平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(木下義夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 お許しをいただきましたので、一般質問を続けたいと思います。
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 改選後の初登壇でございます。非常に厳しい選挙戦の中、田辺市の皆さんのご支援のおかげで、馬頭大先輩、野見山議員とともども県政壇上に送っていただきまして、第五選を目指す仮谷知事と和歌山県の発展のために議論をさしていただける幸せを、今しみじみとかみしめているわけでございます。そういう気持ちいっぱいでございますから、どうか仮谷知事初め関係の皆さんも、大いに心あるご答弁を願いたいと思います。
 順番に従って質問を続行させていただきますが、第一点は児童の権利条約についてであります。
 「銀も金も玉も何せむに勝れる寶子に及かめやも」という万葉歌人・山上憶良の歌があります。そのように、万葉の時代から児童は何物にもかえがたい、何物にもまさる宝物として考えられ、現在においてもその考え方は一貫しているのであります。
 一九五九年、世界人権宣言に基づいて、国際連合が子供の人権について特別に、「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負う」と書かれた、一九二四年のジュネーブ宣言の精神を引き継いだ全十条から成る「児童の権利宣言」を採択したのであります。
 この「児童の権利宣言」の前文では、「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負う」と述べておりまして、その第四条「健康に成長し発達する権利」、第七条「教育を受ける権利」、第八条「あらゆる状況において最善に保護及び救済を受ける者に含まれる権利」などの条文を掲げているのであります。
 しかし、ここでは子供を保護の対象として見て、権利を行使する主体として扱われていないのであります。「児童の権利宣言」から三十年たって、ようやく子供を一人前の権利主体として認める条約が国際連合で一九八九年十一月二十日に定められました。皆さんご存じのとおり、特に発展途上国では今も非常に困難な条件のもとで多くの子供たちが悲惨な生活をしており、それらの子供たちの生活改善のためには国際協力が重要であるとして、各国においても批准されるべき条約として定められたものであります。
 五十四条から成るこの条約には、さまざまな点で画期的な条文が含まれているのであります。「児童の権利宣言」には抜けていた「意見の表明」「表現・情報の自由」「思想・良心・宗教の自由」「結社・集会の自由」「プライバシー・名誉・通信の保護」などがあります。自分にとって何が最善の利益かを自分で決め、自分で表現し、みずから追求するために必要な権利が網羅されている。ここで取り上げた権利だけを見ても、それが文字どおり保障された場合、たちまち教育現場においてパニック状態を起こしそうな内容であります。
 そして、「条約」は「宣言」と違って法的な拘束力が強く、したがって、これを批准した国はその条約に合わせて国内法を整備することが義務づけられ、さらに批准国は、本条約に基づいて設置される子供権利委員会に対して、本条約で承認された権利を実現させるためにどんな措置をとったか、二年ごとに報告しなければなりません。
 この条約を日本国が批准すれば、生徒の人権を追求する上で、このようなことを主眼として運動している団体にとっては、非常に有力な武器を持つことになるのであります。
 この条約上考えられる権利は、大きく分けて五つあります。「自分のことは自分で決める権利」「体罰を受けない権利」「学校に行く権利・行かない権利」「心の自由を守る権利」「性と人権に関する権利」があり、この五つの大きな権利の中には、「自分の服装は自分で決める権利」、制服との兼ね合いがあります。「自分の髪型は自分で決める権利」、長髪と丸坊主の関係があります。「オートバイに乗る権利」、三ない運動との関係があります。「校則改正の権利」「集会・団結・結社・サークルと政治活動の権利」「連帯責任を拒否する権利」「身体測定・健康診断を拒否する権利」「学校に行かない権利」「内申書を見てその記載を訂正させる権利」「成績の発表を拒否する権利」「家庭訪問・家庭調査を拒否する権利」「受ける学校を進路指導によって強制されない権利」「『日の丸』『君が代』、元号を拒否する権利」等々、その他、数知れないくらいの権利主張が行われ、今まで積み上げてきた教育環境及びルールの破壊が進み、相互の信頼関係が崩れる心配があります。
 文部省は、新学習指導要領で、来年度から全面的に内容を改める小学校教科で「我が国の国旗と国歌の意義を理解させ尊重する態度を育てる」と、国旗・国歌の義務化に踏み込んだのに基づき、「日の丸」イコール国旗、「君が代」イコール国歌と理解できる記述にするよう厳しく指導しているのでありますが、これも非常に難しくなるような状態であります。
