平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中村千晴議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番中村千晴君。
 〔中村千晴君、登壇〕(拍手)
○中村千晴君 議長から発言のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 私にとって最後の一般質問の機会となりました。今回の質問に当たりましては、私は私なりに思考を行い、その結果、県政のさらなる発展に関して重要と思われる議題三項目にわたって御質問を申し上げ、知事初め当局者の方々にその対応や御見解などを承ることといたした次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 質問の第一項目、二十一世紀を目指す県政の展望についてであります。
 最初に、県長期総合計画の進行に関して申し上げます。
 目標年次を平成十二年、西暦二〇〇〇年に置き、「新世紀の国21」を表題とした本県の長期総合計画が計画期間の三分の一を経過し、本年は第二次実施計画の初年度となりました。現時点では中期実施計画の内容が未発表となっているのは残念でありますが、いずれにしましても、県勢の発展、住民福祉の向上につなげるための諸施策が計画の遂行によって一歩一歩着実に実行されていくことは、まことに御同慶でございます。より多くの県民のニーズにこたえ、さらなる発展の方向へと誤りなき行政を執行するため、将来の動向を的確に見据えた総合計画が極めて重要であることは論をまたないところであります。
 そうした意味合いから、現在まで私は機会あるごとに長計に関しての質問を行ってまいりましたが、今回、締めくくりの質問として、長計の基本フレームである人口予測と経済成長予測についてお伺いをいたします。
 まず、人口についてであります。
 平成二年の国勢調査によれば、概数でありますが、県内総人口は百七万四千三百二十一人となっております。これは、前回国調、五年前の昭和六十年時と比較して一万三千人余りの減、また前年時の人口推計に比べても約五千人の減少で、これを長計の平成二年時点での人口予測と対比すれば二万一千人の乖離が生じたことになります。詳細なデータが出ていないため年齢階層別の構成比は不明でありますが、高齢化が進んでいることは十分予想されるところであります。
 また、県内世帯数が国調では三十四万五千百七十二世帯となり、これにより一世帯当たりの人口は三・一一人となっております。これは、長計目標年次すなわち十年後の予測三・一三人をも下回っており、県下のうち和歌山市、新宮市、東牟婁・西牟婁の両郡では既に一世帯当たり三人の大台を割り込んだという実態となっております。
 人口減の問題については昨年六月定例会においても質問をいたしましたが、ここ数年にわたって毎年減少の一途をたどっていた本県の人口が平成二年には何とか増加に転じるであろうとの期待も残念ながらかなえられず、長計の人口フレームの予測と実態との間にますます差が開いているように見受けられるのであります。
 申すまでもなく、人口の減少は、単に人口規模の縮小にとどまらず県民総生産額にも連動するものであり、さらに高齢化の進行は若年労働力の相対的不足ともなり、生産基盤の弱体化にもつながってまいります。
 こうした影響が懸念される本県の人口推移を当局はどう分析し、今後の将来予測をどのように立てられているのか、お示しください。
 次に、経済成長率についてであります。
 長計では、県内総生産の伸び率について、昭和五十五年より七十五年すなわち平成十二年に至る二十年間の平均伸び率年四%──これは四全総の目標と同一であります──のうち、長計基準時の昭和五十五年より昨年までの十年間の伸び率は平均二・七%、そして六十五年すなわち平成二年から七年までの年平均は五%、平成七年から十二年までは五・六%と目標設定をしております。しかし、前述のとおり、本県の人口予測のずれ、加えて、全国的に見てここ四年間余りにわたって高い成長率を続けた我が国経済もここに来てようやく陰りが見え、一九八〇年代後半の超低金利政策が生み出した日本のいわゆるバブル経済も、昨年、それがはじけまして、株価急落を初めとする逆資産効果が経済の各側面にあらわれ始めている現在であります。果たして平成二年から平成七年までの年五%の本県長計目標の成長率が達成できるのかどうか、甚だ心もとないところであります。
 御案内のとおり、平成二年十二月、閣議了解の政府経済見通しでは、平成二年度の経済成長率は名目で七・二%程度、実質で五・二%程度と見込まれておりますが、こうした状況を勘案し、今日までの最近時点での実績と次年度以降の見通しについてもお示しいただきたいと思います。
