平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(藤沢弘太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第百十号から議案第百二十号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 まず最初に、イラク問題に関連し、数点にわたってお伺いをいたします。
 イラク当局は、十二月七日、八月二日のクウェート侵攻以来、全く不法に出国を禁止してきたイラク、クウェート在住外国人を全員解放することを決定いたしました。イラク・フセイン政権は、これら外国人人質を小出しに解放するなどの行動で世論の攪乱を図り、人質とその家族を初め世界の人々の心をもてあそぶ策動を重ねてまいりました。その人質を全員解放せざるを得なくなったのは、蛮行を糾弾し続けてきた世界の世論の大きな勝利でありました。しかし、フセイン政権はクウェートに対する侵略を継続しており、クウェートからの無条件撤退を直ちに実行することこそが中東湾岸地域に高まっている大戦争の危険を防止する最も確かな道であり、そのためには問題の平和的解決を求める世論と経済制裁を強化してフセイン政権を追い詰めることがますます重要になっています。
 これまで日本政府がイラク問題に対してとってきた態度は、アメリカを中心とする多国籍軍に対してアメリカの圧力によって二十億ドルを支出、次いで自衛隊を海外派兵して多国籍軍に協力するため、十月十二日からの臨時国会で国連平和協力法案の制定を進めようとするものでありました。国連平和協力法案とは、国連の名をかりて自衛隊をその身分のまま公然と中東地域に派兵しようとするものでありました。しかし、この法案が提出されて三週間余りの間に、急速に盛り上がった国民の世論と運動によって廃案に追い込まれました。このことは、あの侵略戦争の痛苦の経験の上に立った日本国民の平和を求める力がいかに大きなものであるかを示したものでありました。この結果として示されたのが沖縄県知事選挙での大田氏の勝利でありました。
 しかし、引き続いて自民党政府が一部野党を巻き込んで新しい国連協力法案を準備し、十二月十日から開会された第百二十通常国会に提案しようとしております。この新協力法は、国連の平和維持活動(PKO)への協力を行うためのものと言われておりますが、PKOについては国連憲章に明文の規定がありません。これまでの慣習の積み重ねにすぎないもので、武力行使を含む活動であります。もし、これに参加するような部隊がつくられるならば、それは実質的に自衛隊に準ずるものとなり、自衛隊の海外派兵に道を開くことになります。軍事力の威嚇や行使に、日本が資金、資材を提供することはもちろん、人を派遣することは絶対やってはならないことであります。日本の国際協力の道はただ一つ、憲法前文と第九条に明記されている平和原則を堅持した非軍事の協力であります。
 アメリカのジョンソン政権下で司法長官を務めたラムゼイ・クラーク氏は、十一月三十日「『日本は自衛隊やヒトを海外に派遣すべきでない』と強調。(中略)日本国民が米国の圧力にもとづく海外派兵を拒否したことを米国民は、『称賛している』」と語っております。同時に「国連安保理の採択した武力使用容認決議について、米国の圧力によって『国連が戦争の道具』となったもので、多くの点で国連憲章に違反するものであると指摘。もともと国連は広島、長崎の悲劇をはじめ第二次大戦の経験などから、戦争防止のために創設されたものであり、国連憲章にそのことがもりこまれている」、このように語っております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 通常国会冒頭に海部首相は新協力法の準備を発言いたしましたが、我が党の見解は今述べたとおりであります。新協力法に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 また、イラク問題は私たちの暮らしにも大きな影響をもたらしました。公約違反の消費税が実施されて一年半、庶民には一世帯で年十万円を超える負担がのしかかり、来年四月には評価がえによる固定資産税の大増税が目の前に迫っており、また国保税も大幅な値上げが出されてきております。このやさき、ガソリン、灯油を初め関連物資の値上げが相次ぎ、便乗値上げがこれに拍車をかけております。
