平成3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成三年十二月十日(火曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第百四十二号から議案第百五十一号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十二号から議案第百五十一号まで(質疑)
 二 一般質問
 三 休会決定の件
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村 翼
 10 番 小 川 武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田 亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本 一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田 豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗 正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本 進
 41 番 野見山  海
 42 番 森 正 樹
 43 番 浜 本 収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(二人)
 16 番 西 本 長 浩
 47 番 山 崎 幹 雄
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 若 林 弘 澄
 土木部長 山 田 功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  玉 置 英 夫
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
  水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 倉 本 辰 美
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 大 畑 巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
○議長(山本 一君) この際、報告いたします。
 監査委員から現金出納検査の追加提出がありましたので、報告いたします。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第百四十二号から議案第百五十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 13番町田 亘君。
 〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 十二月定例議会の冒頭に発言の機会を与えていただき、先輩・同僚の議員に心から感謝を申し上げます。
 あと二十日で平成三年も終わろうとしています。この一年を振り返ってみますと、内外ともに激動の年でありました。湾岸戦争の勃発、東欧の自由化に端を発し、米ソの対決、冷戦構造に終止符を打ち、またソ連ではクーデターの失敗と民主化、経済改革の試みが進行する中、ソ連邦の崩壊の危機、今朝未明、ゴルバチョフ大統領の声明等、揺れ動くソ連、さらに中東和平交渉の一定の進展など、世界政治の分野で新たな枠組みを構築するさまざまな動きが見られました。我が国においても、いわゆるバブル経済の崩壊、政治改革、国際貢献の方策などの課題について活発な論議がなされ、十月には宮沢内閣が誕生したところであります。
 本県におきましては、春の私ども県議会議員選挙に始まり、市町村長、市町村議会議員の選挙、そして十月の知事選挙と、まさに政治決戦の年でもあり、二十一世紀に向けて和歌山県の進むべき方向を県民が選択し、創造した年でもあります。とりわけ十月の知事選挙におきましては、仮谷知事は圧倒的な勝利をおさめられ、引き続き第五期県政を担当されることになりました。心からお祝いを申し上げます。私どもにとっても心強い限りであります。初めから勝敗が見えていた選挙であったために投票率こそ低かったものの、大多数の県民が仮谷知事を支持し、その政治手腕、力量に期待を寄せ、心豊かに誇れるふるさと和歌山の創造に熱い思いをはせたことは、紛れもない事実であります。
 選挙期間中、知事は、精力的に県内各地をくまなく遊説され、聞くところによると二巡半回られたそうであります。その間、多くの県民にじかに接し、今県政に何を望んでいるかを肌で感じられたことと思います。力を抜いても勝利は間違いなかったにもかかわらず一生懸命に戦っている姿に、知事の誠実なお人柄と物事に取り組む真摯な姿勢を感じたのであります。各地区で街頭に立ち、マイクを握って「仮谷志良は本当に幸せな男であります。こんなに大勢の皆さんに出迎えていただいて激励していただき、目頭が熱くなる思いであります」と、よく言っておられました。大雨の日も風の強い日も、時には街宣車に乗ったまま素通りする知事、あなたに笑顔で手を振っている人々の姿を見たとき、私たち選挙する者にとっては大変うらやましく思いました。政治家仮谷志良さん、あなたはよい星の下に生まれ、幸せな人だと思います。そして知事自身、選挙が好きで好きでたまらないようにも見受けられました。
 さて、二月議会開会日において、知事は五期県政への抱負を力強く語られました。県政を進めていかれるに当たっての知事の政治理念と情熱に深い感銘を覚えるとともに、決断と実行の県政を文字どおり積極果敢に推し進められますように期待いたしております。どうか知事には、県民の大きな信任と期待を担っておられるわけでありますから、健康に十分留意され、県勢のさらなる飛躍のために奮闘されるようお願い申し上げます。私ども自由民主党県議団も知事を全面的に支援し、ともに地域社会の活性化と新たな和歌山県発展のために精いっぱい努力していく決意であります。
 そこで、知事の五期県政に挑む基本的な姿勢、県政の重要課題について質問をいたします。
 前の議会でも申し上げたことがありますが、知事は忙し過ぎるのであります。そして、役職を持ち過ぎているように思うのであります。例えば、善意銀行の会長、四十七都道府県中、知事が持っておられるのが四県、社会福祉事業団の理事長、四十七都道府県中十八県、食品衛生協会会長、四十七都道府県中一県、観光協会連盟会長、四十七都道府県中二十二県、統計協会会長、四十七都道府県中十二県、道路整備促進期成同盟会会長等々であります。この際、整理できるものは整理してはいかがですか。
 また、知事の机の上には決裁書類が山積みされているのであります。知事の職責がいかに重要で、その量も膨大なものであるということを感じるのでありますが、知事が最終的に決裁しなくてもよい事項がかなりあるのではないか。知事が県行政のすべてを掌握し、決定する必要はないと思うのであります。すなわち、通常業務に忙殺されてはいけないのであります。知事の了解さえとればいいということで、職員の資質向上の観点からも問題があるように思うのであります。私の本意は、通常の行政事務は副知事以下の職員に任せて、知事に、自己を見詰める時間、過ぎし日を反省する時間、あしたの県政を考える時間等、ゆとりを持った近畿圏のリーダーとしての役割を発揮していただきたいということであります。
 近畿は必ずしも一つではありません。各府県の利害は、時には対立することもあります。しかも本県は、近畿のおまけとまで自嘲ぎみに自己規定したこともあります。東京一極集中の是正と国土の均衡ある発展という内政の重要課題を克服していくためには、関西が、例えば大阪湾ベイエリア構想に位置づけられた各種プロジェクトを推進するなどして、産業、経済、文化の多方面に強力な吸引力を持つ必要があります。そして、近畿各府県の利害の調整を図り、政府に対して働きかけをしていくリーダーとしての役割を果たすには、全国の知事の中でナンバーツーの仮谷知事、あなたをおいてほかにはないのであります。今、ナンバーツーと申し上げましたが、石川県知事の中西さんが八期で、七期、六期はなく、五期は和歌山の仮谷知事、山形、茨城、埼玉、三重、岡山、神奈川の七県であります。そして、あなたは実績と力をお持ちであります。近畿をまとめ、同時に和歌山を発展させていく知事の決意のほどをお伺いしたいと思います。
 そうした外に向けての知事の活動の場が広がっていくことに対応し、先ほど述べた点にも関連しますが、副知事二人制を採用されるお考えはありませんか。
 参考までに、全国で二人以上の副知事を置かれている都道府県は、東京都が四人の副知事、三人は北海道、神奈川、二人が青森、岩手、宮城、埼玉、愛知、滋賀、京都、大阪、兵庫、岡山、福岡、沖縄で、現在二人以上の副知事を置いている県は全部で十五都道府県になります。もちろん、西口副知事は、そのお人柄、能力からして知事の名補佐役であることは疑わないところであります。しかし、西口副知事自身も大変多忙のようであります。効率的な県行政を執行していくという観点から一考に値すると思いますが、時期的にもいささか生臭い話でありますので、答弁は要りません。
 まず、関西国際新空港についてお尋ねいたします。
 先月末、第六次空港整備五箇年計画に関して閣議決定が行われたところでありますが、その中で関西国際空港については、その開港が成田の二期、羽田の沖合展開と並ぶ三大プロジェクトとして位置づけられております。本県は、これまで仮谷知事を先頭に、国会議員のご協力をいただきながら、大阪国際空港の存廃問題とも関連しながら積極的な行動を重ねてまいりました。本県議会といたしましても、関西国際空港特別委員会の皆様を中心に、運輸省初め関係機関に要望を重ねてまいったところであります。その開港を三年後の平成六年夏ごろに控えております。仮谷県政五期目は、この関西国際空港とともに全世界に向かって離陸するときであります。和歌山のためならずオール関西、ひいては日本国全体のためにも、一日も早く完全な日本の玄関口にふさわしい姿で、他の東アジア各国におくれをとることなく整備が図られるよう頑張っていただきたいと思います。
 先般、第六次空港整備五箇年計画で滑走路一本から三本にする閣議決定がされましたが、事業の健全な経営と円滑な実施を図るための措置に関し、関係者間で具体的方策を確立するとの内容は地元自治体に出資を求めるもので、厳しいものと受けとめなければならないのではないか。
 そこで、関西国際空港の全体構想に係る本県の取り組みと、先般の航空審議会で二十一世紀を展望した航空ネットワークの方向として示された、二大都市圏の大規模な航空輸送需要に対応するため同都市圏の複数空港化により基本ネットワークの充実を図る等、大阪国際空港の存続、将来、神戸空港やびわこ空港等を考えるとき新空港の国内便の確保と需要予測について、また新空港建設のメリットを本県にどのように生かしていくのかについて知事にお伺いいたします。
 次に、南北格差についてお尋ねします。
 関西国際空港が平成六年ごろに開港されるわけでありますが、それに伴うインパクトが紀北を中心に南に広がっているという実態であります。関西国際空港が国際軸へのアクセスとするならば、近畿自動車道紀勢線は、まさに国土軸へのアクセスと申せましょう。この近畿自動車道紀勢線が平成四年末には国土軸である名神高速道路に直結し、さらに関西国際空港開港時には御坊まで南伸するでありましょう。
 去る三日、第二十九回国土開発幹線自動車道建設審議会で、海南市から御坊までが基本計画、御坊市─南部町間が整備計画、また田辺市─すさみ町間が基本計画区間に決定され、「『南の悲願』走り出す」と新聞に出ていましたが、喜びにたえないところであります。
 新しい土木部長にお尋ねいたしますが、順調に進んだとして、大体どのくらいの年月をかければ南の夢が実現するのか、お示し願いたいと思います。
 このように、本県の大動脈である近畿自動車道が順調に南に伸び、また南からも進んでいくことは、私たち紀南の者にとっては熱い願いでもあります。しかし、今のところ北からばかりであります。
 次に、関空開港に関連したプロジェクトの展開であります。
 年内に土取りを終えるコスモパーク加太計画、平成五年末に竣工予定で進めている和歌山マリーナシティの建設、また和歌山マリーナシティを主会場に平成六年夏に開催される世界リゾート博、関西国際空港の立地のインパクトを最も強く受ける地域として昭和六十二年に建設省から指定された南麓サイエンスパーク計画等々、数えれば切りがないほどビッグプロジェクトが進展しております。これらのプロジェクトの進展に並行して、地域産業の高度化、国際化、情報化を図るために数々の事業が進められているのであります。例えば、昨年三月、国の承認を受け、頭脳立地構想に基づいて海南市で進められている海南インテリジェントパークの造成、最先端の設備を備えた、開かれた試験研究機関へと生まれ変わるべく進められている工業技術センター等があります。まさに知事の五期県政の基本目標である「確かな実感 和歌山の時代」は、私もそのとおりだと思います。ただ、惜しむらくは、これら県勢を左右するプロジェクトは、すべてとは申しませんが、その大部分が紀北を中心に展開されているということであります。長期総合計画では「均衡ある発展を目指し」と位置づけられているのでありますが、人口、産業等の重心が北に偏っていることは否めない事実であります。地勢的要因が介在していることは理解しつつも、各種プロジェクトへの取り組みなどを見ますと、北高南低と言わざるを得ないのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。第五期県政のスタートに当たり、二十一世紀に向けた紀南地方の活性化についてご所見を賜りたいと思います。そして企画部長に、紀南地方の町づくりの観点から取り組んでいる各定住圏における具体的な展開をお聞きしたいと思います。
 次に、財政問題について知事並びに総務部長にお尋ねいたします。
 平成四年度の予算編成作業に既に入っていると思いますが、来年度は五期県政のスタートの年でもあります。さきの知事選は争点なき選挙として大きな盛り上がりもなかったと言われましたが、その中でも基金や民生費が一つの争点になりました。特に基金については、県民にとってはもうひとつわかりにくいのであります。基金が多いことは、それなりに財政のゆとりとして、今後、美術館、図書館等の建設、医大の移転等々、多くの財政需要にこたえていくために必要なことでしょうが、ため込み過ぎて県民要求にこたえていないと共産党の言うことをうのみにするつもりは全くありませんけれども、基金の額だけを見ますと、一千億円強ですから、そうかなあと思う人もいるかもしれません。どう理解したらよいか、まず伺っておきたいと思います。
 次に、予算編成の問題について質問します。
 まず、歳入の重要な柱である県税収入の見通しについてであります。昭和六十三年以来続いた大型景気も、いわゆるバブル経済の終息とともに陰りを見せ、国では法人税を初めとして大幅に落ち込み、税収は当初予算を二兆七千億円ほど下回る見込みになっているということであります。このような事態に対応して、今後、財政運営をどのようにしていくのか。当面の問題として、三年度予算で見込んでいる一千三十一億円という税収を確保することができるのか。厳しい見方をしなければならないように思われます。この点についての見通しをお伺いしたいと思います。
