平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(小川 武議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
○議長(山本 一君) この際、報告いたします。
 知事から議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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     財第241号 
    平成3年12月13日
 和歌山県議会議長 山 本 一 殿
   和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成3年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第152号 平成3年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第153号 平成3年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第154号 平成3年度和歌山県立五稜病院事業会計補正予算
 議案第155号 平成3年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
 議案第156号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第157号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第158号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第159号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第160号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
 議案第161号 企業局長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
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○議長(山本 一君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百五十二号から議案第百六十一号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案は、いずれも職員等の給与改定に伴う補正予算案及び関係条例の改正であります。
 去る十月二十九日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであります。
 まず予算案件としては、給与関係経費といたしまして一般会計で二十六億七千三百余万円、特別会計につきましても所要の補正予算を計上いたしております。
 次に、給与関係条例につきましては、議案第百五十六号から第百六十一号をもってお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(山本 一君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(山本 一君) 次に日程第二、議案第百四十二号から議案第百五十一号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 10番小川 武君。
 〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 伝統と歴史に輝く和歌山県議会において発言する機会を与えていただきまして、心から感謝申し上げるとともに、大変光栄に思うわけであります。和歌山県を愛する一人として、通告順に従って、順次、質問を進めてまいりたいと思います。
 まず最初に、仮谷知事におかれましては、このたびの五選当選に対し、心からお喜び申し上げます。過去十六年の実績と、今後の県政のかじ取りはやっぱり仮谷知事でということで、圧倒的な得票率で県民から大きな信任をいただいたわけでありまして、知事におかれましては、今後も健康に留意されて、積極果敢に県政に取り組んでいただきたいと思うのであります。
