平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成三年十二月十二日(木曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百四十二号から議案第百五十一号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十二号から議案第百五十一号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(二人)
 16 番 西 本 長 浩
 47 番 山 崎 幹 雄
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 若 林 弘 澄
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   玉 置 英 夫
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 倉 本 辰 美
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第百四十二号から議案第百五十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 まず、この議政壇上から、仮谷知事五選のご当選を改めてお喜び申し上げます。
 知事は、今議会冒頭に就任のあいさつを次のように述べられました。「この選挙を通じ、県内各地をめぐり、県民が今何を求めているか、今和歌山県がどういう状況にあるのかを私なりに肌で感じ取ってまいりました。(中略)いま一度初心に立ち返り、本県のさらなる発展のビジョンを切り開いていくことが私に課せられた責務であり、多様化する県民ニーズにこたえ、先見性を持って県政を展開してまいらなければならないということを改めて感じた次第でございます。 これからの四年間、五期県政では(中略)全県土において個性ある地域の発展を図ってまいる決意でございます。(中略)決断と実行の県政を全力で推進することが私の使命であると存ずる次第であります」と、力強く開陳されました。さすが五選知事仮谷志良と感じ入り、感激いたしたものでございます。
 私も、今春四月、無投票当選で四選の栄誉を賜りました。選挙に向かって郡内各町村をめぐって多くの人々と交わりながら、ご意見、ご要望、さらにはご忠告までいただく中で、私は「一次産業の振興」を公約の第一に取り上げ、「足腰を強くして、一次産業をせめて一・五次産業と言えるように努力します」と訴えてまいりました。この公約実現に向かって、私も頑張りたいと思います。
 質問に入る前に少しお願いしておきますが、今までの答弁を見ていますと、「検討する」「努力する」の答弁用語がよく使われておりますけれども、役人用語で「検討する」は「実現は無理」、「努力する」は「一応やってみるが保証の限りではない」、「積極的に推進する」「所要の措置をとる」という言葉は争点回避用の官製用語であって、具体的にどうするとか、いつごろまでに検討するとか、明確な答弁をいただけるようにお願いしておきます。
 知事は、五選達成後の談話に「二十年一区切りの成人になった」ということを話されております。私も、議員になって仕事始めは正月三日から行います。それは山村の成人式に出席するためでありますが、成人式終了後、成人の皆さんと村長以下出席者、さらに私もその中に入って懇談会を催すのが通例となっております。司会者が一人一人に、成人になっての抱負と村に望むこと等を聞くわけでございます。それぞれ、進学や就職について若々しい意見が聞かれます。
 そこで、政治歴二十年の成人された知事にお伺いいたします。
 今選挙を通じて県下各地を駆けめぐり、選挙戦の中で何を感じられたか、まずお伺いいたします。
 「北高南低」とか「南北格差」という言葉が聞かれますが、特に人口減により過疎と高齢化が進み、地域のシンボルであった学校等も閉校から廃校へと進み、さらにその自治体を預かる行政職、議員等の定数の減員を繰り返し、まさに沈没の状態であるとも言えましょう。日本の古きよき伝統と文化を守り、伝えてきたのは農山漁村であります。このままでは崩壊につながるのではないかと危惧するものでございます。このような状態の県域を眺め、今後いかなる取り組みをなさるか、お伺いするものであります。
 今回の選挙のさなかに県民の世論調査が報道されましたが、その中で道路整備が約三三%、福祉が二七%で、特に紀南地方の数字が高いことをあらわしてございます。公約の重点項目とされた高速道路整備も、すさみ町まで計画に組み入れられたことは県民の一人として喜ぶものでありますが、紀南の残された串本から勝浦までは何年先になるやら、五里霧中であります。
 いま一つ、高速道路の南伸、すなわち田辺─すさみ、さらに以南の建設をスムーズに促進するためには、用地関係が難関であることは承知いたしてございますが、特に公図混乱地域の把握とその解消が不可欠であると言われてございます。県としていかなる取り組みをなされるのか、関係部長にお伺いをいたします。
 農業問題について。
 日本の農政は、「猫の目行政」または「ノー政」だと言われております。昭和三十年代までは米第一位の農業形態でありましたが、社会構造の変化と消費者の嗜好から果樹農業へと変転し、高度経済成長時代にはミカン王国と言われるほどかんきつ作農業がふえて、昭和六十年代には農業に大変革が起こり、豊葦原の瑞穂の国と言われた農耕民族の日本で、米をつくるな、減反せよと強制的に割り当てられ、さらに追い打ちをかけた農産物、オレンジ、果汁輸入自由化の決定により、全国生産県に減反割り当てをして三カ年計画で実施されたのはご承知のとおりであります。
 以上が昭和から平成への農業の変遷の概略でありますけれども、耕地の少ない和歌山県の農家に与えた打撃は大なるものであったと思います。さらにまた、関税貿易一般協定によるウルグアイ・ラウンド交渉で米市場開放の最後通告を受け、年度内解決に向けて剣が峰に立たされている現状であります。
 私は、ある会合で一人の青年から尋ねられて返答に窮したのでありますが、それは次の事柄でございます。「僕は農業が好きで、農業高校を卒業して、果樹(梅)と施設栽培(花卉)の複合経営をしている専業農家であるが、今の農業施策を見ていると先行きが不安でならない。自分の子供を農業後継者に育てる自信がない。新しい農業の方途を考えてほしい」、まさに現在の農業者の不安感を言いあらわしている言葉であります。大変難しい問題でありますが、ご答弁をお願いいたします。
 次に、提言を交えてでありますが、「圃場整備で楽農を」──「楽しい」と書く「楽農」でございます。
 米作減反と農産物自由化の打撃で樹園地の減らした分を、ハウス栽培に転作したり樹木の品種改植と、いろいろとできる人はよいのでありますが、中山間地域の山田や谷間の小さい田で温州ミカンやハッサク柑をつくっていた地域では、これといって収益のある転作物が見当たらず、シシトウを細々とつくっているような現状でございます。
 現在、国においては耕地整理、耕地開発、圃場整備等の事業があり、山村振興法、半島振興法等による中山間地域に対しての事業もあるにはあるが、この恩典を受けようにも、余りにも辺地であったり規模が小さかったりで対象事業に組み入れられない圃場の整備が必要であると思います。夫婦二人で管理栽培できる面積は大体十アールから二十アール、これで二毛作を上手にやれば八百万から一千万の年収があると言われてございます。この十アールから二十アールの田型を整備し、水利、作業道等の事業資金を融資で賄う制度の創設を提言するものであります。仮称「楽農資金」としてございます。また、ごく最近、砂耕栽培法が開発されました。これは無農薬、有機栽培、連作可能という施設農業でありますが、十分検討に値するものと思います。県当局のご一考をお願いするものであります。
 米はつくるな、ミカンの木は切れ、施設農業をしたくとも適地がない、シイタケをつくってもほだ木は高く猿害ばかり、これで若い者に村にいて農業をしろと言うことは無理だ、これが偽りのない現地の声であります。農林水産部長の答弁を求めます。
 次に、林業について。
 「紀州木の国」と言われた和歌山県も、木材の不況から林業も不振となり、働き手が続々と出ていき、過疎化が進み、地域社会が崩壊しつつある現状が各地で見られます。和歌山県土の約七七%が森林であり、面積にして三十六万三千五百ヘクタール、人工林蓄積全国第三位という豊かな森林資源を有しているのでありますが、山は荒れほうだいであります。この資源を活用して林業の振興を図り、過疎に苦悩している山村の対策を立てることが、今県政に課せられた重要課題であると思います。
 林業というものは息の長い仕事でございまして、植林から伐採まで五十年、良質材では七十年から八十年と、親子三代にわたる事業と言われてございます。昭和二十年ごろから三十年ごろにかけての造林ブームのころに植えた木が、ぼつぼつ伐採期を迎える時期となります。今、盛況を誇っている南洋材や米材も自然破壊や環境保護の国際的批判の強まりで規制され、国産材が見直され、脚光を浴びる時期が近づいてきていると言われております。紀州林業復興のチャンス到来と思います。
 ここで、私が山間部を歩いていろいろ聞いてまいりましたことを、提言を兼ねて申し上げます。
 まず、林業振興対策であります。
 林業就労改善促進対策事業の実施と本県への採択は、困窮をきわめている林業界にあって、労働力の減少、高齢化はその域を超え、深刻な事態を招いており、五、六年先には自然淘汰せざるを得ないところまで来ております。これらの現状に迅速かつ積極的に対応しなければ、県下の人工林率六一%の管理と年間成長量百五十万立方が粗放林として経済効果の上がらない山になってしまうおそれが大であります。ひいては、「紀州木の国」の名が廃れると懸念するものであります。国レベルの労働力確保対策もさることながら、県単独の諸施策を講じる必要があると思います。
 次に、森林組合合併促進対策事業の実施と採択であります。
 地域林業の主要な担い手である森林組合の充実強化により地域林業の活性化を図る目的で、県当局として、流域ごとの大型合併計画指導に乗り出し、健全化を目指すとともに、国レベルの合併助成法に基づく合併及び事業経営計画の提出期限の延長、合併促進特別対策事業の実施と採択を国へ強く働きかけることが必要だと思います。
 次に、林業用作業道開設に伴う特別措置の実施であります。
 労働者の激減と高齢化は今後なお一層深刻になってくる中で、効率よい作業を目指す、すなわち現場までの安全確保プラス下刈り、枝打ち、間伐、主伐、出材といった作業が能率よくできるよう、作業道、林道の地域に応じた作設が急務とされる中、当局にこれらの実現に向け、特別措置を切望するものであります。今まで進めている林道、作業道の開設に当たっては、和歌山県として、道路網の整備がおくれている汚名を返上する意味においても、実情、要望等を再度調査検討する必要があると思うのであります。
 次に、森林交付税創設の提言であります。
 本宮町長中山喜弘氏が去る九月議会で森林交付税創設を提言し、町議会が意見書を採択して、さらに十一月、隣接町村の熊野川町、北山村、三重県紀和町、奈良県十津川村の五町村で熊野川流域町村長議会を開き、森林交付税創設要望書を決議していることは、ご承知であろうと思います。
 私は、六年前に農林委員会に在籍したとき、水源税創設に積極的に取り組みました。大蔵省や電力会社、下流都市の猛反対で創設は成りませんでしたけれども、当時、提案者である林野庁の公益的機能評価──ここをよく見てほしいんですが──によりますと、水資源の涵養、土砂流出防止、酸素の供給、大気浄化、保健休養等、合わせて年間三十一兆五千九百億円と計算いたしてございます。中でも、酸素の供給、大気浄化に十五兆四千七百億円と計算されてございます。今、世界的な規模で大気汚染、地球温暖化防止、環境保護運動が展開されていますが、人類を初め動植物生存に欠くべからざることであります。
 前熊本県知事の細川護煕氏と出雲市長の岩国哲人氏の二人で「鄙の論理」というタイトルで本を出版されております。その中で細川知事は、「今、日本に求められているのは、中央からの発想ではなく地方からの発想です」と書いてございます。政府は来年度予算編成に当たって、財源不足を理由に交付税にしわ寄せをしようとしているようでありますが、こんなときにこそ、過疎と人口減に苦しむ地方の実情を中央に訴えるべきだと思います。
 知事は、この提言を受けて、関係する市町村や有識者と協議検討するなり関係府県と連携を図るなどして、政府に対し強く働きかけるべきであると思います。
 けさの七時のニュースによりますと、政府も環境と自然を守るために環境税という形の税制の新設を検討するという報道もされてございますが、知事のご見解をお伺いいたします。
 次に、漁業についてであります。
 最近における漁業の現状を見ると、大変厳しいものがございます。和歌山県においても、漁獲量の減少、漁業就業者の高齢化等による漁村活力の低下が大変深刻な問題となっております。
 特に、漁業就業者について見ると、平成元年度の県下の漁業就業者数は昭和五十年に比べて一二%減少しており、特に十五歳から三十九歳までの若年齢層は四五%も減少し、ほぼ半減している。その一方で、六十歳以上の高齢者が三九%増加してございます。
 このように、漁業就業者の振興という面から考えると、生産量、生産額を高めることも肝要かと思われますが、漁村の活性化、地域の振興という面では、若者に働きがいのある漁村づくりが必要であろうかと思います。現地の漁業者の話を聞いてみましても、漁業はいわゆる三Kの代表的な仕事で、自分の子供は漁業者にしたくないという意見が圧倒的に多いのが現状であります。
 県におかれては、魚礁の設置、近代化施設の整備、栽培漁業の推進等、積極的に漁業の振興に取り組んでいただいておりますけれども、若い後継者を定着させ、漁村の活性化を図るためには、もうける漁業、魅力ある漁業づくりに早急に取り組む必要があろうかと考えます。特に、出漁できないときにかわってできる栽培漁場施設を単協に一つずつ設置するぐらいの積極性が欲しいものであります。
 次に、流通の問題でございます。
