平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(和田正人議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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  財第151号 
  平成2年12月14日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
 和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成2年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第121号 平成2年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第122号 平成2年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第123号 平成2年度和歌山県電気事業会計補正予算
 議案第124号 平成2年度和歌山県工業用水道事業会計補正予算
 議案第125号 平成2年度和歌山県有料道路事業会計補正予算
 議案第126号 議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例等の一部を改正する条例
 議案第127号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第128号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第129号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第130号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
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○議長(岸本光造君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百二十一号から議案第百三十号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、御説明申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案は、いずれも職員等の給与改定に伴う補正予算案及び関係条例の改正であります。
 去る十月十七日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであります。
 まず予算案件としては、給与関係経費といたしまして一般会計で七十八億四千八百余万円、特別会計についても所要の補正予算を計上いたしております。
 次に、給与関係条例につきましては、議案第百二十六号から第百三十号をもってお願いいたしております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(岸本光造君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(岸本光造君) 次に日程第二、議案第百十号から議案第百二十号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 35番和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 実は、十二日の一般質問で和田正一先生が熱弁を振るわれた報告と顔写真が地方紙「紀伊民報」に昨日掲載をされておりましたが、私の写真が載っておりまして、けさから、もう一回質問するのかと冷やかされておるわけであります。通告に従いまして、久しぶりに一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、高校中退者問題に関連し、文部省と労働省が高校中退者の就職あっせんをめぐって対立をしているということであります。事の発端は、「労働省が、平成三年度予算の概算要求に高校中退者就職対策事業を盛り込んだことから」と報道されています。
