平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時十五分再開
○議長(岸本光造君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 大変寂しい出席のもとで質問をさせていただきます。
 一九九一年度予算についてお尋ねをいたします。
 最初に、予算全体の状況を見てみたいと思います。
 九〇年度当初では八・九%の伸びとなっていましたが、九一年度ではこれを下回る六・八%の伸びにとどまり、歳入歳出は四千五百十三億四千万円余となっています。
 歳入面で見ますと、知事説明にもありましたように、湾岸戦争に突入したことによる経済不安や昨年来の高金利、株式市場の低迷などにより、本県における九一年度の県税収入の確保が相当難しいのではないかとされていましたが、見込みどおり厳しい状況になっています。
 県税収入全体におきまして、九〇年度当初で一八・一%の伸びで百四十五億円の増加となっていましたが、九一年度では九・一%の伸びで八十六億円の増加にとどまっています。それぞれの税目別に見ますと、法人事業税で九億七百万円余、法人県民税で六億八千七百万円と、いずれも減収という事態になっています。九一年度における県税収入の厳しさを深刻に受けとめているところでございます。
 地方交付税の関係ですが、九〇年度当初では八・三%の伸びで百億円の増、九一年度では七・八%の伸びで、前年同様の百億円の増となっています。本来でありましたら百五十億円程度の増加となるところでありますが、御承知のように国に対して地方が五千億円貸し出すという前例のない措置がとられた関係から、百億円の増加にとどまったものであります。
 国の補助及び負担金について申し上げます。
 国は、臨調による行政改革を推進するとして、御承知のとおり補助及び負担金を大幅に削減をしてまいりました。このような国の措置について、地方六団体挙げて以前の状態に戻すよう求めてまいりましたが、最近になって八六年度の率に戻し、固定化するということになりかねない事態になりました。ですから、地方の財政転嫁が解消されないままの状況が続くことになります。
 九一年度予算における歳入面での問題となる点について申し上げましたが、国の地方への財政措置が本県にとっては極めて矛盾が大きいものになっていることを強調しておきたいと思います。
 歳出の関係で、大筋で申し上げてまいります。
 性質別予算で見てみますと、九〇年度当初では消費的経費が五・九%の増、投資的経費が一〇・一%増ということでありましたが、九一年度では消費的経費八・九%の増、投資的経費がわずかに三・八%の増ということで消費的経費の増高が目立つもので、予算の傾向としては問題となっています。
 また、九一年度末における基金残高は、予算ベースで二十基金、千二百五十億円余と推測されます。特定目的の基金について必要なものもありますが、自治省でも地方自治体の基金はため込み過ぎると言うほど異常事態となっておるところです。
 こうした基金は、県民の福祉を初めとした、県民のために支出すべきと考えるものです。特に県債の積立額六百十億円について、そのあり方に問題点があるのではないでしょうか。
 款別に見てみますと、総務費で一五・八%、民生費で三・五%、農林水産費で五・一%、商工費で〇・八%、土木費で四・四%、警察費で九・三%、災害復旧費で四・七%、公債費で六・九%、諸支出金で五〇・三%と、いずれも増加しています。以前からの予算ですと、社会資本、基盤整備に重点を置くとして土木費や農林水産業費の伸びが目立ったものですが、九一年度予算では低い伸びにとどまっているのが特徴でもあります。
 性質別予算のところでも触れましたが、このような予算措置に至った要因に義務的経費の増高によるものとなると、これまた大いに問題があるのではないでしょうか。何しろ自主財源の少ない中での予算編成ですので編成に当たっては御苦労があったと思いますが、県民の立場から言って、特定の企業と関係の深いマリーナシティ建設で百二十億円余の予算措置や関西新国際空港株式会社への三十七億五千万円余の予算措置など、私どもが容認できないところも多くあります。しかし、以前から私どもは繰り返し県民のための福祉や健康にかかわる施策の積極的な対応について取り上げてまいりましたが、民生費での八・四%、衛生費での七・六%の伸びにも見られますように、単独事業や新規事業においてそれなりの対応がなされているということも触れておきたいと思います。
