平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(北村 翼議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三十三分再開
○副議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番北村 翼君。
 〔北村 翼君、登壇〕(拍手)
○北村 翼君 このたび、先輩各位の御高配をいただいて一般質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 世界注視の湾岸問題も、クウェートの解放、そしてまた昼のニュースでは停戦という運びに動いておるようであります。心から歓迎を申し上げる次第であります。
 和歌山県の発展につきましては、先輩各位の各般の御努力の結果、漸次、その方途をたどっておるわけでありますけれども、私は選挙区の数点の課題につきまして御質問を申し上げ、御答弁をお願いしたいと思います。
 橋本市は、昭和三十年、橋本町ほか周辺六カ町村を合併して市制を施行し、時の人口は三万三千人でございました。その後、昭和五十年に三万五千人となり、二十年間での人口の増加はわずか二千人でありました。しかし、昭和四十八年策定の長期総合計画による田園都市建設構想が昭和五十五年ごろより軌道に乗り、現在では四万七千人に達し、本年度中には五万人に達する予定でありまして、自立都市橋本として発展途上にある町となってまいりました。
 昨年の人口増加率は全国都市中第三位であり、県政、市政ともに喜ばしいことではありますが、新しい町づくりを進めるための生活基盤施設となる教育、福祉、環境衛生、道路、公園、上下水道等、各分野における行財政はまことに多端であります。
 こうした状況を踏まえ、県行政といたしましても、的確な見通しのもとに、橋本市が将来、紀の川中流域における核都市となるために強力な援助が今日ほど強く求められている時期はないのではないかと思っております。
 県知事初め、県議会におかれましては、早くからこうした状況に着目され、京奈和自動車道橋本道路、また橋本市の大阪経済圏との交通の動脈であります府県間道路国道三百七十一号バイパス建設事業に着手していただき、市長を初め市民各層、官民挙げて歓迎しているところであります。本席をおかりいたしまして、心より厚く御礼を申し上げます。
 つきましては、私が日ごろ感じている次の三点について県の指導方針をお伺いしたいと思いますので、御答弁をお願い申し上げます。
 第一点といたしまして、橋本市民が熱望してやまない国道三百七十一号バイパス建設事業の促進と、これに連なる市脇─清水間紀の川架橋事業についての着手でございます。
 国道三百七十一号線は、私より今さら申し上げるまでもなく、橋本、伊都郡内、高野山、龍神スカイライン、さらに串本に至る産業、観光ルートとして県勢の活性化にとってまことに重要な道路でありますが、現道では大阪経済圏との時間距離が途方もなく長く、連休などの夕刻は、橋本市の国道二十四号線から河内長野市までの交通渋滞は目に余る状況であります。これでは、二度と和歌山を訪れる気にはならないと思われ、早期にバイパスの建設が完了することを期待するところであります。
 また、橋本市は紀の川を挟んで南部、北部に分かれており、河南には行政間格差を訴える市民も多く、国道三百七十一号バイパスの南部への延伸として紀の川に一日も早く架橋をと熱望しております。
 河南には南海電鉄の紀伊清水駅、学文路駅が、また大阪への通勤が一時間の圏域でもあり、伊都県事務所までは紀の川を挟んで指呼の距離であります。橋本市における紀の川架橋の事業効果ははかり知れないものがあると同時に、県としても、高野山より串本への玄関口としてまことに重要な事業であります。
 ここで、まず知事の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、現在事業化が図られています区間のこれまでの進捗状況と今後の見通し、並びに平成三年度以降の計画をお示しいただきたいと思います。さらに、大阪府河内長野区間の進捗状況並びに紀の川架橋の事業化予定につきまして当局の御見解をお伺いします。
 二点目といたしまして、橋本・伊都地方を対象とした県事業による文化、体育を目的とした総合センターの建設計画を提起し、御質問をいたします。