 ふえる一方の高校中退者は、昭和六十三年度には全国で十一万六千人に達していること、この貴重な労働力を効率よく企業に送り込もうというのが労働省の考えで、具体的には、一、高校と職業安定所で協議会を設ける、二、職業安定所のガイドを中退者に配付する、三、企業での実地講習の実施をする、こういうことなどが計画されているようであります。
 今春の高校卒業での就職者が全国で五十二万、その五分の一以上を対象とするこの事業が軌道に乗ればと期待をする人手不足の企業もある社会の実情であります。一方、文部省は、このことに対してかんかんということであります。それでなくとも中退者の急増は頭痛の種なのに、労働省のねらいは、その火に油を注ぐようなものとして直ちに担当者がクレームをつけ、非協力を宣言したが、労働省側は譲れないとの一点張りと、この報道は伝えています。
 高校中退者問題は、この議場でも再々にわたって指摘をされ、和歌山県においても父母はもとより学校関係者の大きな悩みであり、その要因は複雑多岐で、現時点での特効薬とも言える施策はないとも言えますが、ここに高校生の中途退学問題について十一月二十八日「朝日新聞」朝刊の県版に紹介された県立串本高校のサークル「雑草」──「あらくさ」と言うようであります──が生徒を対象にアンケート実施をした内容があります。
 それによりますと、退学しようと思った生徒が約三割に上り、その理由は、「学校がおもしろくない」が六割となっています。同サークルが、増加している中途退学について生徒の意識を探ろうと二年、三年生五百五人から無記名でアンケートをとった内容であります。その結果、「退学しようと思ったことがあるか」では、「ある」が二九・四%、「ない」は七○・六%で、「退学しようと思ったのはどんなときか」では、「学校がおもしろくない」が六三・五%で最も多く、「就職して働きたい」、「学校へ行くのがしんどい」がともに二一・六%と続き、よく指摘をされる「学力面でついていけなくなった」は八・七%と、むしろ少ないのであります。また、「退学しようとしている友達にどうしたか」では、「説得した」が最も多かったが、「何もしない」も約三分の一を占め、その理由として「本人の生き方があるから」などを挙げています。「どうすれば退学者は減るか」では、「楽しい学校にする」、「友人の助け」などがあったが、「どうにもならない」、「学校より個人の問題」などの意見もあったとされています。「同サークル顧問の永石和教諭は、『学校がつまらない』は、それだけでは細かな内容が分からないが、やはりショックを感じる。学校に積極的に価値を感じる生徒も少ないようで、その意味ではいつ退学があってもおかしくない状況は続いており、何とか対応策を見いだしたいと話している」、以上が県版に報道された新聞の内容であります。
 この教育現場の生々しい声の中に、私なりに高校生の揺れ動く心のあり方や先生の悩みを推察するのであります。
 和歌山県下の県立高校全日制における最近の中退者傾向は、昭和六十年、一年生在学中二百八十三人、二年生、三年生を含めて五百二十七人の中退であり、昭和六十一年は合計六百三十二人、うち一年生は三百十六人となっています。昭和六十二年は合計五百三十二人、一年生は二百七十九人、昭和六十三年は合計五百四十六人、一年生は二百八十四人、平成元年は合計五百六十八人、一年生は三百三十六人と、過去五年間の結果を見ると、理由はさまざまであっても高校一年在学中の生徒が圧倒的に多いのであります。県教育委員会学校教育課のまとめた資料によると、考えられる理由は九項目ありますが、そのうち各年次に共通して最も多い理由は学業不振、学校生活・学業不適応、進路変更の三つであります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、最も多い三つの理由にメスを入れないと中退者の問題は減少しないと考えます。生徒自身の姿勢や努力もさることながら、中退問題は高校入学以降の問題としてとらまえるのではなく、義務教育の課程における学校生活全般のあり方や臨教審における協議や検討の中で出されている中学校、小学校での週五日制、学校外教育のモデル協力校の実績と評価されつつある内容についても前向きに関心を持つべきではないか。もちろん、教育委員会としての自主性を尊重するとしても、県内高校生の中退問題は、当然、知事としても心を痛めておられるはずであります。子供たちを取り巻く環境は、今日の情報過多とも言える状況の中で大きく変化し、子供たち自身の価値観も私などの判断基準を超えるほど変化しているのが実情であります。二十一世紀を担う子供たちの問題を、今、私たちが解決をする努力をしなければならないでしょう。
