平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 本日提出のあった議案第百二十七号から議案第百三十号までは職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
 ───────────────────
  和人委第320号
  平成2年12月14日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成2年12月14日付け和議会第282号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第127号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第128号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第129号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第130号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
 ───────────────────
○副議長(橋本 進君) 以上、報告いたします。
○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 南紀白浜空港の問題、第二点は台風十九号と殿山ダム──関西電力の中間報告、三つ目は枯木灘県立自然公園と日置川町、すさみ町のリゾート計画、四点目は熊野高校と生活科の問題、五点目は観光宣伝の一方法、五つにわたって質問をいたします。
 去る十二月六日付による「紀伊民報」「紀州新報」の一面トップ記事は、「新南紀空港難航の用地買収 強制収用も検討 東政務次官が懸念表明」とあり、その内容は「『地権者の立場を尊重し、誠意を尽くすべきだが』としながらも『県当局では土地収用法の検討を進めていると思う。公共目的のためには最終的に伝家の宝刀を抜く覚悟がある』と述べた」とし、さらに「県の平成三年度政府予算要望が十一月三十日都内のホテルで行われ、仮谷知事、担当部長等から県選出国会議員等に重点要望事項の説明と要望があった。中でも、白浜空港ジェット化の進捗状況について説明をと求められたことに対し、仮谷知事は、予定より思った以上におくれており一層促進の努力を必要とする、用地交渉に難航している、一般廃棄物の最終処理場、ごみ焼却場、火葬場の移転問題の白浜町の三点セットと花卉団地移転問題、そして大きな地権者や住宅地部分の人たちとの話し合いがついていないなどが大きな原因となっている、これに対し県としては、町の三点セットの解決の見通しを年内につけるよう指示するとともに、大きな地権者に対しては土地収用対策の手続も年内に進めていこうと思っていると答えた」と掲載されたが、日ごろ白浜町当局や特に空港建設の直接の担当者である町企画部長並びに町職員の昼夜を分かたぬ努力をしている姿、現場や県空港事務所の必死の努力ぶりを知っている私には、土地収用法の適用という見出しのつけられた勇ましい言葉に驚きの目をみはったのであります。
 そこで私は、次の質問をいたします。
 一、現状は土地収用法の適用をしなければならないような状況にあるのかどうか、また空港建設反対のための組織や運動が白浜町並びにその周辺のどこかにあるのかどうかということを聞いておきたいのであります。
 二、田辺市の四名の方々が知事の言う大きな地権者として空港予定地に土地を所有しているが、これらの方々の中には公的には商工会や空港促進に熱意を持った方々もおられる。そういった地権者との話し合いが田辺市長や副知事の努力で前進しているとも聞いているが現状はどうなのか、この際、明らかにされたいのであります。
 三、白浜町は今、片田前町長の時代に未処理のままになっているいわゆる三点セットの問題について、該当地区予定住民との話し合いや住民ともども先進地の視察を行うなど懸命の努力を払い、また空港中心部の鴨居地区、才野地区住民との空港建設への要望や条件整備の話し合いが明るくも前進しつつある中で、土地収用法などという爆弾的思考は、現地住民を励ますといった方向ではなく、勝手にしたらいいやないかといった投げやり的な、また非協力的な立場に追いやらなければ幸いであるが、その真意を問うものであります。
 四、国、県の補助対象に係る空港建設の予算以外に空港関連に必要な道路や用地造成工事等々、白浜町単独予算は概算五十億を要するが、それらの点について建設部との入念な協議の上、少なくとも空港関連地域振興費──仮称でありますけれども──の予算化を図り、県の積極策を講じられるよう要望し、答弁を求めるものであります。
