平成3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成三年九月十九日(木曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百十二号から議案第百三十六号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百十二号から議案第百三十六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 浩
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26  番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
 47 番 山 崎 幹 雄
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 若 林 弘 澄
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   上 野  寛
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   西 本 貫 一
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 倉 本 辰 美
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第百十二号から議案第百三十六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 25番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。
 先輩、同僚議員のご配慮によりまして、初登壇の機会を得ましたことを深く感謝申し上げます。また、このたびの四月の統一地方選挙におきましては、知事初め、県庁の先輩、同僚の皆さんには温かいご支援をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 また、和歌山県の県下全域でビッグプロジェクトが同時に進行されている現在、私のような未熟の者が有田郡民の皆さん方の力強いご支援によりまして県政に送っていただきましたことを、この議場からではありますが、厚く御礼申し上げます。
 それでは、私の政治信念に基づきまして、まず最初に日本の国旗・日の丸についてのご質問をさせていただきます。
 ロスオリンピックで柔道の山下選手が足を負傷しながら金メダルをとり、表彰台に立ち、国歌「君が代」吹奏と同時に国旗・日の丸がセンターポールに掲揚されるシーンを見たとき、私は目に熱いものを感じました。最近では、世界陸上競技選手権大会で、日本人で初めてマラソン競技で谷口選手が優勝したときも、そうでありました。ゴールインの後、日の丸を振って観衆にこたえた場面、何とも言えない感動のシーンでありました。
 これは質問ではありませんが、知事も海外に行った際に、在郷県人会等の方々が必ず日の丸を振って出迎えてくれると思います。そのときの知事の感想はどうでありますか。質問を具体的に申し上げる前に、国旗・日の丸の歴史について、また、いかなる経緯で日本の国旗となったかについて少々述べさせていただきます。
 安政三年七月、日米和親条約によりアメリカ合衆国のハリスが下田に来航し、総領事として日本駐在を迫り、徳川幕府はこれを許可し、翌安政四年、下田条約を結び、本当の目的である日米通商条約を結ぶため、一方的な外交により、ついに安政五年、日本にとっては不平等な日米通商条約を結ぶに至ったのであります。日本にとって不利な条約でありましたが、清国が英国、フランスの連合軍に破れるなど、国力がない軍備を持たない日本は、アメリカの要求を一方的にのむ以外になかったわけであります。
 幕府は、この条約をワシントンで取り交わすため使節団をアメリカに送ることになったのであります。しかし、このとき使節団を乗せる船はアメリカの船でありました。これを聞いたあの有名な勝海舟は、日本の船で、日本人の力でアメリカに渡るべきだと主張いたしました。それを幕府に訴え、使節団の護衛と食料を運ぶということで許可されたわけであります。その船が、有名な「咸臨丸」でございます。咸臨丸は、日本の日の丸の旗を帆柱に立て、サンフランシスコに到着したのであります。
 使節団一行は、それからワシントンで大歓迎を受け、ブロードウェイの町並みには星条旗と日の丸が軒並みにいっぱい掲げられたわけであります。この日の丸こそ、皆さん、外国の地で初めて掲げられた最初の日の丸であります。
 以後、明治三年に太政官布告第五十七号により国旗を制定し、船舶の掲揚方法を商船規則として規定したのであります。明治五年には、船舶ではなく、開港場所在地の県庁、裁判所にも掲揚することになりました。大正十三年には、各省次官決定で官庁は祝祭日等に国旗・日の丸を掲揚することになりました。
 ところが、あの戦争に負けた昭和二十年八月十五日から、国旗・日の丸の存在がおかしくなり、今日までその状態が続いているということを指摘しなければなりません。
 連合国司令部・GHQは、事もあろうに、日本の国旗・日の丸を掲揚するのにその都度許可が必要であるとしたのであります。昭和二十二年には、GHQは皇居、国会議事堂、最高裁判所、首相官邸の四カ所に限って許可なしで掲揚してもよいという布告を出しました。昭和二十三年、GHQにより十二の祝祭日には許可なしで日の丸を掲げてもよいということになり、昭和二十四年一月一日から、GHQの覚書により、やっと自由に何の制限もなく日の丸を掲揚することができるようになりました。日の丸は、やっと私たち日本人自身の手に戻ってきたのであります。
 日の丸は国旗として法律に定めていないから国旗でないとか、軍国主義、戦争につながるとか主張する人がいますが、政府の世論調査でも八〇%以上の人たちが日本の国旗を日の丸だということを認めております。
 そこで、知事にお聞きいたします。
 知事さんは現在、知事官舎でお住まいでありますが、祝祭日には日の丸を掲げておりますか。掲げているとすればどういう気持ちで掲げているか、お尋ねいたします。また、公的施設においてできる限り国旗掲揚台、ポールを設置していただき、祝祭日にはもちろん、平日にも日の丸を掲揚していただきたいと思いますが、いかがでありますか。
 世界には、百六十以上の国家があります。きょうの新聞でも、六カ国が国連に承認されております。どこの国でも、国歌や国旗が大切にされております。もし日本人が国旗を愛していないことを知れば、国際的な信頼は低下すると私は思います。日本人として世界の人々に信頼されるためにも、国際社会の一員として国旗・国歌に対する正しい認識とこれらを尊重する態度を養うことが大切であります。また、国際的な儀礼といたしましても、外国の国旗・国歌を尊重することが常識であります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 平成元年三月に告示された新学習指導要領の実施による学校教育での日の丸・「君が代」の義務化は、平成二年の四月から適用されましたが、卒業式についてはことし初めて適用されます。県下の学校の実施状況は、教育委員会の調査資料によりますとまだまだ完全実施されていなくて、特に小学校、中学校の「君が代」・国歌斉唱については実施率七〇%台で全国的にもかなり低い状態であります。
 そこで、質問の第一点目は、教育委員会として憲法に保障された文部大臣告示の新学習指導要領に基づいて指導していると思いますが、どのように指導されたのか、お伺いいたします。第二点目は、学校長の責任において実施義務があるわけですが、完全実施できない理由はどこにあるのか。第三点目は、今後、教育委員会として指導したにもかかわらず実施しない学校があればどのように対処するつもりなのか。以上、三点について教育長にお尋ねいたします。
 次に民生部関係につきまして、四点お尋ねいたします。
 日本は今、世界のどこの国もが経験したことのない急速なスピードで高齢化社会を迎えております。二十一世紀には国民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となり、福祉ニーズがますます増大し、そのため多様化する福祉サービスを行政の力だけでは到底解決できない時代がやってくるわけであります。地域の中でお互いに助け合い支え合う地域福祉社会が必要となり、それを支える環境の整備及び人的パワーの確保が急がれるのであります。
 そのうち、特に地域ボランティアの活動に期待しなければ、来るべき深刻な高齢化社会に対応することが困難であります。将来のボランティア育成ということから、県においてはさまざまなボランティア施策を実施されております。小学校、中学校、高等学校の生徒を対象とした福祉協力校、サマーボランティアスクール等の事業を実施しており、相当な成果を上げているように思います。
 そこで、私なりに思うことでありますが、もっと日常的及びその地域に密着した施策がないものか。例えば、学校と老人福祉施設等を同一の敷地内に併設し、給食を一緒に食べるとか、さまざまな交流を通じて、生徒には人間形成と福祉の心を、お年寄りには楽しい生きがいのある生活が体験できるということで、私は望ましい姿が発見できるのではないかと思います。
 そこで、知事にお尋ねいたします。二十一世紀に向けて地域福祉活動で最も重要なボランティア活動等を推進していくための基本方針についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 次に、民生部長にお尋ねいたします。
 社会福祉協議会についてでありますが、地域福祉は住民が主体となって地域の福祉環境の整備を実践するものであり、地域の中でその中心的な役割を果たすのが地域の社会福祉協議会であります。今日的な福祉を展開する市町村の社会福祉協議会の組織体制についてでありますが、県下五十市町村のうち三十市町村の社会福祉協議会において、その市町村の首長が会長に就任しているわけであります。行政の民主化や行政に対し積極的に意見を具申しなければいけない社会福祉協議会の代表が行政の長では、本来の役割を発揮できないものであります。県として社会福祉協議会の方針、あり方についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 第三点目は、地域福祉基金についてであります。
 ふるさと創生の福祉版として、民間福祉活動の支援、助成等の事業として国で創設されました地域福祉基金は、県に七億円の交付が予定されております。既存の和歌山県福祉等基金への追加拠出として本年度予算に計上されており、これは地域福祉の向上を図る目的と承知いたしておりますが、福祉マンパワー対策、ボランティア活動の条件整備をするための財源確保等への助成を希望するところであります。そこで、基金の運用益の使途なり助成対象事業について具体的なお考えをお伺いいたします。
 第四点目は、総合福祉会館等の建設についてであります。
 行政と民間との協働による社会福祉事業の総合的な推進を図る拠点として、またコミュニティー活動やボランティア活動の拠点として、福祉中核施設の建設を促進すると長期総合計画の中に挙げております。特に、女性の参加意欲、学習意欲の高まる中で、その活動の拠点となる女性センターの建設については、知事はかねがね意欲を燃やしていたところでありますが、今どのような構想をお持ちか、お伺いいたします。また、総合福祉会館の内容については種々ご検討されていることと思いますが、建設の年次計画及び施設の内容についてお伺いいたします。
 次に、農林部関係につきまして二点お伺いいたします。
 第一点目は、農村環境についてであります。
