平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 かつて、日米構造協議の中で社会資本の充実整備を中心として十年間に約四百三十兆円を投資していくというような話が出てまいりまして、本議場におきましても、過ぐる議会では、こういう時代の変わり目に際して和歌山県としていかに多くの県益を受け取るか、その対処の仕方を研究すべきだという意見が出されてまいりました。
 〔議長退席、副議長着席〕
 去る八月十日の新聞によりますと、建設省は平成三年度の重点施策として、先ほど申し上げた日米構造協議の最終報告を受けて五分野の重点施策というものを発表しております。この五分野の重点施策の発表ということに対して、それぞれの内容の把握と県としての対応をお伺い申し上げます。
 特にその中で、新たに建設労働者安定基金──仮称でございますが──の創設を盛り込んでおるわけでございます。若年労働者不足は、和歌山県のみならず全国に普遍している大きな悩みの一つでございますが、労働力の確保という見地から建設労働者安定基金を創設しようとする国の意図を受けて和歌山県としてはどう対応していこうとされるのか、お伺いを申し上げるものであります。
 次に、日米構造協議でも取り上げられ、この議会でも論議をされましたけれども、大規模小売店舗法いわゆる大店法の緩和と関連して平成三年度は商業市街地の振興整備を主要課題にしておるわけでありますが、もう一度これについての県の対応もお伺いを申し上げたいのであります。
 三番目として、国際化されていく日本社会の中で、特にすぐ隣接して関西国際空港を持つ和歌山県としては国際化に対応する県政でなくてはならないと思うのでありますが、国としては、国際化への対応として、建設市場への外国企業の参入推進のための情報提供を実施するほか、国際人材交流促進事業を創設して建設分野の海外研修生の受け入れ態勢の強化に取り組むとなっております。こうした国の態勢と連動して我が和歌山県としてはどうしていくのかということであります。
 次に、和歌山県でも一番大きな悩みの種でございますけれども、公共投資拡大の際に障害となる公共事業用地の取得についても、用地国債の発行要件の緩和や道路開発資金制度の活用で取得推進を図ることとするといたしております。こういった国の打ち出す方針を存分に活用することは当然でございますけれども、特に用地取得につきましては、国の制度、方針を活用すると同時に、我が和歌山県方式というものを工夫、努力の積み重ねによって打ち立ててもらいたいということをこの前にも申し上げておったわけでありますが、この際さらに、こういった国の方針に対応して和歌山県としてはどういう決意でおるのか、現状はどうかということをお伺い申し上げる次第であります。
 次に、冒頭に申し上げたように、四百三十兆円という膨大なお金を十年間、主として社会資本の充実整備に向けて投資をされる、これはもうほとんどの国民が知っておるわけであります。
 翻って、来年度の国の予算はどうであるかということを調べてみますと、平成三年度の概算要求は前年度と比較して一般道路事業費で一・〇〇の伸び率でございます。ということは、昨年と同じということでございます。
 御存じのように、労働者不足ということもございます。最近は特に、イラクにその発生の機を見ましたけれども、中東問題による石油事情の変化、油の高騰に伴う建築資材の高騰ということが当然予測されてくるわけであります。そうすると、予算の伸び率が前年度と比べて一・〇ということは仕事が減るということと同じでありますから、大変なことだと思うのであります。
 特に我が県は、近畿自動車道紀勢線の延長として南紀に伸びようとする路線、あるいは京奈和道路、また一般国道でも第二阪和等、国の直轄する重大な県勢発展のかぎとなる道路を幾つも抱えておるわけでありまして、こういった国の概算要求を見まして、一方でまた十年間に四百三十兆円を注ぎ込むという事実を頭に持ちながら、まことに不思議な感じと情けない感じを同時に抱くものでございます。
 和歌山県にとっては、今申し上げた道路以外に、府県間道路はもちろん、三─五軸を形成する国道から県道、さらには市町村道に至るまで、道路整備を体系的かつ可及的速やかに進めていくためには、この道路予算の枠をぜひとも拡大してもらわなければならないということになるのであります。
 私どもは、来年度、地方選挙を控えておりますけれども、それでも、同志の皆さん方と当局の熱意と相まって国に陳情することもやぶさかではないと決意をしてございます。和歌山県知事として、こういった時代に対処して、その大事な時点をとらえて建設省から大蔵省に働きかけていただく、あるいは全国知事会議、近畿の知事連絡会議ということもございましょうが、県庁として国の一般道路の枠拡大に対してどのような決意と方法で迫ろうとされておるのか、お伺いしたいと思うのであります。