 次に、新たな時代に向かっての紀伊水道の展開についてであります。
 四全総には、「圏域間交流の新たな展開」として、次のような記述がなされております。「関西圏と中国、四国ブロックとの接点に当たる東瀬戸、大阪湾・紀伊水道地域においては、既に本州四国連絡橋をはじめとするプロジェクトが進行中であり、今後更にこの地域における交流がより活発化することが期待される」とございます。これをもっても明らかなように、四全総では紀伊水道と大阪湾は一体化した存在として位置づけられております。
 関西国際空港の開港をターゲットとしたさまざまな産業が活発に稼働しており、二十一世紀へ向けて、経済、文化の面においても大きな飛躍が期待される今日であります。そして、三年後の開業とともに世界の空との接点に直結する紀伊水道は、極めて高いポテンシャルを持つ存在となっております。空の玄関口が関空とすれば、紀伊水道はまさに太平洋に面する海の大玄関であり、未開拓の宝庫とも言えます。
 ウオーターフロント時代の到来に合わせて紀伊水道を単なる和歌山県の海域ととらえるのではなく、関西圏の、大きくは関西国際空港と絡めて我が国全体の新たな発展の拠点として機能させていくことが我が和歌山県の使命であると考えるものでありますが、知事はこの紀伊水道の展開についてどのような構想をお持ちになられているか、お示しいただきたいと思います。
 また、本県と関西国際空港を結ぶ海上アクセスについては、どのような取り組みをなされているのか。これは企画部長からお答えいただきたいと思います。
 三点目、国の機関等の誘致についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、四全総の基本的目標は多極分散型国土形成であります。四全総には、東京一極集中の是正については「業務上独立性が比較的高い中央省庁の一部部局、地方支分部局等の政府機関の移転再配置等を検討し、その推進を図る。また、今後新たに設置する全国的文化、研究施設について原則として東京外への立地を図る」とあります。
 既に、国会超党派議員による新首都問題懇談会や首都機能移転問題に関する懇談会、首相の私的諮問機関の首都機能移転問題を考える有識者会議等の機関も設置されておりますし、それと相前後して昨年十一月七日、国会等の移転に関する国会決議が行われました。内容は、「国土全般にわたって生じたひずみを是正するための基本的対応策として一極集中を排除し、さらに二十一世紀にふさわしい政治・行政機能を確立するため国会及び政府機能の移転を行うべきである」となっております。
 このように首都機能移転への機運の高まりの中、先月十四日、京都で開催された関西財界セミナーで一極集中是正と多極分散型国土形成についての討議がなされ、経団連、関西経済連合会など経済界が中心となっての首都機能移転推進協議会の設立が提言されております。
 本来、関西の政治関係者から提言されてしかるべきものでありますが、関西財界セミナーでのこの提言をどのように受けとめ、対処されるのか、知事の御見解を承りたいと思います。
 また、国の機関等の移転について、一例でありますが、大蔵省の醸造試験所は、地方自治体からの強い誘致の働きかけがあり、政府において総合的に検討した結果、平成元年八月、広島県東広島市に移転が決定しております。関西国際空港を至近距離に持つ本県の地の利を生かした国際的な文化・研究施設の誘致を国に対して積極的に働きかけていくべきであります。ともに知事の御所見をお述べいただきたいと思います。
 次に、質問を第二項目の燦黒潮リゾート構想の推進に移します。
 昨年十二月、待望久しかった総合保養地域整備法いわゆるリゾート法による本県の基本構想の承認が決定されました。平成元年、知事はこの年を本県のリゾート元年とすると宣言して満二カ年、燦黒潮リゾート構想がいよいよ実現に向かって本格的な推進を開始する運びとなったのであります。これに関しては、私、今日まで幾たびか質問を行っておりますので、今回は総論、概括的な質問といたします。
 天候、地形、位置、景観、そして豊富な緑、温泉など、多くの資源を有する本県は天恵のリゾート素材に満ちており、この構想によって他府県のあらゆるリゾート地を凌駕するすばらしいリゾート地の整備がなされるものと期待するものであります。しかし、無原則、無定見な開発は何としても避けるべきであり、地域住民に歓迎され、地域とともに繁栄・発展する秩序あるリゾート整備でなくてはなりません。