 県は、昭和六十一年に策定した長期総合計画「新世紀の国21」により、活力と文化あふれるふるさとづくりを基本目標に、コスモパーク加太、南麓サイエンスパーク、和歌山マリーナシティ、南紀JET計画、海辺のふれあいゾーン計画等、豊かな自然を前面に出し、いずれも今日の時代感覚にマッチしたすばらしい計画であり、私といたしましてもこれの早期実現化をこいねがう一人であります。
 橋本定住圏構想の中でも、橋本市では大阪都市圏の居住地として大規模住宅地が建設されているが、今後、職・住・文化が融合した居住文化エリアの形成を図るとうたわれており、具体的には諸施策の中で教育・文化・スポーツ・レクリエーション施設を整備し、橋本市の運動公園など都市公園事業を推進する旨、明確に計画を策定されております。
 しかしながら、我がふるさと橋本周辺に目を移すとき、こうした施設がないため、県民の新しい住民サービスの期待にこたえるために文化、スポーツ、触れ合いの場を提供できる総合センターの設置を強く望むところであります。
 橋本市では現在、これらの要望にこたえるべく、年次計画で総合運動公園を建設すべく国、県の御援助をいただきながら三十ヘクタールばかりの用地取得を終え、現在、市民プールを建設中でございます。この用地を利用し、伊都・橋本圏域における文化、スポーツの殿堂として総合センターの建設をぜひ計画していただけないものか、お伺いをいたします。
 第三点目といたしましては、橋本市の中心市街地整備計画に対する県当局の指導方針と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 まず、若干の経過を申し述べさせていただきます。橋本市は、既に申し述べましたように、住宅開発施策を市勢伸展の柱として今日まで進めてまいりましたが、新旧市街地の都市整備の格差是正が課題となっているわけであります。橋本駅前周辺地区は古くから政治、経済の中心地として栄えてまいりましたが、今日では次のような課題を抱えております。
 北部丘陵地の開発による河川の流量増加により、地区内を流れる橋本川を現在の二倍強の広さに拡幅しなければなりません。このため約百二十四世帯の立ち退きをしなければならないこと、また、この河川は上流側がすべて改修済みにもかかわらず、地区内約三百六十メートルが未改修の状況にあり、早期に改修の必要に迫られている状況にあります。さらに、国道二十四号線には歩道もなく、駅前の県道は一方通行であり、地区内の六商店街は衰退の一途をたどっています。
 このような中で橋本市は、県の指導を受け、昭和六十四年に当地区一帯十六・三ヘクタールについて土地区画整理事業の都市計画決定を行いました。本事業は、地区内八百二十六戸の家屋をすべて補償の上更新し、公共用地は約一六%の減歩で生み出す事業であり、総事業費は二百億円を超えるであろうと言われる壮大な事業であります。
 事業のうち約五〇%は国費、残りは市費であり、県費はほとんどないと伺っております。橋本市における年間建設予算は補助事業を合わせて約二十五億であります。本事業に毎年市費三億円を注ぎ込んだといたしましても七十年の歳月を要するもので、地区内の民家は老朽化しており、建てかえ時でも、計画決定により木造または鉄骨の二階建てまでしか認められません。しかし、高齢化が急速に進む中で、三度にわたるアンケート調査でも二九%の賛同しかなく、計画は行き詰まっております。
 また一方では、行政に任せておいてはいつになるかわからない、町づくりは自分たちの手でと、駅前の一部の住民が市街地再開発準備組合を組織し、駅前再開発事業に自主的に取り組んでおります。まさに泥沼化している実情にありますが、要するに、橋本市の土地区画整理事業実施上の困難性、関係住民の事業への参加意識のずれ、国、県管理による河川・道路等の整備の緊急性等、問題があり、至急に交通整理をし、的確な行政の対応が必要と思われます。
 市の担当者は、県に対し、都市計画の見直しと指導援助をするとともに、急を要する河川改修事業は直接買収事業で着手してほしい旨、要望しているようでございます。私も、都市計画の何たるかは理解できるところでありますが、これだけの大事業を市の力量で解決できる方途はないものと察します。本事業について、私は県、市が相協力して現実に取り得るべき行政手法を検討し、国の御援助を仰ぐべきが適切であると考えているところであり、当局においても早期に明快な解決のための指針を示されるよう望むものでございます。