 以上のことを申し上げて、総務部長にお尋ねをいたします。
 九一年度予算での県税収入の見通しの問題でありますが、予算編成後において、湾岸戦争による日本経済への影響については、好況続きであった自動車産業界が大幅な減産体制に入ったことが報道されたり、金融業界が減益となることなどが取りざたされています。予想外の展開になるのではないかと考えますが、九一年度における本県経済の動向と県税収入の推移についてどのように把握されているのか、お答えを願います。
 前段でも取り上げた地方交付税の問題ですが、本県における県税収入の現状から見まして、到底国に貸し出しができる事態ではありません。私どもといたしましては、十二月県議会においても地方交付税を国に五千億円貸し出しができる事態にないとして取り上げてきましたが、国が一方的な措置をとってきたことは言語道断だと考えます。この問題についてどのような対応がされてきたのか、また返済については何年度までにどのような措置がなされるのか、お答え願います。
 歳出の関係でお尋ねいたします。
 九一年度予算の性質別で消費的経費の伸びが投資的経費の伸びを大きく上回っていることについて、なぜこのような予算となったのか、お答えいただきたいと思います。
 九一年度末で県債の積立金が六百億円以上になることを申し上げましたが、自主財源の乏しい中での財源の運用と多額に上る積立資金の保有との関係での整合性についてどのように理解したらよいのか、説明をお願いいたします。
 最後に、消費税についてお尋ねいたします。
 現在のところ国会審議で決着していない関係から、強硬策によって国会を通過させた消費税法のままであります。九〇年度予算では、住宅使用料、分娩手数料については非課税で、他のものについては課税措置がとられています。地方自治体の本来のあり方からして、当然すべての使用料、手数料について非課税にすべきでありますが、当局のお考えをお伺いいたします。
 さらに、歳出での消費税負担分はどの程度の予算措置となっているかについてお答えをいただきたいと思います。
 続いて、国民健康保険問題についてお尋ねをいたします。
 私は、四年前の初当選以来、県議会でこの問題を三回取り上げてまいりました。この議会で四回目であります。なぜこのように何回も取り上げねばならないのか。それは、今、この国民健康保険料が余りにも高く、住民の暮らしを直撃し、払いたくても払えない滞納者が増加の一途をたどっていること、保険証の取り上げという非情、不当な制裁措置が強化され、手おくれで死に至る事件さえ起きているという現状から、住民の命を大切にしない国や地方政治を許せないという住民の声が渦巻いているからです。
 国民健康保険の詳しい性格については過去の質問で詳しく述べてまいったので余り立ち入りませんが、国民健康保険というのは、加入者の約三割を職業を持たない人が占めております。年齢構成も、六十歳以上の占める割合が約三割、六十歳以上の国民で見ると七割近くが加入していることになります。
 保険料負担については、和歌山市を例にとってみると、非課税世帯でも平均十万円程度、市民税が年額五万円程度となると最高限度の三十九万円にもなります。このために保険料を払えない人が続出するありさまで、年間で六億円を超える滞納が生じています。
 和歌山市の滞納者の保険料階層別状況を見てみますと、五万円未満の保険料世帯の滞納者が全体の二〇・八%、五万円から十万円までの保険料世帯の滞納者は二八・一%、十万円から十五万円までの保険料世帯の滞納者が一三・四%を占めています。
 私は、調査をしてみて大変驚きました。何と保険料十五万円までの世帯の滞納者が全体の六二・三%を占めています。これを見ただけでも、低所得の世帯で滞納が非常に多いということがはっきりと出ているではないでしょうか。実際、所得別の加入者の状況を見ても、百万円未満の所得の世帯が三六・九%、百万円以上、二百万円の世帯が二〇・七%と、二百万円以下の世帯の国保加入者が全体の五七・六%も占めています。こういう世帯に対して滞納取り立てに出向いた市の幹部も、多くは支払うこと自体に無理があるとも述べています。和歌山県全体で見てみますと、国保の被保険者数の割合が全国第五位と高く、こういった国保問題は、より一層深刻であると言えるのではないでしょうか。
