平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成三年七月二日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第八十四号から議案第百九号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十四号から議案第百九号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 5 番 中 村 隆 行
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 浩
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26  番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
 47 番 山 崎 幹 雄
欠 席 議 員(一人)
 20 番 阪 部 菊 雄
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 若 林 弘 澄
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   上 野  寛
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員 山 階 清 弘
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
   寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 倉 本 辰 美
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
○議長(山本 一君) まず、報告いたします。
 過日提出のあった議案第八十七号及び議案第八十八号については職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第105号
    平成3年6月27日
 和歌山県議会議長 山 本 一 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成3年6月25日付け和議会第96号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第87号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第88号 和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
  (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(山本 一君) 次に日程第一、議案第八十四号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 8番藁科義清君。
 〔藁科義清君、登壇〕(拍手)
○藁科義清君 改選後、初めてのこの定例県議会におきまして、冒頭、質問の機会を与えていただきましたことを、議員各位にお礼を申し上げます。
 さて私は、自由民主党県議団三十五名を代表いたしまして、仮谷知事に対し、知事が描く県勢の発展と知事の和歌山県政に対する姿勢、並びに引き続き第五期県政を担当するご意思についてお伺いするものであります。
 私たちが未来の時代の代名詞として使ってきた「二十一世紀」が到来するまでわずかに十年足らず、ふるさと和歌山県を世界への玄関口に位置づけることになる関西国際空港がいよいよ開港するのは三年後の平成六年夏、そして県民の長年の悲願とも言える国土軸への直結の実現は目前の平成五年に迫っております。また、白浜空港のジェット化整備、高速道路の紀南延伸など、和歌山のあすをさらに大きく飛躍させるための諸条件の整備が着実に進行しつつあることを実感できる今日であります。知事、あなたがいみじくも言っておられる「和歌山の時代が来た」という言葉が本当に現実のものとして感じられるのは私一人ではないと思います。
 振り返れば、あなたが初めて県政を担当された昭和五十年から今日に至る十六年間、とりわけ前半の昭和五十年代は、オイルショックの打撃に加えて円高不況により、我が国経済はもとより本県産業の長期不振、国、県の財政逼迫という厳しい状況に直面することを余儀なくされたのであります。しかし、その中にあって、県職員の定数削減を初めとする行政改革に取り組み、県財政の健全性を保ちつつ、一方では時代の変化を読み取り、限られた財源の中で将来への布石を着実に打つとともに、福祉、健康、教育という県民生活に直結した分野への配慮、きめの細かい行政を実践されました。
 時代は進展し、昭和五十年代後半、我が国経済も長期不況からようやく拡大傾向に転換し、期を同じくして泉州沖への建設が活発に論議されていた関空問題に対して、知事は関係府県をリードして建設同意に最大の努力をなされたのであります。そして今、急ピッチで進む関西国際空港の建設を初め、高速道路の着実な南伸など、長引く構造不況の中にあった地域産業に、そして県民に、あすのふるさとを力強く切り開こうとする気持ちを呼び起こし、未来に向けての明るい展望が見え始めるという状況をつくり出したのであります。関西国際空港の開港を県勢活性化の最大のインパクトとしてとらえた、知事あなたが打ち出した数々の施策、プロジェクトが、今、確実に実現に向けて力強く進行中であります。
 私たち自由民主党県議団は、こうした仮谷知事とともに、ふるさとの確かな将来を切り開くために懸命の努力をしてまいりました。そして今ここに、未来に向かって確かな歩みを進めるふるさと和歌山の姿を仮谷第四期県政の成果として取り上げるとき、知事は就任以来、一貫して県勢浮揚の最大の課題を高速道路網の建設を初めとした交通体系の整備だと考えられ、それを実行に移された不屈の闘志を特筆しなければなりません。
 すなわち、特急くろしおの新大阪、京都駅乗り入れの実現に続き、近畿自動車道紀勢線の湯浅御坊道路の着工、御坊─田辺間の基本計画決定から整備計画への位置づけ、京奈和自動車道の橋本道路の着工と和歌山市までの基本計画決定、県内幹線道路の着実な整備と大阪と結ぶ複数の府県間道路の整備など、陸上交通はもとより南紀白浜空港のジェット化整備、ことしいよいよ実験運航の運びとなったヘリコプターの活用、勝浦から鳥羽に至る高速艇の運航など、空、海にわたる総合的な交通ネットワークの構築のためにあらゆる方策を駆使して挑まれているのであります。
 また、こうした交通体系の整備を図ることにより企業の新たな立地など多くの成果を生むとともに、本県産業の技術革新を支援する諸施策も同時に進められたのであります。ことし四月、打田町に操業開始された松下電池を初め、現在までに五十社余りを数えるに至り、本県産業の構造改革に、また活性化に大きく貢献しているところであります。また、工業技術センターの再編整備、近畿で初めて指定を受けた頭脳立地構想と海南インテリジェントパークの建設、暖地園芸総合指導センターの充実など、地域産業の高度化を図る数々の構想が次々と進められております。
 先日発表された昭和六十三年度の経済成長率は、全国平均を上回る五・五%の高い伸びを示しております。経済企画庁が発表した一人当たりの県民所得の増加率は、全国平均をはるかに上回る九・七%の全国一の高い伸びを示しております。もちろん、いっときの瞬間的な数値の高低により一喜一憂すべきではありませんが、しかしこの数字は着実に本県経済が活況を示していることを物語っているものと私は思うのであります。
 次代をにらんでの産業構造の変革と並んで、豊かな県民生活の基盤とも言える健康、福祉の問題についても、あなたは全国に誇り得る施策を実施してこられました。とりわけ、県民医療の中核となる県立医科大学の統合移転整備の着手を初め、高齢化社会がいち早く到来する本県の現状にかんがみ長寿社会総合対策指針を策定し、全国に先駆けていきいき長寿社会センターを設立して行き届いた老人福祉対策を総合的に進めておられます。また、余すところあと数カ月に迫った地対財特法の法期限後の対策を協議する国の地域改善対策協議会の委員として選ばれているのも、本問題に関する高い見識と福祉行政全般にわたる知事の豊かな実績に対する国レベルでの高い評価の証左と言えるものでありましょう。
 また、次代を担う人づくりについても、私立学校の積極的な誘致を初めとした高等学校教育の多様化、養護学校の建設、ことしからいよいよ着工の運びとなっている新美術館、図書館、博物館等、真に豊かな地域社会の創造のために全身全霊を注がれている知事であります。中でも、近畿大学の理工学部が世耕先生の多大の協力と知事の誘致への情熱により平成五年四月に開学されることとなり、県民の期待を集めているところでございます。
