平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(藤沢弘太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第九十三号から議案第百六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 皆さん御承知のように、きょう、ドイツ連邦共和国とドイツ民主共和国が統一を行いました。大変記念すべきことで、戦後四十五年にわたるドイツの分断に終止符が打たれたという日であります。同時に、私たちは、戦後の冷戦体制を本当に終結していくという上では、こうした統一の上に立って軍事ブロックをなくしていくことなどが今後の進展として考えられる問題ではないか、このように思うわけでございます。
 そこで、まず最初に、情報公開制度の制定についてお伺いをいたします。
 行政の密室性の打破に向けて、国民の「知る権利」を柱に国に対して情報公開法の制定を求める運動が始まって十年になるわけであります。私は、この十年間を一つの区切りとして、本県が情報公開制度の制定を急ぐ必要性のあることを痛感いたしました。提案を含めて五度目の質問をいたしてまいりたい、このように考えます。
 初めに、本県における情報公開制論議の歴史的な経過について、全国的な動向を背景に振り返ってみたいと思います。
 日本で情報公開制度が提唱されるようになったいきさつについて、自由人権協会の「情報公開はなぜ必要か」というのを紹介してみますと、「一九六〇代以降、日本は高度な産業社会へと移行し、これにともなって、市民生活が薬害・公害・有害食品・自然破壊などによっておびやかされ、これらの問題をめぐってさまざまな市民運動がくり広げられるようになりましたが、これらの運動が共通にぶちあたった問題が『行政情報の非公開』の壁でした。六〇年代の後半から、主婦連は、食品の安全性に関する政府の審議会の公開や議事録の公開を要求していました。一九七六年になると、日本消費者連盟が、わが国ではじめて情報公開法の立法を提唱しました」、このように述べております。
 同時に、政治的背景として、「当時は、ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件、鉄建公団等の不正支出事件等が騒がれ、秘密裡に不正がおこなわれていたことが問題となって」いたというように指摘をしております。
 情報公開制度問題が行政で取り組まれた最初は、一九八一年すなわち昭和五十六年の十一月、神奈川県の主催で開かれた情報公開シンポジウムに全国四十一都道府県から自治体関係者や弁護士、学者、ジャーナリストなど、約三百人が参加をして開かれ、一九八三年度を日本における情報公開制度実現のめどとする期待を表明したのであります。
 主催をした神奈川県は、翌年十月の県議会で情報公開条例の一九八三年四月実施を可決いたしました。同年、山形県金山町も公文書公開条例を制定、全国の自治体に大きな反響を呼び起こしたのであります。
 シンポジウムが開かれた年の十二月、共同通信が行った情報公開の全国調査では、制度化を具体的に検討し、また近く検討に入るといった自治体は三十六都道府県に上っており、残念ながら、和歌山県は近畿で唯一、未取り組み十一県の中に入っておったのであります。
 日本共産党県議団は、昭和五十六年の二月県議会での情報公開に関する第一回の質問を皮切りに、五十七年、五十八年、六十年と四回、県当局の姿勢についてただしてまいりました。この一連の質問にこたえて県当局は、五十六年十二月に情報公開調査研究会を設置し、その後、調査研究会の中に文書管理システムを中心とする第一専門部会と行政資料の一元化に見合う第二専門部会を置き、それまでの統計資料室を発展させた行政資料室を発足させました。この資料室の設置は情報公開制へ向けての前進でありました。
 その後、本年二月県議会で宇治田議員が制度の制定についてただされたのに対し、県当局は、昨年十一月、制度化を促進するために情報公開推進委員会を設置したということを答弁されております。
 少し長くなりましたが、以上が県議会本会議における情報公開制度に関する概要であったと思います。
 そこで、まず知事にお尋ねをいたします。
 情報公開制度は、本年三月現在、四十七都道府県中三十二都道府県で既に制定あるいは要綱がつくられており、市町村では百四十四自治体に上っております。県段階での未定十五県の中に本県が入っている。厳しい現実であります。
