平成3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(阪部菊雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番阪部菊雄君。
 〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 前期の私の一般質問の前にも本日と同様なことがありまして、これで二度目でございます。私にとっては、何と不運と言うべきでありましょうか。
 さて、議員各位にはお疲れでございましょうが、お許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 過ぐる四年前、仮谷知事四選出馬に当たり、心から激励の言葉をこの壇上から申し上げました。思えば、全くあっという間の四年間でありました。今、ここにお座りの仮谷知事の胸中に去来するさまざまな思いやいかなるものならんと思いつつ、県勢発展のために決死で奮闘しているあなたに親愛と敬意を込めて質問をさせていただきたいと思います。
 今、まさに世界の激動激変は吾人の想像外のドラマであり、二十世紀末の一大事件であることは、万人ひとしく認めるところであります。
 回顧しますと、平成元年十月六日、定例議会で、私の一般質問の冒頭、「マルクス・レーニン主義は武力弾圧なしではうまく機能しないということが明確化され、共産主義の神話は変革しつつあります。すなわち、一党独裁ソ連型社会主義はまさに終えんへの一歩を踏み出した」と申し上げました。時あたかも、それから約三年でございます。その間、九〇年八月、イラクのクウェート武力侵略、米国を主力とする他国籍軍のクウェート解放戦争とその勝利。かくて、ロシア革命以来七十四年の歴史を持ったマルクス・レーニン主義という世界に吹き荒れたイデオロギー、すなわち赤い夕日のソ連共産党が崩壊しました。それは、ことし八月十九日の共産党のクーデター、そしてその失敗、十有幾つかの共和国独立宣言。ついに私が看破したごとく、大きな音を立てて一党独裁ソ連型社会主義は終えんいたしたのでございます。しかし、民主主義への移行と市場経済への道は前途多難であり、まだまだこれから何が起こるかわからないのが、今日、ソ連の現状でございます。
 我々はまた、現在の日本の姿を冷静に直視しなければなりません。バブル経済の破綻、大手証券会社の一部企業等に対する損失補てん問題、伊藤萬に絡む極めて不可解な事件、大阪の料亭経営者・尾上縫の借入金が六年間で三兆円、平成二年の借入金は一兆三千四百五十四億円で、何と本県の本年度予算の約三倍でございます。これも、東洋信金の架空預金事件と日本興業銀行との不正突出融資等々の一連の大事件であります。まさに我々庶民をして唖然たらしめた不祥事件で、その続発は、まさしく二十世紀末の極めて退廃的な様相ではないでしょうか。
 このような激動的な変革の中で仮谷県政四期十六年、厳しい時代を乗り切り、二十一世紀まであと約十年というこの時点で和歌山県に明るい展望を切り開いてまいられたのであります。この間、関西国際空港の泉南沖建設の同意の決断、さらには高速道路の延伸など、交通ネットワークの整備を初め企業誘致など、活力あるあすの和歌山の基礎固めを着実に進めてこられる一方、県立医大の統合移転を初めとする健康・福祉の向上、さらに「明日を担う人づくり」など、きめ細かにふるさとづくりを進めてまいられたのであります。
 今、仮谷県政に対する県民の期待には非常に大きいものがあると存ずるものであります。また、和歌山県の未来を考えるとき、今ほど夢と希望が膨らんでいるときはないのであります。仮谷知事には、このことを踏まえ、十月の選挙には、対する日本共産党にこれまでにもない大勝利を達成され、心新たに五期県政に力強く臨まれることを願うものであります。──知事さん、頼んでおきますよ。
 次いで、知事並びに担当部長に質問いたします。コスモパーク加太計画についてであります。
 本計画については先輩議員各位からしばしば質問されておりますが、これは、関西国際空港開港と軌を一にする、二十一世紀を展望しつつ県勢浮揚を図る大プロジェクトであります。その後、計画策定のための組織的な運営等の経過、さらに具体化しつつある基本構想、計画の内容、そして昭和五十八年にまとめた構想後、約九年経過いたしております。開発整備推進協議会としても、急速にいろいろと変革する時代に対応していると存じますが、二十一世紀の百年間でも通用し、我々の子孫から、先人たちの業績が何とすばらしいものであったかと褒められるプランが策定されつつあるのかどうか。
