平成3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 かねてから、現在行われている国の最大プロジェクトは関西国際空港であり、続いて東京湾循環構想、その次には瀬戸内海の循環、こういったものがこれからの国のビッグプロジェクトとして話題に上ってきたわけでありますが、そのうち瀬戸内海循環、その中でも特に歴史的に見て最も文化の蓄積度の高い関西の復権を兼ねた大阪湾ベイエリアというものが浮上してまいりました。当初は財界の皆さん方の自発的な意欲によってこれが提唱されたわけでありますが、森議員のご発言にもございましたように、一極集中から、まず眼鏡型の二極の国土を目指すという観点からも、大阪湾ベイエリアが現実のプロジェクトとして実感されるようになってきたのであります。
 この間、我々は大阪の地建に陳情に行ってまいりました。その中で、道路問題等いろいろあるけれども、今、和歌山県が戦略としてどれに力を入れるべきかということは余り我々の方から言うべきでないかもわからないが、この大阪湾ベイエリア構想、大阪湾環状道路に最も力を入れるのが一番得策ではなかろうかとの、謙虚ではありますけれども好意的な助言をいただいたところであります。
 一方、第二国土軸というのは、名古屋の方から大分に至る、これもまた日本の西の振興を図る上でなくてはならない道路であります。
 この道路を考えてみると、ちょうど名古屋から大分の中間地点に和歌山が位置しておると考えられます。しかも、紀州藩をこの和歌山の地に置いた。そしてまた最初の南龍公は、一名「南海の鎮め」とも言うわけでありますが、この南海道を治める要衝の場として和歌山を選んだ。そのときの南海道というのは、四国、九州をにらむということを書いてあります。言いかえますと、四国、九州をにらみながら、経済的にも軍事的にも、その拠点として徳川幕府を支えるという役目があったように思うのであります。
 今また第二国土軸を考える場合に、名古屋から大分に至り、しかも南海道、四国、九州をにらむというこの第二国土軸構想は、その真ん中に位置する和歌山県にとって将来はかり知れない大きな利益をもたらす。もう一度、日本の中心の要衝の場所として、文化的にも経済的にも産業の上でも大きな働きをする要因をつくり出していただくものと思っているのであります。
 そういう意味合いにおいて、今までは東海南海連絡道とか第二国土軸というのを言葉だけで聞いてきた。言いかえますと、一つの夢であったわけであります。しかし、大阪湾ベイエリア構想の浮上によって大阪湾環状道路が実感せられ、その中において、森議員の質問にもありましたように紀淡海峡トンネルを建設省の側から眺めるという調査が始まった。こういうことでありまして、我が県にとっては大変大きな要因であります。こんな具体的な要因、実感される要因は、ぜひとも知事がつくっておられる長期計画あるいは中期計画の中に盛り込んでいくべきであると私は思うのであります。
 道路の建設の場合には、法律で定められている単なる環境アセスというだけではなしに、産業面や文化面においてのアセスメントを行い、それが将来どのような影響を及ぼしていくかという調査を的確に行い、それを一方は県民に知らせる、一方は具体的に国に訴えるということによって、これらの構想の実現を早める強力なてこになっていくと思うのであります。そういう意味において、和歌山県の将来をにらんで、長期計画、中期計画の中でどのように打ち出していくかということを交通面、産業面、文化面からお考えいただき、お答えをいただきたいと思うのであります。
 次に、和歌山の港湾について質問を進めてまいりたいと思います。
 ただいま申し上げたように、国土軸、国土の構造というものが我々が実感される中で将来大きく変わっていこうとしているわけでありますが、陸・海・空と見てまいりますと、陸については、長い間念願であった国土軸への直結を目睫の間に控えておると申し上げて間違いはないと思うわけであります。空についても、関西国際空港、また非常に難航しておったけれども、皆さん方のご努力によって白浜空港のジェット化が前向きに進んでおります。しかし海については、海洋牧場とかリゾート等取りざたされてまいりましたし、現実にいろいろな計画も進んでおりますけれども、もっと県庁の中でも、あるいはこの議場でも活発な論議が交わされてしかるべきではなかろうかと私は思うのであります。
 そこで、そういった大きな立場に立って、将来の港湾のあり方を知事にお伺いをしてまいりたい、そしてまた関係部長にもお伺いをしてまいりたいと思うのであります。
