平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 昼からのトップバッターで質問をさせていただきます。簡潔にしてまいりたいと思います。
 先ほどの鶴田議員に対する知事のお話の中にもありましたが、今回は社会党も仮谷知事を推薦して頑張ってまいりました。今回の五期当選、心からお喜び申し上げたいと思います。
 通告に従い、質問をさせていただきます。
 最初に、世界リゾート博に関連して質問させていただきます。
 今回の知事選挙を通して、紀南の住民の皆さんは、今、仮谷知事に特に何を期待しているとお思いでしょうか。多くの皆さんは、道路網の整備、なかんずく近畿自動車道紀勢線の南伸を心から願っているのであります。十二月三日の第二十九回国幹審において、整備計画に御坊─南部間二十一キロ、基本計画に田辺─すさみ間二十七キロ、海南─御坊間二十九キロが決定されました。紀南にとっても、また和歌山県民にとっても喜ばしいことでございます。一日も早い事業決定や開通に取り組んでいただきたいと思います。
 関西新空港開港を契機に、県内リゾート地の持つ恵まれた自然、歴史、文化資源や産業など和歌山県の魅力を国内外にアピールし、また経済的な波及効果を初め地域のイメージアップによる観光客の増加や企業誘致の拡大による産業の活性化を生み出そうとして、今、各リゾート地域を初め、平成五年度末に竣工予定の和歌山マリーナシティを主会場にして平成六年夏に開催される世界リゾート博の準備が着々と進められております。世界リゾート博の入場者数は百万人と聞いております。この百万人のお客に主会場で十分満喫していただき、そして燦黒潮リゾート地の持つ黒潮洗う海岸美──私も国鉄当時、見老津駅に勤務しておりました。あの枯木灘の海岸美にはすばらしいものがございます。緑豊かな山々、自然環境に恵まれた和歌山県内のリゾート地を訪ねていただくためには、現在工事が進められている近畿自動車道紀勢線湯浅─御坊間の世界リゾート博開催に合わせた開通が不可欠だと思います。そのことが和歌山県のイメージアップになるのではないでしょうか。平成六年度末完成の高速道路を世界リゾート博に合わせた開通にできないものか、また今日までの事業の進捗についてお伺いいたします。
 また世界リゾート博は、マリーナシティを主会場にして県内のリゾート地の特性を生かしたビッグイベントを行うようになっております。それぞれのリゾート地における進捗状況をお伺いしたいと思います。
 二つ目に入ります。国際障害者年の最終年を迎えての評価と課題についてお伺いいたします。
 一九八一年から始まった国際障害者年の十年目を迎え、障害者もともに生きる心豊かな福祉社会を目指して、和歌山県では一九八二年(昭和五十七年)から十年にわたる障害者にかかる和歌山県長期行動計画を策定し、副知事を本部長に県障害者対策推進本部を設置して各種の施策に積極的に取り組んでこられました。
 厚生省の昭和六十二年の実態調査によりますと、我が国の身体障害者数は十八歳以上で二百四十一万三千人となっております。これは、十八歳以上の人口百人当たり二・七人、すなわち百人のうち約三人が身体上に何らかの障害を持っていることになります。障害者の数は年々増加しており、昭和五十五年二月調査の百九十七万七千人に比べて二二%増加しております。また、昭和六十二年調査の身体障害者を障害別に見ると、肢体不自由が百四十六万人、六○・五%と最も高く、次いで聴覚、音声、言語障害三十五万四千人、一四・七%、視覚障害三十万七千人、一二・七%、内部障害二十九万二千人、一二・一%となっております。
 和歌山県の平成三年四月一日現在の実態調査によりますと、県人口百九万六百七十六人に対して障害者数は四万五千八百五十五人です。人口千人に対して四十二人が障害者であります。十年前の昭和五十七年度を一○○としたとき平成三年四月では一三三となり、何らかの障害を持つ方々がふえ続けていることをあらわしていると思います。また、身体障害者を障害別に見ると、肢体不自由が二万五千三百五十人、五九・九%と全国並みで最も多く、次いで聴覚、音声、言語障害が六千百九十四人、一四・六%、視覚障害が五千二百十三人、一二・三%、内部障害が五千六百三人、一三・二%となっております。
 こうした和歌山県の障害者の現状にあって、県行政は今日まで基本理念である「完全参加と平等」、基本的人権の保障、ノーマライゼーションの理念のもとで多くの成果を上げてこられたことを高く評価するところでありますが、この十年間の総括と今後の目標についてお伺いしたいと思います。
 次に、障害者雇用の実態についてお伺いいたします。
 それぞれの人がその適性と能力に応じた職業につき、その職業に生きがいを感じ、充実した毎日を過ごすことはすばらしいことでございます。障害者というハンディキャップを持っているばかりに雇用条件が満たされない現状に対して、法律は障害者の雇用を義務づけております。
