平成3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第百十二号から議案第百三十六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 25番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。
 先輩、同僚議員のご配慮によりまして、初登壇の機会を得ましたことを深く感謝申し上げます。また、このたびの四月の統一地方選挙におきましては、知事初め、県庁の先輩、同僚の皆さんには温かいご支援をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 また、和歌山県の県下全域でビッグプロジェクトが同時に進行されている現在、私のような未熟の者が有田郡民の皆さん方の力強いご支援によりまして県政に送っていただきましたことを、この議場からではありますが、厚く御礼申し上げます。
 それでは、私の政治信念に基づきまして、まず最初に日本の国旗・日の丸についてのご質問をさせていただきます。
 ロスオリンピックで柔道の山下選手が足を負傷しながら金メダルをとり、表彰台に立ち、国歌「君が代」吹奏と同時に国旗・日の丸がセンターポールに掲揚されるシーンを見たとき、私は目に熱いものを感じました。最近では、世界陸上競技選手権大会で、日本人で初めてマラソン競技で谷口選手が優勝したときも、そうでありました。ゴールインの後、日の丸を振って観衆にこたえた場面、何とも言えない感動のシーンでありました。
 これは質問ではありませんが、知事も海外に行った際に、在郷県人会等の方々が必ず日の丸を振って出迎えてくれると思います。そのときの知事の感想はどうでありますか。質問を具体的に申し上げる前に、国旗・日の丸の歴史について、また、いかなる経緯で日本の国旗となったかについて少々述べさせていただきます。
 安政三年七月、日米和親条約によりアメリカ合衆国のハリスが下田に来航し、総領事として日本駐在を迫り、徳川幕府はこれを許可し、翌安政四年、下田条約を結び、本当の目的である日米通商条約を結ぶため、一方的な外交により、ついに安政五年、日本にとっては不平等な日米通商条約を結ぶに至ったのであります。日本にとって不利な条約でありましたが、清国が英国、フランスの連合軍に破れるなど、国力がない軍備を持たない日本は、アメリカの要求を一方的にのむ以外になかったわけであります。
 幕府は、この条約をワシントンで取り交わすため使節団をアメリカに送ることになったのであります。しかし、このとき使節団を乗せる船はアメリカの船でありました。これを聞いたあの有名な勝海舟は、日本の船で、日本人の力でアメリカに渡るべきだと主張いたしました。それを幕府に訴え、使節団の護衛と食料を運ぶということで許可されたわけであります。その船が、有名な「咸臨丸」でございます。咸臨丸は、日本の日の丸の旗を帆柱に立て、サンフランシスコに到着したのであります。
 使節団一行は、それからワシントンで大歓迎を受け、ブロードウェイの町並みには星条旗と日の丸が軒並みにいっぱい掲げられたわけであります。この日の丸こそ、皆さん、外国の地で初めて掲げられた最初の日の丸であります。
 以後、明治三年に太政官布告第五十七号により国旗を制定し、船舶の掲揚方法を商船規則として規定したのであります。明治五年には、船舶ではなく、開港場所在地の県庁、裁判所にも掲揚することになりました。大正十三年には、各省次官決定で官庁は祝祭日等に国旗・日の丸を掲揚することになりました。
 ところが、あの戦争に負けた昭和二十年八月十五日から、国旗・日の丸の存在がおかしくなり、今日までその状態が続いているということを指摘しなければなりません。
 連合国司令部・GHQは、事もあろうに、日本の国旗・日の丸を掲揚するのにその都度許可が必要であるとしたのであります。昭和二十二年には、GHQは皇居、国会議事堂、最高裁判所、首相官邸の四カ所に限って許可なしで掲揚してもよいという布告を出しました。昭和二十三年、GHQにより十二の祝祭日には許可なしで日の丸を掲げてもよいということになり、昭和二十四年一月一日から、GHQの覚書により、やっと自由に何の制限もなく日の丸を掲揚することができるようになりました。日の丸は、やっと私たち日本人自身の手に戻ってきたのであります。