 二つ目、台風十九号と殿山ダム──関西電力の中間報告に移ります。
 さきの九月県議会で大江県議ともども取り上げさせてもらった、台風十九号に係る日置川町議会と町当局による県並びに関西電力への申し入れについての関西電力の回答、正確には中間報告は、要約して次のとおりであります。
 第一点。「大雨、洪水、暴風雨警報並びにそれぞれの注意報の発令や、または洪水発生のおそれがあると認められるときは、調整池貯水位を現状より可能な限り引き下げられたい」。これに対する回答は、「県当局と協議中であり、その結論をまって回答したい」。
 第二点。「ダムゲートの放流に際して、開扉の通知は避難等に十分ゆとりのある時間帯前とすること」。その回答は、「慎重に検討しなくてはならない。このため、通知ルートを町と県の二ルートにし、町当局への通知を最優先にと考えている」。
 第三点。「放流の際の一般に周知させるための措置は、サイレン等のほか、警報車の場合、四門以上の放流において危害が予測され、事実上運行は困難となる。抜本的な万全の措置を別途講じられたい」。その回答は、「現在、設置している放流警報装置の信頼度を向上させるべく発信装置の二重化を行いたいと考える」。
 第四点。「異常が予測される時点での洪水はけゲートの開扉に当たっては、河川管理者に報告し、指示に従うよう改められたい」。この回答は、「回答することができません」。
 第五点。「非常時には社員を日置川町役場に出向を義務づけられたい」。それに対する回答は、「町当局と関西電力との間に情報を直接に伝達する設備を設けたい」。
 第六点の質問は、要約して次のとおりであります。あの十九号の台風時に、四門、五門、六門と短時間に矢継ぎ早に開いて放水する際に、町長は必死になって、その六門を開けるのをやめよと言った。町当局と関電の間でそういうやりとりがあった。そうすると、ダム天端を越流させると危険だから、越流しないうちに流さないとだめだと関西電力側が言ったので、五十九年の回答ではダム天端を越流しても危険ではないと言っていることと、どちらが正しいのかと迫った要求であります。これについては、「県に対し、ダムの安全性について説明中」という回答であります。
 以上が、日置川町当局、町議会に対する関西電力の中間報告なる回答であります。
 関西電力と県当局は、十月四日、第一回会議を西牟婁県事務所で行い、以来、誠意をもって取り組んでいるところであるが、それにしても、この回答には何か欠落しているものがあると私には思えてならないのであります。この六つに対する回答は、中間報告でありますからやむを得ない点もありますけれども、私が点をつければ百点中三十三点であります。これだったら、何とか三分の一が回答らしいな。大学の試験は、三十三点では落第であります。就職試験は、三十三点では落第であります。したがって、この中間報告は落第ということになります。一般的に言って、この種の問題の解明と解決に当たって、一つ、科学性が貫かれていること、二つ、早くそのことを処置しているかどうかという迅速性、そして三つ目には、現場主義が貫徹されなければならないと私は思うからであります。
 台風発生以来はや三カ月、もうことしも終わろうとしている。それぞれの機関は多忙とはいえ、また中間報告とはいえ、到底、被災地を包む日置川町民に公開するに値するものではないと思うのであります。この回答は、机の上での科学性というか狭い枠内での解明だし、また非常におくれている。迅速性に欠ける。三つ目には、台風全体の中での現場の実態調査を避けた立場に立っているからであります。
 さきの九月県議会で時間切れのため言い尽くせなかった台風時の一例を挙げます。台風時の翌日、被災地の田野井地区住民から呼ばれた関西電力のK氏は、この秋とれた新米一千袋のもみ四百五十袋、金額で約四百三十万が水浸しで全然だめになっている状況や新米百三十二・五俵も同様、全部だめになって捨てなければならなかった状況──ダムから流れた水は農家へ来て米を水浸しにしたが、この米は腐って絶対食べられないのであります、そういう状況や農機具も使用不能となっている状態を見て、上司にこの措置について相談いたしますと答えざるを得なかったが、そういった措置は放置されたままであります。また、警報無線の故障や停電、真っ暗やみの暴風雨の中、約八百名が緊急避難をした状況等について、関西電力は住民集会に出席して現地の声を具体的に聞くべきであります。ダム操作は規則内で行った、だから関西電力には責任がないと言うのなら、県河川、日置川の管理者である和歌山県知事に全面的に責任があるとでも言うのだろうか。他の河川では、この種の例は余り見られない。それは、以前からも繰り返し述べているとおり、関電の殿山ダム放水との関連以外の何物でもありません。単に机上での数字のみに追われる説明では被災地の住民を説得し得るものではない。いずれにしても、現地住民の中に入ってひざを交えて納得のいく説明をすべきであります。
