平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(那須秀雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕(拍手)
○那須秀雄君 知事は、二月議会の冒頭に当たり、その説明の中で「交通基盤の整備の進展に伴い、今、和歌山は全国でも有数の魅力ある県に変貌しつつあります」等々、申されたのであります。
 本年二月十日、高速道路南紀延伸に大変力を尽くされた古田先生の叙勲祝賀会が御坊市で開かれたのであります。私もこれに出席すべく、四時に田辺を出ました。一時間で御坊、五時から六時まで御坊におって、六時から引き返し、七時の田辺の会合へ出る。物理的に決して無理なスケジュールではないのであります。ところが、車は名田に参って、ぴたりととまってしまったのであります。物すごい渋滞であります。あとは時間との闘い。一寸ずりに天田橋の手前まで来たときには、既に六時になっておったのであります。天田橋を渡ることなく引き返して、やっと田辺の会合に間に合わせたのであります。これが、中村裕一議員が指摘していた天田橋北詰めの混雑のために起こる現象かと思いましたが、走行車両のほとんどが県外ナンバーでありました。この方々が果たして、今、和歌山は全国で有数な魅力ある県に変貌しつつあると感じたでございましょうか。紀南の住民は、高速道の南伸は悲願である、それこそ辺地からの脱却の第一歩だと考えているのであります。
 知事はまた、新しい時代に挑む力強い産業基盤の発展の第一の柱は活力ある地域産業の発展であり、交通基盤の整備は産業発展の基礎であるととらまえておられるのであります。まさに、そのとおりであります。
 そこで、高速道南伸に対する知事の推進の決意とその具体的なスケジュールについてお尋ねをいたしたいと思います。
 平成元年二月には、御坊─田辺間二十一キロメートルの環境アセスメントの手続を進めることが建設省より発表されたのであります。近畿自動車道紀勢線が高規格道路網計画に組み入れられて、以来、急ピッチで計画が具体化されたことについては、知事初め関係各位の努力のたまものと感謝しているところでございます。しかしながら、御坊─田辺間については今回の環境アセスメントの手続から外れており、田辺市民にとって、また田辺以南の県民にとって、非常に残念に思うのであります。
 新聞によれば、南部─田辺間については、田辺以南への先線の分岐の問題や、田辺市が計画している総合運動公園等の地域開発プロジェクトの整合の問題、またさきに決定されている西田辺バイパスとの関連などの問題が整理されておらず、もう少し時間をかけて調査が必要ということで今回の環境アセス区間から外されたと聞いています。田辺、白浜には、白浜空港ジェット化を初め、燦黒潮リゾート構想の一環として田辺湾総合リゾート計画等、地域開発プロジェクトが盛りだくさんに計画されておりますが、高速道南伸が田辺以南まで実現してこそこれらのプロジェクトが成功するのであり、地域活性化が図れるのであります。
 高速道路の整備促進には、国への働きかけと地元の受け入れの協力がうまくかみ合って、初めて事業が前向きに進むのであります。いずれにしても高速道全線開通は県民の悲願でありますが、とりあえず田辺までの一日も早い開通が必要であり、今後、南部─田辺間の計画決定のおくれを取り戻すために国に対して強力に働きかけるとともに、市町村に対して、開発計画との整合性やバイパスから国土開発幹線自動車道に変わったことによる都市計画の変更などの問題について地元自治体の理解と協力が得られるように、地元の受け入れ条件の整備を図ることが急務であると考えるのであります。
 ついては、御坊─南部間の整備計画の決定の見通しと完工の予定、南部─田辺間の取り組みについて土木部長にお答えを願いたいと思います。
 また、高速道田辺以南の南伸のプログラムについては、私のもくろみによると、湯浅─御坊間は関係者の日夜を分かたぬ努力により着工より十年で完工するといたしますと、あと四年の平成六年。御坊─南部間は、その着工の時期によりますが、着工より十年、それに南部─田辺間が完成するまでに少なくとも十五年から二十年はかかるのであります。
 それでは、この十五年から二十年の間、冒頭申し上げた国道四十二号は今のままで辛抱せよと言われるのか、それともほかに方法を考えておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 次に、各主要道路に対するアクセス道路、特に田辺市内における道路網について幾つかの提言を申し上げ、質問をいたします。
 まず、元町新庄線についてでございます。これは都市計画道路との関連で、既に元町から江川、片町から銀座へと、西からの進入に大いに役立っているのでありますが、銀座海蔵寺の難所はさておき、東からの進入路であり、一方通行でその役を果たせない駅前通りから礫坂の間を先に着工することとしたらどうでしょうか。また、北のバイパスや国道からの進入口である切戸橋稲成線と扇ケ浜秋津線の進捗状況をお教え願いたいと思います。