 日の丸は国旗として法律に定めていないから国旗でないとか、軍国主義、戦争につながるとか主張する人がいますが、政府の世論調査でも八〇%以上の人たちが日本の国旗を日の丸だということを認めております。
 そこで、知事にお聞きいたします。
 知事さんは現在、知事官舎でお住まいでありますが、祝祭日には日の丸を掲げておりますか。掲げているとすればどういう気持ちで掲げているか、お尋ねいたします。また、公的施設においてできる限り国旗掲揚台、ポールを設置していただき、祝祭日にはもちろん、平日にも日の丸を掲揚していただきたいと思いますが、いかがでありますか。
 世界には、百六十以上の国家があります。きょうの新聞でも、六カ国が国連に承認されております。どこの国でも、国歌や国旗が大切にされております。もし日本人が国旗を愛していないことを知れば、国際的な信頼は低下すると私は思います。日本人として世界の人々に信頼されるためにも、国際社会の一員として国旗・国歌に対する正しい認識とこれらを尊重する態度を養うことが大切であります。また、国際的な儀礼といたしましても、外国の国旗・国歌を尊重することが常識であります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 平成元年三月に告示された新学習指導要領の実施による学校教育での日の丸・「君が代」の義務化は、平成二年の四月から適用されましたが、卒業式についてはことし初めて適用されます。県下の学校の実施状況は、教育委員会の調査資料によりますとまだまだ完全実施されていなくて、特に小学校、中学校の「君が代」・国歌斉唱については実施率七〇%台で全国的にもかなり低い状態であります。
 そこで、質問の第一点目は、教育委員会として憲法に保障された文部大臣告示の新学習指導要領に基づいて指導していると思いますが、どのように指導されたのか、お伺いいたします。第二点目は、学校長の責任において実施義務があるわけですが、完全実施できない理由はどこにあるのか。第三点目は、今後、教育委員会として指導したにもかかわらず実施しない学校があればどのように対処するつもりなのか。以上、三点について教育長にお尋ねいたします。
 次に民生部関係につきまして、四点お尋ねいたします。
 日本は今、世界のどこの国もが経験したことのない急速なスピードで高齢化社会を迎えております。二十一世紀には国民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となり、福祉ニーズがますます増大し、そのため多様化する福祉サービスを行政の力だけでは到底解決できない時代がやってくるわけであります。地域の中でお互いに助け合い支え合う地域福祉社会が必要となり、それを支える環境の整備及び人的パワーの確保が急がれるのであります。
 そのうち、特に地域ボランティアの活動に期待しなければ、来るべき深刻な高齢化社会に対応することが困難であります。将来のボランティア育成ということから、県においてはさまざまなボランティア施策を実施されております。小学校、中学校、高等学校の生徒を対象とした福祉協力校、サマーボランティアスクール等の事業を実施しており、相当な成果を上げているように思います。
 そこで、私なりに思うことでありますが、もっと日常的及びその地域に密着した施策がないものか。例えば、学校と老人福祉施設等を同一の敷地内に併設し、給食を一緒に食べるとか、さまざまな交流を通じて、生徒には人間形成と福祉の心を、お年寄りには楽しい生きがいのある生活が体験できるということで、私は望ましい姿が発見できるのではないかと思います。
 そこで、知事にお尋ねいたします。二十一世紀に向けて地域福祉活動で最も重要なボランティア活動等を推進していくための基本方針についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 次に、民生部長にお尋ねいたします。
 社会福祉協議会についてでありますが、地域福祉は住民が主体となって地域の福祉環境の整備を実践するものであり、地域の中でその中心的な役割を果たすのが地域の社会福祉協議会であります。今日的な福祉を展開する市町村の社会福祉協議会の組織体制についてでありますが、県下五十市町村のうち三十市町村の社会福祉協議会において、その市町村の首長が会長に就任しているわけであります。行政の民主化や行政に対し積極的に意見を具申しなければいけない社会福祉協議会の代表が行政の長では、本来の役割を発揮できないものであります。県として社会福祉協議会の方針、あり方についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 第三点目は、地域福祉基金についてであります。
