平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下義夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告した順番に従って質問をさせていただきたいと思います。
 一番目は、平成時代の教育行政についてであります。
 昭和が終わり平成時代に入ってからの世界情勢の変化は大変激しく、ソ連、東欧の共産主義体制及び社会主義体制の崩壊、東西ドイツの合併、EC統合の促進等があった。
 〔議長退席、副議長着席〕
 国内的に見ても、国際化、技術革新、情報化の促進による社会の変化が急に起こっている。以前であれば百年かかって起こっていた社会変化が二、三年の間で起こり、想像の枠を超えようとしている。
 平成時代に入って非常なスピードで新しい社会情勢、国際情勢が生まれようとしている今日、我が和歌山県の公立学校教育の現状を考えるとき一抹の不安を感じる者の一人でありますが、まずこのことについて仮谷知事の所見をお伺いいたします。
 次に、公立高等学校における管理職のリーダーシップについてであります。
 高等学校の均一化が問題となっているが、その背景に高校の量的な拡大と社会の変化があり、高等学校教育の多様化、個性化への大きな発想の転換が図られるべき時期に来ているのであります。その推進に当たっては、基礎的、基本的教育の充実、段階的な指導方法、学校でなければできない集団を対象にした効果的な授業等をきめ細かく行うことが必要であると考えます。そして、生徒が急激に減少しようとしている今日、及び教育課程の改定時期を迎えている今日、それらに対して時期を失しない対応が重要であり、そのために教職員の意識改革を図り、学校において管理職と教職員が一致団結して取り組まなければならないと考えます。
 そこで、教育長に質問いたします。
 まず、管理職の学校経営に対するリーダーシップについてでありますが、現在、学校経営において管理職のリーダーシップが十分発揮され得る体制及び状態になっているかどうか、お伺いいたします。
 教職員組合の言いなりで学校経営を実施せざるを得ないような学校があると聞いております。例えば、学校経営の重要なポストである教務主任、進路指導主任等の主任クラスの任命等についてでありますが、教職員同士の職場内での根回しによる選挙によって重要なポストが決定し、職員会議が校務運営上、管理職が提案する案件のチェック機関になり、管理職の目指す学校づくりに足を引っ張っている現状があるとのことであります。また、職員会議が最高の議決機関とすることにより校長はその決定に従わなければならないなど、このようなことで学校長を初めとする管理職がそのリーダーシップを発揮することができるのでしょうか。このことについては、義務教育、学校教育上においても聞いております。
 管理職が自分自身の考え方で校内人事ができる体制及び状態になってこそ、その管理職の手腕を発揮できるのであります。現在では責任のみが大きくのしかかり、権限のない状態では円滑な、効果的な学校経営はできないと存じますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
 次に、学校内における教職員の研修体制の件であります。
 私の聞くところによりますと、平和教育や天皇制に関する研修は喜んで実施するが、教師自身の専門教科の指導方法や指導内容については校内の相互研修の機会がほとんどなくなっているということであります。これは主任の選出方法にも関係することであると思いますが、私の高等学校時代の経験から申しますと、国語科の主任はその学校の国語科を代表する権威者でありました。その先生の授業を受けられるという喜びが尊敬につながり、国語という教科に興味が引かれたのであります。しかし今日、学校における教科主任は年ごとにかわり、その役割は単なるその教科の会計係であったり、パーティーやら忘年会の立案者であるというのが現実で、教科の研修を企画できる力量のない教師が主任というポストについている場合が多いということであります。このようなことでは二十一世紀の世代を担う生徒に夢の持てる教育が行い得るのか、疑う次第であります。生徒や父兄の意識が改革しても教職員の価値観や意識が変わらなければ、時代にマッチした、内容の充実した教育が行えないと批判されても仕方がないのであります。
 そこで、今後、教職員が本当の力量をつけ、変化の厳しい社会にマッチした教育を行えるためにどのような研修体制をとるか、教育長にお伺いいたします。
 次に、公立高校と私立学校との関連についてであります。
 経済的に恵まれない生徒でも社会のリーダーになれるためには、公立高校において内容の充実した効果的な教育を行わなければならないと私は考えております。司馬遷の言葉に、「育てて教えざるは親の過ちなり、教えて厳しからざるは師の怠りなり」という一節があります。公立学校の教科や生活指導に厳しさを欠くべきでないということであります。
