平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 午前中の質問と重なる部分がたくさんございますが、お許しを願いたいと思います。
 野球選手の四番バッターにはすぐれた人を出すそうですが、この四番バッターというのは大変時間を費やすことを皆さんにお許し願いたいと思います。なるべく簡潔にいたします。
 以下、通告に従って質問をいたしてまいります。
 十二月定例議会の冒頭あいさつの中で知事は、「関西国際空港の開港に照準を合わせて進めてまいりましたプロジェクトが着実に進展しております。これらのプロジェクトに対する県民の期待は非常に大きいものがございます」とし、また議案説明の中でも、「なお、関西国際空港の全体構想につきましては、去る十一月二十九日の閣議決定において正式に位置づけられたことは、県議会を初め関係の皆さんとともに要望を行ってきただけに、大変意義深いことであると考えております」と述べられたが、和歌山県政の関空にかける熱い思いとその立地に伴う波及的効果の積極的な活用は当議場を通じて都度論議されているところでもあり、それが県政における極めて重要な課題であることは論をまたないところであります。
 しかし、その高鳴りの度合いに反比例して、県南部では余り県民の心をとらえていないのも否めない事実であります。関西新空港の開港と大阪湾ベイエリア構想の具体化は、文字どおり県政に明るい展望を約束するものであるにかかわらず、「北高南低」と言われて久しい和歌山県政は、このことによって南北の格差をより加速化させるのではないだろうかという危惧が存在するからであります。
 さきの九月県議会で私は、九月二日に発表された県選管による人口動態の数字が示しているように、県内の人口減の傾向が紀南地域に集中している事実から、道路、交通、産業、地域の活性化等々の諸課題に対し、県政はより積極的に取り組むべしと申し上げたが、本来、県政そのものは県土の均衡ある発展を約束するものでなければならないからであります。
 詳細は省略するが、この二十余年の間、紀南地方の各町村では人口が激減し、児童生徒数の減少に伴って小中学校の廃校や統合が進み、今もそのような状況が見られます。また一方、枯木灘県立自然公園の景観が多くの人々にたたえられても、農林漁業が全体として衰微し、若い人々にとっての適切な生活の場が保障されていない中で人口が減少している現象を見るにつけ、私は、「活力あるふるさとづくり」のスローガンに、時にむなしささえ覚えるのであります。したがって、そこに住む人々の環境や生活を高め、幸せを創造することが政治であるとするならば、政治の存在感を具体的に示していくべきであります。以下、南低に焦点を当て、若干の質問を試みるものであります。
 まず、知事に質問をいたします。
 「仮谷県政 五期目”船出“」「一夜が明けて表情はればれ」──知事選挙後の新聞記者のインタビューで知事は、今回の選挙を通じて南北格差を痛感したとし、関西新空港の恩恵を受ける紀北地方は企業も人もたくさん入ってくるし、これまで以上に都市計画を進めていかなければならない、一方、紀南は過疎、高齢化が進んでいる、山を守れ、緑を守れと言っても人がいなければ守れない、リゾート開発など地域別の対策が必要だと述べているが、今さらこんな感想をあなたは言うのですか、わかったことじゃないですかと批判することよりも、今回特に知事を推薦したその立場に立って考えてみるならば、率直な感想を述べたそのことに私は信頼を寄せたいのでありますが、一県の知事として、現状打開とその浮揚策についての基本方針を明らかにされたいのであります。
 二つ目。これも何回かけさほど来も申されておりますが、十二月三日、国幹審は御坊─南部間二十一キロを基本計画から整備計画に昇格させる一方、新たな基本計画として田辺─すさみ町間二十七キロ及び海南─御坊間二十九キロを採択したと報じられているが、高速道路の南伸延長、国道三百十一号、三百七十一号の改修、さらには国道四十二号の整備改良等々の現状とこれらの見通しについて、この際、議場を通じて明らかにされたいのであります。なぜならば、本県の道路行政の立ちおくれを飛躍的に発展させ、県民の要望を早急に実現させない限り、政治にはならないと思うからであります。今、五選を果たした知事の道路行政に対する新たなる決意をぜひとも開陳されたいのであります。
 三つ目。小さな問題に移ります。平成四年度に向けての西牟婁県事務所の取りまとめに係る管内市町村の土木部に関する重点要望は四十四の項目にわたっておりますが、どの箇所も、どの項目も見逃せない重要なものばかりであります。ただ、この要望書の中で、庄川─久木間の県道、日置川町と白浜町を結ぶ白浜久木線が今年度から削除されていることに若干の疑問を感じながら、以下、簡潔に質問をいたします。