 本県、統計課発行の「平成二年十月 和歌山県消費者物価指数の動き」によると、総合指数一○八・一、対前月比二・二%、対前年同月比三・四%といずれも上昇しており、費目別では他の光熱が灯油の値上がりにより三一・六%の上昇、自動車等関係費はガソリンの値上がりで三・四%、野菜、海草類は一九・二%と、それぞれ上昇いたしております。
 県民生活室の石油製品価格調査結果によると、イラクがクウェートに侵攻した八月二日から約一カ月後の九月五日現在、灯油十八リットルの店頭価格の平均八百六十三円が、二十日後の九月二十一日には千六十円と一挙に百九十七円値上げされ、その二週間後の十月五日には千八十六円で二十六円値上げされ、十一月二十日には千百七十二円で、九月五日に比べ三百九円も値上げされました。ガソリンは、レギュラーで、九月五日に一リットル現金売りで平均百二十七円が十一月二十日には百四十四円へと、十七円も値上げをされております。LPGでは、九月五日で五立方平均二千五百二十四円が同じく十一月二十日には二千八百六十九円へと、三百四十五円もの値上げであります。
 石油製品の高騰は、県民生活にも深刻な影響を与えております。暖冬という条件があったにせよ、病院や老人ホーム、保育所を初めビニールハウス栽培、農業機械や漁業関係の重油高騰などによって経営への圧迫もひどくなってきております。
 この値上げに関連して、新聞やテレビ報道によりますと、近畿二府四県の中で和歌山県が最も高く、例えば十月十九日から二十一日の調査によりますと、ガソリンのレギュラー一リットルが奈良県の百三十九円に対し本県は百四十一円で二円高、灯油は店頭売り十八リットルで奈良千六十八円に対し本県は千百四十六円で七十八円高となっております。
 そこで企画部長にお尋ねいたしますが、この価格差の理由はどこにあるのかについてお答えをいただきたいと思います。
 私は、値上げの根本原因は石油メジャー(国際石油資本)と大手元売会社にあると考えております。例えば、「石油不足は発生していない」とアメリカのホワイトハウスのフィッツウォーター報道官が述べているにもかかわらず、ことしの七月ごろには原油価格が一バレル十七ドル程度だったのが九月から十月初めには三十八ドルまでに上昇、十月下旬には二十八ドルに低下しましたが、依然として高い水準を維持しております。この背後にメジャーを中心とする投機活動があり、原油価格に決定的な役割を果たしていることは明らかであります。
 一方、政府は、メジャーや大手石油業界の不当な値上げを規制するどころか、逆に輸入コストの上昇分の転嫁は便乗値上げではないとして、値上げ容認の通達を出してお墨つきを与えております。イラクのクウェート侵攻のわずか四日後の段階で、石油連盟の建内会長は「政府から値上げのお墨つきをもらった方が消費者の理解が得られ、値上げも浸透しやすいと思った」とまで述べております。
 石油元売会社は八月以後、一、系列外への安売り出荷をやめる、二、事後調整と言われる特約店への販売奨励金を廃止する、三、毎月価格を改定する、という方針をとっております。元売主導の価格体系を一層強め、ぼろもうけが上がる体質にしようというのが石油元売会社のねらいであります。このため、安売りスタンドは町から消えて、小売店は大幅値上げを余儀なくされたのであります。加えて重大なのは、大企業向けの石油製品よりも国民の暮らしと営業に必要な石油製品が大幅に引き上げられる一方、電力など大企業向けのC重油は四ないし六月期以降の値上げがまだ決まっていない現状であります。
 少し状況説明が長くなりましたが、知事にお伺いをいたします。
 県民の暮らしを守る上からも、石油元売会社などの横暴を規制することが何よりも重要と考えます。政府に対して、石油元売会社の横暴を規制するよう要請されたいと思います。知事の御答弁をお願い申し上げます。
 イラク問題とかかわって、平和を望む声が県内でも大きく広がっております。本年に入って、米軍機による超低空飛行が有田、日高、西牟婁、東牟婁各地で頻繁に行われている問題について、現地の住民や行政機関からも飛行中止の要請や問い合わせなどが相次ぎました。去る九月議会において総務委員会や議会運営委員会でもこの対策について検討されてまいっており、この問題は非常に重要だと思います。