 平成三年二月定例議会におきまして、鈴木俊男先生が最後の一般質問に立ち、和歌山県の下水道普及率が全国最下位であると訴えられ、早急に下水道整備を推進しなければならないと質問されております。知事は、都市においても農村においても、下水道整備についてはあらゆる角度から推進していかなければならないと答弁されております。
 そこで、農村での整備についてであります。農村のイメージといえば緑の田園風景や清く澄んだ小川を思い浮かべるわけでありますが、最近では、住宅の整備や生活の近代化により農村の生活が便利になり、家庭の生活排水がふえ、農業用水路や河川の汚濁が進んでおります。かつては小川や河川で遊んだ子供たちの姿も全然見かけなくなり、知らず知らずのうちに農村の自然のよさが失われつつあります。
 物の豊かさから心の豊かさが求められる中で、農村の自然、おいしい空気、きれいな水、豊かな緑は和歌山の貴重な観光資源でもあります。私は、このかけがえのない自然を守っていかなければならないと思います。また農村は、若者が都会へ出ていき年々人口が減るなど、大変厳しい状況にあります。地域の人々が豊かな自然のもとでゆとりと潤いのある生活を充足できる環境を整備することが、活力ある農村を築く第一歩であると考えます。
 農村の水質汚濁原因の七〇%近くは家庭からの排水であり、特に台所からの排水がその半分近くを占めていると聞きますが、そのほとんどが処理されないまま農業用水路や河川に流されているのが現状であります。私は、農村にこそ下水道処理が必要であると思うわけであります。しかし、現実的な問題からすると、農村部において下水道が整備されるまでには相当長い年月がかかるものと思われます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 農村部の環境整備の一つに農業集落排水事業というものがあり、農村地域に排水処理施設を整備する事業であると聞いております。美浜町の和田地区においては既に完成しており、知事も現地視察をされ、処理施設、家庭の台所、トイレ等を直接見て大層感心したと聞いております。二十一世紀に向けて、燦黒潮リゾート構想の展開に当たり最も重要な財産である農村の環境整備を促進するため、この事業を積極的に推進すべきであると思いますが、現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。なお、私の住んでいる吉備町においても計画が進められていると聞いておりますが、今後の見通し等についてあわせてお伺いいたします。
 第二点目は、ミカンの関係についてお尋ねいたします。
 昭和六十三年六月、オレンジ、オレンジ果汁の輸入自由化が決定されたわけであります。それに伴い国内対策の一環として全国的に実施したミカン園の減反は本年三月をもって終了し、本県においても三千ヘクタールが転換されたわけであります。ミカン価格について少しは明るい展望を持ったわけでありますが、オレンジの生果が本年四月に輸入自由化され、来年四月にはオレンジ果汁が輸入自由化されるなど、不安と苦悩を隠せないのがミカン農家の現状であります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 農家にとっては一番心配なのがことしのミカンの需給と価格についてでありますが、その見通しはいかがでありますか。また、有田のある農家の話によれば、ことしのミカンは大変うまい、よさそうだということをおっしゃっておりました。大変喜んでいる話でありますけれども、全体的な作柄についてはどうでありますか、その点をお伺いいたします。
 また、近年、消費者のニーズの多様化、高級化に加えて、健康、安全志向が一層強まっていることや、さらにさきの農業センサスの結果を見ても、農業従事者の高齢化、兼業化の進展に伴い、労働力の不足が進行しているのが現状であります。今後、こうした消費者の動向、高齢化、国際化の進展に対応した足腰の強い産地の育成に向けて、農家はもとより農協、関係機関が一体となって取り組む必要があると思います。
 そこで、お尋ねいたしますが、ミカン産地の中心地である有田地域において、今後の生産対策の中で地域性も含めどのような施策が重要であるのか、また、その重点施策を実施する上で技術指導体制が十分整備されているかどうかについてお伺いいたします。
 次に土木部関係についてでありますが、国道の整備改良と県道整備の二点についてお尋ねいたします。
 第一点目として、国道四百二十四号の道路整備についてお尋ねいたします。
 長期総合計画によりまして、第二県土軸の構築ということで、内陸部の地域の振興を図る観点から内陸部の幹線道路の整備がうたわれているところであります。我が有田を通過する国道四百二十四号は、田辺市を起点として南部川村、美山村、金屋町、海南市を経て打田町で国道二十四号に接続する、紀伊半島を縦貫する重要な幹線道路であります。現在、金屋町、美山村で白馬トンネル工事が施工されております。この白馬トンネルの完成により、両地域を結ぶ交通につきましては安全性が向上し、所要時間も短縮され、非常に便利となるわけであります。このトンネルが両地域を初め周辺地域の活性化に大きな役割を果たすものと思われます。
 しかし、金屋町宇井地区から海南までの区間において、幅員の狭い相当未整備な区間が残されており、また金屋町西ケ峰地区のような勾配が急で幅員の狭い屈曲している区間については、およそ国道とは思われない状態であるのが現状であります。
 そこで土木部長にお尋ねいたしますが、第二県土軸としての機能を十分発揮し、内陸部の地域振興を促進するため、金屋町から海南市に至る未整備区間の早急な改良整備とトンネル工事等の抜本的な対策をお願いしたいと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 第二点目として、県道吉原湯浅線の整備についてであります。
 熊井、奥地内に吉備工業団地等があり、既に誘致企業が決まっている中で、通勤ルートとして県道吉原湯浅線を唯一の幹線道路として位置づけしても過言ではありません。本路線は、局部的に改良が進められておりますが、特に国道四十二号との交差部において、通勤時間等には大変渋滞を起こし、JR紀勢線も接近しておるため非常に危険な状況にあります。本路線の周辺地域は今後も開発される可能性が十分あり、増大する交通量に対し、将来的にはどのような整備をされるのか、お伺いいたします。
 以上で、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(山本 一君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 第一点の国旗の問題でございますけれども、経緯についてのお話がございました。また、私の国旗掲揚についての質問でございますけれども、私は、日の丸というのは、お話のように、国旗であるし、これを掲げることは自分の国を愛する心のあらわれだと存じ、祝祭日には必ず掲揚させていただいております。
 庁舎等については、常時掲揚しているところもございますけれども、掲揚台が未設置のところについては掲揚しておりませんので、今後、掲揚台の条件整備を図って掲揚するように努めてまいりたいと思っております。
 お話ございましたように、外国へ参りましても、国旗というものが一番尊重され、あちこちに掲揚されているのを見ますときに、国旗こそ国の最大表現であると私も感じているところでございます。
 それから、地域福祉についてのボランティア活動でございます。
 二十一世紀は超高齢者社会になってくるわけでございまして、福祉の問題が極めて重要な要素になってまいります。福祉ニーズも多様化してきますので、行政のみならず、ボランティア活動、民間活動とも相ともに十分補っていかなければならないということ、お話のとおりでございます。私も、そうした二十一世紀へ向けてのこれからの福祉社会のあり方として、触れ合い支え合う、また強い人類愛を基本としたボランティア活動をなお一層啓発、啓蒙していかなければならないと思っておるわけでございます。
 現在、社会福祉協議会等においてボランティア活動を積極的に進めておりますし、また、日赤会館にもボランティアの部屋を設置し、そこをたまり場として健闘していただいております。話ございました総合福祉会館等においても、ボランティア活動の拠点的なものも考えていかなければならないとも思っておるわけでございまして、趣旨を生かし、ボランティア活動のなお一層の推進を図ってまいる所存でございます。
 それから、女性センターでございます。
 お話のように、女性の地位の向上の問題、また社会参加ということが非常に大事でございますので、現在、女性センターの設置を考えておるわけでございます。この建設については、女性の活動の拠点として、女性団体、サークル、グループ活動を支援するとともに、国際交流を初めとする女性の能力開発促進等、学習、相談、情報機能を十分に備えた施設として、女性に愛され、また活用いただける施設にしてまいりたいと思っております。
 他の問題は関係部長から答弁させていただきます。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) まず、社会福祉協議会のあり方についてお答えをいたしたいと思います。
 市町村社会福祉協議会の組織体制については、議員ご質問のとおり、その会長職に行政の首長が多く就任しているところでございますが、ご承知のように、社会福祉協議会は側面的にはそこに参加する福祉関係団体の連絡調整機能をも持つ団体でございます。したがって、それぞれの団体からの強い要望もあり、行政首長が会長職についておるというように聞き及んでおるところでございます。
 しかしながら、ご提案のとおり、社会福祉協議会のあり方として、今後ますます多様化する福祉ニーズにこたえ得る社会福祉協議会の体制強化について、県も含め、市町村の地域性、独自性に配意しつつ指導してまいりたいと考えております。
 次に、地域福祉基金についてお答えをいたします。
 今後の長寿社会に備えて高齢者の保健福祉の増進を図るためには、民間活力の活性化を図りつつ地域の特性に応じた対策を積極的に推進する必要があると考えております。このため、福祉対策等基金に高齢者対策枠を設け、七億円を本年度予算化したところでございます。
 この基金の運用については、民間団体が行う在宅介護技術の向上を含め、在宅福祉の普及、健康生きがいづくりの推進、ボランティア活動の活性化など、先導的事業に活用してまいりたいと考えてございます。
 最後に、総合福祉会館──現在のところ、これは仮称ではございますが──についてお答えをいたしたいと思います。
 総合福祉会館の整備についてでございますが、県民の方々が福祉に対しての理解を深め、福祉活動に積極的に参加していただくための拠点であるとともに、福祉関係者の資質の向上、民間福祉団体の振興を図るなど、総合的福祉機能に十分配慮した、二十一世紀の福祉和歌山を展望した県民の誇れる施設の一つとして整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、建設の時期については、現在、日本国有鉄道清算事業団との調整が残されていますので、これらの調整がつき次第、明らかにしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 まず、農村環境の整備に係る農業集落排水についてでございます。
 自然環境の保全や快適な農村の環境整備は、議員ご指摘のとおり、重要な課題であると認識しているところでございます。中でも、農村のし尿、生活雑排水の処理については、重点的な整備が必要と考えております。
 そのため農業集落排水事業に積極的に取り組んでいるところでありますが、議員お話しのように、現在、美浜町和田地区で供用を開始しているほか、田辺市でも三地区が実施中であり、また、新たに要望のある三地区については鋭意国と協議を重ねているところでございます。
