平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(上野山親主議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番上野山親主君。
 〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 通告に従いまして、順次、質問を進めてまいりたいと存じます。
 まず最初に、道路交通網問題についてお伺いをいたします。先日の橋本議員のご質問と重なる部分がございますが、お許しをいただきたいと存じます。
 風光明媚な和歌浦湾に浮かぶ人工島・マリーナシティが日に日にその姿をあらわし、完成に向けて順調に工事が進んでおります。県民は大きな夢とロマンを抱き、その完成を今や遅しと待ち望んでいるのであります。巨額の投資と長年にわたる英知と労力を費やしてきた仮谷県政の最大プロジェクトであることは、今さら言うまでもありません。
 関西国際新空港開港と同時に、予定では七月十七日から九月二十三日までの七十日間に及ぶ「-ウェルネスWAKAYAMA-『世界リゾート博』」の開催に向けて、着々と準備がされております。県民の生活や経済、文化に及ぼす影響を考えますと、その成功を心から望むものであります。しかしながら、マリーナシティを取り巻く道路交通網の現状を論じるときに、一抹の不安を感じるのであります。
 リゾート博協会の推計によれば、会期中の総入場者を百万人と見込み、平日の平均入場者約一万一千人、休日平均約三万人、最大入場者数を、お盆時期と推定して約五万二千人と予測しております。交通手段別入場者は、乗用車約四十万人、団体バス約十六万人、公共交通約四十二万人と予測しております。当然のことながら、入場者のほとんどが自動車、バス、タクシー等を利用して来場するわけであります。また、地域別の入場予想は、県内から約二五%、近畿圏を含む県外から約七五%と予測しております。
 特に、現状の道路形態から、和歌浦交差点、紀三井寺交差点から毛見地区にかけての地域、海南郵便局前交差点、ジャスコ南交差点が最大のポイントになると考えられます。県警の交通管制センターの調査(本年十月中の平均値)によりますと、国道四十二号線の布引地区では、朝のラッシュ時で北進約四千七百台、夕方のラッシュ時で南進約四千三百台、海南郵便局前交差点から温山荘への通りは、朝のラッシュ時で北進二千八百台、夕方のラッシュ時で南進三千二百台、ジャスコ南交差点付近は、朝のラッシュ時で北進三千台、夕方のラッシュ時で南進二千二百台となっております。
 リゾート博協会は、時間帯別入退場者数について、入場ピークは午前十時から十一時、約二〇%、退場ピークは午後五時から六時、約二〇%、そして滞留ピークは午後一時から二時、滞留ピーク率六七%と予想しております。
 この数値から、マリーナシティへの幹線道路、また周辺道路は、特に夏場において、平日、休日にかかわらず、終日、私たちの予想をはるかに上回る混雑状況になることは明白であります。加えて、紀三井寺競馬場跡地に一千億円とも言われる投資で県立医大が移転してくることも忘れてはならない事実であります。
 かねてより、本議場において国道四十二号線を補完する幹線道路構想の必要性を訴えてまいりました。今や、道路交通網の整備は、生活圏の広域化をもたらし、県民の経済活動、日常生活において必要不可欠なものであります。国道四十二号線の硬化現象は県民生活に大きな支障を来すばかりか、地域発展をも大きく阻害するものであります。
 私たちに与えられた時間は、あとわずかであります。県民の経済、福祉向上のために計画されたマリーナシティであります。是が非でも、県民の総力を挙げて成功させねばなりません。マリーナシティへ通じる幹線道路、その周辺道路の整備について、特にさきに申し上げましたポイント箇所の改良について、具体的方策を土木部長にお伺いいたします。また、和歌浦廻線の今後の取り組み方についてもあわせてお尋ねを申し上げます。
 当然のことながら、道路整備以外の輸送体系を確立する必要性も重要と考えます。この点、海上輸送の取り組みの現状と、JR、南海線の周辺の駅からマリーナシティを結ぶ定期便等を利用しての輸送計画はいかがでしょうか。企画部長のご答弁をお願い申し上げる次第であります。
 続きまして、高齢化社会問題についてお伺いをいたします。