 さて、知事は今回の選挙の立候補に当たり、「住みよい和歌山」「生きがいのある和歌山」「夢と希望に燃える和歌山」を願い、世界に誇れる豊かなふるさとにするため、初心に返って決断と実行の県政を進めたいと表明してまいりました。事実、選挙戦を通して県内を二周半駆けめぐり、未来の和歌山を心豊かに誇れるふるさとにするため、政策と情熱をあらん限り訴えてこられました。また、聞くところによりますと、知事は、選挙期間中、隅から隅まで回り、県民の生の声を肌で感じるために、一県民、一候補という立場で多くの人々の声を聞いてきたと伺っております。「勝負がわかっているのになぜ」「あんなにまでやらなくても」と、素朴な疑問が私の耳にまで入ってまいりました。知事のすばらしいふるさとづくりにかける情熱には全く頭が下がりました。
 そこで、知事にお伺いしたいと思います。
 今回、県内を隅から隅まで回ってみて一番印象に残ったこと、特に改めて感じたこと、あるいはまた急いでやらなければいけないこと、こうした問題点を今後県政の場でどのように生かしていくのか、どのように解決していくのか、まずご所信をお伺いしたいと思うのであります。
 次に、関西国際空港問題についてであります。
 今、日本経済は、二十一世紀に向けて「経済大国」から「生活大国」への脱却を目指して発展方向の転換を迫られております。この推進役は、一極集中のぎゅうぎゅう詰めの東京ではなく、より自由度の広い地域に移ると思われます。そして中でも、ベイエリアを中心に大規模プロジェクトがメジロ押しであり、地域大改造のさなかにある関西がその旗頭となることが求められており、そのための原動力として関西国際空港が果たす役割は、はかり知れないものがあると思います。
 今議会におきましても、本日まで、先輩議員の質問によりまして、国際空港の全体構想あるいは国内便の確保等に対する知事のご決意のほどをお伺いいたしました。そして、心配されていた旅客ターミナルのウイングカットについては、昨日の新聞報道で、大阪府、大阪市の協力でもとの計画に戻される見通しがつき、大蔵省もこれを認める方針となったことは、大変喜ばしいことであります。
 そこで私は、重複を避ける意味で、関空をいかに県の発展につなげていくか、波及効果をいかに取り込んでいくかという点について質問をさせていただきたいと思います。
 県は、昭和六十一年、和歌山県関西国際空港関連地域整備計画を策定しております。地域整備計画は、その目標として、一、新しいリーディング産業の育成、二、国際的、広域的リゾート・レクリエーションエリアの形成、三、アメニティーの高い定住環境の創造、四、高度情報化社会への対応、五、モビリティーの高い地域構造の構築の五つを掲げ、現在、県の担当部局におきまして鋭意その推進が図られているところであります。
 もともと、この地域整備計画の精神は、関空のインパクトを最大限に活用し、本県の地域発展につなげていくところにあると考えるのであります。そして、その波及効果は、関空から二十から三十キロに位置する紀北地域のみにとどまらず、全県域を臨空圏ととらえ、本県全体に関空効果をもたらせることが可能になると考えるのであります。この点について、五選を果たされたばかりの知事のご所信をお伺いいたしたいと思います。
 次に、この地域整備計画の根本である関西国際空港の開港に関しまして、昨年十二月、予想されなかった地盤沈下等を理由に、開港時期を平成六年の夏ごろに延期されました。このことにより、直接的には世界リゾート博の延期等を余儀なくされましたが、「災い転じて福となす」との知事の号令のもと、全庁が一体となって地域整備の推進に努力されてきたものであります。
 関西国際空港の埋立工事につきましては、先月二十七日に関西国際空港対策特別委員会で建設現場を視察した際に、会社側から「水面も既になくなり、空港島造成を十二月で終える予定」との説明もありましたが、工事は順調に進んでいるのか、再び開港延期となることがないのか、心配する一人であります。これ以上おくれることは、一関西国際空港株式会社の責任のみならず、日本の恥であり、信用問題であると思います。
 そこで、現在の空港本島の進捗状況あるいは今後の見通しについて、企画部長にお尋ねいたしたいと思います。
 次に、この空港関連地域整備計画の進展を推進し、さらに空港の波及効果を県下全体に伝播するには、まず道路を初めとする交通体系の整備が最も重要な課題であると思うのであります。現在、県内各地で道路整備が行われ、その地域の活性化に役立っていると思いますが、これらを県内交通網につなぎ、関西国際空港の波及を地域振興に役立てるには、やはり関西国際空港と本県との間にまたがる和泉山脈を貫通する道路の整備がまず急務と思われます。