 県における民間企業雇用率は、雇用納付制度の活用が普及されたこともあって、当初は約七○%近い企業が法定雇用に達しておりました。しかし、昭和六十一年ごろから雇用率も徐々に低下してきております。現在、法律によって障害者を雇用しなければならない企業は何社か、また県全体の雇用率はどうか。私の聞くところによりますと、大企業ほど障害者の雇用に不熱心だということですが、現状はどうでしょうか。また、県行政とかかわりのある入札、発注業者の障害者雇用はどうでしょうか。
 養護学校を卒業した生徒については、養護学校の先生や職安の努力によって、わずかですが障害者の雇用があることは、喜ばしい限りでございます。しかし、採用された後、短期間で退職し、その後は在宅で過ごすことがあります。定着率のよくない理由に、企業側の受け入れる条件に不十分な点があるのではないでしょうか。職場の施設、システム、従業員の意識について実態調査を行うなど、きめ細かい指導を行わないことには実質的な雇用率の改善にならないと思います。指導する行政側が障害者雇用のあり方について率先垂範を示すために、県職の雇用率と採用試験時はどのように対応されているのでしょうか。
 いずれにいたしましても、障害者の雇用については国、公共団体、各企業に就職した後の定着率の追跡調査を必要といたします。されているとすれば、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、生活環境の整備についてお伺いいたします。
 ハンディキャップを負う障害者が地域社会の一員として家庭生活を営み、社会生活に参加するためには、日常生活及び社会生活における不便を取り除き、障害者を取り巻く環境を整備改善する必要があります。今日まで、住みよい住居の建設、公共建築物、道路、交通施設の整備改善がなされ、多くの成果を上げてこられました。公共施設における自動ドア、トイレの改善、エレベーター設置、県営住宅の障害者優先入居の優遇措置、個人住宅の改造に要する費用の資金貸し付け、道路、交通環境対策については歩道整備、点字ブロック、段差解消、公共交通の鉄道、バス等に関係する業者に改善の要求をされ、ある一定の整備改善がなされてきました。今日、十年目を迎え、今後、障害者を支える環境づくりをどのようにお進めになるのか、お聞きしたいと思います。
 二つ目には、公共建築施設である出先各事務所、例えば西牟婁県事務所に来られる障害者の多くは二階への用件が多いと聞いております。庁舎内にスロープ、エレベーターを取りつけるべきだと思いますが、その対応は考えられないものでしょうか。
 三つ目には、JR主要駅にスロープ、エレベーターを設置していただきたいと思います。私は以前、雨の降る中で車いすに乗られた障害者の方が、陸橋が階段のためホームの端から線路を渡って出口へ行かれている姿を見ました。今日、田辺駅においても老人や障害者の乗りおりが多いわけでございまして、ぜひともスロープあるいはエレベーターの設置を願うものでございます。
 続きまして、教育問題について二点ほどお伺いいたします。
 来年の高校入試期に近づいてまいりました。今、高校受験を目指す中学三年生の間では、一つの不安や戸惑いが広がっております。受験生を指導する先生方の間でも困惑している問題があります。それは、昨今の余りにも激しい国際情勢の変化に、現在使用中の教科書がついていけなくなってしまったことに起因する問題でございます。現在の学習指導要領では、中学校の社会科の地理は一年、二年で学習することを義務づけられております。大半は一年生で履修すると聞いておりますが、そういたしますと、現在の中学校三年生が使用した地理の教科書は、実に二年前のものだということになります。ところが、この二年間に世界情勢の激変により教科書の地図内容と大きく異なる現実が生まれております。
 例えば、今の三年生はドイツ連邦共和国(西ドイツ)、ドイツ民主共和国(東ドイツ)という形で学んできましたが、今日、東西ドイツの統一によりドイツ民主共和国の名前は消え、さらに東欧の民主化によって東欧諸国の中には、国名の中から「人民」や「社会主義」という名前を取り、国名を改める国が続出しております。そして、私たちが想像もしなかったソ連が、ことしの夏のクーデターにより共産党が解体されました。こうした政治的変化と相まって、ソ連国内の地名も数多く変えられてきました。さらに、地名変更のみならず、これまで教えてきた社会主義国という枠組みそのものが大きく変わろうしている中で社会主義諸国の問題がどう出題されるのか、受験生、先生、親の間で不安が広がっております。
