平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(田中実三郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時十四分再開
○議長(岸本光造君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、申し上げます。
 一昨日の小林議員の発言の中に不適切な箇所がありましたので、同議員の申し出もあり、この部分を取り消すことといたします。
 なお、これに関連する部分も同様の取り扱いとさせていただきます。
 以上、御了承願います。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番田中実三郎君。
 〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 十月三日は新しいドイツの生まれる日であり、第二次世界大戦ヤルタ体制下の四十五年がきょう終わりました。新しい息吹のドイツの生まれることを、我々としても祝福をしなければならないと思います。
 片や、新聞によりますと、財界が大型使節団を東欧五カ国に派遣するということも報ぜられております。第一次オイルショックの際は、我が日本国の経済というものは落ち込みを辛うじて輸出の面でカバーをし、つまり日本が外貨獲得の策で危機を乗り切ったというふうに私は理解をいたしております。
 今回は、御承知のように、貿易摩擦によって、またイラクの問題等もこれあり、オイル危機の到来を予期いたさなければなりませんが、日本の経済界へ、なかんずく国民社会生活への不安、影響について、若干でも今回のドイツ統一がいい影響をもたらすことを期待しなくてはならないと思います。そういう夢も含めながら、我々は県政に邁進をいたしたいというふうにも考えています。
 十九日の十九号及び二十号の大型台風により被災された皆さん方に心からお見舞いを申し上げるとともに、発生時の広報活動、さらには相次ぐ復旧作業に日夜取り組んでいらっしゃる当局及び関係職員の皆さんの御辛苦に、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 九月県議会の一般質問に当たりまして、私は、第一点として県行政と我が和歌山県選出国会議員との意思疎通といいますか、県行政の具体的な方向の理解と協力を先生方にどんな形で図っていらっしゃるのかお伺いをいたしたいのであります。
 もちろん、当局は、東京事務所を通じ、時には県首脳部、部課長が定例的に、あるいはそのときどきの適切な方法で来年度政府要望の説明なりを申し上げて云々と答弁なさると思いますが、私はそうした表面にあらわれていることだけではなく、実際に先生方に理解をいただいていないような印象を受けるといったことを、最近見聞いたします。そこで、あえて質問をいたしたのです。
 国会議員さんの折に触れての新聞発表やお知らせ等々を拝見いたしてみましても、県が取り組んでいらっしゃる方向といささか違和感を覚えることが過去あります。最近もありました。もちろん、数多くの県行政の内容でありますし、時としてお互いに十分な理解が得られない場合もあることは十分承知をするのでありますが、基本的に、年間どんな方法で相互理解を深めているのか、また県庁の内部ではこの種の取りまとめをどの部が担当していらっしゃるのか、さらには、今までとり来っている現行方法の中で将来改善すべき点を感じていらっしゃらないのか、これはひとつ西口副知事からお答えをいただきたいと思います。
 二番目に、南紀白浜空港飛行場施設変更に関する問題点について質問を申し上げます。
 去る九月九日、白浜町当局の招集で、古賀浦において田辺市、西牟婁郡選出県会議員七人全員の会合がなされました。建設常任委員会等では何回となく南紀白浜空港ジェット化整備事業に関する質疑、意見は交わされておりましたし、白浜町長選挙の際には一つの争点ともなり、某候補の応援弁士からこれに関する重要発言があったとかなかったとか、町のうわさ話とも受け取れる話題が流されました。
 そのことも十分承知をしていましたが、こうして県会議員七人も集まって、しかも地域の県事務所長等の人々が集まっている公式の場で、平成六年を期して各関係者大わらわの努力をなさっていらっしゃる、いわば和歌山県の重大プロジェクトの重要部面が変更されなくてはならない時点に立ち至っているということを知り、全く愕然といたしました。
 当然、九月十二日、十三日に予定をしていた建設常任委員会の県内視察につきましても、同僚・町田議員から相談を受けまして、委員長を初め各委員の皆さんにも御理解を求めて、急遽予定変更をお願いし、特に十三日の日程の中に南紀白浜空港建設事務所を追加していただいた次第であります。
