めているだけでなく、浜掃除やその他の金銭的な協力等も含めて意思疎通を図りトラブル等の未然防止に努めておりますし、またお隣の勝浦漁港関係でも小型動力船組合を結成してトラブル防止、漁民との共存を心して図っていると聞いております。
 もちろん、他の地域によってはトラブル発生、また漁船に迷惑の実例、一、二は承知しておりますが、だからといって全県一律に停泊料金を徴収、しかも船長八メートルで年間七万三千円の負担は、トラブル皆無の地域の者にとっては心理的には高額負担の感なきにしもあらず。それゆえ関係の人々から、なぜとの問い合わせ耳にする次第であります。
 以上のような現況から、具体的な問題点として次の質問を提示し、ご見解をお伺いいたします。
 まずその第一は、先ほど申し上げたとおり、地域によって千差万別とも申すべき県内の遊漁船をめぐる実態を十分調査検討された上の今回の措置かどうか。関連して、事前に関係者への協議をなされたのか、なされたのであれば、その審議等の内容を具体的にお示し願いたい。
 第二点は、県管理でない一般漁港の管理主体は市や町の自治体と考えますが、準用を義務づけされるおつもりかどうか。
 第三点は、収益金の処理について、半分は事務負担の地元漁協に、半分は積み立てて係留施設の充実にと伺っております。徴収に伴う点検を含めた事務その他のための人的要員が必要と考えられますが、どこがその事務を担当するのか。また、係留施設充実とは具体的に何を指すのか。例えば、係留岸壁を造成するとなると多額の費用を必要とすることが多いゆえ、短期間では不可能と考えますが、財源措置等も含めた対応と見通しについてお伺いいたします。
 第四点として、料金を徴収されるとなると、漁港利用の権利を付与されたと考え、遊漁船の権利主張に道を開くことに通じかねないことも皆無とは言えません。結果的にトラブル解決をより至難にするおそれはないかどうか。特に、しけなどの場合の漁船避難措置を含めた非常の際の対応等について、不測の事態防止のための事前措置は可能かどうか、対応を含めたご見解をお伺いいたします。
 最後に、リゾート、特に海洋リゾート構想との関係について。ヨット等は利用調整施設桟橋を造成し、これも係留料を徴収と伺います。それはよしとしても、利用客は雑多であり、レジャーの中には海釣りも相当数含まれ、その中には船持ちの例も何件かあることは過去の例に照らして否定はできないと考えますが、リゾート振興と地域共存の立場からどのようにお考えか、ご見解をお伺いいたします。
 以上の五点について当局の事前の対応その他を含めた明快なご回答をお願いし、私の第一回の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜口議員にお答え申し上げます。
 林業をめぐる厳しい現状認識についてでございますけれども、お話ございましたように、私も林業は非常に厳しいということを痛感しているわけでございます。しかしながら、まだ一般に、国民の皆さんが林業というものの厳しさについて認識が足らないのではないか、また、森林の受け持つ分野、環境問題が言われている現時点において、空気の問題、水の問題、治山治水上における大きな役割といったことについて、なお一層認識を深めていただくことが必要ではないかと思っております。
 教科書においても、小学校の教科書には林業について書いていなかった。五十二年までは書いていたけれども、その後は書かれていなかったわけでございます。それが昨年、林業が掲載されることになった現状でございます。
 また、雇用の問題も話ございましたけれども、やはり「ふるさとを愛するなら働け」ということだけでは若い者は残ってくれない。これをどうするかということも重大な課題でございまして、こうした面について憂慮しているわけでございます。
 しかしながら、最近、いわゆる林野二法が改正され、昨年、国において投資規模三兆九千億円の林道、造林関係の公共事業五カ年計画が認められましたことは、基盤整備が急がれる本県にとって、今後の事業推進の上において明るい見通しが開けてきたと思っているところでございます。こうした中で、森林整備協定や施業代行制度等、市町村の役割を含め、広域的な観点に立って林業の活性化に取り組んでまいりたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) 林業活性化についてのご質問にお答えいたします。
 まず、今日まで取り組んできた具体的な県の対応についてでございます。
 林野二法の改正に基づいて今日まで取り組んできた具体的な施策でございますが、新しく策定した森林計画に基づき、国有林を含めた広域流域の中で、造林、間伐、林道等の森林整備を推進しているところでございます。
 現在、計画区の一つに流域林業活性化センターを設置したところでございますが、これらを活用して森林施業の合理化、木材流通加工体系の整備を促進するとともに、林業労働力の広域流動化等に取り組んでいるところでございます。
 また、法改正の中で市町村の役割強化が図られ、現在、森林施業の共同化、機械化、担い手の育成などを内容とした森林整備計画の策定を進めているところでございます。
 次に、平成四年度の県の予算案に関連する具体的な活性化施策でございます。
 改正森林法の施行に伴い、平成四年度は広域基幹林道の新規着工を含む林道網の早期整備や健全な森林の育成を図る間伐対策の強化など、森林整備をより一層推進していくこととしてございます。
