平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成二年十月三日(水曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第九十三号から議案第百六号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第九十三号から議案第百六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 井 出 益 弘
 2 番 和 田 正 一
 3 番 町 田  亘
 4 番 中 村 利 男
 5 番 山 本  一
 6 番 宗  正 彦
 7 番 岡 本  保
 8  番 鈴 木 俊 男
 9 番 阪 部 菊 雄
 10 番 中 村 裕 一
 11 番 平 越 孝 哉
  12 番 大 江 康 弘
 13 番 中 西 雄 幸
 14 番 橋 本  進
 15 番 古 田 新 蔵
 16 番 浦  武 雄
 17 番 堀  本  隆  男
 18 番 宇治田   栄  蔵
 19 番 下 川 俊 樹
 20 番 石 田 真 敏
 21 番 木 下 秀 男
 22 番 中 村 隆 行
 23 番 藁 科 義 清
 24 番 門  三佐博 
 25 番 尾    崎    要   二
 26 番 那    須   秀   雄
 27 番 木 下 義 夫
  28 番 上野山 親 主
 30 番 尾 崎 吉 弘
 31 番 西 本 長 浩
 32 番 岸 本 光 造
 33 番 松  本  貞   次
 34 番 浜  本  収
 35 番 和 田 正 人
 36 番 浜 口 矩 一
 37 番 山 崎 幹 雄
 39 番 田  中  実三郎 
 40 番 森  利 一
 41 番 村   岡  キミ子 
 42 番 森 本 明 雄
 43 番 中 村  博
 44 番 中 村 千 晴
 45 番 小 林 史 郎
 46 番 渡 辺  勲
 47 番 藤 沢 弘太郎 
欠 席 議 員(なし) 
〔備 考〕
 29 番 欠 員
 38 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 高 瀬 芳 彦
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 天 谷 一 郎
 農林水産部長 安 田 重 行
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 吉 井 清 純
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   上 野  寛
 教育長 高 垣 修 三
 以下教育次長
 公安委員会委員 山 階 清 弘
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
   寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第九十三号から議案第百六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 皆さん御承知のように、きょう、ドイツ連邦共和国とドイツ民主共和国が統一を行いました。大変記念すべきことで、戦後四十五年にわたるドイツの分断に終止符が打たれたという日であります。同時に、私たちは、戦後の冷戦体制を本当に終結していくという上では、こうした統一の上に立って軍事ブロックをなくしていくことなどが今後の進展として考えられる問題ではないか、このように思うわけでございます。
 そこで、まず最初に、情報公開制度の制定についてお伺いをいたします。
 行政の密室性の打破に向けて、国民の「知る権利」を柱に国に対して情報公開法の制定を求める運動が始まって十年になるわけであります。私は、この十年間を一つの区切りとして、本県が情報公開制度の制定を急ぐ必要性のあることを痛感いたしました。提案を含めて五度目の質問をいたしてまいりたい、このように考えます。
 初めに、本県における情報公開制論議の歴史的な経過について、全国的な動向を背景に振り返ってみたいと思います。