 お話の吉備町については、農村総合整備モデル事業で既に計画が策定されておりますが、その他の地域からの要望もございますので、地元意向を踏まえた計画樹立を早急に指導し、関係機関との連携を図りながら実現に向けて努力してまいりたいと考えてございます。
 今後の取り組みについては、まず農村婦人の参画による事業推進のための協議会を組織し、県と市町村が一体となって事業の普及、啓発を図るとともに、緊急に調査を行い、これをもとに地元の意向を踏まえながら事業の積極的な推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次にミカン対策でございますが、まず需給と価格についてでございます。
 本年産ミカンの作柄についてでございますが、五月中旬から六月中旬の曇天多雨によって生理落果が多目であったものの、本年はミカンの表年である上、樹勢が比較的良好なため、果実の肥大は順調に推移してございます。
 生産予想量については、温州ミカン園の再編対策の実施に伴い、栽培面積が前年に比べて二%減少したものの、八月一日現在の生産見通しによると全国ベースでは百七十五万八千トン、前年の六%増が見込まれ、また、本県では二十二万七千トンと前年の一二%増が予想されてございます。
 これらの生産予想量を基礎にした全国的な需給計画によると、生食用出荷が百十四万トン、加工仕向けが四十五万トン、輸出仕向けが一万五千トン、自家消費減耗が十五万三千トンとされてございまして、ほぼ需給の均衡が図られるのではないかと考えてございます。
 しかしながら、ミカンの需要は品質のよしあしによるところが極めて大きく、価格の見通しについては、これから収穫期にかけての日照時間や降雨量など天候が味に大きく影響することから、今後の天候の推移を注視しながら、生産者団体ともどもきめ細かい集出荷対策を指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、有田ミカンの生産対策と技術指導体制についてでございます。
 有田ミカンの生産対策でございますが、有田ミカンは四百年余の歴史と伝統があり、ミカンに最も適した産地であります。反面、産地が古いだけに、老木園や不良系統園が全園の二五%程度もあり、全体の品質レベルを引き下げていることから、消費者ニーズに対応した高糖系優良品種への改植更新を早急に実施し、高品質生産と産地の若返りに取り組むことが緊要な課題であると考えてございます。
 また、これら改植更新を機に、傾斜地ミカン園では園内作業道の整備による作業性の向上に努めるなど、国際化時代に向けた生産コスト低減対策を講じることも重要であると考えてございます。さらに、当面の品質向上対策として、密植園の間伐、土づくりなど基本管理の徹底に加え、施設栽培の推進やさきに作成したオレンジマップの活用による味一ミカン、完熟ミカンなど、高付加価値生産を積極的に推進する必要があります。
 県としては、これら産地の課題解決に向け、優良系統の開発、育成を初め、改植後、早く収穫できる早期成園化技術など産地活性化技術の開発研究に取り組んでいるところであります。今後とも、これら対策の円滑な推進を図るため、農家の自助努力を基本に各種の補助事業や融資制度で対応してまいりますとともに、技術指導体制については市町村、農協などで組織する日本一有田みかんを目指す推進委員会を母体に、関係機関が一体となって積極的に指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 道路整備についてお答えいたします。
 国道四百二十四号については、白馬トンネルが完成すると交通量が増加するため、未整備区間を早急に改良する必要があると考えております。金屋町及び海南市内の未整備延長は十四キロメートルありますが、このうち、現在、金屋町では金屋バイパス、西ケ峰工区、彦ケ瀬工区、また海南市では上谷工区等の道路改良を行っており、本年末、彦ケ瀬工区を完成する予定であります。また、海南市と金屋町の境の峠部付近については、当面、現在行っております現道沿いの整備を進めてまいります。さらに、金屋町修理川、吉原地内の未整備区間についても調査を行っております。
 二番目の、県道吉原湯浅線と国道四十二号との交差点付近については、JR踏切が近接しており、交通安全上、問題があると認識しております。しかしながら、JRとの交差の問題等があり、現道の改良整備が非常に困難であるため、今後、周辺の地域整備計画等も勘案しながら、バイパス計画も含め、ルート等の調整を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 新学習指導要領についてお答えいたします。
 新しい学習指導要領については、小学校、中学校、高等学校とも、全教員を対象として平成元年度から順次、県下各地で講習会を開催し、その趣旨の周知徹底を図ってきております。
 法的な拘束力を持つ学習指導要領に明確に示された国旗、国歌については、県立学校では県教育委員会が直接校長会を通じて指導の徹底に当たり、本年三月の卒業式及び四月の入学式において一〇〇%の実施率となりました。一方、小学校、中学校では、教育事務所長会や市町村教育長会議などを通じて各学校での研修や取り組みについて指導してきたところではありますが、その実施状況は地域的に差が生じております。
 国旗掲揚、国歌斉唱が実施できなかった小・中学校においては、管理職相互の連携、指導、また地域の理解等の点で不十分さが見受けられます。こうした学校に対しては、国旗の掲揚や国歌の斉唱が学習指導要領において義務化されていることを踏まえ、現在も引き続き、完全に実施できるよう市町村教育委員会との連携のもとに努力しているところであります。
 今後も、管理職の研修を十分に行い、校長のリーダーシップのもとに校内研修を充実させ、保護者の理解を求めながらその意義等の徹底を図ってまいります。また、実施した学校に対しても、さらにその内容を充実させるよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番吉井和視君。
○吉井和視君 知事さんの国旗についてのご答弁は大変満足いたしまして、これだけでもすばらしい知事を持ったということで誇りすら感じる次第であります。
 教育長の新学習指導要領についての答弁でありますが、私は日ごろ西川教育長の教育的識見、その指導力というものに対して尊敬してやまないわけなんですけれども、先ほどの答弁につきましては甚だ心もとないような気がいたします。
 私の質問申し上げました、教育委員会が実施したにもかかわらずその指導に従わない場合の対処については、もっと明確なご答弁をいただきたいわけでありますが、日ごろ尊敬する教育長の持論の中で、こういった問題については処分というものはなじまないというお考えがあるようですので、要望として意見を述べさせていただきます。
 教職員が学校の支持に従わないで妨害行動をとった場合、職務命令違反として、または地方公務員法第三十三条の信用失墜行為の禁止規定の違反として懲戒処分の対象となることを、すべての教職員に対して徹底していただきたい。また、目に余る実力行使があった場合については、相当な処分について検討していただくようお願いするものであります。
 私は、このことについて初めから処分をちらつかせて強制しろというものではありませんが、教育長が答弁の中で言われた法的拘束力を持つ、憲法にも保障されました文部大臣告示に対して、教育現場の中でそのことが無視されるという結果になれば、将来を担う子供たちの教育に大変大きな影響を及ぼすからであります。また、無責任な、日本人としての自覚を持たない若者を世に送り出していいものでしょうか。また、特定のイデオロギーを信望して国旗掲揚と国歌斉唱について絶対反対とする教員に振り回されているこの教育の荒廃を、私は憂えるからであります。
 以上、要望でございますが、よろしくご検討のほどをお願い申し上げます。以上でございます。
○議長(山本 一君) 吉井和視君の再質問は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 私は、さきの百二十国会で改正成立した林野関係二法、すなわち森林法改正及び国有林野事業改善特別措置法の一部改正の中身、審議の経過、背景等に関連して、林野率全国七位、森林面積三十六万五千百三十四ヘクタール、県土面積の七七%、うち人工林面積六一%、山村地域三分の二以上という本県の実態と、林業を取り巻く厳しい現状を憂うるの余り、以下、若干現状分析をも含めて質問いたします。
 私たちは、よく「地球の温暖化」とか「オゾン層の破壊」「酸性雨」云々等の言葉を耳にいたします。いわゆる地球環境の悪化に対する警鐘です。その具体的な現状とか原因等については、皆様方、既によくご承知のことと存じますので、詳しくは省略させていただきますが、森林は、私どもの生活に欠くことのできない、木材を初め多くの林産物を供給してくれるという経済的な側面のほか、大気を浄化し、水を蓄え、洪水から国土を守り、自然環境を保全するという公共的機能に加えて、最近注目を集めているレクリエーションなどの場として快適な生活を支える働きなど、実に多くの恵みを与えてくれているだけでなく、破壊された地球環境を修復し再生する唯一の資源であると存じます。
 それゆえ森林を、経済の理論のみにとらわれず、国土を守り地球を守る大切な地球資源として育てるという新しい視点で林業を育てることが私たちの豊かで安全な生活、将来を約束してくれるとの認識が現在何よりも求められていると存じますが、まず最初にこの点についてのご見解をお伺いいたしたいと思います。
 しかも、この環境破壊によると考えられる被害は、例えば西ドイツ、オランダ、スイス、またイギリスなどでも、酸性雨による樹木の黄変や枯死するという事例が相当広範囲にわたって起きている事実を申し上げたいと思います。
 にもかかわらず、中南米、アフリカ、東南アジアに分布し、地球規模の環境保全とともに多種多様な動植物を生む生態系としての貴重な熱帯林が、毎年、我が国の本州のほぼ半分の面積に相当する千百三十万ヘクタールも焼き畑耕作や木材生産などのために消滅しているという事実について、しかもその生産用材の実に五〇%を我が国が輸入しているという事実もつけ加え、ご報告いたしたいと存じます。
 それゆえ、「地球を守れ」の声は世界じゅうで起きており、国際的な協力、取り組みが求められていますし、現にさまざまな機関、人々がさまざまな方法で造林や緑化活動に取り組んでいる由、一、二の事例とともに聞き及んでいる一人ですが、そのような状況下で、「森食い虫」とか「地球破壊大国」と呼ばれながら依然として大幅な外材依存──もちろん、貿易収支の問題点は認めるといたしましても──一考に値する現実。なお、我が国でも、砂漠化防止のため林野庁初め政府部内で対策検討中とのことであり、加えて民間レベルでもこれに協力して緑化活動を行っておる由聞き及んでおりますが、より一層の対応が国際的な立場からも必要だと思考いたします。
 次に、戦後の我が国林業の経過の概要について簡単に触れ、ご一考願いたいと存じます。
 ご承知のとおり、戦争によって廃墟と化した都市の復興のために木材を提供をすることから始まったと申し上げても過言ではない、戦後林業の歩み。そのために森林は過伐を余儀なくされ、その跡に資源を生み出すため、成長の早い杉、ヒノキなどの針葉樹の一斉造林が行われましたが、その結果、都市は森林資源の恩恵で豊かになっていく一方で、山村からは森林資源の流出とともに若者の都市への流出が始まり、山を守り木を育てる林業労働者が激減し、森林の手入れも思うようにできなくなり、一九五五年には九五%の自給率を誇っていた国産材のシェアも、先ほど申し述べたように、大皆伐による国内森林資源の不足と相まって円高による安い外材が輸入され始め、現在では国内需要の実に七〇%、本県では八〇%近くが外材に依存しているという現状でございます。