 昨日、小林議員からも質問がありましたが、父母からは来年度高校入試について、学級減をしないよう多くの署名とともに陳情されています。また、教員を含めて四十人学級実現の請願が出されていますが、これらの問題を中退者問題を絡めて、知事並びに教育長の御所見をいただきたいのであります。
 また、前段申し上げました文部省と労働省の考え方についてはそれぞれの立場や意見があっても、現実問題の処理として、今日の社会環境からも中退をした子供たちを不用意にでも暴力団の予備軍などにさせないためにも、理由があって中退をした子供たちに対する適切な指導と窓口が必要と考えるものですから、ベストでないとしても私は労働省案に賛成でありますが、知事はいかがでしょうか。
 なお、小林議員と重複する答弁でありましたら、教育長答弁は割愛していただいて結構であります。
 次に、関西国際空港に関連して御質問いたします。
 ことしの八月十五日、成田空港の利用客は一日で六万五千人を超えたと言われています。成田空港建設前に運輸省がはじいた需要見積もりでは一日三万五千人が最大であり、施設もその数字をもとに計画された以上、異常な混雑はむしろ当然と言われています。しかも、これは今日だけの現象ではなく、近い将来さらに過酷な事態が予想されると指摘する向きもあり、成田空港二期工事、羽田空港沖合展開、関西国際空港という第六次空港整備五箇年計画の三大プロジェクトが予定どおり完成しても、二十一世紀初頭には我が国の空の輸送能力は今以上に深刻な状態になるとの予測がなされているからであります。
 運輸省の見通しとして、羽田空港を利用する旅客者数は二○一○年には現在の二・三倍に当たる年間七千二百万人に膨れ上がるとされ、政府は約八千八百億円をかけて羽田空港の沖合展開工事を進めていますが、その工事が予定どおり平成七年度に完成し、年間の発着回数が現在の十八万回から二十三万回にふえても二○○○年には再びパンクするとの運輸省幹部の談話があり、七千二百万人の乗客をさばくには少なくとも二十六万回の発着が必要だとされているからであります。
 一方、運輸省は本年十月から成田空港の発着枠を一日当たり十便ふやして三百六十便、年間で約十一万八千回に変更したが、これも今の成田の限界であり、滑走路一本のみの空港の発着数としては世界一と言われる混雑のひどい状態であります。
 また、成田の貨物取扱量は一九八八年度に年間百二十万トンを超え、米国のケネディ空港を追い越して世界一の貨物空港になったわけですが、これも運輸省の試算によれば、日本の経済成長がこのままのペースで進めば、二○○○年以降、成田の処理能力を上回る貨物量が懸念されているのであります。加えて、日米構造協議で成田空港の狭さと通関体制の不備は輸入促進を妨げる非関税障壁と非難されたように、成田空港に輸入貨物が到着して通関が完了するのは平均して三ないし四日かかる現状で、ピークである年末のように五日以上待たされることが普通の状態になりかねないとすら懸念され、スピードを命とする航空便とは名ばかりになる可能性が指摘されているのであります。
 これは報道によって知り得た情報でありますが、このような問題の中で、空港行政を担当する運輸省は一石二鳥の妙案を考案し、マスコミをうまく味方につけつつ、その批判にこたえようとしている点に注目し、重大な関心を持つべきではないかと思います。
 一石二鳥の策とは、第一に、アメリカの非難を利用して成田の二期工事を推進する、さらには首都圏第三空港建設へのてこにする、第二は、過日、森本議員の方から関空と伊丹の関係での空域問題が指摘されておりましたが、成田、羽田についても同様、アリの行列と言われるほど飛行機が次から次へと続いているような状況で、なお米軍と自衛隊の空域に邪魔されているという問題について、首都圏上空の空域問題のキャンペーンを行い、成田、羽田の拡張ができても有効活用ができないことを訴える、それによってアメリカの非難をトーンダウンさせる、こういうねらいを持った運輸省の演出だと言われている点であります。
 また運輸省は、第六次空港整備五箇年計画で、名古屋、新千歳、福岡、仙台、広島など地方の大都市を抱える地方中核空港の国際空港化を促進する計画を盛り込んでいること、特に極東、東南アジアなどの近距離路線についてはチャーター便を活性化することで極力、地方空港に任せるべきだという考え方を打ち出していること、我が和歌山県を含め近畿圏として関西国際空港に熱い期待を寄せ、その実現に努力し協力をしている今日、全体構想実現への扉がやっと開いたとはいえ、克服すべき課題や財源についての厳しい条件、さきに述べた東京中心の空港行政を考慮するとき、先輩、渡辺議員が本議場において再々指摘をされた、関空とは何ぞや、一ローカル空港にしてはならない、このままではアジアのハブ空港の地位を奪われてしまいますよ、この演説内容を思い起こすのであります。