 私は特に知事にお願いいたしたいことは、この開発用地は二百七十ヘクタールの計画面積でありますが、その中で三十ヘクタールを確保し、和歌山県総合運動公園を計画していただきたいのであります。
 過ぐる八月二十三日、全国都道府県議会議員の野球大会が石川県で行われ、開会式典は西部緑地公園内の野球場で華々しく挙行されました。不運にして本県は準優勝に終わりましたことをご報告申し上げます。
 既に知事、教育長、企画部長の手元に石川県の図面をお届けしておりますけれども、その公園内には、陸上競技場、補助競技場、投てき場、夜間照明つきの野球場、広々とした駐車場、運動広場、芝生広場、サブグラウンド、池、展示館、広場の十一の機能を持っております。これで二十五・七ヘクタールであります。私は、これらに加えて、全国にたぐいのない、すべてを完備した、室内水泳施設、テニスコート、ゲートボール施設をも含めて三十ヘクタール──開発面積二百七十ヘクタールのたった一一%であります──を確保していただきたいのであります。
 仮谷知事、あなたも私も、これから何十年も生きてはいけないでありましょう──知事は長生きするかもわかりませんけれども。仮谷知事、県会議員の各位、県職の皆さん、今こそこの長期展望に立って決意を新たにし、百有余万県民のため決断し、関西国際空港の至近距離に日本一整備された機能的な運動公園を実現させようではありませんか。
 また財源については、これは一例でございますけれども、もしそれができ上がりましたら、体育館の近辺は約四千坪あり、その時分になると坪七百五十万円ぐらいすると思いますので三百億円の財源ができ、財源の心配はないと思います。また、いろいろとお考えいただければよいと思います。知事、本問題については、あなたの知性に進歩的な決断を求めてやまないのであります。
 さらに、知事にお願いいたしたいことがあります。
 つい先日、石川県での夏の国体が終了いたしましたが、本県のスポーツ水準については、昭和四十六年の第二十六回黒潮国体以来、県体育協会会長である知事を先頭に競技力の維持・向上に取り組み、各競技団体の努力によって全国の同等規模の各県の中では非常に高い水準を保ってきたこと、同時にこのことが地域スポーツや生涯スポーツの普及・振興にもつながってきたことは、スポーツ県和歌山として他府県からも高い評価を得ており、これまでの県当局の姿勢には一定の評価をするものであります。
 去る十六日、スポレクわかやま''90開催記念、第一回県スポーツ・レクリエーション大会兼第二十七回県民総合体育大会が開催されました。その趣旨は、広く県民各層、各地域からの参加を求め、県民の生涯を通したスポーツ活動の振興と県勢の飛躍的発展を期し、本大会を開催するということであります。私も、同感とするところであります。
 知事、ご承知のとおり、昭和六十三年の京都大会から国体も二巡目に入っております。得点方式の変更や成年二部制の導入、中学生の参加等が認められるなど、より国民に開かれた大会に変わって以来、各府県とも従来に増して国体での成績向上を軸とした競技力の向上に力を入れるようになったことから本県の競技力は相対的に低下してきており、これまでの成績を維持することが大変難しくなっているように思考されるわけであります。
 本県の代表選手が国体やオリンピック等において活躍し、優秀な成績をおさめることは、ただ単にスポーツの成績の問題にとどまらず、青少年はもとより県民全体に夢と自信を与え、全国はもとより世界に飛躍する気概を育てるものであり、和歌山県が二十一世紀に向けて世界の和歌山として飛躍発展している今日、極めて重要な課題であると認識するところであります。したがいまして、これまで以上のスポーツ水準の向上を図る方策として、小・中・高校と一貫した選手の養成や、優秀選手・指導者といった人材確保のための一層の努力と他府県に劣らない選手強化のための思い切った財源措置が必要であると考えますが、いかがでございましょうか。私が提案した長期展望に立つ和歌山県総合運動公園構想も、またここにあるのであります。知事、五選当選後は、ぼちぼち国体誘致の手を挙げるべきではないでしょうか。ご答弁をちょうだいいたしたいと思います。
 次いで、企画部長並びに関係部長に質問いたしたいと思います。
 去る九月十二日、「JAPAN EXPO ウェルネス WAKAYAMA-世界リゾート博」の協会設立記念推進パーティーが、参加者の熱気と期待の中で開催されました。また、「和歌山全域をネットワークとしてこれからのリゾートをうたいます」と書かれた第一次実施計画書もちょうだいしております。