 そういう観点から、和歌山下津港という特定重要港湾に限らず、和歌山の十六の港を見渡してみると、それぞれその地域の特性に準拠していると思うわけでありますが、こういう港をどのように考えておられるかということをお伺いいたします。
 次に、これらの港の中で、扱う貨物の量の大きさ、あるいは海岸線の長さから、和歌山下津港、中紀の日高港、そして南紀の拠点であるべき新宮港、これらの港湾はますます大きな働きをしていくものと思われるのであります。
 そこで、和歌山下津港、日高港、新宮港のそれぞれの役割や現在の課題、そして取り組んでいる事業の進捗状況のご説明を賜りたいと思うのであります。
 日高港については、平成二年二月議会において中村裕一議員から、その役割、難航しておる漁業交渉、財政上の問題、事業主体の問題、企業立地の問題等のご質問があったようであります。私は、これらの質問に対する答弁の上に立って、その後の事業の進展ぶりをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 また新宮港については、平成元年十二月議会において下川俊樹議員から、二期計画の早期具体化を願って知事の所見をただしておるわけであります。そのときに、少なくとも来年ぐらいからということでありましたが、調査費をつけて進めてまいりたいという答弁がございました。そこで、その後の進捗状況、今何をしておるのか、今後の課題は何かということをお伺いしておきたいと思います。
 和歌山下津港については、昭和六十年から昭和七十年に至る和歌山下津港改定計画の進捗状況、現況について去る六月の議会でただしたところでございますので、その重複を避けて、現在の港湾の整備状況、その問題点についてお伺いをしておきたいと思います。
 特に和歌山下津港においては、ただいま申し上げたように昭和六十年から昭和七十年ということでありますから、平成七年を目指して現在の港湾改定計画を進行中でありますが、平成七年度から改めて次期港湾計画が発足するわけであります。次期港湾計画については、今回の港湾計画を実施している反省の上に立って、また進捗状況の上に立って策定しなければならない。しかも、冒頭に申し上げたように、大阪湾ベイエリア、瀬戸内海環状構想、第二国土軸構想という中で、特定重要港湾である和歌山下津港の果たす役割の方針を決定していく大切な次期港湾計画であります。その基本的な考え、課題点について、具体的な所見を承りたいと思うのであります。
 背後地に対する考え方、コンテナに対する考え方、埠頭のあり方、あるいは港湾の玄関口のあり方、いろいろ問題があろうと思います。和歌山下津港が近畿の中でどのような役割を果たし、将来の第二国土軸のちょうど中間地点にあってどんな役割を果たしていくかという非常に大切な方針の決定でありますから、夢のある、しかも実現性のある具体的な方針をお示しいただきたいと思うのであります。
 続いて、内川浄化についてお伺いを申し上げます。
 和歌山市議会のこの九月定例議会に、和歌山市排出水の色等の規制条例というものを制定するということで、議案として提出されております。これは、今までいろいろな角度から内川の浄化を進めてこられたわけでありますけれども、発生源に対する取り組みが地場産業の立場やいろいろなことを考える中で大変難しい、しかし、時代の要請、進み行く和歌山の姿という中で、今のまま内川を放置するということは何よりも恥辱であり、恥ずかしいというだけではなしに、県都和歌山市の発展、ひいては和歌山県の発展をも阻害するという見地から、発生源対策に乗り出したこの条例の提出を私は非常に高く評価するものであります。
 この条例案でございますけれども、着色度を八十以下とする──この数字はなかなかぴんとこないんですが──透視度は二十度以上とする、水温は摂氏四十度以下とすると。そして、残留塩素の規定を行っております。これらの規制基準を対象とするところは、染色の整理場、化学工場、下水道事業すなわち市の持っておる共同処理施設となっておるわけであります。しかも、これらの条例を遵守していくためには、それなりの投資をしなければならない。水の色を抜くための投資をするということは、新しい製品をつくったり品物を安くつくったりということにはつながらない。むしろ、その逆の方向に行くわけでありまして、業者にとっては大変負担となるということで、こういったことへの投資のためには一社当たり最高五億円を無利子で融資し、利子分は利子補給するということを聞いておりますが、これも大変な勇断であると評価をしなければならないと思うのであります。