 この構想を推進するに当たって大事なことは、「発想は大胆に」、そして「施策は綿密に」であります。秩序あるリゾート整備ということで、そのための措置が必要であります。それとともに、リゾート法の趣旨はあくまでも民間主導・行政支援型の整備を目指しており、民活導入が大眼目となっております。本県の構想は、既に民間事業費だけで五千七百億円が見込めるなど熟度が高く、全国でも有数の規模がうかがえる構想とされており、和歌山マリーナシティ建設あるいは田辺湾総合リゾート開発計画のようにビッグプロジェクトが既に動き始めております。
 そこで質問でありますが、第一点、現在、構想の具体化についてどのような取り組みがなされておりますか。課題は、先ほど申し上げたとおり民間主導でありまして、その民間主導の力をどう引き出すかが大事な問題となっておりますが、どのように工夫されておりますか。さらに、推進協議会の活動を含め、地域の振興のため、地元産業との連携に対する考え方について御説明をいただきたいと思います。
 続いて、第二点目の環境保全対策についてであります。
 リゾート関連の施設建設や地域開発に当たって地域住民が危惧を持つものは、何といっても環境破壊の問題であります。燦黒潮リゾート構想は、人と自然環境が共存するリゾート地づくりに最重点を置き、国立公園の特別保護地区等を除外して地域を決定したとのことでありますが、さらに地域住民の理解、協力を得るため、整備地区内の開発の目安として新しい指導要綱などのガイドラインの設定あるいはアセスメントも必要ではなかろうかと思考いたします。どう対処されるのか、お答えください。
 また、住民の不安材料としていま一つの問題は、地価の高騰であります。
 これについては、既に昨年七月、構想承認に先行して国土利用計画法による監視地域の指定あるいは規制強化等の措置がなされました。その後、約七カ月を経過したのでありますが、全般的に県内リゾート重点整備地区での土地取引の現況はどうなっているのか。地価の最近の動向等について御報告をいただき、将来見通しについてもお示しいただきたいと思います。
 四点目の質問は、マリーナシティに関してであります。
 燦黒潮リゾート構想の七つの重点整備地区の中で整備に向かって現実に活発に稼働しているのが和歌浦湾地区であり、その中核がこのマリーナシティであります。現在、着々と工事が進行されていることは喜ばしいことでありますが、連動させるべき関西国際空港の開港延期による影響が懸念されます。
 既に世界リゾート博の開催期間が平成六年夏へと延期が決定したことは承知いたしておりますが、マリーナシティの開業時期は平成五年春とされていた当初の計画に変更があるのかどうか。あるとすれば、マリーナ業務のオープンは、関西国際空港開港の遅延状況を踏まえ、いつになされるのか、お答えいただきたいと思います。さらに、マリーナシティに関係する交通アクセスを初め、インフラストラクチャーいわゆるインフラについては実施計画に変更がないか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 質問の最後は、国際化時代への対応についてであります。
 日本への留学生が初めて四万人を超えたことが文部省の調査で明らかになり、この一年間で三〇%もふえたと言われております。日本からの海外渡航者が昨年一千万人に達したというニュースも耳新しいところでありますが、時代の趨勢は既に本格的な国際化時代を迎えようとしており、今後、あらゆる分野での国際化への移行がますます顕著になってまいります。特に湾岸戦争の勃発により海外の諸情勢の動向に目が注がれ、国民の関心が急速に高まっている昨今であります。一日一刻も早い戦争の完全終結を願うものでありますが、それはそれとして、今や政治も経済も、そして文化も、我が国は常に国際的な観点に立たなくてはならないときに至っているのであります。政策判断しかり。国際的視野の広がりを持たない判断は将来に大きな禍根を残すことになります。ましてや、関西国際空港開港を間近に控えた本県は、世界に開かれ、世界とともに歩む和歌山県としての脱皮を図らねばならないことは当然であり、行政の面においても積極的な対応が望まれるところとなっております。
 そこで質問でありますが、全国的に年々活発になっている海外諸国との交流について、本県の海外渡航者の動向はどのような状況となっているのか、お教えください。パスポートの発給件数の状況等から見てお答えいただきたいと思います。
 次に、国際交流の推進であります。
 かつては我が国からの海外移民の先覚者的立場にあった本県であります。こうした県民性にかんがみ、広く県民に対する国際化への意識の高揚を図る、言うなれば心の国際化の推進が肝要であり、適切な施策が望まれます。