 中心的なリゾート博でありますが、仄聞するところによりますと、平成六年、時を同じゅうして、京都では平安建都千二百年記念事業として府下全域で多彩なイベントが計画されており、また世界祝祭博覧会が伊勢市朝熊山ろくで百八日間開催されるやに聞いております。また岸和田市でも、総面積十九・五ヘクタールに情報・文化・交流機能、居住機能、アメニティー機能を持たせた岸和田ポート・ルネッサンス計画を発表いたしました。本県のリゾート博は、平成六年七月十六日から九月二十五日までの七十二日間であります。入場者数の目標百万人という規模でありますが、赤字を出すことは許されないのであります。また、近隣の記念行事に決して負けてはならないのであります。特に大阪の花博が大方の予想を上回る好成績を上げたのも、割引入場券の販売によるところが大きかったと思います。協会、県は、四国や近畿等、可能な限り各府県や大企業に協力を求め、少なくとも五十万から八十万枚の前売り券の販売を積極的に推進されたいのであります。
 特に極めて重要なことではございまするけれども、マリーナシティ計画面積の中で、本県が単独で利用できる県有地がどれだけあるのか、あわせて明確にお答えいただきたいのであります。
 さらに、リゾート法に基づくリゾート開発という名の自然破壊が各地で大きな問題になっております。その代表的な例はゴルフ場建設であります。大量に散布される農薬の汚染、特に水源地や飲料水への混入は周辺住民の心配の種であります。県においては、その後、既成ゴルフ場への実地検査や指導についてどのように対処されているのか。さらにまた、今後、ゴルフ場開発に厳しい規制をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたす次第であります。
 さて、梅田出納長にお願いいたしたいと思います。
 十二、三年ぶりと聞いておりますが、去る八月二十七日から梅田出納長はリゾート視察ということで南仏ピレネーゾリアンタール県に行かれ、ルネ・マルケス県議会議長と会談され、両県が積極的に交流を進める話し合いができたようでございまするが、その内容のご発表をしていただきたいのであります。
 さらにまた、スイス、スペイン等も視察されたと聞いております。そこで、本県が積極的に進めている燦黒潮リゾート構想をどのように進めるべきか、忌憚なきご意見を承りたいと思います。
 仄聞するところによりますと、フランスからお帰りになったのでフランス語で答えてやろうというお話でございましたけれども、ぜひ日本語でお願いいたしたいと存じます。
 次いで、教育長にご質問申し上げます。県立高等学校の授業日数についてでございます。
 近年、本県の県立高校からの進学に関する問題等がよく話題になるところであります。このことは、学力問題がその基本にあり、学力の向上を図るためには授業日数を十分にとることが最も大切であると考えます。しかし、他府県の状況から判断すると、本県の県立高等学校の授業日数は、全国的に見てもかなり少ないように思えてなりません。実際、七月十日過ぎには、家にいたり、町中をぶらぶらしている高校生をよく見かけるわけであります。また、十二月十日過ぎ、それに三月十日過ぎにおいても同様なことが言えます。そこで、高等学校の先生に尋ねてみると、この時期は家庭学習期間で、生徒は登校しなくてもよいという話であります。この期間だけでも一カ月近くの日数上のロスがあり、これでは年間の授業日数が不足するのは当然であります。期末テスト終了後、なぜ家庭学習期間が必要なのか、なぜこの期間に授業を実施しないかをお尋ねしたいのであります。
 そしてまた、それを先生に尋ねてみますと、テストの採点や保護者懇談会等で忙しいという説明でありました。それならば、私立高校や小中学校の先生方は忙しくないかというのが世間一般での素朴な疑問であります。各学期末の試験の後にはさまざまな学校行事を実施しているという状況もあると思いまするが、授業のできる日もかなりあるのではないでしょうか。また、学校行事を見直すことで授業日数を確保する余地がまだまだあるのではないでしょうか。
 次に、授業日数と並んで、授業時間数の確保という観点からの問題もあります。二学期に入って約一週間程度もの期間、午前中の授業だけで午後の授業が打ち切られているという状況がありますが、これも考えなければならない問題であると思います。このように年間の学校運営計画を見直していけば、授業日数及び時間数の確保には、工夫と情熱次第で幾らも改善の余地があると存じます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。本県の県立高等学校における授業日数の実態とその全国との比較状況、並びに教育委員会の学校に対する指導状況について答弁を求めるものであります。
