平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中村隆行議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、新任の職員を事務局長から紹介させます。
○事務局長(山本恒男君) 御紹介申し上げます。
 警察本部
 防犯部長 角 田 侑 彦 君
 警備部長 山 本 博 順 君
 交通部長 谷 口 博 美 君
 〔各員一礼〕(拍手)
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 次に、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十二号、議案第四十三号、議案第五十二号、議案第五十三号、議案第五十七号、議案第五十八号及び議案第六十一号は職員に関する条例の制定及び改正でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴したところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第381号
    平成3年2月22日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成3年2月19日付け和議会第327号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第42号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第43号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第52号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第53号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第57号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第58号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第61号 企業局長の給与等に関する条例
   (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(岸本光造君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    財第190号 
    平成3年2月26日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
   和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成3年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
   記
 議案第76号 平成2年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第77号 平成2年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第78号 平成2年度和歌山県営競輪その他事業特別会計補正予算
 議案第79号 平成2年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
 議案第80号 平成2年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 議案第81号 財産の取得について
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○議長(岸本光造君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第七十六号から議案第八十一号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案につきまして、御説明申し上げます。
 平成二年度予算のうち、用地取得の遅延、その他諸般の事由により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、一般会計で百十九億八千三百余万円、特別会計で十億六百余万円を平成三年度に繰り越し使用することについて、さらに議案第八十一号は南紀新空港の建設事業用地を取得することに伴い、財産の取得について議会の議決をお願いするものであります。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(岸本光造君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(岸本光造君) 次に日程第二、議案第一号から議案第七十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 22番中村隆行君。
 〔中村隆行君、登壇〕(拍手)
○中村隆行君 平成三年初めての定例議会の最初の質問者として登壇の機会を与えていただきましたことに対し、まず冒頭に御礼申し上げます。
 昭和天皇の御崩御から、はや二年余りの歳月が流れ、新時代「平成」も三年目の春を迎えております。顧みますと、海外では、ブッシュ大統領とゴルバチョフ大統領が誕生し、新しい指導体制のもとで米ソ間はいまだ不透明感、問題点も残っていなくもないようですが、過去の冷戦の時代を乗り越えて、対話と協調の時代へと歩み始めました。また国内では、昭和四十年代前半の高度成長期と並ぶ息の長い景気拡大を続け、今日まで安定した成長が続いております。