 また、温川田辺線の上三栖地内は既に調査されていると言われていますが、その取り組みについてお知らせを願いたいのであります。
 上富田南部線においては、上富田岡地内で既に工事が終了いたしております。いよいよ岡坂トンネルにかかるわけでありますが、国道三百十一号岡バイパスも急ピッチで進んでおります。上富田南部線は、国道四十二号、国道三百十一号の貴重な迂回道路としての性格を持つものであります。交通量が熊野橋に集結することが予想されます。これをスムーズに流すためには、今の上万呂北新町線では不足であります。熊野橋からバイパスまで、上富田南部線の整備計画についてお答えを願いたいと思います。
 皆さんもお目にされたことと思いますが、毎日新聞の和歌山版でございます。いい写真が出ております。もうちょっと写真写りがよかった方がいいなと思っておりますが、鈴木先生と渡辺先生の対談でございます。対談の中身が非常におもしろくて、毎日が楽しみでございました。既に一昨日で、上・中・下をもって終わられたのであります。非常に残念であります。もっとやってほしいと思います。本人お二方ともちょっと消化不良で、もう少し紙面が欲しかったのではないかと思うのであります。そこで県庁移転の遷都論が語られております。まさに我が意を得たりであります。
 鈴木先生は、一般質問最終日、歯にきぬを着せず県政への提言をなさるそうでありますが、恐らくこの問題も提言していただけるものと思います。
 私は、事あるごとに県庁の田辺移転を唱えてまいりました。この提言が鈴木先生の一言によりまして、一県議のたわ言ではなく、立派に政策として認知されたのであります。渡辺さんが申しておられるように、さる県の高官が、その立場の中では県庁の移転説を一笑しておられたが、県会議員になると一転、県庁移転説をぶったと言われております。まさに事ほどさように、その選挙区では県庁移転の願望が強いのであります。
 私は、少し調べてみました。詳しいデータではございませんが、予算査定の時期に知事室へ大挙して陳情に来る市町村は、押しなべて遠隔の弱小町村であります。そしてまた、予算議会が終わると、お礼参りに来るのか、来さされるのか、大挙して参勤交代に参るのであります。
 私は、陳情政治というものにいささか疑問を抱くものでございますが、この陳情団の中に和歌山市の方を見かけることはほとんどないのであります。ということは、弱小で遠隔の町村ほど県行政に対する依存度が大きく、切実なのであります。
 私どもも、この一月七日、市長を先頭に、田中県議ともども市内各種団体を網羅して、バスに三時間揺られて、大挙県庁へ陳情に参ったのであります。このようにして私どもは、田辺藩から紀州藩に併合されて以来、百年にわたって参勤交代をしてきたのであります。祖先の怨念がこもっておるのであります。
 「県庁移転の考えはないか」と聞きますと、「承っておきます」。「高校野球、紀南でやろうやないか」、「もろもろの条件が整わないので無理であります」。まさに、にべもないのであります。条件を整えようともしないし、言葉に愛がない。立場が変わって、県庁が紀南であり、いろいろなイベントの開催地が田辺である場合のことを考えていただきたい。和歌山市四十万の市民の皆さんは、今の道路事情、JR交通体系に満足するでしょうか。それこそ高速道南伸に弾みがつき、過疎への転落に歯どめがかかるのではないでしょうか。
 知事、政治は愛であります。政治は夢であります。まごころ県政にすがりつく思いの紀南の県民に知事の愛情のこもったロマンをお聞かせください。御期待いたします。
 私は、かつてこの議場で、農産物輸入枠拡大反対運動について所見を述べさせていただいたことがあります。そのとき、輸入自由化の荒波を受けているのはひとり農業のみではないと申したのであります。また、鉢巻きを締めて自由化枠拡大を阻止できたとしても、しっかりした農業政策がなければ、農業者自身の足腰の強化がなくては現在の国際農業の中で産地間競争、産地国間競争に打ちかつことはできないと申し上げたことを思い出します。
 悲しむべき湾岸戦争も終結に向かう中で、この戦争で世界に対する発言力をさらに失った我が国農業は、最後の切り札、米の自由化を迫られるのは自明の理であります。米の自由化を阻止できる大義は今の我が国にはもうないのでしょうか。
 この問題はさておくといたしまして、現実にこの四月からオレンジの輸入自由化が行われるのは厳粛な事実であります。三年間の暫定期間があったのでございますから、自由化以後の対応というものは万全になされておると思うのでありますが、知事並びに農林水産部長の所見を求めたいと思います。
 関西国際空港は、工期一年余りおくれて平成六年に開港されることになりました。よく「臨空農業」ということを言われておりますが、臨空農業の性格をよくわきまえなければならないのではないかと思うのであります。
