平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成三年七月三日(水曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第八十四号から議案第百九号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十四号から議案第百九号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村 翼
 10 番 小 川 武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田 亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 16 番 西 本 長 浩
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本 一
 25 番 吉 井 和 視
 26  番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田 豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗 正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本 進
 41 番 野見山  海
 42 番 森 正 樹
 43 番 浜 本 収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
 47 番 山 崎 幹 雄
欠 席 議 員(一人)
 19 番 和 田 正 一
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 若 林 弘 澄
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  上 野 寛
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  西 本 貫 一
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
  寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 倉 本 辰 美
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 大 畑 巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第八十四号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 42番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 おはようございます。
 輝かしい伝統と長い歴史を誇ります和歌山県議会議政壇上に立たしていただきますことをまことに光栄に存じますとともに、発言の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員を初め、多くの皆様方に感謝申し上げます。
 私、もとより浅学非才の身でございまして、中国東晋の田園詩人・陶淵明の詩に「盛年重ねて来らず、一日再び晨なり難し、時に及んでまさに勉励すべし、歳月は人を待たず」とございますように、学ぶべきは先輩議員の皆様に習い、一刻一刻を大事にし、和歌山県勢の発展と県民福祉の向上のために誠心誠意努力する覚悟でございます。どうか皆様、この若輩者にご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、関西国際空港に係る諸問題についてお尋ねをいたします。
 昭和四十三年、運輸省が泉南沖、神戸沖、阪和県境、淡路島など八カ所を対象として関西における新国際空港の候補地の調査を開始して以来、実に二十六年にして平成六年に開港の運びとなるのであります。思えば短いようでもあり、また実に長い年月でもございました。
 この間、昭和五十七年八月には、和歌山県が関西国際空港計画の具体化に同意する旨運輸省に回答するという歴史的転回点を迎えたこと、皆様ご承知のとおりでございます。思いますに、この間には神戸市が神戸沖案に反対するという僥倖──私はあえて「僥倖」と申し上げましたが、これは歴史的な必然であったのかもしれません。よくぞ神戸市は反対してくれたと申し上げておきたいと思います。この昭和五十七年の本県の関西国際空港計画の同意への転換こそ、和歌山復権の原点であり、出発であると思います。
 この間の経緯については、この当時、県議会の関西国際空港特別委員長を務めておりました渡辺勲前県議から裏話やエピソードを加えて何度も聞かされておりまして、よく存じているつもりでございます。何事もそうでございますが、歴史を変えるような決断、方針変更には大変な精神力、忍耐力が必要となるのでありまして、そのような思いを込めまして、同意への転換を決断された当局及び県議会の良識に対しまして深甚の敬意を表するものでございます。
 今、世界の主要な国際空港は二十四時間運用の国際ハブ空港として機能しております。ボーダーレス時代とも言われます今日、世界じゅうの国々が網の目のように航空路線によって結ばれ、人、物、情報がますます盛んに行き来する時代となってきております。また、今以上にさらに人や情報や文化の交流を頻繁に行うことが、無用の摩擦や誤解をなくし、世界平和を現実のものとする近道であると思いますし、ほとんどすべての地球人はそう願っていると信じるものでございます。
 ところで、我が国の現状に目をやりますと、三つの国際空港は夜間の離着陸が禁止され、大阪空港の場合、一日十時間、年間三千六百五十時間、日数に換算しますと百五十二日、空の玄関、門戸を閉ざすわけでございまして、いわば年間のうち四二%、鎖国状態に置かれているのと同じようなものでございます。全くもって異常な事態と言わざるを得ません。地球は丸いのでありまして、我が国が夜でも世界じゅうの多くの国は昼であり活動しているのでございます。一日も早くこのような異常事態の解消を図らなければなりません。すなわち、関西国際空港の開港が待たれるゆえんでございます。
 さて、本題に入ります。我が和歌山県にとりまして、関西国際空港は今世紀最後にして最大のビッグプロジェクトでございます。これが本県勢の活性化のためにどうあるべきかは、今さら議論の余地はございません。すなわち、全体計画の一日も早い実現と国内便の大幅確保に尽きるのでございます。
 本県を挙げて関西国際空港全体計画促進協議会が発足したのは、つい先ごろのことでございました。また、関西においては、関西国際空港全体構想早期実現既成会という組織も発足を見ました。昨年八月二十四日、航空審議会の中間報告が発表されました。そして今年秋には、いよいよ第六次空港整備五箇年計画が決定を見るわけでございます。
 そこで、仮谷知事にお尋ねをいたします。さきの中間報告の内容と、これを受けての運輸省の大蔵省に対する五箇年計画の策定要求、それに今年二月の閣議了解から今秋の正式決定までの間に、全体計画の実現と国内便の大幅確保について何らかの進展が見込まれるのでありましょうか。現時点でつかんでおられる感触等について、お聞かせをいただきたいと思います。
 ところで、振り返って見ますと、一九七四年(昭和四十九年)、運輸省が関西国際空港の位置並びに規模を答申したとき、「当面、国際空港として最小の単位となる長さ四千メートル滑走路二本と長さ三千二百メートル以上の補助滑走路一本を加えたものとすることが望ましい」と明記されたのでございます。また、一九八〇年(昭和五十五年)の第二次答申では、「四千メートル滑走路二本と三千四百メートルの補助滑走路を同時に整備すること」を打ち出したのであります。
 しかしながら、その後の社会経済情勢の変化などにより、いつの間にか全体計画は全体構想にトーンダウンし、一九八五年二月に開かれた第二回関西国際空港関係閣僚会議では、「全体構想を踏まえて段階的に整備を図ること」とされてしまったのであります。
 ところで、昨日、仮谷知事あなたは、今秋に予定されている知事選への五選出馬をこの壇上において表明なさいました。そして思い起こしますと、同じ壇上におきまして、私の先輩であります渡辺前県議の質問への回答の中で仮谷知事は、「全体計画の実現のために毅然たる態度で臨む」と言われ、「国内便の大幅確保に政治生命をかけて取り組む」と言明されたことを思い起こします。
 知事選も、六空整正式決定も今秋でございます。これも何かの因縁と思っていただきまして、今秋に予定されている第六次空港整備五箇年計画の正式決定まで、一便でも多く国内便を確保するためにどのような取り組みをなさっていくおつもりであるのか、できるだけ具体的にお答えを賜りたいと思います。
 次に、関西国際空港関連地域整備問題についてお尋ねをいたします。
 和歌山県から二十キロメートルの至近距離に、我が国初の二十四時間運用の国際スーパーハブ空港が平成六年に開港するわけでありますが、我が国の現行の国際空港は、前段でも申し上げましたとおり、成田、羽田、大阪の三つともすべて夜間の離着陸が禁止されており、欠陥空港と言わざるを得ないわけでございます。このような現状の中で、関西国際空港が開港すれば関西のみならず我が国の空の玄関として機能することについて、大きな期待が寄せられているのも当然であると思います。