 教育活動をする人や全般に厳しさのある私立中学校の生徒の親の職業に公立学校の教職員が多く見られる現在であります。一部の私学人や公立の先生によって主張されているように、公立学校は基本的な教育だけを受け持てばよい、すぐれた充実した高度の教育は私学が担当するということになれば、日本の将来に大きな禍根を残すことになる。また、公立学校の数倍の納付金を出すことができる家庭の子弟のみしかすぐれた充実した教育を受けられないとなると、大変なことになります。「競争なくして発展なし」という現実は、現在の社会主義国家の実態と混乱が証明しているとおりであります。
 公立学校では、予算と人事権は校長にあるとはいえ完全でなく、教育委員会がこれを握っているのであります。そこで、予算と人事権の権限を校長に集中させて、校長の学校経営手腕を十分に発揮させてはいかがなものですか。その上、職員会議を最高の議決機関であるとの間違った観念を持っている職員団体の非常識な体質を改めること、それに職員団体の傘の下に隠れていればみずからを磨かずとも安住できるという教職員の意識を改革しなければ公立高校の教育はますます社会の変化についていけなくなり大変なことになるので、それらに対する方法等について教育長の所見をお伺いいたします。
 次に、県の職業安定行政についてであります。
 まず、若者の職場確保についてであります。
 私の手元に二通の履歴書があります。一通は新規学卒者のAさんのものであり、一通はUターンを希望するBさんのものであります。このように就職の世話を依頼されるたびに、二十数年前の自分のことが思い出されるのであります。
 私自身も大阪で就職して安定した家庭生活を営んでおりましたが、母親が年老いてくるので大阪に来て一緒に生活をしてくれるように頼んだけれど、田舎を離れるのがどうしても嫌だということでした。若いときから苦労して自分たちを育ててくれたので、せめて親の老後は見てやりたいとの思いから、自分自身、田辺へ帰る決心をしたのであります。しかし、田辺へ帰っても手に何の技術も持っていないので、適当な就職口を探しても、経済的な満足を得られれば精神的な満足は得られないし、精神的な満足を得られれば給料等経済的な満足を充足させてくれる職業がなかったのであります。そこで、一念発起して税理士試験を受けて税理士になったのであります。これが二十数年前のことでありますが、今日的課題でもあるのであります。
 十月二十九日付の日本経済新聞によると、三大都市圏に住むビジネスマンは、五人に一人の割合でUターンやIターン──出身地以外の県に移ること──を考えている。豊かな自然、通勤時間が短く、ゆとりある生活等がその条件になっている。二十代では、六○%以上の者がUターンやIターンを希望している。残念ながら我が和歌山県は、その県に移りたいと思うビジネスマンの割合は、四十七都道府県中、下から九番目であります。
 Uターン、Iターンするための要件は、次のとおりとなっております。「豊かな自然がある」が六〇・七%、「通勤時間が短く、ゆとりのある生活ができる」が五三・三%、「社会基盤(上下水道、病院、公園など)が整っている」、「家を持つことができる」、「生活水準がある程度落ちてもそれなりに暮らせる年収が保証される」、文化、医療、学習などの施設がある等々であり、和歌山県においてその条件が満たし得ないので移住希望が四十七都道府県中、下から九番目になっている現状であります。
 私が依頼を受けたUターン希望者Bさんの場合など、大学を優秀な成績で卒業して有望な企業に勤務しているが、両親が年老いてきて、早く田舎に帰って一緒に住んでほしいとの希望から、やむを得ず帰る決心をしたので相談に乗ってほしいとのことであります。
 高齢化が全国平均を十年先取りしている我が和歌山県にとって若い優秀な人がUターンして定住してもらえるのは大変結構なことであり、行政の一端にかかわる者として一日でも早く帰ってきてほしいと願うし、反面、今の優良な職場をやめて転職してもらえる職場が紀中、紀南へ行くほどないので、まことに残念であります。また、新規学卒者のAさんの場合は、特に子供が少なくなっている現状から、両親が田舎で就職してくれることを強く希望して子供をようやく説得したということであります。
 そこで、仮谷県政の三本柱の最重要課題である「活力和歌山」の実現のためにも、我がふるさとで就職して両親と一緒に生活するという、この若者のすばらしい希望をぜひ満たしてやるべきであると思います。そのために県は企業誘致促進や技術労働力等確保対策事業きのくにジョブ・インフォメーションの展開をされているが、その現状と、それらの施策の効果的促進を図って若者の希望を満たすための仮谷知事及び商工労働部長の所見をお伺いします。
 次に、高齢者雇用の問題であります。
 県内の六十五歳以上の人口が十六万人を超えて総人口の一五%を占めていることが今年度の老年人口等調査でわかった。全国十三位の高齢県で、全国ペースを十年先取りして高齢化が進んでいる現状であります。