 そこで、和歌山県当局にお伺いをいたしますが、市がこういった思い切った措置をとってきた背景には、県が行政指導を行ってきたということに対する評価も当然しなければならないと思いますし、評価はしておるつもりでございますけれども、改めて今回の市の条例についてどのような評価をしておるのか、お伺いするものであります。
 そしてまた、これらの条例を守っていってもらわなければならないわけでありますが、守っていけるようにすることと同時に、県としてはそれにあわせて内川をきれいにしていくためにどんな対応をしていくのかということをお伺いするものであります。
 一つは、何遍も言ってまいりましたけれども、いまだに川に係留されている材木がございます。それを港湾計画の中で、くし型埋立地の木材関連用地と並行して解決をしていくように今日まで求めてまいりましたけれども、この条例が出されるこの機会を外しては、もう内川から材木をなくすことはできない。この際、この最後の機会をとらえ、県のあらゆる機関を動かして内川に係留する材木の撤去にご努力をいただきたいと思うのでありますが、改めてそのご決意をお伺いするものであります。
 それから、これこそ内川を語る上で最も大切なことでありますが、川は流れるものであります。その流れをとめてしまって逆戻しにするというような、全く不自然なことが行われてまいりました。これが仮堰であります。仮堰というのは仮の堰ということで、すぐに取り払うということでありましたけれども、長い間、これが定着をして、もう恒久的なものになるのではなかろうかという感さえ抱かせるようになってきたわけでありますが、今回の発生源対策による市の条例が守られていくに従って、この仮堰を撤去するということが具体的にできるようになってきたと思うのであります。そのための手だてを十分考えて、今度こそ仮堰撤去ということを県当局として打ち出していただき、これもまた長計、中期計画の中にはっきりと明示してもらいたい。
 今まで、どんなにここで質問をいたしましても、仮堰をいつごろ撤去するという言葉を聞いたことがなかったわけでありますが、ぜひともこの際、仮堰撤去に対する決意と行政における長計、中期計画の中での位置づけをお願いしたいと思うのであります。
 以前にこの問題を質問したときに、和歌川のポンプ場の上水の導入時間を延長するようにお願いをしたわけでありますけれども、なかなかそれが難しいということでありました。その質問の意のあるところも勘案してくれたのでありましょうか、今回、内川浄化対策としてそれが進行中のようでございますが、これについてのご説明をお願いしたいと思うのであります。
 また、今までは河川のしゅんせつを二回やっております。そして、国において有本ポンプ場を建設中でありますが、この有本ポンプ場を有効に活用するためには大門川、有本川への浄化用水の導入路を整備しなければならない。これについての計画をお話しいただきたいのであります。
 それから、先ほどの市の条例は大変な英断であると思いますけれども、同じ市の中でもその条例規制の対象となっている塩屋処理場とか中央処理場における事業所の排水目標値が、条例に出てくる数字や言葉と全然違う。よく似ておるんですが、処理場では目標の「色度」と書いておりますが、条例では「着色度」となっております。いろいろ聞いてみますと、色度と着色度は全然違うものらしい。そういうことでこの数字をあらわしております。すなわち、その処理場の目標にしている数値のあらわし方と今度の条例での数値のあらわし方との間に整合性がない。県民、市民が見てわかりやすいように、なるほどこういう条例であるから、処理場はこういう数値を目標にやっておるんだなということがわかるようにしてもらいたい。そのために、県当局にお願いをして副知事を先頭に内川浄化対策推進協議会なるものをつくっていただきましたが、この推進協議会と市の共同の話し合いの場所をぜひとも持っていただき、そういったことを指導してもらいたい。こういうことについてのお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 また、条例を遵守するだけではやっぱり川はきれいにならない。市民の理解、協力というものは非常に大切であります。生活用水に対する配慮はどうなっておるのか。また、川がだんだんきれいになっていく、川に親しめるようにしていくための護岸のあり方、堤防のあり方というもの、例えば、コンクリートばかりではなしに、ある部分についてはアシなどを植えながら水辺の生態を考えるというようなことに対する意欲もあわせてお伺いを申し上げます。
