平成4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成四年三月十二日(木曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村 翼
 10 番 小 川 武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田 亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 16 番 西 本 長 浩
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本 一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田 豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗 正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本 進
 41 番 野見山  海
 42 番 森 正 樹
 43 番 浜 本 収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(一人)
 47 番 山 崎 幹 雄
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 若 林 弘 澄
 土木部長 山 田 功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 医科大学学長 田 端 敏 秀
 医科大学事務局長
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  玉 置 英 夫
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
  水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 倉 本 辰 美
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 大 畑 巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 18番冨安民浩君。
 〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 休み明けの初日に一番バッターとして質問の機会をお与えいただいた先輩議員の皆様方のご配慮に心から御礼を申し上げつつ、私は、その実現の際には我が国における和歌山県の位置づけが大きく変わり、その持てるポテンシャルが大幅に生かされることを確信してやまない第二国土軸構想並びに教育問題について質問をいたします。
 初めに、昨年春の選挙で、日高郡民の多くの皆様方の長きにわたる温かいご支援、ご指導のおかげで二度目の挑戦で県議会に一議席を任されたことに対し、深く感謝を申し上げ、その責任の重さを自覚し、責務の全うに努力いたすことを、議会壇上からではございますが、お誓い申し上げるものであります。
 さて、我が和歌山県は、半島に位置するという地理的性格上、国土軸へ直結し、その時間的距離を縮め、半島性から脱却するということが県民の等しい願いであり、それゆえ県政の大きな目標の一つであったと思います。仮谷県知事を先頭に、先輩議員の皆様、関係者の方々の一丸となっての運動の結果、平成四年度末には念願の近畿自動車道紀勢線の海南─大阪間が全面開通し、また全体構想の実現という課題は残るにしても、平成六年夏の関西国際空港の開港、相前後しての世界リゾート博の開催等々、知事が機会あるごとに口にされる和歌山の時代の到来を少なからず感じているのは私一人ではないと思います。
 政治家は未来に向かって希望をともしつつ、よりよい方向へ導き進むのがあるべき姿とするならば、今こそ和歌山県を国土軸上に位置すべく、第二国土軸構想の推進に向け、関係府県との連携を一層強めつつ、リーダー的立場でのさらなる運動の展開を仮谷知事に要望いたすものであります。
 そもそも第二国土軸構想とは、申し上げるまでもなく、昭和四十年、国連調査団として来日したアーネスト・ワイズマン氏が日本の将来の均衡のとれた発展のためその必要性を訴えた構想であり、愛知県豊橋を起点とし、伊勢湾、奈良県、和歌山県、紀淡海峡、四国、豊予海峡を経て九州を結ぶ新しい交通幹線構想で、今日ではこの構想は東京一極集中に対する多極分散型国土形成のための地域連合の象徴でもあり、まさに昭和六十二年度に策定された第四次全国総合開発計画の大目標とする基本方向に沿ったものとなっています。
 戦後、我が国は、昭和三十七年の高度成長の幕あけとともに、一全総の策定、昭和四十四年の新全総の策定、昭和五十二年の三全総の策定、昭和六十二年の四全総の策定と、その時代時代の背景を考慮に入れて目標を設定し、その実現に努め、一時期大なる効果を上げてまいりましたが、今日、世界に誇る経済大国樹立までの経済政策とのはざまでその目標とする幾つかが達成されず、現実との間にギャップが生じつつあるのはご承知のとおりであります。すなわち、欧米に追いつけ追い越せの経済政策の中で、三全総、特に四全総の大目標が達成されず、経済効率を最優先とする経済システムが生じ、その当然の結果として、人、物、金はもとよりでございますが、情報を含めてあらゆるものの東京一極集中を招き、その弊害が生じつつあります。私は、他国に類を見ない世界に誇る豊かな日本を築き上げた今日までの経済政策を非とするものではなく、その結果生じた弊害、申し上げるまでもなくそれは東京一極集中であり、その是正のための多極分散型国土形成の推進を訴え、そうした国土形成の中で我が県の浮揚につながる第二国土軸構想実現の必要性を唱えるものであります。
 ご承知のとおり、国会議員レベルにおいては、一昨年六月、自由民主党内に前衆議院議長田村元氏を会長とする第二国土軸建設議員連盟が衆参両院議員九十三名で設立され、数々の調査研究活動を続けられております。昨年九月には、その一環として田村会長を中心とする国土庁など国の関係者で構成する視察団が同構想に位置する関係府県をヘリコプターで視察され、途中、本県での懇談会席上、同会長は、第二国土軸構想推進の必要性を強く訴え、国に対し建設着工を働きかけるとの意欲的な発言もされたと聞いております。
 西日本の発展のためには第二国土軸の形成が必要と訴え、そのかなめとも言うべき紀淡海峡トンネル構想を昭和五十四年の年頭に新春の夢として仮谷知事が提唱され、その結果、昭和五十八年度から毎年一億円の予算をもっての日本鉄道建設公団による継続的調査、また昨年度からの建設省による同海峡の架橋としての調査開始等、その実現に向けての確かな歩みが始まっています。加えて昨年八月には、一極集中是正、大都市圏に対抗できる活力ある地域経済圏の早期実現を目的とする新国土形成研究会も設立され、また多極分散型の国土形成をその大目標に据えながら、一段と進行する東京一極集中に対処するため、昨年九月からの国土庁による五全総の前倒し策定をも考慮に入れた四全総のフォローアップ作業への着手及びその見直しなど、仮谷知事が提唱し、赤々と燃やし続けてまいりました第二国土軸構想実現に向けての運動の成果が生まれつつあり、また、いささか悪化が予想される国の財政事情は別にしても、前述のとおり整いつつある客観的諸情勢、同構想推進協議会設立等に見られる関係府県の熱意の高まり等、第二国土軸構想実現に向けての猛運動を展開する好機の到来を感じるのであります。
 今日までの経済効率中心主義が極度の一極集中を招き、それを是正する多極分散型国土形成の推進が国家的命題ともなっている今日、同構想実現を提唱されている仮谷知事のご所見、並びに全国知事会副会長でもあり関係府県の牽引的立場での、その実現に向けてのまとめ役としての力強い決意のほどをお伺いいたします。
 また、紀淡海峡に関し、従来の鉄道建設公団による継続的調査に加え、昨年度からの建設省の調査着手により架橋かトンネルかの論議が生じております。私は当面、両にらみで推進すべきと思いますが、担当部長のご所見、お取り組みをお尋ねし、今後、同構想実現に向けての関係府県間の事務レベル協議の連携強化を要望いたします。
 次に、教育問題について若干のお尋ねをいたします。
 中国に「百年先を考えるならば人を育てろ」ということわざがあります。人づくり、人育ての必要性を語ることわざであり、教育に当てはめますと、正しいよい教育をすれば百年先に花が咲くと置きかえられますし、反面、教育を間違えれば百年先はだめだと解釈できるのであります。また、教育のよい効果はすぐにはあらわれないということであり、逆もまた真なりであります。
 「地域づくりは人づくり」とも言われて久しく、教育の重要性は今さら論をまたないのであり、またその目的として、個人の人間形成はもとより社会的影響をも考え合わせねばなりません。
 私は、学校教育とは、まさに文字どおり学校で教え、育てることなりと思いますし、また、その機能を高めるためには体制的、管理的であるべきと信ずるものであります。我が国が世界に誇り得る国づくりの過程で果たしてきた教育の役目を考えるとき、改めてその重要性を認識するのであります。
 ところで、昨今の教育論議を聞いておりますと、「子供の人権」あるいは「ゆとり」等の響きのよい言葉のもとでイデオロギーが入り込み、教育問題を純粋にとらえることなく、その本質論も外しているように思えてなりません。もとより子供たちの人権の存在を否定するものではありませんが、特に義務教育においては、その目的が国民として生きていくための最低限の知識を与えることであり、また社会の中で生きていくための生活の仕方を教えることであるとするならば、そうした目的を達成するためには学校というのは体制的で管理的であるべきで、その目的を忘れ、子供の権利を守れとか、ゆとりある楽しい学校教育にしなければいけないなどというのは、学校の教育のあり方から考えれば全く議論の対象にならないと考えますが、教育長の見解をお尋ねいたします。
 次に、本年度九月から実施される公立幼稚園、小・中・高等学校における月一回の学校五日制の導入についてお尋ねをいたします。
 その実施目的には、一つ、学校教育に偏った教育力を家庭及び地域社会で回復すること、二つ、ゆとりのある学校生活の中で、自然との触れ合い、親子の触れ合い、あるいはその地域における奉仕といったことを通して人間としての生きる力を身につけ、心豊かでたくましい人間の形成を図ることとなっています。
 果たして、地域社会に子供の教育力を回復するだけの素地が整っているのでしょうか。また、本当に教育にゆとりが必要なのかどうか、私は若干の疑問を感じるのであります。詰め込み教育を決してよしとはしませんが、ある年齢段階において詰め込まねばならない知識というのがあるわけで、そうしたことを抜きにしてゆとりを教育の基本理念としているのは、悪く考えれば美名のもとの怠け癖奨励ともとれなくはありません。これだけ勉強しなければならないという量については一定の基準を設定し得ても、「ゆとり」と言うと言葉の響きはいいけれども、これは別の意地悪な見方をすれば怠け癖をつけるということにつながるおそれもあり、一番学習能力のある年齢段階におけるこうした措置に懸念を抱くものであります。学校五日制導入の中で私が抱くこうした懸念について教育長はいかなる見解をお持ちか、お尋ねをいたします。
 また、本県の教育問題の中でよく議論される他府県との比較における県内公立学校での授業時数減について、そのカバーに努めるべく現場を指導されているのかどうか、指導されているとすればいかなる指導をされているか、お尋ねをいたします。
 最後になりましたが、本年度末を期に県職員を退かれる職員の皆様方には、長きにわたるご尽力に対し心から感謝を申し上げ、私の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 冨安議員にお答え申し上げます。
 第二国土軸の推進についてでございます。
 お話のように、ワイズマン構想から発しました第二国土軸について最近とみに関心が高まりつつあるということ、非常にうれしい限りでございます。一昨年の十月に十七府県、二十五団体による第二国土軸構想推進協議会が和歌山で発足され、それから関係の国会議員の皆さんによって議員連盟をつくっていただいて積極的に推進していただいておるということ、非常にありがたいわけでございます。
 特に和歌山県においては、県会の皆さん方のご努力によりまして、関西国際空港の推進、南紀白浜空港の建設、高速道路の南伸等、数々の山積した問題が解決しつつあるわけでございますけれども、やはり二十一世紀を目指してこの第二国土軸を推進し、和歌山県が国土軸の中に入ることが一番大事なことであります。また日本といたしましても、これからの多極分散型の国土形成構想の中で発展させるためにも第二国土軸が大事だと考えます。そしてまた、話ございましたように、大阪湾ベイエリア開発の問題とも絡んでまいります。そうした中において、特に紀淡海峡の問題が大きなウエートを持ってくると思うわけでございます。
 時あたかも、国において国土計画の見直しが行われている現在でございますし、また大阪湾ベイエリアの法案が今国会にも上程されようとしている重要な段階でもございますので、特に紀淡海峡トンネル、橋を含むこの国土軸の推進に、皆さん方のご指導をいただいて私も全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 第二国土軸構想の一環である紀淡海峡ルートについてお答えを申し上げます。
