平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(平越孝哉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時六分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第百十号から議案第百二十号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 11番平越孝哉君。
 〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○平越孝哉君 質問者として久方ぶりの登壇でありますが、お許しを得て、平成二年十二月定例会における一般質問のトップバッターとして質問の機会をお与えいただき、御配慮賜りました方々に感謝を申し上げ、通告順に従って質問をいたします。
 昭和五十五年十二月定例会に県議会議員として初めて登壇の機会を得、質問をいたしてより、はや十年が過ぎました。その年は一九八〇年代のスタートの年であり、地方の時代と言われておりました。そして、その質問の冒頭、私は、「江戸時代は御三家の雄藩として栄えたわが紀州も、いまや四等県に成り下がっていると言っても過言ではないと思います。県の経済成長率も、県民一人当たりの所得も、年々凋落の一途をたどっています」と申し上げましたが、現在の県内情勢と比べれば当時は隔世の感があります。
 仮谷知事が就任された第一期目の昭和五十年代は、二度にわたる石油危機による影響下、経済の低成長期であり、繁栄のシンボルとされていた北部臨海工業地帯の基礎素材型産業にも陰りが見られ、その上、昭和六十年代に入り、円高の進展等による構造不況により和歌山県の経済はダブルパンチを受けたわけであります。こうした状況のもとで本県の持つ半島性という地理的ハンディなどを克服すべく、昭和五十三年にはJR紀勢線の電化、昭和五十五年には高野龍神スカイラインの開通、昭和五十九年には一般有料海南湯浅道路の開通等、道路交通網の整備や関連する諸施策に懸命の取り組みがなされてきたところであり、知事の県政にかける情熱と力強い政治力のたまものと感じ入る次第であります。
 知事には、五十年代、六十年代と県勢の伸展に休むことなく御努力をされてきたところでありますが、今、二十一世紀へのスタート、一九九〇年代、本格的な国際化、情報化、高齢化の時代を迎え、二十四時間世界を結ぶ関西国際空港の開港が間近になり、高速交通機関等の充実により国土軸、国際軸への直結が目前となるなど、和歌山県を取り巻く社会経済情勢は大きく変貌しつつあるところであります。今春、知事が所信の中で述べられたように、今、「和歌山丸」は順風を帆いっぱいに受けて力強く波を切って進み出したときであり、すばらしい二十一世紀へのホープフル和歌山90のスタートであると言えます。
 「もうすぐ二十一世紀がやってくる」と未来へのまくら言葉のように使われたその時代が、年がかわると九年後に迫り、時代が「昭和」から「平成」へと移り変わりました。和歌山県もまさしく新しい時代の始まりを迎え、新世紀へのビックプロジェクトの本格的な展開が県下至るところで見られるところであり、県政について私の意見を申し上げて知事の御所見をお伺いし、あわせて関係部長の御見解をお尋ねいたします。
 先般の知事の御説明にもありましたが、平成二年国勢調査概数結果によると、昭和六十年の国勢調査に比べて世帯数は増加しているものの、人口においては一万二千八百八十八人の減少という結果となっております。一方では、しばらく低迷を続けていた県内総生産がようやくここに来て回復著しく、特に昭和六十三年度は全国を上回る伸びを示しております。
 何といっても人口と経済は相関関係にあり、県勢活性化の大きなバロメーターであります。その一方のバロメーターである人口がこの五年間で一万人余りも減少している事実を見るとき、県民の間に、本当に先行き大丈夫なのかという不安を抱かせないようにしなければならないと思います。私自身も、各委員会を初め、機会あるごとに県内をつぶさに見てまいりましたが、やはりふるさとはホープフルだと確信いたしております。
 関西国際空港の南玄関口にふさわしい国際都市を目指す新しい町づくり計画であるコスモパーク加太計画、和泉葛城山系の南斜面に教育研究施設や先端技術産業の集積を図る南麓サイエンスパーク計画、紀伊半島の結節点である橋本地域における橋本林間田園都市の建設など、多くのプロジェクトが展開されており、これらの問題が今後の県勢発展のキーを握るものであると考えますので、知事の御所見をお伺いし、あわせて企画部長よりも御答弁をお願いいたします。
 次に、関西国際空港に関連してお尋ねをいたします。
 県はこれまで、関西国際空港建設を県勢浮揚の起爆剤と位置づけて全体構想の早期実現と大阪空港の廃止を強く要望してまいりましたが、関西国際空港の全体構想については、第六次空港整備五カ年計画を策定するための航空審議会中間取りまとめで新空港の事業着手が位置づけられました。しかしながら、開港後に大阪国際空港を廃止して新空港に国際・国内両線空路とも一元的に就航するというのが大前提であったのが、大阪国際空港は国内線の基幹空港として決定されたわけでありますので、県はこの事態を軽視することなく、慎重な対応が必要であろうと思います。