 二十四時間運航、年間十六万回の発着枠で開港される関西国際空港を日本の航空会社がどのように位置づけているのか、あくまでもアジアへの玄関であるということで、欧米諸国については現在と同様に成田が起点で関西国際空港は経由地との構想が鮮明になっているのではないか、これは国内便確保に関連して、長年にわたって私どもが懸念してきたことであります。このまま行けば、関西国際空港は成田の能力不足を補うどころか、逆にお荷物になりはしないかと心配する識者もいるのであります。知事の認識はいかがでありましょうか、お伺いいたします。
 政治、経済、文化の中心が東京である限りということで、東京一極集中の排除、地方分権、三十万人規模での中核都市構想が言われ、個々の作業も続けられているわけでありますが、いずれも中央発信、東京からの発信での発想や意見ではないでしょうか。だから、進まないのではないでしょうか。今、地域から日本を変える運動が必要だと考えますが、いかかでしょうか。地域からの発信による一極集中の排除、地方分権の確立、中核都市づくり、このことを和歌山県の県益にとどまらず、近畿が一体となって関西国際空港を起爆剤として総力を結集するときではないでしょうか。
 以前の本会議において私は、関空に関連をして常設展示場の設置についての提言、ODAのあり方についての意見を申しました。今、中東におけるイラク問題は、人質の全面解放を初めとして平和的解決に向けてその努力が続けられていますが、日本の貢献策が、そのあり方が国の内外から疑問を投げかけられているのも事実であります。ODAのあり方についても、量的には世界最大となったものの、欧米諸国のように援助への基本理念を持たないゆえに、その効率性や援助に絡む利権問題などについて国の内外で批判が高まっている上に、地球環境問題への配慮という新たな課題も加わり、政府開発援助のあり方も大きな曲がり角を迎えていることも事実であります。
 現在、日本の援助行政は、円借款が外務省、大蔵省、通産省、経済企画庁の四省庁、技術協力が十七省庁にまたがっているのであり、ことしの七月、経団連の発表したODA憲章を定めて内外に我が国の援助方針を明示すべきだとする意見書には、縦割り行政が機動的、効率的な援助の妨げになっていると指摘をし、各省庁間の連絡を緊密化することによって援助行政を実質的に一元化するよう提言し、途上国側のニーズに応じた国別、地域別の援助方針を作成するよう主張しているのであります。
 このような情勢を踏まえて、関空を名実ともに二十四時間運航の国際空港として、全体構想の実現はもとより、ぜひ関空におりて和歌山県に行かなければという受け皿として、私はODAの窓口を誘致してはという提言をするものであります。
 単に、場所を提供するのではなく、途上国の本当に求める援助は何か、実情に詳しい商社や外務省OBを活用して、現在のODAは途上国の経済発展に役立たず日本企業の利益追求の手段となっている、途上国の環境を破壊しているといった最近のODA批判を解消する窓口と、その組織、機能を政府に提言し、誘致されたいのであります。その窓口を経由しなければ人、物、技術、金の海外援助は出ないという窓口であります。今日まで、要請主義に基づき相手国の内政にはできるだけ干渉しない援助が、結果として平和外交の進む国際情勢で、日本に対する被援助国の国民を含め、その役割と認識を高めることにつながったのかどうか、結果は多くの問題を残しているのであります。
 東西関係が緊張と対立から対話と協調へ大きく転換し、一九九二年、EC統合による全欧体制が確立されるなど、国際情勢は平和を基本に激しく変動しているだけに、来年予定されるアメリカ、ソビエト両大統領の訪日後の対中国、対ソ連の問題を含め、日本の経済援助の重要性が高まることは避けられない状況にあると言えます。基本理念を整理し、窓口を統合し、被援助国の国民の求める真の援助をすべき時代であって、いたずらにばらまき援助をするときではない、責任の重い日本であると思うからであります。組織と機能と窓口を誘致しようという視点は大きいかもしれません。また、困難かもしれません。しかし、ODAの窓口と常設展示場を併合させ、関空を国際線の経由地にさせず、和歌山と近畿を必ず訪れなければならない、そのための二十四時間運航の関西空港を起点とすべく、取り巻く厳しい環境を変えさせるためにも大きな視野に立っていただきたいのであります。