 ふるさと創生の福祉版として、民間福祉活動の支援、助成等の事業として国で創設されました地域福祉基金は、県に七億円の交付が予定されております。既存の和歌山県福祉等基金への追加拠出として本年度予算に計上されており、これは地域福祉の向上を図る目的と承知いたしておりますが、福祉マンパワー対策、ボランティア活動の条件整備をするための財源確保等への助成を希望するところであります。そこで、基金の運用益の使途なり助成対象事業について具体的なお考えをお伺いいたします。
 第四点目は、総合福祉会館等の建設についてであります。
 行政と民間との協働による社会福祉事業の総合的な推進を図る拠点として、またコミュニティー活動やボランティア活動の拠点として、福祉中核施設の建設を促進すると長期総合計画の中に挙げております。特に、女性の参加意欲、学習意欲の高まる中で、その活動の拠点となる女性センターの建設については、知事はかねがね意欲を燃やしていたところでありますが、今どのような構想をお持ちか、お伺いいたします。また、総合福祉会館の内容については種々ご検討されていることと思いますが、建設の年次計画及び施設の内容についてお伺いいたします。
 次に、農林部関係につきまして二点お伺いいたします。
 第一点目は、農村環境についてであります。
 平成三年二月定例議会におきまして、鈴木俊男先生が最後の一般質問に立ち、和歌山県の下水道普及率が全国最下位であると訴えられ、早急に下水道整備を推進しなければならないと質問されております。知事は、都市においても農村においても、下水道整備についてはあらゆる角度から推進していかなければならないと答弁されております。
 そこで、農村での整備についてであります。農村のイメージといえば緑の田園風景や清く澄んだ小川を思い浮かべるわけでありますが、最近では、住宅の整備や生活の近代化により農村の生活が便利になり、家庭の生活排水がふえ、農業用水路や河川の汚濁が進んでおります。かつては小川や河川で遊んだ子供たちの姿も全然見かけなくなり、知らず知らずのうちに農村の自然のよさが失われつつあります。
 物の豊かさから心の豊かさが求められる中で、農村の自然、おいしい空気、きれいな水、豊かな緑は和歌山の貴重な観光資源でもあります。私は、このかけがえのない自然を守っていかなければならないと思います。また農村は、若者が都会へ出ていき年々人口が減るなど、大変厳しい状況にあります。地域の人々が豊かな自然のもとでゆとりと潤いのある生活を充足できる環境を整備することが、活力ある農村を築く第一歩であると考えます。
 農村の水質汚濁原因の七〇%近くは家庭からの排水であり、特に台所からの排水がその半分近くを占めていると聞きますが、そのほとんどが処理されないまま農業用水路や河川に流されているのが現状であります。私は、農村にこそ下水道処理が必要であると思うわけであります。しかし、現実的な問題からすると、農村部において下水道が整備されるまでには相当長い年月がかかるものと思われます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 農村部の環境整備の一つに農業集落排水事業というものがあり、農村地域に排水処理施設を整備する事業であると聞いております。美浜町の和田地区においては既に完成しており、知事も現地視察をされ、処理施設、家庭の台所、トイレ等を直接見て大層感心したと聞いております。二十一世紀に向けて、燦黒潮リゾート構想の展開に当たり最も重要な財産である農村の環境整備を促進するため、この事業を積極的に推進すべきであると思いますが、現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。なお、私の住んでいる吉備町においても計画が進められていると聞いておりますが、今後の見通し等についてあわせてお伺いいたします。
 第二点目は、ミカンの関係についてお尋ねいたします。