 次に平成四年度の税収の見通しについてでありますが、本年七月から九月の実質経済成長率は年率マイナス一・五%となったと報道されており、十月から十二月までの成長率も低い伸びにとどまると予想されています。このような経済情勢の中で、国税においては、主力の法人税が景気の後退による企業収益の低迷で、当分回復は期待できないとされています。本県の法人二税についても同様の事情にあると考えられ、また他の税についても経済活動が低迷するようなことになれば非常に厳しい予想を立てなければならないのではないか。このような状況を踏まえ、平成四年度の税収についてどのように考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 地方交付税についても、しかりであります。県税収入の水準の低さを補うべきところの地方交付税が確保されないような事態になれば、大きな影響が出るのではないかと危惧しているところであります。四年度の見通しを含めてどのように考え、どう対応されるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に歳出面でありますが、昭和六十三年度から毎年、投資的経費は拡大され、南紀白浜空港のジェット化、マリーナシティの建設、ふるさとづくり半島振興道路等の基盤整備を初め、美術館・博物館等、投資重点型の積極的な予算化を行っておられることを評価するのでありますが、医大整備やリゾート博の開催等、今後本格化するビッグプロジェクトも多く、さきに申し上げたように歳入面で不透明な要素が増す中、引き続き積極的な財政運営が可能なのかどうか。人件費、公債費等の義務的経費も増加することが予想される中で、中長期的な視野に立った財政展望についてどのようにお考えになっているのか、お示しを願いたいと思います。
 次に、教育長に学校五日制についてお尋ねいたします。
 今日、時代の進展とともに社会において週休二日制が普及する中で、学校五日制に対する国民の関心は極めて高く、マスコミ等においても取り上げられている状況にあります。こうした中で、自民党文教部会の小委員会において、来年度、月一回程度の段階的導入を提言しており、全国的に学校五日制を実施する勢いにあると感じております。本県における教育関係者や児童生徒の保護者を含め、県民の多くの人々がこの問題について強い関心を持っております。
 そこで、県教育委員会に次の点をお尋ねしたいと思います。
 県教育委員会としては、学校五日制の実施について今後どのように対応していくつもりなのか、また実施する上でどのような課題があるのか、当局の答弁をお願いいたします。
 最後に、ことし三月、ある小学校の卒業式に出席しました。教頭先生の司会で式が始まりました。「ただいまより平成二年度の卒業式を挙行いたします。全員起立」と言うと、全校生徒六百人、保護者約百人、先生三十一人が起立いたしました。「国歌斉唱」と言うと、三十一人いる先生のほとんどが座るではありませんか。ピアノを弾くでもなく、味気ないカセットデッキからは「君が代」のメロディーだけが流れ、口を動かす人は一人もおりません。そして、六百人の小学校の生徒たちは先生の方を見て、立ってよいのやら座ってよいのやら、後楽園等の野球場の観覧席で見られる、今はやりのウエーブのようにきょろきょろしながら立ったり座ったり、パニック状態でした。子供たちにとっては、「君が代」の意味も、イデオロギーもわかりません。卒業式という六年生にとっては、そして卒業生を持つ親にとっては一生に一度のおめでたい儀式であり、セレモニーであります。そのときの異様な雰囲気を想像していただきたいと思います。来賓として祝辞を述べる機会を与えられましたので、私は卒業生とご家族の皆さんに心からなるお祝いを申し上げました。そして先生たちに、「この学び舎を巣立っていく子供たちに、また一生に一度しかない厳粛な儀式に、そして六年間はぐくみ育てた子供たちを送り出す儀式に、先生たちのこの態度は何ですか。これでよいのか。子供たちは親の背中を見て育ち、尊敬する先生の教えによって成長していくのであります。教頭先生が『全員起立』と言うのに、先生方はほとんど座る。子供たちの前で見せる態度ですか。これで子供たちに、先生の言うことを聞きなさい、『はい』と言いなさいと教育できるのですか」と、注文をつけてあいさつをさせていただきました。あるクラスでは、式の前日、予行練習をしているときに担任の先生が、あしたの式で国歌斉唱のとき、私は立ちたくないが、ご家族が来られているので、あしただけは立ちますと言っていたそうであります。その先生が、当日、座ってしまいました。子供たちは、先生にだまされたと言って泣いたと聞いております。式終了後、保護者から大変な抗議があり、翌日の地方新聞にも載りました。
 教育長は、この卒業式の風景を想像して、どのように感じられますか。これでよいと思われますか。仕方のないことだと思われますか。ご答弁を願います。
 国旗・国歌について文部省から県教育委員会にどのような指導があるのか、また、それによって県下の各学校へどのような指導をしているのか、さらに、この学校だけではなく他の学校でも先ほど申し上げたようなことがあったのか、お聞かせ願いたいと思います。
 また、ある中学校で、卒業式の前日、一人の先生が「中学校の生徒のみなさんへ」と、全校生徒四百人に別紙のようなコピーを配りました。その先生は、当日、式典には出席せず休んだそうでありますが、その文章の主な部分を読んでみます。「生徒のみなさん、期末テストの勉強に励んでいますか。毎日忙しい日々を過ごしているみなさんは、それでも時にはラジオ・テレビのニュース、新聞の記事等に接していることと思います─中略─四十六年前の悲惨な戦争体験をふまえてつくられた日本国憲法、その三つの柱の一つである平和主義がつぶされようとしました。いろいろな法律の一番もとになっている憲法の、その中でも最も大切な考えの一つが政治家の都合のいい言い訳でないがしろにされることほど恐しいことはありません。もう一つのことは明日の卒業式でいままでなかった『君が代』が式の中に入ってくることです。(中略)この曲を学校のいろいろな行事で演奏したり歌ったりすることについては賛否両論があります。みなさんは賛成・反対のどちらですか。そして、それはどうしてそうなのですか。ここで大切なのは、この曲の持つ意味、歌詞の内容、歴史的な背景や、なぜ今歌わなければいけないのかよく考えることだと思います。(中略)第二次世界大戦前の社会のように一人の人間がいつのまにか神と同じ扱いを受け、それに反対すること、批判することが罰の対象になったり、あるいは命を奪われることになったりする恐れがあるからです」、あと略します。
 教育委員会にも同じコピーをお渡ししていますが、教師としてこのような行為はよいことなのですか。この文章のとおりですか。文章の表現で間違ったところはありませんか。お教え願います。
 このように、先生の自分の考えだけで全校生徒に配るような好き勝手なことをさせてよいのですか。教育長はこのことについて把握しているのですか。どのように指導したか、お示し願います。
 和歌山県条例第十九号、職員の服務の宣誓に関する条例で、「新たに職員となつた者は、任命権者に対し、別記様式による宣誓書により宣誓をしなければならない」とあるが、今でもその宣誓書は生かされているのか、まずお伺いします。
 生かされているとするならば、その宣誓書には「宣誓書 私は、ここに、日本国憲法を尊重し、擁護することを誓います。 私は、地方自治及び教育の本旨を体するとともに、教育公務員としての責務を深く自覚し、全体の奉仕者として誠実公正に職務を執行することを誓います」、年月日を入れて、氏名を書いて判を押すようになっています。この宣誓書には「全体の奉仕者として誠実公正に職務を執行することを誓います」とあるが、先ほど申し上げましたように、ある小学校の卒業式、また中学校の先生の配布した文章等々、このような行為は宣誓書に反していないのか、お聞かせいただきたいと思います。今後もこのような行為があっても見て見ぬふりをしていくのか、どのように指導していくのか、お示し願いたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 町田議員にお答え申し上げます。
 知事に五期当選させていただき、過分なお言葉をいただいたわけでございますけれども、心から感謝申し上げますとともに、開会日に当たって私も五選知事としての決意を表明させていただき、身の引き締まる感じをいたしております。
 また、ただいまご指摘ございました身辺整理の問題等につきまして、仕事の問題等についても十分配慮していかなければならないと思っております。
 それから、近畿の中で最古参知事になったではないか、もっとリーダーとして頑張れということでございまして、その意を体し、近畿には今、関西空港、ベイエリア、国土軸等、諸問題がございますが、お話のように責務を感じつつ努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、関西国際空港でございます。
 これにつきましては、全体構想実現のために議会の皆さんと一緒になって取り組んでおりまして、このたびの六次空整においては「その推進を図るために調査検討を進める」と国の計画において正式に決定されたわけで、意義深いものであるとともに、またご指摘の点も含めて幾つかの課題が残されておりますけれども、関係団体とともに、県議会の皆さんのご支援を得て努力していきたいと思っております。
 次に、空港建設のメリットを生かす問題でございますけれども、特に府県間道路の推進はもちろんのこと、近畿自動車道や紀淡海峡ルート等、本県に関連する広域交通体系の整備を加速度的に進めてまいりたいし、またマリーナシティ等のプロジェクトの推進、さらには企業立地等、関西国際空港の持つ大きな波及効果を生かしてまいりたいと思っております。
 特に、県民の利便性の向上、産業振興、国際交流促進の観点から、関西国際空港立地に伴う波及効果を県勢の活性化のために積極的に活用するように作成している関西国際空港関連地域整備計画を今後とも着実に進めてまいる所存でございます。
 それから、南北格差の問題でございます。
 所見を申し上げる前に、ご理解いただいているところでございますけれども、本県は我が国の中でも一番広大な半島地域でございます。この半島地域のハンディキャップを克服するために、皆さんとともに施策の推進に最大限の努力を講じてきたところでございます。そうした努力が半島振興法の制定によって大きくクローズアップされたわけでございます。また、それとともに六十一年度に長期総合計画においてテクノ&リゾート計画を策定しておりますが、これを積極的に推進してまいります。
 また一方、懸命に取り組んでいる関西国際空港の開港により、和歌山県を取り巻く社会経済情勢はかつてない大きな飛躍への絶好の機会を迎えていると思います。
 こうした時期を的確にとらえて和歌山の時代とするためには、何といっても半島性という立地条件から三つの大きなプロジェクトを推進していかなければならないと思っております。一つ目は関西空港、二つ目は近畿自動車道の南伸、三つ目は南紀白浜空港のジェット化整備でございまして、これら高速交通機関の早期実現がキーポイントになると思っております。この核的なプロジェクトを最大限に活用した産業の振興、地域の特性を生かしたふるさとづくりを進めることによって、県民一人一人が真に豊かさを実感できる各種施策の推進を図っていかなければならないと思っております。
 特に紀南につきましては、先ほど申しました白浜空港の問題、近畿自動車道の南伸を最高度に生かさなければならないわけでございまして、過日決定した高速道路の整備計画、基本計画を推進するのは、一にかかって政治であり、国に対する要望と地元の熱意だと思います。用地確保の問題が最大の課題でございますので、そうした点において、地元の皆さんの格段のご協力をいただかなければなりません。そしてまた、交通網の整備によって燦黒潮リゾート構想の推進を図り、我々のすばらしいふるさとを全国に知らさなければなりません。さらに交通網の整備につきましては、道路だけではなしに空と海、道路においても高速道路だけではなしに農免道路、林道といったあらゆる道路網の整備も図ってまいりたいと存じております。そうした面について、私もなお積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 財政問題は、総務部長から答弁いたします。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 南北格差問題についてお答えを申し上げます。
 本年三月に策定・公表した第二次中期実施計画におきましては、県土の均衡ある、そして各地域の特色ある発展を図る観点から、新たに定住圏別の基本方向、整備方向を示しました。紀南地方のさらなる発展のために、関西国際空港の開港、南紀白浜空港のジェット化整備、近畿自動車道の南伸という核的プロジェクトのインパクトを最大限活用した諸施策を全庁挙げて、従来にも増して積極的に取り組んでいるところでございます。
 まず御坊定住圏におきましては、関西国際空港と南紀白浜空港の中間に位置し、かつ近畿自動車道の整備が加速的に展開・進展していることから、まさに両空港の臨空都市圏となるわけでございます。こうしたインパクトを最大限生かすため、重要港湾日高港の整備を促進するとともに、県下第二の日高平野を有するという特性を生かした都市近郊型農業としての生産供給体制づくりやJR御坊駅周辺の新市街地の整備などを図り、農業、工業が融合する地域づくりを進めているところでございます。
 次に田辺定住圏についてでございますが、紀南における空の玄関口である南紀白浜空港のジェット化整備や、それにリンクして進展する近畿自動車道の南伸は、まさに紀南の中核圏域としてその役割が高まってきたところでございます。これらのインパクトを最大限生かした施策を盛り込んだ南紀JET計画が昨年四月に国において承認されたところでございます。この計画は、リゾート、観光基地の整備の推進にあわせ、従来の観光空港としての役割とともに、貨物の航空輸送、さらに全国高速航空ネットワークの活用にも重点を置き、研究開発型先端産業の誘致の推進や高付加価値品目の産地づくりなど、紀南臨空都市圏の形成を目指しているところでございます。
 最後に新宮定住圏につきましては、中京圏域をも視野に入れる中で、三重、奈良との有機的な結合の強化と、熊野の貴重な自然と熊野古道などの歴史文化遺産、良質な温泉などの地域資源の十分な活用による地域おこしや若者を初めとした定住のための企業誘致、並びに農林水産業、さらには地域産業の振興などを図り、地域の特性を生かしたふるさとづくりの形成に向けて、中期実施計画においても新宮新都市基盤の整備、熊野自然歴史文化回廊の整備を本県の主要プロジェクトとして位置づけて取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えいたします。
 近畿自動車道紀勢線の今回計画が出た区間の見通しというお尋ねでございます。
 議員ご発言のとおり、この第二十九回国幹審において、それぞれ基本計画あるいは整備計画が追加をされたところでございます。これも、ひとえに県議会議員の皆様並びに関係市町村のご支援のたまものであります。心から感謝を申し上げます。
 さて、供用までの期間についてでございます。
 まず、基本計画から整備計画へという段階がございますが、これには環境アセスメント等を行った上で国幹審の議を経る必要がありますので、今のところ、次の審議会がいつ開催されるかというようなことは不明でございますけれども、例えば御坊─南部間が整備計画に格上げされるまで三年弱を要しております。
 次に、整備計画が決定いたしますと、国から道路公団に対して調査命令が出されます。そして公団が詳細な調査を行い、その結果、公団に対して施工命令が発せられ、事業化となるわけでございますが、この間、通常二年程度を要しておるのが実態でございます。
 次に、事業化されてから用地、工事と進み、供用という段階を迎えるわけですが、全国をざっと平均的に見ると約十年程度というのが実態でございます。この期間というのは、用地買収あるいは文化財調査、さらには予算等の諸条件により大幅に異なっておりますが、要は用地をどれだけ早く取得できるかということでございまして、まさに地元の協力が非常に重要となる段階でございます。県といたしましても、地元地域の協力のもと、さらに地元自治体と協力して、できるだけ早く供用を実現すべく全力を挙げてまいりたいと思います。
 一方、国においても、高速道路の早期整備というのは非常に重要な課題だと考えておりまして、二十一世紀初頭までに、この近畿自動車道紀勢線等も含め、全国の高規格幹線道路一万四千キロの全線完成を図りたいとしております。