 総務庁の発表によりますと、我が国の高齢者人口は、本年の敬老の日現在で昨年より六十五万人増の一千五百五十三万人に達し、総人口に占める割合は一二・五%で、人口、割合とも過去最高水準に達しました。厚生省人口問題研究所の推計では、西暦二〇〇〇年には二千百五十一万人、人口比率一六・九%、二〇二〇年には現在の約二倍の三千百九十七万人、総人口の二五・二%となり、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口二・四人に一人が高齢者人口の割合になると見込まれています。
 一方、本県でも、本年四月現在、十六万八千六百九十九人で、一年間に五千七百人も増加しており、人口に占める割合も一五%から一五・五%に上昇し、全国平均を著しく上回る状況にあります。「一〇〇の指標からみた和歌山」によりますと、県下五十市町村のうち老年人口比率が全国平均の一二・五%に達しない地域は、田辺市、貴志川町、上富田町、和歌山市、岩出町のたった五市町のみであります。ほかの四十五市町村は、全国平均以上の数値をあらわしています。本県の高齢化は、全国レベルよりも急激なスピードで進んでいます。平均寿命が伸び、長寿社会が実現すること自体は喜ばしいことには違いありませんが、現実には困難な諸問題が生じてきているのも事実であります。
 生産年齢人口に対する老年人口比率の上昇に伴い、社会保障に要する経費が増大するなど、社会全体の扶養負担が重なる。高齢による生理機能の低下等により、障害を持つ寝たきり老人や痴呆性老人等、要援護老人の増加が見込まれる。労働力人口の高齢化が進むことにより、これに即応した労働力システムが必要となる。平年寿命の伸びに伴い増加する老後の期間の過ごし方が大きな社会問題となる。さらには、地方自治や地域社会そのものにも次のような大きな影響を与えるものと懸念されます。老年人口の高まりにより地域社会の活力が低下し、老年人口比率が極端に高くなった場合は地域社会の存立基盤自体が崩れかねない。高齢者世帯やひとり暮らし老人の増加は、大都市等のコミュニティーの連帯感の希薄な地域社会においては大きな問題となる。
 今般、十月に実施されました県知事選挙に際し、報道機関によって県の最重要課題についてのアンケート調査が実施されております。結果は、道路交通網問題が三二・五%で第一位、高齢化対策を中心とする福祉問題が二六・五%で第二位、関西国際空港関連が一三%で第三位、以下、教育問題一〇%、開発と環境保護七%となっております。いかに県民が福祉問題、特に高齢化問題に関心が深いか、県民にとって切実な問題であるか、この数値にあらわれています。
 本県では、その対応策として、長期総合計画の中で基本的方針を次のように位置づけております。「若者の定住化を推進し、社会の活力を維持・高揚させつつ、明るくうるおいのある社会を形成する必要がある。自立自助、互助を基本に、ノーマライゼーションの考え方に沿って、すべての県民が生涯を通じて豊かで安心して生活を営むことができ、高齢者も知識や経験を生かし能力を発揮することができる社会づくりが課題である」、これが基本理念であり、その実践の柱として、一、健康の確保、二、生活の安定、三、安らぎの場づくり、四、生きがいづくりとしています。その具体的方策として「わかやま二〇〇一喜の国長寿保健福祉プラン」が策定され、懸命になって実践努力が積み重ねられているわけであります。
 知事にお伺いをいたします。
 第五期仮谷県政の中で高齢化問題として知事が最重要課題に位置づけている政策について、またその方策について、お伺いをするものであります。
 「わかやま二〇〇一喜の国長寿保健福祉プラン」により、平成十一年までの目標値を、施設面、サービス面、人材面等について国のゴールドプランを上回る水準で設定されております。大変心強い限りであります。高齢化社会対策における社会の構成主体は個人であり、家庭であり、地域社会であり、企業等の民間団体及び行政であります。それぞれの役割を明確にしながら、それぞれの役割を効果的に果たしていかねばなりません。県としていかに効率的に相互に連携がとれるような条件づくりをするか、積極的に指導していくリーダーシップが発揮できるかが重要なポイントになると考えます。
 どんなすばらしい政策を打ち出しても、それを実践する情熱とすぐれたリーダーシップがなければ絵にかいたもちに終わってしまいます。最近の国際的な政治の舞台でも、イギリスのサッチャー首相やソビエトのゴルバチョフ大統領に代表されるように、すばらしいリーダーシップにより改革が行われ、世界が動いてきたのは、記憶に新しいところであります。
 特に高齢化問題は、市町村や地域社会、そして県民の深い理解と協力なしでは理想の実現は不可能であります。「わかやま二〇〇一喜の国長寿保健福祉プラン」の推進に当たり、関係部長の決意のほど、並びに具体的実践方策をお示しいただきたいと存じます。
