平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(浜田真輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番浜田真輔君。
 〔浜田真輔君、登壇〕(拍手)
○浜田真輔君 ただいま、お許しをいただきまして登壇させていただきました。本日、先輩諸兄の温かいご厚情を賜り、質問の機会を与えていただいたことに対して深く感謝を申し上げ、あわせて県議会壇上にお送りいただいた多くの皆様に対し、この場をおかりして感謝を申し上げる次第であります。冒頭において、知事並びに当局の皆様に誠意ある答弁をいただけることをお願いし、三項目にわたり質問させていただきます。
 まず最初に、仮谷知事の政治姿勢と実践哲学をお教えいただきたいと思います。
 仮谷知事は、十六年間、県民の厚い期待と夢にこたえるべく全力で「まごころ県政」を進めてこられたわけであります。私も、さきの十月の知事選で共産党を非難し、正道を歩んでこられた仮谷知事を応援し、五たび県政の重責を担っていただくことをうれしく思う一人であります。
 私は、この春、政治家としてスタートを切らせていただいたわけでありますが、私も正道を歩んでいきたいという気持ちを強く持ち続けているつもりであります。がしかし、政治家としての政治姿勢、実践哲学という点では、正直なところ、まだまだ未熟なゆえ暗中模索の状況であります。
 そこで、私が十四歳のときから知事の要職につかれ、県政を担当され、はかり知れない経験と重責に耐え忍んでこられた政治家仮谷志良の、政治家にとって最も重要な実践哲学を教えていただきたいのであります。
 ちなみに、マスコミが常に指摘する対外的、表面的な生活態度や金銭的感覚といったものではありません。今、若い世代に政治離れが進む中、次の世代に政治家というものの基本的なキーワードを与えていただきたいのであります。
 第二項目は、地域活性化の起爆剤として注目されているテーマパークの誘致についてであります。
 まず、本題に入る前に、県民の重要な関心事となっている加太についてお尋ねさせていただきます。
 県はテクノ&リゾートとして進むべき道を提示されているわけでありますが、その中でコスモパーク加太は最重要な課題であり、その実現性を図っていかなければならないものであります。また、県民にとっても約二百六十ヘクタールという土地に一体どんなものができ、どう利用されるのかということに関心を持っています。
 そこで、再三、先輩議員もお尋ねされていることでありますが、本年十二月に土取りを完了するに伴って、コスモパーク加太の現況と利用計画についてのご答弁を担当部長にお願いし、また今後一層の発展が期待できる加太を取り巻く広域的な交通体系について、あわせてご答弁をお願いします。
 ここで本題でありますが、旅田和歌山市長が二度にわたり、市有地森林公園を用地前提としたユニバーサルスタジオ誘致のためアメリカMCA本社に行かれていることは、皆様もご承知のとおりであります。
 そもそも、昨年十一月に松下電器がMCA社を買収して以来、青年団体が提案をし、テーマパーク・ユニバーサルスタジオの誘致がスタートしたわけであります。私もまだ、アメリカに渡ってそのもの自体を見てはおりませんが、ビデオテープや資料等を勉強させていただく限り、県が余暇の時代をにらみ、マリーナシティ等、リゾート関連施設の整備をされている今、観光行政においてもこの施設が誘致できれば一段の効果が上がるものと私は信じております。
 ここで、若干、テーマパーク・ユニバーサルスタジオについて具体的に申し上げさせていただきますと、今現在、アメリカ本土に一九六四年、ハリウッドに開業したスタジオと、一九九○年にフロリダに開業した二つのスタジオがあるわけであります。そのスタジオ内では、映画をテーマとして世界的に有名な「キングコング」、「ジョーズ」、「E・T」といったヒット映画にちなんだアトラクションを設け、ハイライトシーンを観客に楽しんでもらっております。また数字的規模では、年間入場者数はハリウッドで約五百万人、フロリダで見込み約七百万人であります。ちなみに、東京ディズニーランドの年間入場者数は約一千五百万人であります。これは、関東圏に住む約三千八百万人という多くの人口を背景にした数字でありますが、我が和歌山県に誘致ができるという前提のもとに近畿圏、四国圏を合わせた約二千七百万人を背景にすればアメリカ本土並みの実績は可能であろうと思われます。そして、和歌山県の平成二年度の観光客総数、これも偶然同じ数字であるわけですけれども、二千七百万人という実績も背景にできるということは大変喜ばしいことだと思います。そして、この事業費では九百億円程度見込まれますし、総従業員数はシーズンオフのときで約二千人、シーズンインになると約三千人の雇用が見込まれると思われます。そして、総売り上げ一千五百億円程度であろうと言われております。