 このような林業の低迷が山村の過疎に拍車をかけ、山村社会の維持も困難にしているのに加えて、木材価格の低迷、労働力の高齢化、後継者不足などで国内林業は生業として成り立たないに近いという厳しい状態に追い込まれ、多くの林業経営者は経営意欲を失い、植えたまま放置という森林がふえ続けているという全国情勢と、遺憾ながら伺う始末でございます。
 特に、私どもの地方のように、いわゆる不在大地主の多い地方ではより一層この傾向が大きいのではないかと案ぜられますが、これらの現状認識についての当局のご見解をお伺いいたしたいと思います。
 また、間伐のおくれもひどい由聞いておりますが、この間伐のおくれは雪や風による倒木被害が原因──昨年九月の風倒木被害はまさにその実証であります。また、過密状態に繁った森林の地表には太陽の光が届かず、下草や灌木がなくなり、大雨で土砂流出、山崩れの原因になりやすい。現にその実例を伺っておる次第ですが、この点についても、もしご見解がございますれば、前項のお尋ねにつけ加えてお伺いいたしたいと存じます。
 加えて、一九八七年制定のリゾート法施行に伴うゴルフ場、スキー場建設による問題点の指摘もあるやに聞き及んでおりますが、今回は省略いたしたいと存じます。
 以上は全国的な森林をめぐる問題指摘の一概要でございますが、本県内の現状を眺めましても、その例に漏れず、冒頭でも触れましたとおり、高い林野率、加えて民有林中、人工林の九五%までが杉、ヒノキ、そのうち三十五年生以下の弱齢林が全体の四分の三、したがって伐期に達した森林は少なく、経済的な側面からも、熊野材の名に恥じない手入れを求められておりながらも、大幅な外材輸入等による県産材需要減、加えて小径木の活用もその方途が見出せず、間伐をしても出し賃も賄えないような現状でございます。
 加えて、労働者の高齢化、また後継者不足、というよりなきに等しいと言う方が妥当であると思いますが、そういう深刻な労働力問題。現に、仕事があり緊急の対応が必要にもかかわらず、人手が足りないのでやむを得ず放置という実例も各地で聞いてございます。
 その顕著な一例として申し上げたいのですが、昨年の台風九号による風倒木、被害甚大でございました。その対応が急がれているにかかわらず、一年を経過した今もなお各地で倒木が見受けられ、心痛む思いでございます。その上、小規模ながらも山崩れも発生し、また最近、松くい虫被害も増加の傾向にあり、経営側、労働側双方を含めて緊急な対策が求められている厳しい現状であると申しても過言ではございません。この点についても、当局の現状認識、対応等、具体例を含めてお伺いいたしたいと思います。
 以上、多少私見──と申しましても、関係の識者の分析の一端を私なりに解釈した所見を若干挟み、また重複の嫌いなきにしもあらずで恐れ入りますが、二法改正の背景となったと思考される現状を申し述べました。改正された法案内容は既に関係当局知悉のことと存じますが、林業の将来の動向にかかわる重大性を有する法案ゆえ、念のため申し述べます。
 民有林、国有林を通じて流域を単位として管理し、協業化や労働問題を含めての林業計画の樹立。上下流の森林整備協定の締結促進による下流の費用分担。複層林、長伐期林に対する助成。施業放棄によって災害発生のおそれのある森林の施業代行。林地開発許可制度の改善。
 以上は森林法の一部改正の内容でございますが、具体的な要項として、森林管理システムの発足、また市町村の役割が拡大し重視されています。また、国有林野事業改善特別措置法の一部改正では、平成二十二年までに収支均衡を目指し、改善期間は平成三年以降十年間、定員外職員の退職措置としての特別給付金の制度化、一般会計からの繰り入れの拡大など、累積債務処理が明示されていると伺いますが、改善の内容は一応評価しながらも、今後の課題として、例えば森林整備五カ年計画の実行予算の確保、また市町村の任務・権限の拡大に伴う要員や財政面の充実問題、山村の過疎・高齢化の中にあっての労働力確保のための条件整備等々が挙げられ、注目と今後の取り組みが必要と存じますが、県当局のこれに対するご所見をお伺いいたしたいと思います。
 なお、この林野二法改正の施行により民有林、国有林一体の流域管理に向けて森林計画の再編成作業が進められますが、この一体の流域管理を進めるため、現在、百五十八カ所の流域に区分し、その上、本年度は三十一カ所に流域林業活性化センターが設置され、その下に流域林業活性化協議会がつくられ、森林と地域の活性化のため各界の意見が出し合われて、そのための予算もつけられ、具体的な協議が始まる由聞いておりますが、本県に対しての対応はどのようになっておりますか。わかっておられるのであればお示し願いたいと思います。
 また関連して、先ほど申し上げたとおり、今回の森林法改正で関係市町村の任務・権限が拡大されましたが、その制度が実効をおさめるためには市町村の要員あるいは財政的な裏づけが必要であるにもかかわらず、現在その裏づけが示されておらず、実効が危ぶまれていると漏れ承りますが、この点も含めてご見解をお伺いいたします。
 最後に、要望を含めて二点ほど申し上げ、ご検討をお願いいたしたいと存じます。
 その第一は、現状分析でも若干申し上げましたとおり、現在、労働力の確保が緊急の一重要課題となっていますが、この件に関連して、現在、全国で十六府県、私どもの近畿では京都、兵庫、奈良、お隣の三重県もそうですが、林業労働者対策のためのいわゆる基金制度が発足しているとのことです。私は、この制度の充実を願うとともに、本県も前向きにご検討願いたいと存じますが、いかがでございましょうか。
 その二は、これも先ほど触れました松くい虫被害対策に関連して、来年三月末で期限の切れる松くい虫被害対策特別措置法にかわる法制定作業が政府筋で進められておると聞き及んでおりますが、現地調査を踏まえての立法法案についてのご検討と現状に対する県の対応、もしあればお伺いいたしたいと思います。
 以上で、私の第一回の質問を終了さしていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜口議員にお答え申し上げます。
 林野二法の改正とともに、森林の役割でございます。
 議員お話しございましたように、森林というのは、木材生産、災害の防止、環境保全等、多方面にわたっており、ますます重要だと考えてございまして、貴重な社会資本である、また大切な地球資源でもある、国内的にも国際的にも大きな資源であると認識しておるわけでございます。
 特に、和歌山県は森林の面積が七七%でございます。この森林の役割が県の経済、政治、文化に及ぼす影響は非常に大きいものだと感じておりまして、指摘されたように問題が多数ございますけれども、法二法の改正とともに、森林、林業の活性化のための諸施策について、労働力問題等を初めとして積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 他の問題は部長から答弁させていただきます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 まず、林業の停滞に伴う放置森林などの現状認識と対応策についてでございます。
 山村の過疎化、林業の停滞等による放置森林の増加は、その地域社会の衰退につながる重要な問題であると考えてございます。また、間伐等の手入れ不足の森林は流域全体の保全、すなわち県土保全にとって大きな影響を与えるものと認識してございます。
 したがって、今後は新たに策定する森林整備事業計画などに基づき、市町村を含めた森林整備協定、施業代行制度の実施等により森林の整備を積極的に推進してまいる所存でございます。
 次に、林野二法の改正と今後の森林、林業の取り組みについてでございます。
 今回の法律改正の背景については、旧法では木材価格が堅調で林業の収益性が確保され、また山村に豊富な林業労働力が存在することを前提として林家にその指針を示していたのに対し、今回の改正は、議員お話しのように、森林、林業の停滞を踏まえて森林整備の指標等を示すことによりその目的の達成を図ろうとするものでございます。
 現在、国産材時代に向けて整備されつつある森林が放置されないためにも、森林管理を最重要課題としてとらえ、民有林、国有林が一体化し、流域単位に森林整備や生産、流通、加工体制を推進する流域管理システムを構築するとともに、管理の担い手である林業従事者の育成、確保や就業条件の改善等により森林管理を推進することとしてございます。
 改正森林法施行の初年度に当たり、県としては、旧法の七森林計画区から三計画区の広域流域に拡大し、紀中地域森林計画区を対象に流域管理システムの構築と流域林業の活性化対策を図るため、流域林業活性化センターを設置することとし、事務局の開設とあわせ流域材の安定供給、労働力の育成確保、事業体の再編や高性能機械の導入等について協議し、基本方針を策定することとしてございます。
 また、改正森林法では、従来の市町村単位の施策から流域内関係市町村を含めた広い流域の組織の中で推進することとしていることから、効果は上がるものと考えてございます。
 次に、林業労働力確保についての対応でございます。
 林業労働力の問題は大変厳しい状況に直面しており、新規参入者の確保や労働条件の改善等について鋭意努力しているところでございます。
 議員お話しの、雇用の一層の安定を図ることについては、県単独補助制度である林業従事者福祉向上対策や第三期活力ある山村づくり推進事業において、森林組合労働力確保対策に取り組んでいるところであり、今後さらに充実し対応してまいりたいと考えてございます。
 最後に、松くい虫被害対策でございます。
 本県の松くい虫被害は、本年九月上旬の調査では西牟婁郡、日高郡を中心に県下で千二百立方メートルになってございます。被害量の上では、地域によって増減が認められますが、例年と差のない見込みでございます。昨年度から本年度にかけての枯損の特徴は、高温、少雨により短期間に集中して変色するため、激害の様相を呈しているところもございます。
 県としても、松くい虫被害を防止するため、今後とも基本方針に従って、保全すべき重要な松林を中心に防除対策を積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、平成四年三月に期限切れとなる松くい虫被害対策特別措置法の延長については、本県の現状を踏まえ、なお一層強く国に要望してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番浜口矩一君。
○浜口矩一君 若干、時間が余っておりますので、再質問申し上げたいと思います。
 森林の果たす役割については、知事の積極的と申し上げましょうか、そういうご答弁をいただきました。そのことを私は高く評価いたす次第でございますが、一言つけ加えさせていただきたいと存じます。
 「地球を守れ」という声は、世界各地で起きてございます。したがいまして、地球環境保全というのは一国だけの問題ではございません。国際的な協力によって取り組まなければ解決のできない重要な問題であります。
 その中で、「森食い虫」とか「地球環境破壊大国」と呼ばれながら経済大国の名をほしいままにしている我が国の責任は、重く、大きく、我が国の経済の繁栄、私たちの豊かな生活は世界の国々の資源によって支えられているということを深く心して対応しなければならないと存じます。
 そのために、緑の地球防衛軍とも言える森林を育てるという視点に立っての取り組みが今日強く求められているという現状認識が何よりも大切だと私は思いますが、この件は要望にとどめ、今後の対応を注目いたしたいと存じます。
