平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) この際、報告いたします。
 本日提出のあった議案第百五十六号から議案第百五十九号までについては職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第312号
    平成3年12月13日
 和歌山県議会議長 山 本 一 殿
 和歌山県人事委員会委員長 水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成3年12月13日付け和議会第254号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第156号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第157号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第158号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第159号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
  (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 通告に従いまして、早速、質問を申し上げてまいります。
 まず初めに、リゾート問題についてでございます。
 総合保養地域整備法が施行されて、四年半が過ぎました。わずかこの四年半に、三十都道府県が先を競うように基本構想の承認を受けて、その計画面積は日本全土の約二〇%を占める膨大な開発プロジェクトでございます。この法律の求めるプロジェクトは、民間企業の主導による事業計画とその推進であり、こうした事業を行う上で、企業には税制上の特別優遇措置や障害となる規制を緩和する措置等が規定されているのであります。
 バブル経済の金余り状況を背景に、大企業や金融機関などのマネーゲームの様相を濃くしたゴルフ場を中心にした大規模開発に一層拍車がかかり、第三次ゴルフブームに発展してまいりました。
 ところが最近、全国各地で、自然環境を破壊する農薬公害のゴルフ場開発に反対する住民運動と相まって、バブル経済の崩壊等で企業倒産あるいは資金難による計画からの撤退などで、多くの大型プロジェクト計画の行き詰まりが始まっているのです。
 日本経済新聞社の調査結果によりますと、二十二道県で主要なリゾート計画のプロジェクト三十四件が行き詰まり、このうち資金難で企業倒産、撤退といった経済的原因で十五件、自然保護あるいは環境問題で十二件、地域の既存産業との両立などのため地元との調整難航が七件となっているのであります。また、この約四割が自治体も加わっている第三セクターであることも、私たちは注視しておかなければならないと思うんです。
 日本開発銀行と地方銀行などで組織する研究会は、この夏、地域振興にどれだけ役立つかについて全国調査をいたしました。その結果を見てみますと、結論として「雇用や自治体の税収増、地場産品の消費などの消費波及効果はほとんどない」というものです。このことは自治体が最も期待しているものでありますが、今のところ非常に厳しい結果になっているのであります。
 本県においても、燦黒潮リゾート推進の基本となるのは、雇用拡大、地域振興、地場産品の消費拡大、そして固定資産税等の税増収と、県民に大々的にアピールしてまいりました。しかし現実として、調査結果を軽視することなく、原点に立ち返って再考する必要があろうかとも思うのであります。
 全国ゴルフ場問題連絡会という運動体は、この夏、全国交流集会の総意としてリゾート法の廃止を求める決議を行っています。さらに、この十一月十五日、日本弁護士連合会も同様の決議を行っています。十一月二日付の朝日新聞の社説はリゾート法に基づく乱立プロジェクトの再考を促しており、十一月十八日には、「リゾート法を廃止して出直せ」との論評を出しているのであります。
 私はここに、ことしの六月、日本開発銀行大阪支店が発表した一月末現在の関西圏リゾート・レジャー施設の需給バランスについて試算された資料を持ち得ています。関西圏のプロジェクトは総額三十五兆四千億円だそうです。このうちの一一%、約四兆円がリゾート・レジャー関連のプロジェクトで進行しているとしています。仮に、この約四兆円のリゾート・レジャー施設計画がすべて実現するとすれば、関西圏に居住する一人当たりの年間レジャー支出は現在の約十五倍になるというものです。現在、リゾート法に基づいて進められている計画がいかに無謀なものであるか、はっきりと結論が出ていると思うのですが、知事及び企画部長の現状認識と今後の対応についてご所見を伺いたいと思います。