 制定へ向けての庁内関係部局の努力はうかがえます。しかし、情報公開調査研究会が設置されてから今日九年になりますが、いまだに制定に至っておりません。このおくれの要因はどこにあるのかについてお答えいただきたいのであります。
 総務部長からは、前任者の総務部長が県政全体を開かれた県政として前進させるために努力をするというように答弁をされてまいりましたが、新しく着任をされたばかりでありますけれども、この情報公開制度制定の見通しはいつごろになるのか。ある新聞報道によりますと、新年度中に作成をする方向とも書かれておりましたけれども、今日、到達をした現状について具体的に、さらに調査研究会と昨年十一月に設置された推進委員会の関連、及び推進委員会の任務と構成についてお答え願います。
 続いて、お伺いをいたします。
 申すまでもなく、国の主権は国民にあることが憲法に明記されております。県政においても同じく「県民が主人公」との立脚点に立てば、情報公開制度を早急に設置することは県民の「知る権利」を保障する重要なかなめであろうと思いますし、仮谷県政の政治姿勢を映す鏡でもあろうと考えます。
 知事も御承知のことと思いますが、昭和五十七年に発覚をした大阪府水道部の架空接待をめぐって、民間行政監視グループ「市民オンブズマン」のメンバーが、大阪府公文書公開等条例に基づいて水道部が懇談会に使った交際費の内容を明らかにするよう求めました。大阪府がこれを拒否したため非公開処分の取り消しを求めた行政訴訟において、昨年四月の大阪地裁での一審に次いで本年五月十七日の控訴審の判決でも、「府条例上、情報の非公開は例外として位置づけられるべきで、行政側の主観的判断ではなく厳格な解釈が求められる」として、府側の控訴は棄却をされたのであります。住民の知る権利が保障された一例であります。
 知事にお尋ねをいたします。
 知事は、県民の「知る権利」を保障する政治姿勢を県政施策の中でどのように貫こうとされているのか、お答えいただきたいのであります。
 次いで、情報公開の制度化の具体的構想についてであります。
 情報公開推進委員会が設置されましたが、各部局や委員会における構想についてお伺いをいたします。総務部長は推進委員会の中心的な一人であろうと思いますので、各部局、委員会等の全般にわたってお答えを願います。
 教育長からは、教育関係についてお答えいただきたいのであります。特に、よく問題にされることでありますが、教員の採用試験が終わった後、高校入試問題が発表されているような形で採用試験問題を公表されるのかどうかについてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
 公安委員会関係については、県民の生命、財産を守る立場から、例えば地域における暴力団組織の状況についての検討など、どのように考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
 最後に、行政資料室の拡充と体制の強化に関してお尋ねをいたします。
 行政資料室の設置は、県民の「知る権利」を保障する上で積極的な役割を果たしております。室内が見えない扉からガラス扉になって入りやすくなったという評価が寄せられているということも聞いております。
 本年五月、行政目録の追録第五号が統計課から発行をされました。資料の整備が進みつつあることがこの目録によってわかりますけれども、同時に、私の知る範囲の資料類の名前の見当たらないものもあります。各部局や委員会発行の資料類を行政資料室に集中することは、「これらの資料の閲覧及び利用面で県民の要望にこたえるため」とした県当局の方針の実践でもあろうと思います。
 現在、制度の制定に向けて推進委員会が設置されておりますので、私は、思い切ってこの行政資料室を独立した機構にするとともに、資料の充実と職員の増員、資料室面積の拡幅などを含む機能の拡充を行うことによってより県民の「知る権利」を保障するよう、ぜひ積極的な検討を願いたいのであります。あわせて、行政刊行物の保有状況と来年度への充実、及び年間利用状況と利用目的についてもお答えいただきたいのであります。総務部長並びに企画部長からお願いをいたします。
 第二に、退廃的な映像文化などから青少年を守り、青少年の健全な成長を実現していく問題についてお伺いをいたします。
 既に二人の議員が質問されてきたコミック漫画問題については重複を避けて省略し、残虐ホラービデオ、アダルトビデオを中心にお尋ねしてまいりたいと存じます。
 一九八八年度、全国でのビデオの販売数は千二百万本と言われ、その上、ビデオ協会に加盟していないビデオソフト制作者、いわゆる著作権を問題にしないような業者によるビデオがどれだけ出回っているか、数さえつかめないという状況で、まさにビデオのはんらんであります。