 時あたかも、時代の流れの指すところは、人間が生きていく上での根源的なものから、さらに高次元のゆとり、潤いなどを希求するライフスタイルの変化そのものであります。余暇時間の増大の中で、昨年承認を得た燦黒潮リゾート構想の推進による滞在型リゾートの整備、そして海洋リゾートの拠点である和歌山マリーナシティを主会場に計画されている世界リゾート博を契機として、ふるさと和歌山は、海、山、川の豊かな自然と、高野と熊野に代表される歴史、文化を生かした総合的な国民保養地として脚光を浴びようとしております。このことは、先ごろ和歌山、奈良、三重の三県で開催された紀伊半島観光立県推進地方会議においても大いに論議され、私たちはこのふるさとをさらに力強く誇りに思ったのでありました。
 以上、変革の時代の流れの中で、ふるさと和歌山が確かに躍動しているという実感を仮谷第四期県政の実績を追う形で述べてまいりました。
 本年三月に発表された和歌山県長期総合計画の第二次中期実施計画を見ても、紀淡海峡を横断する第二国土軸構想、二十一世紀の町づくりとも言えるコスモパーク加太、高齢化社会に対応する達者で長生き支援システムの構築等々、四十五ものプロジェクトが盛り込まれております。
 しかし、時代は今、激しいスピードで進んでおります。これらのプロジェクトの推進はもとより、なお数多くの努力すべき点も多い県政ではありますけれども、一面また和歌山県は、知事並びに県民の努力の積み重ねによって県政史上最も夢と希望の持てる時代に入ったと感じるのであります。そして、次なる飛躍を実現するためには、高速道路を初めとした道路網整備による紀南地方の発展、奥地山間地域における過疎化の問題など、均衡ある県土の発展や社会資本のより一層の充実を初め、加速度的に進む高齢化社会への対応、高等教育機関の充実、厳しい環境に置かれている農林漁業経営、新たな企業誘致と産業の高度化等々、まだまだ越えなければならないハードルとも言える多くの課題があることも事実であります。これらのことをなお一層強力に推し進めることが最も重要なことであります。
 私は、こういった総合的な施策の展開により、若者が戻ってこれる県土づくり、若者が定住できる県土づくり、これこそが今県政に求められる最大の課題であると思います。そして、これらの課題の克服、和歌山県の飛躍のための諸条件の整備と相まって、ゆとりと潤いといった真の豊かさを求める時代の流れの中で、自然の恵みあふれるふるさと、歴史と文化がはぐくんできたふるさと和歌山が再び表舞台に登場する絶好の機会が訪れようとしているのであります。
 次期県政は、まさに新しい和歌山の創造という重要な使命を背負っております。この使命を達成できるのは、今日までの豊富な経験とふるさとのあすを思う限りない情熱に裏づけられた知事、あなた以外にはいないのであります。
 伝え聞くところによりますと、既に知事のもとには県内各界各層より数多くの出馬要請が届けられ、さらに続々と推薦決議がなされていると承っております。これらの要請は、仮谷知事、あなたの四期十六年の実績に対する県民の信任のあかしであり、あなたの清潔、公正な人柄への県民の信頼のたまものであります。
 知事、将来の和歌山に対するあなたの抱負と、こうした県民の熱い期待の声にこたえ、大いなる和歌山のあすを切り開くための礎としてさらに四年間県政を担当するご意思がありやなしや、知事のご決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの藁科義清君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藁科議員にお答え申し上げます。
 ただいまは、藁科議員から私の実績について高い評価の言葉をいただきまして、まことに光栄に存ずるとともに、また恐縮いたしております。
 知事就任以来、今日に至るまで私なりに最大限の努力をしてまいったのでありますが、県政の執行に打ち込めましたのも、県議会の皆さん方初め、県選出の国会議員の諸先生、また市町村長さんを初めとする県民各位の温かい励ましと力添えがあればこそでございまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、「新しい時代にいどむ力強い地域産業の発展」、「健康で快適なくらしと生きがいのある福祉社会づくり」、「明日を担う人づくりと魅力ある文化の創造」という三つの基本目標を掲げさせていただき、皆さんのご支援のもとにその実現に取り組んでまいりました。その四期県政も、あと数カ月を残すばかりとなったわけでございます。
 振り返ってみますと、この四年の間、国際的には東欧諸国の民主化の問題、東西ドイツの統一、中東湾岸戦争の勃発など、また国内においては、激動の昭和が終えんを迎えたのを初め、政治や政治改革に対する関心の高まり、バブルに象徴される経済のソフト化や高齢化社会の進展、農産物の輸入自由化の問題、大きな衝撃となった出産数の低下など、まさしく時代の激しい変転を実感するとともに、国際化や先端技術による産業革新、さらに余暇時間の増大、価値観やライフスタイルの変化、多様化など、まさに新しい時代が到来しつつあると実感いたした四年間でございました。
 藁科議員のお話にもございましたように、こうした激しい時代の変化の中で、未来につながる事業の具体化、実現に努めなければならないということ、また県民にとって今何が必要なのか、今何をなすべきかといったことを常にみずからに問いかけながら、議員各位を初め県民の皆さんのご支援を得て懸命に県政を推進してまいったのでございます。四期県政総仕上げのときを迎えまして、そうした努力が着実に結びつつある現在、本県の躍進と新時代の実現への確かな手ごたえを感じておる次第でございます。
 しかしながら、県政を見詰め直すとき、産業の新たな形での発展や心のゆとり、潤い、そしてより快適な居住環境の整備など、さらなる施策の展開を求める県民の声が非常に大きく高まってきていることをひしひしと感ずるのでございます。
 今、藁科議員のご質問を拝聴しながら、政治家は夢を持たねばならない、目標を持たねばならない、しかしそれだけではなしに、現実の問題を的確に処理していくことが求められるのだ、それは単にテクニックを意味するのではなく、人間としての哲学、新しい時代の洞察、未来を切り開く勇気を持って与えられた今に全力を注ぐことが要求されるのだと、私自身、みずからにそうしたことを改めて問いかけていたのでございます。
 先ほどお話がありましたように、こうした時期に多くの県民の皆様方から出馬要請をいただきました。政治をなす者として感激いたしておりますと同時に、ふるさと和歌山県のさらなる飛躍をなし遂げるためになお一層奮闘努力せよとの叱咤激励をいただいておるのだと受けとめておる次第でございます。多くの要請をいただきました。また、使命を果たすべきとのお言葉をちょうだいいたしました。私は、皆様方のご理解とご協力を得られますならば、四期にわたる経験を生かし、和歌山県のさらなる発展のために五たび和歌山県知事選へ出馬いたしたいと、決意を新たにいたした次第でございます。
 政治をなす者は、常に未来に向けていかに政策を決断し、実行できるかということこそ問われるのでございます。この五選出馬に当たりましては、そうした覚悟のもと、初心に返って、なお一層公正にして清潔な県民に信頼される県政、参加と理解を求める県民に開かれた県政、生きがいと潤いに満ちたぬくもりのある県政、そして確かな展望と実行力のある力強い県政を推進してまいりたいと存じております。
 向こう四年の間に、和歌山県は関西国際空港の開港を迎え、また高速道路の国土軸への接続が実現することになります。世界各国から、日本全国から人々の新たな交流の場が和歌山県を舞台に展開されることが期待できるのであります。
 しかし、藁科議員のご指摘のとおり、二十一世紀を目前にして整備すべき数々の多くの課題がございます。プロジェクトもございます。人生八十年の時代を迎えて、県民の健やかで安らぎのある暮らしを実現する健康、福祉、教育、文化の施策を初め、紀勢自動車道や京奈和自動車道など高速交通ネットワークの早期完成、本県内陸部を有機的に結ぶ第二県土軸とも言うべき道路網の整備、力強い地域産業を育成するための先端技術の導入、また下水道等、生活環境の整備や自然環境の保全と活用など、各分野においてきめ細かく、また時代と県民の要請に即応した施策をさらに充実してまいる所存でございます。
 ふるさと和歌山県を高めること、世界に誇り得る心豊かなふるさとをつくり上げることに全力を傾注し、県民の皆さんの夢を、そして願いを実現するために、未来をしっかりとつかみ取る力強い政治を推し進めてまいる決意でございます。
 今後とも皆さん方のご支援、ご協力をいただきたくお願い申し上げますとともに、引き続き和歌山県の発展のために努力することをお誓い申し上げまして、藁科議員に対する答弁にかえさせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 8番藁科義清君。
○藁科義清君 ただいま仮谷知事から、五たび県政を担当いたしたいという力強い意思表明を受けました。