 先ほど申し上げたように、市は、色を抜くためのいろいろな設備をするために、業者に対して一社当たり無利子で最高五億円貸して、その利子を利子補給すると言っておる。それに対して県としては、今度は産業振興の立場からどのような援助を業者に行っていくかということがこれを成功させていく大変大事なところであります。一つは工業技術センターを使って技術の面で、一つは産業振興という立場から、融資も含め、利子補給も含め、その他の方法も含めて産業をどのように振興していくかということを業者と話し合いをして考えていってあげるという立場がなくてはならないと思うのでありますけれども、これに対するお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、「環境白書」についてでありますが、松江の北港センターで、昨年八月に目標値月平方キロ当たり十トンを超えて十・三という数字を出したことについてどう思うかということをお尋ねしたいのであります。
 八月という暑いときに、ただ一回だけ目標値を超えただけだという簡単な受け取り方ではいけないと思うのであります。この前の議会でも申し上げましたけれども、西防の第二工区、第三工区に何をつくるかということはまだ決まっておりませんし埋め立ての変更計画も出されておりませんが、少なくとも二工区、三工区に何か企業を誘致するという場合は、その企業から出てくるものも含めた数字が目標値でありますから、現在はこの十よりもずっと下におらなければならない。たった一回ではないかという安易な言葉もちょっと聞くように思うわけでありますが、一回出たということの重要性について、企業も県も市も、もっと真剣に考えてもらわなければならないと思うのであります。公害に対して、過去、地元住民のとってきたいろいろなことを考えてまいりますと、こういったことをおろそかにするということこそ住民の不信を招く最大の要因になると思うからであります。
 次に、前回においても平成八年以降の産業廃棄物の後継処分地ということについて質問をしたわけでありますが、この平成八年以後をどうするか、どこに産業廃棄物を廃棄する場所を持っていくかということは非常に大問題であります。和歌山県に大きなプロジェクトが来れば来るほど、和歌山県が発展すればするほど、一軒の家で言えば便所なしに幾ら立派な家を建てても、その家は家としての機能を果たさないのでありますから、経済振興の計画を立てるならば同時に、出てくる廃棄物の計画をしっかり持つということが行政の責任者としての責務であります。
 平成八年以後は、住友金属自体がノロの捨て場がなくなります。和歌山市の場合、住友金属以外のいろいろな企業については、現在、環境保全公社を通じて一般廃棄物も含めて処理場に廃棄されております。この一般廃棄物が将来どうなるかということも大きな問題でありますし、住友金属工業の産業廃棄物であるノロの捨て場をどうするかということ、これによって県が持つ計画が全然違ってくる。現在、住金の排出する産業廃棄物は全体の約四割強、まあ半分近いものが住金から出てくるということでありますが、それだけの多くの量を県が立てていく計画の中で考えていかなければならないものか。住金自体が企業みずからの責任において既にどうするかという計画をきっちり立てておるのか。これは、もう立てておると考えるのが常識でしょう。一つの処分場をつくるには、どんなに早くやっても最低五年かかるというのが常識ですから。そういうことを考えると、住金自体、自分の廃棄物をどうするかという方針を持っておるのが当然だと思うが、そういうことを県はちゃんと調べておるのか、そしてそれに応じた産業廃棄物対策を平成八年以降やろうとしておるのかどうかについてお伺いをいたします。
 最後に老人問題、特に平成元年六月議会において痴呆性老人対策についてお伺いしたわけでありますが、その後の痴呆性老人対策について質問をいたします。
 平成元年の質問では、老人性痴呆症という病気は二十一世紀の人類最大の課題である、欧米のノーベル賞学者でさえ、がんの研究の次は老人性痴呆症の研究が世紀の課題であるということで、そちらの方に転向している実例もあるというようなことを申し上げました。これは、年とともにだんだんと物忘れがひどくなるというようなこととは根本的に違いまして、病気によって、長い間人間として蓄積してきた経験、知恵が短期間に欠落していくというような病気でありまして、そのあらわれ方は個々それぞれの患者によって全部違うわけであります。老人問題は今後の最大の課題であり、和歌山県にとっても最大の課題でございますが、その中でも一番難しいのがこの問題であろうと思うわけであります。
