平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第五号 平成二年十二月十四日(金曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百二十一号から議案第百三十号まで(知事説明・質疑・委員会付託)
 第二 議案第百十号から議案第百二十号まで(質疑・委員会付託)
 第三 一般質問
 第四 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第百二十一号から議案第百三十号まで(知事説明・質疑・委員会付託)
 二 議案第百十号から議案第百二十号まで(質疑・委員会付託)
 三 一般質問
 四 請願付託
 五 休会決定の件
出 席 議 員(四十五人)
   1 番 井 出 益 弘
 2 番 和 田 正 一
 3 番 町 田 亘
 4 番 中 村 利 男
 5 番 山 本 一
 6 番 宗 正 彦
 7 番 岡 本 保
 8 番 鈴 木 俊 男
 9 番 阪 部 菊 雄
 10 番 中 村 裕 一
 11 番 平 越 孝 哉
 12 番 大 江 康 弘
 13 番 中 西 雄 幸
 14 番 橋 本 進
 16 番 浦 武 雄
 17 番 堀 本 隆 男
 18 番 宇治田  栄 蔵
 19 番 下 川 俊 樹
 20 番 石 田 真 敏
 21 番 木 下 秀 男
 22 番 中 村 隆 行
 23 番 藁 科 義 清
 24 番 門 三佐博 
 25 番 尾 崎 要 二
 26 番 那 須 秀 雄
 27 番 木 下 義 夫
 28 番 上野山 親 主
 29 番 北 村 翼
 30 番 尾 崎 吉 弘
 31 番 西 本 長 浩
 32 番 岸 本 光 造
 33 番 松 本 貞 次
 34 番 浜 本 収
 35 番 和 田 正 人
 36 番 浜 口 矩 一
 37 番 山 崎 幹 雄
 39 番 田 中 実三郎  
 40 番 森 利 一
 41 番 村 岡 キミ子  
 42 番 森 本 明 雄
 43 番 中 村 博
 44 番 中 村 千 晴
 45 番 小 林 史 郎
 46 番 渡 辺 勲
 47 番 藤 沢 弘太郎 
欠 席 議 員(一人)
 15 番 古 田 新 蔵
〔備 考〕
 38 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 高 瀬 芳 彦
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 天 谷 一 郎
 農林水産部長 安 田 重 行
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 吉 井 清 純
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛
 教育長 高 垣 修 三
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ─────────────────
 午前十時五分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
 ───────────────────
  財第151号 
  平成2年12月14日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
 和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成2年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第121号 平成2年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第122号 平成2年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第123号 平成2年度和歌山県電気事業会計補正予算
 議案第124号 平成2年度和歌山県工業用水道事業会計補正予算
 議案第125号 平成2年度和歌山県有料道路事業会計補正予算
 議案第126号 議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例等の一部を改正する条例
 議案第127号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第128号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第129号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第130号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 ─────────────────
○議長(岸本光造君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百二十一号から議案第百三十号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、御説明申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案は、いずれも職員等の給与改定に伴う補正予算案及び関係条例の改正であります。
 去る十月十七日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであります。
 まず予算案件としては、給与関係経費といたしまして一般会計で七十八億四千八百余万円、特別会計についても所要の補正予算を計上いたしております。
 次に、給与関係条例につきましては、議案第百二十六号から第百三十号をもってお願いいたしております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(岸本光造君) 以上で、知事の説明が終わりました。
 ─────────────────
○議長(岸本光造君) 次に日程第二、議案第百十号から議案第百二十号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 35番和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 実は、十二日の一般質問で和田正一先生が熱弁を振るわれた報告と顔写真が地方紙「紀伊民報」に昨日掲載をされておりましたが、私の写真が載っておりまして、けさから、もう一回質問するのかと冷やかされておるわけであります。通告に従いまして、久しぶりに一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、高校中退者問題に関連し、文部省と労働省が高校中退者の就職あっせんをめぐって対立をしているということであります。事の発端は、「労働省が、平成三年度予算の概算要求に高校中退者就職対策事業を盛り込んだことから」と報道されています。
 ふえる一方の高校中退者は、昭和六十三年度には全国で十一万六千人に達していること、この貴重な労働力を効率よく企業に送り込もうというのが労働省の考えで、具体的には、一、高校と職業安定所で協議会を設ける、二、職業安定所のガイドを中退者に配付する、三、企業での実地講習の実施をする、こういうことなどが計画されているようであります。
 今春の高校卒業での就職者が全国で五十二万、その五分の一以上を対象とするこの事業が軌道に乗ればと期待をする人手不足の企業もある社会の実情であります。一方、文部省は、このことに対してかんかんということであります。それでなくとも中退者の急増は頭痛の種なのに、労働省のねらいは、その火に油を注ぐようなものとして直ちに担当者がクレームをつけ、非協力を宣言したが、労働省側は譲れないとの一点張りと、この報道は伝えています。
 高校中退者問題は、この議場でも再々にわたって指摘をされ、和歌山県においても父母はもとより学校関係者の大きな悩みであり、その要因は複雑多岐で、現時点での特効薬とも言える施策はないとも言えますが、ここに高校生の中途退学問題について十一月二十八日「朝日新聞」朝刊の県版に紹介された県立串本高校のサークル「雑草」──「あらくさ」と言うようであります──が生徒を対象にアンケート実施をした内容があります。
 それによりますと、退学しようと思った生徒が約三割に上り、その理由は、「学校がおもしろくない」が六割となっています。同サークルが、増加している中途退学について生徒の意識を探ろうと二年、三年生五百五人から無記名でアンケートをとった内容であります。その結果、「退学しようと思ったことがあるか」では、「ある」が二九・四%、「ない」は七○・六%で、「退学しようと思ったのはどんなときか」では、「学校がおもしろくない」が六三・五%で最も多く、「就職して働きたい」、「学校へ行くのがしんどい」がともに二一・六%と続き、よく指摘をされる「学力面でついていけなくなった」は八・七%と、むしろ少ないのであります。また、「退学しようとしている友達にどうしたか」では、「説得した」が最も多かったが、「何もしない」も約三分の一を占め、その理由として「本人の生き方があるから」などを挙げています。「どうすれば退学者は減るか」では、「楽しい学校にする」、「友人の助け」などがあったが、「どうにもならない」、「学校より個人の問題」などの意見もあったとされています。「同サークル顧問の永石和教諭は、『学校がつまらない』は、それだけでは細かな内容が分からないが、やはりショックを感じる。学校に積極的に価値を感じる生徒も少ないようで、その意味ではいつ退学があってもおかしくない状況は続いており、何とか対応策を見いだしたいと話している」、以上が県版に報道された新聞の内容であります。
 この教育現場の生々しい声の中に、私なりに高校生の揺れ動く心のあり方や先生の悩みを推察するのであります。
 和歌山県下の県立高校全日制における最近の中退者傾向は、昭和六十年、一年生在学中二百八十三人、二年生、三年生を含めて五百二十七人の中退であり、昭和六十一年は合計六百三十二人、うち一年生は三百十六人となっています。昭和六十二年は合計五百三十二人、一年生は二百七十九人、昭和六十三年は合計五百四十六人、一年生は二百八十四人、平成元年は合計五百六十八人、一年生は三百三十六人と、過去五年間の結果を見ると、理由はさまざまであっても高校一年在学中の生徒が圧倒的に多いのであります。県教育委員会学校教育課のまとめた資料によると、考えられる理由は九項目ありますが、そのうち各年次に共通して最も多い理由は学業不振、学校生活・学業不適応、進路変更の三つであります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、最も多い三つの理由にメスを入れないと中退者の問題は減少しないと考えます。生徒自身の姿勢や努力もさることながら、中退問題は高校入学以降の問題としてとらまえるのではなく、義務教育の課程における学校生活全般のあり方や臨教審における協議や検討の中で出されている中学校、小学校での週五日制、学校外教育のモデル協力校の実績と評価されつつある内容についても前向きに関心を持つべきではないか。もちろん、教育委員会としての自主性を尊重するとしても、県内高校生の中退問題は、当然、知事としても心を痛めておられるはずであります。子供たちを取り巻く環境は、今日の情報過多とも言える状況の中で大きく変化し、子供たち自身の価値観も私などの判断基準を超えるほど変化しているのが実情であります。二十一世紀を担う子供たちの問題を、今、私たちが解決をする努力をしなければならないでしょう。
 昨日、小林議員からも質問がありましたが、父母からは来年度高校入試について、学級減をしないよう多くの署名とともに陳情されています。また、教員を含めて四十人学級実現の請願が出されていますが、これらの問題を中退者問題を絡めて、知事並びに教育長の御所見をいただきたいのであります。
 また、前段申し上げました文部省と労働省の考え方についてはそれぞれの立場や意見があっても、現実問題の処理として、今日の社会環境からも中退をした子供たちを不用意にでも暴力団の予備軍などにさせないためにも、理由があって中退をした子供たちに対する適切な指導と窓口が必要と考えるものですから、ベストでないとしても私は労働省案に賛成でありますが、知事はいかがでしょうか。
 なお、小林議員と重複する答弁でありましたら、教育長答弁は割愛していただいて結構であります。
 次に、関西国際空港に関連して御質問いたします。
 ことしの八月十五日、成田空港の利用客は一日で六万五千人を超えたと言われています。成田空港建設前に運輸省がはじいた需要見積もりでは一日三万五千人が最大であり、施設もその数字をもとに計画された以上、異常な混雑はむしろ当然と言われています。しかも、これは今日だけの現象ではなく、近い将来さらに過酷な事態が予想されると指摘する向きもあり、成田空港二期工事、羽田空港沖合展開、関西国際空港という第六次空港整備五箇年計画の三大プロジェクトが予定どおり完成しても、二十一世紀初頭には我が国の空の輸送能力は今以上に深刻な状態になるとの予測がなされているからであります。
 運輸省の見通しとして、羽田空港を利用する旅客者数は二○一○年には現在の二・三倍に当たる年間七千二百万人に膨れ上がるとされ、政府は約八千八百億円をかけて羽田空港の沖合展開工事を進めていますが、その工事が予定どおり平成七年度に完成し、年間の発着回数が現在の十八万回から二十三万回にふえても二○○○年には再びパンクするとの運輸省幹部の談話があり、七千二百万人の乗客をさばくには少なくとも二十六万回の発着が必要だとされているからであります。
 一方、運輸省は本年十月から成田空港の発着枠を一日当たり十便ふやして三百六十便、年間で約十一万八千回に変更したが、これも今の成田の限界であり、滑走路一本のみの空港の発着数としては世界一と言われる混雑のひどい状態であります。
