平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(井出益弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 それでは、私も二期目の県会議員の締めくくりとして質問を行いたいと思います。
 以前は、県当局として一生懸命やってくれたと思うんですけれども、なかなか具体的に煮詰まらない答弁があったかと思います。今回は、ぜひ納得のいく、また県民にもよくわかる答弁をいただきたいと思います。そこで、まず質問する側としてもよくわかるように質問をさせていただきます。知事さんは、質問が不十分なところは質問者の意向をよくわかってくれて補足答弁をしていただけるときもありましたので、今回もひとつよろしくお願いします。
 では、通告順に従って質問させていただきます。
 一番目に、道路、交通網整備についてであります。新南海橋の早期完成と紀の川の右岸、左岸を結ぶ交通アクセスの整備について。
 最初に、交通問題についての質問をいたします。
 和歌山県の広域幹線道路については、関西国際空港立地のインパクトを受け、高速自動車道路は御坊市までの建設計画が進められており、さらに南部までの整備計画に必要な調査が進められております。また京奈和自動車道についても、橋本道路の事業化に続いて高野口より和歌山市間も基本計画区間に組み入れられる等、広域幹線道路については飛躍的な進展が見られているところであります。これは、ひとえに仮谷知事を初め関係各位の方々の大変な御努力によるものであると、深く感謝しているところであります。
 一方、私がこれから質問申し上げることは、地域交通問題として和歌山市内の交通問題であります。その中でも、特に市内北部の紀の川右岸と左岸を結ぶ交通対策の問題であります。
 紀の川右岸については、御承知のとおり紀伊、直川、六十谷、楠見、平井等々の既存市街地とその周辺部では急速に宅地化が進んでいるばかりでなく、鳴滝団地、有功団地等の新しい開発により、人口増加が急速に進んでいるところであります。このような状況の中にあって、紀の川右岸の道路は堤防道路と県道粉河加太線のみであります。さらに、これらの道路は昔からほとんど改善されていない狭い道路であります。これらの道路は、東から西へ流れる通過交通に北部開発団地から出てくる交通が合流し、交差点では各所で交通停滞を起こしております。その混雑の度合いは、ますます増加の一途をたどっておるところであります。また紀の川左岸に渡りましても、宇治交差点、地蔵ノ辻交差点、田井ノ瀬橋交差点、田中町交差点、どの橋を渡っても市内の中心部に入るためには大変な交通停滞区間を通らなければなりません。
 十月には、我が県を襲った台風十九号により南海橋が陥没し、通行どめとなりました。このことは、日常化している交通停滞に一層の拍車をかけ、紀の川右岸に住む住民は大変な危機感を覚えたものであります。しかし南海橋の修復については、当初五カ月と発表されていましたが、その後、関係者の御努力によりこの年末の二十四日には開通できるとのことで、県市当局の大変な御努力に深く感謝しているところであります。
 だが、南海橋が修復されても交通停滞が解消されるわけではありません。紀の川右岸の各地と市内中心部はほんの数キロメートルの近い距離にありますが、この間を通勤する人たちは交通停滞のために一時間近くもの時間を要しております。私もその一人であります。そのため、早朝出勤をしたり帰宅時間をおくらせるなど、通勤時間の調整を余儀なくされている人が多くいます。このように通勤時間にロスが多くなることは勤労者の日常生活に虚脱感を与えるものであり、仮谷知事が進めようとされている「潤いと活力のある県土づくり」の政策スローガンにはほど遠いのが現状であります。
 そこで土木部長にお伺いしたいのでありますが、土木部長は交通問題の専門家として全国の交通状況にも造詣が深いと存じますけれども、このような和歌山市北部の交通混雑をどのように感じておられるのか、その感想をお伺いしたいのであります。
 紀の川の左右岸を結ぶ交通対策として新南海橋と紀州大橋が計画され事業化されておりますが、この二本の橋のみで市内北部、東部の交通停滞が解決できるものではありません。これらの橋に連結する西脇山口線、市駅小倉線の整備を急速に進めることが大変重要であります。また、極度に混雑を起こしている道路に対しては、交差点の改良、道路の部分拡幅等、局部的改良を早急に行うなどの緊急対策も重要な課題であります。建設省で行われた紀三井寺交差の部分的改良は交通緩和に相当な効果を上げております。土木部においてもこれから平成三年度の予算編成に取り組まれることと存じますが、このような都市部の交通混雑に対する緊急対策にどう取り組まれるのか、土木部長の御所見をお尋ねいたします。