 高齢化問題を言いかえれば、いかに生きがいのある老後生活を送れるか、この一言に尽きるわけであります。人生の締めくくりはその人の一生の価値を決めると言っても過言ではありません。人生八十年時代を迎え、私たちのライフサイクルも大きく変わってきています。少なくとも、私たちには二十年間の老後生活があります。このように長くなった老後期間を健康で生きがいのある充実したものにするためには、自分自身の人生設計そのものの見直しもさることながら、社会全体がこの問題について考え、前進していく仕組みをつくり出していかねばなりません。
 夢を実現するのも政治なら、夢を与えるのも政治でございます。万年青年・仮谷知事に、就任早々まことに失礼とは存じますが、あえてお伺いをいたします。知事自身の老後の生活にどんな夢をお持ちでしょうか。いかがですか。
 長者社会における生きがいのある生活、社会参加の問題は、高齢者自身が主体的に地域社会にかかわることであると同時に、地域社会自身が高齢者と若い世代との距離を乗り越えながら世代間の交流を深め、地域社会の中で、人の輪の中に高齢者の経験や英知を還元することにあると考えます。
 「子供の真剣なまなざし。驚きから好奇心、そして尊敬へ。私たちのふるさとには古くから伝えられてきたものがたくさんあります。次の世代に知恵と経験を伝えるお年寄り。人生の先輩としてのお年寄り。先輩の知恵には学ぶことがたくさんありそうです。 お年寄りが生きがいを感じながら、新しい世代とともに生きることができるふるさと。そんな豊かなふるさとづくりを考えています」。これは、「県民の友」九月号の一面に記載された文章でございます。
 いつの時代にも、子供たちは次のふるさとを担う大切な私たちの宝物です。ふるさとの将来は子供たちの双肩にかかっていると言っても過言ではありません。高齢化問題を正しく理解し、確実に到来する超高齢化社会を支え、高齢者の悩みや現状を認識するためにも、教育の場において子供たちと高齢者の触れ合いの機会をふやしてはいかがでしょうか。本県独自の教育カリキュラムに取り組んではどうでしょうか。教育長のご所見をお伺いいたします。
 次に、シルバーボランティアの問題についてお伺いをいたします。
 我が国の高齢者の余暇の時間の過ごし方は、家庭内でテレビ等を見て過ごしているのがほとんどであります。高齢者の方に余暇の充実のためにしたいことを尋ねますと、旅行、行楽、趣味を挙げられるそうであります。欧米では、高齢者によるボランティア活動が活発に行われています。我が国では、奉仕活動のような社会的にも意義のある活動への参加意欲は低いと言われてきました。地域社会へ、高齢化問題の認識を深め、高齢者が生きがいを持って豊かな老後を送れる能力の再開発を援助し、地域の老人福祉を推進するリーダーを養成するための事業、シルバーアカデミーを開設してはいかがかと考えますが、民生部長のご所見をお伺い申し上げます。
 続きまして、高齢者の余暇能力の開発についてお伺いをいたします。
 長寿社会の到来が自由時間の増大する余暇活用社会の到来を意味することは、言うまでもありません。若者たちがいろんな施設でいろんな活動を楽しんでいるのに対し、中高年層のその活動は総じて貧弱であります。余暇活動の価値を知らずに生きてきた世代なのであります。戦前、戦中、戦後を通じて、国のために、復興のために、経済向上のために、働きバチのようにわき目も振らずに働いてきた世代が、今、老後を迎えようとしています。この世代は、自由時間の充実した過ごし方は全くと言っていいほど身についていません。
 幸いにも本県は、海、川、山等の自然環境に恵まれたすばらしい地域であります。ゴルフ場の開発と環境問題が議論される昨今でありますが、高齢者向けのリゾートエリアの開発に取り組んでみてはいかがでしょうか。企画部長のご所見をお伺いするものであります。
 最後に、高齢者の安全対策についてお伺いをいたします。
 最近、高齢者の交通事故、火災等による死亡率が増加の一途をたどっています。交通事故の例で言いますと、昭和五十四年を一〇〇とした場合、六十五歳以上の死者は、全国において平成二年度でその指数一六六、死者二千六百七十三人に達し、急激に増加しています。高齢化社会の進展に伴い、高齢者世帯、ひとり暮らし老人、寝たきり老人の数が年々増加するのは当然のことであります。
