平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 ご指名をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 去る十月に行われました和歌山県知事選挙において、仮谷知事が発言されたこと、仮谷知事の支援・確認団体であった自由民主党の法定ビラにかかわって、二、三、知事の所見をお尋ねいたします。
 まず九月二十八日、県立体育館における知事の後援会主催の決起集会で、知事は「和歌山に共産党は要らない」と発言された旨、新聞報道がありました。一瞬まさかと思ったものですが、事実だったとのことです。
 現在私たちは、日本国憲法と法のもとで、それぞれの政党がそれぞれの主張を掲げ、政治はかくあるべしと、言論を通して争っています。それは、お互いが意見の相違は承知の上でその存在を認め合うという前提があるからこそ成り立っている制度であります。政権を担当する者がみずからの主張と行動を絶対化し、それに反対する少数意見者や少数政党を「そんな政党は要らない」と、存在そのものを否定するようなことがあっては、もはや議会制民主主義は成り立たなくなってしまいます。「和歌山に共産党は要らない」という発言は、まさにその危険を内包するものであります。もし、一国の宰相がそのような発言をすればどういうことになるか想像すれば、その危険さは明白でしょう。
 しかし、一地方自治体とはいえ、知事は首長であります。一介の市井の人ならともかく、一県の知事の発言としては決して見過ごすことのできない問題であります。日本共産党の私と村岡が、今この議場にいます。それを知事は、要らないと言われますか。県下には、日本共産党の地方議員が七十名余り、住民の支持を受けて活動いたしております。それをあなたは、要らないと言われますか。しかし、日本共産党を支持する数万の県民がいるのです。「和歌山に共産党は要らない」ということがどんなに非民主的なことか、おわかりになっているんでしょうか。
 また、別の角度から言えば、地方自治体とは発達した住民の組織であり、共同体でもあります。ならば、たとえそこにおいて多数決原理で政治が運営されようと、為政者は常に少数意見に耳を傾け、その真意を聞き取り、政治に誤りなきを期すのが本当の姿ではないでしょうか。だとすれば、この「和歌山に共産党は要らない」という発言は、民主的な地方政治に根本から反するものであると断ぜざるを得ません。五期目の県政を担当するに当たり、今、知事はこの発言をどのようにお考えになっておられるのか、まずお尋ねするものであります。
 続いて、仮谷候補を推薦して活動した自由民主党の法定第二号ビラについて、知事の所信をお伺いいたします。
 ここにも、「和歌山に共産党は要らない」の大きな文字が目に入りますが、この点は先ほどの質問と重複しますので触れませんが、お聞きしたいのは、「共産党が民衆をだましてきたのは、ソ連でも東欧でも日本でも和歌山県でも同じです」との文言であります。
 ソ連共産党や東欧の諸党が社会主義の理念から逸脱し、覇権主義、官僚主義、命令主義で国政を大きく誤ったことについては、少なくとも日本共産党にとっては三十数年前から明白でありました。それゆえにこそ我々は、彼らと妥協のない論戦を行い、彼らの路線が社会主義の名に値しない非民主的なものであり、社会主義の名を著しく汚すものであり、その露骨な覇権主義は社会主義の看板を掲げた帝国主義であり、世界の歴史を逆行させるものだと論難をしてきたところであります。ソ連、中国の共産党のいずれにもくみせず、徹底した民主主義こそ我々のきわめる道と主張した日本共産党を、ジャーナリズムは当時、ある種のやゆを込めて「自主孤立の党」とさえ称したほど彼らとは異質の党として我々は存在していたことは、少なくとも世界の共産主義運動に関心を持たれていた方は承知のことだろうと思います。
 私ごとにわたりますが、私は一九五八年に入党いたしました。既に三十三年間、日本共産党に籍を持つ者でありますが、その三十三年間は、間接的ではありますけれども、ソ連や中国の誤りを批判し、論争する三十三年間でもあったわけであります。我々は、ソ連の分家ではありません。我々は、日本と日本国民に直接責任を負う自主独立の党として歩んでまいったところであります。
 しかし、この法定ビラにおいては、日本共産党をソ連の党と同一のものとみなすだけでなく、「日本でも和歌山でも共産党は民衆をだましてきた」と記述しています。自由民主党の方々と私たち日本共産党は国政、県政にわたって政策的に見解を異にしていますが、お互いそれを承知して論戦しているのであります。その見解が異なるをもって県民をだましてきたとか、うそをついてきたとか言い始めると、それはもはや論争ではありません。一種のマヌーバーに近くなってきます。私たちは、このビラが出されたとき、即刻、発行者に対し「民衆をだましてきたという根拠はどこにあるのか」と質問書を送りましたが、回答はありませんでした。私も、日本共産党の一員としてこの議席におります。そして、今、この壇上に立っています。
