平成4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、お尋ねをしてまいります。
 まず、一九九二年度県予算案について質問を申し上げます。
 一般会計当初予算四千七百六十五億円余が計上されていますが、バブル経済の崩壊などによって、金融、証券、鉄鋼、不動産などを中心とする法人税の落ち込みが予想されることから、財政調整基金から五十億円、県債管理基金から百二十九億円が取り崩され、今年度当初予算と比べて五・六%増となっております。
 昨年来、私たちは基金のため込みを一貫して批判してまいりましたが、財政当局の抵抗をよそに基金の取り崩しを行わざるを得ないことになったわけです。問題は、その取り崩しがどれだけ県民本位に使われるかということではないでしょうか。詳しく述べる時間はありませんが、特徴的な点について取り上げたいと思います。
 まず歳入面からですが、地方交付税についてであります。
 政府の地方財政対策の最大の問題点は、九一年度の五千億円の減額に引き続いて来年度も八千五百億円の減額を行ったことであり、事実上の地方交付税率の引き下げになります。国の財政運営に地方をどう協力させるかという国の考え方のみが強調されて、地方自治体の住民福祉をいかに保障するかという立場を放棄させているのではないかと思うのです。
 また、交付税法第四条第四項で定められたもので、九二年度に加算されるべき三千三十五億円、そのほか臨時財政特例債や交付税特別会計の利子などで後年度に加算されるべきであった二千九百二十九億円についても九七年度以降に法定加算されることになり、八千五百億円に加えて加算されるべき五千九百六十四億円と合わせて一兆四千四百六十九億円が先送り減額されることになっています。これはまた後に先送りされることが確実で、政府は地方に対して三兆三千五百億円の借金を抱えさせることになります。これは九二年度に交付される地方交付税の二割を超える額になり、交付税制度は今大きな危機に瀕していると言われます。
 地方交付税は、本来、地方自治体の固有の財源でありながら、政府は国との共有財源化させているものであり、こうした政府のやり方に対し、地方としても国に対して言うべきことは言う必要があると思うのです。
 続いて、最悪の大衆課税である消費税に伴う消費譲与税、マル優廃止に伴う利子割県民税についてであります。
 消費譲与税は来年度五十七億円が見込まれ、利子割県民税は県民の預貯金の利息に対して二割の税金を課したものでありますが、そのうちの県財政に入るのは今年度で百四十六億円余、金利引き下げが行われる来年度でも約百三十億円が見込まれています。それに個人県民税百七十四億円、個人事業税二十億円、これらの県民に密接な税を合計しただけでも何と四百億円になり、県財政に貢献しているわけであります。財政的にも、県民が県政の主人公であるという認識に立って運営を行うべきであると考えます。
 以上二点について、知事のご所見をお伺いいたします。
 次は、歳出であります。
 道路交通網でありますが、今年度も非常に重点が置かれ、努力されていることがうかがわれるわけです。特に、私たち日本共産党県議団が一貫して主張してまいりました県営の道路事業等の市町村負担金について大きく軽減されていることは、大変喜ばしいことであります。しかし、住民が最も日常的にかかわる生活道路の整備が大きく進んでいるかというと、他府県と比較してもまだまだおくれているというのが県民の実感ではないでしょうか。特に和歌山市周辺では、朝夕の渋滞、行きどまりの道の増加、南海橋のようなたびたび壊れる木造橋がいまだに存在する現状など、もっと生活に密着した道路網整備が必要だと思うのです。土木部長のお考えはいかがでしょう。
 大阪湾ベイエリア構想、紀淡海峡トンネル、第二国土軸については、後ほどこれだけに絞って質問を申し上げます。