 それぞれの会議内容に基づいて私自身が調査した資料をもとにして、以下、質問を申し上げたいと思います。
 まず、今日的感覚では愚念かもしれませんが、今日に至る機構及び財政面での歩みを振り返ってみたいと思います。
 まず機構的な面では、場所決定が昭和六十年一月二十六日になされています。整備室を設置したのが同年六月、事務所新設が六十二年四月、運輸大臣に申請書提出が六十三年九月であり、これの認可が同年十二月ということになっています。現地の構成人員では、田辺市、白浜町出向の方々を加えまして、十九名ないし二十名の陣容をもって事に当たっていただいているわけであります。
 財政投資的な面では、まず昭和六十二年当初予算で五千百八十四万六千円、次いで六十三年当初予算では公共事業費で十億八千万、県単独事業で五億、平成元年では公共費三十一億一千二百万、県単事業では二十七億一千六十万でありますけれども、この場合は、年次途中で用地費の関係で十四億六千八百六十八万円に減額をされております。平成二年度では、公共事業費六十八億六千万円、県単で二十三億二千二百八十一万円、以上を主体とし、その他を加えまして、私の概算では百五十億になんなんとする投入をされていると思考されます。
 こうした背景の中で、質問をいたしたいと存じます。
 一番目に、まず県当局の取り組みの中での問題点としてお伺いいたします。
 スモール一としては、飛行場なるものは本来、広義的に考えますと企業的性格の比重が大きいと思いますが、構成員メンバーは──それぞれ皆、立派な方々であります。よく知っている方もいらっしゃいます。しかし、企業的性格の比重が高いのに、こうした配慮が配置の場合に欠けておったのではなかろうか。
 スモール二としては、土木部が主体的な担当ということで表に出過ぎて、いわゆる土木部のみが突出をした運営になってはいなかっただろうか。具体的に申し上げますと、白浜の大森山の花卉団地の問題、あるいはつけかえ道路の新設、トンネル工事等々では、当然、農業経営者、漁労関係者、つまり農林水産部との連携に遺憾な点がなかっただろうか。
 二つ目、予算措置後における未消化残額について質問をいたします。
 スモール一、前述したように、私の推計では約百五十億になんなんとする金額が既に措置されておりますけれども、今日ただいま、どれぐらいの未消化金額があるのか明示をされたいのであります。
 スモール二、平成元年及び二年度で、債務負担行為の措置でつけかえ道路関係、トンネル関係十二億、鴨居地区水路関係で五億と計上し、たしか本年の一月中旬に入札を施行しているはずだと思いますけれども、その後、今日まで半年以上も経過をしておるのに、現場を拝見いたしますと、その実態は極めて不都合な状況にあります。こうした事態は、普通、我々が考える建設事業においては考えることのできない事柄であります。恐らく、全国でもまれでありましょう。どんな事情が不執行の内部に介在をしているのか、白浜町当局の対応ももちろん知りたいのでありますけれども、県のこれに対する措置を解明されたいのであります。
 あわせて総務部長からは、今言ったような事情にある未消化予算の関係で、年度がまたがります。特に、会計閉鎖期間も過ぎます。そういった場合の元年度決算期における事務的取り扱いについても、ひとつこの際、御教示をいただきたいのであります。
 三番目は、白浜町当局として対応すべき点をも含んで、今後の施工工程をこの際明確にしていただきたいのであります。
 過日の六月県会において、我が党浜本議員の質問の中で県と白浜町との間におけるいわゆる念書なるものが明らかにされました。今日までの私の疑問点はこの念書の解明をされたことによってある程度解明されたのでありますが、それと同時にまた新しい別の疑問点が生じたことも否定できません。
 その一例として、何回となく建設常任委員会の中において質問をいたしましたが、県・市・町の合同機構の中で本当に連係がとれているのかという一点であります。
 私は、先ほど申し上げましたように、現地に出向されていらっしゃる人と人との問題を指摘したのではありません。出向されていらっしゃる個人は、お互いに信頼をし、尊重するの余り、市当局、町当局、県当局相互間で、いわゆる俗に世に言う腹の割った連絡が行政機関の中でできておるか否かということが問題だと思うのです。逆に、極端な表現かもしれませんが、お互いにそれぞれの権限範囲に一線を画し過ぎているのではないかとすら思われるのであります。
 浜本議員の前回質問の言葉をかりますと、県、町一体感に立った推進への方途が必要だというふうに言っていらっしゃいますが、まさにそのとおりではないかと私も思うのであります。