 次に、第二阪和国道の新南海橋建設についてであります。
 私は、今まで新南海橋からの着工について何度か質問を重ねてまいりましたが、あえてもう一度重ねて御質問をしたいと存じます。
 今、紀の川では国道二十四号線のバイパスとして紀州大橋の建設が進められていますが、厳密に申し上げますと既に橋の建設は完成しております。しかし、取りつけ道路の用地買収が難航し、道路の開通ができない状態のままであることは県民の注目の的となっていますが、第二阪和国道において新南海橋から着工することは紀州大橋の二の舞にならないかとの行政当局の心配はよくわかります。しかし、紀州大橋の工事についても、工事に着手してから既に五、六年経過していると思います。新南海橋が、取りつけ道路の用地買収を先行してから橋の建設に着手するとなれば、完成はどれほど先になるか予想もつかないことになるのではないかと心配をしているものであります。第二阪和国道のように市内の交通対策上極めて重要な事業をするについては、橋から先に着工し、その建設期間中に取りつけ道路の用地買収を完了させるというように、事業推進には明確な目標設定を課して事業に取り組むことが非常に重要なことではないかと思うのであります。
 そこで土木部長にお伺いしますが、新南海橋の工事はどのような時期に着手すべきとお考えなのか、また楠見─元寺町間の第二阪和国道部分は通常ではどのくらい期間があれば完成できるとお考えなのか。
 公共事業の完成時期を明確にしないことは、用地買収で協力してくださったとうとい方々に不安を与え、協力しなくても収用法の強制執行等の法律は和歌山にはないに等しく、ごね得の例をつくることになります。新南海橋の完成時期はいつか、市民、県民みんなが知りたがっています。この機会に明確にしていただきたい。新南海橋は、県民そして県都和歌山市民が最も切望している重点項目の一つです。県民に、県当局の努力、誠意の伝わる御所見、御答弁をお願いいたします。
 二番目に、港湾機能の拡大についてであります。
 リゾート県として、レジャー施設への対応について。
 和歌山市周辺には、何百隻という船外機、モーターボート、ヨットなどがあります。レジャー用の船であり、今までは紀の川や県管理の河川、漁港内やその周辺に適当に停泊、放置されてきたものが多くあります。しかし、レジャー用の船でも、リゾート県を目指している和歌山県としては河川や港湾、海岸の環境整備とともにレジャーボートに対しても対応施設、エリアを考え、取り組んでいかなければならないと提言するものであります。当局の見解と対応について答弁をお願いします。
 三番目に、環境整備対策と現状について。
 農業用水路の公共性と維持管理、改善についてであります。
 私たちの和歌山県は公共下水、都市下水については、残念ながら全く対応がおくれており、ほとんどの地域では、下水、排水は農業用水路に放流しているのが現状であります。その用水路に放流許可をもらえなければ宅地でも家が建てられない現状で、そのため放流許可の際、和歌山市ではほとんど水利組合単位にこの関係の許可基準が策定されているようでありますが、基準取り決めが策定できていない地域では、多額の納付金を水利関係に支払うことを強いられることがあったりして、許可をする、しないの判断が水利組合ではできない、あるいは関係者ではできないこともあって、トラブルが多く発生しております。しかし、農業用水路の整備が農業者以外の市街化されてきた住宅街に住む一般宅地の県民にも、災害面や環境整備面で一日も早く改善、整備が求められているところであります。
 さて今回は、一級河川大門川上流の宮井川用水路の改善についてお伺いいたします。
 私は以前から、和歌山市東部の開発が進むとともに、日々改善工事が難しくなるから、家が建ち並び、建物が密集し切らないうちに排水整備対策をしてほしいと、何回も議場で申し上げてきました。けれども農林部長は、土木部長や和歌山市水利関係団体と相談しないと難しいと答え、また土木部長は農林部長や関係者と相談しないとと答え、いずれも行き着くところは、圃場整備事業を実施してその終末の排水を紀の川に捨てれば冠水災害もなくなり地域も整備できると、全くの理想の目標を掲げ、総論賛成、各論反対で地域が混乱しているのをここ数年多く体験してきました。私は、大雨のたびに農作物が冠水し大変な被害を受けている気の毒な姿を幾度も見てきて、その間にも無秩序に建物は建っているし、和歌山の行政の現状はこんなものかなあと考え込む今日であります。この宮井川の浸水対策、改修計画についてお聞きするとともに、今後このようなものについての対策は、連絡協議会等を設置して関係者が一堂に会し、早期に具体的に取り組む必要があると考えます。当局の答弁を求めます。