 次にビッグプロジェクト関連ですが、リゾート法を所管する国土庁は、来年度から建設、通産など関係五省庁を含めてリゾート整備のあり方に関する検討会を設置することを決定しました。ゴルフ場建設などのリゾート開発については、自然破壊や過重な自治体負担で抜本的な見直しを求める声が広がっています。この検討会は、開発計画から民間企業の撤退が相次いでいるため、施設整備について公的資金を取り込み、運営は民間に任せる方式について検討することになっているようであります。我が県の燦黒潮リゾート構想についても、この際、抜本的に見直す必要があるのではないかと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 マリーナシティが第二工区の埋立事業に入り、百二十一億円の予算が計上されています。私たちは、この事業が一つの大企業の利益活動にほぼ完全に取り込まれた形でのプロジェクトであること、県民負担が非常に大きいことなどから、事あるごとに批判をしてまいりましたが、この事業に関連して世界リゾート博が再来年七月開催で計画され、四億五千五百万円もの事業費が計上されています。総事業費はというと、五十億円とも聞いております。負担割合はというと、県が六五%で、和歌山市が二一%、海南市二%、経済界六%、残りが市長会と町村会で三%ずつとなっており、市町村の負担も非常に大きいものがあります。また、この年は京都でも三重でも博覧会が計画され、全国的に前後の年度で博覧会が花盛りのようであります。さらに、どのような内容のことが行われるのかさっぱりよくわかりません。あと残すところ二年余りの段階でこのような現状であります。
 そこで企画部長に、この博覧会の目的と事業の内容はどのようなものか、県民にとってメリットは何なのか、採算性についてもお尋ねをしたいと思います。
 次は、県民の健康、暮らし、福祉の問題であります。
 看護婦充足体制の強化、看護婦養成所の調査費、検診体制の充実、老人福祉施設の整備、アトピー性皮膚炎対策、在宅老人福祉三事業の整備、環境アセスメントの制定、自動車道と歩道の段差解消、公共下水道の整備促進など、私たちが主張してまいりました点で大変前進いたしております。この点では評価できると思います。これらが確実に、しかも一日も早く実現されることを特に要望しておきたいと思います。
 国保の問題でございます。
 国保財政健全化対策費が昨年度より二千万円強増額されていることは、我が党がかねてから要求していた問題であり歓迎すべきことでありますが、それでも八四年度の額にも満たないものであり、この間の国保税の引き上げを勘案すればさらに一層の増額が必要ではないでしょうか。また、乳幼児医療無料化などの福祉医療を口実とした厚生省の不当な国庫負担削減が行われています。この削減額は、和歌山県では一体どの程度なのでしょうか。この削減は市町村にばかり負担させるべきではなく、少なくとも半額は県が負担すべきではないかと思うのです。先日の新聞報道によりますと、山口県では、我が党の質問に対し山口県知事は検討を約束していらっしゃいます。
 また、国保料(税)が県民にとって耐えがたいほど高額になっている問題についてですが、県としては県支出金を大幅に増額すべきであります。加入者一人当たり一万円引き下げるだけの支出金の増額は可能であると思いますが、当局の考えはいかがですか。
 次に、障害者問題であります。
 ことしは、「完全参加と平等」を柱にした国連・障害者の十年の最終年に当たります。障害者が人として当たり前の生活をするための社会づくりが、さまざまな形で取り組まれてまいりました。養護学校を初め、心身障害児者の施設、共同作業所、生活グループホームなど、全国のモデルにもなると言われるほど前進してまいりました。これらの成果は行政の積極的な財政的援助などによるところが大でありますが、同様に忘れてならないのは、医療、保健の専門家であり障害者の治療に直接当たられる和医大の精神神経科の全面的な協力と援助、そして何よりも障害者を抱える家族の会の皆さんたちの先進的で粘り強く、幅広いさまざまな運動による前進であることを付記しておきたいと思います。
 しかし、障害者を初めこの運動にかかわる方々の要求からすれば、まだまだ不十分です。雇用問題や施設不足、小規模作業所などの専門職員不足や低賃金、労働過重、運営困難など、緊急を要する問題も数多く残されたままです。決して、この十年が終わりであってはなりません。
 県は、この十年間の総括をきちんと行い、西暦二○○○年を目指して、障害者の要求に沿って新しい十年計画を立てるべきと考えますが、当局の答弁をお聞かせください。
 次に、学校五日制の導入とも大きくかかわりますが、子供たちの放課後を安全で豊かなものにすることがいよいよ重要な時期になってまいりました。