 五月五日の「子供の日」の日本経済新聞の社説に次のような記事があります。
 「この条約はわが国の法律や学校・教育制度に多くの問題を提示しているからだ。子供にも大人同様の意見表明権を認め、表現・結社・集会の自由を保障、プライバシーや通信、名誉を保護するなどの権利行使を認めている。いわば子供の社会権、自由権を認知するものである。 当然、髪形や制服など校則を中心とした管理教育が問われよう。カリキュラムの制定や教科書選択に子供が参加したり、内申書や家庭訪問などが問題になることもありそうだ。『子供の発達段階に応じて』とはあるが、条約でいう『子供』の始まりの年齢の定めはなく十八歳未満をさす。厳密にいえば民法や公職選挙法なども再考の要があるかもしれない。 もともと途上国の子供の福祉を中心に据えたものとはいえ、子供を保護の対象ではなく、権利を行使する主体ととらえる考え方は、先進諸国にも示唆的な内容である。しかし学校という組織の中で、子供の権利行使を制限する形で教育制度を充実、発展させてきたのだから、必ずしも条約とは運用面で相いれない点が出て来る。刑法、戸籍法、入管法などでの抵触を指摘する声もある。(中略) しかし条約の意味するところや国内の法、制度との斉合性などについて国会でも国民の間でもあまりに関心と議論が乏しい。今国会での批准が間に合わなかったことを奇貨として、ぜひ、その検討を深めてほしい。それはきっと国際的な視野で見たわが国の若い世代の現状や未来を明らかにするはずである。 大人がよしとするものを子供に与えるだけでなく、子供自身の意思を尊重し、それを法や制度に加えていこうとする条約の趣旨は、十分にうなずけるものである」として、さらに、ただ、その内容を見ると、子供に迎合するだけの批准ではその後に教育行政にも、社会生活、家庭生活上にも大きな問題が生じてくる、このあたりを十分に検討し、改正すべきところは思い切って改正し、当面留保すべきところがあれば留保することが、子供たちの未来に責任を持つ大人世代の努めであるといったことが述べられている。
 そこで、次の四点についてお尋ねをしたいと思います。
 この児童の権利条約に対する知事及び教育長の所見であります。
 二番目は、この児童の権利条約について、内部でどのように検討して、今まで国に対してどのように働きかけてきたか。
 三番目、この児童の権利条約が国会で批准されようとしているが、日本経済新聞の社説でも指摘しているように、大変大きな重要な問題を含んでいるので、この条約の批准についてどのように考え、それに対してどのような行動を起こすのか。
 第四点目、特に第十二条の「意見表明権」、第十三条の「表現・情報の自由」、第十四条の「思想・良心・宗教の自由」、第十五条の「結社・集会の自由」、第十六条の「プライバシー・名誉・通信の保護」について大きな問題点があると思うが、どのように考えるか、知事及び教育長の答弁を求めます。
 第二番目でありますが、紀南地方における看護婦の不足対策についてであります。
 厚生省は、ナイチンゲールが生まれた五月十二日を「看護の日」とし、以後一週間を「看護週間」に制定した。国が「看護の日」制定に踏み切った背景には、既に深刻化している看護婦不足の問題がある。それに、高齢者を介護する人材を今後どうするかという問題もある。
 平成元年末現在、看護婦、保健婦などの看護職員の総数は、八十万人の必要数に比べて五万人不足をしているのであります。平成二年度から始まった高齢者保健福祉推進十か年戦略では、さらに看護職員が五万人、ホームヘルパーが七万人、寮母や介護職員が十一万人必要であります。看護婦不足は東京、大阪、北海道など病床数の多い地域で深刻だと言われているが、我が和歌山県もご多分に漏れず、紀南地方でも看護婦の不足が一段と深刻になってきている。
 厚生省の保健医療、福祉マンパワー対策本部は、一月に九回を超す例も多い夜勤の回数を八回以下にし、完全週休二日制の実施を目指すなど、待遇改善策を中間報告としてまとめている。これを実現するためにはさらに増員が必要で、厚生省は現在、待遇改善策を織り込んだ需給計画の見直しを行っているが、来年以降、十八歳人口が急激に減り始めるため、早くもその実現を危ぶむ声が聞かれているのであります。
 このような厳しい状況が考えられる現在、紀南地方における看護婦がますます不足してきて、地方の医療活動にも支障を来すおそれがあります。
 先日、木下秀男議員からも質問がありましたように、看護短大の設立、看護養成所の新設も考えていかなければなりませんが、当面の施策として今ある施設の拡充を図るべきだと思います。
 まず第一に、県立南紀高等学校の専攻科の定員を現在の三十名から四十名に増員すべきである。今春、南紀高等学校の衛生看護科の卒業生は、全日制、定時制の合計で七十二名でありまして、そのうち同校の専攻科へ進学できたのはたった三名であります。卒業生のうち十五名は他の学校の看護婦の養成所へ入学したのであります。