 さらに、本年八月の来年度の建設省から大蔵省への予算要求の中では、新宮市から那智勝浦町間が国道四十二号の自動車専用道路のバイパスとして新規要望をされたと聞いております。もしこれが認められれば、実質的には県民の長年の悲願であった高速道路の県内両端着工ということが実現することとなり、全体の早期整備に弾みがつくものと期待をいたしております。
 いずれにいたしましても、今後とも県内の高速道路の早期整備に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 財政問題数点についてお答えを申し上げます。
 まず、基金の問題でございます。
 基金につきましては、本県のように税収構造が経済の好不況に影響されやすい不安定な状況のもとで財源の年度間調整を行う必要がある、また県債残高がここ数年増大をしており、今後も大きなプロジェクトの本格化に伴って多額の起債の発行を余儀なくされているという状況の中で、福祉、教育といった政策的経費の調達に支障を生じないように、より弾力的な財政運営を行っていくために必要なものでございます。
 県が保有している基金の残高は、平成二年度末で一千百五十三億円となっております。このうち、主なものとしては、県債管理基金が五百五十一億円──この中には、過去に発行した財源対策債の償還に備えて地方交付税の前倒しで交付をされる分、三百十七億円が含まれております。また、土地開発基金、文化施設等整備基金、あるいは医科大学整備基金等の特定目的基金が四百五十六億円ございます。
 今後、県が進めていくこれらの基金に関連をする主要な事業を見ましても、例えば図書館で約九十五億円、美術館・博物館で約百七十億円、医大の移転整備には、現段階の数字でございますが、約五百五十億円という財源が必要となるものと見込まれております。さらに、県債残高が平成二年度末で二千六百八十四億円あり、その償還に毎年約三百億円要している状況にございます。
 こういった財政事情から見ましても、基金をため込み過ぎているといった批判は当たらないと私どもは考えております。
 いずれにいたしましても、これらの基金は、本県が今後遂行していかなければいけない各般の施策を財政負担の平準化を図りながら計画的に実施していけるように積み立ててきたものであり、今後とも、こういった基金を有効に活用しながら諸施策の積極的な展開を図ってまいりたいと考えております。
 次に、平成三年度の県税収入の見通しについてでございます。
 当初予算額一千三十一億円の四〇・七%を占めている法人二税で、不透明な景気の先行きを考慮して、予算編成段階で前年度の当初予算額を三・七%下回る額を計上いたしましたが、業種別に見ますと、鉄鋼関連法人が前年実績に対して大幅に落ち込んでおります。また、小売卸、証券、不動産、サービスといった業種でも、前年実績を割り込んでおります。一方、石油関連法人とか建設業、食料品等製造業、化学工業、運輸通信業等は順調な伸びを示しております。法人二税全体といたしましては、十月末で当初見込み額をやや下回る厳しい状況となっております。
 また、県民税利子割につきましては、十月末の実績で当初予算で見込んでいた程度の伸びを示しておりますが、最近の預金残高の伸び率の鈍化、金利の引き下げの影響等を懸念いたしております。
 一方、個人県民税でございますが、平成二年中の個人所得の伸びを反映して好調な実績を示しております。さらに、特別地方消費税、自動車税、軽油引取税といった税目でも順調に推移をしております。
 こういった状況の中で、県税全体といたしましては、現計予算は何とか確保できるものと考えておりますが、経済情勢が先行き不透明な中で、特に法人二税、県民税利子割の税収動向から予断を許さない厳しい状況にございます。
 来年度の県税収入でございますが、現在、関係企業に対しては業績見通し等の照会を行うなどして見積もり作業を行っているところでございます。具体的な数字でお答えをするのは困難でございますが、ただいま申し上げたような今年度の県税収入の動向とか経済状況から判断いたしますと、来年度の県税収入は非常に厳しい状況に置かれ、ほとんど伸びが期待できないのではないかと考えております。
 さらに、地方交付税の問題でございます。
 国の地方財政対策の概要が明らかにされていない現段階で確かなところをお示しすることは困難でございますが、最近の国税収入の動向を見る限りでは、地方交付税の対象税目である法人税や所得税に陰りが見え始めておりますし、地方交付税率引き下げ等の動きもあり、来年度の地方交付税を取り巻く環境は極めて厳しいものになっております。
 本県にとりましても、地方交付税の動向が来年度予算編成を行う上での極めて重要な要素となるわけでございまして、国の動向を引き続き注視するとともに、その総額の確保についても、今後とも機会あるごとに国に対して強く要請をしてまいりたいと考えております。
 最後に、中長期的な展望に立った財政運営についてのご指摘でございます。
 南紀新空港、あるいはマリーナシティ、図書館・美術館・博物館等の建設が本格化してきております。さらに医科大学の移転整備、和歌山操駅跡地に予定している福祉保健施設の建設等、本格事業化を控えた施策も多く、今後、これらのプロジェクトが完成するまでの間、毎年度多額の財源を要することから、ご指摘のございました中期的展望に立った財政運営が大切であると考えております。
 平成四年度予算におきましても、これまでお答え申し上げましたように、県税、地方交付税を中心に、特に歳入面で今までにない不透明な要素がある中で、第二次中期実施計画の着実な推進を図りながら県勢進展のために主要事業に係る事業費の的確な把握を行い、基金の有効活用による年度間の財源調整等、できるだけ計画的な財政運営が可能になるように努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校週五日制と国旗・国歌の指導についてお答えいたします。
 学校週五日制の問題につきましては、県教育委員会としては、子供が自由な時間を使ってゆとりと生きがいを持って学習するとともに、遊びや自然との触れ合い、奉仕活動等の体験を通じて豊かな人間性や社会性、自立心を身につけ、二十一世紀の我が国を担うたくましい人間を育成するという観点に立った子供中心の新しい教育のあり方としてとらえてございます。
 こうしたことから、学校教育はもとより、家庭教育や社会教育等にもかかわる重要な課題として受けとめてございます。
 現在、教育委員会内に学校週五日制検討委員会を設置し、この問題については、土曜日を単に休業日にするということではなく、月曜日から金曜日までの学校教育をいかに充実させるか、また地域社会及び家庭における青少年教育はどうあるべきかといった観点から、さまざまな課題について検討を進めているところでございます。
 具体的には、授業日数の減少による学力低下の問題、あるいは子供の塾通いや非行化に対する不安、学校外における子供の活動の場の確保、障害を持った子供たちの地域活動への参加の促進などの課題がございます。そのため、学校週五日制の実施時期、週時間割り等の工夫による授業日数及び時間数の確保、特別活動の充実、また地域社会における奉仕活動への参加や保護者の就労状態への配慮等について検討するとともに、父母、県民の声を聞き、理解を得られるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、国旗・国歌の指導につきましては、学習指導要領において、国際化の進展等を考慮し、国を愛する心を育てるとともに、国際社会において信頼される日本人を育成する観点からその指導が義務づけられ、児童生徒の発達段階に即して音楽等の教科や特別活動において学習しております。
 県教育委員会といたしましては、県下各地での伝達講習会などを通じて、国旗・国歌の実施が円滑に行われるよう指導してきたところであります。しかし、一部の小中学校にあっては、実施に対する取り組みについて不十分さが見受けられるのは事実でございます。こうした学校に対しては、地方教育事務所や市町村教育委員会と連携しながら完全実施に向けて指導しているところでございます。
 教育は人格の形成を目指すものであり、卒業式は児童生徒の人生における大きな節目であると考えてございます。ご指摘の小学校の卒業式については、その直後、町教育委員会が学校を指導し、その後の入学式においては厳粛に実施されたとの報告を受けております。また、中学校において一教員が配布したチラシにつきましては、国旗・国歌の指導に反対する一方的な考えで貫かれていると受けとめられます。
 教職員は、宣誓書の趣旨はもとより、教育公務員としての責務を深く自覚し、全体の奉仕者として職務を遂行することが当然であり、その姿勢を正すよう指導いたしているところでございます。
 さらに各学校で研修を重ね、国旗・国歌の意義を児童生徒に十分に理解させるための論議を尽くすとともに、個人の思想信条と公教育の場での指導は別であることを明確にし、実施内容の面でも充実を図る必要があると考えてございます。
 今後とも、教職員が豊かな知見とすぐれた指導力を発揮し、父母、県民の期待にこたえられるよう一層指導を強化してまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 13番町田 亘君。
○町田 亘君 総務部長に要望申し上げたいと思いますが、先ほど基金についてのご説明をいただきました。我々ここで議会におる者は理解できるのですけれども、この前の知事選挙のときに共産党が、福祉を切り捨てて不正にため込んでいるというような意味のことをずっとマイクで叫び、県下くまなく回っておりました。県民にとっては、先ほど申し上げたように理解しにくいという点もあります。
 ですから、「県民の友」にでも載せて、基金というのはこういうものなんだ、こういう大切なものだということぐらい県民に知らせてほしいということをお願いしまして、終わらせていただきます。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で町田亘君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、財政問題についてお尋ねをいたします。
 我が国経済は、ここ数年、堅調に推移してきましたが、バブル経済の崩壊により、大型景気を支えてきた民間設備投資の伸びが急速に鈍化し、十一月の経済企画庁の法人企業動向調査によると、平成三年度の投資計画は五十一兆二千億円で対前年比四・八%増と、五年ぶりに一けたの伸びにとどまる見通しとなり、政府経済見通しの七・九%を大きく下回る予測となりました。また、底がたかった消費も減少に転ずるなど、景気の減速傾向が強まってきております。
 日銀は、景気をてこ入れするねらいで公定歩合を本年七月に〇・五%、さらに十一月に〇・五%と二回の利下げを行い、公定歩合を五%まで引き下げ、景気の下支えを目指しております。
 国では、この景気減速により、法人税の大幅な減収になる公算が強く、今年度税収が予算割れする可能性が強まってきており、さらに来年度予算編成の概算要求に対して、歳入の推計では約二兆二千億円程度の財源不足が生じると言われております。このため大蔵省では、地方交付税率の見直しを初め、湾岸支援のための法人臨時特別税二・五%の継続や自動車の消費税率六%の継続、たばこ税の引き上げなど、税収増への案が検討されているところであります。
 本県でも県内景気は減速傾向を強めてきており、県税の対前年度伸び率は、平成元年度が一二・四%増で四十七都道府県中第一位、二年度は一二・一%増で同五位と好調でありましたが、今年は法人事業税などの落ち込みが響き、八月末現在で課税額六百八十二億七千八百万円となり、伸び率四・四%で第四十二位に落ち込んでしまいました。このため、年間収入額が過去三年間連続して増加してきた法人事業税が本年度は減収の可能性もあり、さらに平成四年度も厳しい状況が予測されるところであります。
 仮谷知事は、平成三年度は一般会計で四千五百十三億四千二十一万八千円、六・八%増、特別会計で六百九十六億七千九百九十七万六千円、四・一%増、企業会計百六十六億二千九万五千円、三・二%増の予算を計上し、諸施策の実行に当たっているところであります。五期県政のスタートの年となる平成四年度の予算編成に当たっては、知事選で公約された「のびゆく県土づくり」、「すこやかな社会づくり」、「やさしい生活環境づくり」、「こころ豊かな人づくり」、「たくましい産業づくり」という政策目標を達成するため、予算編成要領に基づいて四年度の予算編成に当たられているところであります。
 本県においては、今日までの順調な税収の伸びにより予算規模も拡大されてきましたが、国の財政の深刻化と景気減速の今日、知事は平成四年度の予算編成方針並びに四年度の重点実施施策をどう進められるお考えか、お尋ねいたします。
 また、減速傾向を強める本県の地場産業に対する対策を新年度予算にどう計上するのか。
 以上二点、知事にお尋ねをいたします。
 次に、総務部長にお尋ねいたします。
 一、平成三年度は県税及び諸収入の自主財源として一千六百七十一億九千九百七十八万六千円が計上されておりますが、県民税三百六十一億円、法人事業税三百七十七億円など、自主財源の歳入確保についてはどうか。
 二、平成四年度の本県の財政規模及び税収見通しはどのように考えているのか。
 三、大蔵省が平成四年度予算編成の中で地方交付税交付金の大幅削減を行う旨を明らかにし、国が三年度に実施した特例減額五千億円を大幅に上回る一兆五千億円の特例減額を実施する一方で、制度面でも国と地方の財源調整策として、今後は地方交付税率の圧縮をも検討する考えを示しております。そこで、平成四年度の交付税削減と今後の交付税率の圧縮についてどうなるのか。また、地方財政の健全化のため本県はどう対応されるのか。
 四、さらに消費譲与税については、現行消費税収入の十一分の六が都道府県に、十一分の五が市町村に譲与されております。これに対して国は譲与制限を検討するとのことでありますが、どのような見通しか。
 以上四点、総務部長にお尋ねをいたします。
 次に、関西国際空港の全体構想の推進についてお尋ねいたします。
 去る十一月二十九日、国の第六次空港整備五箇年計画が閣議決定されたことにより関西国際空港の全体構想が大蔵省を含む各省庁で正式に認められたことは、本県にとっても大変喜ばしいことであります。六空整における関西国際空港の全体構想の位置づけは、「関西国際空港の全体構想について、その推進を図るため調査検討を進めるとともに、事業の健全な経営と円滑な実施を図るための措置に関し、関係者間で具体的方策を確立する」となっております。これは、平成二年八月に行われた航空審議会の六空整の中間取りまとめで打ち出された「二本目の滑走路を二期工事として本格的な調査を行い、地元負担のあり方、開発利益の還元などの方策を確立する条件をクリアすれば事業着手に移行する」という趣旨が認知されたものと理解するものであります。
 関空会社の服部社長は、全体構想の実現に向けて国とともに必要な調査検討を積極的に進めるとともに、関係者間で具体的方策が確立されるよう努めていきたいと述べております。仮谷知事も、十二月県議会冒頭のあいさつで、関西国際空港の全体構想が閣議決定により正式に位置づけられたことは大変意義深いことであると述べられ、まだ幾つかの課題も残されているが、早期実現に向けて努力する旨の表明がありました。
 そこで、いよいよ本格的な全体構想の推進に当たって、その事業費が当初の予定で二兆一千億円と算定されていましたが、一期工事において、昨年十二月に一兆六百七十六億円から一兆四千三百億円に増額されながら、旅客ターミナルビル建設工事で両ウイングの約四割をカットせざるを得なかったことなどを考慮すると、三兆円を上回る事業費になるのではないかと予測されております。
 国は全体構想の推進について中間取りまとめで、一、事業費の抑制、二、地元負担のあり方、三、開発利益の還元等を含めた事業の健全な経営を図るための措置を求めています。
 そこで、知事並びに企画部長にお尋ねをいたします。
 一、第二期工事を進めるに当たって、改めて事業主体のあり方がどうあるべきか、国の第一種空港として国がやるべきか、公団方式を採用するのか、第一期工事同様、第三セクターでやるべきか、議論しなければならないと思うわけであります。本県は、二期工事の事業主体のあり方についてどのような見解で臨まれるのか。