 放課後児童対策事業については一定の前進が見られてまいりましたが、全国水準からすれば、和歌山県は大きく立ちおくれています。その大きな原因は、県都和歌山市でこの事業が全く実施されないところにあります。その原因はどこにあるのか、以上の点について民生部長から答弁をお願いいたします。
 続きまして、大阪湾ベイエリア構想、紀淡海峡ルート、第二国土軸などのビッグプロジェクトについて質問を申し上げます。
 大阪湾ベイエリア構想の経過を見てみますと、一九八九年九月に大阪湾ベイエリア開発推進協議会が設立され、翌年四月、大阪湾ベイエリア開発整備の基本方向策定、このときにあわせてグランドデザインが策定されています。そして昨年十二月、財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構が設立されています。目的としては、近畿圏の産・学・官が一堂に会し、大阪湾ベイエリア地域の一体的かつ広域的な総合開発整備を図り、当該地域の秩序ある発展に貢献し、多極分散型国土形成の先導役となるよう事業の推進、調整を図ると位置づけられています。
 この産・学・官に和歌山では、それぞれ県と和歌山大学と和歌山商工会議所が入っているわけですが、特に和歌山県はこの推進機構に総額八千万円の出資を行おうとしているのであります。
 関西経済団体連合会の宇野会長は、関西文化学術都市、関西国際空港建設に次ぐ第三のビッグプロジェクトと位置づけ、大変な意気込みで推進を図っていると言われています。関西産業活性化センターの調べは、関西で打ち出されているビッグプロジェクトは八百件以上、約三十五兆円に上り、そのうち百三十件、約十五兆円が大阪湾ベイエリアに集中していると言われています。この膨大な開発構想は、関西国際空港の泉州沖海上建設をインパクトに世界都市関西のフロンティアを目指すというものですが、最大の欠陥は住民が全く置き去りにされているところにあるのではないでしょうか。つまり、一番大事な「民」が抜け落ちてしまっているんです。ベイエリア構想は、さしあたっては関西を中心とする財界がこうした開発計画を取り仕切り、それぞれの計画を成功させるために情報通信、道路交通網の整備を図ろうとするものでありますが、財界のねらいはそれにとどまらず、もっと壮大です。
 宇野関経連会長は、ことしの一月の年頭所感の中で、大阪湾のベイエリアを中核とした世界都市関西をアジア太平洋の核とするとし、広域行政を実現するための仕組みを整備充実していくことが重要と述べています。つまり、関西財界は東京一極集中を改め、関西にアジア経済圏をつくり、そのために現在の都道府県制、市町村制を見直して、府県連合制や道州制を目指そうというものです。この考え方は、専ら財界が地域の開発などを進めやすくするために、財源の集中化と権限の集中化を進めることをねらったもので、非常に危険な内容を含んでいるのではないでしょうか。また、このベイエリア構想に対する財界の熱い期待の一つは、何といってものどから手の出るような広大な土地を一挙に手に入れようというところにあります。その面積は約三万ヘクタールと言われ、和歌山県総面積の約六六%にもなります。また、大企業が自由に使えるようにするために、開発者に対しての優遇措置を強く求めています。この構想に最初から自治体を巻き込んでいるのは、そういったねらいがあるからではないかと思うのです。工業用地として残っている土地に付加価値をつけるために、こんな都合のよい計画はないと思うのです。
 いずれにせよ、財界主人公となって、この近畿圏で大規模な開発計画を推進する計画になっていることは間違いありません。住民不在はもちろんのこと、市町村という単位の参加すら完全に阻まれています。また、活性化をうたい文句にしながら大半のプロジェクトから中小企業がはじき出され、大企業中心になっているのも大きな問題です。
 以上、私は大阪湾ベイエリア構想の幾つかの問題点を指摘してきましたが、この二月定例議会に対する知事説明ではこの構想そのものには触れられていませんでしたので、以上のことを踏まえて、この構想に対する知事の所見をお伺いいたします。
 次に、紀淡海峡トンネルについて質問を申し上げます。
