平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 和歌山下津港内にある住友金属工業和歌山製鉄所の西防埋立地をめぐる先日来のいろいろな新聞記事を通じての問題が、同時に県民、市民の多大の関心を呼ぶ中で論議が交わされております。
 この問題は、百七十六・五ヘクタールに及ぶ西防埋立地のうち第一工区を残し、第二、第三工区を事業者である住友金属製鉄所みずからが使用することが鉄鋼産業の時代の推移とともに不可能になってきたので、その土地利用についての見直しを行っていきたい、こういったことに基づき、LNG火力発電所の土地利用計画をも検討することを含めて発表されたものであります。
 そこで、この問題について質問を進めてまいりたいと思います。
 このたびの住友金属の西防埋立見直し及び和歌山市によるLNG火力発電所誘致の公表について、知事としてどのように考えておられるのか、お聞かせをいただきたいのであります。
 公有水面埋立法における免許庁の長としての立場、また県勢の発展と県民の福祉向上を図る県行政全体の首長としての立場があるわけでありますが、それぞれの立場からのお考えをお伺いするものであります。
 次に、この西防埋立計画については、ご承知のとおり、昭和五十五年六月に埋立免許を与え、その後、期間伸長の申請に対しては昭和六十一年八月に許可が与えられております。それぞれどのような審査がなされ許可が与えられているのか、過去の経緯についてもご説明をいただきたいのであります。
 私といたしましては、今回の見直しをこんな安易な形で公表したことからして、これらの審査に手落ちはなかったのか、あるいは配慮に欠けるところがなかったのか、お伺いを申し上げたいのであります。
 ご承知のように、住友金属和歌山製鉄所の生産高は相当以前から三百から四百万トンの状態が継続していましたし、内外の客観的情勢からも、九百二十二万トン体制に戻ることはあり得ないということが明白であったと思うのであります。この時点での見直しということも可能であったし、そうなければならなかったのではなかろうかと思うわけでありますが、少なくとも期間延長の申請をした昭和六十一年の時点においては、当然九百二十二万トン体制を見直す必要があったのではないかと思うのであります。
 今回の見直し公表は、正式な計画変更申請を将来行おうとする過程の一里塚であり、当然、この過程の中で事業者である住友金属は県行政に相談をし、県行政の指導を受けながらなされたものであると判断するのが常識でありますが、こうした常識から住友金属のこの公表に対する知事コメントには、私は大いに違和感を抱くものであります。同じような思いを抱いている県民も多いと思いますが、私と県民に対するご説明をお願い申し上げます。
 また今後、計画の変更がなされる場合には、公有水面埋立法に基づきどんな手続が必要であるのか、許可に当たってはどのような基準で審査をされることになるのか、お尋ねをいたします。
 今回の住友金属の公表のごとく、もし西防埋立地のうち第二、第三工区を事業者みずからが使用しないで第三者に譲渡することとなったときは、事業者が不当な利益を得る場合あるいは譲渡される者が不当な利益を得る場合が考えられるわけであります。もっとも、公有水面埋立法においては、かかる際は不当な利益を得てはならないと定められているようでありますけれども、現実にどのようにして不当な利益を得る者をなくしていくか、そのための措置を講じていくのか、どんなポイントをチェックするのか、お伺いするものであります。
 またその際、第二、第三工区のでき上がった土地の原価──コストは基本となる数値でありますが、この原価はどのようにして積算をするのか、ご説明いただきたいのであります。
 また、住友金属の第二工区、第三工区を譲渡することを含めた見直しが現実のものとならんとすれば、その土地利用計画については、当然あらゆる観点から吟味されるべきであります。和歌山の産業活性化に今、何が最もふさわしいか。選択範囲はLNG火力発電所だけではありますまい。県民、市民の慎重な検討を経ず、ひとりLNG火力発電所だけが先行すべきではないと思うのであります。長期計画において和歌山県のあるべき産業構造を明らかにして、重厚長大型産業の偏りから加工組み立て型工業を中心とした均衡ある産業形態を志向しているにもかかわらず、県として意欲ある提言はないのか、非常に寂しく思うものであります。
 そこで、住友金属の第二工区、第三工区の土地利用について、譲渡が法律上許される範囲での土地利用のあり方を県も参加して検討することは可能であると思うがどうか、また例えば、ある時点で適当な土地利用を県が考え、土地を買い取るということも法的に可能であると思うがどうか、お伺いをするものであります。