 次に、我が国の現状認識について部長のご答弁をいただきましたが、先ほども申し上げましたように、我が国は、世界の原木貿易量の四割を輸入しているという事実の示すとおり、世界最大の木材輸入国です。しかも、その原木(丸太)の輸入に当たっての関税はゼロです。加えて他の製材品や合板などの木製品の関税率も、近年大幅に引き下げられていると聞き及んでおります。加えて、南洋材、ソ連材、米材等が大量に市場流通の結果、国産材の比率が低下し、例えば一九六五年に七一%であったのが八七年には三〇%という下落の実情です。その上、国産の木材価格を不当に引き下げ、これが結果的には林業の不振を招来し、山村の衰退を招いているという事実。外材の安易な大量輸入は、国内林業を衰退に追い込んでいるだけでなしに、国際的にも、先ほど申したように、「森食い虫」と言われておる。また、世界各国でも自然保護に目が向けられているという現状です。
 したがいまして、今のような状態はいつまでも続けられないと思います。かけがえのない地球の緑を守るため、我が国としても「必要な木材は国内で生産」を基本とした森林を育てることが大切でございますし、そのためにも、無計画とも思えるような外材の大量輸入は再考に値します。そうして、秩序ある木材貿易を推進する二国間協定などを進めるとともに、輸入材も、率は別として他の輸入品並みの関税をかけ、それをもとにして熱帯林再生資金制度を国際的につくり、消滅が憂慮されている熱帯林の保全、再生のシステムを創設する。私は、この構想は国際的にも認められる取り組みと考えますが、これもいわゆる国政の場での対応でございますので、要望にとどめて県のご検討をお願い申し上げたいと思います。
 次に、林野二法改正と今後の取り組みについて、部長より流域林業活性化センター設置その他のご答弁をいただき、大要了解いたしますが、具体的な対応として二点ほど私見を申し上げます。
 森林管理システムの発足については流域の意向を尊重することが基本となっていることにかんがみ、流域の要求が反映されるように取り組むことが最も大切だと思います。そのために、構成員等についての対策、取り組みが県のサイドでも強く求められなければならない、このように考えます。
 二番目は、法改正で市町村の任務が拡大されましたが、そのための財政的な裏づけがなされなければ実効は期待できないと思います。そういう立場から、市町村の要員あるいは財政の充実の問題を図るために、国サイドでの助成措置がどうしても必要だと思います。その対応として、これは県のサイドにおきましても注目し取り組むべきと存じますが、ご見解をお伺いいたしたいと存じます。
 最後に、林業労働力確保についての県の対応についてでございます。
 これも部長さんからご答弁をいただきましたが、林業労働者と経営者の後継者づくりの一私案として、豊かな森林をつくるためには山村の健全な発展がなくてはならない、そのためには林業に従事する人が安心して働ける行政制度がどうしても必要である、その一つの方法として森林に対する相続税を改正し、立木一代一回納入とする税制の確立を図り、これによって、相続税を納入するために森林を売却したり、経済価値の低い未成木の伐採をせずにまとまった森林の相続ができるようになると思いますが、それが一点でございます。
 二点目は、現在の森林は昭和三十年代に植えられたものが多く、災害を受けやすい幼齢木が多いことから、その損害の補償をより実効性のあるものにするために、国営の災害保険と災害共済制度を一本化し、安心して林業経営ができるようにする必要を痛感します。
 以上の二点については、これも緊急の重要問題だと思いますけれども、私見という立場でございましたので、見解の表明にとどめ、今後のご検討をお願い申し上げたいと思います。
 また、林業労働者対策としても、労働基準法及び産業別最低賃金法等の完全適用を行うと同時に、雇用の通年化、退職金、健康保険、雇用保険などの社会保障制度の充実を図り、山づくりに魅力のある労働環境をつくるための助成が必要だと思います。また、雇用の安定のために不就労手当制度の創設や安全、労働災害防止に力を尽くすこと、振動機械の長期使用規制の徹底等の職業病予防対策の推進も大切な課題と存じますが、これは商工労働部の所管に関連する問題と聞きますので、今後、両部でお互いに提携してご検討、ご対応をお願いいたしたいと考えますので、これも要望にいたしたいと思います。
 以上、たくさん要望を申し上げましたが、それを含めての再質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) 森林法の改正後における市町村の負担は、議員お話しのように、人的にも財政的にも増加するものと見込まれます。
 したがって、私どもとしては、今後、農林水産省を初め、関係省庁に対して必要な措置を強く要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 45番浜口矩一君。
○浜口矩一君 今、二法の施行による市町村の対応の問題をご答弁いただきました。私は、答弁には異議はございませんが、言葉は言いやすいけれども、現実には、やはり全国的なサイドでは非常に難しい問題を質的に含んであると思うんです。だから、このことについては緊急の問題として中央に対して要望するということ。それからもう一つの問題は、その具体的な例をつけ加えるということ。そういうことが非常に大事になっております。
 これはもう部長さんには言わなくてもおわかりだと思いますが、その点ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(山本 一君) 再々質問は要望でありますので、以上で浜口矩一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十八分休憩
 ──────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 今回は、知事選挙を前にして立候補を表明されている仮谷知事がどのような所信を持って出馬されようとしているのかをお尋ねするのが趣旨でございます。したがって、問題がやや総花的になるかもしれませんが、ご了解をいただきたいと思います。
 一番目は、地方自治の現状についてお尋ねをいたします。
 憲法は、その第八章において地方自治をうたい、憲法の五原則の一環を成しているわけでありますが、現実には「三割自治」などと称されるごとく、自治はさまざまな形でその内容を削られてまいっております。
 日本都市センターが二十一世紀の地方像意識調査として全自治体を対象にアンケート調査をした結果が、今、話題を呼んでいるようであります。それによりますと、六割以上の自治体が「国は補助金や地方債の許可権を通じて地方に過剰に介入している」と答えているようであります。さらに、「自治体運営がうまくいっている」としているのは全体の五五%で、四五%は「うまくいっていない」と答えています。そして、その理由がさきに挙げた介入だというわけでありますが、介入は個別補助金、起債の許可、国の行政指導、機関委任事務などによって行われていると答えられています。和歌山県当局のどなたがこのアンケートに答えたかは知りませんが、どんな回答をしたのかは興味深い思いがいたします。
 それはさておき、国の過剰介入は、後の教育行政のところでも述べますが、全分野にわたって進められています。和歌山も例外ではないと思われるわけですが、知事はどのようにお考えですか。どのようなところで自治の侵害──「侵害」という言葉がお気に召さなければ「介入」でもいいのですが、自治を損なう行為が国によって行われていると思われますか。それらに対し、国に対して要望することはありますか。どのように要望されていますか。介入、侵害に対しては毅然と対処されるべきだと思いますが、どうお考えですか。
 続いて、「平和のための行政」と題してお尋ねを申し上げます。
 戦後四十六年がたちました。それぞれの方々がそれぞれさまざまな感慨を抱かれて去る八月十五日を迎え、かつ送られたであろうと思われます。私も、和歌山市議会在職時代より、九月の議会においてはしばしば八月十五日をめぐる思いを含め、日本の恒久平和を保ち得るように自治体は何をしなければならないのかをともに考えようと訴えてまいりました。
 八月十五日の新聞の論調を見ると、各紙さまざまの立場の差があるとしても、平和のために国民の意思の重要さというものを説いていたように思います。
 産経は、近隣諸国に与えた惨禍に対する率直な反省をするとともに、「改めて、この戦争の歴史的意味をかみしめ、戦場で散った同胞や焦土で犠牲になった肉親をいたむ鎮魂の日としたい」とあります。
 毎日は、アジア諸国が戦争の惨禍を次の世代に伝える熱意の高さに比べて「史実に対する日本の教科書の淡白さ、次代に継承していこうという熱意の差を感じないわけにいかない」という憂慮を示して、この日の感慨としております。
 朝日は、戦後初期の学校での教科書を引きながら、「これは今でも新鮮な響きを持っている。 すべての国は次第に戦争を放棄し軍備のない平和国家になるのだ、日本はその先端に立つのだ、という高揚した気持ちが当時のわが国にあった」、それを伝えなければならないと述べながら、さらに憲法や法律や制度はしょせんは人がつくるものであり、「権力を持つ側が自分に都合のよいように法律を解釈し、制度を改変していく例はいくらでもある。法制による歯止めと同時に、それを勝手に解釈させまいとする有権者の強い意志が求められる」と、国民の責務を訴えておりました。
 戦後四十六年、幸いにも日本は平和を維持してまいりました。その維持した力をどこに求めるかはそれぞれ考えのあるところでしょうが、根底に日本国憲法の戦争放棄の思想があり、憲法と平和を守ろうという国民の思想的ベースがあったということについては大方の人々の一致を見るところだと思います。
 そして、さらにその根底には、戦争の惨禍を二度と起こしてはならないという惨禍に対する恐怖を伴った記憶があります。今、その記憶と平和憲法の理想に燃える高揚した気分が、残念ながら次第に風化しつつあると言われています。惨禍の記憶と平和の高揚した気分の継承が薄らいできつつあると言われています。心ある人々がその風化を防ぐために、教育の場で、あるいはさまざまな社会活動の場で努力を続けておられます。和歌山の空襲を改めて調査したり、県下の戦争の傷跡を記録しようとする動きさえ起こっております。
 湾岸戦争が報道されたとき、「戦争は嫌だ」と叫んだ子供たちもおりましたが、同時に、戦争の惨禍をあの戦争報道の中に思い描けない子供たちもたくさんおったようであります。油にまみれた水鳥の姿を見ながらかわいそうだと涙した優しい感性もありましたが、きらめきながら落ちてゆく爆弾の下に阿鼻叫喚の地獄が繰り広げられていたであろうということを想像できなかった子供たち、あるいは大人がたくさんおったというふうにも報道されておりました。
 このような思想状況、戦争の記憶の風化が進む中、民間の心ある人々の努力とともに、地方行政も何かをしなければならないのではないかと私はいつも思うのです。戦争の惨禍を次の世代に引き継ぎ、平和を守っていこうという意思を次の世代に力強く引き継いでいくことも大人たちの務めであり、また地方行政の務めでもあろうかと思います。
 非核平和の宣言をされた県下市町村は三十二団体に及びます。全国では千五百団体に及ぶそうであります。それぞれが工夫をして戦争の惨禍を伝え、その記憶を継承しようとしています。憲法の平和の精神を学び、平和は国民一人一人の努力の中でこそ維持できるのだと学び合っています。
 私は、自衛隊の海外派兵やPKOへの参加に反対する考えを持っておりますが、そのような考え方の当否は別に、すべての人々が非核と平和の願い、戦争の記憶を継承し、国民、県民一人一人の自覚の育成のために何らかの形で、例えば、今申し上げた非核平和の宣言をするとともに、当初予算の〇・一%でも平和のための行政に使うとか、モニュメントをつくるとか、あるいは和歌山の平和記念日を設定するとか、そういうさまざな措置をもって私たちの平和への意思を次代に引き継いでいかなければならないのではないかと思いますが、知事はいかがお考えでございましょうか。