 医療の面から考えると、和歌山県の医療の最高峰は県立医科大学でなければならない。そこで研究し、教育し、治療した経験、成果が、和歌山県のそれぞれの診療所や病院、各地区に公平に行き渡っていくという体制がなければならないし、それこそが県立で医科大学を持っておるということの意義でもあるわけであります。私は、和歌山県の将来にとって大きな課題であるこの老人性痴呆症を治療するベッドを持っておらないという県立医科大学では困ると思うわけであります。しかし、紀三井寺に移転する計画をお聞きしても、これに対する対応が医大の中でとられておらないように思うのであります。
 この病気の対応は、ただ単に世界の学会の知識を持ってきてそれを勉強するということではいかないわけでありまして、患者と接するということが非常に大切であることを考えると、大学の中にベッドを持つ、あるいは少なくとも離れたところに関連病院を持つということが非常に大事だと思うのであります。それから、専門治療病棟、老人性痴呆疾患センターについてお聞きいたしましたが、その後のあり方についてお伺いをいたします。
 また、患者の立場から医療行政を見る、福祉行政を見ることのできる情報ネットワーク、これについての取り組みをお伺い申し上げます。
 また、老人性痴呆症についての医師の養成と看護婦の養成についてどのように取り組んでいくのか、誠意を持ってご答弁いただくことを心から念願をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○議長(山本 一君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 第一点、大阪湾ベイエリア構想、さらには第二国土軸構想の機運が高まっている中での本県の交通、産業、文化の拠点としての振興策についてでございます。
 お話ございましたように、大阪湾ベイエリア開発については、二十一世紀への和歌山県の発展、さらには関西復権の立場から、私は第四次全国総合開発計画の策定に当たって、大阪湾環状交通体系、またその結節点ともなるべき紀淡海峡ルートの重要性を強く主張した結果、四全総に位置づけられたという経緯がございます。
 また第二国土軸についても、ただいま大阪湾ベイエリア開発推進協議会において、私も代表委員として参画しているわけでございますけれども、東京一極集中是正の観点から大阪湾環状交通体系、紀淡海峡ルートの整備、さらには西日本全体の発展の立場から第二国土軸構想の早期実現を主張して、そのグランドデザインに盛り込んだところでございます。
 このような大きな流れの中で、先ほども森議員から話ございましたように、本年度からは国において大阪湾環状道路としての紀淡海峡連絡道路の調査に着手していただけることは大きな前進だと思っております。こうした関西国際空港の建設を初めとする本県を取り巻く交通体系の整備の進展に並行して、大阪湾の核都市として紀泉の臨空都市圏の形成に向けて、交通、産業、文化などあらゆる観点から、さらなる和歌山県の発展に懸命の努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
 ご指摘ございましたように、中期実施計画においてもこれをはっきり明記して二十一世紀への飛躍台となすべきではないかというご意見に対し同感でございまして、そうした点について努力してまいりたいと思っております。
 それから、和歌山の港湾計画についてでございます。
 お話ございましたように県下には十六の港湾がございまして、それぞれの地域において重要な役割を果たしているわけでございます。今後とも、地域の要望にこたえて、個性のある地元と一体となった港湾整備を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
 特に和歌山下津港については、特定重要港湾に指定されておるわけでございます。関西国際空港の開港、また大阪湾環状交通体系の整備、さらには第二国土軸の形成等により、その立地環境が大きく変わってくるものと認識しておるわけでございます。つまり、国内各地はもとより諸外国との多様な交流の機会にも恵まれるものと考えております。その際は、物資流通の拠点にとどまらず、ウォーターフロントを生かした人の交流空間として和歌山下津港の果たすべき役割も大きいのではないかと思っております。
 港湾の開発計画は長期的な視野に立って多くの関係者との意見交換、調整を踏まえつつ取りまとめていくべきものであり、平成七年を目標としている現在の港湾計画の改定に当たっては、ご指摘の点も十分参考としてまいりたい、そしてまた和歌山県を代表する港湾にふさわしい計画をつくってまいりたいと考えております。港湾振興については、現在も港湾利用者等関係者と十分話し合いを進めているところでございます。