 そこで、次の三項目について御答弁をお願いいたします。
 第一に、土地区画整理事業の都市計画決定の見直しについて、計画変更が可能なのかどうかをお伺いいたします。また、仮に橋本川の改修を含む一部分でも土地区画整理事業として事業化に着手するとしたならば、県として人的援助、また財政的援助はどのようにお考えになられておるのか、お伺いします。
 次に、昨年の十九号台風時には紀の川の増水のみで当地区が浸水直前になりました。橋本川にバックウオーターが押し寄せるからであります。万一浸水の節は、国、県、市ともに行政責任を問われかねない現状にあります。橋本川の河川改修の緊急性についてどのように御認識されているのか、お聞かせください。また、現在取り組まれています状況をお聞かせください。
 最後に、橋本駅前の住民二十数名が、市街地再開発事業を組合施行で組織し、駅前にビルを建設し、商業床並びに住宅床を配置して橋本市の玄関口として回生を図るべく一年余り積極的な取り組みを行っていますが、これも前述の計画決定との整合上、認可が下るのか大変心配している状況であります。
 また、他府県では国費を除く残りは県市折半の補助制度を採用していると承っておりますが、県下では前例がございません。住民みずからが立ち上がる公共事業には行政としても前向きに対応すべきだと考えます。
 そこで、このような再開発プランに対し、県としてどのように対応していかれるのか、事務手続上の課題並びに補助制度についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
 以上、日ごろより感じている諸点についてお伺いしたわけであります。私にとりましては初めての県政壇上に立っての御質問をさせていただきましたので、まず地元橋本市の行政課題につき重点的に精いっぱいの陳述を申し上げました。今後とも御指導を賜るとともに、和歌山県の東の玄関口としての橋本市に御厚情賜らんことをお願いして、一般質問を終わります。どうもありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの北村翼君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 北村議員にお答え申し上げます。
 橋本市の飛躍発展のための、国道三百七十一号バイパス建設事業の促進と紀の川の架橋着手についてでございます。
 三百七十一号橋本バイパスは、話もございましたように、本県の東部と大阪を結ぶための重要な府県間道路でございまして、県政の中でも最重点的に積極的に取り組んで事業に着手しているところでございます。今後とも、大阪府と府県間協議を通じて連携を密にし、大阪から紀見トンネルまでの間の改修の問題、トンネルから橋本へのバイパスについても、なお一層積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 また架橋につきましても、話ございましたように、橋本市の中心市街地と河南地域を結ぶことにより地域住民の利便性の向上に非常に役立つということは十分承知しているわけでございます。今後とも、諸般の情勢を見きわめながら事業化の時期につきまして検討してまいりたいと思っております。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、国道三百七十一号橋本バイパスの進捗状況と今後の見通しについてでございます。
 県境から国道二十四号までの橋本バイパス七・七キロメートルのうち、三石台から慶賀野橋までの間一・三キロメートルは既に完成しております。残る六・四キロメートルの区間については、全区間事業化しており、現在、路線測量、詳細設計、地元協議を進めているところでありまして、平成三年度からは本格的な用地買収に着手したいと考えております。
 また、大阪府下河内長野以南の進捗状況についてでございますが、大阪側の国道百七十号外環状線から河内長野市石仏間三・五キロメートルについては、平成元年二月に供用開始されております。石仏より府県境の間については、大阪府においてトンネル部等の調査を進め、早期に全区間にわたって事業着手を行い、事業の促進を図ることとなっております。
 次に、市脇─清水間の紀の川架橋についてでありますが、国道三百七十一号の橋本橋が昭和五十三年に二車線の橋梁としてかけかえされておりますので、今後、河南地域での土地利用の状況、また、現在、河南地域で事業中の県道和歌山橋本線の交通状況の推移を見ながら検討してまいります。