 近畿自動車道と空港を結ぶ連絡道や泉佐野岩出線を初めとする府県間道路の進捗状況と今後の見通しについて、土木部長にお伺いいたしたいと思います。
 次に、紀淡海峡問題についてであります。
 先般、第二十九回国土開発幹線自動車道建設審議会が開催され、近畿自動車道紀勢線におきましては、海南市─御坊市の二十九キロ、田辺市─すさみ町の二十七キロが基本計画に、御坊市─南部町の二十一キロが整備計画に昇格するなど、高速道路の南伸が着々と進み、二十一世紀に向けた和歌山県が力強く創造されていることはまことに喜ばしいことでありまして、ご苦労いただきました関係の皆さん方に心から深く感謝申し上げたいと思うのであります。
 振り返ってみますと、仮谷知事が和歌山県の知事に就任してから十六年、この期間に残された実績は数々あります。高野龍神スカイラインの完成、海南湯浅道路の完成、グリーンピア南紀の完成、コスモパーク加太の建設、南麓サイエンスパーク計画の推進、そして和歌山マリーナシティの建設など、また、広域プロジェクトであり、関西の復権をかけた関西国際空港の建設には当初から貢献され、多大な実績を残しております。現在、バブル経済がはじけても、これらの影響を受けて順風満帆の風が吹いているのも、これら一つ一つが芽を吹き、育ってきたものと思われます。
 また、これらのプロジェクトを進める一方で、紀伊半島を半島で終わらすだけではなく、国土一体論とも言うべき国土軸、大都市圏への直結、また第一国土軸と有機的連係のもとに和歌山県を国土軸上に位置づけようと、昭和五十四年に紀淡トンネル構想を提言し、昭和五十八年からは、日本鉄道建設公団により四国新幹線の調査として海底トンネル部分の地質調査が進められております。昨年には、西日本が一体となって進める第二国土軸構想推進協議会がこの地和歌山で設立され、和歌山県を国土軸上にという運動が大きな第一歩として進み出したのであります。
 このような地に着いた運動が各界各層を呼び起こし、産・官・学が一堂に会し、大阪湾ベイエリア地域の一体的かつ広域的な総合開発整備を図るため、大阪湾を一周するベイエリア・エクスプレス構想が盛り込まれた大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザインが策定され、それを推進する大阪湾ベイエリア開発推進機構が設立されました。また、建設省近畿地方建設局が中心となり、近畿の自治体が一堂に会して大阪湾圏域整備連絡協議会が設立されるとともに、紀淡海峡連絡道路の調査が開始されるなど、大きなニュースが報道され、紀淡海峡を取り巻く大きな波が和歌山県に打ち寄せてきております。
 このような大きく機運が盛り上がった時期に、私は提言したいと思います。紀淡海峡は、明石海峡大橋、大阪湾岸道路を結ぶ大阪湾環状交通体系を形成するかなめでもあり、また関西大環状軸の一環をなす、京都から奈良を通り和歌山に至る京奈和自動車道の延長上でもあります。さらには四国圏域と近畿圏域を、またさらに中部圏域と結ぶかなめでもあり、まさに第二国土軸構想を推進する上においては欠かせざる要衝と言えます。
 このように見てみますと、この和歌山県が大阪湾岸環状交通体系、さらには関西大環状軸の結節拠点となることは相違ありません。こういったことから、この紀淡海峡の問題については県政挙げて実現に向けて取り組む必要があろうかと考えております。知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 また、第二国土軸構想紀淡海峡ルートの取り組みについての現状と今後の進め方については、関係部長にお聞きしたいと思います。
 次に、臨空産業についてであります。
 本県の経済状況並びにこれを支える産業構造を考え、一方、関西国際空港の波及効果、活用を考えますと、私はどうしても産業振興の議論を避けては通れないと思うのであります。将来の我が国の産業構造はどうなるのか。いろいろの人の意見を集約いたしますと、どうやら知恵が価値を生み出す、堺屋太一先生らがおっしゃる、いわゆる「知価産業」が主流になるのではなかろうかと考える次第であります。通産省の資料によりましても、このことが説明されております。
 私の手元に、経済企画庁及び労働省の資料による「就業構造の変化と展望」という資料がございます。二〇〇〇年の我が国の就業者の構成がどうなっているかということを推計した資料であります。