 二、事業主体が第三セクター方式で進められるとすれば、地元負担のあり方は、六空整において大阪国際空港の存続、神戸空港、びわこ空港の新設が位置づけられた環境の中で、一期工事と同じ負担が可能なのか、危惧されるところであります。地元負担に対する県当局の見解をお尋ねいたします。
 三、開発利益の還元については、まずりんくうタウン等を建設した大阪府が開発利益の還元を図るべきと考えるわけでありますが、本県においても、土取り跡地のコスモパーク加太などが開発利益を受けたとして還元の対象とされかねません。当局は開発利益の還元にどう対応されるのか。
 以上三点、知事にお尋ねをいたします。
 次に、企画部長にお尋ねいたします。
 一、一期工事の事業費が約四千億円増額されたことにより、本県においても応分の負担増をしていく旨の答弁が県議会でもなされてきていますが、平成四年度以降の負担はどうなるのか。
 二、空港の旅客ターミナルビル建設で、当初、ウイングが南北六百八十メートルと計画されていたものが、契約締結の段階で、事業費の都合により約四割カットされてきました。これに対して、この十二月に入り、大阪府と大阪市が関空会社にウイングカット分の建設費約二百億円を貸し付ける形で資金援助を行い、その復活を目指しております。ウイングの復活は、当然、国との協議になると考えられますが、復活の見通しと本県への財政的影響はどうか。
 三、全体構想の推進のための調査費が昭和六十三年度から運輸省一千万円、関空会社一千万円、計二千万円で三年間、平成三年度は両者で八千万円が計上され、航空需要予測、空域、飛行経路、土質、収支採算などの調査を行ってきています。平成四年度は、本格的調査費への第一段階となる四百メーター級のボーリング調査を含めた六億円の概算要求がなされておりますが、予算獲得への見通しはどうか。
 以上三点、企画部長にお尋ねをいたします。
 次に、コスモパーク加太及び土取り採取事業についてお尋ねをいたします。
 県土地開発公社が事業主体となり、和歌山市加太地域百四十ヘクタールで進められてきた土砂採取事業も、関係者の方々のご努力で、第一期工事に続いて第二期工事も本年十二月をもって完了する運びとなりました。土砂採取量については、埋立地盤が思ったほど圧縮しなかったため、空港埋め立て用土砂が計画の予定量から五百万立方メートルも下回る見通しとなってきております。本県においても土砂採取量は、当初予定の六千五百万立米に対して最終六千四百三十万立米の搬出となり、予定量を約七十万立米下回るとのことであります。この結果、県土地開発公社において八億五千万円近い収入不足が生じるのではないかと心配されております。
 今後、県土地開発公社は、土取り跡地百四十ヘクタールと山林百三十ヘクタールに対する跡地整備事業及び粗造成を行うことでコスモパーク加太の二百七十ヘクタールを造成する計画とのことであります。
 コスモパーク加太計画については、昭和六十年に加太地域開発整備推進協議会で、加太地区の恵まれた立地条件を生かしてリゾート、コンベンション、研究開発、居住等の機能を持つ複合都市コスモパーク加太を建設する計画が発表されました。その後、インテリジェントの指定を平成元年一月に受け、さらに整備基本計画の承認を平成二年七月に受けているところであります。また、コスモパーク加太を具体化するために推進機構を平成二年十一月に設立し、事業主体や土地利用計画及び施設立地計画の策定を三年度中に完了させるべく努力しているところと伺っております。
 本年三月に、和歌山県の長期総合計画の第二次実施計画で、土地区画整理事業として事業主体を四年度に決定し、一部分譲を四年度から開始する旨を発表しました。これを受けて五月、推進機構においても、事業手法として土地区画整理方式を採用する方針を出し、現在検討がなされているところであります。しかし、空港埋め立て用土砂が計画量を下回ることにより、跡地の利用面積の縮小や収支計画の変更などの影響が出るのではないかと言われております。
 私は、コスモパーク加太の土地二百七十ヘクタールが本県にとって極めて重要な土地になると思っております。今後、関西国際空港の開港、大阪湾ベイエリア構想など、いずれも加太が重要な位置にあります。それゆえ、速やかなコスモパーク加太計画の推進を願うものであります。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 一、土砂採取事業が十二月に完了するわけでありますけれども、土砂採取量が下回る見通しであるが、県土地開発公社の同事業の収支はどうか。
 二、土取りの完了に伴い、隣地との境界確認を行って約二百七十ヘクタールの土地の確認が必要でありますが、平成三年度内の土地確定と利用面積の縮小はないか。
 三、推進機構において土地利用計画及び施設立地計画を三年度中に策定するとのことであるが、どうか。
 四、コスモパーク加太の平成四年度一部分譲についてはどう取り組まれるのか。
 以上四点、企画部長にお尋ねいたします。
 次に、和歌山マリーナシティ建設事業についてお尋ねをいたします。
 国民の余暇時間の増大に伴い、そのライフスタイルが多様に変化する今日、本県では関西国際空港の開港にあわせ、国際リゾート都市和歌山マリーナシティの建設を目指しているところであります。同建設計画は、ご案内のとおり、和歌山市毛見地先の公有水面を四十八・三ヘクタール埋め立て、水域面積十六ヘクタールと合わせて約六十五ヘクタールにレクリエーション施設、埠頭施設、国際交流文化施設を建設し、国際的な海洋性レクリエーションコンプレックスの創造を目指すものであります。この建設は、昭和六十三年八月に公有水面埋立免許出願を行い、昭和六十四年一月、埋立免許を取得し、その後、平成元年十二月に七・一ヘクタールの埋立権の一部譲渡を和歌山マリーナシティ株式会社に行うことで、運輸省、県、和歌山マリーナシティ株式会社がそれぞれ事業を分担し、建設に当たっているところであります。工程計画は、埋立地の第一工区二十七・二ヘクタールは平成三年度末完成、第二工区二十一・一ヘクタールは平成五年度末完成を予定しているとのことであります。
 同事業の埋立免許出願図書によりますと、処分計画では公共用地、埠頭用地以外は松下興産株式会社に譲渡することになっています。この譲渡については、既に県当局は平成二年三月二十七日に松下興産株式会社と施設用地三十一ヘクタールを二百三億円で売却する契約を締結しており、平成元年、二年は各二十億円、三年度から五年度は各三十億円、計百三十億円を県が受け取り、完成引き渡しの後、最終決済を行う契約内容と伺っております。
 そこで、第一工区二十七・二ヘクタールは平成三年度末に竣功する運びですから、県当局は速やかに竣功認可を行い、埋立地の所属すべき市町村に対し、地方自治法第九条五項により公有水面埋立地の確認を求め、当該市町村は同法二百六十条一項により字の区域の変更を行って県知事あて届け出を行い、県より告示された後、初めて埋め立てによって新たに生じた土地の登記ができることになると伺っております。
 最近、大変残念なことに、和歌山マリーナシティの帰属をめぐって和歌山市と海南市が争う状況となっております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 和歌山マリーナシティの帰属については、埋立免許出願の経緯や海南港第二工区埋め立ての帰属に関する協定書及び覚書から見ても、当然、和歌山市に帰属すべきものと私は信じています。知事の速やかで明快な対応を望むものでありますが、どう対処されるのか、お尋ねをいたします。
 さらに、この問題が速やかに解決しなかった場合、本県に対するイメージは損なわれてしまうのではないかと心配するものであります。国、県、第三セクターが協力して進めてきたビッグプロジェクトが、民間との争いではなく地方公共団体間の争いで事業に支障を来すようであればまことに残念なことであり、他の多くの本県のプロジェクトに対しても障害にならないのかと危惧するところであります。とりわけ、和歌山マリーナシティを主会場に開催される世界リゾート博を二年半後に控え、運営に支障が生じないものか、あわせて知事にお尋ねいたします。
 次に、第一工区二十七・二ヘクタールが三年度末に竣功いたしますが、うち九・九ヘクタールについては売買契約に基づいて速やかに松下興産株式会社に引き渡しを行い、世界リゾート博に向けて必要な施設の建設に取りかかっていただくことを願うものであります。第一工区の竣功による竣功認可と松下興産株式会社への引き渡しはどう進められるのか、土木部長にお尋ねをいたします。
 次に、和歌山マリーナシティの帰属について関係がありますので、二点、確認の意味でお尋ねをいたします。
 現在、第一工区二十七・二ヘクタールについて、上下水道工事が企業局において進められているところであります。まず、水道工事に関してですが、昭和六十二年五月に和歌山マリーナシティの計画発表があり、その後、県と和歌山市水道局との給水協議で、その使用水量を日量五千二百立方メートルと定め、和歌山市水道局より給水することを決定しました。そして和歌山市は、旭橋の水管を四百ミリから五百ミリに変更し、事業費も二億二千七百万円上乗せして九億四千万円で工事を行ってきております。一方、県企業局は給水協定に従って、現在、毛見一号橋に水管四百ミリを設置しているところであります。
 そこで、県は和歌山マリーナシティに水道を布設するため、和歌山市水道局と給水協議をされ、給水を受けるための工事を行っていますが、そのとおりかどうか、お答えください。
 次に下水道工事に関してですが、和歌山市は平成二年十二月七日に公共下水道区域千七百七十ヘクタール分を拡大する都市計画決定を行いました。この千七百七十ヘクタールには、マリーナシティ分四十八ヘクタールが含まれております。そして、和歌山市は平成二年十二月十三日に下水道事業法に基づく事業認可を受け、和歌山マリーナシティの下水処理を行うための公共下水道事業を開始、平成六年度完成を目指しているところでありますが、そのとおりか、お答えください。
 次に、学校週五日制についてお尋ねをいたします。
 学校週五日制については、教育課程審議会が昭和六十二年十二月に「社会一般における週休二日制が普及、拡大しつつあり、この傾向は今後さらに進むことが予想される。したがって、学校週五日制の問題は、幼児・児童・生徒の学校内外における生活に十分配慮しながら漸進的に導入する方向で検討するのが適当である」との答申を行いました。さらに留意点として、一、教育水準の維持の問題、二、児童生徒の学習負担の問題、三、家庭や地域社会における幼児・児童・生徒の生活環境や生活行動についての対応の問題、四、年間授業日数及び年間授業時数の取り扱いの問題の四点を挙げ、実験学校を設けるなどして調査研究を進め、結論を出すのが適当であるとの方向を示しました。そして昭和六十三年五月に、経済運営五カ年計画の労働時間の短縮の中で、学校の週五日制については国民の理解のもとにできるだけ早期に実現するよう努力するとの方針が閣議決定されました。
 こうした諸情勢を踏まえ、文部省は平成元年八月に調査研究協力者会議を発足させ、調査研究協力校を九都県に六十八校設定し、平成二年度から二カ年間、学校の週五日制を月一回または二回試行しているところであります。
 本年八月の人事院の完全週休二日制に関する報告で、現在、所管省庁において検討が進められている学校週五日制の問題については、学校週五日制の調査研究校からの報告を踏まえ、平成三年度末までに結論が出される予定であるとの報告がございます。また文部省は、学校週五日制の試行を、現在の六十八校から平成四年度は二百三十五校にふやす方針とのことでもございます。
 こうした学校週五日制導入の高まりの中で文部省の辻村高等学校課長は、十一月の全国普通科高校の校長会で、学校週五日制に関する調査研究協力者会議の検討作業について平成四年度の半ばから月一回という形で着手する方向でまとまりつつあると述べ、同会議が来年二学期からの実施を打ち出すとの方針を明らかにし、各学校で休業となる土曜日をどのように扱うか具体的に検討してほしいと要請したとのことであります。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、本県における学校週五日制の平成四年度試行等導入について、どう取り組まれるか。
 二、学校週五日制の導入による年間授業日数及び年間総授業時数の確保については、桐蔭高校では四年度から現行の三学期制を廃止し、前・後期の二学期制を導入することで約二十日間の授業日数増を図る方向のようでございますが、現在、中学校、高校において私学志向が高まる中で公立学校における授業日数、授業時数の確保をどうされるのか。
 三、教育水準の維持と学習負担をどう調整されるのか。
 四、休日となる土曜日に対する対応はどう考えているのか。
 五、学校週五日制に対して、今日まで六日間で教育してきたことを五日間で行い、新しい一日を子供たちのために生かしていくのだとの発想の転換が教師に必要だと思いますが、どう対応されるのか。
 以上五点、教育長にお尋ねをいたしまして、第一回目の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 来年度の予算編成方針と重点施策についてでございます。
 ただいま編成作業を行っている段階でございますけれども、お話ございましたように、財政事情が非常に厳しい状況にあります。また、私は過日の選挙において五つの公約をしたわけでございまして、その公約の推進のために全力を尽くしていかなければならないと考えております。特に、交通や産業といったハードの基盤整備と福祉、健康、教育、文化といったソフト施策の両面にわたり、限られた財源を効率的に配分するよう努めてまいらなければならないと考えております。
 こうした考え方のもとにおいて、平成四年度では公共事業予算の獲得に努め、交通基盤整備の促進を図るとともに、また教育文化施設の着実な建設整備、さらにきめ細かな福祉施策の推進にも十分意を用いていくほか、県民生活環境整備重点化枠を設けることによって生活関連社会資本の一層の整備に努める等、真に豊かさを実感できるふるさとづくりを基本とした施策を実施してまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、平成四年度の予算は、交付税措置のある起債や各種基金の活用等、これまで以上に創意と工夫を凝らし、既存事業の徹底した見直しと優先順位の厳しい選択を行いながら多様化する県民ニーズにこたえるべく、重点主義をもって予算編成を進めてまいりたいと思っております。
 次に、減速傾向の地場産業に対する平成四年度の対策やいかんという問題でございます。
 来年度の地場産業の振興策といたしまして、産業基盤の強化、技術開発、融資制度及び需要開拓を大きな柱と位置づけ、頭脳立地構想の推進、工業技術センターの再編整備、また和歌山テクノ振興財団の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
 また、減速傾向にある企業につきましては、国において現在検討中の地域中小企業の創造的発展の促進に関する法律が制定されたならば、本県においてもそれができるように国に強く要望してまいる所存でございます。
 今後とも、社会経済の変化に対応した、創造的な、たくましい地場産業づくりに邁進してまいる所存でございます。
 それから関西国際空港について、第二期工事の事業主体のあり方でございます。
 第一種空港につきましては、ご承知のように、当時の国の財政事情、また民間活力の導入推進策等により、第一期工事は現在の関西国際空港株式会社である第三セクター方式が採用されました。第二期工事の事業主体については、今後、空港整備法の問題を含め、関係地方公共団体、経済団体、関西国際空港株式会社とともに協議を重ねながら国に対して働きかけるなど、全体構想早期実現のために対処してまいりたいと思っております。
 次は、地元負担と開発利益の還元についてでございます。
 関西国際空港は、国において三大空港のプロジェクトの一つとして推進されております。その全体構想についても、話ございましたように、航空審議会において段階的に整備すると正式に位置づけられた空港であり、既にオール関西が一致協力して取り組んでいる国内・国際的な基幹空港でございます。