 私は、これと関連いたしまして、三たび被爆者援護法の制定に対する知事の政治姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
 ことしは、太平洋戦争開始四十九周年、そして広島、長崎の被爆から四十五周年になります。日本被団協が十月二十三日に発表した被爆者援護法の制定を求める地方議会の促進決議、意見書の採択は、昨年三月時点で四百七十七議会にとどまっていたものが、被爆四十五周年を迎えた中でことしは千五百議会、全地方議会の四五・二%に達しております。御承知のように被爆者援護法は、現在、参議院で継続審議となっております。さきに申しましたアメリカの元司法長官ラムゼイ・クラーク氏が、「もともと国連は広島、長崎の悲劇をはじめ第二次大戦の経験などから、戦争防止のために創設された」と述べていますが、被爆者援護法制定のために知事の果たす役割は非常に大きいと考えます。知事の積極的な答弁をお願いいたします。
 次に、町づくりと関連して、道路問題、交通安全対策についてお伺いいたします。
 去る十一月三十日、平成三年度道路予算拡大要求和歌山県道路整備促進大会が東京で開催されました。その際に配付された「道路が拓く、明日の『紀の国』」という冊子から若干紹介をいたしたいと思います。
 「こんなに遅れている和歌山の道路」という欄では、道路の改良率が、一般国道で全国八七%に対し本県は六五%、都道府県道は全国五五%に対して本県はわずか二九%、市町村道は全国四二%に対し本県三○%、次に四車線以上の道路は、一般国道では全国一○%に対し本県四%、都道府県道では全国二・七%に対し本県○・六%、歩道の設置は、一般国道では全国五二%に対し本県二七%、都道府県道では全国二三%に対し本県は九%となっております。さらに、自動車が通行できない道路は、全国平均十・五キロメートルに対し本県は六十キロメートル、異常気象時には県内八十一カ所で通行規制が行われているのであります。冊子では、「二十一世紀に向けて 車がスムーズに流れ、県土の活性化を図る道づくりが必要」、また「半島性を克服し、産業と暮らしの活性化を図る道づくりを」などのスローガンが掲げられております。
 このような方向づけをする上からも、今掘り下げなければならないことは、本県の道路行政の著しいおくれの原因がどこにあったのかにメスを入れ、これを明らかにすることであり、それを除いて今後の方向の実現は不可能に近いと言っても過言ではないと考えます。
 郷土の作家・神坂次郎氏は、著書「紀州史散策」で次のように述べております。「紀伊の国は、日本の古代国家の文明が華やかに開花した畿内と隣りあわせに位置しながら、つねに中央の文化から孤立した国であった。蒼古たる神代からそうであったし、いまもそうである。地図をひろげて図上に定規をあてれば、直線で南北わずか百キロの、その紀伊半島を縦断する道らしい道も、鉄道さえもない。道も鉄道も、ただ、うねりにうねる海岸線に沿って半島をめぐり、三重県につながっているが、その鉄道でさえも、戦後の昭和三十四年、ようやく全線の開通をみたばかりである。大阪のすぐ南隣であるが、いま、もしその大阪に住む人が和歌山県新宮市を訪ねようとするなら、特急でも四時間余は覚悟しなければならないのだ。わずか直線で百キロの地が、である。大阪から東京へは新幹線で三時間十分。大阪人にとっても隣県和歌山は、東京よりも遙かに遠い国である。 大阪人ばかりではない。おなじ県内の和歌山市からでさえ、南の涯、新宮市は遙かな道程の彼方にある」、まさに実感だと思います。
 そこでまず土木部長から、さきに挙げた道路の改良率や歩道の設置などの五点について、全国平均より著しくおくれている原因と今までの取り組み、及び来年度での計画についてお答えをいただきたいのであります。
 また知事から、二十一世紀へ向けての和歌山の道づくりについての構想をお示しいただきたいと思います。
 次に、交通事故対策についてお尋ねをいたします。
 交通事故による死者が十一月二十八日、昨年より二日早く、ついに全国で一万人を突破しました。この十五年間で最悪、第二次交通戦争と言われる事態であります。年間の交通事故死は、第一次交通戦争と言われた一九七○年の一万六千七百六十五人をピークに減り続け、一九七六年から八七年の十二年間では八千人から九千人台になりました。しかし、八八年には一万三百四十四人となり、ことしで三年連続一万人を超え、第二次交通戦争と言われる事態になりました。