 次に、土木部長にお尋ねいたします。
 十七号、十八号台風の直撃もなく、非常に幸いでありましたが、南紀には極めて多くの雨が降りました。被害も多発していたのではないかと心配いたしておる一人であります。
 さて、日ごろ伊都地方の土木行政について格段のご高配をいただいており、心より厚く感謝申し上げる次第であります。
 お尋ねの一点は、紀の川下流流域下水道終末処理場の進捗状況についてであります。
 その前に、去る九月十日は第三十一回全国下水道促進デーでありました。そして、こんなふうにポスターに書いてありました。「みんなの笑顔が見える、きれいな水の町。 下水道 青い地球を 孫や子に」。こんなことを思い起こしながらお尋ねいたすわけであります。
 我がふるさと和歌山県は、質疑するのも恥ずかしいほど普及がおくれており、全国第四十七位。後ろを向くと四十八位がありませんので、最下位でございます。先年、かつらぎ町の現場近くに出先事務所が設置され、職員一同、一生懸命に汗を流して努力されておりますが、なかなかうまく進行していないのではないかと心配いたしております。現在、地域の皆さんや数多い地権者の方々とどこまで突っ込んだ話がなされているのか、また進展しない原因、ネックは一体那辺にあるか、詳しくご答弁をいただきたいのであります。
 次に、高野口町内における町道八号線のバイパス建設につきましては、知事初め土木部の皆さんに多大のご高配をいただいているところであります。
 さて、町道八号線は、元年度より事業化した京奈和自動車道の高野口インターと国道二十四号へのアクセスであるとともに、広域農道と国道二十四号とを結ぶ幹線道路でもあります。そのため高野口町は、公共事業にて道路改良を行っているところであります。幸い、地権者の深いご理解により用地買収が順調に進んでおります。地域住民といたしましても、工事の着工を切望するとともに、早期完成への予算の増額をしていただきたいと存じます。
 さらに、京奈和自動車道と接続するという相関性のある重要な交通アクセスでありますので、県で代行していただく区間も含め、工事の進捗等についてご答弁を求めるものであります。
 以上をもちまして、本定例会のしんがりである私の第一回の質問は終わりますが、再質問、再々質問が要らない親切、誠実なご答弁をお願いし、あわせて十月七日告示、五選圧勝を目指す仮谷知事への万全の協力をお誓いし、本日はこれまでといたします。ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 ただいま阪部議員から、私に対して大変温かい励ましの言葉をいただき、身に余る光栄でございます。また、阪部議員がおっしゃったように、国内、国際ともに激動の中で五選に立候補させていただく身の幸せというものをしみじみとかみしめております。
 先日、馬頭議員にも申し上げたところでございますけれども、このたびの選挙において県民の支持を得られますならば、ふるさと和歌山のなお一層の発展のために努力してまいります。皆さん方の温かいさらなるご支援をお願い申し上げたいと思います。
 コスモパーク加太計画の問題でございます。
 総合運動公園との関連がございましたけれども、コスモパーク計画につきましては、従来から県、和歌山市、県土地開発公社において基本計画をまとめてまいったところでございますが、民間開発のノーハウを取り入れるため、民間の進出希望企業多数の中から十四社を選定し、県と和歌山市、県土地開発公社とともにコスモパーク加太開発推進機構を設立して、リゾート、研究開発、住宅、コンベンションの四本柱をコンセプトとした土地利用計画、施設立地計画を策定していただいているところであり、来るべき二十一世紀の大阪湾岸の主要拠点としての新しい町づくりを推進したいと考えております。
 それから、総合運動公園についてでございます。
 本県においては紀三井寺公園が設置されていますけれども、本公園は昭和三十九年に概成したもので、老朽化も進んでおり、利用者から施設充実の要請もございます。
 総合的な運動公園の整備の必要性というものを感じるわけでございますけれども、整備するについては、話ございましたように、国体といった全国大会の開催の見通しも考えに入れ、また現在の紀三井寺公園の再開発も含めて、今後の整備方針について検討していかなければならないのではないかと思っておるところでございます。
 それから、スポーツ水準の問題でございます。