 自分の身を自分で守れない人々のために、防災対策を早急に樹立する必要があります。今、近い将来に向けて検討を重ね、実施計画を確立し、システム化していかねばならない時期であります。そのためには、十分な調査を行い、現状をよく把握し、分析資料、情報を収集した上で必要な対策を立てなければなりません。現実に困難な問題が内在しているのも事実でありますが、自動通報システムの開発等、実現の可能なものから取り組みを切望するものであります。総務部長のご見解をお示しいただきたいと存じます。
 高齢化社会問題は、二十一世紀に向けて私たちに与えられた最大の課題であります。特に本県は、全国平均よりも十年以上も早く進展しております。国と同じレベルで高齢化問題を論じていたのでは、その対応は十分とは言えません。特別養護老人ホームや中間施設の拡充、制度、人材の充実はもちろんのことでありますが、地域社会全体がこの問題について深い理解と認識を持ち、高齢者自身も、若者も、行政も、民間も、一丸となって取り組める社会システムをつくり上げていかねばならない時期に来ているのではないでしょうか。
 長期総合計画の中でうたわれている自立自助、互助の精神こそが、理想の高齢化社会を構築していくために忘れてはならない基本理念であると確信するものであります。そして、県の行政がいかにリーダーシップをとれるかがそのかぎを握っていると言っても過言ではないでしょう。知事初め、行政当局の積極的な取り組みを要望するものであります。
 最後に、広域農道整備事業についてお伺いをいたします。
 有田川流域における農道整備についてであります。
 有田地方のミカン園は、約三千五百ヘクタールであります。そのうち、有田川流域地区の有田市、吉備町、金屋町、一市二町で約二千九百ヘクタールを占めております。ミカン農業は今、新しい時代を迎えつつあります。新しい時代をつくり出していかねばならないときでもあります。
 オレンジが自由化されて以来、需給バランスの確保のために国内再編対策が実施され、生産量そのものは適正な方向に是正をされました。しかし、その結果、今まで以上に極めて厳しい品質競争が生じてきたわけであります。新品種の改良やブランドづくり、マルチやポット等の新しい栽培方法が考え出され、流通パッケージも十キログラムから五キログラム時代へ突入し、将来へ向けてまだまだ新しい技術が生み出され、農家の間で、産地間で、その競争が激化されると予想されます。この厳しい産地間競争に打ちかつためには、まず園地の基盤整備が必要であります。栽培から出荷までをシステム化し、合理的に機能させることが大切であります。
 有田川流域のミカン園地が全国に誇れる有数の産地であることは、今さら申し上げるまでもありません。この地域の園内の農道整備は県行政のご努力や地元農家の協力によって促進されつつありますが、事、広域的な出荷、流通経路としての整備はまだまだ不十分であります。輸送体系の合理化を実現し、あわせて沿線地域の活性化を図るために、本地域においても広域農道の早期対応が急務であると考えます。今、地元では、実現に向けて本年七月に有田川地区広域農道促進協議会が発足され、地元の対応が整えられつつあることを申し添えておきたいと存じます。
 平成三年度当初予算において、紀の川地区、日高地区、南紀地区、紀の川左岸地区の大型機械の導入と農産物の搬入等の農業の近代化を図るための基幹農道の整備のために、積極的な予算計上がされております。
 農林水産部長にお伺いいたします。
 有田川地区の広域農道の整備の促進について、ご所見をお聞かせ願いたいと存じます。
 以上で、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 高齢化社会問題についてでございます。
 本県の高齢者の状況、また日本の高齢化社会の状況等についてご説明いただきましたが、私もまた、今度の選挙においても、高年齢者対策ということを県政の最重要課題として取り上げてまいったわけでございます。
 二十一世紀まであと十年足らずです。そして全国的に高年齢者社会がやってきますが、本県はそれよりも十年早く進んでおるというのが現況でございまして、こうした社会になったならば活力が失われるじゃないか、福祉対策を積極的にやらなければならないではないかという問題が山積しておるわけでございます。
 しかし、長寿ということは、人類がかつて望んできた最大の願いでございました。その願いが達せられるわけでございまして、お互いが長寿を祝い合い、助け合いながら生きていく長寿社会を建設することが一番大事なことであるし、国並びに県の対策として積極的に取り組まなければならないと考えておるわけでございます。話ございましたように、平成二年には長寿社会総合対策指針を策定し、総合行政の指針としてまいったわけでございます。