 また、成田の貨物取扱量は一九八八年度に年間百二十万トンを超え、米国のケネディ空港を追い越して世界一の貨物空港になったわけですが、これも運輸省の試算によれば、日本の経済成長がこのままのペースで進めば、二○○○年以降、成田の処理能力を上回る貨物量が懸念されているのであります。加えて、日米構造協議で成田空港の狭さと通関体制の不備は輸入促進を妨げる非関税障壁と非難されたように、成田空港に輸入貨物が到着して通関が完了するのは平均して三ないし四日かかる現状で、ピークである年末のように五日以上待たされることが普通の状態になりかねないとすら懸念され、スピードを命とする航空便とは名ばかりになる可能性が指摘されているのであります。
 これは報道によって知り得た情報でありますが、このような問題の中で、空港行政を担当する運輸省は一石二鳥の妙案を考案し、マスコミをうまく味方につけつつ、その批判にこたえようとしている点に注目し、重大な関心を持つべきではないかと思います。
 一石二鳥の策とは、第一に、アメリカの非難を利用して成田の二期工事を推進する、さらには首都圏第三空港建設へのてこにする、第二は、過日、森本議員の方から関空と伊丹の関係での空域問題が指摘されておりましたが、成田、羽田についても同様、アリの行列と言われるほど飛行機が次から次へと続いているような状況で、なお米軍と自衛隊の空域に邪魔されているという問題について、首都圏上空の空域問題のキャンペーンを行い、成田、羽田の拡張ができても有効活用ができないことを訴える、それによってアメリカの非難をトーンダウンさせる、こういうねらいを持った運輸省の演出だと言われている点であります。
 また運輸省は、第六次空港整備五箇年計画で、名古屋、新千歳、福岡、仙台、広島など地方の大都市を抱える地方中核空港の国際空港化を促進する計画を盛り込んでいること、特に極東、東南アジアなどの近距離路線についてはチャーター便を活性化することで極力、地方空港に任せるべきだという考え方を打ち出していること、我が和歌山県を含め近畿圏として関西国際空港に熱い期待を寄せ、その実現に努力し協力をしている今日、全体構想実現への扉がやっと開いたとはいえ、克服すべき課題や財源についての厳しい条件、さきに述べた東京中心の空港行政を考慮するとき、先輩、渡辺議員が本議場において再々指摘をされた、関空とは何ぞや、一ローカル空港にしてはならない、このままではアジアのハブ空港の地位を奪われてしまいますよ、この演説内容を思い起こすのであります。
 二十四時間運航、年間十六万回の発着枠で開港される関西国際空港を日本の航空会社がどのように位置づけているのか、あくまでもアジアへの玄関であるということで、欧米諸国については現在と同様に成田が起点で関西国際空港は経由地との構想が鮮明になっているのではないか、これは国内便確保に関連して、長年にわたって私どもが懸念してきたことであります。このまま行けば、関西国際空港は成田の能力不足を補うどころか、逆にお荷物になりはしないかと心配する識者もいるのであります。知事の認識はいかがでありましょうか、お伺いいたします。
 政治、経済、文化の中心が東京である限りということで、東京一極集中の排除、地方分権、三十万人規模での中核都市構想が言われ、個々の作業も続けられているわけでありますが、いずれも中央発信、東京からの発信での発想や意見ではないでしょうか。だから、進まないのではないでしょうか。今、地域から日本を変える運動が必要だと考えますが、いかかでしょうか。地域からの発信による一極集中の排除、地方分権の確立、中核都市づくり、このことを和歌山県の県益にとどまらず、近畿が一体となって関西国際空港を起爆剤として総力を結集するときではないでしょうか。
 以前の本会議において私は、関空に関連をして常設展示場の設置についての提言、ODAのあり方についての意見を申しました。今、中東におけるイラク問題は、人質の全面解放を初めとして平和的解決に向けてその努力が続けられていますが、日本の貢献策が、そのあり方が国の内外から疑問を投げかけられているのも事実であります。ODAのあり方についても、量的には世界最大となったものの、欧米諸国のように援助への基本理念を持たないゆえに、その効率性や援助に絡む利権問題などについて国の内外で批判が高まっている上に、地球環境問題への配慮という新たな課題も加わり、政府開発援助のあり方も大きな曲がり角を迎えていることも事実であります。
 現在、日本の援助行政は、円借款が外務省、大蔵省、通産省、経済企画庁の四省庁、技術協力が十七省庁にまたがっているのであり、ことしの七月、経団連の発表したODA憲章を定めて内外に我が国の援助方針を明示すべきだとする意見書には、縦割り行政が機動的、効率的な援助の妨げになっていると指摘をし、各省庁間の連絡を緊密化することによって援助行政を実質的に一元化するよう提言し、途上国側のニーズに応じた国別、地域別の援助方針を作成するよう主張しているのであります。
 このような情勢を踏まえて、関空を名実ともに二十四時間運航の国際空港として、全体構想の実現はもとより、ぜひ関空におりて和歌山県に行かなければという受け皿として、私はODAの窓口を誘致してはという提言をするものであります。
 単に、場所を提供するのではなく、途上国の本当に求める援助は何か、実情に詳しい商社や外務省OBを活用して、現在のODAは途上国の経済発展に役立たず日本企業の利益追求の手段となっている、途上国の環境を破壊しているといった最近のODA批判を解消する窓口と、その組織、機能を政府に提言し、誘致されたいのであります。その窓口を経由しなければ人、物、技術、金の海外援助は出ないという窓口であります。今日まで、要請主義に基づき相手国の内政にはできるだけ干渉しない援助が、結果として平和外交の進む国際情勢で、日本に対する被援助国の国民を含め、その役割と認識を高めることにつながったのかどうか、結果は多くの問題を残しているのであります。
 東西関係が緊張と対立から対話と協調へ大きく転換し、一九九二年、EC統合による全欧体制が確立されるなど、国際情勢は平和を基本に激しく変動しているだけに、来年予定されるアメリカ、ソビエト両大統領の訪日後の対中国、対ソ連の問題を含め、日本の経済援助の重要性が高まることは避けられない状況にあると言えます。基本理念を整理し、窓口を統合し、被援助国の国民の求める真の援助をすべき時代であって、いたずらにばらまき援助をするときではない、責任の重い日本であると思うからであります。組織と機能と窓口を誘致しようという視点は大きいかもしれません。また、困難かもしれません。しかし、ODAの窓口と常設展示場を併合させ、関空を国際線の経由地にさせず、和歌山と近畿を必ず訪れなければならない、そのための二十四時間運航の関西空港を起点とすべく、取り巻く厳しい環境を変えさせるためにも大きな視野に立っていただきたいのであります。
 参考までに、資料によりますと、援助理念に関する行政側の見解として、外務省、経済協力局が一九八○年に経済協力研究会の名で編成した「経済協力の理念──政府開発援助はなぜ行うのか」が最初で、その後、経済審議会が一九八三年に当時の首相に答申した「一九八○年代経済社会の展望と指針」に続き、一九八七年版、通産省産業構造審議会や通産省の「経済協力の現状と問題点」で、援助、直接投資、輸入が三位一体となった総合的協力の概念の三つと記されています。
 岸大阪府知事が勇退を表明されている今、近畿のリーダーは仮谷知事、あなたではないでしょうか。地方発信による東京一極集中の排除、地方分権の具体的施策として、また懸念される関空の将来を実効のある国際空港として位置づけする具体的な行動を起こしていただきたいのであります。国内各メーカーに協力をいただき、人、物、技術を集めた大規模な常設展示場の開設──私が以前発言をいたしましたときにはまだ幕張メッセはできていなかったのであります──ODA窓口の誘致、このことが実現をすればコスモパーク加太やリサーチラボにも有効的な連動作用を促すことともなり、県内のリゾート、先人の残された文化、歴史的資源、高野密教、熊野、温泉等々、和歌山の持つよさを最大限生かせる、家族を含めた滞在型誘客にもつながるのではないか。関空の将来を懸念し、そうならないために今何をなすべきか。ささやかな私見でありますが、小さなつぶやきであっても、これを大きくしていただきたい気持ちで提言をいたしました。地域を愛するがゆえに、これをやる知事の勇気ある御所見を求めるものであります。
 次に、大きな視野に立った提言をいたした後に細かいかもしれませんが、具体的な問題として質問をいたします。
 紀の川河口大橋供用に伴う交通体系整備と県営住宅建設についてであります。
 何人かの方も交通問題、道路問題の御指摘をされておりましたので、中身をごく細かな部分に絞らせていただきます。
 平成三年度末に完成し供用開始がされますと、一部有料とはいえ、今日の交通量、朝晩の渋滞状況から利用される車両も期待されるわけでありますが、築港方面からめがね橋経由、この河口大橋で湊御膳松に入ってから国道二十六号に接続するためには、現状、住金正門前の土入橋しか利用できず、交通体系上メリットがなく、むしろ混雑の原因となる懸念があります。また大阪方面、河西方面から二十六号線で進入し、住金前の土入橋を右折してまでこの河口大橋を利用する車両は多く期待できないアクセスとなっていると考えます。
 昭和六十一年の建設委員会においてこの問題点を指摘し、ルート決定の要望をいたしていますが、土入川を越えて二十六号と効率的に接続する、さらに将来、第二阪和国道と接続する交通体系整備を早期にルート決定され、事業認可への努力を要望するとともに、現段階における構想を明らかにされたいのであります。
 また関連をして、利用者をふやすためにも、湊御膳松に新婚者用の県営住宅を建設されたいのであります。湊小学校がございますが、小学生一年生から六年生までで三百人を切っている、この市街地の中にあって過疎とも言えるべき現象がございます。こういった意味で、新婚者用の県営住宅を建設してほしいという地元要望もございました。和歌山市における今後の県営住宅建設計画を示していただきたいのであります。
 以上、土木部長の答弁を求めて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 和田正人議員にお答え申し上げます。
 高校中退者問題に関連してでございます。
 私も、若い皆さんがこれから二十一世紀を背負って立つ、そうした意味において高校中退者問題についても関心を持っておるわけでございます。
 私は、ことしの四月に南部高校の体育館の竣工式に行ってまいりました。そして校長先生やら父兄の皆さんに、龍神で高校への入学者はどの程度ですかと聞くと、大方一○○%が行っておるということでした。そして、中退者、学力がついていけない人はどの程度ですかと聞くと、ほとんどございませんということでした。これを聞いて感心したわけでございます。
 和田議員がおっしゃっておりましたように、中退者の問題については、義務教育時から、また高校へ入ってからも魅力ある学校の環境づくりが大事だということ、私も同感でございます。私は余り教育に口を出すべきではございませんけれども、そうした環境づくりの面においてできるだけの努力をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
 それから、文部省と労働省の問題でございます。
 話ございましたように、私は各人のライフプランというものがあろうと思うんです。勉強は余りしたくないけれども仕事をやりたいという人があるだろうと思うんです。そうした人たちの心を酌んで、文部省も労働省もそうした立場に立って温かく指導してやっていただくことが一番大事ではないかと思っておるところでございます。やり方は極めて難しい点もあろうかと思うんですけれども、そういう立場に両方が立つところに本当の進むべき道があるのではないかと存ずる次第でございます。
 それから、関西国際空港の問題でございます。
 まず、新東京国際空港、首都圏第三空港等との関連における関西国際空港に対する議員御指摘の問題については、去る八月の航空審議会中間取りまとめにおいて、関西国際空港と成田空港は二十一世紀を展望した国際航空ネットワークの中で、日本のそして世界への玄関口として位置づけられてございます。さらに関西国際空港については、従来より国内の基幹空港としての機能をあわせ持つものとしてその整備が進められてございますので、現在、国内線との乗り継ぎに不自由を来している成田空港のようなことにはならないと考えておるところでございます。また、同中間取りまとめにおいても、東京圏における新規の空港設置、既存の空港、飛行場の活用等については総合的な調査の必要性が盛り込まれたにすぎませんが、関西国際空港については来年度から始まる第六次空港整備五箇年計画段階における全体構想の事業着手の方針が示されているところでございます。このことは、関西国際空港と首都圏第三空港との熟度の差を示すものだと考えておるところでございます。
 なお、最近発表された我が国の主要航空会社の事業計画を見ても、関西国際空港から東京便等の主要幹線を初めローカル線への路線展開を積極的に進めることとされておりますので、国際線についても関西国際空港からの路線展開の充実を図るものとされております。しかしながら、路線、便数など具体的な詰めは今後の課題となっておるわけでございます。今後とも、関西国際空港を文字どおり世界に誇れるすばらしい国内、国際の基幹空港とすべく積極的な取り組みを図ってまいる所存でございますので、よろしく御支援のほどをお願い申し上げたいと存じます。
 それから、関西空港に関連いたしまして、地域からの発信による一極集中の排除を図るべきだという御意見、まことに賛成にございます。そうした意味から、議員からただいま御提言ございました本県への大規模な常設展示場の設置、ODAの窓口の誘致についてでございますけれども、和田議員の国政並びに国際情勢に対する卓見した御見識を承りまして感服した次第でございます。
 東京一極集中を是正して、多極分散型国土の形成を図ることが四全総の思想でございます。その実現に向けて、関西がそして和歌山がその一翼を担っていかなければならない時期であると考えております。御指摘の施設の立地並びに誘致は、国際的に評価された臨空地域和歌山の発展に寄与するものであるとともに、関西国際空港への航空需要そのものを高めるための一つの提言として受けとめたいと思います。