 私たち日本共産党は、和歌山市民を対象にアンケート調査を行いました。一番要求の強かったのが、国保の保険料を引き下げてほしいという問題です。また私は、この問題で多くの市民の方々の悲痛な訴えを聞いて胸の詰まる思いをいたしてまいりました。
 例えばAさんは、「国保の自己負担の三割も払えず、生活保護の申請に行ったが断られ、保険証ももらえず入院。幾ら払え払えと責められても、払う金がない。毎日泣く以外にはなかった」。八十歳のお年寄りの夫婦は、「資産割でがっぽり保険料がかかって、二人で年金五万円しかないのに、保険料が高くて払えない。国保、やめなあかん。死ぬしかないのかなあ」。また、ある商売をされている方からは、「商売がうまくいかないとき、保険料も払えず、減免制度も受けられなかった。親戚じゅうでお金を借りて払った」。Bさんは、「保険料を払うためにくたくたになって働き、いざとなって医者に診てもらいたいときには診てもらえなかった」という声です。
 知事は、こういった県民の声があることや現状を御存じなんでしょうか。こういった低所得の世帯が今の高い国保料をまともに払えるとお考えですか。御所見をお伺いいたします。
 私は、和歌山県の各市町村別の国保財政について調べてみたんですが、八九年度で見てみると、実質収支で和歌山市、海南市、田辺市、すさみ町、串本町は赤字ですが、その他の自治体はすべて黒字です。県は、自治体ごとに三カ月分の医療費分を基金として持ちなさい──これは約百十億円に上る金額でありますが、こういった指導を行う中で、全体として八九年度で二十六億円もの基金がため込まれているわけです。
 住民が生活費を削り、借金をしても払い切れないほど高額な国保料に苦しんでいるとき、この実態を無視して、なおこのような黒字を蓄え続けていることは、住民の暮らしを最優先にすべき自治体の役割からして道理に合わないことは明白ではないでしょうか。
 例えば、このため込んだ黒字分というのは、基金だけでも、中津村を例にとって見てみると、八九年度で一世帯当たり十四万五千九百八十五円にも上ります。逆に言うと、一世帯当たり平均でこれだけの保険料が値下げ可能なわけです。
 ほかにも、ためている基金の面で見てみると、美山村で一世帯当たり十四万円余、龍神村で十一万円余、那賀町で十万円余ということになっており、何と一世帯当たりにして一万円以上ため込んでいるところが二十五自治体もあります。これらの自治体はすぐにでも保険料の値下げが可能であり、実際に九〇年度に那賀町、かつらぎ町、九度山町、吉備町、龍神村、上富田町で保険料の値下げが実施されております。
 秋田県では、以前、保険給付費の三カ月分相当額を積み立てることとしていた指導方針を廃棄して、過去三年間の保険給付費の平均額の五%に相当する額とすることに改め、さらに減免制度の改善と保険料の値下げの指導に踏み切っています。和歌山県でも、ため込む指導ばかり行うのではなく、むしろ保険料の値下げの指導を行うとともに、現在の実態に合わない減免制度を改め、せめて生活保護基準の一三〇%以内の世帯には医療費自己負担ぐらい免除するくらいの市町村独自の減免制度を確立するよう指導すべきと考えます。
 また、先ほど紹介しましたが、赤字自治体も、国保料が高くて払えない、収納率が低下する、そのため赤字が累積する、また保険料を値上げするという悪循環を繰り返しています。まず、払える保険料に値下げすることが再生への第一歩であると考えますが、以上の点について関係部長の見解をお伺いいたします。
 次に、国民健康保険財政に対する県支出金についてであります。
 八八年度の厚生省の資料によりますと、都道府県別支出金の一人当たりの平均額を見てみると、もちろんこの県支出金には国保制度の改悪で県や市町村に負担を押しつける保険基盤安定制度負担金などは入れて計算していませんが、全国平均は八百五十二円で、和歌山県はわずか百四十三円という金額になっています。これは、全国平均六分の一です。近畿でも、滋賀県は千百十二円、奈良県は六百八十九円となっており、和歌山県は近畿で最低であります。
 政府が国保の国庫負担を四五%から三八・五%に切り下げたことが今の国保財政の危機的状況の原因であり、これをもとに戻すように国に対して強く迫っていただくのは当然であります。すぐにもとに戻させることが難しい現状では、県としてなし得ることは、住民の国保料負担を少しでも軽減させるために県独自の支出金を大幅に引き上げることではないでしょうか。大企業向けの基金をため込むのではなく、こういったところにこそ財政を使うべきで、そのことこそが、仮谷知事、あなたの言う「まごころ県政」ではないですか。県支出金の増額の問題についての当局の見解をお伺いいたします。