 国際交流の推進を図るための施策としては、基盤整備が重要なファクターとなっております。まず、ソフト面では国際交流団体の育成が挙げられますが、その現況と今後の事業計画はどのように持たれておりますか。次にハード面での整備として、活動の拠点となる交流センターの設置についてどのような方針を持たれておりますか、お答えいただきたいと思います。
 次に、質問の予定表に載っている国際課の設置であります。
 これにつきましては、以前、本会議において質問を行い、要望もいたしておりますが、国際化時代への対処をするため、行政需要は年々増加の一途をたどることは明白であります。これに関しましては、昨日の一般質問で知事から課の新設を検討しているとの前向きの答弁がありましたので、その実現を私も強く願って要望としておきます。
 次の問題であります。前段にも若干触れましたが、関西財界セミナーにおいて、二十一世紀初頭に大阪湾ベイエリアにオリンピック大会を誘致するという構想が議題となりました。これに関しては、先年、和田正人議員から御質問もありましたが、この関西財界セミナーでの結論としては、大阪湾ベイエリア開発推進協議会のグランドデザインに盛り込み、二〇〇四年か二〇〇八年の夏季五輪大会誘致を目指し、産・官・学一体となった誘致活動を始めることになったとの報道であります。これについて知事はどのような見解をお持ちになっておられますか。また、これに関した働きかけはなかったのかどうか、さらに今後の対処はどうなされるのか、お答えいただきたいと思います。
 質問の結びとして、総じて知事にお伺いをいたします。
 知事は、国際交流の推進について基本的にどのようにお考えになっておりますか。また、現今の国際情勢から見て将来の本県はどうあるべきか、御所見を承ることにしたいと思います。
 質問は以上でございます。以下、私事にわたり恐縮でございますが、冒頭申し上げたとおり、私、今期限りをもって議会を去らせていただくことにしております。今日までちょうだいいたした県議会の先輩・同僚の皆様の御教導、御芳情に、そして知事初め県行政に携わる多くの皆様方からいただいた公私にわたる御厚情、御協力に、改めて厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
 「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」という言葉がございます。これは、移ろいやすい人の世の常を述べた言葉でございます。やがてめぐり来る春、繚乱として咲く花は昨年と同じであっても、その時期、本年は華々しい選挙戦が展開されます。御勇退なされる先輩方もおられることから「人同じからず」──この県議会も新しいメンバーが加わることでありましょうが、激しい選挙戦に再び臨まれる方々のぜひともの御成功を御期待申し上げるものでございます。そして、さらなる和歌山県の輝かしい発展のための力強い御奮闘、同時に知事並びに当局の方々の一層の御精進、御精励、あわせて皆様のますますの御健勝を心からお祈り申し上げるものでございます。
 なお、最後になりましたが、この機会をおかりいたしまして、長年にわたって御支援をいただいた同志の皆様、支持者の皆様及び県民各位に衷心よりお礼を申し上げ、発言を終了させていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村千晴君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま中村千晴議員から二十一世紀を目指す県政の展望について御質疑を賜りました。
 議員には、二期八年にわたって県政に多大の御尽力を賜り、とりわけ長期総合計画の推進を初めとする県政全般の方向づけの問題についてたびたび本会議等の場で御識見をちょうだいいたしましたこと、まずもって心から厚く御礼を申し上げます。
 さて、新時代に向かっての紀伊水道の展開についてでございます。
 御指摘のように、関西国際空港の立地により本県は世界へ向けての玄関口になり、紀伊水道という海洋空間のポテンシャルが大変高まっているわけでございます。こうした状況を踏まえ、現在、県といたしましても、第二国土軸構想の推進、近畿自動車道の南伸、さらには海上アクセスも含めた交通体系の整備、本県の有する良好な自然や海岸線を活用した燦黒潮リゾート構想の推進、またマリーナシティの建設等、陸・海・空を一体としてとらえて振興を図っておるところでございます。
 現在、本県も参画している大阪湾ベイエリア開発推進協議会において、広域的な観点からベイエリア開発のあり方について検討が進められているわけでございますけれども、空と海との玄関口としての本県をアピールするという立場から、大阪湾ベイエリアのグランドデザインの策定に向けて今後とも積極的に進めてまいりたいと思っております。