 しかしながら、大きな期待を持って待たれている関西国際空港が開港しても、我が和歌山県が手をこまねいていたのではほとんど何のメリットもないというのは、多くの県民共通の認識と申せましょう。積極的な受け皿づくりを進めていってこそ初めて関西国際空港が本県にとって意味のあるものとなり、大きなインパクトをもたらしてくれるものと信じるものでございます。
 なお、関連地域整備と申しましても、非常に多岐にわたりますので、今回はそのうち幾つかの問題について取り上げてみたいと思います。
 まず初めに、道路についてでございます。
 関西国際空港へのアクセスとなる近畿自動車道紀勢線松原─岸和田間と空港連絡道の工事の進捗状況と供用開始の見通しについて、また京奈和自動車道橋本道路、紀北道路の現状と今後の見通しについて報告をいただきたい。主要幹線道路中、国道二十四号和歌山バイパスについて、平成四年度暫定二車線供用開始の当初の方針に変更はないか、お答えをいただきたい。
 また、近畿自動車道、京奈和自動車道が交わる地点に、将来、当然のこととしてジャンクションの設置が予定されると思いますが、ここに(仮称)和歌山北インターチェンジを設置すべきであると私は考えております。また、和歌山市南部の出入口として(仮称)和歌山南インターチェンジもしくはランプウエーを新設する考えはないか、お答えをいただきたい。なお、これらの工事を行う場合、日本道路公団による立てかえ制度の活用を図ることが得策と考えますが、いかがでありましょうか。
 以上、いずれも関係部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、鉄道についてお尋ねをいたします。
 南海電鉄和歌山市駅から和歌山港駅を経て水軒口駅まで、軌道敷が伸びていることは皆さんよくご存じだと思いますが、この線をさらに延長して、和歌浦を経由し、JR紀勢線紀三井寺駅に接続することによりまして和歌山市内環状線が完成するのであります。この新線の実現により、紀三井寺競馬場跡地に移転される県立医科大学のアクセスとなり、和歌浦一帯の観光地のアクセスともなるばかりではなく、慢性的な市内の交通渋滞の解消にもつながると思います。過去にも橋本議員初め提案があったように伺っておりますけれども、県立医科大学の移転という情勢の変化の中で、この問題について取り組む意思がおありかどうか、第三セクター等、可能な方式を探るなど検討の余地ありと思いますが、いかがでありましょうか、お答えをお聞かせいただきたいと思います。
 第三に、関西国際空港は我が国初の二十四時間空港として開港するわけでありますが、これにつれて本県においてもその対応が求められることになろうと思います。そこで、二十四時間都市としての受け皿づくりが課題となってくるのでありますが、本県としてはどのような対応をなさるおつもりであるのか、具体的なお答えを賜りたいと思います。
 大型のシティホテルと連動したシティ・エア・ターミナル(CAT)の機能が必要になってくるのではないか、この点について担当部長のご所見を承りたい。
 なお、最近、県都和歌山市において大手ホテルグループが進出を計画するという動きがありましたけれども、巷間伝えられるところによりますと、地元の反対等により立ち消えになったという情報を聞いております。このことについて、商工労働部長は事実関係をつかんでおられますでしょうか。もし掌握しておられるのであればお聞かせをいただきたいと思います。
 あわせて、近年落ち込みの激しい和歌山市を初めとする県下の各商店街の振興策について、どのように今後取り組んでいくおつもりでありましょうか、具体的なお答えをいただければ幸いでございます。
 第四に、都市景観の向上についてであります。
 県都和歌山市から二十キロメートルのまさに目と鼻の先に国際空港が開港するわけでありますが、和歌山市を筆頭に、本県においてもいや応なく国際化への対応が迫られること、火を見るよりも明らかであります。現に和歌山市は、「国際都市わかやま」と称し、ビューティフル和歌山と銘打った運動をこの平成三年度より始めていると聞いております。
 和歌山市の現状を眺めてみますと、公共下水道網普及率は全国平均を大きく下回り、普及率わずかに六・七%。これは、人口四十万規模の類似都市中最低、全国四十七都道府県庁所在都市中でも最低でございます。また、市内を流れる内川は真っ黒な水がよどみ、汚濁は目に余るものがございます。本市の表玄関であり、また本県の表玄関とも言うべきJR和歌山駅前の美園商店街のアーケードは、ご承知のとおりトタンぶきでございまして、ところどころ腐食をしております。雨の日には傘を差して歩かなければならない状態でありまして、全国どこのアーケードを歩いても、傘を差して歩かなければいけないところは一つもないと思います。
 道路に目をやりますと、中央分離帯の植栽の中には空き缶や空き瓶が散乱をしております。公園に行ってトイレを使おうと思いますと、汚れるに任せ、また中には便器が壊れたものもございまして、使用に耐えるような状態ではない姿をよく見かけます。観光地には雑草が生い茂っております。
 あげつらえば切りがございませんが、思いつくままに数点申し上げますと以上のていたらくであります。このままでは、観光都市和歌山とは言いがたい、観光和歌山の名が泣くと思うものでございます。
 ところで、司馬遼太郎の「街道をゆく」という本──これは「週刊朝日」に連載されているものを単行本にしたものでございます。現在まで三十五巻発刊されておりまして、その第二十六巻に興味深い話が出ておりますので、少々長くなりますが、ここで紹介申し上げたいと思います。
 時代がさがり、鎌倉の世になった。このとき、嵯峨好きの天皇が出た。後嵯峨天皇(一二二〇~七二)である。
 〔中略〕
 後嵯峨天皇は上皇になってから、この地に広大な別荘を営んだ。山の名にちなんで、 「亀山殿」 とよばれた。あるいは嵯峨殿ともよばれた。私どもは、亀山殿の跡で湯豆腐を食べていることになる。
 亀山殿は庭園を中心としたいわば仙居で、その広大さや壮麗さについては、古図や文章史料が多い。文章史料のなかには『徒然草』や『増鏡』といった文学作品もある。亀山殿は、法輪寺橋の北畔に展開していた。橋は、いまの渡月橋よりやや上流にあったらしい。
 後嵯峨天皇の子が、亀山天皇(一二四九~一三〇五)である。このひとが、嵐峡の空をわたる月をながめて、あたかも橋が天上の月を渡しているようだ、として橋に「渡月橋」の名をあたえた。
 漱石も、この橋名をほめている。
 天竜寺の門前を左へ折れゝば釈迦堂で右へ曲がれば渡月橋 である。京は所の名さへ美しい。(『虞美人草』)
 対岸の嵐山にはもともと桜がなかった。
「あの山に、花があれば」
 と、後嵯峨上皇が吉野山から桜をとりよせて植えさせた。すでに鎌倉の世とはいえ、景観を芸術化するという王朝の伝統はなお濃厚に生きていたのである。これら有名無名のひとびとの美的な営みが、明治以前の日本に数すくない「公園」を成立させた。
 時代が、さらにさがる。
 明治初年における大久保利通(一八三〇~七八)のことである。日本の近代国家の基礎と性格が、明治元年からかれの死の同十一年までにできあがったといっていいが、その主導的な役割を大久保利通が果たした。
 〔中略〕
 大久保は欧米を見て、日本が絶望的なほどに遅れた国であることを知っていた。冒険よりも近代化に大方針をすえるべきだと考えていた。
 が、革命の元勲として大久保と西郷は双璧とされている。
 もし両人が正面から衝突すれば、せっかくの太政官国家そのものをうしないかねないことも大久保は知っていた。かれは反征韓論のために、在京の薩摩系開明派に対し十分の根まわしをしたあと、自分自身は東京を去った。
 この政略家は、賜暇をえて京・大阪を漫遊したのである。
 この漫遊は、いわば世間の底を知る上でも役に立った。たとえば堺付近の白沙青松の海岸松原が“士族授産”という他愛もない企画のもとで伐採されつつあるのをやめさせた。
 大久保は自分たちがやった明治維新が善であったことに確信をもっていたが、しかし革命が一面、玉石ともに砕くものであることも、この時期気づきはじめたようである。
 かれはこの漫遊で、徳川幕府が二百七十年かけて営みつづけてきた国土保全が、幕府瓦解のために保全システムまで崩壊し、このため林野が荒れはじめていることを知った。
 漫遊は、一カ月余りである。嵐山にもきた。
 かれは幕末、京で奔走していたころ、ここで舟遊びをしたことがある。
 そのときさすがに天下の名勝だと感心したのだが、維新後わずか六年のあいだにすっかり面変わりしてしまっていた。
 大久保はおどろき、土地の故老にきくと、山水というものは自然にそこにあるだけで美しいというものではないのです、人間の手が入りつづけて美観を保っているのです、旧幕のころは嵐山の保全のためにどういう組織があり、とりきめがあり、これだけの金がおりていました、などといったので、大久保は政治の何たるかを教えられる思いだったという。
 東京に帰り、念のため、旧幕臣の勝海舟にきいた。
「そこさ」
 勝は、旧幕府のために溜飲のさがる思いで、旧制度の仕組みやそのよさについて語ったといわれる。
 以上でございます。
 この話には、私は二つの教訓が含まれていると思います。一つは、嵐山あるいは嵯峨野という我が国を代表する名勝の景観を守るために、実に長い年月にわたって莫大な予算と労力が注ぎ込まれているということ。言いかえれば、気の遠くなるような時間と金と人手がかけられてこそ、初めて景観の維持は可能だということ。二つ目には、美しい景観、豊かな景観が豊饒な文化を生むということ。私たちは、この事実を歴史に学ばなければなりません。
 ところで、関係部長にお尋ねをいたします。