 次に、内川の浄化についてでございます。
 このたび、和歌山市で排出水の色等規制条例が提案されておるわけでございます。この条例は発生源に対する対策を促進するもので、内川浄化の推進にとって大変有効なものであり、私も大いに評価するとともに期待をしているところでございます。
 県としても、かねてから内川浄化の対策について努力してまいったところでございまして、BOD、COD等、相当よくなっておりますけれども、着色等に問題があり今回こうした措置がとられたわけでございます。
 本年六月に県庁においても、全庁的な組織として内川浄化対策推進協議会を設置いたしまして、ここで和歌山市の取り組みと十分な連携を保ちつつ、今後、種々の浄化対策を積極的に進めてまいりたいと思います。特に話ございました木材の係留の問題並びに仮堰の撤去についても、重要な課題として取り組んでまいる所存でございます。
 内川浄化は国際化を目指す県都和歌山市にとっても不可欠なものでございまして、そうした点からご指摘あった点について十分配慮してまいりたいと思っております。
 痴呆性老人対策でございます。
 お話のように、和歌山県は全国より十年早い形で進んでおる、それゆえに痴呆性対策は県政にとっても重要な課題であるということは同感でございます。
 特に、痴呆性のうち脳血管性痴呆については、ある程度の予防が可能でございますけれども、アルツハイマー型と呼ばれている痴呆症については、現在その原因及び治療方法が確立されていない状況でございまして今後一層の研究が必要でございます。そうした現状ですけれども、ご指摘の県立医科大学と五稜病院の診療機関との連携については、研究成果の相互活用や人的交流等も含めて今後十分検討してまいりたいと思っております。
 以上です。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、和歌山の港湾についてでございます。
 議員ご質問の港湾は、和歌山県内の港湾の中でも取扱貨物量の大きな港湾であり、計画的な整備が特に求められるものと言えます。
 まず和歌山下津港は、現在、昭和六十年に策定された港湾計画に基づき整備を進めておりますが、その整備の現状は本年六月議会でお答えしたとおりの進捗状況にあります。
 和歌山下津港の現状を見た場合、港湾施設の整備を考える際には、大型岸壁、埠頭用地、倉庫、上屋等の施設の拡充や各種のサービス機能の充実等とあわせ、背後の交通体系や都市整備と一体となった視点が求められていると認識しております。現行の港湾計画の改定のため、港湾計画についての基礎的な調査検討を進めているところでありますが、その際の主な課題点としては、コンテナ等多様な物流形態への対応、レクリエーション港湾機能の拡充、背後圏の発展との整合、都市港湾としての展開、港頭地区の再開発等があります。現在、広域的な貨物の物流動向、背後圏における産業立地や産業形態の動向、生活環境の改善、レクリエーション需要の見込み等の基礎的な事項とともに、港湾と地域との結びつきについての分析等検討しているところであります。
 次に日高港湾は、和歌山県中央部地域の物資流通の拠点及び地域の産業振興の基地としての役割を果たす港湾として重要港湾指定され、港湾計画が策定されております。高速道路の南伸などにより大阪湾地域の物流動向も踏まえ整備への要請が高まりつつあると考えられ、早期の事業効果等を図るため段階的整備を予定し、現在、具体的な段階整備計画の内容について検討を進め、運輸省とも協議をしているところであります。
 なお、当面している最大の課題は漁業者との調整であり、関係漁業協同組合により事情の異なることもありますが、御坊市等、地元において精力的に取り組んでおり、地元と協力して早期の漁業補償の妥結に向けて努力しているところであります。事業については県、市が共同で進めることとしており、漁業者との調整状況を踏まえつつ、県、市の間で協議を進めていきたいと考えております。
 また新宮港については、紀南地方における産業基盤、物流拠点として発展し、地域の経済に大きな貢献をしてきておりますが、地域のさらなる発展のために大型岸壁の整備や工業用地造成、レクリエーション施設の整備等が求められています。
 現在、大型岸壁及び工業用地の造成等、新宮二期計画に関して、新宮港全体の長期展望も含め、県、市において調査を進めており、整備計画の内容を検討しているところであります。今後、関係者との調整を図りつつ事業化に向けて取り組んでまいります。