 話ございましたODAは非常に大きい問題であり、大蔵省、外務省、経済企画庁等と密接に関係しますので、今後、関係機関とも十分協議しながら検討してまいりたいと思います。今後、情報、御意見等を賜りたいと存じます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、紀の川河口大橋供用に伴う交通体系の整備についてでございます。
 一般有料道路紀の川河口大橋については、平成四年春の供用を目途に事業を進めているところでありますが、国道二十六号の紀の川大橋の渋滞緩和に貢献するものと考えております。国道二十六号から河口大橋への接続は御膳松交差点であり、現在の交通状況を見ると議員御指摘のような事態も考えられますが、土入橋西側において市道松江百十二号線の改良事業が和歌山市によって実施されており、これが完成いたしますと国道二十六号を経由せずに松江方面から河口大橋経由、築港方面に至るルートが確保され、御膳松交差点の負荷が緩和されるものと考えております。
 また、河口大橋と第二阪和国道を接続するルートのうち河口大橋から国道二十六号に至る区間は、和歌山下津港の振興を図るとともに、流通港湾としての機能を十分発揮できるよう港湾計画で臨港道路として位置づけており、事業実施に向け検討を進めるとともに、国にも強く要望しているところであります。さらに、国道二十六号から第二阪和国道に至る区間については、河西地区の幹線道路として善明寺湊線が都市計画決定されています。今後、臨港道路計画の具体化に伴い、臨港道路と本路線の連絡について計画の見直しを検討することとしております。
 次に、県営住宅建設についてでございます。
 県の第六期住宅建設計画については、国の計画に沿って平成三年度に策定することとなっておりますが、都市部、特に和歌山市における住宅建設計画については家賃を考慮した用地取得が困難であります。そのため、主に施設の老朽化した住宅団地を建てかえることにより、土地を有効に活用しながら戸数の増加と環境改善に努めてまいりたいと考えております。また、新規団地として適切な用地の確保が可能であれば積極的に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 高等学校の中途退学者の問題については、ただいま知事から基本的な考え方がございました。
 本県における高校の中途退学者の在籍者に対する割合は約一・四%でございまして、この数値はここ数年推移いたしてございます。中途退学者の主な理由については、議員から御指摘のあった三点が主要なものでございます。
 こうした問題を克服するために、学習面において基礎、基本を修得させること、基本的な生活習慣を確立させること、進路に対する正しい目的意識を持たせることなどを小学校、中学校の段階から身につけさせることが必要であります。さらに、望ましい人格形成のために、自己教育力の育成と個性の伸長等を図る教育課程の改善や教育環境の整備が大切であり、今後、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 それから、中途退学者の就職あっせんについては、教育的な観点から、社会的に自立できるように関係当局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番和田正人君。
○和田正人君 まだ時間がありますからいろいろ申し上げたいと思いますが、後の方の時間もございますので、今、御答弁をいただいた内容に関して、再質問ではなく要望を申し上げたいと思います。要望の中には幾つか苦言もございます。聞いていただきたいと思います。
 まず、高校中退者問題に関連して、私は義務教育課程の現在の学校生活の中にもメスを入れるべきではないかということも申し上げました。
 具体的な例として、小学校五年生の二学期に社会科の教材の中に、鉄はどうしてつくられるかということで体験学習をする時期がございます。
 和歌山の住友金属に、年間約二万人の子供たちが見学に訪れているのであります。けさも正門の前を、普通はバスでたくさん来られるのでありますが、どの地域からかは承知いたしませんけれども、先生に引率された子供たちが約七十人ぐらい歩いて住金の正門に来ておりました。現場を歩いていただいて、それぞれの感想を述べる、あるいは文章にするというふうになっているようであります。この約二万人に及ぶ児童の見学は、県下全域はもとより、大阪府下の南に位置する学校、さらには兵庫県の淡路島、この辺からも来られているわけであります。
 そこで私は何を言いたいかといいますと、引率をされた先生の中の一部の先生でありますが、現場を見た後、子供たちとの意見のやりとりの中で、感想を率直に述べようとする子供たちに対して、「君たちも、今、一生懸命勉強しないと、大きくなったらこういう暑い汚いところで仕事をせないかんのやぞ」と。こういう先生も現実にいるということであります。厳しく言うならば、職業の貴賤ということについてどういうふうな認識を持って子供たちに言っているのか。また、社会において、どのようなものであっても物をつくることのすばらしさ、大切さというものを教えるための体験学習ではないか。自分の気持ちを言った先生かもしれませんが、それを聞いた子供たちがどのような気持ちで成長していくのか。ここに教育の原点を考える。
 四十人学級の問題、それだけで問題が解決するとは思いません。いろんな先生側の意見もありましょう。本当にきめ細かく子供たちと接していきたい、学力をつけるために教えてやりたい、そういう先生の熱意を受けて四十人学級を実現していく方策を求めてほしいし、先生のあり方についても正々堂々と意見交換をすべき、このように意見を申し上げるわけであります。
 今、日本社会において、三Kという職場は若者から嫌われております。それぞれの関連する企業は、イメージアップをするためにどのような努力をしなければならないか。賃金だけの問題ではない。特に、製造過程上、昼夜を分かたず三交代をしなければならない。こういう仕組みになった製造業の中にあっては、敬遠されがちな若者に対して、寮生活、職場環境を初め、何とか魅力あるものにしようという企業努力がされているわけであります。幼い子供たちのそういう体験学習を通じて、今、日本の社会の中で物をつくることの大事さが忘れられている、この社会現象に対して教師はもっと責任を持っていただきたいのであります。
 知事に御要望申し上げますが、知事は教育委員を任命する立場にございます。先ほど基本的な考え方を述べていただきました。確かに、行政の長である知事と教育委員会の立場は明確に区分をされていることは承知をいたしております。しかし、県民の多くが、父兄の多くが中退者問題に頭を悩まし、最近では中学生のシンナー吸引による、特に女子学生が体調の不調を訴えるという事例なども多くあります。この和歌山県下の私鉄を含めた各沿線の駅構内ですら、堂々と学生服を着てたばこを吸っている現状があるわけであります。とりわけ、女子学生がシンナーを吸引したことによって、将来、母体となったときに障害児を出産するという多くの事例もあるわけであります。二十一世紀を担う若者、子供たちを育てる知事のスローガン、使命からすれば、教育委員会の問題だということではなく、もっと教育委員会なり学校の現場、父兄の声に耳を傾けていただき、責任のある人づくりの施策をもっと進めていただきたい。私も協力をさせていただきたいと思います。御要望申し上げておきます。
 それから、昨日までの一般質問の中で交通体系のおくれ、とりわけ道路問題についてもいろいろ御答弁がされております。
 関空開港をにらんで申し上げたいのでありますが、過日開催されたスポレク大会、開会式は雨の中、紀三井寺競技場に本当にたくさんの方がお見えでございました。県庁職員も、雨の中、車の交通整理を初めとして随分御努力をされていました。雨の降りしきるスタンドの中で、他の出席をされた議員の皆さんと一緒にスポレク大会の開会式に臨みました。天候が非常に悪かったにもかかわらず、和歌山県として本当に成功したな、関係者の皆さんの御努力を心から喜びながら敬意を表したい、そういう気持ちもございました。
 スポレクが終わって、JR和歌山駅でそれぞれ競技に出席をされた方が帰るときにたまたま一緒に乗り合わせました。これは余談でありますが、私の隣の席には、有名な柔道の斎藤選手が座りました。随分体が大きくて、私は窮屈な座り方をしてあげないとということで、本当に大きな人だなあという感じを持ちました。その際、このスポレク祭に地域のボランティアで参加された方がどのぐらいあったのかな、駅にもっと見送りに来てあげてほしかったなと、こういう気持ちもいたしました。
 そういう中で、特に各会場に選手を送ることについて交通体系、道路が悪い、このことに一番気を使われたのではないか。紀三井寺交差点周辺、マリーナシティ建設に向かって、今考えられる道路計画の中で問題は何か。
 執行残として決算委員会等でいつも指摘をされる用地買収の問題について、担当者を初め皆さん努力をされています。おくれていることはみんな認めているんです。この議場において、それらに関する質問に答えられる知事の答弁の中に、なぜ声を大にして、「県民の皆さん、用地買収に協力してくれ」、こういう本当に真に迫った声を聞きたいのであります。和歌山は他府県に比べておくれております。しかし、二十一世紀に向かって、今、新しい和歌山をつくるために知事を中心に県民挙げて協力をする。県民の見る目、向かっていく方向を一つにしなければならない重要な時期だと思うから、あえて声を大にして議場から県民に訴える知事の答弁を用地問題に関しても聞きたかったわけであります。
 大変厳しい発言をいたしておりますが、仮谷知事を中心にして今こそ和歌山県が未来に向かって進んでいかなければならないから、私はあえて、先ほど「苦言」という表現をいたしました。その辺を御了察いただきたいと思います。
 今、学校問題を初めとする多くの地域社会の問題について、仮谷知事を信頼して県民こぞって和歌山県勢発展のために協力しよう、こういうムードづくりを県庁職員挙げてやっていただきますことを心から御期待を申し上げて、私の発言を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、順次、質問してまいりたいと思います。
 まず、女性問題についてお伺いをいたします。
 今や、働く女性労働者数は全労働者の三七・四%で、既に四割になろうとしています。そのうち、三分の二の六七・五%が有配偶者であります。特に、既婚者、中高年女性の増加が目立っているところです。とりわけ、最近の著しい特徴を述べておかなくてはなりません。それは、何といってもパートタイマーの急増であります。実にこの一年間に四十六万人と、かつてない増加を見せています。働く全女性労働者の四人に一人がパートタイマーで働いていることと、加えて派遣労働者数もふえ続けて、今やパートタイマーと派遣労働者を合わせた割合は三人に一人となり、今後さらに急増する傾向にあります。こうしたパート、派遣労働者は、低賃金と無権利状態にあり、トラブルも後を絶たないと言われています。
 〔議長退席、副議長着席〕
 最近、労働省は、労基法やパートタイマー労働指針を出して一定の条件整備、改善の指導を始めましたが、働く女性の切実な願いにこたえるにはほど遠いものです。
 牧野富夫日大教授が「一週間、日本のパート労働者がストライキをしたら日本の経済はストップする」と言われたことに十分納得することができます。今や、日本の経済そのものがパート労働者なくしては成り立たない状況になっていると言っても言い過ぎではないと思うのです。
 財界は、長年望んでいた女性の戦力化のために、労働基準法を二度にわたって改定いたしました。それは、女子労働者の時間外労働の制限、深夜業の禁止の撤廃であり、以来、職場では労働協約や就業規則を改悪して、働く女性の長時間労働に道を開く結果を招いてきました。同時に、大企業や生命保険、銀行などに見られるコース別管理制度の導入によって能力主義管理が一層強まっているところです。こうした巧妙な人事管理は、女性労働者がいやが上にも長時間、超過密労働に耐えねばならない仕組みがつくられてきました。これに耐えられない人は、続けて働きたくても退職するか、それとも意図的に仕組まれた不安定雇用形態であるパート、派遣労働者で働く以外に道は閉ざされていると言ってもいいでしょう。財界、企業、政府の利潤追求に走る政策そのものであると考えます。重ねて申し上げますれば、女性が正規労働者として働き続けることを困難にしている大きな原因にもなっています。
 ここで、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 私は、一年前の定例十二月議会の一般質問でパート労働者の賃金や労働条件についてお尋ねをし、そのとき商工労働部長は、「パート労働者への実態調査及び労働者三十人未満の事業所の実態調査につきましては、今後検討してまいりたい」、こう考えを示されました。この一年間どのような検討をされてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。また昨年七月、パート労働者の実態調査がされたようです。この実態調査についてもお聞かせ願いたいと思います。
 年々、働きたい、働き続けたいという女性や働く女性はふえておるわけですが、女性が働き続ける上では、とりわけ家事、育児、老親介護など避けて通れない関門がたくさんあります。
 私は、女性労働者が仕事と育児、家事が両立できて、安心して働き続けられる社会的環境づくりと条件整備が急がれなければならないと思うのです。働き続けるための必要条件は数多くありますが、今回は最も切実で緊急対策を講じなければいけない育児休業制度と看護休暇制度の問題に絞ってお尋ねいたします。
 昨年九月、労働省が行った「既婚女子労働者の生活実態調査」と、時期を同じくして行われた本県の「女性の生活と意識調査」報告書がございます。
 まず労働省の調査では、仕事を続ける必要条件に、育児に休める制度をつくってほしいと挙げた女性は四四・二%、看護のため休める制度をつくってほしいと挙げた女性は三六・二%と高い比率を示しているのです。本県の調査を拝見いたしましても、育児休業制度や保育施設の充実を求める年代は若いほど強く、二十代から四十代で管理職、専門職、事務職に四一%から四八%と高い比率です。そればかりか、常勤、パート、アルバイトという雇用形態に関係なく切実であることも示しています。一方、看護や介護休暇制度を見ますと、二十代の若い人よりも三十代からが三○%と高く、年齢が高くなるに従い要求も切実で深刻な状態であり、女性が働き続ける上での重要な条件であることを改めて痛感いたします。