 以上の質問に立って、ことしあったことはことしじゅうに一定のめどをつけるべしとして、県の毅然たる指導性と答弁を求めるものであります。
 三つ目、枯木灘県立自然公園と日置川町、すさみ町リゾート計画について質問をいたします。
 熊野枯木灘県立自然公園を抱えるすさみ町と日置川町は、西牟婁郡選出の四名の県議との協議の上で、去る十一月二十六日、知事に対し、ゴルフ場など開発が禁止されているとする同公園内の第三種特別地域の規制緩和の陳情を行ったところであります。
 御承知のように、西牟婁郡内は一部の町を除いて過疎化の波はとどまることなく、今申し上げたすさみ町の人口は六千三百九人、日置川町は五千四百九十四人で、ともにピーク時の半分になっております。すさみ町で今ゴルフ場計画を進めようとしている里野地区は、明治以来、どこの町や村においても地域社会の核であった村の小学校──里野小学校は以前、廃校を余儀なくされ、また昭和三十五年、今から約三十年前、百二名の児童生徒を誇った村の見老津小学校は今十四名の生徒を数えるにすぎないのであります。また一方、日置川町のおらが村の市江小学校は、かつて七十二名の生徒数だったときもあったが、既に廃校となって久しい。また、その校舎を利用して町は町立保育所も試みたが、三名に満たない状況で閉鎖のやむなきに至っているのであります。
 今、申し上げた里野地区、見老津地区、市江地区は、熊野枯木灘県立自然公園の中に点在し、やせ地に立つ冬の木々はわびしくも風に葉を鳴らし、荒磯に繰り返し波しぶきが上がる。老人たちは、遠い少年少女の日を思い、そのころを懐かしみ、時々、新聞に出てくるはやりの「活性化」などという文字を見る。そして、盆や正月に帰ってくる息子や孫たちに都会の生活の様子などを聞き、またおいでよ、元気でなあと言葉を交わし、またの日を楽しみに待つという。時々、山道に犬が歩いたと思われるような様子が認められ、また磯釣りに行く人が歩くだけで、およそ広く県民のための利用を目的とした自然公園などとは到底言い得るものではない。わびしい寒村、山道にすぎないのであります。また、その周辺に住む人々は、ここは自然公園ですよ、特別地域ですよと、胸を張って語ることはない。
 こういった背景もあって、私はさきの六月県議会において、ゴルフ場誘致、建設について、住民合意の貫徹、農薬の厳しい規制、防災問題等も含め、県の対応についてただしたが、特にその際に言及した自然公園とのかかわりについて焦点を当て、その質疑応答の一部を再現し、以下、論を進めてまいります。
 浜本、「県は、平成三年度に向け、半島地域の振興、リゾート開発の推進を引き続き政府に対して要望を重ねているところであるが、これらの全体の流れ、さらには燦黒潮リゾート形成の位置づけの中での県立自然公園、また一方、高まるナショナルトラスト運動の中での天神崎の位置づけ等々、『保護』と『開発』という極めて現代的な課題を県政全体として背負った時点において既成の条例の枠の中だけで事に当たっていいのだろうか。保護すべきもの、より一層保護を強めるもの、保護の緩和を求めるもの、またより一層規制すべき地域の拡大または縮小等々についてどう考えているのか。今、それらの見直しについても検討すべきときに来ていると思うが、御所見を伺うものであります」とただしたのに対し、商工労働部長は、「自然公園につきましては、指定後、相当の年数を経過しており、指定当時と比較して自然の状況等にも変化が生じているところもあると考えてございます。(中略)県立自然公園についても、今年度から再点検のための調査を実施することとしており、自然環境の状況等を十分に把握した上で保護及び利用計画について点検を行ってまいりたいと考えております。 また、自然公園区域内でのゴルフ場開発につきましては、昭和五十年に『自然公園法に基づく許可に関する審査指針』が施行されまして、国立・国定公園の特別地域にあっては許可が認められないものとされ、県立自然公園においてもこれを準用して現在に至っておりますが、今後、燦黒潮リゾート構想との関連もありますので、地域振興と自然環境との調和に配慮しつつ対処していく」と一歩踏み出した答弁を行ったが、そういった答弁も踏まえて、この問題に各部局連携のもとにどのような会議の積み上げを行ってきたのか、私はこれは余り行われていないなあという感触を持っておりますが、そうでないということであれば、まずそのことを開陳されたいのであります。
 〔副議長退席、議長着席〕