 平成六年の関西国際空港開港をめどとして緊急の課題でございます公共下水道網の飛躍的な普及についてどう取り組んでいかれるのか、また、内川の汚濁防止と真っ黒な水の脱色対策がここ数年の焦眉の急を要する問題であると思いますが、これが克服のためにどのような取り組みをなさるおつもりであるのか、お聞かせをいただきたい。
 第五に、農林水産部にお尋ねをいたします。
 本県農業は、オレンジ自由化の影響を初め、さまざまな要因によりって不振をきわめております。今さら言うに及びませんが、このようなマイナス材料をはね返し、活性化へつなげていくことが望まれているわけであります。
 そこで、臨空農業への転換が叫ばれ、県としても和歌山県長期総合計画「新世紀の国21」の中でいろいろとうたっておられます。特に、和歌山市及び紀の川沿川において花卉及び野菜の需要の増大が見込まれる中で、都市近郊農業、臨空農業への大胆な転換が望まれていますが、この点について具体的な取り組みのタイムスケジュールをお示しいただきたい。
 第三番目に、燦黒潮リゾート構想についてお尋ねをいたします。
 我が国は近年、世界各国から経済問題についてさまざまな指弾を受けてまいりました。欧米諸国は特に厳しく、いわゆる貿易摩擦を引き起こしているのであります。私は、これら欧米諸国の言い分にすべて賛成するつもりもございませんし、指摘されていることのうち幾つかについては反論を持ち合わせておりますが、ここではそのことは主題にそれるので触れません。ただ、指摘を受けている中で、日本人は働き過ぎという点については事実であり、認めざるを得ないと思います。
 ある試算によりますと、西暦二〇〇〇年までの間に我が国国民の総余暇時間が約二五%ふえると言われております。また、国民の年間労働時間は二千百時間から千九百時間へと、約二百時間も短縮されるという数値が出ております。
 それから、例えば、これは内閣総理大臣広報室の調査でございますが、複数回答でありますけれども、「三日以上の連続休暇があれば何がしたいか」という資料には、ほぼ半分近い四五・五%の人が「宿泊旅行」と答えております。それから、「宿泊旅行の目的」という日本観光協会の調査資料を見ますと、昭和三十年代から四十代全般にかけては「慰安旅行」とか「見物行楽」というのが多数を占めておりましたけれども、昭和五十五年から五十六年を境にいたしまして、「リゾート」──いわゆる保健休養とかスポーツレクリエーションを総合して「リゾート」と言っておるわけですけれども──が逆転をいたしまして一番多くなっております。以後、もちろんふえ続けておりまして、「見物行楽」とか「慰安旅行」が長期低落傾向の中で、数字が伸び続けているわけであります。
 また、一方では国民の中に物質至上主義への反省から心を充実する時代へという流れの中で、ゆとりのある生活を実現したいという要求もだんだん強くなってきております。余暇時間の増大と国民のライフスタイルの変化によりまして、余暇の過ごし方、旅行の形態が変化しているわけでございます。すなわち、短期周遊型から長期滞在型への流れがそうであります。
 我が国におけるリゾート先進県は沖縄であります。私は、一昨年までの数年間、四度にわたり沖縄のリゾート等を視察いたしました。対象地は恩納村初め那覇等々でございました。島で言いますと本島以外では西表島、竹富島、石垣島等々を見てまいりました。
 ところで、これら沖縄のリゾートについての研究論文がありまして、その著者の株式会社地域システム総合計画研究所代表取締役・六角裕治さんは、リゾート開発が抱える問題点として四つの項目を挙げておられます。一、雇用の確保に欠ける、二、地場産品の消費に貢献しない、三、地元への直接的効果が少ない、四、環境破壊に対する不安であります。
 第一点、雇用の問題でございますが、私、この視察の中で恩納村にありますサンマリーナというところへ行ってまいりました。ここは比較的新しいリゾートホテルでございますが、従業員二百十名中、実に二百八名が地元採用でありまして、本土から行っている人が支配人を含めてわずか二名ということでございます。ほかのリゾートホテルも大体同じような比率だったと思います。もちろん、このような地元採用に関して沖縄県当局の強い行政指導があったことは当然でございます。
 第二点、地元産品の消費問題でございますが、押しなべて沖縄のリゾートホテルは、約八割を本土から空輸しています。これは、ニガウリを代表として沖縄の農産品、魚もそうですが、非常に特徴的なものがありまして、大方の日本人の舌には合わないというところがあります。そういう意味で全体の二割しか供給されていない。その点、和歌山は海の幸、山の幸、大変豊富でございますし、日本人の口に合うものばかりでありますから心配はないと思います。
 第三の地元への直接的効果でございますが、万座ビーチホテルとかサンマリーナ等々、いずれもホテルの周辺に商店街やいろんなガラス工場とかいったものが立地しておりまして、さまざまな形で地元への経済的な波及効果をもたらしているということが言えると思います。
 四番目の環境への影響でございますが、六角さんの意見ですけれども、「地元との調整、説明が不十分であることへの不満が、リゾート開発は環境破壊、汚染を引き起こすといった固定観念を生み出している」と言っておられます。地元への十分な説明、調整、アプローチ等があればこうした問題は未然にかなり防止できるんではないかと思われます。
 また一方、フランスの地中海沿岸に有名なリゾートとしてラングドック・ルシヨンというものがございます。地中海沿岸のピレネー山脈とローヌ川の間、約二百キロメートルに及ぶ海岸線でございますが、多種多様のリゾートが立地しておりまして、フランスはもとよりヨーロッパ各地からの観光客で大変なにぎわいを見せるそうでございます。早くからフランス政府が計画を立案して地価の凍結を図るなど、国家的なプロジェクトとして取り組んできておりますので、本県の燦黒潮リゾート構想との単純な比較はできませんけれども、このラングドック・ルシヨンには、一家四人が一週間、四万円で泊まれるところがあると聞いております。そうした意味で、いわゆる庶民向けの安価で安心して利用できるリゾートということが言えると思います。
 前段で申し上げましたように、短期周遊型から長期滞在型へと若者世代、シルバー世代を中心に余暇の過ごし方が変化している中で、大多数の庶民が安心して安価で滞在できるリゾートの立地を望んでおります。そうしたものの立地がぜひとも必要となってくることは火を見るよりも明らかでありますし、こうした流れへの対応が望まれているのであります。
 また、全国各地でリゾートが次々と名のりを上げ、一部では乱立を心配する声も上がるほど数多くのリゾートが展開されておりますけれども、燦黒潮リゾート構想の各リゾートにつきまして、それぞれどのような特色、特徴を持たせるのか、この点が成否の分かれ道となってくると思います。この点について、企画部長のお答えを賜りたいと思います。
 最後に、紀淡海峡トンネル構想についてお伺いをいたします。
 私、この紀淡海峡トンネルについては、ぜひとも架橋方式で、すなわち紀淡海峡大橋として実現する方が望ましいと考え、昭和六十年九月に和歌山市議会本会議の一般質問の中で初めてそういう提案をさしていただきました。当時、今は亡くなられました宇治田市長が「その答弁と知事へ言うのだけは勘弁してくれ」と、あの独特の和歌山弁で答弁されたことを思い起こしますが、以来七年になりますけれども、この間、何度も紀淡海峡大橋の実現を主張してまいりました。
 本県議会におきましては浦先生が数年来大橋方式を言われておったと聞いておりますが、つい先日、六月二十九日付の一般紙には一斉に、本格調査の開始へ建設省が意欲を表明しているという記事が報道されております。この中では、橋、トンネルの両方式が取り上げられておりまして、二十一世紀へのビッグプロジェクトとして大きく夢の膨らむ、久々の明るい話題だったと思います。
 蛇足でございますが、私が架橋方式を提案する理由は、橋そのものが観光資源となること、国立公園の景観を橋の上から楽しめるということ、途中の友ケ島を活用できるということ、両岸の取りつけ部分がトンネルに比べて短くて済むということ等々であると思います。
 以上申し上げてきた諸条件を考慮して、県当局として今後架橋方式を視野に入れて取り組みをなさっていくおつもりはないか、お示しをいただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 関西空港の全体構想の見通しについての質問でございます。
 昨年の八月に航空審議会が開かれまして、その中間取りまとめが行われたのでございますけれども、その中で、事業費の抑制の問題、また地元負担のあり方、開発利益の還元等、さまざまな条件がつけられながらも、段階的な整備を図ることとして事業着手の方針が示されたのでございます。
 先ほど来、森議員がおっしゃっておりましたように、この見通しについては非常に厳しいものがございます。国の態度の問題、またすべての政党が中部新国際空港の設置について強力な運動を展開しているのが実情でございます。そうした状況を見詰めるときに、非常に厳しい段階にあると私も思っておるところでございます。
 また、秋の閣議決定の問題がございます。ここにおいて明確な決定をしてもらわなければならない、それに対する知事の態度ということでございます。
 県議会の皆さん方のご支援をいただき、そしてまた和歌山県だけではなしに、やはり近畿の大阪、兵庫など、関係府県の政治家すべてを動員して、また財界を動員して当たらなければならないんではないかと思っておるわけでございまして、そうした面においての格段のご支援をお願い申し上げたいと思います。