 続いて、二つ目の質問を申し上げます。
 有田郡湯浅町山田山ゴルフ場開発許可問題についてお尋ねをいたします。
 仮谷知事は、去る六月二十四日、株式会社フラッグス社に対し、山田山ゴルフ場開発許可を与えました。地元旧山田地区では、「町の職員が来て、私らに『道路をつくるので同和事業に協力してほしい。ゴルフ場のことについては改めて相談するから』と言われたきり、何の相談もなかったよ」と、これが地元住民の皆さん方の実態であり声なんです。
 県は、開発許可の結論を出すまでに、事実経過として、山田山ゴルフ場建設反対署名に旧山田地区の有権者の約八割が参加していること、地区の同意書は当時の山田地区長が区民に相談することなく個人の意思で作成したもので無効であることを表明したこと、また、再三にわたって「湯浅の自然を守る住民の集い」の皆さんから要請や陳情を受けていたことによって、地元同意が成立していない具体的事実を十分把握していたはずだと私は思うのです。
 さらに、町は開発予定地の中にある町有地を議会の議決もなく町開発公社に所有権を移転し、しかもそれを無償で町開発公社のものとしている、地方自治法第二百三十七条二項違反行為が行われ、本年六月十四日、町開発公社に移された土地の大部分を町有地と称して町開発公社の別の土地と交換をするという奇妙な交換議案が町議会に提出されました。
 この土地議案を審議しているさなかに、県は開発許可を与えたのであります。ちなみに、許可は六月二十四日、議会決議は六月二十七日であります。しかし、町はいまだにこの土地が町有地であると主張し続けているのでありますから、県に提出された開発行為の同意書には町土地開発公社の土地として提出されている点でも大きな矛盾を生じています。
 以上の重大な問題を解決することなく開発許可を与えたことは、間違っていると思うのであります。こうした問題が残されていることを承知の上で知事は許可を与えたのですか、経過もあわせてお答えいただきたいと思います。
 六月二十四日に許可された後、新しい事実が判明をいたしました。当局も既にご承知のとおり、水利権者である水利組合の開発同意書は町の幹部が勝手に作成したものであったのであります。水利組合長が「同意書に判を押したこともないし、指示したこともない」と言っているように、同意書は当然、無効でありましょう。
 山田地区長の同意書は、七月一日、文書提出によって明らかに無効であることがわかりました。県は、事前協議の意見書に水利組合や地元地区民の同意を得ることと明記をしているのでありますから、その行為がいずれも許可条件を満たしていないものと判断すべきであります。
 湯浅町議会が本年三月二十日に全会一致で可決した山田山ゴルフ場建設に関する意見書や、湯浅町を明るくする会との協定にも、住民合意を得るまで絶対に着工しないことが厳しく指摘をされています。農林水産部長名で、本年八月二十日に株式会社フラッグス和歌山に対し、住民合意を得る努力の厳しい指導文書が出されました。しかし、フラッグス社及び町の地元区民への対応は、その後四カ月を経た今も何ら履行されていないのであります。農林水産部長、今後どのような対応を考えておられるのか、お聞かせください。
 我が日本共産党湯浅町委員会は、町長に対し、ゴルフ場計画を即時中止することを求めるとともに、町有地に関する真相を明らかにするよう申し入れを行ってまいりました。明るくする会の皆さんも、町に対して同様の申し入れをされています。「湯浅の自然を守る住民の集い」の皆さんも、幾度となく県に開発許可の取り消しを申し入れる一方、立木トラストの運動を地権者と協力して大きく輪を広げていらっしゃいます。最近では、湯浅町内の住民等が町有地の財産処分をめぐって検察庁に町長を告発するという大変な事態にまで発展しているのであります。地区住民のゴルフ場開発に対する率直な不安や疑問に答えず真実を覆い隠し続けている湯浅町の議会無視、住民無視の姿勢を改めない限り、住民との関係はますます悪化するのではないかと、私は大変心配をしています。
 町は、山田山ゴルフ場が開発されることによって山田川下流の農業用水汚染、汚濁が問題となり、町開発公社は、そのために貯水槽タンク三基を建設する計画のもと、今二基ができ上がり、あとの一基の工事を進められていますが、「ゴルフ場開発に反対する住民にはタンクの水は使わせない」などと町長が暴言を吐くといった問題も起こっているのです。
 町議会では、こういった地方自治にあるまじき行為、町長の姿勢に対して、町民に平等に水を与えることは当たり前であり、ゴルフ場賛否に関係なく水を利用させよという申し入れをいたしました。これに対して町長は、素直に「そういたします」と答えているではありませんか。なのに、今もってこの水を使わせないといった状況が続いているのであります。