 これまで働くお母さんたちは、職場で地域で「ポストの数ほど保育所を」と、粘り強い運動を続けてきました。今は、保育所の数はたくさんできました。公立保育所、私立保育所を合わせると県下で二百三十を超えるという大きな前進を見ることができ、働き続ける条件づくりに大きな役割を果たしてきています。そして、昨年度からは認可保育所を対象とした延長保育に補助金支給が県独自で実施されました。保育時間は一ないし二時間延長となったことから、働くお母さんたちには大変喜ばれていると聞いております。
 そこで、民生部長にお伺いいたします。
 今後、対象保育園の拡大と補助金増額はもちろんのこと、行政からいつも置き去りにされている無認可保育所に対しても同様の補助金対象に加えるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、要求の強い産休明け保育の状況は、和歌山市の場合、公立保育園二十七園中わずか二保育所であります。しかも、定員が二十四名という貧弱さ、延長保育はいまだに実施されず、民間保育所の積極的な取り組みにもかかわらず公立で一向に進んでおりませんが、当局はこの対応にどのように指導されておられるのか、お答えいただきたいと思います。
 看護休暇制度についてお尋ねをいたします。
 私は、以前、病院勤務をしていたとき、家族の入院によって何カ月も病院と会社の間を往復して子供の面倒を見続けてきた友人や患者さんの家族、長引く娘の病状に職場をやめて看病についている母親、寝たきり母親の看病のために三十九歳の若さでやむなく退職した友人を目の当たりに見てまいりました。多くの女性が、在宅福祉の充実と看護休暇制度の実現を切実に望んでいます。
 人事院の勤務時間問題研究会は、昨年十二月、人事院に対して看護休暇の導入確立を早急に検討すべきと答申を行っています。また労働省でも、介護休暇制度の普及を目的とした奨励金支給を行うなどの検討の動きが始まっているように報道されております。
 私は、現行の企業任せの奨励制度となっている育休制度や看護休暇を改め、代替要員の確保、現職復帰、本人の選択性、休業補償を基本とした男性をも含めた制度が国の責任として法制化されることがどうしても必要だと思うわけです。商工労働部長のお答えを聞きたいと思います。
 また、県下における育児休業及び看護休暇制度の実施状況とあわせて今後の具体的対応についてお聞かせ願いたいと思います。
 さらに、女性特有の諸問題を政策的に考え、解決していく上で専門課を設けるか、青少年婦人課の中に女性対策室を新設するなど、具体的にお考えになってはいかがかと存じます。御所見をお聞かせください。
 続いて、成人病対策と県民総合健診センター建設構想についてお尋ねをいたします。
 まず、本県における三大成人病の死亡率がここ数年間非常に高い水準にあることは、既に御承知のとおりであります。
 例えば、昭和五十九年から昭和六十三年までの五年間のがん死亡率の状況を見ますと、全国第一位から第四位内にあります。中でも和歌山県は、肺がんは毎年トップ、胃がんはワースト五位、乳・子宮がんもワーストテン内にあります。さらに、心臓病による死亡率は全国第一位、二位という悲しい水準にあると同時に、脳卒中による死亡率はやはりワーストテン内という高水準が続いているのであります。この高い水準にある原因はさまざまですが、医療機関までの交通問題、無医地区の解消、治療中断、検診体制の不備、健康への自信過剰、最近は過労死なども考えられるのではないでしょうか。どのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 これまでも成人病撲滅のため諸施策に努力をされているところですが、なお一層検診率を高めるため五億円余りに上る予算が計上され、特別な対策が進められているように聞き及んでいます。検診率の目標と達成状況を保健環境部長にお尋ねいたします。
 次に、和歌山県民総合健診センターに関してお伺いいたします。
 健診センターは、昭和六十年四月一日、財団法人として設立され、全国的にも設立は早い方であったと伺っております。さきに述べてまいりましたように、本県の三大成人病による死亡率は、残念ながら全国ワーストテンに入っており、健診センターの果たす役割はますます重要な位置になっております。しかし健診センターの実態は、率直に申しまして三大成人病の死亡率を低めるために貢献するものとなっていないのではないでしょうか。
 健診センターは、和歌山市を除く四十九市町村が寄附団体となり、他の関係団体とによって運営されております。理事長は仮谷知事であります。平成二年度の事業計画によりますと、受診率は横ばいの状態にあり、特に乳房検診が年々下降していることが指摘され、同時にこの状況を打破して検診率を向上させるため、関係団体の連携を図り、活動の積極的展開を強調しています。
 検診を年度別に見てみますと、昭和六十二年度は、胃、乳房、胸部合計で六万四千百五人、六十三年は六万八千八百九十四人、平成元年は七万三千九百二十二人となっており、うち乳房検診は、六十二年は一万三千八百二十四人、六十三年が一万三千七百二十二人、平成元年が一万三千三百四十二人と下降してきているのです。
 健診センターの体制について見ますと、まず建物は理容会館の二階と三階を借り受けたものであり、検診車十台は県衛生公害研究センター横に預けてあります。検診に行く場合、運転手は家から車庫へ行き、健診センターに戻って、そこで一緒に行く看護婦さんや保健婦さんを乗せて目的地へ行くという状態であります。遠隔地の検診の際は早朝五時ごろから出発しなければ目的地に着かないという、大変激務にあると聞いております。人員も、事務局で課長二人が病気などで退職したままであり、県からの出向は看護婦一人という状態と聞いております。このような状況で平成二年度の事業計画が本当に達成できるのか、どう考えていらっしゃるのでしょうか。私は、少なくとも県としてはセンターの体制を補充するなど、計画達成に向けて具体的対策を講ずることが緊急なことだと思うわけです。健診センター設立の目的と現状に立って、以上の課題について保健環境部長から御答弁をお願いいたします。
 続いて、平成二年度事業計画では「施設の建設のための将来構想を含めた準備調査が必要であり、関係機関等と十分協議検討を行う必要がある」とされていますが、この構想についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、市街地の歴史的、伝統的な建築物の保存問題について質問をいたします。
 私はこの問題を取り上げるに当たって、問題となっている和歌山市十一番丁の三和銀行を訪ねてまいりました。明治から大正にかけて日本各地で西洋式の建物が建築されておりますが、この三和銀行和歌山支店もその一つでございます。
 戦災に遭いながらも、その当時の優美な外観は県民とりわけ市民に大変親しまれてまいったのでありますが、最近この建物が店舗の新築に伴って取り壊されるということを聞き、大変残念に思っているところでございます。取り壊される理由は、三和銀行和歌山支店側の説明によると、戦災で外壁や内部が火災に遭っていることや建物の老朽化が進み、これまでにも外壁の一部が壊れ、危険であることなどを挙げられました。県都和歌山市の中心部でただ一つ残された歴史的価値の高い建物であることから、ぜひとも保存をしていただきたいと思うのであります。
 和歌山市は、この建物と隣接する京橋周辺をふるさと創生事業である京橋プロムナード整備事業として位置づけ、市民の憩いの空間にする計画が報道されています。この三和銀行の建物は、この空間とも十分マッチするものではないかと思うのです。
 このお話をお聞きした折、私は昨年、東北の秋田市を訪れたとき、友人に市内見学の一つとして市立赤れんが郷土館を案内してもらったことを思い出します。明治四十五年、旧秋田銀行本店として建築され、赤れんがを基調にした華麗さは、赤れんがや大理石、色タイル、総ケヤキなどの材料を利用して一層豪華さを特徴づけている二階建ての建物であり、外観はルネッサンス様式を取り入れているのであります。長い間、秋田市の名物として親しまれてきた秋田銀行は、同行創業百周年及び秋田市制施行九十周年を記念して寄贈されました。秋田市は、この寄贈された秋田銀行の旧本店を明治時代の代表的な洋風建築物として後世に伝えるため、改修工事の後、多くの人々に親しまれ利用される施設とし、現在、市立赤れんが郷土館として開館されています。
 三和銀行の保存への努力をどうしてもお願いしたいと思うのでありますが、その決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 三和銀行和歌山支店の保存についてでございます。
 お話ございましたように、この建物は大正五年に建築されたれんがづくりの二階建てで、昭和二十年に戦災を受けて内部が焼失し、その後、部分的修理が行われて現在に立ち至っているわけでございます。しかしながら、建物の老朽化が進み、これまでにも外壁の一部が壊れて危険な状態であるということを聞いております。
 この保存については、何と申しましても、所有者の意向が一番重要な問題でございます。所有者の意向を承るとともに、和歌山市もこれについて意見があるようでございますので、和歌山市とも話し合って対処してまいりたいと思っております。
 その他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○副議長(橋本 進君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 昨年実施いたしましたパートタイマー実態調査と前回の昭和六十二年の調査結果を比較いたしますと、労働条件を書面により明示している企業の割合が約四五%から約五七%へと増加しております。また、パートタイマー専用の就業規則を有する企業は、前回調査では二八%、今回調査では約三五%と、労働条件の明確化の面で改善されてきております。社会保険への加入の促進、退職金制度の普及等については、今後より一層積極的に努力してまいりたいと考えております。
 なお、従来から三年に一回実態調査をいたしておりますので次回は平成四年度となりますが、三十人未満の事業所についての調査も含めて実施したいと考えております。
 次に、県下の育児休業制度の実施状況でございます。
 和歌山婦人少年室が昭和六十三年度に実施した千二百事業所を対象としたアンケート調査結果では、制度導入事業所が一一・三%となっております。育児休業制度は、働く女性にとっては将来にわたる職業生活設計、乳幼児期の十分なスキンシップによる児童の健全育成等の利点がございます。
 介護休業についても、今後の高齢化社会の進展に伴って介護を必要とする高齢者が急増することが予測され、女性が働きやすい環境を確保する上で、今後、介護休業制度の普及推進を図ってまいることが重要だと考えておるところでございます。県といたしましても、和歌山婦人少年室等と連携をとりながら、さらにその普及に努めてまいりたいと考えます。
 なお、国においては、育児休業法案の制定に向け作業が進められておりますが、総合的な育児・介護制度を確立されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(橋本 進君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) まず、保育所問題についてお答えいたします。
 働く女性の就労形態の多様化等に対する保育ニーズにこたえるため、平成元年度より延長保育を推進しているところでございます。しかし、現時点では認可保育所で対応できますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、公立保育所での延長保育についてでございます。
 十時間以内で対応しているところでございます。また、産休明け保育については一部の保育所で実施していますが、今後とも関係市町村に延長保育も含めて地域の実情に合った保育をするよう指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、女性問題の専門課の問題でございます。
 昨日も御答弁をいたしましたように、庁内外の啓発、連絡調整、総括等ますます重要になってきてございますので、今後、女性のセクションを強める方法について十分検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 成人病対策と県民総合健診センター建設構想についてお答えを申し上げます。
 まず、三大成人病の死亡率の高水準の原因と検診率の目標と達成状況についてでございます。
 成人病の死亡率の高い原因については、本県が全国的に見て高齢者の人口比率が高いことや食生活を初めとする生活習慣の問題、さらには疾病の早期発見、早期治療につながる各種検診の受診率が低いことなどが考えられます。このため県といたしましては、食生活改善のためのグリーン&ホワイト運動の推進や自分の健康は自分で守るという住民意識の高揚に努めているところでございます。
 次に、検診率の目標と達成状況についてであります。
 昭和五十八年から検診が実施され、その検診率は年々向上してきてはおりますけれども、平成元年度における目標値である基本検診三二・五%、胃がん検診二一・三%、子宮がん検診二四%、乳がん検診一四・九%、肺がん検診二二・五%に対し、実績はそれぞれ一六・一%、一三・三%、一六・一%、九・五%、二二・三%となってございまして、目標値に達していないのが現状であります。
 県といたしましては、今後とも引き続き、医師会や関係団体との協力関係を確保するなど検診体制の充実強化に努めるとともに、健康に対する県民意識の高揚を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、財団法人和歌山県民総合健診センターの位置づけ、設立目的と現状、今後の構想についてでございます。
 昭和五十八年に老人保健法が施行され、老人保健事業の実施は市町村の責務として位置づけられましたが、市町村においては医療関係者のマンパワーが不足しており、これを支援するため、県、市町村、関係団体等により昭和六十年四月に財団法人和歌山県民総合健診センターが設置されました。