 このように平和と安定の時代を迎えようとしていたやさきに、イラクはクウェート侵攻という暴挙に出たのであります。平和解決へ向けた国際社会の努力を踏みにじり、国際秩序が混乱していることはまことに悲しむべきことであります。私は、国連決議に従ってイラクがクウェートより撤退して、一日も早い平和的解決と世界秩序の安定、繁栄を心より祈念するものであります。
 さて、仮谷知事はこのたび平成三年度の県予算をまとめられました。知事が説明の中でも触れられたとおり、世界情勢の緊迫化や我が国の国際化、技術革新、高齢化等の時代の流れは本県にも少なからずの影響を及ぼしているものと考えられます。このような状況を踏まえ、三年度予算の編成に当たってどのような考え方で臨まれたのか、その基本方針について、まず知事にお尋ねいたします。
 続きまして、関西国際空港の立地、近畿自動車道紀勢線を初めとする交通網の整備が進展している中、県では今多くのプロジェクトの推進に鋭意取り組まれているところでありますが、これらの関連事項を初め県政の全般について私の意見を申し上げるとともに、知事の御所見及び関係部長の見解をお聞きしたいと思います。
 まず、関空開港の延期に関連してであります。
 予想を上回る地盤沈下等の影響により、関西国際空港の開港時期が平成六年夏ごろへと十五カ月延期されることになりました。このことは、関西国際空港に本県浮上の夢を託し、一日も早い開港を望んでいた私たちにとってまことに残念なことであります。
 さきの十二月定例会において、このことに関連して全体構想への影響と今後の取り組み、事業費の増大に伴う地元負担の問題、さらには空港関連地域整備として進めている府県間道路の整備や主要プロジェクト推進への影響等について活発な論議がなされたところであります。これらのことを踏まえ、次のことについてお伺いいたします。
 関西国際空港の開港に照準を合わせ、その推進が図られている空港関連地域整備計画、並びに本県はもとより関西が一丸となって進めている関西国際空港全体構想の早期実現については、開港が延期された今、知事として今後どのような取り組みをなされるのか、お答えいただきたいと存じます。
 とりわけ、全体構想の早期実現を図っていくためには、岸大阪府知事の不出馬が明らかになった現在、これからの難局を乗り越え、関西全体のかじ取りをされるのは、御経験並びに御識見から申しましても、仮谷知事、あなたしかいないのではないでしょうか。知事の御決意をあわせて賜りたいと存じます。
 次に、第二国土軸の推進についてお尋ねいたします。
 仮谷知事が提唱されてきた紀淡海峡トンネル、大阪湾環状交通体系は、昭和六十二年に策定された第四次全国総合開発計画や近畿圏整備計画に盛り込まれたのであります。これに端を発し、経済界等の大阪湾ベイエリア構想、さらには西日本においては広域的な取り組みが必要との観点から、東京から伊勢湾口、紀伊半島、紀淡海峡、四国、豊予海峡を経て九州に至る新たな国土軸を形成することにより、第一国土軸と有機的に連携して広域経済文化圏を形成し、いわゆる第二国土軸を進めようとする機運が盛り上がっています。この機運を受けて昨年十月三十一日、関係十七府県と八経済団体で構成された第二国土軸構想推進協議会が設立され、歴史的第一歩を歩み始めました。また、昨年暮れには早速行動を開始され、知事を初めとし、経済団体の会長など約七十名に上るかつてない陳情団体を組織し、関係省庁に強く要望が行われたとのことであります。その手ごたえと、今後これを実現するため第二国土軸構想推進協議会としてどのように展開していくのか、知事の御見解をお伺いいたします。
 続きまして、京奈和自動車道を初めとする県内の道路整備の取り組みについて土木部長にお尋ねいたします。
 まず第一点目は、京奈和自動車道についてであります。
 京奈和自動車道は、近畿自動車道松原海南線とともに和歌山県と国土軸を結ぶ高規格幹線道路であり、沿線は県下最大の平野を擁し、南麓サイエンスパークや橋本林間田園都市計画等の大規模プロジェクトや企業進出が計画されている地域であります。また、平成六年には関西国際空港の開港も予定されており、地域の開発ポテンシャルもますます高まっております。県勢浮揚の観点からも京奈和自動車道の果たす役割は多大であると考えております。早期完成に向けての取り組みをお示し願います。
 第二点目は、県内の道路整備についてであります。
 道路整備は県政の重点施策の一つであり、積極的な取り組みがなされているところでありますが、整備状況は全国的に見ておくれており、なお一層の整備努力が必要であると考えます。また、都市部及び郡部における交通渋滞も深刻な状態であります。このような状況を踏まえ、今後の道路整備の方針をお示し願います。
 次に、紀の川流域下水道事業についてであります。
 生活及び産業活動に最も重要な水質保全施策として紀の川流域下水道事業が昭和五十五年度から伊都処理区で始められておりますが、紀の川における下水道整備の中長期的及び当面の整備目標について、また現状と今後の見通しについて土木部長の答弁をお願いいたします。
 次に、産業対策についてであります。
 本県の工業構造を見てみますと、昭和六十二年の出荷額では重化学工業が約五三%と大きなウエートを占めているものの、繊維、木材、家具、皮革、家庭用品等の地場産業は、事業所数で約七○%、従業員数で約五一%を占め、全国的にも有数の地場産業県であると言えます。二十一世紀に向けて急速な技術革新の進展が予想される中で、地場産業がその活力を維持し発展していくためには、新製品開発を支える企画、デザイン、技術研究開発体制、情報管理体制の強化など、技術力、研究開発力を高めるためのハード、ソフト両面における基盤の強化を図る必要があると考えます。
 そこで、商工労働部長にお尋ねします。