 全国の看護婦専攻科のある公立学校十五校のうち、南紀高等学校を含めて三校だけが定員三十名で、あとの十二校は定員四十名であります。本校の衛生看護科から自分の学校の専攻科への進学率を見てみますと、悪いところで五〇%であり、最高のところは岡山県倉敷中央高等学校の九〇%であります。南紀高等学校の場合、七十二分の三でありますから、たった四・一%で、本当にあきれた数字であります。
 そこで、三十名から四十名へ十名の定員増を図ると同時に、この増員した分を地元の高校の推薦により入学させると、看護婦の地元定着が進んで看護婦不足の解消の一助となります。若者が定着いたしまして、地域の活性化にも大いに役立つのであります。
 また、公立高等学校の入学試験日を見ると、南紀高等学校が三月十四日であり、一番早い公立は茨城県の岩瀬高等学校で一月十六日と十七日に試験が行われ、ほとんどの学校が一月から二月に行われております。南紀高等学校の衛生看護科の生徒も、十五名に及ぶ大量の優秀な生徒が他県へ行くことになっているので、入学試験を一月中にして他県に行かないように地元定着を図るべきだと思うが、教育長の見解をお尋ねいたします。
 次に、社会保険紀南看護専門学校の定員を現在の二十名から三十名へ十名の増員を図り、その増員された分について、地元を中心とした推薦制度を取り入れて地元定着を図り、看護婦不足の解消を図るべきだと思うが、民生部長の答弁を求めます。
 第三番目は、精神保健相談員の増員についてであります。
 この問題については、昭和六十二年九月県議会で私が取り上げました。保健所に精神衛生相談員が配置されるようになったのは、昭和四十年六月に精神衛生法並びに保健所法の改正を見てからであります。保健所に対する精神保健業務の通知は、昭和四十一年の二月に公衆衛生局長通知「保健所における精神衛生業務について」により明らかにされてきたのであります。この通知は、保健所における精神衛生実践を、精神衛生相談員、医師、保健婦、嘱託医に対して、精神障害者の早期発見、早期治療、再発防止、アフターケアをその業務として課したものであります。いわば、保健所という場所を地域の医療福祉実践を展開する場として規定したのがこの通知であります。
 本県において、この通知がなされて以後、保健婦に対して精神衛生相談員の認定講習を受けさせ、何人かの保健婦が精神衛生相談員の資格を取っております。まことに残念でありますが、専任の精神保健相談員が配置されましたのは、和歌山市の中央保健所で昭和六十二年になってからであり、現在、健康対策課に配置されているのは、私がこの問題をこの壇上で取り上げた後の平成二年であります。それも岩出保健所との兼任であり、本人は非常な激務に耐えている現状であります。
 精神衛生法が改正されて精神保健法が昭和六十二年に施行されたのでありますが、この法律の施行によって、精神医療、精神保健を取り巻く状況は、入院中心の治療体制から地域医療を中心とした体制への転換が求められているのであります。
 保健所は地域精神保健の中核機関として位置づけられ、精神保健相談、訪問指導及び社会復帰相談指導等の事業を実施しているが、現実は、地域精神保健活動の展開は専ら保健婦にゆだねられているのが現状であります。保健婦は公衆衛生学専攻であるので、習得した学問の基礎が違うし、また本来の一般保健相談業務を行わなければならないので、十分な精神保健活動ができないのであります。
 私の地域で、本年になって三件の火災が発生しておりまして、地元の神社へ行っておはらいをしてきたぐらいであります。まことに残念でありますが、そのうちの二件は精神障害者の方が関係しており、地域の人々も常々何か事が起こるのではないかと心配していたが、それが現実の問題となって、その精神障害者の家族の方々も大変なショックを受けたのであります。
 もし田辺保健所で専任の精神保健相談員がおって十分な精神保健相談、訪問指導を行えていれば、これらの不幸な事故も発生することなく、精神障害者の方も、その家族の方も、地域社会の人々も、明るい生活を送れているのではないかと思われます。
 また、県下で精神障害者の社会復帰のための社会資源が不足しており、入院中で症状のよくなった人でも、地域の受け皿がないため長期入院を余儀なくされている状況であります。この社会資源の中で、とりわけ精神保健相談員の役割は重要となってきているのであります。精神保健相談員の業務は、精神障害者の症状が急に重くなった場合の対応や入院中の家族関係の維持、利用できる福祉制度の紹介、社会復帰相談、社会復帰援助など、精神障害者の日常生活の相談援助を行うことであり、精神障害者の地域定着を図る上からも、精神保健相談員を少なくとも各保健所へ一名は配置しなければならないと存ずるのであります。
 それは、「健康・福祉和歌山」の実現を県政の三大柱の一つして五選を目指している仮谷知事の大きな責務であると思い、そのことを県民の皆さんは心から待ち望んでいるのであります。このことに関する仮谷知事の所見をお尋ねいたします。