 その促進については、かねてより国初め関係各方面へ働きかけてきたところでございますが、ご案内のとおり、昭和五十八年からは日本鉄道建設公団によりトンネル調査が開始されました。また昨年からは、建設省において大阪湾環状道路の一環としての紀淡海峡連絡道路の調査、さらには海峡横断道路プロジェクト技術調査委員会による技術的な面からの検討が開始されたところでございます。このように、国において鉄道、道路両面での調査を実施していただけるようになりましたことは大きな前進と考えてございます。
 今後は、国におけるこれらの調査の促進等をさらに強力に働きかけていくことが重要と考えてございまして、関係団体とも連携しつつ、紀淡海峡ルートの実現に努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、この構想実現に向けての事務レベルでの連絡会議についてでございます。
 一昨年の第二国土軸構想推進協議会の設立に際して、二十五団体の部長級で構成する幹事会や役員団体で構成する世話人会を設けて、事務レベルでの連絡調整にも努めているところでございます。来年度からは協議会の事務局を本県で預かる予定ともなってございますので、議員ご指摘の趣旨を十分に踏まえ、関係団体の一層の連携強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校教育のあるべき姿と週五日制についてお答えいたします。
 まず、教育は、子供たち一人一人が明るく伸び伸びと学び、意欲を持って生きていくとともに、あすの我が国の発展に尽くすことができる能力を養うことを目指して行うものであり、議員ご指摘のように、国家百年の大計であると認識してございます。
 学校は、我が子が人間として心豊かに、たくましく成長することを願っている保護者から教育を託されております。その期待にこたえるために、校長の強力なリーダーシップのもとに、全教職員が懸命に汗を流して子供に深くかかわり、その喜びや悲しみを心にしっかりと受けとめることによって、子供にとって学校が魅力のある楽しいものになると考えてございます。
 県教育委員会といたしましては、学校が地域社会に対しても開かれたものであり、保護者や地域の人々と力を合わせて子供を育てていく必要があると考えます。本県の子供たちが、ややもすると忍耐力に欠けるのではないかという指摘もなされている中で、学業にスポーツに懸命に取り組むことによって、自分の持っている力を十分に発揮し、人生を力強く骨太に生きていく力を育てていく必要があります。また、友達やお年寄りの気持ちや立場を大切にし、自然の美しさに感動する心を養ったりすることなどを通し、みずみずしい感性を養い、命のとうとさに気づかせるとともに、生涯にわたって自己を高めていく力を身につけさせることが大切であります。
 教職員については、公教育に携わる者としての重い責務を自覚するとともに、形式的、画一的になることなく、子供たちの力を最大限に伸ばすよう努力し、時には期待にこたえられないことがあっても、子供を信じ切って情熱を傾け、日々の教育活動に邁進するよう指導いたしてございます。
 次に、学校週五日制については、これまでの学校中心の教育から、地域や家庭との連携の中で、自然との触れ合い、家族や地域の人々との交流、奉仕活動などを大切にしながら、豊かな人間性や社会性、またみずから進んで学習する態度などを育てるというこれからの教育のあり方としてとらえてございます。
 しかし、学校週五日制の導入に当たっては、学力の低下や非行に対する保護者の不安も強く、また地域社会が施設や指導者の面等でまだ十分には対応し切れないという課題がございます。当面、積極的に学校施設を開放するとともに、教職員のボランティア活動も必要な面があると考えてございます。学校においては、基礎的、基本的な内容を大切にし、教育水準を維持向上させるようさまざま面で改善を図り、生徒の学習負担が過重にならないよう配慮しながら、月曜日から金曜日までの教育内容を充実させていく必要がございます。
 最後に、本県の県立高校における授業の日数及び時間数については、さきの本会議でもお答えいたしましたとおり、全国平均より約二十五日程度少ない状況にあります。
 そのため、これまで授業の日数及び時間数の確保に向けて年間行事計画の見直しなどを指導してきたところであります。本年度はさらに年間実授業日数を二百十日以上確保するよう、県立学校長会や教頭会及び教務部長会を招集し、その趣旨の徹底を図っているところであります。
 また、学校週五日制の導入に当たっては、まず授業の日数及び時間数を全国並みにしなければならないという観点に立って、年間教育計画を作成するよう各学校を指導してまいりたいと考えています。
 今後も、一層本県教育の活性化を図り、二十一世紀の社会で活躍できる人材の育成に努め、県民の熱い期待と信頼にこたえられる教育行政を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番冨安民浩君。
○冨安民浩君 第二国土軸構想推進に向けての仮谷知事の力強い決意のほどをお聞かせいただき、まことに心強く感じるわけでございます。
 知事も、県内に小なたを振るわなければいけないいろんな問題もあると思うわけですが、この大構想は是が非でもやり抜くんだという不退転の決意をお固めいただきたいと思います。また、そうした知事の姿勢が反映されまして、関係府県でもその熱意が一層高まって、やがて定期的にその推進に向けての大集会が持てる日が来ることの近からんことを私は希望いたしております。
 なお、教育問題についてでありますが、私はかねがね西川教育長の教育にかける情熱、また信念を評価いたすものでございますが、その教育長の信念なり情熱なりが現場に生かされるよう十分ご指導いただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番北村 翼君。
 〔北村 翼君、登壇〕(拍手)
○北村 翼君 このたびは、発言の機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。先輩各位に心から敬意を表する次第でございます。私は、和歌山県のさらなる発展を祈念いたしまして、数点にわたってご質問を申し上げたいと思います。
 まず初めに、福祉行政、特に障害者対策についてご質問を申し上げます。
 私ども、県民挙げて取り組んでまいりました国連・障害者の十年も、いよいよ本年をもって終了しようといたしております。振り返ってみますと、昭和五十年十二月九日、国連における障害者の権利宣言に始まるわけでございますが、その後、昭和五十六年には「完全参加と平等」の基本理念のもとに「国際障害者年」と定め、さらに昭和五十七年には障害者に関する世界行動計画が策定され、昭和五十八年から平成四年までを「国連・障害者の十年」として今日まで国際的な取り組みがなされてきたところであります。
 一方、本県におきましても、国際障害者年の基本理念のもとに昭和五十七年度に障害者にかかる和歌山県長期行動計画が策定され、市町村、関係団体を初め県民挙げて障害者対策を積極的に推進されてまいりましたが、本年三月末日をもって本長期行動計画が終了しようとしているところであります。
 こうした障害者対策にとって極めて重要な時期に当たり、さきの県議会において今後の障害者対策について知事は、この十年の点検評価を行い、課題を明らかにするとともに、国等の動向を見ながら新しい指針を検討する旨の、障害者の皆様方にとっては極めて心強いお考えを示されたところでございます。平成四年度における障害福祉予算においても、一、心身障害者援護施設の建設補助、二、身体障害者福祉工場建設補助、三、身体障害者福祉ホーム建設補助、四、身体障害者デイ・サービス事業、五、国連・障害者の十年記念事業、六、心身障害児地域療育拠点施設事業の新規事業を採択されるとともに、社会参加促進事業の充実や心身障害者小規模通所授産事業充実等、思い切った予算措置が講ぜられ、この十年の最終年度に当たり、知事の並み並みならぬ決意がひしひしと感じられるところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 知事の格別の配慮により障害者福祉の向上が図られていることに深く敬意を表する次第でありますが、私は「障害を持つ人が、家庭やその地域で障害を持たない人とともに生活をしていることが当然の姿であって、したがって障害者を特別視したり閉め出したりする社会は弱くもろい社会であり、これらの人々が社会の一員として平等に生活できる社会を築き上げることが社会全体の責務である」というノーマライゼーションの理念の定着、すなわち県民の理解、認識の向上を図ることが障害者福祉の推進にとって極めて重要な課題であると考えます。
 国連・障害者の十年の終了後における障害者対策の一層の前進を図るため、私は「完全参加と平等」の実現を目指す日として、この十二月九日を国民の祝日とされるようご提言いたしますが、知事のご所見をお伺いします。
 また、国連・障害者の十年の終了後、障害者対策をどのように推進していくのか、民生部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、ホームヘルパー並びに社会福祉協議会の国庫補助職員についてご質問を申し上げます。
 周知のとおり、本県の高齢化率は一五・五%と、全国平均より十年先行していると言われています。橋本市の高齢化率は、平成三年度の県老人福祉課調査によると一二・八%で県平均より低い状態でございますが、その年齢階層の構造等を見ると、老人福祉サービスの整備充実は喫緊の課題であると考えます。国において示された高齢者保健福祉推進十か年戦略いわゆるゴールドプランによると、今後の老人福祉対策は施設中心から在宅福祉を組み合わせたものへとシフトされることになっているが、これは高齢者の希望に沿うもので、ぜひとも本県も積極的に推進されることを希望するものであります。ただ、在宅福祉を充実させるためには、その中心とも言えるホームヘルパー及び社会福祉協議会職員の存在が欠かせないのではないでしょうか。しかしながら、その確保並びに勤務の実態を考えると、私のところにも、給与が低い、社会的に認められない、後に続く後継者がない等、切実な声が聞こえてまいります。
 そこで、民生部長にお伺いをいたします。
 ホームペルパーの確保についてどのようなお考えで取り組んでおられるのか、またその待遇や社会的な地位の向上についてどのようにお考えなのか、また今般、ホームペルパー及び社会福祉協議会の国庫補助職員の手当などが改善されるように聞いておりますが、その内容についてもあわせてお伺いを申し上げたいと思います。
 次に、紀の川大堰に関連してご質問を申し上げます。
 紀の川大堰が河口から六・二キロの地点に可動ぜきとして本年三月着工されることが、近畿地方建設局より公表されております。新六箇井堰の抱えるさまざまな問題点を解消して、百五十年に一回の豪雨、船戸の上流の二日間雨量四百四十ミリにも耐えながら、毎秒一万二千トンの水を安全に流下させることができるという。さらに、水道用水、かんがい水の確保、魚道や水辺の生物の環境対策も含まれているという、まさに日本最新のすばらしい井ぜきであると同時に、関西新空港とともに連動し、和歌山県が世界へ飛躍する歴史的、画期的な大事業であると考え、高く評価をするものであります。
 紀の川大堰と言えば大阪分水、大阪分水と言えば紀伊丹生川ダムが連想されてまいります。密接不離の関係にある右岸の橋本市と左岸の九度山町。大堰が動き出すということになりますと、水没関係者及び水没関係市町、その他関係の皆様の心も動きます。不安と期待の昨今であります。
 そこで、これらのことに関連して、以下ご質問をしたいと存じます。
 まず第一番目に、丹生川の地質調査等の各種調査は平成三年と平成四年でほぼ終了し、平成五年度からは調査事務所を改め、ダム工事事務所として出発するとか風聞いたしますが、調査等の現況、今後の日程についてお伺い申し上げます。
 第二番目に、大谷川は橋本市南馬場地先で紀の川に流入する一級河川であります。この付近の紀の川堤防改修は平成二年に建設省直轄事業として概成いたしておりますが、あいにくその年の九月、台風十九号が来て上流域での豪雨により紀の川は増水し、堤防決壊には至らなかったものの、洪水の逆流を防ぐための樋門を閉めていたことから、大谷川の内水がはんらんし、紀陽団地に浸水をいたしました。床上浸水五戸、床下浸水十一戸、避難命令が出て七十戸の住民、二百五十人が近くの小学校に逃れたのであります。こんな立派な堤防ができ、もう水の心配はなくなったよ、こういうように喜んだのもつかの間の災害の発生でございました。そこで、二度とこういう浸水被害が起こらないよう、住民の不安除去のための内水対策をどのように考えておられるのか、お伺いします。
 第三番目に、橋本川及び落合川上流についてお伺いいたしますが、この橋本川上流の改修も住民から大きな要望がございます。そして、さらに芋谷川の改修もございますが、紀の川より二、三百メートルのところの改修がまだ済んでおりませんので、その進捗状況をお尋ね申し上げたいと思います。特に落合川は、上流が住宅開発の関連地になっているとともに奈良県とも接している河川であり、いろいろと交渉について困難性も多いと思いますが、その後の状況をお伺い申し上げます。