 次に、環境問題についてであります。
 公害発生源を沖出しすることによって環境を改善するという埋立申請の趣旨の上からも、また付近住民に対する住金のかつての説明からも、環境改善というものは目的とした環境基準の数値をクリアするだけで十分であろうか。この住民との約束は、環境の数値だけではなく、その姿をも含めたものではなかったか。公害発生源の沖出しをやめるとすれば、数値のいかんにかかわらず住民への約束違反ではないか。ちなみに、過去数年と現在の年月日単位の環境基準の数値についてお教えをいただきたいのであります。
 さて、現在、和歌山県と和歌山市を甲とし、住友金属和歌山製鉄所を乙として、甲乙両者の間に公害防止協定が交わされております。これは、住友金属和歌山製鉄所が粗鋼生産九百二十二万トン体制のもとで、それを基準として交わされた公害防止協定であります。今回、乙である事業者みずからが粗鋼生産三百万トン体制と公表したのでありますから、その三百万トン体制を基準として協定を改め直す必要があると思うが、対処方をお伺い申し上げます。
 少なくとも、そのために甲乙両者が協議のテーブルにつくことができるよう、その準備態勢を整えるべく直ちに甲は乙に対して申し入れるべきであると思うがどうか。県民の環境を守る立場から明確な答弁をお願いするものであります。
 次に、和歌山下津港の港湾振興についてであります。
 この問題については何回となくこの場で当局の考えをただしてきたところでありますが、平成三年は、昭和六十一年を初年度とし、昭和七十年すなわち平成七年までの十年間とした和歌山下津港港湾改定計画のちょうど後半の実施初年度でもございますし、また一方、国の方から言いますと、第七次港湾整備五カ年計画を終わり第八次港湾整備計画の初年度にも当たりますので、過去に整備されてきたいろいろな施設とその活用、現在整備中のものとそれらの問題点、そして後半に予定されているものとその準備の進行程度や問題点についてお伺いをしておきたいと存じます。魅力ある港湾をつくらんとする意欲ある答弁をお願い申し上げるものであります。
 その中でも特に本日は、一、和歌山下津港の広報宣伝活動について、二、港湾関連企業との連携について具体的にお聞かせをいただきたいと存じます。
 港湾振興というのは非常に幅広くとらえねばなりませんし、その地域を配慮したユニークな対策も必要でありますが、まず、和歌山下津港においては対外的なPRが極めて不足していたというより、今までほとんどなかったと申し上げても過言ではありますまい。
 去る昭和六十三年十二月議会において、他県の取り組み事例も紹介し、その一つとして、せめてポートニュースの発行をと促したのでありますが、本年四月「和歌山下津ポートニュース」第一号が情報機関紙として発行されました。この点については高く評価するものであります。内容は、和歌山下津港の歴史や港湾施設の整備状況、貨物量の統計、港湾に関する新しい話題と港を理解していただくための記事となっております。港の情報を県民、市民や港湾関係者、そして他府県にも提供していくことが港湾振興の第一歩でありますが、その配付先、今後どのような形で進めていくのかについて、改めてお伺いを申し上げます。
 次に、港湾関連企業との連携についてであります。
 港湾の振興は施設の整備とその利用の促進が両輪となって推進されていくものであり、つまり利用者にとって使いやすい港づくりが必要であります。当然のことながら、そのためには利用者の声、意見をよく聞き、反映していくことが何よりも肝要であります。
 現在、和歌山下津港には和歌山港運協会、和歌山県海運協会、和歌山港運営協会、和歌山下津港整備促進協議会、和歌山港振興協会等の関連団体があります。これらの団体が自主的に、かつ活発に活動しながら港湾管理者とともに港の発展を図るべきであり、当面はそのためのお世話を県当局がすべきであると主張してきたところでありますが、やっと先日来、港湾利用者の方々との意見交換会、懇談会を開催されたと聞き、遅まきながらも非常に意義のあることと評価はいたしております。
 そこで、それらの会議において利用者よりどのような意見が出されたのか、それらをわかりやすく整理して具体的にお教えをいただきたい。また、県としてそれに対する取り組みをどうしていくのか、今後、このような企業や団体との永続的な連携をどんな形で深めていくのか、また港湾振興には和歌山市、海南市、下津町、有田市等の関係市町の自主的、積極的な理解と取り組みも不可欠であると思うが、県としての具体的な対応方針をお示し願いたいのであります。