 次に、内川浄化についてでございます。
 内川の環境整備は和歌山市の都市基盤として重要なものであると認識しており、これまで河川内対策として、和歌川、市堀川における約二十五万立方メートルのヘドロのしゅんせつや国及び県事業による浄化用水の導入等を実施してまいりました。これまでにも、議員からお話のあった和歌川ポンプ場の浄水導入時間の増大については、国の理解を得て河川浄化事業によりポンプ場下流の河床しゅんせつを実施中であり、完了次第、導入時間の延長を行う計画でございます。また、国においても有本ポンプ場を建設中であり、県、市においても大門川及び有本川への浄化用水導入路の整備を進めてまいります。
 このたびの和歌山市における色規制の条例化に伴い、内川等に放流する下水道終末処理場の排水は条例に定められた水質の基準を遵守した放流水質となるものと考えられますが、市和歌川等浄化対策協議会が設定した水質目標値と九月市議会に提案された排出水の色等規制条例案の規制基準値について、議員ご意見のとおり、住民が理解しやすいように努める必要があるものと考えております。今後、条例施行に当たり、内容等を踏まえ、河川浄化の実効性を確保するため関係部局と調整を図りながら指導を行ってまいりたいと考えております。
 河川内の木材係留問題については、削減していくため関係部局と連携を図りながら取り組んでまいります。こうした水質浄化対策による効果を踏まえ、仮堰撤去のための具体的な計画を検討してまいります。
 今後、都市内における貴重な河川空間をより有効に活用していくために、流域住民の水質保全に対する意識の向上を図り、官民一体となった総合的な施策により、親水性や生態系の保全に配慮した水辺環境の整備を図るべく積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 内川浄化についてでございます。
 工場排水の着色度等を規制することは、内川浄化を初め和歌山市内の水辺環境を改善する上で大切なことであると考えますが、関係企業にとっては、着色排水を脱色処理する技術的な問題に加え、新たな処理施設の設置、用地の確保、さらには処理施設のランニングコスト等を製品に添加することができるのかなど多くの課題があり、今後、事業活動を続ける上で問題になると聞いておるところでございます。
 県といたしましては、工業技術センターにおいて排水処理方法について調査研究を進めているところですが、今後、和歌山市が提案している条例を企業がクリアしていくために脱色技術等の面で指導してまいりたいと存じます。
 また、内川周辺に立地する関係企業の振興についてでありますが、企業努力の中で排水処理対策を進める上での課題等について、庁内に設置している内川浄化対策推進協議会の場で、議員お話しの趣旨を十分踏まえ、産業振興を図る立場から関係機関の意見を聞きながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 内川浄化についてでございます。
 和歌山市が九月議会へ議案提出している排出水の色等規制条例案については、環境保全の面からもアメニティーの面からも望ましいものと評価しており、全国的にも進んだ内容となっております。この条例については、水質汚濁防止法や県公害防止条例との整合性、実施可能性などについて検討し、市を指導してまいったところでございます。今後、和歌山市の条例の施行に当たって、必要な協力、指導を行ってまいりたいと考えてございます。また、内川等の浄化施策の一つとして、本年四月、和歌山市を生活排水対策重点地域に指定し、市の生活排水対策を支援しているところでございます。
 次に、「環境白書」の降下ばいじんでございます。
 議員ご指摘のとおり、和歌山市松江の北港センターにおいて平成二年八月に、環境改善目標値である十トン・パー・平方キロメートル・パー・月を上回る十・三トンが測定されております。測定点に近い大規模発生源である住友金属工業に対しては、既に粉じん防止対策の実施を指導しているところでございますが、環境改善目標値を満足するよう、今後ともさらに散水などのきめ細かな粉じん防止対策、粉じん防止設備の維持管理の徹底を指導してまいります。
 平成八年以後の産業廃棄物処理対策でございます。
 六月議会でもご答弁申し上げたように、現在、和歌山環境保全公社が管理している和歌山北港埋立地については平成八年八月に完了することになっております。そのため、後継処分場確保のため環境保全公社において種々調査検討を実施し、候補地の絞り込みを行ってきたところでございます。