 改めて、花卉団地問題及び町公共施設の移転計画も、私の知るところでは六十二年に作成をされていらっしゃいますけれども、これに今再検討を加え、関係者の意見も十分に配慮をされた中で実施計画を樹立されて事業推進に備える工事工程ができているなら、この際、明示されたいのであります。
 大きな三番として、交通問題に移ります。
 「交通死八千人を超える」、これはけさの新聞記事の見出しです。警察庁のまとめによりますと、十月一日でことし全国で交通事故によって死亡したのが八千人を超えた、十五年ぶりに一万一千人を超えた昨年同期より二日早く、昭和五十年以降では最悪のペースだというふうに記事として扱っています。その内容を見てみますと、今までは自動車対弱者であったのが、自動車中の乗務員の死亡者が多く増加をしているというふうに、事故死全体の比率の中で示されています。
 そういう意味合いで、人身死傷事故が一件でもなくなることを念願しながら、以下、質問を申し上げたいと思います。つまり、交通事故の防止、特に死傷事故の絶滅の立場から質問を申し上げたいと思うのです。
 県内の路線バスの運行といいますか、採算問題については、県民の足を守る、あるいは過疎対策の一環だということで、我が和歌山県は全国に先駆けて単独補助を実施したり、あるいはそれが国段階に移行され、運輸省の条例慣行を超越して助成をする等の対処が過去なされてまいりましたけれども、僻地バス路線の経営難の深刻さは一日一日深まる一方であり、経営者側は機会あるごとに経営合理化と称しまして、従業人員の削減を初め、路線バス運行必要時間の短縮等を強行してきている現状であります。当然のこととして、労働者に対する労働強化の一途をたどりつつあります。
 そこで、私は次の二点を、本来ならば和歌山陸運支局の方に出席を求めて答弁をいただきたいのでありますけれども、悲しいかな、和歌山県規則第八号、つまり昭和六十年四月以降、陸運事務所の組織の変更があり、これに伴い、今までは県知事を経由していた書類がしなくてもいいというふうに組織化された。したがって、本県議会には召還をお願いすることができないという立場から──法的にそういうふうになりましたから、やむを得ず企画部長及び公安委員会の見解と現状把握、並びにその対応方策を明らかにしていただきたいと思うのです。
 その一番目は、昭和四十七年以来、逐次増加をしてまいっておりますいわゆるワンマンバス──運転手一人乗務の形態をとりつつありますが、認可当時においてすら、たしか昭和四十六年だったと思いますが、昭和四十七年五月の大阪陸運局公示第一号に基づいて申請をされた。その後、変更がありまして、昭和六十一年十二月の近畿陸運事務所公示第一号を正確な意味で満たさなかったまま認可をしたという事例もあります。
 例えば、曲線のラディアス(半径)なり勾配の限度、あるいは道路幅員の狭隘等、この公示に抵触した部面があった、あるいは解釈のそごがあったと思うんですが、その後、道路改修が逐次進んでまいっている今日では、現在、果たして和歌山県下でどんな実情になっているのか。前述をいたしました事由と、さらには、当然そのときに会社側としてとらなければならないいわゆる具備すべき要件をその後満たしているのかいないのか、満たしておらない種類のものの中には今日どういうものがあるのか。
 一つの例を申し上げますと、その公示の中では、三百メートル以内に退避場がない場合には会社側は誘導員を配置して誘導しなさいというふうになっておる。つまり、三百メートルバックすることが危険を伴うというふうに理解をすべきだと思うんです。一つの例です。
 二番目には、自動車車両の安全基準の問題についてお伺いをいたします。
 ある書類によりますと、我が日本での年間自動車生産台数は六百万台だそうであります。そのうちの四〇%が米国向けの輸出用であるとのことでありますが、日本の車両安全基準とアメリカの車両安全基準との間に格差があり、アメリカへの輸出についてはアメリカの安全基準に合格する必要があるため、国内向けと異なる検査が必要だということになる。
 例えば、日本では一・八トンの車を衝突させて燃料漏れはあるかないかを検査するだけです。アメリカでは、それと同時に、車両検査はもちろん、車両の乗務員が衝撃によりどんな傷害を起こすか起こさないかも一緒に検査をする。あるいは、三トンに耐えられるドアをアメリカでは要求されているので、四〇%の車についてはさらに補強板を加えて輸出をしなければならないということであります。きのう、阪部先生にお聞きをすると、ドイツではボンネットのところに鉄骨で十字に補強をするそうです。ところが日本ではそれがなされていません。