 現在、和歌山市秋葉町に事務所を設け、検診車十台と職員二十七名で老人保健法に基づく検診事業等に積極的に対応しているところであります。しかしながら、健診センターの運営については、議員御指摘のとおり、施設の狭隘さやマンパワーの不足等の問題があることも事実であり、当面、欠員の補充について配慮してまいりたいと考えてございます。
 今後の検診体制の強化方策については、平成二年度に県検診中核施設基本構想策定のための調査費を計上し、本年九月に検診中核施設検討委員会を設け、医師会等関係団体との協力体制の確保、県立医科大学との連携方策等を含め、鋭意検討を重ねていただいているところであります。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、私、保存の問題で質問をいたしましたが、中途半端に終わりました。
 三和銀行の保存については、努力をしていただくという返事をいただいたわけですけれども、和歌山市議会に対して、この三和銀行の建物保存と活用について和歌山県洋風建築研究会、近代建築研究会、明治建築研究会の方々から要望が出されているようですし、市当局の方も保存に向けて要望していきたいと言っていらっしゃいます。都市景観上も大変重要な建築物だと思いますので、市と県がぜひとも三和銀行の方へ積極的に要望していただきたいと思います。
 昨日、三和銀行にお伺いいたしましたところ、ここで営業するのは非常に危険だから、とりあえず隣の駐車場のところに仮設をつくっているところだということでした。しかし、この建物を取り壊すのか残すのかということは本店の方でも要望があった段階で、まだ決定されていないとおっしゃっていましたので、そういった点も含めてぜひ保存を強くお願いしていただきたいと思います。
 それから、パート労働者の問題です。
 今、和歌山県においても、また全国的に見ても、パート労働者なしでは営業が行われないというような実態であると思うのです。しかし、これはつくられたパート労働者でありますから、常用労働者を職場の中に根づかせていくということが大切です。商工労働部長、男女雇用機会均等法の立場に立って差別をなくしていくためにも、積極的にパート労働者をなくしていっていただきたい。女性が働き続けられる条件づくりがまず初めに来なければならないと思うのです。そういった点で、ぜひ県下の事業者に対しても要請をしていただきたいし、労働省へもそういった形での申請をしていただきたいと思います。
 それから、育児休業制度は今始まっていますが、看護休暇は、婦人労働者や労働組合が本当に苦労しながら経営側と交渉し、与えられたものではなくてかち取ってきた内容になっているわけです。労働省は法制化をなかなかやろうとはしない。労働省としては、一定の奨励金を出してお勧め商品として普及活動をしている。まさしくこれは、国の責任を放棄している以外にないと思うんです。そういった点でも、労働省に対して物申していただきたいと思います。
 今、お母さんたちが働き続けていけない条件づくりとしてやられてきている労働基準法の改悪、これが最大の原因になっているわけですから、この問題をしかと見詰めていただきたい。そして、婦人が子育てをしながら自分の職域で生き生きと働いていても、せっかく身につけた職場で中心的な役割を果たしていけるような条件になったときにやめていかなければならないようなシステムは改めていただきたいと思います。介護休暇にしても同じことだと思うんです。ここは私だけが女性ですから、皆さん方にはわかりにくい女性の感情もあるかもわかりません。しかし、女性が働き続けることは並み大抵でないということはもう十分おわかりいただいていると思うんです。
 かつて私は、昭和四十五年に結婚した当時に、主人の職場では、奥さんを働かせることは恥ずかしい出来事だ、男の価値がない、こういうふうに言われたそうです。しかし、女性が何としてでも自分の職業を全うしていく、これはお互いが認め合う中で働き続けられるわけですし、それを社会的環境の中で体制としてつくり上げていくための一つの施策として育児休業制度、看護休暇制度、介護休暇制度があるわけです。これはどうしても今つくり上げていかなければならないと、私は声を大きくして皆さんに訴え続けたいと思うのです。
 看護休暇の問題でも、病院の中ではどうでしょうか。全国的にも、看護婦が足りないと言って長年嘆いてきています。看護婦さんが不足しているために、家の人が仕事を休みながら看護しなければならないんです。看護婦不足を補足するためにいろんな政策がやられていますけれども、まだまだ不十分です。それから、在宅福祉制度が不十分な状況の中で保健所がこれから大きな役割を果たすのではないでしょうか。訪問看護事業、在宅介護、ホームヘルパーの充足、こういったことが社会的につくられていかない限り女性が働き続けていくことが困難なことはもう目に見えています。
 女性が本当に安心して働けるということは、男性もそれだけ一生懸命働ける、ともに働く喜びを味わえるということですから、そういった点でも、女性が働き続けられなければ男性の労働現場も改悪になっていくということを皆さんも感じていただきたいと思います。この点で、奨励制度ではなくて法制化のために、知事も含めて真剣に取り組んでいただきたいことを要請しておきます。
 それから、健診センターの問題です。
 今、鋭意検討中であると言われました。欠員補充についてはされるということでした。
 きのう私は、車が保管してあるところを見てまいりました。何ともわびしいなという気持ちを持ったわけですけれども、健診センターそのものが県民の目の前に何の姿もないということが明らかになりました。
 私は、二年ほど前から委員会などでも積極的に意見を述べさせていただいているわけですけれども、健診センターそのものが間借りの事務所であるということも不思議でなりませんし、労働者が違った場所に車を一々とりに行って二重、三重の時間を費やすといったことも最初から不自然にお感じにならなかったこと自体が不思議でなりません。
 全国の地方行財政調査資料、また各都道府県には、がんセンター、成人病センター、健診センター等、いろいろ名前がありますが、資料を取りそろえていただきました。また、厚生常任委員会で私も鹿児島県を見てきました。
 この調査表を見てみると、鹿児島は財団法人鹿児島県民総合保健センターという名称になっていて、五十九年十一月九日に設立され、六十一年四月一日に開設をされています。ここに参考事項として、「昭和五十九年十一月九日に和歌山県と同理由で設立された」と書いてあるんです。ところが、鹿児島県の状況を見てみますと、これはすばらしいできなんです。国立病院の跡地で広い場所があったという条件もあったでしょうけれども、一般基礎検診等、そこへ行けばすべてしてもらえるようなシステムができていますし、同じ敷地内の裏側に十五台の検診車が見事に並んでいました。私たちおくれたところから見て、実にすばらしいと思ったんです。
 和歌山県と鹿児島県と同じ趣旨で設立されたということから見れば、どうしてこんなに和歌山がおくれたんだろうと思うんです。労働者の数も確かに違いますが、本当に県民の健康について本格的に取り組んできた鹿児島県と、早くつくったということだけを自負するような今の和歌山県のシステム、これを新しいものにつくりかえていかなければ成人病の撲滅には何の役にも立たないような気がします。
 そういった点からも、マンパワーの不足についてはぜひ計画的に養成を始めていただきたいと思うわけです。
 今、胃がん検診については、和歌山市の成人病センターの写真を見る先生方の大きな手助けを借りて進められているようですけれども、開業医の先生方は自分の夜の診察を終わってから、週二回ほど夜の十一時、十二時までかかって写真の結果を出していらっしゃるようです。こういった点からも、そういった努力をしていらっしゃる多くの方々の行為に報いるようなすばらしい健診センターをつくっていただきたいと思います。
 もう一つは、保健所の問題です。
 保健所における保健婦や検査員の数等、それにふさわしい人員体制をとっていただきたいと思います。
 たくさん申し上げましたけれども、お答えになれる部分はないと思いますので。逐次また質問をしてまいりたいし、質問したことについては必ず次回の議会でもう一回繰り返し点検をすることにいたしますので、努力のほどをお願いいたします。
 終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十六分休憩
 ─────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 本日提出のあった議案第百二十七号から議案第百三十号までは職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
 ───────────────────
  和人委第320号
  平成2年12月14日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成2年12月14日付け和議会第282号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第127号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第128号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第129号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第130号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
 ───────────────────
○副議長(橋本 進君) 以上、報告いたします。
○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 南紀白浜空港の問題、第二点は台風十九号と殿山ダム──関西電力の中間報告、三つ目は枯木灘県立自然公園と日置川町、すさみ町のリゾート計画、四点目は熊野高校と生活科の問題、五点目は観光宣伝の一方法、五つにわたって質問をいたします。
 去る十二月六日付による「紀伊民報」「紀州新報」の一面トップ記事は、「新南紀空港難航の用地買収 強制収用も検討 東政務次官が懸念表明」とあり、その内容は「『地権者の立場を尊重し、誠意を尽くすべきだが』としながらも『県当局では土地収用法の検討を進めていると思う。公共目的のためには最終的に伝家の宝刀を抜く覚悟がある』と述べた」とし、さらに「県の平成三年度政府予算要望が十一月三十日都内のホテルで行われ、仮谷知事、担当部長等から県選出国会議員等に重点要望事項の説明と要望があった。中でも、白浜空港ジェット化の進捗状況について説明をと求められたことに対し、仮谷知事は、予定より思った以上におくれており一層促進の努力を必要とする、用地交渉に難航している、一般廃棄物の最終処理場、ごみ焼却場、火葬場の移転問題の白浜町の三点セットと花卉団地移転問題、そして大きな地権者や住宅地部分の人たちとの話し合いがついていないなどが大きな原因となっている、これに対し県としては、町の三点セットの解決の見通しを年内につけるよう指示するとともに、大きな地権者に対しては土地収用対策の手続も年内に進めていこうと思っていると答えた」と掲載されたが、日ごろ白浜町当局や特に空港建設の直接の担当者である町企画部長並びに町職員の昼夜を分かたぬ努力をしている姿、現場や県空港事務所の必死の努力ぶりを知っている私には、土地収用法の適用という見出しのつけられた勇ましい言葉に驚きの目をみはったのであります。
 そこで私は、次の質問をいたします。
 一、現状は土地収用法の適用をしなければならないような状況にあるのかどうか、また空港建設反対のための組織や運動が白浜町並びにその周辺のどこかにあるのかどうかということを聞いておきたいのであります。
 二、田辺市の四名の方々が知事の言う大きな地権者として空港予定地に土地を所有しているが、これらの方々の中には公的には商工会や空港促進に熱意を持った方々もおられる。そういった地権者との話し合いが田辺市長や副知事の努力で前進しているとも聞いているが現状はどうなのか、この際、明らかにされたいのであります。
 三、白浜町は今、片田前町長の時代に未処理のままになっているいわゆる三点セットの問題について、該当地区予定住民との話し合いや住民ともども先進地の視察を行うなど懸命の努力を払い、また空港中心部の鴨居地区、才野地区住民との空港建設への要望や条件整備の話し合いが明るくも前進しつつある中で、土地収用法などという爆弾的思考は、現地住民を励ますといった方向ではなく、勝手にしたらいいやないかといった投げやり的な、また非協力的な立場に追いやらなければ幸いであるが、その真意を問うものであります。
 四、国、県の補助対象に係る空港建設の予算以外に空港関連に必要な道路や用地造成工事等々、白浜町単独予算は概算五十億を要するが、それらの点について建設部との入念な協議の上、少なくとも空港関連地域振興費──仮称でありますけれども──の予算化を図り、県の積極策を講じられるよう要望し、答弁を求めるものであります。
 二つ目、台風十九号と殿山ダム──関西電力の中間報告に移ります。
 さきの九月県議会で大江県議ともども取り上げさせてもらった、台風十九号に係る日置川町議会と町当局による県並びに関西電力への申し入れについての関西電力の回答、正確には中間報告は、要約して次のとおりであります。
 第一点。「大雨、洪水、暴風雨警報並びにそれぞれの注意報の発令や、または洪水発生のおそれがあると認められるときは、調整池貯水位を現状より可能な限り引き下げられたい」。これに対する回答は、「県当局と協議中であり、その結論をまって回答したい」。
 第二点。「ダムゲートの放流に際して、開扉の通知は避難等に十分ゆとりのある時間帯前とすること」。その回答は、「慎重に検討しなくてはならない。このため、通知ルートを町と県の二ルートにし、町当局への通知を最優先にと考えている」。