 第四番目に、紀の川の計画洪水関係書によりますと、船戸付近では毎秒一万二千トンの水を安全に流下させることになっており、橋本付近では毎秒六千五百トンを安全に流下するという計画のようでございますけれども、どの地点を指すのでございますか、お伺いを申し上げます。
 次に、指定文化財の保護と宿坊寺院の防火対策についてお伺い申し上げます。
 豊かな自然に恵まれた紀伊半島の西南に位置する我が郷土和歌山県は、霊峰高野山と熊野三山に象徴されるように、歴史と文化の宝庫として、古くから我が国の心のふるさととして、また南紀の黒潮洗う海岸線とマリンブルーの美しい海、そして緑なす山並みに恵まれた自然の宝庫として親しまれてきました。このように、和歌山県には貴重な文化財が数多く存在し、国及び県指定の文化財のうち有形文化財について見ると、建造物は室町時代から鎌倉時代のものが多く指定されています。
 その分布状況に目を移しますと、国、県指定文化財は四十九市町村に所在し、そのうちでも伊都地方が最も多く全体の三三・三%を占め、次いで熊野三山を擁する地域に指定文化財が集中している現状でございます。また文化財の種別で見ると、建造物では伊都地方が全体の二六・七%を占め、次いで海草地方の一七・二%の順で、紀北地方に集中している現状でございます。美術工芸品では、伊都地方が全体の五一・五%を占め、次いで東牟婁地方の一五・四%の順で、高野山、熊野の二大宗教文化の隆盛を物語っているところでございます。
 一方、記念物では、西牟婁地方の一九・二%を筆頭に東牟婁地方の一八・八%が続いており、紀南地方に貴重な自然が残されていることをうかがい知ることができます。また民俗文化財については、日高地方以南が全体の五二・一%を占め、古式豊かな民俗芸能等が数多く伝承されております。
 その文化財の数といい、質といい、実に国指定のものが四百二十件、県指定のものが四百九十二件、合わせて九百十二件の多きを数え、それに市町村指定のものは八百七件もございます。これは、国指定に限って申しますと、東京、京都、奈良、滋賀、大阪、兵庫に次ぎ全国で第七位の文化財保有県であり、このことについては大いなる誇りと喜びにたえないところであります。と同時に、この貴重な文化遺産を後世に継承する責任と重要性を特に痛感する次第でございます。
 しかし、この願いとは裏腹に、文化財所在地周辺での火災等が頻発している現状にあります。とりわけ高野山では、四年前に地蔵院、赤松院の火災、近くは本年二月十二日夜、総持院の火災等、指定文化財集中地域での火災発生に強い関心を抱いているところであります。
 そこで、これらのことに関連して、以下ご質問をしたいと存じます。
 まず第一番目に、文化財保護意識の高揚について当局ではどのように対応されておられるのか。
 第二番目に、県下の指定文化財施設における防火設備の現状と課題についてどのように考えておられるのか。
 第三番目に、昭和二十四年一月二十五日の法隆寺金堂炎上による壁画焼失の貴重な教訓を生かし、文化財防火デーが設定され、今日に至っておりますが、本県ではどのようなことが行われているのか、本県での対応をお伺いいたしたい。
 第四番目に、先日の高野山宿坊総持院の火災に関連し、新聞報道によれば屋内消火栓の未設置、年二回義務づけられている消防訓練の不徹底、防火意識の低調さなどが指摘されておりましたが、県当局として事後どのような指導をなされたのか、またこの種の火災再発防止のためどのような対応をなされるのか。
 以上、四点についてお考えをお伺いいたします。
 最後に、テレビ難視聴対策について申し上げます。
 今日の情報化社会の中にあって、テレビは県民の最も身近な情報伝達手段であることは言うまでもございません。しかし、本県のような山間地の比率が非常に高い地域では、電波の持つその特性から県土の一〇〇%すべての地域をカバーするのは大変困難であるということは、十分認識いたしているつもりでございます。
 また、県では難視聴対策について、昭和四十三年から長期間にわたり中継局や共同受信施設を設置するなど積極的に取り組んでこられ、その結果、県土の九六%以上の地域でテレビがよく見える状態となっていることについては敬意を表しているところでございます。残る四%については、山間地に数軒の家が点在しているような、対策が大変困難な地域がほとんどであろうと推測いたしております。
 ただいま、「ほとんどであろう」と表現いたしましたのは、すべてが山間に点在しているところではないという意味でございます。私の地元、橋本市恋野地区及び隅田地区東部では、五百軒に及ぶ世帯でテレビ和歌山の放送を見ることができないのであります。本日の私のこの一般質問も見ていただくことができませんし、知事さん、あなたの答弁をされているお姿もごらんいただけないわけであります。
 聞くところによりますと、本年度から郵政省がテレビ難視聴解消のための新規事業を制度化されるようですが、この事業は民間テレビ放送が一波も見えない地域に対してだけしか適用されないと伺っております。恋野地区及び隅田地区東部のように、テレビ和歌山以外の民間放送が見える地域は対象にならないそうでございます。
 私は、県土の一〇〇%でテレビが見えるようにしてくださいと申しているのではありません。なぜなら、その困難さは十分理解しているからであります。しかし、恋野地区のように数百軒もの世帯が固まって──恋野というのは、昔の一つの村でございます──県域テレビが見えないというような地域に対しては現状の制度で対応できないのであれば、それにかわる方法を市町村や放送事業者とともに協力して検討していただきたい。この質問の冒頭に申し上げたとおり、テレビは今や重要な情報伝達手段であり、また地域文化の向上といった面からも前向きに検討していただくことをもう一度お願い申し上げまして、これは要望とさせていただきます。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(山本 一君) ただいまの北村翼君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 北村議員にお答え申し上げます。
 障害者対策は、私も福祉の原点であるという観点に立って現在まで諸施策を推進してきたわけでございます。特に話ございましたように、平成四年度は国連・障害者の十年を締めくくる重要な年でございます。そのために、思い切った予算を計上させていただいておるわけでございます。
 十二月九日を国民の祝日とされるような提言を承ったわけでございますけれども、この提言は、国連・障害者の十年終了後においても県民意識の向上、施策の充実を図らなければならないという願いを込めた意見と受けとめさせていただいているわけでございます。国連・障害者の十年終了後における方策についても、新たな指針策定について十分検討を加え、いささかも停滞を来さないように努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
 それから、難視聴対策についての恋野の問題でございます。
 要望でございますけれども、十分配慮させていただきます。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 国連・障害者の十年後の障害者対策についてお答えをいたします。
 国連障害者の十年終了後の障害者対策については、ただいま知事から答弁いたしましたとおり、国連障害者の十年の意義を継承し、さらに積極的な施策の推進を図ってまいる所存でございます。
 今後、重点的に取り組むべき課題については、この十年間の成果を評価点検する中で明らかにしてまいりますが、とりわけ、障害者が地域社会や家庭で安心して自立した生活ができ、社会活動に活発に参加できる条件づくりが必要であると考えております。そのためには、生活環境の整備を初め、雇用の促進、在宅福祉対策の充実、重度障害者のための施設整備などが当面の重要な課題であると認識いたしております。これらの課題解決のため、広く県民や関係機関の理解と協力をいただきながら、一層の努力を払ってまいる所存でございます。
 続きまして、ホームヘルパーの手当についてお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、在宅福祉対策の推進には特にホームヘルパーの確保が肝要であり、昨年策定した喜の国長寿保健福祉プランにおいても、平成十一年度までに千二百人のホームヘルパーを確保する目標を掲げているところでございます。そのためには、ホームヘルパーの処遇の改善が急務であり、国に対し強く要望してきたところでございます。
 今般、国の平成四年度予算案において、常勤ヘルパーの手当額について年額百万円が増額され、給与の改善はもとより、新たに適用されることになった全国の退職共済制度の掛金や各種手当、社会保険料の事業主負担分が賄われることとなってございまして、その所要の経費を県においても平成四年度予算案に計上いたしているところでございます。また県単独事業として、県の社会福祉協議会で行っている共済制度への助成措置をも講じることといたしてございます。さらに、将来のマンパワーの確保のために、福祉人材情報センターの設置を平成四年度事業として国に要望しているほか、ホームヘルパーの社会的地位の向上のためのイメージアップ事業として、県民からホームヘルパーの愛称の募集などを行う事業も予定してございます。
 これらの事業を総合的に実施することにより、ホームヘルパーの確保を積極的に推進してまいる所存でございます。
 最後に、社会福祉協議会の国庫補助職員の手当についてでございます。
 社会福祉協議会の職員の給与等の改善については、当該地方公共団体の職員に準じるように指導してまいっているところでございますが、地域福祉の積極的な推進を図るためにも、今後とも引き続きその処遇の向上について市町村社協を指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 紀の川大堰に関連してお答えを申し上げます。
 まず、紀伊丹生川ダムの実施計画調査については、建設省において平成元年度より地元関係者の協力を得ながら水理水文等の諸調査を進めており、平成三年度末で延べ二十本のボーリングを実施いたしました。平成四年度は、地質調査ボーリング及び各種の調査を継続して行う予定と聞いております。
 なお、ダム工事事務所の設置の時期については、今後さらにその調査の進捗状況等を踏まえる必要がありますが、できるだけ早く設置できるよう努力してまいりたいということを聞いてございます。
 次に、橋本市南馬場団地付近の大谷川河川改修については、紀の川合流点より九百メーター間の改修計画を策定し、県事業により昭和六十年度に完了いたしました。合流点付近の内水対策については、紀の川本川の無堤部の解消等、直轄河川改修事業の進捗状況を勘案しつつ、内水対策について協議を進めていくと聞いております。
 次に計画洪水位については、紀の川の河川改修計画において橋本地点での計画高水流量を毎秒六千五百立方メートルと定めております。橋本橋地点でございますが、このときの水位は現在の橋本橋のけた下から約一・六メートル下がりに相当いたします。
 次に橋本川の河川改修については、橋本林間田園都市計画を契機として昭和四十八年度より着手し、紀の川合流点から市街地部の三百六十メーターを残して概成いたしております。この残された区間の用地買収を進めるに当たっての問題点を整理すべく、国、県、橋本市で協議を行った結果、平成七年度を目途に事業用地の取得を図ることとし、市とも十分連携して河川改修の早期完成に向け、努力をしてまいります。
 また落合川については、奈良県との県境に位置していることから、協調して河川改修を進めております。平成四年度には当初計画区間二百メートルを完成させることとしておりますが、さらに上流の延伸については、奈良県と協議を行い、基本的には合意を得たところでございますので、今後、早期事業着手に向け、協議を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 宿坊寺院の防火対策についてでございます。
 本年の二月十二日に発生した総持院の火災においては、ご指摘にもございましたが、屋内消火栓の未設置、消火避難訓練の未実施などが判明をいたしましたため、二月十四日付、総務部長名で県下消防関係機関を通じてこの種火災の再発防止に万全を期するよう通知するとともに、高野町消防本部から火災の状況と今後の防火対策について説明を求め、火災予防査察の強化など必要な指導を行ったところでございます。
 さらに、近く宿坊寺院の関係者を対象に防火安全対策会議を開催して、防火意識の高揚を初め、消防用設備等の設置、維持管理、消火、避難訓練の実施など、防火対策の徹底を図ることといたしております。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 文化財の保護と防火対策についてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、本県には高野山、熊野三山を初めとして県下各地に数多くの文化財がございます。この貴重な国民的財産である文化財を保存伝承し、活用していくことが大切なことでございます。
 教育委員会といたしましては、文化財保護とその意識の高揚を図るため、行政担当者の研修を行うとともに、各市町村に文化財保護指導委員を配置し、文化財パトロールや保護指導に当たるなど、県民に広く親しまれる文化財としてその保護と活用に取り組んでいるところであります。また、文化財の所有者に対しましては、文化財保護管理のための実務研修等を行い、その意識の高揚を図っているところでございます。