 以上の数字から考えられる点は、第一に集客力のアップが見込まれる点、第二に世界的に通用する施設ですから知名度の向上につながる点、第三に経済活性化の要因となり得る点、第四に都会的ファッショナブルな雰囲気を持つ施設ですから若者の定着につながるという点、第五に子供から大人までどの世代にも心から楽しめる施設であるという点であります。
 もちろん、これ以外に、テーマパークが今もてはやされているという時の勢いに流されることなく慎重な議論を尽くさなければならないことは私も承知しておりますが、他のテーマパークの成功事例を見る限り、コンセプトが確立され、立地条件、採算性、地域貢献度といった点からも、誘致に成功すれば必ず意義ある施設だと思います。そして、和歌山県の総合的観光という点でも補強できる施設だと思うわけであります。
 先般、石田先生を団長とするオーストラリアリゾート開発の報告書を読ませていただきました。
 その中で興味深かったのは、人を集める十二の基本要件ということでありました。内容は、おいしいものを食べること、健康を増進すること、セックスアピール、つまりよきパートナーとめぐり会えるチャンスが多いこと、競争心、闘争心をかき立てられること、仲間意識を持てること、自分のステータスとアイデンティティーを主張できること、日常性から脱却できること、射幸心をあおるものがあること、所有欲を満足させるものがあること、心と感性を豊かにするものがあること、知識を豊かにするものがあること、そして最後に好奇心を満たすものがあることだそうであります。
 現在、この項目の中で和歌山県が補強しなければならないものも幾つかあろうかと思われます。その足りない部分をユニバーサルスタジオという施設は補えるのではないかと考える次第であります。
 そこで、知事にお尋ねをします。
 まず、テーマパークといったものに対してどのように理解されているのか、そしてこの誘致運動についての対応をどうお考えなのかを誠意を持ってお答え願いたいと思います。
 最後の第三項目は、京奈和自動車道の和歌山延伸に伴う北インターの設置と県道布施屋貝塚線についてであります。
 社会資本の充実が叫ばれる中、この和歌山においても道路整備は最優先される課題であり、また特に紀の川右岸の地域においては関西新国際空港の開港を控え、明るい展望が開ける中、住民にとっても今後の道路整備について強く関心が持たれております。
 そこで、京奈和自動車道、橋本─高野口間の現状と見通しについて具体的にお答えを願い、そして高野口─和歌山市間の事業化の見通しをお伺いしたいのであります。
 あわせて、将来的に近畿自動車道と合流する地域の交通状況、生活の利便性を考え、従来の設置費用、採算性に問題のある既存線におけるインター設置ではなく京奈和自動道のインターチェンジであるという考えで、北インター設置について建設省、道路公団に働きかけをしていただけるのかどうか、お伺いをいたします。
 そして、布施屋貝塚線の川辺─湯屋谷間の状況はどうなっているのか、将来的に雄山峠までの道路改修のお考えがあるのかどうか、ご答弁をお願い申し上げます。
 以上をもちまして、大変簡単ではありますが、第一回目の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの浜田真輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜田議員にお答え申し上げます。
 知事の政治姿勢、実践哲学、非常に難しい問題でございます。
 私はまず、浜田議員が若くして政治家を志し、県会に当選されて、地域のため、県政、国政のためにご努力いただくことに、本当に敬意を表する次第でございます。
 私は知事になって十六年になりますけれども、役人から政治家に転身したわけでございまして、私もまた、政治家とは何か、何をなさなければならないかを現在模索しているのが実情でございまして、人に話するようなものは持っておりませんけれども、ただ、政治家というのは世のため、人のために行うものでございます。だから、政治信念、政治信条を持ち、何をやるために私は政治家になるんだという長期の目標、当面の目標、こうしたものを持つことが大切だと考えます。世の移り変わりが激しゅうございますし、人間の考え方も変わってまいります。そうした中で毀誉褒貶に打ちかつためには、それらがしっかりしなければならないんじゃないかと思っております。
 私が知事になったときにある先輩から言われたことは、三人の先生を持ちなさいということでした。一人は宗教家です。宗教家は人生を眺めておる。政治家は決断をしなければならないときが多いけれども、そうしたときに宗教家ということでございます。二人目は医者です。やはり健康が第一でございますし、健全でなかったらいい思想は出てこないということでございます。三人目は報道関係者です。報道関係者は絶えずあすを見詰め、先を見詰めておる。だから、この三人を持ちなさいと言われたわけでございますけれども、まだ持っていないわけでございます。ただ、そうしたことを心の中に思っております。