 十一月一日付の毎日新聞でもこの問題を取り上げ、報道しておりましたが、その中で文部省高等学校課は「国で一律に指導しない」としております。高校入試の対応は各県教委にゆだねることになるでしょう。今日の情勢の変化と教科書のずれを考えたときに、この種の問題は早く基本方針を示す必要があると思います。私は入試内容に立ち入るつもりはございませんが、ただ各教育現場でアンバランスを生じることのないようにしていただきたいということから、教育委員会のご見解をお伺いするものでございます。
 続きまして、交通安全対策、歩道設置計画について質問させていただきます。
 私が住む田辺市でことしの春に相次いで起こった小学校一年生の交通事故のお話をさせていただきます。
 四月二十二日と言えば、小学校へ入学した児童が学校へ通い始めてまだ二週間もたたないときのことでございます。その日の正午過ぎ、市内会津小学校の一年生の児童が、帰宅途中に道路に飛び出したところ軽自動車にはねられ、全身打撲で重体となり病院に収容されましたが、三日後、出血性ショックによって死亡するという事故が起きました。
 さらに、この事故の一カ月後の五月二十日の午後、同じく一年生の女の子が、国道を横断中、ワゴン車にはねられ、重体となりました。この女の子が通っている芳養小学校では全児童が千羽ヅルを折るなどして全快を祈りましたが、願いむなしく、事故から二十二日後の六月十二日、入院先の病院で亡くなってしまいました。
 同様の事故が続き出すと続くもので、さらに六月十日、新庄小学校一年生の児童が軽貨物自動車にひかれて重体となりました。幸い一命は取りとめたものの、入学したばかりの未来に夢をいっぱい持ったかわいい命が、突然、交通事故によって次から次へと消えていった出来事に、地元の父母、父兄は大変なショックを受けております。市内の学校の育友会では必ずこの事故の話が話題になり、どうしたら子供を交通事故から守れるのか、真剣な話し合いが持たれていると聞いております。
 今日、私たちは、三年連続で交通事故死亡者一万人を超す第二次交通戦争の真っただ中にあります。しかし、十二月三日に、ついに四年連続一万人を超す事態の悲しい記録をつくってしまいました。地方の小さな都市で起こった悲しい出来事は、今や全国で無数に起こっているのであります。毎年一万人の交通事故死亡者が出るということが続けば、つまり一万人の交通事故死亡者が日常化すれば、私たちが便利で快適だと信じている車社会が、実は一万人の死亡者と引きかえになっている恐ろしい不安な社会だということになります。今こそ車社会を根本的に考え直し、交通問題を単に警察だけに任せることなく国民的課題とすべきだと考えます。
 児童が通っていた小学校区では、事故の後、保護者から通学路に歩道が設置されている箇所が非常に少ないという意見が出されたようであります。同校では、事故後、危険な通学路の変更を検討するなど努力をされておりますが、保護者としては歩道を設置して子供を安全に通学させたいという願いがございます。
 本年三月、政府は第五次特定交通安全施設等整備事業五箇年計画を作成し、交通事故死亡者を一万人以下に減らすという施策を打ち出しました。それを受けて本県でも交通安全対策会議が、当面、平成七年の交通事故死亡者数を百人以下に減らすことを目標に和歌山県交通安全計画を作成されました。この中で、「歩行者及び自転車の安全と生活環境の改善を図るため、歩道の設置を伴う既存道路の拡張など積極的に推進する」とあります。私は、この施策を大きく期待するものであります。施策を具体的にどのように進めていかれるのか。
 二つ目に、私は小・中・高も含めた学校周辺や病院、高齢者福祉施設、身体障害者施設等の周辺を重点に取り組むべきだと思います。
 三つ目に、国道四十二号線から田辺工業高校へ通じるJRガード下の拡幅ができないため、交通事故の危険性をはらんでおります。この場所は、現在、高校生や周辺の住民の皆さんにとってこの道路は必要不可欠であり、利用せざるを得ません。県立高校の入り口でもあり、拡幅に努力をしていただきたいと考えますが、ご見解をお伺いします。
 また、田辺市文里湾岸へ通ずる県道文里港線は、朝夕は通学生、通勤者の車で混雑していて、交通事故を起こすおそれがあります。幸い、現在、護岸管理道事業を行っておりますが、交通安全対策を考慮した工事施策を行っていただくよう要望いたします。
 続きまして、関西国際空港についてお伺いいたします。