 また、町と県林業公社との間で分収林契約が結ばれていましたが、その後、土地所有者が町開発公社に変更され、県林業公社と町開発公社との間で分収林契約解除が合意されました。開発公社が立木補償として二億八千万円を支払うことで合意、契約書が交わされ、その補償金の支払い期限はゴルフ場開発許可がおりる六月二十四日までとなっていました。ことし四月、県林業公社に一億円が支払われましたが、残る一億八千万円はいまだに支払われておりません。湯浅町議会でも、全額を支払っていないことが確認をされているのであります。しかし町は、既に開発公社に売却したその土地がいまだに町有地であると主張しているのであります。
 県は、この経過について確認をされたのですか。県は六月二十四日、林地開発許可を出しましたが、現在、町は、登記簿上では土地の所有者が開発公社であっても許可申請時は町の土地であったと主張し続けています。
 湯浅町の六月議会での町有地と開発公社所有地との土地交換議案を見れば、町はゴルフ場計画地が町有地であると主張しています。いかがなものでしょうか。こうしたさまざまな問題が発生している山田山開発についての林地開発許可は、誤りではなかったのでしょうか。直ちに開発許可の取り消しを行うのが当然と考えます。当局の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 複雑に大きな問題をはらんでいますから、一定の時間はかかろうと思うのでありますが、解決するために、県は開発許可を取り消し、白紙に戻すことが今求められているのではないでしょうか。ご所見をお聞かせ願います。また、撤回しないとおっしゃるならば、開発許可の有効期限はいつまでと考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
 最後に、住友金属における労働災害について質問を行います。
 和歌山県における一九八八年度の労働災害発生率は、一万人当たり一〇・二一と全国ワーストワンとなっています。これは、全国平均が四・五〇ですから二倍以上という大変な状況です。それ以降についても、ほぼ同じ状況になっていると言われています。
 労働災害の根絶は、労働者、家族、県民みんなの大きな願いです。住金労働者の夫を持つ私個人にとっても、なお深刻であります。特に和歌山県においては、その規模と経済力からも、住友金属には労働災害の根絶に向けて模範を示す大きな役割があるのではないでしょうか。
 しかし、住友金属和歌山製鉄所では、ことしになって既に七名ものとうとい命が労働災害によって奪われました。昨年までの六年間で四名の労働者が犠牲になっていますが、この一年間だけで七名が亡くなるというようなことは、まさに異常とも言える事態ではないでしょうか。
 知事は、この全国最悪の労働災害発生率になっている現状をどのように受けとめておられるのでしょうか。また、激化の一途をたどる住友金属を中心とする労災死についてどのような認識をお持ちか、まずお尋ねをしたいと思います。
 ところで、なぜこのような悲惨な状況が繰り返されるのか。日本共産党はこれまでもたびたび、労働災害の多発、労働災害隠し、在職死亡者の増大など、住金構内での悲惨な事例を取り上げ、県行政としての対応をただしてまいりました。これまでの、経営者にお願いする式のなまぬるい対応では、もはや悲惨な労働災害はなくなりません。通用しなくなっていることをはっきりと示していると思うのです。私は、この異常な悲惨な事故を根絶することは、県行政に課せられた使命でもあると考えています。
 私は、先日来、労働基準局や住金構内で働く労働者、住金からも直接聞き取りを行い、災害現場も調査してまいりました。労働基準局からは、「住金構内で余りにも頻繁に労働災害が起こることに驚いている。これまでの安全管理、対策ではだめだ。下請会社との安全対策の確認が形式化しているのではないだろうか。すべてにわたって見直しを指示し、総合安全対策管理事業所に指定し、監督を強めている」と、住金の安全対策、管理に驚きを表明しています。
 住金で働く労働者は、連続して発生する労働災害や死亡災害に不安と動揺、怒りを訴えているのであります。例えば、「これだけ人を減らされ、さらに人減らしを進めるのに、多能工化が押しつけられ、仕事をころころ変えられ、なれない作業で不安なまま作業させられている。会社に行くのが怖いときがある」。また、「生産に支障を来すほどなりふり構わず人を減らしたから、どこの職場も人手不足で超過勤務の長時間労働が常態化している。人手が不足している上に作業量はふえ、作業に全く余裕がない。あすは我が身かと不安でいっぱいだ」「事故の後だけは『危ないときは製造をやめよ』と言うが、ふだんは機械や設備の点検、修理の時間までけちって一トンでも出せ出せと言われる。労働災害の原因は人手不足と生産第一主義だ」など、職制も「労働災害は人命・安全無視の合理化にある。人手不足が決定的だ」と訴えておられます。