 本県道は県道に認定されて既に半世紀余──一世紀とまではいかないけれども、この場合、「半世紀余」と認定をしておきます。本県道については、六十二年の九月県議会で取り上げ、本県道の改修が果たすであろう役割とその必要性について力説した関係上、本日はその説明を省略するが、六十二年から今日まで県土木部長は三人目を迎えたただいま、切り捨ては後退を意味し、継続は力であることに思いをいたし、ぜひ本県道の改良、改修に意を用いてほしいと思うものであります。県道が犬の通る「犬道」として放置されようとしている現状に対する今後の取り組みと見通しを明らかにされたいのであります。
 四つ目。十一月十八日、朝日新聞は「リゾート法を廃止して出直せ」の社説を掲載した。それは、日本弁護士連合会がリゾート法の廃止を求める決議を採択した立場に賛意を表明した主張であり、この論説は現行のリゾート法を考え直す立場に立って、次の四点を指摘したものであります。すなわち、「第一は、いかにゆっくり休める社会を実現するか。第二に自然保護を基本とした統一的な土地利用の基本法を整備する。第三に環境アセスメント法の制定。第四は地域住民主体の計画作りを国と自治体が支援していく体制である。そのいずれも、現行のリゾート法には欠けている」と指摘したものであります。
 既に昨年十二月に国の承認を受けた本県の燦黒潮リゾート構想は、その名称の新鮮さにもかかわらず、またその承認以前からの粘り強い県の説明や各種集会等の開催を通じてのムードづくり等の努力にもかかわらず、紀南地方ではその具体的な展望が見えてこないように私には思えてならないのであります。もちろん、リゾートづくりは一応十年を区切りとすると言われているので、簡単に「展望が見えてこない」と言うのは少し言い過ぎだとの反論もあり得るが、何回か当議場でも取り上げましたけれども、三年前、華々しく田辺湾にデビューした丸紅によるリゾート計画のその後の状況は、地方新聞の「視点」すなわち社説欄では「丸紅リゾートどこへ行く」の見出しで、次のように記述されているところであります。「田辺市の丸紅進出計画も完全に『死に体』になったと思えるのだが、まだ生きているのだろうか。行政も派手なアドバルーンを上げ、リゾート対策室までつくってやっているが、このままでは不信を買うだけだろう。 しかも相手は、名にし負う丸紅だ。企業の社会的責任という面で、これまでも話題に事欠かなかった会社である─中略─鳴物入りで成立してまだ四年のリゾート法に、早くも廃止運動が起こっている。リゾート、リゾートと国じゅうが浮かれていたのに、何と早い秋風であろうか──この論説は秋に書いたので、そういう文体になっていると思います──しかしバブルがはじけ、本来の姿に戻ったと考えれば、出直しも当然であろう。丸紅リゾートにどんな結論が出るのか注視したい」。
 この論説にもあるように、先が見えてこないといった現状は、先ほど紹介した第四点の指摘、すなわち「地域住民主体の計画作り」が最初から組み入れられていなかったこともその要因の一部をなしているのではないかと私には思えるからであります。
 私は、この第四点の指摘にもあるように、以前からもこのことを持論としているが、地域住民が地方自治体である市町村とともに計画づくりから参画していく創生と共生の原点が欠落し、単に企業と市町村政が上から持ち込んでいくようなやり方を避け、あくまでも住民と相談し、修正や縮小、拡大を話し合いの中でつくり上げていく方法に徹していくことが今一番必要なことと思うのであります。もちろん、企業にも限界があることも十分意思疎通し、住民ともども参画していくプロセスの中で県も力をかしていくといったリゾート形成が必要でないかと思うのであります。
 日弁連の主張に賛意を表明する朝日新聞の「社説」について、私は全面的に敬意を表しますが、この際、これに対する県当局の考え方を伺っておきたいのであります。また、あわせて田辺湾における丸紅のリゾート計画の現状を問うものであります。
 さて、そういった基本的な考え方、特に第四点の考え方に立って県の海上交通網の整備、とりわけ紀南における高速艇の導入を軸としたリゾート環境の整備について提言してまいります。
 新潟─佐渡間六十八キロ、ジェットフォイルは乗客二百五十余名、所要時間一時間、年間乗客百万余を数える。百二十万として、一年を割れば月十万、一日三千人、まあそういうように画一的にはなりませんけれども、しかし百万余を数えます。「佐渡へ佐渡へと草木もなびく」──歌は歌いませんが、その盛況は、より早く、より便利に、より快適にとする海上交通機関の実現によるものであります。
 県は、六十一年度策定の長計において海上交通網の整備促進を位置づけ、その取り組みとして、五十八年、五十九年度に紀南での高速艇導入の基礎調査、平成元年に紀伊半島知事会議で紀伊半島沿岸における海上ネットワークの構築について検討することを合意し、引き続いて三重県と共同で鳥羽─勝浦間における高速艇就航の可能性について検討等々、紀伊半島海上交通の実現に向けて「サンベルト“燦”黒潮航路」への努力を払っているところであるが、その実現の早からんことを願いながら、一方、マリーナシティの完成、さらには関西国際空港の開港を見通す中で、ずばり観光地の拠点である白浜を中核とした発着・発進中継の高速艇港湾を検討すべしと提言するものであります。