 また、県民一人一人が考えていかなければならない問題である、それだけに県民の理解と協力を得なければならない、積極的な情熱とリーダーシップをということをおっしゃられたわけでございます。そうした県民の皆さんの理解、協力を得る方法等について、私もいろいろ研究しつつやってまいりたいと思っておるところでございまして、高年齢者福祉対策について積極的なご提言を今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それから、知事自身の老後生活の夢ということでございます。
 アメリカの詩人の「青春」という、今はやっている詩がございます。私はあれが好きでございまして、青春とは人生のある期間を言うのではなく心のあり方を言うのだ、心のみずみずしさを言うのだという、あの詩が非常に好きでございます。
 話ございましたように、万年青年のつもりではおりますが、きのう浜田さんが幾つのときに知事になっていたという話を聞いて、私も年になったんだなと思っておるわけでございます。
 こうした高年齢者をいかにすべきかということは、非常に重要なことでございます。話ございましたように、我々の世代は趣味などについての知識が非常に少ない。だから、生きがいとは何か、趣味とは何か、人生とは何かということを考え直すのに、人生八十年のライフサイクルというものが非常に重要ではないかと思っておるわけでございます。そうした意味において、私も一人の高年齢者になって、県の政策をともに研究し、ともに打ち立ててまいりたいと思っております。
 他の問題は部長から答弁させていただきます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) マリーナシティに関連する道路整備についてお答えをいたします。
 国道四十二号がその主要な道路となりますが、平成二年度の全国交通情勢調査によると、毛見地区において十二時間で二万七千七百八十八台、混雑度で一・一二となっており、議員ご指摘のとおり、交通需給が逼迫をしております。
 長期的には、広域的な観点から周辺の土地利用状況、将来の交通流動等を勘案し、和歌山市から海南市間の道路網計画を検討する必要があると思われます。
 しかしながら、間近に迫った世界リゾート博対策としては、現在事業中の毛見拡幅工事を促進し、リゾート博までに供用を開始し、琴の浦から毛見間の交通渋滞の解消を図ることであります。また、和歌山市においては、臨港道路毛見一号線から海岸沿いに北上して国道四十二号旭橋付近に至る、いわゆるシーサイドロードの調査に着手をしており、紀三井寺からマリーナシティ間の幹線道路は国道四十二号とこの道路となるわけであります。
 議員ご指摘の国道四十二号の各交差点については、用地等の難しい問題はございますけれども、改良を建設省に要望してまいる所存でございます。
 また、和歌浦廻線については、和歌浦地域の交通環境改善のために事業を推進しているところであり、東側から逐次整備を進め、平成二年度末には本路線のあしべ橋が完成したところでございます。引き続き、あしべ橋から和歌公園片男波地区までの間について都市計画等の手続を行い、今後、整備を進めてまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、マリーナシティへの鉄道及び海上アクセスについてお答えを申し上げます。
 鉄道アクセスについては、将来的にはJR紀勢線の新駅設置や南海和歌山港支線の和歌浦南伸等が考えられますが、巨額の投資を初め、いろいろの課題がございますので、長期的な展望に立って検討してまいりたいと考えてございます。当面は、JR和歌山駅、海南駅等からのアクセスについて、路線バスの運行等を関係機関へ働きかけ、現在、協議を進めているところでございます。
 また、海上交通網については、他の交通機関との競合等の課題もございますが、関西国際空港と結ぶ高速艇の運航について検討をしているところでございます。
 次に、高齢者向きのリゾートエリアの開発についてでございます。
 第四次長期総合計画において、都市の高齢者と地域との交流を通じて地域振興を図るという観点から、ゴールデンタウン構想を位置づけたところでございます。また、第二次中期実施計画でも構想の推進を位置づけ、検討を行ってきてございますが、地域社会システムや地元市町村の財政問題などの課題もございます。
 一方、現在進めている燦黒潮リゾート構想においては、長寿社会に対応できるよう、ゲートボール場、温泉保養施設や菜園つきコテージを整備するなど、高齢者の方々にもゆっくり楽しみながら長期に滞在できるリゾート地の創出に努めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 高齢化社会問題について、リーダーシップの発揮と具体的実践方策についてお答えをいたしたいと思います。