 二つ目、去る十一月七日の朝日新聞の社会面に掲載された記事によれば、その見出しは「自然公園にゴルフ場を 和歌山県すさみ町と日置川町 県に規制緩和要望について」とあるが、環境庁保護管理課は「国立、国定公園の特別地域の場合、ゴルフ場は自然を大きく変えてしまう上、ゴルファーだけが使うため広く国民のための利用を目的とした国立公園制度とは相入れず、認めてない」とする談話、私もこの談話については原則的に是認すべきという立場をとるものであるが、しかし、国立公園に準拠した取り扱いのもとにある県立自然公園が、先ほど述べた里野地区や見老津地区あるいは市江地区のそれらにそのまま当てはめていいのだろうかと思うのであります。これらの地区のそれは、広く県民のための利用を目的とした自然公園なのだろうか。ノーであります。その状況は、前段で述べた理由を根拠とするがゆえであります。この指摘に誤りがあるならば、ぜひ具体的にそうでないという解明をされたいのであります。県立自然公園指定区域の見直しと規制の緩和についての柔軟な答弁を求めるものであります。
 四つ目、熊野高校と生活科の問題に入りたいと思います。
 昨日、町田議員から県立熊野高校の林業土木科と土木科の設置についてのお話がございました。私は、より小さな立場で、県立熊野高校の生活科の問題について質問をいたしたいと思います。
 県立熊野高校に生活科が誕生して既に二十三年になるが、最近、この生活科が廃止されるのではないかという風評が聞かれます。学級減と言えば、生活科がその対象にされるのではないかという不安が伝わってまいります。生活学科創設とその目標は、将来、農村における中心的役割を果たす婦人の養成を目指しています。そのために、農家の主婦としての必要な農家及び家庭生活に関する知識と技術を学び、明るい農村を築く原動力となる婦人の養成を目指しているとし、その学習内容は、一般科目のほか、家庭に関する科目と農業に関する科目が設けられ、家庭に関する科目は、被服、手芸、食物・保育、家庭一般被服製作、農業に関する科目は、野菜、草花果樹、食品製造、農家経営、農業基礎、総合実習、情報処理となっております。詳細な学習内容は割愛し、日ごろ見聞きした二、三の例を述べ、教育委員会と農林水産部長の答弁を求めます。
 生徒たちは、今の進路指導の状況から見てよくおわかりだと思いますが、一般的に農家出身者は少ないし、その体験のない生徒も多く、親たちの中には、最初、自分の娘が生活科に入ったことを人前で話すことが言いにくかったということも時々聞かれます。教師たちは、郡内の過疎化の進行の中で、農業への唯一の理解者を育てる、卒業後、地元に残り農村婦人の中心になってほしいと願い続け、その地道な教育実践を続ける。生徒たちは、入学当時とは打って変わって三年間生き生きと学習を続け、苗をつくり、水をやり、種まきを覚え、一つ一つの野菜をつくり、毎日、野菜や花の成長を楽しむ。体を動かすことを嫌う最近の風潮の中で体を動かし、熊野高校の園芸科の生徒が育てた鉢植えの花、ベゴニア、サルビア、マリーゴールド、また手づくりのマーマレードやタマネギなどを紀南ふるさと開発センター主催の月一回の弁慶市に出し、田辺商業高校の生徒との販売活動と連動して、学習の成果に若い胸を張る。完販できたときは一同、思わず「万歳」と叫んだと、生徒たちはその実習活動を発表する。学級減というと一番先にやり玉に上げられるのではないかという心配の中にあっても、生活に根差した実習教育の中で生徒たちは成長し、手を抜いたら枯れるんだという命の大切さを体で体験し、卒業時には学んでよかったと誇りを持ち、その父や母はこぞって学園祭に参加する。初めは人前で生活科への入学を語るのにちゅうちょした父母たちも、今は誇りを持って三カ年の子供の成長を喜び、生徒たちは三カ年の生活科の体験ありがとう、先生ありがとうの言葉を交わし、ことしも立派にここを巣立っていく。
 昭和四十一年に生活学科が設けられてから二十三年、この二十三年の教育の歴史、たゆみなき教師たちの教育実践、父母の期待と信頼は県立熊野高校の伝統として培われ、継承されていく。もしも、この生活科が切り捨てられるという方向が打ち出されるとするならば、それは極めて非現実的な教育方針であり、みずから創設した学科と教育内容への挑戦であり冒涜にほかならない。そして何よりも、彼女たちの青春に背を向けてはならないということを指摘し、答弁を求めます。
 最後に、観光宣伝の一方法。またかと言われることを恐れながら質問をいたします。
 六十二年六月県議会で、私は観光宣伝の一方法として、県内の景勝地をカラオケビデオディスクに組み入れたらどうかと要望的質問を行ったが、当時の商工労働部長は、要約して次のように答弁したところであります。すなわち、「歌を歌う人、あるいはそれを見詰める人、すべて潜在的な観光客であると存じます。旅情を誘うビデオディスクは、お話のとおり、さりげない宣伝媒体の一方策であると思いますので、その制作過程などを調査して、勉強してまいりたいと存じます」、それから一年後の六十三年六月県議会で、私はその促進方を求めたところ、商工労働部長は「現時点でまだ十分な進捗を見ていないことは遺憾なことだと思っているところでございます」──何か人ごとみたい──「引き続き、機会をとらえ、関連企業に本県の景勝地を対象としたロケーションを働きかけてございますが、歌の内容、経費の問題等もございまして、急速な進展をしていない状況でございます。(中略)今後とも機会をとらえ努力してまいりたい」、との答弁であった。あれからもう三年有半、光陰矢のごとしと言いますが、答弁は置き去りにされたまま、現職、新人乱立し、花の四月の選挙に向かって我々は突っ走る。質問の性格上、次の話に移りたい。