 それと同時に、開港延期の問題についてであります。
 このたび予想を上回る地盤沈下等の影響により関西国際空港の開港、一番機のフライトが当初予定していた平成五年春から一年半近くずれ込むと見られている問題でありますが、本県は関西国際空港の開港に照準を合わせ、七プロ三軸と銘打った空港関連地域整備計画の推進を図られ、空港開港のインパクトを最大限に享受できるようその受け皿づくりを進めるとともに、空港へのアクセス等、交通利便性を向上させるための道路整備を初め、関連公共事業を積極的に進められているところであります。
 また、和歌山マリーナシティを主会場とした世界リゾート博も平成五年の夏を目標にその開催準備が進められており、博覧会の開催で地域振興を図ろうと個性のある博覧会の企画を補助することを目的とし、補助金のほか、大型イベント開催のノーハウも提供されるという、昨年度設けられた通産省のジャパン・エキスポ制度にも認定された世界リゾート博の開催や各プロジェクトの目標達成に関西国際空港のおくれが影響を与えるのではないかと懸念するところであります。これら関西国際空港の開港のおくれ等の問題に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、平成元年二月定例会の冒頭において知事は平成元年を「リゾート元年」と名づけ、リゾート施策の推進を強く表明されました。第四次全国総合開発計画の基本方向である多極分散型国土形成を受け、国民に真に豊かさを実感できるライフスタイル、すなわち経済主導から人間社会主導の町づくりが全国的に展開されている中、関西国際空港の南に近接する自然資源の豊富な和歌山県が脚光を浴びているところであります。
 言うまでもなく、県の長期総合計画の基本目標はテクノ&リゾートであり、その中でテクノにおいては、基礎素材型産業に特化した産業構造からの脱却を図るべく、臨空型産業など新たなリーディング産業等の誘致を県内各地で積極的に進められているほか、地域産業の高度化や人材育成を図るため、近畿で初めての計画承認を受けた頭脳立地構想を推進すべく海南インテリジェントパーク並びに和歌山リサーチラボの整備が平成四年の完成を目標に進められております。
 そこで、長期総合計画のもう一方の柱であるリゾート開発の推進に向けてのリード役を果たす燦黒潮リゾート構想については、本年八月末に国に対して承認申請されたと聞いておりますが、その承認はいつになるのか、また今後どのような取り組みをされていくのか、企画部長にお尋ねをいたします。
 次に、紀伊丹生川ダム建設にかかわる水源地域整備対策と、それに関連する国道三百七十一号の整備についてお尋ねをいたします。
 昨年六月、建設省は紀伊丹生川ダム調査事務所を開設し、実施計画調査に取り組んでいるところでありますが、地元関係者が先行きに対する不安と焦燥に呻吟している中で、地元選出議員としてその成り行きに強い関心を持ち、あえて発言をするものであります。
 二十一世紀にふさわしい豊かさと安らぎのある地域づくりの基盤として紀の川水系における治水・利水両面にわたる総合的な施策の推進は和歌山県政の最重要課題であり、流域住民が長年にわたり求めてやまなかった洪水災害のおそれのない紀の川、水不足のおそれのない紀の川、真の母なる紀の川づくりの一日も早からんことを願うのはすべての人であります。
 豊かで潤いのある、快適で健康的な生活の場づくりとして、さらには水の活用など、水の持つ多面的な機能を積極的に生かした新しい水社会の形成という時の流れにさお差す気持ちもありませんし、推進すべきであると思います。しかしダム建設は、治水・利水の面からは極めて公共性の強い事業であり、一方、関係地域住民に与える影響には非常に大きいものがあります。広い範囲にわたる水没が生じるため、単に住民の土地や家屋が水没するのみでなく、生活基盤を支えるコミュニティーそのものを失うことが多く、周辺地域の住民に与える影響も大きいものがあります。
 ダム建設の予定地は過疎化に悩む農山村で、また山間部であるため、代替地の確保や就労の場の確保の見込みは難しく、このためにダム建設後の新しい生活に対する不安にははかり知れないものがあります。
 ダム建設による治水・利水の受益は、ともすると下流地域に限られる一方、水源地域は産業や生活が失われてしまうため下流受益者に対する犠牲感が強くなるのもむべなるかなと思われますし、水源地対策の必要性、重要性をさらに確かめ、一層の相互理解を深めることこそが事業推進につながるものではないかと確信するものであります。
 当地域の伊都・橋本地方は東の玄関口としての機能を持った要衝の地であり、近くは、世界にも誇り得る全国屈指の文化資産である真言密教の聖地・高野山、そして高野龍神国定公園、かつらぎ高野山系県立自然公園など、自然環境にすぐれている地域であります。こうしたことから、交通基盤の整備、観光レクリエーション産業の形成、そして生活基盤を充実させることにより、より一層の発展の可能性を秘めた地域ではないかと考えております。
 地域振興のリゾートづくりとして各種の企画を列記してみますと、ゴルフ場、リゾートマンションやホテル、森林公園、湖上公園、長期滞在型医療施設、企業の研究施設等、いろいろなことが考えられますが、今後、各地で行われるリゾート開発との競合から他のプロジェクトとの選別化が重要なテーマであり、社会生活様式の変化を見通し、車社会と高齢化社会のニーズを視点にとらえて周辺地域整備基本構想を策定していかなければと考えます。