 私たち自由民主党県議団は、あなたの目的達成のために、ともに頑張ってまいる決意であります。どうか、これからも健康にご留意をいただき、あなたのふるさと和歌山を思う情熱が今後さらに発揮され、我々とともに県勢発展のため頑張っていただきたいと思います。
 以上で、私の再質問を終わります。
○議長(山本 一君) 以上で、藁科義清君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 和歌山下津港内にある住友金属工業和歌山製鉄所の西防埋立地をめぐる先日来のいろいろな新聞記事を通じての問題が、同時に県民、市民の多大の関心を呼ぶ中で論議が交わされております。
 この問題は、百七十六・五ヘクタールに及ぶ西防埋立地のうち第一工区を残し、第二、第三工区を事業者である住友金属製鉄所みずからが使用することが鉄鋼産業の時代の推移とともに不可能になってきたので、その土地利用についての見直しを行っていきたい、こういったことに基づき、LNG火力発電所の土地利用計画をも検討することを含めて発表されたものであります。
 そこで、この問題について質問を進めてまいりたいと思います。
 このたびの住友金属の西防埋立見直し及び和歌山市によるLNG火力発電所誘致の公表について、知事としてどのように考えておられるのか、お聞かせをいただきたいのであります。
 公有水面埋立法における免許庁の長としての立場、また県勢の発展と県民の福祉向上を図る県行政全体の首長としての立場があるわけでありますが、それぞれの立場からのお考えをお伺いするものであります。
 次に、この西防埋立計画については、ご承知のとおり、昭和五十五年六月に埋立免許を与え、その後、期間伸長の申請に対しては昭和六十一年八月に許可が与えられております。それぞれどのような審査がなされ許可が与えられているのか、過去の経緯についてもご説明をいただきたいのであります。
 私といたしましては、今回の見直しをこんな安易な形で公表したことからして、これらの審査に手落ちはなかったのか、あるいは配慮に欠けるところがなかったのか、お伺いを申し上げたいのであります。
 ご承知のように、住友金属和歌山製鉄所の生産高は相当以前から三百から四百万トンの状態が継続していましたし、内外の客観的情勢からも、九百二十二万トン体制に戻ることはあり得ないということが明白であったと思うのであります。この時点での見直しということも可能であったし、そうなければならなかったのではなかろうかと思うわけでありますが、少なくとも期間延長の申請をした昭和六十一年の時点においては、当然九百二十二万トン体制を見直す必要があったのではないかと思うのであります。
 今回の見直し公表は、正式な計画変更申請を将来行おうとする過程の一里塚であり、当然、この過程の中で事業者である住友金属は県行政に相談をし、県行政の指導を受けながらなされたものであると判断するのが常識でありますが、こうした常識から住友金属のこの公表に対する知事コメントには、私は大いに違和感を抱くものであります。同じような思いを抱いている県民も多いと思いますが、私と県民に対するご説明をお願い申し上げます。
 また今後、計画の変更がなされる場合には、公有水面埋立法に基づきどんな手続が必要であるのか、許可に当たってはどのような基準で審査をされることになるのか、お尋ねをいたします。
 今回の住友金属の公表のごとく、もし西防埋立地のうち第二、第三工区を事業者みずからが使用しないで第三者に譲渡することとなったときは、事業者が不当な利益を得る場合あるいは譲渡される者が不当な利益を得る場合が考えられるわけであります。もっとも、公有水面埋立法においては、かかる際は不当な利益を得てはならないと定められているようでありますけれども、現実にどのようにして不当な利益を得る者をなくしていくか、そのための措置を講じていくのか、どんなポイントをチェックするのか、お伺いするものであります。
 またその際、第二、第三工区のでき上がった土地の原価──コストは基本となる数値でありますが、この原価はどのようにして積算をするのか、ご説明いただきたいのであります。
 また、住友金属の第二工区、第三工区を譲渡することを含めた見直しが現実のものとならんとすれば、その土地利用計画については、当然あらゆる観点から吟味されるべきであります。和歌山の産業活性化に今、何が最もふさわしいか。選択範囲はLNG火力発電所だけではありますまい。県民、市民の慎重な検討を経ず、ひとりLNG火力発電所だけが先行すべきではないと思うのであります。長期計画において和歌山県のあるべき産業構造を明らかにして、重厚長大型産業の偏りから加工組み立て型工業を中心とした均衡ある産業形態を志向しているにもかかわらず、県として意欲ある提言はないのか、非常に寂しく思うものであります。
 そこで、住友金属の第二工区、第三工区の土地利用について、譲渡が法律上許される範囲での土地利用のあり方を県も参加して検討することは可能であると思うがどうか、また例えば、ある時点で適当な土地利用を県が考え、土地を買い取るということも法的に可能であると思うがどうか、お伺いをするものであります。
 次に、環境問題についてであります。
 公害発生源を沖出しすることによって環境を改善するという埋立申請の趣旨の上からも、また付近住民に対する住金のかつての説明からも、環境改善というものは目的とした環境基準の数値をクリアするだけで十分であろうか。この住民との約束は、環境の数値だけではなく、その姿をも含めたものではなかったか。公害発生源の沖出しをやめるとすれば、数値のいかんにかかわらず住民への約束違反ではないか。ちなみに、過去数年と現在の年月日単位の環境基準の数値についてお教えをいただきたいのであります。
 さて、現在、和歌山県と和歌山市を甲とし、住友金属和歌山製鉄所を乙として、甲乙両者の間に公害防止協定が交わされております。これは、住友金属和歌山製鉄所が粗鋼生産九百二十二万トン体制のもとで、それを基準として交わされた公害防止協定であります。今回、乙である事業者みずからが粗鋼生産三百万トン体制と公表したのでありますから、その三百万トン体制を基準として協定を改め直す必要があると思うが、対処方をお伺い申し上げます。
 少なくとも、そのために甲乙両者が協議のテーブルにつくことができるよう、その準備態勢を整えるべく直ちに甲は乙に対して申し入れるべきであると思うがどうか。県民の環境を守る立場から明確な答弁をお願いするものであります。
 次に、和歌山下津港の港湾振興についてであります。
 この問題については何回となくこの場で当局の考えをただしてきたところでありますが、平成三年は、昭和六十一年を初年度とし、昭和七十年すなわち平成七年までの十年間とした和歌山下津港港湾改定計画のちょうど後半の実施初年度でもございますし、また一方、国の方から言いますと、第七次港湾整備五カ年計画を終わり第八次港湾整備計画の初年度にも当たりますので、過去に整備されてきたいろいろな施設とその活用、現在整備中のものとそれらの問題点、そして後半に予定されているものとその準備の進行程度や問題点についてお伺いをしておきたいと存じます。魅力ある港湾をつくらんとする意欲ある答弁をお願い申し上げるものであります。
 その中でも特に本日は、一、和歌山下津港の広報宣伝活動について、二、港湾関連企業との連携について具体的にお聞かせをいただきたいと存じます。
 港湾振興というのは非常に幅広くとらえねばなりませんし、その地域を配慮したユニークな対策も必要でありますが、まず、和歌山下津港においては対外的なPRが極めて不足していたというより、今までほとんどなかったと申し上げても過言ではありますまい。
 去る昭和六十三年十二月議会において、他県の取り組み事例も紹介し、その一つとして、せめてポートニュースの発行をと促したのでありますが、本年四月「和歌山下津ポートニュース」第一号が情報機関紙として発行されました。この点については高く評価するものであります。内容は、和歌山下津港の歴史や港湾施設の整備状況、貨物量の統計、港湾に関する新しい話題と港を理解していただくための記事となっております。港の情報を県民、市民や港湾関係者、そして他府県にも提供していくことが港湾振興の第一歩でありますが、その配付先、今後どのような形で進めていくのかについて、改めてお伺いを申し上げます。
 次に、港湾関連企業との連携についてであります。
 港湾の振興は施設の整備とその利用の促進が両輪となって推進されていくものであり、つまり利用者にとって使いやすい港づくりが必要であります。当然のことながら、そのためには利用者の声、意見をよく聞き、反映していくことが何よりも肝要であります。
 現在、和歌山下津港には和歌山港運協会、和歌山県海運協会、和歌山港運営協会、和歌山下津港整備促進協議会、和歌山港振興協会等の関連団体があります。これらの団体が自主的に、かつ活発に活動しながら港湾管理者とともに港の発展を図るべきであり、当面はそのためのお世話を県当局がすべきであると主張してきたところでありますが、やっと先日来、港湾利用者の方々との意見交換会、懇談会を開催されたと聞き、遅まきながらも非常に意義のあることと評価はいたしております。