 今後、二期計画の事業主体を決めていかなければなりませんけれども、地元負担並びに開発利益の還元問題についても慎重に検討していかなければならない問題であり、私も重要な課題として把握しているところでございます。今後、皆さん方のご意見を承りながら対処してまいりたいと思っております。
 次に、和歌山マリーナシティの帰属についてどう考えるかということでございます。
 和歌山マリーナシティの帰属につきましては、ご承知いただいているとおり、昭和四十六年二月に和歌山市と海南市との間で、知事並びに関係者が立会人になって協定書、覚書が両市の合意の上で締結されております。県としても本協定、覚書が両市において十分尊重されるべきものと考えておりますが、今回、海南市長から平成三年十一月二十二日付をもって、海南市と和歌山市の境界に関する調停申請が提出されたところでございます。現在、申請書の内容、取り扱い等について所管課に検討させており、その報告を待って、過去の経過を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
 海南市長さんも、和歌山市長さんも、行政官であるとともに立派な政治家でございます。昭和四十六年二月に締結した協定書、覚書には意見があろうかと思いますけれども、当時、市長さん、議長さん、知事等が苦労して問題解決の道を模索した結果、一定の合意に達し、すべての関係者が長年それを尊重し、それをもとに行政を運営され、今日に至っておるわけでございます。今回、海南市から和歌山市へ文書で、また和歌山市から文書で回答するといった形式的な、一方的な文書のやりとりでは事務的な処理にならざるを得ません。政治家である市長さん、議長さん等が腹蔵なく理を尽くして話し合い、その真意は何かということを十分把握して糸口を探っていかなければならないと思います。
 こうした問題点に対する一つの提案として、和歌山市長さんから合併の問題も出されております。そこで、まず市長さん同士が会って話し合う。ただ、市長さん同士では、お互いに立場がある。だから、話しにくい場合は議長さん同士で会う。また、その議長さん同士が会いにくいのであれば、私が仲立ちをさせていただいて会い、解決の糸口を見出していく。お互いに話し合うということは、当面の問題並びに将来の問題等についても大きな意義があるのではないかと思っております。
 それから、世界リゾート博の運営につきましては、県はもとより、和歌山市、海南市初め各界各層を交えた世界リゾート博協会を設置し、平成六年の開催に向けて、目下全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 財政問題に関してお答えを申し上げます。
 まず、平成三年度の自主財源の確保についてでございます。
 自主財源の大宗を占めているのは県税収入でございます。その見込みでございますが、予算額千三十一億円の約四割を占めている法人二税につきましては、企業収益の低下により、石油関連法人等、一部業績が好調なものもございますが、鉄鋼関連とか証券業といった前年実績を割り込んでいる業種も一方にございます。十月末の調定の実績が前年対比九七%で、当初見込みを〇・九ポイント下回る状況になっております。
 県民税利子割につきましては、現段階では当初予算で見込んでいる程度の実績となっておりますが、金利の引き下げ等の影響といった懸念材料もございます。個人の県民税につきましては、平成二年中の所得の伸びがよかったということから好調な実績を示しておりますし、特別地方消費税、自動車税等も順調に推移をしております。
 いずれにいたしましても、こういった状況からすると、県税全体としては現計予算を確保できるものと考えておりますが、経済情勢自体が不安定要因を抱えているという中で、先ほど申し上げた法人二税、県民税利子割の税収動向からいたしますと、なお予断を許さない状況にもございます。
 また、その他の自主財源につきましては、現在、新年度予算編成の作業と並行して状況を把握しているところでございますが、予算で見込んだ額はおおむね確保できるものと考えております。
 次に、来年度の財政規模と税収の見通しでございます。
 平成四年度の財政規模につきましては、現在、予算編成の作業中であり、国の地方財政計画など地方財政対策全般にわたる概要が明らかでございませんので、現段階で確たる見通しをお示しすることはできませんが、国税、地方税ともに伸びが鈍化している状況や、国では地方交付税について減額措置を検討しているといったようなことを考えますと、本県の財政を取り巻く環境には大変厳しいものがございます。
 ただ、明年度におきましても、二十一世紀に向けてなすべき事業を着実に推進していく必要がございます。歳出面で経費の徹底した見直しに努めるとともに、歳入面でも交付税措置のある起債あるいは各種の基金等を活用するなどして種々工夫を行って、必要な財政規模は確保してまいりたいと考えております。
 次に県税収入の見込みでございますが、現在、関係企業に対して業績の見通し等の照会を行うなどの作業を行っているところでございます。国の経済見通しとか地方財政計画、本県の産業構造等を踏まえて慎重に見積もりを行いたいと考えておりますが、先ほど申し上げた税収動向や経済情勢等から判断をいたしますと、来年度においても厳しい状況に置かれ、ほとんど伸びが期待できないのではないかと考えております。
 次に、交付税の削減と地方財政の健全化に関する対応についてでございますが、まず地方交付税の減額の問題でございます。
 現在進められている国の平成四年度予算編成過程において、地方交付税の税率の引き下げも含めた大幅な減額が検討されていることはご指摘のとおりでございます。地方交付税は、地方公共団体共有の固有財源として、地方自治の根幹をなす地方の重要な一般財源でございます。各種社会資本の整備、長寿社会への対応といった、地方公共団体が取り組んでいかなければならない施策が山積をしている中で地方交付税率の引き下げが行われるということになりますと、地方の財政運営は大きな制約を受けることにもなります。
 そこで、先般、全国知事会等地方六団体が主催して地方交付税率の引き下げに反対する総決起大会が東京で行われ、本県においても、県議会のご協力もいただきながら国等に対して地方交付税の総額の確保について強く要請を行ったところでございます。本県におきましても、地方交付税の動向は明年度の予算編成を行う上での極めて重要な要素となります。国の予算編成過程における地方財政対策の動向に引き続き留意をするとともに、その総額の確保についても今後とも機会あるごとに強く要請をしてまいりたいと考えております。
 財政の健全化についてでございますが、ご指摘もございましたように、県財政を取り巻く環境が、特に歳入面の不透明さに加えて大規模事業の本格化に伴う歳出増、公債残高の累増といったことから、厳しい状況にございます。今後の財政運営に当たりましては、安定した税財源の涵養に努めるということはもちろんでございまして、交付税措置のある起債、各種基金の活用、既存事業の徹底した見直しといった歳入・歳出両面から、これまで以上に創意と工夫を凝らしていかなければならないと考えております。
 最後に、消費譲与税の譲与制限でございます。
 新行革審が一昨年の十二月に、その答申において、地方公共団体間の財政力格差を是正するために、地方交付税の不交付団体に対する消費譲与税の譲与制限の導入の検討を求めております。譲与制限の問題は、これを実施して一部の富裕な団体に集中している税源を財政力の弱い団体に回すということでございます。既に地方道路譲与税では実施をされておりますが、自治省では、消費譲与税についても来年度重点施策の中で税源の偏在に配慮しながらその検討を行うこととしております。ただ、その実施時期につきましては、次回の固定資産評価がえの状況を踏まえた上で税源偏在の是正策を取りまとめる計画であると承知をいたしております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港問題についてお答えを申し上げます。
 第一点は、第一期工事の事業費の見直しについてでございます。
 一期工事の事業費増に伴う追加出資についてでございますが、関西国際空港株式会社から出資地方公共団体に対し、これまでと同様、事業費の五%の出資要請があり、現在、出資地方公共団体間で現行負担率での追加出資に応じることで意思統一されており、自治省との調整の段階に入っておりまして、年明けには関西国際空港に関する地方公共団体連絡協議会の場で最終調整される予定となってございます。
 ご質問の平成四年度以降の本県の出資額についてでございますが、当初、事業費に対する出資額三十七億五千万円に対して事業費が一兆四千三百億円に変更されたことにより、現行比率で試算いたしますと、最終的に約十二億五千万円増の約五十億円の出資となります。このうち、今年度までに約三十三億円を出資しておりますので、平成四年度以降で約十七億円の出資となる予定でございます。
 第二点は、ウイングカット復活問題でございます。
 関西国際空港の旅客ターミナルビルにつきましては、事業費の関係から、本年四月にウイングの一部がカットされた形で発注がなされました。しかしながら、関西国際空港が国際ハブ空港としての機能を持つためにもその復活がぜひとも必要であるという観点に立って、本県としても復活を要請してきたところでございます。しかし、本年末までに何らかの結論を出さなければならないという緊急性から、申し出のあった大阪府と大阪市に対して関西国際空港株式会社が財政支援を求めているものでございます。
 今回の措置により、来年度予算編成の中で復活の議論がなされることとなりますが、資金面での裏づけがあることから、ウイング復活に向けての条件が整ったのではないかと考えてございます。
 第三点は、第二期工事の平成四年度調査費の見通しについてでございます。
 関西国際空港の全体構想の実現に向けまして、今日まで第六次空港整備五箇年計画の閣議決定への位置づけとあわせて、平成四年度の調査費の獲得に関係者の方々とともに要望活動を行ってきたところでございます。
 全体構想につきましては、六空整で正式に認められたものの、平成四年度の政府予算編成における財源見通しは近年になく非常に厳しいものがございますが、この調査費の獲得のため、東京アピール''91を初め関西が一丸となって努力してまいる所存でございます。
 次に、コスモパーク加太及び土砂採取事業についてお答えを申し上げます。
 第一点は、土砂採取事業の収支についてでございます。
 土砂採取事業につきましては、本年十二月十二日に搬出を終了する予定でございますが、なお防災工事等の残事業がございますので、それらを含め、年度内に完了する予定でございます。収支については、現在精査中でございますが、土砂売却収入額としては約八百億円と見込まれております。
 なお、土砂搬出土量が計画の九九%、六千四百三十万立方メートルとなり、約七十万立方メートル減少することとなります。この結果、約八億五千万円の収入減となりますが、一方、ランニングコスト等支出面において約四億二千万円の減少がございますので、差し引き約四億三千万円の減収となる見込みでございます。
 第二点は、土取り跡地の土地の確定等についてでございます。
 コスモパーク加太開発区域の土地確定のための外周測量につきましては、できるだけ早期に完了いたすべく、鋭意努力いたしているところでございます。
 また、関西国際空港島埋め立て用土砂の搬出量につきましては、先ほどご答弁申し上げたように若干の土量減がございましたが、跡地利用面積に影響が出ないよう、土砂搬出施工工程において土量調査をしながら工事を行ってまいったところでございます。
 第三点は、土地利用計画等の策定についてでございます。
 コスモパーク加太計画の推進につきましては、県、市、県土地開発公社並びに民間企業十四社によるコスモパーク加太開発推進機構を設立し、土地利用計画等について協議を重ねてまいっているところでございます。
 コスモパーク加太計画は、和歌山県、和歌山市の将来にとって非常に重要なプロジェクトであります。当初、本年夏ごろを目標に土地利用計画づくりを進めてきたところでございますが、最近の経済情勢の急激な変化もあり、現在、今後の見通し等も含め、慎重に検討しているところでございます。
 土地利用計画につきましては、平成三年度中に策定すべく努力をしており、引き続き施設立地計画の策定を進めることといたしてございます。
 最後に、第四点は分譲開始時期等についてでございます。
 コスモパーク加太計画の土地分譲につきましては、当初計画においては平成四年度に一部分譲を予定しておりましたが、コスモパーク加太開発推進機構の意見も踏まえ、また工事の継続性からも、引き続き土地開発公社において防災工事及び粗造成工事を施工し、終了後、分譲するよういたしたく考えているところでございます。
 なお、分譲時期につきましては、工事の進捗、また経済情勢の動向を見きわめながら、できるだけ早く分譲できるよう努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 企業局長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○企業局長(高瀬芳彦君) お答えいたします。
 和歌山マリーナシティ建設に係る給水対策についてでございますが、和歌山市と上水道給水協議を行い、本年三月に同意を得てございます。今後、事業推進に努めたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えいたします。
 和歌山マリーナシティの第一工区埋め立ての竣功関係でございます。
 平成四年三月竣功予定の第一工区につきましては、埋立免許庁である県に対して竣功認可申請が出され、県はこれに対し、速やかに検査を行って、平成四年度の早い時期に認可することができるのではないかと思っております。
 なお、埋立地の所有権の取得につきましては、告示をもって効力を発することになっております。
 こうした手続を行うに当たりましては、松下興産株式会社への用地売却、あるいは世界リゾート博に向けての施設整備に支障を生じることのないよう速やかな対応をしたいと考えております。
 また、関連いたしまして、確認を求められた下水道の都市計画決定並びに事業認可については、議員ご指摘のとおりの経緯でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) お答えいたします。
 学校週五日制につきましては、先ほども町田議員にお答えいたしましたように、子供が生活体験や社会体験を膨らませることを通してたくましい人間に育つことを願うという観点から、子供中心の新しい学校教育のあり方としてとらえるべきものと考えております。同時に、家庭教育や社会教育等にもかかわる重要な課題であると受けとめてございます。
 こうしたことから、県教育委員会としては検討委員会を設置し、学校週五日制の実施に伴う学校教育、社会教育にかかわる課題と基本的な考え方について検討しているところでございます。
 授業の日数及び時間数の確保につきましては、従前からも県立学校長会、教育事務所長会及び市町村教育長会等、あらゆる機会をとらえて指導してきているところであります。
 こうした中で、各学校においてさまざまな取り組みがなされ、議員ご指摘のように、平成四年度から二学期制の導入を決定した高校もございます。
 学校週五日制を導入しても、学力水準を維持・向上していくことが本県にとって極めて重要な課題であります。このため、土曜日を単に休業日にするということだけではなく、五日間の平日の学校教育をいかに充実するかという観点に立ち、教育水準の維持と学習負担の調整を図りながら教育内容を精選し、指導方法を改善充実するよう努めてまいります。
 例えば、土曜日に学校裁量の時間を充てるなどの週時間割りの工夫が考えられます。また、休業日とする土曜日への対応としましては、子供の生活体験や社会体験を豊富にするために教員がどのようにかかわるのかについて校内研修の場を設け、子供の側に立って共通理解を深めてまいります。それとともに、学校と家庭及び地域社会との相互連携をより一層緊密にし、学校施設の開放等、真に子供を生かす方途を検討してまいる所存でございます。