 それから、国際、国内の基幹空港として問題の、国内便の確保でございますけれども、国内、国際空港としての機能が十分発揮できるように、県民の利便性の問題、また空港の機能性の問題の立場から、東京便並びに国内の主要便等についてなお一層努力してまいりたいと思います。これについてはまだ決定はしておりませんが、今後とも努力してまいる所存でございます。
 他の問題については関係部長から答弁させていただきます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 関西国際空港関連地域整備問題についてでございます。
 まず近畿自動車道の松原─岸和田間については、美原北インターから岸和田和泉インターの間約十九・五キロメートルが未開通でございまして、工事等の進捗率は用地買収が九四%、工事が七七%であります。このうち、美原北インターから堺南インター間が本年末の供用予定であり、堺南インターから岸和田和泉インター間が平成四年度末供用予定と聞いております。
 また、空港連絡道路の進捗率については、平成三年四月末現在、用地買収が九九・五%、工事発注率は全体の約九〇%であり、供用予定は空港開港までの早い時期と聞いております。
 京奈和自動車道については、元年度に橋本市─高野口町間の橋本道路が事業化され、平成三年度には用地買収に着手することとなっております。残る高野口町─和歌山市間については、平成二年十一月に基本計画が決定され、整備計画に必要な概略調査が行われているところでございます。
 さらに、国道二十四号和歌山バイパスについては、当初計画どおり平成四年度末に暫定二車線で供用を図ることを目途に、現在、鋭意用地買収及び本工事が進められております。
 近畿自動車道紀勢線のインター増設については、現行制度上では開発インター方式による設置が考えられますが、これによると、技術的な基準に適合することはもとより、設置費用は開発者が負担しなければならないことになっており、さらに採算性の確保など厳しい条件があり、新たなインター設置は極めて困難な状況であります。しかしながら、将来、近畿自動車道紀勢線に接続が予定されている京奈和自動車道の計画策定に当たっては、地域にとって利便性の高いインター配置を検討するよう建設省に働きかけてまいります。
 なお、道路公団による立てかえ制度については、インターアクセス道路に適用されており、今後、インターの事業化にあわせ、検討してまいりたいと思います。
 次に、都市景観の向上についてでございますが、内川は、和歌山市の市街地中心部を流れる河川であり、議員お話しのとおり、都市景観上、また都市防災上、大変重要なものであります。
 内川の浄化に対する取り組みについては、これまでに河川内の対策として和歌川、市堀川においてヘドロのしゅんせつ、直轄事業による紀の川本川からの浄化用水導入、県事業による和歌浦湾からの浄化用水導入等を行っております。また、流域内対策としては、和歌山市が事業主体となって公共下水道事業を実施しており、和歌川終末処理場は昭和五十九年十一月から、中央終末処理場は昭和六十二年十一月からそれぞれ供用を開始し、目下、処理区域の拡大に努めているところでございます。
 平成三年度を初年度とする第七次下水道整備五箇年計画では、普及率を約三五%と目標設定して整備促進に取り組んでいるところであり、今後とも県都和歌山市の目的達成に支援してまいりたいと考えております。
 近年、和歌川の水質は昭和四十年代に比べて格段に改善されてまいりましたが、現在、水の色は依然黒褐色を呈しており、水質はほぼ横ばいの状態であります。今後、色の問題を含む水質の改善を図るためには、和歌山市が実施する下水道の整備はもとより、工場排水の規制強化、不法投棄の防止等、行政と市民、企業が一体となって取り組むことが不可欠であると考えます。県においても、これらの問題について全庁的に取り組むべく、内川浄化対策推進協議会において具体的な検討を進めており、今後なお一層、和歌山市と十分な連携を図りつつ、内川の水質改善のため努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港関連地域整備問題に関連するご質問にお答えを申し上げます。
 第一点は、南海水軒口駅からJR紀三井寺駅までの新線の建設についてでございます。
 和歌山港支線の和歌浦南伸とJR紀勢本線との接続による市内環状線については、和歌浦地域の振興や市内の公共交通機関の充実といった観点から、大きな効果が期待できるものと考えます。しかしながら、新線の建設には巨額の投資が必要となるなど、実施にはなかなか難しいものがあろうと存じますので、今後、長期的な展望に立って検討すべき課題であると考えてございます。
 第二点は、二十四時間都市としての対応のあり方、CAT(シティ・エア・ターミナル)の設置についてでございます。
 関西国際空港に対応した二十四時間都市としての受け皿づくりでございますが、本県においては、関西国際空港の立地に伴う波及効果を積極的に活用し、県勢の活性化を図るために関西国際空港関連地域整備計画を関係部局と連携をとりながら推進しているところでございます。
 そうした中、インテリジェントシティの指定を受け、情報基盤整備の方策を検討しているところでございます。また、二十四時間機能を備えた商業、業務機能の集積についても、今後、関係部局との連携のもと、和歌山市や経済界等に働きかけながら、臨空都市の形成に向け努力してまいりたいと考えます。
 また、議員ご指摘のCATについては、事業主体、事業採算性等、困難な課題もございますが、利用客にとって利便性の高い施設でもあり、今後、関係機関等へ働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想における各地域の特色についてでございます。
 燦黒潮リゾート構想は、民間活力の導入を主体としたリゾート法に基づくものであり、その特色については、恵まれた自然の保全と活用を基調に、黒潮と遊ぶリゾート空間の創出をテーマとする海洋性リゾートゾーンの形成を図ることとしてございます。このゾーンを構成する七つの重点整備地区については、観光集積の高い田辺・白浜地区を中心に、北部地区には都市型施設、南部地区には自然活用型施設を配置してございます。
 これら各地区ごとに特色を持たせるため、関西国際空港、温泉、ミカンや梅の産地、あるいは熊野三山などの地理的、文化的特性や計画内容などを勘案しながら、田辺・白浜地区では「学ぶ、働く、鍛える、憩う総合的なリゾート空間」、北部の加太・紀泉地区では「国際交流型リゾート空間」、和歌浦湾地区では「海洋都市型リゾート空間」、西有田・白崎地区では「味覚体験型リゾート空間」、南部の枯木灘地区では「農林漁業体験型リゾート空間」、潮岬地区では「太陽とたわむれるリゾート空間」、勝浦・太地地区では「人間回復型リゾート空間」の形成を図ることをコンセプトとしてございます。
 また海岸域では、航海の安全性を確保するとともに、特徴ある地域を楽しみながら航海できるよう、和歌浦湾、由良港、田辺湾、袋港、新宮港など、約五十キロメートルごとにマリーナを整備し、クルージングネットワークの形成を図り、さらには紀伊半島、東海南海といった広域的なクルージングネットワークの一角を担ってまいりたいと考えてございます。
 さらに、新鮮な農林水産物の提供、地域の歴史、文化資源の活用、地域産業の参画、快適なサービスの提供など、ソフト面においても特色あるリゾート地の形成を図り、家族、高齢者、若者など、多様なニーズにこたえる魅力的なリゾート空間を目指してまいる所存でございます。
 最後に、紀淡海峡の架橋構想についてのご質問でございます。
 県としては、これまで国土軸上に本県を位置づけるべく、紀淡海峡トンネル構想を提唱し、昭和五十八年から日本鉄道建設公団において地質調査等が進められてきてございます。また、四全総(第四次全国総合開発計画)においては大阪湾環状交通体系が盛り込まれ、昨年は関係二十五団体による第二国土軸構想推進協議会が設立されるなど、広域的な連携のもとにその推進に努めているところでございます。
 近年、このような状況の中で、架橋についても、専門家による技術的可能性や景観等の面から架橋が望ましい等の議論が活発にされているところでございます。また先日、大阪湾圏域整備協議会において、大阪湾環状交通体系の形成がぜひとも必要であるとの本県からの強い要望にこたえ、建設省が紀淡海峡連絡道路の調査に本格的に着手するとの発表がなされたところでございます。
 県としては、国や関係機関のご指導のもと、広域的連携の中で紀淡海峡ルートについてさらに積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 森議員にお答えをいたします。
 まず、ホテルグループの進出計画については、以前そうした動きがあったことは承知しておりますけれども、県には接触はございません。
 次に商店街の振興についてでございますが、近年、商店街を取り巻く環境は、車社会の進行、大型店の出店等、社会経済の変化とともに、関西国際空港の開港を控え、新たな対応を求められております。
 県としても、商店街の振興を図るために、アーケードの設置、カラー舗装、駐車場整備等のハード面、また情報化社会に対応したシステム開発、集客力を高めるための実験的な事業、さらには長期の低利融資等、ソフト両面にわたった支援施策を講じているところであります。
 今後とも、商店街が安全性、利便性、快適性、文化性、情報性等を有する地域住民の憩いの場としての魅力ある町づくりを、地元商店街、地元市町村の皆さん方とともに推進してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 関西国際空港開港に向けての近郊農業への転換についてのご質問でございますが、関西国際空港開港に伴う農産物の需要については、議員お話しのように、周辺地域の人口増等、新たな需要の増加に加え、空輸機能を生かした販路の拡大などが見込まれるところであり、この機会を生かした臨空農業への取り組みは、本県農業の活性化にとって極めて重要であると考えております。