 国保問題の最後に保険証の未交付問題についてでありますが、この問題は国民すべての者がひとしく医療を受ける権利を奪うものとして、私は特に重視をして取り組んでまいりました。低所得者の世帯で保険料が払えないといった世帯に制裁措置がとられるようになってから、全国的に、命を落とすなど大変痛ましい事態が生まれ、現在でも続いているわけです。和歌山県下では九〇年十月現在で、いまだに五百五十名もの人が保険証を発行してもらえないでいます。
 全国で起こっている痛ましい事故をこの和歌山県で絶対に起こさせないためにも、国保加入者全員にまず保険証を発行すべきです。基本的にこの問題はいまだに解決を見ていないと思いますが、発行しない理由と今後の対処をどうされるのか、お尋ねをいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 国民健康保険の国保料に対する知事の認識についてでございますけれども、国民健康保険については、お話ございましたように、加入者の年齢構成が高いなどの要因によって医療費が高くなっており、その結果、保険料も年々高くなっていることは承知しております。そのために、国におきましては、老人保健制度や退職者医療制度の創設等、一連の制度改革を実施したところでございますし、県としても、国庫負担の増額を強く要望するとともに、被保険者の負担軽減のための助成を行うこととしており、平成三年度予算においても増額しておるところでございます。
 しかしながら、国保制度は、御承知のように加入者の相互扶助の社会保険制度でございまして、加入者が応分の保険料を納めることは制度の根幹であり、またその額は適正かつ公平であるべきであると考えておるところでございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 財政問題につきまして、数点お尋ねがございました。
 まず、平成三年度における経済の動向と県税収入の推移についてでございます。
 昭和六十一年の暮れから始まった大型景気は、設備投資と個人消費を中心に引き続き順調な拡大を続ける一方で、いわゆる財テク、土地テク主導の構造が崩れまして、株価、債券、あるいは円の下落、金利高による影響、さらに昨年の八月以降の中東情勢の緊迫化等を背景とした原油価格の上昇等により石油関連法人あるいは金融業等が大幅に減益となるなど、経済環境に変化が生じてきております。
 また、本年一月に勃発した湾岸戦争やソ連、東欧での混乱等、国際環境も依然として不安定であり、アメリカでの本格的な景気の後退や財政赤字拡大の懸念等、変動要因が多いということから経済に与える不安も強まってきておりまして、先行き不透明感がぬぐえない状況になってきております。
 こうした中で、平成三年度における県税収入につきましては、最近の経済情勢、本県の産業構造の特性等を踏まえながら慎重に見積もりを行ったところでございます。
 特に経済情勢に左右されやすい法人二税につきましては、機械器具等の製造業あるいは建設業、小売・卸売業等でやや伸びが期待はできますものの、鉄鋼業、金融業等が厳しい状況にあることから、全体として落ち込みを見込んでおります。
 しかしながら、預金の残高あるいは金利の動向等から県民税利子割についてある程度の伸びを見込んでいるほか、前年の所得により課税される個人県民税あるいは個人事業税でも、その所得の状況から相応の伸びを見込んでおります。この結果、県税全体で対前年度当初比一〇九・一%、八十六億円増の千三十一億円を計上したところでございます。
 いずれにいたしましても、県税収入につきましては、先ほど申し上げた湾岸戦争による石油需給の動向とか金利の動向等について、なお不透明なところもございます。こうした事柄を注意深く見守り、その確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方交付税についてでございます。
 国の平成三年度予算編成の過程におきまして、地方財政対策に関して地方の財源余剰の問題あるいは国庫補助負担率の問題が最後まで論議されたわけでございますが、地方交付税については、最終的に総額から約五千億円を減額する措置が講ぜられたところでございます。この間、私どもといたしましても、こうした地財対策の帰趨に注目をし、また全国知事会を通じ、地方交付税所要額の確保を含め、地方財政の運営に支障を生ずることのないように適切な対応を国に要望してまいったところでございます。