 私は、関西国際空港対策特別委員会委員の一員として、去る十一月二十七日に現地調査をいたしました。まず、加太地区の土取り現場では、土砂採取事業の第一期の土量三千百二十万立方メートルは平成二年八月二十九日をもって終了し、引き続き第二期工事の搬出を行い、全体土量の六千四百三十万立方メートルは本日をもって完了すると聞いております。土取りの最終段階を迎えた現場では、緑の山々の中に広大な平地が開け、改めて百四十ヘクタールの広さを実感いたしました。現在、この敷地に百三十ヘクタールを加えた合計二百七十ヘクタールの地区に関西国際空港関連地域整備計画のプロジェクトの一つであるコスモパーク加太計画が進められようとしております。コスモパーク加太は、和歌山県、和歌山市の将来にとって非常に重要な町づくりであるとともに、県民の期待もほかのものに比して大きいものがございます。どうか、和歌山を世界にアピールする象徴として、また県民の皆さんの憩える町として、二十一世紀に向けた国際的複合都市の建設をぜひとも推進していただきたいと存じます。
 次に、和歌山県は、関西国際空港により経済、文化、教育が浮上することを期待しています。航空審議会は、去る十一月二十八日、運輸省に第六次空港整備五箇年計画を答申しました。これを受けて閣議で正式決定された計画は、九一年度から総額三兆一千九百億円をかけて成田空港の二期工事、羽田空港の沖合展開、関西国際空港の三大プロジェクトを最優先に取り組んでいくことをうたっております。
 関西国際空港の滑走路三本を備えた全体構想については、航空需要の高まりを背景に調査検討を進めることになっており、一歩前進したと言えます。しかし、近畿圏内の空港は、大阪国際空港、八尾空港、関西国際空港、新たに計画に入った神戸空港やびわこ空港等で過密の状態になります。こうした状態になると、安全性を語らずにはおられません。現在でも、大阪国際空港は綱渡りの管制を行っていると聞きます。午後七時から午後八時までのピーク時には一分三十秒間隔で航空機が離着陸を繰り返し、管制区には到着待ちの航空機が約八千メートル間隔で二十機も並ぶと言われております。大阪国際空港の一日の離着陸は最高三百七十回、関西国際空港では一日四百三十八回、全体構想の完成後では一日七百十二回、神戸空港では一日三十六回、びわこ空港では一日二十回で、総計一日に一千百三十八回が離着陸することになります。そうすると、近畿圏の上空の安全性が問われることになるのではないでしょうか。ご見解をお聞きしたいと思います。
 また、関西国際空港は国内線の運航も含んでいる中で、各地域に空港計画が進んだとき国内線が分散することになり、国際線に余裕ができて関西国際空港の全体構想に大きな影響が出てくるのではないでしょうか。あわせてご見解をお聞きしたいと思います。
 最後に、和歌山操駅の跡地の活用についてお伺いいたします。
 二十一世紀を控え、平和と福祉の町づくり、高齢化対策、福祉対策などの課題とともに、ゆとりと豊かさを求める声は大きくなっております。経済大国と言われながら、それに見合うゆとりと豊かさを実感できるには、まだほど遠い現状であります。そのため、環境整備や基盤の整備が必要であると考えます。特に地域の活性化を図るためには、若者の定着とあわせて、雇用の創出をつくる上で勤労者の対策が不可欠であります。
 知事が、健康と福祉を中心に五期県政の大きな課題として、和歌山操駅跡地に総合保健センター、総合福祉会館などの建設構想が打ち出されておりますが、特に若者や勤労者が活用できるような夢のある、心の糧となるような施設にすべきだと考えます。よって、四点にわたってお聞きします。
 一つ目に、操駅跡地の活用と全体的な構想、建設される施設の概要についてお伺いいたします。
 二つ目に、若者、特に勤労者が活用できる部門はどのような位置づけをされているのか。
 三つ目に、県・市民の総意を生かすことが必要であると思いますが、そのために検討委員会等どのようにお考えになっているのか。
 四つ目に、全体的な構想はいつごろ具体化されるのか、完成はいつごろになるのか。以上、四点をお聞きしたいと思います。
 これをもって、一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 国際障害者年の最終年を迎えての評価と課題についてでございます。
 私も、県政の最重点事項として福祉行政を進めておりますが、その福祉の原点である障害者福祉対策に積極的に取り組んでまいっておるわけでございます。とりわけ昭和五十六年の国際障害者年を契機として取り組んでまいったわけでございますけれども、障害者にかかる和歌山県長期行動計画を五十七年に策定し、昭和六十二年には中間実績をまとめ、その後期推進目標を定めまして、関係団体の協力を得ながら、市町村と密接な連携のもとに施策を推進してまいりました。こうした全県的な取り組みの結果において、県民意識の高揚を初め、施設の整備、社会参加の促進、在宅対策の充実など、各分野において着実な成果を上げるとともに障害者の自立と社会参加が図られ、この十年間における障害者福祉の増進には大きなものがあったと思っております。