 警察庁は、最近の死亡事故の特徴について、高齢者、自動車・オートバイ運転の若者、夜間と休日、高速道路上などでの増加を挙げております。同時に軽視できないのは、交差点や交差点付近の死亡事故が昨年の一九八九年で全体の四三%を占めていることであります。
 県警本部長にお尋ねをいたしますが、本年一月からの県内における交通事故の発生件数、発生箇所と、そのうち交差点及び交差点付近での件数、死亡事故の特徴とこれらに対する対策についてお答えください。
 引き続き、交通安全施設に関してお伺いをいたします。
 一九七○年の第一次交通戦争以降、政府は、一九八○年まで二次にわたって交通安全基本計画を実施し、信号機、道路標識や照明、歩道、横断歩道などの交通安全施設の充実に力を入れました。その結果、この十年間に交通事故死者は減少してまいりました。ところが、その後、政府の臨調行革のもとで、福祉、教育を初め国民の暮らし、健康にかかわる予算が大幅に減額をされ、交通安全施設整備への投資が抑えられ、国が補助していた信号機の設置費用も自治体負担となり、そのため信号機の整備基数の伸びは一九八六年には対前年比二・五%にまで減少いたしました。
 そこで、関係部長及び県警本部長にお尋ねをいたします。
 本年度における信号機、道路標識や照明、歩道、ガードレール、横断歩道などの交通安全施設の設置計画と進捗状況について、また来年度の設置計画についてお答えいただきたいのであります。さらに、巻き込み事故防止を初め事故防止に大きな役割を果たしてきた二段停止線の拡大、及び国道、主要県道や高速道路におけるいねむりゾーンの設置計画についても県警本部長からあわせてお答えを願います。
 最後に、和歌山市を中心とする道路網の整備についてお伺いをいたします。
 一九八八年──昭和六十三年、土木部道路維持課が行った交通量調査総括表によりますと、午前七時から午後七時までの十二時間に、国道二十四号、二十六号、四十二号の自動車類の交通量は、一カ所を除いて一万台から最高は国道二十六号線の市内中洲で三万七千百四十台にもなっております。また、ピーク時の一時間の自動車台数は十二時間交通量の一○%前後を占めており、最高一九%にまでなっております。自動車類に次ぐのが動力つき二輪車類で市街地に集中しており、国道二十四号線では中之島、本町、十三番丁、雑賀屋町で平均三千台、国道二十六号線の延時、中洲、小人町では最高四千台を超え、国道四十二号線でも小松原で四千台を超えております。台風十九号により通行不能となった南海橋は和歌山市が年内完成を目指して取り組まれておりますが、この通行量は十二時間で自動車類四千六百十七台、二輪車類四千八百九十三台で、実に一時間に約八百台が通行していることになります。
 そこで、土木部長にお尋ねをいたします。
 紀の川を挟んで右岸から市街地に入る道路計画について、その進捗状況と完成年度、現状の問題点についてお聞かせください。
 同時に、和歌山市を中心とする道路のネックは東西幹線にあると考えられますが、この路線整備についても同様、具体的にお答えいただきたいと思います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答えいたします。
 第一点は、イラクの問題についてでございます。
 お話ございましたように、イラクの人質が全員解放されるに至ったわけですけれども、まだ軍事的・政治的緊張が解けたわけではございませんし、なお一層紛争解決のためにしなければならない問題も多々ある現状でございます。そうした中で国連平和協力法案が廃案になりましたけれども、日本の貢献策はいかにあるべきか、そしてまた国連の平和維持活動に対する協力のあり方、日本の進むべき方向について、私は国会の場において十分論議すべきじゃないかと存じておるところでございます。
 それから石油問題について、悪質な元売各社への規制でございます。