 本県下では、ビデオ販売店約二百店、そのうち自主規制を行うことを決めている日本ビデオ倫理協会加盟は約四九%の九十八店にとどまっております。ビデオレンタル店にしても、成人向けコーナーが不明確なところ、あるいはつくられていても店での管理が届かないところなど、相当あると見られております。
 特に問題となるのは、ビデオ自動販売機が和歌山市を中心に十カ所近く設置されているということであります。図書の自動販売機も同じでありますが、ビデオ自動販売機は、人手を通さずに、人目を避けて青少年が容易に買うことができます。値段も三千円から五千円という青少年にとっても買いやすい値段のため、個人であるいは数人が金を出し合って買い、密室化された個人の部屋で見ているのであります。こうした自動販売機の存在を知らないのは大人だけということまで言われておる現状であります。
 このビデオ自動販売機の設置をしている業者は県外の業者ばかりだそうで、その土地の所有者に一定の金を払って設置しているというのであります。一度設置をしたが最後、業者はこれを撤去しようとはしません。
 しかし、十年近く前には有害的図書の自動販売機に対して、多くの婦人の団体がそれぞれの立場から撤去運動に取り組み、各地で撤去させた経験も多くありました。今日の事態の中で、県行政が県青少年健全育成条例に基づいてその先頭に立つことが切実に求められているのではないでしょうか。
 「魔女の宅急便」「ムーミン」「アルプスの少女ハイジ」、こうした健全な子供向けのアニメ映画などが普及している一方で、暴力が肯定されたり、子供の性への正常な関心をもてあそび、ゆがめている現状は、その影響の大きさを考えたとき、見逃すことのできない重大な問題であると考えます。
 そこで、まず民生部長にお伺いをします。
 図書やビデオの有害指定状況及び指定上での問題点、早急に対処しなければならない課題について、あわせて書店やビデオ店に対してどのような緊密な指導や要請などを行ってこられているのか、お答え願いたいのであります。
 日本共産党は、だれしもが、日本の未来を担う子供たちがかけがえのない命を大切にし、お互いを思いやり、そして人間だけが持つ男女の愛情に基づく性を大切にして、その将来への確かな人間としての成長を心から願うものであります。
 そのためには、子供たちが感動と共感を育て、あすへの希望と喜びを受けとめることのできる文化や芸術の多面的な発展を図ることによって、子供たち自身が文化的・道徳的退廃に負けない健全な判断力を養い、かけがえのないその生涯を豊かに生きることのできる基礎をしっかりと身につけていけるよう、国民の共同の努力と役割を重視してまいりました。
 児童憲章はその前文で「児童は、人として尊ばれる。 児童は、社会の一員として重んぜられる。 児童は、よい環境のなかで育てられる」ことをうたっております。子供たちの人権を守り、健やかな成長を保障するために、子供と日本の将来を考えるすべての人たちが今日の文化的・道徳的現状を見詰め、社会的批判を広げることが大切であります。
 図書、ビデオの有害指定については、担当課の職員が書店やビデオ店、自動販売機を回って有害図書、ビデオをなくするために取り組み、児童福祉協議会の部会でも毎月、有害指定についての検討が行われております。そうした努力にもかかわらず、有害指定は発行されたものの内容によって行うために後追いの形になって、同じ出版社が次の号を出せばその内容の検討を行わなければならないのが実態であります。
 憲法の「表現の自由」は、長年にわたり社会進歩を願う人々の自由と民主主義の闘いの中でかち取られたものであります。しかしそれは、「表現の自由」の名によって人間の尊厳を踏みにじり、性の商品化や暴力の賛美を容認するものではありません。私は、国民の闘いで実現してきた「表現の自由」を何よりも大切に考えるからこそ、それを逆手にとった野放しを黙って見過ごすことはできないのであります。
 そこで、知事にお伺いをします。
 退廃的文化の現状をこのまま放置することはできません。そこで、「表現の自由」を十分配慮した適切な規制と実効のある措置が必要と考えますが、知事の基本的な所見をお聞かせいただきたいと思います。さらに、適切な行政指導を行うために、成人向けを扱う場合の店舗の厳正な区分、営業時間や学校の近くなどの営業地域の指導基準を設けるべきと考えます。民生部長の答弁をお願いいたします。