 そこで、それらの会議において利用者よりどのような意見が出されたのか、それらをわかりやすく整理して具体的にお教えをいただきたい。また、県としてそれに対する取り組みをどうしていくのか、今後、このような企業や団体との永続的な連携をどんな形で深めていくのか、また港湾振興には和歌山市、海南市、下津町、有田市等の関係市町の自主的、積極的な理解と取り組みも不可欠であると思うが、県としての具体的な対応方針をお示し願いたいのであります。
 次に、産業廃棄物についてであります。
 知事は、今、「五期目の次期県政を担当する」と、謙虚ではありますが自信を持って決意表明をされたところであります。今までまかれてきたいろいろの種が開花しようとしておる。その花が鮮やかであればあるほど、同時にそのことは産業廃棄物をどのように処理していくかということが五期県政の最も重要な課題となるということでもあります。五期県政を担当するという表明は産業廃棄物をどう処理していくかということでもあり、もちろん企業者みずからの責任においてという法的な原点は押さえながらも、知事としてどのように対処するかという表明でもなければならないと思うのであります。
 そこで、知事にお伺い申し上げます。
 環境保全公社の今日までのあり方と時代の要請にこたえて、当然その果たす役割もより積極的に対応すべきであると思うが、中間処理、最終処理を含めてどのような役割を新しく果たしていこうとするのか、具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。
 次に、平成八年八月をもって和歌山環境保全公社の西防埋立地における処分は終結することとなるのでありますが、その後の処分地、処分法についてどうするのか、過去の経緯から、中間処理も含めてお尋ねをいたします。
 かつて、その処分地として三十ぐらい候補地があったと聞いておりますが、現在は四カ所ぐらいに絞られておる。問題の性質上、具体的な地名はどこかということをお聞きすることはいたしませんけれども、他府県の例を見ても、また担当課の見解からも、少なくとも処分地を一つつくり上げるには最低五年かかるということであります。今から始めても五年たてば平成八年になるわけでありますから、本年度中に地区の同意を求められるよう努力しなければならないのであります。
 そこで、その手だて、順序、システムやスケジュールをお知らせ願いたいのであります。
 一方、和歌山県はフェニックス計画にも参加しており、この計画に出資金も出しているのでありますが、これは処分地に困る、処分地をようつくらんといった場合の担保を今日確保していますが、今後も処分地は複数箇所持っておることが望ましいという点からも、また平成八年八月までに新しい処分場が万一完成しなかった場合に備えるという立場からも海上運送のできる積み出し基地が必要であるが、どのように考えておるのか。
 さらにまた、第九次港湾整備計画での処分地確保や海上積み出し基地の確保も考えていかねばならないと思うのでありますが、その意欲のほどをお尋ね申し上げます。
 最初の質問で申し上げたように、平成八年八月以後は住友金属工業和歌山製鉄所自身の産業廃棄物いわゆるノロの捨て場としての廃棄物の処理地も必要となるわけですが、これらを含めた全体計画というものをお考えいただきたい。言うまでもなく、企業みずからの責任において処理するという法的原則を踏まえ、企業としての住友金属の役割分担も考慮に入れて、県全体の処理方についての基本的な考え方をお示しいただきたいと思うのであります。
 最後に、暴力団に対する新法のもとでの対策についてお伺いをいたします。
 昨年六月、大阪において一般市民が暴力団の対立抗争事件に巻き込まれて死亡するという衝撃的な事件が発生いたしまして、さらに早くもその半年後の十一月には沖縄において高校生が対立抗争で死亡する、また警察官二名が殉職するという痛ましい事件が発生したことは記憶に新しいところであります。
 本県においても、山口組系暴力団の進出が目立つなど、暴力団をめぐっては厳しい情勢にあります。特に本県では、平成五年開港に向けて関西国際空港、毛見沖のマリーナシティ建設、田辺湾総合リゾート開発等、大型な開発プロジェクトが進められているところであり、これらの利権に目をつけた暴力団の暗躍があるやに仄聞をいたしておるのであります。
 こうした情勢の中で、さきの通常国会において、いわゆる暴力団対策法が全会一致で可決成立いたしました。我が和歌山県議会においても本年二月県議会でこの法律の制定に向けた決議を行ったいきさつもあり、新法の施行に強い関心と期待を持っておるものであります。
 この法律の背景には、暴力団が暴力を圧力として市民生活や企業の経済活動に介入する事案が最近激増しているにもかかわらず、それが巧妙な手口により犯罪とならないような形で行われるために警察としてはなかなか対処が難しい、また山口組等大規模な暴力団が勢力を伸ばす過程で各地において発砲を伴う対立抗争事件が頻発しているのに、そうした抗争の拠点となっている組事務所の使用制限ができないという現況から、現行法の隘路を少しでも克服しようとして成立したものでありますが、県民の安全を守る立場から、この新法の最大限の活用こそ緊急の課題であろうと思うのであります。
 そこで、警察本部長にお伺い申し上げます。
 まず、県下の暴力団の情勢とその分析をお知らせいただきたい。
 次に、今回の暴力団対策法の施行によって県民生活の安全を守る上で具体的にどのような効果が期待されるのか、お伺いを申し上げます。
 さらに、今後そのためにとるべき対応策として、とりわけこの新法では警察と民間が力を合わせた暴力団排除活動を行えるようにするための暴力追放運動推進センターを指定することになっております。私の調べたところでも、既に八県において暴力団追放を目的とする財団法人が設立され、他の府県においても設立の準備が進められているようであります。また、設立された八県の実態を見ますと、その財政基盤は県拠出金、市町村からの拠出金、民間企業からの寄付の受け入れ等によって平均六億円の基金と、理事など四名から五名の体制によって運営されているようでありますが、和歌山県警としてどのような組織を考えているのか、地形や地域の事情に合わせて和歌山県警方式とも呼べる独自の工夫があるのか、具体的設置構想について所見をお伺い申し上げて第一回目の質問を終わりたいと存じます。
○議長(山本 一君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 和歌山下津港における住友金属の西防波堤埋め立てについてでございます。
 このたびの公表は、和歌山市と住友金属が西防埋立地の土地利用計画の見直し検討をしたいというものでございます。本年五月、県に対してそれぞれから話があった際、住友金属に対しては、このたびの土地利用計画の見直しについては、鉄鋼情勢の影響があるとはいえ極めて遺憾なことである、見直しを進めるに当たっては、これまでの経緯あるいは企業責任を踏まえて、地域の活性化を図るべく最大限の努力をするように伝えたところでございます。また和歌山市に対しては、今後の検討に当たっては市の将来を展望し、長期計画に位置づけをすること、特に電源立地については環境アセスメントが非常に重要であるため、これをクリアすること、並びに地元を初めとする関係者の皆さんの十分なご理解を得る必要がある旨伝えたところでございます。
 知事といたしましては、話ございましたように、機関委任者としての知事、また地方自治体の長としての知事の立場があるわけでございます。申請があった場合においては慎重に審査、検討をしてまいりたいと存じます。
 それから、議員から提案のあった県が買ったらどうかという問題等については、不可能な問題ではなしに、考えられることだと思っております。現在、土地利用計画の見直しについては市と企業において検討を始めておりますので、当面は見守ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、本件については公有水面埋立法に基づいて厳正に判断してまいりたいと考えております。
 なお、手続等の問題については土木部長から答弁いたします。
 次に、産業廃棄物についてでございます。
 お話ございましたように、産業廃棄物というのは、産業振興、環境保全の面において極めて重要であり、現在、国会においても法改正について検討を加えられておるわけでございます。産業廃棄物は企業責任ということでございますけれども、本県では第三セクターの環境保全公社によって廃棄物の処理を行い、和歌山北港の埋立地において最終処分を行っているところでございます。
 しかしながら、今後の産業廃棄物処理を進めるに当たり、環境保全公社の役割、また後継処分場対策について検討するため環境保全公社に検討委員会を設置し、組織、人員配置等についてもこのたび考えたところでございます。今後とも、積極的に対処してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 住友金属西防埋立地について、まず当初の免許及び期間伸長に当たっての審査並びに今回の変更に伴う手続についてでございます。