 次に、産業廃棄物についてであります。
 知事は、今、「五期目の次期県政を担当する」と、謙虚ではありますが自信を持って決意表明をされたところであります。今までまかれてきたいろいろの種が開花しようとしておる。その花が鮮やかであればあるほど、同時にそのことは産業廃棄物をどのように処理していくかということが五期県政の最も重要な課題となるということでもあります。五期県政を担当するという表明は産業廃棄物をどう処理していくかということでもあり、もちろん企業者みずからの責任においてという法的な原点は押さえながらも、知事としてどのように対処するかという表明でもなければならないと思うのであります。
 そこで、知事にお伺い申し上げます。
 環境保全公社の今日までのあり方と時代の要請にこたえて、当然その果たす役割もより積極的に対応すべきであると思うが、中間処理、最終処理を含めてどのような役割を新しく果たしていこうとするのか、具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。
 次に、平成八年八月をもって和歌山環境保全公社の西防埋立地における処分は終結することとなるのでありますが、その後の処分地、処分法についてどうするのか、過去の経緯から、中間処理も含めてお尋ねをいたします。
 かつて、その処分地として三十ぐらい候補地があったと聞いておりますが、現在は四カ所ぐらいに絞られておる。問題の性質上、具体的な地名はどこかということをお聞きすることはいたしませんけれども、他府県の例を見ても、また担当課の見解からも、少なくとも処分地を一つつくり上げるには最低五年かかるということであります。今から始めても五年たてば平成八年になるわけでありますから、本年度中に地区の同意を求められるよう努力しなければならないのであります。
 そこで、その手だて、順序、システムやスケジュールをお知らせ願いたいのであります。
 一方、和歌山県はフェニックス計画にも参加しており、この計画に出資金も出しているのでありますが、これは処分地に困る、処分地をようつくらんといった場合の担保を今日確保していますが、今後も処分地は複数箇所持っておることが望ましいという点からも、また平成八年八月までに新しい処分場が万一完成しなかった場合に備えるという立場からも海上運送のできる積み出し基地が必要であるが、どのように考えておるのか。
 さらにまた、第九次港湾整備計画での処分地確保や海上積み出し基地の確保も考えていかねばならないと思うのでありますが、その意欲のほどをお尋ね申し上げます。
 最初の質問で申し上げたように、平成八年八月以後は住友金属工業和歌山製鉄所自身の産業廃棄物いわゆるノロの捨て場としての廃棄物の処理地も必要となるわけですが、これらを含めた全体計画というものをお考えいただきたい。言うまでもなく、企業みずからの責任において処理するという法的原則を踏まえ、企業としての住友金属の役割分担も考慮に入れて、県全体の処理方についての基本的な考え方をお示しいただきたいと思うのであります。
 最後に、暴力団に対する新法のもとでの対策についてお伺いをいたします。
 昨年六月、大阪において一般市民が暴力団の対立抗争事件に巻き込まれて死亡するという衝撃的な事件が発生いたしまして、さらに早くもその半年後の十一月には沖縄において高校生が対立抗争で死亡する、また警察官二名が殉職するという痛ましい事件が発生したことは記憶に新しいところであります。
 本県においても、山口組系暴力団の進出が目立つなど、暴力団をめぐっては厳しい情勢にあります。特に本県では、平成五年開港に向けて関西国際空港、毛見沖のマリーナシティ建設、田辺湾総合リゾート開発等、大型な開発プロジェクトが進められているところであり、これらの利権に目をつけた暴力団の暗躍があるやに仄聞をいたしておるのであります。
 こうした情勢の中で、さきの通常国会において、いわゆる暴力団対策法が全会一致で可決成立いたしました。我が和歌山県議会においても本年二月県議会でこの法律の制定に向けた決議を行ったいきさつもあり、新法の施行に強い関心と期待を持っておるものであります。
 この法律の背景には、暴力団が暴力を圧力として市民生活や企業の経済活動に介入する事案が最近激増しているにもかかわらず、それが巧妙な手口により犯罪とならないような形で行われるために警察としてはなかなか対処が難しい、また山口組等大規模な暴力団が勢力を伸ばす過程で各地において発砲を伴う対立抗争事件が頻発しているのに、そうした抗争の拠点となっている組事務所の使用制限ができないという現況から、現行法の隘路を少しでも克服しようとして成立したものでありますが、県民の安全を守る立場から、この新法の最大限の活用こそ緊急の課題であろうと思うのであります。