 こうした本県の地場産業をハイテク化、高付加価値化するための軸として期待されている工業技術センターの再編整備と大学、公設研究機関とのネットワークを整備し、産・官・学が一体となって工業技術センターの機能を補完する体制づくりが急務であると考えられますが、県はどのように取り組みをされるのか、お答え願います。
 次に、企業誘致に伴う地域に及ぼす経済効果についてお伺いいたします。
 少しさかのぼりますが、昭和四十年代の高度成長時代から昭和五十年代は石油ショックによる資源エネルギーの節約やNIES諸国の基礎素材型産業の追い上げ等により、我が国の産業構造も従来の産業の転換、いわゆる重厚長大型から軽薄短小型へと転換を図ってきたわけでございます。一方、北部臨海工業地帯に立地している鉄鋼、石油等の基盤素材型産業と県下それぞれの地域の資源や技術を生かした各地場産業を中心に発展してきた本県としても、深刻な影響を受けたことは御存じのとおりであります。
 この状況を打開する一つの方策として企業誘致が推進されてきたわけであります。他の府県との誘致競争に打ちかつための優遇措置の充実、県、市町村一体となった受け入れ態勢の整備、企業立地説明会等の誘致施策の浸透など、県当局の並み並みならぬ御努力に加え、関西国際空港の建設や道路交通網の整備の進展等もあって、本県の企業誘致も徐々に成果が上がってきておるのであります。現在、五十社を超える誘致が決定しているとのことであり、この四月には松下電池工業株式会社和歌山工場が操業を開始するとのことでございます。
 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
 これまでの企業誘致の結果及びどのような経済効果、波及効果をもたらしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、今後の企業誘致を推進していく上で労働力確保が大きな問題となってくると考えられますが、これの対応についてお答えいただきたいと思います。
 さらに、本県の間近に開港する関西国際空港の波及効果を大いに利用するため、臨空産業、先端技術産業の導入を図っていかなければならないと考えていますが、県としてどのような対策を講じているのか、あわせてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、人材の育成と確保の面から期待されている近畿大学理工系学部の建設についてお尋ねいたします。
 去る一月七日の知事の新春記者会見において、かねてから待ち望まれていた近畿大学理工系学部の開設について、平成五年四月の開学に向けて、本年から学舎等の建設工事に着手されるとの発表がありました。
 本県の高等教育機関は、国立が一校、公立医大が一校、私立が一校、短大、高専が合わせて三校と収容力は極めて小さく、また学部も文科系に偏り、理工系学部を志望する受験生はすべて県外を目指さざるを得ないなど、現状は全国的に見て極めて脆弱であります。関西国際空港の開港や高速道路等の社会資本の整備充実が進み、本県の長年の悲願であった半島性からの脱却が進む中で、本県の開発ポテンシャルは急速に高まりつつある今日、優秀な理工系の人材の地元での養成を初め、産業の高度化、研究開発機能への支援等、理工系学部の存在はぜひとも必要なことであり、本当に待ち望まれた新学部の決定と言えましょう。このことは本県産業界、教育界を初め県民こぞって歓迎するものであり、ぜひとも予定どおりの開設をお願いいたしたいと思います。
 そこで、近畿大学新学部の構想及び新設に向けての見通しについて、企画部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、農業対策についてお伺いいたします。
 この春、オレンジが自由化されます。これまではアメリカの天気について何らの関心も持たなかったものですが、最近ではフロリダの天候はどうだろうか、カリフォルニアに寒波が来たそうだなどと、海外の気候にまで関心を寄せるようになりました。もちろん、米国のオレンジの作柄が本県産かんきつの価格に影響を及ぼすものと考えるからであります。このことは農作物の適地性が海外各地へと広く広がることを意味し、農業分野においてもいよいよ国際化時代に突入したのだなあと実感する次第であります。
 オレンジの自由化が決定されて以来、かんきつ園地再編対策に産地挙げて取り組まれ、かんきつ産地の体質強化に加えて落葉果樹産地の拡充強化に努めてこられました。この間の生産者や生産者団体を初め関係者の努力には大いに敬服するものであります。しかし、これからが本番であります。国内外の競争力のある産地と競争していかなければなりません。真の実力が問われる時代を迎えたと言っても過言ではないと思います。この三年間、かんきつ産地では不良園を精査する中で、優良園を主体とした産地に体質強化が図られてきました。一方、適地・適産を基本に、かんきつから梅、桃などの落葉果樹への転換が進み、その生産力が大きく伸びようとしております。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 かんきつ園地再編対策いわゆるオレンジの自由化対策の推進の中で、生産拡大している落葉果樹を含め、今後の果樹産地のあり方についてどのようにお考えでしょうか。
 また、産地の活性化を図る上で品種の更新による産地の若返りが有効な手段の一つと聞いておりますが、本県における果樹の新品種開発状況や技術開発など試験研究への取り組み状況と今後の見通しについてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の推進に伴う経済効果についてお尋ねいたします。
 近年、長寿化や労働時間の短縮により自由時間が増大し、所得の向上や生活様式の多様化とも相まってゆとりあるライフスタイルへの志向が強まり、新たなリゾートへのニーズが生じてきているところでございます。この潮流の中で、本県の海洋、森林、温泉など豊かな自然資源や、高野、熊野、根来等に代表される数多くの歴史、文化資産など恵まれた地域資源は、リゾート地の形成を図る上で極めて有効に活用できるものであります。