 日本で情報公開制度が提唱されるようになったいきさつについて、自由人権協会の「情報公開はなぜ必要か」というのを紹介してみますと、「一九六〇代以降、日本は高度な産業社会へと移行し、これにともなって、市民生活が薬害・公害・有害食品・自然破壊などによっておびやかされ、これらの問題をめぐってさまざまな市民運動がくり広げられるようになりましたが、これらの運動が共通にぶちあたった問題が『行政情報の非公開』の壁でした。六〇年代の後半から、主婦連は、食品の安全性に関する政府の審議会の公開や議事録の公開を要求していました。一九七六年になると、日本消費者連盟が、わが国ではじめて情報公開法の立法を提唱しました」、このように述べております。
 同時に、政治的背景として、「当時は、ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件、鉄建公団等の不正支出事件等が騒がれ、秘密裡に不正がおこなわれていたことが問題となって」いたというように指摘をしております。
 情報公開制度問題が行政で取り組まれた最初は、一九八一年すなわち昭和五十六年の十一月、神奈川県の主催で開かれた情報公開シンポジウムに全国四十一都道府県から自治体関係者や弁護士、学者、ジャーナリストなど、約三百人が参加をして開かれ、一九八三年度を日本における情報公開制度実現のめどとする期待を表明したのであります。
 主催をした神奈川県は、翌年十月の県議会で情報公開条例の一九八三年四月実施を可決いたしました。同年、山形県金山町も公文書公開条例を制定、全国の自治体に大きな反響を呼び起こしたのであります。
 シンポジウムが開かれた年の十二月、共同通信が行った情報公開の全国調査では、制度化を具体的に検討し、また近く検討に入るといった自治体は三十六都道府県に上っており、残念ながら、和歌山県は近畿で唯一、未取り組み十一県の中に入っておったのであります。
 日本共産党県議団は、昭和五十六年の二月県議会での情報公開に関する第一回の質問を皮切りに、五十七年、五十八年、六十年と四回、県当局の姿勢についてただしてまいりました。この一連の質問にこたえて県当局は、五十六年十二月に情報公開調査研究会を設置し、その後、調査研究会の中に文書管理システムを中心とする第一専門部会と行政資料の一元化に見合う第二専門部会を置き、それまでの統計資料室を発展させた行政資料室を発足させました。この資料室の設置は情報公開制へ向けての前進でありました。
 その後、本年二月県議会で宇治田議員が制度の制定についてただされたのに対し、県当局は、昨年十一月、制度化を促進するために情報公開推進委員会を設置したということを答弁されております。
 少し長くなりましたが、以上が県議会本会議における情報公開制度に関する概要であったと思います。
 そこで、まず知事にお尋ねをいたします。
 情報公開制度は、本年三月現在、四十七都道府県中三十二都道府県で既に制定あるいは要綱がつくられており、市町村では百四十四自治体に上っております。県段階での未定十五県の中に本県が入っている。厳しい現実であります。
 制定へ向けての庁内関係部局の努力はうかがえます。しかし、情報公開調査研究会が設置されてから今日九年になりますが、いまだに制定に至っておりません。このおくれの要因はどこにあるのかについてお答えいただきたいのであります。
 総務部長からは、前任者の総務部長が県政全体を開かれた県政として前進させるために努力をするというように答弁をされてまいりましたが、新しく着任をされたばかりでありますけれども、この情報公開制度制定の見通しはいつごろになるのか。ある新聞報道によりますと、新年度中に作成をする方向とも書かれておりましたけれども、今日、到達をした現状について具体的に、さらに調査研究会と昨年十一月に設置された推進委員会の関連、及び推進委員会の任務と構成についてお答え願います。
 続いて、お伺いをいたします。
 申すまでもなく、国の主権は国民にあることが憲法に明記されております。県政においても同じく「県民が主人公」との立脚点に立てば、情報公開制度を早急に設置することは県民の「知る権利」を保障する重要なかなめであろうと思いますし、仮谷県政の政治姿勢を映す鏡でもあろうと考えます。
 知事も御承知のことと思いますが、昭和五十七年に発覚をした大阪府水道部の架空接待をめぐって、民間行政監視グループ「市民オンブズマン」のメンバーが、大阪府公文書公開等条例に基づいて水道部が懇談会に使った交際費の内容を明らかにするよう求めました。大阪府がこれを拒否したため非公開処分の取り消しを求めた行政訴訟において、昨年四月の大阪地裁での一審に次いで本年五月十七日の控訴審の判決でも、「府条例上、情報の非公開は例外として位置づけられるべきで、行政側の主観的判断ではなく厳格な解釈が求められる」として、府側の控訴は棄却をされたのであります。住民の知る権利が保障された一例であります。