 そこで、警察本部長にお伺い申し上げます。
 まず、県下の暴力団の情勢とその分析をお知らせいただきたい。
 次に、今回の暴力団対策法の施行によって県民生活の安全を守る上で具体的にどのような効果が期待されるのか、お伺いを申し上げます。
 さらに、今後そのためにとるべき対応策として、とりわけこの新法では警察と民間が力を合わせた暴力団排除活動を行えるようにするための暴力追放運動推進センターを指定することになっております。私の調べたところでも、既に八県において暴力団追放を目的とする財団法人が設立され、他の府県においても設立の準備が進められているようであります。また、設立された八県の実態を見ますと、その財政基盤は県拠出金、市町村からの拠出金、民間企業からの寄付の受け入れ等によって平均六億円の基金と、理事など四名から五名の体制によって運営されているようでありますが、和歌山県警としてどのような組織を考えているのか、地形や地域の事情に合わせて和歌山県警方式とも呼べる独自の工夫があるのか、具体的設置構想について所見をお伺い申し上げて第一回目の質問を終わりたいと存じます。
○議長(山本 一君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 和歌山下津港における住友金属の西防波堤埋め立てについてでございます。
 このたびの公表は、和歌山市と住友金属が西防埋立地の土地利用計画の見直し検討をしたいというものでございます。本年五月、県に対してそれぞれから話があった際、住友金属に対しては、このたびの土地利用計画の見直しについては、鉄鋼情勢の影響があるとはいえ極めて遺憾なことである、見直しを進めるに当たっては、これまでの経緯あるいは企業責任を踏まえて、地域の活性化を図るべく最大限の努力をするように伝えたところでございます。また和歌山市に対しては、今後の検討に当たっては市の将来を展望し、長期計画に位置づけをすること、特に電源立地については環境アセスメントが非常に重要であるため、これをクリアすること、並びに地元を初めとする関係者の皆さんの十分なご理解を得る必要がある旨伝えたところでございます。
 知事といたしましては、話ございましたように、機関委任者としての知事、また地方自治体の長としての知事の立場があるわけでございます。申請があった場合においては慎重に審査、検討をしてまいりたいと存じます。
 それから、議員から提案のあった県が買ったらどうかという問題等については、不可能な問題ではなしに、考えられることだと思っております。現在、土地利用計画の見直しについては市と企業において検討を始めておりますので、当面は見守ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、本件については公有水面埋立法に基づいて厳正に判断してまいりたいと考えております。
 なお、手続等の問題については土木部長から答弁いたします。
 次に、産業廃棄物についてでございます。
 お話ございましたように、産業廃棄物というのは、産業振興、環境保全の面において極めて重要であり、現在、国会においても法改正について検討を加えられておるわけでございます。産業廃棄物は企業責任ということでございますけれども、本県では第三セクターの環境保全公社によって廃棄物の処理を行い、和歌山北港の埋立地において最終処分を行っているところでございます。
 しかしながら、今後の産業廃棄物処理を進めるに当たり、環境保全公社の役割、また後継処分場対策について検討するため環境保全公社に検討委員会を設置し、組織、人員配置等についてもこのたび考えたところでございます。今後とも、積極的に対処してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 住友金属西防埋立地について、まず当初の免許及び期間伸長に当たっての審査並びに今回の変更に伴う手続についてでございます。
 西防波堤沖埋立計画は、昭和五十三年八月、住友金属から申請が出され、免許庁として公有水面埋立法に従って、国土利用上、適正かつ合理的であること、環境保全及び災害防止について十分配慮していること、埋立地の用途が土地利用または環境保全に関する国または地方公共団体の法律に基づく計画に違背しないこと等についてチェックするとともに、具体的に埋立必要理由、設計概要、資金計画等に関し厳正な審査を行い、国の認可を得て昭和五十五年六月に免許したものであります。また昭和六十一年七月、住友金属から、粗鋼減産及び廃棄物再利用率の向上に伴う自社廃棄物の減少、公共廃棄物の減少により埋立工程がおくれ、竣功期間の伸長申請がございましたが、免許庁として埋立材の搬入状況及び今後の見通し等、申請内容について厳正に審査を行い、やむを得ないものと判断して、国の認可を得て同年八月に許可したものでございます。