 老年人口比率を市町村別に見ると、北山村が三一・九%と最も高く、美里町の二八・八%、古座川町の二八・七%、本宮町二七・九%、熊野川町二七・二%で、五十市町村のうち四十三市町村が県平均を上回っている。人口の高齢化が全国的にピークに達する三十年後には老年人口比率の全国平均が二三・六%と予想され、県全体では全国平均よりも十年早いペースで高齢化が進むものと見られている。
 そこで、この高齢者の方々に元気で幸せな生活を送ってもらえるかどうかが県民全体の幸せにつながり、重要な県政課題となってきている。高齢者の方々に幸せな生活を送ってもらうためには、就労、福祉、スポーツ、趣味の問題と多種多様にわたりますが、本日は特に就労の問題を取り上げてみたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 百人以上雇用している県下企業百六十七社のうち百六十一社が定年制を定めているが、六十歳以上の定年制となると平均六五・二%にしかならない。今後、職業安定施策として官民一体となって定年制の延長問題に取り組まなければならないと思うが、仮谷知事及び商工労働部長の所見をお伺いいたします。
 次に、定年後及び自営業を引退した後の高齢者の就労問題も、人生八十年代を迎えて大きな問題であります。そこで、高齢者の社会参加を促進し、生きがいを持って人生を送り、社会の役に立っているとの自意識を持って生きていくために、御存じのようにシルバー人材センター事業があります。我が和歌山県には和歌山市と田辺市に設置されて非常に好評を博しており、大変結構なことであります。シルバー人材センターのほかに、市町村単独で行うミニシルバー人材センターがあり、平成二年で全国四百九十九カ所のシルバー人材センター──ミニシルバー人材センターも含む──が設置されて効果的な運営を行い、高齢者の方々に生きがいを与えておりますが、労働者不足が社会問題化されようとしている現在、もっともっと増加すべきである。特に、全国平均を十年先取りして高齢化が進んでいる和歌山県にとって、もっともっと多くの市町村へ設置すべきである。いろんな指標を出すときに全国平均の一%と言われるので、平成二年には五カ所の人材センターが設置されていなければならない。高齢化社会の我が県にとって、少なくとも指標以上の高齢化が進んでいる市町村に設置すべきであると存じますが、それに対する仮谷知事及び天谷商工労働部長の所見をお伺いします。
 次に、有機農法の振興についてであります。
 最近は、特に地球環境の汚染と破壊の進行に対する科学的指摘や警告が世界的規模にまで高まっています。その結果、人類の生存と健康に不可欠の食に対する関心や知識水準も相当高くなっており、私たちの食生活は欧米諸国以上に大きく変化しているのであります。農薬や化学肥料の大量投与を軸にした現代農業は、自然生態系を否定した工業的農法によって大量の比較的安価な食糧を供給し、高度経済成長と相まって飽食時代を現出させたのであります。
 こうした時代の流れを受けて消費者志向は量から質へ、さらには安全性、健康性、簡便性、利便性を求めて大きく変更しつつある。簡便性、利便性は、とりもなおさず生鮮食品から加工食品へ、また家庭料理から外食へと食生活を変化させ、成人病や慢性疾患の増加の原因ともなっているのであります。一方、安全性や健康性は、輸入食品のポストハーベスト問題、農薬使用や食品添加物等に対する消費者の関心を一層喚起させ、たとえ不当表示であっても、健康食品や有機農法生産物と表示すれば高く売れる時代を迎えているのであります。
 このように「物」から「命」「心」を大切にする時代を迎えている今日、自然環境に順応して人々の健康を守る有機農法は、現在の化学的、工業的農業にかわって飛躍的に発展すべき時期を迎えていると思います。そのためには、有機農法の技術水準を高め、生産性の増大を図ることが肝要であります。しかし、それに増しても大切なことは、健康を願い、良質の食を求める消費者の声を聞いて気持ちを酌み取り、その希望に合った食品を十分に供給できる体制をつくることであり、このことは、とりもなおさず産地の競争力強化につながるものと考えます。
 一般の市場では、商品として大量の食品を消費者に提供しているが、その中には有機農法の生産物は余り含まれていない現状であります。現在の流通状況をどのように改善するかが有機農法発展の大きなかぎになると思う。食と農との結びつきを一層強化することが有機農法の今日的課題になっている。人間の命を大切にし、自然環境にマッチした有機農法に対する安田農林水産部長の所見をお伺いいたします。
 このように二十一世紀に向けて飛躍的に発展しようとしている有機農法は全国的に行われているのであります。
 例えば長野県では、県の取り組みとして、国庫補助を受けて地域重要技術開発促進事業、高付加価値野菜栽培確立調査事業、農薬省散布技術確立事業、健康な土づくり農業推進調査事業等の事業を行い、農協中央会、農協経済連等で有機農業に対する各種研究会を設置し、単協では有機農業の振興のため各種の事業を行っている。