 西防波堤沖埋立計画は、昭和五十三年八月、住友金属から申請が出され、免許庁として公有水面埋立法に従って、国土利用上、適正かつ合理的であること、環境保全及び災害防止について十分配慮していること、埋立地の用途が土地利用または環境保全に関する国または地方公共団体の法律に基づく計画に違背しないこと等についてチェックするとともに、具体的に埋立必要理由、設計概要、資金計画等に関し厳正な審査を行い、国の認可を得て昭和五十五年六月に免許したものであります。また昭和六十一年七月、住友金属から、粗鋼減産及び廃棄物再利用率の向上に伴う自社廃棄物の減少、公共廃棄物の減少により埋立工程がおくれ、竣功期間の伸長申請がございましたが、免許庁として埋立材の搬入状況及び今後の見通し等、申請内容について厳正に審査を行い、やむを得ないものと判断して、国の認可を得て同年八月に許可したものでございます。
 なお、今般の件について、事業者である住友金属において見直し検討の結果、埋立変更申請が提出された場合、その内容によって公有水面埋立法に基づく手続は異なるものでありますが、いずれの場合であっても変更内容について厳正な審査が必要であり、その際、特に今後の鉄鋼生産計画等については慎重な審査が必要と考えております。
 次に、処分価格に対する県の考え方でございます。
 埋立地を処分しようとする場合は、公有水面埋立法に基づく手続を必要とし、同法において、やむこと得ざる事由があること、権利を移転しまたは設定しようとする者がその移転または設定により不当に受益せざること等定められており、この点を重点に審査を行うこととなります。
 議員ご指摘の譲渡価格の件に関しては、特に造成原価について十分な分析を行う等、慎重な判断を必要とするものであり、必要に応じて認可庁等とも相談しながら、慎重の上にも慎重な審査を行うべきものと考えております。
 次に、和歌山下津港港湾振興について。
 まず、和歌山下津港の港湾整備についてでございます。
 和歌山下津港については、昭和六十年改定し、その後、一部変更等を行っておりますが、現在、おおむね平成七年度を目標年次とする和歌山下津港港湾計画に基づいて整備を図ってきております。
 これまで、昭和六十一年度を初年度とする第七次港湾整備五カ年計画において、青岸地区埠頭の第一工区は平成元年度に完成し、建設資材等を取り扱う岸壁として供用しており、和歌山マリーナシティや本港地区のマイナス十二メーター水深の大型岸壁埠頭については現在整備を進めつつあります。また、雑賀崎地区の埠頭、都市再開発用地造成事業も平成二年度に着工しております。
 議員のお話にもありましたように、本年度より第八次港湾整備五カ年計画がスタートしますが、同計画において、それぞれ貨物動向の分析、事業方式の検討、地元関係者との調整等の課題に取り組み、西浜地区埠頭の拡充及び青岸地区第二期工事や木材港再開発、紀の川右岸臨港道路整備等について事業化及び事業促進を図ってまいります。
 次に、和歌山下津港の広報宣伝活動についてでございます。
 流通港湾としての機能を高めようとする場合、和歌山下津港を広く知っていただくことが必要であることは、議員ご指摘のとおりであります。
 このための方策の一つとして本年四月に発行した「和歌山下津ポートニュース」は、県民、市民に港を深く理解していただくこと、県内の港湾関係者に情報を提供すること、県外企業への幅広いPRを図ることなどを目指して作成したもので、港湾関係団体や国の地方機関に配付するとともに、県事務所等、県内主要出先機関及び東京事務所等にも配付しているところであります。これについては、和歌山下津港を広く理解していただくため、今後定期的に発行し、和歌山下津港のPRに努める予定であります。
 その他、港湾の紹介パンフレットの作成や毎年七月二十日に実施されている港まつりの花火大会等を通じて多角的なPR活動を行っていきたいと考えております。
 次に、港湾関連企業との連携についてでございます。
 港湾利用企業及び団体等との意見交換会において、埠頭施設の利用、木材港の将来、海域利用、港湾をめぐる行政の対応、ポートセールス、港湾の将来像等、多様なご意見が出されております。これらの中には、長期的に取り組むべき課題や施設整備の課題あるいは運営上の課題があります。今後、これらの課題について、企画部や商工労働部等関係部局と協議、連携を図りながら、港湾管理者として対応すべき課題あるいは利用関係企業と一体となって対応すべき課題等に整理、検討し、対応してまいりたいと考えております。
 特に、議員ご指摘の関連企業との連携については、港湾の振興に関しての意見交換や研修の場を定期的に設けることとあわせて、個別の利用者との間での具体的な意見交換を図るなどして港湾振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 和歌山下津港の住友金属西防埋立地についてお答えを申し上げます。
 住友金属工業周辺における環境の状況について、降下ばいじんで見ると、計画策定時の昭和五十年度で月間最高値二十・六トン・パー・平方キロメートル・パー・月が昭和六十二年度は十二・二トン、昭和六十三年度は十・六トンとなっており、平成元年度は七・三トンと、県の行政目標値十トンを満足しております。悪臭については、アンモニア濃度で見ると、昭和五十年度○・四ppmが平成元年度で○・○三ppmとなっており、周辺居住地の規制基準一ppmを満足しております。また排出量については、公害防止施設の整備、生産量の減少などによって、窒素酸化物で見ると、昭和五十年度の時間当たり千五十五ノルマル立方メートルが平成元年度で四百五十一ノルマル立方メートルとなっており、環境改善目標六百三十ノルマル立方メートルに適合しております。
 次に、公害防止協定の見直しについてでございます。
 公害防止協定については、昭和四十六年に締結して以来、昭和四十八年から昭和六十一年にかけて、硫黄酸化物の総量規制の実施や高転炉滓処理場の移転などの際に四回の見直しを行ってきたところでございます。
 今後の公害防止協定の見直しについては、同じ甲の立場である和歌山市と連絡をとりながら早期に検討を開始してまいりたいと考えております。
 産業廃棄物についてでございます。
 和歌山環境保全公社が現在使用している和歌山北港埋立地の廃棄物最終処分場は平成八年八月まで使用できることとなっておりますが、後継処分場を確保するため、環境保全公社において平成元年度から産業廃棄物最終処分場適地検討委員会を設け、調査、検討を実施しております。その結果、現在、候補地の絞り込みを行っておりますが、廃棄物の最終処分場の確保については処分場設置場所周辺地域の理解と協力が必要不可欠であり、今後、地域調整を図って平成八年八月までに後継処分場をオープンできるよう、環境保全公社ともども努力してまいりたいと考えております。
 また、中間処理を含め産業廃棄物の処理については排出事業者の責任において適正に処理すべきものでありますが、公共関与による処理については、今後、環境保全公社の果たすべき役割について検討をしていくとともに、各種開発計画等の中で処分場が確保できるよう関係各方面に要請してまいりたいと考えております。
 また、フェニックス計画への対応についてでございますが、本県における公共関与の処分場としては、環境保全公社の処分場と大阪湾圏域広域処理場整備計画いわゆるフェニックス計画がありますが、環境保全公社の埋立地については現在稼働中であり、またフェニックス計画については埋立地が二カ所計画され、尼崎沖処分場については平成二年一月から受け入れを開始し、泉大津沖処分場については平成四年初めから受け入れが開始される予定であり、処分開始後六年間で終了する計画であります。この処分場への廃棄物の搬入については海上輸送することとなっておりますが、その場合の積み出し基地については和歌山下津港内の港湾施設を利用したいと考えております。今後、必要に応じて港湾計画の中での位置づけをお願いしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) お答え申し上げます。
 まず、県下の暴力団情勢でございます。
 県下の暴力団の団体数は、平成三年六月現在、五十九団体、構成員の数は約八百人となっており、そのうち山口組系暴力団は団体数で四十四団体、構成員数で約五百九十名といずれも全暴力団の約七三%を占めており、全国的傾向と同じく山口組の寡占化傾向が著しいものとなっております。
 次に、ご質問の暴力団対策法の施行によって県民生活にどのような効果があるのかということでございます。
 まず、これまで暴力団が行う資金源活動によって県民が迷惑、被害をこうむることが多く、かつその形態としては、議員ご指摘のとおり、従来の法制度では恐喝、脅迫等の犯罪とはならない巧妙な金品の不当な要求などが多かったのですが、これが規制されるということです。