 このように、ダム建設を契機として、こうした地域の持つポテンシャルを生かし、水源地域は無論、地域全体の活性化がされるような整備計画であってこそ水没地域や周辺地域が喜んで県政に参加できるのではないかと考え、地域整備方針をお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、伊都・橋本地方の懸案事項は、紀伊丹生川ダムの建設とともに国道三百七十一号、京奈和自動車道、県道和歌山橋本線などの道路交通網の整備でありますが、これについては九月議会でその進捗状況についてただされました。
 国道三百七十一号は、河内長野市を起点として串本町に至る延長約二百三十キロメートルの国道であります。そのうち橋本市─龍神村間は、和歌山県長期総合計画の中で県内幹線道路網いわゆる三─五軸のうち空の道として位置づけられているところであり、県内幹線道路網の骨格を形成する路線であります。また、起点の河内長野市において大阪府の外環状線を形成する国道百七十号と接続して関西国際空港に直結する国際軸であり、橋本市では、京都、奈良、和歌山等、近畿大都市圏の主要内陸都市を結び、国土幹線軸の名神高速道と接続する高規格幹線自動車道・京奈和自動車道と交差する幹線道路であります。今後とも地域活性化のため各路線の整備が緊急な課題であり、必要不可欠なことであり、紀伊丹生川ダム建設は、前段申し上げたとおり地域の活性化に寄与するものと考えています。
 そこで、紀伊丹生川ダム建設の進捗状況と地域整備を絡めた中で三百七十一号橋本─高野山間のバイパス整備、市脇─清水間の紀の川架橋について、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、高齢者問題についてお尋ねをいたします。
 毎年九月十五日は「敬老の日」、高齢者や老いに関する問題が最も注目を浴びる日であります。しかし、最近は日常的に高齢者問題が新聞やマスコミで取り上げられ、一般の関心や理解が深まってきておりまして、特に中年以降は自分自身を含めてしっかりした老後観を確立し、今後の問題を考えていかなければならない時代であろうと思います。古来から続いた「人生五十年」時代から今や「人生八十年」時代にと移り変わり、人類の求めてやまなかった長寿の時代が到来しましたが、現状を展望したとき、果たして喜んでばかりいられないと思います。
 我が国がいかに長寿社会になったか。百歳以上の高齢者が三千三百人にも及ぶ現状がこれを象徴的に示しており、総人口に占める六十五歳以上の人口割合いわゆる老年人口比率は昭和初期から昭和三十年ごろまでは五%前後で推移してまいりましたが、昭和四十五年には七・一%、昭和六十年には一〇・三%と急激な上昇カーブを描いており、平成二年には一一・三%にまで上昇をしております。
 厚生省人口問題研究所の試算によりますと、平成三十二年にはピークとなり、実に二三・六%に及ぶと推測されております。あと三十年余りどんどんふえ続け、四人に一人が高齢者という社会が到来するのであります。しかも、老年人口のうち七十五歳以上の後期高齢者がふえ、ピーク時には六〇%近くに達すると言われております。これが必然的に痴呆性老人と寝たきり老人の増加につながり、要介護老人の増加につながるわけであります。痴呆性老人六十万人、寝たきり老人六十万人という現状が、十年もすればこの倍の数になり、ピーク時にはそれぞれ二百万人を超すのではないかとも言われております。
 そこで、本県の高齢化の現況について県老人福祉課の調査をもとに考えますと、平成二年四月現在の老年人口比率は全人口の一五%で、六十五歳以上の人口は毎年着実にふえており、今年度では約六人に一人を占め、その数は十六万二千九百八十六人と全国平均を大きく上回り、十三位の高齢県であります。このままで推移すると平成三十二年には、国の二三・六%に対して二七%近くの比率になると推計されております。特に郡部の高齢化の進展が顕著であり、東牟婁郡北山村が県平均の倍以上になる三一・九%、伊都郡花園村では二四・五%と山間部を中心に二〇%以上の自治体が十七町村もあり、和歌山県の十年後の実態が過疎化の進む山間僻地の現状であると言えます。
 県におかれても、知事を先頭に高齢化の社会的要因の一つである過疎の歯どめに大変御努力を賜っておりますが、今後、高齢者に配慮した環境整備に今から着手しなければなりませんし、そのためにも、従来の福祉のイメージではなく、ソフト・ハードを含め、町づくり、地域づくりにおいて高齢者や障害をお持ちの方も含めてみんなが住みやすい社会といったコンセンサスと長寿社会という幅広い視点が求められております。
 老後には孤独がつきまとい、地域に溶け込めない高齢者も多く、特にサラリーマンOBの場合にはそれが顕著であります。定年後の孤独な人たちを数年前までには「粗大ごみ」、はがそうとしてもなかなか離れない「ぬれ落ち葉」、ついこの間までは、妻が出かけようとすると、わしも行くとまとわりつく「恐怖のわし男」など、ひどい例えがありますが、老人病院、特別養護老人ホーム、在宅サービス、老人保健サービスなど、老人保健福祉の体制は地域中心に組み立てられており、地域社会が中心であります。
 そこで、地域の老人クラブなどで元気老人が活躍しているのを横目に一日じゅうぼうっと過ごしているより、地域社会の中に溶け込み、気楽に語り合い、スポーツにと気安く取り組めるいわゆる文化的学習機会の場の充実や健康維持にも役立つスポーツ施設の充実等も含めた社会的な要請も出てくるものと思います。