 昭和六十一年十二月に策定された和歌山県長期総合計画では、県土づくりの方向としてテクノ&リゾートが掲げられ、地域振興策の大きな柱として位置づけられるとともに、昭和六十三年三月に策定された和歌山県リゾート開発基本構想では、県下全域について、海洋型、山岳・高原型、都市近郊型の三つの方向の開発が提示され、さらに種々検討が重ねられて、本県のイメージを鮮烈に打ち出せる海をテーマとした燦黒潮リゾート構想が昨年十二月十九日に国の承認を得たと聞いております。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 今後、本県におけるリゾート整備については、海岸域を対象とした整備にあわせ、内陸部においても推進していく必要があると考えておりますが、県において現在、関係市町村とともに策定されている内陸部のリゾート整備計画と燦黒潮リゾート構想との関連性、及び同構想の内陸部への経済効果について答弁をお願いいたします。
 また、これからのリゾート時代を迎え、今後どのような方向でPRされ、本県の観光振興を図っていくお考えなのか、商工労働部長にも御答弁をお願いいたします。
 同和対策事業についてでございます。
 同対審答申が出されて二十六年、同和対策事業特別措置法が制定されて二十二年が経過し、その間、本県では同和対策を最重要施策として位置づけ、知事を先頭に県議会、市町村ともども積極的に本問題解決に取り組まれているところであります。現状では、生活環境改善事業を初め、産業職業対策、教育啓発活動等の実施により相当の実績を上げ、全国的に見ても本県は先進県として問題解決の日は近いという認識をしているところであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 地対財特法の最終年度に当たって、平成三年度の予算措置等、県の基本姿勢について、また地対財特法期限切れ後の法的措置はどうなるのか、その見通しについて御所見をお伺いいたします。
 また、同和対策総合推進計画に基づく事業の進捗の現状と法期限内の見通しについて、民生部長に御答弁をお願いいたします。
 次に、生涯学習についてであります。
 近年、技術革新による情報化、国際化の進展が目覚ましく、余暇時間も増大し、国民のライフスタイルは大きく変化してきています。このような状況の中で、新しい知識、技術の習得など、生涯にわたる学習意欲が高まってきています。
 平成元年度、総理府が調査した生涯学習世論調査の結果を見ても、その八割が一生を通じて、いつでも、どこでも、仕事や日常生活に必要なことを学んだり、スポーツや芸術、文化に親しみたいと希望しております。また、同年度に県が実施した県政モニター調査によりますと、人々の学習意欲が高揚し、しかもその学習内容が多様化、高度化の傾向を示しており、生涯学習への期待が一段と高まっております。時折しも、昨年、本県で開催した第三回全国スポーツ・レクリエーション祭や京都で開催された第二回全国生涯学習フェスティバル、また、現在進められている新美術館、新図書館、新博物館といった文化施設の整備は、まさに県民一人一人がいつでも、どこでも学ぶことができる学習機会を提供する場としてとらえられます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 まず、新美術館、新図書館、新博物館のいわゆる三館の建設については、関係者の熱意が実り、いよいよ平成三年度から着工の運びとなったと聞いておりますが、その進捗状況について御答弁を願います。
 次に、本県においても県民の学習ニーズが高まってきていると考えられますが、その県民の学習ニーズにどう対応しておられるのか、また生涯学習を進める上での指導者の養成等が必要と思われるが、どのようなお考えなのか、以上の点について教育長の御答弁をお願いいたします。
 国際化についてお尋ねいたします。
 平成六年夏、関西国際空港の開港を契機に人、物、情報が急速に増加し、こうした流れをスムーズに受け入れることは、本県経済の活性化のみならず県民の国際感覚の向上に資するものであると思うのであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 このような本県の国際化の流れに積極的に対応するための体制の強化を図るべきと考えますが、知事の御所見をお示し願います。
 次に、知事公室長にお伺いいたします。
 県は国際化に対応するための各種施策を実施していますが、県と海外との友好提携については中国山東省だけであります。世界との交流をもっと広く、積極的に展開していくべきではないかと考えますが、その方策をお示し願います。
 さらに、こうした施策に加え、民間の人々の持つ活力を生かすことが必要であると痛感しておりましたが、昨年、民間の立場から本県の国際化、国際交流を推進する財団法人和歌山県国際交流協会が設立されたと伺っております。
 そこで、この協会の概要及び今後の活動方針についてお聞かせいただきたいと存じます。
 最後に、電源立地問題についてお伺いいたします。
 去る二月九日、関西電力美浜発電所で発生した事故については新聞、テレビ等でも報道されているところでありますが、この際、本県における原子力発電所等電源立地問題について、改めて御質問いたします。
 県は、従来から原子力発電所等電源立地問題については、「三原則を堅持しつつ促進する」としています。一方、我が自由民主党県議団ではエネルギー問題研究会を設置し、研究協議を行っているところでありますが、最近の地元の状況は、日置川町長は原発反対、日高町でも昨年の町長選挙で原発反対の町長が当選するなど、まことに厳しい状況にあると判断せざるを得ないと考えております。