 ちなみに、同じ衝撃を与えても、車の中央部に柱が一本あれば天井のくぼみは二十四センチだそうですが、ハードトップでは四十センチのくぼみができるそうです。アメリカは、ハードトップを使用禁止にしてしまった。そのことで、アメリカでは百十人の人の命を救ったというふうに書かれていました。
 なお、日本ではコンクリート壁に五十キロのスピードで衝突をさせて燃料漏れがあるかどうかは検査するけれども、先ほど言ったように人身に対する検査はしない。新車に対する衝突試験については、アメリカは五十トンを使うが日本は三十七トンだということであります。
 以上、私の知る範囲の数点を例示してみましたが、車自体の強度の問題点と申しますか、専門家に研究してもらえばまだまだ人身傷害につながっていく問題点は幾つかあると考えられます。最近、特に交通死傷事故の激増する昨今、車両検査、安全基準に直接的な関係はないとしても、傷害事故防止を強調し、事故処理及び対策に直接関係を持っていらっしゃる交通政策課及び警察本部としての見解と対応策をお答えいただきたいのであります。
 四番目、松くい虫の再発生についてお伺いをいたします。
 松くい虫に関しましては、過去数年、十分な論議がなされました。当局も防除及び予防のために各種方法を施行されて、その効果を上げていらっしゃいますので、細かな論議はさておき、一点、松くい虫繁殖のメカニズムといいますか、どちらの言葉を使っていいかわかりませんが、周期的現象について質問を申し上げたいと思うのです。
 過去の実例から考えますと、約十五年ぐらいの短期を周期として再発する傾向があるように思えます。言うまでもなく、松くい虫による松の枯損は、昭和三十三年ごろ新宮市の巴製紙工場付近から発生をしたとの諸説がありますが、このことは九州地方から搬入をした松が発生源となって広がったというふうにも記憶をしてございます。また、渡り鳥だ、あるいはヒヨドリがアメリカから松くい虫の幼虫を搬入するんだという諸説もあります。特に奈良県、熊本県における研究が一番進んでいるということで、奈良県の試験場へ視察に行ってまいったこともあります。
 ともあれ、我が県では南から漸次北上して──ちょうど思い出すんですが、田辺・西牟婁の県会議員が一生懸命に議会でやっている時分には、失礼だけれども、御坊から北の議員さんは比較的冷淡であった。だんだん月がたつと、今度は御坊から北の県会議員さんが一生懸命に力説をするという現象が過去にありました。つまり、南から漸次北側に拡大をして、いつの間にかその勢力が減退をしたのであります。
 そうして数年を経た今日、また紀南におけるその猛威はまことに驚きであります。本県の予算的推移を見ますと、六十三年度予算では五千三百九十四万円、決算では五千万円、平成元年度予算では五千二百万円、決算では五千百八十四万、平成二年度、つまりことしの当初予算は四千九百二十一万円といった推移を眺めてみますと、本年度だけの松くい虫対策ではだめだ、将来的な対策こそが我が和歌山県林業界にとっては重要と考えなくてはならないと思いますが、農林水産部の長期にわたる対策について、その見解を明らかにされたいのであります。
 日本全体的な研究の中でも、松くい虫は大きく分けて四つ、小さく分けて十九だとも二十五だとも言われています。対策については非常に難しいとは思いますけれども、難しいといってほうっておいては大変でございます。どうか、将来的展望に立っての見解を明らかにしていただきたいと思うんです。
 ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
 南紀新空港建設事業についてでございますけれども、県政の中でも最も重要な事業の一つと位置づけまして、昭和六十二年に現地に建設事務所を設け、県及び町が一体となって積極的に取り組んでまいっておる次第でございます。県議会においても、全議員で構成される新空港建設促進議員連盟を設置していただいて、一体となって本事業に取り組んでいただいており、力強く、心強く存ずる次第でございます。
 しかしながら、いろいろ御迷惑をかけてまことに恐縮に存じておるわけでございます。本事業を進めるに当たっては、何と申しても地元の協力が絶対不可欠でございまして、計画の当初段階から地元の関係者にその旨強い意識を持っていただいておるところでございますけれども、いろいろ難しい問題も多々ございます。
 しかしながら、今は建設事業にとって最も重要な時期であり、白浜町を初め地元の関係者の皆さんにこの事業の重要性を再認識していただいて、なお一層積極的に御指導、御協力をいただくつもりでございますし、県庁においても、庁内関係部局が一体となって総合的な取り組みを図り、南紀新空港建設事業の促進が図れるように努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