 しかし、ご意見ございましたように、障害者が増加しております。また、そのニーズも多様化しつつある中で、さらにきめ細かな対策が充実される必要がございます。国際障害者年の最終年を迎えるに当たり、十年間の実績というものを再度点検し、また評価を行い、課題を明らかにしたい、そしてまた国等の動きを見ながら新たな県の指針を検討してまいりたいと思っております。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答え申し上げます。
 最初に、湯浅御坊道路の進捗状況等についてでございます。
 全体事業の進捗は、用地買収で現在約九○%、工事については平成三年度末までにはほぼ全線にわたって発注される見通しと聞いております。
 議員ご提案の湯浅御坊道路の工期短縮についてでございますが、本事業は施行延長が十九・四キロということで非常に大きな工事であり、特に延長二千六百九十三メートルの白馬トンネル工事は、工事日数も非常に長く必要になり、また工事の難しさも予想されております。先ほど申し上げましたように、ほぼ全線にわたって工事を展開しており、現在、平成六年度末供用を目標に全力を挙げて工事が進められている状況でございまして、さらにこの工事を短縮することは非常に厳しいと聞いております。しかし、少しでも工期短縮ができないものかどうか、事業主体である国と道路公団に要望をしてまいりたいと存じております。
 それから、交通安全対策の歩道設置でございます。
 交通安全対策については、最近における交通事故の発生状況にかんがみ、緊急に交通の安全を確保する必要がある道路について、国では新たに平成三年度を初年度とする第五次特定交通安全施設等整備事業五箇年計画を策定して、平成三年十一月二十九日に閣議決定されたところであります。この中で、道路管理者分としての計画規模は、さきの第四次五箇年計画の一・三七倍に相当する一兆八千五百億円という事業費を組んでございます。県といたしましても、歩道設置については平成二年度に九・三キロを行いましたけれども、平成三年度ではこれを九・六キロということで計画的に整備を進めております。
 また、学校、病院、高齢者福祉施設、身体障害者施設等の周辺については、従来からも緊急性の高いものとして位置づけ、その整備に努めてきたところでございますけれども、今後とも関係機関と調整を図りつつ、重点的に整備をしてまいりたいと考えております。
 それから、国道四十二号から田辺工業高校へ通じる田辺市道でございますが、ここはJRのガードが幅三メートル、高さ二・五メートルと狭く、ご指摘のとおり交通安全上問題があるということで田辺市においても検討をいたしてまいっており、過去に県も相談を受けております。ただ、このJR軌道高の変更とか、ガードと国道四十二号との距離が短いとか、物理的に非常に難しい問題がございまして、単純にガードの拡幅ということは、残念ながら難しいと考えております。今後、田辺市道路網整備の中でこの問題点も含めて検討するように指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず第一点は、世界リゾート博と県内リゾート地の関連等についてのご質問でございます。
 平成六年夏、マリーナシティを主会場として開催する世界リゾート博の成功に向けて、県民各位のご協力をいただきながら博覧会の機運を盛り上げていかなければならないと考えてございます。
 そのため、既に昨年八月に開催された和歌の浦サーフ・サイド・ライブ一九九○や、本年七月のいこらカーニバル、同じく八月のワールド・ミュージック・フェスティバル・インなぎの里などは、世界リゾート博の協賛イベントとして実施されてございます。平成四年には、県下各市町村で開催される各種イベントを世界リゾート博のプレイベントと名づけていただくよう、市町村と連携を深めているところでございます。また平成五年からは、県を代表するリゾート地である白浜、勝浦など、それぞれの地域の特色を生かしたイベントの実施について、克服すべき課題もございますが、現在準備を進めているところでございます。
 第二点は、JR主要駅へのエレベーター等の設置についてでございます。
 障害者の方々が安心して鉄道、バス等の公共交通機関が利用できるよう関係機関に対し働きかけを行ってきているところでございまして、JR西日本を初め各事業者においても、施設改善等、順次整備が図られている状況でございます。
 またエレベーターについては、全国JRグループ全体の設置率が二%と低い整備水準にございますが、スロープ、エレベーターを含めて障害者の方々の利便確保のための施設整備等について、関係事業者にさらに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 第三点は、関西国際空港に関連して空域の安全性についてでございます。