 さらにつけ加えますと、あの原爆の悲惨な状況は今もまだ痛々しく残っているわけでありますが、それらの人々を援護するための法制定を当局として強く求めていただきたいと思います。今までどう対処されてまいりましたか、今後どう対応されようとしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、教育の問題に移ります。
 私は、この問題については知事のお考えをお聞きしたいと思っておるわけでありますが、その基本的な点は、教育がだんだんと中央統制のもとに置かれてきつつあるのではないか、そういう不安を抱いております。その点について知事はどのようなお考えを持っているか、そこのところをお尋ねしたいわけであります。
 学校教育が憲法なり教育基本法なりに規定された「不当な支配に服することなく」とうたわれた部分が、長い時間をかけながら徐々に国家の統制、権力の支配下に置かれてきつつあるのではないかということであります。
 私はこの夏、松本市の開智学校──明治の初めに建てられた重要文化財にもなっている建物であります──が教育資料館として莫大な資料を展示しておりますので、教材による教育史を学ぶつもりで見学をしてまいりました。明治から終戦直後までの教材の変遷を見ながら、国民の思想意識を統制するために教育が国家にいかに利用されたか、あるいは教育が富国強兵と侵略戦争にいかに大きな役割を果たしたか、そういうようなことを資料を目の当たりにしながら身震いするような思いで、時のたつのを忘れました。
 戦後の教育は、その反省に立って、教育は国のために行われるのではなく、国民の一人一人に責任を負って行われるものであると定められました。そのことは既にご承知のとおりであろうと思います。そして、その保障が教育における民主主義、地方自治であったと思います。
 しかし、教育委員会のあの公選制度はあっという間に任命制に変わっていきました。学習指導要領は大綱を示す試案であったはずが、いつの間にか、というより一九五八年からでございますが、徐々に法的拘束力を持つものだとされ始めました。しかも、立法行為、国会での審議も議決もないにもかかわらず法的拘束力を持つという不可解なものになってまいりました。時を経るに従い、それは強権的なものとなり、権力性を帯び、日の丸・「君が代」に見られるように、校長の意に従わねば処分をすると口走るほど、教育は権力的なものになってまいりました。
 もちろん、和歌山県教委の賢明な良識はそこまでのむき出しの権力を行使するような愚かなことはやっていないことは大いに評価されなければならないとは思います。しかし、事は非常に重要であります。
 教科書の検定について少し考えてみますと、さまざまな波紋を呼びながら論争されてきた検定は、ついに学習指導要領により、東郷元帥を載せていないものは教科書とは認めないというところまでに至りました。それまでも、太平洋戦争における日本軍の「侵略」行為を「進出」と改めなければ教科書として認めないなどというようなことが起こり、国際的論争を呼ぶようなときさえありましたが、そこには文部省の絶対性が明確に浮き上がってまいります。
 世界にも検定制度をとる国はありますが、日本の文部省ほどの絶対性を持った検定は欧米にはありません。国家権力の教育内容への深刻な介入、権力支配が見られます。
 一方、内容的に見ても、とりわけ国際関係、特に過去の戦争をめぐっての国の見解の一方的押しつけが際立った特徴としてあらわれると同時に、時の産業経済社会からの要求が差別、選別の教育課程として、教育課程の再編が進められてまいっております。戦後政治の総決算の後に戦後教育の総決算が臨教審、中教審の中で議論され、文部省で政策化され、私どもの目の前で展開されています。
 私は、知事とは一般的な政治的立場を異にしておりますが、教育をめぐる歴史的事実については、事実問題としては共通の認識を持ち得るとは思います。そのような事実を知事はどのように評価されておられますか。私は、教育の地方自治を進めていくという立場から、今のような教育の国家統制のような進行のあり方に強い憂いを感じるわけですが、知事はいかがお考えでしょうか。
 次に、具体的な幾つかの問題で教育委員会の努力をお願いしたいと思います。そして、ご答弁をお願いします。
 さきに申し述べたような状況の中で、子供たちに対しては我々の世代では想像もできないような過大な学習課題が与えられて、卑俗な言い方で言えば、あっぷあっぷの子供たちが実にたくさん生まれてきています。先生も十分それをフォローできないで、まじめな教師ほどあっぷあっぷしているというような話さえ出てまいります。
 ご存じかとは思いますが、今子供たちが学んでいる、というよりも学ばされている知識というのは、もうすごいものであります。例えば算数での不等号は、あの松の葉っぱを横にしたようなものですが、昭和四十六年までは中学校一年生で学んでいましたが、今は小学校二年生に出てまいります。関数は中学校一年生で教えていたものが、今は小学校三年生で出てまいります。私は、算数が小さいころから嫌いでした。あの確率、高等学校の一年で出てきたわけですが、今は何と小学校六年生で習うそうであります。聞くだけでもぞっとする話であります。
 昭和三十三年まで、小学校で習う漢字は八百八十一字だったのが、今度の指導要領では一千六字。大人になって適当にあしらっている漢字ですが、小学生にとっては人生の難関とでも言えるほどの漢字であります。その漢字が百二十五字ふえた。学年が二学年ほどふえたのと同じぐらいであります。それだけではありませんが、挙げていると切りがありません。子供たちは実に大変です。
 昨日、先輩議員が遊びを知らぬ子供たちの不幸を語っておられましたが、私もそのように思います。学習システムの中にそれは仕掛けられているわけです。新学習指導要領は、子供の健やかな成長を妨げています。私どもは、それは改変されるべきだと思っていますが、それはさておき、子供たちが学校で学べば一応理解できるようなシステムにぜひともしてやらなければならないと思います。
 そのためにも、先生をどんとふやすようにしてやってほしいと思うのです。小・中学校で四十人学級がようやく実りました。どうか続いて三十五人学級を急がせてください。郡部では複式学級の解消は切実な願いであります。ぜひ実現してほしいと思います。高校でもぜひとも四十人学級を実現してやってほしい。そして、きのうも議論されたように、講師のままでいるまじめな先生方に教諭としての身分を一日も早く与えてやってほしいと思います。さらに高校入試では、十五の春を泣かせないためにも一段の努力を払ってほしいと思います。教育委員会の見解をお示しください。
 次に、地場産業、中小企業の問題についてお尋ねをいたします。
 和歌山の経済の活性化といえば、昨今は「テクノ&リゾート」という言葉がもてはやされ、企業誘致などもぼつぼつ進捗を見せているようであります。一方では大企業には相変わらず特殊な優遇もされているようでありますが、私がきょう問題にしたいのは、そのような華やかなテクノ&リゾートの政策的につくられたブームの陰にあって、今までの和歌山県経済の床下を支えてきた地場産業や零細小売店の運命についてであります。
 まず、地場産業であります。これも幾つか業種によって差異もありますが、大勢としては随分しんどくなってまいっております。木の国の木材、木工なども、かつての面影が最近では見られなくなっております。地場産業の振興のために県当局がどのような取り組みをされてきたのか、お示しをいただきたいと思うのであります。
 時代の進捗により需要にも変化が生まれ、時流に合わなくなったというものもあるやもしれませんが、他府県の同種の産業がその占める位置を交代し、後位に甘んじているというのは、企業の努力だけではなく、一つには行政がどれだけの支援をし得たかということにもかかっていると思います。県下の地場産業の主要なものの全国シェアの変遷、下方に低迷したその業種と原因、当局の今日までの対応と今後の展望を明らかにしていただきたいと思います。
 小零細企業の小売店の問題について、大量販店との関係でお伺いいたします。
 ここ十数年来、小零細小売店が減少の一途をたどっています。私の生活している周辺でも一軒、二軒と店を閉じていくさまを見てまいりました。県下の数字にしますと、ここ十年余りの間に店を閉めた小売店は何と二千軒を超えると推定されます。それぞれがそれなりの努力をしても、持ちこたえられなくなっていくようであります。原因は大量販店です。和歌山県の大手スーパーは、和歌山市などでは全国でもトップクラスの進出状況です。これでは零細小売業はたまったものではありません。その上、大店法が改悪され、大手スーパーが猛烈な進出をねらっております。零細店舗の運命はまさに風前のともしびであります。大胆に思い切った大店法の規制を県として行う必要があるのではないでしょうか。少々の対策では大資本には太刀打ちできないということを二千軒の凋落した小売店舗が物語っていると思うのであります。知事の見解をお伺いしたいと思います。
 続いて、紀伊半島への原子力発電所の立地の問題についてお尋ねをいたします。
 最近、原子力発電問題をめぐって知事の意思の表示があったと新聞に報道されておりました。私どもの方にも知事の本音のところはどうなのかという問い合わせなどもあり、私もまた知事の所信をお伺いいたしたいと思う次第であります。
 知事はさるところで、「原発立地については過去の経験にかんがみ、地元住民の合意を十分尊重する」と表明された旨、新聞で報道されました。ついては、次の点について明らかにしていただきたいと思います。
 県発行の和歌山県長期総合計画「新世紀の国21」十三節の「資源・エネルギー」の項の「基本方針」によりますと、「国が、電源三法等の諸施策により配慮している状況から、県としては、適地性・安全性・地元の同意という三原則を堅持し、立地地域を総合的に整備し、住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」とあります。
 最近の知事の原発についての態度表明は、この方針とのかかわりではどう理解したらよいのでしょうか。長計の方針が変更されたのかどうか、明確にしていただきたいと思います。
 なお、紀伊半島における原子力発電の立地について関西電力の態度はどのようなところにあるのでしょうか、わかっていればお答えをいただきたいと思います。
 最後に、目前に迫っております県知事選挙に当たって、最近、県庁の一部の幹部職員の選挙運動、現職知事の選挙を目的にした後援会活動が目立ってきています。これでよいのかという意味を込めて質問をさしていただきます。
 実は、これでよいのかというのは私自身の思いではありますが、同時に県庁職員の多くの方々の思いであり声であるようです。と申しますのは、次のような訴えはすべて県庁職員から私どもに寄せられた声であるからであります。
 例えば、就業時間中に現職知事の後援会加入申込書の用紙が配布された、あるいはまた、その記入を促された、後援会申込用紙の回収と整理のために女子職員が勤務時間内に動員された、回収された申込用紙をコピーするために庁内の複写機が使われた、所によっては、余り目立ち過ぎるから十分気をつけてやれというような指示さえ出た、選挙の準備活動、有力者の訪問に公用車が使用されている等々、さまざまな話が私どものもとに届いてまいります。
 県庁に間近の知事の後援会事務所には、就業時間中でも公然と幹部職員が出入りしています。公職選挙法に触れるかどうかはきょうここで論ずるつもりはありませんが、少なくとも、幹部職員の指示のもとに、就業中の選挙準備活動、公の機具の私的利用、職場離脱等は選挙法以前の問題、就業規則とのかかわりでも随分と逸脱した行為であることは明白であります。実は、同様のことは四年前の知事選挙の際にも目に余るものがあって世のひんしゅくを買ったということであります。