 この資料によりますと、一九七〇年の就業構造は、直接生産部門が六三・三%に対し、情報処理、事務管理、研究開発等のいわゆる産業の頭脳部門が一九・九%となっております。二〇〇〇年にはこのバランスが生産部門五七・六%、頭脳部門二三・八%となり、我が国の基盤をなす機械、鉄鋼等の生産部門が当然ながら過半を占めるとはいえ、情報産業や研究開発部門の伸びが著しいことがわかります。
 今、本県では、知事を先頭に関係者の努力により頭脳立地構想が展開されております。この事業は、既にご案内のとおり、ソフトウエア産業や情報産業等の地方への立地を推進し、この集積を活用して地方の産業の高度化を支援し、あわせて当該地域の産業の多角化、高度化を推進しようとする制度であります。このことは、関西国際空港の持っている高いすぐれた輸送機能を考え、一方、本県が有する資源と制約条件、すなわち自然環境やリゾート環境といったプラスの要因に対して平地面積が狭小という条件等を兼ね合わせて考えてみますと、私も、人間が資源であり知恵が価値を生み出す、そうした産業が将来本県が目指す大きな方向ではないかと考える次第でありまして、本事業の成功に大きな拍手を送る者の一人であります。
 しかしながら、かくほどに重要な事業でありながら、県民の方々に対する浸透度を見ますと、どうもいまひとつ行き届いていないのではないかと考えますので、以下の三点について質問をし、当局の説明を求めるものであります。
 まず第一点は、計画の概要についてであります。本構想の中核事業として、地域振興整備公団により業務用地すなわち海南インテリジェントパークの造成が進められると聞いてございますが、その概容をお示しいただきたいと思うのであります。
 質問の第二は、本造成事業についての現在の進捗状況、今後のスケジュールについてであります。この点につきましても明らかにされたいと思います。
 第三点は、株式会社和歌山リサーチラボについてであります。
 私の手元にあるパンフレットによれば、この会社は、インテリジェントパークに立地する企業のセンター的役割を果たすとともに地域産業の高度化を支援すると記載されております。高度化の対象となる地域産業の圧倒的大部分が和歌山市に集積されているという認識のもと、和歌山リサーチラボの事業活動について、対象地域を含めた事業内容をご説明いただきたく、質問する次第であります。
 次に、和歌山県に存在する和歌山大学についてであります。
 高次産業の育成、技術革新の進展のためには優秀な人材の確保が先決であり、そのため高等教育機関の充実を急がなければならないことは論をまたないところであります。
 ただ、本県の県内大学収容力及び大学進学者の県内残留率は、全国的に見て極めて低位にあると言わざるを得ません。このことは、県内唯一の国立大学である和歌山大学に文科系二学部しかないことが大きな要因となっており、和歌山大学の学部増設は緊急の課題であります。和歌山大学は、歴史も古く、経済学、商業学の分野では名門であり、各界に優秀な人材を送り出し、多くの人々が活躍され、地域の発展のため貢献してまいりました。
 しかし、時代の趨勢の中、関西国際空港の開港まで残すところあと三年、地域開発、産業振興には理工系学部の増設が待たれておるところであります。
 県は、毎年、政府要望として関係省庁に要望努力をされておりますが、過去の経過からして、行政的にも政治的にもなかなか難しいものがあると思います。県は今後どうバックアップしていくのか、あるいはまた、県は和歌山大学とどう提携していくのか、学部増設の展望も含めて関係部長にお尋ねいたしたいと思います。
 最後に、和歌浦一帯の振興策についてお伺いいたしたいと思います。
 和歌浦一帯は、戦後、観光百選の海岸美日本一位に選ばれ、全国に海岸美を誇り、多くの観光客が訪れてまいりましたが、いつしかにぎわいを失い、しにせの旅館、ホテルが相次いで休廃業するなど、往年の精彩は色あせてまいっております。もちろん、現在も多くの旅館、ホテルが頑張っておられますが、和歌浦一帯のかつてのにぎわいを知る者にとって現状は寂れており、その対応策についていろいろ検討、試みがされているようですが、実を結ぶところまではいっておりません。加えて、目と鼻の先の毛見地帯の沖合に建設が進められているマリーナシティが完成すると和歌浦の存在価値が埋没しかねないとも言われております。
 このような状況下、ヤング向きの観光地として再生するため、県の事業で片男波海水浴場、片男波公園が平成五年度末完成を目指して工事が進められております。かつて荒涼としたこの地がこのようにきれいに立派にされたことに対しまして、地元の一人として知事初め関係者に感謝を申し上げるとともに、全く感慨無量であります。