 次に、県下の防火設備の現況についてでございます。
 国指定文化財にあっては、警報設備は九三%、消火設備は八七%、避雷設備は八三%の設置状況となってございます。また、県指定文化財についても、それぞれの設備は全国平均を上回っている状況にございます。文化財の防火設備の設置については、教育委員会と市町村、さらには所有者がお互いに役割分担をしながらその充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 今後の対策についてでございますが、未設置箇所の解消や老朽設備の改修については年次的に行うとともに、美術工芸品については収蔵庫による保存を図るよう指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、文化財防火デーの取り組みについてでございますが、十一月の文化財保護月間に引き続き、防火訓練、防火設備の点検を初め、ポスターや街頭啓発等を実施いたしております。今後とも、消防署並びに関係機関の協力を得ながら、文化財防火運動の一層の展開を図っていくよう、所有者などを指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) 再質問がないようでございますので、以上で北村翼君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時十七分休憩
 ──────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 先輩議員、同僚議員のご配慮に感謝申し上げて質問に入りたいと存じますが、その前に、去る十二月議会で自由民主党県議団から要望いたしました市町村負担金の軽減について、当局におかれては積極的に対応され、平成四年度で約十三億三千万円の軽減措置を図っていただきましたが、管内市町村長の喜びはまことに大きく、非常に感謝されましたことをご報告申し上げます。ありがとうございました。
 まず初めに、日米交流の歴史についての質問をいたしたいと存じます。
 東京で「日本とアメリカの交流が始まったのはいつですか」と質問いたしますと、大抵の人は、一八五三年にペリー提督が浦賀に黒船四隻でやってきたときから交流の歴史が始まったと答えます。なぜかと申しますと、我々日本人は歴史教科書でそのように教えられたからであります。ところが、アメリカの多くの歴史書には、ペリー提督の来日より六十二年前の一七九一年に日本へ最初に行ったアメリカ人としてケンドリックの名が、また最初の船としてレディー・ワシントン号の名が挙げられております。本年は、数えてちょうど二百一年目に当たるのであります。
 田辺市在住の郷土の作家で日本ペンクラブ会員であり本県の文化奨励賞を受けられた佐山和夫氏のノンフィクション小説「わが名はケンドリック」は、レディー・ワシントン号が何のために日本にやってきた、なぜ日本史にその事実が記載されなかったのか、一気に読ませてくれます。佐山さんは、「南紀徳川史」を調べ、日本の歴史を調べ、そしてアメリカへ渡ってレディー・ワシントン号とケンドリック船長を克明に調べているのであります。
 かいつまんで紹介しますと、アメリカ合衆国独立後、国力増強のため貿易振興に力を入れる政府は、中国との貿易を目指した。五人の大商人たちが出資して二隻の船、レディー・ワシントン号とコロンビア号を編成した。時の国務長官で後に第三代大統領となったトマス・ジェファソンが特に力を入れ、国の代表としての資格、つまり国会はこれらの船にプライバティアの免許証を与え、マサチューセッツ州がパスポートを発行したのであります。プライバティアというのは、商船であると同時に敵国船舶の拿捕も認可され、大砲を積んでおりました。その船長で隊長がケンドリックであります。アメリカを代表する船として南米のホーン岬を回り、北上してカナダに到着し、貿易品であるラッコの毛皮をインディアンから仕入れ、ハワイ島に渡り、中国香港に至る数年をかけての命を張った壮大な旅に出発したのであります。ワシントンが初代大統領に就任したのは、その二年後であります。
 佐山さんが調べたボストンの大商人がケンドリック船長にあてた手紙の一節に、「願わくば、貴殿と現地人との間に常に友情と協調がありますように。そして、通商において相手の無知につけ込まないこと、アメリカ人の代表として、正直な行為によりそれぞれの土地の人の心に友愛の情を植えつけるよう努力されることを祈ります」とあります。さらに、「それが得策と思えば日本に立ち寄ってください。ただし、安全と思われるのでなければ投錨しないこと」と書かれています。
 実際、彼らは中国へ行っての帰途、日本へ立ち寄ったことが乗組員の日記に、「日本の南の海岸に到着。そこで土地の人々からこの上ない歓迎を受けた。船上にアメリカ国旗が翻ったのはこの国では最初であろう」云々とあります。十一日間ここに停泊し、島民に食事や酒をごちそうしており、ケンドリック船長は、一枚の紙に国名、母港名、船名、船長名を書き残し、地元民がそれを書き写したものが今も残されております。事実、「南紀徳川史」には「大島樫野浦沖へ異国船渡来」云々とあり、最後に、船長の舌づけには「アメリカ合衆国、ニューイングランド地方、ボストンのブリック型帆船『レディー・ワシントン号』、船長ジョン・ケンドリック」と残されております。
 なお、串本町史編さん委員の浜健吾氏の著書「紀伊大島」にも米船本邦初寄港として詳しく述べているところであります。
 では、なぜ日本の歴史の上でこのことが書かれなかったのか。「南紀徳川史」に、彼らは「たまたま風浪に遭い、漂流してここに着いた。いい風が来れば即日去るつもりだ」と伝えており、つまり「漂着した」としか残されていないのであります。ですから、文部省の教科書に載らないのであります。果たして、そうでありましょうか。佐山さんは、レディー・ワシントン号の母港ボストンを訪れて驚いた。ケンドリック船長の直筆の手紙のみならず、その他の多くの資料が残されており、その結果を総合しますと、漂流はあくまで口実であって、鎖国中の日本へ着いて住民の警戒心を取り除くための方便であり、彼らが通商を目的として日本へ行くことは最初の計画の中に既にあるのであります。
 時間がありませんのでその他のことを省きますが、現在、ケンドリック船長のふるさとウエアハムの町には、彼の家がそのままケンドリック記念館として保存されております。さらに、アメリカではこの事実が重要に考えられており、ワシントン州アバディーン市では、州から百万ドル、市から五十万ドルを出してもらい、地元企業や一般からの寄附でレディー・ワシントン号の再建造を行ったのであります。歴史の再現で多くの観光客が集まり、沿岸各地でのフェスティバルにこの船が招かれることが多いそうであります。もっと驚いたことは、この船で昔の航路のとおり日本へ航海しようと今、計画が持ち上がっているということであります。
 さて、串本町大島樫野に日米修好記念館が昭和四十九年に建設されております。こうした史実をよくご存じの故早川代議士が歴史の称揚と観光の一助にと発案され、今は亡き故塩津六郎町長がこれにこたえたものであります。早川先生は、外務省や日米協会、アメリカ大使館を説得され、当時の資料やレディー・ワシントン号の模型をアメリカから贈呈の労をとっていただきました。たまたま私は、当時、和歌山県東京事務所に在職中でありまして、ここにおられる木下秀男県議にもいろいろお世話になったのであります。
 さて、佐山さんは毎日新聞社主催の郷土提言賞に応募し奨励賞に入選されておりますが、そのテーマは、この日米にかかわる歴史上の遺産をふるさと活性化のために未来に向かって生かすべきであると提言しているのであります。土佐中浜の漁師、ジョン万次郎がアメリカの捕鯨船に助けられて百五十年、両国国民の草の根交流を深めようとジョン万次郎の会がつくられ、国際交流の館、ジョン万ハウスが建設され、各般のセレモニーが行われております。松江市では、去年、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)来日百周年記念事業を行い、日米の舞台芸術家がハーンを主人公にした舞台劇を作成し公演して多くのファンにこたえました。記念式や胸像、記念館がさらに充実し、松江市のみが行える事業を的確に行って、ふるさとおこしに役立てている。つまり、松江市発の文化発信であります。佐山氏は、こうした紹介を行った上で、和歌山県もしくは串本町がレディー・ワシントン号とケンドリック船長の来日という歴史的遺産を、二百周年をとらえて積極的に生かすことを提言されております。
 そこで、お尋ねいたします。
 一つは、既に発刊された「和歌山県史 近世編」にはレディー・ワシントン号来県の記事が記載されておりませんが、このことについてどのような考えを持っておられるか。
 二つは、このようなアメリカ商船が日本の大島に来日し、交渉を持とうとした史実を歴史教科書に取り上げてもらうようにするにはどのような方途が考えられるか、教育長にお尋ねいたします。
 先ほどの郷土史家浜健吾氏は、「今まで、地方の歴史が中央に通じていない。ゆがんでいる。もっと地方の歴史を大切にして、中央の歴史をまとめ直す必要がある」と指摘しております。
 なお、去る三月五日、串本中学校育友会会長矢倉甚兵衛氏らが中心となって町議会議長に、社会科等の教科書に、一七九一年、和歌山県串本町大島への米国商船初来航の史実を正しく記述することを求める意見書を提出しているところであります。
 三つは、二百周年が二百一周年になってもよいので、何らかのふるさとづくりの一環に組み入れ、マサチューセッツ州と本県との姉妹州県の提携は唐突に過ぎるとして、和歌山発の文化として発信していただきたいのでありますが、いかがでありましょうか。
 最後になりましたが、ケンドリック船長の大いなる勇気と業績をたたえ、安らかな眠りを祈りたいと思います。
 次に、水産関係であります。
 絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の第八回締約国会議が去る三月二日、京都国際会館で開催され、世界から百五カ国と国際機関が参加しております。その中で、日本人にとって、特に漁業関係者に注目を集めたのが刺身のトロになるクロマグロをめぐる取引規制強化であり、日本と規制提案国のスウェーデンとの対立が決定的になったことは、皆さんご承知のとおりであります。スウェーデン政府は、西大西洋のクロマグロの取引を原則禁止の附属書一に、東大西洋分は輸出許可書が必要な附属書二に入れるよう提案していましたが、一昨日、これを取り下げました。しかし、このため、日本を初め西大西洋のクロマグロ漁は大幅に制限される見通しであります。
 ところで、現在、日本におけるクロマグロの消費量はグルメブームに乗って世界の総漁獲量三万トンの約六割、一・八万トンを世界各国から多量に輸入し、日本は世界のクロマグロをひとり占めにしていると国際社会から言われているのであります。しかし、私ども日本人にとってトロは最上の食味であり、一朝一夕にはやめられません。さらに、マグロはえ縄漁業にとっては、これを中止することは死活問題であります。
 そこで、聞くところによりますと水産庁においては、こうした国際情勢や世論の高まりを受け、将来の需要に備えてクロマグロの養殖をモデル的に行うことを決定し、平成四年度で予算計上したそうであります。そして、黒潮の流れる暖かい太平洋岸の数県、沖縄、鹿児島、高知、和歌山などに打診がなされ、そのうち水温等立地条件のよい鹿児島県でモデル事業が決まったとのことであります。和歌山県も検討に努力したようでありますが、鹿児島県に先を越されてしまった。
 このモデル事業は、養殖装置一式約四億円、補助負担内訳は国が二分の一、県が四分の一、財団法人マリノフォーラムが四分の一、つまり地元負担はゼロであり、事業の運営は地元漁業協同組合が行うというものであります。
 「とる漁業からつくる漁業へ」、これは県が常に目標とし、漁業者への合い言葉として漁業の近代化を図っているところであります。このように条件に恵まれているマグロ養殖のモデル事業を県はもっと積極的に対応して、ぜひ誘致してほしかったと思うところであります。本県は、クロマグロ養殖のパイオニアでもあります。近畿大学の大島実験場では、過去十数年の研究を積み重ね、豊富なデータも持っております。ただ残念なことは、これまでのところは赤字経営であります。しかし、聞くところによりますと、これまでの経験と研究の成果を生かすなら、短期養殖三、四年で出荷する場合は採算の見込みもつきそうだとのことであります。それだけに、打診のあった地元漁協と県のいま一歩の積極性が惜しまれてなりません。
 何よりも申し上げたいことは、このクロマグロ養殖モデル事業は先端漁業であります。うまく軌道に乗れば、本県がマグロ養殖事業のパイオニアとして、全国いや世界に名をはせるチャンスであったし、同時に、経営が収支とんとんとしても、全国から視察に来る人々が落とす経済波及効果も大きいものとなりましょう。もう一つの視点は、沖合養殖漁業へ踏み出す第一歩として本県漁業界にとって意義深いものとなる可能性が高かっただけに、本県に誘引できなかったことはまことに残念であります。