 現在、第四次長期総合計画を着実に推進するため、第二次中期実施計画を策定中であると聞いておりますが、その中での原子力発電所等電源立地問題に対する県のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 以上、平成三年度当初予算関連並びに県政全体について私が考えている諸問題について、多岐にわたり自由民主党県議団を代表してお尋ねいたした次第であります。知事並びに関係部長から明確なる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村隆行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村隆行議員にお答え申し上げます。
 平成三年度の予算編成の基本方針についてでございます。
 国際化、情報化、技術革新、長寿化等の大きな時代の流れの中でございますので、躍動の時代、豊かな和歌山の創造を県政の基本目標として、地域産業の発展、健康・福祉社会の形成、人づくりと文化の創造を柱として現在まで進めてまいりました各般の諸施策を着実に前進させるとともに、次の時代をにらんだ新しい施策を展開していくという基本的な考え方に立って積極的に施策の推進を図ったところでございます。
 財政状況については、税収は全体として復調傾向にあるものの、その水準はまだ十分なものとは言えません。先行き不透明な要素もございます。したがって、限られた財源の中で有効な活用を図るため、半島振興法関係やふるさとづくり、地域づくり等の国の財源措置のある起債を活用するなど、できるだけの工夫を行ったところでございます。
 次に、関西国際空港の開港の延期でございます。
 積極的に取り組んできた本県といたしまして、お話ございましたように、まことに遺憾な実情でございます。しかしながら、県といたしましては、開港延期にかかわらず引き続き関連地域整備を推進するとともに、県勢の発展に積極的に活用してまいる考えでございます。また全体構想の早期実現についても、国において平成三年度に全体構想に関する調査費が認められたので、事業着手について大きな前進があったと思うわけでございます。今後、早期着工に向けて強力に運動を展開してまいる所存でございます。とりわけ平成三年度は第六次空港整備五箇年計画が決定される重要な年でございますので、近畿知事会並びに近畿財界、オール関西が一致団結して国初め関係機関に働きかけてまいるとともに、実現方策についても協議していかなければならないと思っておるわけでございまして、県議会の皆さんの格段の御指導をお願いする次第でございます。
 次に、第二国土軸の推進でございます。
 お話ございましたように、推進協議会が設立いたしまして、昨年の末、早速、関係省庁へ陳情を行ったところでございます。特に国土庁長官からは調査検討の推進等について積極的な意向が示されるなど、着実な成果が得られたと思っております。今後、協議会としては共同調査を行っていくとともに、さらにこの構想を国のプロジェクトに明確に位置づけていただくように関係省庁に強く要望してまいりたいと存じておるところでございます。
 次に、同和対策の推進でございます。
 最終年度に当たっての県の基本姿勢はどうかということでございます。
 平成三年度は、現行法に基づく同和対策総合推進計画を策定し、問題解決のために懸命の努力をいたしておるところでございます。予算編成に当たっても、その計画に基づいて地方改善事業を中心とした物的事業関係で対前年比一○四・六%と積極的に対応し、産業就労関係や教育啓発事業の非物的事業についても対前年比一○一・四%を計上するとともに、特に県民啓発活動は重要課題として対前年比一○四・九%を措置したところでございます。
 地対財特法も期限切れになるではないか、その際の法的措置の見通しについてでございます。
 現行法が施行されるに当たって、一般対策への円滑な移行のための最終の特別法であるとの各省の次官通達が出されたところでございまして、新たな法的措置の見通しについては大変難しいと考えているところでございます。現在、私も参画しております国の地域改善対策協議会において現行法失効後の同和対策のあり方、方向について協議がなされており、本年夏までに中間的な意見具申を取りまとめることになっております。本県といたしましては、同和対策協議会の中で法期限内の事業実施の見通しや法失効後のあり方について鋭意調査検討しているところでございます。今後、県議会や県同和委員会の御意見をいただき、本県の実情を述べてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、国際交流体制の強化の問題でございます。
 話ございましたように、昨年、国際交流室を設置するとともに財団法人和歌山県国際交流協会を設立し、積極的に国際化を進めているわけでございます。お話ございましたように、より積極的に推進し、組織の充実を図るため、課の設置について現在検討を重ねているところでございます。
 次に、電源立地問題についてでございます。
 電源立地については、従来から適地性、安全性、地元の同意という三原則に基づいて対処しているところでございますけれども、議員御指摘のとおり、現在はその一つである地元の同意が成立している状況にはないものと認識しておるわけでございます。
 こうした状況にかんがみまして、現在、策定の作業を進めてございます第二次中期実施計画においては、電源立地に関する県の基本方針である三原則を堅持し、国の動向を見きわめながら地元の意向を尊重しつつ対応するとの考え方で検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、道路整備についてでございます。