 知事にお尋ねをいたします。
 知事は、県民の「知る権利」を保障する政治姿勢を県政施策の中でどのように貫こうとされているのか、お答えいただきたいのであります。
 次いで、情報公開の制度化の具体的構想についてであります。
 情報公開推進委員会が設置されましたが、各部局や委員会における構想についてお伺いをいたします。総務部長は推進委員会の中心的な一人であろうと思いますので、各部局、委員会等の全般にわたってお答えを願います。
 教育長からは、教育関係についてお答えいただきたいのであります。特に、よく問題にされることでありますが、教員の採用試験が終わった後、高校入試問題が発表されているような形で採用試験問題を公表されるのかどうかについてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
 公安委員会関係については、県民の生命、財産を守る立場から、例えば地域における暴力団組織の状況についての検討など、どのように考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
 最後に、行政資料室の拡充と体制の強化に関してお尋ねをいたします。
 行政資料室の設置は、県民の「知る権利」を保障する上で積極的な役割を果たしております。室内が見えない扉からガラス扉になって入りやすくなったという評価が寄せられているということも聞いております。
 本年五月、行政目録の追録第五号が統計課から発行をされました。資料の整備が進みつつあることがこの目録によってわかりますけれども、同時に、私の知る範囲の資料類の名前の見当たらないものもあります。各部局や委員会発行の資料類を行政資料室に集中することは、「これらの資料の閲覧及び利用面で県民の要望にこたえるため」とした県当局の方針の実践でもあろうと思います。
 現在、制度の制定に向けて推進委員会が設置されておりますので、私は、思い切ってこの行政資料室を独立した機構にするとともに、資料の充実と職員の増員、資料室面積の拡幅などを含む機能の拡充を行うことによってより県民の「知る権利」を保障するよう、ぜひ積極的な検討を願いたいのであります。あわせて、行政刊行物の保有状況と来年度への充実、及び年間利用状況と利用目的についてもお答えいただきたいのであります。総務部長並びに企画部長からお願いをいたします。
 第二に、退廃的な映像文化などから青少年を守り、青少年の健全な成長を実現していく問題についてお伺いをいたします。
 既に二人の議員が質問されてきたコミック漫画問題については重複を避けて省略し、残虐ホラービデオ、アダルトビデオを中心にお尋ねしてまいりたいと存じます。
 一九八八年度、全国でのビデオの販売数は千二百万本と言われ、その上、ビデオ協会に加盟していないビデオソフト制作者、いわゆる著作権を問題にしないような業者によるビデオがどれだけ出回っているか、数さえつかめないという状況で、まさにビデオのはんらんであります。
 本県下では、ビデオ販売店約二百店、そのうち自主規制を行うことを決めている日本ビデオ倫理協会加盟は約四九%の九十八店にとどまっております。ビデオレンタル店にしても、成人向けコーナーが不明確なところ、あるいはつくられていても店での管理が届かないところなど、相当あると見られております。
 特に問題となるのは、ビデオ自動販売機が和歌山市を中心に十カ所近く設置されているということであります。図書の自動販売機も同じでありますが、ビデオ自動販売機は、人手を通さずに、人目を避けて青少年が容易に買うことができます。値段も三千円から五千円という青少年にとっても買いやすい値段のため、個人であるいは数人が金を出し合って買い、密室化された個人の部屋で見ているのであります。こうした自動販売機の存在を知らないのは大人だけということまで言われておる現状であります。
 このビデオ自動販売機の設置をしている業者は県外の業者ばかりだそうで、その土地の所有者に一定の金を払って設置しているというのであります。一度設置をしたが最後、業者はこれを撤去しようとはしません。
 しかし、十年近く前には有害的図書の自動販売機に対して、多くの婦人の団体がそれぞれの立場から撤去運動に取り組み、各地で撤去させた経験も多くありました。今日の事態の中で、県行政が県青少年健全育成条例に基づいてその先頭に立つことが切実に求められているのではないでしょうか。