 ついては、知事にお尋ねいたしますが、私をも含めて日本共産党が県民をだましてきたとお考えになっていますか。知事の書いたビラではありませんけれども、知事を推薦した確認団体のビラです。所感をお伺いするものでございます。
 続いて、同じビラに「共産党は、これまでさんざん県政の足を引っ張ってきた。共産党に足を引っ張られてきた」とありますが、知事もそのようにお考えですか。私たちは、県勢の発展のためにさまざまな意見を申し述べてはまいりましたが、私たちの意見を取り入れることによって県政が遅滞したというようなことがあったでしょうか、あればお示しをいただきたいと思います。
 我々は、県政に機会あるごとに提言、意見を申し上げてまいりました。例えば、我々は政府の同意のない以前から四十人学級を主張してきました。あるいは、国政が老人医療の無料制度を大きくカットしてきたとき、地方自治体で補完せよと主張してきました。さまざまな福祉施策を提言し、県政の中に生かされたことも多くあります。それらが県政の足を引っ張っていると言われるのでしょうか。何をもって県政の足を引っ張っておるのか。これも質問いたしましたが、お答えがありませんでした。知事もそのようにお考えですか。お答えをいただきたいと思います。
 さらに、このビラについて、あと一点だけお尋ねしておきます。
 「国民健康保険料を引き下げよ、老人医療費を無料にせよなどと共産党などは言っているが、そんな要求はむちゃというよりはでたらめだ。できもしないことを言って有権者をたぶらかしている」とあります。しかし、これらの要求は県民にとって実際に切実な問題であります。願いにこたえるためにどう努力するか、それが県民の方を向いた政治であります。願いをかなえるためにその努力をするのが政治の本来のあり方であります。それに対して、むちゃだ、でたらめだと言って努力を放棄するならば、県民の方を向いた政治ではなくなってしまいます。
 今、和歌山県政は、既に老人医療費の無料化のために一定の措置をとっています。六十七歳から六十九歳、県独自での努力が行われています。これは、むちゃで、でたらめな政策なのでしょうか。国保料の引き下げで、県下の幾つかの自治体が独自の政策によって住民の願いにこたえています。これはむちゃくちゃで、でたらめなんでしょうか。県が、まことに少額ではあっても市町村に一定の資金を出し、国保会計の安定のために住民負担軽減の措置をしています。これはでたらめで、むちゃな政策なのでしょうか。市町村では、国保料金が高過ぎるので何とか制度の改善をしてほしいという意見書を国に対して上げているところが少なくありません。私たちは、このような努力を一層強めていただきたい、努力すべきであると主張しているのです。提起している課題は、困難は伴っても不可能ではないと考えます。他の政策との関連での選択の問題であります。先日議論になった基金の問題なども、取り崩してはならないと基金を絶対のものとすれば話は進みませんが、そこに選択の余地を持てば、老人医療の無料化も国保料値下げへの道もこれから開いていくことができるものと考えます。県民の切なる願いを掲げた政策に対して、でたらめというようなことは決して県民の感覚ではないように思います。知事はこの点についてどのようにお考えになっておられますか、お尋ねをいたします。
 ビラの問題についてはまだまだ幾つかお尋ねしたいこともございますが、発行者が知事ではございませんので、基本的な問題だけを取り上げてお尋ねしておくことにしておきます。
 第二問に移ります。
 去る十月二十九日、紀伊半島の深部・奈良県十津川村において、米軍機ハリアーにより山林作業用ワイヤが切断されるという事故が起こりました。一九八七年に引き続く二度目の事故であります。
 当時の事故の際にも米軍は、日本の防衛施設庁長官を通じて、「米空軍は、調査結果が判明するまでは低空飛行訓練の計画はない。今後とも、事故発生区域においては訓練の計画はない」と関係者に約束したものでした。しかし、それから一年もたつかたたないうちに、また訓練飛行は再開されました。その頻度は、以前にも増して高いものになっていったようであります。八七年の事故以来、和歌山県域への飛来も同様であります。県当局は、その状況をどう掌握され、どのように対処されてきたか、またそれに対する米軍の対応はどのようであったのか、それをどう評価しているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 今回の事故の直接の被害者は、また和歌山県民であります。関係者にはまことにお気の毒としか言いようがありませんが、しかるべき被害補償は被害者の納得のいくように迅速に行われなくてはならないと思います。県当局としても米軍に対して補償要求で相応の努力をいたすべきだと考えますが、いかが対応されていますか、お尋ねをいたします。