 また、新たに市町村森林整備計画の中で計画することとなった高性能林業機械の導入促進については、オペレーター等を養成する技術研修事業を実施するほか、福祉向上対策や就業改善を図る施設整備を進めるなど、林業従事者の育成・確保に努めることとしてございます。
 さらに、流域林業活性化センターを具体的に推進するため、原木流通拠点施設の整備や木材の需要拡大対策を強化するとともに、県の試験研究機関の木材加工研究施設の充実を図るなど、総合的な施策の展開に努めるほか、林業の担い手である森林組合の育成と経営基盤を強化するため、地域の意向を踏まえながら合併の促進を図ってまいる所存でございます。
 次に、今般ご審議をお願いしている漁港管理条例の一部を改正する条例案で、遊漁船等の漁港施設使用料金の徴収に関するご質問でございます。
 この制度は、国民の生活水準の向上に伴う海洋レジャーブームに乗って急増する遊漁船等の漁港内における無秩序な係留や漁船とのトラブル等を避けるため、これらの利用の調整により漁港の有効な利用、機能の保持を図ることを目的としたものでございます。
 以下、五点のご質問にお答えいたします。
 まず第一点の実態調査については、県管理漁港内の遊漁船等の隻数、係留場所等の調査を行い、関係する漁業協同組合と十分協議を重ね、ご理解を得ながら進めてきたところでございます。なお、利用者に対しては、看板の設置、ビラの配布等により周知を図ってきたところでございます。
 第二点の市や町の管理漁港については、当該市町の判断にゆだねられるもので県の制度の準用を義務づけるものではございませんが、本制度の趣旨をご理解いただけるよう努めているところでございます。
 第三点の徴収料金の使途についてでありますが、その二分の一は遊漁船等の係留の見回り指導、料金の徴収等の業務、漁港内の清掃等の施設を保全する業務を漁業協同組合に委託することに伴う経費に充て、残りの二分の一を県において漁船の活動の支障にならない場所に、係船環、簡易な浮き桟橋、昇降はしご等の遊漁船のための施設を順次整備していく経費に充てることにしております。
 第四点の、利用者の権利の主張及び異常気象時の対応についてでありますが、利用者に対しては、県漁港管理条例や漁港管理者の指示を遵守することのほか、万一第三者に損害を与えた場合や異常気象時の対応について、自己の責任で処理すること等を示した誓約書を使用届と同時に提出していただき、その履行を強く指導してまいりたいと考えてございます。
 最後に海洋リゾート振興との関係でありますが、ご承知のように、漁港は水産業の振興のための拠点として整備されてきたものでありますが、時代の変遷とともに、その利用形態も変化してきております。このため、漁船の活動に支障のない範囲で遊漁船等との利用の調整を図っていくことが、海洋を生かしたレクリエーションとの調和につながっていくものと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番浜口矩一君。
○浜口矩一君 お許しいただきましたので、要望を含めて以下数点、再質問をいたしたいと思います。
 まず、厳しさ依然の林業活性化問題について、現状認識と将来の見通しについてのご見解は、厳しさ依然の中で明るい一縷の望みというか、そういうようなものがほの見える現在の情景でございます。また、今後の対応の基本姿勢とも申すべき、積極的かつ広範な視点に立ったお取り組み、ご決意を含めた知事のご答弁、心から評価申し上げますとともに、今後の県対応を期待して注目いたしたいと思います。
 また、農林水産部長からは、今日までの具体的な取り組みとして、間伐対策その他の活性化対策、また計画区──有田・日高地方と存じますが──の一つに流域林業活性化センターを設立し、それを拠点として、林業施業の合理化、木材流通加工体系の整備、林業労働力の広域流動化に取り組んでいるとのご答弁をいただきました。二法改正後、数カ月間の取り組みゆえ、一地区のみの対応、私はやむを得ないとは解しますが、他の地区も同様の緊急課題を抱えてございます。特に東・西牟婁地区は、産業の構成から見ても、林業活性化は地域経済を左右するとも言える重要な課題でございますし、ご承知の過疎問題もあり、緊急というより焦眉の課題であり、早急な取り組みが大切と存じます。
 加えて、その取り組みの視点として、森林・林業関係者や市町村だけでなく製材や建築関係者など、先ほど申しました川上、川下を網羅してというのがそれでございますが、そういう協議組織が必要条件と存じます。その点も十分に対応していただいておる由伺い、評価いたしますとともに、一日も早い成果をご期待申し上げたいと思う次第でございます。
 また、第二点の平成四年度予算に関連する具体的な施策について、広域幹線道路新規着工を含む林道の新設、間伐対策の強化、また市町村担当レベルの高性能機械導入対策、福祉向上や木材需要拡大、林業担い手対策、その他の対策を実施されるというご答弁を伺いました。そのいずれもが、重要な課題でございます。
 だから、私が申し上げるのは、「所存」と言うだけでなしに、それが具体的な成果を上げられるよう一層精力的な対応を行い、関係者が「県がやってくれるんだから我々も頑張らなくちゃならん」と実感して心理的な支えになるようにと考えまして──そのことは当局も十分にご承知と存じますので、この点については要望にとどめ、今後の成り行きを見守りたいと存じます。
 次に、遊漁船等の漁港施設使用料金徴収の条例改正問題でございます。
