平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中村 博議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕(拍手)
○中村 博君 それでは、一般質問を申し上げてまいります。
 まず最初に、関西国際空港開港のおくれの問題に関連して、本県としての対応策についてお尋ねを申し上げます。
 かねがね関西国際空港開港の時期の点でいろいろの取りざたがございましたが、十一月二十二日の朝日新聞の報道によりますと、一年半開港がおくれるということであります。報道の内容では、十一月十九日朝、大阪市内のホテルで竹内関空会社社長、岸大阪府知事、宇野関経連会長、小林大商副会頭の四者会談を開き、「開港目標を当初予定より最大一年半延長し、『九四年九月』とすることで合意した」、また「建設中の一期工事の事業費増加分は、延期に伴う金利負担増を含めて四千七、八百億円に上り、地元の自治体と民間企業も負担することが確認された」としております。関空会社はこうした会談の結果に基づいて近く運輸省に説明を行い、十二月上旬の閣議に報告して開港延期を正式に決定することになろうという記事でございましたが、十二月六日午後六時三十分からのテレビニュースでは、既に運輸省に報告されていたということであります。
 こうした報道内容からして重要と思われる点を申し上げますと、まず第一点として、開港予定の平成五年春を目標にして本県が取り組んできた長計の中期計画におけるプロジェクト、イベント等の作業の問題であります。二つには、四千七百億円ないし四千八百億円の地元負担の問題であります。三つには、全体構想の進め方、これに伴う地元負担のあり方等が挙げられます。特に地元負担の問題は極めて大きい問題になってきたことを、まず強調しておきたいと存じます。
 そこで、知事からお尋ねを申し上げてまいります。
 十一月十三日、関西空港の竹内社長が来県され、知事が不在でしたので副知事がお会いになられたようですが、話の内容はどういうことであったのか、今申し上げた地元負担の問題にまで話が及んだのかどうか、副知事からどのように報告があったのか、詳しく御説明いただければと存じます。
 次に、企画部長にお尋ねをいたします。
 前段、開港のおくれの問題で十一月二十二日に報道があった点について申し上げてまいりましたが、当局としてこれらの点についてどの程度の情報を得られているのか、明らかにしていただければと思います。
 開港の時期が一年半おくれることは決定的であります。そうした場合、中期計画の策定の中で平成五年春として作業を進められてきた各種の事業等について今後どのように対応していかれるのか、御説明願いたいと思います。
 重ねて、知事にお尋ねをいたします。
 前段で申し上げましたように、一期計画の事業費が四千七百億円ないし四千八百億円増加することで、知事、県議会が全く関知できない状況のもと、四者会談なるものでもって本県に負担を求めるようなことを申し合わせることは言語道断であります。決して県民が納得できる問題ではございません。かかる取り決めを行ったことに対し、知事としてどのような認識を持たれておるのか、率直な意見を聞かせていただきたいと思います。
 今後においてこうした負担問題が具体的にされてまいりますが、知事におかれては、より慎重な対応がなされなければなりません。負担問題にどう対応するのか、お伺いをいたしたいと存じます。
 このほど第六次航空審議会答申の中間まとめがあったばかりでありますが、中でも全体構想の進め方については、地元負担のあり方の問題を初め、採算問題、埋め立てによる地盤沈下の問題などが障害事項とされていたことは御承知のとおりであります。第一期工事の一年半にわたる大幅な工期延長問題は、中間取りまとめでの全体構想推進の難問点を決定づけたものと思料いたしております。したがって、全体構想推進の課題は完全に行き詰まったものと見られるのでありますが、知事の御判断についてお伺いをしておきたいと思います。
 次に、平成三年度県予算の編成について重点的にお尋ねを申し上げてまいります。
 当局におきましては、県予算編成方針を各部局に示され、既に各部局からの要求も出そろい、査定前の調整作業に入っているものと存じます。来秋、知事選挙がある関係から、編成に当たっては、これらを想定した新味のあるものにしたいということもおありでございましょう。しかし、平成三年度予算編成をめぐる全般的な情勢が厳しい環境にあるため、相当苦労の多い予算編成になるものと判断をいたしております。