 一九七九年に知事がトンネル構想を発表して以来、鉄建公団などが約九億円を投入して調査を行ってまいりましたが、最近では橋をかけることも技術的には可能ということで、橋構想も急浮上しているようであります。トンネルの場合の事業費は鉄道トンネルであれば三千五百億円、橋の場合は一兆三千億円という膨大なものであります。膨大な費用をかけてのこの構想は、県民にとっては余りメリットがないのではないかという疑問も持ち上がっていますし、兵庫県に聞いてみましても大阪府に聞いてみましても余り関心の高い構想ではないようにも聞いております。
 そこで、企画部長にお聞きいたします。
 この構想が持ち上がったときに、県は和歌山の経済にもたらす影響について野村総合研究所に調査委託しています。その調査結果がどのような内容であったのか、県民に受け入れられる内容であったのか、お尋ねをいたします。
 続きまして、第二国土軸構想についてです。
 この構想については、一昨年、促進協議会が結成され、また今度の予算を見てみると関連する新たな予算が計上されるなど、知事も並み並みならぬ決意で取り組んでおられるようであります。
 私たちはこの構想を全面的に否定するようなことはもちろんありませんが、しかし、西日本だけではなく東日本でも同様の構想があります。肝心の国がまだその気になっていない段階で、あたかも近い将来実現するかのような幻想を抱かせる宣伝を行い、関連の大開発を推進することは許されません。私は、今もっと重視すべきは生活道路の整備の促進であると思うのです。毎朝の交通渋滞、南海橋のような木造橋がいまだに残るような現状で、第二国土軸の推進といったところで果たして県民は受け入れるでしょうか、知事の所見をお伺いいたします。
 第一回の質問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 まず最初の、地方交付税の減額についての考え方でございます。
 本年度は、国の厳しい財政事情を反映いたしまして、地方交付税率の引き下げを含めた地方交付税の減額が最後まで論議を呼んだわけでございまして、最終的には地方交付税の総額から八千五百億円を減額する措置が講ぜられたわけでございます。私たちとしても、こうした地方財政対策の帰趨に注目をし、知事会を通じ、地方財政運営に支障を来すことのないよう適切な対応を国に要望してまいったわけでございます。
 今回の減額は、国の厳しい財政事情を勘案し、国と地方が相協力して公経済を担っていくべきとの見地に立って八千五百億円を地方交付税の総額から減額し、国の財政に貸すことにしたものでございます。したがって、単なる減額ではなく、法律に基づいて返済され、将来の地方交付税の安定的な確保にも資するものであると考えられ、地方に実損を与えるものではなく、また平成四年度の地方財政の運営にも支障を来すものではないと理解しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、地方団体が抱える課題が山積しており、地方交付税総額の確保を含めた十分な財源措置が今後とも講ぜられるように、機会あるごとに国に対して強く要望してまいるところでございます。
 予算案の執行についての、県民に密接な税の有効運用でございます。
 ご指摘ございました消費譲与税や県税収入などの一般財源については、毎年度の予算において議会でも議論をいただきながら、県民の福祉向上という地方公共団体の使命に照らして適切かつ有効に活用されるように努めているところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の見直しの問題でございます。
 本県のリゾート整備の考え方は、自然の保全と活用を基調として国民の自由時間の増大に対応した質の高い余暇活動の場を提供するため、各種スポーツ施設、文化施設、休養施設等を整備し、リゾート客はもちろんのことでございますけれども、地元の皆さん方にも楽しめる新しい町づくりを目指しているものでございます。また、地域資源を活用いたしまして、農林水産業、観光関連産業等の地域産業と連携したリゾート整備を推進し地域振興を図るとともに、住みよい生活環境を形成することにより先端産業や研究所等の立地を促進し、若者が定住できる活力のある県土づくりを創成していく基本的方針でございまして、今後ともこの方針に基づいて対応する所存でございます。