 もう一つは、先ほども言いましたけれども、政治家というのはほかの人と違って早期に決断しなければならない立場にある、だから絶えず思索を練っておきなさいよ、本を読みなさいよということでございました。
 私も知事として、政治家として、一番問題になるのは決断するときでございます。その決断をいかにするかは人によってまちまちだと思いますけれども、先人の決断したありさまとか対応等を本で読んだり人に聞いたりして勉強させていただいておりまして、今後ともいろいろお教えいただきたいと思っておるところでございます。
 次に、テーマパークについてお話ございました。
 テーマパークの及ぼす影響は非常に大きいわけで、長崎県はオランダ村をやり、千葉県はディズニーランドをやって地域振興に大いに役立っております。和歌山県においても、白浜のアドベンチャーワールドや串本の海中公園は多くの入場者を呼んでおりますし、またマリーナシティもテーマパークの一つとして進めておるわけでございまして、その意義については同感でございます。
 それから、ユニバーサルスタジオの誘致についてでございます。
 現在、和歌山市が誘致に取り組んでおりまして、私も関心を持っておるところでございまして、今後の展開を見守りながら、県としても協力してまいりたいと考えております。
 五月二日に松下電器の谷井社長とお会いした際に、MCAを買収したんだからユニバーサルスタジオの件をひとつよろしく頼みますよと申しましたところ、買収はしたけれども運営権の問題は向こうさんの方にあるようでございまして、そうした趣旨を伝えておくという話でもございました。また、この前、松下興産の関根社長に会いましたところ、米国でユニバーサルスタジオを二カ所経営しているMCAのノーハウを活用して和歌山マリーナシティにミニテーマパークを建設する計画が内定したということで、新年早々に私の方から詳細について発表すべく、その詰めを現在行っているところでございまして、実現すれば和歌山マリーナシティの大きな特徴になると存じております。
 それから、北インター等の問題については部長から答弁いたします。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、コスモパーク加太の現況と利用計画についてお答えを申し上げます。
 コスモパーク加太計画については、かねてから県、和歌山市、県土地開発公社で構成する加太地域開発整備推進協議会において、関西国際空港埋立用土砂採取地を含む約二百六十ヘクタールを一体的に整備し、自然環境に恵まれた加太地域において二十一世紀の国際化及び情報化社会に対応できるリゾート、コンベンション、研究開発、居住等の機能を中心とし、周辺環境と調和のとれた町づくりを目指した土地利用計画を考えてきたところでございます。
 土地利用計画については、県、和歌山市、県土地開発公社、民間企業十四社で組織するコスモパーク加太開発推進機構において、現在、計画内容について協議を重ねているところでございまして、本年度中に策定するよう努力いたす所存でございます。
 また、コスモパーク加太の現況についてでございますが、関西国際空港島への土砂搬出については、平成元年五月より約二年七カ月にわたり搬出いたしてまいりましたが、ほぼ計画どおりの土量の搬出を終了する予定でございます。
 この土砂採取事業により、コスモパーク加太計画区域内の約百四十ヘクタールが粗造成されたことになり、今後は残りの区域における防災工事並びに粗造成工事を県土地開発公社において引き続き施行する予定でございます。
 次に、加太周辺の広域的な交通体系についてでございます。
 加太地域については、現在建設が進められている関西国際空港から至近の距離に位置し、そのインパクトを強く受ける地域でございます。また、大阪湾ベイエリアの拠点の一つでございまして、紀淡海峡ルートと結ぶと、大阪湾を取り巻く大阪湾環状交通体系、また京奈和自動車道を軸とする関西大環状交通体系、さらには東海、四国、九州方面を結ぶ第二国土軸のかなめとなるわけでございます。このように、この地域は広域交通網の結節点として、本県のさらなる発展にとっても重要な役割が期待されるところでございます。
 こうした観点から、紀淡海峡ルートをかなめとした大阪湾を一周する高速交通網、さらには第二国土軸構想の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答え申し上げます。
 まず、京奈和自動車道についてでございます。