 さて私は、一月下旬、長崎県野母崎町にある大規模沖合養殖プラントを見てまいりました。串本町で養殖漁業を営む皆さんと一緒であります。湾内での養殖漁業の限界、つまり赤潮発生や海底ヘドロ堆積をいかに乗り越えていくか、養殖漁業産業の消長の岐路に立って、行き着く先は沖合養殖以外にないと思い定めての先進地視察でありました。
 長崎市からバスで約一時間、太平洋に突き出した野母崎漁協から作業船で十五分、水深三十五メートルの潮流の速い海上に巨大な養殖台船が四本のいかりで係留され浮かんでおりました。船の大きさは、長さ百十二メートル、幅三十二メートル、甲板までの高さ二メートル、波高十三メートルの台風に耐えられる構造で、船台には十八メートル掛ける十四メートルの生けす十基が二列に並んでおり、言ってみれば船底のない船であります。船の前部は機械装置と燃料タンク、後部はサイロなどえさ貯蔵庫、中心の船台の上に住居を兼ねた管理棟があり、船の真ん中を二メートルの作業車の通る通路が走り、職員二人ですべてを管理しておりました。一つの生けすには二万匹のシマアジを飼い、全自動の給餌装置をコンピューターで制御し、二十四時間の気象、海象調査が行われています。
 我が国で初めての大規模沖合養殖プラントを開発した住友金属と大洋漁業ではこれをアクアシステムと名づけ、現在、実験操業中でありました。このシステムのねらいは、一つは、沿岸部での環境汚染問題への対応とスペースの確保、二つは、養殖魚をより自然に近い味につくるということであります。この鋼鉄製の大型養殖台船は、住友金属がノルウェーのアクアシステム社から導入し、現在、アイルランドでサケの養殖等で使用されているものを日本の漁業環境に適したものにつくり上げたもので、一基約五億円、二十年間使用可能で、将来、量産体制に入ると価格は相当安くなるとのことであります。一方、大洋漁業はこれを無料で借り受け、稚魚の手当てからえさの確保、給餌、出荷販売などのソフトを担当し、年間二億円の売り上げを見込んでいるとのことであります。わかりやすく申しますと、魚をつくる工場の船といった感じです。企業側は、アクアシステムは、高生産性、作業効率のよさを実現した上で、安全と環境汚染に最大限の配慮を行っており、沖合の豊かな環境を最大限に活用し、しかも環境を損なうことのない理想的な養殖を実現しますと言っております。
 もちろん、このアクアシステムについても問題点があります。それは、一つは、沖合とはいえ、ある程度台風の直撃を避けることのできる岬の陰が望ましく、設置場所に限りがあること、二つは、アクアシステム装置一式が非常に高価格であり、個人が投資するには困難が予想されること、三つは、コスト計算等、採算性が今のところ不明であるということであります。
 しかし、この沖合養殖プラントを見て、私ども一同はすばらしいと感心した次第であります。もし、国がこのアクアシステムを構造改善事業の対象事業に取り入れてくれ、国が四分の二、県が四分の一、地元が四分の一という形であればぜひやってみたいと、皆さんは大変意欲的であります。こうした人手のかからない装置漁業は、後継者不足の対策としても有望であります。そして、聞くところによりますと、住友金属では、このアクアシステムを開発した二年前、まず最初に和歌山県に無料で貸与する条件でモデル的に運用してほしい旨、申し出をしてあったそうであります。
 地域の発展、地域の活性化とは何か。現象としてとらえると、人と物と金と情報が集まり、経済、社会、文化が活況を呈することと言われております。それをさらに現実的に突き詰めますと、産業おこしにほかなりません。高速道路を初めとするインフラの整備もそのための手段であって、私どもの努力の目標も産業の振興に尽きるわけであります。
 関西国際空港の完成とともに飛躍発展の期待の高い紀北と異なり、平地の少ない紀南の地にあって産業おこしは容易なことではありません。県におかれては燦黒潮リゾート構想を展開し、積極的にリゾート産業の誘致を図ってくれておりますが、バブル経済の崩壊もあって後退が著しく、地域の過疎化はとどめようもなく、加えて高齢化の加速と若者の流出で紀南地方の衰退は年を追って厳しく、将来に暗然たる思いであります。こうした紀南にとって海洋の活用が一つの大きな方向であることは、県の第四次長計にも明記しているところであります。沿岸沖合二百海里の漁業水域は、本県の一大資産であり資源であります。この活用こそ本県の生きていく一つの大きな方向であることは、皆さんご承知のとおりであります。
 問題点は何か。海洋をいかに現実に活用し、産業化を図るかということに尽きます。産業発展に果たす行政の資金援助の役割はまことに大きいものがあります。関空関連事業の増大で県財政事情も厳しいものと思いますが、沿岸漁業の不振にあえぐ水産業の中にあって、沖合養殖という新しい分野の開拓についてシーズを育てるという県の積極姿勢こそが今紀南で待たれる施策であり、手を差し伸べてやってほしいのであります。単に農林水産業という分野を超えて、紀南浮揚対策という地域政策の視点からとらまえた財政支援をお願いしたいのであります。一つのモデルケースがうまくいきますと、次々に沖合養殖が各地で伸びて産業として定着すると考えられます。
 そこで、お尋ねいたします。
 水産庁のマグロ養殖モデル事業が本県に誘引できなかったいきさつと、平成五年度、さらに水産庁はモデル事業を実施する意向かどうか、その際、本県はどうするか。
 次に、住友金属のアクアシステム等、沖合養殖についての県の考え方、さらにこのアクアシステムを国の補助事業に採用するよう県として水産庁に働きかけていただきたいのでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、医療問題でお尋ねいたします。
 県土の均衡ある発展は県政究極の目標であります。その目標に向けて努力を積み重ねることが行政、政治の果たす役割であり、責任も大きいと言わざるを得ません。そして、均衡ある発展は地域開発や産業の発展のみを言うのではなく、福祉の面、医療の面においても同様のことが言えるわけであります。こうした視点から地域医療の現状について県下を検討いたしますときに、高度医療の谷間に置かれているのが串本町、すさみ町、古座町、古座川町の四町の古座保健所管内であります。
 最近のこと、串本町役場前で自転車に乗った婦人──役場職員であります──が単車に追突され、転倒して頭を強打し、脳内出血を起こし、救急車で直ちに串本病院に運ばれましたが、そこでは手術ができず、一時間以上もたって勝浦の病院へ運んで手術を行いました。しかし、今も意識不明の重体であります。もしこれが、串本町内の病院で直ちに手術ができていたらと思うのが人情であります。また、古座川奥で重篤な患者が発生しヘリコプターの出動を得て高度医療機関に運びましたが、串本にそうした医療機関があれば早急な対応が可能なわけであります。こうした事例は枚挙にいとまがありません。この古座保健所管内三万四千人の健康と命を守り、住民が安心して暮らせる医療の充実は住民の切なる願いであります。本県の地域医療計画によりますと、串本地方、古座保健所管内は串本病院と古座川病院の整備が必要であるとなっております。
 一方、田辺市周辺は、ご存じのとおり国立病院の統合移転が進んで来る七月にはオープンされ、最新の高度医療が行われ、さらに紀南総合病院の充実と相まって、その他の民間医療機関も整備が進んでおります。他方、新宮地方は、新宮市民病院を初め民間医療機関の充実が那智勝浦町にも進められているところであります。
 こうして見るとき、古座保健所管内に公的病院として国保すさみ病院、国保直営串本病院、国保古座川病院がありますが、高度医療の面において十分とは言いがたい状況にあるのであります。
 そこで、提案いたしたいのであります。
 私の独断と偏見ではありますが、串本地方に県立病院の建設をお願いいたしたいのであります。聞くところによりますと、隣の奈良県では五つの県病院を各地域に配置しており、兵庫県は十一の県病院を持ち、地域医療水準の均質化に努めているところであります。もちろん、各県の事情により医療行政の内容も異なるのは当然であります。しかし、古座保健所管内における高度医療施設の確保は、諸般の情勢から見て、公的にも民間も極めて困難なことであります。
 串本病院と古座川病院の平成二年度決算状況を見ますと、串本病院では累積欠損額は十三億四千二百万円であり、串本町の一般会計からの繰り出し金は二億二千七百万円と、相当な負担となっております。古座川病院では累積欠損額は五億七千百万円で、古座、古座川両町の一般会計からの繰り出し金はそれぞれ一億一千七百九十七万円となっております。このように、三町とも一般財源の持ち出しは財源難の中で大変な苦しみであります。病院会計の赤字に係る利息だけでも巨額となり、雪だるま式に増加したとき後世の負担をどう解消していくのか。一般財源の繰り出しはこれ以上耐えられない現状にあります。
 さらに問題は、一般財源の繰り出しに伴い、その分、社会資本整備のおくれが目立つことであります。病院を持たない町では、繰り出しのない分を道路整備の充実、産業振興に充てるなど魅力ある町づくりも進められますが、これら三町では依然として過疎化の歯どめがきかない現状にあるのも、そればかりとは言えませんが、住みよい豊かな町づくりのための予算にゆとりがないこともその一因と考えたくなるのであります。
 自治省では、こうした実態を踏まえ、平成四年度の地方交付税の中で約一千億円の国民健康保険に対する財政支援を決めたようであります。遅きに失した感じではありますが、現状では、同じ県民でありながら行政水準や社会資本整備の面、産業の展開の面で町村格差が拡大していきつつあるのであります。
 このような串本、古座、古座川の背景を考えますとき、特にご検討を賜りたいのは、もし県が県立病院の設置を考えていただけるならば、この際、串本病院及び古座川病院を吸収合併していただけないか、切にお願いする次第であります。地元にとっても、積年の課題が一挙に解決する福音となりましょう。もちろん、県にとっても財政負担、人事問題等々、大変なご苦労をお願いするわけで、地元県民も十分その点は理解もし、協力もし、感謝申し上げなければなりません。
 なお、平成四年度の当初予算において紀南地方に看護婦養成所を設置するための調査費を計上され、深刻な看護職員の不足を解消するための養成力強化に積極的に取り組まれているところでありますが、同時にお考えいただければありがたいこととして、この病院に高等看護学院を併設する方向でご検討を賜ればと思います。古座保健所管内の女子高校生の総数から見ても需要は十分満たせると思いますし、医療人材の発掘と県下の看護婦不足の充足について、ぜひご研究願いたいのであります。
 さらに、医師確保の問題でございますが、特に高齢化が進んでいる紀南地方や僻地においては診療所の医師の高齢化も同様に進んでおり、今後とも医師確保が困難となる状況にあります。現在、僻地に勤務する医師を養成する自治医科大学があり、毎年十余名の卒業生が僻地医療に従事されておりますが、僻地勤務医師の数に限度があります。
 そこで、提言したいのでありますが、地域医療を担う医師を養成する県立医科大学において、僻地勤務医師や医師偏在の是正のために特別入学制度、例えば若干名を僻地枠として町村長の推薦などにより学生を受け入れ、卒業後勤務する町村や県が修学資金を貸与する制度を創設されてはどうかと思う次第でございます。
 最後になりましたが、大島架橋の現況と見通しについてお尋ねいたします。
 串本町挙げて待望し、県当局におかれても積極的に取り組んでくれておりますが、環境アセスメントの進捗状況、島内県道の整備状況、今後、完成まで何年を要する見込みか、仮谷知事にその見通しをお伺いいたします。
 以上が質問でありますが、何分よろしくご答弁をお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答え申し上げます。
 お話ございました本県における保健医療供給体制の整備は非常に重要な課題でございまして、私も全力を尽くして頑張っておるところでございます。
 ご質問ございました串本病院、古座川病院の件については、本県の地域保健医療計画上、新宮の医療圏に属しておるわけでございまして、基幹病院としての新宮病院を補完する意味において、中核病院としての位置づけを両病院がされているところでございます。また、話ございましたように、両病院の経営改善等の問題についてはかねてからの懸案でございます。県においても、病院運営、財政面等について、総務部、保健環境部で指導、支援しておるところでございます。また、串本病院の医師については、近畿大学の応援を得て診療が行われているわけでございます。
 提言の件については、昭和五十六年の医大再開発特別委員会──県会でつくっていただいたわけでございますが──の報告に、県立医大の紀南への分院設置について要望されている経緯がございますけれども、医師等の医療スタッフの問題や財源問題など、さらに県下全域の医療体制の整備などの観点から大きな課題があると考えておる次第でございます。
 次に大島架橋については、重要な課題でございまして、積極的に取り組んでおるわけでございます。
 現在の状況といたしまして、対岸における大島については道路建設のための用地取得が六○%進んでおり、工事は一部進めております。残りの分についても地元の協力を得て早期に整備しなければならない、これが第一の前提でございます。そして、調査は六十三年度より始めており、本年度で環境の現況調査が終わりました。また、この三年度に現地においてボーリング調査を行っているところでございまして、橋についても比較設計を行い、形式についても検討をしております。四年度の予算において、苗我島から大島間の橋の設計を行う調査費を計上させていただいております。