 しかしながら、リゾートプロジェクトの実施を図る中で、経済情勢の変化や用地問題などにより施設の規模やメニューなどの一部に変更が生じた場合、地元市町村などと十分調整しながら国と協議してまいりたいと思っております。
 次に、大阪湾ベイエリア構想についてでございます。
 本県を含む大阪湾ベイエリア地域の一体的かつ広域的な総合整備を図って、東京一極集中の是正、多極分散型国土形成の先導的な役割を担うため、昨年の四月、グランドデザインを策定、公表したところでございます。
 そのグランドデザインを産・官・学が共同して策定する中で、私はその対象地域を御坊市までも含め、また本県の主要プロジェクトを盛り込み、さらには近畿圏の発展に貢献する本県の役割の重要性を主張するなど努力を重ねてまいりました。また、このグランドデザインの実現に向けて、昨年十二月に財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構を設立したところでございます。今後は、市町村を初め各界各層の方々の意見を十分踏まえ、従来にも増して本県のさらなる発展、ひいては近畿、西日本の発展に寄与すべく積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 また推進機構は、あくまでも産・官・学が一体となって各府県がそれぞれ独自性を持ちながら、広域的な観点に立って地域振興等に取り組む必要性から設立した機関でございまして、これが府県連合制や道州制を目指そうとするものではございません。
 次に第二国土軸構想については、午前中にお答えしたとおりでございます。
 また交通問題について、生活道路等の問題がございましたけれども、道路はすべて県民の幸せのためのものであり、先日も富田議員が申されたように広義における福祉であり、また生活の利便を図るから生活道路であると思っています。
 過日の県民の世論調査において、県政に何を望むかという中で一番多かったのは道路整備で、九○%を超しておりました。その道路整備の中で、やはり高速道路ということが将来の大きな課題でございます。そしてまた、紀淡海峡ルートとともに橋本から和歌山へ結ぶ高速道路もあるわけでございます。そうした面、両々相まって、県道、国道、高速道路、農道、林道、漁道の整備を行うとともに、市町村道の充実に努めてまいりたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 生活道路の整備という点についてお答えをいたします。
 元来、道路は、その全体が生活の向上に深く関連をした社会資本であると考えております。
 一方、近年、和歌山市周辺部の交通渋滞が大きな課題になっているということも認識をいたしております。紀の川北部地域においては、県道粉河加太線、善明寺北島線、都市計画道路の西脇山口線等の整備を初め、紀の川左右岸を連絡する道路としては本年一月に紀の川河口大橋が開通をしました。新南海橋については、現在、第二阪和国道ということで事業中であります。また、国道二十四号和歌山バイパスも平成四年度末完成の予定でありますが、これにより交通渋滞はかなり改善されるものと考えております。さらに、中心市街地の交通対策といたしまして、都市計画道路湊神前線、和歌山港鳴神山口線等の整備も進めております。また市においては、市駅小倉線、本町和歌浦線、新在家坂田線等の整備も進めてございます。
 これら多数の事業を促進するには用地の取得が大きな課題でございます。今後、関係の皆様のご協力を得て、その整備促進に一層努力をしてまいります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、世界リゾート博の目的、事業内容等についてお答えを申し上げます。
 世界リゾート博については、関西国際空港の開港を契機に、二十一世紀に飛躍しようとする和歌山県を国内外にアピールするとともに、豊かな自然、文化・歴史資源を活用した燦黒潮リゾート構想の推進や地域の活性化等を図るべく進めているものでございます。