 それでは、どれぐらい労働強化になっているかということですが、一人当たりの粗鋼生産量を見てみますと、一九八七年は一人当たり年五百十八トン、九一年は一人当たり六百八十トンと一三〇%に急増し、合理化の物すごさをあらわしています。
 ことし労災死された七名のうち六名が下請企業の労働者であることも重大な問題だと思います。下請企業の労働者、経営者からは、「きょう入ってきても、あすはもう一人前に扱う。経験も問わない。住金は『新入者教育をやれ』とは言うけれども、それに見合う下請単価を払ってくれない」「工期が縮められ、単価が安い。住金から元請、そして下請と仕事が回され、単価が値切られてくる」「住金構内では、高所作業──『高所作業』というのは高さ二メートル以上のことだそうです──には、張りつけ安全指導員の配置が決められているのにその単価を払わない。安全確保ができる単価にしてほしい」と訴えています。
 一方、住金は、「安全管理は超非常事態だととらえている。死亡災害の続発に大きなショックを受けている」「安全に対して抜本策が見当たらない。これまでの施策が根本的な解決になっていない。逆にどうしたらいいのか教えてほしい」と述べていらっしゃるんです。「合理化が災害の原因とは考えていない。災害の八割は個人がルールを守らないために起きているんです」と、労働者の責任にすりかえ、事業所としての責任を回避していると思うのです。ことし亡くなられた七名のうち、六名の事故は、親企業として、注文者としての住金に重大な落ち度があるのではないでしょうか。
 二、三の例を紹介したいと思います。
 ことしの一月二十七日にFさんという方が小径管工場で玉かけ作業中に転落事故で亡くなられました。「玉かけ作業」というのはつり荷にワイヤロープをかける作業のことだそうですが、この事故のわずか六日前に、鋼片工場でK産業のNさんが同じ玉かけ作業中に一・五メートルの台車から転落して三カ月の重傷を負ったにもかかわらず、報告を行わないという労災隠しが行われました。この二つは全く同じケースの事故です。もしもこの事故を教訓に十分な対策がとられていたならば、Fさんのような悲惨な事故は再び起こらなかったのではないでしょうか。また、このような労災隠しがなぜ起こるのでしょうか。
 現実に、下請企業が労災事故を起こすと、仕事の発注がとめられます。例えば六月十二日のY工事の労災事故後は、住友構内での仕事が発注をされませんでした。また、十一月五日のD建設の労災事故後は、動力室のふろ場の新設工事の仕事の発注がとめられたのです。このような住友による制裁措置があるために、それを恐れて労災隠しが起こっているのです。
 さらに、六月十二日の事故は、クレーンの生命である過巻き防止装置、いわゆる安全リミットスイッチが二年間も放置されてさびついていた。しかも、クレーンの運転と玉かけ作業を深夜に一人で行っていたため起こった事故です。十一月五日の地上三十九メーターからの墜落事故では、高所作業は五十五歳以上は禁止の取り決めを無視して作業をさせています。
 これらの例からも事業者としての責任は回避できないはずですが、それどころか、資本の安全対策の御旗「KY」、つまり危険予知運動が大々的に今繰り広げられています。そして、「安全巡視」なるもので、労働者が何百項目もある取り決め事項を守っていないと指摘し、安全は労働者個人の問題として教育が強化されています。危険予知なるものも、労働者の安全にお金をかけたくない資本の利潤第一の安全対策が見え隠れするようです。そして、ほとんどの災害が、危険予知不足、本人の不注意、操作ミスなどとして、個人の責任、下級職制である監督者の責任とされ、事業者に課せられた、安全で衛生的な状況のもとで労働が行われるような設備改善や安全対策への投資を十分行っていないのが現状なのではないでしょうか。
 労働基準局も、住金構内で余りにも頻発する労働災害に、これまでのやり方の見直しを指示しました。労働者や下請企業は、労働災害は人の生命や安全、健康を無視した合理化にあることを指摘しています。
 先日行われた大運動実行委員会の対県交渉で、この住金の労災事故の問題が取り上げられました。強力な県当局の指導の要望がそこで出されたわけですが、このことに対して県当局の幹部の方は、「何とか検討したい」と答えられました。これまでのような、企業にお願いするといったなまはんかなことでなく、新たな決意を持って強力な指導、対策をとるべきではないかと考えます。県当局の「検討したい」という中身と今後の対策について、お答えをいただきたいと思います。知事と商工労働部長にご答弁をお願いいたします。