 花博は、和歌山県の日──殊のほか暑かったことしの夏、七月二十六日、たそがれの会場に二千有余名の観客にまじって、私は歌手・坂本冬美の歌に心から拍手を送る。花博は和歌山県の日、坂本冬美は歌う。「能登はいらんかいね」と。「風は潮風 シベリア返し 汽車は昔の各駅停車 能登はいらんかいねー ふるさと能登はヨー いさざ土産に嫁さんつれりゃ おひろめ椿の花が舞う」。聞くところによれば、能登はその前後から弾みをつけて全国に浮上し、人々は能登、輪島に旅を続けるという。事実であります。
 私は、観光宣伝の一方法として、三年前こんなささやかな提案を、しかも議場での失笑を誘うことも承知の上で行ったが、やがて来るであろう十二月三十一日、人々は紅白歌合戦に和歌山県出身の歌手・坂本冬美を見るでありましょう。
 以上、散発的に語った質問の中から何を言うておるかということも洞察の上、過去の答弁も踏まえて、感想と方策を伺う次第であります。
 終わります。どうもありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 白浜の土地収用についてでございます。
 白浜の空港用地の取得状況については、昨日も土木部長から町田議員に答弁申し上げたのでございますすけれども、既に地権者の方々の御理解と協力をいただいて解決したところもある一方、未解決の地権者もあるわけでございます。そうした方々に対して、現在、県の職員はもちろんのこと、市、町の職員等も精力的に話し合いを進めていただいておる現状でございます。
 けさほど、和田正人議員からも公共事業を推進するについての土地対策、地価対策について、特に知事の決起を促す言葉をいただいたのでございますけれども、用地交渉というのは非常に難しい要素がいろいろあるわけでございます。だから私は、この土地を買うについては、できるだけ話し合いを進める、そしてまたいろいろな知恵を出し合うことが一番大事なことではないかと思います。当人同士だけではなしに、地域の皆さんの御協力も得ながらやっていくことが大事だ。しかし、話し合いなど努力しても解決できない場合、土地収用による解決も私は一つの方法であると考えておるわけでございます。
 国も現在、土地政策を国政の基本方針として取り上げ、土地基本法を制定いたしました。また、我々の公共事業を推進する上で最近の地価高騰が一番問題になっておるわけでございますけれども、そうした点において税制面、金融面からの対策を検討しつつある段階でございます。最近、地価の高騰がとまったのではないかという感じがするということ、非常にありがたいことだと思っております。
 また現実問題として、話ございましたように、田辺市長も地元の皆さんの説得、話し合いを、また白浜町長も、片田町長からかわりましたけれども精力的に取り組んでいただいておるということ、本当に心から感謝申し上げる次第でございます。また県としても、そうした皆さんと一緒になって全力投球をしていかなければならないと思います。
 せっかくの機会でございますので、この白浜空港について、地元の皆さん、関係者の皆さんがぜひ白浜空港をやってくれということを言うてきた当時を思い出していただいて、なお一層、積極的に御協力をお願い申し上げる次第でございます。現場の所長も過労のために倒れておりました。だから、陣容を一新いたしまして、私たちもなお一層積極的に取り組む覚悟でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 南紀白浜空港建設に係る用地買収の現況についてでございます。
 南紀新空港建設事業は、昭和六十三年度に事業化されて以来、用地買収を中心に取り組んできているところであります。地権者としては、白浜町在住の方々、田辺市ほか県内在住の方々、県外在住の方々があり、それぞれの事情に応じて用地交渉に当たってきているところであります。その中で、空港そのものに反対するとの立場の方はおられませんが、用地買収条件等で話し合いが難航し、予定よりおくれている現状にあります。
 今の時期が重要な時期であると認識いたし、地元市町ともども一層精力的に用地交渉に取り組んでおり、田辺市在住の地権者の方々については田辺市長みずから地権者に直接交渉に当たるなど、話し合いを深めてきている状況にあります。