 ついでに申し上げておきますと、それは田辺の土木事務所が建設業者を対象に集票活動を行うため、「選挙啓発」と銘打って活動していたということが明らかにされました。県職員に担当業者を配置した名簿などは私どもの手元に今もありますが、県民に服務すべき機関として全く言語道断でありました。その反省がまだ生かされていないようであります。
 私は、県庁の職員の方々も県民の一人として、有権者の一人として選挙に参加されることは大いに歓迎するものであります。自治体に働く人々の豊かな経験と直接的な働きを通じ、みずからの政治信条を確信を持って活動されることについては、たとえ意見を異にしようとも歓迎するものであります。
 しかし、今申し述べたような行為は、公務員としての自殺行為であり、県民への服務を忘れ、一政治家へ服務する公務員となってしまって、これはまさに逆立ちした姿勢であります。改めるべきだと思います。
 職員の中からのぶつぶつという不平の声も聞かれてまいる昨今であります。どのように考えておられますか。十分調査をして、やめるよう指示をされるべきだと思います。総務部長の見解をお伺いいたしまして、第一問を終わらせていただきます。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答えします。
 第一点の、地方自治についてでございます。
 地方自治については、私は基本的には国と地方が車の両輪であり、相共同しながら福祉の実現を図っていくべきだと思っておるわけでございます。特に、国において全国的公平さの問題、そしてまた行政水準の低下の問題等があるわけでございますし、また地方から見ましたら、地方の特性を生かした形の地方自治のあり方という二つの面が相調整を図りつついくのが地方の行政機能分担という上において非常に重要なことだと思っておるわけでございます。
 やはり地方自治は、行政の根本でもございますし、また民主主義の根本でもあると思っておるわけでございます。従来、中央集権的なところもありましたけれども、地方の自主性、自律性の強化を強く進めていかなければならない、これが地方自治体の使命だと思っておるわけでございます。
 今日まで、この地方と国との関係の問題については、地方制度調査会等において善後策を講じてきておりますけれども、なお我々としても、地方への権限委譲の問題、地方財政の充実の問題、そしてまた地方行政のこれからの見直しの問題等々、いろいろな問題について知事会等を通じて積極的に申し述べてまいっておるところでございます。
 それから、平和のための行政の問題でございます。
 お話ございましたように、今日の我が国の繁栄を築いたのは、私は国民の努力と相まって、平和が続いたたまものでもあると思っておりますし、もとより県民一人一人が平和のとうとさを自覚するということが非常に大切だと思っておるわけでございます。私もまた、平和とそれを支える自由と民主主義のとうとさを十分認識し、憲法の精神を念頭に置きながら取り組んでまいっておるところでございます。
 特に、最近のソ連の政変を見ました場合、自由と民主主義というものがいかに大事かということを私は痛切に感じておるわけでございまして、平和を守るための自由民主主義をなお一層進めていかなければいけないのではないかと思っております。
 いろいろ提言がございましたけれども、県議会初め県民各界各層の幅広い議論がなされ、そうした議論の盛り上がりを踏まえることが大切であると考えておるところでございます。
 次に教育行政についてでございまして、教育の中央統制の問題でございます。
 日本国憲法では、国民の教育を受ける権利や義務について明記しております。それを保障するため、国が教育水準の維持向上に責任を持つのは当然のことであると考えております。
 そうした認識に基づきながらも、本県においては、地方自治の精神を踏まえ、個性を生かした教育や知・徳・体のバランスのとれた人間の育成を目指し、教育の充実を柱として諸施策を進めているところでございます。私としても、教育というものは、現在までも重要でございましたけれども、これから二十一世紀を目指してなお一層重要な課題であると感じており、教育諸条件の整備に努め、本県の教育の活性化を図ってまいりたいと思っております。
 それから、教育をめぐる歴史的な事実の問題についてお話がございましたが、これも、私は鶴田さんと意見が違うんです。このことは、議会制民主主義が有効に機能して、戦後の民主主義が定着してきた過程での事実であると受けとめております。
 それから、商工行政の地場産業の問題でございます。
 和歌山県において地場産業の占めるウエートは、私も非常に大きいと思っております。特に、現在までの本県における地場産業の体制は受注型の企業が多うございました。しかし、これからは企画立案的な形の企業へ移行していかなければならないと存じておりまして、そうした産業構造の変化に対応するために足腰の強い地場産業の育成を図っていくことが大事でございます。従来の施策に加え、工業技術センターの再編成の問題、テクノ財団、頭脳立地構想等を推進し、産業構造の変革、発展に努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、大型店対策でございます。
 話ございましたように、日米構造問題協議等による経済活動のより一層の自由化の波の中で、大型店の進出に対する大幅な規制緩和、また消費者ニーズの変遷、ライフスタイルの変化、車社会への展望等、小売商業を取り巻く環境は大変厳しいものがあると思っております。
 このような内外の厳しい状況に対応するために、町づくりと一体となった消費生活と密着した魅力ある商店街、また商業集積づくりを行っていかなければならない、そうした点から、一店一店だけではなしにグループとしての小売商業の振興を図ってまいらなければならないと思っております。
 そのため、県としても基金等の創設による助成措置、また金融措置等を講じているところでございます。そして、大型店の進出に対しては、今回の大店法の改正の趣旨を踏まえ、その目的とする消費者の利益の保護と小売商業の発展を図るよう、関係者の意見を十分に聞きながら対応してまいりたいと思っておるところでございます。
 それから、電源立地の問題でございますけれども、長計と原発についての質問でございました。
 第四次和歌山県長期総合計画は、西暦二〇〇〇年までの基本的な方針と長期的な施策を明らかにしたものでございます。一方、中期実施計画については、本県を取り巻く社会経済環境等の変化に対応するために、県の基本方針として三年ごとに策定することとしてございます。
 電源立地問題に対する私の姿勢、考え方は、第二次中期実施計画にお示しのとおり、地元の意向を尊重して対応する考えでございます。
 以上です。
○副議長(平越孝哉君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 被爆者を援護する法の制定についてでございますが、国では他の戦争被災者、遺族等と不均衡を生ずることからその制定は非常に困難であるということで、現在、原子爆弾被爆者の医療等に対する法律と原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の二法により措置がなされているところでございます。
 県としても、これまで二法に基づく施策を推進し、その充実について国に要望してきたところでございます。本年度において、この二法の大幅な改善が図られたところでありますが、今後とも全国知事会等を通じ、被爆者に対する制度の改善を要望してまいりたいと考えております。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 地場産業の衰退に対してストップをということでございます。
 本県地場産業は、平成元年の工業統計によると、事業所数で六一・三%、従業員数で五一・二%、出荷額で二七・二%となっており、県下製造業に占めるウエートも大きく、中高年齢労働力など、地域に就業機会を提供しております。また、不況に対する抵抗力が大きく、地域の活性化にも一役を担ってまいりました。
 通産省工業統計で主な全国シェアを見ますと、ボタンでは昭和五十二年の一九・六%から六十二年二〇・五%に、また同年比で製材・製材品が二・九%から三・六%に、建具・家具が四・六%から五・二%に、ニット製品では二・八%から四・〇%にそれぞれ上昇をし、漆器や皮革等、下降しているものもございます。
 このような状況と産業構造の転換期といううねりの中で、数多くの課題がございます。特に、受注依存型企業が多いことが付加価値を低くし、地場産業全体の発展に支障を来しているものと考えられます。
 今後、企画提案型企業への移行を進めるため、販路開拓の強化や新技術、新製品の開発、さらにデザイン等の開発力を強化し、各企業の自社ブランドの確立、体質強化を含めた総合的な施策が必要と存じます。
 そこで、技術の高度化、ハイテク化、また高度情報化、消費者ニーズの多様化、国際化に対応すべく、地域産業技術の中核的な研究支援施設として、工業技術センターの再編整備、並びに産業技術の振興を図るための和歌山テクノ振興財団の運営、産業の頭脳部分の集積を促進する海南インテリジェントパークの建設、ジェトロ和歌山経済国際化センターの業務開始等、地場産業の振興策を展開しているところですが、後継者の育成や各種研修事業等により人材の育成強化にも力を注いでまいりたいと考えてございます。
 次に、大型店の対策についてでございます。
 本県の大型店の推移は、大店法が施行された昭和四十九年二月には五十二店舗、大店法が改正施行された五十四年の五月には九十二店舗、本年八月末現在では百四十三店舗となってございます。また小売店は、昭和四十三年に一万八千十店、四十九年は一万八千六百四十九店、五十四年には一万九千八百三十店、六十三年では一万八千三百十九店となり、他府県に比べると人口に対する店舗数が多く、減少傾向となってございます。これは、内外の急激な社会経済情勢の変化に加えて、環境への対応のおくれや後継者難、また人手不足、駐車場不足等によるものと考えております。
 この対策として、本年三月に今後の商業振興のあり方を示した和歌山県中小小売商業活性化ビジョンを策定するとともに、本議会に増額をお願いしている和歌山県中小商業活性化基金や低利の融資制度により商店街等の振興を図ることとしてございます。
 今後、個々の商業者が持っている活力、意欲を引き出し、努力する商業者を支援することにより、既存の商店街については活性化を図り、魅力を大幅に向上させるとともに、中小店と大型店が共存共栄のできる高度な商業集積の整備を促進し、地域全体の活性化を図り、消費者が安心して買い物ができるように地元市町村、関係者とともに推進してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 電源立地について、関西電力の意向はどうかというご質問にお答えを申し上げます。
 電力会社としては、増大する電力需要に対応するため、原子力だけではなく、火力、水力を初め、あらゆる電源立地の可能性の検討はしているものと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 県職員の選挙活動についてでございます。
 議員ご指摘の点については聞き及んでおりませんが、地方公務員である一般職の県職員については、地方公務員法において職務に専念する義務がうたわれておりますし、また一定の政治的行為の制限など、身分上、服務上の義務が定められておりますので、この点に十分留意してまいらなければならないものと考えております。