 京奈和自動車道は、京都を起点とし奈良を経て和歌山に至る延長約百二十キロメートルの高規格幹線道路であり、京阪神地域の外環状道路であるとともに、和歌山県にとっては、本県と国土軸を直結し、紀北地方の開発プロジェクトを支援する重要な道路であります。本県といたしましても、本路線の重要性にかんがみ、県議会の御支援、御協力をいただきながら早期実現に取り組んでまいったところであります。
 このうち、現在、橋本市から高野口町までの十一・三キロメートルが橋本道路として平成元年度に国により事業化され、平成三年度からは用地買収に着手する予定であります。また、高野口町から和歌山市までの約三十一キロメートルについても、平成二年十一月に基本計画の決定がなされたところであります。
 京奈和自動車道は近畿自動車道紀勢線とともに主要な路線であり、県としても関係市町と一体となって地元調整、用地買収等、積極的に取り組み、国に対しても早期完成を強く要望してまいります。
 次に、県内の道路整備の基本方針についてでございます。
 長期総合計画に基づき、本県を国土軸と直結するための高速道路の整備を初めとして、県内各地を有機的に連絡する三─五軸広域幹線道路網、府県間道路等の県際交通網、定住性を高めるための地域交通網、日常生活を円滑化するための生活交通網、そして都市周辺部の交通需要に対応するための体系的な交通網等を整備することを基本方針として、公共事業や県単独事業である半島振興道路整備事業等により計画的な道路整備に努力しているところであります。
 また渋滞対策については、特に都市部やその周辺部において緊急の課題であり、国とも連携を図りつつ、渋滞対策緊急実行計画──アクションプログラムと言っておりますが──等に基づき、渋滞対策として効果的な道路整備に積極的に取り組んでいるところであります。今後とも、本県における道路整備の重要性にかんがみ、その促進に一層努力してまいります。
 次に、紀の川における下水道整備の御質問でございます。
 まず、紀の川における下水道の中長期的及び当面の整備についてでございます。
 紀の川流域内の三市十二町の下水道整備については、昭和五十九年に県が策定した紀の川流域別下水道整備総合計画を基本として事業を進めているところでございます。長期的な整備目標でございますが、流域内のほぼすべての市町の市街地区域及び各種プロジェクトに下水道が普及するよう整備を図りたいと考えております。
 また、今世紀末おおむね十年後の中期的な整備目標としては、現在事業中の紀の川流域下水道伊都処理区の事業を促進するとともに、計画中の那賀処理区は流域下水道事業で整備を進め、また和歌山市、海南市等は単独公共下水道で整備することにより流域内の下水道普及率を五○%にしたいと考えております。
 また当面の目標としては、平成三年度を初年度とする第七次下水道整備五カ年計画の期間内に紀の川流域下水道伊都処理区の供用開始、那賀処理区の事業着手を行うとともに、和歌山市北部並びに西部の市街化区域の事業に着手できるよう和歌山市を指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、産業対策の四点について順次お答え申し上げます。
 工業技術センターを産業技術の高度化、ハイテク化に対応できる研究開発施設として整備するため、塔屋部分を含め七階建ての新館を建設することとし、本年七月着工、平成四年八月完成を目指しており、完成時には床面積が現在の一・八倍となる予定であります。新館にはメカトロ技術研究室、電子顕微鏡室、インキュベーター室等の研究開発施設、シンポジウムルーム、融合化室等の開放交流施設を備え、本県産業の中核的研究開発施設として整備していくことにしております。
 また、官民一体となって産業技術の振興を促進するため、県、和歌山市、地場産業組合がそれぞれ出捐し、第三セクターの財団法人和歌山テクノ振興財団を工業技術センター内に設立することにしてございます。財団は、県内外の大学、公設試験研究機関とも連携を密にし、人材育成、情報提供、技術交流、共同研究、起業家育成支援等の各種事業を効果的に実施していくことにしております。
 以上のとおり、本県の中核的研究開発施設として整備する工業技術センターと、これを補完するテクノ振興財団とが相携えて地場産業の振興を図り、地域経済の活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 二点目でございます。本県産業構造の転換と地域バランスのとれた企業立地を図るため企業誘致を推進しているところでありますが、昭和五十八年から現在まで五十一社の進出が決定し、うち二十五社が操業を開始しております。なお、五十一社の大半が加工組み立て型業種でございます。また、これら企業への県内雇用は、昨年十一月で約千五百五十人、本年四月には千九百人余りとなる予定でございます。雇用効果は大変大きなものがあると考えております。
 また工場立地に伴う波及効果については、建設投資による波及効果がございます。例示されました松下電池工業株式会社和歌山工場では、平成四年三月までに百六十億円が投資される予定で、地元業界へ多大な波及効果があると考えてございます。
 また操業に伴う生産波及効果では、県民所得のかさ上げ、県・町税の増収、雇用効果等、全般に効果を及ぼしていくものと考えてございます。
 次に、今後の企業誘致を進めていく上での労働力確保の問題であります。
 県としては、新規学校卒業者の県内企業への就職促進、中高年齢者の就職促進、技術労働力等確保対策事業等、人材確保に努めているところでございます。さらに平成三年度においては、人材Uターン促進事業を実施し、技術系大学生のほか、文科系大学生にまで事業の対象範囲の拡大を図るとともに、専門のUターン相談窓口の設置や東京、大阪での企業説明会の開催等、施策の充実強化を図ってまいる所存でございます。