 大蔵省は、このほど平成三年度予算案における税収見積もりを発表いたしましたが、それによりますと、景気の減速、高金利、中東湾岸危機に伴う原油高、株式市場の低迷などの影響によって企業の収益が低下し、法人税の伸びが期待できないとされております。このために平成三年度の自然増収の見積もりを平成二年度補正予算案での修正後に比べて約二兆四千億円とされたようで、平成二年度では七兆円の増収となったのでありますから、いかに厳しいかをうかがうことができるのであります。
 そこで、本県の場合の平成三年度予算案における県税収入の見積もり状況について調査した内容を申し上げたいと思います。
 法人二税の関係でありますが、従前から産業構造が鉄鋼、石油に特化していることが県財政の底を浅くしている問題として、しばしば論議のあったところでございます。これがために、たび重なる構造不況の中で県財政の足を大きく引っ張ってまいりましたが、ようやく復調の兆しが見え、住友金属においても一定の税収が見込めるようになってまいりました。しかし、本年九月の中間決算におきましては、それに陰りが出始めたということでございます。
 東亜燃料の関係でありますが、構造的不況、オイルショックの中でも税収においては比較的堅調であったことで救われてきたのでありますが、事ここに至り、九月度の中間決算ではかなり収益が低下してきているようであります。
 今日まで堅調続きでまいった金融、証券、生保、損保関係におきましては、九月の中間決算が極めてよくないということのようであります。好況を反映して大幅な増収が見込めるという状況は皆無と見なければなりません。
 このような事態にある法人二税は県税収入全般の中で大きい比重を占めているだけに、平成三年度における県税収入の見積もりは、かつて見られなかった厳しい環境に置かれているものと判断いたしているところであります。
 平成二年度では、過去低迷を続けてきた税収の伸び率でかなりの復調過程にあるとされてまいりましたが、平成三年度では二年度の当初額を確保すること自体が難しいのではないかと見ておるのであります。当局はどのように判断しておられるのか。
 なお、平成二年度予算でも最終補正で県税収入を減額しなければならないのではないかとも見ておりますが、総務部長からお答えをいただきたいと存じます。
 地方交付税関係についてお尋ねをいたします。
 前段でも平成三年度における国の税収見積もりについて申し上げてまいりましたが、三税の一つである法人税の状況が平成二年度に比べてかなりの落ち込みになるようでございます。そのようなことになりますと、地方交付税にあっては、当然、平成二年度の交付額を確保することは困難と見なければなりません。平成三年度ではどのような事態になるのか。
 また、十二月四日の新聞報道によりますと、大蔵省では、特例減額制度を適用して地方公共団体から五千億円程度を国に貸し出しする措置をとるという方針を固めたとのことであります。このことに対して自治省では地方財政に余剰はないと反対をしているということでありますが、もしこのような措置がとられることになると、本県では五十億円もの財源を国に貸し出すことになります。前段でも税収の厳しい状況を申し上げてまいりましたが、このようなことになると予算措置の編成が全くできません。極めて重大な問題でございます。したがいまして、十二月二十四日の政府予算の内示までに大蔵省にこのような措置を思いとどまらせなければならないと考えております。
 そこで、当局としてどのような方途でもって対応していかれるのか、かかるような措置についてどのような所見を持っておられるのか。以上の点にわたって総務部長からお答えを願いたいと存じます。
 続いて、歳出の関係について少し申し上げてみたいと思います。
 今日まで経常経費の削減に努められてきたものの、人件費等義務的経費の増加、また県債発行の増加といった関係から公債費の増加も避けられない状況で、基調としては平成三年度では財政の硬直が一段と進むものと見ているのでありますが、当局の判断はどうか。
 続きまして、平成三年度予算編成方針について概括的にお尋ねを申し上げます。