 今回の特例減額の内容といたしましては、地方交付税法附則第三条の規定に基づく特例減額として約四千五百億円がございますが、この額は昭和六十一年度の補正分に係る交付税特別会計借入金の残高に相当する額でございまして、今回の措置は国が当該借入金の各年度の償還額に見合って清算をするもので、いわば地方の返済にかえて実質的に国の借入金に振りかえることとされたものでございます。これにつきましては、平成四年度から十三年度の間に返済をされるということにされております。残りの約五百億円につきましては、昭和六十年度補正予算における地方交付税総額の特例措置──これは、国税三税の減収による地方交付税の減額を行わないこととする措置でございますが、この特例措置に係る国への返済に要する額の残高七百五億円の一部を国に返済することとしたものでございます。
 いずれにいたしましても、これらの措置は地方に実損を与えない形でなされたものでございまして、平成三年度の地方財政の運営にも支障を生ずることはないものと理解をしております。
 次に、性質別予算の中での投資的経費と消費的経費の伸び率についてでございます。
 平成三年度一般会計当初予算を性質別に見た場合の消費的な経費の伸びが八・九%と高くなっている要因といたしまして、平成二年度の給与改定がここ最近では高率であったということ、また期末勤勉手当にいわゆる役職加算の措置が導入されたこと、さらに四十人学級の完全実施に伴って小中学校等教員の定数増があったこと等による人件費の増加がございます。また、利子割県民税の増加に伴い、市町村交付金が大幅に伸びたことによる補助費等の増加もございます。
 なお、人件費、扶助費、公債費の義務的経費で見ますと、その構成比は四四・六%であり、平成二年度の当初と比べますと、若干ではございますが、抑制を図ったところでございます。
 一方、投資的経費につきましては、二年度当初の伸びが一〇・一%と比較的高かったこともございまして、いわゆる発射台が高いということから、結果として平成三年度は三・八%の伸びとなっておりますが、内容的には県勢活性化のため不可欠な基盤整備等に力を入れまして、中でも半島振興道路、美術館、図書館等、県単独普通建設事業については、財源つきの県債を活用する中で八・五%の伸びを確保したところでございます。
 次に、財政運営と積立金の整合性の問題でございます。
 財政調整基金あるいは県債管理基金等は、中長期的な観点から財政の弾力性、対応力を確保し、年度間の財源調整を行うために設置をしているものでございますが、このうち県債管理基金の平成三年度末における残高は、御指摘もございましたが、六百十二億円となる見込みでございます。
 六十三年度末の残高百三十五億円からすると約四百七十七億円の増加となっておりますが、これは、昭和五十一年度から五十六年度、五十八年度、五十九年度、六十二年度に発行した財源対策債及び昭和六十年度から六十三年度に発行した調整債の償還費が、本来でございますと毎年度の償還額に対応して地方交付税で措置されるわけでございますが、これが前倒し交付をされまして、これらに相当する金額を平成元年度から三年度の間に積み立てることとされたということによるものでございます。
 基金残高につきましては、本県のように税収構造が石油、鉄鋼といった特定の業種に依存をし、また先ほど申し上げましたが、経済動向そのものが不透明になってきているという状況の中で、南紀新空港とか美術館、図書館といった大規模事業の本格化に伴って公債費の増高が予想されるといったことから、財政運営上、ある程度の残高を確保しておくということが必要であると考えております。
 ただ、一方では、公債費の増大が福祉、教育等の政策的経費の圧迫要因とならないように県債管理基金を有効に活用していくことも必要でございまして、平成三年度当初予算においてはこのような考え方に立って、昨年度を二十億円上回る五十億円の取り崩しを行ったところでございます。
 次に、使用料・手数料に対する消費税の取り扱いの問題でございます。
 消費税につきましては、御承知のように、今後ますます進展が予想される我が国の高齢化、国際化といった将来の展望を踏まえるとともに、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系を構築するために導入されたものでございます。広く、薄く、公平に負担を求めるという趣旨から、地方公共団体の施設使用料等にも課税されることとされております。