 例えば、暴力団員からみかじめ料の要求を受け、おどし文句はなかったが、相手が相手だけに嫌々ながら金を出してしまったケースなどは、まさにこの法律の規制の対象となります。さらに、こうしたケースでは、公安委員会が被害の回復を側面から援助し、被害者が救済される効果が期待されます。また、対立抗争事件発生時、公安委員会が事務所の使用制限を命じることによって直接的に抗争の拠点を封鎖することができるようになりますし、抗争事件の発生時以外でも、事務所やその付近における暴力団員の乱暴な言動、他人に不安を覚えさせる物品の掲示、威迫のための事務所の使用などを禁止し、地域住民の不安を取り除くことができることとなります。
 次に、法律施行に向けて県警としてとるべき対応策でありますが、警察が行う暴力団対策は、暴力団員の大量反復検挙、資金源の封圧、けん銃等の武器の押収といった取り締まり活動と、暴力団を各種地域、職域から排除していく暴力団排除活動とを二つの柱とした対策であります。暴力団対策法は、このうち特に資金源の面から暴力団を圧迫することを主眼とするものでありまして、これが有効に活用されればかなりの効果が期待できるものと確信しているところであります。
 県警としても、この法律の実効性を確保するための諸準備を当面の緊急課題として受けとめ、特に先ほど申し上げた各種の規制も暴力団を指定暴力団として指定しなければ働かないため暴力団の指定のための準備に力を注ぐとともに、さらには公益法人としての暴力追放運動推進センターの設立準備等の法律の施行に向けた取り組みを組織の総力を挙げて行っているところであります。
 最後に、暴力追放運動推進センターの設置構想であります。
 この法律では公安委員会による暴力追放運動推進センターの指定が予定されており、議員ご指摘のとおり、既に八県においてこのセンターとして指定することができる公益法人が設立され、他の府県においても設立の準備が進められているところであります。指定に当たっては、その組織が公益法人であること、相談事案等に対応する専門的知識を持った暴力追放相談員が置かれていること、広報活動、講習、見舞い金の支給などの各種事業を行うことなどが求められておりまして、これに必要な財政的基盤があることが要件とされております。
 こうした要請を踏まえ、近く県警内に暴力団対策法施行準備室を設置するなど体制の整備を図るとともに、この種の組織については最初にどのような体制で出発するかがその後活動する上で重要でありますので、本県にとって最も望ましい組織の設立のために県警としては何をなすべきなのかを十分検討した上、設立に向けた諸準備を進めることといたしております。
 しかしながら、いずれにせよセンターの設置に当たっては相当の財政的、人的基盤が求められるところであり、予算措置も含め、県当局を初め関係機関、関係団体、県民各層のご理解をいただきながら、県民のご期待に沿えるようなセンターの設立に向けて努力してまいる所存であります。
 最後になりましたが、議員初め県議会の皆様方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 14番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 西防埋立地については、新聞に公表されて以来、自民党県議団内においても勉強会を持つ中でいろいろな意見が出てまいりました。
 常識で考えますと、事業者が民間企業である場合、見直しそのものができるのかどうか、全国にそんな例があるのかどうか──東京都が変更しておるようでありますが、これは東京都という公共団体がみずからの計画、みずからの事業の中でしたことでありまして、和歌山県の例にはならない。そういうような例があるのかという質問も出ましたし、それからまた、見直しできる見通しが立ったとして、それではその後どうするかということをいろいろな角度で検討していくというのが普通考える手順ではないかという質問などもありました。しかし、公有水面埋立法においては、見直しと同時に後の土地利用計画がどのようにされるのかということを一体として書類を申請しなければならないことになっておるようでありまして、いずれそういった運びが出てこようかと思うわけであります。
 こういった素朴な、まことに当然ないろいろな疑問、そういうものが我々議員の間にも県民の間にもあろうかと思います。厳正の上にも厳正をもって対処していただくことを心からお願い申し上げるものであります。
 港湾振興の中で「和歌山下津ポートニュース」の発行について評価したのでありますが、私はかつても申し上げたように、小学生などが港をかいた絵を展示したりしているのを余り見たことがない。それだけ子供たちに親しまれておらない。発展する港というのは子供たちにとっても絶好の興味の対象となるところでありまして、そういった親しみを抱きながら成長する子供こそがふるさとの港湾振興に大きな力になっていくというのは当然のことであります。
 そこで、やはりこのポートニュースを小学校、中学校等の未成年の方々にも提供していくという配慮ぐらいはされてしかるべしと思うのであります。その点も加えて要望させていただき、質問を終わりたいと思います。
○議長(山本 一君) 以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十八分休憩
 ──────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、西防波堤沖埋立計画の見直しに関してお尋ねをいたします。
 西防の埋立計画については、住友金属工業株式会社が公害発生源となる設備等の沖出しにより環境改善を図る目的で、昭和五十三年八月に公有水面百七十六・五ヘクタールの埋立免許願書を提出、昭和五十五年六月に和歌山県より免許が与えられました。工事は、第一工区五十六・五ヘクタールが昭和五十八年十一月に完成、昭和六十一年七月に工事期間の延長申請が提出され、現在では第二工区八十五・三ヘクタールが平成四年八月に、第三工区三十四・七ヘクタールが平成八年八月に完成する予定であります。
 本年の五月に住友金属から、和歌山製鉄所の粗鋼生産水準を現状の年産三百万トン体制で生産を続けるということで沖出しを中止し、現敷地内の生産で当初目標とした環境改善目標値の達成が可能として埋立地の利用計画の見直しを行い、新たに物流基地や和歌山市より誘致要請のある関西電力のLNG火力発電所等を含めた利用計画の見直しをしたい旨の発表がありました。さらに六月には、約三百億円を投じてコークス炉三基に粉じん処理装置を設置し、公害防止施設の整備をするとの計画も発表しております。
 一方、関西電力では、今後の電力需要の増加を予測して、西防埋立地の第二、第三工区の約百ヘクタールを火電立地用地として購入する方針を固めた旨の新聞報道がなされております。
 火電誘致を目指す和歌山市長は、住友金属が三百万トン体制であれば公害の環境目標を今後も守る見通しがついたとして、埋立地での公共性の高い火力発電所の設置により経済的な波及効果を期待しております。
 知事は、和歌山市と住友金属の西防埋め立てに関する今回の発表に対して、今後、計画変更の申請があれば公有水面埋立法に基づく審査を行って判断するとコメント、住友金属に対しては、極めて遺憾とし、和歌山市に対しても、電源立地については環境アセスメントをクリアすることと市民の十分な理解が必要と述べてきているところでございます。
 そこで、埋立免許権を有する住友金属より発表のあったLNG火電を含めた第二、第三工区百二十ヘクタールの埋立地の利用計画の見直しによる利用目的変更について、免許庁に当たる知事のご見解をお尋ねいたします。
 次に、埋立地の譲渡及び埋立免許権の譲渡についてお尋ねをいたします。
 埋立地の所有権の移転については、公有水面埋立法第二十七条で知事の許可を受けなければ十年間は移転できないものとなっております。また埋立免許権の譲渡については、同法第十六条に知事の許可が必要とあります。
 本県においては、昭和六十四年一月にマリーナシティ用地として和歌山県が四十八・三ヘクタールの免許を得、その後、平成元年十二月に七・一ヘクタール分を和歌山マリーナシティ株式会社に権利譲渡しております。そのため、和歌山マリーナシティ株式会社から県に対し、同法十二条により評価額の百分の三に当たる免許料一億三千九百万円を平成二年一月に支払われてきております。
 そこで今回の西防埋立地の場合でございますが、公害の沖出しという目的から、民間の公有水面埋め立てでは国内最大級の百七十六・五ヘクタールの埋立免許権が認められ、免許料として住友金属より十三億九千八百五十三万円が県に支払われてきております。住友金属の沖出し中止による使用目的変更の概要は、第二、第三工区百二十ヘクタールから公共帰属及び寄附分を除いた約百ヘクタール分が対象であるため、平成四年八月に完成予定の第二工区は所有権の譲渡として、平成八年八月完成予定の第三工区は埋立免許権の譲渡もしくは完成後に所有権の譲渡のいずれかになると予測されます。新聞報道では関西電力の購入価格は数千億円にも上ると言われておりますが、住友金属側が沖出し中止のため埋立地の譲渡により多額の営業外利益を計上するとすれば、大変問題となります。また、逆に関西電力側が格安の工業用地を取得したとしても、これもまた問題でございます。本来、公有水面は県民の財産との観点からすれば、埋立地の利用目的の変更により特定企業のみが利益を受けることは問題が残ると思います。