 同時にまた、知事の決意、積極的な行政のあらわれだと思いますけれども、平成元年、平成二年と県単独事業いわゆる県単事業の大幅な伸びを見てまいりました。平成三年度においてもこの単独事業はますます必要になってくるわけでございますが、これに対する来年度の和歌山県財政の見通しについて、また来年度の財政見通しの中から道路関係の県単枠の見通しについてどのように考えておられるのか、諸物価、建築資材等が恐らく高騰していくであろう中でどのような予算編成をされようとするのか、総務部長にお伺いを申し上げたいと思うのであります。
 平成三年度への概算要求は今申し上げたとおりでございますけれども、幸い、私ども自民党県連においても近く上京して党本部に道路予算の獲得について陳情することとなっておりますし、平成二年八月二十三日には、「自由民主党政務調査会・道路調査会会長・金丸信」という名前で「第十次道路整備五箇年計画の達成を図るため、概算要求額及び要望額の全額確保はもとより、これを大幅に上回る道路予算を確保すること」と、総意をもって決議いたしております。
 こういった決議や自由民主党の道路枠拡大への熱意をてことし、和歌山県議会総力を挙げて当局を支援するとともに、これからの二十一世紀を築いていく上で一番大切な基盤となる道路行政について、平成三年度のあり方を充実したものにするために御努力をいただきたいと思うわけであります。
 次に、和歌山市の中心商業地区及び主要鉄道駅の活性化ということについてお伺いを申し上げます。
 今まで、土木部計画課等においても、市駅前を中心とする商店街、ぶらくり丁・丸正を中心とする中央商店街、和歌山駅を中心とする東の商店街等についていろいろな調査がされてきたと思うわけでありますけれども、こういったシンボルロードのネットワークや駐車場についての調査内容の発表、これらの計画を進めていく年次計画をお知らせいただきたいと思うのであります。
 同時に、調査計画という段階を経て実施していく非常に時間のかかるものと、比較的短期間でやろうと思えばできるもの──この一つにはキャブ工事やアーケードがございます。しかし、電線を地中に埋めるキャブ工事というものは、もともとは関西電力等の電力会社が石油の安定、油の値下がりという要因を受けて、その利益の一部を社会に還元していくというところから出てきたものでございますから、今回の油の値上げによってこのキャブ工事が中断するおそれはないのかと心配するわけでございます。特に和歌山駅前けやき通りのキャブ工事は進行中でございますので、この点についてもお伺いを申し上げる次第であります。
 次に、この前にも質問をさしていただきましたが、どこの県に行きましても、県都の玄関口である駅というものはその町の中心になっております。他府県から来られた人々にとっては駅におり立ったときがその県に接する対面のときであり、それがその県の顔に対する第一印象となるのであります。
 そういうことから考えても、和歌山駅の存在というものは、和歌山県にとっても、県都和歌山市にとっても極めて大切な存在であることは間違いないわけでありますが、今の和歌山駅とその周辺の形を考えた場合、これでよいのかという思いを強くするわけであります。現状を考え、将来、和歌山駅を県の玄関口として住民の皆さんや和歌山市と相談しながらどのようにしていこうという決意を持っておられるのか、知事にお伺いをするものであります。
 以下、関連部長にお伺いを申し上げます。
 和歌山駅周辺の将来構想については都市計画の速やかな促進ということが極めて大切でございますけれども、その現状、見通しについてお尋ねを申し上げます。
 和歌山駅の西側については、土木部計画課等によりいろいろな計画をしていただいているようでございます。駅前商店街の要望等を受けたこともございますが、先ほど申し上げたシンボルロードネットワークということと相まって、自主的に地下駐車場の調査を現在やっていただいておると聞いております。こういうことについても、現状あるいは調査の内容をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 駅の東側でございますが、御存じのように、主として地区住民の力によって仮駅舎が建ってございます。現在、東側の仮駅舎の乗降客数は、少ない日で約四千、多い日で五千、この間にあるということであります。ちなみに、御坊駅で約六千六百、湯浅で六千ということでございますが、近い将来、この東側の駅口だけでその数字に近づいていくだろうと思うわけであります。