 参考までに、資料によりますと、援助理念に関する行政側の見解として、外務省、経済協力局が一九八○年に経済協力研究会の名で編成した「経済協力の理念──政府開発援助はなぜ行うのか」が最初で、その後、経済審議会が一九八三年に当時の首相に答申した「一九八○年代経済社会の展望と指針」に続き、一九八七年版、通産省産業構造審議会や通産省の「経済協力の現状と問題点」で、援助、直接投資、輸入が三位一体となった総合的協力の概念の三つと記されています。
 岸大阪府知事が勇退を表明されている今、近畿のリーダーは仮谷知事、あなたではないでしょうか。地方発信による東京一極集中の排除、地方分権の具体的施策として、また懸念される関空の将来を実効のある国際空港として位置づけする具体的な行動を起こしていただきたいのであります。国内各メーカーに協力をいただき、人、物、技術を集めた大規模な常設展示場の開設──私が以前発言をいたしましたときにはまだ幕張メッセはできていなかったのであります──ODA窓口の誘致、このことが実現をすればコスモパーク加太やリサーチラボにも有効的な連動作用を促すことともなり、県内のリゾート、先人の残された文化、歴史的資源、高野密教、熊野、温泉等々、和歌山の持つよさを最大限生かせる、家族を含めた滞在型誘客にもつながるのではないか。関空の将来を懸念し、そうならないために今何をなすべきか。ささやかな私見でありますが、小さなつぶやきであっても、これを大きくしていただきたい気持ちで提言をいたしました。地域を愛するがゆえに、これをやる知事の勇気ある御所見を求めるものであります。
 次に、大きな視野に立った提言をいたした後に細かいかもしれませんが、具体的な問題として質問をいたします。
 紀の川河口大橋供用に伴う交通体系整備と県営住宅建設についてであります。
 何人かの方も交通問題、道路問題の御指摘をされておりましたので、中身をごく細かな部分に絞らせていただきます。
 平成三年度末に完成し供用開始がされますと、一部有料とはいえ、今日の交通量、朝晩の渋滞状況から利用される車両も期待されるわけでありますが、築港方面からめがね橋経由、この河口大橋で湊御膳松に入ってから国道二十六号に接続するためには、現状、住金正門前の土入橋しか利用できず、交通体系上メリットがなく、むしろ混雑の原因となる懸念があります。また大阪方面、河西方面から二十六号線で進入し、住金前の土入橋を右折してまでこの河口大橋を利用する車両は多く期待できないアクセスとなっていると考えます。
 昭和六十一年の建設委員会においてこの問題点を指摘し、ルート決定の要望をいたしていますが、土入川を越えて二十六号と効率的に接続する、さらに将来、第二阪和国道と接続する交通体系整備を早期にルート決定され、事業認可への努力を要望するとともに、現段階における構想を明らかにされたいのであります。
 また関連をして、利用者をふやすためにも、湊御膳松に新婚者用の県営住宅を建設されたいのであります。湊小学校がございますが、小学生一年生から六年生までで三百人を切っている、この市街地の中にあって過疎とも言えるべき現象がございます。こういった意味で、新婚者用の県営住宅を建設してほしいという地元要望もございました。和歌山市における今後の県営住宅建設計画を示していただきたいのであります。
 以上、土木部長の答弁を求めて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 和田正人議員にお答え申し上げます。
 高校中退者問題に関連してでございます。
 私も、若い皆さんがこれから二十一世紀を背負って立つ、そうした意味において高校中退者問題についても関心を持っておるわけでございます。
 私は、ことしの四月に南部高校の体育館の竣工式に行ってまいりました。そして校長先生やら父兄の皆さんに、龍神で高校への入学者はどの程度ですかと聞くと、大方一○○%が行っておるということでした。そして、中退者、学力がついていけない人はどの程度ですかと聞くと、ほとんどございませんということでした。これを聞いて感心したわけでございます。
 和田議員がおっしゃっておりましたように、中退者の問題については、義務教育時から、また高校へ入ってからも魅力ある学校の環境づくりが大事だということ、私も同感でございます。私は余り教育に口を出すべきではございませんけれども、そうした環境づくりの面においてできるだけの努力をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