 また岡山県では、岡山県有機無農薬農業推進要綱を昭和六十三年六月一日に策定し、平成元年三月二十二日に一部改正して有機無農薬農業の推進をしている。その趣旨として、食糧の消費動向を踏まえて化学肥料、化学合成農薬に依存している栽培法から、有機物を中心とする土づくりを基本に、自然の生態系を重視した有機無農薬農業を育てる必要があるということから、推進リーダーを養成して有機無農薬農業の中核となる生産集団をモデル的に育成し、その成果をもとに外延拡大を推進したり、さらに岡山有機無農薬農産物の栽培基準に即して生産した農産物であることを明確にする認証制度を設けて岡山有機無農薬農産物として独自のブランドをつくり推進し、二十一世紀に向けて社会情勢にマッチした岡山県農業の振興を図ろうとしている。
 そこで、和歌山県の有機農法の現状と今後の取り組みについて農林水産部長にお伺いいたします。
 以上で、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
 まず第一点は、教育の問題でございます。
 お話のように、最近の国際情勢の大きな変化の中で我が国においても国際化とか情報化、また価値観が多様になっております。こうした国際社会の中で生きていくためには、日本も、また各個人においても豊かな情操力、たくましい心、体、そして大きな包容力も持った人材の育成ということが最も肝要なことではないかと思います。そうした意味において、新しい時代に対応した国際化の中での教育のあり方ということを真剣に考えていただきたいと思っております。
 次に、木下議員が自分の過去を振り返られ、若者の定着問題について話があったわけでございます。
 我々のふるさとを活力あるふるさとにするためには、若い人が定着し、またUターンして帰ってくる形にしなければならないということは同感でございます。そうした意味において企業誘致の問題等がありますが、特に我々のふるさとが都会から離れておるということが大きい問題となっております。そのために、交通網の問題、高速道路の延長の問題、飛行場の問題、またリゾート開発等、多方面にわたって今後ともふるさとの発展のために努力をしてまいりたいと思っております。
 また、高齢化対策につきましては、お話のように就職対策ということも重要な問題でございます。そうした意味において職場の開拓という問題がございます。現在の産業構造面から見て人手不足が取りざたされておりますので、高齢者の就職対策ということになお一層配意するとともに、定年延長の問題、シルバー人材センターの問題、雇用の問題等についてもなお一層積極的に進めてまいりたいと思っております。
○副議長(橋本 進君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、若者の職場確保についてでございます。
 企業誘致の現状でございますが、昭和五十八年から現在までに四十八社の誘致を見ており、その雇用者数は大体千五百名となっております。ちなみに平成二年の誘致数は十六件で、そのうち日高郡以南で九件となっており、地域の雇用創出に大いに寄与するものと考えてございます。
 また、Uターン就職の促進のため本年度から開始した技術労働力等確保対策事業につきましては、現在、平成三年度大学等卒業予定者のうち本県出身の技術系大学生約千八百名を対象に就職に関する意向調査を行っているところでございます。今後、県内企業千百社を対象に採用に関する動向調査を実施するとともに、県内就職希望大学生に対して県内企業の求人情報等の提供をとり行うこととしております。
 また、若者の就業の場の創出のため企業誘致を積極的に推進してまいるとともに、Uターン就職の促進を図るため、Uターンアドバイザーの設置や求人説明会の開催等、施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、高齢者雇用問題でございます。
 高齢者の雇用就業対策につきましては、高年齢者雇用安定法に基づき、六十歳定年を基盤として六十五歳までの継続雇用の推進、高年齢者の早期再就職の促進、シルバー人材センターの拡充による定年退職後等における臨時的、短期的な就業の場の確保の三点を基本として推進を図っているところでございます。
 定年制の現状については議員御指摘のとおりでございますが、今後、六十歳定年への引き上げを予定している企業も合わせると八五%を超える見通しになっております。今後、平成五年度、六十歳定年の定着化を目標として県下の各公共職業安定所を通じて事業所指導を推進し、六十五歳までの勤務延長や再雇用などによる継続雇用の推進を図るとともに、六十歳代前半層の雇用就業機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、シルバー人材センターは、生きがいの充実や社会参加を希望する高年齢者に対し就業機会の増大と福祉の増進を図ることを目的として、各市町村が国の補助のもとに設置することとなっております。県としては県下各市を中心として設置促進を図っていくこととしており、設置に向けて検討中の自治体に対しては、現在も需要調査に係る指導やヒアリング等を行っているところであります。今後とも、高年齢者の就業の場の確保のため、ミニシルバーの設置も含めて強く取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 有機農法に関する部長の所見ということでございます。