 ちなみに、大阪は天保山から白浜までは海上約百三十三・六キロ、和歌山マリーナシティから白浜までは海上約八十・五キロ、単純計算では、天保山からは所要時間約二時間、マリーナシティからは約一時間二十分であります。「サンベルト“燦”黒潮航路」の三重・和歌山両県にまたがる海上ルート計画を実現する中で、本県としての発着・発進中継の開港こそ急がれなければならないと思うからであります。
 私は、リゾート形成の前提として、まず住民合意──この場合、特に地元漁民の合意を前提としていることは論をまたないところであるが、地元漁民を包む地域住民と町当局、町議会の一体感に立った計画づくりに県も参画していく体制を確立していくことを前提とし、提言するものであります。ご所見を伺うものであります。
 さきの九月県議会で要望したオーストラリア木曜島の日本人墓地について、簡潔にその後の経過に触れ、質問をいたします。
 この夏、私がブリスベーン領事館でお世話をいただいた領事館の白浜清次郎さんから、この十月七日、うれしい手紙が私に寄せられました。手紙を読ませてもらいます。「先般は、木曜島視察、ご苦労さまでした。九月二十三日から二十四日まで、私は茂木ふみか女史と木曜島へ行ってまいりました─中略─今次訪問は、茂木基金の趣旨説明と今後の墓地管理方法につき、木曜島の役所と話し合うことでした。 茂木基金は私財一千万で、州政府に墓地の管理を委託し、今後、日本人墓地に限らず島全体の墓地の維持に充てるというものであります。 あなたから寄せられている四点の質問の回答は別紙のとおりでありますが、いずれにしても茂木基金一千万から年間百万で墓地全体を維持管理するものですが、我が方(ブリスベーン領事館)としても茂木基金に見合った管理方法を策定し、役所と種々話し合ったところであります」。以下、詳しい手紙の内容については私から国際交流課に知らせているので省略をいたしますが、次の二点について質問をいたします。
 一つ目、茂木基金寄付金以前に、継続的経費でない支出金として、さしあたって今、概算百万が必要である。それは、以前も紹介いたしましたが、現在差し迫っている必要な清掃費、慰霊塔の排水口工事、慰霊塔の亀裂修正等々に要するものであります。県の対応を示されたいのであります。
 二つ目、国際親善、国際交流の立場から、木曜島関係者の墓参を含め、あわせて検討をされたいのであります。
 最後に、茂木ふみか女史のせっかくの一千万基金創設に感謝の意を込め、題して私のつたない「続・木曜島物語」を終わります。
 なお、以前紹介した茂木ふみか女史の手に成る書名「虹の国のアルカダシ」の「アルカダシ」は、トルコ語で「仲間たち」という意味であると十月二十七日の読売新聞「編集手帳」欄に記述されていることも、あわせて報告しておくものであります。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 北高南低と県土の均衡ある発展のために現状打開と浮揚策についてでございます。
 朝、町田議員から同様な質問があって答弁させていただいたのでございますけれども、和歌山県は国土軸から離れた半島地域に属しており、南北に長い地形でございます。したがって、紀北と紀南は、その置かれている自然条件、社会条件が異なっており、この異なる立地条件の中で県土の均衡のある発展、そして地域の特色ある発展を図っていくことは私の使命であると認識しておるところでございまして、本年策定した第二次実施計画でも地帯別構想に基づく振興施策を推進しているところでございます。
 特に紀南地域の振興を図るためには、何といっても交通ネットワークの整備が重要でございます。関西国際空港、そして国内空港としての南紀白浜空港という二つのジェット空港に加え、近畿自動車道の南伸という三大インパクトを紀南地方に最大限に波及させることが最も緊要なことだと考え、このことに留意して取り組んでいるところでございます。
 こうした高速交通網の整備、並びに内陸部を初めとした生活道路の整備充実を進めるとともに、リゾート、観光基地の整備の促進をいたし、さらには空港利用による物的空港としての農林水産業の振興も図っていかなければならないと存じております。
 選挙の翌日、記者に話した話でございますけれども、言葉足らずの点もあったかと思います。しかし私が言いたかったのは、過疎対策を積極的に進めているけれども山村地帯には人がいなくなっている、緑や森林を守れという自然運動が盛んだが人がいなくては森林資源を守れないではないか、私たちが子供の当時には山は薪として炭として価値を生み出してきたが、今それは金を生み出していない、杉・ヒノキの用材林だけである、木を切ることも自然のリサイクルである、だから都会で言う単なる自然保護ということだけでは農村や山村は守っていけない、その地域地域に応じた対策を考えるべきではないか、そうした都会の人、県外の人の自然運動等に対してもう少し見直すべきではないかということを言いたかったわけでございますので、ご了承いただきたいと思います。