 近畿圏における空域の安全性については、関西国際空港を中心に、既存の大阪国際空港等の航空機の安全かつ効率的な運航の確保のため、現在、広域航空管制システムの構築を目指して関係者間で検討が進められているところでございます。
 なお、議員ご指摘の神戸空港等については、空域調整などの未解決の課題が残されているため、第六次空港整備五箇年計画では予定事業とされているところでございまして、今後、事業主体において調査検討の上、課題解決の見通しが立った段階で新規事業として組み入れられるものとなってございます。
 次に、近畿圏における航空需要についてでございます。
 関西国際空港は、現時点での潜在的な航空需要、並びに今後飛躍的に伸びることが予測される航空需要に対処するための国内及び国際の基幹空港でございます。第一期計画では十六万回、全体構想実現時点では二十六万回の離発着回数を想定している日本の三大空港の一つでございまして、全体構想の早期実現についても関西が一丸となって運動を進めているところでございます。
 最後に、和歌山操駅跡地の活用の問題についてお答えを申し上げます。
 和歌山操車場駅跡地は既成市街地に残された貴重な土地であり、従前から日本国有鉄道清算事業団と購入のための交渉を重ねてきたところでございます。
 建設する施設については、広く県民のセンターという見地から、健康福祉センター、総合庁舎、総合体育センターを設置しようとするもので、現在、内部検討を進めているところでございます。健康福祉センターについては、県民の健康の増進指導、高齢者等福祉サービスの充実、女性の社会活動を支援する女性センター、勤労青年を含む青少年活動の拠点づくりなどを検討してございます。また総合体育センターは、広域スポーツ施設として検討をいたしているところでございます。
 この土地の利用計画については、県内有識者など各層からのご参加をいただく計画策定委員会を設置いたしまして、今後ご意見をお伺いしながら、計画策定並びに基本設計、実施設計等、種々作業を進めて早期完成を目指してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 国際障害者最終年に関連して、まず県職員の身体障害者雇用率でございます。
 平成三年度で、法定雇用率二・○%に対して二・一五%となっております。また採用試験については、上級の一般行政職において昭和五十七年から点字試験を実施いたしております。昭和五十七年には二名、五十九年一名、平成三年には一名が受験をいたしております。
 次に、県事務所等の庁舎にスロープまたはエレベーターを設置することについてでございます。
 障害者の方々が不自由のない社会生活を営む上において、種々の面で環境整備を図っていくことが必要であると考えております。県事務所の中でも比較的新しく建設した庁舎にはエレベーターを設置いたしておりますが、お話の西牟婁県事務所等においては、これまでも種々検討を行ったわけでございますが、相当のスペースを必要とするといった物理的、構造的な問題もあって、なかなか難しい状況でございます。そのようなことで、現在、県事務所へ来所される方の案内、誘導等については、ブザー、インターホンによって知らせを受け、職員が出向くなどいたして対応をしているところございます。こうしたことにより、できる限りご不自由をおかけしないように心がけてはおりますが、なお事務所ごとの対応も若干異なっているようでございまして、さらに工夫の余地がないのかどうか検討をいたしたいと考えております。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) まず、障害者の雇用の実態についてでございます。
 法律によって障害者を雇用しなければならない企業は何社あるか、また県全体の雇用率はどうかということでございます。
 障害者の雇用の促進等に関する法律によって、事業主は労働者の数の一・六%の障害者を雇用する義務がございます。つまり、六十三人以上の規模の企業は身体障害者を一人以上雇用する義務があり、県下では二百八十七企業となってございます。また、平成三年六月一日現在の全体の障害者の雇用率は一・九%でございまして、全国では一・三二%となってございます。法定雇用率達成企業の割合は六五・二%で、全国平均五一・八%と、いずれも全国の水準を上回ってございます。
 次に、大企業ほど障害者雇用に不熱心と言われているが現状はどうか、また県行政とかかわりのある入札、発注業者の障害者雇用はどうかということでございます。