 なお、今般の件について、事業者である住友金属において見直し検討の結果、埋立変更申請が提出された場合、その内容によって公有水面埋立法に基づく手続は異なるものでありますが、いずれの場合であっても変更内容について厳正な審査が必要であり、その際、特に今後の鉄鋼生産計画等については慎重な審査が必要と考えております。
 次に、処分価格に対する県の考え方でございます。
 埋立地を処分しようとする場合は、公有水面埋立法に基づく手続を必要とし、同法において、やむこと得ざる事由があること、権利を移転しまたは設定しようとする者がその移転または設定により不当に受益せざること等定められており、この点を重点に審査を行うこととなります。
 議員ご指摘の譲渡価格の件に関しては、特に造成原価について十分な分析を行う等、慎重な判断を必要とするものであり、必要に応じて認可庁等とも相談しながら、慎重の上にも慎重な審査を行うべきものと考えております。
 次に、和歌山下津港港湾振興について。
 まず、和歌山下津港の港湾整備についてでございます。
 和歌山下津港については、昭和六十年改定し、その後、一部変更等を行っておりますが、現在、おおむね平成七年度を目標年次とする和歌山下津港港湾計画に基づいて整備を図ってきております。
 これまで、昭和六十一年度を初年度とする第七次港湾整備五カ年計画において、青岸地区埠頭の第一工区は平成元年度に完成し、建設資材等を取り扱う岸壁として供用しており、和歌山マリーナシティや本港地区のマイナス十二メーター水深の大型岸壁埠頭については現在整備を進めつつあります。また、雑賀崎地区の埠頭、都市再開発用地造成事業も平成二年度に着工しております。
 議員のお話にもありましたように、本年度より第八次港湾整備五カ年計画がスタートしますが、同計画において、それぞれ貨物動向の分析、事業方式の検討、地元関係者との調整等の課題に取り組み、西浜地区埠頭の拡充及び青岸地区第二期工事や木材港再開発、紀の川右岸臨港道路整備等について事業化及び事業促進を図ってまいります。
 次に、和歌山下津港の広報宣伝活動についてでございます。
 流通港湾としての機能を高めようとする場合、和歌山下津港を広く知っていただくことが必要であることは、議員ご指摘のとおりであります。
 このための方策の一つとして本年四月に発行した「和歌山下津ポートニュース」は、県民、市民に港を深く理解していただくこと、県内の港湾関係者に情報を提供すること、県外企業への幅広いPRを図ることなどを目指して作成したもので、港湾関係団体や国の地方機関に配付するとともに、県事務所等、県内主要出先機関及び東京事務所等にも配付しているところであります。これについては、和歌山下津港を広く理解していただくため、今後定期的に発行し、和歌山下津港のPRに努める予定であります。
 その他、港湾の紹介パンフレットの作成や毎年七月二十日に実施されている港まつりの花火大会等を通じて多角的なPR活動を行っていきたいと考えております。
 次に、港湾関連企業との連携についてでございます。
 港湾利用企業及び団体等との意見交換会において、埠頭施設の利用、木材港の将来、海域利用、港湾をめぐる行政の対応、ポートセールス、港湾の将来像等、多様なご意見が出されております。これらの中には、長期的に取り組むべき課題や施設整備の課題あるいは運営上の課題があります。今後、これらの課題について、企画部や商工労働部等関係部局と協議、連携を図りながら、港湾管理者として対応すべき課題あるいは利用関係企業と一体となって対応すべき課題等に整理、検討し、対応してまいりたいと考えております。
 特に、議員ご指摘の関連企業との連携については、港湾の振興に関しての意見交換や研修の場を定期的に設けることとあわせて、個別の利用者との間での具体的な意見交換を図るなどして港湾振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 和歌山下津港の住友金属西防埋立地についてお答えを申し上げます。