 以上で、第一問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡キミ子議員にお答え申し上げます。
 全国的なリゾート整備に対する情勢認識についてでございますけれども、経済情勢の変化等により、一時のような全国的なフィーバー現象が鎮静化してきているのは事実でございます。
 しかしながら、長寿化が進んでまいりますし、また労働時間の短縮は時代の動きだと私は思います。国民が豊かさを実感できる生活を営むためには、余暇活動の場であるリゾート施設の需要が今後ますます増加してくるものだと考えておりますが、話もございましたように、私はリゾート整備という問題は長期的な対応が必要ではないかと思っておるところでございます。
 一方、本県のリゾートの構想は、地域の特性を生かして、各市町村の長期計画と整合を図りながら、地域の振興、快適な町づくりの観点からリゾート整備を積極的に進め、豊かで活力のある県を創造してまいりたいと考えております。
 次に、住友金属の労働災害でございます。
 お話ございましたように、本年に入り、住金関連で事故が多発していることは私も十分承知してございます。そしてまた、大変憂慮もしているところでございます。労働災害は、本来あってはならないものでございます。起こしてはならないものと私は思っております。
 なお、具体的な問題については関係部長から答弁いたします。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) リゾート問題について、お答えを申し上げます。
 燦黒潮リゾート構想の対応についてでございますが、この構想は、本県の特性である恵まれた自然や温暖な気候など、全国でも有数なリゾート条件を生かしながら、スポーツ施設、文化施設、保養施設など都市的な機能の充実を図り、リゾート客はもちろんのこと、地域の方々も楽しみながら余暇活動ができる町、そしてリゾート施設が地域の風土に融合した町、そういった町の創造を目指しているところでございます。
 また、リゾート整備は、施設建設や地域産品の消費拡大に伴う地域への経済波及や雇用機会の増大、地域産業の振興、さらには快適な生活環境の創出による情報関連産業や研究開発型産業の立地促進など、地域の振興に多大な貢献をするものと考えてございます。
 ただいまの知事答弁に基づき、今後とも長期展望を持って、意欲的で堅実に取り組む民間事業者の参画を得て、地元市町村と連携しながら、自然環境の保全と活用を基調として積極的にリゾート整備の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 山田山ゴルフ場開発に絡み、必要な条件は整っていたのかという第一の質問でございます。
 平成元年十二月、林地開発許可申請書が提出されて以来、申請者に対して指導を重ねてまいりました。平成三年六月上旬に至り、設計図書、地権者及び山田地区を初めとする関係者の同意書等、申請書が整備されましたが、六月七日、反対している方々が来庁された折、山田区長が同意書に押印するとき地元住民に相談がなかった旨の申し出がありましたので、早速調査いたしましたところ、山田地区を初め地元関係者による山田山対策委員会で再三協議が行われていること、さらに、町当局が地元住民に対してたびたび説明会を開催し、住民の意見を十分拝聴していることから、同意を得ているものと判断したものでございます。また、林地開発許可に当たっては、土地登記簿謄本によって地権者等の同意を確認しており、問題のないものと考えてございます。
 なお、議員ご指摘の湯浅町での土地をめぐる種々の論議については、注目してまいりますが、今後なお一層配意してまいります。
 二つ目の、地元関係者の同意に係る問題でございます。
 林地開発許可を行って以来、地元湯浅町においては、議員ご指摘のとおり、山田区長の同意が無効である旨の申し入れがあり、また湯浅地区水利組合の同意の経過をめぐって種々の論議もあり、これに対処するため八月二十日付で厳しく文書指導したところ、申請者から、町の協力を得ながら関係者の同意について鋭意努力していく旨、回答を得ております。その後、地元での具体的な進展も見られないことから、再度、申請者に対してこれらの諸問題を早期に解決するよう指導しているところでございます。
 いずれにいたしましても、地区住民、水利組合等の同意については重要なことと考えており、今後とも申請者及び町に対して具体的な開発計画等でもって関係者に十分説明し、理解を得るよう指導してまいる所存でございます。
 次に、許可の白紙撤回をする考えはないか、有効期限を考えないかということでございます。
 許可の取り消しについてでございますが、申請書は法的要件が整備されており、取り消しは適切でないものと判断してございます。