 「魔女の宅急便」「ムーミン」「アルプスの少女ハイジ」、こうした健全な子供向けのアニメ映画などが普及している一方で、暴力が肯定されたり、子供の性への正常な関心をもてあそび、ゆがめている現状は、その影響の大きさを考えたとき、見逃すことのできない重大な問題であると考えます。
 そこで、まず民生部長にお伺いをします。
 図書やビデオの有害指定状況及び指定上での問題点、早急に対処しなければならない課題について、あわせて書店やビデオ店に対してどのような緊密な指導や要請などを行ってこられているのか、お答え願いたいのであります。
 日本共産党は、だれしもが、日本の未来を担う子供たちがかけがえのない命を大切にし、お互いを思いやり、そして人間だけが持つ男女の愛情に基づく性を大切にして、その将来への確かな人間としての成長を心から願うものであります。
 そのためには、子供たちが感動と共感を育て、あすへの希望と喜びを受けとめることのできる文化や芸術の多面的な発展を図ることによって、子供たち自身が文化的・道徳的退廃に負けない健全な判断力を養い、かけがえのないその生涯を豊かに生きることのできる基礎をしっかりと身につけていけるよう、国民の共同の努力と役割を重視してまいりました。
 児童憲章はその前文で「児童は、人として尊ばれる。 児童は、社会の一員として重んぜられる。 児童は、よい環境のなかで育てられる」ことをうたっております。子供たちの人権を守り、健やかな成長を保障するために、子供と日本の将来を考えるすべての人たちが今日の文化的・道徳的現状を見詰め、社会的批判を広げることが大切であります。
 図書、ビデオの有害指定については、担当課の職員が書店やビデオ店、自動販売機を回って有害図書、ビデオをなくするために取り組み、児童福祉協議会の部会でも毎月、有害指定についての検討が行われております。そうした努力にもかかわらず、有害指定は発行されたものの内容によって行うために後追いの形になって、同じ出版社が次の号を出せばその内容の検討を行わなければならないのが実態であります。
 憲法の「表現の自由」は、長年にわたり社会進歩を願う人々の自由と民主主義の闘いの中でかち取られたものであります。しかしそれは、「表現の自由」の名によって人間の尊厳を踏みにじり、性の商品化や暴力の賛美を容認するものではありません。私は、国民の闘いで実現してきた「表現の自由」を何よりも大切に考えるからこそ、それを逆手にとった野放しを黙って見過ごすことはできないのであります。
 そこで、知事にお伺いをします。
 退廃的文化の現状をこのまま放置することはできません。そこで、「表現の自由」を十分配慮した適切な規制と実効のある措置が必要と考えますが、知事の基本的な所見をお聞かせいただきたいと思います。さらに、適切な行政指導を行うために、成人向けを扱う場合の店舗の厳正な区分、営業時間や学校の近くなどの営業地域の指導基準を設けるべきと考えます。民生部長の答弁をお願いいたします。
 地域で退廃的映像に対する追放運動が進められてきております。こうした運動を全県的な運動として発展させるためにも、行政の強力な援助、指導が求められております。県児童福祉審議会の部会で有害指定の検討をされてきた積み上げの上に立って、住民の参加によって青少年を退廃的文化から守る機構を県当局として設けるべきではないかと考えます。民生部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 情報公開制度でございますけれども、県行政を進める上において、開かれた県政による県民との信頼関係の確立が私は最も大切なことだと考えておりまして、そうした面から諸施策を展開している次第でございます。
 そういう意味からも、私は情報公開制度は非常に重要であると考えておりまして、このための制度化を推進する体制として昨年の十一月に情報公開推進委員会を設置し、現在、その制度化に向けて積極的に取り組んでおります。
 その中で、特に県民の利用しやすい制度とすることが最も肝要でございますので、そのような考え方に立って、現在検討を進めているところでございます。
 次に、有害図書等の「表現の自由」との問題でございます。
 これにつきましては、昨日、また一昨日とお話があったわけでございます。「表現の自由」というものは、私は基本的人権の中でも最も重要なものだと考えております。しかし、それは無制限なものではなしに、公共の福祉という点から調和のとれたものでなければならないと思っております。