 なお、この制度につきましては、より具体的に研究を進めるために、平成四年度に国が各都道府県に数校の調査研究協力校の指定を予定しておりますので、一層研究を深めることができるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 44番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま、知事初め各部長よりご答弁をいただきました。時間も経過しておりますので、二点だけ要望させていただきます。
 まずコスモパーク加太でございますが、先ほどご答弁のとおり、土取り事業が十二月に完了するわけでございます。これによって、土地開発公社としても八百億程度の歳入が見込まれるわけでございますが、事業の進捗等により、現在、開発公社において、この土取りに関して二百億近い借入金が生じておるのではないかと想定されますので、できるだけ早く土地利用計画の策定等を行い、分譲に入れるよう要望いたしたいと思います。それでないと、それだけの金利負担等がかさみ、ますますそれが圧迫されてくる問題となりますので、格段のご努力を要望いたしておきます。
 第二点目に、和歌山マリーナシティの帰属の問題に関して二点確認をさせていただいたわけでございますが、和歌山マリーナシティの上下水道の担当は和歌山市が行っておりまして、これは私の想定、決めつけと言われたら申しわけないのですが、当初、上水、下水も和歌山市に帰属することを前提にして進められてきたのではないかと思います。そういうことからして、知事の英断を求めたいと思います。
 なお、過日の新聞報道によりますと、松下興産株式会社がマリーナシティに来年度約百億円を投じてテーマパークを事業化するということであります。本県にとっても世界リゾート博の目玉になると考えられますので、平成四年度に速やかに松下興産へ土地が引き渡しできるよう、五選を果たされた仮谷知事のリーダーシップをご要望申し上げまして、再質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これをもって、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時八分休憩
 ──────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番橋本 進君。
 〔橋本 進君、登壇〕(拍手)
○橋本 進君 それでは、お許しをいただき、午前に引き続きまして一般質問をさせていただきます。
 仮谷県政五期目初の本議会において質問の機会を与えていただきましたこと、この上もない喜びとするものであります。仮谷知事におかれましては、対立候補に大差をつけ、県民大多数の信任を受けて五選されましたことを心からお喜び申し上げますとともに、どうぞ健康に十分ご留意されて今後の県勢発展のためにご活躍をされますようお祈りいたします。
 仮谷知事にとって五期目の県政は、真に正念場であると申し上げて決して過言ではないと思います。知事就任以来、二十一世紀へ向けての和歌山県の発展方向を模索し、二十一世紀を和歌山県主役の時代とするため、いろいろな大型プロジェクトを打ち出しながら基盤整備に努めてこられました。
 計画から実施段階に入った五期目県政には、やり遂げねばならない大型事業がメジロ押しであります。これらの事業に対し、仮谷知事は最善を尽くすべくいろいろ思いをめぐらせておられることと拝察いたしておりますが、県政の方向づけを慎重に熟慮して誤りなきよう万全を期するとともに、積極果敢に実施する実行力を発揮されますよう希望するものでございます。
 さて、知事としては、当面、平成六年に開催するビッグイベントである世界リゾート博の成功に向けて全力を傾注するものと存じます。これらの問題を中心に幾つかの質問をさせていただきますので、知事初め当局の具体的かつ明快なご答弁をお願いいたします。
 まず、広い視野に立った、総合的な発展を期するマリーナシティの開発、世界リゾート博の開催という観点から、リゾート博関連の交通体系についてお伺いをいたします。
 当局のこれまでの準備の進め方を見るとき、マリーナシティという四十九ヘクタールの人工島造成、その人工島で世界リゾート博を開くといったふうに、どうも地域を小さくとらえ過ぎて、広域的な町づくりの配慮がいささか欠けているやに感じてなりません。もっと広く、和歌浦湾全体の総合開発を進めるという視点で、そしてどう波及効果を及ぼしていくかを考えるべきではないだろうか。
 まず、リゾート博会場への進入道路についてでありますが、七十二日間に百万人の観客を動員する目標から、一日平均一万四千人の入場者を見込み、その四〇%は自家用車で来場すると想定しているところであります。したがって、会場内には十二ヘクタールの駐車場スペースを確保し、一日最大五千六百台の駐車を見込んでいる駐車場計画はこれでよしとしても、平常から交通停滞をしている国道四十二号線がリゾート博関係車両をさばき切れるかどうか、非常に問題だと考えます。私は、大変な交通停滞が引き起こされて、せっかくのリゾート博そのもののイメージをダウンさせないかと、今から心配をいたしておる一人であります。
 そこで、明和中学校の校庭問題がありますが、和歌山市が毛見一号線を海岸沿いに紀三井寺まで延伸するいわゆるシーサイドロードの計画を県が全面的にバックアップするとともに、その中間地点から片男波にかけて、以前にも本議場から申し上げましたように、夢のかけ橋を架設されるよう提案するものであります。そして大浦街道と直結させれば、和歌山市から会場への進入ルートは国道四十二号線と大浦街道の複線ルートとなって、増大する車両交通をさばきやすくするものと考えます。
 私が提案する「夢のかけ橋」ができますと、あしべ橋経由の観光和歌浦ルートともなり、雑賀崎、田の浦両漁港の関連道路とも結び合わすと和歌浦周遊道路ともなって、リゾート博会場から紀三井寺、和歌浦を包括した、広い面的な発展が期せられるようになります。また、県立医科大学の紀三井寺競馬場跡地での計画が完成した後の通院関係の車両交通増にも十分対処できることになります。そうしてこそリゾート博開催効果が周辺地区にまで波及拡大し、開催意義も大きくなるというものであります。
 また、JR紀三井寺駅から国体道路までの間の道路を新設され、鉄道での来客に対応されてはどうか、お伺いいたしたいと存じます。そして、これらの事業と同時に、マイロード事業として県道新和歌浦線あしべ道路を自然石を使った歩道にするなりして万葉ムードの漂う道路にするのを機に、あしべ旅館跡地を買収され、万葉の歴史にふさわしい茶店風休憩施設や駐車場等をつくり、半ば放置状態になっている観海閣周辺の整備をされ、文化の薫り高い憩いの場にすることに真剣に取り組む必要があると考えますが、知事初め当局のお考えはどうか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、世界リゾート博については、目下、博覧会協会を設置して準備を進めておるようですが、近隣の府県においても同じ時期にそれぞれ各府県の特色を生かしたイベントを考え、計画準備を進めているやに聞いてございます。例えば、京都では平安建都千二百年、奈良県では藤原創都千三百年、三重県では世界祝祭博覧会、兵庫県では但馬の祭典等、数多く開かれるわけであります。いわば競争相手であります。そうした雰囲気の中で、三年前、北海道で開催された世界食の祭典のように八十八億円余もの赤字を出して失敗しては、元も子もありません。そうした点にまで十分考えを張りめぐらせて、絶対に成功させるのだ、やり切るのだという不退転の決意で臨まなければなりません。そうして立派に成功させて、その開催効果を波及拡大させ、県勢発展に尽くしていかなければなりません。
 知事は、開催日が近づくにつれ、事務量、事業量が増大するに従って随時スタッフを増強し、必要に応じて予算も拡大していくと思いますが、そのタイミングを誤れば準備の進行が後手を踏むことになります。
 この際、思い起こしていただきたいのは、昭和四十六年の黒潮国体のときの、国体局を中心に、本庁はもとより出先機関挙げて取り組んで大成功したことであります。準備期間も千日足らずになっているのだから、本リゾート博も黒潮国体のような体制をとり、県を挙げて取り組むべきではないかと考えます。そして、百八万県民挙げて協力し、ムードを盛り上げ、成功に向けて一丸となって推進していくべきだと存じます。その先頭に立って県民をぐいぐい引っ張っていく力強さを今見せるべきだと考えるものでありますが、知事のご決意とその対策についてご答弁をお願いいたしたいと思います。
 次に、公共用地の確保問題であります。
 近時、バブル経済の現象もあって、地価の高騰に反して買収単価の安い公共用地の確保が大変難しくなっております。いかにすばらしい構想、計画であっても、必要な用地が確保できなければ単に絵にかいたもちにすぎません。用地確保難に比べて当局の用地買収体制がいかにも弱過ぎるのではないかと考えるのは、私一人ではないと思います。
 さきにも申し上げましたように、和歌山市当局において計画されているいわゆるシーサイドロードにしても、市当局が現地に事務所を設け、職員を張りつけて用地買収に当たっていただいておるようですが、これも遅々として進んでいないと聞き及んでおります。また、その近くの県立医科大学再開発計画にしても、病院用地として競馬場跡地を確保できたものの、大学用地の買収が、これも遅々として進んでいない状況であり、現在、その買収交渉も中断状態になっていると聞いております。それにはいろいろ事情もあろうかと思いますが、なぜもっと精力的に、継続的に粘り強く交渉をしないのか、不思議に思えてならないのであります。そのほかにも、県内各所でこうした箇所が数多く見受けられます。
 このような用地買収状況では、デスクプランで線を引いただけで、その着手、完成がずるずる遅延し、半ば計画倒れも同然となって、均衡・調和のとれた基盤整備は望み得なくなると言わざるを得ません。
 そこで、私は、声を大にして知事にご提言をいたしたいと存じます。
 先ほどの自民党幹事長のご意見にもございましたけれども、この際、直属の副知事級の用地担当職員を配し、その方を長として、相当数の職員を擁した強力な機能を持つ公共用地対策室を設置し、用地買収を集約的に取り扱ってはどうかということであります。そして、必要に応じ、買収地点の事情に精通し、その地元や地権者になじみ深い職員、OBの方々、また時にはその市町村の職員までも臨時的に編入・補強し、地権者と密着した買収交渉を持つというふうに進めてほしいものであります。
 用地交渉は夜間折衝の多いことを勘案し、勤務時間を一般職員とは別にフレックスタイム勤務にするなり、さらに大規模用地買収が成立したときは思い切って優遇措置を考えるなど、用地職員のやる気を奮起させる意味で、それくらいの配慮も欲しいものであります。そうすることにより用地の確保がスムーズに進むものと考えます。
 この際、思い切った用地買収体制の改革を断行し、その効率化を図ったらいかがですか。今後の用地買収とその取り組みについて、知事のご決意を賜りたいと存じます。
 なお、この機会に一言お願いをつけ加えさせていただきますが、重要な用地買収が行き詰まってどうにもならなくなったときには、部下任せにせず関係部長や首脳部も直接地権者と交渉に当たるなど、そして場合によっては伝家の宝刀である土地収用法等を考えるなり、毅然とした態度で臨んでほしいというお願いをいたしたいと思います。
 最後になりましたけれども、続いて精神薄弱者援護施設の建設に対する援助についてご質問をいたします。
 こうした質問をすることになりましたのは、障害者を養育されている多くの保護者の方々が施設の建設を強く求められているからであります。保護者の皆様が今最も心配されていることは、親亡き後の障害者の将来であります。この子を置いて先に死ねない、この子が将来安心して生活できることを見届けてからでないと死ねないという話を私はよく聞かされるところであります。障害者の行く末を案じ願う保護者の心境は痛いほどわかるわけであります。
 こうした保護者の方々の切実な願いにこたえるため、県当局においても今日まで、民間法人と連携のもとに計画的な施設整備の推進に取り組まれてまいりました。その結果、精神薄弱者更生施設が八施設、精神薄弱者授産施設が十施設建設され、総定員八百五十五人の施設整備が実現したことを高く評価したいものであります。
 しかしながら、最近における建設用地の確保の難しさや建設に対する補助金と実勢建設価格の差が拡大していることにより、施設整備が進みにくくなっていることも予想されるところであります。現に、平成元年以来、民間法人による建設が行われていない現状の中で、計画的な施設整備が極めて困難になってくるのではないかと心配するものであります。とりわけ、家庭で介護することが困難な方々で、施設入所を希望しながら入所できずに待機している精神薄弱者の方々が百七十六名に上っております。さらに近年、障害の重度化に伴い、養護学校の卒業生のうち入所希望生徒が毎年四十人程度増加していることを考えるとき、憂慮の念を抱くものであります。
 幸いにして、和歌山市心身障害児者父母の会が中心となって施設建設について熱心に取り組まれ、このたび民間社会福祉法人により建設される運びとなりました。その施設概要は、和歌山市より無償で貸与していただく土地に総事業費八億円を投じ、入所定員五十名、通所定員五十名、またショートステイや精神薄弱者デイ・サービスなど、在宅の障害者も利用できるようにしたいわゆる複合施設であり、この施設が完成した暁には精神薄弱者の福祉の増進に大きく寄与するものであると期待するものであります。
 本県における施設整備が計画的に推進できるのは、県の努力もさることながら、民間法人が大きな役割を果たしてきたところでありますが、特に私は、福祉八法の改正を契機として、地域福祉が重要視されている現在、地域に開かれた、地域住民と密着した民間法人による施設整備を行い、地域福祉の拠点とする必要があると思います。
 そこで、民生部長にお尋ねいたします。
 建設費が高騰している中で補助額が約半分の状況では、法人の負担すなわち父母の会等の負担が増大し、民間法人による施設整備は困難となり、在宅での介護を余儀なくされている保護者の方々の希望におこたえできないばかりでなく、地域の福祉の増進にも大きな影響を与えることになると思います。民間法人主導で整備を推進していくことが必要であり、そのために財政基盤の弱い民間法人に対する県の強力な補助金等の援助が必要であると思いますが、その考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 以上、三点に絞って質問をいたしましたので、さきにも申し上げましたけれども、知事初めご当局の誠意ある明快なご答弁をお願いいたしまして、第一回目の質問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの橋本進君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 橋本議員にお答え申し上げます。
 世界リゾート博と基盤整備についてでございます。
 これについて数々のご提言、ご意見を承ったわけでございますけれども、リゾート博につきましては、お話のように、本県を活性化する、また本県を全国に、さらに国際的にもアピールする一大イベントだと思って進めております。
 開催に当たっての会場への道路網の整備でございますけれども、これが成否を決する最も重要な課題だと思っております。詳細については土木部長から答弁させていただきます。
 また、この取り組みの姿勢につきましては、県初め市町村、経済界など各界各層を交えた博覧会協会をつくっており、開催のための準備を鋭意進めているところでございまして、県庁内においてもその支援体制として世界リゾート博推進会議を設置し、全庁的に取り組んでおります。
 今後、博覧会の成功を期すためには積極的に体制を強化しなければならないという意味で、県庁内の推進組織についてもなお一層検討するとともに、博覧会協会の充実についても十分進めてまいりたいと思っております。