 こういったことを考えて、今のような仮駅舎ではだめだ、本格的な駅をつくりたい、しかしこれを県や市にお願いしてもちょっといかんので、民間資本を導入して自分たちの力でここに駅舎を建てたいということが地方紙に出ておりました。その代表の方に聞きますと、人の集まる場所も少ないので、できればそこに千人ぐらい集められる集会場もつくりたい等、いろいろと夢を持っておられるようであります。
 こういった民間の動きについては、和歌山市を通じても聞き、あるいは直接にも存じ上げていただいておると思いますが、このような民間の意欲を、和歌山駅を中心に描くせめて半径一・五キロぐらいの面の振興という中でどんな形で考えていくのか。住民の熱意を地域発展の牽引力として位置づけていくために行政はどのような対処の仕方をしなければならないかということになるわけでございますが、こういった点についても、御所見がございましたらお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 また、その方々の申しておられるのを聞きますと、もう駅の東側のある場所では一坪一千万からするということでございます。こういう時代になってくると、用地買収で道路をつくったりしていくことはとてもできない。いろいろ苦労したけれども、区画整理事業はやっぱりよかったんではないか、駅の東側も区画整理事業で整備をしていく方がいいんじゃないかということになってきております。
 この間、行政とも話し合いをし、宮、宮北、四箇郷、西和佐各地区の住民に区画整理による地域整備についてのアンケートをとったようであります。特別反対という意見もなかったが、特別賛成という意見もなかったということでございますが、これは、この事業の何たるかということもまだ十分御理解をいただけておらないこともあるのではなかろうか、もう一度準備をしてアンケートをとりたいということも言っておられたわけであります。こういった区画整理事業と和歌山駅周辺の発展との関連について、お考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 また、和歌山駅周辺の商業圏をどのようにとらえておるか、そして現状をどのように分析しておられるか、商工労働部にお伺いをしておきます。
 次に、駅前広場についてお伺いをいたします。
 私がこの質問をしようとしておるときに、私の前に今この演壇でお話をなさった田中実三郎先生が、「実は私は駅前広場のことについて質問しようと思っておるんだけれども、あんたがするんだったらもう」ということでありました。「先生はどんなことを質問されるんですか」とお聞きをいたしますと、「和歌山市の方々は和歌山駅をよく知っておられるけれども、私は議会のたびに乗ったりおりたりする乗降客の一人として、日々和歌山駅を眺めながら考えることがあるので、それを言いたい」ということで、鋭い観察眼を持つ乗降客としての御意見であったように思うのであります。
 詳しくは聞いておりませんけれども、田中先生の御意見は「和歌山駅前は駅前広場としての機能は全然果たされておらない──全くそのとおりであります──バスとタクシーに占拠されておって、駅前広場という人の集まるゆとりのある場所ではない。むしろいらいらするような場所であるかもしれない。だから、このバスとタクシーを地下へ入れて、駅前広場を本来の駅前広場にしたらどうか」と、こういうような御意見も伺ったのであります。
 私は、これとよく似た形で、先ほど申し上げた駅前通りの地下駐車場等いろいろ考えてバスやタクシーを地下に入れることが大変難しいとすれば、近鉄百貨店の二階とステーションビルの二階部分をフラットにして、その二階におりてもらう。そして、二階の部分にいわゆる駅前広場に相当するものをつくり、その上に二十四時間型の透明の屋根をつければ、こちらの隅では若者が歌を歌っておる、こちらの片隅ではベンチに人がかけて憩っておるという、安らぎと潤いのある、人を引きつけることのできる駅前広場としての工夫ができるのではなかろうかと申し上げたことがございます。
 こういうこともこれからの和歌山駅を考えていく上で重要なことでありますので、こういった意見について、将来どのように取り入れていこうとされるのか、お考えをお聞かせいただきたいのであります。
 その次に、先日、私は税理士をしておる友人とあるところで話をしたわけでありますが、その中で極めて印象に残った二点を御紹介申し上げ、和歌山駅中心のあり方と連動さして質問をしてみたいと思うのであります。
 一つは、税理士でありますから、何百というお得意さんの帳面を見ております。その全体の結論として「ここ二、三年、もうけられなかったような商売人はやめた方がよい」ということでございます。府県によって差がございますけれども、それほど空前絶後の好景気と呼ばれた景気が長い間続いてまいったわけであります。
 しかるに、和歌山で最も地価の高いところの一つである和歌山駅のステーションビルに空き家が出てくる。美園商店街に空き家が出てくる。この現状をどう思うかということになるわけであります。