 これからの問題として、第二種特別地域ですから環境庁との協議、水産庁でつくった堤防の利用の協議等を行い、地元の強力な協力のもとに早期に着工し完成できるように努めてまいりたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 日米交流の歴史におけるレディー・ワシントン号の来県についてでございます。
 「和歌山県史 近世編」の編集の段階ではご指摘の点について事実の把握ができておらず、したがって一つの事件として取り扱ったため、記載はしておりませんが、今後、郷土の歴史解明の努力を続けていきながら何らかの方法で、例えば和歌山と諸外国とのつながりを記述した国際交流史的なものを考えてまいりたいと存じます。
 次に、二百周年をふるさとづくりの一環に組み入れてはどうかというご提案でございますが、心豊かに誇れるふるさとづくりを進めていくために、郷土の歴史、自然、文化などあらゆる分野で特色のある資源を再発見し、これを生かした新たな地域おこしに結びつけていくことはまことに重要な問題でございます。今後、県といたしましても、地元串本町や地域の皆さんとも連携を図りながら、その取り組みについて調査検討していきたいと考えてございます。
○副議長(平越孝哉君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) 水産業振興についてのご質問にお答えいたします。
 まず、マグロ養殖のモデル事業についてでございます。
 議員お話しのとおり、水産庁では大規模なマグロ養殖の技術開発を目指して、平成四年度に高度回遊性魚種に関する養殖システム開発事業を全国で一カ所実施するための予算案が計上されてございます。このことに関しては、昨年、十一月に水産庁から本県のほか六県に対して事業内容の説明がありましたが、県といたしましては、マグロ養殖事業研究の先進県として、また今後の市場における優位性を確保する上で養殖技術の開発普及が重要であることから、ぜひこの事業を導入したいと考え、国へ積極的に働きかける一方、水温、水深、波浪など自然的条件や漁協の経営規模を考慮し、関係漁協に対して事業内容を説明するなど、導入に向けて取り組んでまいりました。しかしながら、当該漁協としては、このような大規模なマグロ養殖は初めての試みであり、役員会で検討の結果、種苗の確保、技術者の確保、採算性など考慮し、今回、事業実施を見合わせたい旨の意思表示がありましたので、やむなくこれを見送った次第であります。
 なお、こうした技術開発事業は、過去の例からすると平成五年度新規箇所での実施は困難かと思われますが、今後、近畿大学の研究ノーハウや関係漁協の意向を打診しながら国に働きかけてまいりたいと存じます。
 二点目の、沖合養殖モデルプラントの導入についてでございます。
 県といたしましては、つくり育てる漁業を振興する観点から、これまで串本浅海漁場を初め養殖漁業の振興を各般にわたり積極的に図ってまいりましたが、本県には養殖に適した内湾が少なく、議員お話しのとおり、養殖業の振興を図る上で沖合養殖の導入はまことに重要であると認識しております。また、アクアシステム等大規模な養殖システムもその一つの方策として大変有効であると考えてございます。
 いずれにいたしましても、海洋の活用は漁業振興のみならず地域の活性化にとっても重要であると認識しておりますので、国の補助事業への採択などの財政支援はもとより、技術指導等についてもなお一層努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 看護職員養成機関の併設をとのご質問にお答えを申し上げます。
 本県における看護職員の充足対策として各種施策を積極的に推進しているところでございます。特に、紀南地方の看護職員の確保対策として平成七年に養成施設を設置するため、平成四年度当初予算において調査費をお願いしており、これにより古座保健所管内における看護婦不足にも対処したいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教科書に郷土の歴史的事実を取り上げる件についてでございます。
 教科書は、学習指導要領にのっとり、発行者や著作者の創意と工夫のもとにつくられ、文部省の検定を受けることとなってございます。教科書の記述内容等にかかわる希望については、全国の教科書発行者で構成される教科書協会に対し、詳しい資料等を添付の上で申し出ることが可能であります。
 レディー・ワシントン号の件については、資料収集を初めとする史実の解明状況を見ながら、関係部局と連携して対応について考えてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 医科大学学長田端敏秀君。
 〔田端敏秀君、登壇〕
○医科大学学長(田端敏秀君) 私は、昨日、十一日でございますが、仮谷知事から辞令をいただきました和歌山医科大学長の田端敏秀でございます。どうぞ、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 さて、議員ご提案の僻地勤務医師の確保のため本学の入学制度の中に特別枠を設けてはということでございますが、学生の本学への入学機会の均等や卒業後の就職先の拘束性の問題、さらには医学教育水準の確保等、なお種々問題がございます。したがいまして、現段階では制度の創設は考えておりません。
 ただしかし、本学といたしましては、現在、各市町村立病院に多数の医師を派遣しておりますが、さらにこの点を銘記いたしまして、強力に、かつ充実した地域医療を行うよう、大学の医師派遣に最善の努力をいたしたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番堀本隆男君。
○堀本隆男君 本県の最も大きな資産は海であります。やはり私は、これからの和歌山県の産業の中で最も大きな課題でもあり、一番伸ばさなければならない水産業について、こうした沖合養殖、大規模な装置産業としての水産業へシフトするということが最大の課題かと思っております。他府県に負けないようにこれからも頑張っていただきたい。
 以上、要望でございます。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、お尋ねをしてまいります。
 まず、一九九二年度県予算案について質問を申し上げます。
 一般会計当初予算四千七百六十五億円余が計上されていますが、バブル経済の崩壊などによって、金融、証券、鉄鋼、不動産などを中心とする法人税の落ち込みが予想されることから、財政調整基金から五十億円、県債管理基金から百二十九億円が取り崩され、今年度当初予算と比べて五・六%増となっております。
 昨年来、私たちは基金のため込みを一貫して批判してまいりましたが、財政当局の抵抗をよそに基金の取り崩しを行わざるを得ないことになったわけです。問題は、その取り崩しがどれだけ県民本位に使われるかということではないでしょうか。詳しく述べる時間はありませんが、特徴的な点について取り上げたいと思います。
 まず歳入面からですが、地方交付税についてであります。
 政府の地方財政対策の最大の問題点は、九一年度の五千億円の減額に引き続いて来年度も八千五百億円の減額を行ったことであり、事実上の地方交付税率の引き下げになります。国の財政運営に地方をどう協力させるかという国の考え方のみが強調されて、地方自治体の住民福祉をいかに保障するかという立場を放棄させているのではないかと思うのです。
 また、交付税法第四条第四項で定められたもので、九二年度に加算されるべき三千三十五億円、そのほか臨時財政特例債や交付税特別会計の利子などで後年度に加算されるべきであった二千九百二十九億円についても九七年度以降に法定加算されることになり、八千五百億円に加えて加算されるべき五千九百六十四億円と合わせて一兆四千四百六十九億円が先送り減額されることになっています。これはまた後に先送りされることが確実で、政府は地方に対して三兆三千五百億円の借金を抱えさせることになります。これは九二年度に交付される地方交付税の二割を超える額になり、交付税制度は今大きな危機に瀕していると言われます。
 地方交付税は、本来、地方自治体の固有の財源でありながら、政府は国との共有財源化させているものであり、こうした政府のやり方に対し、地方としても国に対して言うべきことは言う必要があると思うのです。
 続いて、最悪の大衆課税である消費税に伴う消費譲与税、マル優廃止に伴う利子割県民税についてであります。
 消費譲与税は来年度五十七億円が見込まれ、利子割県民税は県民の預貯金の利息に対して二割の税金を課したものでありますが、そのうちの県財政に入るのは今年度で百四十六億円余、金利引き下げが行われる来年度でも約百三十億円が見込まれています。それに個人県民税百七十四億円、個人事業税二十億円、これらの県民に密接な税を合計しただけでも何と四百億円になり、県財政に貢献しているわけであります。財政的にも、県民が県政の主人公であるという認識に立って運営を行うべきであると考えます。
 以上二点について、知事のご所見をお伺いいたします。
 次は、歳出であります。
 道路交通網でありますが、今年度も非常に重点が置かれ、努力されていることがうかがわれるわけです。特に、私たち日本共産党県議団が一貫して主張してまいりました県営の道路事業等の市町村負担金について大きく軽減されていることは、大変喜ばしいことであります。しかし、住民が最も日常的にかかわる生活道路の整備が大きく進んでいるかというと、他府県と比較してもまだまだおくれているというのが県民の実感ではないでしょうか。特に和歌山市周辺では、朝夕の渋滞、行きどまりの道の増加、南海橋のようなたびたび壊れる木造橋がいまだに存在する現状など、もっと生活に密着した道路網整備が必要だと思うのです。土木部長のお考えはいかがでしょう。
 大阪湾ベイエリア構想、紀淡海峡トンネル、第二国土軸については、後ほどこれだけに絞って質問を申し上げます。
 次にビッグプロジェクト関連ですが、リゾート法を所管する国土庁は、来年度から建設、通産など関係五省庁を含めてリゾート整備のあり方に関する検討会を設置することを決定しました。ゴルフ場建設などのリゾート開発については、自然破壊や過重な自治体負担で抜本的な見直しを求める声が広がっています。この検討会は、開発計画から民間企業の撤退が相次いでいるため、施設整備について公的資金を取り込み、運営は民間に任せる方式について検討することになっているようであります。我が県の燦黒潮リゾート構想についても、この際、抜本的に見直す必要があるのではないかと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 マリーナシティが第二工区の埋立事業に入り、百二十一億円の予算が計上されています。私たちは、この事業が一つの大企業の利益活動にほぼ完全に取り込まれた形でのプロジェクトであること、県民負担が非常に大きいことなどから、事あるごとに批判をしてまいりましたが、この事業に関連して世界リゾート博が再来年七月開催で計画され、四億五千五百万円もの事業費が計上されています。総事業費はというと、五十億円とも聞いております。負担割合はというと、県が六五%で、和歌山市が二一%、海南市二%、経済界六%、残りが市長会と町村会で三%ずつとなっており、市町村の負担も非常に大きいものがあります。また、この年は京都でも三重でも博覧会が計画され、全国的に前後の年度で博覧会が花盛りのようであります。さらに、どのような内容のことが行われるのかさっぱりよくわかりません。あと残すところ二年余りの段階でこのような現状であります。
 そこで企画部長に、この博覧会の目的と事業の内容はどのようなものか、県民にとってメリットは何なのか、採算性についてもお尋ねをしたいと思います。
 次は、県民の健康、暮らし、福祉の問題であります。
 看護婦充足体制の強化、看護婦養成所の調査費、検診体制の充実、老人福祉施設の整備、アトピー性皮膚炎対策、在宅老人福祉三事業の整備、環境アセスメントの制定、自動車道と歩道の段差解消、公共下水道の整備促進など、私たちが主張してまいりました点で大変前進いたしております。この点では評価できると思います。これらが確実に、しかも一日も早く実現されることを特に要望しておきたいと思います。
 国保の問題でございます。
 国保財政健全化対策費が昨年度より二千万円強増額されていることは、我が党がかねてから要求していた問題であり歓迎すべきことでありますが、それでも八四年度の額にも満たないものであり、この間の国保税の引き上げを勘案すればさらに一層の増額が必要ではないでしょうか。また、乳幼児医療無料化などの福祉医療を口実とした厚生省の不当な国庫負担削減が行われています。この削減額は、和歌山県では一体どの程度なのでしょうか。この削減は市町村にばかり負担させるべきではなく、少なくとも半額は県が負担すべきではないかと思うのです。先日の新聞報道によりますと、山口県では、我が党の質問に対し山口県知事は検討を約束していらっしゃいます。
 また、国保料(税)が県民にとって耐えがたいほど高額になっている問題についてですが、県としては県支出金を大幅に増額すべきであります。加入者一人当たり一万円引き下げるだけの支出金の増額は可能であると思いますが、当局の考えはいかがですか。
 次に、障害者問題であります。