 四番目に、学校教育についてであります。
 高校教育の実態と改善について。これは、私学も含めてであります。
 私には三人の娘がいます。長女が大学二年生、次女が高校二年生、三女が小学四年生であります。長女は、公立の中学校から私学の高校に進学しました。次女は、公立の高校に進学しました。今、全国的に危険な感じがするほどの私学ブームが起こっております。なぜブームが起こるのか。私自身、二人の子供を公立と私立に通わせてみてその理由が実感としてわかります。
 中学進学のときから、私立に入学させたいとの相談もよく聞きます。ある月刊誌にも、私立中学に入れると入学時に百万、その後、年に五十万、つまり三年間に最低でも二百万はかかる、その分、公立ではただになるのだから、これは大変な出費だ、それでも私立に入学させようと必死になる、そのわけは、まず第一に内申書の問題がある、今の公立中学校では教師が内申書を武器にして生徒を監視している、生徒は教師ににらまれないように要領よく生きることを覚える、目立つことを恐れ、個性を自分から殺すようになると記載されていました。これは、子供の成長にとって決してよいことではないと思います。
 次に、学力の問題があります。私立では、一貫教育というものを進めています。簡単に言うと、中・高六年分の学習内容を五年で学習して、あとの一年は大学受験に備えるというものです。六年のものを五年で学習するというと、いわゆる詰め込み教育ではないかという批判をする人もいますが、実情を知らない人の的外れの論議であると思います。公立中学校では、高校受験を控えているから、かえって断片的な知識を詰め込むことになりがちであります。私立では、例えば理科なら実験に力を入れ、少し深く教える。すると、高校に入ってから同じ実験をもう一度する必要がない。その他の科目でも、ビデオやパソコン等を多く用いたりして、聞くばかりでなく見せて、実り多いものにしています。六年が五年に短縮されるのは、そういう積み重ねなのであります。公立ではそういうことができない。中卒で社会に出る生徒に過剰な負担を強いないように、これは教えてはいけないという範囲が指定されているからであります。では、どうすればいいのか。これは難しい問題ですが、私はこう考えます。
 まず、公立中学校の教員を五○%ぐらい増員する。私立中学の場合は、入試によって粒のそろった生徒が入ってくるから、一学級五十人でも支障は起こらない。公立の場合には、生徒の能力にも差があるし、学習意欲にもかなりの開きがあるのが実情であります。そのような多様な生徒に対応するためには、きめの細かい指導が必要です。内申書についても、私学と公立とでは先生の書く内容、表現がかなり違っていると思います。内申書の意義、必要性、あり方を、今、根本的に考えてみる時期に来ているのではないでしょうか。学校が楽しくなるような工夫をしていただきたい。何よりも重要なことは、学校では子供が主役であり、子供には各種のサービスを受ける権利があるということを教育の現場にいる人は深く認識してほしいのであります。教育に熱心なすばらしい先生もおられますが、お上が民衆に教育を施すという発想では学校はよくならないのであります。学校というのは一種のサービス業であり、生徒はお客様なのだ、公立校はただだが、親は税金を払っているのだということが、これも先ほどの月刊誌に記載されておりました。
 ところで、東京都立芸術高校について一例を挙げてみますと、ここは音楽と美術のクラスがあり、子供たちは伸び伸びと楽しい高校生活を送っている。これは公立ですが、制服はない。実技を中心とした学習だから、子供たちは一般の受験勉強からは解放されている。子供の個性と自主性を尊重すれば、公立でも大変楽しい学校ができているのだ。子供の目が輝いているか、生徒が楽しそうにしているかということを教育の原点と考えて、今の教育のあり方をもう一度考え直す必要があるのではないだろうかと思います。
 ここで、和歌山県の現実についての論議に入り、大変なことになってきていることを謙虚に認識していただくとともに、対策、取り組みの必要性をいかに感じているか質問いたします。
 現実問題として、公立高校生徒の大学受験の対策については、私は責任逃れ論議で終わらせないように具体的に取り組んでほしいと、昭和六十三年七月七日に高校の大学受験合格状況について、和歌山市の公立高校の合格率低下について指摘する一般質問をし、改善、対処を要望いたしました。恵まれて私学高校に進めた生徒は幸せだが、公立高校の生徒にも大学進学のことを真剣に考えて具体的に対処する必要があることを再度提言いたします。公立高校の生徒は大学受験塾に行かなければ受験は失敗するとの大変な事実がありますが、県の認識はどの程度か、お尋ねします。