 地域で退廃的映像に対する追放運動が進められてきております。こうした運動を全県的な運動として発展させるためにも、行政の強力な援助、指導が求められております。県児童福祉審議会の部会で有害指定の検討をされてきた積み上げの上に立って、住民の参加によって青少年を退廃的文化から守る機構を県当局として設けるべきではないかと考えます。民生部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 情報公開制度でございますけれども、県行政を進める上において、開かれた県政による県民との信頼関係の確立が私は最も大切なことだと考えておりまして、そうした面から諸施策を展開している次第でございます。
 そういう意味からも、私は情報公開制度は非常に重要であると考えておりまして、このための制度化を推進する体制として昨年の十一月に情報公開推進委員会を設置し、現在、その制度化に向けて積極的に取り組んでおります。
 その中で、特に県民の利用しやすい制度とすることが最も肝要でございますので、そのような考え方に立って、現在検討を進めているところでございます。
 次に、有害図書等の「表現の自由」との問題でございます。
 これにつきましては、昨日、また一昨日とお話があったわけでございます。「表現の自由」というものは、私は基本的人権の中でも最も重要なものだと考えております。しかし、それは無制限なものではなしに、公共の福祉という点から調和のとれたものでなければならないと思っております。
 このことから、規制に当たっては、その目的に照らして必要最小限にとどめるべきだとは思いますけれども、こうした雑誌類についてもっと厳しく規制してよいのではないかと考えておるところでございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 情報公開制度の制定に関しまして、数点お尋ねをいただきました。
 情報公開を制度化して円滑に実施していくに際しては、県民の意向を踏まえ、どういう内容のものに仕組んでいくかといった検討はもとよりでございますが、職員に対する周知徹底であるとか、あるいは県庁内の体制の整備等、多くの課題がございます。
 これまで、大量に発生する文書を系統的に整理するために、文書管理規程の整備とか文書分類番号の設定、あるいは文書事務の手引書を作成するなどし、制度化に当たっての前提条件となる文書管理の改善に向けて取り組んできているところでございます。
 次に、調査研究会と推進委員会との関連についてでございます。
 調査研究会は知事部局の主幹課室、県民総合相談室──現在の県民生活室でございますが──統計課、さらに電子計算課──現在の情報システム課でございます──の十三課室をもって情報公開制度に関する基本的な課題について調査研究を重ねてまいっております。こうした研究会での検討結果を踏まえ、さらに推進委員会においては、教育委員会、公安委員会等の行政委員会を含めた十九の課室による全庁的な体制をもって制度化の推進に係る事項の調査検討、あるいは制度の具体案の作成、その他、制度の内容を固めていくに際しての主要な課題を検討するということになっております。
 次に、制度化の具体的な内容についてでございます。
 現在、情報公開推進委員会において、特に開示請求に対する開示あるいは非開示の判断の際に問題となる個人のプライバシーとか企業秘密の範囲について、特にこういったものは社会的に一定の基準となるべき考え方がまだ定着をしていないこともございまして、こういった問題を情報公開制度をつくる中でどういうふうに解決していくのかを含め、請求権を有する者の範囲、あるいは実施機関・窓口体制のあり方、救済措置をどういうふうに仕組んでいくか等、制度の内容をどうすべきかといった検討を重ねているところでございます。
 ただ、いずれにしても整理すべき課題が非常に多く残されており、お尋ねの制度化に向けての見通しでございますが、なお期間が必要であると考えております。
 さらに、行政資料室の問題についてでございます。
 情報公開制度において、情報提供施策と公文書の開示制度の両者は密接な関係にあると考えており、情報公開制度の中で行政資料室をどういうふうに位置づけるのか、そのあり方についても推進委員会の中で検討をしているところでございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 行政資料室の充実についてお答えを申し上げます。
 行政資料室は、公表された官公庁の刊行物を一元的に収集し、広く県民の要望にこたえるために昭和五十九年四月に設置しているところでございます。