 国においても、今回の中東情勢を反映した原油価格等の上昇に伴う石油製品価格の改定に当たって、その影響の大きさから慎重に行う必要があるとの判断から、石油元売各社に対して毎月コスト変動報告を求めるとともに、コストアップ分を企業努力で極力吸収するよう努めること、また便乗値上げのそしりを受けるような価格改定は厳に慎むこと等の行政指導がなされているところでございます。
 中東情勢がなお先行き不透明でございます。県としても、今後とも石油製品価格等の動向には十分注意しながら、国、関係機関とも連携を密にしてまいりたいと考えております。
 次は、被爆者援護法制定の問題でございますけれども、国では、他の戦争被災者、遺族等との不均衡を生ずることから非常に難しいということでございます。
 私も、かねてから申し上げておりますように、全国知事会を通じて国家補償の精神に基づいて被爆者に対する制度の改善を図り、被爆者及び遺家族の実態に即した援護対策を確立するよう働きかけを行っているところであり、今後ともその線に沿ってなお一層努力してまいりたいと思います。
 次に、町づくりの道路についての構想でございます。
 絶えず申し上げておりますように、本県の産業基盤の整備、交通基盤の整備の上において道路が非常に重要であり、それは教育、文化、福祉の面からも極めて重要であるとの観点から道路政策を進めておるところでございます。
 本県が、なぜ道路がおくれておるのか。半島なるがために、また地勢上の問題があるためにおくれておるわけでございます。そうしたために、半島振興法の制定をしていただき、半島道路の推進、またふるさと道路の推進等を図っているわけでございます。
 大きい国幹としては、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道の高規格道路を初め県内各地域を連絡する広域幹線道路としての南北への三軸、東西五軸の整備を進めておりますが、中でも従来弱かったのは縦軸であり、現在、南北軸の強化に努めており、三百七十一号の龍神─中辺路間、四百二十四号の金屋─美山間の整備を促進しておるところでございます。また東西軸としては、紀南地域の活性化のかぎを握る三百十一号の整備を重点的に進めてまいっており、さらに府県間道路、プロジェクト関連道路、地域の生活道路等の整備を促進しております。また、都市間における整備についても交通網の需要の増大に伴う対策を積極的に進めております。
 このように、国道、県道、市町村道だけではなしに林道、ふるさと林道も相当やっておりますし、農道との連係も深めて交通網の整備を図り、二十一世紀を目指す道路網の整備、交通網の整備を図るべく進めておるところでございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 本県の石油類の価格問題についてお答えを申し上げます。
 県下のガソリンや灯油の販売価格は、経済企画庁の物価モニターによる十月十九日から十月二十一日の調査では、消費税込み平均でガソリン──レギュラー一リットル現金売りでございますが──百四十一円、灯油十八リットル店頭売りは千百四十六円となってございます。これを近畿府県平均と比較いたしますと、一リットル当たり、ガソリンで一円、灯油で三円程度高くなってございます。
 こうした価格差については、本県における一給油所当たりのガソリン販売量が近畿平均の半分程度と少ないことなど、給油所の経営規模が比較的小さいこと等が要因であろうと考えられるところでございます。また販売価格の設定については、市場メカニズムの中で各業者が自主的に設定するのが基本でございます。
 しかしながら、県といたしましては、今回の中東情勢の変化に伴う原油価格の上昇による石油製品の便乗値上げ防止の観点から、調査、監視を強化するとともに、九月十四日付で関係業界に対して便乗値上げ防止等につき要請を行ったところでございます。今後とも、便乗値上げ等が行われないよう調査、監視を強力に行うとともに、必要に応じ、関係業界に対して要請を行ってまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、和歌山県の道路問題のおくれの原因と取り組み及び来年度計画についてでございます。
 本県の道路整備の現況は、全国的に見ると低位にあります。その要因は、自然、歴史的、社会的条件が複雑に作用しているものと考えられます。