 有機農業につきましては、消費者の食品に対する安全志向が高まる中、注目されており、高付加価値型農業を推進する上での一つの方策と考えております。しかしながら有機農業は、我が国のように雨の多い気象条件では病害虫の発生が多く、収量の減少や品質低下など生産性の大幅な低下が伴うことから、農業経営上、大変難しい面もございます。また、国民への安定した生鮮農産物の供給という観点からも難しい問題があることから、国においては平成元年度より対策室を設置し、有機農業の定義づけやその実態把握に取り組んでいるところでございます。
 今日、有機農業が関心を持たれる社会的背景については十分認識しているところであり、天敵を利用した防除や太陽熱利用による土壌消毒など農薬を使用しない防除法、また堆肥などを施用した土づくりなど安定した生産技術の開発に取り組むとともに、県農協連とも流通上の諸問題についてもその可能性を検討してまいりたいと考えております。
 次に、本県における有機農業の現況と今後の取り組みについてでございます。
 現在、有機農業として実践されているのはおおむね十団体、百農家程度で、温州ミカン、水稲、里芋などを対象に、大半が農薬散布をできるだけ控え、有機質肥料を主体にした農法となっております。県といたしましては、今後とも生産者団体などの自主的な取り組みに加え、全国的な動向を踏まえながら生産流通実態調査を実施するとともに、試験研究機関においては全国的な連携の中で、適応品目や作付体系、防除面では作物に直接散布することなしに防除効果のある性フェロモンの利用など使用農薬の削減技術の開発、また施肥面では土壌改善や有機質資材の利用等、生産技術の確立に向けて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 公教育に対する県民の大きな期待の中にあり、学校は校長を中心にして一丸となって教育を進めていかなければならないことは当然でございます。したがって学校長は、校内人事、予算執行、教育指導を初めとして校務運営全般を掌理する最高の責任者であり、教職員を指導監督する立場にあるわけでございます。
 校長は、確固たる教育理念を持って教育方針を明確に打ち出し、それを具体化するために校内における部長や主任の任命等についても指導性を発揮し、教員一人一人の特性を生かして学校を円滑に運営しなければなりません。こうした観点に立ち、今後さらに指導力の向上を図るために教育経営研修講座や新任校長研修講座等、各種の校長研修を充実させてまいる所存でございます。
 教員にあっては、県民の学校教育に対する期待の大きさと厳しさを自覚し、教育の専門家としての実践的指導力や幅広い知見、また教育に対する情熱と使命感を高めながら一層努力をするよう指導してまいりたいと考えております。そのため、校内の研修体制を確立させるとともに、初任者研修や教職経験者研修等をさらに充実させてまいりたいと考えてございます。
 また、社会の変化に対応し、一人一人の能力を最大限に伸ばすという観点からも、県立高校にあっては進路別類型の設置や習熟度別学習等をさらに推進するとともに、新しい学科の設置など、特色のある学校づくりを推進しているところでございます。
 今後とも校長がリーダーシップを確立し、教員が教育に対する情熱と専門性を高め、学校が一丸となって教育実践に当たるよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番木下義夫君。
○木下義夫君 答弁をいただきました。要望をしたいと思います。
 教育の問題は非常に簡単な、基本的な問題でありますけれども、現実的には非常に難しい問題になっていると思うんです。ここに大会社の社長さんもおられますけれども、自分が社長になって会社の経営をするときに自分の理念で経営できなくては、会社の発展もないし、円滑な運営もできない。自分はこういうふうな理念でもって会社を経営したいということで、「部長はあの人になってほしい。課長はこの人になってほしい」と思っても、ほかの機関で、「いや、部長は別の人や。課長さんは別の人や」というふうになると会社は発展しないし、効率的な運営もできない。こういうことと同じでございます。
 この問題は多少時間のかかる問題でございますから、今後、教育委員会の御奮闘をじっと見させていただきますので、御奮闘いただきますことを心から願って、質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十四分散会

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