 なお、職員の服務に関する事務を所掌する立場からよく注意を払っていきたいと考えております。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題の四点についてお答えいたします。
 小・中学校の学級編制については、本年度において四十人学級を完成したところでございます。また、県単独措置として、同和地区児童生徒在籍率一〇%以上の小・中学校において三十五人学級を完成したところでございます。複式学級については、平成二年度において国の改善計画を完全実施いたしました。
 今後、国が新たな計画を策定するに当たっては、本県の実情も踏まえて改善がなされるよう、本年六月の県議会において高等学校の四十人学級や複式学級等、学級編制の改善及び教職員定数の改善に関する意見書を国に対して提出いただいたところでございます。また、教育委員会としても、全国教育委員長教育長協議会等において国に強く要望を続けているところでございます。
 次に講師についての件でございますが、補充及び代替として任用する臨時的任用講師と特定の教科について任用している非常勤講師がございまして、すべての講師を教諭として任用することは困難でございます。
 本年度、特に講師が多いことについては、教職員定数について国の大幅な改善があったことや、高等学校への進学率を全国平均以上となるよう措置したことなどのためであり、来年度はこうした状況を考慮して採用予定者数を決定しているところでございます。
 高等学校への入学については、学校教育法等に基づく選抜により実施しているものであります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさしていただきます。
 地方自治の問題について、知事から答弁をいただきました。自治の拡大のために努めたいという論議に対しては私も共感を示すものでありますが、実際問題として、本当にいろいろと国の方からの制約が多いというのが現実だろうと思います。
 行政改革などの際には、残念ながら和歌山県が国の介入に積極的に迎合したというような趣も私自身は感じているわけです。そういう点で、やはり自治を拡大するという立場から毅然とした対処を求めていきたいと思います。
 次に平和行政についてでございますけれども、戦後の平和が県民の努力のたまものであったということについては意見が一致するところだと思います。ただ、知事が県民の世論、あるいは議会の動向等を見ながら今後そのような施策を考えていきたい、その高まりを待ちたいと言われておることに対しては、私はそれは消極的な考え方ではないかと思うわけです。
 最近、神坂次郎さんという作家が新聞で対談をされておるのを読みましたが、今度の八月十五日が戦争の記憶を継承していく上で本当に考えなければならない一つの結節点になるんではないかというようなお話をされておりました。私も同感であるわけですけれども、もっと積極的なイニシアチブを知事みずからが発揮されることが必要ではないかと私は思っています。
 私は昭和十四年の生まれで、六歳のときに終戦を迎えました。太平洋戦争の記憶というのは、そのときの記憶が若干あるわけであります。ところが日清、日露の戦争といいますと、大阪夏の陣と比べてもほとんど変わらないぐらいの、歴史上の出来事としての認識しかないわけです。としますと、私どもよりはるかに若い世代の方々が太平洋戦争をどのように考えておられるか。私の日露戦争ほどのことはないと思いますけれども、受けとめ方はやはり大きく変わってくるんではないかと思います。戦争の惨禍、その記憶を次代に継承していく仕事は、やはり自治体に課せられた大きな仕事ではないかと思うわけです。
 いろんな個別的な政策についてはこれから十分検討していけばいいと思いますけれども、今までも求められていた非核平和の宣言などは、知事が積極的に行ってはいかがかと思いますので、その点についての答弁をお願いいたしたいと思います。
 教育の問題については、知事とは見解を大きく異にしてしまいました。まことに残念であります。
 私が教育基本法あるいは学習指導要領がどういう趣旨であるのかというようなことをいろいろお話しいたしましても、「また共産党が何ぞ言うている」というふうに受け取られると困りますので、教育基本法や学習指導要領を制定した当時、文部省がどのように言っておったかというあたりをちょっと紹介しておきたいと思います。
 これは森戸国務大臣が教育基本法の立法趣旨を説明したところです。「従来、国が教育内容の細部にわたるまで規定し、かつこれを監督していた態度を改めまして、教育の基本的事項のみを定めて、これが実際上の具体的運営は、これらの地方教育委員会で十分研究してもらうようにしていきたい」と、それがこの教育基本法の立法の趣旨なんだというふうに述べているわけです。
 それから、学習指導要領の問題については、「もちろん教育に一定の目標があるというのは確かである。また、一つの骨組みに従っていくことも要求されていることも事実だ。しかし、そういう目標に達するために、その骨組みに従いながらも、その地域の社会の特性や学校の施設の実情や、さらに児童の特性に応じてそれぞれ何をしていくかということを十分地域の教育委員会にゆだねていきたい」、これは学習指導要領の試案の序論の部分です。
 もう一つ、ついでに言っておきます。「この書──学習指導要領です──は、学習の指導について述べるのが目的だが、これまでの教師用教科書のように一つの動かすことのできない道を決めてそれを示すというような目的でつくられるものではない。新しく児童の要求と社会の要求とに応じて生まれた教科課程をどんなふうに生かしていくかを教師自身が自分で十分研究していく一つの手引としてつくられたものである」と、こういうふうに書かれています。
 これが、教育基本法なり学習指導要領のそもそもの初心だったわけです。ところが、それがずっと変わってきまして、先ほど紹介したような事態になってきているわけです。その評価が知事とははっきりと分かれたわけですけれども、私はこの点は本当に重要な点だと思うんです。憲法と教育基本法の初心は何かということを常に問いながら教育行政というものも眺めていかなければならないんではないかと思うわけです。この点について改めて答弁をいただいたとしても、またすれ違うといけませんから、ぜひ考えていただきたいと思います。
 次に、時間がないようですので、教育委員会には先ほど要望したことについて、ぜひとも実現のためにお骨折りをいただきたいと思います。
 原発について、簡単にお聞きします。ごく簡単に答えてください。
 長計の原発立地の方針というのは、今も生きているんですね。そこのところだけです。凍結されていないんですね。生きていますね。そこのところだけを明確にお答えいただきたいと思うんです。
 それから、中小企業、零細企業の対策の問題について、今までもいろいろと努力はされておられるようでありますけれども、必ずしも大きな実績を上げてこられていないというのが現状ではないかと思います。融資等が相当大きくなされておりますけれども、実際、この補助をして立ち上がらしていくというようなところまで至っていないというところに大きな問題があるように思います。
 小売店がこの十年間に二千軒も減ったというのは非常に大きな出来事でして、この点は今までの行政が実効を伴っていなかったということを物語っているんではないかと思います。そういう点について、ぜひとも今後強力なてこ入れをすると同時に、大量販店についてはやはり規制をしなければ、中小企業、零細企業の小売店の運命というのは本当に惨めなものだと思うんです。そういう点で、知事にはぜひとも英断を振るってほしいと思うわけですが、その点はいかがお考えでございましょうか。部長でも結構です。
 次に、選挙と県庁の一部職員の方々の行動について意見を述べておきたいと思います。
 仮谷知事も長い間知事の座に着いておりますと、本人の志と違ったこともやはり起こってくると思うんです。私は、今度の選挙の今申し上げたようなことについては、別に知事のさしがねでやられているというようなことは全く思っていないわけですけれども、そういう事態が起こってくるということについては、やはり知事としても反省をしていただかなければならんと思うんです。「初心に立ち返って」という言葉を最近よくお聞きしますけれども、本当に初心に立ち返っておられたら、こういうことはないと思うんです。
 そういう点で、「わしに恥をかかせるな」と、県庁の一部のそのような職員の方に申し上げてください。そうすることが、本当に開かれた県庁をつくることであり、開かれた地方事務所をつくっていくことだと思うんです。後援会への出入りを就業時間中に幹部の皆さん方がやっているなんていうのは、本当にみっともない話です。それも、余り公然と表から出入りをすると目立つから、ちょっと裏の方から入れというような話が出てくるんです。そういうようなことまでいろいろ気を使いながらやっておるという点は、ややかわいらしい点もあるかと思うんですけれども、やはりそれではいけません。公務員というのは知事に服務するのではなく県民に服務するものでなければならないと思いますので、ひとつ考えていただきたいと思うわけであります。
 それから、選挙も近づいてまいりました。私どもも真田壽雄氏を擁立してこの選挙に臨みたいと考えています。時はもう、秋もたけなわです。コスモスも咲いてまいりました。キンモクセイもさわやかな香りを放つようになりました。ひとつそのように、さわやかに、清潔に、この選挙をお互いに戦おうじゃありませんか。私どもも力いっぱい頑張りますが、知事もどうか清潔な選挙を忘れないようにお願いをして、私の第二問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 平和の問題でございますが、私も終戦を中国で迎え、平和がいかに大事かということは大変よく存じております。
 また、平和というのは口で言うのはやすいんですけれども、口だけではだめなんです。いかにして平和を維持するかという方法論が一番問題だと思うんです。その問題を真剣に考えておくことが大切でございまして、ただ口で「平和」と言うだけでは、戦争をした経過から見ましても、だめだと思います。湾岸戦争なりいろいろなことで考えておくべきじゃないか。平和というものは口だけで簡単に来ないと思うわけでございます。
 ご提言の非核自治体宣言の問題については、議会で議論のあった経過もございますし、ご意見として承ってまいりたいと思います。
 それから原子力発電の立地問題でございますけれども、先ほど申しましたように、地元住民の合意を十分尊重して、三原則を堅持しつつ対処してまいりたいと思っております。
 また、選挙についていろいろ言われたわけでございます。私は知らないことでございますけれども、選挙というのはいろいろなことがございます。やはり選挙をやる者になってみたら、いろいろございます。ご忠言、承っておきます。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 種々の影響を受けている商店街に対する支援策としては、先ほども申し上げたように、和歌山県の中小商業活性化基金を活用し、それぞれの経営の環境に応じた計画の策定等、ソフト面においてやってございますし、またいろんな事業の助成もやっておるわけでございます。地元商店街ともども、町の活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、個店の対策については、融資制度の活用、商工会議所等の経営指導員により対応してまいったところでございます。また大店法の運用については、今回の改正された法律の趣旨を尊重して行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時八分散会

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