 さきに厳しい県経済の動向について触れましたが、平成三年度予算編成ではこうした県経済の現状に視点を置き、特に県経済の底辺を支えている中小企業、地場産業、農林水産業を重視した施策の重要性は申し上げるまでもなく、高金利時代の到来と相まって行政としての比重の高い制度融資については当然思い切った見直しを行うなど、活性化に向けた積極的な対応が必要でないかと考えております。厳しい内外情勢を踏まえた施策について、予算編成に当たってどのようにされていくのか、お答えを願いたいと思います。
 平成二年度予算におきましては、人口の高齢化対策を初め、安心して暮らすことができる健康・福祉社会の実現、将来の本県を支える人づくりとしての教育など、県民に直結する施策がとられてきましたが、こうした県民の暮らし、福祉、教育の課題については、御承知のように国の臨調・行革によって予算の削減、制度の改悪がなされてまいりました。しかし、地方公共団体として県民に直結する行政を重視するという立場から、本県が独自に、きめ細かい、特色のある予算編成を行うことが大事ではないかと考えていますが、当局はどのようにお考えでしょうか。以上の点にわたり、総務部長からお答えをいただきたいと存じます。
 第三点、消費税問題について質問を申し上げます。
 我が党は、十一月二十九日の第二十一回税制両院合同協議会・専門会議において消費税についての見解を発表いたしましたので、この機会にその概要を申し上げたいと存じます。
 基本的立場において消費税廃止にあることは、もちろん不変でございます。しかし、国会の力関係から今すぐに廃止できない状況のもとで、切実な国民要求を実現することが重要であるという立場から、一つには、すべての生活必需品、関連サービス、食料品、衣料、医療、福祉、教育、公共料金、入場料などについて非課税範囲を広げて完全非課税とすること、二つには、電気・ガス税について基礎控除を取り入れること、三つには、機関紙活動などの政党本来の事業への課税をやめることということで、当面、与野党協議の場でもってこれらの実現に向けて全力を挙げていくということであります。
 そこで知事にお尋ねをいたしますが、消費税導入後において、県民の生活にあっては買い物をするたびに一円玉がふえ、消費税は悪税なりという意識は決して消えてございません。当面の課題では、国会の両院合同協議会の中で完全非課税枠をどう拡大していくかにかかってきてございますが、知事として、地方公共団体の事務に係る使用料・手数料などを含め、県民の消費税負担の軽減についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 なお、総務部長から、平成二年度予算中、本県として県民から消費税を徴収するもの、また支払う消費税の状況について御説明をいただきたいと存じます。
 最後に、旧県会議事堂の保存について再度お尋ねを申し上げます。
 九月議会において前向きの御答弁をいただき、お礼を申し上げておきたいと存じます。
 九月議会で発言をさせていただいてから和歌山近代建築研究会の会長をなさっている岩出町在住の福田忠義様からお手紙をいただき、研究会の皆様方も保存の必要性を痛感され、県教育委員会にも訴えられてきたということでございました。その後も何度かお電話をちょうだいいたし、保存策について奔走していただいている関係もあり、重ねてお尋ねをいたした次第であります。
 九月議会で旧県会議事堂については歴史的に価値あるものという認識を示していただき、また閉会後、県議会においては議長から会派代表者会議でお話があったと聞き及んでおりますが、教育委員会としてその後どのような対応をしてこられたのか。また、平成三年度予算編成に向け、予算要求についてどのような措置をとられてきたのか。岩出町文化財委員会の皆様方におかれてもいろいろ御努力をいただいているように聞き及んでおりますので、そうした点にもわたってお答えを願いたいと思います。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 関西空港の竹内社長が来県した際の話の内容でございます。
 私が不在でしたので副知事が承ったわけでございますけれども、関西国際空港は平成五年の春を目途に建設を進めてきたが、予想を上回る地盤沈下等の諸理由により予定どおりの完成が非常に難しくなっているという説明を受けております。