 質問の詳細については部長から答弁いたします。
○議長(岸本光造君) 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 県と県選出の国会議員の先生方との意思疎通に関する御質問でございます。
 県行政の推進に当たっては、各種施策の実現を図っていくために県議会の皆さん方の御理解、御支援をいただくことはもちろんでございますけれども、県選出の国会議員の先生方についても、各般にわたる御理解と御協力を賜らなければならないことは当然のことでございます。
 このために県としては、企画部が中心となり、これまでも国の概算要求時、さらには政府予算編成の際に、知事を初め各部長から国会議員各位に県の考え方を十分御説明申し上げ、ともに各省庁への要望活動を展開していただいておりますことは、御質問にございましたように、田中議員も既に御承知をいただいておるところでございます。
 これにとどまることなく、各部局の個別の案件に応じ、その都度、国会議員の先生方と緊密な連携をとりながら、情報を交換し、あるいは政策の方向を議論し、関係各省庁等への働きかけをお願いしておるわけでありまして、さらに東京事務所なども含め、機会あるごとに意思疎通に心がけているところでございます。
 御意見にございましたように、県としては、単なる形式にとらわれることなく、国会議員の先生方との日常不断の意思疎通が極めて重要であると認識をしておりますので、県政全体の基本方向あるいは各種政策については、国会議員という強い政治の立場からも一層の御理解と御協力が得られるよう、不十分な点には工夫を加え、今後とも努力を重ねてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 南紀新空港建設に関する問題点についてお答えいたします。
 一番目の、県の取り組み上の問題でございます。
 まず、企業的性格への配慮不足はなかったかについてでございますが、南紀新空港建設事業は、用地問題等、地元調整に係る事項については白浜町ほか地元が中心となって行うことを原則として進めております。特に、用地問題の対応については、公共事業としての制約もあり、難しい点もございますが、関係機関とも一体となって、今後一層広い角度から取り組んでまいります。
 次の、土木部独走で他部署との連携に欠けてなかったかということでございますが、南紀新空港建設事業については、庁内に副知事以下関係部長を構成員とする南紀新空港建設協議会を設け、総合的に取り組むこととし、関係部課の間で諸問題について意見交換を行い、そのもとで必要に応じて個別の課題について調整し、あるいは協力を求めるなどしてきております。
 議員御指摘の花卉団地計画については、白浜町が計画変更の決定をした上で白浜町から県の農林部局にお願いしたいとの考えで検討が進められていたものであり、また工事に係る漁業者との関係については、漁協としての要望を受け、白浜町との調整を図る一方、県の出先関係機関の担当者ともども地元との懇談の場を持つなどしたところであります。
 二番目の、予算執行における未消化問題でございます。
 約百五十億円の予算化のうち未消化残額は幾らかでございますが、予算については昭和六十三年度から事業化しており、平成二年度までの事業費は、補助事業及び県単独事業を合わせ百五十三億四千四百万円となっております。
 これまでに、用地買収を中心に三十八億六千万円の予算を執行しております。今後、平成元年度繰越予算及び今年度予算をもって残る百十四億八千四百万円の予算執行について全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 次の、債務負担行為の道路、水路関係の一月入札事業の進捗おくれについてでございますが、鴨居地区におけるつけかえ道路及びつけかえ河川のトンネル工事については、白浜町との調整を踏まえ、工事発注し、着工準備を進めてきておりましたが、地元関係者との調整が整うまで現地着工を見合わせられたいとの白浜町からの要請があり、現地未着手の状態にあります。この間、白浜町及び県において関係者の御理解を得るべく努力してきているところであります。
 三番目の、平成六年開港を目指しての取り組みと工事施工工程についてでございます。
 工事工程については、白浜町が実施する花卉団地計画、公共施設移転計画の工程と関係するものでありますが、これらについては白浜町において精力的に取り組んでいただいている現況であります。これらの事業工程と調整を図りつつ、おくれている現在の状況を踏まえた工事工程をもとにして、用地買収及び先行すべき工事について取り組む一方、施工方法についても技術的な検討を行い、工期の短縮に努力しており、初期の目的を達成するようなお一層全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 南紀新空港建設に関連して、債務負担行為により実施することとしている県道工事等の決算事務取扱の手続についてでございます。