 第一点の実態把握の件については、関係漁協と十分な協議を重ね、理解を得ながら進めてこられた、また利用者対策については、看板、ビラ等で周知を図ってきたということでございます。県営管理漁港については、この点一応認めるといたしましても、第二点の市や町管理漁港については、当該市町の判断にゆだねるとのご答弁でございますが、引き続いて本制度の趣旨を理解云々という言葉について、県と市町村との関係、立場の違いを考えましたときに、理解要請ということは即準用をという結果にならないかどうか。そういうようなことであっては大変だと思うんです。
 だから、この理解を求めるときには市町村の主体性を尊重する慎重な配慮が何よりも求められると存じますが、この点は要望にとどめ、今後の推移を見守りたいと思います。
 次に、徴収料金の使途でございます。
 半額は業務委託の関係漁協の経費に、残りの半額は遊漁船のための施設整備に充当とのことですが、その施設整備の場所について、漁船の活動に支障のない場所とはいかなる場所を指すのか。現在使用している漁港以外に、言われるところの適当な場所があるのかどうか。県としては今まで十分にご検討なさってのことだろうと思いますので、この点についての具体的なお答えをお願い申し上げたいと思うんです。
 加えて、その施設の例として係船環、浮き桟橋、昇降はしご等を挙げられていますが、これらの施設で十分用を足すとお考えかどうか。例えば、潮の満ち引きにしても大潮と小潮で大分違います。それから、思わざる波立ち、あるいはしけのときなどのような厳しい海の変化に対応して船の安全を守るに十分な施設──金を取る以上はその責任があると思うんですが、そういう施設とお考えかどうか。その点についてのご見解をお伺い申し上げたいと思います。
 最後の、海洋リゾート振興とのかかわりでございます。
 ご回答は、漁船の活動に支障のない範囲で遊漁船等との利用調整を図ることがレクリエーションとの調和につながるということでございますが、これは一般的な原則論を述べたにすぎないと思います。なぜ料金徴収が調和につながるのか、その根拠を具体例を挙げてご説明いただきたいと思います。
 以上、三点について重ねてご質問申し上げて、ご回答をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○副議長(平越孝哉君) 以上の再質問に関する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 まず最初の施設整備については、漁船の活動の支障にならない場所に遊漁船等の利用しやすい施設、先ほども申し上げたような係船環、簡易な浮き桟橋、昇降はしごといったものを順次整備していくことにしております。
 具体的な場所でございますが、それは県あるいは漁業協同組合、利用者の間で協議しながら決めてまいります。
 それから、異常気象時の安全確保については、自己の責任で避難、陸揚げ等の措置をとってもらうことにしております。
 それから、海洋レクリエーションとの調和についてでございますが、漁港の性格から、無制限に遊漁船等の利用を認めることはできないと思います。したがって、先ほど申し上げたように、漁船の活動に支障のない範囲で利用の調整を図りながら認めていこうというものでございます。また、そのために施設を整備し管理していくことが必要でありますので、徴収した料金をこれに充てることとしてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 45番浜口矩一君。
○浜口矩一君 私が漁船の活動に支障のない場所があるのかとお尋ねしたのは、現実は、例えば東牟婁なんかの漁港を見ましても、もう漁船等でいっぱいなんです。しかも、万一の場合の避難港ということも考えておかなけりゃならない。
 万一の場合は自分で遊漁船を陸揚げするというようなことも言われましたけれども、その陸揚げの場所についても、今の漁船は普通のところへは陸揚げできないんですよ。船台の上に船を乗せて動力によって引き揚げて別のところへ置くというような施設が要るんです。
 そういう中で、私たちの宇久井では、まず最初に漁船を揚げる、引き続いていわゆる遊漁船なんだと。しかも、それまでの間は、なるべく波にかからない、波を防げるようなところへ遊漁船を持っていくと。こういうようなことで、「微に入り細にわたる」という言葉がございますが、それによく似たそういう取り決めを事前にしているわけなんです。
 だから、頭の上で考えた対応というようなことでは、具体的に私が先ほども申し上げたような、「金まで取ってあるのに」というようなことが起こるのは必至だと思うんですよ。そういうようなことを十分考えた上で、ご対応をお願い申し上げたいと思います。
 それから、これは再質問ではしなかったんですが、今のような再答弁ですので申し上げますけれども、事前に十分に協議したと言いますけれども、なかなかそういうようなものについては──例えば勝浦の漁港だと、漁業協同組合は漁港事務所があるのでそこに全部お任せするんだという形で、割合に人ごとというのではないですけれども、深刻にというか、具体的にどうなるだろうということが掘り下げて協議されておらないんじゃないかという心配もしますので、そういうような点も含め、今後、微に入り細に入りというか、もう欠けるところのないご対応なりご協議を特にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 以上は、要望です。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜口矩一君の質問が終了いたしました。

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