 そこで、住友金属が利用変更を求める埋立地については県が引き取り、適正な価格で所有権の譲渡を行うか、また第三工区の免許権の譲渡については、県が免許権を受けて完成することが県民の利益につながると考えますが、知事のご見解をお尋ねいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 文部省は、平成元年三月に高校の学習指導要領の改訂を行い、平成六年から学年進行をもって実施するとしております。今回の改訂では、従前の女子のみの家庭一般四単位必修の扱いを改め、男子も必修とし、家庭一般、生活技術、生活一般からいずれか四単位をすべての生徒が履修することとなりました。これに関連して、全日制普通科の男子については、体育では十一単位を下らないが九単位を下らないに変更、また生活一般の特例として、当分の間、特別の事情がある場合は、二単位については体育、家庭情報処理等をもって履修にかえることができるとなっています。
 本県の場合、平成六年実施に向け、家庭科の施設、設備等の充実及び教職員の配置をどのように進められるか、教育長にお尋ねをいたします。
 次に、高校における学級数及び定員の問題についてお尋ねをいたします。
 本県における中学校卒業生徒数は、平成元年度をピークに毎年減少し、来春は今年より七百六十三人少ない一万五千二百十六人となる見込みであります。この傾向は今後も続き、平成五年度は六百二十三人減、平成六年度は百六十八人減と、平成九年度まで毎年減少が続きます。このため高校の学級数も、全日制高校で単純計算を行うと、来春は約十三学級減、平成五年度はさらに約十学級の減となる見方もございます。さらに、最近の傾向として、県立への進学率が平成元年度八一・二%、二年度八一・○%、さらに三年度は八○・五%と、わずかずつではございますが減少してきております。今後、生徒数の減少期を迎え、量より質の向上の時代に入るわけでありますが、教育委員会でも高校再編長期策定本部を設置し検討しているとのことでございます。
 そこで、一、今後の高校の学級数及び定員をどのように定められるのか、二、今年の高校入試において全日制で六百七十三人、定時制で六百五十人の欠員数を出したわけでございますが、来年度の募集定員はどのように考えておられるのか、三、高校教育の改革として総合的な新学科の創設を挙げていますが、どう検討されるのか、以上三点、教育長にお尋ねをいたします。
 次に、大学進学対策についてお尋ねをいたします。
 本県の大学進学率は、昭和五十年の進学者四千七百人で三九・六%をピークに減少し、昭和五十七年には進学者四千八十四人で三○・四%と全国平均三○・九%を下回るようになり、平成二年度は進学者四千四百九十六人で二九・二%となっております。これを近畿の二府四県で比較すると、滋賀県三五・五%、京都府三三・八%、大阪府三一・五%、兵庫県三九・四%、奈良県四○・三%と、本県が大きく下回っております。
 この原因については、本県には大学が少ないということがまず考えられます。さらに、時代の多様化により専修学校、各種学校への進学者が年々増加し、平成二年度では大学進学者に接近しつつあります。しかし、この十年来の高校卒業生の急増期を迎えても大学進学者が四千人から四千五百人台であるという点、一考を要するのではないでしょうか。最近は、大学進学率の向上を目指して補助金を出す府県が増加し、今年も青森県、埼玉県、千葉県など六県が新規事業として実施し、現在、二十二府県で何らかの形で府県費による補助金が支給されております。本県においても、進路指導のための他府県の視察や情報資料の作成など、多くの場合、父母負担となっております。
 そこで、一、大学進学率の低下してきたことを教育委員会はどのようにとらえておるのか、二、大学進学率向上対策として今後どう取り組まれるのか、三、大学進学対策として県費による補助金の導入についてどう考えられるのか、以上、三点お尋ねをいたします。
 次に、下水道事業についてお尋ねをいたします。
 本県の下水道の普及率が全国最下位のため、そのおくれについては今日まで議会において何回も指摘されてきたところでございます。普及率のおくれの原因については、一般に海に恵まれた県や市町村は下水道の必要性を余り意識しない場合が多く、普及率が一○%に達していない県は徳島県、島根県、三重県と長い海岸線を持つ県ばかりでございます。また本県の場合、県都和歌山市における公共下水道事業については、昭和四十六年に公害国会において水質汚濁防止法が制定されて工場排水の規制が行われることになったため昭和四十七年に本格的な計画決定がなされ、また処理場用地六万平米を取得するのに七年間を要し、昭和五十九年にやっと一部供用開始となるなど、スタートのおくれが大きく影響してきております。しかし、水質汚濁防止法施行二十年を経過した今日、水質の悪化は工場排水から家庭の雑排水が問題と意識変革が進み、人間が汚した水はきれいにして自然に返すとの考え方から、自然環境を大切にすることはまず家庭からとの声が聞かれる昨今でございます。国においても、昨年の日米構造協議で公共投資十箇年計画の中で四百三十兆円を見込み、本年度の国の予算においても生活関連公共事業費として別枠で千七百五十億円が計上されるなど、下水道事業を推進する好条件が整ってきております。
 こうした中、和歌山市では北部公共下水道事業の計画決定に重要な位置を占める処理場用地の取得が地権者との間で合意ができ、日量十万トンの計画決定を平成三年度中に行う運びと聞いておりますが、計画決定、事業認可の見通しはどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
 次に、紀の川流域下水道事業についてであります。
 昭和五十五年二月に、計画処理面積二千八百三十五ヘクタール、計画人口十二万一千四百人を対象に日量十万四千トンで計画決定がなされ、同年三月に計画処理面積六百九十五ヘクタール、計画処理人口二万六千二百八十人、日量二万六千トンで事業認可を受け事業を進めてきております。昭和六十三年七月には紀の川流域下水道建設事務所を設置し、本年も当初予算で二十五億三千九百六十四万三千円を計上、用地取得特改でも前年より二十一億一千百五十万円増の三十一億一千百五十万円が計上されているところでございます。しかし、計画決定後十一年目を迎えながら、伊都浄化センター用地十九・四ヘクタールが未買収であり、幹線工事の進捗状況は十三キロメートルに対して四・八キロメートルの三六・九%で、今後、面整備を考慮に入れると平成七年の供用開始は大変危ぶまれるところでございます。さらに那賀処理区については、計画処理面積千九十ヘクタール、計画処理人口八万四千人、日量九万二千トンの流域下水道事業の計画概要がございますが、十年を経過し新たに基本計画を策定して早期に計画決定され、さらに事業認可されるよう願うところでございます。
 そこで、一、伊都処理区の処理場用地の取得についてどう取り組まれるのか、二、平成七年供用開始に向けてどう対応されるのか、三、那賀処理区の計画決定の見通しはどうか、以上三点、お尋ねをいたします。
 最後に、公営住宅の建設に関してお尋ねをいたします。
 建設省は、平成三年から始まる五カ年計画に加え、平成四年度からは十カ年計画で老朽化した公共賃貸住宅を緊急に建てかえる十カ年推進戦略の方針を固めたと伺っています。この方針が国で決定されると、都道府県においては緊急実施計画を策定し、この十年間を緊急建てかえ期間と位置づけ、建てかえを強力に進めることになるわけであります。
 公営住宅の建てかえ事業については、和歌山市においては、昭和五十九年から六十三年の間に四団地、百六十五戸の建てかえ住宅の完成を見ております。本県では、建てかえ基本計画を策定するため、川永団地百三十二戸、雄湊団地四十戸について平成三年度に九千八百万円の予算化をしてきているところであります。県営団地については、利便性の高い和歌山市内に多くあり、昨今の住宅事情からして建てかえを望む声も聞かれております。特に、今福団地二百四十戸、城北団地四十八戸、西浜団地八十一戸、今福第二団地四十四戸など、高度利用も含めて建てかえることが必要ではないかと思われます。