 事業内容については、二十一世紀のリゾート体験をメーンテーマに、全国で初めて、人工島を主会場に開催されるものでございまして、海上そのものをリゾート空間とし、海上でのイベント展開も図るなど、ユニークな内容を目指しているところでございます。また、主会場以外においても、海岸部のみならず、内陸部も含めて県下各地域で事業展開いたしたいと考えてございます。詳細については、本年の夏ごろ最終の実施計画を策定いたしますが、現在、第一次実施計画に基づいて会場そのものをリゾート地としての施設群を配置するとともに、見るイベントに偏ることなく、体験できるイベントを重視することを基本に、マリンスポーツ体験を初め、国際的なマリンスポーツ大会の誘致やリゾート関連シンポジウムの開催などの準備を進めているところでございます。
 次に、メリットについてでございます。
 本県のイメージアップが図られることはもとより、博覧会を開催することにより、ハード面でのインフラ整備とともに、博覧会開催のための投資経費や会場内外での消費支出などにより誘発される地域産業の振興や雇用機会の増加、また観光客の増加等の相乗効果による経済的な波及効果が大きく、地域の活性化に非常に役立つ有効な手段と考えてございます。また、この博覧会を県民総参加で実施することにより、郷土愛の醸成が図られるものと期待しているところでございます。
 採算性については、地方における博覧会事業は、事業実施期間における直接的な収支決算だけではなく、県のイメージアップを初め、地域の活性化並びに発展につなげるという長期的な観点からのメリットを追求していくものと考えてございます。
 なお、協会の事業費については現在のところ五十億円と試算してございまして、その五○%については入場料等を充て、その残りを県や市町村、経済界等からの負担を予定いたしているところでございます。
 次に、紀淡海峡トンネルに関する委託調査の内容についてのご質問でございます。
 この調査は、昭和五十六年当時に紀淡海峡トンネルにカートレーンを走らせることを想定いたしまして、本県への経済波及効果等を主に分析したものでございます。
 国民経済のフレームや関連の交通基盤の整備状況等に関しまして、数々の前提条件のもとでの当時の試算ではございますが、紀淡海峡トンネルの整備効果といたしまして、直接的な投資効果は別として、県内に一年間で昭和五十年価格にして約四百七十億円の間接経済波及効果をもたらし、さらにこの効果はそれ以降、毎年の経済の伸びに従って拡大していくとの内容となってございます。また、昭和五十六年当時のこの調査の試算では前提としていなかった県内の高速道路の紀南への延伸、さらに現在建設中の明石海峡大橋とともに形成する大阪湾環状交通体系の効果や現在、県内で進められている数々のプロジェクトへの影響等を考えるとさらに大きな波及効果が期待できるほか、これら経済効果のみならず、国土幹線軸上の交通結節拠点として県民の利便性の向上等、社会生活のさまざまな分野における効果が期待できるものと考えてございます。今後とも、豊かな県民生活の実現を目指して、県民の皆様のご理解をいただきながら紀淡海峡ルートの推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) まず、国保問題についてお答えをいたします。
 国民健康保険を初めとする医療保険制度は、財源の柱を保険料収入に置いて運営されており、加入者の相互扶助の考え方が原則となっております。しかし、国民健康保険の場合は高齢者や担税力の低い方の加入割合が高いという実情にあることから、本県といたしましても諸施策を講じているところでございます。
 例えば、県並びに市町村単独の医療費無料化施策に伴い、国民健康保険療養給付費国庫負担金が減額されることになっており、本県の場合、平成二年度には老人医療無料化によって一億九千六百八十五万三千円、心身障害者医療無料化によって一億七千七百七十五万九千円、乳幼児医療無料化によって百十五万四千円など、それぞれ減額されております。これを緩和する措置として、毎年、国保財政健全化対策補助金を交付してきており、平成四年度予算においてはその充足率を二○%程度としてお願いをしているところでございます。
 なお、被保険者の負担の軽減については、医療費の適正化を初めとする保険者本来の経営努力が向上されるようさらに指導してまいるとともに、県としてもでき得る限りの助成の拡充について引き続き努力してまいりたいと考えてございます。
 二点目の障害者問題でございます。