 それから御提案の、国の機関の誘致問題でございます。
 国会の場や近畿ブロックの知事会議においても、国会や首都機能の移転問題が論議されておるところでございます。特に、御指摘ございましたように、過日行われた関西財界セミナーにおいても首都機能移転の問題がテーマの一つとして討議されておりまして、四全総の課題への対応を求めるものとして時宜を得たものではないかと思っております。
 国際的な文化・研究施設の誘致の問題につきましても、四全総の中でも関西圏について、世界各地との国際交流拠点としての機能強化、国際的な文化・研究施設等の設置を図ることとされてございます。県としましても、関係の経済団体や自治体と連携をとりながら国に対して積極的に進めてまいる所存でございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の推進についてでございます。
 具体化の取り組みの問題と地元産業との連携の問題についてでございますが、お話のとおり、本県は、自然条件、地域文化など全国的にも誇れるところでございますので、交通基盤の整備等により民間企業の進出熟度というものが極めて高い地域だと思っております。そのためには、今後の取り扱いといたしまして、自然環境の保全の問題を重点として、活用の問題等々について、地域振興という面を初めあらゆる角度からリゾート整備を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
 それから、大阪湾ベイエリア五輪誘致についてでございます。
 お話ございましたように、大阪湾ベイエリア開発推進協議会に、私も、そして大阪の知事も、兵庫の知事も入っておりますし、また大阪市、神戸市の市長も、財界も入っておるわけでございますけれども、この協議会において大阪湾の総合的な開発整備の指針となるグランドデザインを平成三年四月に策定すべく、現在、検討を進めております。その中で、関西圏の都市連合によるオリンピックの誘致活動を一つのシンボルプロジェクトとして議論しているところでございます。これにつきましては、今後、関西連合の形において取り扱っていこうじゃないかということを検討しております。
 ただ、オリンピックは、今までベルリン、パリ、ロスといった都市が主体になっておりますので、そうした問題がありますけれども、それらを超越した立場においての連合という形において現在検討を進めているところでございます。
 それから、国際化時代への対応の問題でございます。
 御指摘のとおり、国際交流は人と人との心の触れ合いが大変重要だと考えております。このため県におきましても、国際化時代に対応し、国際社会で活躍できる人材の育成、また外国人が訪れやすい、住みやすい環境づくりの整備、多様な交流を深めるための諸外国との友好交流の推進を三つの柱としてさまざまな国際交流事業を展開しているところでございますけれども、今後、関西国際空港の開港を契機にして、本県は我が国における新たな国際交流の拠点として一層大きな役割を担わなければならないと考えてございます。このため、本県の特色を生かした国際交流を推進し、より豊かな国際社会の実現を図ってまいる所存でございます。
 最後になりましたけれども、議員におかれては今後ともますますお元気で、県政のために御支援賜りますことをお願い申し上げて、答弁にさせていただきます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、県長計の人口、経済の見通しと実態についてお答えを申し上げます。
 本県の人口は、長期総合計画における平成二年度の目標値百九万五千人に対して、先般の国勢調査の推計値では百七万四千人となり、昭和五十八年以降の減少傾向が続いてきたところでございます。
 その要因といたしましては、昭和五十七年までは県外への人口流出による社会減を出生による自然増でカバーしてきましたが、昭和五十八年以降は自然増が社会減を下回る水準となっているところでございます。さらに昭和六十年以降は、円高や構造不況から来る本県基幹産業である鉄、石油、化学等の基礎素材型産業の低迷、各関連企業の合理化による人員削減等により、この五年間で一万二千八百八十八人の減少となっております。
 一方、先般の国勢調査結果を分析すると八つの市町村で人口が増加しておりますが、その要因としては、大規模宅地開発、企業誘致の推進、地域産業の活性化等が考えられます。
 今後の見通しといたしましては、最近の企業進出の状況から見ると、平成三年度以降からは各種進出企業の本格的な操業が始まり、新たに相当規模の雇用者増が見込まれること、交通基盤の整備を初め各種の大規模プロジェクトが順調に推移していること等々から、今後の県人口は増加基調に転じるものと考えておるところでございます。