 お話のように、国体開催以来、和歌山県の競技水準が全国的に高く評価されておったことは事実でございます。ただ、昨年からことしの夏にかけて、幾らか競技力が低下しているわけでございます。
 選手強化の問題につきましては、おっしゃるように選手強化をなお一層進めていかなければなりません。体協とも連携をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
 次の国体の問題でございます。
 国体の開催は、スポーツの振興だけではなしに地方の文化、地方の産業の発展にもつながるものであり、二回目の国体開催については、近畿地区で選ぶことにもなりますので、他府県の動向を考えながら、また議員の皆さんのご賛同を得ながら、できるだけ早い機会に名のりを上げたいと思っておる次第でございます。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(山本 一君) 出納長梅田善彦君。
 〔梅田善彦君、登壇〕
○出納長(梅田善彦君) 阪部議員にヨーロッパ出張の結果について集約をしてご報告申し上げ、ご質問にお答えを申し上げます。多少時間がかかりますので、お許しをいただきたいと思います。
 先月二十六日から十五日間、仮谷知事に対して訪問招請のあった南フランスのピレネーゾリアンタール県議会のルネ・マルケス議長──フランスでは地方自治が非常に進んでおりますので、日本の知事にも相当します──を表敬訪問いたしました。両県の友好を深めるとともに同県内の状況を見せていただくことを主目的にして、ヨーロッパ四カ国のリゾート地域及び関係主要都市を視察させていただきました。
 ピレネーゾリアンタール県は、フランス共和国が国策として開発を進めてきた新しい地中海沿岸の国民リゾート地であるラングドック・ルシヨン地域の南西の一番隅に位置しており、面積が約四千百平方キロ、本県の約九割であり、常住人口が約三十四万人、本県の約三分の一、年平均気温が十四・九度、本県とは〇・四度という微差でございまして、ピレネー山脈を隔ててスペインと隣接する、バルセロナに非常に近い、山と海に囲まれた国境の県でございます。そしてピレネーゾリアンタール県は、フランスでも有数のワイン用ブドウ、アプリコット──アンズです──桃などの果樹、及びレタス、ピーマン、インゲンなどの野菜を中心とした農業の盛んな県でございます。また、地中海での漁業も営まれております。
 県都であるぺルピニャン──フランス読みをすると「パピニオン」──は、高速道路、鉄道、港、空港を備えた交通の要衝でもございます。ヨーロッパの生鮮食料品を供給する取扱量がフランスで第一位の流通施設、国際マーケットや、町の近郊の巨大なワインセラー、ハイテク農業を目指した果樹研究センター、かんがい用ダム等の施設も見せていただいたほか、ピレネー山脈に向かっての延長八十キロメーターの登山鉄道、アルペンスキーで有名な、ピレネー山腹のリフト数が二百を超えるスキー場、青少年育成を兼ねた乗馬センターやスポーツトレーニングセンター、医療用の温泉施設センター、またヨーロッパ特有の古い歴史を持つ、伝統と宗教文化に裏打ちされたロマネスク様式の修道院や古城など、内陸部の山岳リゾート地も視察いたしました。
 一方、地中海に面しては、サンシプリアン市では、将来は収容力三千三百隻という計画を持っておりますが、現在は収容隻数二千二百隻に及ぶ、地中海でも有数のヨットハーバーを抱えておりますし、また広大なビーチもございます。青少年海洋スポーツセンターやゴルフ場、また変化に富んだ海岸線を利用してキャンピング施設、資料数がヨーロッパ一と言われるパリ大学の海洋資源研究所、現地出身の有名な彫刻家マイヨールのアトリエ記念館など、もろもろの角度から県内各地を県議会のベラマン観光局長にご案内をいただいたところでございます。
 以上、申し上げましたように、気候、風土、地形、特色のある古い文化と歴史遺跡、自由化とEC統合に悩んでいる伝統農業、利用形態は違いますが豊富な温泉、開放的な総合リゾート施設など、和歌山県とピレネーゾリアンタール県との間には極めて多くの類似点がございます。思っていた以上の南フランスらしい明るさと純朴さを感じるとともに、仮谷知事がちょうど二年前に当地を訪れた経緯もあり、議長初め県幹部及び各地の市長、議員の皆様方から大変温かい歓迎を受け、遠い異国の地ではございましたが、感動いたした次第でございます。