 次に有効期限については、森林法上、制約がありませんので、許可に当たって有効期限は設けておりません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、現在地元で起こっているいろいろな問題の解決が重要と考えており、関係者の十分な理解を得られるよう指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 住金関係の労働災害についてでございます。
 本年に入って住友金属関連での死亡事故は、議員ご指摘のように、現在七件となってございます。こうした死亡災害の多発に対し、監督機関である和歌山労働基準局では、発生した死亡事故を含む労働災害に対する原因究明とその対策を早急に講じるよう、同製鉄所に対して申し入れを行ったところでございます。
 これに対し、企業側では、同製鉄所と協力会社の職場の安全総点検を実施し、管理組織システムの強化、教育訓練、作業環境の改善等の災害再発防止に取り組んでいるところと承知をしてございます。先般の対県交渉では、基準局と十分協議するとお答えしたと聞いてございます。
 まさに異常事態と認識しておりますので、県としても、労働災害防止のため一層指導を強められるように、従来にも増して強く労働基準局に対して申し入れをしておるところでございます。
 なお、県内の労働災害防止を目的に組織されている県労働災害防止会議等を通じ、各事業場、関係団体の労働安全活動の促進も図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、再質問をしたいと思います。
 リゾート問題等については、認識をお聞きして、やっぱり慎重にやっていただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。
 それから、住金の問題でございます。
 住金には、雇用の問題や経済効果も含め、和歌山にとっても私たちにとっても、今まで非常に大きな役割を果たしてきていただいたと思っているわけです。しかし、この労働災害問題、その職場が本当に安全であるかどうかということについては、私も今度、初めて現場に入らせていただいてわかったわけですが、非常に大変な仕事だし、いつ災害が起こるかもしれないような現場で労働者の皆さんたちが働いていらっしゃる。そういう現場で自分の夫も働いている、本当に安全が何よりも大事だということを痛切に感じたわけです。
 今、答弁の中で、承知はしているが労働基準局に要請したということをおっしゃいましたけれども、それじゃ、県は住友金属に対して直接に物は言えないのか、意見は言えないのかということをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、山田山の問題でございます。
 これは、今、湯浅町では大紛糾をしている問題であります。新聞もたびたびにぎわしている問題でありますけれども、これは、湯浅町の将来をどっちの方向に向けていくのか、それと、私たち県民や全国民の皆さんのゴルフ場問題に対するイメージをよくしていくかダウンさせていくか、そういう影響を及ぼす問題だというふうに私は認識をいたしております。
 農林水産部長は、住民合意の問題については十分調査をし、同意が得られていると解釈をして許可をおろしたんだと、こういうふうにおっしゃいました。しかし町民の皆さんたちは、一月の時点からずっと、住民合意は成立をしていないということで県に対してもたびたび要請活動をしてこられました。そういった住民合意が成立していないことを重々知りながら開発許可を与えたということは、私は許せない行為だと思います。担当課が調整の段階でも本当にそういう機能を発揮したのかどうか、疑わざるを得ないと思います。
 今の答弁の中で、そういう反対だとの申し出はあった、それについても調査をしたところ、山田地区を初め地元関係者による山田山対策委員会で再三協議がなされていると、こういう答弁をされました。
 それは、されたでありましょう。しかし、その山田山対策委員会なるものが区民の総意でつくられたものかということが問題になります。私が地元へ行ってさまざまな形で調査をしたところ、区民の皆さん方も、対策委員会があることは知らないし何が話し合われているのかもわからないということ、そしてその委員の皆さんたちも、北谷や南谷、旧山田地区とかいろいろな在所があるわけですけれども、そういうところの総会で区民の代表として送り出した委員ではないということも明らかになりました。こういった点から見てみますと、この山田山対策委員会の委員が本当に民主的に選出されてきたのかどうか、このことも疑わざるを得ないと私は思っています。