 昭和六十三年六月、オレンジ、オレンジ果汁の輸入自由化が決定されたわけであります。それに伴い国内対策の一環として全国的に実施したミカン園の減反は本年三月をもって終了し、本県においても三千ヘクタールが転換されたわけであります。ミカン価格について少しは明るい展望を持ったわけでありますが、オレンジの生果が本年四月に輸入自由化され、来年四月にはオレンジ果汁が輸入自由化されるなど、不安と苦悩を隠せないのがミカン農家の現状であります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 農家にとっては一番心配なのがことしのミカンの需給と価格についてでありますが、その見通しはいかがでありますか。また、有田のある農家の話によれば、ことしのミカンは大変うまい、よさそうだということをおっしゃっておりました。大変喜んでいる話でありますけれども、全体的な作柄についてはどうでありますか、その点をお伺いいたします。
 また、近年、消費者のニーズの多様化、高級化に加えて、健康、安全志向が一層強まっていることや、さらにさきの農業センサスの結果を見ても、農業従事者の高齢化、兼業化の進展に伴い、労働力の不足が進行しているのが現状であります。今後、こうした消費者の動向、高齢化、国際化の進展に対応した足腰の強い産地の育成に向けて、農家はもとより農協、関係機関が一体となって取り組む必要があると思います。
 そこで、お尋ねいたしますが、ミカン産地の中心地である有田地域において、今後の生産対策の中で地域性も含めどのような施策が重要であるのか、また、その重点施策を実施する上で技術指導体制が十分整備されているかどうかについてお伺いいたします。
 次に土木部関係についてでありますが、国道の整備改良と県道整備の二点についてお尋ねいたします。
 第一点目として、国道四百二十四号の道路整備についてお尋ねいたします。
 長期総合計画によりまして、第二県土軸の構築ということで、内陸部の地域の振興を図る観点から内陸部の幹線道路の整備がうたわれているところであります。我が有田を通過する国道四百二十四号は、田辺市を起点として南部川村、美山村、金屋町、海南市を経て打田町で国道二十四号に接続する、紀伊半島を縦貫する重要な幹線道路であります。現在、金屋町、美山村で白馬トンネル工事が施工されております。この白馬トンネルの完成により、両地域を結ぶ交通につきましては安全性が向上し、所要時間も短縮され、非常に便利となるわけであります。このトンネルが両地域を初め周辺地域の活性化に大きな役割を果たすものと思われます。
 しかし、金屋町宇井地区から海南までの区間において、幅員の狭い相当未整備な区間が残されており、また金屋町西ケ峰地区のような勾配が急で幅員の狭い屈曲している区間については、およそ国道とは思われない状態であるのが現状であります。
 そこで土木部長にお尋ねいたしますが、第二県土軸としての機能を十分発揮し、内陸部の地域振興を促進するため、金屋町から海南市に至る未整備区間の早急な改良整備とトンネル工事等の抜本的な対策をお願いしたいと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 第二点目として、県道吉原湯浅線の整備についてであります。
 熊井、奥地内に吉備工業団地等があり、既に誘致企業が決まっている中で、通勤ルートとして県道吉原湯浅線を唯一の幹線道路として位置づけしても過言ではありません。本路線は、局部的に改良が進められておりますが、特に国道四十二号との交差部において、通勤時間等には大変渋滞を起こし、JR紀勢線も接近しておるため非常に危険な状況にあります。本路線の周辺地域は今後も開発される可能性が十分あり、増大する交通量に対し、将来的にはどのような整備をされるのか、お伺いいたします。
 以上で、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(山本 一君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 第一点の国旗の問題でございますけれども、経緯についてのお話がございました。また、私の国旗掲揚についての質問でございますけれども、私は、日の丸というのは、お話のように、国旗であるし、これを掲げることは自分の国を愛する心のあらわれだと存じ、祝祭日には必ず掲揚させていただいております。