 それから、文部省と労働省の問題でございます。
 話ございましたように、私は各人のライフプランというものがあろうと思うんです。勉強は余りしたくないけれども仕事をやりたいという人があるだろうと思うんです。そうした人たちの心を酌んで、文部省も労働省もそうした立場に立って温かく指導してやっていただくことが一番大事ではないかと思っておるところでございます。やり方は極めて難しい点もあろうかと思うんですけれども、そういう立場に両方が立つところに本当の進むべき道があるのではないかと存ずる次第でございます。
 それから、関西国際空港の問題でございます。
 まず、新東京国際空港、首都圏第三空港等との関連における関西国際空港に対する議員御指摘の問題については、去る八月の航空審議会中間取りまとめにおいて、関西国際空港と成田空港は二十一世紀を展望した国際航空ネットワークの中で、日本のそして世界への玄関口として位置づけられてございます。さらに関西国際空港については、従来より国内の基幹空港としての機能をあわせ持つものとしてその整備が進められてございますので、現在、国内線との乗り継ぎに不自由を来している成田空港のようなことにはならないと考えておるところでございます。また、同中間取りまとめにおいても、東京圏における新規の空港設置、既存の空港、飛行場の活用等については総合的な調査の必要性が盛り込まれたにすぎませんが、関西国際空港については来年度から始まる第六次空港整備五箇年計画段階における全体構想の事業着手の方針が示されているところでございます。このことは、関西国際空港と首都圏第三空港との熟度の差を示すものだと考えておるところでございます。
 なお、最近発表された我が国の主要航空会社の事業計画を見ても、関西国際空港から東京便等の主要幹線を初めローカル線への路線展開を積極的に進めることとされておりますので、国際線についても関西国際空港からの路線展開の充実を図るものとされております。しかしながら、路線、便数など具体的な詰めは今後の課題となっておるわけでございます。今後とも、関西国際空港を文字どおり世界に誇れるすばらしい国内、国際の基幹空港とすべく積極的な取り組みを図ってまいる所存でございますので、よろしく御支援のほどをお願い申し上げたいと存じます。
 それから、関西空港に関連いたしまして、地域からの発信による一極集中の排除を図るべきだという御意見、まことに賛成にございます。そうした意味から、議員からただいま御提言ございました本県への大規模な常設展示場の設置、ODAの窓口の誘致についてでございますけれども、和田議員の国政並びに国際情勢に対する卓見した御見識を承りまして感服した次第でございます。
 東京一極集中を是正して、多極分散型国土の形成を図ることが四全総の思想でございます。その実現に向けて、関西がそして和歌山がその一翼を担っていかなければならない時期であると考えております。御指摘の施設の立地並びに誘致は、国際的に評価された臨空地域和歌山の発展に寄与するものであるとともに、関西国際空港への航空需要そのものを高めるための一つの提言として受けとめたいと思います。
 話ございましたODAは非常に大きい問題であり、大蔵省、外務省、経済企画庁等と密接に関係しますので、今後、関係機関とも十分協議しながら検討してまいりたいと思います。今後、情報、御意見等を賜りたいと存じます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、紀の川河口大橋供用に伴う交通体系の整備についてでございます。
 一般有料道路紀の川河口大橋については、平成四年春の供用を目途に事業を進めているところでありますが、国道二十六号の紀の川大橋の渋滞緩和に貢献するものと考えております。国道二十六号から河口大橋への接続は御膳松交差点であり、現在の交通状況を見ると議員御指摘のような事態も考えられますが、土入橋西側において市道松江百十二号線の改良事業が和歌山市によって実施されており、これが完成いたしますと国道二十六号を経由せずに松江方面から河口大橋経由、築港方面に至るルートが確保され、御膳松交差点の負荷が緩和されるものと考えております。