 住友金属工業周辺における環境の状況について、降下ばいじんで見ると、計画策定時の昭和五十年度で月間最高値二十・六トン・パー・平方キロメートル・パー・月が昭和六十二年度は十二・二トン、昭和六十三年度は十・六トンとなっており、平成元年度は七・三トンと、県の行政目標値十トンを満足しております。悪臭については、アンモニア濃度で見ると、昭和五十年度○・四ppmが平成元年度で○・○三ppmとなっており、周辺居住地の規制基準一ppmを満足しております。また排出量については、公害防止施設の整備、生産量の減少などによって、窒素酸化物で見ると、昭和五十年度の時間当たり千五十五ノルマル立方メートルが平成元年度で四百五十一ノルマル立方メートルとなっており、環境改善目標六百三十ノルマル立方メートルに適合しております。
 次に、公害防止協定の見直しについてでございます。
 公害防止協定については、昭和四十六年に締結して以来、昭和四十八年から昭和六十一年にかけて、硫黄酸化物の総量規制の実施や高転炉滓処理場の移転などの際に四回の見直しを行ってきたところでございます。
 今後の公害防止協定の見直しについては、同じ甲の立場である和歌山市と連絡をとりながら早期に検討を開始してまいりたいと考えております。
 産業廃棄物についてでございます。
 和歌山環境保全公社が現在使用している和歌山北港埋立地の廃棄物最終処分場は平成八年八月まで使用できることとなっておりますが、後継処分場を確保するため、環境保全公社において平成元年度から産業廃棄物最終処分場適地検討委員会を設け、調査、検討を実施しております。その結果、現在、候補地の絞り込みを行っておりますが、廃棄物の最終処分場の確保については処分場設置場所周辺地域の理解と協力が必要不可欠であり、今後、地域調整を図って平成八年八月までに後継処分場をオープンできるよう、環境保全公社ともども努力してまいりたいと考えております。
 また、中間処理を含め産業廃棄物の処理については排出事業者の責任において適正に処理すべきものでありますが、公共関与による処理については、今後、環境保全公社の果たすべき役割について検討をしていくとともに、各種開発計画等の中で処分場が確保できるよう関係各方面に要請してまいりたいと考えております。
 また、フェニックス計画への対応についてでございますが、本県における公共関与の処分場としては、環境保全公社の処分場と大阪湾圏域広域処理場整備計画いわゆるフェニックス計画がありますが、環境保全公社の埋立地については現在稼働中であり、またフェニックス計画については埋立地が二カ所計画され、尼崎沖処分場については平成二年一月から受け入れを開始し、泉大津沖処分場については平成四年初めから受け入れが開始される予定であり、処分開始後六年間で終了する計画であります。この処分場への廃棄物の搬入については海上輸送することとなっておりますが、その場合の積み出し基地については和歌山下津港内の港湾施設を利用したいと考えております。今後、必要に応じて港湾計画の中での位置づけをお願いしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) お答え申し上げます。
 まず、県下の暴力団情勢でございます。
 県下の暴力団の団体数は、平成三年六月現在、五十九団体、構成員の数は約八百人となっており、そのうち山口組系暴力団は団体数で四十四団体、構成員数で約五百九十名といずれも全暴力団の約七三%を占めており、全国的傾向と同じく山口組の寡占化傾向が著しいものとなっております。
 次に、ご質問の暴力団対策法の施行によって県民生活にどのような効果があるのかということでございます。
 まず、これまで暴力団が行う資金源活動によって県民が迷惑、被害をこうむることが多く、かつその形態としては、議員ご指摘のとおり、従来の法制度では恐喝、脅迫等の犯罪とはならない巧妙な金品の不当な要求などが多かったのですが、これが規制されるということです。
 例えば、暴力団員からみかじめ料の要求を受け、おどし文句はなかったが、相手が相手だけに嫌々ながら金を出してしまったケースなどは、まさにこの法律の規制の対象となります。さらに、こうしたケースでは、公安委員会が被害の回復を側面から援助し、被害者が救済される効果が期待されます。また、対立抗争事件発生時、公安委員会が事務所の使用制限を命じることによって直接的に抗争の拠点を封鎖することができるようになりますし、抗争事件の発生時以外でも、事務所やその付近における暴力団員の乱暴な言動、他人に不安を覚えさせる物品の掲示、威迫のための事務所の使用などを禁止し、地域住民の不安を取り除くことができることとなります。