 こうした人口の高齢化に伴い、寝たきり老人や痴呆性老人を初めとした介護を要する高齢者の増加や元気なお年寄りの生きがい対策など、解決しなければならない問題が山積しております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 本県の高齢化が全国平均より十年も先行しているという現実を踏まえ、進み行く高齢化の中でいかにして豊かな長寿社会を築いていこうとされているのか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、民生部長にお尋ねをいたします。
 先般、国において高齢者保健福祉推進十か年戦略計画、通称・ゴールドプランが策定され、平成十一年度を最終年次に在宅福祉、施設福祉の整備目標が示されたところであります。加えて、福祉諸法の改正により市町村への権限委譲がなされることとなりましたし、実施計画についても県及び市町村で平成五年度施行に向けて福祉計画を策定することとされておりますが、平成十一年度までの計画を早急に作成すべきではないかと考えます。その内容と本県での整備方針、スケジュールをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、保健環境部長にお尋ねをいたします。
 九月の新聞報道等で、長野地裁は長野県の会社員とアルツハイマー病の妻との離婚を認める判決を言い渡しました。この御夫婦の場合は、奥様が老人性痴呆症いわゆるアルツハイマー病であり、夫が最大限の介護等をしてまいりましたし、また妻は長野県内の特別養護老人ホームに入所しており、今後の介護に不安のないことが裁判官に認められたわけであります。しかし、この高齢化社会で老人性痴呆症の一つであるアルツハイマー病が離婚の原因になると聞いて、何か割り切れないものを感じるのは私一人ではないと思います。
 老人性痴呆症は脳血管障害とアルツハイマー型があるのは御存じのとおりでありますが、アルツハイマー型は原因も治療もはっきりしていないのが現状であり、これら二つを合わせて約八十万人の患者がいると推定をされております。病院などの施設に入っているのは約二十万人だけで、大多数は家で家族の介護を受けているのが現状であります。今後、高齢化とともに急増し、十年後には百二十万人と予測されておりますが、このような痴呆性老人を抱えた家族の負担の重さは、寝たきり老人の介護と並んで、想像を絶するものがあります。
 寝たきりや痴呆性老人の世話をする介護者は女性が八割強と多くなっており、三人に一人が老人介護のために仕事をやめると言われます。私の知り合いで、老夫婦は老人性痴呆症と寝たきりであり、御夫婦は共稼ぎであるため、就職を控えた孫娘に面倒を見させておりましたが、限度があり、無理を言って老夫婦は介護施設にお世話になりました。
 このように、患者を抱える御家族にとっては、失禁、徘回、暴力など、介護してみなければわからない壮絶な御苦労があります。そして、介護の問題は個人の力だけでは解決できませんし、国や地方自治体の独自の支援策が急務であります。最終的な福祉施設としての受け皿整備は当然のこととして、痴呆にならない方策、予防やメカニズムの解明、そして治療も含めた医療研究施設部門の充実が必要であり、高齢化対策としては福祉と連携を密にした車の両輪としての施策が求められています。
 この問題は、行政経費の増加防止もさることながら、人生八十年をいかに健やかに全うするかという個人の生き方の問題にも帰結するものであり、社会の活力維持のためにも最も必要ではないかと考えます。
 そこで、今後、重要な課題となるであろう痴呆性老人の現状と、それを受けての予防並びに医療対策の必要性についてどのようなお考えをお持ちなのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、農業問題についてお尋ねをいたします。
 農業を取り巻く環境は、主要農産物の需要の停滞など非常に厳しい状況にあり、農村においても後継者問題、高齢化の進展、過疎化等、いろいろな課題を抱えており、オレンジ等の輸入自由化は果樹を基幹作物とする本県農業に大きな影響を及ぼしているのは御承知のとおりであります。
 例えば人口の高齢化は、本県の農業従事者においても深刻な問題となっております。最近の農業調査結果によりますと、農業従事者のうち六十歳以上の占める割合は、昭和五十七年では二七%であったのが年々増加し、昭和六十三年では三六%となり、二・五人に一人が六十歳以上の高齢者で、後継者問題とともにこのような状況に対応できる施策の展開が必要であります。
 また、関西国際空港の開港と空港立地による周辺地域の発展、県内空港や道路網の整備等、需要の一層の拡大と新たな流通手段の展開が期待されるプロジェクトが着々と進められており、温暖な気候、多様な地形、京阪神大都市圏に隣接した地の利等を考え合わせれば、生産農産物周年供給基地としての本県の位置づけは一層高まるものと予想されます。