 十月から十二月に大学推薦入学試験を受験しますが、公立高校ではまだ習っていないようなことが出題されています。けれども私学では、高校二年で中、高校教育六年分を五年で終わっており、三年では受験対策授業をしているので、大変な学力差があります。また就職コースの生徒も、入社試験、公務員初級試験受験対策等も含め、勉強しているのが実態であります。
 和歌山県の公立高校についても、いま一度中学教育も含めて見直しを考え、高校生については進路により大学進学者にも就職者にも今の日本の試験制度を無視できない事実があり、公立高校生も現実対応を考え取り組む必要があると思います。高校三年になれば、進学希望者には受験対策を、就職希望者にはワープロ、簿記、英会話、職業コース的な対策等をやらなければ、和歌山の公立高校だけが、大学受験の合格率が年々低下の一途をたどっている現実であります。また、学級数減少をさせないでほしいと、教育各界団体よりの陳情が私のところにも来ていますが、この機会に和歌山県の教育現場を大きく現実対応型に改善してはと提言するものであります。
 それから、小学校、中学校の教員について、女性の先生が大変多く、またその割合から見ても管理職や管理職補佐のポストは男性がほとんどを占めており、PTAや教育関係者の間ではどうしてだろうとの疑問とともに、このように女性教員が多い中、管理職にも適任の優秀な人材がかなりあるようですので、もっと積極的に登用してはと御提言し、今後の対応をお聞きします。
 また、和歌山市の高校学区制を実施以来どのような取り組みをしてきたのか、県立高校の大学進学、とりわけ大学受験対応など他府県におくれないように今後どうするのか、当局関係者の答弁を求めます。
 五番目に、公共用地の空き地の実態と有効活用について。
 和歌山県は公共事業が進まない県として有名と、全く情けない話をよく聞かされます。もちろん県民性にも問題があると、よく話に出ます。しかし、公共事業時の関係者の話の中で、代替地を求めている人に未解決者が多いことも聞きます。行政はこれに対する対応策を考え、実行していかなければ事業は進みません。
 公共用地またはこれに準じた公共法人的な団体、会社が所有している土地で遊休地がかなり多くあります。このことで、私もいろいろなデータを勉強する機会がありました。NTTの所有土地、空き地の実態、県所有地、市所有地、国所有地の空き地の実態等について、今後、土地の所有状況を調査、情報交換していただき、関係先にも協力していただけそうな感触を持ちました。これは、私が勉強する際にNTTとか市とか国のところへも行かせてもらったんですけれども、公共事業で代替地の問題が出ておって行き詰まっておると、それで、あなたの土地については和歌山県が協力要請に来たら乗っていただけますかと、あそこだったら立ち退きの方は協力して代替地としてOKするというような例があって行ったわけです。そうすると、関係先では随分と協力していただけそうな感触を持ったわけです。
 そこで、ぜひ代替用地確保対策の有力な施策に、公共用地所有者間での交換、売買、あっせんについても関係先と接触していただく努力を県に一役買っていただきたい。これは、知事さんから御答弁をお願いします。
 これで、一回目の質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 私から、公共用地の空き地の実態と有効活用について説明させていただきます。
 井出議員から話ございましたけれども、和歌山県も大型プロジェクトを柱にし、用地について積極的に公共事業を推進しているところでございます。しかし御指摘のとおり、道路、河川、港湾等の公共事業を推進する立場において、関連する事業用地の確保ということが最大の問題点でもございます。
 特に最近では、関係の地権者から代替地の要求が相当出ている現況でございます。しかしながら、国においても地価対策ということが一番重要な問題でございまして、最近では、税制面からも保有税、譲渡税の課税問題が論議されておる段階でございます。また、税金だけではなしに金融面からも土地対策が取り上げられておるわけでございますけれども、やはり代替地の要求が出ている現況でございます。そうした現状を踏まえて、県としても公共事業を推進するために、開発公社の活用によって土地を取得して代替地を用意する、また土地基金制度を活用させていただいて行う等について、今検討をいたしておるわけでございます。