 資料の保有状況は、九月末現在、国初め行政関係の資料約三万二千点、利用者は平成元年中で約五千七百人で、利用目的とその状況については、行政利用のため国、県、市町村の職員が約六割、企業経営のためと申しますか、会社員、銀行員等が約三割、残り約一割は学生、教員などが学習、教育指導などの目的のために利用されているところでございます。
 今後、統計情報の需要の高まりに対応するため、さらに資料の充実等を図り、行政データベース化の促進という課題も踏まえながら、利用者の期待にこたえるよう努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 有害図書、ビデオについてお答えいたします。
 まず、有害指定の状況、問題点についてでございますが、和歌山県青少年健全育成条例に基づき、毎月一回以上、児童福祉審議会文化財部会を開催し、青少年に有害なビデオ、図書を諮問してございます。
 昨年は図書四百八十八冊、ビデオ九本を有害指定してございます。本年一月から九月まででは、図書三百八十二冊、ビデオ二十四本を有害指定し、青少年への販売禁止措置をとったところでございます。
 ただ、この種の雑誌等はその種類も相当多うございまして、販売回転も早いことから、そのすべてに対して有害指定することは非常に難しゅうございます。また、販売即日、有害指定ができないのが実情でございます。販売元での自主規制を強く望むところでございます。
 県としては、今後、ビデオを初め漫画本の有害指定をさらに強化し、指定後の監視の徹底、県民の理解を高めるための広報活動等、地域住民と一体となった自動販売機、漫画本等の排除運動の強化、業者への自粛要請と補導センターとの連携によるビデオショップ、書店等への立ち入り指導等の措置をとってまいりたいと考えてございます。
 次に、書店等への要請についてでございますが、昨年二月及び九月に実施したビデオショップ等への指導に加え、本年九月十三日付で県内の書店等八百余店に対して自粛要請をしておりますが、その内容は、青少年に対する有害図書の販売禁止、成人コーナーの設置、有害図書の自動販売機への収納禁止、有害指定のない図書でも露骨な性描写のある雑誌については青少年への販売禁止といったこと等が要請の内容でございます。
 次に、指導基準、機構設置についてでございます。
 指導基準については、昨年から青少年健全育成推進店「少年を守る店」の事業を進めているところでございます。この事業の中で、各業種別の指導事項を設定しているところでありますが、御指摘の点も含め、これがより効果的なものにするためにさらに検討を加えていきたいと考えているところでございます。
 次に、子供を守る機構の設置でございますが、現在、県内全市町村には青少年育成市町村民会議が設置されてございます。その組織の中には幅広く各種団体・機関の代表、あるいは個人の参加を得て、青少年の健全育成、非行防止の各種活動を行っていただいておるところでございます。
 環境の浄化についても、各地域で住民運動の中核となって取り組んでいただき、行政への強い御支援をいただいているところであり、こうした日ごろの地道な活動は高く評価されるところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 情報公開についてでございますが、県教育委員会としても、情報公開推進委員会において関係部局とともに取り組んでいるところでございます。
 また、教員採用選考検査についてでありますが、従前から受検状況等については公表をしているところでございます。この検査においては、人間性豊かで教育に情熱を持ち、専門的な知識を有し、実践的指導力のあるすぐれた人材を得ることが必要でございます。
 このため、検査結果については、単にペーパーテストの成績だけで判断するのではなく、面接、実技、適性等、多様な検査を行い、総合的に判断をする必要があると考えてございまして、結果としてペーパーテストの競争を激化させると考えられる問題の公表はいたしてございません。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) 情報公開制度については、警察としても昨年十一月に設置された情報公開推進委員会に参画し、検討を進めているところでございます。
 申すまでもなく、警察活動は県民の理解と協力のもとに成り立っており、個人のプライバシー保護はもとよりのこと、警察活動及び県民の警察に対する協力関係等に及ぼす影響を慎重に考慮しながら、今後とも関係部局との連携を図りつつ検討してまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、情報公開制度の問題であります。