 このため、平成元年二月の県議会におきまして、課税対象となる使用料等に三%の消費税相当分を上乗せする条例改正をお願いしたところでございます。
 その後、消費税に関して国民の間にさまざまな議論がなされ、その一層の定着を図る上から、政府において非課税範囲を拡大した見直し案が第百十八国会に提案をされたわけでございますが、審議未了となり、引き続き税制問題等に関する両院協議会を中心に論議がなされているところでございます。
 県といたしましては、この政府見直し案に沿って助産に係る役務の提供、住宅家賃について消費税の調整を行い、使用料の改正措置を講じたところでございますが、消費税自体は、それが公共料金であるか否かを問わず課税されるものでありますので、御理解を賜りたいと存じます。
 最後に、歳出の面における消費税の負担額でございます。
 平成三年度一般会計当初予算における消費税負担額は、工事請負費等を中心に約四十億六千七百万円となっております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 国保問題について、三点お答えしたいと思います。
 市町村に対する保険料値下げの指導と減免制度の確立についてでございます。
 国民健康保険事業の運営は短期的な視野で見るべきものではなく、医療費の増加傾向が続く中で今後とも国保制度の安定的な運営を確保していくためには中長期的な観点に立って財政基盤の一層の強化が不可欠であり、個々の保険者の保険料水準は最終的には市町村の判断によるべきものでありますが、将来の明確な財政見通しをしながら、安易に保険料を引き下げるようなことは適当でないので慎重に行う必要があると考えてございます。
 次に減免制度確立についてでございますが、昨年の制度改正において、制度運営の安定化を図るため、低所得者層に対する保険料軽減分を公費で補てんする保険基盤安定制度を確立し、これが恒久化されたところでございます。
 さらに、この法定減免以外に、各市町村においては条例で減免規定が設けられているところであり、常々、被保険者の実情を的確に把握した上で、適切かつ公平な保険料の賦課徴収により健全な国保財政の維持に努めるよう指導しているところでございます。
 次に、国保財政に対する県支出金の増額についてでございます。
 国民健康保険は、その構造上、高齢者及び低所得者の占める割合が高く、他の医療保険制度に比べ財政基盤が脆弱であり、その運営はまことに厳しいものがございます。
 県といたしましても、地方単独福祉医療事業の実施に伴う波及分、低所得者に対する保険料軽減分に対する補てん、及び国保連合会が行う高額医療費共同事業に対する助成等、積極的に助成し、財政負担の軽減を図るとともに保険料の上げ幅の抑制に努めているところであります。
 県支出金についての他府県との比較でございますが、他府県では福祉医療等の支出金を含んでいるところもございますので一律には比較できませんが、和歌山県においても、福祉医療を含めると一人当たり約千五百円となるところでございます。
 最後に、保険証の未交付についてでございます。
 国保料の滞納のみを理由としての保険証の未交付ということはございませんが、払えるにもかかわらず支払わない悪質な滞納者と認定された場合は、保険証にかえて資格証明書の交付が行われているところであります。
 また、一部の保険証の保留ということがございますが、これは、国保事業運営上の基本である所在確認等、国保資格そのものの確認調査のためであり、資格の確認ができ次第、直ちに保険証を交付するよう指導してございます。
 今後とも、法令等に基づき、適正に運営するよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 総務部長にお聞きしますけど、余り細かく聞くと私もよくわからないんで。
 県債管理基金について先ほどいろいろと説明があったんですけれども、平成三年末の予算ベースでいくと六百十二億になりますね。こういう予想になっているわけでございます。平成元年度から見てみると、前倒しの部分があったにしても、四・三倍という非常なふえ方であります。こんなにため込んで、一体これは何に使うのですか。このことをひとつお尋ねします。