 本県としましては、県民の利便性の早期確保という観点から、また平成五年夏には世界リゾート博の開催も予定しておりますので、できるだけ工期を短縮してもらいたいと強く要請したところでございます。また、開港がおくれる場合には早期にその時期を明示するように要請してまいったところでもございます。
 次に、おくれに伴う地元負担の問題でございます。
 関西空港の地元負担につきましては、関西国際空港株式会社から負担増についての説明があった時点で、出資している関係自治体と協議いたし決定していくことになるだろうと思います。四者の話し合いについて、議員御指摘の事実はございません。
 本県といたしましては、負担金増の問題については県議会とも十分相談させていただきながら対処してまいりたいと存じております。
 また、一年半おくれた場合の全体構想への行政対応等の問題でございます。
 全体構想の推進につきましては、あくまでも早期の事業着手を目指し、本県はもとよりオール関西が一体となって取り組んでいかなければならない問題と考えております。
 本日も副知事が近畿の知事、また商工会議所等、関係団体の期成会の代表理事らと一緒になり、来年度予算の早期実現を図るための調査費を確保するために上京し、要望活動を行っているところでございます。今後とも、全体構想の早期実現のために県議会と一緒になって努力してまいりたいと存じております。
 次に、消費税の問題でございます。
 消費税は、我が国の将来を展望して所得、消費、資産の面で均衡のとれた税体系を構築するため税制改革の一環として導入されたのでございまして、もう既に一年九カ月が経過しようとしております。この間において、非課税の範囲、課税の方法等について見直しの論議がなされ、県としましても、全国知事会を通じて国に対し、国民の理解と協力を得ながら必要な見直しを積極的に行うように要請してまいっておりますし、また県営住宅使用料を本年十月一日から非課税とするなど、さきに示された政府の見直し案に沿った措置を講じたところでございます。
 話もございましたように、現在、税制問題に関する両院合同協議会において見直しについて論議が交わされているところであり、こうした国における論議の推移を見守りながら、その結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港の開港問題の実情についてお答えを申し上げます。
 空港建設の進捗につきましては、予想を上回る地盤沈下等の主として技術的理由により、予定どおりの完成が難しくなってきているという説明を受けているところでございます。
 関西国際空港株式会社は、地盤沈下の推移の調査の結果、当初の予測値を上回る沈下が見られましたので、本年四月に予測値の見直しを行ったところ、開港時七メートルと予測された沈下量を十メートルと見直しました。さらに十年後の沈下を見込んで、埋立層厚が三・五メートル厚くなるということから投入土量を千七百万立方メートル追加することで対応したところでございます。
 空港会社は、このような地盤沈下が進行している状況の中、ターミナルビルの建設を行っていくために、土質や建築の専門の学識経験者で組織した地盤沈下対策検討委員会の検討結果を受け、現在、工程を引き直しているところでございます。
 今月中旬にはターミナルビル指名競争見積もり参加招請者を選定いたし、見積もり依頼をする予定でございます。その後、六十日以上の見積もり期間をとり、来年二月ごろには契約を締結することとされておりますが、ターミナルビルの工期については、地盤沈下対策等から当初予定されていた二十八カ月を大幅に超える見込みとなってきたため、当初の開港目標に間に合わせることが非常に厳しい状況であるとのことでございます。
 次に、開港がおくれた場合の行政対応についてお答えを申し上げます。
 関西国際空港の開港時期と県の中期実施計画及びプロジェクト等との関連についてでございますが、現在推進している各プロジェクトは関西国際空港立地のインパクトを活用して県勢活性化の起爆剤とすべく積極的に推進しているところであり、その目標達成に支障を来すことのないよう、国や庁内関係部局との連携を密にしながら、引き続きその進捗に努めてまいる所存でございます。
 さらに、平成五年の夏をめどに進めている世界リゾート博についてでございますけれども、先ほど知事の答弁がございましたが、正式に開港延期が決定されたときには開催時期について関係者に相談してまいりたいと存じているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 財政問題につきまして、数点お尋ねがございました。