 また、白浜町事業である公共施設の移転計画、花卉団地計画等についても、白浜町長以下、積極的に取り組まれ、関係者、地元との話し合いが進みつつある現状にあります。それらの動きと並行して、白浜町在住の方々との用地交渉も進めつつある現状であります。
 今後も、地元市町との連携を密にし、解決に向け、全力を挙げて地権者との交渉を行ってまいりたいと思っております。
 次に、空港関連地域振興についてでございます。
 南紀新空港の整備が直接の地元地区の活性化につながるべきものと考え、また期待するところであります。新空港の整備等に関連して必要とされる事業等について、先般、白浜町より要望がありましたが、今後、白浜町と十分話し合いをし、県として対応すべきものについては取り組んでいくこととしたいと考えております。
 次に、台風十九号と関西電力の中間報告についてでございます。
 台風十九号に伴う殿山ダムの状況について、県は河川管理者として関西電力に対し細部にわたる説明を求め、殿山ダムの今後の洪水時における対応について強く指導し、協議を重ねているところであります。ダムの洪水時対応及び下流の河川、道路等に関する対策について検討を行うことを目的として、県関係各課、地元町村及び関西電力の四者による日置川水害対策検討協議会を設置し、協議を進めております。
 このたびの事態への対応については、議員御指摘のとおり、現地の実態に即した科学的な解析に基づくことが必要であり、十分な調査検討が不可欠であると考えております。ダムの洪水時対応に関しては、速やかに検討、協議を行い、次期出水時には実効ある対応ができるよう努力してまいります。
 また、地元住民の方々と関西電力との話し合いについては、日置川町と十分協議し、できるだけ早い時期に実現させたいと考えております。県といたしましては、こうした観点に立って、引き続き関西電力に対し強い指導を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、ゴルフ場開発の問題でございます。
 昭和五十年に、国立、国定公園の特別地域内では認められないとの国の方針が示されました。県立自然公園の特別地域においてもこれを準用し、ゴルフ場の開発は認めてきていないところでございます。
 しかしながら県としては、自然環境との調和を図りながら、リゾート構想を推進し地域振興も図らなければならないとの観点から、県独自の対応も必要であるということで関係部とも協議を重ね、現在、総合保養地域整備法に基づき国に承認を申請中の燦黒潮リゾート構想の中に位置づけられているゴルフ場計画で、県立自然公園に含まれている場合については一定の基準を設け、審査の対象としていくことを検討しているところでございます。
 次に、県立自然公園の見直しについては、去る六月議会において御答弁申し上げたとおり、指定後相当の年月を経過しており、指定当時と比較して、周辺地域の宅地化の進行等により公園区域内の状況も変化しているところもあるわけでございます。そうした中で、今年度は市街地化の進んでいる橋本市を中心とするかつらぎ高野山系県立自然公園の自然環境の状況等を把握するための事前調査を実施し、必要に応じて見直し案を作成することにしてございます。
 なお、御質問のゴルフ場開発に係る県立自然公園区域の見直しや規制の緩和については、先ほど申し上げましたとおり、燦黒潮リゾート構想に位置づけられているものについてのみ県独自の対応を検討しているものでございます。
 次に、観光宣伝でございます。
 これは、あらゆる媒体を活用し、機会あるごとに繰り返し宣伝活動を続けていくことが効果的であることは申すまでもございません。観光宣伝の方法といたしましては、議員御提案のカラオケビデオディスクの画像を初め、テレビ、ラジオの旅番組やドラマ、映画等の本県でのロケの採用等がございますが、全国の潜在的な観光客に対して本県をさりげなくアピールするには非常に効果的であろうと考えでございます。
 本県でロケをしたカラオケビデオディスクは、把握しておりますだけでも二十曲余りございますし、近年でも数曲制作されてございます。また、最近の事例では岡本喜八監督による映画「大誘拐」が和歌山市と龍神村でロケされ、明年一月に全国一斉公開される運びとなってございます。
 議員御提案の趣旨も踏まえ、今後ともあらゆる手段、媒体、機会を活用し、本県の観光宣伝に努めてまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 県立熊野高校と生活科に関する御質問でございます。
 お話のありました農家、農村における中心的な役割を果たしている婦人の育成は大変重要でございます。県において、ことし三月に農山漁村婦人の意向調査をいたしましたところ、農業就業者のうち約六○%が女性であり、農業生産や農業振興に、また家事、育児、高齢者介護等、健全な農家生活の維持、発展に大変大きな役割を担っているところでございます。