 このため、既に関西国際空港地域整備計画に位置づけ、和歌山市を含めた紀の川流域に高品質、周年生産を目指した野菜、花卉、果樹による施設園芸タウンの育成を計画しているところでございまして、これまで計画面積百二十ヘクタールに対して約六〇%の進捗となってございます。
 その内容については、野菜ではトマトの養液栽培やイチゴ、ショウガなどが四十二ヘクタール、また花卉では菊、バラ、カーネーションなどが十一ヘクタール、さらに果樹では桃、柿、ブドウなどが十九ヘクタールと、それぞれ施設化が進みつつある状況でございます。
 さらに、開港時の達成を目指し、長期総合計画の第二次中期実施計画に臨空農業の推進を位置づけ、施設栽培の推進を中心とした高収益農業への転換を図るとともに、試験研究機関における高度技術の開発や円滑な供給体制の整備等も含め、活力ある産地づくりを進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森 正樹君。
○森 正樹君 簡単に、数点について再質問を申し上げます。
 まず、関西国際空港の全体計画と国内便の大幅確保でございますが、これから選挙戦、大変お忙しいと思いますが、ひとつこの国内便の大幅確保につきましても全力を挙げて取り組んでいただきたいことをまず申し上げておきます。
 それから、(仮称)和歌山北インターの問題でございますが、これは私、和歌山の将来のことを考えますと、ぜひとも必要であると。特に京奈和自動車道と近畿自動車道紀勢線が交わるところでございますし、ジャンクションは絶対できるわけでございますから、その際にインターを併設するように強く働きかけをしていただくことをお願いしておきたいと思います。
 それから、内川の問題。
 外から和歌山にお見えになった方が和歌山に入ってまず目につくのが、あの内川でございます。都市というのは大変イメージが大事でありまして、「観光和歌山」、「国際都市」と言いながら、和歌山に来られた方があの内川をごらんになってどういう印象をお持ちになるか。これが非常に重大でございます。どう考えても、あの内川を見た方にいい印象を持ってもらえるはずはないのでありまして、この数年の和歌山にとって、ということは要するに和歌山県にとって、イメージという意味で、何としてもこの内川の脱色対策、浄化対策を進めなければならない。ある意味では、私、最重要緊急課題だと思います。そうした意味で、あの内川の脱色対策、汚濁防止の諸対策に取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、市内環状線の問題でございます。
 実は、その昔、関西の五大私鉄が一斉に狭軌から標準軌──今JRは狭軌でございますけれども、新幹線のレールの幅が標準軌になるわけです。俗に広軌と申しておりますが、正式には標準軌──に変えたときに、南海電鉄だけがよう踏み切らんかったことがございます。まあ、あの企業の体質を物語っていると私は個人的には思っているんですけれども、現時点では、その狭軌のまま置いておいたことが、JRと同じでございますから、非常に有利というか、都合がいいわけでありまして、水軒口と紀三井寺駅を結ぶことにより市内環状鉄道ができるわけであります。大変難しいことは私もよく存じております。しかし、将来の問題として、ぜひとも実現へ向けて取り組みを進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それから、ホテルの問題。
 一つ例をご紹介したいと思います。大阪の御堂筋にホテル日航大阪というのがございますが、昔、大阪市内の人の流れというのは、御堂筋を挟んで東側にしか行かなかった。当時、「美人座」というキャバレーが西側にありまして、年配の方はご承知かと思いますが、そこへ行く人しか御堂筋を渡らないと大阪では言われておりました。
 ところが、あのホテル日航大阪ができたことによりまして、そういう定説を覆して御堂筋の西側へ人が渡るようになりました。もちろん、その前段には──当時、昔はあそこは木場でございまして、木材の倉庫とか置き場がたくさんあったんですけれども、大阪港の方へ全部移転した跡があいておりました。それに目をつけたある若者が、アメリカなどから古着を買ってきまして、それを売るガレージセールみたいなことをやり出したんです。要するに、心斎橋には店を出せませんから。若者ですから、少ない資本で店を持とうとすると、仕方なしにそういうところへ持っていったわけです。
 ところが、それが発祥になりまして、今では「アメリカ村」、「ヨーロッパ村」ということで、あの御堂筋の西側は、砂糖にたかるアリのように若者が集まるわけです。そういう下敷きがありましたけれども、いずれにしても、ホテル日航大阪があそこにできることによりまして、御堂筋を越えて人の流れが変わったと言われております。
 我が和歌山市を振り返りますと、かつて日本青年会議所(JC)が全国大会をやられました。あのとき、一万人の参加者を予定されておられましたけれども、和歌山市の宿泊能力は七千二百と言われておりました。それには、カプセルホテルも、木賃宿、あるいは商人宿といったものも全部入っての数であります。したがって、実際には半分以上が泊まっていただけなかったという経緯があるわけですけれども、これからは二十四時間都市ということも考え合わせまして、大型都市型ホテル、大きなベッド数を持ったホテルがぜひとも必要であります。それがまた人の流れを変え、また人を呼ぶ起爆剤になりますし、先ほど申し上げました内川なんかの問題とも関連してきますけれども、その都市を代表する顔として、イメージとして非常に大事な問題でありますから、何としても──CATの機能とあわせ持ったものがあれば一番いいと思いますけれども──努力をしていただきたい。お願いしておきます。要望といたします。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 ただいまの森議員の質問と重なるところがあるかと思いますが、関心のあらわれということで当局の皆さん方にお聞きいただきたいと思います。
 まず、関西国際空港全体構想の推進についてであります。
 今議会の提案理由と県政の最近の動きについてご説明がありましたが、お説のとおり、ことし四月二十八日には空港島とその対岸・泉佐野市が空港連絡橋で結ばれて陸続きとなり、空港島内でターミナルビルが着工され、本格的な建設工事が進められております。この勢いで第一期工事のおくれを取り戻し、全体構想の推進に弾みをつけたいところでございますが、少々気になる情報を聞き入れましたので、お伺いいたします。
 今月二十一日、大蔵省に新着任の事務次官が関西財界への新任のあいさつに来阪され、記者会見の席上で、関西国際空港全体構想の実現について「一期工事の開港に全力を挙げる段階だ。将来の長期的な輸送需要の行方、関西国際空港会社の採算についてまだまだ勉強することが多い。来年度予算で本格調査費を計上するには運輸省を含めて慎重な態度で進めることになるのではないか」と、大変トーンの下がった発言をされております。さらに、伊丹空港存続を強力に推進しております十一市協は、現在の伊丹空港について都市型空港整備に取り組む方針を立て、今年から予算獲得運動を進めることを決議したとも漏れ聞くのであります。
 関西国際空港建設促進の先頭に立ってこられました岸大阪府知事が引退され、関西国際空港会社設立当初から取り組んでこられた竹内社長、松山副社長の更迭と、首脳部がさま変わりをいたしました。この関西国際空港建設決定時から今日まで、関係三府県知事の一人として取り組んでこられ、経過等すべてを知り尽くし、今では長老的な立場にある仮谷知事のこれからの政治力を問われるときが来たのではないかと思います。
 「県勢浮揚」を合い言葉に、知事を先頭に我々県議会も伊丹空港廃止を前提として本空港建設促進に取り組んでまいりましたが、残念ながら伊丹空港存続が決定され、国内便数も伊丹空港を主に新空港は接続便程度と言われ、運輸省と悶着もありました。かつて知事は、この議場で「政治生命をかける」と力強く決意を披瀝されましたが、今また全体構想推進に本格的に取り組み、実現に向かって行動を起こさねばならないやさきに、出ばなをくじかれたような情報でございます。
 我々県民の関西国際空港開港にかける期待と相反する方向へ向かいつつあるような気がしてならないのでありますが、来年度予算編成に向けていかが取り組まれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
 関連してでありますが、加太開発とアクセスについて二、三、お伺いいたします。
 先日、久しぶりに加太の土取り場の現場と周辺の道路の状況を見てまいりました。土取りの現場は大変なさま変わりで、驚き、目をみはるたものであります。公社職員の説明によりますと、昭和六十三年五月の工事開始以来、約一万六千人余の見学者があったとのことであります。コスモパーク構想を中心とした加太開発に対する県民の高い関心のあらわれだと思います。すべて、新空港時代に向けての期待でもありましょう。細部については委員会でお伺いするといたしまして、次の点についてお伺いします。
 土砂採取工事の工期が一九八九年四月から一九九一年十二月、ことしの末となっておりますが、期限内に完了するのか否か。
 次に、開発推進機構というものを組織し、ことしの夏までに開発プランと利用計画をまとめるとしておりますが、予定どおりでき上がるのか否か。