 もう一つは、ちょっと飛躍するように思いますけれども、これは商店街の皆さん方や地域の住民、行政や我々もよく考えてみなければならないと思うことでございます。
 それは、ペレストロイカを進めるソ連のPR漫画の話であります。どんな漫画かと申しますと、よくある話ですが、ソ連のある乳牛を飼っておる農家の方が裏の畑を掘っておると、つぼが出てくる。アラジンの魔法のランプのようなものですが、そのつぼをあけると一人の魔法遣いが出てまいりまして、「非常に長い間この中に閉じ込められておった。あんたは私をこの世に出してくれた大恩人であるから、一つだけ望みをかなえてあげよう。あなたの一番の関心事は何か」と。「私は、乳牛を飼っているから、乳がよく売れることを願っておるんだ」、「それでは、乳牛をたくさんやろうか」と魔法遣いが言いますと、答えは「隣の牛を飼っている人を殺してほしい」と。すなわち、競争相手をなくしてほしいと答えたという漫画であります。
 ペレストロイカはこうであってはならないということをPRするための漫画だそうでありますけれども、私の友人はその漫画を見て、今の日本人もそうなりはしないか、特に和歌山人はそうなりはしないか、一遍反省してみなければならないのではないかという話でありました。
 すなわち、商店街や駅を中心とした面的な発展というものはただ一人の力だけではどうしようもないものでありまして、ともに発展していく共存共栄の見地に立つこともぜひとも必要であろうと思うのであります。こういったことを含めまして、当局にいろいろなことを御質問さしていただいたわけであります。
 次に、和歌山市はインテリジェントシティという指定を受けておる指定都市であります。計画としては、コスモパークやマリーナシティといったところをインテリジェント要因の高い町にしていこうということが一つ。そうして、和歌山駅周辺にいわゆるインテリジェントビルを建てるということであります。
 このインテリジェントビルというのは、民間でもよいし第三セクターでもいいのですけれども、極めて高い情報機能を備えたビルだということであります。このビルを建てるについては融資や減免制度もあると聞いておりますが、このインテリジェントビルとは何物なのか、そしてどのような融資制度や減免制度があるのかということもお伺いを申し上げたいと思うのであります。
 先ほど申し上げたように、和歌山駅のステーションビルに空き家が出てくるという状態であります。和歌山県も株主であります。和歌山市も株主であります。経営に参加する者として、ここ二、三年もうかっていなければやめた方がよい、あるいは原点に返って考え直してみなければいけませんよと言われる時代に空き家が出てくるこのステーションビルのあり方について、原点に戻って考えてみなければならないのは当然のことだと思うわけでありますが、これについての御見解をお聞かせいただきたいのであります。
 最後に、経済センターについてお伺いを申し上げます。
 経済センターについては、経済センターで働いておる職員の皆さん方や出入りしておる方々からも、もう既にこの場所では行き詰まっておる、駐車場はもちろんのこと、将来の経済の中心としていろいろな仕事をしていく建物としてはとてもやっていけないのではなかろうかという意見を聞いてまいりました。また、我々の方から見ましても、そう思います。
 例えば、梅とか漆器とか県産品を売っておるところがありますが、これ一つをとってもそうでございます。置いておる物は非常によい。売ってくれている県の職員も一生懸命やってくれています。いろいろ工夫をしてくれて、最近はちょっと売れ行きの伸びが出てきたということでございます。その努力を多としなければならないと思いますけれども、それでも買いやすい場所ではない。
 少なくとも、いろいろなプロジェクトを持ち、県都和歌山市の商工業の情報提供や調査をしていく、あるいは貿易振興に資していくという経済センター本来の業務を行っていくためには、その置かれる場所、建物のあり方について根本的に考え直してみなければならないときであると思うのでございますけれども、知事並びに関係部長のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 次に、最近、「ルーズな公有地管理、問題に」ということで、経済センターの土地のことが地方紙に取り上げられております。これは、市民会館の前にある市の駐輪場の土地とこの経済センターの土地について、どちらも雄湊地方ですので戦災復興土地区画整理事業の清算事務が本年で終わり、それぞれ登記がなされておるわけでありますけれども、非常に長い年限の間に地価が高騰して、当時は市民会館前の土地の方がちょっと高目であったものが、現在では経済センターの土地の方が倍以上になってきたという時代の変移もございまして、いろいろともめておるようでございます。これについて、新聞に公有地の問題が載るということでありますから、はっきりとした説明もあわせてお願いを申し上げたいと思うのであります。