 知事からもご答弁させていただきましたとおり、本県の高齢化は全国より十年先行している現状であり、その対策もまた、全国に先駆けて推進する必要がございます。
 このため、国のゴールドプラン等に沿いながら、本県独自の「わかやま二〇〇一喜の国長寿保健福祉プラン」を策定したものでございます。この中で、在宅福祉サービスや施設整備の平成十一年度までの目標を設定したところであり、今後はこの目標の着実な実現に向けて全力を傾けてまいる所存でございます。
 現在、県内の全市町村で高齢者の実態調査及びニーズ調査を実施中であり、この調査結果を踏まえながら、各市町村が具体的な老人保健福祉計画を策定する中において、県としてもこのプランの目標が達成されるよう十分な指導、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、シルバーアカデミー事業についてお答えをいたしたいと思います。
 議員ご提言のとおり、高齢者の方々が単に福祉サービスや社会保障等の受け手としてのみ存在するのではなく、地域福祉活動等を初めとした各種奉仕活動における積極的な担い手としての活動が今後の高齢化社会を支える重要な柱であると考えてございます。
 このため、高齢者の地域活動の中でボランティア活動を積極的に推進する必要があると考えており、今般、議員ご提言の趣旨に沿う事業として、各種福祉人材の養成、確保とともに、ボランティア養成のための拠点施設ともなる福祉人材情報センターの設置について、国に対して強く要望しているところでございます。
 また、従来より、老人クラブ活動の一環として友愛訪問を初めとしたさまざまな奉仕活動を推奨してまいりましたし、また県としても、いきいき長寿社会センターにおける地域活動のリーダーの養成、生きがいと健康づくりモデル事業の積極的な展開等を図っているところでございまして、今後もこれら諸団体と連携を保ちつつ、より積極的な取り組みをしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 長寿保健福祉プランの推進についてでございます。
 本県は全国に比べて早いペースで高齢化が進んでおり、心身ともに健やかで、より長く社会参加が続けられる健康を保つための諸施策が必要であることは、議員ご指摘のとおりでございます。
 そのためには、まず病気にかからないために「自分の健康は自分で守る」との考え方のもと、栄養、運動、休養にわたる施策をより積極的に展開するとともに、疾病の早期発見、早期治療を推進するための健康診査体制を整備拡充いたします。
 また、寝たきり老人ゼロに向けた施策を展開するため、各種啓発活動を行うとともに、リハビリテーション事業にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに、機能訓練等を必要とする高齢者の自立を支援し、医療機関から家庭への復帰をより容易にするため、県地域保健医療計画等との整合性を図りながら、老人保健施設の充実に努めてまいる考えでございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 高齢者の方々の安全対策についてでございます。
 高齢化が進む中で、ひとり暮らしあるいは寝たきりといったお年寄りの数も増加をしてきており、火災による死亡者の最近の数値を見ても、昭和六十三年が七名、平成元年が四名、昨年は十三名ということで、高齢者の占める割合が、平均すると六割を超えているという現状でございます。
 このようなことから、各市町村の消防本部においては、火災時の避難が困難なひとり暮らし、寝たきりのお年寄りなどに対して、避難経路の確保といった安全指導を進めているところでございます。また、近年、緊急通報システムが開発され、現在、本県においても二市十五町三村が本システムを導入して活用を図っているところでございます。
 今後とも、市町村、関係部局と協調の上、より十分な実態把握を行うとともに、引き続いて本システムの導入の促進を図るなど、高齢者の安全対策により一層努めてまいりたいと考えております。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) 有田川地区の広域農道整備の問題でございます。
 有田川地域は味一ミカンの主産地であり、県内でも最も優良なミカン地帯でございます。