 また、河口大橋と第二阪和国道を接続するルートのうち河口大橋から国道二十六号に至る区間は、和歌山下津港の振興を図るとともに、流通港湾としての機能を十分発揮できるよう港湾計画で臨港道路として位置づけており、事業実施に向け検討を進めるとともに、国にも強く要望しているところであります。さらに、国道二十六号から第二阪和国道に至る区間については、河西地区の幹線道路として善明寺湊線が都市計画決定されています。今後、臨港道路計画の具体化に伴い、臨港道路と本路線の連絡について計画の見直しを検討することとしております。
 次に、県営住宅建設についてでございます。
 県の第六期住宅建設計画については、国の計画に沿って平成三年度に策定することとなっておりますが、都市部、特に和歌山市における住宅建設計画については家賃を考慮した用地取得が困難であります。そのため、主に施設の老朽化した住宅団地を建てかえることにより、土地を有効に活用しながら戸数の増加と環境改善に努めてまいりたいと考えております。また、新規団地として適切な用地の確保が可能であれば積極的に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 高等学校の中途退学者の問題については、ただいま知事から基本的な考え方がございました。
 本県における高校の中途退学者の在籍者に対する割合は約一・四%でございまして、この数値はここ数年推移いたしてございます。中途退学者の主な理由については、議員から御指摘のあった三点が主要なものでございます。
 こうした問題を克服するために、学習面において基礎、基本を修得させること、基本的な生活習慣を確立させること、進路に対する正しい目的意識を持たせることなどを小学校、中学校の段階から身につけさせることが必要であります。さらに、望ましい人格形成のために、自己教育力の育成と個性の伸長等を図る教育課程の改善や教育環境の整備が大切であり、今後、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 それから、中途退学者の就職あっせんについては、教育的な観点から、社会的に自立できるように関係当局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番和田正人君。
○和田正人君 まだ時間がありますからいろいろ申し上げたいと思いますが、後の方の時間もございますので、今、御答弁をいただいた内容に関して、再質問ではなく要望を申し上げたいと思います。要望の中には幾つか苦言もございます。聞いていただきたいと思います。
 まず、高校中退者問題に関連して、私は義務教育課程の現在の学校生活の中にもメスを入れるべきではないかということも申し上げました。
 具体的な例として、小学校五年生の二学期に社会科の教材の中に、鉄はどうしてつくられるかということで体験学習をする時期がございます。
 和歌山の住友金属に、年間約二万人の子供たちが見学に訪れているのであります。けさも正門の前を、普通はバスでたくさん来られるのでありますが、どの地域からかは承知いたしませんけれども、先生に引率された子供たちが約七十人ぐらい歩いて住金の正門に来ておりました。現場を歩いていただいて、それぞれの感想を述べる、あるいは文章にするというふうになっているようであります。この約二万人に及ぶ児童の見学は、県下全域はもとより、大阪府下の南に位置する学校、さらには兵庫県の淡路島、この辺からも来られているわけであります。
 そこで私は何を言いたいかといいますと、引率をされた先生の中の一部の先生でありますが、現場を見た後、子供たちとの意見のやりとりの中で、感想を率直に述べようとする子供たちに対して、「君たちも、今、一生懸命勉強しないと、大きくなったらこういう暑い汚いところで仕事をせないかんのやぞ」と。こういう先生も現実にいるということであります。厳しく言うならば、職業の貴賤ということについてどういうふうな認識を持って子供たちに言っているのか。また、社会において、どのようなものであっても物をつくることのすばらしさ、大切さというものを教えるための体験学習ではないか。自分の気持ちを言った先生かもしれませんが、それを聞いた子供たちがどのような気持ちで成長していくのか。ここに教育の原点を考える。
 四十人学級の問題、それだけで問題が解決するとは思いません。いろんな先生側の意見もありましょう。本当にきめ細かく子供たちと接していきたい、学力をつけるために教えてやりたい、そういう先生の熱意を受けて四十人学級を実現していく方策を求めてほしいし、先生のあり方についても正々堂々と意見交換をすべき、このように意見を申し上げるわけであります。