 ただ、若者のセンスからして、このように立派に整備をしても、単独施設では若者を引きつけるだけの魅力に欠け、マリーナシティの方へ行ってしまうのではないかと危惧する人もいるようであります。今後、和歌浦一帯は、狭い範囲の対症療法的な振興策ではなかなか発展は困難と思います。
 ただ、幸いにも、和歌浦湾は燦黒潮リゾート構想の中で和歌浦湾とその後背地から成る地区が海洋都市リゾートとして位置づけられ、主な施設としてマリーナ、レジャープール、海洋博物館、ハーバーレストラン、観光魚市場、テニスコート、射撃場、ホテル等が計画されております。これら構想の中で計画されているものについて、今後、同リゾート構想を推進していく中で、和歌浦湾一帯の総合的な開発整備方向としてどのようにこれらを具体化していくのか、企画部長にお尋ねいたしたいと思います。
 また、このような開発整備と、今まで和歌浦の観光を支えてきた旅館、ホテル、景観、史跡、サービス等の有形無形の財産とあわせ、いかに魅力ある和歌浦観光の振興を図っていくか、商工労働部長のご意見をお伺いしたい。
 以上をもって一問目を終わります。ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小川議員にお答え申し上げます。
 第一点は、知事選を通じて感じたことということでございます。
 今議会の冒頭にも説明させていただきましたけれども、関西国際空港に照準を合わせた諸プロジェクトが着実に進みつつございまして、特に紀北地方におきましては、そのプロジェクトが順調に進んでいると言えると思うわけでございます。また、話ございましたように、大阪府と和歌山県の間には葛城山系が邪魔をしておりましたけれども、関西空港を契機として、府県間道路を初め、そうした大きな壁が取り除かれつつあると感じるわけでございます。特に岩出地方等において大阪との関係が非常に深くなっておりますし、これからの都市整備に当たっても都市計画を十分配慮することが和歌山県のよさを保存するための重要な課題ではないかと思っておるわけでございます。
 また、紀南地方においては、白浜空港、高速道路の延伸を契機として、リゾート開発なり農林水産業の振興なりを図っていかなければなりません。特に、きのうも申し上げましたけれども、山村地帯の森林対策ということがこれからの紀南においての大きな課題になると思うわけでございます。
 しかし、そうした中でも和歌山県の活性化の息吹というものをひしひしと感ずるわけでございまして、地帯別構想に基づいて積極的に各地域の発展を図ってまいりたいし、また交通網の整備を図ってまいりたいと考えており、今、その絶好の機会ではないかと思っておるところでございます。
 それから、関西国際空港の波及効果の問題についてでございます。
 小川議員からも話ございましたように、空港関連地域整備計画は、空港立地による効果を本県へ具体的に波及させるための基本計画を策定したものでございます。これによって国土軸、国際軸への時間短縮等で生活利便の向上を図れ、産業の振興、さらに国際交流の場を広げての国際都市という形での大きな意義もある、そうした意味において全県下的に波及効果を広めていかなければならないと思っておるところでございます。
 次に、紀淡海峡問題でございます。
 その取り組む姿勢でございますけれども、これにつきましては、ご指摘のように、私も二十一世紀へ向けての本県の、さらには関西、西日本全体の一層の発展を図るため、早期に実現させるということが極めて重要な課題であると思います。これはさらに、二十一世紀へかけての大きな夢でもあるわけでございます。
 最近では、その実現に向けての機運が国初め関係地域、経済界等でも広域的に盛り上がってきておるということは、非常にうれしい限りでございます。特に、話ございましたように、国において道路・鉄道両面での調査が進んでおるということは大きな前進につながるものだと考えておりまして、こうした絶好の機会をとらえて、議会の皆さん方のお力添えを得ながら努力してまいりたいと思っております。
 その他の問題は関係部長から答弁いたします。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 第一点は、関西国際空港の進捗状況についてでございます。
 昭和六十三年十二月の護岸の概成後、四年十一カ月にわたり埋立土砂の搬入を行ってまいりましたが、本日の土砂投入により、埋立工事がおおむね終了いたします。