 また、経済成長率についてでございますが、近年、本県産業界の自助努力と先端産業を中心に企業誘致に努めた結果、景気は回復基調に向かっておりまして、特に直近のデータである昭和六十三年度においては経済成長率が五・五%と国の水準を上回り、七年ぶりの高い伸び率となったところでございます。
 今後の経済動向につきましては、種々の要因もあり、予測は難しい点もございますが、今後とも産業構造の高度化、多角化を積極的に推進することにより、現在の好調を維持していくことは十分に可能であると考えてございます。
 いずれにいたしましても、議員御指摘のとおり、人口と経済成長は相互に連関を有しているものであります。安定的な経済の成長が人口の増加をもたらし、それがさらに経済発展につながっていくものと考えておりまして、人口、経済の両面で伸ばしていくという観点に立って第二次中期実施計画を展開してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、関西国際空港との海上アクセスについてお答え申し上げます。
 関西国際空港との海上アクセスについてでございますが、道路、鉄道によるアクセスに加え、交通の多重性、利便性を確保するため、また関西国際空港から本県への観光客誘致を図るといった観点から重要な課題であると考えております。他の交通機関との競合、採算性の確保等、解決すべき課題がございますが、具体化の可能性について、関係企業や関係機関への働きかけをさらに強めてまいりたいと考えてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の推進に関連して、まず構想の具体化への取り組みについてでございます。
 おのおののプロジェクトによりまして、例えば第三セクターによる企画会社を設立し、具体的計画を立案中のもの、構想の地域整備方針を踏まえ、マスタープランの策定に取り組もうとしているもの、また既に一部着工しているもの等々、計画熟度に応じてその手法はさまざまでございますが、構想の実現に向けて着々と進んでいるものと認識をいたしてございます。
 しかしながら、いずれにいたしましても、民間企業が主体となって施設整備に取り組んでいただく必要がございますので、地元市町や庁内関係部局と緊密な連携を図り、構想の実現に努めてまいる所存でございます。
 次に地元産業との連携についてでございますが、本県の新鮮な農林水産物や伝統的な地場産品などの資源を活用して地域の振興に資するため、リゾート産業への参画、新規リゾート産業との連携を積極的に進めていかなければならないと考えてございます。
 本構想では、重点整備地区ごとに燦黒潮リゾート構想推進協議会を設置することといたしてございます。既に五カ所の地区で設置済みであり、構想の普及・啓発やリゾート整備に伴う地域振興のあり方などについて検討されているところでございます。
 県におきましては、来年度に特定の地域産業の参画手法について具体的に調査をし、それぞれの各推進協議会での説明会などを通じてリゾート産業と地域産業との連携による地域の振興を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、環境保全対策についてでございます。
 本県のリゾート構想につきましては、自然の保全とその景観などを活用することを基調として推進することといたしてございます。そのため、重点整備地区の設定に当たりましては、国立公園の特別保護地区や鳥獣保護区の特別保護地区などを除外するとともに、貴重な動植物の生息地を避けるなど、自然との調和に最大限の配慮をしているところでございます。
 さらに、リゾート施設の整備に当たりまして、デザインや色、素材など周辺環境と調和した、リゾートにふさわしい、住みやすい町づくりを進めることは非常に重要なことであると認識しているところでございます。
 今後とも、自然環境の保全と活用や快適な生活空間の創出など、関係部局と連携しながら、自然環境と調和のとれたリゾート整備が進められるよう対応してまいりたいと考えているところでございます。
 最後に、土地取引の現状と見通しについてお答えを申し上げます。
 リゾート法に基づく重点整備地区につきましては、地価上昇のおそれのある地域との認識のもとに、昨年七月に国土利用計画法に基づく監視区域に指定をいたしました。法律に定められている面積よりも小規模な土地取引についても、地価に対する監視を厳しくしているところでございます。