 こうした背景から、県下最大の農業地帯で都市化、混住化が急速に進展している紀の川流域の農業、農村像を展望すると、豊かな実りと活気あふれる農業と商工業が共存共栄した、安らぎと潤いのある農山村を構築していくのが我々に課せられた責務であり、消費者に期待される高品質生鮮農産物の生産振興、国際化に対応し得る農道等の生産基盤を基本とし、就業の場となる工場用地の造成、観光農業などの導入や都市との交流施設の整備を進めるなど、農山村空間の高度利用に努めることが若者を定着させ、農業後継者を育てる要素にもなり、農山村地域の真の活性化につながるものであると思います。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 まず、高品質生鮮農産物生産の経営事例と、それを実現し、産地化を図るための施策についてお伺いをいたします。
 次に、中山間地域農村活性化総合整備事業において地域指定された九度山町入郷・慈尊院地区の整備計画と活性化の推進方策について、あわせてお尋ねをいたします。
 現在の新聞報道等を見ると、公共投資の増額に対し、従前の公共事業シェアの見直し、特に農業基盤整備事業を削減対象とした経済界の論調が大きく取り上げられており、公共投資が都市にのみ集中し、農村地域が低位な条件のままで取り残されないように努力をしなければなりません。
 紀の川流域の農業基盤状況を見ると、紀の川地区広域農道が完成を目前に控え、国営十津川紀の川農業水利事業、県営安田島圃場整備、農免道路整備事業などが実施され、農業構造改善事業などにより諸施設の充実を図られているところであります。今後とも農家の後継者が意欲を持ち、将来に夢を持てる基盤整備が必要と考えますが、御所見をお伺いします。
 また、紀の川左岸地域の農業振興の基幹をなすものとして関係市町ともども要望している広域営農団地農道、通称・河南農道の計画規模と今後の取り組みについてお伺いをします。
 最後に、かんきつ園地再編対策等についてであります。
 本対策は、オレンジ、果汁の輸入自由化対策の一環として、来るべき自由化に備え、全国的に過剰基調にある温州ミカン、ハッサクなど、早急に需給均衡を図る目的で昭和六十三年度から三カ年実施されているものであり、本対策は全国的にも順調に推進されていると聞き及んでおりますが、紀北地域においても、ミカンやハッサクから柿、桃、イチジク、スモモなどの落葉果樹に転換されるとともに、施設栽培への取り組みも急速に進んでおります。しかし全国的に見ると、ミカンもハッサクも切り過ぎているのではないかという議論や最終年度の対策予算が不足しているとの報道もありますが、本県の実施状況と今後の見通しについてお伺いをします。
 近年、果実の消費は高度化や多様化が進展する中で紀北地域の農業が大きく変わろうとしており、果樹生産は、消費嗜好に合った高品質な果実をより低コストで生産できる技術の確立とその普及が極めて重要な今日的課題であります。こうした意味から、今後とも果樹園芸試験場紀北分場の果たす役割がますます大きくなってくるものと考えます。
 紀北地域の果樹農業の拠点である紀北分場は、昭和二十八年創立以来、いち早く柿の人工受粉や脱渋技術、桃の生産安定、さらに柿、桃、イチジク等の施設栽培技術の開発等、他府県に先駆けて確立するとともに、地域の生産農家のよりどころとして親しまれ、本県果樹農業の進展に大きく寄与しているところであります。しかしながら本分場は、昭和二十八年設立以来、既に三十七年を経過し、建物初め研究施設の老朽化が進んでおり、かねて岸本議長などからも指摘をされているように、今、紀北地域はかんきつ園地再編対策や臨空農業地帯として大きく生まれ変わろうとする重要な時期だけに、私も、この分場を近代的な試験場として施設の整備拡充を痛切に感じるものであります。この点についても、あわせて御見解をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わりますが、二十一世紀へのスタートに当たって、和歌山県のイニシアチブにより、十月三十一日に広域経済文化圏づくりを目指して西日本の関係十七府県八経済団体から成る第二国土軸推進協議会が設立されました。新聞の報道によりますと、第一軸に集積しているのは二次産業が中心だ、豊かな時代を支える第二軸はR&R(リゾート・アンド・リサーチ)がテーマになろうと知事は指摘されたそうですが、まさにそのとおりであり、世界都市関西復権の潮流の中で、豊かな自然に恵まれた新たな開発拠点としての本県の役割の重要性が日に日に高まりつつあることを実感しました。
 間近に控えた関西国際空港の開港、近畿自動車道の南伸など、フォローの風が吹くこの時期をとらえ、活力と文化あふれるふるさとづくりのため、知事を先頭に県民挙げての取り組みが必要不可欠であると考えます。
 知事におかれても健康に十分御留意され、県勢のますますの発展に御精進賜りますよう切に要望し、私の質問の結びとします。御清聴まことにありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの平越孝哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 平越議員にお答え申し上げます。
 本県の人口状況及び今後の見通しについてでございます。
 冒頭、私も述べさせていただいたところでございますけれども、今回の減少の要因は何かと言えば、昭和六十年に端を発した円高の影響が各企業の合理化という問題と結びついたことによるものではないかと考えられます。しかし一方において、大規模開発をしている橋本、また企業誘致をしているところにおいては人口が増加をしており、今後に向けて明るい材料ではないかと思っております。