 今後は、空港島での諸施設の建設工事が本格化してまいるわけでございますが、空港でのメーン施設となる旅客ターミナルビルについては建物の基礎工事を鋭意進めており、引き続き、空港管理棟、航空会社事務棟等の管理施設、滑走路、誘導路等の空港基本施設等が順次着手される予定となってございます。また、空港連絡橋についても、本年四月にりんくうタウン側と空港側の架設が終了したことで陸続きとなり、照明等の附帯工事と同時に電力線の添架等も進められているところでございます。このように、現在、関西国際空港株式会社において、平成六年夏ごろの開港に向けて精力的に取り組んでいるところでございます。
 第二点は、紀淡海峡問題の取り組みの現状と今後の進め方についてでございます。
 第二国土軸構想については、昨年十月、関係府県、経済団体による第二国土軸構想推進協議会が設立され、国等への要望活動を行うとともに、現在、学識者を交え、第二国土軸構想策定基礎調査を実施しているところでございます。また、国土庁においても関連の調査を実施していただいているところであり、今後、この構想を国家プロジェクトに位置づけるよう、さらに強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 紀淡海峡ルートについては、昭和五十八年度より日本鉄道建設公団において四国新幹線のうち本州─淡路間の海底トンネル部分に係る区間の調査を実施していただいており、本年度で九年目でございます。また、道路についても、本年度から建設省において紀淡海峡連絡道路を含む大阪湾環状道路について調査いただくとともに、海峡横断道路プロジェクト技術調査委員会を設置し、第二国土軸構想にとって重要である伊勢湾口、紀淡海峡、豊予海峡等に関する技術面からの検討を進めていただいているところでございます。
 今後は、国におけるこれらの調査の促進、早期完了、さらには早期実現について、強力に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、頭脳立地構想についてでございます。
 まず、その計画の概要とインテリジェントパークの進捗状況についてお答えを申し上げます。
 海南インテリジェントパークは、近畿で初めて国の承認を受けた頭脳立地構想の中核的な業務用地となるものでございます。規模としては全体で二十・一ヘクタールでございまして、地域内及び周辺にふんだんに緑を配し、周辺の池と一体となった快適な環境に整備をし、ソフトウエア業等の情報関連産業、デザイン業、研究所等の特定事業の誘致を図ることにしてございます。
 造成事業の進捗でございますが、本年三月には整備主体である地域振興整備公団の現地事務所を開所いただいたところでございまして、用地買収も終わり、現在、実施設計中でございます。今後のスケジュールとしては、来年一月に造成工事に着手し、平成五年度末には完了する予定となってございます。
 次に、リサーチラボの事業内容についてでございます。
 株式会社和歌山リサーチラボは、県下の企業を対象として、知識集約化、ソフト化によって高付加価値化させることを目的として設立された第三セクターの会社でございます。そのために、研究開発事業、人材育成事業、情報提供事業等を実施していくことにしてございます。
 研究開発事業としては、コンピューターグラフィック等の研究開発機器を設置し、民間企業者との共同研究等を実施していくことにしてございます。人材育成事業としては、コンピューターのシステム開発の研修、経営者のためのマネジメント研修等を行ってございます。また、県内企業に対して、経営情報誌等を発行していくほか、懇談会、シンポジウムなどの事業を実施してございます。
 さらに、この施設は海南インテリジェントパークの中核的な施設として、立地する企業の方々の交流の場等の利用にも供していきたいと考えてございます。ことしの十月には設立一周年記念事業として、「産業とソフト化」をテーマとする各種イベントを実施したところでございます。
 次に、人材育成のための和歌山大学学部増設についてでございます。
 紀泉臨空都市圏を創造的で活力に満ちた研究開発拠点として、研究開発ネットワークの形成、研究者、技術者を育成し、地域産業を高度化していくために、第二次中期実施計画ではリサーチダイヤモンド計画を位置づけ、推進しているところでございます。その計画の一つである近畿大学生物理工学部は、平成五年四月に開設される見込みでございます。
 議員ご指摘の和歌山大学の学部増設についてもその計画の一つでございまして、理工系の学部である産業科学部(仮称)の設置を、県及び市、各界から成る和歌山大学総合大学化促進期成同盟会とともに、国に対して積極的に要望活動を行ってきたところでございます。