 県といたしましては、均衡のとれた県土の発展を図る観点から、近畿自動車道や京奈和自動車道の整備促進による時間距離の短縮、国道三百七十一号、四百二十四号の交通不能区間の解消、交通安全事業による歩道設置等、国の事業の促進や国庫補助事業の拡大、県単独事業の拡充等、多面的な取り組みを行いながら、御指摘のような課題に対処しつつ整備促進に努めてきたところであります。来年度においても、県議会の御理解と御支援をいただきながら、財源の確保にも努力しつつ、知事が答弁した方針に沿って一層の整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、交通安全施設の本年度設置計画と進捗状況、来年度計画についてでございます。
 我が国の経済成長と産業構造の高度化、所得水準の向上等に伴ってモータリゼーションの増加は著しく、道路資産と自動車交通のアンバランスはますます顕著となり、これが交通混雑の激化と交通事故の増大を招いております。
 事故多発道路やその他緊急に交通の安全を確保する必要がある道路について、その安全を高めるため昭和六十一年度を初年度とする第四次交通安全施設整備五カ年計画により約百億円を投資し、自転車・歩行者道の整備四十三キロメートル、事故多発箇所の交差点改良十八カ所、その他道路情報板、道路区画線、ガードレール、カーブミラー等の設置を進めてまいりました。また、最近の交通死亡事故分析の結果によると夜間事故が六割を占めておりますので、これら緊急に設置する必要箇所の照明施設を平成二年度に百基、三年度に三十基を予定しております。
 なお、平成三年度は第五次交通安全施設整備五カ年計画の初年度となり、交通事故防止施設対策を検討中でもあり、今後なお一層の努力をしてまいる所存であります。
 次に、和歌山市を中心とする道路網の整備についてでございます。
 紀の川右岸地域においては、急速に宅地化が進み、それに伴い交通量が増大しており、左右岸を結ぶ各橋梁や関連する交差点で渋滞が生じているのが実情であります。
 国、県では、かねてより紀の川の左右岸を結ぶ道路の整備を進めてきており、昭和六十一年の川辺橋の完成を初め、平成四年春供用を目途に建設している河口大橋、関空開港時供用を目途に整備が進められている和歌山バイパス、また昭和六十三年度から着手した和歌山北バイパス等が進められております。現在事業中の三つの道路が完成すれば、現状の交通渋滞は大幅に改善されるものと考えております。
 事業の進捗については、和歌山バイパスは一部で用地交渉が難航しており、また和歌山北バイパスは楠見地区の排水問題等で地元同意が得られていない状況でありますが、県としても、国に対しできるだけの協力を行ってまいりたいと考えております。
 また、和歌山市を中心とする東西幹線の道路整備についてでございます。
 和歌山市の市街地はJR紀勢本線等により東西に分断されており、この対策として鉄道と立体交差する道路の整備を推進する必要があります。このため、吉田地区において市駅小倉線、宮前駅周辺において湊神前線、中島地区において南港山東線の三路線を都市計画道路事業として進めているところでございます。
 湊神前線、南港山東線は、県事業により用地買収を進めているところであります。湊神前線は、住宅、店舗等の連檐する市街地であり、用地買収の推進が課題となっており、南港山東線は、大規模物件の移転等の課題がありますが、今後、関係者の皆様の御協力を得て早期に完成できるよう努力してまいります。また市駅小倉線については、和歌山市事業として本年度より一部用地買収が完了した区間より立体交差工事に着工しているところであります。今後とも、事業を推進するよう市を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) まず、交通事故の発生状況であります。
 本年十二月十日現在で、発生件数六千四十三件、死者数百十人、傷者数七千七百四人で、昨年同期と比較して発生件数でマイナス八十件、死者数でマイナス七人、傷者数でマイナス五十七人と、いずれも減少しております。
 これの道路別の発生状況でありますが、それぞれ全体に占める比率は一般国道が発生件数の約三三%、死者数の約四六%、傷者数の約三六%を占めています。県道は、発生件数の約三一%、死者数の約二八%、傷者数の約三一%を占めています。市町村道は、発生件数の約三四%、死者数の約二一%、傷者数の約三一%であります。農免道路等、その他の道路の発生は微々たるものであります。