 平成二年の二月議会において御承認いただきました南紀新空港建設に伴う県道工事及びつけかえ河川工事については、いずれも平成元年度から二カ年の期間を要するということで、債務負担行為に係る工事として予算化を行っているものでございます。
 元年度の歳出については、工事前払い金と工場製作を行うトンネル型枠の出来高払い等で一億七千六百余万円を支出し、元年度決算として計上をしております。
 残余については年度内執行の見込みが立たないことから、繰越予算としての手続を行い、平成二年六月の議会に繰越報告をさせていただいているところでございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、ワンマンバスに関連した御質問にお答えを申し上げます。
 ワンマンバスの運行に際しては、現在、事業者から運輸省に届け出をすることとなってございます。運輸省においては、ワンマンバス運行に伴い安全が確保されるよう、昭和六十一年十二月十七日に公示された「ワンマンバスの運行要件」に基づき、道路幅員、折り返し場所等の安全基準を設け、また届け出に際しては、添付図面、写真、現地確認等を行った上で届け出の受理を行っていると聞いてございます。
 県においては、ワンマンバスの運行について安全が確保されるよう運輸省に対して働きかけるとともに、路線バスの安全かつ円滑な運行が図られるよう、道路整備等について関係部局と連携を図りながら努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、自動車車両の安全基準に関する問題点についてでございます。
 我が国の交通事故の状況を欧米諸国と比較すると、歩行者、二輪車乗車中といった交通弱者の比率が高いことが特徴として挙げられます。このため、我が国では交通弱者の関係した交通事故防止対策に重点が置かれてまいりました。
 しかしながら、最近では自動車乗車中の死者の比率が徐々に増加してきてございます。議員御指摘のように、車両の安全性の向上等、乗員の被害軽減が重要となってきてございます。こうしたことを背景として、国においても自動車安全対策の強化、自動車の衝突安全性能に関する調査研究の充実等の措置が講じられているところでございます。
 また、県議会におかれても、本年二月、「交通死亡事故防止対策の強化に関する意見書」を全会一致で採択され、車両の構造強化の促進について関係省庁に働きかけていただいているところでございます。県としても、自動車乗車中の事故の全事故に占める割合が年々増加してきていることから、自動車の安全対策について運輸省に意見を申し上げるとともに、県警察、和歌山陸運支局等、関係機関と連携を図りながら交通安全対策を推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 松くい虫の被害の問題でございます。
 松くい虫被害の原因がマツノマダラカミキリに寄生するマツノザイセンチュウであること、被害発生の経過、メカニズムは一九七〇年に解明をされているところでございます。
 松くい虫発生の周期的な現象については、松くい虫の発生期における発生の度合い、気象条件、地形的条件等の要因が相互に関連すると推察をされてございます。
 本年度の紀南地方、特に田辺市、西牟婁郡を中心に発生をしている松くい虫の被害については、田中議員御指摘のとおりでございますが、特徴としては七月から八月にかけての高温少雨による大変な異常気象が松を極めて短期間に変色、枯損させたものと考えられます。被害発生の周期については、今後の被害状況の推移を注意深く見守ってまいりたいと考えてございます。
 長期対策でございますが、松林は森林資源として、また自然景観上も大変重要でございます。将来とも保存すべきところは重点的に防除事業の充実強化を図る、これは時期と方法も含め──また松くい虫に非常に強い抵抗性のあるものが開発されておりますので、既に五十六年度から県内では一万六千本植栽をしておりますけれども、こういった松類等の植栽をさらに進め、関係市町村とも協力を密にして地域全体の効率的な幅広い防除対策を進めていく所存でございます。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) まずワンマンバスの運行に関連した点でございますが、路線バスの運行に係る免許申請等の意見照会については、公安委員会から警察本部長が権限を委任されておりますので、私からお答えさせていただきます。