 最近のグルメブームはご存じのとおりで、テレビでは毎日のように魚を素材にした料理番組が放映されておりますけれども、現実は魚を食べる人が少なくなっております。理由は食生活の変化等いろいろありますが、魚価が高いということが大きな理由の一つであります。これは、流通体制に問題があろうかと考えます。
 現在の流通体制を見ると、漁協の産地市場で小規模に入札を行っているのが現状であります。したがって、いわゆる大漁貧乏と言われるように、大漁になるほど魚価は安くなるという現象が見られるのであります。
 漁業者が安定した魚価を維持するための方策として、水揚げ港を一カ所に決め、仲買人による共同入札制度を行うなど、新しい売り方を取り入れるべきではないでしょうか。また、生け魚を一括買い入れし、水槽輸送して、生け魚取扱業者と直取引をすることにより高収入につなげるのも一策でありましょう。もう一点、大量の場合、漁協の水槽にストックして計画出荷することも一策でありましょう。
 次に、海域の高度利用についてであります。
 海を単に生産の場とするだけでなく、漁業者がもっと多目的に海を利用する方法を考えるべきであると思います。例えば、近年の余暇の増大、所得の向上等による都市住民の親水志向は、まさにブームであります。そこで漁業者は、その経験を生かし、海水浴、潮干狩り、ダイビングスポット等の経営、遊漁案内等に積極的に取り組んでいく必要があろうかと考えるのであります。すなわち、漁業に付加価値をつけて、もうかる漁業を経営するわけであります。
 最後に、近年、資源は年々減少傾向にあります。県では、資源対策として毎年、種苗放流を実施していただいており、高く評価するところでありますけれども、この漁業問題について農林水産部長の答弁を求めます。
 続いて、ノーベル平和賞受賞者のスー・チーさんに自由をということで申し上げます。
 ことし一九九一年のノーベル平和賞がミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー女史に決定されましたが、私は常々、スー・チーさんに関心を持っておりました。それは、イギリスのサッチャー首相、インドのガンジー首相、フィリピンのアキノ大統領と並んで世界的な女性指導者として、軍事政権社会主義国であり、戦中、戦後を通じ、我が国と極めて緊密な旧ビルマすなわち新制ミャンマー国で、民主化と人権向上を目指す運動のリーダーとして活躍していたからであります。日本映画の名作として我々にも感銘を与えた「ビルマの竪琴」の水島上等兵を思い出すにつけて、旧ビルマ、新制ミャンマーに対する思慕の念が募るものであります。
 もう一点は、一九九○年ごろから東欧に吹き荒れた革命のあらしが世界の二極対立から協調へ、アラブ諸国の対立から対話へと国連中心の平和外交が進む中で、かつては植民地政策のるつぼの地であり動乱の激しかったインドシナ半島にも、ベトナム戦争の終結、カンボジアの和平達成と、平和に向かって歩み始めている中で、ミャンマー国のソウ・マウン軍事政権がいかに対応するかでありました。
 また、第二次大戦でミャンマーに多大な被害を与え、今、経済援助国として大きな影響力を持つ日本政府がいかなる対応をするかも、大いに関心がありました。世界第二の大国だと自負する日本のアジア外交の現状を見るとき、腹立たしさと憤りを感じるのは私一人でないと思います。
 スー・チー女史が一九八九年七月、自宅軟禁されて以来、約二年五カ月がたちました。このときに、和歌山県民であるイーデス・ハンソンさんが「スー・チー女史を救え」の街頭署名運動を始めたことを知ったのであります。ハンソンさんは、現在、アムネスティ・インターナショナル日本支部長であります。「アムネスティ」の意味は、一九四八年十二月十日に第三回国連総会で全会一致をもって成立した世界人権宣言の趣旨に基づき、人権擁護を目的とする国際民間団体であります。
 時あたかも、人権週間であります。今、日本政府は、人的貢献をするというPKO法案でもめております。経済面で国際社会に貢献することも必要なことでありましょうけれども、より以上に心のつながりを必要と考えるものであります。
 私は、この壇上から県民に訴え、議員同僚の皆さんの賛同を得て、決議をもって日本政府に救援を働きかけていきたいと思っております。平和を追求し、自由と人権を守る日本人の声が和歌山県から起こることを願うものであります。賢明なる知事のご見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下秀男議員にお答え申し上げます。
 五期県政を迎えての知事の抱負でございます。
 木下議員には、四期当選されての決意表明もいただいたわけでございまして、それをお聞きしながら、私も五期になっていろいろ感ずることがあるわけでございます。
 冒頭、私の所信を述べさせていただいたのでございますけれども、県下各地を駆けめぐって感じたことは、和歌山県は大きく移り変わりつつあるということです。今、数々のプロジェクトが進行しつつあります。特に、関西国際空港を中心にしての紀の川一帯の大きな移り変わり、白浜空港のジェット化、高速道路の南伸、また、我々が唱えているリゾートが各地において検討されている等、いろいろな問題に触れたわけでございます。これをいかにすべきかということとともに、また、口では高年齢者社会と申しますけれども、各地へ参って高年齢者の数が多いということが実感されました。これに対する積極的な対策を講じてまいりたい。
 また、皆さん方の発案により、半島振興法ができました。この実施に努めており、山村対策、過疎対策を積極的に進めておるわけでございますけれども、若い人たちが残らないという現状を見たときに、これをいかになすべきかという問題がございます。人口が減るということが、やはり政治を行う者にとって一番の問題点でございます。そうした面において、市町村長さんに大変ご努力をいただいて対策を進めていただいておりますが、そうした環境の中にあるということ、これをいかにしていくべきかということで、私も痛切な感じを持っているところでございます。
 交通対策については、積極的に進めてきております。各地域に道路網が整備されつつあります。しかしながら、ご存じのように、和歌山県は南北に長い地域でございます。そのために、高速道路について皆さん方に大変ご努力をいただき、国幹審においてすさみ町まで決定していただきました。これらをなお積極的に推進することにより、話ございました南低北高の問題等も解決するわけでございます。
 私も、きのう同和の会議へ参りました折、建設大臣、建設省の道路局長等に、この高速道路の延伸についてお礼を申してまいりました。道路局長は、「高速道路をなお一層積極的にやりたいんだ。従来、十年ぐらいかかっていたのをもっと短くやりたいんだ。そうしないと未開発の地域がおくれてくる。それを早くやらないと都会の方へ金を回されてしまう。そうならないためには、整備計画ができて施行命令が出るまでの間に用地を買収するという形を考えていかなければならないんではないか。そうした金の問題等についても考えます」ということを申しておりました。そのように、国においても高速道路を僻地というか半島地域に延ばしていただく、このことを私もなお一層積極的に進めていかなければならないと思っております。
 また、話ございました第一次産業を積極的に進めて、観光といかに結びつけていくかということ、そしてまた福祉と豊かさについても、日本人は恵まれていて世界的に見て生活は豊かだと言われているけれども我々はその実感がない、真の豊かさとはいかなるものかということを、福祉と生活環境をにらみ合わせつつ考えてまいりたいと思っております。
 そして、ご提言のございました第一次産業の振興については、私も同感でございます。和歌山県の農業は、地帯別に見たならば、花にしろ、野菜にしろ、梅にしろ、柿にしろ、桃にしろ、まだ非常に強いと思うんです。そうした地帯別の構想をもって積極的に農業を進めてまいりたいと思っております。
 次に、林業振興対策でございます。
 お話ございましたように、地球規模での環境問題が論議され、今日、森林資源の重要性がますます高まっております。県としても、森林、緑を守り、林業、山村の活性化を図るために、市町村ともども諸施策を積極的に推進しているところでございます。しかしながら、お話ございましたように、市町村の財源確保は極めて厳しい。そうした面から、本宮町長から提案のあった森林交付税の創設については、私も新しい財源を得る一つの方策だと考えております。
 しかし私は、今度の選挙を通じて特に感じましたのは、和歌山県の農業はある程度強い、しかし森林対策をいかにするかということが一番大事なことではないかということでございまして、和歌山県の森林をだれが守るんだ、林業従事者の問題をいかにするかということが一番肝心なことではないかと思っております。
 そしてまた、都会の人が、口では森林保護、自然保護と言いながら、森林について割合に知らない。森林の持つリサイクルというものを知らない。私も過日、林野庁の長官や国土庁の局長に、森林についてのシンポジウムをもっとやって森林の認識を得なければならないということを申し上げたんです。例えば、割りばしの問題一つについても、森林を守れということだけで言っておる。山林の実態、山村はどんなになっているかということをもう少し一般国民にも知ってもらわなければならないと思います。
 地方からの発想は当然でございまして、和歌山県議会の発想が半島振興法を生み出したわけでございます。そうした意味において、私もこれについては十分な関心を持ちつつ、森林振興のためにいかなる対策をするかということを、皆さんともども積極的に考えてまいりたいと思っております。
 それから、スー・チーさんの人権についてでございます。
 我が国もミャンマー連邦とは深いつながりがございますし、またスー・チー女史もかつて日本に留学されたことがございます。ミャンマー連邦の現在の状況についてお話ございましたけれども、私も心配をしながら見守ってきているところでございまして、人権のとうとさは何物にもかえがたいものであると考えております。
 今回、スー・チー女史がノーベル平和賞を受賞されたことは、国際社会のミャンマー民主化への強い期待のあらわれであり、大きな意味を持つものと私も感じておるところでございます。今後とも、こうした観点に立って、その状況を見守りながら対応してまいりたいと思っております。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 公共用地取得に関連しての公図の問題についてお答えを申し上げます。
 公図の訂正のためには、不動産登記法による地図訂正と国土調査法による地籍調査がございます。地籍調査事業は、市町村が実施している事業でございますが、土地行政に必要な基礎的資料の整備、公共事業の円滑化や土地に関する権利の明確化を図るため、本県では積極的に対応しているもので、現在、近畿では最も多い十五の市町で実施しております。さらに、平成四年度には三つの市町村が新たに着手の予定でございます。今後とも、公共事業を推進するためにも未着手市町村に対して重点的に啓発指導するとともに、関係部局と連携を深めながら、指導体制を強化しつつ一層推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) ただいまと同じ問題について、土木部長から答弁を申し上げます。
 高速道路等の公共事業においては用地の確保いかんが事業の進捗を大きく左右することは、ご存じのとおりでございます。用地買収に当たっても、例えば、現在進めている湯浅御坊道路の一部において公図混乱のために支障が出ていることも事実でございますので、今後、高速道路の南伸を円滑に進めるためにも、この問題も含め、一層緊密に関係機関、関係方面と協議しながら用地の円滑な取得に努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 農業振興対策についてでございます。
 今、農業は、国際化や消費者ニーズへの対応、担い手の減少など、大きな課題を抱えてございます。こうした中で本県農業は、ミカン四百年の歴史に見られるように、温暖な気候、都市近郊など恵まれた立地条件を生かして、味一ミカンや高級切り花を初めとする特産品づくり等により、県内各地に数多くの活力ある産地が育成されてきてございます。
 県といたしましては、こうした産地を大切にしながら、農産物需給の長期見通しを踏まえ、適地適作を基本に、施設園芸の振興や高品質果実、花卉、野菜づくりによる高収益農業の実現こそ若者が安心して取り組める農業であると考えてございまして、今後とも一層積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、小規模な圃場整備の促進についてでございます。
 議員お話のありました中山間地域の活性化のための圃場整備等については、大変重要なことであると考えてございます。このため、補助事業の採択基準に満たないところでは、制度資金を活用して小規模圃場整備も進められてございますが、議員お話しの趣旨を十分踏まえて、今後とも低利な資金を活用しながら基盤整備を進めるとともに、技術、営農指導に努め、中山間地域農業の経営改善を促進してまいりたいと存じます。
 次に、農業振興対策の中での砂耕栽培への取り組みについてでございます。
 砂耕栽培や水耕栽培などを中心とする養液栽培については、労働力の軽減や連作障害の回避、周年生産への取り組みなど、農家経営の安定確保の面から、砂耕栽培ではごく最近、有田地域で三戸の農家が取り組んでおられ、その他の養液栽培と合わせ、県内ではトマト、ミツバ、バラなど十五・五ヘクタールの栽培面積となってございます。今後とも、対象品目の拡大や新作型の開発など、技術開発を積極的に推進するとともに、土地基盤の整備と連動した栽培施設の設置など、養液栽培の一層の振興に取り組んでまいります。
 次に、林業振興対策の中で、まず林業就労改善促進対策についてでございます。