 今後の見通しといたしましては、先ほども話ございましたけれども、昭和六十二年以降の経済成長の発展が人口増加に大きな影響を与える要素だと思っておりまして、今後とも、企業誘致並びに各種プロジェクトの推進等について、県勢活性化のためになお一層努力してまいりたいと思います。詳細については企画部長から答弁申し上げます。
 次に、関西国際空港遅延とその影響についてでございます。
 竹内社長も申しておりますように、予想を上回る地盤沈下等、種々の問題により関西空港開港が予定よりもおくれるという非常に厳しい状況でございます。
 これまでにも本県は、空港建設に当たり、加太の土砂搬出等、積極的に協力してまいりましたし、またそのインパクトの受け皿づくりについても、県民の利便性の向上や県勢活性化のため交通アクセス等に努力してまいったところでございます。
 開港の時期につきましては、現在県が進めておる各プロジェクトと非常に関係する問題が多く、特にマリーナシティにおける世界リゾート博は平成五年の夏を目途に進めておりますけれども、開港延期が決定されたときにどうするかということで、その開催時期も関係者と相談していかなければならないと思っております。
 今後なお一層、関空株式会社に対し、早期開港について最大限の努力をするように引き続き要請してまいります。また、関連する諸問題についても、県議会とも十分相談させていただきながら対処してまいりたいと考えてございます。
 何と申しましても、県益のために、また県民の利便性を確保するために関西国際空港を世界に誇る空港にしなければなりません。議員御指摘の全体構想の実現についても全力を挙げて進めるつもりでございますし、本日も副知事がオール関西の岸知事、宇野会長等と一緒になり、国に対して強く陳情に参っているところであり、議員の皆さん方の御支援をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 次に、高齢者対策でございます。
 議員からるる国の状況、県内の事情等についてお話ございましたように、超高齢化社会を目前に控えており、この問題が国政にとっても県政にとっても緊急の課題でございます。
 県民のだれもが楽しく長寿を享受できる社会を築くためには、御提言ございましたように、環境整備、地域づくり、また生きがい対策等々、社会全般にわたる問題についてソフト、ハードの両面から総合的な対策が望まれているところでございます。
 このため、本年の一月に和歌山県においても長寿社会総合対策指針を策定し、これから迫りくる長寿社会に向けての基本的な施策の方向について明らかにしてきたところであり、また本年の七月には、高齢者の需要にこたえるため、高齢者無料職業紹介所を設置したところでございます。さらに、高齢者に対する住宅や公共施設等の問題についても、設計指針として現在検討を進めているところでございます。
 とにかく、総合的な視点から長寿社会を考えていかなければなりませんし、そのためには市町村を含めて行政の一体的な推進を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、人口問題と各プロジェクトの展開についてお答えを申し上げます。
 本県人口の状況並びに今後の見通しについては先ほど知事から答弁がございましたが、まず本県の人口の推移といたしましては、昭和五十七年の百九万五百二十一人をピークに、昭和五十八年から減少傾向に転じているところでございます。
 この要因といたしましては、昭和五十七年までは県外への人口流失による社会減を出生による自然増でカバーしてきましたが、昭和五十八年以降は自然増が社会減を下回る水準となっているところでございます。さらに昭和六十年以降は、円高や構造不況から来る本県基幹産業の鉄、石油、化学等の基礎素材型産業の低迷、各関連企業の合理化による人員削減等により、この五年間で一万二千八百八十八人の減少となっております。
 一方、その内容を分析いたしますと、八つの市町村で人口が増加しておりますが、その要因としては、大規模宅地開発、企業誘致の推進、交通体系の整備、地域産業の活性化等が考えられるところでございます。
 今後の見通しといたしましては、先ほど知事が答弁されましたが、一、最近の企業進出の状況から見ると、平成三年度以降は各種進出企業の本格的な操業が始まり、新たに相当規模の雇用者増が見込まれること、二、各種の大規模プロジェクトが順調に推移していること、三、昭和六十三年度においては経済成長率が五・五%と国の水準を上回って七年ぶりの高い伸び率となっていること等々から、今後、県人口が増加をたどる要素は十分あるものと考えてございます。
 なお、住民基本台帳人口結果では昭和六十年度からの減少傾向に歯どめがかかり、平成二年においては対前年三月末比五百九十一人の増、九月末比千四百七十八人の増となっているところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想についてお答えを申し上げます。
 まず、リゾート構想の承認のめどでございますが、昨年五月に国に基礎調査書を提出いたし、本年八月二十九日には正式に承認申請を行い、関係省庁と協議を重ねてまいりましたが、現在、関係六省庁において承認のための最終の事務手続中でございますので、十二月中には承認が得られるものと考えております。