 次に、道路行政についてでございます。
 これも町田議員から話ございました。また、議員ご指摘のとおり、県民の悲願であった紀南延伸に明るい方向を見出したということで、私は非常にうれしく、ありがたく思っております。このことは、県議会が一丸となって議員連盟を結成して積極的に取り組んでいただいた、そしてまた市町村も取り組んでいただいた成果でございまして、例えば海南から吉備までの一般有料道路を高速道路にしてくれ、料金を安くしてくれという願いがかなえられ、さらにすさみまで延伸になりました。和歌山からすさみまで時速八十キロで走っても一時間余りで行くわけでございまして、これは画期的なことだと思います。先ほども土木部長が申したように、地元の協力によってこれが推進できるということでございます。
 このように高速道路を進めるとともに、特に紀南地方においては、三百十一号線の改修、三百七十一号線、またふるさと事業を使っての水上栃谷線の整備、本宮三越線と龍神本宮線等の林道といった道路網について積極的に進めておりまして、これが新しい決意ということでございます。
 道路は、単なる産業道路ではなしに生活道路であり、文化道路であり、福祉道路であると考えておりまして、こうした道路の整備を推進していきたいと思っております。
 特にことし、大阪とか東京、愛知といった富裕都府県ではなしに、高速道路が非常に少ないという四十一道府県が集まり、高速道路を推進するために新国土形成研究会というのをつくりました。高速道路が十分でない地域において高速道路を積極的に推し進めていくためにつくった会でございまして、私も副会長をさせていただいているところでございます。
 以上です。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 県道白浜久木線についてお答えを申し上げます。
 本道路は、道路のネットワークとしての必要性、また地元から交通不能区間の解消等について、その整備に強いご要望のあることは認識をしております。
 白浜町内においては、昭和六十三年度に延長七・三キロの暫定改良工事を完了いたし、また日置川町内の交通不能区間四キロについて平成元年度から調査を行い、二年度より久木方面からその改良工事に着手をしておるところでございます。
 今後とも、日置川町内の交通不能区間の解消、さらには白浜町庄川からの二車線の改良等に努力してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、ご質問のリゾート法の考え方についてでございますが、その第一点は、いかにゆっくり休める社会を実現するかでございます。
 国民のゆとりと潤いのあるライフスタイルへの確立のためには、自由時間の活用が人生の重要な課題となってきております。本県では、こうした余暇活動の場づくりの一つとして豊かな自然資源や数多くの文化資源を積極的に活用したリゾート整備を推進するとともに、さらにゆとりのある国民生活を確立するためのバカンス法の制定を国等に働きかけているところでございます。
 次に、自然保護と環境アセスメントについてでございます。
 燦黒潮リゾート構想では、重点整備地区の設定に当たり、国立公園の特別保護地区、第一種特別地域等を除外するとともに、リゾート施設の設置に当たっては、貴重な動植物の生息地、生育地を避けて、必要に応じて事前に自然環境に与える環境についての調査検討を指導するなど、周辺の自然環境との調和に努めているところでございます。
 本県のリゾート整備は、自然の保全と活用を基調として、質の高いリゾート地の形成に努めているところでございます。
 第四点は、地域住民を主体とした計画づくりについてでございます。
 燦黒潮リゾート構想の策定に当たっては、地元関係団体の代表者や市町等の参画を得て燦黒潮リゾート構想推進連絡協議会を設置し、地域の意見の反映に努めたところでございます。
 今後とも、各重点整備地区に設置された燦黒潮リゾート構想推進協議会等を通じ、地域産業のリゾート整備への参画や地場産品の販売拡大、リゾート客と地域住民との文化的交流促進など、地元住民が参画できる特色あるリゾート整備を推進してまいりたいと存じます。
 このように、ご指摘の点については十分に留意しながら推進しておりますが、本県では、リゾート整備により、若者が定着できる雇用機会の増大、地域産業の振興はもとより、リゾート客を初め地域に暮らす人々にもスポーツ・レクリエーション施設、文化施設、温泉保養施設等で多様な余暇活動を楽しんでいただける、快適で活力のある町づくりを進めているところでございます。