 土砂搬出後にできる跡地、いわゆるコスモパーク構想の中心となる約百四十ヘクタール余の土地全部をこの事業計画内に組み入れてできるものかどうか。私有地等があって全体計画に支障を来さないかどうか。
 過日の新聞報道によりますと、この土砂採取工事で開発公社から地元自治会に支払った地域整備費について、自治省が「全国的に珍しいケース」として調査を始めたとあります。調査内容は、算定基準があいまいで使途制限がなく迷惑料の意味合いが強いということだそうでありますが、これが事実とすれば、今後進めていくもろもろの開発事業、わけてもリゾート開発等の推進に大きく影響するのではないかと危惧するものであります。この点についてお伺いいたします。
 現在、加太土砂採取場から大川地区の土砂積み出し場まで二本のトンネルを通ってベルトコンベヤーで搬出しておりますが、工事完了後、このトンネルの大工事を行い、四車線の道路をつけることを提言するものであります。初めからトンネルを掘るのではなくて、開通しているものを大きくするものでありますから、費用も割安であり、用地買収も必要でなく、一石二鳥と考えますが、企画部長のご見解をお伺いいたします。
 次に、加太コスモパークを中心としたアクセスの問題であります。
 粉河加太線、西脇山口線、岬加太港線等の整備は遅々として進んでいないように見受けられたのでありますが、この線の整備の工程と紀の川河口にかけられた有料橋の右岸の法線と工程についてお伺いいたします。また、コスモパーク構想も具体化してまいったようでございますが、この地から大川を経て岬町、関西国際空港に至るルートについてもお伺いいたします。
 次に、看護婦不足解消についてお伺いいたします。
 看護婦不足は今や大きな社会問題となっており、昨年六月議会に看護婦確保のための請願を受け、我々県議会全会一致で採択したところでありますが、関係機関のさまざまな取り組みにもかかわらず、看護婦不足の現状は日を追ってますます深刻になってまいっております。
 和歌山県の看護職員需給計画によりますと、一九八八年(昭和六十三年)度の必要数七千七百人に対して就業者数は約六千六百余人で、充足率八五・七%と全国ワースト三位となっております。需給計画最終年度の一九九四年(平成六年)度の就業見込み者数でも、四百人不足となっております。
 厚生省発表の適正数値も四百人不足となっていますが、その後、国において二十一世紀に向けて高齢化社会の到来を踏まえた高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定され、さらに看護職員の需要が増すものと思われます。この現状を打破しようにも、今の和歌山県の状態では到底不可能であります。正看護婦養成数の基本定数が三百十五人と少ないからであります。
 ちなみに、人口規模の類似したお隣の奈良県の正看護婦養成数は六百十人、滋賀県は四百七十五人と、和歌山県は大変なおくれをとっています。全国的に見ましても、看護婦不足解消作戦として、看護大学を設立する機運が本格化してきてございます。設立を検討しているのは全国十三都道府県で十四校、内訳は公立九校、学校法人五校と進行中との状況であります。この設立検討すべてが実施されれば、看護大学数は倍増となるわけでありますが、和歌山県には何ら影響がないと思います。
 看護婦の絶対数が不足のため、夜勤日数が多くなり、健康不安と退職という二重三重の超過労働の実情を知り、早急な対応を施さなければなりません。地域医療体制を確立することが健康福祉和歌山の急務だとも思うのであります。
 昨年から、看護婦さんが仕事の合間に街頭に立ち、看護と医療の実態を訴えておりました。一方、県医師会におきましても、各医療圏ごとの地域保健医療計画の推進に当たって、看護職員の確保問題について種々協議されていると聞き及んでいるところでございますが、こうした中で、ことしは紀中からさらに紀南地方に看護婦養成所の設立要求の運動が幅広く展開されつつございます。
 県当局はことし三月に医科大学移転整備の基本構想を発表されましたが、その中に看護短期大学開設計画もありました。前述いたしましたとおり、看護婦養成は可及的速やかに対処すべきものと思考するものであります。当局の積極的なご答弁をお願いいたします。
 次に、高齢化社会への対応──名づけて「シルバー・ユートピア構想」としてございますが──についてでございます。
 厚生省が発表した一九九〇年の人口動態統計と将来推計人口発表によりますと、合計特殊出生率(女性が生涯に生む赤ちゃんの平均数)は一・五三人と、戦後最低の落ち込みと報じております。このまま推移いたしますと、総人口は二〇一〇年の一億二千九百万人をピークとして、以降は退潮に転じ、二十一世紀後半には九千万人台に転落すると推計してございます。七年後には子供より老人の方が多くなり、二十年後にはお産の数よりもお葬式の数が多くなるという、日本社会の構成が大変動の中にあることを示しているのであります。
 昨年実施した国勢調査の結果を見ましても、県下各市町村のほとんどと言える減少を見てございます。高齢化と過疎が急速に進んでいる実情であります。ここで高齢化社会だ、過疎だといって手をこまねいているわけにはまいりません。今、高齢化社会にいる人々は、戦中戦後の我が国の困難期に日本復興の礎となった方々であります。老後にあるこの人々に対し、福祉の面でも報いることが努めであると思うのであります。
 以上、かたいことを申し上げましたが、私はここで少し観点を変えて、高齢化対策と過疎対策、就労対策、無医地区解消、林材業対策等の一助にもなればと、提言を申し上げます。メディカルセンターを中心とした超大老人福祉施設の建設であります。名づけて「シルバー・ユートピア」としておりますが、健康を担当する病院、特別養護老人ホーム、一般老人ホーム、夫婦用のコテージ、福祉教養娯楽センター、軽作業工場、農場、加工工場、ボランティアハウス、生活必需品の商店等々、一般社会と変わらないシルバーの町の建設であります。その周辺に看護婦さんや施設で働く人々の住居を建設し、その住居はすべて公営住宅を木造で建築し、建築材は森林組合が責任を持って調達する。この事業の発想は、医療産業としてとらえ、高齢化社会を認識し、奉仕の精神がなければ成り立つものではございませんけれども、中国地方で、小規模ではありますが既に実施されている町がございます。担当部長の賢明なる答弁をお願いいたします。
 次に、女性の社会参加と就労についてであります。
 私は、今春の選挙に十三項目の公約を掲げてまいりました。その中に、「あらゆる分野に女性の英知と能力を」とうたってございます。その公約実現に向かってこの問題を取り上げました。
 昨今、女性を取り巻く社会経済環境の変化に伴い、女性の社会進出は目覚ましいものがあります。しかし、女性が男性とともにあらゆる分野の政策や方針決定の場に男女平等に参画していける体制づくりは、いまひとつという現状であります。国においては、審議会、委員会の全委員の中で女性委員の占める割合は平成二年十一月現在で八・二%であり、今後五年間に一五%を目標に努力していると伺っております。
 本県におきましても、女性委員の登用について積極的に取り組まれてございますが、まだまだの感があります。ことしから国同様の目標値を定め、女性の考えや意見の政策方針決定への参画を望むものでありますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 さて、男女雇用機会均等法が昭和六十一年四月一日に施行されてから五年が経過しましたが、この間、男女平等に向けての制度、法律の改善が図られ、女性がその意欲と能力を発揮して働くことができる条件整備も徐々に進められてまいりました。今や女性の雇用者数は大幅に増加し、雇用者全体に占める女性の割合は三七・九%となってございますが、一方、女性が働き続ける場合の困難や障害も依然として多くあり、最近の調査によりますと、その原因が育児と答えた人が六一・四%、老人や病人の世話が四五・三%と、どちらも家庭内に多くの課題があると考えられます。社会情勢の変化により、今後、女性の社会参加わけても就労力にかける期待はより大きなものがあるため、働く女性の立場に立った施策を講じることにより、より一層の女性の活躍を願うものであります。
 さきに国会で可決され来年四月一日から施行される「育児休業等に関する法律」では、男女就労者が、子供が一歳に達するまで、男女どちらでも申し出た方が休業できることが盛り込まれている法と聞き、これは女性問題を推進する上で明るいニュースと受けとめたものであります。
 しかし、一歳になったからといって子育て卒業というわけにはまいりません。特に、就学年齢に達した後、高学年になるまでの間の帰宅後の行動が親にとっては心配であります。女性が持てる能力を発揮して積極的に社会参加し、あわせて安心して働き続けるために育児休業制度の実施に向けて企業等にどのように指導していくのか、もう一点は、小学校低学年児童の放課後対策についてどのような考えをお持ちか、県当局のご見解をお伺いいたします。
 最後に、住友金属工業西防波堤沖埋め立てについてであります。
 この件については昨日二人の質問者があり、三番せんじになりますけれども、私はこの件に大変注目をいたしておりまして、この議場で二回当局をただしました関係上、なるべく重複を避けて質問いたします。
 昭和四十七年、住友金属和歌山製鉄所が西防波堤沖埋立計画を発表し、これを受けて和歌山県は、各関係機関と慎重に検討を重ね、昭和五十五年六月、公有水面埋立免許をされたことはご承知のとおりであります。埋立計画の目的は、九百万トン生産体制の確立と、環境問題を中心とした公害施設の沖出しを図り、公害防止協定のそれぞれの数値のすべてをクリアすることでありました。