 議員ご指摘の林業労働力の減少、高齢化の進展などの問題については、お話にありましたように、深刻に受けとめているところでございます。県といたしましても、労働力の確保対策や就労条件の改善、就労環境の整備等の施策を積極的に導入し、実施しているところでございます。また、県単独事業として、新規参入者の賃金補助制度や森林組合中核作業班に対し、社会保障制度の掛金助成や共済、退職金掛金の補助などを推進しているところでございます。今後とも、ご提言の趣旨を踏まえ、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、森林組合合併促進事業についてでございます。
 本県においても、過去、森林組合の合併が行われ、その成果を上げているところでございますが、これからの新たな施策展開を図る上にも、主要な担い手として広域組合へと一層体質強化を図ることは重要なことと考えてございます。このため、税制特例措置が講じられる森林組合合併促進対策事業の採択と実施を、さらに国へ強く要望してまいります。
 次に、林業用作業道開設の問題でございます。
 本県では、急峻な山岳地帯を広域的に結ぶ基幹林道やこれに接続する支線林道など、林道の体系的整備に鋭意取り組んでいるところであり、森林資源が充実期を迎える二十一世紀の初頭を間近に控え、とりわけこうした林道に接続するきめ細かい作業道をできるだけ早く整備していくことが急務となってございます。
 作業道の整備については、現在、国庫補助事業を計画的に導入して実施しているところであり、また国庫補助の対象とならない作業道の開設については、特別措置として県単独の小規模林道開設事業を実施しているところでございます。この事業は、測量、設計費の節減を図る観点から、工事の出来高確認でもって補助金交付をする仕組みとなってございまして、年々地元の要望がふえつつございます。今後、作業道を含めた林内路網の早期整備を図るとともに、市町村に対しても作業道開設への体制強化を一層強く指導してまいる所存でございます。
 最後に、漁業の振興策についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、養殖漁業の振興、流通改善、経営基盤の改善は、まことに重要な課題でございます。
 まず養殖業についてでありますが、ご承知のとおり、海面漁業は気象条件に左右されやすいことから、陸上養殖を導入するなど複合的な漁業経営を推進し、所得の安定を図っているところでございます。今後とも、補助事業、融資事業などを積極的に活用することにより対処してまいりたいと存じます。
 次に、流通問題については非常に難しい面もございますが、現在、水揚げが小規模で分散している地域については、集荷の集中化等により魚価の安定が図れるよう指導するとともに、高収益が期待できる活魚出荷を促進するため、引き続き施設の整備を図ってまいりたいと存じます。
 また経営基盤の改善については、栽培漁業の推進等の振興策が基本であることは申すまでもございませんが、近年、都市住民の海洋性レクリエーションに対する志向が高まっておりますので、海域の高度利用を考慮しながら漁村の活性化を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番木下秀男君。
○木下秀男君 大変丁寧なご答弁、ありがとうございました。
 一昨日も、くしくもほとんど同じように南北格差、北高南低という意見で一致しましたが、議員として同じ見方であるということで、この後も多くの皆さんがその点をつかれるとも思いますけれども、知事が五期目に当たってここで表明されたことについて、積極的な推進をお願いするものでございます。
 橋本議員から、用地交渉について新たに担当部局をという話もございましたが、今、企画部長から答弁のあった公図についても、大変困難なことは承知しております。しかし、現時点で聞くところによりますと、県がお粗末を通り越したような人数しか配置していないようでございますので、この点もあわせて検討していただいて、用地取得を先行していくための人員配置について特別な配慮をお願い申し上げて、これは要望でございますので、私の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 ご指名をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 去る十月に行われました和歌山県知事選挙において、仮谷知事が発言されたこと、仮谷知事の支援・確認団体であった自由民主党の法定ビラにかかわって、二、三、知事の所見をお尋ねいたします。
 まず九月二十八日、県立体育館における知事の後援会主催の決起集会で、知事は「和歌山に共産党は要らない」と発言された旨、新聞報道がありました。一瞬まさかと思ったものですが、事実だったとのことです。
 現在私たちは、日本国憲法と法のもとで、それぞれの政党がそれぞれの主張を掲げ、政治はかくあるべしと、言論を通して争っています。それは、お互いが意見の相違は承知の上でその存在を認め合うという前提があるからこそ成り立っている制度であります。政権を担当する者がみずからの主張と行動を絶対化し、それに反対する少数意見者や少数政党を「そんな政党は要らない」と、存在そのものを否定するようなことがあっては、もはや議会制民主主義は成り立たなくなってしまいます。「和歌山に共産党は要らない」という発言は、まさにその危険を内包するものであります。もし、一国の宰相がそのような発言をすればどういうことになるか想像すれば、その危険さは明白でしょう。
 しかし、一地方自治体とはいえ、知事は首長であります。一介の市井の人ならともかく、一県の知事の発言としては決して見過ごすことのできない問題であります。日本共産党の私と村岡が、今この議場にいます。それを知事は、要らないと言われますか。県下には、日本共産党の地方議員が七十名余り、住民の支持を受けて活動いたしております。それをあなたは、要らないと言われますか。しかし、日本共産党を支持する数万の県民がいるのです。「和歌山に共産党は要らない」ということがどんなに非民主的なことか、おわかりになっているんでしょうか。
 また、別の角度から言えば、地方自治体とは発達した住民の組織であり、共同体でもあります。ならば、たとえそこにおいて多数決原理で政治が運営されようと、為政者は常に少数意見に耳を傾け、その真意を聞き取り、政治に誤りなきを期すのが本当の姿ではないでしょうか。だとすれば、この「和歌山に共産党は要らない」という発言は、民主的な地方政治に根本から反するものであると断ぜざるを得ません。五期目の県政を担当するに当たり、今、知事はこの発言をどのようにお考えになっておられるのか、まずお尋ねするものであります。
 続いて、仮谷候補を推薦して活動した自由民主党の法定第二号ビラについて、知事の所信をお伺いいたします。
 ここにも、「和歌山に共産党は要らない」の大きな文字が目に入りますが、この点は先ほどの質問と重複しますので触れませんが、お聞きしたいのは、「共産党が民衆をだましてきたのは、ソ連でも東欧でも日本でも和歌山県でも同じです」との文言であります。
 ソ連共産党や東欧の諸党が社会主義の理念から逸脱し、覇権主義、官僚主義、命令主義で国政を大きく誤ったことについては、少なくとも日本共産党にとっては三十数年前から明白でありました。それゆえにこそ我々は、彼らと妥協のない論戦を行い、彼らの路線が社会主義の名に値しない非民主的なものであり、社会主義の名を著しく汚すものであり、その露骨な覇権主義は社会主義の看板を掲げた帝国主義であり、世界の歴史を逆行させるものだと論難をしてきたところであります。ソ連、中国の共産党のいずれにもくみせず、徹底した民主主義こそ我々のきわめる道と主張した日本共産党を、ジャーナリズムは当時、ある種のやゆを込めて「自主孤立の党」とさえ称したほど彼らとは異質の党として我々は存在していたことは、少なくとも世界の共産主義運動に関心を持たれていた方は承知のことだろうと思います。
 私ごとにわたりますが、私は一九五八年に入党いたしました。既に三十三年間、日本共産党に籍を持つ者でありますが、その三十三年間は、間接的ではありますけれども、ソ連や中国の誤りを批判し、論争する三十三年間でもあったわけであります。我々は、ソ連の分家ではありません。我々は、日本と日本国民に直接責任を負う自主独立の党として歩んでまいったところであります。
 しかし、この法定ビラにおいては、日本共産党をソ連の党と同一のものとみなすだけでなく、「日本でも和歌山でも共産党は民衆をだましてきた」と記述しています。自由民主党の方々と私たち日本共産党は国政、県政にわたって政策的に見解を異にしていますが、お互いそれを承知して論戦しているのであります。その見解が異なるをもって県民をだましてきたとか、うそをついてきたとか言い始めると、それはもはや論争ではありません。一種のマヌーバーに近くなってきます。私たちは、このビラが出されたとき、即刻、発行者に対し「民衆をだましてきたという根拠はどこにあるのか」と質問書を送りましたが、回答はありませんでした。私も、日本共産党の一員としてこの議席におります。そして、今、この壇上に立っています。
 ついては、知事にお尋ねいたしますが、私をも含めて日本共産党が県民をだましてきたとお考えになっていますか。知事の書いたビラではありませんけれども、知事を推薦した確認団体のビラです。所感をお伺いするものでございます。
 続いて、同じビラに「共産党は、これまでさんざん県政の足を引っ張ってきた。共産党に足を引っ張られてきた」とありますが、知事もそのようにお考えですか。私たちは、県勢の発展のためにさまざまな意見を申し述べてはまいりましたが、私たちの意見を取り入れることによって県政が遅滞したというようなことがあったでしょうか、あればお示しをいただきたいと思います。
 我々は、県政に機会あるごとに提言、意見を申し上げてまいりました。例えば、我々は政府の同意のない以前から四十人学級を主張してきました。あるいは、国政が老人医療の無料制度を大きくカットしてきたとき、地方自治体で補完せよと主張してきました。さまざまな福祉施策を提言し、県政の中に生かされたことも多くあります。それらが県政の足を引っ張っていると言われるのでしょうか。何をもって県政の足を引っ張っておるのか。これも質問いたしましたが、お答えがありませんでした。知事もそのようにお考えですか。お答えをいただきたいと思います。
 さらに、このビラについて、あと一点だけお尋ねしておきます。
 「国民健康保険料を引き下げよ、老人医療費を無料にせよなどと共産党などは言っているが、そんな要求はむちゃというよりはでたらめだ。できもしないことを言って有権者をたぶらかしている」とあります。しかし、これらの要求は県民にとって実際に切実な問題であります。願いにこたえるためにどう努力するか、それが県民の方を向いた政治であります。願いをかなえるためにその努力をするのが政治の本来のあり方であります。それに対して、むちゃだ、でたらめだと言って努力を放棄するならば、県民の方を向いた政治ではなくなってしまいます。
 今、和歌山県政は、既に老人医療費の無料化のために一定の措置をとっています。六十七歳から六十九歳、県独自での努力が行われています。これは、むちゃで、でたらめな政策なのでしょうか。国保料の引き下げで、県下の幾つかの自治体が独自の政策によって住民の願いにこたえています。これはむちゃくちゃで、でたらめなんでしょうか。県が、まことに少額ではあっても市町村に一定の資金を出し、国保会計の安定のために住民負担軽減の措置をしています。これはでたらめで、むちゃな政策なのでしょうか。市町村では、国保料金が高過ぎるので何とか制度の改善をしてほしいという意見書を国に対して上げているところが少なくありません。私たちは、このような努力を一層強めていただきたい、努力すべきであると主張しているのです。提起している課題は、困難は伴っても不可能ではないと考えます。他の政策との関連での選択の問題であります。先日議論になった基金の問題なども、取り崩してはならないと基金を絶対のものとすれば話は進みませんが、そこに選択の余地を持てば、老人医療の無料化も国保料値下げへの道もこれから開いていくことができるものと考えます。県民の切なる願いを掲げた政策に対して、でたらめというようなことは決して県民の感覚ではないように思います。知事はこの点についてどのようにお考えになっておられますか、お尋ねをいたします。
 ビラの問題についてはまだまだ幾つかお尋ねしたいこともございますが、発行者が知事ではございませんので、基本的な問題だけを取り上げてお尋ねしておくことにしておきます。
 第二問に移ります。
 去る十月二十九日、紀伊半島の深部・奈良県十津川村において、米軍機ハリアーにより山林作業用ワイヤが切断されるという事故が起こりました。一九八七年に引き続く二度目の事故であります。
 当時の事故の際にも米軍は、日本の防衛施設庁長官を通じて、「米空軍は、調査結果が判明するまでは低空飛行訓練の計画はない。今後とも、事故発生区域においては訓練の計画はない」と関係者に約束したものでした。しかし、それから一年もたつかたたないうちに、また訓練飛行は再開されました。その頻度は、以前にも増して高いものになっていったようであります。八七年の事故以来、和歌山県域への飛来も同様であります。県当局は、その状況をどう掌握され、どのように対処されてきたか、またそれに対する米軍の対応はどのようであったのか、それをどう評価しているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 今回の事故の直接の被害者は、また和歌山県民であります。関係者にはまことにお気の毒としか言いようがありませんが、しかるべき被害補償は被害者の納得のいくように迅速に行われなくてはならないと思います。県当局としても米軍に対して補償要求で相応の努力をいたすべきだと考えますが、いかが対応されていますか、お尋ねをいたします。