 ルネ・マルケス議長とは県議会議長室で会談をさせていただき、仮谷知事からの親書を手渡すとともに、今後も両県相互の発展を目指して理解を深め合いながら、さらに友好関係を進めるよう合意いたしました。と同時に、次はピレネーゾリアンタール県からもなるべく早い時期に和歌山県を訪問視察されるよう、また一九九四年に開催を予定している本県の世界リゾート博に対しても、マリンリゾートの先進県としてぜひ協力をいただくよう要請してまいりました。
 南フランスのピレネーゾリアンタール県及びヨーロッパ各地では、それぞれの地域の持つ特色とすぐれた自然資源や伝統ある文化資源を巧みに生かした総合的なリゾート地が形成されております。燦黒潮リゾート構想の推進に当たっては、こうしたすぐれた海外のリゾート地も参考にしながら、本県の恵まれた自然資源、農林水産業、伝統ある地場産業、高野・熊野などに代表される本県特有の歴史・文化資源を有効に活用して、国内はもとより世界各国からも多くの方々が訪れていただける、個性的で、特色のあるリゾート地の形成が必要であると感じました。
 また一方、ヨーロッパでは緑と自然環境保護などに対する関心も高く、特定された地域では建築や開発に対する規制も行われております。例えば、訪問したピレネーゾリアンタール県では、県政の三本柱として、まず一つ目には自然環境の保全と生活環境の向上、二つ目には、夏のバカンス時期には非常に混雑をするということに対処して道路の拡幅、三番目には、年間降雨量が四百八十ミリと──本県の約六分の一であります──寡雨地帯であるだけに水のコントロールということを掲げております。特に緑と自然及び質の高い生活環境を目標に力を入れながら、観光立県、リゾート立県として県勢の発展を目指しておるところでございます。
 ただ、ヨーロッパにおけるリゾート地域を見て、ヨーロッパ地方の方々のライフスタイルあるいは余暇利用、バカンスの過ごし方というものと日本におけるそれらとの間には、考え方や価値観など、まだ相当大きな違いがあると感じました。本県のリゾート地域の整備形成については、諸外国とのこれらのギャップを十分考慮に入れていかなければならないと強く感じた次第でございます。
 非常に簡単でございますが、ご報告を申し上げます。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、コスモパーク加太計画についてお答えを申し上げます。
 これまで、県、市、県土地開発公社で構成する加太地域開発整備推進協議会において種々調査を重ねてまいりましたが、民間のすぐれた開発ノーハウを導入して計画をより充実させるため、昨年十一月、コスモパーク加太開発推進機構を設立し、国際化及び情報化に対応できる町づくりを目指した具体的な土地利用計画を策定するため、幹事会、また理事会において鋭意協議を重ねつつ策定作業を進めているところでございます。
 現在、最終的な協議調整を図っているところであり、新しい町づくりを目指し、よりすぐれた土地利用計画を策定するため、鋭意努力いたす所存でございます。
 次に、世界リゾート博に関してお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、平成六年には京都府や三重県等において記念事業や地方博が開催される予定でございます。各府県それぞれのテーマで計画されておりますが、本県のリゾート博は、マリンスポーツや海洋レジャーなどが求められる時代の趨勢の中で、沖合人工島という特徴を生かし、会場を国際的リゾートエリアとして位置づけ、「二十一世紀のリゾート体験」をテーマに、他の博覧会とは違った、独創性のある展開を鋭意検討し、諸準備を進めているところでございます。
 また、世界リゾート博前売り券販売についてでございますが、県庁内推進体制として、昨年八月にリゾート博推進会議を発足させており、今後、博覧会協会を支援するため、前売り券販売枚数や時期、方法について協会ともども検討を進めていくこととしております。
 これまでに開催された博覧会においても、目標入場者の約六〇%を前売り券として販売したと聞いておりますので、関係団体、企業等にご協力、ご支援をいただき、目標入場者数の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、ゴルフ場問題についてでございます。
 ゴルフ場開発は、国民的な余暇活動志向に対応した地域振興策の一つであると認識をいたしております。ゴルフ場開発による地域開発効果につきましては、建設投資に伴う地域経済への波及効果を初め、雇用機会の増大や地域産品の販売の拡大等、地域の活性化につながるものと考えてございます。
 県では、ゴルフ場開発を進めるに当たりまして、地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画に限り受け付けをいたし、関係市町村と協議しながら取り組んでいるところでございます。