 かつて、農協で農産物の販売を手がけておったころ、大阪空港から福岡空港までスモモや小梅を発送したことがあります。これも臨空農業と言うなら、ジェット化され、貨物輸送が飛躍的に伸びる白浜空港も臨空農業の対応に迫られるわけでありますが、この際は別の意味で、関空に集まる多くの人々が消費し、また機内食として消費される農産物の提供に絞ってみたいと思います。
 空港会社に対する売り込み、アプローチに抜かりはないか、どのような野菜や果菜をつくっていくべきか、またその栽培技術の指導に抜かりはないか、その対応についてお伺いいたしたいと思います。
 最後に、梅であります。
 ことしの梅は不作だと思います。まだ花が咲いているときにそんなことわかるものか、大きなことを言うなと言われるかもしれませんが、これは博士が言っているんですから間違いございません。なぜならば、改良された梅の品質の中でも古城とか南高梅とかいうのは自花受粉ができないわけであります。したがって、受粉するための媒体がなければならないし、別の品種の受粉樹がなければならないのであります。受粉の媒体をミツバチに頼るのであります。
 ことしは、花が咲き始めて満開に至るまで、特に南の方が寒かったし、きょうあたりやっと暖かさが戻り、ハチが花を求めて飛ぶころだと思うのでありますが、既に満開を過ぎた花は生理の終わったような状態であります。したがって梅の花は交配されない状態でありますから、ことしの着果状態はよくないはずでありますが、ところが、待ってみないと梅というのはわからないものであります。
 梅は、農業技術の点から申しましても、いまだ未知のものなのであります。地場産業を支える梅であり、紀南地方農業の柱である梅をなお一層安定させるためには、梅の栽培技術とその生理、加工食品としての研究試験が必要と思われるのであります。
 梅の里・南部川では、ふるさと創生資金をもって梅センターをつくっておられるのでありますが、市町村、農協、生産者が相集まり、県が音頭をとって第三セクターを組み、試験研究センター等、夢のある梅の里構想を打ち出してはいかがかと思うのであります。
 既に、南の方では何千万かのお金を市町村に寄附した農協もあると言われております。農協のお金も、行政のお金も一カ所に集めて有効に利用してはいかがかと思うのでありますが、農林水産部長にも夢のあるお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
 以上をもって質問を終わります。非常にお聞き苦しい点は御容赦のほどを願いたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの那須秀雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 那須議員にお答え申し上げます。
 お話のように、高速道路の紀南延伸は県政の最重点事項として積極的に取り組んでおるところでございます。そのためには国に対して強く要望するとともに地元の協力が大事ではないかということについては、私も同感でございます。特にこれから金よりも用地が一番重要でございますので、市町村並びに関係の地元の皆さんの協力体制を積極的にいただかなければいけないのではないか、延長こそ地元の受け入れ態勢の問題である、用地確保であると思っておるところでございます。
 本県の高速道路の整備を振り返ってまいりますと、約十年を一つの節目として進んでまいっておりまして、昭和四十九年には阪和自動車道が開通いたし、昭和五十九年には海南湯浅道路が開通いたしました。さらに現在、平成六年度を目標に湯浅御坊道路の事業を鋭意進めておるところでございます。
 御坊─田辺間につきましては、二十一世紀の初頭までには実現に向けて整備を図っていかなければならないと思っておりますし、また田辺以南については、早期に基本計画に組み入れるよう国に対して強く要望してまいりたいと思っておるところでございます。
 次に、県庁の南紀への移転でございます。
 県政を推進する立場といたしまして、県下の均衡ある発展、また地域の振興のために各種の施策を推進しておりまして、交通や輸送基盤の整備、リゾート観光開発、産業基盤の整備等々、総合的な観点に立って紀南方面の活性化を図っているところでございます。御提言の県庁舎の移転については、一つの御提言として承っておきたいと思います。
 それから、農業問題の自由化対策についてでございます。
 オレンジの自由化対策ということにつきましては、かねてから私も、特にオレンジ、牛肉などの輸入自由化を厳しく受けとめておるところであり、昭和六十三年に自由化が決定されて以来、国際化に対応した地域づくり、産地づくりということに鋭意努力を重ねているところでございます。