 第三点。「放流の際の一般に周知させるための措置は、サイレン等のほか、警報車の場合、四門以上の放流において危害が予測され、事実上運行は困難となる。抜本的な万全の措置を別途講じられたい」。その回答は、「現在、設置している放流警報装置の信頼度を向上させるべく発信装置の二重化を行いたいと考える」。
 第四点。「異常が予測される時点での洪水はけゲートの開扉に当たっては、河川管理者に報告し、指示に従うよう改められたい」。この回答は、「回答することができません」。
 第五点。「非常時には社員を日置川町役場に出向を義務づけられたい」。それに対する回答は、「町当局と関西電力との間に情報を直接に伝達する設備を設けたい」。
 第六点の質問は、要約して次のとおりであります。あの十九号の台風時に、四門、五門、六門と短時間に矢継ぎ早に開いて放水する際に、町長は必死になって、その六門を開けるのをやめよと言った。町当局と関電の間でそういうやりとりがあった。そうすると、ダム天端を越流させると危険だから、越流しないうちに流さないとだめだと関西電力側が言ったので、五十九年の回答ではダム天端を越流しても危険ではないと言っていることと、どちらが正しいのかと迫った要求であります。これについては、「県に対し、ダムの安全性について説明中」という回答であります。
 以上が、日置川町当局、町議会に対する関西電力の中間報告なる回答であります。
 関西電力と県当局は、十月四日、第一回会議を西牟婁県事務所で行い、以来、誠意をもって取り組んでいるところであるが、それにしても、この回答には何か欠落しているものがあると私には思えてならないのであります。この六つに対する回答は、中間報告でありますからやむを得ない点もありますけれども、私が点をつければ百点中三十三点であります。これだったら、何とか三分の一が回答らしいな。大学の試験は、三十三点では落第であります。就職試験は、三十三点では落第であります。したがって、この中間報告は落第ということになります。一般的に言って、この種の問題の解明と解決に当たって、一つ、科学性が貫かれていること、二つ、早くそのことを処置しているかどうかという迅速性、そして三つ目には、現場主義が貫徹されなければならないと私は思うからであります。
 台風発生以来はや三カ月、もうことしも終わろうとしている。それぞれの機関は多忙とはいえ、また中間報告とはいえ、到底、被災地を包む日置川町民に公開するに値するものではないと思うのであります。この回答は、机の上での科学性というか狭い枠内での解明だし、また非常におくれている。迅速性に欠ける。三つ目には、台風全体の中での現場の実態調査を避けた立場に立っているからであります。
 さきの九月県議会で時間切れのため言い尽くせなかった台風時の一例を挙げます。台風時の翌日、被災地の田野井地区住民から呼ばれた関西電力のK氏は、この秋とれた新米一千袋のもみ四百五十袋、金額で約四百三十万が水浸しで全然だめになっている状況や新米百三十二・五俵も同様、全部だめになって捨てなければならなかった状況──ダムから流れた水は農家へ来て米を水浸しにしたが、この米は腐って絶対食べられないのであります、そういう状況や農機具も使用不能となっている状態を見て、上司にこの措置について相談いたしますと答えざるを得なかったが、そういった措置は放置されたままであります。また、警報無線の故障や停電、真っ暗やみの暴風雨の中、約八百名が緊急避難をした状況等について、関西電力は住民集会に出席して現地の声を具体的に聞くべきであります。ダム操作は規則内で行った、だから関西電力には責任がないと言うのなら、県河川、日置川の管理者である和歌山県知事に全面的に責任があるとでも言うのだろうか。他の河川では、この種の例は余り見られない。それは、以前からも繰り返し述べているとおり、関電の殿山ダム放水との関連以外の何物でもありません。単に机上での数字のみに追われる説明では被災地の住民を説得し得るものではない。いずれにしても、現地住民の中に入ってひざを交えて納得のいく説明をすべきであります。
 以上の質問に立って、ことしあったことはことしじゅうに一定のめどをつけるべしとして、県の毅然たる指導性と答弁を求めるものであります。
 三つ目、枯木灘県立自然公園と日置川町、すさみ町リゾート計画について質問をいたします。
 熊野枯木灘県立自然公園を抱えるすさみ町と日置川町は、西牟婁郡選出の四名の県議との協議の上で、去る十一月二十六日、知事に対し、ゴルフ場など開発が禁止されているとする同公園内の第三種特別地域の規制緩和の陳情を行ったところであります。
 御承知のように、西牟婁郡内は一部の町を除いて過疎化の波はとどまることなく、今申し上げたすさみ町の人口は六千三百九人、日置川町は五千四百九十四人で、ともにピーク時の半分になっております。すさみ町で今ゴルフ場計画を進めようとしている里野地区は、明治以来、どこの町や村においても地域社会の核であった村の小学校──里野小学校は以前、廃校を余儀なくされ、また昭和三十五年、今から約三十年前、百二名の児童生徒を誇った村の見老津小学校は今十四名の生徒を数えるにすぎないのであります。また一方、日置川町のおらが村の市江小学校は、かつて七十二名の生徒数だったときもあったが、既に廃校となって久しい。また、その校舎を利用して町は町立保育所も試みたが、三名に満たない状況で閉鎖のやむなきに至っているのであります。
 今、申し上げた里野地区、見老津地区、市江地区は、熊野枯木灘県立自然公園の中に点在し、やせ地に立つ冬の木々はわびしくも風に葉を鳴らし、荒磯に繰り返し波しぶきが上がる。老人たちは、遠い少年少女の日を思い、そのころを懐かしみ、時々、新聞に出てくるはやりの「活性化」などという文字を見る。そして、盆や正月に帰ってくる息子や孫たちに都会の生活の様子などを聞き、またおいでよ、元気でなあと言葉を交わし、またの日を楽しみに待つという。時々、山道に犬が歩いたと思われるような様子が認められ、また磯釣りに行く人が歩くだけで、およそ広く県民のための利用を目的とした自然公園などとは到底言い得るものではない。わびしい寒村、山道にすぎないのであります。また、その周辺に住む人々は、ここは自然公園ですよ、特別地域ですよと、胸を張って語ることはない。
 こういった背景もあって、私はさきの六月県議会において、ゴルフ場誘致、建設について、住民合意の貫徹、農薬の厳しい規制、防災問題等も含め、県の対応についてただしたが、特にその際に言及した自然公園とのかかわりについて焦点を当て、その質疑応答の一部を再現し、以下、論を進めてまいります。
 浜本、「県は、平成三年度に向け、半島地域の振興、リゾート開発の推進を引き続き政府に対して要望を重ねているところであるが、これらの全体の流れ、さらには燦黒潮リゾート形成の位置づけの中での県立自然公園、また一方、高まるナショナルトラスト運動の中での天神崎の位置づけ等々、『保護』と『開発』という極めて現代的な課題を県政全体として背負った時点において既成の条例の枠の中だけで事に当たっていいのだろうか。保護すべきもの、より一層保護を強めるもの、保護の緩和を求めるもの、またより一層規制すべき地域の拡大または縮小等々についてどう考えているのか。今、それらの見直しについても検討すべきときに来ていると思うが、御所見を伺うものであります」とただしたのに対し、商工労働部長は、「自然公園につきましては、指定後、相当の年数を経過しており、指定当時と比較して自然の状況等にも変化が生じているところもあると考えてございます。(中略)県立自然公園についても、今年度から再点検のための調査を実施することとしており、自然環境の状況等を十分に把握した上で保護及び利用計画について点検を行ってまいりたいと考えております。 また、自然公園区域内でのゴルフ場開発につきましては、昭和五十年に『自然公園法に基づく許可に関する審査指針』が施行されまして、国立・国定公園の特別地域にあっては許可が認められないものとされ、県立自然公園においてもこれを準用して現在に至っておりますが、今後、燦黒潮リゾート構想との関連もありますので、地域振興と自然環境との調和に配慮しつつ対処していく」と一歩踏み出した答弁を行ったが、そういった答弁も踏まえて、この問題に各部局連携のもとにどのような会議の積み上げを行ってきたのか、私はこれは余り行われていないなあという感触を持っておりますが、そうでないということであれば、まずそのことを開陳されたいのであります。
 〔副議長退席、議長着席〕
 二つ目、去る十一月七日の朝日新聞の社会面に掲載された記事によれば、その見出しは「自然公園にゴルフ場を 和歌山県すさみ町と日置川町 県に規制緩和要望について」とあるが、環境庁保護管理課は「国立、国定公園の特別地域の場合、ゴルフ場は自然を大きく変えてしまう上、ゴルファーだけが使うため広く国民のための利用を目的とした国立公園制度とは相入れず、認めてない」とする談話、私もこの談話については原則的に是認すべきという立場をとるものであるが、しかし、国立公園に準拠した取り扱いのもとにある県立自然公園が、先ほど述べた里野地区や見老津地区あるいは市江地区のそれらにそのまま当てはめていいのだろうかと思うのであります。これらの地区のそれは、広く県民のための利用を目的とした自然公園なのだろうか。ノーであります。その状況は、前段で述べた理由を根拠とするがゆえであります。この指摘に誤りがあるならば、ぜひ具体的にそうでないという解明をされたいのであります。県立自然公園指定区域の見直しと規制の緩和についての柔軟な答弁を求めるものであります。
 四つ目、熊野高校と生活科の問題に入りたいと思います。
 昨日、町田議員から県立熊野高校の林業土木科と土木科の設置についてのお話がございました。私は、より小さな立場で、県立熊野高校の生活科の問題について質問をいたしたいと思います。
 県立熊野高校に生活科が誕生して既に二十三年になるが、最近、この生活科が廃止されるのではないかという風評が聞かれます。学級減と言えば、生活科がその対象にされるのではないかという不安が伝わってまいります。生活学科創設とその目標は、将来、農村における中心的役割を果たす婦人の養成を目指しています。そのために、農家の主婦としての必要な農家及び家庭生活に関する知識と技術を学び、明るい農村を築く原動力となる婦人の養成を目指しているとし、その学習内容は、一般科目のほか、家庭に関する科目と農業に関する科目が設けられ、家庭に関する科目は、被服、手芸、食物・保育、家庭一般被服製作、農業に関する科目は、野菜、草花果樹、食品製造、農家経営、農業基礎、総合実習、情報処理となっております。詳細な学習内容は割愛し、日ごろ見聞きした二、三の例を述べ、教育委員会と農林水産部長の答弁を求めます。
 生徒たちは、今の進路指導の状況から見てよくおわかりだと思いますが、一般的に農家出身者は少ないし、その体験のない生徒も多く、親たちの中には、最初、自分の娘が生活科に入ったことを人前で話すことが言いにくかったということも時々聞かれます。教師たちは、郡内の過疎化の進行の中で、農業への唯一の理解者を育てる、卒業後、地元に残り農村婦人の中心になってほしいと願い続け、その地道な教育実践を続ける。生徒たちは、入学当時とは打って変わって三年間生き生きと学習を続け、苗をつくり、水をやり、種まきを覚え、一つ一つの野菜をつくり、毎日、野菜や花の成長を楽しむ。体を動かすことを嫌う最近の風潮の中で体を動かし、熊野高校の園芸科の生徒が育てた鉢植えの花、ベゴニア、サルビア、マリーゴールド、また手づくりのマーマレードやタマネギなどを紀南ふるさと開発センター主催の月一回の弁慶市に出し、田辺商業高校の生徒との販売活動と連動して、学習の成果に若い胸を張る。完販できたときは一同、思わず「万歳」と叫んだと、生徒たちはその実習活動を発表する。学級減というと一番先にやり玉に上げられるのではないかという心配の中にあっても、生活に根差した実習教育の中で生徒たちは成長し、手を抜いたら枯れるんだという命の大切さを体で体験し、卒業時には学んでよかったと誇りを持ち、その父や母はこぞって学園祭に参加する。初めは人前で生活科への入学を語るのにちゅうちょした父母たちも、今は誇りを持って三カ年の子供の成長を喜び、生徒たちは三カ年の生活科の体験ありがとう、先生ありがとうの言葉を交わし、ことしも立派にここを巣立っていく。
 昭和四十一年に生活学科が設けられてから二十三年、この二十三年の教育の歴史、たゆみなき教師たちの教育実践、父母の期待と信頼は県立熊野高校の伝統として培われ、継承されていく。もしも、この生活科が切り捨てられるという方向が打ち出されるとするならば、それは極めて非現実的な教育方針であり、みずから創設した学科と教育内容への挑戦であり冒涜にほかならない。そして何よりも、彼女たちの青春に背を向けてはならないということを指摘し、答弁を求めます。
 最後に、観光宣伝の一方法。またかと言われることを恐れながら質問をいたします。
 六十二年六月県議会で、私は観光宣伝の一方法として、県内の景勝地をカラオケビデオディスクに組み入れたらどうかと要望的質問を行ったが、当時の商工労働部長は、要約して次のように答弁したところであります。すなわち、「歌を歌う人、あるいはそれを見詰める人、すべて潜在的な観光客であると存じます。旅情を誘うビデオディスクは、お話のとおり、さりげない宣伝媒体の一方策であると思いますので、その制作過程などを調査して、勉強してまいりたいと存じます」、それから一年後の六十三年六月県議会で、私はその促進方を求めたところ、商工労働部長は「現時点でまだ十分な進捗を見ていないことは遺憾なことだと思っているところでございます」──何か人ごとみたい──「引き続き、機会をとらえ、関連企業に本県の景勝地を対象としたロケーションを働きかけてございますが、歌の内容、経費の問題等もございまして、急速な進展をしていない状況でございます。(中略)今後とも機会をとらえ努力してまいりたい」、との答弁であった。あれからもう三年有半、光陰矢のごとしと言いますが、答弁は置き去りにされたまま、現職、新人乱立し、花の四月の選挙に向かって我々は突っ走る。質問の性格上、次の話に移りたい。
 花博は、和歌山県の日──殊のほか暑かったことしの夏、七月二十六日、たそがれの会場に二千有余名の観客にまじって、私は歌手・坂本冬美の歌に心から拍手を送る。花博は和歌山県の日、坂本冬美は歌う。「能登はいらんかいね」と。「風は潮風 シベリア返し 汽車は昔の各駅停車 能登はいらんかいねー ふるさと能登はヨー いさざ土産に嫁さんつれりゃ おひろめ椿の花が舞う」。聞くところによれば、能登はその前後から弾みをつけて全国に浮上し、人々は能登、輪島に旅を続けるという。事実であります。