 次に、臨空産業、先端技術産業の導入については、県長期総合計画や関西国際空港地域整備計画の南麓サイエンスパーク計画に位置づけられているところでございます。これら計画に基づいて、本県では関西国際空港に最も近い打田町北勢田工業団地や海南インテリジェントパーク等に先端技術産業やソフトウエア業の導入を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、これからのリゾート時代における本県の観光PRの方向でございます。
 議員御指摘のように、近年、本格的なリゾート時代を迎えて、同一地域に長期滞在をし、ゆったりと時間を過ごすという観光志向になってきてございます。
 県としても、昨年までは本県に残された歴史、文化にスポットを当てた歴史の道キャンペーンを実施してまいったところでございますが、平成三年度からは本県の豊かな大自然をさらに全国に宣伝してまいる所存でございます。
 特に、平成六年に開催が予定されております世界リゾート博に向け、マリンレジャーの楽しめる和歌山をアピールするなど、海を中心に本県の大自然をテーマとしたキャンペーンを展開し、誘客を図ってまいりたいと考えてございます。また、マスメディアを活用して本県のイメージアップを図るため、首都圏及び関西においてテレビスポット放送を行い、和歌山を強くアピールしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、近畿大学の問題についてお答えを申し上げます。
 近畿大学の新学部については、現在、学内で鋭意検討が進められているところでございまして、近畿大学十番目の学部として、仮称ではございますが、生物生産工学部を新設するものと伺ってございます。新学部の概要でございますが、将来性が極めて高いと目されているバイオテクノロジーを中心に据えた生物生産工学科や来るべき高度情報化社会に対応した情報工学科等、四学年で約千人規模の学部として設立される予定と伺ってございます。
 近畿大学は、平成五年四月の開学に向けて、ことしの七月に文部省へ学部新設の申請を行う予定と聞いてございます。県としても、予定どおりの開学に向けて要望活動等を国に働きかけてまいる所存でございます。また、あわせて交通アクセス等、周辺の環境整備にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想と内陸リゾートとの関連性等についてお答えを申し上げます。
 昭和六十三年三月に和歌山県リゾート開発基本構想を策定し、基本的な方向として、県下全域で海洋型、都市近郊型、山岳・高原型の三つのタイプのリゾート整備を進めることとしているところでございます。
 海洋型のリゾートについては、昨年十二月、燦黒潮リゾート構想の承認を受けたところでございます。今後、民間企業を中心とした整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 一方、内陸部についても、緑豊かな森林、四季折々に人を楽しませてくれる渓谷や各種温泉などの自然資源、加えて高野、熊野、根来などに代表される歴史・文化資源など、個性豊かな地域資源がございます。これらの資源を活用した特徴のあるリゾート整備を進めることにより、海岸部と内陸部が一体となり連携をしながら相乗効果を高め、多様な余暇活動の楽しめる魅力あるリゾート地を形成してまいりたいと考えているところでございます。このため、本年度は内陸部の三町村において地元とともにリゾート整備計画を策定中でございまして、来年度も引き続いて新たな町村において実施してまいりたいと考えてございます。
 燦黒潮リゾート構想の内陸地域への経済効果でございますが、本構想では民間投資額は今後十年間で約五千七百億円、完成後には本県を訪れる人が年間約千二百万人増大すると見込んでございまして、建設に伴う経済効果や完成後の農林産物、土産品等の地域産品の供給及び新たな雇用機会の創出など、内陸部にも大きな経済効果を及ぼすものと考えてございます。さらに、増大するリゾート客は、多様な余暇活動の場を求めて海岸部のみにとどまらず内陸部へも訪れることとなり、スポーツ・レクリエーション施設や保養施設等の余暇活動施設の利用や地域産品の購入等、地域への経済効果があると考えてございます。また、そうしたことにより、内陸部において現在計画されているリゾート整備の実現への熟度がさらに高まるものと期待しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農業対策について、今後の果樹産地のあり方でございます。
 全国的な需要の動向に的確に対応しながら、適地適産に基づく産地づくりが必要でございます。また、国際化の進展や産地間競争が激化する中で、高品質果実の生産対応と生産基盤の整備による低コスト生産等、産地の体質強化に努めることが特に重要であると考えてございます。
 このようなことから、昨年十二月に県として果樹農業振興計画を策定し、県内果樹産地を四地域に区分して地域の特性を生かした振興品目を設定いたしました。紀の川流域では、主として柿、桃、イチジク等の落葉果樹の振興や臨空農業に向けて、さらにこれらの施設栽培の導入、有田川流域施設では、ミカンの適地でもございますので味一ミカンの生産拡大やその施設化、また日高地域では、特産の梅を中心としたハッサク等、中晩柑類の越冬完熟栽培、さらに紀南地域では、梅、スモモ、ミカン、ポンカン、ユズの産地振興に努めるなど、本県果実の周年供給体制の確立と経営の複合化を図ることが重要と考えてございます。したがって、今後も引き続き、果樹農業振興計画に基づいて、生産基盤の整備を初め流通、加工対策等、総合的な施策を強力に推進するとともに、生産者の主体的な取り組みを喚起しながら、競争力のある、足腰の強い産地づくりに生産者団体ともども積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、技術開発の問題でございます。