 庁舎等については、常時掲揚しているところもございますけれども、掲揚台が未設置のところについては掲揚しておりませんので、今後、掲揚台の条件整備を図って掲揚するように努めてまいりたいと思っております。
 お話ございましたように、外国へ参りましても、国旗というものが一番尊重され、あちこちに掲揚されているのを見ますときに、国旗こそ国の最大表現であると私も感じているところでございます。
 それから、地域福祉についてのボランティア活動でございます。
 二十一世紀は超高齢者社会になってくるわけでございまして、福祉の問題が極めて重要な要素になってまいります。福祉ニーズも多様化してきますので、行政のみならず、ボランティア活動、民間活動とも相ともに十分補っていかなければならないということ、お話のとおりでございます。私も、そうした二十一世紀へ向けてのこれからの福祉社会のあり方として、触れ合い支え合う、また強い人類愛を基本としたボランティア活動をなお一層啓発、啓蒙していかなければならないと思っておるわけでございます。
 現在、社会福祉協議会等においてボランティア活動を積極的に進めておりますし、また、日赤会館にもボランティアの部屋を設置し、そこをたまり場として健闘していただいております。話ございました総合福祉会館等においても、ボランティア活動の拠点的なものも考えていかなければならないとも思っておるわけでございまして、趣旨を生かし、ボランティア活動のなお一層の推進を図ってまいる所存でございます。
 それから、女性センターでございます。
 お話のように、女性の地位の向上の問題、また社会参加ということが非常に大事でございますので、現在、女性センターの設置を考えておるわけでございます。この建設については、女性の活動の拠点として、女性団体、サークル、グループ活動を支援するとともに、国際交流を初めとする女性の能力開発促進等、学習、相談、情報機能を十分に備えた施設として、女性に愛され、また活用いただける施設にしてまいりたいと思っております。
 他の問題は関係部長から答弁させていただきます。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) まず、社会福祉協議会のあり方についてお答えをいたしたいと思います。
 市町村社会福祉協議会の組織体制については、議員ご質問のとおり、その会長職に行政の首長が多く就任しているところでございますが、ご承知のように、社会福祉協議会は側面的にはそこに参加する福祉関係団体の連絡調整機能をも持つ団体でございます。したがって、それぞれの団体からの強い要望もあり、行政首長が会長職についておるというように聞き及んでおるところでございます。
 しかしながら、ご提案のとおり、社会福祉協議会のあり方として、今後ますます多様化する福祉ニーズにこたえ得る社会福祉協議会の体制強化について、県も含め、市町村の地域性、独自性に配意しつつ指導してまいりたいと考えております。
 次に、地域福祉基金についてお答えをいたします。
 今後の長寿社会に備えて高齢者の保健福祉の増進を図るためには、民間活力の活性化を図りつつ地域の特性に応じた対策を積極的に推進する必要があると考えております。このため、福祉対策等基金に高齢者対策枠を設け、七億円を本年度予算化したところでございます。
 この基金の運用については、民間団体が行う在宅介護技術の向上を含め、在宅福祉の普及、健康生きがいづくりの推進、ボランティア活動の活性化など、先導的事業に活用してまいりたいと考えてございます。
 最後に、総合福祉会館──現在のところ、これは仮称ではございますが──についてお答えをいたしたいと思います。
 総合福祉会館の整備についてでございますが、県民の方々が福祉に対しての理解を深め、福祉活動に積極的に参加していただくための拠点であるとともに、福祉関係者の資質の向上、民間福祉団体の振興を図るなど、総合的福祉機能に十分配慮した、二十一世紀の福祉和歌山を展望した県民の誇れる施設の一つとして整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、建設の時期については、現在、日本国有鉄道清算事業団との調整が残されていますので、これらの調整がつき次第、明らかにしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 まず、農村環境の整備に係る農業集落排水についてでございます。