 このことから、規制に当たっては、その目的に照らして必要最小限にとどめるべきだとは思いますけれども、こうした雑誌類についてもっと厳しく規制してよいのではないかと考えておるところでございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 情報公開制度の制定に関しまして、数点お尋ねをいただきました。
 情報公開を制度化して円滑に実施していくに際しては、県民の意向を踏まえ、どういう内容のものに仕組んでいくかといった検討はもとよりでございますが、職員に対する周知徹底であるとか、あるいは県庁内の体制の整備等、多くの課題がございます。
 これまで、大量に発生する文書を系統的に整理するために、文書管理規程の整備とか文書分類番号の設定、あるいは文書事務の手引書を作成するなどし、制度化に当たっての前提条件となる文書管理の改善に向けて取り組んできているところでございます。
 次に、調査研究会と推進委員会との関連についてでございます。
 調査研究会は知事部局の主幹課室、県民総合相談室──現在の県民生活室でございますが──統計課、さらに電子計算課──現在の情報システム課でございます──の十三課室をもって情報公開制度に関する基本的な課題について調査研究を重ねてまいっております。こうした研究会での検討結果を踏まえ、さらに推進委員会においては、教育委員会、公安委員会等の行政委員会を含めた十九の課室による全庁的な体制をもって制度化の推進に係る事項の調査検討、あるいは制度の具体案の作成、その他、制度の内容を固めていくに際しての主要な課題を検討するということになっております。
 次に、制度化の具体的な内容についてでございます。
 現在、情報公開推進委員会において、特に開示請求に対する開示あるいは非開示の判断の際に問題となる個人のプライバシーとか企業秘密の範囲について、特にこういったものは社会的に一定の基準となるべき考え方がまだ定着をしていないこともございまして、こういった問題を情報公開制度をつくる中でどういうふうに解決していくのかを含め、請求権を有する者の範囲、あるいは実施機関・窓口体制のあり方、救済措置をどういうふうに仕組んでいくか等、制度の内容をどうすべきかといった検討を重ねているところでございます。
 ただ、いずれにしても整理すべき課題が非常に多く残されており、お尋ねの制度化に向けての見通しでございますが、なお期間が必要であると考えております。
 さらに、行政資料室の問題についてでございます。
 情報公開制度において、情報提供施策と公文書の開示制度の両者は密接な関係にあると考えており、情報公開制度の中で行政資料室をどういうふうに位置づけるのか、そのあり方についても推進委員会の中で検討をしているところでございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 行政資料室の充実についてお答えを申し上げます。
 行政資料室は、公表された官公庁の刊行物を一元的に収集し、広く県民の要望にこたえるために昭和五十九年四月に設置しているところでございます。
 資料の保有状況は、九月末現在、国初め行政関係の資料約三万二千点、利用者は平成元年中で約五千七百人で、利用目的とその状況については、行政利用のため国、県、市町村の職員が約六割、企業経営のためと申しますか、会社員、銀行員等が約三割、残り約一割は学生、教員などが学習、教育指導などの目的のために利用されているところでございます。
 今後、統計情報の需要の高まりに対応するため、さらに資料の充実等を図り、行政データベース化の促進という課題も踏まえながら、利用者の期待にこたえるよう努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 有害図書、ビデオについてお答えいたします。
 まず、有害指定の状況、問題点についてでございますが、和歌山県青少年健全育成条例に基づき、毎月一回以上、児童福祉審議会文化財部会を開催し、青少年に有害なビデオ、図書を諮問してございます。
 昨年は図書四百八十八冊、ビデオ九本を有害指定してございます。本年一月から九月まででは、図書三百八十二冊、ビデオ二十四本を有害指定し、青少年への販売禁止措置をとったところでございます。
 ただ、この種の雑誌等はその種類も相当多うございまして、販売回転も早いことから、そのすべてに対して有害指定することは非常に難しゅうございます。また、販売即日、有害指定ができないのが実情でございます。販売元での自主規制を強く望むところでございます。