 国連・障害者の十年における障害者対策については、昭和五十七年に策定した障害者にかかる和歌山県長期行動計画に基づき、総合的かつ体系的な施策の推進に努めてまいりました。
 こうした取り組みの結果、県民意識の高揚を初め、施設整備や社会参加の促進、在宅対策の充実など、各分野において着実に成果を上げるとともに、障害者の自立と社会参加が図られるなど、この十年間は本県における障害者福祉の増進にとってまことに大きな意義があったと認識いたしております。しかしながら、近年、特に障害者が増加傾向にあり、そのニーズも多様化する中で、さらにきめ細かい障害者対策の充実を図る必要があると考えております。
 県といたしましても、国連・障害者の十年の最終年に当たり、十年間の実績の点検評価を行い、課題を明らかにし、国などの動向を見ながら新たな指針を検討してまいる所存でございます。
 次に、小規模作業所問題についてお答えをいたします。
 小規模作業所は、地域における障害者の働く場として自主的に運営していただいており、地域福祉に大きな役割を果たしているものでございます。
 県といたしましても、専門職員の確保のためにも、労働条件の改善、また運営安定のために年々その補助額を増額しております。平成四年度においても、補助枠を拡大するとともに増額も図っているところでございます。今後とも、作業所の運営実態等を見ながら対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、放課後児童対策でございます。
 県では、放課後児童対策事業を実施している市町村に対しまして補助しているところでございます。ご指摘の和歌山市においては、現在、母子家庭及び一部共働き家庭を対象にした事業を実施していますが、さらに国の基準に沿った放課後児童対策事業の受け入れについても、より積極的な指導をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、ご質問を申し上げます。
 まず、民生部長から答弁のあった小規模作業所についてです。
 これは無認可のところというふうに言ったらいいと思うんですけれども、こういったところで、地域の福祉に貢献するということで、障害者の皆さんたちの宣伝活動に協力をしてもらうために古新聞等の回収とかバザーとかが大変な努力で行われています。しかし、そこで働く人たち、障害者や障害者の家族の皆さんたちがボランティア運動として頑張っていらっしゃることが小規模作業所の運営を困難にしているところだと思うのです。そういったところに対して、ことし、基準には達しませんけれども百八十万円とそれに十一万円プラスしていただいて運営の困難性を少しでも援助してあげると、こういう施策がとられて大変うれしいわけですが、しかし県が今まで最低基準としてきていた二百万円にぜひ持ち上げていただきたいと心からお願いをするものです。県は、障害者と一緒になって頑張っている人たちが運営で非常に苦労しているということを本当に知っていただかなくちゃいけないわけです。
 ここで働く専門職員の労力というのは大変です。一日の労働時間は、子供たちを迎えに行くことから始まります。早いところでは六時五十分にはバスを出さないとみんなと一緒に仕事ができないというような状況がありますから、職員の皆さんは六時過ぎにはもう家を出られる。九時から四時まで共同作業所は開いておりますけれども、四時で終わるということはありません。四時からは障害者を自宅まで送っていくという仕事があるわけです。帰ってきてからも、掃除をしたり、翌日の運営や作業をどうするかということで会議を開いたりということで、一日の労働時間は十五時間ぐらいを毎日こなしているような状況です。バザーのために物を地域に集めに行ったり、地域の皆さんたちと懇談をするとか、理解を深めていただくための努力も盛んになさっていらっしゃいます。
 運営費補助の問題については、そういう事情も知っていただいて、ぜひとも最低基準まで引き上げていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 ここで働く専門職員の賃金の問題ですけれども、実態を幾つか聞いてまいりました。専門職員の方たちは、福祉大学を卒業されたり短大を卒業されたりして、地域の障害者の福祉活動に専念をするという希望を持って就職されるわけですけれども、労働過重、低賃金、長時間労働といった状況の中でなかなか人が集まらないという問題もあります。