 特にかんきつにつきましては、需給の均衡を早期に図る目的で、全国の産地と連携をとりながらかんきつ園地再編対策に積極的に取り組んでまいったわけでございますし、また、この対策を今後の地域の農業活性化の絶好の機会としてとらえ、県単独事業も行って農業の産地育成に努力しておるところでございます。その結果、柿とか桃などの落葉果樹産地の拡大や味一ミカン、完熟ミカンが定着しつつございますし、さらにまた急激な花卉生産の拡大等、特色のある産地が形成されつつございまして、若者に魅力のある農業が実現されてきつつあると考えております。
 今後とも引き続き競争力のある産地育成を図るために、生産基盤の整備、流通・加工対策、生産技術の開発など、一層積極的に推進してまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 高速道路南紀延伸についてでございます。
 まず、御坊─南部間につきましては、ことしの夏ごろに開催されると言われている次期国幹審において整備計画に組み入れられるよう、強く国に要望してきたところであります。今後とも、県議会の御支援をいただきながら国に働きかけてまいります。
 整備計画に組み入れられた後、建設大臣から道路公団に対して施工命令が出されることとなっておりまして、事業化がなされていない現時点では完成予定は明確になっておりません。
 また、南部─田辺間につきましては、懸案となっている田辺バイパスとの接続方法や南伸計画等について早期に計画を固めるよう国に働きかけるとともに、昭和六十一年に都市計画決定されている田辺バイパスのうち県道辺川芳養線から上芳養田辺線の間の計画の見直しや沿道の土地利用計画との整合等について地元市町とも十分調整を図り、全体として御坊─田辺間の促進が図られるよう国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、高速道が田辺まで延伸される間の四十二号の混雑の解消についてでございます。
 国道四十二号の御坊─田辺間の交通対策としまして、現在混雑している御坊市周辺につきましては、湯浅御坊道路の早期完成を図るとともに、インターへのアクセス道路として県道姉子御坊線等の整備を図り、また御坊市塩屋地区から国道四百二十五号を経由するルート、印南町印南地区から県道印南原印南線等を経由するルート等、複数のアクセスルートの整備を促進し、交通の分散を図ることとしております。
 次に、元町新庄線の駅前通り─礫坂間の整備についてでございます。
 田辺市において、現在、田辺駅周辺の町づくりについて調査を進めておりますが、元町新庄線の御指摘の区間についても、その沿道を含めて整備方針を検討しているところであります。県といたしましては、御提言の趣旨を踏まえ、調査成果をもとに当該区間の整備について田辺市と検討を進めてまいります。
 次に、切戸橋稲成線でございます。
 田辺バイパスから国道四十二号までの延長五百メーターの区間につきましては、田辺バイパス関連事業として、県事業により整備を進めております。このうち、北側三百メーターは本年度末完成する予定であり、南側二百メーターの区間についても平成三年度完了の見込みであります。さらに、切戸橋稲成線の国道四十二号から田辺市街地中心部への五百五十メーターの区間については、平成三年度より県施行により新規着手するよう考えております。
 扇ケ浜秋津線につきましては、田辺郵便局から北二百五十メーターの区間を田辺市が測量等の調査を進めております。
 次に、県道温川田辺線の整備でございます。
 長野─上三栖間約一・六キロメートルのうち長野地内の約五百メーター区間については平成元年度から現道拡幅の事業を行っておりますが、一部で用地交渉が難航しております。残る一・一キロメーター間につきましては、平成二年に、バイパス案も含めルート等の検討を行ったところであります。
 今後、市当局並びに地元関係者の方々の一層の御協力をいただきながら事業中の区間の促進を図り、また残る区間についても早期にルートを決定するとともに、既着手区間の事業の進捗状況を勘案しながら事業化の時期を検討してまいりたいと考えております。
 次に、上富田南部線の熊野橋─バイパス間の整備でございます。
 熊野橋から国道四十二号田辺バイパスへ連絡するルートとしまして、現在、県道温川田辺線と県道上万呂北新町線があります。議員御指摘のとおり、事業中の区間の整備が進んでまいりますと、沿道の開発と相まって交通量の増加も考えられますので、今後、地域の状況を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 オレンジの輸入自由化に伴う産地対策の問題でございますが、基本的な事項については知事から御答弁がございました。
 県では昭和六十三年から、かんきつ園地再編対策の推進を初め、高品質果実の生産拡大、研究開発等、産地の体質強化に鋭意取り組んでまいったところでございます。中でも、かんきつ園地再編対策は最終年度に入っておりますが、温州ミカン、中晩柑を合わせて約三千八十ヘクタールの転作や廃園が行われることになり、これは事業実施前の栽培面積の二〇%を生産調整したことになるわけでございます。