 また、今回の事故後、米軍と関係者は「調査終了まで、事故再発の防止策が立つまでは訓練飛行はしない」と、一応の約束はしていました。和歌山県に対してもそのように約束がなされているでしょうか。しかし、いずれにしろ、米軍は再び何の前ぶれも通告もなく、その舌の根の乾かないうちにまた紀伊半島で訓練を始めたようであります。事故から一週間後の十一月五日を皮切りに、六日、二十九日、十二月五日と低空飛行が行われました。しかも今回は、訓練空域を和歌山へ移したのではないかと思われるような飛び方で、事実、「奈良新聞」はそのように報じている状況になってきています。このまま低空飛行訓練が続けば、県内でもいつ惨事が起こるかわかりません。山で働く人々は、このままの飛行を続けられれば就労できないと言っております。県下産業の大きな柱である林業は、ただでさえ労働力不足でその前途が危ぶまれていることは今も論議されたところでありますが、この低空飛行訓練はその危機に拍車をかけることになるでしょう。知事はこの事態にいかに対応されようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 単に飛行中止の要望やお願いでは問題が解決しないこともはっきりしています。「紀伊半島を米軍飛行訓練基地にするな」と毅然として抗議をし、米軍そして日本政府に強力に働きかけることが必要だと思われます。そして、根本的な原因となっている在日米軍基地の撤去と安保条約の廃棄こそが紀伊半島の安全のために必要であろうと思われます。知事の所見をお伺いいたします。
 続いて三番目として、現在、国会で議論されているPKO、PKF問題に関連して、知事が反対の意思表示をする意思がないか、その点についてお尋ねをいたします。
 PKO問題が国会に上程されて以来、さまざまな論議が行われてきましたが、内容が実質的に自衛隊海外派遣法でありますから、国会内外から反対の声が大きくなってまいりました。また、論議が進むにつれ、政府答弁が憲法との関係で矛盾を深めてきているのがわかります。論議は国政の場で行われておりますが、事は憲法にかかわり、平和にかかわる問題でもあり、憲法を守り、平和を願う立場から、知事の所信を伺うものであります。
 私は、この法案には三つの大きな問題が含まれていると思います。第一は、今申し述べた現行憲法との関係であります。憲法はもともと戦力を持つことを禁じているわけでありますが、昨秋の国会においても、内閣法制局が「武力行使をしてはならないという憲法九条のゆえに、国連平和維持軍に自衛隊の参加は困難」と答弁したところであります。また一九五四年の国会決議も、憲法の制約で自衛隊を海外に派遣してはならないことがうたわれているわけでありますが、PKO法案の違憲性は国会においても、政府機関においてさえ指摘されていたところであります。それを否定して提案されていたところに最大の問題があります。
 第二の問題としては、法案そのものに含まれているあいまいさ、矛盾であります。「武力行使はいけないが、武器使用ならいい」という政府答弁に、後藤田正晴元官房長官は、「指揮官がいて、組織体として武器を使用するのは戦闘行為であり、まさに主権発動の武力行使である」とコメントをしています。「銃火器による正当防衛などということも聞いたことがない」と法務省公安課長が衆議院特別委員会で答えていますが、ちょっとえぐれば矛盾だらけで、いま一度、後藤田氏の言葉をかりると「ガラス細工のようにもろい」、渡辺外相の言葉をかりると「苦肉の策」としか言いようのない、矛盾だらけの法案として浮き上がってきています。
 第三は、国連文書との矛盾であります。政府は国連文書の提出をかたくなに拒否しましたが、その食い違いも明らかになってきつつあり、国連筋からもクエスチョンマークがつけられている事態であります。
 私は、このような憲法違反の自衛隊海外派兵法については許されるべきではないと考えるものでありますが、同時に、地方自治体の首長として、平和を願う立場から、かかる法案には反対されるよう望むものであります。知事の所信をお示しいただきたいと思います。
 最後に、学校五日制の問題についてお伺いいたします。
 この件については既にお二方から質問があったところですので、できるだけ重複を避けてお尋ねをいたしたいと思いますが、論旨を運ぶ上で一部重なったとしたらお許しをいただきたいと思います。