 議員が御指摘された点を踏まえて、用地の確保に今後ともなお一層積極的に推進してまいりたいと考えております。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 新南海橋の早期完成と紀の川の右岸、左岸を結ぶ交通アクセスの整備についてでございます。
 近畿大都市圏を中心に、交通渋滞が大きな社会問題となってきております。和歌山市においても大きな課題であると認識しております。特に和歌山市北部においては、一点集中型の道路網構造と相まって、交通が集中する紀の川の各橋梁並びにそれに関連する交差点において渋滞が見られ、その現状を見るとき早急な対応が必要であると考えております。
 この抜本的な解消のためには、関空開港時を目途に進められております和歌山バイパス、平成四年春を目途に事業が進んでいる河口大橋を初め、和歌山北バイパスの事業を実施することが必要であると考えております。しかしながら、現に著しい渋滞が発生している箇所については、少しでも軽減緩和を図るため、平成元年一月に建設省、県等が協力して渋滞対策緊急実行計画を策定し、その中で六十谷交差点の改良等、可能な対策を講ずることといたしております。
 次に、新南海橋の着手時期についてであります。
 本橋梁は、前後の取りつけ道路と独立に供用できる構造ではないため、取りつけ道路の見通し等が明確でない現時点では国においてもその判断は困難であると聞いております。
 また、楠見─元寺町間二・二キロの事業期間でございますが、用地買収の進捗、今後の予算の伸び等、不確実な要素が多いため一概には申し上げられませんが、現在、第二阪和国道関連建設事務所を設け、主体的に用地買収に取り組んでいる和歌山市は、平成八年度の新南海橋供用を目途に用地買収に取り組んでいると聞いております。県といたしましてもこの道路の重要性を認識しておりますので、早期完成を国に強く働きかけるとともに、事業が進捗できるよう、国、市に協力してまいりたいと考えております。
 次に、リゾート県として港湾でのレジャー施設への対応についてでございます。
 国民の海洋性レクリエーション志向により、近年、急激にヨットやモーターボートなどのプレジャーボートが増加する傾向にあります。このため、海域や河川、水路などに係留されているいわゆる放置艇によって港湾施設等の適正な利用と管理に支障を来したり、漁船とのトラブルを引き起こすことも懸念されます。今後とも増加することが予測されるプレジャーボートに対し、国においてはマリーナなど保管施設の整備等の施策が展開されているところであります。本県においても、和歌山マリーナシティにおいて、ホテル等の各種施設を備えたリゾート型マリーナの整備を進めているところであります。また、並行して港湾における既存の水域を活用した簡易なプレジャーボートの係留施設について港湾計画に位置づけており、その整備に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 漁港内のプレジャーボートの係留施設の整備については、漁港利用調整事業により漁船と遊漁船との係留上のトラブルを避けるため分離収容を進めており、現在、和歌浦漁港でこの事業実施をいたしております。今後とも、管理の徹底を図るとともに、必要に応じ、他の漁港においてもこの事業の活用について検討をしてまいる所存でございます。
 次に、農業用水路宮井川の関係でございます。
 農業用水路は、本来、農業生産基盤の基幹施設であり、この維持管理、改修に鋭意努めているところでございますが、近年の混住化の進展により家庭雑排水の問題が生じてございます。
 議員お話しの宮井川水路についても、下排水が問題となっているところでございますが、総合的な整備については関係者のコンセンサスを得るのが非常に難しい現状でございます。今後、宮井川水路を含め地域の排水対策について関係部局と十分連携を図り改修のための調査を進めるとともに、実施に向けて検討してまいる所存でございます。
 なお、こうした排水対策については、関係者が合同で協議する場についても考えていきたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 学校教育について、私学を含めてのお尋ねでございます。
 義務教育課程における私立学校の教員構成、女性の登用について、県下の私立中学校三校の状況を申し上げますと、専任、兼任合わせて男性が四十二名、うち管理職が二名、高校との兼任でございます。また女性は三十名、うち管理職が二名、これも高校との兼任となっております。