 県当局としては、環境、公害問題はもとより、埋立地に最先端の新製鉄工場移設計画を図り、鹿島製鉄所にまさるとも劣らない新鋭設備工場で、鉄冷えの中にあって合理化が進む和歌山製鉄所の活性化を図り、住友金属工業関連企業に働く労働者の不安を取り除き、日進月歩する技術革新に対処し、世界に誇る工場として再生することを望んだものと思います。
 当時の鉄鋼事情を考えれば、和歌山製鉄所の場合、粗鋼生産コストは鹿島製鉄所に比してトン当たり約一万円強のコスト高となり、加えて鉄冷えで鉄鋼需要は少なく、合理化の中で配置転換や出向、人員整理等で大変な時期でもあり、知事におかれましても、この窮状を打開するためにも、中央官庁に強く働きかけ、和歌山県経済の立て直しのために西防波堤沖埋立免許に同意されたものと思うものであります。
 昭和五十五年八月に護岸工事に着工し、五十八年十一月には第一工区が完成をしております。経済情勢の見きわめが非常に難しいことは承知するものでありますが、昭和五十九年ごろの住金側において、今日の鉄鋼事情を推察できなかったのでありましょうか。工事着手から今日までの鉄鋼業界の全国の生産量に比して、住友金属の年間粗鋼生産量の推移の資料を見れば明らかに三百万トンの横ばい状態であり、この時点で公害防止基準もクリアできる生産量に減産されていると思うのであります。
 ここで、住金の生い立ちについてごく簡単に触れてみますと、遠く戦前の昭和十一年ごろから建設計画が始まり、昭和十四年、紀の川右岸の湊御膳松、松江、西庄を中心に用地を求め、昭和十五年末に和歌山製鉄所の新設に着工されたと言われます。設立当時の記録によりますと、用地買収対象になった地主や農家の戸数は五百八十四戸、土地田畑の買収面積は九十三万坪にも及び、「戦時体制」という名のもとに、サーベル姿の警官や憲兵まであらわれ、被買収者に対して有形無形の威圧と干渉が加えられたと言われております。白砂青松の浜と豊かな田地を失った人々、召集や徴用で働き手を取られ、心のよりどころの農地を強制買収された被買収者たちは、放心の状態であったとも記されてございます。
 こんな誕生の歴史を持つ住友金属が、戦争を経て二十有余年の年月を経た昭和四十年代後半に、近代製鉄所として整備拡張すべく、さらに公害防止、環境整備等の目的から海面埋立計画を立て、前段申し述べた経過をたどってきたと思うのであります。
 昭和四十七年八月に出された埋立計画説明書、昭和五十三年八月に出された公有水面埋立免許願書のいずれにも、「公害防止の徹底と環境改善対策に必要な用地を確保するため」と明記されてございます。工事は三工区に分かれ、五十八年からその工事を遂行中でありますが、既に一工区が完了、公害防止や環境改善の一部が移転され、その実現に向かって進行中とのことであります。ところが、残りの二工区、三工区の埋立計画の完成も見ないことし五月、西防波堤沖埋立地の利用計画見直し案が示されました。第二工区を中心に、LNG火力発電所の建設ということであります。
 そこでお伺いいたしますが、公有水面埋立法十三条ノ二または二十九条によれば、用途の変更等をする場合は和歌山県知事、和歌山下津港港湾管理者の長の許可が必要となっています。今般の事件について住友金属工業株式会社からいつ話があったのか、まずお伺いいたします。
 この埋立事業に並行して、昭和五十七年度から、住友金属和歌山工場周辺の住宅地域への公害防止を目的に、河西緩衝緑地事業として、公害防止事業団の手で湊緑地、松江緑地、西松江緑地の三カ所の委託事業が百億円余の事業費をかけて行われてございます。事業費は国、県、企業者それぞれ三分の一の負担とも聞くのでありますが、その点についてお伺いいたします。これもすべて住友金属の公害防止、環境整備に関連するものと思うのでありますが、仮に住金の言う利用計画の変更が成った場合いかがなるのか、あわせてお伺い申し上げます。
 新聞報道によりますと、和歌山市長には平成二年七月に埋立地の用途変更の申し入れがあったとされておりますが、免許者であり管理者である県に対し、相談もしくは意見聴取があってしかるべきだと思うのであります。国と県の補助事業が含まれているこの緩衝緑地事業についてお伺いするものであります。
 本埋立計画は、昭和六十一年七月に工事期間の伸長許可願が出され、同年八月に許可されましたが、そのときの伸長願の理由は、埋め立てに要する廃棄物の大幅減と鉄鋼不況を挙げております。この時点で工場沖出し移転計画を断念せざるを得ない状態にありながらも、なお埋め立てを続行した住金の目的はどこにあったのでありましょうか。「県内の産業廃棄物の受け入れ」を表面の理由に、自社工場から出る廃棄物の投棄場所として確保しておくという以外の何物でもないと思うのであります。
 周辺の住民は、不況による延期はやむを得ないが、おくれても当初の計画どおり工場移転が実現されることを条件に伸長に同意したものであります。ところが、地元民の同意と県の許可を受けながら、一年後に円高不況による資金不足を理由に公害防止の沖合移転の中止を明らかにしております。公有水面埋立許可を受け、種々の規制の中で、公害防止、環境整備を目的とした工場移転を円高不況を理由に取りやめるのは、国内の大手企業では初めてのケースと言われております。住友金属は、和歌山県と周辺住民に二度の約束違反をしたと思います。
 当時の土木部長は、「公共性、説得力がないと公有水面埋立法により目的変更は認められず、国に没収ということもあり得る」とコメントされましたが、今もそのとおりであるか、お伺いいたします。
 また企画部長は、「現在の経済状況を考えれば、移転は無理だというのはわかる。住友金属のハイテク分野や住友グループの工場誘致など、経済活性化に役立つ方向で再開発をお願いしている」とコメントされてございますが、既にこのとき、住金側から県に対して埋立地の利用計画の話があったと受けとめるものであります。そのとおりとするならば、県が住金側に申し入れておることと住金が検討しておるLNG火力発電所とは異なるものであって、この点と、県がお願いしたその後の経過をお伺いいたします。
 和歌山県と住友金属工業和歌山製鉄所は、半世紀にわたる深い関係にあり、両者共存共栄を図りながらともに歩んできたと思います。申すまでもなく、当議会も、埋立計画以来、今日まで県当局と連携しながら協力、支援をしてまいりました。このたびの住友金属工業の行おうとしている計画変更について、免許者であり管理者である県知事を差しおいてとった行為は、まことに不誠実で残念に思います。いかに社会情勢や経済情勢が変わろうとも、住友金属工業だけの事由で一方的な中止、変更、不履行は許されるべきものではありません。企業者としての何の倫理観念もないと言わざるを得ないのであります。
 住友金属工業経営陣の猛省を促して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下秀男議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の全体構想についてでございます。
 お話ございましたように、大蔵の事務次官が関西へやってきての慎重論、また関空の首脳部の交代といったものを考えると非常に厳しい実情でございまして、それらの見通しについてどう思うかということでございます。
 かねてから、早期実現のために、また要望決議並びに意見書の提出等、県議会の皆さん方のご支援をいただいて進めてきているところでございます。そうしたおかげで、昨年の八月の航空審議会の中間取りまとめが公表されまして、条件つきながら、事業着手の方針が示されたところでございます。さらにまた、平成三年度の予算編成においても、これまでの「全体構想検討基礎調査」から、全体構想を推進する上で一歩踏み込んだ「全体構想に関する調査」となったのでございます。
 先ほど森議員にもお答えしましたように、厳しい環境でございますけれども、秋の閣議決定において全体構想が明確に位置づけられるように、県議会の皆さん、県選出の国会議員、近畿の知事会、国会議員等の協力を得ながら、これを強力に推進していかなければならないと存じておる次第でございます。
 それから、女性の社会参加と就労の問題でございます。
 県行政の推進に重要な役割を果たしている審議会とか委員会に女性の参加を得て、意見を求めて県政を推進せよということでございまして、私も同感でございます。そうした意味において、従来から審議会や委員会への女性の登用について努力しておるわけでございます。
 平成三年度現在で登用率八・〇三%となってございまして、今後、積極的に進めてまいりたいと思っております。
 他の問題については関係部長から答弁いたします。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港関連の加太開発についてお答えを申し上げます。
 第一点の土砂採取事業については、本年六月末現在の総搬出土量は五千四百八十四万立方メートルでございます。なお、進捗率は八四%でございまして、本年十二月の埋め立て期限内に完了する予定でございます。
 第二点は、土地利用計画についてでございます。
 コスモパーク加太計画については、民間の開発ノーハウを活用するため、民間企業も参画したコスモパーク加太開発推進機構において、現在、土地利用計画等の基本計画を早期に策定すべく、鋭意作業中でございます。
 第三点は、私有地等についてでございます。
 コスモパーク加太計画は、土砂採取跡地を中心に一部私有地も含まれた約二百七十ヘクタールを開発整備しようとするものであり、予定地域内の方々にもご協力をいただきながら推進してまいりたいと考えてございます。