 また、今回の事故後、米軍と関係者は「調査終了まで、事故再発の防止策が立つまでは訓練飛行はしない」と、一応の約束はしていました。和歌山県に対してもそのように約束がなされているでしょうか。しかし、いずれにしろ、米軍は再び何の前ぶれも通告もなく、その舌の根の乾かないうちにまた紀伊半島で訓練を始めたようであります。事故から一週間後の十一月五日を皮切りに、六日、二十九日、十二月五日と低空飛行が行われました。しかも今回は、訓練空域を和歌山へ移したのではないかと思われるような飛び方で、事実、「奈良新聞」はそのように報じている状況になってきています。このまま低空飛行訓練が続けば、県内でもいつ惨事が起こるかわかりません。山で働く人々は、このままの飛行を続けられれば就労できないと言っております。県下産業の大きな柱である林業は、ただでさえ労働力不足でその前途が危ぶまれていることは今も論議されたところでありますが、この低空飛行訓練はその危機に拍車をかけることになるでしょう。知事はこの事態にいかに対応されようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 単に飛行中止の要望やお願いでは問題が解決しないこともはっきりしています。「紀伊半島を米軍飛行訓練基地にするな」と毅然として抗議をし、米軍そして日本政府に強力に働きかけることが必要だと思われます。そして、根本的な原因となっている在日米軍基地の撤去と安保条約の廃棄こそが紀伊半島の安全のために必要であろうと思われます。知事の所見をお伺いいたします。
 続いて三番目として、現在、国会で議論されているPKO、PKF問題に関連して、知事が反対の意思表示をする意思がないか、その点についてお尋ねをいたします。
 PKO問題が国会に上程されて以来、さまざまな論議が行われてきましたが、内容が実質的に自衛隊海外派遣法でありますから、国会内外から反対の声が大きくなってまいりました。また、論議が進むにつれ、政府答弁が憲法との関係で矛盾を深めてきているのがわかります。論議は国政の場で行われておりますが、事は憲法にかかわり、平和にかかわる問題でもあり、憲法を守り、平和を願う立場から、知事の所信を伺うものであります。
 私は、この法案には三つの大きな問題が含まれていると思います。第一は、今申し述べた現行憲法との関係であります。憲法はもともと戦力を持つことを禁じているわけでありますが、昨秋の国会においても、内閣法制局が「武力行使をしてはならないという憲法九条のゆえに、国連平和維持軍に自衛隊の参加は困難」と答弁したところであります。また一九五四年の国会決議も、憲法の制約で自衛隊を海外に派遣してはならないことがうたわれているわけでありますが、PKO法案の違憲性は国会においても、政府機関においてさえ指摘されていたところであります。それを否定して提案されていたところに最大の問題があります。
 第二の問題としては、法案そのものに含まれているあいまいさ、矛盾であります。「武力行使はいけないが、武器使用ならいい」という政府答弁に、後藤田正晴元官房長官は、「指揮官がいて、組織体として武器を使用するのは戦闘行為であり、まさに主権発動の武力行使である」とコメントをしています。「銃火器による正当防衛などということも聞いたことがない」と法務省公安課長が衆議院特別委員会で答えていますが、ちょっとえぐれば矛盾だらけで、いま一度、後藤田氏の言葉をかりると「ガラス細工のようにもろい」、渡辺外相の言葉をかりると「苦肉の策」としか言いようのない、矛盾だらけの法案として浮き上がってきています。
 第三は、国連文書との矛盾であります。政府は国連文書の提出をかたくなに拒否しましたが、その食い違いも明らかになってきつつあり、国連筋からもクエスチョンマークがつけられている事態であります。
 私は、このような憲法違反の自衛隊海外派兵法については許されるべきではないと考えるものでありますが、同時に、地方自治体の首長として、平和を願う立場から、かかる法案には反対されるよう望むものであります。知事の所信をお示しいただきたいと思います。
 最後に、学校五日制の問題についてお伺いいたします。
 この件については既にお二方から質問があったところですので、できるだけ重複を避けてお尋ねをいたしたいと思いますが、論旨を運ぶ上で一部重なったとしたらお許しをいただきたいと思います。
 学校五日制については、私も基本的に賛成の立場にあるものです。子供の健やかな成長のためにも、学校五日制は積極的な意味があろうと思います。とりわけ、今、学校教育は細切れ知識の詰め込みなど多くの問題を抱え、落ちこぼれへの不安から塾通いが広がるなど、子供たちを一層忙しくし、ゆとりのない生活に追いやる状況にあります。そうしたもとで、地域において親子や近所で年齢の異なる子供同士が集団で遊び、学び合ったりする機会や経験も乏しくなっているのが現状であります。もっと自然に親しんだり、文化・スポーツ活動や勤労を含むさまざまな社会活動に参加して生活を豊かにすること、あるいは親子の触れ合いを深め、地域での体験を楽しむゆとりが求められています。親の休日を子供の休校日として積極的に活用しなければならないでしょう。そのために必要な条件整備がいろいろ論じられているわけですが、私も、思い切った学習内容の精選と削減ということから考えてみたいと思います。
 月一度の土曜休日であれば年間で三十数時間ですが、毎土曜日となれば百数十時間ということになり、学習時間の量としては相当なものとなります。学力を落とすことなくということを至上のものとすると相当の無理が生じてまいります。もちろん、知識の量と学力とは同じものではありませんから同一に論ずることはできませんが、学習内容を変えることなくとなれば子供たちの矛盾を激化させることになります。土曜日の授業をそのまま月曜から金曜へ移動することになれば、平日の授業時間の延長になったり、学習密度がいやが上にも高くなってしまいます。平日のゆとりの時間にそれを充てようという考え方もあるようですが、今でも既にゆとりの時間が売り切れとなっているところも多く、平日のゆとりと土曜日を交換しただけとなり、意味がなくなるばかりか、逆に子供の負担が大きくなってまいります。全体として落ちこぼしが多くなっている現状を加速しかねません。学習指導要領などの改定をも含め、思い切った授業内容の精選、削減などのカリキュラムの工夫も必要だろうと思われます。そのような点についてどのように考えられているか、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、一昨日も論議されましたが、土曜日の社会的環境整備にぜひつけ加えて考えていただきたい点として、私は学校図書館の開放やその前提としての学校図書館司書の設置などをぜひとも実現させていただきたいと思います。土曜の休校と司書のいる学校図書館は、子供たちの土曜日を豊かにする上で大きな役割を果たすだろうと思うからであります。
 また、今、教育委員会を中心に五日制についての協議機関が設けられているようですが、土曜休校については地域による要求の相違も大きかろうと思いますので、学校、父母、教師、場合によっては子供さえ含めて地域的に協議する機会をつくっていってはいかがでしょうか。教育長の所見をお伺いいたしまして、第一問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 選挙中の私の発言の問題でございます。
 私は、当時、知事候補者として自由民主党、社会党、公明党、民社党から推薦をいただいて立候補しておりました。対立候補は共産党の推薦する方でございました。私が勝つか共産党が勝つかです。だから、「和歌山県政に共産党は要らない」と言ったわけでございます。
 選挙は、お互いに戦いであります。そうした形で私は述べさせていただいたんでございますけれども、当時、ソ連邦において政変がございましてソ連共産党が崩壊し、ソ連共産党は要らないという風潮でございました。それが発想の原点でございます。
 それから、知事の確認団体である自民党の法定ビラについてでございますけれども、今度の選挙において自民党には確認団体として積極的に後援していただきました。おかげで当選させていただきました。ただ、法定ビラは政党に関することでございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、米軍機の飛行訓練についてでございます。
 このたびの奈良県の十津川村におけるワイヤロープの切断事故は、昭和六十二年に続いての二度目の事故であり、まことに遺憾でございます。今回の事故直後、外務省を通じて米軍に対し、低空飛行の中止と再発防止について適切な措置がとられるよう、私の名において強く申し入れを行ったところであります。
 米軍機の飛行訓練自体については、お尋ねにもございましたが、日米安全保障条約及び日米地位協定に基づき容認されているものでありますが、低空飛行については公共の安全維持の見地から中止を申し入れてまいりたいと存じております。
 なお、低空飛行の県の対応等については総務部長から答弁いたします。
 それから、PKO、PKFについての知事の所信でございます。
 国際社会の一員として、日本が世界の平和と繁栄に貢献していかなければならないと考えておるところでございます。議員ご質問の国連平和維持活動等については、日本が世界平和の維持に協力するという立場から、現在、国政の場において審議がなされているところであり、国民の理解が得られる国策として十分論議がされるよう願っているところでございます。
 ──発言漏れがございました。現在、鶴田さんや村岡さんに対してどう思っておるかということでございますけれども、県民の代表でございます。私も知事でございます。十分意見を承り、尊敬しております。○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 米軍機の飛行訓練について、補足してお答えをいたします。
 まず、低空飛行に対する県の事実関係の掌握と米軍の対応、それに対する評価ということでございます。
 前回の昭和六十二年の事故から今回の事故までの間、機会あるごとに外務省を通じて、米軍に対して知事名による文書、また口頭により米軍機であるかどうかの確認を求め、また低空飛行の中止の申し入れを行ってきたところでございます。米軍も、防衛施設庁を通じて問題区域における飛行訓練の中止の意思表明を行ったのでございますが、再びこのような事故が発生したことについてはまことに遺憾でございます。
 事故の補償については、窓口である大阪防衛施設局から誠意を持って対処する旨の回答を得てございます。
 また、今回の事故に対する県内地域での訓練飛行中止についてでございます。
 事故再発防止策がとられるまでの間、同地域での飛行訓練を中止する回答を得ておりまして、この地域に本県も含まれております。さらに、十一月から十二月にかけての飛行についてご指摘がございましたが、私どもも防衛施設局に照会をするなどいたしましたところ、十二月五日については、厚木から韓国に飛行途中のインディペンデンス偵察機プラウラーが十津川村上空を低空飛行したとのことでございます。外務省の申し入れに対し、米軍も、飛行士の不注意によるものであり、厳重注意を行い、再度、四軍に対して文書をもって徹底するということでございます。遺憾の意を表しております。
 県からの再々の申し入れにもかかわらず、この事態でございまして、残念なことでございます。県といたしましては、こうした低空飛行が県民に損害と不安を与えることのないよう、機会をとらえてその中止を申し入れてまいりたいと考えてございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) お答えいたします。
 学校週五日制については、五日間の平日の学校教育の指導をいかに充実させるかという観点に立った教育のあり方としてとらえてございます。
 議員ご指摘の、学校週五日制に伴う平日のゆとりと学習負担の点については、教育水準を維持していくことと、学習負担が過重にならないようにすることが課題であると受けとめてございます。こうしたことから、教育課程の編成を工夫し、学校行事の見直しを図ったり、教育内容の精選や指導方法の改善、充実に努めることが肝要であると考えてございます。これらのさまざまな課題について、現在、教育委員会内に学校週五日制検討委員会を設置し、子供の立場に立った新しい学校教育のあり方を鋭意研究しているところであります。
 次に、学校開放に伴う学校図書館の利用については、教員の勤務や司書教諭の配置等の問題がございます。しかし、司書教諭については、学校図書館法に特例の定めがあり、また定数標準法での算定が規定されていないことなどから、現在、配置することは困難な状況でございます。このため、国に対しては定数標準法の第六次改善の中で措置されるよう要望を続けているところでございます。当面、土曜日の休業日については、教員が子供にどのようにかかわっていくのか、校内研修等を通して共通理解を深めるように指導してまいりたいと考えてございます。
 また、広く保護者や県民の声を聞く機会については、現在、庁内に設置している検討委員会等での審議を踏まえ、研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 教育長から答弁をいただいた点については、教育委員会内で今検討中であるという状況でございますので、私もこれ以上の質問を差し控えさせていただきます。お願いしたことについては、ぜひとも検討課題に加えていただいて前向きな展開が図られるように希望をしておきたいと思います。
 それから、米軍のワイヤ切断事故の問題についてです。
 くれぐれも十分の補償が被害者に行われるように、県当局としても必要な努力を続けていただきたいと思うわけです。
 この点についてぜひ考えていただきたいことは、米軍の方では飛行に不注意があったということだけしか考えていないわけです。飛行を中止するということは全然言っていない。日本政府自身も、飛行を中止せよということは言っていないわけですね。しかし、飛行を中止しない限り、この危険はずっと続くわけです。奈良県で起こった事故が今度は和歌山でと、最近の飛行の航路を見てもこのような可能性は十分考えられるわけであります。