 今、日本社会において、三Kという職場は若者から嫌われております。それぞれの関連する企業は、イメージアップをするためにどのような努力をしなければならないか。賃金だけの問題ではない。特に、製造過程上、昼夜を分かたず三交代をしなければならない。こういう仕組みになった製造業の中にあっては、敬遠されがちな若者に対して、寮生活、職場環境を初め、何とか魅力あるものにしようという企業努力がされているわけであります。幼い子供たちのそういう体験学習を通じて、今、日本の社会の中で物をつくることの大事さが忘れられている、この社会現象に対して教師はもっと責任を持っていただきたいのであります。
 知事に御要望申し上げますが、知事は教育委員を任命する立場にございます。先ほど基本的な考え方を述べていただきました。確かに、行政の長である知事と教育委員会の立場は明確に区分をされていることは承知をいたしております。しかし、県民の多くが、父兄の多くが中退者問題に頭を悩まし、最近では中学生のシンナー吸引による、特に女子学生が体調の不調を訴えるという事例なども多くあります。この和歌山県下の私鉄を含めた各沿線の駅構内ですら、堂々と学生服を着てたばこを吸っている現状があるわけであります。とりわけ、女子学生がシンナーを吸引したことによって、将来、母体となったときに障害児を出産するという多くの事例もあるわけであります。二十一世紀を担う若者、子供たちを育てる知事のスローガン、使命からすれば、教育委員会の問題だということではなく、もっと教育委員会なり学校の現場、父兄の声に耳を傾けていただき、責任のある人づくりの施策をもっと進めていただきたい。私も協力をさせていただきたいと思います。御要望申し上げておきます。
 それから、昨日までの一般質問の中で交通体系のおくれ、とりわけ道路問題についてもいろいろ御答弁がされております。
 関空開港をにらんで申し上げたいのでありますが、過日開催されたスポレク大会、開会式は雨の中、紀三井寺競技場に本当にたくさんの方がお見えでございました。県庁職員も、雨の中、車の交通整理を初めとして随分御努力をされていました。雨の降りしきるスタンドの中で、他の出席をされた議員の皆さんと一緒にスポレク大会の開会式に臨みました。天候が非常に悪かったにもかかわらず、和歌山県として本当に成功したな、関係者の皆さんの御努力を心から喜びながら敬意を表したい、そういう気持ちもございました。
 スポレクが終わって、JR和歌山駅でそれぞれ競技に出席をされた方が帰るときにたまたま一緒に乗り合わせました。これは余談でありますが、私の隣の席には、有名な柔道の斎藤選手が座りました。随分体が大きくて、私は窮屈な座り方をしてあげないとということで、本当に大きな人だなあという感じを持ちました。その際、このスポレク祭に地域のボランティアで参加された方がどのぐらいあったのかな、駅にもっと見送りに来てあげてほしかったなと、こういう気持ちもいたしました。
 そういう中で、特に各会場に選手を送ることについて交通体系、道路が悪い、このことに一番気を使われたのではないか。紀三井寺交差点周辺、マリーナシティ建設に向かって、今考えられる道路計画の中で問題は何か。
 執行残として決算委員会等でいつも指摘をされる用地買収の問題について、担当者を初め皆さん努力をされています。おくれていることはみんな認めているんです。この議場において、それらに関する質問に答えられる知事の答弁の中に、なぜ声を大にして、「県民の皆さん、用地買収に協力してくれ」、こういう本当に真に迫った声を聞きたいのであります。和歌山は他府県に比べておくれております。しかし、二十一世紀に向かって、今、新しい和歌山をつくるために知事を中心に県民挙げて協力をする。県民の見る目、向かっていく方向を一つにしなければならない重要な時期だと思うから、あえて声を大にして議場から県民に訴える知事の答弁を用地問題に関しても聞きたかったわけであります。
 大変厳しい発言をいたしておりますが、仮谷知事を中心にして今こそ和歌山県が未来に向かって進んでいかなければならないから、私はあえて、先ほど「苦言」という表現をいたしました。その辺を御了察いただきたいと思います。
 今、学校問題を初めとする多くの地域社会の問題について、仮谷知事を信頼して県民こぞって和歌山県勢発展のために協力しよう、こういうムードづくりを県庁職員挙げてやっていただきますことを心から御期待を申し上げて、私の発言を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。

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