 次に保健婦の精神保健相談員の資格取得の問題ですが、ご存じのように、現在の精神保健に関する業務は保健婦の皆さんが中心になって行っているが、実際に取得している保健婦が少なく、県下で十名だと聞いております。そして、現実の業務は最低二人がペアになって行わなければならないし、先ほども申し上げましたように、保健婦は公衆衛生学専攻であり、精神保健相談員は福祉心理学専攻であって、学問的に基礎が違うので、専門的に勉強して保健婦の皆さんにも精神保健相談員の資格を取ってもらい、精神保健法の精神を生かした業務を行い、精神障害者の本当の意味での安らかな地域定着を促進すべきであると思います。
 そこで、保健環境部長の見解をお尋ねしたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 児童の権利条約に対する知事の所見、また、この条約批准についてどのように考えておるか、どのような行動をするかということでございます。
 本条約は、児童の意見表明権、思想の自由、また児童に対する差別禁止等、児童の権利に関して包括的な規定がなされており、世界の多くの国において生命権すら危ぶまれている児童が存在している現在、昨年この条約が発効されたということは大きな意義があると思うわけでございます。すべての児童がひとしく健全に育成され、また幸せが保障されるということを、私も強く願っております。
 しかし、お話ございましたように、問題点も多く、その締結に向けての国内法の整備ということが極めて重要でございます。現在、政府部内においてその整合性等について検討作業が進められており、私もその作業について注目しているところでございます。
 申すまでもなく、社会生活を維持する上で大切なことは、自分を大切にするとともに、また相手を大切にしなければならない、自分の権利、また他人の権利を尊重することが必要でございます。条約の趣旨も、児童の権利保護に十分意を用い、かつ責任感、連帯感の醸成を保障しながら児童の健全育成に努めなければならないということだと理解しているところでございます。
 議員のご指摘については十分配意つつ、関係機関と連携を密にしながら、児童福祉のために今後とも努力してまいりたいと思っております。
 次に、精神保健相談員の増員でございますけれども、昨年、県の保健所に一名の精神保健相談員を配置したところでございます。最近、精神保健相談件数や訪問指導件数が年々増加している状況や、医療や福祉、行政の連携を図る上からも、専門知識、技術を持った専任の職員の必要性ということは私も認めているところでございます。
 今後、地域における精神保健活動を積極的に推進し、指導体制の強化を図るために、保健所についても内容を十分検討し、また精神保健相談員の設置についていかに留意をするか。定数の問題等もございますから、そうした問題も加味しながら検討を進めてまいりたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 紀南地方における看護婦不足対策についてお答えをいたします。
 社会保険紀南専門学校は、社会保険病院の看護体制を確保することを目的として設置されているものであり、社会保険庁の委託事業として行われており、定員は一学年二十名で、全寮制となっております。
 定員の増員については、宿舎、教室の拡充、また委託費の増額など、解決しなければならない問題があります。しかしながら、看護婦養成は県政にとっても緊急の課題でもございます。例えば、運用上、地元の方の通学を認めるなどの対応について、運営者である公立紀南病院組合及び経営委託者である社会保険庁に要望してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 保健所保健婦に対する精神保健相談員の資格取得についてでございますが、現在、県の保健所に資格を持った者を十名配置しており、精神保健家庭訪問指導やデイケアの業務を担当しているところでございます。
 国などが主催している資格認定講習会には例年受講をさせておりますが、今後とも資格取得者の増員について計画的に進め、精神障害者の社会復帰の促進を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育関係の二点についてお答えいたします。
 まず、子供の権利条約と教育の関連についてでございます。
 この条約は、子供を単なる保護の対象としてではなく、権利を行使する主体であると位置づけ、子供の意見を尊重することや健康を享受すること、さらに障害児の自立と社会参加など、子供の最善の利益を求めるとともに、こうした理念を実現するに当たって国際協力が重要であることを明文化したものであると認識してございます。