 今後、県といたしましては、地元の意向を尊重しながら、自然環境の保全を図りつつ、総合的かつ計画的な県土利用に留意してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、マリーナシティにおける県有地についてでございます。
 和歌山マリーナシティは埋立面積四十八・三ヘクタールで、うち県有地としては、埠頭、マリーナ、緑地、幹線道路が計画されておりますが、現在、具体的な土地利用計画について検討中であり、その中で、このほかにも県有地となるものもあろうかと考えられます。
 次に、伊都地方における土木行政についてでございます。
 まず、紀の川流域下水道終末処理場の進捗状況についてでございます。
 伊都処理区の浄化センターにつきましては、地権者を含む地元の方々に対し、浄化センター設置に伴う地域整備計画案をお示ししたところであり、地元においても、現在、意向集約のための取り組みを行っていただいております。地元の方々の意向を集約しながら、これら地域整備事業の具体化に取り組んでまいる所存であります。
 また、地権者の方々につきましては、専業農家及び兼業農家にかかわらず、現在保有する農地が浄化センター用地となることについて、地権者個々、また地元として種々の心配をされていることは当然のことと考えており、昨年来、地元において、浄化センター施設配置について、税制度について、測量調査の必要性等に関し、地権者間で、また行政が参加した中で勉強会等を行い、ご認識を深めていただいたものと考えております。
 団結した根強い反対の中で積極的に交渉を行ってまいった結果、地元総意として、話し合いで対応するとの住民間における確認もされました。さらに近々、地権者の方々にお集まりいただき、地権に関する事柄に焦点を絞り、話し合いを行う予定といたしております。
 今後、地元及び地権者の方々の具体的なご意向の把握に努めるとともに、関係各位のご協力を得て、関連市町とともに積極的な取り組みを図ってまいる所存であります。
 二番目の、高野口町道八号線バイパス工事促進についてでございます。
 町道八号線につきましては、国道二十四号と京奈和自動車道橋本道路の高野口インターへのアクセス道路であり、さらに紀の川右岸広域農道と国道二十四号を結ぶ重要な幹線道路であると認識しております。そのため、平成元年度から高野口インター付近より北側は高野口町において公共事業として進められており、用地買収は地元の方々のご協力によりスムーズに進んでいると聞いております。
 また、高野口インターへのアクセスとして必要な国道二十四号までの延長一キロメートルにつきましても、平成二年度から県において代行事業として着手しており、昨年に引き続き調査設計を行っております。これらの事業箇所につきましては、地域のご協力にこたえて早期に完成するよう努力をしてまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) ゴルフ場問題についてでございます。
 ゴルフ場で使用される農薬につきましては、ゴルフ場農薬安全使用指導要綱に基づき、適正使用と農薬の自主検査をしていただいております。保健環境部といたしましても、既設の二十カ所のゴルフ場の排水口等で春と秋の二回水質検査をして結果を「環境白書」に公表しておりますが、環境庁の指針値を超えたものはございません。
 水道水については、水道事業体がモニタリングの実施をしており、また県においても水質調査を行っておりますが、いずれも厚生省の暫定水質目標値を下回っております。
 今後とも、県民の良好な環境確保のため、水質検査等を行ってまいりたいと考えております。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 ゴルフ場における農薬の適正使用に対する指導の問題でございます。
 これまでも、農薬取締法に基づき、ゴルフ場関係者に対して農薬の安全使用を鋭意指導してきたところでございます。さらに、本年一月からは新たに指導要綱を定め、ゴルフ場に対し、管理責任者の設置、年間使用計画とその実績の報告、水質検査の実施など強く指導しており、あわせて立入調査も行っているところでございます。また、本年六月には芝生に対する病害虫などの防除の手引書を作成し、使用農薬の削減等について指導しているところでもあります。