 次に、承認後の取り組みについてでございますが、構想の実現を図るため民間企業の積極的な立地促進に努めるとともに、地元産品のリゾート地への供給やフィッシャーマンズワーフ、観光農園等、リゾート産業への地元の参画、リゾート客への快適なサービスを提供していくためのすぐれた人材の育成、確保等を図り、さらに景観にも配慮し、自然環境や周辺景観と調和した質の高いリゾート地の形成を目指してまいりたいと考えてございます。
 今後、地元市町や重点整備地区に設置をする燦黒潮リゾート構想推進協議会等と密接な連携を図りながら、活力ある快適な町づくりを推進してまいりたいと考えてございます。
 最後に、紀伊丹生川ダムの周辺地域整備についてお答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、伊都・橋本地域は自然環境にすぐれた地域であり、交通基盤等の整備により一層の発展が見込める地域であると考えておりまして、県の長期総合計画においても交通情報基盤の整備、高野文化リゾート基地の形成、産業の振興等、紀伊半島内陸部における拠点として整備を図ることとしてございます。
 紀伊丹生川ダム建設に伴う水源地域整備につきましては、ダム建設により影響を受ける地域住民のため、生活、産業、交通基盤を整備して生活の安定を図らねばならないと考えており、現在、基本構想を策定し、検討しているところでございます。
 今後は、建設省により進められている実施計画調査の進捗にあわせ、水源地域整備計画を策定してまいる所存でございます。
 なお、周辺地域整備につきましては、ダム建設を契機とし、地域の持つ特性を生かした周辺地域全体の活性化を図るため、国、地元市町ともども検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、紀伊丹生川ダムの建設についてでございます。
 建設省では平成元年度から実施計画調査に着手しており、平成二年度は調査費二億円で水理水文調査、水質測定、橋本側ダムサイトにおいてボーリング調査を実施しているところであります。また、水源地域の方々への対応につきましては、重要な問題と認識しており、十分な調査を実施することとしております。
 県といたしましては、地元関係者の御理解と御協力を得られるよう地元市町と密接な連携を図り、平成十二年度完成を目指して積極的に努力してまいります。
 次に、国道三百七十一号の整備についてでございます。
 橋本─高野山間の道路計画につきましては、紀伊丹生川ダムの堤体の高さや計画高水位等により道路の線形が影響を受けることとなりますので、紀伊丹生川ダム建設計画の進捗に合わせながら道路計画を検討してまいりたいと考えております。
 また、市脇─清水間の紀の川架橋につきましては、国道三百七十一号の橋本橋が昭和五十三年にかけかえされたばかりでありますので、河南地域での土地利用状況、及び現在河南地域で事業中の県道和歌山橋本線の交通状況の推移を見ながら検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 老人保健福祉計画についてお答えいたします。
 本県の長寿社会総合対策指針に掲げている長寿社会対策の目指す方向の柱の一つである安心して老後を迎えられる社会づくりのためには、保健サービス、福祉サービスの連携の中での総合的な支援が不可欠となっております。このため、法改正並びにゴールドプランを受けて、本県としては二十一世紀を見据え、将来的展望に立った目標の中で具体的対策を図るためのプラン、すなわち老人保健福祉計画を策定することとしてございます。
 計画は、現状把握をもとに、サービスの実施目標、サービスの供給体制の整備・確保、さらに社会参加活動等の生きがい対策等を内容とし、市町村レベルと県レベルの二層構造とすることとしております。
 今後の策定スケジュールにつきましては、改正された関係法において平成五年四月施行となっておりますが、計画の緊急性、重要性にかんがみ、本県では既に市町村との協議を始めており、平成三年度において基礎調査を行い、平成四年度中に計画の策定を完了したいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 痴呆性老人の現状につきましては、六十五歳以上の老人人口全体に対する出現率は四・八%と推計されてございます。
 今後、老人人口の増大に伴い、さらに痴呆性老人が増加することが憂慮され、その対策として、調査研究の推進、発生予防対策の充実、在宅保健福祉対策、施設整備、その他の基盤整備を総合的に実施していくことが必要であると考えております。
 予防対策として、脳血管性痴呆については老人保健法による保健事業の一環としての健康教育や健康診査を行っているところであり、アルツハイマー型痴呆については今後の研究課題であると考えてございます。
 次に医療対策としては、医療の必要な痴呆性老人については症状に応じた適切な医療の供給が必要であり、現在、病院、老人保健施設等において対応をしているところでございますが、今後、さらに医療関係者の資質の向上を図ってまいる所存でございます。
 なお、在宅保健福祉対策につきましても、介護者のための老人介護セミナーを保健所単位に開催しているところであり、今後とも痴呆性老人対策フォーラムやリハビリテーション講習会等により、老人性痴呆に関する啓発を進めてまいりたいと考えております。