 和歌山駅と経済センターのことを申し上げましたけれども、最後に、経済センターを建てかえる位置としてはどこがよいかということでございます。
 当局でも恐らくいろいろお考えをいただいておると思いますが、一つは丸正の仮店舗を建てておるところでございます。あそこは国の土地ですから公共団体以外には払い下げないと思いますけれども、公共団体が窓口になって、民間資本を導入して建てるということも一つの案でございましょう。
 私は、この和歌山駅の問題をいろいろ考えてまいります中で、これからの経済センターというものは同時にインテリジェントビルでもなければならない、経済の中心になって助言や調査をしていこうとするそういうところは、少なくとも高い情報機能、インテリジェントの機能を備えたところでなくてはならないと思うのであります。
 そこで、こういった経済センターとインテリジェントビルとの合体ということは考えられないであろうか。インテリジェントビルについて一番いいのは、民間で建てていただくビルにインテリ機能を備えることでございます。経済センター、インテリジェントビル、いずれにしても民間の資本を導入しなければできないことは事実でございますから、民間の資本を導入できる、投入したいという魅力のあるものでなければなりません。
 確かに、丸正仮店舗のところは和歌山の一等場所であります。しかしまた、和歌山駅も一等場所であります。
 例えばの話でございますが、和歌山駅に線路をまたぐ跨線橋というのがあります。「跨線ビル」という言葉があるのかないのか知りませんけれども、線路の上にまたがってビルを建てて、その最下部を南と東をつなぐ通路とする。それによって駅の東側と西側とを完全に連絡すると同時に、その両端に東側の駅舎と西側の駅舎をつくる。その上に経済センターや民間商社等が入る、そうしたインテリジェント機能を備えたビルをつくることができないか。
 もしこういうことを実現できるといたしますならば、和歌山駅を中心とする商業圏の一大核になり得るし、また駅の機能をアップすることもできる。和歌山が投資をしているステーションビルを今後どうしていくかを考える際に、大きな見地から考えることのできる余裕が出てくるのではなかろうかと思うのであります。
 こういった私の提案を含めまして、当局の賢明な御答弁を期待して質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 建設省重点施策の五分野に対する県の対応の問題と国の道路予算枠拡大に向けての具体的な取り組みについて、まず最初に申し上げたいと思います。
 お話のように、建設省が平成三年度予算の概算要求の中で公共投資基本計画の初年度として定めた新五カ年計画関係事業のほか、道路、治水事業等の社会資本整備などの五分野については、本県にとりましても極めて重要な施策でございますし、これは千載一遇のチャンスではないかと思います。これについて、本県の均衡ある発展と活力に満ちた快適な地域づくりをいたすべく、特に道路網の整備については最も重要な柱としてとらえてまいりたいと思っております。
 具体的には、第十次道路整備五箇年計画の達成は本県とも深くかかわる問題でございまして、おっしゃるとおり、このためには国の道路予算の拡大ということがぜひとも必要でございます。このことについては、さきにも自民党とともに建設大臣にもお願い申し上げたところでございますし、過日の知事会議においても申し上げてまいったところでございます。
 お話ございましたように、県議会の皆さんの格別の御協力をいただかなければこの枠拡大は成就し得ないんじゃないかという感じがするわけでございまして、年末の予算の時期に向けて、関係の皆さんのなお一層の御努力をお願いしてまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、和歌山駅周辺の将来構想でございます。
 JR和歌山駅は、県都の玄関として、また関西国際空港への結節の拠点として、私はますます重要な役割を担ってくると考えておるわけでございます。
 話ございましたように、駅周辺は本県の中枢機関が立地すべき地域でございまして、国際化の波の中で情報化に対応する地域として、また魅力と潤いのある町づくりを進めまして、二十一世紀の都市のあるべき姿を実現したいと考えておるわけでございます。
 本地域の整備の基本的な方針を策定するために、過年度より「うるおいのある街づくり調査」を国の予算もいただきながら進めてまいってきておるわけでございます。今後は、そこで出た結論、成果を踏まえ、シンボルロードや駐車場、地下駐車場等の整備等も考え、和歌山市、地元の皆さんと協力して推進してまいりたいと存じておるわけでございます。