 次に、橋本運動公園における文化、スポーツ等の総合センターの建設についてでございますが、橋本運動公園については、橋本市が都市計画事業で市民のスポーツ、レクリエーションの場として昭和五十五年度よりその整備に取り組んでいるところであります。この運動公園に文化、スポーツの総合センターを建設することについては、貴重な御提言と思いますので、事業主体である橋本市から具体的な要請があれば関係機関とも十分協議を行ってまいります。
 次に、橋本市中心市街地整備計画と今後の取り組みについてでございますが、橋本駅周辺の中心市街地は、議員御指摘のとおり、都市基盤整備がおくれ、地区内の商店街も衰退しつつあります。このため、本地区の整備は橋本市にとって緊急の課題となっておりますが、町づくりの基本的考え方が必ずしも確立されていないことから、県としては、橋本市が本地区整備の基本方針を早急に策定するよう指導しているところでございます。
 土地区画整理事業の計画変更については、国、県、市において本地区の整備の基本方針を協議する中で、必要であれば対処してまいります。
 また、本地区の土地区画整理事業を推進する上で必要な人的、財政的援助については、橋本市から具体的な要望があれば、必要に応じ、国とも協議しつつ検討してまいります。
 次に橋本川の河川改修についてでございますが、橋本川の河川改修事業は、橋本林間田園都市計画による大規模開発を契機として昭和四十八年度より中小河川改修事業で着手いたしました。全体改修計画は、橋本川本川で千九百二十メートル、支川東谷川で三千五百十メートル、合計五千四百三十メートルの計画となってございます。
 現在の状況は、議員お示しのように、紀の川合流点からJRまでの区間、すなわち中心市街地土地区画整理事業区域に含まれる三百六十メーターを残し、その上流は概成しております。
 河川改修の緊急性については、昨年秋の台風十九号による出水状況、橋本川流域における宅地化の進展、府県間道路の改良等を考えますと早急に改修を進める必要があると認識しておるところでございます。この区間の取り組みにつきましては、当初、土地区画整理事業の中で河川用地を取得することとしておりましたが、区画整理事業の進展が見られないため、河川改修事業の緊急性を考慮し、昭和六十二年度より河川事業で直接買収を進めているところでございます。
 しかしながら、河川事業用地に係る地権者の中には区画整理事業の進展を期待する人もあり、この人たちには交渉に応じていただけないのが実情であります。このような問題を整理すべく、昨年より国、県、市の関係者で協議を行っているところであり、この三月の中旬には河川改修事業の今後の基本方針を決定すべく、準備を進めているところでございます。
 次に、市街地再開発プランに対する事務手続上の課題と補助制度についてでございます。
 橋本駅前再開発ビルの建設については、議員御提言のとおり、地区権利者から成る組合施行により、土地区画整理事業との合併で再開発事業を実施しようとするものであります。このため、事業を前提とした再開発事業推進計画を市において現在策定中であります。今後、土地区画整理事業の進捗状況を踏まえ、組合の設立認可等、必要な事務手続について市に対して地元と十分調整を図り、速やかに手続ができるよう指導してまいります。
 また、事業化の段階に至った場合には、事業費の補助について国等から補助金の導入が図れるよう検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 29番北村 翼君。
○北村 翼君 再質問ではございませんけれども、清水の架橋の問題、それから文化、スポーツ施設の問題、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 特に、この区画整理の問題につきましては、橋本川の緊急性についてもただいま御答弁をいただきましたけれども、民間で町づくりをやろうという再開発の動きも出ておりますので、そういった希望がかなえられますように今後とも御指導をお願い申し上げたいと思います。
 以上、要望させていただきます。
○副議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で北村翼君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