 まず、県税収入の見込みについてでございます。
 今年度の県税収入見込みにつきましては、当初予算額九百四十五億円の四六%を占めている法人二税で、御指摘のあった金融業、石油関連法人が対前年度比でかなりの落ち込みを見ております。サービス業とか建設業、小売・卸売業、不動産業等が好調な実績を示してはおりますけれども、法人二税全体としては厳しい状況にございます。しかし一方で、県民税利子割、あるいは個人県民税、不動産取得税等、他の税目が順調に推移をしておりまして、現計予算額は県税全体としてはほぼ確保できるものと考えております。
 また、明年度の県税収入見込みについてでございますが、現在、関係企業に対して業績等を照会するなどして、その見積もり作業を行っているところでございます。現段階で具体的な計数をもってお答えすることは困難でございますが、先ほども申し上げた今年度の法人関係税の税収動向や景気の先行きが不透明なことなどからいたしますと、厳しい状況に置かれるものと考えております。
 次に、平成三年度の予算編成に関連をして、地方交付税の動向についてでございます。
 平成三年度の国の予算編成の過程において大蔵省当局が地方交付税の特例減額を検討中であるということについては、私どもも承知をいたしております。しかしながら一方で、本県はもちろんでございますが、豊かな住民生活の実現を図るため、社会資本の整備促進、地域福祉の向上などの諸施策の推進が地方団体の重要な課題となっております。とりわけ、地方単独事業の確保が要請されているところでございます。そのためには地方財政基盤の強化が不可欠なものと考えております。
 今後の経済情勢が不透明で、税収の動向も予断を許さないといった状況の中、今後の地財折衝の行方を十分注視していく必要があると考えております。
 ただ、いずれにいたしましても、来年度の地方財政運営に支障が生ずることのないように十分な配慮がなされるべきであり、地方団体共有の固有財源である地方交付税総額の確保についても、全国知事会等を通じ、国に対して強く要請していかなければいけないと考えております。
 次に、本県の平成三年度の予算編成についてでございます。
 現在、各部局との調整作業を行っている段階でございますが、予算編成を取り巻く環境については、御指摘のとおり、大変厳しいものがございます。国の予算、地方財政計画とも、平成二年度に比べると相当程度抑制基調が予想されるところでございます。
 一方、自主財源の大宗を占める県税収入につきましては、過去の低迷状況から見ると復調過程にはございますが、依然不透明な要素もあり、その水準についてもまだ十分なものとは言えない状況にございます。また、公債残高も増高をしてきておりまして、そういったことが相まって義務的経費の圧迫も予想をされます。全体としては、本県の平成三年度の予算を取り巻く環境には厳しいものがあると考えております。
 しかしながら、長期総合計画や中期実施計画の具体化、あるいは数々のプロジェクトの実現、地域産業の活性化、県民福祉の向上等、諸施策の充実を図ることも非常に重要なことでございまして、このために事務事業の見直しとか組織の簡素化に不断の努力を払う一方で、半島振興やふるさとづくり事業等、国の財源措置のある起債の活用等も図りながら、歳入歳出両面にわたってできる限りの創意工夫を凝らしていきたいと考えております。厳しい内外情勢を踏まえながら、限られた財源をできるだけ重点的、効率的に配分をするということに努めていかなければならないと考えております。
 最後に、消費税の転嫁と負担の状況についてでございます。
 まず、県営住宅等の県営施設使用料の中に含まれる消費税相当分は約二千八百万円でございます。一方、県が発注する工事費等に含まれる消費税分は約三十八億円でございます。これらは、消費税の一定割合が地方交付税等の財源となることにより地方財政対策全体の中で措置をされることになっておりますが、現在行われている見直し等の議論についても地方の財政運営に支障が生ずることのないよう、国に対して必要な働きかけをしていかなければならないと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 旧県会の議事堂保存のその後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 先般、所有者である根来寺並びに地元の教育委員会とも話し合いを行い、根来寺に対しては、まず建物の実態調査に協力をいただけるようにお願いを申し上げたところでございます。また、説明板については根来寺で設置をしていただくようお願いを申し上げ、御了解をいただいたところでございます。