 また、交差点及びその周辺における発生状況は、発生件数で全事故の五八・一%、死者数が四二・三%、傷者数が五六・四%で、この比率は全国より発生件数で三・八ポイント、死者数で○・三ポイント低くなっています。
 次に、死亡事故の特徴と対策であります。
 その特徴としては、国道等幹線道路における夜間事故の比率が高く、若者の四輪車の高速運転等無謀運転による単独事故が多く、またその死者のほとんどがシートベルト非着用であるということであります。さらにもう一つの特徴は、高齢者の死者が増加し、二輪車、四輪車乗車中の事故が多くなっていることであります。
 警察といたしましては、関係機関、団体の御協力をいただきながら、こうした特徴点を踏まえた交通安全教育、啓発活動、交通安全施設の整備等とともに、夜間の幹線道路における取り締まりの強化、シートベルト着用キャンペーンの実施、若者を中心とした交通安全フェスティバルの開催等を行ってきたところであります。また、高齢者の死亡事故増加に対しては、交通弱者対策とともにシルバー交通教室等、高齢ドライバー対策にも力を注いでいるところであります。今後とも、事故の実態に即応した諸対策を積極的に促進してまいる所存であります。
 次に、交通安全施設の関係でございます。
 本年は、第四次交通安全施設等整備事業五カ年計画の最終年度であります。その進捗状況は、補助事業、単独事業とも順調に推移いたしております。県下の交通安全施設のうち、交通信号機と横断歩道、二段停止線の整備状況について申し上げますと、平成二年三月末現在、交通信号機は千八十一基、横断歩道四千二百三十五カ所、七千七十五本、二段停止線三十七交差点、五十七方向であります。
 本年度の設置計画と進捗状況についてでありますが、交通信号機については二十六基、道路標識については新設、更新分を含めて約五千五百本、横断歩道については約百カ所を設置する予定であり、補助事業で一○○%、単独事業でおおむね八○%の進捗を見ております。
 来年度の計画でありますが、引き続き、住民の要望を踏まえつつ、関係当局の御理解を得ながら交通信号機の新設、高性能化等、交通安全施設の整備充実に向けて努力してまいる所存であります。
 二段停止線については、交差点の構造、二輪車の事故発生状況を勘案しながら、必要な場所に設置を検討していく考えであります。
 いねむりパーキングについては、現在、国道四十二号には十一カ所、国道二十四号には一カ所設置しておりますが、道路外に空き地が必要でありますので、今後とも道路管理者の御理解を得て適切に措置してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 まず知事にでありますけれども、新国連協力法案の問題について、知事は国会での状況を見ていくということでありました。
 御承知と思いますが、十日の衆議院の本会議でも海部首相は、今度の多国籍軍への十億ドルの補正予算での追加提供について、武力行使があっても支援を継続していくんだと言っております。私は、先ほど述べたように、多国籍軍への財政支出は憲法の許さない戦争協力行為であるということから、憲法あるいは国連憲章の立場において改めて自覚をしなければならない問題だと思うわけであります。これらの内容については繰り返して述べませんけれども、特に国連憲章の問題については、あくまでも平和的な手段でこれを解決していくことを中心にうたっております。先ほど知事は国会における状況ということを言っておりましたけれども、このような状況の中で、憲法、国連憲章の立場に立った行動が最も重要な問題であるということについて私の見解を述べておきたいと思います。
 続いて、石油の問題であります。
 企画部長から、便乗値上げの防止あるいは調査、監視、時によっては要請をしていくということが出されておりました。
 企画部長からいただいた答弁は、特に消費者の立場が中心でありました。関連して商工労働部にも要請をしておきたいと思いますけれども、消費者の立場と同時に、大手石油企業あるいは県内における石油企業に対するいろんな指導は、やはり商工労働部としても必要な内容を持っていると思います。先ほど企画部長から、消費者の立場で適正価格について不公正のないようにしていきたいという答弁をいただきました。この問題に関連して、商工労働部も企画部と連携し、消費者の立場に立ち、便乗値上げ、石油の適正な価格の問題について協力をしながら進めていただきたいと思います。