 そういう点で、単に要望をする、お願いをするということだけではこの問題は解決がつきません。根本的には日米軍事同盟や地位協定などがあるわけですが、そういうものを破棄するというところまで迫らなければこの問題は解決できないと思うのです。たとえ和歌山で解決したとしても、またどこかの県へ行くかもわからないわけです。日本のどこかでそういう問題が起こってくるということになればお互いの不幸であります。しかも、このような低空飛行は自衛隊もできないわけですね。アメリカ軍だけが勝手にやれるんです。まさに、それは無法状態です。そういうことを許さない。これは日本の独立にかかわる問題だと思うんですが、こういう問題を地方自治体の首長としても敏感に対応されるよう要望をしておきたいと思うわけであります。
 次に、PKOの問題についてです。
 ご答弁をいただきましたけれども、私は、明らかに憲法に違反する問題についてはもっと毅然たる態度をとって臨むべきではないかと思います。
 実はこのPKO法案は、政府の話によりますと、ごく簡単な行動をするだけというような話になっておりますけれども、自民党の正式の機関で宮沢総理が答申の実行を約束している国際社会における日本の役割に関する特別調査会、通称小沢調査会と言うわけですが、この中には国連平和維持活動への参加の実績を踏まえて、国連の権威のもとでの多国籍軍や国連軍に対し積極的な協力、参加を検討するという次の段階の方向が示されているわけです。これは、憲法とのかかわりで見れば、もう論議の余地がないほど明らかに憲法違反なんですね。そういうところへ突き進もうとしている。そういうことの起こらないように、今の段階でこの法案のストップが図られるよう、知事としての立場を明確にされることを望んでおきたいと思います。
 国際貢献の問題については、私も当然必要なことだと思っています。しかし、国際貢献イコール自衛隊の派遣、こういう短絡的なことでは本当の国際貢献と言えるのかどうか。自衛隊の参加を望んでいるのが果たして国際的な世論なのかどうか。私は、そうは思いません。
 国際貢献の問題について、元防衛事務次官の西広整輝氏が十一月二十一日のテレビのニュースステーションで、「今、憲法下で考えますと、日本の場合は軍事力以外でどこまで貢献できるかということを考えるのが大切だ」、と述べています。世界では、あすの食糧に事欠いて、飢えて死ななければならない方々が一千万人を超える単位でおられるわけであります。あるいは、医療機器、薬品等の不足のために、亡くさなくてもいい命を亡くさなければならない多くの人々がいるわけです。そういう点に日本が国際貢献をしようと思えば、憲法の範囲内でまだまだ多くのことができるわけです。そのような方向が転換されるよう、知事としても政府に求めていただきたいと思うわけであります。
 最後に、要らない発言についてもう一度申し上げます。
 知事は、今答弁の中で、余りよくわからなかったわけですけれども、何だか共産党一般を否定したんではないというようなことを言われたんですが、それにつけても、最後に「県政に共産党は要らない」という言葉が出てくるわけです。これは、大変大きな問題だと思うんですよ。もし、これが総理大臣で、国会に籍を持つ政党に対して、「この政党は要らないんだ」というようなことを言ったらどうなりますか。それが政策化され行政化されてごらんなさい。それこそ、知事がしばしば例に出すソ連のようになってしまうんですよ。明治憲法の時代に戻ってしまうんです。そういう危険がある発言なんです。一介の市井の人ではないんです。あなたは、首長として発言されたんです。あのときは、まだ候補者ではなかったんですよ。選挙が始まっていなかったんです。知事として言われているんです。そういうような段階で、そういう内容を持っている発言を軽々しく行うということは、まことにもって遺憾としか申し上げようがないわけです。少数の意見に耳を傾けていただく、少数者の声に耳を傾ける、そういうことがあってこそ政治は誤りなきをもって進むことができると思うんです。
 そのような発言、あるいは発言にあるような思想を持っておられるのかどうかわかりませんけれども、そういう態度で今後県政を運営されるとすれば、まことに残念な結果を呼びかねません。どうかひとつ民主主義の根幹を十分お踏まえになって、県民の声をよく聞いて、声なき声も聞けるような、そういう大きな耳を持って県政の運営に当たられることを強く希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。答弁は不要であります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十分休憩
 ──────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 昼からのトップバッターで質問をさせていただきます。簡潔にしてまいりたいと思います。
 先ほどの鶴田議員に対する知事のお話の中にもありましたが、今回は社会党も仮谷知事を推薦して頑張ってまいりました。今回の五期当選、心からお喜び申し上げたいと思います。
 通告に従い、質問をさせていただきます。
 最初に、世界リゾート博に関連して質問させていただきます。
 今回の知事選挙を通して、紀南の住民の皆さんは、今、仮谷知事に特に何を期待しているとお思いでしょうか。多くの皆さんは、道路網の整備、なかんずく近畿自動車道紀勢線の南伸を心から願っているのであります。十二月三日の第二十九回国幹審において、整備計画に御坊─南部間二十一キロ、基本計画に田辺─すさみ間二十七キロ、海南─御坊間二十九キロが決定されました。紀南にとっても、また和歌山県民にとっても喜ばしいことでございます。一日も早い事業決定や開通に取り組んでいただきたいと思います。
 関西新空港開港を契機に、県内リゾート地の持つ恵まれた自然、歴史、文化資源や産業など和歌山県の魅力を国内外にアピールし、また経済的な波及効果を初め地域のイメージアップによる観光客の増加や企業誘致の拡大による産業の活性化を生み出そうとして、今、各リゾート地域を初め、平成五年度末に竣工予定の和歌山マリーナシティを主会場にして平成六年夏に開催される世界リゾート博の準備が着々と進められております。世界リゾート博の入場者数は百万人と聞いております。この百万人のお客に主会場で十分満喫していただき、そして燦黒潮リゾート地の持つ黒潮洗う海岸美──私も国鉄当時、見老津駅に勤務しておりました。あの枯木灘の海岸美にはすばらしいものがございます。緑豊かな山々、自然環境に恵まれた和歌山県内のリゾート地を訪ねていただくためには、現在工事が進められている近畿自動車道紀勢線湯浅─御坊間の世界リゾート博開催に合わせた開通が不可欠だと思います。そのことが和歌山県のイメージアップになるのではないでしょうか。平成六年度末完成の高速道路を世界リゾート博に合わせた開通にできないものか、また今日までの事業の進捗についてお伺いいたします。
 また世界リゾート博は、マリーナシティを主会場にして県内のリゾート地の特性を生かしたビッグイベントを行うようになっております。それぞれのリゾート地における進捗状況をお伺いしたいと思います。
 二つ目に入ります。国際障害者年の最終年を迎えての評価と課題についてお伺いいたします。
 一九八一年から始まった国際障害者年の十年目を迎え、障害者もともに生きる心豊かな福祉社会を目指して、和歌山県では一九八二年(昭和五十七年)から十年にわたる障害者にかかる和歌山県長期行動計画を策定し、副知事を本部長に県障害者対策推進本部を設置して各種の施策に積極的に取り組んでこられました。
 厚生省の昭和六十二年の実態調査によりますと、我が国の身体障害者数は十八歳以上で二百四十一万三千人となっております。これは、十八歳以上の人口百人当たり二・七人、すなわち百人のうち約三人が身体上に何らかの障害を持っていることになります。障害者の数は年々増加しており、昭和五十五年二月調査の百九十七万七千人に比べて二二%増加しております。また、昭和六十二年調査の身体障害者を障害別に見ると、肢体不自由が百四十六万人、六○・五%と最も高く、次いで聴覚、音声、言語障害三十五万四千人、一四・七%、視覚障害三十万七千人、一二・七%、内部障害二十九万二千人、一二・一%となっております。
 和歌山県の平成三年四月一日現在の実態調査によりますと、県人口百九万六百七十六人に対して障害者数は四万五千八百五十五人です。人口千人に対して四十二人が障害者であります。十年前の昭和五十七年度を一○○としたとき平成三年四月では一三三となり、何らかの障害を持つ方々がふえ続けていることをあらわしていると思います。また、身体障害者を障害別に見ると、肢体不自由が二万五千三百五十人、五九・九%と全国並みで最も多く、次いで聴覚、音声、言語障害が六千百九十四人、一四・六%、視覚障害が五千二百十三人、一二・三%、内部障害が五千六百三人、一三・二%となっております。
 こうした和歌山県の障害者の現状にあって、県行政は今日まで基本理念である「完全参加と平等」、基本的人権の保障、ノーマライゼーションの理念のもとで多くの成果を上げてこられたことを高く評価するところでありますが、この十年間の総括と今後の目標についてお伺いしたいと思います。
 次に、障害者雇用の実態についてお伺いいたします。
 それぞれの人がその適性と能力に応じた職業につき、その職業に生きがいを感じ、充実した毎日を過ごすことはすばらしいことでございます。障害者というハンディキャップを持っているばかりに雇用条件が満たされない現状に対して、法律は障害者の雇用を義務づけております。
 県における民間企業雇用率は、雇用納付制度の活用が普及されたこともあって、当初は約七○%近い企業が法定雇用に達しておりました。しかし、昭和六十一年ごろから雇用率も徐々に低下してきております。現在、法律によって障害者を雇用しなければならない企業は何社か、また県全体の雇用率はどうか。私の聞くところによりますと、大企業ほど障害者の雇用に不熱心だということですが、現状はどうでしょうか。また、県行政とかかわりのある入札、発注業者の障害者雇用はどうでしょうか。
 養護学校を卒業した生徒については、養護学校の先生や職安の努力によって、わずかですが障害者の雇用があることは、喜ばしい限りでございます。しかし、採用された後、短期間で退職し、その後は在宅で過ごすことがあります。定着率のよくない理由に、企業側の受け入れる条件に不十分な点があるのではないでしょうか。職場の施設、システム、従業員の意識について実態調査を行うなど、きめ細かい指導を行わないことには実質的な雇用率の改善にならないと思います。指導する行政側が障害者雇用のあり方について率先垂範を示すために、県職の雇用率と採用試験時はどのように対応されているのでしょうか。
 いずれにいたしましても、障害者の雇用については国、公共団体、各企業に就職した後の定着率の追跡調査を必要といたします。されているとすれば、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、生活環境の整備についてお伺いいたします。
 ハンディキャップを負う障害者が地域社会の一員として家庭生活を営み、社会生活に参加するためには、日常生活及び社会生活における不便を取り除き、障害者を取り巻く環境を整備改善する必要があります。今日まで、住みよい住居の建設、公共建築物、道路、交通施設の整備改善がなされ、多くの成果を上げてこられました。公共施設における自動ドア、トイレの改善、エレベーター設置、県営住宅の障害者優先入居の優遇措置、個人住宅の改造に要する費用の資金貸し付け、道路、交通環境対策については歩道整備、点字ブロック、段差解消、公共交通の鉄道、バス等に関係する業者に改善の要求をされ、ある一定の整備改善がなされてきました。今日、十年目を迎え、今後、障害者を支える環境づくりをどのようにお進めになるのか、お聞きしたいと思います。
 二つ目には、公共建築施設である出先各事務所、例えば西牟婁県事務所に来られる障害者の多くは二階への用件が多いと聞いております。庁舎内にスロープ、エレベーターを取りつけるべきだと思いますが、その対応は考えられないものでしょうか。
 三つ目には、JR主要駅にスロープ、エレベーターを設置していただきたいと思います。私は以前、雨の降る中で車いすに乗られた障害者の方が、陸橋が階段のためホームの端から線路を渡って出口へ行かれている姿を見ました。今日、田辺駅においても老人や障害者の乗りおりが多いわけでございまして、ぜひともスロープあるいはエレベーターの設置を願うものでございます。
 続きまして、教育問題について二点ほどお伺いいたします。
 来年の高校入試期に近づいてまいりました。今、高校受験を目指す中学三年生の間では、一つの不安や戸惑いが広がっております。受験生を指導する先生方の間でも困惑している問題があります。それは、昨今の余りにも激しい国際情勢の変化に、現在使用中の教科書がついていけなくなってしまったことに起因する問題でございます。現在の学習指導要領では、中学校の社会科の地理は一年、二年で学習することを義務づけられております。大半は一年生で履修すると聞いておりますが、そういたしますと、現在の中学校三年生が使用した地理の教科書は、実に二年前のものだということになります。ところが、この二年間に世界情勢の激変により教科書の地図内容と大きく異なる現実が生まれております。
 例えば、今の三年生はドイツ連邦共和国(西ドイツ)、ドイツ民主共和国(東ドイツ)という形で学んできましたが、今日、東西ドイツの統一によりドイツ民主共和国の名前は消え、さらに東欧の民主化によって東欧諸国の中には、国名の中から「人民」や「社会主義」という名前を取り、国名を改める国が続出しております。そして、私たちが想像もしなかったソ連が、ことしの夏のクーデターにより共産党が解体されました。こうした政治的変化と相まって、ソ連国内の地名も数多く変えられてきました。さらに、地名変更のみならず、これまで教えてきた社会主義国という枠組みそのものが大きく変わろうしている中で社会主義諸国の問題がどう出題されるのか、受験生、先生、親の間で不安が広がっております。
 十一月一日付の毎日新聞でもこの問題を取り上げ、報道しておりましたが、その中で文部省高等学校課は「国で一律に指導しない」としております。高校入試の対応は各県教委にゆだねることになるでしょう。今日の情勢の変化と教科書のずれを考えたときに、この種の問題は早く基本方針を示す必要があると思います。私は入試内容に立ち入るつもりはございませんが、ただ各教育現場でアンバランスを生じることのないようにしていただきたいということから、教育委員会のご見解をお伺いするものでございます。