 学校教育の中で農業、農村を理解し、またそれに対応し得る基礎的知識や技術を習得することは、今日的課題となっている農業後継者の育成を図る観点からも望ましいものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 学科の改編等については、昨日、町田議員にもお答え申し上げたとおりでございますが、県教育委員会といたしましては、長期計画を検討する中で、地域、学校の実態を踏まえて社会の変化にこたえるとともに、生徒の特性を伸ばすという観点から、学校の活性化や特色ある学校づくりの一環として進めているところでございます。
 御承知のように、中学卒業予定者数が減少する傾向にある現在、そうした中で学科編制に当たっては、学校の適正規模、普通科と職業科の割合等を十分精査して検討してまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 順不同になりますけれども、再質問をいたします。
 地元住民、特に田野井地区でございますけれども、関西電力との話し合いをできるだけ早い時期に実施したいという答弁がございました。大変うれしく思っております。
 実は十月七日に──ことしは何回も台風が来て白浜上陸が四回もあったんですが──町田、大江、堀本、浜本の四名が田野井地区の八十名ばかりの住民の皆さんと話し合いをいたしました。そうして、いろいろ話を聞いていますと、何か私らが責任あって台風の被害を与えたような、加害者であるような、そんなことは住民は言うてございませんけれども、そういう気持ちにまで私はなったのであります。全然そうではないですけれども、住民の皆さんのお話を聞いているとそういう感じがいたしました。その中で、一遍、関西電力の人を連れてきてよ、こういうお話がございました。だれが一番先に、「はい、約束します。連れてきます」と言うたか──多分、私が言うたと思いますけれども、その人たちと私たちとの約束であります。
 そして、この中間報告を見ていると、何か部屋で数学の勉強をしているみたいな感じで、ひとつも外へ出てこん。こういうことであっていいのだろうかということで先ほど質問させてもらいましたが、必ずそうするという約束をいただきましたことを私は大変うれしく思います。その住民とのひざ詰めの対話の中で私どもが盾になって、そうじゃないと背を向けなければならない場面もあろうかと思いますけれども、そういうことは当たり前のことでありますが、そういう上に立って対話の一日も早からんことを特に希望しておきます。
 観光宣伝の問題についてでございます。
 答弁を聞いておりますと、二十余りも曲があっていろんなことをしたと言うておりますけれども、失礼ですが、私の質問に対してすかっと答えていない。何かそんな気がしてならん。いっぱいしたんだと言いますけれども、伝わってこんなあ。
 日本観光協会主催による平成二年度の全国観光ポスターのコンクールでは、和歌山県は全国第一位で運輸大臣金賞をいただきました。「一気に和歌山」というポスターであります。知事は知っていると思いますけれども、皆さんは余り知らないんじゃないでしょうかね。芸術性が高い。これも、大変御苦労なことであります。それはそれで大いに評価するんですけれども、しかしそれは観光宣伝という立場で見たらどうかいなあという気が私はするわけです。余り知られていない。金賞で運輸大臣賞というと、かなりのものですね、全国一ですから。しかし、余り知られてない。知られてないということは、選挙でも名前が余り知られなんだら落選する。知られていないというところに観光宣伝のあり方としての欠陥がどこかにあるような気がする。
 宣伝をする価値は、一つは時流に乗ることですね。浜本収では時流に乗れない。土井たか子では時流に乗れる。時流に乗ること。それから、大量であること。繰り返し──「マメマメマーメ」って毎日やっているでしょう。「引越は引越のサカイ」って宣伝されている。大量であるということと繰り返し行われるということ。そして一番大事なことは、希少価値を持つこと。まさに、坂本冬美は希少価値である。あの人しかないんですから。あの人にかわる人はない。坂本冬美以外に坂本冬美はないのであります。希少価値を持っている。そして、わかりやすいということ。能登の歌なんというのは、歌としてはださい歌ですね、那須君に言わせたら。「おひろめ椿の花が舞う」、「冷やで五合 ぬくめて五合 しめて一升酒ありゃ楽し」、こんな歌なんですね。能登のわびしいような感覚の歌なんですね。それが何と、能登へ行くんですよ、皆さん。それは毎日、繰り返し──ゆうべも歌っておりましたね。毎日そういうことが行われているから、その歌に魅せられて、ちょっといいですね、あの娘さんがいいですねということになっていく。いつまでも続くものではないですよ、そういうことは。