 大学の新増設については、平成四年をピークに十八歳人口が減少する等、厳しい状況でございますが、和歌山大学の学部増設のためのステップとして、社会システム設計学科を経済学部内に新設するよう平成四年度政府予算に要望しているところでございます。県としては、新学部増設に向け、和歌山大学とともに国に積極的に働きかけていく所存でございます。
 最後に、和歌浦湾の活性化についてでございます。
 和歌浦湾地区のリゾート構想については、風光明媚な和歌浦湾のウオーターフロントを生かし、リゾート整備による都市機能の充実、地域産業との連携や参画を図りながら、新しい活力のある都市空間を形成するため、地元関係団体等の方々からのご意見もいただきながら策定したところでございます。
 現在、和歌山マリーナシティの整備などの民間事業や和歌公園の整備、浜の宮海水浴場の整備及び和歌浦漁港、田の浦漁港でのリゾート関連施設の整備などの公共事業が事業化されてございます。
 また、本年十一月には地元市町を初め観光団体、商工団体等で構成する和歌浦湾及び加太・紀泉地区燦黒潮リゾート構想推進連絡協議会が設立されたところでございますので、こうした協議会とも連携を深めながら観光産業や地場産業の振興などに取り組み、和歌浦湾全体の活性化を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 関西国際空港に関連する府県間道路等の整備状況についてお答えをいたします。
 近畿自動車道と空港を結ぶ空港連絡道路については、現在、用地買収の進捗率が九九・八%であり、工事についても既に発注済みであり、空港開港までに供用できると聞いております。
 府県間道路の泉佐野岩出線については、和歌山県側八キロ、大阪府側三・八キロメートルの区間について、平成二年三月と平成三年七月にそれぞれ都市計画決定がなされており、現在、和歌山県側では根来地内一・一キロの用地買収を行っております。残る区間のうち六・五キロについても、できるだけ早い時期に事業着手を行うよう努めてまいります。一方、大阪府側についても、空港開港までに事業着手を行い、その促進を図るため必要な調査を進めていると聞いておるところでございます。
 そのほかの府県間の道路についても、阪和開発連絡協議会を通じ、整備計画に基づいて、さらに大阪府と連携を密にしながら事業促進に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 和歌浦の観光振興策についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、観光振興のためには、すぐれた自然資源や景観、また歴史的、文化的資源等の活用、多様なイベントの定着化等、総合的に取り組むべきものがあると考えてございます。
 県としても、海洋性レクリエーション基地としての和歌浦地域への誘客宣伝を図るために、本年度から展開している、海を中心に和歌山の大自然をテーマにしたネイチャーランドキャンペーンにおいて、くろしお国際フェスティバルのほか、ビーチバレーボール大会、ヨットレース、ミニクルージング体験などを実施したところでございます。
 今後とも、世界リゾート博に向けて、和歌浦地域の特性を生かした参加型、体験型のイベント等を通じ、若者にアピールしてまいりたいと考えてございます。
 なお、リゾート時代における魅力ある観光地を形成していくためには、ハード面の整備はもとより、真心で迎えるもてなしなど、ソフト面の充実や観光関係者の自主的な努力が肝要であると考えてございます。今後ともこうした点を踏まえ、地元関係市町ともども積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 10番小川 武君。
○小川 武君 今、中西部長から和歌浦湾一帯の振興策についてご答弁をいただいたわけであります。そしてまた企画部長から、ことしの十一月に推進協議会ができたというご答弁をいただきました。
 今後は、全庁一体となって、港湾、漁港等、すべての関係機関を含めた産・官・学の組織をもってなお一層の振興策を図り、リゾート、レジャー以外の分野においても強力に進めていただきたいということを要望いたします。
 以上です。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小川武君の質問が終了いたしました。

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