 続きまして、交通安全対策、歩道設置計画について質問させていただきます。
 私が住む田辺市でことしの春に相次いで起こった小学校一年生の交通事故のお話をさせていただきます。
 四月二十二日と言えば、小学校へ入学した児童が学校へ通い始めてまだ二週間もたたないときのことでございます。その日の正午過ぎ、市内会津小学校の一年生の児童が、帰宅途中に道路に飛び出したところ軽自動車にはねられ、全身打撲で重体となり病院に収容されましたが、三日後、出血性ショックによって死亡するという事故が起きました。
 さらに、この事故の一カ月後の五月二十日の午後、同じく一年生の女の子が、国道を横断中、ワゴン車にはねられ、重体となりました。この女の子が通っている芳養小学校では全児童が千羽ヅルを折るなどして全快を祈りましたが、願いむなしく、事故から二十二日後の六月十二日、入院先の病院で亡くなってしまいました。
 同様の事故が続き出すと続くもので、さらに六月十日、新庄小学校一年生の児童が軽貨物自動車にひかれて重体となりました。幸い一命は取りとめたものの、入学したばかりの未来に夢をいっぱい持ったかわいい命が、突然、交通事故によって次から次へと消えていった出来事に、地元の父母、父兄は大変なショックを受けております。市内の学校の育友会では必ずこの事故の話が話題になり、どうしたら子供を交通事故から守れるのか、真剣な話し合いが持たれていると聞いております。
 今日、私たちは、三年連続で交通事故死亡者一万人を超す第二次交通戦争の真っただ中にあります。しかし、十二月三日に、ついに四年連続一万人を超す事態の悲しい記録をつくってしまいました。地方の小さな都市で起こった悲しい出来事は、今や全国で無数に起こっているのであります。毎年一万人の交通事故死亡者が出るということが続けば、つまり一万人の交通事故死亡者が日常化すれば、私たちが便利で快適だと信じている車社会が、実は一万人の死亡者と引きかえになっている恐ろしい不安な社会だということになります。今こそ車社会を根本的に考え直し、交通問題を単に警察だけに任せることなく国民的課題とすべきだと考えます。
 児童が通っていた小学校区では、事故の後、保護者から通学路に歩道が設置されている箇所が非常に少ないという意見が出されたようであります。同校では、事故後、危険な通学路の変更を検討するなど努力をされておりますが、保護者としては歩道を設置して子供を安全に通学させたいという願いがございます。
 本年三月、政府は第五次特定交通安全施設等整備事業五箇年計画を作成し、交通事故死亡者を一万人以下に減らすという施策を打ち出しました。それを受けて本県でも交通安全対策会議が、当面、平成七年の交通事故死亡者数を百人以下に減らすことを目標に和歌山県交通安全計画を作成されました。この中で、「歩行者及び自転車の安全と生活環境の改善を図るため、歩道の設置を伴う既存道路の拡張など積極的に推進する」とあります。私は、この施策を大きく期待するものであります。施策を具体的にどのように進めていかれるのか。
 二つ目に、私は小・中・高も含めた学校周辺や病院、高齢者福祉施設、身体障害者施設等の周辺を重点に取り組むべきだと思います。
 三つ目に、国道四十二号線から田辺工業高校へ通じるJRガード下の拡幅ができないため、交通事故の危険性をはらんでおります。この場所は、現在、高校生や周辺の住民の皆さんにとってこの道路は必要不可欠であり、利用せざるを得ません。県立高校の入り口でもあり、拡幅に努力をしていただきたいと考えますが、ご見解をお伺いします。
 また、田辺市文里湾岸へ通ずる県道文里港線は、朝夕は通学生、通勤者の車で混雑していて、交通事故を起こすおそれがあります。幸い、現在、護岸管理道事業を行っておりますが、交通安全対策を考慮した工事施策を行っていただくよう要望いたします。
 続きまして、関西国際空港についてお伺いいたします。
 私は、関西国際空港対策特別委員会委員の一員として、去る十一月二十七日に現地調査をいたしました。まず、加太地区の土取り現場では、土砂採取事業の第一期の土量三千百二十万立方メートルは平成二年八月二十九日をもって終了し、引き続き第二期工事の搬出を行い、全体土量の六千四百三十万立方メートルは本日をもって完了すると聞いております。土取りの最終段階を迎えた現場では、緑の山々の中に広大な平地が開け、改めて百四十ヘクタールの広さを実感いたしました。現在、この敷地に百三十ヘクタールを加えた合計二百七十ヘクタールの地区に関西国際空港関連地域整備計画のプロジェクトの一つであるコスモパーク加太計画が進められようとしております。コスモパーク加太は、和歌山県、和歌山市の将来にとって非常に重要な町づくりであるとともに、県民の期待もほかのものに比して大きいものがございます。どうか、和歌山を世界にアピールする象徴として、また県民の皆さんの憩える町として、二十一世紀に向けた国際的複合都市の建設をぜひとも推進していただきたいと存じます。
 次に、和歌山県は、関西国際空港により経済、文化、教育が浮上することを期待しています。航空審議会は、去る十一月二十八日、運輸省に第六次空港整備五箇年計画を答申しました。これを受けて閣議で正式決定された計画は、九一年度から総額三兆一千九百億円をかけて成田空港の二期工事、羽田空港の沖合展開、関西国際空港の三大プロジェクトを最優先に取り組んでいくことをうたっております。
 関西国際空港の滑走路三本を備えた全体構想については、航空需要の高まりを背景に調査検討を進めることになっており、一歩前進したと言えます。しかし、近畿圏内の空港は、大阪国際空港、八尾空港、関西国際空港、新たに計画に入った神戸空港やびわこ空港等で過密の状態になります。こうした状態になると、安全性を語らずにはおられません。現在でも、大阪国際空港は綱渡りの管制を行っていると聞きます。午後七時から午後八時までのピーク時には一分三十秒間隔で航空機が離着陸を繰り返し、管制区には到着待ちの航空機が約八千メートル間隔で二十機も並ぶと言われております。大阪国際空港の一日の離着陸は最高三百七十回、関西国際空港では一日四百三十八回、全体構想の完成後では一日七百十二回、神戸空港では一日三十六回、びわこ空港では一日二十回で、総計一日に一千百三十八回が離着陸することになります。そうすると、近畿圏の上空の安全性が問われることになるのではないでしょうか。ご見解をお聞きしたいと思います。
 また、関西国際空港は国内線の運航も含んでいる中で、各地域に空港計画が進んだとき国内線が分散することになり、国際線に余裕ができて関西国際空港の全体構想に大きな影響が出てくるのではないでしょうか。あわせてご見解をお聞きしたいと思います。
 最後に、和歌山操駅の跡地の活用についてお伺いいたします。
 二十一世紀を控え、平和と福祉の町づくり、高齢化対策、福祉対策などの課題とともに、ゆとりと豊かさを求める声は大きくなっております。経済大国と言われながら、それに見合うゆとりと豊かさを実感できるには、まだほど遠い現状であります。そのため、環境整備や基盤の整備が必要であると考えます。特に地域の活性化を図るためには、若者の定着とあわせて、雇用の創出をつくる上で勤労者の対策が不可欠であります。
 知事が、健康と福祉を中心に五期県政の大きな課題として、和歌山操駅跡地に総合保健センター、総合福祉会館などの建設構想が打ち出されておりますが、特に若者や勤労者が活用できるような夢のある、心の糧となるような施設にすべきだと考えます。よって、四点にわたってお聞きします。
 一つ目に、操駅跡地の活用と全体的な構想、建設される施設の概要についてお伺いいたします。
 二つ目に、若者、特に勤労者が活用できる部門はどのような位置づけをされているのか。
 三つ目に、県・市民の総意を生かすことが必要であると思いますが、そのために検討委員会等どのようにお考えになっているのか。
 四つ目に、全体的な構想はいつごろ具体化されるのか、完成はいつごろになるのか。以上、四点をお聞きしたいと思います。
 これをもって、一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 国際障害者年の最終年を迎えての評価と課題についてでございます。
 私も、県政の最重点事項として福祉行政を進めておりますが、その福祉の原点である障害者福祉対策に積極的に取り組んでまいっておるわけでございます。とりわけ昭和五十六年の国際障害者年を契機として取り組んでまいったわけでございますけれども、障害者にかかる和歌山県長期行動計画を五十七年に策定し、昭和六十二年には中間実績をまとめ、その後期推進目標を定めまして、関係団体の協力を得ながら、市町村と密接な連携のもとに施策を推進してまいりました。こうした全県的な取り組みの結果において、県民意識の高揚を初め、施設の整備、社会参加の促進、在宅対策の充実など、各分野において着実な成果を上げるとともに障害者の自立と社会参加が図られ、この十年間における障害者福祉の増進には大きなものがあったと思っております。
 しかし、ご意見ございましたように、障害者が増加しております。また、そのニーズも多様化しつつある中で、さらにきめ細かな対策が充実される必要がございます。国際障害者年の最終年を迎えるに当たり、十年間の実績というものを再度点検し、また評価を行い、課題を明らかにしたい、そしてまた国等の動きを見ながら新たな県の指針を検討してまいりたいと思っております。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答え申し上げます。
 最初に、湯浅御坊道路の進捗状況等についてでございます。
 全体事業の進捗は、用地買収で現在約九○%、工事については平成三年度末までにはほぼ全線にわたって発注される見通しと聞いております。
 議員ご提案の湯浅御坊道路の工期短縮についてでございますが、本事業は施行延長が十九・四キロということで非常に大きな工事であり、特に延長二千六百九十三メートルの白馬トンネル工事は、工事日数も非常に長く必要になり、また工事の難しさも予想されております。先ほど申し上げましたように、ほぼ全線にわたって工事を展開しており、現在、平成六年度末供用を目標に全力を挙げて工事が進められている状況でございまして、さらにこの工事を短縮することは非常に厳しいと聞いております。しかし、少しでも工期短縮ができないものかどうか、事業主体である国と道路公団に要望をしてまいりたいと存じております。
 それから、交通安全対策の歩道設置でございます。
 交通安全対策については、最近における交通事故の発生状況にかんがみ、緊急に交通の安全を確保する必要がある道路について、国では新たに平成三年度を初年度とする第五次特定交通安全施設等整備事業五箇年計画を策定して、平成三年十一月二十九日に閣議決定されたところであります。この中で、道路管理者分としての計画規模は、さきの第四次五箇年計画の一・三七倍に相当する一兆八千五百億円という事業費を組んでございます。県といたしましても、歩道設置については平成二年度に九・三キロを行いましたけれども、平成三年度ではこれを九・六キロということで計画的に整備を進めております。
 また、学校、病院、高齢者福祉施設、身体障害者施設等の周辺については、従来からも緊急性の高いものとして位置づけ、その整備に努めてきたところでございますけれども、今後とも関係機関と調整を図りつつ、重点的に整備をしてまいりたいと考えております。
 それから、国道四十二号から田辺工業高校へ通じる田辺市道でございますが、ここはJRのガードが幅三メートル、高さ二・五メートルと狭く、ご指摘のとおり交通安全上問題があるということで田辺市においても検討をいたしてまいっており、過去に県も相談を受けております。ただ、このJR軌道高の変更とか、ガードと国道四十二号との距離が短いとか、物理的に非常に難しい問題がございまして、単純にガードの拡幅ということは、残念ながら難しいと考えております。今後、田辺市道路網整備の中でこの問題点も含めて検討するように指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず第一点は、世界リゾート博と県内リゾート地の関連等についてのご質問でございます。
 平成六年夏、マリーナシティを主会場として開催する世界リゾート博の成功に向けて、県民各位のご協力をいただきながら博覧会の機運を盛り上げていかなければならないと考えてございます。
 そのため、既に昨年八月に開催された和歌の浦サーフ・サイド・ライブ一九九○や、本年七月のいこらカーニバル、同じく八月のワールド・ミュージック・フェスティバル・インなぎの里などは、世界リゾート博の協賛イベントとして実施されてございます。平成四年には、県下各市町村で開催される各種イベントを世界リゾート博のプレイベントと名づけていただくよう、市町村と連携を深めているところでございます。また平成五年からは、県を代表するリゾート地である白浜、勝浦など、それぞれの地域の特色を生かしたイベントの実施について、克服すべき課題もございますが、現在準備を進めているところでございます。
 第二点は、JR主要駅へのエレベーター等の設置についてでございます。
 障害者の方々が安心して鉄道、バス等の公共交通機関が利用できるよう関係機関に対し働きかけを行ってきているところでございまして、JR西日本を初め各事業者においても、施設改善等、順次整備が図られている状況でございます。
 またエレベーターについては、全国JRグループ全体の設置率が二%と低い整備水準にございますが、スロープ、エレベーターを含めて障害者の方々の利便確保のための施設整備等について、関係事業者にさらに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 第三点は、関西国際空港に関連して空域の安全性についてでございます。
 近畿圏における空域の安全性については、関西国際空港を中心に、既存の大阪国際空港等の航空機の安全かつ効率的な運航の確保のため、現在、広域航空管制システムの構築を目指して関係者間で検討が進められているところでございます。