 詳細につきましては、関係部長から答弁いたします。
 次に、経済センターの問題でございます。
 現在の経済センターは昭和三十三年に建設されまして、県の経済界の振興に大きく貢献してきたところでございます。しかしながら、近年、施設等の附帯機能が時流に合わなくなっていることは私も認識してございまして、県としても、今後、経済界の中核となる新しい形の経済センターを研究してまいる所存でございます。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 一番目の、建設省重点施策五分野に対する県の対応についてでございます。
 まず、建設労働者安定基金(仮称)の創設についてでございますが、建設業が健全に発展していくために若年建設従事者の確保は緊急を要し、かつ重要な課題であります。議員お話しの基金は、建設業における労働条件を改善するため、建設業者が労働者の賃金の一定比率に相当する額を積み立て、この積立金から休業その他の手当を支払うというシステムであります。国においては平成三年度予算にそのための調査費用を要求している段階でございますが、県としても、この趣旨を十分踏まえ、若年労働者の確保に向けて一層工夫したいと考えております。
 次の国際化への対応についてでございますが、我が国の国際的地位の向上に伴い、国際協力の重要性はますます高まっているところであります。建設省においては、その対応として、建設市場への外国企業の参入推進のための情報提供の実施、建設分野の海外研修生の受け入れ態勢の強化等、検討が進められているところでありますが、県としては国の情報などを得て対処してまいる考えであります。
 次の、公共事業用地の取得についてでございます。
 議員御指摘のとおり、公共事業用地の確保が極めて困難な中で、公共投資の拡大に対応するため、国では用地取得制度の弾力的運用等、新しい措置が検討されておりますが、県としても、これらの制度の具体的運用などについて、国との連絡を密にしながら積極的に活用を図るとともに、県独自として土地開発基金による先行取得事業を今議会にお願いしているほか、代替地に関する民間との連携による情報システムの構築なども実施いたすべく、取り組んでいるところでございます。
 二番目の、県の単独予算の拡大についてでございます。
 土木部関係単独予算については、平成元年度では対前年度比三二・九%増の百六十三億五千余万円、平成二年度においても一四・六%増の百八十七億三千余万円の予算を承認いただき、地方財政計画の伸びを大幅に上回る投資的事業の推進を図っているところでございます。
 新年度においても、国に対して公共事業枠の大幅獲得に努力することはもちろん、県の予算編成方針の決定を踏まえ、半島振興道路整備事業を初めとして、県民生活に密接に関連する県単独事業の積極的な拡大を図ってまいりたいと存じます。
 次に、国の道路予算枠拡大に向けての具体的取り組みでございますが、道路整備が県政の重点施策の一つである本県にとっては、国の道路予算枠の拡大に向けて積極的な取り組みが必要であると考えております。
 しかしながら、平成三年度の国の道路予算の概算要求時での一般道路予算は事業費で対前年度費一・〇、伸び率ゼロであり、生活関連要望分を含めても対前年度比一・〇二と、非常に厳しい状況であります。このままの予算額では、第十次道路整備五箇年計画を達成するために最終年度となる平成四年度は対前年度比一・三七の予算を組むことが必要となり、事実上達成は不可能となってしまう事態を憂慮しております。
 県としては、十二月の国の平成三年度予算編成に向け、道路整備を求める地方の声が国の財政当局並びに関係省庁に理解されるよう、県議会の皆様、市町村及び各種団体の御支援をいただきながら、また他府県とも連携をとりつつ、あらゆる機会を通じて働きかけを行ってまいります。また、県民の皆様に道路整備及び予算増額の必要性を認識してもらえるよう、PR活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 四番目の、和歌山市の中心商業地区及び主要鉄道駅の活性化の調査についてでございます。
 和歌山市の中心市街地の再整備については緊急かつ重要な課題と考え、昭和六十三年度より「うるおいのある街づくり調査」を行っています。これは、JR和歌山駅、南海和歌山市駅、ぶらくり丁周辺の三つの商業核を含む地区を対象として、学識経験者、地元関係者、行政機関等による協議会により調査検討を行っているものであります。この秋に最終委員会を開催し、これからの時代のニーズに合わせた質の高い歩行者空間の整備として、シンボルロードネットワークの計画、また中心市街地活性化のキーポイントとなる駐車場整備計画等について提案がなされることになっております。