 だから今の時点で──十年後、こんなやつつくったんやと言ったって、そのときはもう間に合うてないんや。それを私が申し上げておる。
 和歌山県と一番深いかかわりを持っている坂本冬美──ようせなんだら、私、してみましょうか。お金くれたら、ちゃんとしますよ、その観光宣伝ぐらいだったら。歌をつくってもらいますよ。猪俣公章先生にお願いしますよ。県が金ないと言うんだったら、白浜の観光協会、勝浦の観光協会、和歌浦の観光協会、そしてまた県も出してもらう。そういう形の中で早くばしっと決められんかということを申し上げているのであって、知事がさっきから何か笑いかかっているから、もしこのことについて感想があればぜひ述べていただきたい。
 時間が迫ってまいりました。教育委員会の答弁、あの答弁は聞かなくてもわかっております。いつもそういう答弁をすることが嫌であります、私は。そんな答弁は聞かなくてもわかっております。一般論をぱあっと言うているだけであります。
 人の答弁のことについて、くちばしを入れるべきではありませんけれども、小林先生の四十人学級、大変いい質問でした。それに対する答弁、こう言うやろうなとわかっております。町田先生の質問に対する答弁、聞かなくてもわかる答弁。わかるんですね。ああいう答弁しかしない。
 ところが皆さん、不思議なことがある。十七日から文教委員会です。そこで質問します。林業科──私が聞いているのは生活科を減らすなよということです。それに答えないんですね、いつも。それについては、全県のいろんなことがあって、中期とか長期とかそんなことを言う。言われなくても知っている。みんな知っている。十七日からの文教委員会、そこで答えが出てこないんですね。そういう答弁になる。ところが、議会終わってみんな帰った。二十日が済んだら、みんな帰る。二十三日ごろ発表する、これはどういうことか。帰ったら発表するんや。そして聞いたら、何ぞかんぞと一般論を言う。二十三日ごろになったら発表する。こういうことを今まで繰り返しておる、そういうことがいいんだろうか。
 我々は言うだけ、片一方は決めたやつを答えるだけ。そして、帰ったら発表。何よ那須さん、田辺商業減らされて、おまえさんかい性ないなと、こうやられる。わし頑張ったが、浜本ら頑張れなんだんやと、そのぐらい言わなかったらその場を逃げられない。こういう状態。それでもその方法がいいというのなら、その理論を教えていただきたい。こういうことが絶対正しいんだという理論をここで開陳されたい。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答えいたします。
 観光宣伝の一方法として坂本冬美をやったらどうかというお話でございます。
 和歌山県は流行歌手が割合に少ないわけでございまして、坂本冬美がデビューいたしました当時から、私も会社も訪問いたしまして、できるだけ伸びていただくように支援させていただき、またお会いしたときには和歌山の歌を歌ってくださいよとお願いしてまいったわけでございます。坂本冬美があのように成長していただいたということ、非常にうれしいし、大きな希望を持っておるわけでございます。
 この前に発表いたしました「新和歌山ブルース」、そしてまた「和歌山のおばあちゃん」、これについては何とか坂本冬美にやっていただけないかという形で進めたわけでございますけれども、諸般の事情がございましてそれがいかなかったわけでございます。
 提言の問題につきましては、やはり作詞者、作曲者の意向もございます。経費面でクリアしなければならない問題もありますけれども、今後十分検討させていただきたいと思っております。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 再質問についてお答えを申し上げます。
 学級数の問題、そしてまた学級編制の問題については、私ども現在のところ、県下的な視野の中で総合的にどうするか、例えば各地域における中学卒業生の状況等を把握し、それがどのように各学校別にあるべきであるかを検討しておるわけであります。決して議会が終了してから私どもがそういった結果を申し上げるというつもりは毛頭ございませんで、それなりのいろんな状態を把握しながらしてございますので、その点ひとつ御了解をいただきたいと思います。
 なお、昨日も申しましたように、ことしは昨年に比べて約千四百人の減少ということでございますので、やはり何らかの学級減ということは当然私どももしていかなければならないという課題がございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──以上で浜本収君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