 また、重点整備地区の状況につきましては、加太・紀泉地区、和歌浦湾地区、田辺・白浜地区では、リゾート開発を目的とした土地取引も含め、平成元年から平成二年にかけて取引件数が増大しておりましたが、最近はやや減少もしくは横ばい傾向でございます。
 地価動向につきましては、昨年夏ごろまでは上昇が見られたものの、金融引き締めや監視区域制度の厳正な運用等々により、現在では鎮静化傾向があらわれているところでございます。
 勝浦・太地地区等その他の重点整備地区では、届け出件数を見る限り、監視区域指定前と特に大きな変化がない状況でございます。地価につきましても、安定的に推移いたしております。しかしながら、今後、交通基盤の整備等、各種プロジェクトの進展を初めリゾート構想の熟度の高まりに伴って土地取引の増加が予想されますので、監視区域制度の厳正な運用を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 燦黒潮リゾート構想を推進する際の環境保全対策についてでございます。
 基本構想におきましても、リゾート地の整備に当たっては必要に応じて環境影響評価を実施させるなど、地域のすぐれた自然環境及び生活環境の保全に十分配慮することとしているところでございます。
 環境影響評価につきましては、公有水面埋立法などの個別法や国の環境影響評価実施要綱に基づいて実施しているところであり、これらの対象事業以外についても、大規模開発計画調整協議会など事前協議の段階で、規模に応じて環境アセスメントの実施を指導しているところでございます。
 燦黒潮リゾート構想の推進に当たりましても、このような手法によって未然に公害の防止及び自然環境の保全に努めてまいる考えでございます。
○議長(岸本光造君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) マリーナシティに関する御質問にお答えをいたします。
 まず、和歌山マリーナシティのオープンの時期でございますが、関西国際空港の開港に合わせて平成五年春にマリーナ施設等の一部を供用開始することで今日まで取り組んできたところであり、埋立工事についても順調に推移をいたしておりますが、関西国際空港開港の延期と当マリーナシティで開催される世界リゾート博の開催時期の変更、さらに一工区竣工後の施設整備等の成熟度の期待などを総合的に判断いたしますと、マリーナ部分等の一部オープン時期を平成六年夏とすることがより効果的であると考えてございます。
 次に毛見一号線、二号線の交通アクセスでございますが、順調に工事が進捗しており、上下水道、電気等のインフラについても関係機関と調整を図りつつ整備に取り組んでおります。これらの施設はマリーナシティに立地する施設を建設する際にも必要なことから、これまでどおりの工程で整備を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 国際化時代への対応の三点の御質問でございます。
 まず、海外渡航者の動向についてでございますが、本県の旅券の発行件数を見ますと、昭和六十年は一万七千六百三十一件でありまして、以来、毎年約一〇%程度の伸び率で増加いたしております。平成元年は二万六千四百四十四件でございます。
 なお、渡航者数は、法務省の出国者数の調べによりますと、平成元年中に四万八千百七十七人であり、これについても、昭和六十年以来、毎年一〇%を超える増加率となってございます。
 次に国際交流団体の現況でございますが、県日中友好協会や県高校生国際交流協会など、四十を超える団体が活動しております。事業計画につきましては、これら交流団体の中核として、県、市町村、民間が一体となって設置した財団法人和歌山県国際交流協会を中心に連絡会議や合同事業などを行い、横の連携強化、相互の活動支援などを通して地域に密着した本県の国際化を推進いたしたいと考えてございます。
 三点目の、御提言の国際交流センターの設置でございますけれども、国際交流の充実強化を図るために国際交流協会を設置し、推進を図っているところでございますが、県民や在住外国人のさまざまな交流活動の拠点となるところが必要と考えてございます。今後、この課題については研究してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「再質問ございません。ありがとうございました」と呼ぶ者あ り〕
○議長(岸本光造君) 以上で、中村千晴君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十三分休憩
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