 企業規模別に障害者の雇用率を見ると、六十三人以上九十九人規模が一・六七%、百人以上二百九十九人で二・四四%、三百人以上は一・三二%となってございます。三百人以上の企業の雇用率が小規模の企業よりやや低くなっておりますけれども、昨年より改善されており、全国の三百人以上規模企業の雇用率を上回ってございます。また、指名競争入札等、参加登録業者の中で雇用義務のある企業は四十五社ございまして、雇用率は一・四○%でございます。今後とも、法定雇用率未達成の大企業や参加登録業者に対して指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 また、障害者の雇用については、国、公共団体、各企業内に就職した後の定着率の追跡調査を必要とするけれども、しているとすればその内容を明らかにされたいということでございます。
 障害者の雇用の安定を図るためには、就職後の職場定着が重要でございます。このため、公共職業安定所においては障害者に対して求職登録制度を設けており、求職申し込みから就職後に至る職場定着指導まで、きめ細かな指導、相談を行ってございます。また、五人以上の障害者を雇用する事業主に対しては障害者職業生活相談員百八名を設置して、障害に応じた職務の内容、作業環境の整備、労働条件や人間関係についての相談や検討を行い、職場定着を図るよう指導してございます。平成二年度における就職者の定着状況を見ると、就職者二百四名のうち四十四名の方が離職しており、定着率は七八・四%となってございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 障害者対策の生活環境の整備についてお答えをいたします。
 障害者対策については、総合的な施策の推進を図るために、議員ご意見のとおり、庁内組織として障害者対策推進本部を設置し、各種施策を積極的に展開してまいったところでございます。今後とも、一層の努力を重ねていく所存でございます。
 とりわけ、障害者の自立と社会参加を促進するためには生活環境整備が最も重要な課題と考えており、今後、障害者等の住みよい生活環境整備指針に基づき、広く県民や関係機関に理解と協力を求め、障害者や高齢者に優しい、住みよい町づくりを進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 国際情勢の変化と来年度の高校入試との関連についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、昨今の激しい国際情勢の変化により、社会科の教科書の記述と現実との間に異なる点が生じてきてございます。中学校の教科書については、これまで三年ごとに改訂されてきたところであり、社会科の学習においては、この間の状況の変化とどうしてもずれが生じてまいります。こうしたことから、指導に当たっては学習指導要領を踏まえながら、現実の社会変化を十分認識し、教科書の内容をそのまま教えるだけでなく、生徒の国際社会等への関心を高めることが大切であると考えてございます。したがって、学力検査の実施に当たっては、従来から中学校学習指導要領に示された教科の目標や内容を踏まえ、教科書記述と現実との相違点等に配慮しながら出題しているところであり、今後とも社会科としての総合的な学力を見ることができるよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番野見山 海君。
○野見山 海君 ご答弁、大変ありがとうございました。
 二点ほどお伺いしますけれども、今、商工労働部長からお話ありましたように、和歌山県全体の法定雇用率達成企業は六五・二%ということですが、残りの三四・八%が雇用率を達成できていないということになります。そういった状況をどのように把握しているのか、その雇用できない根拠はどこにあるのか、これから調査していただければありがたいと思っております。
 もう一点は学校の交通事故の問題ですが、不幸にも、田辺でああいう事故が起こりました。学校、地域、家庭が一体となってそういった問題に取り組むことも大事だと思いますし、幾ら施設を充実しても、歩道をつくってみても、事故が起こるときは起こるんでしょうけれども、小学校あるいは幼稚園から始まって、絶えず学校教育の中で交通事故の問題に取り組んでいくことが必要ではないかと思っております。
 先日、田辺の国道バイパスにおいて、高校生の二人乗りが赤信号で渡っておって事故があったんですね。当てた方はもうびっくりして逃げて帰って、後から自首したんですけれども、今の高校生あるいは子供たちは赤でも堂々と渡っているのが事実なんです。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ということがいまだに続いておりますから、ぜひとも学校教育の中でそういった問題にどしどし取り組んでいただきたいと思います。
 要望にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。

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