 先ほど情報公開制度や要綱がつくられている府県の紹介をいたしましたけれども、私考えるのに、全国的に見ますと、もう今や情報公開制度というのはつくる時代からこれを運用する時代へと進んでいると思うんです。これが現実です。これを知事初め県当局もしっかり押さえていただきたい。
 総務部長は、いつやるのかという時期の問題についてはなお期間が必要だということをおっしゃいましたが、その見通しの問題については「なお期間が必要」ということだけでは済まないと思うんです。一応目標をどこに置いて進めようとしているのかということがなかったら、目標の到達点がなくて「なお期間が必要」だけでは情報公開制に関する理解が総務部長においてはまだ十分に得られていないんじゃないかというように思いますので、この点はひとつ総務部長から答弁をお願い申し上げたいと思います。
 そういったことは、県民が主人公であるということ、または「知る権利」を保障する県政の任務という点に位置づけるならばできるはずではないか。先ほど申し上げましたが、この問題に携わっている職員の人が大変なことはよくわかります。あの数字を出すだけでも大変だと思うんですけれども、県民の「知る権利」を保障するということであるとするならば、そのためには県としてどうすべきか、何をすべきかということについて、例えば情報公開制度をつくっていく上でより一層陣容を強化していくといった手だて、さらには理解度をより一層高めていくなど、これに思い切って取り組むかどうか、ここに情報公開制に対する県政の姿勢がかかっている。
 知事もおくれている要因の問題についても触れられましたけれども、私はここに県政としてより一層大きなメスを入れて取り組みを進めてもらいたいということをお願いしておきたいと思うわけであります。言うならば県の政治姿勢を映す鏡であり、これは磨いてこそ我々の姿が映るわけでありますから、この点、さらに強調をしておきたいと思います。
 二つ目に、情報公開制度ができても、公務員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという、いわゆる守秘義務という問題がよく言われます。これがどうも金縛りになって、「情報公開制度ができても」というような考え方がやっぱりまだ一部に残っているんじゃないかという気もするわけであります。
 条例が制定されている中で、非公開にできる情報、いわゆる適用除外事項というのが条例制定のところではやられております。したがって、非公開にできるという適用除外事項があるわけでありますから、私はこの問題と守秘義務という問題はおのずと異なるというように思うわけであります。
 守秘義務の職務上知り得た秘密の範囲と適用除外の非公開にできる情報の範囲、これはやっぱりきちっと区別をしながら考えていくことが大事ではないかと思いますし、その問題について、先ほど紹介しました宇治田議員の質問に対して、総務部長がこのように答えておるわけであります。
 それは、「いずれにいたしましても、地方公務員法第三十四条の守秘義務を念頭に置きながら、一方では行政情報の原則公開という開かれた行政を推進するとの観点に立ち、個別具体的なケースごとに対処していく必要がある」、このように述べております。私は、この指摘は非常に大事だと思いますので、今後この点を明確にされていく必要があるのではないかと考えるわけであります。
 ところが具体的問題になってまいりますと、先ほど申し上げましたように、例えば勝共連合の訪問販売あるいは霊感商法──御承知のように、人の悩みにつけ込んで多宝塔とか印鑑、高麗ニンジンを法外に売りつけるというような問題の中で、当初は、その団体名とか会社名が明らかにされなかった例もありました。あるいはまた、何億という同和高度化資金の融資を受けながらそれを返済しない企業に対して、県当局は「企業名を出すことは個人のプライバシーに関する問題だ」ということを言っておりますが、私は、それは個人のプライバシーというのではなくていわゆる営業に関する問題だと思うんです。法人等の秘密というのは基本的には経済的な利益の問題であって個人のプライバシーに関する問題ではない、このように私は理解するわけです。したがって、こういうような問題が疑惑の中でそのまま進むということは、やはり許されないことだと思うわけであります。
 条例を制定されたところでは、先ほど大阪府の例を申し上げましたけれども、そのほか多く、各府県でも出されております。そういうようなところから、情報公開によって「知る権利」の保障を、私が今申し上げましたような立場からぜひ取り組みを進めていただきたいと思うわけであります。