 そして、町もたびたび説明をしたというふうにおっしゃっていますけれども、この直接の業者であるフラッグス社については、旧山田地区といったところでは、町の職員以外は見たこともないというのが実態であります。
 こういった、さまざまな問題があるわけです。同意を得るに必要な民主的なルールの中で地区住民が納得をして選ばれた委員会でもないし、ましてやその印鑑を押した区長さんみずから、自分が勝手に同意書をつくったものだということをはっきりとおっしゃっているわけですから、六月二十四日の時点では、当然、同意はなかったものとして解釈をしないといけないと思うんです。
 もう一点は、先ほどもお話ししましたけれども、土地の問題です。ゴルフ場予定地となっている町有地であったものが、議会の議決も得られないでいつの間にか開発公社のものになっていた。このこと自体、地方自治法第二百三十七条に違反をするわけです。議会の知らないところで町有地がよそへ登記移転されていた、とんでもない話ではないでしょうか。町長は六月議会にその議案を出したけれども、このことについて町議会でも未解決のままの状況にあるときに、県は開発許可をおろした。この二つの点でも、開発許可を与える条件は満たしていないというふうに私は思っています。
 ですから、もう一回この点を調査する必要があると思いますし、白紙に戻して、本申請の時点に戻って、この問題はどうしても解決しなければならないと思います。
 公的機関でありながらも未解決のままになっている分収林の問題、水利組合の問題、土地の問題、住民合意の問題、さまざまな問題が今いっぱい起こっているんです。県はまずこの問題を解決し、開発問題を考えるべきだと思うんです。白紙撤回を求めたいと思います。と同時に、その有効期限も明らかではありません。法律では制約がないと言いながらも、今までにゴルフ場の開発許可でこういう困窮した問題はなかったと私は思っています。こんなに紛糾している問題ですから、「指導する」というようなことでは済まない状況になってきています。
 県が指導をするということは、どの時点に戻って指導をするということなのか。許可を取り消さない限り、この問題は解決しないわけです。私はその点、もう一回、ぜひ答弁をしていただきたいと思います。
○副議長(平越孝哉君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) お答え申し上げます。
 労働災害は、先ほど知事からも答弁がありましたように、本来あってはならないものでもあり、起こってはいけないものであるというふうに認識をしてございます。
 先ほど答弁申し上げましたように、労働基準局に対し、従来にも増して強く申し入れておるところでございます。
 なお、もとより企業においては万全の災害防止策がとられるべきものと考えてございます。
 以上です。
○副議長(平越孝哉君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 地元の合意の問題でございます。
 さきに許可して以来の地元関係者のいろいろな問題がございまして、同意について種々論議があることから、これを十分補完していただきたいという意味の指導をしているところでございます。
 それから土地の問題でございますが、ただいま町議会の方で種々論議がされておりますので、私の答弁は差し控えさせていただきます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 私は、よしといたしません。
 商工労働部長、労働基準局に言っているから、もうそれでいいんだ、あと、企業は当然、安全を期すべきだから、別に私どもが企業に対して意見をすることではないんだと、こういうふうに今の答弁を理解するものですが、それでよろしいですか。
 それから湯浅の問題ですけれども、農林水産部長、補完するという立場で指導するんだとおっしゃいますが、この開発許可を取り消さない限り、同意を得るために指導をするんだというふうに私は解釈しますが、その点をお答えください。
○副議長(平越孝哉君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) お答えいたします。
 先ほどの答弁のとおりでございます。
○副議長(平越孝哉君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) 先ほどお答えいたしましたように、開発許可同意に関して補完していただきたいという指導をしているところでございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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