 本県農業の基幹である果樹の振興を図るためには、議員お話しのとおり、品種更新による産地の若返りが大変重要であると考えてございます。これまで、果樹園芸試験場では新品種の育成や新技術の開発などに鋭意取り組み、産地の技術革新に先導的な役割を果たしてきたところでございます。
 特に、宮本わせや紀の国温州などの品種開発、ミカン、柿、桃、チェリモヤ等の施設栽培技術、紀の川柿としてブランド化している柿の樹上脱渋技術、スプリンクラーの多目的利用技術、味一果実の生産技術等々、数多くの技術開発を行い、いずれもこれらの技術は全国レベルで高い評価を得ているところでございます。
 現在ではまた、近赤外線による非破壊選別技術の研究を初め梅の生産安定対策やバイオテクノロジー利用による新品種の育成等の技術開発にも鋭意取り組んでいるところでございます。
 今後は、産地の課題解決はもとより、消費者ニーズを先取りした技術開発に取り組むことといたしており、ことしからは新たにチェリモヤに続いて熱帯性のホワイトサポテ等の新しい産品開発研究を進めることといたしてございます。
 さらに、今後ますます高度化が予想される技術開発に対応するために、平成二年度においては果樹園芸試験場本場に研究棟の新築等を行っているところでございます。また、平成三年度から二カ年計画で落葉果樹の中核研究施設となっている紀北分場の新築や研究施設等の整備を図るべく、それらに要する経費を今議会にお願いいたしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 同和対策総合推進計画に基づく事業の進捗状況とその見通しについてお答えをいたします。
 物的事業の計画事業六百四十五億について、その後の社会情勢の変化に伴う必要経費の増加、また市町村の事業計画変更による事業量の増加に伴い、千五十億の事業が必要となっております。そのうち、昭和六十二年度から平成二年度見込み額を含めて四年間で八百十三億の事業が実施され、これは七七・四%の進捗率となるものでございます。
 次に、ソフト面についてであります。
 教育啓発活動を積極的に推進しているにもかかわらず、今なお県同和委員会に年間十数件の差別事件の報告があり、平成二年度においても六件の報告を受けています。また、高等学校等への進学状況についても、県平均との間において高校は五%、大学は一○%の格差がある現状でございます。
 また産業就労対策として、大型共同作業場の建設や技能取得事業の結果、若年層の就労状況は相当改善されつつあるものの、中高年齢層については、なお課題が残されてございます。これらについて現在、同和対策協議会総合課題検討部会を設けて、法期限内の事業見通しや今後の対応について検討をしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 国際化に関連してお答えいたします。
 まず友好交流については、中国山東省との友好提携を初め移住諸国との交流を推進しているところでございますが、今後さらに他の地域とも友好を深め、交流を図っていきたいと考えてございます。平成三年度において、北米、中南米及び欧州などとの姉妹提携等の交流について調査を実施いたしたいと考えてございます。
 次に、財団法人和歌山県国際交流協会の概要でございます。
 和歌山県の国際化を進める中核国際交流団体として、県、市町村、民間が一体となって設置いたしたものでございます。基本財産は、県、市町村、民間合わせて総額三億六千六百五十万円でございます。
 なお協会の事業内容でございますが、県民や外国人に向けての国際交流に関する情報の収集及び提供、県民と外国人が直接触れ合うイベントの実施、外国人留学生に対する支援、海外移住者への支援、さらには通訳、ホームステイなど国際交流に係るボランティアの組織化等、県民が地域で直接参加することのできる、よりきめ細やかな事業の実施を考えてございます。県民の皆様方の一層の御支援、御協力をお願いいたしたいと存じます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 生涯学習についての二つの御質問に対してお答えを申し上げます。
 まず、新図書館、新美術館、新博物館の建設についてでございます。
 新図書館については、本年度中に実施設計を終了して、本年の七月ごろに着工いたし、平成四年度末の完成を目指しているところでございます。
 一方、教育学部跡地に建設予定している新美術館及び博物館については、現在、美術館については実施設計をいたしており、博物館については基本設計を行っているところでございます。両施設とも本年の秋ごろ着工して、いずれも平成五年度末の完成を目指して努力いたしているところでございます。
 なお、この用地については本年度中に取得できる見通しとなりましたので、今議会に購入費の予算をお願い申し上げているところでございます。
 次に、生涯学習についてでございます。
 県民のだれもが生涯にわたって学習ができるよう、その学習ニーズに対応するために現在、県民大学講座、各種スポーツ教室、学校開放講座等を開催いたしているところであります。また、県民の生涯学習への参加促進を図るため、県生涯学習フェスティバル、県スポーツレクリエーション大会等の計画、さらにまた新図書館に併設する文化情報センターの学習情報を充実してまいりたいと考えてございます。
 次に、指導者の養成についてでございますが、現在、婦人の指導者、PTAの指導者、スポーツ関係の指導者、さらにまた社会教育主事等の研修会を実施いたしておりますが、今後ともさらに一層充実が図れるよう努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、中村隆行君の質問が終了いたしました。

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