 県教育委員会といたしましては、平成三年度において旧県会議事堂の建物様式、文化財的な価値などの観点から調査ができるように、予算を含めて努力をしているところでございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 答弁をいただきましたので、重ねて申し上げてまいりたいと思います。
 まず、知事でございますが、関西国際空港の開港のおくれの問題です。
 今議会の開会に当たって知事からごあいさつがあり、冒頭に、私が質問を申し上げた竹内関空社長の来県問題にお触れになったわけであります。私は、御答弁をいただく前に、非常に大事な話でございますので、かなり詳しく、念の入った話が関西空港の社長から副知事にされたものと考えていたわけです。ところが今の答弁では、副知事が竹内社長にお会いになって竹内社長から話のあった内容そのものは、実に簡単であります。恐らく、この話というのはそんなに長時間じゃなくて、五分か十分ぐらいで終わったんじゃないか。
 今、知事からお話がありましたのは、目標は平成五年の春としてきたが予想以上の地盤沈下等々で予定どおりの完成が難しいというのが大方の説明だと、こういうような答弁の趣旨であったと思います。
 それで経過の問題でありますが、十三日に和歌山に来県され、そして十九日に大阪のホテルで先ほど申し上げた四者が寄り、恐らく関係地方公共団体等にも竹内社長としてごあいさつに行き、大方の御了解はいただけたものと──これは私の判断であります。そういうことで十九日の四者会談なるものが開かれたのではないか。
 しからば、事業費の増加は一体どうなるのか。新聞報道では、先ほど申し上げたように四千七百億円ないし四千八百億円ということが公表されたわけでありますから、恐らく本県に対しても、事業にはこれだけかかるんですよ、大変なことになって非常に申しわけないというような話の筋があってもしかるべきだと思うんですが、事業費の増加枠についても話が全くない。これは和歌山県に対してだけではなく、関係自治体に対してもそうです。
 関西国際空港会社というものは、もっと真摯な態度であってほしい。真摯と言うことは適当かどうかわかりませんが、地方公共団体である以上、そこには住民がいるし、しかも税金によってこれが成り立っているわけでありますから、そこらの点をきちっと踏まえてもらわなければならんと思うんです。そういう点から、竹内社長が来県された話の内容は、今後、負担問題がついてくるので極めて大事なことだと考えているわけです。
 知事は、負担問題については、今後、関係自治体も含めてでしょうが相談をして、県議会の意見も尊重しながら決めていくと、こういう当たりさわりのない答弁をされましたが、私は、十九日の四者会談でもって相当の負担が伴う問題に一応合意をしたということは極めて大事なことだ、これは県議会を無視していることになりはしないか、知事を無視したことになりはしないか、県民を無視したことになりはしないか、こういうことで知事に所信をただしたのであります。
 そこで、重ねて知事に、十九日の会談では報道をされたような内容はなかったんだというような向きの答弁でもあったと思うんですが、そういうように理解さしていただいていいのかどうか、その点、念を入れてひとつ確認をしてみたいと思います。
 問題の今後の対応については、当然、県議会とも関連いたしますから、知事のおっしゃるとおりであります。まず、その点だけちょっと御確認を願いたいと思います。
 次に、総務部長であります。
 平成三年度の県予算をめぐる問題についてお尋ねをいたしましたが、ここで大事な問題として、国の平成三年度予算編成における地方との関係で交付税問題を取り上げたわけです。これについては、今後、知事会議等で云々というお話がありましたが、総務部長の答弁を聞いておりますと、これに対して明確に部長としての所見が述べられていなかったように思うんです。