 産業廃棄物の最終処分場は必要不可欠な施設でありますが、その確保については周辺地域の理解と協力が不可欠でありますので、今後、関係機関の協力を得ながら関係地域との調整を図り、環境保全公社ともども空白期間の生じないよう努力してまいる所存でございます。
 後継処分場確保対策の中での住友金属の廃棄物の位置づけについてでございます。
 産業廃棄物はみずからの責任で適正に処理することが原則になっておりますが、県民の良好な環境を保全する立場から、和歌山環境保全公社では紀北地域の廃棄物を受け入れており、住友金属工業株式会社からの廃棄物が受け入れ量の約四割を占めているところでございます。
 平成八年以後において住友金属は自社の廃棄物をどのように処理するかについて検討中でございますが、今のところ住友金属から検討結果等について協議の申し出はございません。今後、後継処分場確保対策について検討する中で処分場の把握は重要なファクターであり、環境保全公社ともども検討してまいりたいと考えているところでございます。
 最後に、痴呆性老人対策についてでございます。
 まず、痴呆性老人の専門病棟の設置についてでございます。
 人口の急速な高齢化に伴い痴呆性老人の増加は必至であり、その対策は極めて重要であると認識をいたしております。現在、庁内に五稜病院についての検討委員会を設置し、今後のあり方等について鋭意協議を進め、その中で具体案づくりを行っているところでございますが、痴呆性老人専門病棟の設置等についても大きな課題として検討しているところでございます。
 次に、老人性痴呆に対する看護職員の養成についてでございます。
 平成二年度から看護婦養成所の教育カリキュラムが改正されまして、精神保健や老人看護学といった高齢化、疾病構造の変化に対応するための内容が強化され、新卒の看護職員については、これまでより痴呆性老人に対する知識が豊富になるものと考えており、また既に現場で働いている看護職員についても、老人性痴呆に対応した研修等の内容の充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 在宅痴呆性老人の現状認識と在宅情報ネットワークについてお答えをいたします。
 今後、増加が予想される痴呆性老人への対策は高齢者対策の中でも極めて重要であると認識しており、現在、老人性痴呆に関する啓発、介護者セミナーの開催、在宅福祉対策、施設整備など総合的に実施しているところでございます。今後、保健・医療、福祉の両面にわたり連携を図った対策が必要と考えており、このため民生、保健環境両部において痴呆性老人対策について合同の検討協議の場を設け、総合的な対策を進めているところでございます。
 なお、情報のネットワーク化についてでございますが、将来の目標たる姿の一形態であろうかと考えてございます。
 次に、各市町村では平成五年度施行に向けて老人保健福祉計画を策定することとしておりますが、そのため、まず対象者の的確な実態の把握が重要であります。したがって、本年度は各市町村を通じて在宅の痴呆性老人の実態把握調査を行うことといたしております。今後、必要に応じて、在宅の痴呆性老人の相談体制、情報管理のあり方も含めて、各市町村の老人保健福祉計画の中に的確に位置づけられるよう市町村を指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 医科大学事務局長東中秀夫君。
 〔東中秀夫君、登壇〕
○医科大学事務局長(東中秀夫君) お答えいたします。
 老人性痴呆症についての医大の取り組みと医師の養成についてのご質問でございます。
 老人性痴呆症については、高齢者社会が進んでいく中で、医学、医療の立場としても重要な課題であると認識いたしております。この疾病の研究はいまだ研究途上でありますが、現在、県立医科大学においても、神経精神科、脳外科等で鋭意研究を進めているところでございます。さらに、これらの科が中心となって県内の医師等を対象に講演会等を開催し啓発活動を行っております。
 また、痴呆症に対応し得る医師の養成については、県内唯一の医師養成機関としての自覚のもと、今後、痴呆症研究の進展と相まって進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) 再質問がございませんので、これをもって尾崎吉弘君の質問を終了いたします。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後零時十三分散会

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