 学校五日制については、私も基本的に賛成の立場にあるものです。子供の健やかな成長のためにも、学校五日制は積極的な意味があろうと思います。とりわけ、今、学校教育は細切れ知識の詰め込みなど多くの問題を抱え、落ちこぼれへの不安から塾通いが広がるなど、子供たちを一層忙しくし、ゆとりのない生活に追いやる状況にあります。そうしたもとで、地域において親子や近所で年齢の異なる子供同士が集団で遊び、学び合ったりする機会や経験も乏しくなっているのが現状であります。もっと自然に親しんだり、文化・スポーツ活動や勤労を含むさまざまな社会活動に参加して生活を豊かにすること、あるいは親子の触れ合いを深め、地域での体験を楽しむゆとりが求められています。親の休日を子供の休校日として積極的に活用しなければならないでしょう。そのために必要な条件整備がいろいろ論じられているわけですが、私も、思い切った学習内容の精選と削減ということから考えてみたいと思います。
 月一度の土曜休日であれば年間で三十数時間ですが、毎土曜日となれば百数十時間ということになり、学習時間の量としては相当なものとなります。学力を落とすことなくということを至上のものとすると相当の無理が生じてまいります。もちろん、知識の量と学力とは同じものではありませんから同一に論ずることはできませんが、学習内容を変えることなくとなれば子供たちの矛盾を激化させることになります。土曜日の授業をそのまま月曜から金曜へ移動することになれば、平日の授業時間の延長になったり、学習密度がいやが上にも高くなってしまいます。平日のゆとりの時間にそれを充てようという考え方もあるようですが、今でも既にゆとりの時間が売り切れとなっているところも多く、平日のゆとりと土曜日を交換しただけとなり、意味がなくなるばかりか、逆に子供の負担が大きくなってまいります。全体として落ちこぼしが多くなっている現状を加速しかねません。学習指導要領などの改定をも含め、思い切った授業内容の精選、削減などのカリキュラムの工夫も必要だろうと思われます。そのような点についてどのように考えられているか、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、一昨日も論議されましたが、土曜日の社会的環境整備にぜひつけ加えて考えていただきたい点として、私は学校図書館の開放やその前提としての学校図書館司書の設置などをぜひとも実現させていただきたいと思います。土曜の休校と司書のいる学校図書館は、子供たちの土曜日を豊かにする上で大きな役割を果たすだろうと思うからであります。
 また、今、教育委員会を中心に五日制についての協議機関が設けられているようですが、土曜休校については地域による要求の相違も大きかろうと思いますので、学校、父母、教師、場合によっては子供さえ含めて地域的に協議する機会をつくっていってはいかがでしょうか。教育長の所見をお伺いいたしまして、第一問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 選挙中の私の発言の問題でございます。
 私は、当時、知事候補者として自由民主党、社会党、公明党、民社党から推薦をいただいて立候補しておりました。対立候補は共産党の推薦する方でございました。私が勝つか共産党が勝つかです。だから、「和歌山県政に共産党は要らない」と言ったわけでございます。
 選挙は、お互いに戦いであります。そうした形で私は述べさせていただいたんでございますけれども、当時、ソ連邦において政変がございましてソ連共産党が崩壊し、ソ連共産党は要らないという風潮でございました。それが発想の原点でございます。
 それから、知事の確認団体である自民党の法定ビラについてでございますけれども、今度の選挙において自民党には確認団体として積極的に後援していただきました。おかげで当選させていただきました。ただ、法定ビラは政党に関することでございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、米軍機の飛行訓練についてでございます。
 このたびの奈良県の十津川村におけるワイヤロープの切断事故は、昭和六十二年に続いての二度目の事故であり、まことに遺憾でございます。今回の事故直後、外務省を通じて米軍に対し、低空飛行の中止と再発防止について適切な措置がとられるよう、私の名において強く申し入れを行ったところであります。
 米軍機の飛行訓練自体については、お尋ねにもございましたが、日米安全保障条約及び日米地位協定に基づき容認されているものでありますが、低空飛行については公共の安全維持の見地から中止を申し入れてまいりたいと存じております。
 なお、低空飛行の県の対応等については総務部長から答弁いたします。
 それから、PKO、PKFについての知事の所信でございます。
 国際社会の一員として、日本が世界の平和と繁栄に貢献していかなければならないと考えておるところでございます。議員ご質問の国連平和維持活動等については、日本が世界平和の維持に協力するという立場から、現在、国政の場において審議がなされているところであり、国民の理解が得られる国策として十分論議がされるよう願っているところでございます。