 御承知のとおり、この交付税の減額措置というものは、今まで国が地方に貸してあげようということが何度かあり、平成二年度では借りたものをもう既に返してしまったと私は記憶しておりますが、今度逆に、国が地方交付税財源を地方に貸してくれということであります。これは初めてで、異例なことであります。これが仮にそうなった場合、五千億円ということになれば、本県としては百分の一に換算して大体五十億円程度の貸し出しをしなければならん。
 これは極めて重大な問題ですので念を入れて御質問をした次第でありますが、今の総務部長の御答弁を聞いておりますと、その辺について総務部長として、本県としての具体的な考え、あるいはこれに対してどのようにして十二月二十四日の予算内示までに決着をつけていくのか、貸し出しをしないようにしていくのかという点の答弁が非常に甘かったように思います。初めての措置ですので、重ねてこの点について、意のあるところを我々によくわかるようにひとつお願いをしたいと思います。
 他の問題につきましては、予算編成は総じて厳しい環境にあるということのお話であり、確かにそうだと思います。これから作業に入られ、近く二月定例県議会には御苦労された結果が我々に届きますので、そこでまた十分な意見を申し上げたいと考えております。
 以上、二つの点にわたり、簡単でございますので簡潔にお答え願いたいと思います。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 中村議員が質問された要点は、十九日の四者会談で本県などの負担金を決めたのではないかというふうに承ったわけでございます。
 負担金という問題は、負担増が決まって、それが明示された時点において出資の関係地方団体等が協議すべき問題であるということを申し上げたのでございまして、過去の経緯を見ても、自治省もタッチしていただいております。それゆえに、大阪の四者会談で和歌山県の負担金を決められるものではないということを申し上げたのでございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 来年度の地方財政対策の論議の中で地方交付税がどういう状況になるか、特に現在大蔵省当局が検討をしている交付税の特例減額はどうなるかということについて重ねてお尋ねがございました。
 明年度の地方財政の収支見通しは、国税三税、消費税等を財源とする交付税がどういう状況になるか、あるいは自主財源の根幹である地方税がどういう見通しになるか、さらに歳出面で特に要請をされている地方単独事業の伸びをどの程度確保するかといった歳入歳出両面にわたる詰めを行う中で明らかになっていくわけでございます。
 御指摘のように、確かに国の財政当局は、地方財政にある程度の財源余剰が生ずるということから、昭和五十年代にとられてきた交付税特別会計における借り入れや財源対策債の発行による地方財政の側における国庫からの借り入れと全く違った状況になってきているということで、新聞報道で伝えられるところでは五千億円の特例減額を地方に対して求めてきているという状況でございます。
 ただ、私ども地方財政に携わっている立場の者からいたしますと、地方財政に果たして財源余剰があるのかどうかということについては、見解が国とは若干異ならざるを得ないと思っております。
 地方財政の借金は、交付税特別会計でありますとか、先ほど申し上げた財源対策債だけではございませんで、例えば建設国債の肩がわりをした臨時財政特例債、あるいは国庫補助負担率の引き下げ措置に伴う財源補てんとして発行をしてまいった調整債といったものの償還もございます。こういうものをどういうふうに考えるかにより、地方の財源余剰があるのかないのかという議論の帰趨も変わってまいります。
 私どもとしては、地方財政全体でなお相当の公債残高を抱えているということからすると、言われるほどの財源余剰は地方にはないという考え方でございます。最終的には大蔵、自治両省の折衝で決まることではございますが、先ほど来申し上げているように、そういった動向には十分注視し、交付税総額の確保について必要な働きかけをしていきたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、中村博君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十七分休憩
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