 お話ございましたように、平成六年には京都、三重でもイベントを開催いたしますが、過日の知事会議においても、お互いに連携作戦をとっていこうじゃないかということを申し合わせておりまして、そうした連携作戦をどのように進めていくかということについても十分検討してまいりたいと思っております。
 次に、公共用地の確保の問題でございます。
 お話のように、本県には数々のプロジェクトがございます。そうしたプロジェクトを発展・進行させるためには用地の確保ということが絶対条件であり、私もかねてから用地確保のための問題については十分配慮しており、人員削減の現在ですけれども、優秀な職員を配置したいと思っております。
 用地確保ほど難しい仕事はありません。この仕事を十分にこなしたならば県の行政のすべてが大体できるのじゃないかとすら私は思っておりまして、そうした面の人事配置についても十分配慮しておるわけでございます。
 特に今、高速道路の問題がございます。これについても、市町村にも協力していただいて県が代行してやるという形をとっております。国道についても、二十四号線のバイパスは県が用地交渉を引き受けており、県独自の分以外も用地交渉を重ねております。京奈和自動車高速道路等においても、県の職員、市の職員、商工会議所の職員の協力も賜っておりまして、用地確保のために地元の皆さんの絶大なるご協力がなければなりません。
 特に、県の用地職員についても、用地課を土木事務所に置いて技術者を用地課長にもさせて──事務職員とどちらにやらせたらよいかは各人にもよるわけですが、そういうやり方も検討をしております。
 昨年、公共用地取得促進対策委員会を設置し、代替地の取得、用地先行取得問題など用地事務の軽減化、また用地交渉がスムーズにできる体制づくり、登記に対する問題、さらに法務局の問題等、非常に多くの問題がございますが、こうした問題解決のためになお一層の研究を進めております。
 また、ご指摘ございましたように、職員の意識高揚につきましては、私も全力を注いでまいりたいと考えておるところでございます。
 用地取得につきましては、地権者や地域住民等の理解と協力が最も肝要でございます。そうした協力度の強いところに対してこれからも積極的に推進していかなければならないのではないかと思っておりますし、また用地交渉が難航する場合においては、お話ございましたように、土地収用法等において、なお一層簡単にしていただけるように国に対して要望するとともに、それを積極的に進めてまいりたいと考えております。建設省とも十分連絡をとりながら、用地確保についてはそうした強硬手段も考えてまいりたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 リゾート博関連道路の問題につきましては、県庁内に設置をした世界リゾート博推進会議の専門部会として関連道路施設部会がございますので、そこで今まで総合的に検討を進めてきておりますし、今後も進めたいと考えております。
 その中で、議員ご提案の、和歌山市が今実施しているシーサイドロードは、世界リゾート博関連道路としても必要であるということで考えられております。現在、市において建設事務所を設置して鋭意取り組まれておるところでありますけれども、今後、県としては、来年度の平成四年度予算の中で国に対して当事業に係る新規採択をお願いしていき、予算確保に努力をしてまいりたいと考えております。
 また、マリーナシティの波及効果を確実にする意味でも幾つかのご提案がございました。「夢のかけ橋」というものについても、これは非常に大規模な橋梁でもございます。和歌浦湾開発についての地元などの意向、あるいは道路網整備の全体構想に関する合意とか協力という問題もあろうかと存じております。
 それから、JR紀三井寺駅から国体道路までの道路につきましては、当面、市道としての整備が考えられます。リゾート博そのものへの鉄道利用者は和歌山駅あるいは海南駅等が中心になるものと考えられますが、本道路は、地域の道路としてその必要性は十分理解できるところでございます。ただ、この場合、一方で、駅の乗降位置の問題や駅前広場の整備、あるいは紀三井寺交差点の交通処理等の幾つかの問題がございますので、今後、総合的な検討が必要であろうと考えられます。
 また、あしべ旅館跡地並びに観海閣周辺の整備につきましても、マリーナシティを活用して広くその効果を波及させるという具体的なご提案だと受けとめておりますけれども、これらもすべてあわせて検討課題として、ご意見を十分賜りながら勉強をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 精神薄弱者援護施設建設についてお答えをいたします。
 精神薄弱者援護施設の整備につきましては、昭和五十七年に策定した障害者にかかる和歌山県長期行動計画において県政の重点施策として位置づけ、その整備を進めてきたところでございますが、家庭での介護が困難で施設の利用を必要とする重度の障害者が増加している現状でございます。
 今後とも、施設建設についてもさらに努力を重ねていかなければならないと存じておりますが、議員ご意見のとおり、地域福祉の時代を迎える中で、民間法人による整備についてもより強力に進めていく必要があると考えております。
 現在、和歌山市において計画されている施設は、ショートステイやデイ・サービスセンターを整備しており、施設入所者だけでなく地域の障害者の方々も利用できる、いわゆる地域福祉の拠点となる精神薄弱者援護のモデル施設と考えてございます。したがいまして、県としても、施設建設に対する補助をも含め、総合的な支援をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番橋本 進君。
○橋本 進君 知事さん初め部長さん、ご答弁をいただきましてありがとうございました。一応了解でございますが、ただ一つ、この際、知事さんにお願いをいたしておきたいと思います。
 今回、くどく質問をさせていただきましたのは、実は世界リゾート博をみんなで力を合わせて成功させていかなければならんという私の基本的な考え方の中から質問を許していただいたわけであります。
 さきにも申し上げましたように、リゾート博協会ができて企画部が中心となってやってくれておりますが、先ほどお手元へ新聞をお渡ししましたように、きょうの日経新聞なんかを見て、実は非常に心配をいたしております。だから、今ご答弁をいただいてあれしていますけれども、全庁的に取り組むんだということの再認識をしてもらいたい。
 知事は、自分が言い出したことだから間違いなくやってくれると思いますけれども、実は他事ながら心配をしております。それを成功させるためには、くどいようですけれども、ぜひ公共用地を確保しなければなりません。紀三井寺、名草、私の地元でのいわゆる用地交渉の職員は本当に気の毒なものです。
 先ほども念のために申し上げておきましたけれども、関係部長さんたちも心配はしてくれておりますが、実際に先兵になっていく職員の立場を考えたときに、やっぱり知事さん、この際、副知事級の大将を置いていただきたい。先ほどの答弁の中にもございましたけど、用地を確保したら仕事はできていくんですよ。その用地をどう手元へ入れるかということです。
 土木事務所の職員あるいは開発公社の職員が用地交渉に行くあの姿を目の当たりにして、これでは土地は買えないなあと思った。大変ですよ。土地を売る気もない相手に、売ってくれと毎日行くわけや。それを上の人らは見てあげないかん。夜九時、十時、十一時まで行ってきて、ぼろんちょんに怒られて。帰って、げんくそ悪いで。ちょっと一杯でも飲んで帰ろうということになります。
 これは人情です。その辺も含めて、この公共用地対策室というものをぜひ置いてもらいたいということをお願いして、私の質問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で橋本進君の質問が終了いたしました。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 午前中の質問と重なる部分がたくさんございますが、お許しを願いたいと思います。
 野球選手の四番バッターにはすぐれた人を出すそうですが、この四番バッターというのは大変時間を費やすことを皆さんにお許し願いたいと思います。なるべく簡潔にいたします。
 以下、通告に従って質問をいたしてまいります。
 十二月定例議会の冒頭あいさつの中で知事は、「関西国際空港の開港に照準を合わせて進めてまいりましたプロジェクトが着実に進展しております。これらのプロジェクトに対する県民の期待は非常に大きいものがございます」とし、また議案説明の中でも、「なお、関西国際空港の全体構想につきましては、去る十一月二十九日の閣議決定において正式に位置づけられたことは、県議会を初め関係の皆さんとともに要望を行ってきただけに、大変意義深いことであると考えております」と述べられたが、和歌山県政の関空にかける熱い思いとその立地に伴う波及的効果の積極的な活用は当議場を通じて都度論議されているところでもあり、それが県政における極めて重要な課題であることは論をまたないところであります。
 しかし、その高鳴りの度合いに反比例して、県南部では余り県民の心をとらえていないのも否めない事実であります。関西新空港の開港と大阪湾ベイエリア構想の具体化は、文字どおり県政に明るい展望を約束するものであるにかかわらず、「北高南低」と言われて久しい和歌山県政は、このことによって南北の格差をより加速化させるのではないだろうかという危惧が存在するからであります。
 さきの九月県議会で私は、九月二日に発表された県選管による人口動態の数字が示しているように、県内の人口減の傾向が紀南地域に集中している事実から、道路、交通、産業、地域の活性化等々の諸課題に対し、県政はより積極的に取り組むべしと申し上げたが、本来、県政そのものは県土の均衡ある発展を約束するものでなければならないからであります。
 詳細は省略するが、この二十余年の間、紀南地方の各町村では人口が激減し、児童生徒数の減少に伴って小中学校の廃校や統合が進み、今もそのような状況が見られます。また一方、枯木灘県立自然公園の景観が多くの人々にたたえられても、農林漁業が全体として衰微し、若い人々にとっての適切な生活の場が保障されていない中で人口が減少している現象を見るにつけ、私は、「活力あるふるさとづくり」のスローガンに、時にむなしささえ覚えるのであります。したがって、そこに住む人々の環境や生活を高め、幸せを創造することが政治であるとするならば、政治の存在感を具体的に示していくべきであります。以下、南低に焦点を当て、若干の質問を試みるものであります。
 まず、知事に質問をいたします。
 「仮谷県政 五期目”船出“」「一夜が明けて表情はればれ」──知事選挙後の新聞記者のインタビューで知事は、今回の選挙を通じて南北格差を痛感したとし、関西新空港の恩恵を受ける紀北地方は企業も人もたくさん入ってくるし、これまで以上に都市計画を進めていかなければならない、一方、紀南は過疎、高齢化が進んでいる、山を守れ、緑を守れと言っても人がいなければ守れない、リゾート開発など地域別の対策が必要だと述べているが、今さらこんな感想をあなたは言うのですか、わかったことじゃないですかと批判することよりも、今回特に知事を推薦したその立場に立って考えてみるならば、率直な感想を述べたそのことに私は信頼を寄せたいのでありますが、一県の知事として、現状打開とその浮揚策についての基本方針を明らかにされたいのであります。
 二つ目。これも何回かけさほど来も申されておりますが、十二月三日、国幹審は御坊─南部間二十一キロを基本計画から整備計画に昇格させる一方、新たな基本計画として田辺─すさみ町間二十七キロ及び海南─御坊間二十九キロを採択したと報じられているが、高速道路の南伸延長、国道三百十一号、三百七十一号の改修、さらには国道四十二号の整備改良等々の現状とこれらの見通しについて、この際、議場を通じて明らかにされたいのであります。なぜならば、本県の道路行政の立ちおくれを飛躍的に発展させ、県民の要望を早急に実現させない限り、政治にはならないと思うからであります。今、五選を果たした知事の道路行政に対する新たなる決意をぜひとも開陳されたいのであります。
 三つ目。小さな問題に移ります。平成四年度に向けての西牟婁県事務所の取りまとめに係る管内市町村の土木部に関する重点要望は四十四の項目にわたっておりますが、どの箇所も、どの項目も見逃せない重要なものばかりであります。ただ、この要望書の中で、庄川─久木間の県道、日置川町と白浜町を結ぶ白浜久木線が今年度から削除されていることに若干の疑問を感じながら、以下、簡潔に質問をいたします。
 本県道は県道に認定されて既に半世紀余──一世紀とまではいかないけれども、この場合、「半世紀余」と認定をしておきます。本県道については、六十二年の九月県議会で取り上げ、本県道の改修が果たすであろう役割とその必要性について力説した関係上、本日はその説明を省略するが、六十二年から今日まで県土木部長は三人目を迎えたただいま、切り捨ては後退を意味し、継続は力であることに思いをいたし、ぜひ本県道の改良、改修に意を用いてほしいと思うものであります。県道が犬の通る「犬道」として放置されようとしている現状に対する今後の取り組みと見通しを明らかにされたいのであります。
 四つ目。十一月十八日、朝日新聞は「リゾート法を廃止して出直せ」の社説を掲載した。それは、日本弁護士連合会がリゾート法の廃止を求める決議を採択した立場に賛意を表明した主張であり、この論説は現行のリゾート法を考え直す立場に立って、次の四点を指摘したものであります。すなわち、「第一は、いかにゆっくり休める社会を実現するか。第二に自然保護を基本とした統一的な土地利用の基本法を整備する。第三に環境アセスメント法の制定。第四は地域住民主体の計画作りを国と自治体が支援していく体制である。そのいずれも、現行のリゾート法には欠けている」と指摘したものであります。
 既に昨年十二月に国の承認を受けた本県の燦黒潮リゾート構想は、その名称の新鮮さにもかかわらず、またその承認以前からの粘り強い県の説明や各種集会等の開催を通じてのムードづくり等の努力にもかかわらず、紀南地方ではその具体的な展望が見えてこないように私には思えてならないのであります。もちろん、リゾートづくりは一応十年を区切りとすると言われているので、簡単に「展望が見えてこない」と言うのは少し言い過ぎだとの反論もあり得るが、何回か当議場でも取り上げましたけれども、三年前、華々しく田辺湾にデビューした丸紅によるリゾート計画のその後の状況は、地方新聞の「視点」すなわち社説欄では「丸紅リゾートどこへ行く」の見出しで、次のように記述されているところであります。「田辺市の丸紅進出計画も完全に『死に体』になったと思えるのだが、まだ生きているのだろうか。行政も派手なアドバルーンを上げ、リゾート対策室までつくってやっているが、このままでは不信を買うだけだろう。 しかも相手は、名にし負う丸紅だ。企業の社会的責任という面で、これまでも話題に事欠かなかった会社である─中略─鳴物入りで成立してまだ四年のリゾート法に、早くも廃止運動が起こっている。リゾート、リゾートと国じゅうが浮かれていたのに、何と早い秋風であろうか──この論説は秋に書いたので、そういう文体になっていると思います──しかしバブルがはじけ、本来の姿に戻ったと考えれば、出直しも当然であろう。丸紅リゾートにどんな結論が出るのか注視したい」。
 この論説にもあるように、先が見えてこないといった現状は、先ほど紹介した第四点の指摘、すなわち「地域住民主体の計画作り」が最初から組み入れられていなかったこともその要因の一部をなしているのではないかと私には思えるからであります。
 私は、この第四点の指摘にもあるように、以前からもこのことを持論としているが、地域住民が地方自治体である市町村とともに計画づくりから参画していく創生と共生の原点が欠落し、単に企業と市町村政が上から持ち込んでいくようなやり方を避け、あくまでも住民と相談し、修正や縮小、拡大を話し合いの中でつくり上げていく方法に徹していくことが今一番必要なことと思うのであります。もちろん、企業にも限界があることも十分意思疎通し、住民ともども参画していくプロセスの中で県も力をかしていくといったリゾート形成が必要でないかと思うのであります。