 第四点は、土地開発公社が土砂採取事業に伴い地元自治会に支払いをしたいわゆる地元対策費でございますが、当時、関西国際空港島の埋め立て時期が迫る中、地元同意を得、早期に着工し円滑に事業を進めるための必要な措置として支払ったものでございます。
 第五点は、土砂採取用トンネルの再利用についてでございます。
 議員ご提言のあった土砂採取用トンネルの再利用については、現在まで関係機関ともども種々検討を重ねてまいりましたが、今後ともコスモパーク加太開発推進機構においてさらに研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、住友金属工業西防波堤沖埋立地の再開発についてお答えを申し上げます。
 本県の産業構造は、鉄鋼、石油、化学等、基礎素材型産業に特化していることから、昭和六十一年十二月策定の第四次和歌山県長期総合計画に、産業構造の高度化・多角化を図っていくことが重要な課題であると位置づけをし、企業誘致に努力するとともに、広く産業界に対してその旨を機会あるごとに呼びかけ、お願いをしてきたところでございます。
 なお、議員ご指摘の昭和六十二年九月時点においては、住友金属からの埋立地の利用計画の変更についての申し出の事実はございませんでしたので、ご理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 加太開発に係るアクセスの整備でございます。
 コスモパーク加太へのアクセス道路のうち、街路事業では西脇山口線と紀の川駅西庄線を整備しております。西脇山口線のうち、県道貴志琴の浦線との交差点より西側約六・四キロメートルについては、昭和四十七年度より県、市において整備を実施しており、うち約三・三キロメートルが平成二年度までに完成しております。残りの区間についても早期に完成できるよう事業を推進してまいります。
 また、紀の川駅西庄線については、河合橋を含む約七百メーターの区間において事業を行っており、今後とも一層の促進を図ってまいります。
 県道事業については、粉河加太線と岬加太港線の整備を促進しております。粉河加太線については、昭和六十二年度より約一・八キロメートルの加太バイパスに事業着手しておりますが、地権者の代替地要求、公図混乱等により用地買収が難航しております。引き続き、用地買収に全力を挙げてまいります。
 岬加太港線については、平成二年度に工事着手した大川トンネルを平成五年に完成し、その後、取り合わせ道路の整備促進に努め、早期完成するよう努力してまいります。
 紀の川河口大橋については、平成四年二月に供用予定であり、本橋を利用する交通は御膳松交差点で国道二十六号に接続するとともに、土入川西側において市によって整備が進められている市道松江百十二号線を経由して粉河加太線と接続されることになります。今後、河口大橋を含む周辺道路の交通量の推移等を見ながら、新たな道路整備の必要性を検討してまいります。
 次に、住友金属西防波堤沖埋め立ての見直しについてでございます。
 住友金属と和歌山市による今回の公表に関しては、住友金属から土地利用計画の見直し検討をしたい旨、また和歌山市からは地域振興の面からLNG火力発電所などの立地について検討したい旨、さらに、このことについて公表して地元関係者の理解を求めていきたいと、本年五月にそれぞれから県に対して話がありました。
 次に、河西緩衝緑地事業についてでございます。
 この河西緩衝緑地事業は、住友金属を中心とした工業地域と地域住民の居住地域との間に緩衝緑地を設置し、そこに緑豊かな植栽や公園施設を設けることにより公害を防止し、あわせて地域住民等の憩いの場をつくり出すことを目的とした事業であります。
 事業費の負担は、議員ご指摘のとおり、原則として国、県、事業者がそれぞれ三分の一となっております。本事業は緩衝緑地の目的に照らして適切に執行する必要があり、周辺地域の情勢の変化に対しては国の指導を得て適切に対応してまいります。
 次に、西防波堤沖埋め立ての目的変更に係る審査についてでございます。
 公有水面の埋め立てについては、国土利用上、適正かつ合理的であること、その埋め立てが環境保全及び災害防止につき十分配慮されたものであること、埋立地の用途が土地利用または環境保全に関する国または地方公共団体の法律に基づく計画に違背しないことなどの免許基準が定められており、また埋め立ての必要性等、その内容について厳正な審査を行い判断することが求められるものであります。また埋立計画の変更申請においても、同様に厳正な審査を必要とするものであります。
 なお、議員ご指摘の免許一年後での中止の申し出の件については、当時、住友金属より、そのような表明はしていないとの報告を受けておりますので、ご理解を賜りたくお願いいたします。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 看護婦不足解消とのご質問にお答えをいたします。
 まず県内の就業看護婦の現状でございますが、人口十万対の指標で見ると、昭和六十三年末で五百七十一人で、全国平均五百五十一人を少し上回っており、都道府県別の順位としては二十七位となっているところでございます。
 高齢化社会の到来や医療の高度化の流れの中で、看護職員不足対策は、議員ご指摘のとおり、極めて重要な課題と認識しているところでございます。
 県としては、県立高等看護学院や県内養成施設の定数増を図ってきたところでございますが、さらに本年四月には、病院協会立和歌山看護専門学校の設置のほか、緊急措置として各養成施設に定員の一割増の入学許可を要請するなど、養成力の強化に努めているところでございます。
 一方、看護職員の就業対策として、修学資金制度の充実、離職防止のための院内保育所の設置推進、ナースバンクの充実等にも取り組んでいるところでございます。
 議員ご指摘のゴールドプランによる新たな需要等もあり、昭和六十三年度に策定した需給計画について現在その見直し作業を進めているところでございますが、看護婦養成機関における教育スタッフや実習病院の確保等、解決していかなければならない大きな課題もございます。今後、これらの問題も含め、国、市町村及び関係機関の協力を得るとともに、医科大学整備の一環として検討を進めている看護短大の設置とあわせ、二十一世紀を展望した県全体の供給体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 看護婦養成に関連して、看護短期大学の設置についてでございますが、現在、看護職員の養成、確保が重要な課題となっております。医科大学においてもまた同様でございます。
 このため、さきに取りまとめを行った県立医科大学の移転整備の基本構想において、看護短期大学の設置を検討することとしております。今後、医科大学の移転整備を進めていく中で、保健環境部、医科大学と調整を図りながら、精力的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) お答えをいたします。
 まず、高齢化社会への対応についてでございます。
 本県の高齢化は全国平均を上回る速さで進行しておりますが、今後も経済社会の活力を維持しながら、人生八十年時代にふさわしい県民一人一人が安心して生きがいのある生活ができるよう、総合的な対応を図っていくことが重要と考えてございます。
 このため、長寿社会総合対策指針を策定し、総合的な取り組みを行っているところでございますが、議員ご提言のとおり、高齢者の方々が快適な生活環境で過ごせるよう、医療、保健、福祉、生きがいなど、高齢者のニーズに対応できる諸機能を初め、就労施設、文化機能をも備え、さらに地域振興の視点も加えた地域づくり、町づくりを推進してまいらなければならないと考えております。
 今後は、先進地の状況や本県での適合性について、関係部局とも連携をとりながら調査、検討をしてまいりたいと存じます。
 次に、放課後児童対策についてお答えをいたします。
 近年、社会環境の変化により就労女性が増加し、あわせて核家族化が進行する中、昼間、保護者のいない児童の増加が予想されるため、低学年児童の放課後の安全及び活動指導が重要な課題であると考えています。したがって、厚生省が実施している放課後児童対策事業の受け入れができるよう、設置主体の市町村に対して積極的な指導に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 木下議員にお答えを申し上げます。
 育児休業制度の企業等への指導についてでございますが、議員ご指摘のように、女性の雇用者数が大幅に増加する中、女性が働き続けようとするとき最も困難なことは、育児と職業生活の両立であります。
 さきに国会で成立した育児休業法では、男女労働者が子供が一歳に達するまで育児のための休業を申し出ることができることとなっており、また、一歳から小学校就学までの子供を養育する労働者についても、事業主は育児休業の制度または勤務時間の短縮等の措置を講ずるよう努めなければならないこととなっております。
 法の施行に当たっては、労働省令や指針が本年秋までに国から示されることとなっております。県としても、十月の育児休業制度普及促進月間を中心に、関係機関である和歌山婦人少年室並びに労働基準局とも十分協議しながら、経済団体を初め各事業主の方々への説明会を開催するなど、育児休業制度の普及促進に努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) 再質問がありませんので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午前十一時五十九分散会

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