 ことしは、「完全参加と平等」を柱にした国連・障害者の十年の最終年に当たります。障害者が人として当たり前の生活をするための社会づくりが、さまざまな形で取り組まれてまいりました。養護学校を初め、心身障害児者の施設、共同作業所、生活グループホームなど、全国のモデルにもなると言われるほど前進してまいりました。これらの成果は行政の積極的な財政的援助などによるところが大でありますが、同様に忘れてならないのは、医療、保健の専門家であり障害者の治療に直接当たられる和医大の精神神経科の全面的な協力と援助、そして何よりも障害者を抱える家族の会の皆さんたちの先進的で粘り強く、幅広いさまざまな運動による前進であることを付記しておきたいと思います。
 しかし、障害者を初めこの運動にかかわる方々の要求からすれば、まだまだ不十分です。雇用問題や施設不足、小規模作業所などの専門職員不足や低賃金、労働過重、運営困難など、緊急を要する問題も数多く残されたままです。決して、この十年が終わりであってはなりません。
 県は、この十年間の総括をきちんと行い、西暦二○○○年を目指して、障害者の要求に沿って新しい十年計画を立てるべきと考えますが、当局の答弁をお聞かせください。
 次に、学校五日制の導入とも大きくかかわりますが、子供たちの放課後を安全で豊かなものにすることがいよいよ重要な時期になってまいりました。
 放課後児童対策事業については一定の前進が見られてまいりましたが、全国水準からすれば、和歌山県は大きく立ちおくれています。その大きな原因は、県都和歌山市でこの事業が全く実施されないところにあります。その原因はどこにあるのか、以上の点について民生部長から答弁をお願いいたします。
 続きまして、大阪湾ベイエリア構想、紀淡海峡ルート、第二国土軸などのビッグプロジェクトについて質問を申し上げます。
 大阪湾ベイエリア構想の経過を見てみますと、一九八九年九月に大阪湾ベイエリア開発推進協議会が設立され、翌年四月、大阪湾ベイエリア開発整備の基本方向策定、このときにあわせてグランドデザインが策定されています。そして昨年十二月、財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構が設立されています。目的としては、近畿圏の産・学・官が一堂に会し、大阪湾ベイエリア地域の一体的かつ広域的な総合開発整備を図り、当該地域の秩序ある発展に貢献し、多極分散型国土形成の先導役となるよう事業の推進、調整を図ると位置づけられています。
 この産・学・官に和歌山では、それぞれ県と和歌山大学と和歌山商工会議所が入っているわけですが、特に和歌山県はこの推進機構に総額八千万円の出資を行おうとしているのであります。
 関西経済団体連合会の宇野会長は、関西文化学術都市、関西国際空港建設に次ぐ第三のビッグプロジェクトと位置づけ、大変な意気込みで推進を図っていると言われています。関西産業活性化センターの調べは、関西で打ち出されているビッグプロジェクトは八百件以上、約三十五兆円に上り、そのうち百三十件、約十五兆円が大阪湾ベイエリアに集中していると言われています。この膨大な開発構想は、関西国際空港の泉州沖海上建設をインパクトに世界都市関西のフロンティアを目指すというものですが、最大の欠陥は住民が全く置き去りにされているところにあるのではないでしょうか。つまり、一番大事な「民」が抜け落ちてしまっているんです。ベイエリア構想は、さしあたっては関西を中心とする財界がこうした開発計画を取り仕切り、それぞれの計画を成功させるために情報通信、道路交通網の整備を図ろうとするものでありますが、財界のねらいはそれにとどまらず、もっと壮大です。
 宇野関経連会長は、ことしの一月の年頭所感の中で、大阪湾のベイエリアを中核とした世界都市関西をアジア太平洋の核とするとし、広域行政を実現するための仕組みを整備充実していくことが重要と述べています。つまり、関西財界は東京一極集中を改め、関西にアジア経済圏をつくり、そのために現在の都道府県制、市町村制を見直して、府県連合制や道州制を目指そうというものです。この考え方は、専ら財界が地域の開発などを進めやすくするために、財源の集中化と権限の集中化を進めることをねらったもので、非常に危険な内容を含んでいるのではないでしょうか。また、このベイエリア構想に対する財界の熱い期待の一つは、何といってものどから手の出るような広大な土地を一挙に手に入れようというところにあります。その面積は約三万ヘクタールと言われ、和歌山県総面積の約六六%にもなります。また、大企業が自由に使えるようにするために、開発者に対しての優遇措置を強く求めています。この構想に最初から自治体を巻き込んでいるのは、そういったねらいがあるからではないかと思うのです。工業用地として残っている土地に付加価値をつけるために、こんな都合のよい計画はないと思うのです。
 いずれにせよ、財界主人公となって、この近畿圏で大規模な開発計画を推進する計画になっていることは間違いありません。住民不在はもちろんのこと、市町村という単位の参加すら完全に阻まれています。また、活性化をうたい文句にしながら大半のプロジェクトから中小企業がはじき出され、大企業中心になっているのも大きな問題です。
 以上、私は大阪湾ベイエリア構想の幾つかの問題点を指摘してきましたが、この二月定例議会に対する知事説明ではこの構想そのものには触れられていませんでしたので、以上のことを踏まえて、この構想に対する知事の所見をお伺いいたします。
 次に、紀淡海峡トンネルについて質問を申し上げます。
 一九七九年に知事がトンネル構想を発表して以来、鉄建公団などが約九億円を投入して調査を行ってまいりましたが、最近では橋をかけることも技術的には可能ということで、橋構想も急浮上しているようであります。トンネルの場合の事業費は鉄道トンネルであれば三千五百億円、橋の場合は一兆三千億円という膨大なものであります。膨大な費用をかけてのこの構想は、県民にとっては余りメリットがないのではないかという疑問も持ち上がっていますし、兵庫県に聞いてみましても大阪府に聞いてみましても余り関心の高い構想ではないようにも聞いております。
 そこで、企画部長にお聞きいたします。
 この構想が持ち上がったときに、県は和歌山の経済にもたらす影響について野村総合研究所に調査委託しています。その調査結果がどのような内容であったのか、県民に受け入れられる内容であったのか、お尋ねをいたします。
 続きまして、第二国土軸構想についてです。
 この構想については、一昨年、促進協議会が結成され、また今度の予算を見てみると関連する新たな予算が計上されるなど、知事も並み並みならぬ決意で取り組んでおられるようであります。
 私たちはこの構想を全面的に否定するようなことはもちろんありませんが、しかし、西日本だけではなく東日本でも同様の構想があります。肝心の国がまだその気になっていない段階で、あたかも近い将来実現するかのような幻想を抱かせる宣伝を行い、関連の大開発を推進することは許されません。私は、今もっと重視すべきは生活道路の整備の促進であると思うのです。毎朝の交通渋滞、南海橋のような木造橋がいまだに残るような現状で、第二国土軸の推進といったところで果たして県民は受け入れるでしょうか、知事の所見をお伺いいたします。
 第一回の質問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 まず最初の、地方交付税の減額についての考え方でございます。
 本年度は、国の厳しい財政事情を反映いたしまして、地方交付税率の引き下げを含めた地方交付税の減額が最後まで論議を呼んだわけでございまして、最終的には地方交付税の総額から八千五百億円を減額する措置が講ぜられたわけでございます。私たちとしても、こうした地方財政対策の帰趨に注目をし、知事会を通じ、地方財政運営に支障を来すことのないよう適切な対応を国に要望してまいったわけでございます。
 今回の減額は、国の厳しい財政事情を勘案し、国と地方が相協力して公経済を担っていくべきとの見地に立って八千五百億円を地方交付税の総額から減額し、国の財政に貸すことにしたものでございます。したがって、単なる減額ではなく、法律に基づいて返済され、将来の地方交付税の安定的な確保にも資するものであると考えられ、地方に実損を与えるものではなく、また平成四年度の地方財政の運営にも支障を来すものではないと理解しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、地方団体が抱える課題が山積しており、地方交付税総額の確保を含めた十分な財源措置が今後とも講ぜられるように、機会あるごとに国に対して強く要望してまいるところでございます。
 予算案の執行についての、県民に密接な税の有効運用でございます。
 ご指摘ございました消費譲与税や県税収入などの一般財源については、毎年度の予算において議会でも議論をいただきながら、県民の福祉向上という地方公共団体の使命に照らして適切かつ有効に活用されるように努めているところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の見直しの問題でございます。
 本県のリゾート整備の考え方は、自然の保全と活用を基調として国民の自由時間の増大に対応した質の高い余暇活動の場を提供するため、各種スポーツ施設、文化施設、休養施設等を整備し、リゾート客はもちろんのことでございますけれども、地元の皆さん方にも楽しめる新しい町づくりを目指しているものでございます。また、地域資源を活用いたしまして、農林水産業、観光関連産業等の地域産業と連携したリゾート整備を推進し地域振興を図るとともに、住みよい生活環境を形成することにより先端産業や研究所等の立地を促進し、若者が定住できる活力のある県土づくりを創成していく基本的方針でございまして、今後ともこの方針に基づいて対応する所存でございます。
 しかしながら、リゾートプロジェクトの実施を図る中で、経済情勢の変化や用地問題などにより施設の規模やメニューなどの一部に変更が生じた場合、地元市町村などと十分調整しながら国と協議してまいりたいと思っております。
 次に、大阪湾ベイエリア構想についてでございます。
 本県を含む大阪湾ベイエリア地域の一体的かつ広域的な総合整備を図って、東京一極集中の是正、多極分散型国土形成の先導的な役割を担うため、昨年の四月、グランドデザインを策定、公表したところでございます。
 そのグランドデザインを産・官・学が共同して策定する中で、私はその対象地域を御坊市までも含め、また本県の主要プロジェクトを盛り込み、さらには近畿圏の発展に貢献する本県の役割の重要性を主張するなど努力を重ねてまいりました。また、このグランドデザインの実現に向けて、昨年十二月に財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構を設立したところでございます。今後は、市町村を初め各界各層の方々の意見を十分踏まえ、従来にも増して本県のさらなる発展、ひいては近畿、西日本の発展に寄与すべく積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 また推進機構は、あくまでも産・官・学が一体となって各府県がそれぞれ独自性を持ちながら、広域的な観点に立って地域振興等に取り組む必要性から設立した機関でございまして、これが府県連合制や道州制を目指そうとするものではございません。
 次に第二国土軸構想については、午前中にお答えしたとおりでございます。
 また交通問題について、生活道路等の問題がございましたけれども、道路はすべて県民の幸せのためのものであり、先日も富田議員が申されたように広義における福祉であり、また生活の利便を図るから生活道路であると思っています。
 過日の県民の世論調査において、県政に何を望むかという中で一番多かったのは道路整備で、九○%を超しておりました。その道路整備の中で、やはり高速道路ということが将来の大きな課題でございます。そしてまた、紀淡海峡ルートとともに橋本から和歌山へ結ぶ高速道路もあるわけでございます。そうした面、両々相まって、県道、国道、高速道路、農道、林道、漁道の整備を行うとともに、市町村道の充実に努めてまいりたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 生活道路の整備という点についてお答えをいたします。
 元来、道路は、その全体が生活の向上に深く関連をした社会資本であると考えております。
 一方、近年、和歌山市周辺部の交通渋滞が大きな課題になっているということも認識をいたしております。紀の川北部地域においては、県道粉河加太線、善明寺北島線、都市計画道路の西脇山口線等の整備を初め、紀の川左右岸を連絡する道路としては本年一月に紀の川河口大橋が開通をしました。新南海橋については、現在、第二阪和国道ということで事業中であります。また、国道二十四号和歌山バイパスも平成四年度末完成の予定でありますが、これにより交通渋滞はかなり改善されるものと考えております。さらに、中心市街地の交通対策といたしまして、都市計画道路湊神前線、和歌山港鳴神山口線等の整備も進めております。また市においては、市駅小倉線、本町和歌浦線、新在家坂田線等の整備も進めてございます。
 これら多数の事業を促進するには用地の取得が大きな課題でございます。今後、関係の皆様のご協力を得て、その整備促進に一層努力をしてまいります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、世界リゾート博の目的、事業内容等についてお答えを申し上げます。