 次のキャブ工事やアーケード整備の対応についてでありますが、主要県道和歌山停車場線(愛称名・けやき通り)については、当該路線が本来保持している機能をより発揮させるため、安全で快適な通行空間の確保や都市災害の防止、都市景観の向上等を図る電線地中化事業を推進しております。
 今年度末で西汀丁より南休賀町間約一キロメートル区間が完成となり、引き続き平成三年度より和歌山駅市道交差点より柳通りまでの約四百メートルを施工すべく現在計画中でございます。当該事業は電力会社の参画が必要となりますので、最近の原油価格の高騰により厳しい状況下にある企業に対し、事業趣旨等について御理解をいただくよう努力し、事業推進を図ってまいります。
 なお、これらの事業と並行して、駅前商店街の活性化を図るためにアーケードの美装化等も必要であり、関係者に対してお願いをしてまいります。
 五番目の、和歌山駅周辺の主要な将来構想についてでございますが、都市計画の分野については県及び和歌山市が協議し、策定をしております。
 まず土地利用については、県都和歌山市の玄関口にふさわしい商業的土地利用が必要と考えております。このため、用途地域については商業地域を設定し、容積率についても配慮しているところでございます。
 次に都市基盤施設の整備構想でございますが、和歌山駅から西の地区については戦災復興土地区画整理事業によりおおむね市街地の整備が完了しておりますが、これからの時代の要求に合わせた「ゆとりとうるおい」を持たせた町づくりのため、シンボルロードの整備、またモータリゼーションに対応するため駐車場の整備を推進する必要があると考えております。
 駅から東の地区については、広大な後背地を持ち、和歌山市発展のための重要な場所であります。町の発展を促すため、土地区画整理事業等の活用により積極的に市街地の整備を推進したいと考えています。また、鉄道による市街地の分断に対処するため、市駅小倉線等、鉄道と立体交差する道路の整備を推進しております。
 次に駅前広場の問題でございますが、JR和歌山駅の西口駅前広場はバス、タクシーがふくそうし、駅前広場としての機能が十分には発揮されておりません。当面は土地区画整理事業により整備した東口の駅前広場との適切な機能分担を図り、駅前広場の交通のふくそう緩和を図るよう、駅前広場の管理者である和歌山市等を指導してまいります。
 将来的には、和歌山駅前及びその周辺地区においては、駐車場、駐輪場の整備、都市の再開発事業等により多様な課題に対応して整備を行う必要があると考えており、駅前広場に関する議員御提言の趣旨を踏まえ、和歌山市等とともに検討を進めてまいります。
 次に駅舎の問題でございますが、和歌山駅東口駅舎については、地元自治会が中心となって計画の具体化が進められ、平成元年十一月に竣工したものでございます。駅東口は、土地区画整理事業の実施に伴い近年飛躍的な発展を遂げつつある和歌山市東部地域のかなめとなっており、和歌山駅利用者の一割程度が利用しております。
 駅舎全体の改築については、議員御提言の貴重な御意見の趣旨を十分踏まえつつ、現在の東口駅舎の利用動向、周辺の町づくりの動向、駅前広場と鉄道の間にある土地区画整理事業の保留地処分のあり方等を勘案しながら、和歌山市、地元関係者、JR西日本、県等の協議を進めてまいりたいと考えております。
 次に、インテリジェントビル推進についてであります。
 和歌山市の策定したインテリジェントシティ整備基本計画によれば、駅周辺は重点整備地区に指定され、情報基盤等の整備がされることとなっております。これに伴い、民間の事務所ビルについても、これら情報基盤を活用する等により、快適性の向上や機能の高度化を図ったインテリジェントビルが建築される動きが予想されます。
 県にあっては、このような高度情報化社会に対応した良好な建築ストックの整備を図ることが重要であると考えており、このため、民間が建築するインテリジェントビルについて、建築物整備費に対する日本開発銀行による融資及び事業所税の減免等の税制上の優遇措置を活用しながら、その立地促進に努めてまいります。
 次に区画整理事業の点でございますが、和歌山市では土地区画整理事業により和歌山駅東において東和歌山第一地区及び第二地区の事業が進められており、引き続き東部地区についても区画整理手法による町づくりが望ましいとの観点から調査を進めてきております。
 事業化するためには地元の方々の理解と同意が必要であり、今後、地元説明会等により事業意識の高揚を図るための基礎資料として、東部地区の町づくりについてのアンケートを行ったところであります。区画整理事業は地区の皆さんの意向を組み入れて行う事業であり、事業を具体化していく中で十分反映していくよう市を指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 大店法の運用緩和と建設省の重点施策との関連でございます。