 それから国保問題について、今、御答弁をいただきました。私は、繰り返し繰り返し同じ内容で、方角を変えてお尋ねをしているんですけれども、国保の問題というのは、先ほどからるる実態をお話ししておりますように、非常に危機的状況にあるというのが今の県全体の国保関係です。そして、高齢化が進んでいる中で低所得者が非常に多いということはもうお認めになっていらっしゃるわけですけれども、それならそれなりの対応策がもっと考えられるべきだと思うんです。国保安定基盤整備事業をやりましたけれども、しかし、これはあくまでも国がみずからの責任を放棄して地方自治体に対して負担金を覆いかぶせていくという制度に変わっているわけですから、そのことが本当にこういった国保の安定をし得るのかどうか。そして、国の補助金そのものが年々カットされ、制度的に変えられていく中で、今、国保料を払える事態があり得るのかどうか。
 私は、このところ、たくさんの方々にお話を聞く中で、一番今困っているのは、払いたくても払えないような実態がもうあっちこっちにできている。学者など専門家の方から見れば、今までは「『福祉』が人を殺すとき」というのがベストセラーになったみたいに、今後は「国保が人を殺す」ようなことにもなりかねない事態が全国で起こっているのが今の国保の実態なんです。だから、赤字の自治体であったとしても国の支出金というのは──当局の答弁では千五百円とおっしゃいました。厚生省が言うているのはうそですか。百四十三円という国保加入者一人当たりに対する県の支出金、これは、県は厚生省に対してうそを申請したんですか。この点についてお答えください。
 もう、たくさんは述べません。保険証の未交付の問題の部分についても、改善がなかなかなされないという点があります。毎年保険課からいただいているんですが、平成二年度の十月末現在での資格証明書の交付、いわゆる保険証が発行されないで、お医者さんに行ったときは全額一たん払うという資格証明書をもらっている人が五百五十名。和歌山市がトップで、三百六十九名です。それから、あと郡市のところで結構あるわけですけれども、七市で三百七十一名、伊都郡で七、有田郡で十八、日高郡で三十九、西牟婁郡で八十一、東牟婁郡で三十四、合計五百五十という、いわゆる保険証が未発行の部分があります。
 幾ら資格証明書を発行されたとしても、現実には、医者へ行ったときには全額払わなければならない。その後が問題です。領収書を持って市役所の保険課に行って、いわゆる医療費でかかった七割分を返していただいたとしても、実際には保険料を滞納しているから滞納分として徴収されるという実態です。だから、全く保険証がないのと等しいという、こういったむごいことが平気でやられている今の国保状況です。そして、保険料を払っても一定の期間しか保険証の有効期間を与えないという実態がいまだに残って、さらにこれがどんどんふえていっているといった実態が現にあるわけです。こういった状況をどういうふうに改善されようとしていますか。その点についてお答えください。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 県債管理基金の使途についての再度のお尋ねでございます。
 先ほども御答弁申し上げましたが、昭和五十年代の地方財政が国と同様に非常に厳しい状況に置かれた際に、財源対策債の発行とか交付税特別会計における借り入れ等により、その財源の不足を補てんしてまいったわけでございます。
 また、昭和六十年度から国庫補助負担率の引き下げが行われまして、それを財源的に補てんする措置として調整債が発行されました。
 この財源対策債及び調整債の償還につきましては、その時点で必要な財源措置を国が責任を持って行うということにされておりまして、本来でありますと、こうした起債の償還に合わせて基準財政需要額に算入の上、地方交付税で措置をされるということでございましたが、これが平成元年度から地方交付税により一括前倒し交付をされるということにされたわけでございます。いわば、将来のこうした県債の償還に備えて積み立てをしておかなければいけないものとして財源措置をされたものでございます。したがいまして、今後の償還にあわせて、その財源として活用することになります。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 再質問にお答えしたいと思います。
 県の支出金の関係で、厚生省の年報との違いについてお答えしたいと思います。