 お話の中に、中高一貫教育を初めとした私学の特色を生かした教育内容の紹介がございましたが、私立学校に対しては、建学の精神に基づく独自の校風のもとで、その自主性を尊重しながら、さらに健全な発展が図られるように常々期待をし、そうした観点に立って今後とも私学の振興に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(橋本 進君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 学校教育、特に公立学校についてお答えをいたします。
 公立高校においては、大学進学を初めとする進路指導については、高校在学中の学習により生徒の希望に沿った進路を保障することは極めて大切なことであります。
 県教育委員会としては、各学校に対し年間授業時数の確保や一時間、一時間の授業内容を大切にするよう指導しているところでございます。また、生徒一人一人の特性を生かして伸ばすという観点から、文系、理系などの類型の設置や教科、科目の選択幅の拡大等を行うよう指導するとともに、特色ある学科の設置を行っているところでございます。
 和歌山市内の高等学校においても同様の対策をして、電子機械科、情報科学科、国際交流科等の新しい学科を設置してきたところでございます。今後とも、全県的な視野から、魅力ある学科の設置を初め、特色のある学校づくりに努め、個に応じた教育を推進してまいる所存でございます。
 次に、女性管理職の登用でございますが、これは重要な課題でございます。現在、小学校、中学校、高等学校において、合計六十五名の校長、教頭が活躍をしてございます。今後とも、女性の地位向上並びにその特色を生かした学校運営などの観点から積極的に登用を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 五つの質問に対して、県の方としては大変前向きな取り組みの感じられる答弁をいただきましたが、一つだけ第二阪和国道の新南海橋ルートについて申し上げます。
 これについては、市会議員のころから通算十五年ぐらいこの話ばかり、「何回言ってもかからぬのが南海橋」と言われてきました。最近、県の方とのいろんな打ち合わせの中では、「難しい回答をせんなんから難解橋」であると言われました。「難解橋」と言われても困るんですが、きょうは初めて南海橋を平成八年の完成目標で頑張るという答弁をいただきました。平成八年と明確に出してもらえたというのは、和歌山市も建設省も県も、当然この目標に向かって頑張っていただけると思うんですけれども、平成八年に完成させるためには、南海橋の橋梁工事にはもうかかる必要があると思います。ちょうど橋が終わるころに取りつけ道路も終わって一気に完成というふうにしようと思ったら、橋だけでも五、六年ぐらいは絶対かかるんやから、橋梁工事にはもうすぐにかからないかんのやないかという気がします。そういう問題について、紀の川のいろんな関係者ともこれから取り組んでいただかないかんことにもなるし、もう一度土木部長に確たる決意のほどの答弁をいただきたいと思います。
○副議長(橋本 進君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 新南海橋を先行してできないかということでございます。
 橋梁には膨大な工事費が必要であり、限られた予算を効率的に投資するためには、橋梁の完成と同時に供用が図られるよう計画的な事業執行が必要でございます。完成した橋梁は維持費が必要でありますので、この面からも橋梁の完成と供用が同時期にされることが必要かと考えております。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 今、再質問したのは、橋梁工事にはもうすぐにでもかかるというか、近年中にかからないかんのであるから、平成三年とか五年とか、そういうふうに具体的に橋に取り組まなかったらいけない。橋の工事にかかってから完成するまで五、六年はかかるんやから、平成八年からさかのぼったら何年かというような答弁をもらえるんかなあと思ったんですけれども。
 まあ部長の方も、平成八年の努力目標というか、平成八年に南海橋を完成さすということをこの議会で出してもらうだけでも大変だったと思います。建設省や市にもかけ合ってもらったということを私も聞いていますので。
 公共事業、特に南海橋については、用地収用をいつまでに終わるとか、いつから工事にかかるとか、完成目途の八年が決まったんだから、それから逆算して年月を区切って精いっぱい努力をしていただきたいと要望して終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十二分散会

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