 ──発言漏れがございました。現在、鶴田さんや村岡さんに対してどう思っておるかということでございますけれども、県民の代表でございます。私も知事でございます。十分意見を承り、尊敬しております。○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 米軍機の飛行訓練について、補足してお答えをいたします。
 まず、低空飛行に対する県の事実関係の掌握と米軍の対応、それに対する評価ということでございます。
 前回の昭和六十二年の事故から今回の事故までの間、機会あるごとに外務省を通じて、米軍に対して知事名による文書、また口頭により米軍機であるかどうかの確認を求め、また低空飛行の中止の申し入れを行ってきたところでございます。米軍も、防衛施設庁を通じて問題区域における飛行訓練の中止の意思表明を行ったのでございますが、再びこのような事故が発生したことについてはまことに遺憾でございます。
 事故の補償については、窓口である大阪防衛施設局から誠意を持って対処する旨の回答を得てございます。
 また、今回の事故に対する県内地域での訓練飛行中止についてでございます。
 事故再発防止策がとられるまでの間、同地域での飛行訓練を中止する回答を得ておりまして、この地域に本県も含まれております。さらに、十一月から十二月にかけての飛行についてご指摘がございましたが、私どもも防衛施設局に照会をするなどいたしましたところ、十二月五日については、厚木から韓国に飛行途中のインディペンデンス偵察機プラウラーが十津川村上空を低空飛行したとのことでございます。外務省の申し入れに対し、米軍も、飛行士の不注意によるものであり、厳重注意を行い、再度、四軍に対して文書をもって徹底するということでございます。遺憾の意を表しております。
 県からの再々の申し入れにもかかわらず、この事態でございまして、残念なことでございます。県といたしましては、こうした低空飛行が県民に損害と不安を与えることのないよう、機会をとらえてその中止を申し入れてまいりたいと考えてございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) お答えいたします。
 学校週五日制については、五日間の平日の学校教育の指導をいかに充実させるかという観点に立った教育のあり方としてとらえてございます。
 議員ご指摘の、学校週五日制に伴う平日のゆとりと学習負担の点については、教育水準を維持していくことと、学習負担が過重にならないようにすることが課題であると受けとめてございます。こうしたことから、教育課程の編成を工夫し、学校行事の見直しを図ったり、教育内容の精選や指導方法の改善、充実に努めることが肝要であると考えてございます。これらのさまざまな課題について、現在、教育委員会内に学校週五日制検討委員会を設置し、子供の立場に立った新しい学校教育のあり方を鋭意研究しているところであります。
 次に、学校開放に伴う学校図書館の利用については、教員の勤務や司書教諭の配置等の問題がございます。しかし、司書教諭については、学校図書館法に特例の定めがあり、また定数標準法での算定が規定されていないことなどから、現在、配置することは困難な状況でございます。このため、国に対しては定数標準法の第六次改善の中で措置されるよう要望を続けているところでございます。当面、土曜日の休業日については、教員が子供にどのようにかかわっていくのか、校内研修等を通して共通理解を深めるように指導してまいりたいと考えてございます。
 また、広く保護者や県民の声を聞く機会については、現在、庁内に設置している検討委員会等での審議を踏まえ、研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 教育長から答弁をいただいた点については、教育委員会内で今検討中であるという状況でございますので、私もこれ以上の質問を差し控えさせていただきます。お願いしたことについては、ぜひとも検討課題に加えていただいて前向きな展開が図られるように希望をしておきたいと思います。
 それから、米軍のワイヤ切断事故の問題についてです。
 くれぐれも十分の補償が被害者に行われるように、県当局としても必要な努力を続けていただきたいと思うわけです。
 この点についてぜひ考えていただきたいことは、米軍の方では飛行に不注意があったということだけしか考えていないわけです。飛行を中止するということは全然言っていない。日本政府自身も、飛行を中止せよということは言っていないわけですね。しかし、飛行を中止しない限り、この危険はずっと続くわけです。奈良県で起こった事故が今度は和歌山でと、最近の飛行の航路を見てもこのような可能性は十分考えられるわけであります。