 厚生省が取りまとめた事業年報の都道府県支出金の内訳、内容が統一されておらないために数値に格差が生じてございます。内容を整えて比較した場合は、先ほどお答えしたとおりの額となるわけでございます。
 府県によっては福祉医療の補助金も含めていることから、本県もこれに見合う補助金を合わせて計算した場合、約千五百円ということでございまして、決して他府県より少ない額にはならないと考えてございます。
 なお、先ほど知事もお答えいたしましたとおり、平成三年度において、国保財政についての健全な育成のための増額を図っているところでございます。
 次に、保険証の未交付の問題でございます。
 我々といたしましては、市町村に対し、常々、悪質な未納者以外については交付するようにという指導を行っているところでございまして、今後ともそういうことで市町村指導をしていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今の県債の部分ですけれども、ため込み過ぎないようにしてほしいんです。実際には、私たち県民の暮らしをいかにしてよくしていくかと、福祉を中心にしたものに使っていただきたいというのが私たちの願いなんです。
 一月の二十一日か二十三日の都道府県財政課長会議においても、ため込み過ぎたらあかんというふうに厳しく言うているんです。これは財政課長がおっしゃっているわけですから。各目的に沿った積み立ては問題ないけれども、ただ漫然と積み立てている基金は、単独事業の財源として取り崩してでも事業量をふやしなさいとなっているわけです。そういった点から見てみても、わずか二年ちょっとで四・三倍もため込むほどのお金があるんであれば、もっともっと住民の暮らしが豊かになるようにといった願いを実現させるところのために使っていただきたい。
 とりわけ、大企業の大プロジェクトが軒並みに並んでいる現状の中では、そこへ貢ぎ込まれるという危険性を非常に持っているというふうに私たちは指摘せざるを得ないと思っています。そういった点で、私はこういうことを要望しておきたいと思います。
 それから民生部長、千五百円が決して少なくないと。私は、この千五百円ということについても、まだ納得はしておりません。厚生省は一定の基準を設けて県支出金を調査しているはずです。あなたがおっしゃるように、厚生省は基準も何も満たさないまま「県支出金は幾らですか」という調査をしないはずです。だから私は、この点についてはまだ納得をいたしておりません。
 ことしまた増額をされるとお聞きはいたしておりますけれども、しかしこれは、国が国庫負担を削ったことに国民健康保険の赤字、それから国保加入者への負担が大きくのしかかってきていることは否めないと思うわけです。けれども、その切り下げた部分を制度的に一つ一つ取り崩していくような制度が新たに行われてきていますね。だから、そういった問題についても、あなたたちは、だれに一番負担がかかるのかということをもっと真剣に考えていただきたい。そして、私が先ほど事例をたくさん申し上げましたように、この問題をどうやって改善していくのかということをもう一回見直していただいて、県の支出金、補助金をどうやってふやせば各市町村がもっともっと住民の皆さんたちに国保の軽減をできるかということを真剣に考えていただきたいと思います。
 今、民生部長、知事、実態としては本当に大変な時期ですよ。これは命の問題として取り上げてほしいんです。全国的にも、札幌で起こったような餓死状態の問題とか、医療を中断して、医者にかかれなくなってだれにもみとられずに死んでいく姿とか、減免制度を申請したけれども、それも門前払いを食って死んでいったということがたくさん起こっているわけでしょう。このことが和歌山県で仮に起きたとすると──今は、恐らくぎりぎりのところに来ていると思います。
 私たちは市会議員たちと共同してこういった問題についていろんな形で相談にも乗って、そして減免制度についても、これはずっと法定減免ですけれども、実現をさせてきました。これは命の問題として考えていただきたい。仮谷県政は「まごころ県政」と言っているんですから、もっともっとこの問題を深く掘り下げて大事に扱っていただきたい。そういった点を強く要望して、私の再質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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