 総務部長から、私が今申しました守秘義務と情報公開条例における非公開にできる情報との区別の問題について、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、自動販売機に関する問題であります。
 先ほど民生部長からの答弁にもありましたし、教育長や公安委員会からの報告がありましたけれども、自動販売機を設置させない運動、これは自治体あるいは土地提供を求められる所有者などと連携した取り組みというのが非常に大事だと思うわけであります。
 九月四日の朝日の社説でも、例えば「グラビア写真に登場する女性のうち、四一%が性的器官を強調されていた」とか、あるいは「法律や条例で規制するべきではない。問題の多い雑誌などがあっても、話し合いと、出版側の自制で解決していくべきだ」というようなことが出ております。さらには、ここでは一九七五年に国際婦人年の世界会議で採択された「メキシコ宣言」の問題を引用しております。こういった点から見ましても、このような問題が今大変大きな問題になっている中で、こうした点に十分留意をする必要があると思います。
 私は、やはり何よりも運動の問題が大切だと思います。先ほど民生部長も、こうした地域の住民あるいは団体との共同した運動を進めていくとおっしゃいました。私は、そういった各地域での例もあると思います。上富田町その他でもこのような運動が起こされておりますけれども、例えば、「山形県あすをきずく青少年県民会議」とか各「青少年育成市町村民会議」が「有害図書類の自動販売機撤去県民運動にご協力を」ということで署名運動を提唱しているんです。これは、例えば学校のPTAとか小学校・中学校・高等学校の校長会、また青少年や婦人の団体から始まって、ビデオレンタル協会、あるいはマスコミ倫理懇談会というようなところも加わった大きな運動になっている。
 私は、こういった県民運動を進めていくことが青少年を退廃的な映像文化から守っていく上での大事な点だと思いますし、これらの運動につきまして、ぜひ自治体、特に県行政が積極的な協力を進めていくことが青少年を守る上でも大切だと思いますので、その点あわせて、これは要望をいたしまして、私の再質問を終わります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 情報公開に関して、重ねてのお尋ねでございます。
 まず、実施時期については、先ほどお答えを申し上げたように、実施に向けてなお検討すべき課題がたくさん残されております。精力的に検討をしているところでございますが、情報公開制度の制定・実施そのものは時代の趨勢であるという認識を持っております。具体的に平成何年度から実施するということを現段階でお答え申し上げることは困難でございますが、実施に向けて積極的に今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、守秘義務の関連でお尋ねがございましたが、公務員の守秘義務の保持と情報公開制度とはもともとの趣旨は別個のものでございますが、一方の範囲を広く認めると他方の範囲が狭まるという意味からいきますと、両者は切り離して考えることができない関係にあると思っております。この問題は、情報公開の制度化の検討を進めていく際にも大変重要かつ困難な問題であるというふうに考えております。
 先ほども御指摘がございましたが、地方公務員の守秘義務については、地方公務員法の三十四条に規定がございますが、これに違反した職員に対しては罰則の適用がなされるということでございます。
 何が秘密であるかということについては、昭和五十二年に最高裁の判例もございまして、秘密の概念は実質的に考える必要があるということでございますが、個別具体のケースについての取り扱いを決めるに際しては慎重な対処が必要であろうと考えております。
 ただ、こういった守秘義務の問題が前面に出過ぎますと、せっかく情報公開制度をつくりながら、その持つ意味を減殺することにもなりかねないということで、今後、制度化に向けて検討をしていく中で、開かれた県政の推進という基本的な観点に立ち、他県における取り扱いもよく研究をしながら検討をしてまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。

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