 ワンマンバスの認可についてでありますが、昭和六十一年九月二十六日に運輸省令が改正されて届け出制となっております。その運行要件等については、運輸局が所掌しており、公安委員会の権限ではございませんので、路線バスの安全な運行ということでお答えさせていただきます。
 現在、路線バスの運行に関して、陸運局長から公安委員会に意見照会があるのは、路線バス事業者から新規免許、路線延長、路線変更、バス停等の新設に関する申請があった場合であり、運輸省と警察庁との覚書に基づいて交通の安全と円滑を図るという観点から意見を申し上げているところであります。その意見の内容は、当該道路における交通事故の発生状況や交通規制の状況のほか、交通上危険な箇所があれば改善が必要な旨を記載しております。
 なお、本年に入ってから意見照会を受けているのは、新規免許が五件、路線の延長が三件、路線の変更が二件、バス停の新設が三件の合計十三件であり、うち二件については道路の改良等が必要との意見を提出した結果、改善された旨、回答をいただいております。今後とも、関係機関と連携を密にし、路線バスの交通事故の防止に努力してまいりたいと存じております。
 次に車両の安全基準についてでありますが、交通事故による死傷者を減少させるためには車両構造の安全性も大切であり、その向上が図られる必要があると考えております。
 車両構造の安全性向上に関する警察本部の対応状況でございますが、まず、警察にはその安全性を高めるための提言、働きかけを行う役割もあると認識しております。
 しかしながら、この問題は、国、警察庁レベルで対応されるべき全国的な問題でありますので、警察庁が関係省庁、機関等に適切な提言、働きかけを行えるよう、すべての人身事故について、車両損壊状況を初め、人の損傷部位と損傷状態、車両の衝突部位と損害程度、並びに人の損傷が車両構造のどこで生じたかなど、詳細にわたり電算入力により報告する等、車両の安全性向上のための働きかけを行っているところであります。
 また、県及び陸運支局等関係機関に対しては、毎年、交通統計を提供しているところでありますが、今後、警察庁に対する電算報告を参考にした資料を加えて提供してまいる所存であります。
 なお、この車両構造の強化促進の問題については、本年の二月県議会において、内閣を初め関係省庁に対し「交通死亡事故防止対策の強化に関する意見書」を提出していただく等、大変お力添えを賜っているところであり、今後もお力添えをくださるよう改めてお願い申し上げる次第であります。
 以上です。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 ありがとうございました。
 土木部長、まず南紀空港の問題から申し上げたいんですが、努力してないと私は一言も言うてないんですよ。全く気の毒なほど努力をなさっていらっしゃる。実は四、五日前もある地権者から──名前を出して悪いんですが、「副知事にせつかれて、とうとう判を押したよ」という話を聞きました。そういうふうに非常に努力をしていらっしゃることはよくわかるけれども、努力の仕方に着想が足らんのではないかなと実は思う。
 例えば、単価を上げるばっかりの交渉では、用地交渉はそううまくいかん。表へ出ない、地権者が何かを求めているというやつを探らないかんのです。替え地も一つの手でしょう。あるいは「○○業の認可をもらえたら、この土地を離してもいいんやよ」ということも内部事情としてあるでしょう。これは私も、実際に経験を持っています。どうしても転宅をしてくれない。その方はたばこ売店なんですが、専売公社の方へ頼んで、三カ月したら必ずもう一遍認可をおろしますよという条件を取りつけて、廃業手当を支給するという方向に話を詰めたらとんとんと判を押してくれた。これは一つの例ですが。
 そういうふうに、単に休業補償だけではなしに、廃業届もして、新規の認可についてはだれかがそれを約束してあげる。つまり、土木部だけが一生懸命に言っても、そういう認可の問題についてはらち外です。これは警察が管理するのか、あるいは商工あたりが管理するのかは知りませんが、そこの方が一緒に行って、その件についてはわしが責任を持ちますよという附帯条項を与えないと、なかなかうんと言わない。
 釈迦に説法ですが、こういうあたりに用地交渉の技術がある。そういう面を加味して「土木部が突出したんではないか」というふうな表現に変わっています。そういう点の連絡も密にしながら、自分とこの権限だけでは処理し切れない問題点も挙げて、ここはどこそこの部でぜひ力をくれよというふうなことにやっていかんと、なかなかいかんのではないかというように思います。これは参考のために。