 県としては、今後、ビデオを初め漫画本の有害指定をさらに強化し、指定後の監視の徹底、県民の理解を高めるための広報活動等、地域住民と一体となった自動販売機、漫画本等の排除運動の強化、業者への自粛要請と補導センターとの連携によるビデオショップ、書店等への立ち入り指導等の措置をとってまいりたいと考えてございます。
 次に、書店等への要請についてでございますが、昨年二月及び九月に実施したビデオショップ等への指導に加え、本年九月十三日付で県内の書店等八百余店に対して自粛要請をしておりますが、その内容は、青少年に対する有害図書の販売禁止、成人コーナーの設置、有害図書の自動販売機への収納禁止、有害指定のない図書でも露骨な性描写のある雑誌については青少年への販売禁止といったこと等が要請の内容でございます。
 次に、指導基準、機構設置についてでございます。
 指導基準については、昨年から青少年健全育成推進店「少年を守る店」の事業を進めているところでございます。この事業の中で、各業種別の指導事項を設定しているところでありますが、御指摘の点も含め、これがより効果的なものにするためにさらに検討を加えていきたいと考えているところでございます。
 次に、子供を守る機構の設置でございますが、現在、県内全市町村には青少年育成市町村民会議が設置されてございます。その組織の中には幅広く各種団体・機関の代表、あるいは個人の参加を得て、青少年の健全育成、非行防止の各種活動を行っていただいておるところでございます。
 環境の浄化についても、各地域で住民運動の中核となって取り組んでいただき、行政への強い御支援をいただいているところであり、こうした日ごろの地道な活動は高く評価されるところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 情報公開についてでございますが、県教育委員会としても、情報公開推進委員会において関係部局とともに取り組んでいるところでございます。
 また、教員採用選考検査についてでありますが、従前から受検状況等については公表をしているところでございます。この検査においては、人間性豊かで教育に情熱を持ち、専門的な知識を有し、実践的指導力のあるすぐれた人材を得ることが必要でございます。
 このため、検査結果については、単にペーパーテストの成績だけで判断するのではなく、面接、実技、適性等、多様な検査を行い、総合的に判断をする必要があると考えてございまして、結果としてペーパーテストの競争を激化させると考えられる問題の公表はいたしてございません。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) 情報公開制度については、警察としても昨年十一月に設置された情報公開推進委員会に参画し、検討を進めているところでございます。
 申すまでもなく、警察活動は県民の理解と協力のもとに成り立っており、個人のプライバシー保護はもとよりのこと、警察活動及び県民の警察に対する協力関係等に及ぼす影響を慎重に考慮しながら、今後とも関係部局との連携を図りつつ検討してまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、情報公開制度の問題であります。
 先ほど情報公開制度や要綱がつくられている府県の紹介をいたしましたけれども、私考えるのに、全国的に見ますと、もう今や情報公開制度というのはつくる時代からこれを運用する時代へと進んでいると思うんです。これが現実です。これを知事初め県当局もしっかり押さえていただきたい。
 総務部長は、いつやるのかという時期の問題についてはなお期間が必要だということをおっしゃいましたが、その見通しの問題については「なお期間が必要」ということだけでは済まないと思うんです。一応目標をどこに置いて進めようとしているのかということがなかったら、目標の到達点がなくて「なお期間が必要」だけでは情報公開制に関する理解が総務部長においてはまだ十分に得られていないんじゃないかというように思いますので、この点はひとつ総務部長から答弁をお願い申し上げたいと思います。
 そういったことは、県民が主人公であるということ、または「知る権利」を保障する県政の任務という点に位置づけるならばできるはずではないか。先ほど申し上げましたが、この問題に携わっている職員の人が大変なことはよくわかります。あの数字を出すだけでも大変だと思うんですけれども、県民の「知る権利」を保障するということであるとするならば、そのためには県としてどうすべきか、何をすべきかということについて、例えば情報公開制度をつくっていく上でより一層陣容を強化していくといった手だて、さらには理解度をより一層高めていくなど、これに思い切って取り組むかどうか、ここに情報公開制に対する県政の姿勢がかかっている。