 次に、海上交通とりわけ高速船の利用についてお答えを申し上げます。
 リゾート、観光振興を図る上でも、アクセス交通の整備は極めて重要であると考えます。こうしたことから、現在、南紀白浜空港のジェット化整備、高速道路の延伸、さらには高速船を利用した広域海上ルートの検討等に鋭意努めているところであり、議員ご提案の観光拠点白浜地域における高速艇の導入についても検討すべき課題として受けとめさせていただいているところでございます。しかしながら、本県における海上交通につきましては、ご紹介のあった佐渡のような離島航路とは異なり、鉄道や高速道路との競合、採算性といった種々の課題もございます。それだけに、地元における熱意や取り組みといったことが重要となりますが、海上ルートの形成は、本県が有する六百キロメートルに及ぶ海岸線を活用するといった観点からも重要な課題であり、県としても高速船を利用した広域海上ルートについてさらに検討を深めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) お尋ねの、田辺湾総合リゾート開発計画の現状についてでございます。
 この開発計画は、海洋性リゾートを核にした新しい町をつくるという、我が国では前例のない広がりを持つものであり、そのために地元との調整が多方面にまたがり、時間を要していると聞いてございます。しかし、田辺市はもちろん、丸紅を初めとする企業側も、本計画は将来のゆとりのある社会を先取りするものと確信して地元の皆さんと話し合いを継続し、その意向を極力計画に取り込めるよう事業化案の作成等の作業を着実に進めている段階と理解をいたしてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 木曜島の日本人墓地等の問題につきましては、浜本議員には常々ご関心をいただき、お礼を申し上げたいと思います。
 また、茂木さんの善意による基金に対しましては、まことにありがたく、敬意を表する次第でございます。県といたしましては、さきの九月議会で知事が答弁した考え方に沿って、墓参などを含め、今後とも引き続き国等への要望をしながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 私が「終わります」と言えば、この会は散会になります。そういう思いを込めて早くやりたいと思います。
 土木部長に。県道白浜久木線の問題でございます。先ほどの答弁のとおりでありますが、「交通不能区間」と言えば車の通れない道、とにかく歩いてしか行けない県道であります。その残された山道四キロの県道は、形状を変えた工法をとるか、トンネルを抜くかといったことを検討すべきではないかという私見を持ってございます。戦前、この山道の頂上は、日置川町久木の人々が出征兵士を送り、無事帰還を祈った別れの道であります。そういう語りぐさを聞くにつけ、近代に見合った県道にしてほしいと思うのは、私ども西牟婁県議会議員四名の意思統一でもありますし、そして両町住民の皆さんの意見でもあります。このままでは、十年たってもやっぱり犬しか通らん道やなということになることを恐れます。せっかくのご答弁であります。より一層の努力を要請いたします。
 もう一つ。企画部長の答弁では、「観光拠点白浜地域における高速艇の導入についても検討すべき課題として受けとめさせていただいているところでございます」、そして以下、いろんな説明がございました。そういう答弁じゃなくて、しまいごろに言われておった、地元の熱意や取り組みの上に立って──これは大変大事なことだと思います。私が言う、漁民を包む人々の、場合によっては海の権利要求なんかしないというところまで高めていくということでなかったら、これは私の単なる考え方でありますが、こういう事業というのはいかんと思うのであります。「検討すべき課題として受けとめさせていただいているところでございます」という回りくどい表現を避けていただいて、「地元の熱意や取り組みの上に立って十分検討してまいります」というふうに答弁の修正を求めたいと思います。これは答弁不要であります。議事録にとどめておきたいと思います。
 終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) お諮りいたします。都合により、明十一日は休会といたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、明十二月十一日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(平越孝哉君) 次会は十二月十二日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時二十三分散会

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