 自然環境の保全や快適な農村の環境整備は、議員ご指摘のとおり、重要な課題であると認識しているところでございます。中でも、農村のし尿、生活雑排水の処理については、重点的な整備が必要と考えております。
 そのため農業集落排水事業に積極的に取り組んでいるところでありますが、議員お話しのように、現在、美浜町和田地区で供用を開始しているほか、田辺市でも三地区が実施中であり、また、新たに要望のある三地区については鋭意国と協議を重ねているところでございます。
 お話の吉備町については、農村総合整備モデル事業で既に計画が策定されておりますが、その他の地域からの要望もございますので、地元意向を踏まえた計画樹立を早急に指導し、関係機関との連携を図りながら実現に向けて努力してまいりたいと考えてございます。
 今後の取り組みについては、まず農村婦人の参画による事業推進のための協議会を組織し、県と市町村が一体となって事業の普及、啓発を図るとともに、緊急に調査を行い、これをもとに地元の意向を踏まえながら事業の積極的な推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次にミカン対策でございますが、まず需給と価格についてでございます。
 本年産ミカンの作柄についてでございますが、五月中旬から六月中旬の曇天多雨によって生理落果が多目であったものの、本年はミカンの表年である上、樹勢が比較的良好なため、果実の肥大は順調に推移してございます。
 生産予想量については、温州ミカン園の再編対策の実施に伴い、栽培面積が前年に比べて二%減少したものの、八月一日現在の生産見通しによると全国ベースでは百七十五万八千トン、前年の六%増が見込まれ、また、本県では二十二万七千トンと前年の一二%増が予想されてございます。
 これらの生産予想量を基礎にした全国的な需給計画によると、生食用出荷が百十四万トン、加工仕向けが四十五万トン、輸出仕向けが一万五千トン、自家消費減耗が十五万三千トンとされてございまして、ほぼ需給の均衡が図られるのではないかと考えてございます。
 しかしながら、ミカンの需要は品質のよしあしによるところが極めて大きく、価格の見通しについては、これから収穫期にかけての日照時間や降雨量など天候が味に大きく影響することから、今後の天候の推移を注視しながら、生産者団体ともどもきめ細かい集出荷対策を指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、有田ミカンの生産対策と技術指導体制についてでございます。
 有田ミカンの生産対策でございますが、有田ミカンは四百年余の歴史と伝統があり、ミカンに最も適した産地であります。反面、産地が古いだけに、老木園や不良系統園が全園の二五%程度もあり、全体の品質レベルを引き下げていることから、消費者ニーズに対応した高糖系優良品種への改植更新を早急に実施し、高品質生産と産地の若返りに取り組むことが緊要な課題であると考えてございます。
 また、これら改植更新を機に、傾斜地ミカン園では園内作業道の整備による作業性の向上に努めるなど、国際化時代に向けた生産コスト低減対策を講じることも重要であると考えてございます。さらに、当面の品質向上対策として、密植園の間伐、土づくりなど基本管理の徹底に加え、施設栽培の推進やさきに作成したオレンジマップの活用による味一ミカン、完熟ミカンなど、高付加価値生産を積極的に推進する必要があります。
 県としては、これら産地の課題解決に向け、優良系統の開発、育成を初め、改植後、早く収穫できる早期成園化技術など産地活性化技術の開発研究に取り組んでいるところであります。今後とも、これら対策の円滑な推進を図るため、農家の自助努力を基本に各種の補助事業や融資制度で対応してまいりますとともに、技術指導体制については市町村、農協などで組織する日本一有田みかんを目指す推進委員会を母体に、関係機関が一体となって積極的に指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 道路整備についてお答えいたします。
 国道四百二十四号については、白馬トンネルが完成すると交通量が増加するため、未整備区間を早急に改良する必要があると考えております。金屋町及び海南市内の未整備延長は十四キロメートルありますが、このうち、現在、金屋町では金屋バイパス、西ケ峰工区、彦ケ瀬工区、また海南市では上谷工区等の道路改良を行っており、本年末、彦ケ瀬工区を完成する予定であります。また、海南市と金屋町の境の峠部付近については、当面、現在行っております現道沿いの整備を進めてまいります。さらに、金屋町修理川、吉原地内の未整備区間についても調査を行っております。