 県教育委員会としては、本条約の趣旨や内容について種々研究を重ねるとともに、文部省を初めとする関係省庁の動向について関心を払い、緊密に連絡をとってまいったところであります。
 なお、本条約が批准された場合でございますが、そのまま機械的に当てはめれば教育にかかわって問題点も生じてくるおそれがございますので、指導上、慎重に対応する必要があると考えております。
 議員ご指摘の各条項については、それぞれの権利や自由には他の者の権利を尊重すること、公共の安全と秩序を守ること、集団の規律を維持することなどの観点から、種々の制限を伴うものであると理解してございます。
 今後とも、子供の教育に当たっては、教育基本法の理念にのっとり、また我が国の学校教育が長年にわたって築いてきた貴重な成果を踏まえながら、それぞれの子供の発達段階を考慮し、一人一人の子供が心豊かに健全に成長することを援助する立場から、適切な指導、助言を行うことが親や教師など大人の義務であり、かつ責任であると考えてございます。
 次に、県立南紀高等学校の衛生看護専攻科についてでございますが、昭和四十六年に設置して以来、これまで実習体制の整備や病院などとの連携を図りながら、看護業務の高度化、多様化など、幅広いニーズにこたえ、実績を上げてきたところであります。
 卒業者の進路についてでございますが、本年三月の修了者二十八名のうち二名が進学し、二十六名が看護婦として就職しております。その地域別内訳は、紀南地方十四名、紀北地方六名、県外六名となってございます。
 今後、紀南地方の看護婦の確保を図るという観点から、議員ご指摘の点を踏まえ、他府県の状況をも参考にしながら、入学者選抜の実施時期や方法などについて、さまざまな角度から検討を加えてまいりたいと考えております。
 また、募集定員については、実習病院等の事情も勘案しながら、今後、関係機関とも協議し、研究してまいりたいと考えているところであります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番木下義夫君。
○木下義夫君 知事初め関係部長並びに教育長から意のある答弁をいただいたわけでございますが、特に児童の権利条約については、条約そのものは非常にすばらしい面がある。しかし、活用というか利用の仕方によっては、非常にまた弊害が生ずるおそれがある。
 ここに「生徒人権手帳」という本がございますが、このとおりやられたら教育なんかたまったものやない、こういうふうなことを私もこの本を読んで心配する者の一人であります。きょう、わざわざ遠いところを傍聴に来ていただいている方も、常々心配しているわけです。
 今、教育長から、条約の批准があっても機械的にはやらない、今までの教育慣行、そういう積み重ねを中心にしてやっていきたいというふうな決意の披露がありましたが、どうか、今まで以上の配慮をもって取り組んでいただくことを心から要望したいと思います。
 それから、看護婦の問題であります。
 きょうは南紀高等学校と紀南病院の専門学校を取り上げましたが、田辺には田辺医師会の准看護学院、准看護婦の養成所がございます。この運営についても、いろんな点でご配慮を願いたい。
 こういうふうなことを要望して、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
○副議長(平越孝哉君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○副議長(平越孝哉君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○副議長(平越孝哉君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○副議長(平越孝哉君) 次に、お諮りいたします。明六日は議事の都合により、また七月八日及び九日は各常任委員会審査のため、それぞれ休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、七月六日、七月八日及び九日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(平越孝哉君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第 一 委 員 会 室
 厚生委員会 第 二 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
 建設委員会 第 五 委 員 会 室
 文教委員会 第 六 委 員 会 室
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○副議長(平越孝哉君) 次会は、七月十日再開いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十四分散会

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