 今後、さらに保健・医療、福祉の両面にわたり連携をとりながら痴呆性老人対策を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農業問題について五点の質問でございます。
 紀の川流域における高品質農産物経営の事例の問題でございますが、これまで県においては、本県の地域特性を生かした収益性の高い農業の実現に取り組んできたところでございます。特に関西国際空港の開港など新しい需要動向に向けて施設園芸タウンづくりを進める中で、最近、従来からの露地栽培に加え、施設栽培を取り入れた経営が多く見られており、果樹では樹上脱渋柿や桃、柿などのハウス栽培、野菜では裏作野菜と組み合わせてのトマトやミツバ等の軟弱野菜の養液栽培、イチゴの低温処理早出し栽培等が導入をされております。また花では、野菜、果樹との複合経営の中で特にバラのロックウール栽培が取り入れられており、いずれも高品質、高収益営農が行われております。
 さらに、オレンジ自由化対策として実施したかんきつ園地再編事業でも、ミカンやハッサク園から柿、桃への転換が急激に進み、経営の改善に大きく寄与していくものと考えております。
 今後とも適地適作の産地化を図るため、圃場整備や農道などの生産基盤の整備を最優先しながらいろいろな補助事業、融資事業による施設園芸タウンづくりを一段と推進する一方、試験研究機関においては、バイテクによる新品種の開発や新作型など新しい栽培技術を通じ、周年供給体制づくりに鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、広域河南農道についてでございます。
 議員の皆様方を初め、関係の市町村長及び地元の皆様方の強い御要望を受け、橋本市よりかつらぎ町に至る延長十八キロメートル、総事業費九十七億円の計画となっております。広域営農団地農道整備事業紀の川左岸地区として、国に対して平成三年度新規事業採択の要望を行っておるところでございます。新規事業のために難しい問題もありますが、採択に向けて積極的に努力してまいる所存でございます。
 なお、那賀地域への延伸につきましても、本年度より調査を行っているところであります。
 次に、中山間の農村活性化総合整備事業の問題でございます。
 この事業は、全国的に事業採択希望が大変多い事業でございました。入郷・慈尊院地区では、九度山町の農業の中核的な地域でございますが、急傾斜地も多く営農条件が厳しいため、この事業をいち早く積極的に導入をいたしました。用排水、農道、圃場整備の総合的な事業実施により農家所得の向上に努め、営農飲雑用水、農業集落排水事業を実施し、農村環境の改善をも図ることにいたしてございます。
 また、この事業で受益地内に企業誘致用地を造成し、安定就労の場を確保するなど、農村として多面的な施策を実施し、地域の活性化を推進しようとするものでございます。
 議員お話しのように、農業後継者が意欲と夢を持てる地域づくりを推進するため、今後とも急速に都市化、混住化が進む地域にマッチした生産基盤、環境基盤の整備を図っていく所存でございます。
 次に、紀北分場の整備の問題でございます。
 お話のように、当分場は落葉果樹の試験研究を主体として昭和二十八年に設置をされて以来、今日まで本県果樹農業の発展に大きく寄与してきたところでございます。今回のかんきつ園地再編対策や消費者ニーズの多様化、国際化の中で、今後、果樹園芸試験場の果たす役割がますます大きくなるものと考えてございます。
 紀北分場は既に三十七年間を経過しており、施設等の老朽化が進んでいることは御指摘のとおりでございます。紀北地域の農業振興と高度技術への対応の面からも、施設の整備充実については真剣に検討をしてまいりたいと存じます。
 最後に、かんきつ園地再編対策の実施状況と見通しの問題でございます。
 かんきつ園地再編対策の実施状況につきましては、本県温州ミカンの国から割り当てられた転換目標面積二千四百二十ヘクタールに対し、最終年度のことしの実施計画を含めた三カ年の達成見込み率は八四%、約二千ヘクタールであります。またハッサク等中晩柑類では、全国転換目標面積四千ヘクタールに対し、和歌山県ではハッサクを中心に全国の約三〇%に相当する千百五十ヘクタールの大幅な実施となります。
 その特徴を見ますと、他府県では廃園が七〇%を占めるのに対し本県では三七%と、低うございます。一方、他果樹への転換が全体の五五%と最も多く、このことは、紀の川流域での落葉果樹への転換や有田地域での高品質ミカンへの取り組みに見られるように、地域の特性を最大限に生かす等の営農意欲が大変高いということがうかがわれます。
 なお、この事業につきまして、議員お話しのように助成金の財源不足の問題が起こっておりますが、これは全国的に補助金額の最も高い廃園面積が当初予想以上に多かったことによるものであり、不足財源について、国は今通常国会に補正予算案を上程いたしております。
 今後、本県といたしましても、実施農家の希望が十分満たされるよう財源の確保に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、平越孝哉君の質問が終了いたしました。

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