 もう一つ、総務部長の答弁、もうちょっと腹へ入らんのやけれども、この場で論議することが、ひょっとすれば他に類を及ぼすような気もしますので、機会を変えて私の意見も申し上げてみたいと思います。
 ただ、愚念ですが、今日は単に土木部の事業ということで判断をしていらっしゃいますけれども、和歌山県という単位でいくならば、これが農林水産部の所管工事になったり、あるいは産業なり観光ということで同じような事柄が各部へ波及した場合の取り扱いについて、同じような定規でははかれないのではないかという気もいたしますので、その辺もひとつ御勘案をいただいて、今度の決算処理については十分御配慮をいただきたいと考えています。
 警察本部長と企画部長と、これは一緒になるかわかりませんが、権限のないことを質問されて困っていると。よくわかっているんです。陸運局を呼べたらと思って大分なにしたんですが、知事への経由権限というやつがどうも法的におかしくて。前は無理やりにここへ召還した記憶があるんですが、今回は陸運事務所の組織変更に伴う事務変更があったので、県の八号によって全部規制をされて呼べない。これが非常に残念ですが、呼べなければ、担当をしている行政の方から、こういう理由があるんだ、こういう現象が起きているんだということを知らしてあげないと、地域の現象というのはわからない。
 例えば、一つの具体例を言います。では本部長、ヘルメットがどうやって制度化されたんですか。ヘルメットをかぶってくれると人身傷害が少なくなるんだと各地から上がったから通産省が動いて、あるいは警察庁が動いてヘルメットをかぶるように義務づけたと思う。
 だから、事故の現場検証のときに、警察官の方があの長い票へいろいろ書き込んでいらっしゃる。カーブが何ぼだとか見通しがどうだとか、だれが見ていたとかというようなことをお書きになるけれども、一つ欄を設けていただいて、車体のどこに弱さがあったかということも意見として書くというふうなことを積み重ねていくと、私は中央では取り上げる要素になると思います。これは要望ですが、お願いをしておきます。
 私、きょうは再質問をほとんど要望にしたいと思うんです。ところが、要望は聞いただけやということでやられると、県議会の権威からして困る。私が申し上げる要望の中で、ごもっともですというやつはそのままほうっておいてください。田中議員が要望で言うたけれども、こいつはあきませんぞというやつは、あかんと答弁してください。要望の中でそういうふうに分けてください。そうせんと、要望しておいたけれども、できたかできんかわからんというようなことでは議会として困る。だから、「要望」とは言いますけれども、その中でできるやつは黙っておいてください。要望やから。できんやつは「それはあきませんよ」という答弁をしておいてくれないと、もう一遍こっちは考えなならん。そういうふうにひとつお願いをしておいて、重ねて申し上げます。
 警察本部と公安委員会と企画部の交通政策課──「政策」ですから。「対策」やないんで──ちょっと私もここらで不満あるんですが、政策を立てるためには、まず資料を集めて、対策を考えて政策に発展せないかん。これも一つの理かとも思いますので、両者ひとつ意思の通じ合いをしながら、今一つ具体的に要望として申し上げた、事故検証の場合には必ず書くような一欄を設けるように指導をお願いしたいと思います。
 ひとつ気になるんですが、公安委員長から前に答弁をいただいたときに、陸運局公示一号の認可条件の中で、「急な勾配、急な曲線」云々ということがある。「急な勾配、急な曲線」というのは半径何ぼから急というんですかと言ったら、「社会通念上処理します」という答弁があった。これは私は納得できないので、一回議会を中断して論議をさしてもらった記憶があります。
 その字句を調べて見ると、今度変わった認可条件の中でもやっぱり同じように、「急な曲線、急な勾配」ではという表現をしています。ここらも観念統一をしておいていただかないと、こいつは急な勾配ですよ、これは急なカーブですよということだけでは困る。私の常識では、直線に準ずるカーブというのはラディアス千八百からです。ですから、六百のラディアスが急カーブであるのか、千二百が急カーブであるかというのは、社会通念上ということだけでは非常に困る。こういう点もひとつ観念統一を図った中で対処をしていただきたい。
 以上です。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁はありますか。──ただいまの発言は要望でございますので、以上で田中実三郎君の質問が終了いたしました。

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