 梅、柿、桃等の落葉果樹への転換が千六百八十ヘクタール、全体の五五%を占め、最も多く、野菜、花への転作が二百七十三ヘクタールで全体の八%を占めるなど、地域の特性に見合った特色のある産地の形成が図られつつあるところでございます。
 オレンジの輸入自由化後の産地対策については、全国的な長期需給安定を基本に策定した平成十二年目標の県果樹農業振興計画に基づき、多様化する消費者ニーズに対応しながら、国際間、産地間競争に打ちかつ、高品質で低コスト生産による足腰の強い産地づくりに引き続き取り組むほか、新たに優良系統への更新、園地条件整備事業や生産から流通に至る総合的な品質管理体制確立整備事業を創設するなど、産地の体質強化をより一層強力に進めることといたしてございます。
 さらに試験研究では、高度技術の開発に対応するための施設の整備や新産品、新作型の開発など、積極的に取り組むことといたしてございます。
 次に、関西国際空港立地に対応した臨空農業の推進の問題でございます。
 議員お話しのように、空輸機能を生かした販路の拡大と周辺の人口増や機内食消費など、新たな需要増への対応を基本とした生産流通体制の確立を図ることが本県農業の活性化にとって極めて重要であると考えてございます。
 このために、県におきましては、関西国際空港地域整備計画の中で野菜、果実、花による施設園芸タウンづくりを推進しているところであり、平成二年度までに紀の川流域地域で既に七十二ヘクタールの施設園芸団地が育成されているところでございます。中でも、臨空農業に適した、軽量で高単価なイチゴ、トマト、バラ、カーネーションなどの施設栽培に加え、果実ではハウス栽培の柿、桃、イチジクなどの産地育成と並行して新品目や新作型の開発を行うとともに、栽培技術指導にも鋭意取り組んでいるところでございます。
 また、空港会社や関連業者に対する県農産物などの売り込みについては、生産者団体ともども、機内食への供給や空港ターミナルビルでの農産物の販売、展示コーナーの設置の働きかけに加え、緑化木の供給など、積極的に働きかけてまいりました。その結果、昨年十二月、県産のジョインジュースが機内食に採用されたところでございます。
 今後とも引き続き、空港の開港に向けて、生産団地の育成はもとより、特需センターや花卉流通センターの機能強化を図るなど、総合的な施策を講じながら高収益農業の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、梅の研究所の設置についての問題でございます。
 議員お話しのとおり、梅はまだまだ研究課題の多いことも事実でございます。そのため、これまでも果樹園芸試験場において、梅の結実安定技術の開発や新品種の現地適応試験に加えて、低温輸送のための鮮度保持技術など、生産から流通に至る技術開発と技術情報の収集伝達に取り組んでまいったところでございます。
 さらに、梅の主産地への対応を図るため、昭和六十二年六月、御坊市に開設した暖地園芸総合指導センターに梅の研究部門を設置し、技術開発を強化するとともに、主産地の現地圃場で調査研究を行うなど、産地の課題解決に鋭意取り組んでいるところでございます。
 なお、今議会には、緊急度の高い原因不明の梅衰弱症対策を確立するため、研究経費の予算をお願いいたしておるところでございます。
 農業に夢のある梅の里構想の中で、議員お話しの第三セクターによる梅専門研究所の設置につきましては、御坊の暖地園芸総合指導センターや桃山の農産物加工研究所、南部川の梅加工研究センター等の既存の研究施設との整合関係、また周辺市町村や農業団体との合意形成など、夢のある構想とはいえ、将来、実現可能なもののためには難しい問題もあるものと考えられますので、今後、関係者の御意見を十分承りながら研究してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番那須秀雄君。
○那須秀雄君 田辺までの高速道のプログラムについて、今からきちっと予測ができないと。これはまあそのとおりだと思いますが、いずれにしても、湯浅─御坊間が平成六年までに開通される。これは画期的なことではなかろうかと思うんです。大変な努力であったと思います。この努力に敬意を表するのでありますが、ここまで開通いたした後で、さらにまた御坊から田辺間の混雑を非常に心配するのであります。
 先ほど部長から、幾つかのルートを考えておられるというお話でございましたので少し安心をいたしましたが、どうしても御坊までの開通までにアクセス道路の整備をお願いいたしたいと思います。
 今のは要望でございます。以上をもって終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で那須秀雄君の質問が終了いたしました。

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