 二番目の、県道吉原湯浅線と国道四十二号との交差点付近については、JR踏切が近接しており、交通安全上、問題があると認識しております。しかしながら、JRとの交差の問題等があり、現道の改良整備が非常に困難であるため、今後、周辺の地域整備計画等も勘案しながら、バイパス計画も含め、ルート等の調整を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 新学習指導要領についてお答えいたします。
 新しい学習指導要領については、小学校、中学校、高等学校とも、全教員を対象として平成元年度から順次、県下各地で講習会を開催し、その趣旨の周知徹底を図ってきております。
 法的な拘束力を持つ学習指導要領に明確に示された国旗、国歌については、県立学校では県教育委員会が直接校長会を通じて指導の徹底に当たり、本年三月の卒業式及び四月の入学式において一〇〇%の実施率となりました。一方、小学校、中学校では、教育事務所長会や市町村教育長会議などを通じて各学校での研修や取り組みについて指導してきたところではありますが、その実施状況は地域的に差が生じております。
 国旗掲揚、国歌斉唱が実施できなかった小・中学校においては、管理職相互の連携、指導、また地域の理解等の点で不十分さが見受けられます。こうした学校に対しては、国旗の掲揚や国歌の斉唱が学習指導要領において義務化されていることを踏まえ、現在も引き続き、完全に実施できるよう市町村教育委員会との連携のもとに努力しているところであります。
 今後も、管理職の研修を十分に行い、校長のリーダーシップのもとに校内研修を充実させ、保護者の理解を求めながらその意義等の徹底を図ってまいります。また、実施した学校に対しても、さらにその内容を充実させるよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番吉井和視君。
○吉井和視君 知事さんの国旗についてのご答弁は大変満足いたしまして、これだけでもすばらしい知事を持ったということで誇りすら感じる次第であります。
 教育長の新学習指導要領についての答弁でありますが、私は日ごろ西川教育長の教育的識見、その指導力というものに対して尊敬してやまないわけなんですけれども、先ほどの答弁につきましては甚だ心もとないような気がいたします。
 私の質問申し上げました、教育委員会が実施したにもかかわらずその指導に従わない場合の対処については、もっと明確なご答弁をいただきたいわけでありますが、日ごろ尊敬する教育長の持論の中で、こういった問題については処分というものはなじまないというお考えがあるようですので、要望として意見を述べさせていただきます。
 教職員が学校の支持に従わないで妨害行動をとった場合、職務命令違反として、または地方公務員法第三十三条の信用失墜行為の禁止規定の違反として懲戒処分の対象となることを、すべての教職員に対して徹底していただきたい。また、目に余る実力行使があった場合については、相当な処分について検討していただくようお願いするものであります。
 私は、このことについて初めから処分をちらつかせて強制しろというものではありませんが、教育長が答弁の中で言われた法的拘束力を持つ、憲法にも保障されました文部大臣告示に対して、教育現場の中でそのことが無視されるという結果になれば、将来を担う子供たちの教育に大変大きな影響を及ぼすからであります。また、無責任な、日本人としての自覚を持たない若者を世に送り出していいものでしょうか。また、特定のイデオロギーを信望して国旗掲揚と国歌斉唱について絶対反対とする教員に振り回されているこの教育の荒廃を、私は憂えるからであります。
 以上、要望でございますが、よろしくご検討のほどをお願い申し上げます。以上でございます。
○議長(山本 一君) 吉井和視君の再質問は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。

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