 次に、法律施行に向けて県警としてとるべき対応策でありますが、警察が行う暴力団対策は、暴力団員の大量反復検挙、資金源の封圧、けん銃等の武器の押収といった取り締まり活動と、暴力団を各種地域、職域から排除していく暴力団排除活動とを二つの柱とした対策であります。暴力団対策法は、このうち特に資金源の面から暴力団を圧迫することを主眼とするものでありまして、これが有効に活用されればかなりの効果が期待できるものと確信しているところであります。
 県警としても、この法律の実効性を確保するための諸準備を当面の緊急課題として受けとめ、特に先ほど申し上げた各種の規制も暴力団を指定暴力団として指定しなければ働かないため暴力団の指定のための準備に力を注ぐとともに、さらには公益法人としての暴力追放運動推進センターの設立準備等の法律の施行に向けた取り組みを組織の総力を挙げて行っているところであります。
 最後に、暴力追放運動推進センターの設置構想であります。
 この法律では公安委員会による暴力追放運動推進センターの指定が予定されており、議員ご指摘のとおり、既に八県においてこのセンターとして指定することができる公益法人が設立され、他の府県においても設立の準備が進められているところであります。指定に当たっては、その組織が公益法人であること、相談事案等に対応する専門的知識を持った暴力追放相談員が置かれていること、広報活動、講習、見舞い金の支給などの各種事業を行うことなどが求められておりまして、これに必要な財政的基盤があることが要件とされております。
 こうした要請を踏まえ、近く県警内に暴力団対策法施行準備室を設置するなど体制の整備を図るとともに、この種の組織については最初にどのような体制で出発するかがその後活動する上で重要でありますので、本県にとって最も望ましい組織の設立のために県警としては何をなすべきなのかを十分検討した上、設立に向けた諸準備を進めることといたしております。
 しかしながら、いずれにせよセンターの設置に当たっては相当の財政的、人的基盤が求められるところであり、予算措置も含め、県当局を初め関係機関、関係団体、県民各層のご理解をいただきながら、県民のご期待に沿えるようなセンターの設立に向けて努力してまいる所存であります。
 最後になりましたが、議員初め県議会の皆様方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 14番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 西防埋立地については、新聞に公表されて以来、自民党県議団内においても勉強会を持つ中でいろいろな意見が出てまいりました。
 常識で考えますと、事業者が民間企業である場合、見直しそのものができるのかどうか、全国にそんな例があるのかどうか──東京都が変更しておるようでありますが、これは東京都という公共団体がみずからの計画、みずからの事業の中でしたことでありまして、和歌山県の例にはならない。そういうような例があるのかという質問も出ましたし、それからまた、見直しできる見通しが立ったとして、それではその後どうするかということをいろいろな角度で検討していくというのが普通考える手順ではないかという質問などもありました。しかし、公有水面埋立法においては、見直しと同時に後の土地利用計画がどのようにされるのかということを一体として書類を申請しなければならないことになっておるようでありまして、いずれそういった運びが出てこようかと思うわけであります。
 こういった素朴な、まことに当然ないろいろな疑問、そういうものが我々議員の間にも県民の間にもあろうかと思います。厳正の上にも厳正をもって対処していただくことを心からお願い申し上げるものであります。
 港湾振興の中で「和歌山下津ポートニュース」の発行について評価したのでありますが、私はかつても申し上げたように、小学生などが港をかいた絵を展示したりしているのを余り見たことがない。それだけ子供たちに親しまれておらない。発展する港というのは子供たちにとっても絶好の興味の対象となるところでありまして、そういった親しみを抱きながら成長する子供こそがふるさとの港湾振興に大きな力になっていくというのは当然のことであります。
 そこで、やはりこのポートニュースを小学校、中学校等の未成年の方々にも提供していくという配慮ぐらいはされてしかるべしと思うのであります。その点も加えて要望させていただき、質問を終わりたいと思います。
○議長(山本 一君) 以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十八分休憩
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