 この路線は、ご存じのとおり、国道二十四号の交通混雑緩和に寄与すると同時に、和歌山市から奈良市を経由して京都市で国土幹線軸に接続する、関西の外郭環状道路を形成する高規格幹線道路でございます。このうち橋本市から高野口町間の橋本道路については、平成元年度に国により事業化され、現在、地元関係市町のご協力により、平成三年度には一部用地買収に着手できるのではないかというところまで比較的順調に進められております。
 完成の時期については、今後の用地買収の進捗ぐあい等により、一概には申せません。まだはっきり見通しがついたという段階に来てはおりませんけれども、今後とも県としても早期完成を関係機関へ働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、高野口町からさらに和歌山市へ向けてでございますが、紀北道路として平成二年十一月に基本計画区間に組み入れられ、現在、国において環境アセスメントのための基礎的な調査が行われておりまして、県としても早期に整備計画を決定し事業着手されるようにということで、関係機関へ積極的に働きかけをしてまいりたいと思っております。
 次に、ご指摘の北インターでございます。
 現在の近畿自動車道に設置をするインターは、現行制度では基本的には開発インターということになります。京奈和自動車道とのいわば兼用インターとして設置できないかというようなご提案だと思いますけれども、技術的、制度的には非常に難しい面があろうと思います。しかしながら、紀の川右岸のインター設置は必要と考えておりますので、建設省に検討を働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、県道布施屋貝塚線の整備についてでございます。
 粉河加太線と国道二十四号バイパスの間を昭和六十三年度より県単独事業として着手をいたしておりますけれども、本年度から公共事業として事業促進を図っておるところでございます。現在、この区間の用地買収の進捗は約六六%でございます。工事については、本年度着手をしたいと考えております。
 それから滝畑地区でございますが、府県境付近で平成二年度より測量調査を行っております。本年度は、県単独事業をもって一部用地買収をしたいと考えております。
 なお、湯屋谷地区より雄山峠までの整備でございますが、現在着手している両工区の進捗状況を見つつ検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番浜田真輔君。
○浜田真輔君 知事におかれての政治姿勢、実践哲学ということでお話をお伺いしたかったわけでありますが、三つの師ということでございます。これをまた私の政治の糧にさせていただきたいと思います。そして私と同じく、まだまだ暗中模索の状況であるということでありますから、知事もお若いんだなあということを改めて認識させていただくわけであります。
 北インターの設置については、いずれ地元から要望書が出されるようにも思いますので、今後ともの積極的な働きかけを再度お願いいたします。
 最後になりますが、重ねてご理解をいただいておきたいのは、ユニバーサルスタジオについては一施設の誘致にとどめたくないということであります。
 ご承知のとおり、このユニバーサルスタジオの親会社のMCA社は映像ソフトの世界的な企業であります。この誘致に成功すれば、映像というコンセプトを持って、映像機器を主力とする企業の立地や世界的な制作処理などを進めるスタジオ、またその映像に関する教育施設の誘致等、限りない夢を持つことができるものだと思います。そして、県が進めているテクノ&リゾートという言葉をまさしく象徴するものではないかとも考えております。
 そして何よりも、この誘致運動は二十一世紀の和歌山を担う若い世代が中心となって頑張っていることであります。全国的に見ても、若い世代には沈滞化ムードが強い、元気が足りない、さめている部分が多いという気がしてなりません。私自身もその点は反省しなければならないと思っております。そんな中で、若い世代が中心となってこの大きな夢のある目標に向かって努力しているのであります。どうか、この世代の努力と感性の豊かさに、関空を泉州沖に引っ張ってこられた知事の政治手腕をもって手をかしていただきたいことを重ねてお願いをさせていただきます。
 知事も選挙後お疲れでしょうから、百聞は一見にしかずであります、どうかアメリカに行ってユニバーサルスタジオを一度見てきていただきたいと思います。そして、この場をおかりして、先輩議員の皆様も一度見てきていただきたいことを重ねてお願いさせていただき、要望とさせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜田真輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十七分散会

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