 そこで、一、本県の第六期住宅建設五カ年計画は今後どう進められるのか、二、平成三年度以降の建てかえ計画及び利便性の高い和歌山市内の今福、城北、西浜等の団地の建てかえ見通しはどうか、三、建てかえ事業の推進に当たって居住水準の引き上げが必要と思われるがどう進められるのか、以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、自動車の保管場所法が七月一日より改正、施行されることになり、車庫の確保が話題となっております。公営住宅においても駐車場の扱いが本年四月より新しい通達により変更され、公営住宅の敷地を駐車場として目的外使用することを認めるようになりました。また、車庫証明のための書面の発行も可能となり、そのかわりに使用料等を徴収する必要があるように変更されました。今日まで、公営住宅においては駐車場設備がないとされている団地が多いわけでございますが、現実には空き地を活用して自動車を置いております。新保管場所法の施行に当たり、県民の皆さんから公営住宅においても車庫証明がとれるように整備してほしいとの要望が、田辺市を初め各市町村でも出てきていると伺っております。
 そこで、一、新しい通達を受けて、既存の公営住宅に対し駐車場確保をどのように進められるのか、二、新規に建設される公営住宅の駐車場確保はどのように進められるのか、以上二点お尋ねをいたしまして、第一問を終わります。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 西防波堤埋立計画の見直しについてでございます。
 このたびの住友金属の公表内容は西防埋立地の土地利用計画の見直し検討をしたいというものでございまして、免許庁の知事としては、変更申請が出されたならば公有水面埋立法に基づき審査を行うことになるわけでございます。
 なお、議員から提案いただいた県並びに地方公共団体が取得することについては、公有水面埋立法上、不可能なものではございませんし、考えられることでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、先ほど尾崎議員にもお答え申し上げたのでございますけれども、本件については十分な検討を行い、公有水面埋立法に基づいて厳正に判断してまいりたいと存じておる次第でございます。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 下水道事業についてでございます。
 まず和歌山市北部公共下水道については、市街化区域の約四割を受け持つ公共下水道事業として、和歌山市において計画決定と事業認可の手続等の作業を進めているところでございますが、早期に事業化できるよう市を指導してまいります。
 次に、流域下水道事業における伊都処理区の対応についてでございます。
 伊都処理区の処理場用地の取得については、かつらぎ町と一体となって用地測量の立ち会い並びに用地買収の同意を得るべく話し合いを進めているところであり、なお一層の努力をしてまいります。また県施行の幹線管渠については、継続して事業の推進を図ってまいります。
 なお、本事業に関連する市町の公共下水道も順次整備を進めており、約百二十ヘクタールの区域の面整備の完成を見ているところであります。非常に厳しい情勢に置かれておりますが、関係各位のご協力を得て平成七年度供用開始に向け積極的な対応をしてまいります。
 次に那賀郡の下水道については、市街地の進展に伴い下水道の必要性を十分認識しているところでございます。平成三年度を初年度とする第七次五カ年計画の期間内に事業着手ができるよう、関連する地方自治体とともに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、公営住宅についてでございます。
 県の第六期住宅建設五カ年計画については、平成三年度より市町村公営住宅を含め二千百戸建設する計画を策定しております。そのうち県営住宅は八百戸計画しており、内訳として、建てかえで五百六十六戸、新設で二百三十四戸建設する計画であります。建てかえ事業については、平成三年度において川永団地と雄湊団地の建てかえ基本計画の策定作業に着手しているところでありますが、引き続き和歌山市内の今福、城北、西浜等の各団地について基本計画を策定し、建てかえ事業を進めてまいります。
 次に、建てかえに伴う居住水準の引き上げについてでございます。
 建てかえ対象の住宅は、おおむね昭和三十年代以前に建設された狭小な規模のものであり、建てかえにより、現行の住宅水準である三LDKを基本として、世帯規模に応じた住宅を建設する方針であります。また建てかえに当たっては、用地の高度利用による戸数増加、老人、障害者が安心して住める住宅、地域住民との交流の場の確保を重点目標として、調和のとれた町づくりを目指す所存でございます。
 また、公営住宅における駐車場の確保についてでございます。
 車庫法の施行に伴い、公営住宅における駐車場の取り扱いが通達により示されたところでございます。
 県といたしましては、通達の趣旨に沿い、早急に駐車場の確保及び管理体制を整備する考えでございます。駐車場確保に当たり、既存団地については団地個々の現状を把握して整理手法を検討するとともに、新設団地の建設あるいは既存団地の建てかえに際しては入居世帯に見合う駐車場の確保に努めてまいります。また市町村公営住宅等についても、この趣旨を踏まえ関係市町村とも十分協議し指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題の四点についてお答えいたします。
 新しい学習指導要領に基づく高等学校の家庭科については、男女平等教育の早期実現を求める国際的な機運とともに、今後の家庭生活の充実を図る教育を推進する観点から男女必修になってございます。
 本県においては、今後、県教育委員会が作成する教育課程編成基準に沿って平成四年度に各学校における履修計画を把握し、学校と協議しながら施設、設備の充実を計画的に図ってまいります。
 また教員については、指導力の向上を図るとともに、その配置についても教科担当等の状況を踏まえ、適切な人事交流や計画的な採用を行い、円滑な実施に向けて努力してまいる所存でございます。
 次に県立高等学校の募集定員については、従前から中学校の卒業生徒数の推移や高等学校への入学状況、進学率及び地域の実態を踏まえるとともに、私学の振興や過大規模校の解消などを勘案しながら総合的な検討を行い決定してきたところでございます。今後、さらにこうした状況を把握し、募集定員の決定には慎重に対処してまいりたいと考えてございます。
 続きまして高校教育の改革に関しては、本県ではこれまで、昭和六十一年度の電子機械科の設置以来、生産システム科、数理科学科、国際科など、八校に九学科を設置して特色ある学校づくりを推進しているところでございます。今後、社会の進展、地域や学校の要望等を踏まえながら、職業学科や専門学科のあり方について幅広く検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、大学、短大への進学についてであります。
 本県の進学状況の推移は、議員ご指摘のとおりの傾向を示してございます。これは、近年、進路指導の多様化が急速に進み、実学志向の高まりとともに専修、各種学校への進学者が増加したことのほかに、本県に大学、短大数が少ないという状況や地理的な条件等によるものがあると考えてございます。
 進学への対応といたしましては、生徒の進路意識の高揚と学力の向上が主たる課題であります。県教育委員会といたしましては、各学校に対し、入学時から組織的、計画的に進路指導を推進するとともに、授業時数の確保、日々の授業の充実、進路別類型の設置などを強く指導しているところであります。また、義務教育段階では基礎学力充実の研究校、高等学校においては学習指導及び進路指導の研究推進校を指定し、研究のための助成及び指導を行うことにより学力向上と進学指導の充実に取り組んでいるところであります。
 今後は、こうした取り組みを一層強化するとともに教職員の資質の向上に努め、生徒の進路ニーズ、学習実態をより正確に把握し、進学希望をかなえさせるための対策を研究してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 44番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま、私の初めての一般質問に対して県知事初め当局の方々よりご答弁をいただきました。
 率直な感想でございますが、大変慎重な答弁であったように感じた次第でございます。コンセンサスを大切に、着実に事業を進められる仮谷県政の姿の一端を反映しているように思えました。
 先日読みました「鄙の論理」という本の中に、「行政の設定するプランが企業と比較して決定的に劣るのは、目標達成の具体的な手段と方策です」との鋭い指摘がございました。もちろん、行政と企業とは目的も異なることは十分承知するわけでございますが、二十一世紀へあと十年、刻々と変化の激しい今日、質問させていただいた諸点に対して、県勢発展を目指し、新しい発想と積極姿勢でもって格段のご尽力を要望いたしまして、再質問といたします。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十一分散会

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