 この運用緩和により、大型店の出店の増加が予想されます。今後の対応としては、出店する大型店の中に地元中小小売商が入居できるスペースを確保するなどにより共存共栄が図れるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 また商業基盤施設整備については、今後、関係部局と協議してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山駅周辺の将来構想についての商業圏としてのとらえ方等でございます。
 JR和歌山駅周辺は県都の玄関口であり、交通網の中心として、また広域的な商業圏の中核でもございまして、周辺商店街は、こうした立地条件から長年繁栄してきたところでございます。しかし、近年の現状は、商業施設の老朽化、大型店の増加、駐車場問題等による顧客の減少により大きな影響を受けているところでございます。
 この商店街の活性化を図るため、県としては、商店街が策定する中・長期的な活性化構想に基づき、駐車場、共同店舗の設置並びに商店街の空き店舗の有効利用等、商業施策の整備事業を支援してまいりたいと考えてございます。
 今後、消費者ニーズを先取りし、魅力ある商店街づくりのため、関係者の意向を踏まえ、和歌山市並びに関係部局等と連携しながら推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、経済センターでございます。
 経済センターについては、駐車場やインテリジェント機能等、新たなる産業支援機能が必要となってきておりますが、今後、新しい機能を経済センターにどのように付加させるのか、または新たに建設を考えるのか、敷地の問題、民活導入の方策や、ただいま議員御提言の新しい発想に立てとの御趣旨も踏まえ、関係機関等とともに調査研究してまいりたいと考えております。
 また、土地問題については、昭和三十二年以来、県・市の覚書に基づき、公園用地であった経済センター敷地と保留地であった市民会館前の市営駐輪場敷地を相互に使用してきたところでございまして、本年、区画整理事務が完了したため、おのおのの所有権保存登記を済ましたところでございます。
 現在、和歌山市と今後の相互の使用について協議を行っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 本県の来年度の財政見通しと単独事業についてでございます。
 来年度の予算については、本県財政の場合、特に歳入面で地方交付税等に依存する度合いが大きいことは御承知のとおりでございまして、こうしたことから国の予算編成や地方財政対策等の動向に左右される面が大きく、現段階においては予算編成の前提となる国の予算あるいは地方財政計画が定かでございませんので、税収を含めて確たる見通しを申し上げることは困難な状況にあることを、まず御理解賜りたいと存じます。
 こうした中で事務事業の見直しとか既定経費の節減合理化に努めながら、限られた財源の重点的、効率的な配分を行い、また国庫補助事業の優先採択、あるいはふるさとづくり、地域づくり事業といった国の財源措置のある県債の活用を図るなどし、工夫を凝らして予算編成に当たる必要があると考えております。
 単独事業についても、これまでの実績あるいは地方財政対策の策定状況を踏まえ、必要な事業規模の確保に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(橋本 進君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 株式会社和歌山ステーションビルについては、昭和四十三年の開業以来二十余年を経過し、消費者のニーズの多様化等により、近年、売り上げが低迷している状況でございます。
 現在、株式会社和歌山ステーションビルにおいては、消費者の感覚に合った全館の業態の見直し、内装の刷新等についてテナントの方々の意向を踏まえつつ、種々の検討が進められていると聞いているところでございます。
 今後、JR西日本、和歌山市、関係部局と連携を図りながら、和歌山駅周辺の将来構想との関連も含めて会社側と協議してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(橋本 進君) 以上で、尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時十六分散会

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