 議員お話しの有田川地区広域農道については、現下のミカンを取り巻く厳しい情勢の中で、流通の合理化による産地育成や地域の総合的な振興を図るため、重要な課題であると認識してございます。
 県としては、有田川地区広域農道促進協議会などの意向を踏まえながら検討を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 高齢化社会における教育活動についてお答えいたします。
 教育の場において子供たちと高齢者との触れ合いの機会をふやすことは、議員ご指摘のとおり、高齢化問題などを正しく理解する上で大変意義深いことであると考えてございます。
 新しい学習指導要領においても、豊かな体験を通して人間尊重の精神や生命に対する畏敬の念を培うなど、心の教育が重視されております。また、家庭や地域社会との連携を図りながら望ましい人間関係を育成することが求められてございます。
 教育委員会としては、現在、道徳教育推進地域やふるさと教育推進地域などを指定し、学校と家庭や地域社会との連携を図るよう指導しております。こうしたことにより、県下の半数近い小学校や多くの中学校では、児童生徒と高齢者の交流が盛んに行われるようになってきております。
 例えば、ある学校では、平生から一緒にゲートボールを楽しんだり、敬老の日に贈り物をして交流を深めており、この学校の道徳教育の発表会には百人近くの高齢者が参加いたしました。また、ほかの多くの学校でも、さまざまな機会に高齢者を招いて、お手玉、わら草履などの手工芸品のつくり方を学んだり、あるいは高齢者の家庭や福祉施設を訪問し、昔の生活の様子を聞いたり、劇を見てもらったりしております。また、高校においては、ボランティア活動として福祉施設を訪問し、介護や食事、清掃の手伝いを通し、世代間の交流を行っております。
 今後とも、各学校に対し、児童生徒が高齢者との触れ合いを通して豊かな経験や知恵を学べるように、道徳教育や特別活動の内容を充実させることを中心に、地域の実態に応じて独自の教育課程を編成するよう指導してまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番上野山親主君。
○上野山親主君 各部長さんにご答弁いただきました。本当にありがとうございます。
 知事には、大変失礼な質問を申し上げました。おわびを申し上げます。
 二点、ちょっと要望をさしていただきます。
 最初に保健環境部長にお願いをしたいんですが、理学療法士の問題でございます。
 ちょっと実績を調べさしていただいたら、今、和歌山県では百二十名の方が資格を持っておられまして、実際、和歌山県内の各病院、各施設において、五十施設の中に百十四名の理学療法士が設置をされておりますけれども、この中身を見せていただきますと、特別養護老人ホームであるとか中間施設であるとか、そうした高齢化対策に必要な施設にほとんど理学療法士が設置をされておらない現状であります。
 これから、現実の問題として、当然、理学療法士の皆さん方が必要になってくると思います。近畿ではまだ大阪あたりにしか養成所がないようですけれども、ぜひ和歌山県に養成所を誘致していただきたいなと思います。
 ただ、これは新しい職種でございまして、理学療法士の協会の皆さん方と行政とのコンセンサスがまだなかなかとれない現実もあるようでございますので、そこらも踏まえて、近い将来の取り組みとしてお願いをしておきたいと思います。
 もう一点、高齢化対策問題についてでございます。
 きょうは、非常に長い答弁といいますか、ご清聴いただいた先生方には大変申しわけなかったんですが、ほとんどの部長に答弁を求めさしていただきました。これから高齢化社会問題を論じるときは、もう全庁的に論じていかなけりゃならない時代であると思います。縦割りの行政ではこの問題は解決できないと思います。
 新しい部署をつくるかプロジェクトチームをつくるかは議論があるところですが、どうか今後とも組織整備委員会等の中で十分論議をしていただいて、この高齢化問題に対応するためにどういう組織をつくっていくか、ぜひ近いうちに結論を出していただきたいなというふうに要望を申し上げておきます。
 以上で再質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野山親主君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十五分休憩
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