 賃金の面で見てみますと、県庁の職員では、大卒行政職の方ですと初任給が十五万三千七百円だそうですね。由良あかつき園などは福祉事業団の経営になるようで、法人化されていたとしてもほとんど県庁職員に準じた賃金が支給されていると思うのですけれども、それでも由良あかつき園の皆さんたちの賃金は県庁の職員の皆さんたちよりも低くて初任給が十三万九千三百円だそうです。しかし、小規模作業所に働く人たちはもっと低いわけですね。大学を卒業して経験十二年の所長さんと言われる方が、今もらっているのが本俸十九万円なんです。県庁や事業団に勤めている方について経験十二年ということで見てみると二十五万三千九百円です。このようにはるかに大きな差があります。働く意欲をそぐような賃金の劣悪さだと思うのです。年休もなかなかとれないというのが現状です。
 そこで、こういった無認可の共同作業所、小規模作業所で働く人たちの低賃金を改善するために、せめて福祉事業団の人たちと同じようにしていただくということで、今後、県当局の人件費に対する財政援助をぜひとも考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、紀淡海峡トンネルの問題でございます。
 先ほど、知事や企画部長からお答えをいただきました。これについて、問題点としてぜひ考えていただきたいということを申し上げたわけです。
 私どもが手に入れたのは野村総合研究所の報告書の要約版なんですが、当局には、要約版じゃなくて本物がおありだと思います。ことし紀淡海峡トンネルがもうできているという場合と、できていないときの予測とが野村総合研究所から出されております。これを見てみますと、経済効果は四百七十億円ある、そしてそれが物価とか消費関係で年々上がっていくであろうという予想が挙げられています。しかしまた、和歌山が第一次産業県であり、農業県、観光県であるという観点から見てみると決してそんなに楽観はできないんだということもここには書いてあります。調査は経済面を中心にやっていますから、経済効果があるということは言われておりますけれども、これをずっと読んで見るとなかなか理解しにくいんです。結果的には悪いけれども、評価するときにはどうもいいように書いてあるような調査内容になっているんですね。
 観光客も、日帰りはうんと減って宿泊客がふえてくる、しかしそれも御坊までで、紀北筋も日帰りはうんと減るということです。紀淡海峡トンネルができたことによって、四国、大阪は非常によくなる。和歌山県は農業県で、今、大阪へ生鮮食品が徳島県や高知県よりも非常に多く出ているけれども、農業の問題を深刻に考えないと、紀淡海峡ができたことによって四国の方が非常に発展をする危険性があるから十分注意をしなさいと、こういう内容のことが掲げられてあります。
 そういった点から見ても、私はこの野村総合研究所が出したものを本当にうのみにされているならば非常に注意をしなければいけないんじゃないかと思います。私たちは、決してこの問題を軽く見てはいけないと思うんです。私どもが申し上げているのも、和歌山がどう発展していくのかということが基準になっているんです。この中で経済面だけではなくて農業や観光の問題に注意を促していますから、その点については注意をしていただきたいなと、あえてお願いをしておきたいと思います。
 それから、学童保育の問題です。
 厚生省が、本格的に学童保育の事業を開始してきました。この事業に沿ってよその県はどんどん進められていっているのに、和歌山県ではなかなか進んでいません。小学校低学年の子供たちの放課後の安全をどう守っていくのか、このことが今問われているときだと思うんです。
 今、和歌山県として特に学童保育の授業を積極的に進めていきたいという答弁をされました。県は、ことしは五つはやり遂げたいとおっしゃっているわけです。この問題を積極的に取り上げていくということをお願いしておきたいと思います。
 以上で、終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十八分散会

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