 日弁連の主張に賛意を表明する朝日新聞の「社説」について、私は全面的に敬意を表しますが、この際、これに対する県当局の考え方を伺っておきたいのであります。また、あわせて田辺湾における丸紅のリゾート計画の現状を問うものであります。
 さて、そういった基本的な考え方、特に第四点の考え方に立って県の海上交通網の整備、とりわけ紀南における高速艇の導入を軸としたリゾート環境の整備について提言してまいります。
 新潟─佐渡間六十八キロ、ジェットフォイルは乗客二百五十余名、所要時間一時間、年間乗客百万余を数える。百二十万として、一年を割れば月十万、一日三千人、まあそういうように画一的にはなりませんけれども、しかし百万余を数えます。「佐渡へ佐渡へと草木もなびく」──歌は歌いませんが、その盛況は、より早く、より便利に、より快適にとする海上交通機関の実現によるものであります。
 県は、六十一年度策定の長計において海上交通網の整備促進を位置づけ、その取り組みとして、五十八年、五十九年度に紀南での高速艇導入の基礎調査、平成元年に紀伊半島知事会議で紀伊半島沿岸における海上ネットワークの構築について検討することを合意し、引き続いて三重県と共同で鳥羽─勝浦間における高速艇就航の可能性について検討等々、紀伊半島海上交通の実現に向けて「サンベルト“燦”黒潮航路」への努力を払っているところであるが、その実現の早からんことを願いながら、一方、マリーナシティの完成、さらには関西国際空港の開港を見通す中で、ずばり観光地の拠点である白浜を中核とした発着・発進中継の高速艇港湾を検討すべしと提言するものであります。
 ちなみに、大阪は天保山から白浜までは海上約百三十三・六キロ、和歌山マリーナシティから白浜までは海上約八十・五キロ、単純計算では、天保山からは所要時間約二時間、マリーナシティからは約一時間二十分であります。「サンベルト“燦”黒潮航路」の三重・和歌山両県にまたがる海上ルート計画を実現する中で、本県としての発着・発進中継の開港こそ急がれなければならないと思うからであります。
 私は、リゾート形成の前提として、まず住民合意──この場合、特に地元漁民の合意を前提としていることは論をまたないところであるが、地元漁民を包む地域住民と町当局、町議会の一体感に立った計画づくりに県も参画していく体制を確立していくことを前提とし、提言するものであります。ご所見を伺うものであります。
 さきの九月県議会で要望したオーストラリア木曜島の日本人墓地について、簡潔にその後の経過に触れ、質問をいたします。
 この夏、私がブリスベーン領事館でお世話をいただいた領事館の白浜清次郎さんから、この十月七日、うれしい手紙が私に寄せられました。手紙を読ませてもらいます。「先般は、木曜島視察、ご苦労さまでした。九月二十三日から二十四日まで、私は茂木ふみか女史と木曜島へ行ってまいりました─中略─今次訪問は、茂木基金の趣旨説明と今後の墓地管理方法につき、木曜島の役所と話し合うことでした。 茂木基金は私財一千万で、州政府に墓地の管理を委託し、今後、日本人墓地に限らず島全体の墓地の維持に充てるというものであります。 あなたから寄せられている四点の質問の回答は別紙のとおりでありますが、いずれにしても茂木基金一千万から年間百万で墓地全体を維持管理するものですが、我が方(ブリスベーン領事館)としても茂木基金に見合った管理方法を策定し、役所と種々話し合ったところであります」。以下、詳しい手紙の内容については私から国際交流課に知らせているので省略をいたしますが、次の二点について質問をいたします。
 一つ目、茂木基金寄付金以前に、継続的経費でない支出金として、さしあたって今、概算百万が必要である。それは、以前も紹介いたしましたが、現在差し迫っている必要な清掃費、慰霊塔の排水口工事、慰霊塔の亀裂修正等々に要するものであります。県の対応を示されたいのであります。
 二つ目、国際親善、国際交流の立場から、木曜島関係者の墓参を含め、あわせて検討をされたいのであります。
 最後に、茂木ふみか女史のせっかくの一千万基金創設に感謝の意を込め、題して私のつたない「続・木曜島物語」を終わります。
 なお、以前紹介した茂木ふみか女史の手に成る書名「虹の国のアルカダシ」の「アルカダシ」は、トルコ語で「仲間たち」という意味であると十月二十七日の読売新聞「編集手帳」欄に記述されていることも、あわせて報告しておくものであります。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 北高南低と県土の均衡ある発展のために現状打開と浮揚策についてでございます。
 朝、町田議員から同様な質問があって答弁させていただいたのでございますけれども、和歌山県は国土軸から離れた半島地域に属しており、南北に長い地形でございます。したがって、紀北と紀南は、その置かれている自然条件、社会条件が異なっており、この異なる立地条件の中で県土の均衡のある発展、そして地域の特色ある発展を図っていくことは私の使命であると認識しておるところでございまして、本年策定した第二次実施計画でも地帯別構想に基づく振興施策を推進しているところでございます。
 特に紀南地域の振興を図るためには、何といっても交通ネットワークの整備が重要でございます。関西国際空港、そして国内空港としての南紀白浜空港という二つのジェット空港に加え、近畿自動車道の南伸という三大インパクトを紀南地方に最大限に波及させることが最も緊要なことだと考え、このことに留意して取り組んでいるところでございます。
 こうした高速交通網の整備、並びに内陸部を初めとした生活道路の整備充実を進めるとともに、リゾート、観光基地の整備の促進をいたし、さらには空港利用による物的空港としての農林水産業の振興も図っていかなければならないと存じております。
 選挙の翌日、記者に話した話でございますけれども、言葉足らずの点もあったかと思います。しかし私が言いたかったのは、過疎対策を積極的に進めているけれども山村地帯には人がいなくなっている、緑や森林を守れという自然運動が盛んだが人がいなくては森林資源を守れないではないか、私たちが子供の当時には山は薪として炭として価値を生み出してきたが、今それは金を生み出していない、杉・ヒノキの用材林だけである、木を切ることも自然のリサイクルである、だから都会で言う単なる自然保護ということだけでは農村や山村は守っていけない、その地域地域に応じた対策を考えるべきではないか、そうした都会の人、県外の人の自然運動等に対してもう少し見直すべきではないかということを言いたかったわけでございますので、ご了承いただきたいと思います。
 次に、道路行政についてでございます。
 これも町田議員から話ございました。また、議員ご指摘のとおり、県民の悲願であった紀南延伸に明るい方向を見出したということで、私は非常にうれしく、ありがたく思っております。このことは、県議会が一丸となって議員連盟を結成して積極的に取り組んでいただいた、そしてまた市町村も取り組んでいただいた成果でございまして、例えば海南から吉備までの一般有料道路を高速道路にしてくれ、料金を安くしてくれという願いがかなえられ、さらにすさみまで延伸になりました。和歌山からすさみまで時速八十キロで走っても一時間余りで行くわけでございまして、これは画期的なことだと思います。先ほども土木部長が申したように、地元の協力によってこれが推進できるということでございます。
 このように高速道路を進めるとともに、特に紀南地方においては、三百十一号線の改修、三百七十一号線、またふるさと事業を使っての水上栃谷線の整備、本宮三越線と龍神本宮線等の林道といった道路網について積極的に進めておりまして、これが新しい決意ということでございます。
 道路は、単なる産業道路ではなしに生活道路であり、文化道路であり、福祉道路であると考えておりまして、こうした道路の整備を推進していきたいと思っております。
 特にことし、大阪とか東京、愛知といった富裕都府県ではなしに、高速道路が非常に少ないという四十一道府県が集まり、高速道路を推進するために新国土形成研究会というのをつくりました。高速道路が十分でない地域において高速道路を積極的に推し進めていくためにつくった会でございまして、私も副会長をさせていただいているところでございます。
 以上です。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 県道白浜久木線についてお答えを申し上げます。
 本道路は、道路のネットワークとしての必要性、また地元から交通不能区間の解消等について、その整備に強いご要望のあることは認識をしております。
 白浜町内においては、昭和六十三年度に延長七・三キロの暫定改良工事を完了いたし、また日置川町内の交通不能区間四キロについて平成元年度から調査を行い、二年度より久木方面からその改良工事に着手をしておるところでございます。
 今後とも、日置川町内の交通不能区間の解消、さらには白浜町庄川からの二車線の改良等に努力してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、ご質問のリゾート法の考え方についてでございますが、その第一点は、いかにゆっくり休める社会を実現するかでございます。
 国民のゆとりと潤いのあるライフスタイルへの確立のためには、自由時間の活用が人生の重要な課題となってきております。本県では、こうした余暇活動の場づくりの一つとして豊かな自然資源や数多くの文化資源を積極的に活用したリゾート整備を推進するとともに、さらにゆとりのある国民生活を確立するためのバカンス法の制定を国等に働きかけているところでございます。
 次に、自然保護と環境アセスメントについてでございます。
 燦黒潮リゾート構想では、重点整備地区の設定に当たり、国立公園の特別保護地区、第一種特別地域等を除外するとともに、リゾート施設の設置に当たっては、貴重な動植物の生息地、生育地を避けて、必要に応じて事前に自然環境に与える環境についての調査検討を指導するなど、周辺の自然環境との調和に努めているところでございます。
 本県のリゾート整備は、自然の保全と活用を基調として、質の高いリゾート地の形成に努めているところでございます。
 第四点は、地域住民を主体とした計画づくりについてでございます。
 燦黒潮リゾート構想の策定に当たっては、地元関係団体の代表者や市町等の参画を得て燦黒潮リゾート構想推進連絡協議会を設置し、地域の意見の反映に努めたところでございます。
 今後とも、各重点整備地区に設置された燦黒潮リゾート構想推進協議会等を通じ、地域産業のリゾート整備への参画や地場産品の販売拡大、リゾート客と地域住民との文化的交流促進など、地元住民が参画できる特色あるリゾート整備を推進してまいりたいと存じます。
 このように、ご指摘の点については十分に留意しながら推進しておりますが、本県では、リゾート整備により、若者が定着できる雇用機会の増大、地域産業の振興はもとより、リゾート客を初め地域に暮らす人々にもスポーツ・レクリエーション施設、文化施設、温泉保養施設等で多様な余暇活動を楽しんでいただける、快適で活力のある町づくりを進めているところでございます。
 次に、海上交通とりわけ高速船の利用についてお答えを申し上げます。
 リゾート、観光振興を図る上でも、アクセス交通の整備は極めて重要であると考えます。こうしたことから、現在、南紀白浜空港のジェット化整備、高速道路の延伸、さらには高速船を利用した広域海上ルートの検討等に鋭意努めているところであり、議員ご提案の観光拠点白浜地域における高速艇の導入についても検討すべき課題として受けとめさせていただいているところでございます。しかしながら、本県における海上交通につきましては、ご紹介のあった佐渡のような離島航路とは異なり、鉄道や高速道路との競合、採算性といった種々の課題もございます。それだけに、地元における熱意や取り組みといったことが重要となりますが、海上ルートの形成は、本県が有する六百キロメートルに及ぶ海岸線を活用するといった観点からも重要な課題であり、県としても高速船を利用した広域海上ルートについてさらに検討を深めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) お尋ねの、田辺湾総合リゾート開発計画の現状についてでございます。
 この開発計画は、海洋性リゾートを核にした新しい町をつくるという、我が国では前例のない広がりを持つものであり、そのために地元との調整が多方面にまたがり、時間を要していると聞いてございます。しかし、田辺市はもちろん、丸紅を初めとする企業側も、本計画は将来のゆとりのある社会を先取りするものと確信して地元の皆さんと話し合いを継続し、その意向を極力計画に取り込めるよう事業化案の作成等の作業を着実に進めている段階と理解をいたしてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 木曜島の日本人墓地等の問題につきましては、浜本議員には常々ご関心をいただき、お礼を申し上げたいと思います。
 また、茂木さんの善意による基金に対しましては、まことにありがたく、敬意を表する次第でございます。県といたしましては、さきの九月議会で知事が答弁した考え方に沿って、墓参などを含め、今後とも引き続き国等への要望をしながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 私が「終わります」と言えば、この会は散会になります。そういう思いを込めて早くやりたいと思います。
 土木部長に。県道白浜久木線の問題でございます。先ほどの答弁のとおりでありますが、「交通不能区間」と言えば車の通れない道、とにかく歩いてしか行けない県道であります。その残された山道四キロの県道は、形状を変えた工法をとるか、トンネルを抜くかといったことを検討すべきではないかという私見を持ってございます。戦前、この山道の頂上は、日置川町久木の人々が出征兵士を送り、無事帰還を祈った別れの道であります。そういう語りぐさを聞くにつけ、近代に見合った県道にしてほしいと思うのは、私ども西牟婁県議会議員四名の意思統一でもありますし、そして両町住民の皆さんの意見でもあります。このままでは、十年たってもやっぱり犬しか通らん道やなということになることを恐れます。せっかくのご答弁であります。より一層の努力を要請いたします。
 もう一つ。企画部長の答弁では、「観光拠点白浜地域における高速艇の導入についても検討すべき課題として受けとめさせていただいているところでございます」、そして以下、いろんな説明がございました。そういう答弁じゃなくて、しまいごろに言われておった、地元の熱意や取り組みの上に立って──これは大変大事なことだと思います。私が言う、漁民を包む人々の、場合によっては海の権利要求なんかしないというところまで高めていくということでなかったら、これは私の単なる考え方でありますが、こういう事業というのはいかんと思うのであります。「検討すべき課題として受けとめさせていただいているところでございます」という回りくどい表現を避けていただいて、「地元の熱意や取り組みの上に立って十分検討してまいります」というふうに答弁の修正を求めたいと思います。これは答弁不要であります。議事録にとどめておきたいと思います。
 終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) お諮りいたします。都合により、明十一日は休会といたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、明十二月十一日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(平越孝哉君) 次会は十二月十二日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時二十三分散会

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