 私は、観光宣伝の一方法として、三年前こんなささやかな提案を、しかも議場での失笑を誘うことも承知の上で行ったが、やがて来るであろう十二月三十一日、人々は紅白歌合戦に和歌山県出身の歌手・坂本冬美を見るでありましょう。
 以上、散発的に語った質問の中から何を言うておるかということも洞察の上、過去の答弁も踏まえて、感想と方策を伺う次第であります。
 終わります。どうもありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 白浜の土地収用についてでございます。
 白浜の空港用地の取得状況については、昨日も土木部長から町田議員に答弁申し上げたのでございますすけれども、既に地権者の方々の御理解と協力をいただいて解決したところもある一方、未解決の地権者もあるわけでございます。そうした方々に対して、現在、県の職員はもちろんのこと、市、町の職員等も精力的に話し合いを進めていただいておる現状でございます。
 けさほど、和田正人議員からも公共事業を推進するについての土地対策、地価対策について、特に知事の決起を促す言葉をいただいたのでございますけれども、用地交渉というのは非常に難しい要素がいろいろあるわけでございます。だから私は、この土地を買うについては、できるだけ話し合いを進める、そしてまたいろいろな知恵を出し合うことが一番大事なことではないかと思います。当人同士だけではなしに、地域の皆さんの御協力も得ながらやっていくことが大事だ。しかし、話し合いなど努力しても解決できない場合、土地収用による解決も私は一つの方法であると考えておるわけでございます。
 国も現在、土地政策を国政の基本方針として取り上げ、土地基本法を制定いたしました。また、我々の公共事業を推進する上で最近の地価高騰が一番問題になっておるわけでございますけれども、そうした点において税制面、金融面からの対策を検討しつつある段階でございます。最近、地価の高騰がとまったのではないかという感じがするということ、非常にありがたいことだと思っております。
 また現実問題として、話ございましたように、田辺市長も地元の皆さんの説得、話し合いを、また白浜町長も、片田町長からかわりましたけれども精力的に取り組んでいただいておるということ、本当に心から感謝申し上げる次第でございます。また県としても、そうした皆さんと一緒になって全力投球をしていかなければならないと思います。
 せっかくの機会でございますので、この白浜空港について、地元の皆さん、関係者の皆さんがぜひ白浜空港をやってくれということを言うてきた当時を思い出していただいて、なお一層、積極的に御協力をお願い申し上げる次第でございます。現場の所長も過労のために倒れておりました。だから、陣容を一新いたしまして、私たちもなお一層積極的に取り組む覚悟でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 南紀白浜空港建設に係る用地買収の現況についてでございます。
 南紀新空港建設事業は、昭和六十三年度に事業化されて以来、用地買収を中心に取り組んできているところであります。地権者としては、白浜町在住の方々、田辺市ほか県内在住の方々、県外在住の方々があり、それぞれの事情に応じて用地交渉に当たってきているところであります。その中で、空港そのものに反対するとの立場の方はおられませんが、用地買収条件等で話し合いが難航し、予定よりおくれている現状にあります。
 今の時期が重要な時期であると認識いたし、地元市町ともども一層精力的に用地交渉に取り組んでおり、田辺市在住の地権者の方々については田辺市長みずから地権者に直接交渉に当たるなど、話し合いを深めてきている状況にあります。
 また、白浜町事業である公共施設の移転計画、花卉団地計画等についても、白浜町長以下、積極的に取り組まれ、関係者、地元との話し合いが進みつつある現状にあります。それらの動きと並行して、白浜町在住の方々との用地交渉も進めつつある現状であります。
 今後も、地元市町との連携を密にし、解決に向け、全力を挙げて地権者との交渉を行ってまいりたいと思っております。
 次に、空港関連地域振興についてでございます。
 南紀新空港の整備が直接の地元地区の活性化につながるべきものと考え、また期待するところであります。新空港の整備等に関連して必要とされる事業等について、先般、白浜町より要望がありましたが、今後、白浜町と十分話し合いをし、県として対応すべきものについては取り組んでいくこととしたいと考えております。
 次に、台風十九号と関西電力の中間報告についてでございます。
 台風十九号に伴う殿山ダムの状況について、県は河川管理者として関西電力に対し細部にわたる説明を求め、殿山ダムの今後の洪水時における対応について強く指導し、協議を重ねているところであります。ダムの洪水時対応及び下流の河川、道路等に関する対策について検討を行うことを目的として、県関係各課、地元町村及び関西電力の四者による日置川水害対策検討協議会を設置し、協議を進めております。
 このたびの事態への対応については、議員御指摘のとおり、現地の実態に即した科学的な解析に基づくことが必要であり、十分な調査検討が不可欠であると考えております。ダムの洪水時対応に関しては、速やかに検討、協議を行い、次期出水時には実効ある対応ができるよう努力してまいります。
 また、地元住民の方々と関西電力との話し合いについては、日置川町と十分協議し、できるだけ早い時期に実現させたいと考えております。県といたしましては、こうした観点に立って、引き続き関西電力に対し強い指導を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、ゴルフ場開発の問題でございます。
 昭和五十年に、国立、国定公園の特別地域内では認められないとの国の方針が示されました。県立自然公園の特別地域においてもこれを準用し、ゴルフ場の開発は認めてきていないところでございます。
 しかしながら県としては、自然環境との調和を図りながら、リゾート構想を推進し地域振興も図らなければならないとの観点から、県独自の対応も必要であるということで関係部とも協議を重ね、現在、総合保養地域整備法に基づき国に承認を申請中の燦黒潮リゾート構想の中に位置づけられているゴルフ場計画で、県立自然公園に含まれている場合については一定の基準を設け、審査の対象としていくことを検討しているところでございます。
 次に、県立自然公園の見直しについては、去る六月議会において御答弁申し上げたとおり、指定後相当の年月を経過しており、指定当時と比較して、周辺地域の宅地化の進行等により公園区域内の状況も変化しているところもあるわけでございます。そうした中で、今年度は市街地化の進んでいる橋本市を中心とするかつらぎ高野山系県立自然公園の自然環境の状況等を把握するための事前調査を実施し、必要に応じて見直し案を作成することにしてございます。
 なお、御質問のゴルフ場開発に係る県立自然公園区域の見直しや規制の緩和については、先ほど申し上げましたとおり、燦黒潮リゾート構想に位置づけられているものについてのみ県独自の対応を検討しているものでございます。
 次に、観光宣伝でございます。
 これは、あらゆる媒体を活用し、機会あるごとに繰り返し宣伝活動を続けていくことが効果的であることは申すまでもございません。観光宣伝の方法といたしましては、議員御提案のカラオケビデオディスクの画像を初め、テレビ、ラジオの旅番組やドラマ、映画等の本県でのロケの採用等がございますが、全国の潜在的な観光客に対して本県をさりげなくアピールするには非常に効果的であろうと考えでございます。
 本県でロケをしたカラオケビデオディスクは、把握しておりますだけでも二十曲余りございますし、近年でも数曲制作されてございます。また、最近の事例では岡本喜八監督による映画「大誘拐」が和歌山市と龍神村でロケされ、明年一月に全国一斉公開される運びとなってございます。
 議員御提案の趣旨も踏まえ、今後ともあらゆる手段、媒体、機会を活用し、本県の観光宣伝に努めてまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 県立熊野高校と生活科に関する御質問でございます。
 お話のありました農家、農村における中心的な役割を果たしている婦人の育成は大変重要でございます。県において、ことし三月に農山漁村婦人の意向調査をいたしましたところ、農業就業者のうち約六○%が女性であり、農業生産や農業振興に、また家事、育児、高齢者介護等、健全な農家生活の維持、発展に大変大きな役割を担っているところでございます。
 学校教育の中で農業、農村を理解し、またそれに対応し得る基礎的知識や技術を習得することは、今日的課題となっている農業後継者の育成を図る観点からも望ましいものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 学科の改編等については、昨日、町田議員にもお答え申し上げたとおりでございますが、県教育委員会といたしましては、長期計画を検討する中で、地域、学校の実態を踏まえて社会の変化にこたえるとともに、生徒の特性を伸ばすという観点から、学校の活性化や特色ある学校づくりの一環として進めているところでございます。
 御承知のように、中学卒業予定者数が減少する傾向にある現在、そうした中で学科編制に当たっては、学校の適正規模、普通科と職業科の割合等を十分精査して検討してまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 順不同になりますけれども、再質問をいたします。
 地元住民、特に田野井地区でございますけれども、関西電力との話し合いをできるだけ早い時期に実施したいという答弁がございました。大変うれしく思っております。
 実は十月七日に──ことしは何回も台風が来て白浜上陸が四回もあったんですが──町田、大江、堀本、浜本の四名が田野井地区の八十名ばかりの住民の皆さんと話し合いをいたしました。そうして、いろいろ話を聞いていますと、何か私らが責任あって台風の被害を与えたような、加害者であるような、そんなことは住民は言うてございませんけれども、そういう気持ちにまで私はなったのであります。全然そうではないですけれども、住民の皆さんのお話を聞いているとそういう感じがいたしました。その中で、一遍、関西電力の人を連れてきてよ、こういうお話がございました。だれが一番先に、「はい、約束します。連れてきます」と言うたか──多分、私が言うたと思いますけれども、その人たちと私たちとの約束であります。
 そして、この中間報告を見ていると、何か部屋で数学の勉強をしているみたいな感じで、ひとつも外へ出てこん。こういうことであっていいのだろうかということで先ほど質問させてもらいましたが、必ずそうするという約束をいただきましたことを私は大変うれしく思います。その住民とのひざ詰めの対話の中で私どもが盾になって、そうじゃないと背を向けなければならない場面もあろうかと思いますけれども、そういうことは当たり前のことでありますが、そういう上に立って対話の一日も早からんことを特に希望しておきます。
 観光宣伝の問題についてでございます。
 答弁を聞いておりますと、二十余りも曲があっていろんなことをしたと言うておりますけれども、失礼ですが、私の質問に対してすかっと答えていない。何かそんな気がしてならん。いっぱいしたんだと言いますけれども、伝わってこんなあ。
 日本観光協会主催による平成二年度の全国観光ポスターのコンクールでは、和歌山県は全国第一位で運輸大臣金賞をいただきました。「一気に和歌山」というポスターであります。知事は知っていると思いますけれども、皆さんは余り知らないんじゃないでしょうかね。芸術性が高い。これも、大変御苦労なことであります。それはそれで大いに評価するんですけれども、しかしそれは観光宣伝という立場で見たらどうかいなあという気が私はするわけです。余り知られていない。金賞で運輸大臣賞というと、かなりのものですね、全国一ですから。しかし、余り知られてない。知られてないということは、選挙でも名前が余り知られなんだら落選する。知られていないというところに観光宣伝のあり方としての欠陥がどこかにあるような気がする。
 宣伝をする価値は、一つは時流に乗ることですね。浜本収では時流に乗れない。土井たか子では時流に乗れる。時流に乗ること。それから、大量であること。繰り返し──「マメマメマーメ」って毎日やっているでしょう。「引越は引越のサカイ」って宣伝されている。大量であるということと繰り返し行われるということ。そして一番大事なことは、希少価値を持つこと。まさに、坂本冬美は希少価値である。あの人しかないんですから。あの人にかわる人はない。坂本冬美以外に坂本冬美はないのであります。希少価値を持っている。そして、わかりやすいということ。能登の歌なんというのは、歌としてはださい歌ですね、那須君に言わせたら。「おひろめ椿の花が舞う」、「冷やで五合 ぬくめて五合 しめて一升酒ありゃ楽し」、こんな歌なんですね。能登のわびしいような感覚の歌なんですね。それが何と、能登へ行くんですよ、皆さん。それは毎日、繰り返し──ゆうべも歌っておりましたね。毎日そういうことが行われているから、その歌に魅せられて、ちょっといいですね、あの娘さんがいいですねということになっていく。いつまでも続くものではないですよ、そういうことは。
 だから今の時点で──十年後、こんなやつつくったんやと言ったって、そのときはもう間に合うてないんや。それを私が申し上げておる。
 和歌山県と一番深いかかわりを持っている坂本冬美──ようせなんだら、私、してみましょうか。お金くれたら、ちゃんとしますよ、その観光宣伝ぐらいだったら。歌をつくってもらいますよ。猪俣公章先生にお願いしますよ。県が金ないと言うんだったら、白浜の観光協会、勝浦の観光協会、和歌浦の観光協会、そしてまた県も出してもらう。そういう形の中で早くばしっと決められんかということを申し上げているのであって、知事がさっきから何か笑いかかっているから、もしこのことについて感想があればぜひ述べていただきたい。
 時間が迫ってまいりました。教育委員会の答弁、あの答弁は聞かなくてもわかっております。いつもそういう答弁をすることが嫌であります、私は。そんな答弁は聞かなくてもわかっております。一般論をぱあっと言うているだけであります。