 もう一つ、石油の価格です。
 大阪の方へ行くと、「本日は幾ら」ということをよく掲示しています。ところが和歌山の状況をお聞きをしますと、二つの給油所しか価格の明示をやっていないということであります。こうした「本日幾ら」というような価格の明示も、価格の公正といいますか、適正な価格を維持する上では大事な問題であろうと思いますので、この点についても行政の指導内容として今後検討をいただきたいと思います。
 次に、道路問題について再質問申し上げます。
 一つは、部長答弁の中で関空開港時云々という言葉がありました。きのうも論議になっていたように関空の開港延期の問題があり、関空開港が延びた、道路計画も延びたということでは困ります。関空開港時と言われましたが、これはいつの開港時なのか、その点を改めて明確にしていただきたいと思います。
 二つ目、お年寄りや障害者あるいは子供などに優しい町というのは住民にも優しい町だと思います。そのために、交差点の歩道あるいは車道の段差をなくすなど、車いすでも歩ける町づくりが大事だと思います。特に、国際障害者年はあと一年でありますし、県が行っている行動計画とも関連をしながら、ぜひこうした町づくりを進めていただきたいのであります。
 そこで、和歌山市の北から南への道路計画でありますけれども、全体として見てみますと、住民からの要望に、この道路に歩道をつけてほしいということがあるわけであります。今日の変化する中においてそういった問題も大事だと思うのでありますが、こうした道路計画の当初から歩道や横断歩道の計画、信号灯、照明なども盛り込んでおくことが大事だと思います。財政的にもいろんな問題があると思いますし、歩行者優先の立場や公安委員会関係との連携もあると思いますが、こういった点について土木部長の方から答弁をいただきたいと思います。
 それから、県警本部長にいねむりパーキングの問題をお尋ねいたしました。国道での答弁をいただいたわけでありますが、県の管理道路についてもいねむりパーキングについてどのようなお考えを持っておるのか、あわせてお答えをいただきと思います。
 最後に、県警に対する要望であります。
 先ほど本部長から答弁のありましたように、交差点事故については件数で五八・一%、死者で四二・三%、傷者で五六・四%を占めている。全国から見て和歌山は少ないんですけれども、これは重大な事故の多発地だと思います。交差点の事故発生を防ぐ上からも、交差点における照明、また横断歩道の明示等、今、方々に明かりのついた横断歩道の標識がありますけれども、ひとつこういった点においても土木管理者との関連でぜひ積極的に今後の設置計画の中で進めてもらいたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、関空開港がおくれれば和歌山バイパスの供用もおくれるのではないかということでございます。
 和歌山バイパスについては、当初に設定された関空の開港時までに供用を開始できるよう建設省に強く働きかけをしてまいります。
 それから、優しい町づくりや信号機の設置は当初から計画すべきではないかということでございます。
 道路は、本来、あらゆる社会経済活動を支える根幹でありますが、必要な箇所においては親しみと潤いのある空間として整備することも重要な課題であると考えております。道路を新設する場合は、老人、障害者等への配慮について十分検討を加えております。また信号機についても、必要な箇所に設置されるよう道路整備に際して公安委員会と協議を行っております。今後なお一層、行き届いた道路行政に努力してまいります。
 それから、いねむりパーキングの設置の件でございます。
 県の管理する一般国道並びに主要県道の改良済み区間において、道路幅員の外に適地があれば利用できるよう努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。

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