 なお、議員ご指摘の神戸空港等については、空域調整などの未解決の課題が残されているため、第六次空港整備五箇年計画では予定事業とされているところでございまして、今後、事業主体において調査検討の上、課題解決の見通しが立った段階で新規事業として組み入れられるものとなってございます。
 次に、近畿圏における航空需要についてでございます。
 関西国際空港は、現時点での潜在的な航空需要、並びに今後飛躍的に伸びることが予測される航空需要に対処するための国内及び国際の基幹空港でございます。第一期計画では十六万回、全体構想実現時点では二十六万回の離発着回数を想定している日本の三大空港の一つでございまして、全体構想の早期実現についても関西が一丸となって運動を進めているところでございます。
 最後に、和歌山操駅跡地の活用の問題についてお答えを申し上げます。
 和歌山操車場駅跡地は既成市街地に残された貴重な土地であり、従前から日本国有鉄道清算事業団と購入のための交渉を重ねてきたところでございます。
 建設する施設については、広く県民のセンターという見地から、健康福祉センター、総合庁舎、総合体育センターを設置しようとするもので、現在、内部検討を進めているところでございます。健康福祉センターについては、県民の健康の増進指導、高齢者等福祉サービスの充実、女性の社会活動を支援する女性センター、勤労青年を含む青少年活動の拠点づくりなどを検討してございます。また総合体育センターは、広域スポーツ施設として検討をいたしているところでございます。
 この土地の利用計画については、県内有識者など各層からのご参加をいただく計画策定委員会を設置いたしまして、今後ご意見をお伺いしながら、計画策定並びに基本設計、実施設計等、種々作業を進めて早期完成を目指してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 国際障害者最終年に関連して、まず県職員の身体障害者雇用率でございます。
 平成三年度で、法定雇用率二・○%に対して二・一五%となっております。また採用試験については、上級の一般行政職において昭和五十七年から点字試験を実施いたしております。昭和五十七年には二名、五十九年一名、平成三年には一名が受験をいたしております。
 次に、県事務所等の庁舎にスロープまたはエレベーターを設置することについてでございます。
 障害者の方々が不自由のない社会生活を営む上において、種々の面で環境整備を図っていくことが必要であると考えております。県事務所の中でも比較的新しく建設した庁舎にはエレベーターを設置いたしておりますが、お話の西牟婁県事務所等においては、これまでも種々検討を行ったわけでございますが、相当のスペースを必要とするといった物理的、構造的な問題もあって、なかなか難しい状況でございます。そのようなことで、現在、県事務所へ来所される方の案内、誘導等については、ブザー、インターホンによって知らせを受け、職員が出向くなどいたして対応をしているところございます。こうしたことにより、できる限りご不自由をおかけしないように心がけてはおりますが、なお事務所ごとの対応も若干異なっているようでございまして、さらに工夫の余地がないのかどうか検討をいたしたいと考えております。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) まず、障害者の雇用の実態についてでございます。
 法律によって障害者を雇用しなければならない企業は何社あるか、また県全体の雇用率はどうかということでございます。
 障害者の雇用の促進等に関する法律によって、事業主は労働者の数の一・六%の障害者を雇用する義務がございます。つまり、六十三人以上の規模の企業は身体障害者を一人以上雇用する義務があり、県下では二百八十七企業となってございます。また、平成三年六月一日現在の全体の障害者の雇用率は一・九%でございまして、全国では一・三二%となってございます。法定雇用率達成企業の割合は六五・二%で、全国平均五一・八%と、いずれも全国の水準を上回ってございます。
 次に、大企業ほど障害者雇用に不熱心と言われているが現状はどうか、また県行政とかかわりのある入札、発注業者の障害者雇用はどうかということでございます。
 企業規模別に障害者の雇用率を見ると、六十三人以上九十九人規模が一・六七%、百人以上二百九十九人で二・四四%、三百人以上は一・三二%となってございます。三百人以上の企業の雇用率が小規模の企業よりやや低くなっておりますけれども、昨年より改善されており、全国の三百人以上規模企業の雇用率を上回ってございます。また、指名競争入札等、参加登録業者の中で雇用義務のある企業は四十五社ございまして、雇用率は一・四○%でございます。今後とも、法定雇用率未達成の大企業や参加登録業者に対して指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 また、障害者の雇用については、国、公共団体、各企業内に就職した後の定着率の追跡調査を必要とするけれども、しているとすればその内容を明らかにされたいということでございます。
 障害者の雇用の安定を図るためには、就職後の職場定着が重要でございます。このため、公共職業安定所においては障害者に対して求職登録制度を設けており、求職申し込みから就職後に至る職場定着指導まで、きめ細かな指導、相談を行ってございます。また、五人以上の障害者を雇用する事業主に対しては障害者職業生活相談員百八名を設置して、障害に応じた職務の内容、作業環境の整備、労働条件や人間関係についての相談や検討を行い、職場定着を図るよう指導してございます。平成二年度における就職者の定着状況を見ると、就職者二百四名のうち四十四名の方が離職しており、定着率は七八・四%となってございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 障害者対策の生活環境の整備についてお答えをいたします。
 障害者対策については、総合的な施策の推進を図るために、議員ご意見のとおり、庁内組織として障害者対策推進本部を設置し、各種施策を積極的に展開してまいったところでございます。今後とも、一層の努力を重ねていく所存でございます。
 とりわけ、障害者の自立と社会参加を促進するためには生活環境整備が最も重要な課題と考えており、今後、障害者等の住みよい生活環境整備指針に基づき、広く県民や関係機関に理解と協力を求め、障害者や高齢者に優しい、住みよい町づくりを進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 国際情勢の変化と来年度の高校入試との関連についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、昨今の激しい国際情勢の変化により、社会科の教科書の記述と現実との間に異なる点が生じてきてございます。中学校の教科書については、これまで三年ごとに改訂されてきたところであり、社会科の学習においては、この間の状況の変化とどうしてもずれが生じてまいります。こうしたことから、指導に当たっては学習指導要領を踏まえながら、現実の社会変化を十分認識し、教科書の内容をそのまま教えるだけでなく、生徒の国際社会等への関心を高めることが大切であると考えてございます。したがって、学力検査の実施に当たっては、従来から中学校学習指導要領に示された教科の目標や内容を踏まえ、教科書記述と現実との相違点等に配慮しながら出題しているところであり、今後とも社会科としての総合的な学力を見ることができるよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番野見山 海君。
○野見山 海君 ご答弁、大変ありがとうございました。
 二点ほどお伺いしますけれども、今、商工労働部長からお話ありましたように、和歌山県全体の法定雇用率達成企業は六五・二%ということですが、残りの三四・八%が雇用率を達成できていないということになります。そういった状況をどのように把握しているのか、その雇用できない根拠はどこにあるのか、これから調査していただければありがたいと思っております。
 もう一点は学校の交通事故の問題ですが、不幸にも、田辺でああいう事故が起こりました。学校、地域、家庭が一体となってそういった問題に取り組むことも大事だと思いますし、幾ら施設を充実しても、歩道をつくってみても、事故が起こるときは起こるんでしょうけれども、小学校あるいは幼稚園から始まって、絶えず学校教育の中で交通事故の問題に取り組んでいくことが必要ではないかと思っております。
 先日、田辺の国道バイパスにおいて、高校生の二人乗りが赤信号で渡っておって事故があったんですね。当てた方はもうびっくりして逃げて帰って、後から自首したんですけれども、今の高校生あるいは子供たちは赤でも堂々と渡っているのが事実なんです。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ということがいまだに続いておりますから、ぜひとも学校教育の中でそういった問題にどしどし取り組んでいただきたいと思います。
 要望にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番浜田真輔君。
 〔浜田真輔君、登壇〕(拍手)
○浜田真輔君 ただいま、お許しをいただきまして登壇させていただきました。本日、先輩諸兄の温かいご厚情を賜り、質問の機会を与えていただいたことに対して深く感謝を申し上げ、あわせて県議会壇上にお送りいただいた多くの皆様に対し、この場をおかりして感謝を申し上げる次第であります。冒頭において、知事並びに当局の皆様に誠意ある答弁をいただけることをお願いし、三項目にわたり質問させていただきます。
 まず最初に、仮谷知事の政治姿勢と実践哲学をお教えいただきたいと思います。
 仮谷知事は、十六年間、県民の厚い期待と夢にこたえるべく全力で「まごころ県政」を進めてこられたわけであります。私も、さきの十月の知事選で共産党を非難し、正道を歩んでこられた仮谷知事を応援し、五たび県政の重責を担っていただくことをうれしく思う一人であります。
 私は、この春、政治家としてスタートを切らせていただいたわけでありますが、私も正道を歩んでいきたいという気持ちを強く持ち続けているつもりであります。がしかし、政治家としての政治姿勢、実践哲学という点では、正直なところ、まだまだ未熟なゆえ暗中模索の状況であります。
 そこで、私が十四歳のときから知事の要職につかれ、県政を担当され、はかり知れない経験と重責に耐え忍んでこられた政治家仮谷志良の、政治家にとって最も重要な実践哲学を教えていただきたいのであります。
 ちなみに、マスコミが常に指摘する対外的、表面的な生活態度や金銭的感覚といったものではありません。今、若い世代に政治離れが進む中、次の世代に政治家というものの基本的なキーワードを与えていただきたいのであります。
 第二項目は、地域活性化の起爆剤として注目されているテーマパークの誘致についてであります。
 まず、本題に入る前に、県民の重要な関心事となっている加太についてお尋ねさせていただきます。
 県はテクノ&リゾートとして進むべき道を提示されているわけでありますが、その中でコスモパーク加太は最重要な課題であり、その実現性を図っていかなければならないものであります。また、県民にとっても約二百六十ヘクタールという土地に一体どんなものができ、どう利用されるのかということに関心を持っています。
 そこで、再三、先輩議員もお尋ねされていることでありますが、本年十二月に土取りを完了するに伴って、コスモパーク加太の現況と利用計画についてのご答弁を担当部長にお願いし、また今後一層の発展が期待できる加太を取り巻く広域的な交通体系について、あわせてご答弁をお願いします。
 ここで本題でありますが、旅田和歌山市長が二度にわたり、市有地森林公園を用地前提としたユニバーサルスタジオ誘致のためアメリカMCA本社に行かれていることは、皆様もご承知のとおりであります。
 そもそも、昨年十一月に松下電器がMCA社を買収して以来、青年団体が提案をし、テーマパーク・ユニバーサルスタジオの誘致がスタートしたわけであります。私もまだ、アメリカに渡ってそのもの自体を見てはおりませんが、ビデオテープや資料等を勉強させていただく限り、県が余暇の時代をにらみ、マリーナシティ等、リゾート関連施設の整備をされている今、観光行政においてもこの施設が誘致できれば一段の効果が上がるものと私は信じております。
 ここで、若干、テーマパーク・ユニバーサルスタジオについて具体的に申し上げさせていただきますと、今現在、アメリカ本土に一九六四年、ハリウッドに開業したスタジオと、一九九○年にフロリダに開業した二つのスタジオがあるわけであります。そのスタジオ内では、映画をテーマとして世界的に有名な「キングコング」、「ジョーズ」、「E・T」といったヒット映画にちなんだアトラクションを設け、ハイライトシーンを観客に楽しんでもらっております。また数字的規模では、年間入場者数はハリウッドで約五百万人、フロリダで見込み約七百万人であります。ちなみに、東京ディズニーランドの年間入場者数は約一千五百万人であります。これは、関東圏に住む約三千八百万人という多くの人口を背景にした数字でありますが、我が和歌山県に誘致ができるという前提のもとに近畿圏、四国圏を合わせた約二千七百万人を背景にすればアメリカ本土並みの実績は可能であろうと思われます。そして、和歌山県の平成二年度の観光客総数、これも偶然同じ数字であるわけですけれども、二千七百万人という実績も背景にできるということは大変喜ばしいことだと思います。そして、この事業費では九百億円程度見込まれますし、総従業員数はシーズンオフのときで約二千人、シーズンインになると約三千人の雇用が見込まれると思われます。そして、総売り上げ一千五百億円程度であろうと言われております。
 以上の数字から考えられる点は、第一に集客力のアップが見込まれる点、第二に世界的に通用する施設ですから知名度の向上につながる点、第三に経済活性化の要因となり得る点、第四に都会的ファッショナブルな雰囲気を持つ施設ですから若者の定着につながるという点、第五に子供から大人までどの世代にも心から楽しめる施設であるという点であります。