 人の答弁のことについて、くちばしを入れるべきではありませんけれども、小林先生の四十人学級、大変いい質問でした。それに対する答弁、こう言うやろうなとわかっております。町田先生の質問に対する答弁、聞かなくてもわかる答弁。わかるんですね。ああいう答弁しかしない。
 ところが皆さん、不思議なことがある。十七日から文教委員会です。そこで質問します。林業科──私が聞いているのは生活科を減らすなよということです。それに答えないんですね、いつも。それについては、全県のいろんなことがあって、中期とか長期とかそんなことを言う。言われなくても知っている。みんな知っている。十七日からの文教委員会、そこで答えが出てこないんですね。そういう答弁になる。ところが、議会終わってみんな帰った。二十日が済んだら、みんな帰る。二十三日ごろ発表する、これはどういうことか。帰ったら発表するんや。そして聞いたら、何ぞかんぞと一般論を言う。二十三日ごろになったら発表する。こういうことを今まで繰り返しておる、そういうことがいいんだろうか。
 我々は言うだけ、片一方は決めたやつを答えるだけ。そして、帰ったら発表。何よ那須さん、田辺商業減らされて、おまえさんかい性ないなと、こうやられる。わし頑張ったが、浜本ら頑張れなんだんやと、そのぐらい言わなかったらその場を逃げられない。こういう状態。それでもその方法がいいというのなら、その理論を教えていただきたい。こういうことが絶対正しいんだという理論をここで開陳されたい。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答えいたします。
 観光宣伝の一方法として坂本冬美をやったらどうかというお話でございます。
 和歌山県は流行歌手が割合に少ないわけでございまして、坂本冬美がデビューいたしました当時から、私も会社も訪問いたしまして、できるだけ伸びていただくように支援させていただき、またお会いしたときには和歌山の歌を歌ってくださいよとお願いしてまいったわけでございます。坂本冬美があのように成長していただいたということ、非常にうれしいし、大きな希望を持っておるわけでございます。
 この前に発表いたしました「新和歌山ブルース」、そしてまた「和歌山のおばあちゃん」、これについては何とか坂本冬美にやっていただけないかという形で進めたわけでございますけれども、諸般の事情がございましてそれがいかなかったわけでございます。
 提言の問題につきましては、やはり作詞者、作曲者の意向もございます。経費面でクリアしなければならない問題もありますけれども、今後十分検討させていただきたいと思っております。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 再質問についてお答えを申し上げます。
 学級数の問題、そしてまた学級編制の問題については、私ども現在のところ、県下的な視野の中で総合的にどうするか、例えば各地域における中学卒業生の状況等を把握し、それがどのように各学校別にあるべきであるかを検討しておるわけであります。決して議会が終了してから私どもがそういった結果を申し上げるというつもりは毛頭ございませんで、それなりのいろんな状態を把握しながらしてございますので、その点ひとつ御了解をいただきたいと思います。
 なお、昨日も申しましたように、ことしは昨年に比べて約千四百人の減少ということでございますので、やはり何らかの学級減ということは当然私どももしていかなければならないという課題がございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番藁科義清君。
 〔藁科義清君、登壇〕(拍手)
○藁科義清君 先日来、各議員から活発な意見が述べられましたので、重複を避け、二、三の点について簡潔にお尋ねをいたします。
 まず第一は、広域農道の南伸についてであります。
 先日、知事より、中紀の今後のために広域農道の南伸を考えたい、そのために調査も考えているということをお聞きして、私はさきに切目川ダムの折にも申し上げたが、知事が常に県土の均衡ある発展のため配慮していることに深く感心をいたした次第であります。
 この広域農道については、県において昭和四十五年、四十六年度に日高町から上富田町までを一地区としての広域農道を考えてはみたが、農林水産省の指導もあって、日高町から印南町までを日高地区、また田辺市から上富田町までを南紀地区として四十九年に採択、現在に至っております。いずれ、日高地区の進捗状況を見て、南部川四百二十四号までの南伸を申請するということであったが、知事は今これを実施し、中紀、南紀と県土縦断の農業を初め産業全般の振興の基盤整備を考えていただいておるのだということを心強く思い、その大きな考えの実現を関係地域住民とともに期待するものであります。しかし、これとても、直ちにというより十分の調査も必要かと思いますが、調査に続き、実現への知事の決意をお聞きいたしたいと思います。
 その二は、意欲ある農家を育てる農政の推進についてであります。このことについては、最近、見聞きしたこと、感じていることなどから質問させていただきます。
 ことしは四回も台風が来た。観測史上初めてのことだという。被害を受けた方々には心からお見舞いを申し上げたい。
 私は、台風のあった十一月三十日の午前、圃場整備をした印南町の産地を見に行った。この場所は、山を削り、谷を埋め、二十三億をかけた約六十ヘクタールの大きな圃場である。一区画四十アールもあるという立派な畑地で、知事も前に和歌山から新宮までヘリコプターで飛んだ際、大きく目に映ったという畑地帯総合整備事業で整備したあの印南の産地であります。農家の方々、特に若い方々は、この日、台風の風を予期して、ひもなどで囲っておった。午後三時三十分ごろ、いよいよ強い風となったので、私は心配をして再度その畑へ行った。そして、その強い風と雨の中、豆を見て回った。強い雨風の中、キヌサヤエンドウが細い巻きひげでネットにしっかりとしがみつき、生きるために耐えているのを見て深く感動したのである。
 今この産地の皆さんは、こうしたエンドウを台風から守りたい、エンドウにきれいな実をたくさんつけさせたい、さらに花などを入れ、せっかく整備した畑を充実させたいと考え、施設の導入など経営改善に努力している、県営のこの農地開発も、ただ畑をつくったというだけではなく、若い方々が次から次へと意欲を持ってやっている姿、これが一番大事なところだ、後継者対策も実際に若い方々の取り組みに呼応してこそ心配はないものと言えるのではないかと感じた次第であります。
 また去る十一月二十七日、南部川村でフレッシュ「梅の里」フェスティバル''90の最終を飾り、「ビジョン二十一世紀の南部川村を創造する」というテーマでシンポジウムが開かれた。農業青年を初め行政や議会、婦人団体の代表者など七名の皆さんが肩書抜きで、二十一世紀の南部川村を展望していろんな問題について意見交換をし、十年、二十年、三十年たってもこの梅の里は生き残ることができるか、梅の村は生き残れるようにしなければならないだろう、急傾斜の畑はそのときにはないかもしらんなど、会場を埋め尽くす村民の皆さんともども村の将来を考えたのであります。
 印南の畑総の事例もしかり、「梅の里」フェスティバルもしかり、いずれも地域の皆さんが村の将来、二十一世紀の農業のあり方についてみずからが考え、みずからが行動を起こし、みずからの畑や村を充実させようと努力している。私は、こうした皆さんの声を聞き、その活動を支援し、二十一世紀に向けての村づくりを推進することこそがまことに大切なことであると思います。農政を重点と考えておる知事の御所見を承りたいと思います。
 次は、道路問題についてであります。
 中津村というところは、旧船着村と川中村の合併で生まれた村であります。この中での道路は、御坊美山線、姉子御坊線、たかの金屋線の三線が主要道路となっておりますが、うち御坊美山線の改修は進んでおります。川中地区内の姉子御坊線の改修は余り進んでおりません。このため、沿線の川中地区住民はそれを常に要望しているのであります。この姉子御坊線の改修についてどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
 また、たかの金屋線の印南町川又から田尻間の改修についてでありますが、これが促進については議会でも請願が採択され、また建設委員会も去る九月、現地視察を行われております。その際、当局の説明では、どのように改修するかただいま調査をいたしておりますとのことであった。調査の結果を速やかに具体化されるよう強く望むものであります。
 以上で私の予定の質問は終わりますが、南紀白浜空港について、先ほど来、浜本議員の質問あるいは知事の答弁が土地収用法についてございました。
 私は、この問題について当初申し込みをしたのでありますが、最終日ということでもあり、やめましたが、答弁をそれぞれお聞きしながら思うこともありますので、答弁は求めません、意見のみ申し上げておきます。
 それは、土地収用法の適用のことについてであります。
 適用しなければならないというのであれば、この場所をあきらめて他の場所に変える方がよい。その理由は、この土地は最も空港適地だということにはなっていないからであります。昭和五十七、五十八の両年、三千万もかけての専門家による調査の結果では、南部西、芳養湾が適地とされたのであります。また、この白浜に決定する審議会では、審議の経過が発表されておりませんので理由はわかりませんけれども、知事に対する答申は、「南紀新空港の適地は『現空港附近』とするのがおおむね妥当である。但し、以下の点について十分留意されたい。 1) 用地の取得、物件補償については、地元の積極的な協力を前提条件とすること。 2) 航空機騒音については、地元の理解と協力を前提条件とすること」、3)、4)、5)とあって、「6) 1)、2)の前提条件が整わない場合には『南部西』等の候補地について更に検討すること」となっているのであります。
 だから、無理をして土地収用法をかけてやらなければならんというものでもない、こう思うのです。
 以上、申し上げて私の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの藁科義清君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藁科議員にお答え申し上げます。
 日高の広域農道の南伸についてでございます。
 日高地域は、梅、エンドウなどの主産地でございまして、県下でも最も優良な農業地帯だと思っております。お話ございました広域の南伸については、農業だけではなしに地域全般の振興を図る上でも必要なものと考えておるわけでございまして、現在、行っている事業の進行状態を勘案しながら、今後も調査検討を行ってまいりたいと思っております。
 次に、意欲ある農家を育てる農政の推進についてでございます。
 お話ございましたように、村づくりの基本は何といっても地元の皆さんがみずから考え、行動することでございます。こうした自主的な地域活動は南部川村、印南町を初め県内各地で取り組まれており、特に果樹、野菜、花卉等の産地づくりが行われている現況でございます。
 県としても、意欲ある農家に焦点を当て、諸施策の展開を図っているところでもございます。今後とも、後継者対策や生産基盤、生活環境の整備に努め、二十一世紀を開く村づくりを積極的に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 道路問題についてでございます。
 県道姉子御坊線及び県道たかの金屋線は、中津村川中の方々の生活を支える道路として御利用いただいております。現在、整備方針としては、役場、学校への通行や生活圏の中心地とも言うべき御坊市方面への通行に利便性の高いたかの金屋線の佐井─高津尾間の整備に重点を置くとともに、姉子御坊線についても交通の隘路区間等の解消を行っているところであります。姉子御坊線の整備に関しては、今後とも村当局と密接な連携を取り合いながら、緊急度の高い区間から順次整備を行ってまいります。
 また、たかの金屋線の川又─田尻間については、十一月末に現地踏査を行い、現在、五千分の一の地図での概略設計でルートの検討を行っております。今後、早期に土地利用の状況、関連道路の整備状況、交通状況等の経済調査を行い、事業の緊急度、整備方針を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、藁科義清君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(岸本光造君) 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百二十号平成元年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ─────────────────
○議長(岸本光造君) 次に日程第四、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(岸本光造君) 次に、お諮りいたします。明十五日は議事の都合により、また十二月十七日及び十八日は各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 御異議なしと認めます。よって、十二月十五日、並びに十二月十七日及び十二月十八日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(岸本光造君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
 ───────────────────
 総務委員会 第二委員会室 
 厚生委員会 第三委員会室 
 経済警察委員会 第四委員会室 
 農林水産委員会 第五委員会室 
 建設委員会 第六委員会室 
 文教委員会 第一委員会室 
 ───────────────────
○議長(岸本光造君) 次会は、十二月十九日再開いたします。
○議長(岸本光造君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時二十二分散会

このページの先頭へ