 今後とも、農薬の適正使用を一層推進し、周辺環境の保全に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 高等学校の授業日数についてお答えいたします。
 県立高等学校における年間の授業日数についてでありますが、議員ご指摘のとおり、本県においては全国の平均的な実績よりも二十五日前後少ない状況にあります。教育委員会といたしましては、これまで、県立学校長会、教頭会、教務部長会、さらに指導主事による学校訪問の機会をとらえて授業の日数及び時間数の確保を指導してきているところであります。
 この状況は部分的に改善されてきておりますが、依然として、学期末試験が終了して終業式までの間、授業を実施している学校は極めて少なく、クラス対抗試合や保護者懇談会等が行われております。また、夏休み明けの九月の第一週は、ほとんどの学校が午前中で授業を打ち切っている状況も見られます。
 こうした状況を踏まえ、高等学校教育の充実・向上を図るため、授業日数、時間数の確保に向けて年間行事計画の見直し、各学期末試験終了後の授業の実施、九月の短縮授業の解消及び自習時間のあり方などについて改善方をさらに強く指導してまいる決意でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) 再質問がありませんので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
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○議長(山本 一君) この際、お諮りいたします。議案第百三十五号及び議案第百三十六号については、急を要するため、本日議決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
○議長(山本 一君) お諮りいたします。本案については、いずれも委員会付託等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) ご異議なしと認めます。よって、本案はいずれも委員会の付託等を省略し、直ちに採決することに決定いたしました。
○議長(山本 一君) これより採決いたします。
 議案第百三十五号及び議案第百三十六号を一括して採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君はご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(山本 一君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
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○議長(山本 一君) 次に、議題となった全案件のうち、議案第百三十四号平成二年度和歌山県公営企業決算の認定について、及びただいま議決されました議案第百三十五号、議案第百三十六号を除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(山本 一君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(山本 一君) 次に、お諮りいたします。明二十一日は議事の都合により、また九月二十四日及び二十五日は各常任委員会審査のため、それぞれ休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) ご異議なしと認めます。よって、九月二十一日、九月二十四日及び九月二十五日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(山本 一君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第 一 委 員 会 室
 厚生委員会 第 二 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
 建設委員会 第 五 委 員 会 室
 文教委員会 第 六 委 員 会 室
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○議長(山本 一君) 次会は、九月二十六日再開いたします。
○議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後五時五十五分散会

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