 世界リゾート博については、関西国際空港の開港を契機に、二十一世紀に飛躍しようとする和歌山県を国内外にアピールするとともに、豊かな自然、文化・歴史資源を活用した燦黒潮リゾート構想の推進や地域の活性化等を図るべく進めているものでございます。
 事業内容については、二十一世紀のリゾート体験をメーンテーマに、全国で初めて、人工島を主会場に開催されるものでございまして、海上そのものをリゾート空間とし、海上でのイベント展開も図るなど、ユニークな内容を目指しているところでございます。また、主会場以外においても、海岸部のみならず、内陸部も含めて県下各地域で事業展開いたしたいと考えてございます。詳細については、本年の夏ごろ最終の実施計画を策定いたしますが、現在、第一次実施計画に基づいて会場そのものをリゾート地としての施設群を配置するとともに、見るイベントに偏ることなく、体験できるイベントを重視することを基本に、マリンスポーツ体験を初め、国際的なマリンスポーツ大会の誘致やリゾート関連シンポジウムの開催などの準備を進めているところでございます。
 次に、メリットについてでございます。
 本県のイメージアップが図られることはもとより、博覧会を開催することにより、ハード面でのインフラ整備とともに、博覧会開催のための投資経費や会場内外での消費支出などにより誘発される地域産業の振興や雇用機会の増加、また観光客の増加等の相乗効果による経済的な波及効果が大きく、地域の活性化に非常に役立つ有効な手段と考えてございます。また、この博覧会を県民総参加で実施することにより、郷土愛の醸成が図られるものと期待しているところでございます。
 採算性については、地方における博覧会事業は、事業実施期間における直接的な収支決算だけではなく、県のイメージアップを初め、地域の活性化並びに発展につなげるという長期的な観点からのメリットを追求していくものと考えてございます。
 なお、協会の事業費については現在のところ五十億円と試算してございまして、その五○%については入場料等を充て、その残りを県や市町村、経済界等からの負担を予定いたしているところでございます。
 次に、紀淡海峡トンネルに関する委託調査の内容についてのご質問でございます。
 この調査は、昭和五十六年当時に紀淡海峡トンネルにカートレーンを走らせることを想定いたしまして、本県への経済波及効果等を主に分析したものでございます。
 国民経済のフレームや関連の交通基盤の整備状況等に関しまして、数々の前提条件のもとでの当時の試算ではございますが、紀淡海峡トンネルの整備効果といたしまして、直接的な投資効果は別として、県内に一年間で昭和五十年価格にして約四百七十億円の間接経済波及効果をもたらし、さらにこの効果はそれ以降、毎年の経済の伸びに従って拡大していくとの内容となってございます。また、昭和五十六年当時のこの調査の試算では前提としていなかった県内の高速道路の紀南への延伸、さらに現在建設中の明石海峡大橋とともに形成する大阪湾環状交通体系の効果や現在、県内で進められている数々のプロジェクトへの影響等を考えるとさらに大きな波及効果が期待できるほか、これら経済効果のみならず、国土幹線軸上の交通結節拠点として県民の利便性の向上等、社会生活のさまざまな分野における効果が期待できるものと考えてございます。今後とも、豊かな県民生活の実現を目指して、県民の皆様のご理解をいただきながら紀淡海峡ルートの推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) まず、国保問題についてお答えをいたします。
 国民健康保険を初めとする医療保険制度は、財源の柱を保険料収入に置いて運営されており、加入者の相互扶助の考え方が原則となっております。しかし、国民健康保険の場合は高齢者や担税力の低い方の加入割合が高いという実情にあることから、本県といたしましても諸施策を講じているところでございます。
 例えば、県並びに市町村単独の医療費無料化施策に伴い、国民健康保険療養給付費国庫負担金が減額されることになっており、本県の場合、平成二年度には老人医療無料化によって一億九千六百八十五万三千円、心身障害者医療無料化によって一億七千七百七十五万九千円、乳幼児医療無料化によって百十五万四千円など、それぞれ減額されております。これを緩和する措置として、毎年、国保財政健全化対策補助金を交付してきており、平成四年度予算においてはその充足率を二○%程度としてお願いをしているところでございます。
 なお、被保険者の負担の軽減については、医療費の適正化を初めとする保険者本来の経営努力が向上されるようさらに指導してまいるとともに、県としてもでき得る限りの助成の拡充について引き続き努力してまいりたいと考えてございます。
 二点目の障害者問題でございます。
 国連・障害者の十年における障害者対策については、昭和五十七年に策定した障害者にかかる和歌山県長期行動計画に基づき、総合的かつ体系的な施策の推進に努めてまいりました。
 こうした取り組みの結果、県民意識の高揚を初め、施設整備や社会参加の促進、在宅対策の充実など、各分野において着実に成果を上げるとともに、障害者の自立と社会参加が図られるなど、この十年間は本県における障害者福祉の増進にとってまことに大きな意義があったと認識いたしております。しかしながら、近年、特に障害者が増加傾向にあり、そのニーズも多様化する中で、さらにきめ細かい障害者対策の充実を図る必要があると考えております。
 県といたしましても、国連・障害者の十年の最終年に当たり、十年間の実績の点検評価を行い、課題を明らかにし、国などの動向を見ながら新たな指針を検討してまいる所存でございます。
 次に、小規模作業所問題についてお答えをいたします。
 小規模作業所は、地域における障害者の働く場として自主的に運営していただいており、地域福祉に大きな役割を果たしているものでございます。
 県といたしましても、専門職員の確保のためにも、労働条件の改善、また運営安定のために年々その補助額を増額しております。平成四年度においても、補助枠を拡大するとともに増額も図っているところでございます。今後とも、作業所の運営実態等を見ながら対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、放課後児童対策でございます。
 県では、放課後児童対策事業を実施している市町村に対しまして補助しているところでございます。ご指摘の和歌山市においては、現在、母子家庭及び一部共働き家庭を対象にした事業を実施していますが、さらに国の基準に沿った放課後児童対策事業の受け入れについても、より積極的な指導をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、ご質問を申し上げます。
 まず、民生部長から答弁のあった小規模作業所についてです。
 これは無認可のところというふうに言ったらいいと思うんですけれども、こういったところで、地域の福祉に貢献するということで、障害者の皆さんたちの宣伝活動に協力をしてもらうために古新聞等の回収とかバザーとかが大変な努力で行われています。しかし、そこで働く人たち、障害者や障害者の家族の皆さんたちがボランティア運動として頑張っていらっしゃることが小規模作業所の運営を困難にしているところだと思うのです。そういったところに対して、ことし、基準には達しませんけれども百八十万円とそれに十一万円プラスしていただいて運営の困難性を少しでも援助してあげると、こういう施策がとられて大変うれしいわけですが、しかし県が今まで最低基準としてきていた二百万円にぜひ持ち上げていただきたいと心からお願いをするものです。県は、障害者と一緒になって頑張っている人たちが運営で非常に苦労しているということを本当に知っていただかなくちゃいけないわけです。
 ここで働く専門職員の労力というのは大変です。一日の労働時間は、子供たちを迎えに行くことから始まります。早いところでは六時五十分にはバスを出さないとみんなと一緒に仕事ができないというような状況がありますから、職員の皆さんは六時過ぎにはもう家を出られる。九時から四時まで共同作業所は開いておりますけれども、四時で終わるということはありません。四時からは障害者を自宅まで送っていくという仕事があるわけです。帰ってきてからも、掃除をしたり、翌日の運営や作業をどうするかということで会議を開いたりということで、一日の労働時間は十五時間ぐらいを毎日こなしているような状況です。バザーのために物を地域に集めに行ったり、地域の皆さんたちと懇談をするとか、理解を深めていただくための努力も盛んになさっていらっしゃいます。
 運営費補助の問題については、そういう事情も知っていただいて、ぜひとも最低基準まで引き上げていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 ここで働く専門職員の賃金の問題ですけれども、実態を幾つか聞いてまいりました。専門職員の方たちは、福祉大学を卒業されたり短大を卒業されたりして、地域の障害者の福祉活動に専念をするという希望を持って就職されるわけですけれども、労働過重、低賃金、長時間労働といった状況の中でなかなか人が集まらないという問題もあります。
 賃金の面で見てみますと、県庁の職員では、大卒行政職の方ですと初任給が十五万三千七百円だそうですね。由良あかつき園などは福祉事業団の経営になるようで、法人化されていたとしてもほとんど県庁職員に準じた賃金が支給されていると思うのですけれども、それでも由良あかつき園の皆さんたちの賃金は県庁の職員の皆さんたちよりも低くて初任給が十三万九千三百円だそうです。しかし、小規模作業所に働く人たちはもっと低いわけですね。大学を卒業して経験十二年の所長さんと言われる方が、今もらっているのが本俸十九万円なんです。県庁や事業団に勤めている方について経験十二年ということで見てみると二十五万三千九百円です。このようにはるかに大きな差があります。働く意欲をそぐような賃金の劣悪さだと思うのです。年休もなかなかとれないというのが現状です。
 そこで、こういった無認可の共同作業所、小規模作業所で働く人たちの低賃金を改善するために、せめて福祉事業団の人たちと同じようにしていただくということで、今後、県当局の人件費に対する財政援助をぜひとも考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、紀淡海峡トンネルの問題でございます。
 先ほど、知事や企画部長からお答えをいただきました。これについて、問題点としてぜひ考えていただきたいということを申し上げたわけです。
 私どもが手に入れたのは野村総合研究所の報告書の要約版なんですが、当局には、要約版じゃなくて本物がおありだと思います。ことし紀淡海峡トンネルがもうできているという場合と、できていないときの予測とが野村総合研究所から出されております。これを見てみますと、経済効果は四百七十億円ある、そしてそれが物価とか消費関係で年々上がっていくであろうという予想が挙げられています。しかしまた、和歌山が第一次産業県であり、農業県、観光県であるという観点から見てみると決してそんなに楽観はできないんだということもここには書いてあります。調査は経済面を中心にやっていますから、経済効果があるということは言われておりますけれども、これをずっと読んで見るとなかなか理解しにくいんです。結果的には悪いけれども、評価するときにはどうもいいように書いてあるような調査内容になっているんですね。
 観光客も、日帰りはうんと減って宿泊客がふえてくる、しかしそれも御坊までで、紀北筋も日帰りはうんと減るということです。紀淡海峡トンネルができたことによって、四国、大阪は非常によくなる。和歌山県は農業県で、今、大阪へ生鮮食品が徳島県や高知県よりも非常に多く出ているけれども、農業の問題を深刻に考えないと、紀淡海峡ができたことによって四国の方が非常に発展をする危険性があるから十分注意をしなさいと、こういう内容のことが掲げられてあります。
 そういった点から見ても、私はこの野村総合研究所が出したものを本当にうのみにされているならば非常に注意をしなければいけないんじゃないかと思います。私たちは、決してこの問題を軽く見てはいけないと思うんです。私どもが申し上げているのも、和歌山がどう発展していくのかということが基準になっているんです。この中で経済面だけではなくて農業や観光の問題に注意を促していますから、その点については注意をしていただきたいなと、あえてお願いをしておきたいと思います。
 それから、学童保育の問題です。
 厚生省が、本格的に学童保育の事業を開始してきました。この事業に沿ってよその県はどんどん進められていっているのに、和歌山県ではなかなか進んでいません。小学校低学年の子供たちの放課後の安全をどう守っていくのか、このことが今問われているときだと思うんです。
 今、和歌山県として特に学童保育の授業を積極的に進めていきたいという答弁をされました。県は、ことしは五つはやり遂げたいとおっしゃっているわけです。この問題を積極的に取り上げていくということをお願いしておきたいと思います。
 以上で、終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十八分散会

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