 そういう点で、単に要望をする、お願いをするということだけではこの問題は解決がつきません。根本的には日米軍事同盟や地位協定などがあるわけですが、そういうものを破棄するというところまで迫らなければこの問題は解決できないと思うのです。たとえ和歌山で解決したとしても、またどこかの県へ行くかもわからないわけです。日本のどこかでそういう問題が起こってくるということになればお互いの不幸であります。しかも、このような低空飛行は自衛隊もできないわけですね。アメリカ軍だけが勝手にやれるんです。まさに、それは無法状態です。そういうことを許さない。これは日本の独立にかかわる問題だと思うんですが、こういう問題を地方自治体の首長としても敏感に対応されるよう要望をしておきたいと思うわけであります。
 次に、PKOの問題についてです。
 ご答弁をいただきましたけれども、私は、明らかに憲法に違反する問題についてはもっと毅然たる態度をとって臨むべきではないかと思います。
 実はこのPKO法案は、政府の話によりますと、ごく簡単な行動をするだけというような話になっておりますけれども、自民党の正式の機関で宮沢総理が答申の実行を約束している国際社会における日本の役割に関する特別調査会、通称小沢調査会と言うわけですが、この中には国連平和維持活動への参加の実績を踏まえて、国連の権威のもとでの多国籍軍や国連軍に対し積極的な協力、参加を検討するという次の段階の方向が示されているわけです。これは、憲法とのかかわりで見れば、もう論議の余地がないほど明らかに憲法違反なんですね。そういうところへ突き進もうとしている。そういうことの起こらないように、今の段階でこの法案のストップが図られるよう、知事としての立場を明確にされることを望んでおきたいと思います。
 国際貢献の問題については、私も当然必要なことだと思っています。しかし、国際貢献イコール自衛隊の派遣、こういう短絡的なことでは本当の国際貢献と言えるのかどうか。自衛隊の参加を望んでいるのが果たして国際的な世論なのかどうか。私は、そうは思いません。
 国際貢献の問題について、元防衛事務次官の西広整輝氏が十一月二十一日のテレビのニュースステーションで、「今、憲法下で考えますと、日本の場合は軍事力以外でどこまで貢献できるかということを考えるのが大切だ」、と述べています。世界では、あすの食糧に事欠いて、飢えて死ななければならない方々が一千万人を超える単位でおられるわけであります。あるいは、医療機器、薬品等の不足のために、亡くさなくてもいい命を亡くさなければならない多くの人々がいるわけです。そういう点に日本が国際貢献をしようと思えば、憲法の範囲内でまだまだ多くのことができるわけです。そのような方向が転換されるよう、知事としても政府に求めていただきたいと思うわけであります。
 最後に、要らない発言についてもう一度申し上げます。
 知事は、今答弁の中で、余りよくわからなかったわけですけれども、何だか共産党一般を否定したんではないというようなことを言われたんですが、それにつけても、最後に「県政に共産党は要らない」という言葉が出てくるわけです。これは、大変大きな問題だと思うんですよ。もし、これが総理大臣で、国会に籍を持つ政党に対して、「この政党は要らないんだ」というようなことを言ったらどうなりますか。それが政策化され行政化されてごらんなさい。それこそ、知事がしばしば例に出すソ連のようになってしまうんですよ。明治憲法の時代に戻ってしまうんです。そういう危険がある発言なんです。一介の市井の人ではないんです。あなたは、首長として発言されたんです。あのときは、まだ候補者ではなかったんですよ。選挙が始まっていなかったんです。知事として言われているんです。そういうような段階で、そういう内容を持っている発言を軽々しく行うということは、まことにもって遺憾としか申し上げようがないわけです。少数の意見に耳を傾けていただく、少数者の声に耳を傾ける、そういうことがあってこそ政治は誤りなきをもって進むことができると思うんです。
 そのような発言、あるいは発言にあるような思想を持っておられるのかどうかわかりませんけれども、そういう態度で今後県政を運営されるとすれば、まことに残念な結果を呼びかねません。どうかひとつ民主主義の根幹を十分お踏まえになって、県民の声をよく聞いて、声なき声も聞けるような、そういう大きな耳を持って県政の運営に当たられることを強く希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。答弁は不要であります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十分休憩
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