 もちろん、これ以外に、テーマパークが今もてはやされているという時の勢いに流されることなく慎重な議論を尽くさなければならないことは私も承知しておりますが、他のテーマパークの成功事例を見る限り、コンセプトが確立され、立地条件、採算性、地域貢献度といった点からも、誘致に成功すれば必ず意義ある施設だと思います。そして、和歌山県の総合的観光という点でも補強できる施設だと思うわけであります。
 先般、石田先生を団長とするオーストラリアリゾート開発の報告書を読ませていただきました。
 その中で興味深かったのは、人を集める十二の基本要件ということでありました。内容は、おいしいものを食べること、健康を増進すること、セックスアピール、つまりよきパートナーとめぐり会えるチャンスが多いこと、競争心、闘争心をかき立てられること、仲間意識を持てること、自分のステータスとアイデンティティーを主張できること、日常性から脱却できること、射幸心をあおるものがあること、所有欲を満足させるものがあること、心と感性を豊かにするものがあること、知識を豊かにするものがあること、そして最後に好奇心を満たすものがあることだそうであります。
 現在、この項目の中で和歌山県が補強しなければならないものも幾つかあろうかと思われます。その足りない部分をユニバーサルスタジオという施設は補えるのではないかと考える次第であります。
 そこで、知事にお尋ねをします。
 まず、テーマパークといったものに対してどのように理解されているのか、そしてこの誘致運動についての対応をどうお考えなのかを誠意を持ってお答え願いたいと思います。
 最後の第三項目は、京奈和自動車道の和歌山延伸に伴う北インターの設置と県道布施屋貝塚線についてであります。
 社会資本の充実が叫ばれる中、この和歌山においても道路整備は最優先される課題であり、また特に紀の川右岸の地域においては関西新国際空港の開港を控え、明るい展望が開ける中、住民にとっても今後の道路整備について強く関心が持たれております。
 そこで、京奈和自動車道、橋本─高野口間の現状と見通しについて具体的にお答えを願い、そして高野口─和歌山市間の事業化の見通しをお伺いしたいのであります。
 あわせて、将来的に近畿自動車道と合流する地域の交通状況、生活の利便性を考え、従来の設置費用、採算性に問題のある既存線におけるインター設置ではなく京奈和自動道のインターチェンジであるという考えで、北インター設置について建設省、道路公団に働きかけをしていただけるのかどうか、お伺いをいたします。
 そして、布施屋貝塚線の川辺─湯屋谷間の状況はどうなっているのか、将来的に雄山峠までの道路改修のお考えがあるのかどうか、ご答弁をお願い申し上げます。
 以上をもちまして、大変簡単ではありますが、第一回目の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの浜田真輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜田議員にお答え申し上げます。
 知事の政治姿勢、実践哲学、非常に難しい問題でございます。
 私はまず、浜田議員が若くして政治家を志し、県会に当選されて、地域のため、県政、国政のためにご努力いただくことに、本当に敬意を表する次第でございます。
 私は知事になって十六年になりますけれども、役人から政治家に転身したわけでございまして、私もまた、政治家とは何か、何をなさなければならないかを現在模索しているのが実情でございまして、人に話するようなものは持っておりませんけれども、ただ、政治家というのは世のため、人のために行うものでございます。だから、政治信念、政治信条を持ち、何をやるために私は政治家になるんだという長期の目標、当面の目標、こうしたものを持つことが大切だと考えます。世の移り変わりが激しゅうございますし、人間の考え方も変わってまいります。そうした中で毀誉褒貶に打ちかつためには、それらがしっかりしなければならないんじゃないかと思っております。
 私が知事になったときにある先輩から言われたことは、三人の先生を持ちなさいということでした。一人は宗教家です。宗教家は人生を眺めておる。政治家は決断をしなければならないときが多いけれども、そうしたときに宗教家ということでございます。二人目は医者です。やはり健康が第一でございますし、健全でなかったらいい思想は出てこないということでございます。三人目は報道関係者です。報道関係者は絶えずあすを見詰め、先を見詰めておる。だから、この三人を持ちなさいと言われたわけでございますけれども、まだ持っていないわけでございます。ただ、そうしたことを心の中に思っております。
 もう一つは、先ほども言いましたけれども、政治家というのはほかの人と違って早期に決断しなければならない立場にある、だから絶えず思索を練っておきなさいよ、本を読みなさいよということでございました。
 私も知事として、政治家として、一番問題になるのは決断するときでございます。その決断をいかにするかは人によってまちまちだと思いますけれども、先人の決断したありさまとか対応等を本で読んだり人に聞いたりして勉強させていただいておりまして、今後ともいろいろお教えいただきたいと思っておるところでございます。
 次に、テーマパークについてお話ございました。
 テーマパークの及ぼす影響は非常に大きいわけで、長崎県はオランダ村をやり、千葉県はディズニーランドをやって地域振興に大いに役立っております。和歌山県においても、白浜のアドベンチャーワールドや串本の海中公園は多くの入場者を呼んでおりますし、またマリーナシティもテーマパークの一つとして進めておるわけでございまして、その意義については同感でございます。
 それから、ユニバーサルスタジオの誘致についてでございます。
 現在、和歌山市が誘致に取り組んでおりまして、私も関心を持っておるところでございまして、今後の展開を見守りながら、県としても協力してまいりたいと考えております。
 五月二日に松下電器の谷井社長とお会いした際に、MCAを買収したんだからユニバーサルスタジオの件をひとつよろしく頼みますよと申しましたところ、買収はしたけれども運営権の問題は向こうさんの方にあるようでございまして、そうした趣旨を伝えておくという話でもございました。また、この前、松下興産の関根社長に会いましたところ、米国でユニバーサルスタジオを二カ所経営しているMCAのノーハウを活用して和歌山マリーナシティにミニテーマパークを建設する計画が内定したということで、新年早々に私の方から詳細について発表すべく、その詰めを現在行っているところでございまして、実現すれば和歌山マリーナシティの大きな特徴になると存じております。
 それから、北インター等の問題については部長から答弁いたします。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、コスモパーク加太の現況と利用計画についてお答えを申し上げます。
 コスモパーク加太計画については、かねてから県、和歌山市、県土地開発公社で構成する加太地域開発整備推進協議会において、関西国際空港埋立用土砂採取地を含む約二百六十ヘクタールを一体的に整備し、自然環境に恵まれた加太地域において二十一世紀の国際化及び情報化社会に対応できるリゾート、コンベンション、研究開発、居住等の機能を中心とし、周辺環境と調和のとれた町づくりを目指した土地利用計画を考えてきたところでございます。
 土地利用計画については、県、和歌山市、県土地開発公社、民間企業十四社で組織するコスモパーク加太開発推進機構において、現在、計画内容について協議を重ねているところでございまして、本年度中に策定するよう努力いたす所存でございます。
 また、コスモパーク加太の現況についてでございますが、関西国際空港島への土砂搬出については、平成元年五月より約二年七カ月にわたり搬出いたしてまいりましたが、ほぼ計画どおりの土量の搬出を終了する予定でございます。
 この土砂採取事業により、コスモパーク加太計画区域内の約百四十ヘクタールが粗造成されたことになり、今後は残りの区域における防災工事並びに粗造成工事を県土地開発公社において引き続き施行する予定でございます。
 次に、加太周辺の広域的な交通体系についてでございます。
 加太地域については、現在建設が進められている関西国際空港から至近の距離に位置し、そのインパクトを強く受ける地域でございます。また、大阪湾ベイエリアの拠点の一つでございまして、紀淡海峡ルートと結ぶと、大阪湾を取り巻く大阪湾環状交通体系、また京奈和自動車道を軸とする関西大環状交通体系、さらには東海、四国、九州方面を結ぶ第二国土軸のかなめとなるわけでございます。このように、この地域は広域交通網の結節点として、本県のさらなる発展にとっても重要な役割が期待されるところでございます。
 こうした観点から、紀淡海峡ルートをかなめとした大阪湾を一周する高速交通網、さらには第二国土軸構想の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答え申し上げます。
 まず、京奈和自動車道についてでございます。
 この路線は、ご存じのとおり、国道二十四号の交通混雑緩和に寄与すると同時に、和歌山市から奈良市を経由して京都市で国土幹線軸に接続する、関西の外郭環状道路を形成する高規格幹線道路でございます。このうち橋本市から高野口町間の橋本道路については、平成元年度に国により事業化され、現在、地元関係市町のご協力により、平成三年度には一部用地買収に着手できるのではないかというところまで比較的順調に進められております。
 完成の時期については、今後の用地買収の進捗ぐあい等により、一概には申せません。まだはっきり見通しがついたという段階に来てはおりませんけれども、今後とも県としても早期完成を関係機関へ働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、高野口町からさらに和歌山市へ向けてでございますが、紀北道路として平成二年十一月に基本計画区間に組み入れられ、現在、国において環境アセスメントのための基礎的な調査が行われておりまして、県としても早期に整備計画を決定し事業着手されるようにということで、関係機関へ積極的に働きかけをしてまいりたいと思っております。
 次に、ご指摘の北インターでございます。
 現在の近畿自動車道に設置をするインターは、現行制度では基本的には開発インターということになります。京奈和自動車道とのいわば兼用インターとして設置できないかというようなご提案だと思いますけれども、技術的、制度的には非常に難しい面があろうと思います。しかしながら、紀の川右岸のインター設置は必要と考えておりますので、建設省に検討を働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、県道布施屋貝塚線の整備についてでございます。
 粉河加太線と国道二十四号バイパスの間を昭和六十三年度より県単独事業として着手をいたしておりますけれども、本年度から公共事業として事業促進を図っておるところでございます。現在、この区間の用地買収の進捗は約六六%でございます。工事については、本年度着手をしたいと考えております。
 それから滝畑地区でございますが、府県境付近で平成二年度より測量調査を行っております。本年度は、県単独事業をもって一部用地買収をしたいと考えております。
 なお、湯屋谷地区より雄山峠までの整備でございますが、現在着手している両工区の進捗状況を見つつ検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番浜田真輔君。
○浜田真輔君 知事におかれての政治姿勢、実践哲学ということでお話をお伺いしたかったわけでありますが、三つの師ということでございます。これをまた私の政治の糧にさせていただきたいと思います。そして私と同じく、まだまだ暗中模索の状況であるということでありますから、知事もお若いんだなあということを改めて認識させていただくわけであります。
 北インターの設置については、いずれ地元から要望書が出されるようにも思いますので、今後ともの積極的な働きかけを再度お願いいたします。
 最後になりますが、重ねてご理解をいただいておきたいのは、ユニバーサルスタジオについては一施設の誘致にとどめたくないということであります。
 ご承知のとおり、このユニバーサルスタジオの親会社のMCA社は映像ソフトの世界的な企業であります。この誘致に成功すれば、映像というコンセプトを持って、映像機器を主力とする企業の立地や世界的な制作処理などを進めるスタジオ、またその映像に関する教育施設の誘致等、限りない夢を持つことができるものだと思います。そして、県が進めているテクノ&リゾートという言葉をまさしく象徴するものではないかとも考えております。
 そして何よりも、この誘致運動は二十一世紀の和歌山を担う若い世代が中心となって頑張っていることであります。全国的に見ても、若い世代には沈滞化ムードが強い、元気が足りない、さめている部分が多いという気がしてなりません。私自身もその点は反省しなければならないと思っております。そんな中で、若い世代が中心となってこの大きな夢のある目標に向かって努力しているのであります。どうか、この世代の努力と感性の豊かさに、関空を泉州沖に引っ張ってこられた知事の政治手腕をもって手をかしていただきたいことを重ねてお願いをさせていただきます。
 知事も選挙後お疲れでしょうから、百聞は一見にしかずであります、どうかアメリカに行ってユニバーサルスタジオを一度見てきていただきたいと思います。そして、この場をおかりして、先輩議員の皆様も一度見てきていただきたいことを重ねてお願いさせていただき、要望とさせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜田真輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十七分散会

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