 知事もおくれている要因の問題についても触れられましたけれども、私はここに県政としてより一層大きなメスを入れて取り組みを進めてもらいたいということをお願いしておきたいと思うわけであります。言うならば県の政治姿勢を映す鏡であり、これは磨いてこそ我々の姿が映るわけでありますから、この点、さらに強調をしておきたいと思います。
 二つ目に、情報公開制度ができても、公務員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという、いわゆる守秘義務という問題がよく言われます。これがどうも金縛りになって、「情報公開制度ができても」というような考え方がやっぱりまだ一部に残っているんじゃないかという気もするわけであります。
 条例が制定されている中で、非公開にできる情報、いわゆる適用除外事項というのが条例制定のところではやられております。したがって、非公開にできるという適用除外事項があるわけでありますから、私はこの問題と守秘義務という問題はおのずと異なるというように思うわけであります。
 守秘義務の職務上知り得た秘密の範囲と適用除外の非公開にできる情報の範囲、これはやっぱりきちっと区別をしながら考えていくことが大事ではないかと思いますし、その問題について、先ほど紹介しました宇治田議員の質問に対して、総務部長がこのように答えておるわけであります。
 それは、「いずれにいたしましても、地方公務員法第三十四条の守秘義務を念頭に置きながら、一方では行政情報の原則公開という開かれた行政を推進するとの観点に立ち、個別具体的なケースごとに対処していく必要がある」、このように述べております。私は、この指摘は非常に大事だと思いますので、今後この点を明確にされていく必要があるのではないかと考えるわけであります。
 ところが具体的問題になってまいりますと、先ほど申し上げましたように、例えば勝共連合の訪問販売あるいは霊感商法──御承知のように、人の悩みにつけ込んで多宝塔とか印鑑、高麗ニンジンを法外に売りつけるというような問題の中で、当初は、その団体名とか会社名が明らかにされなかった例もありました。あるいはまた、何億という同和高度化資金の融資を受けながらそれを返済しない企業に対して、県当局は「企業名を出すことは個人のプライバシーに関する問題だ」ということを言っておりますが、私は、それは個人のプライバシーというのではなくていわゆる営業に関する問題だと思うんです。法人等の秘密というのは基本的には経済的な利益の問題であって個人のプライバシーに関する問題ではない、このように私は理解するわけです。したがって、こういうような問題が疑惑の中でそのまま進むということは、やはり許されないことだと思うわけであります。
 条例を制定されたところでは、先ほど大阪府の例を申し上げましたけれども、そのほか多く、各府県でも出されております。そういうようなところから、情報公開によって「知る権利」の保障を、私が今申し上げましたような立場からぜひ取り組みを進めていただきたいと思うわけであります。
 総務部長から、私が今申しました守秘義務と情報公開条例における非公開にできる情報との区別の問題について、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、自動販売機に関する問題であります。
 先ほど民生部長からの答弁にもありましたし、教育長や公安委員会からの報告がありましたけれども、自動販売機を設置させない運動、これは自治体あるいは土地提供を求められる所有者などと連携した取り組みというのが非常に大事だと思うわけであります。
 九月四日の朝日の社説でも、例えば「グラビア写真に登場する女性のうち、四一%が性的器官を強調されていた」とか、あるいは「法律や条例で規制するべきではない。問題の多い雑誌などがあっても、話し合いと、出版側の自制で解決していくべきだ」というようなことが出ております。さらには、ここでは一九七五年に国際婦人年の世界会議で採択された「メキシコ宣言」の問題を引用しております。こういった点から見ましても、このような問題が今大変大きな問題になっている中で、こうした点に十分留意をする必要があると思います。
 私は、やはり何よりも運動の問題が大切だと思います。先ほど民生部長も、こうした地域の住民あるいは団体との共同した運動を進めていくとおっしゃいました。私は、そういった各地域での例もあると思います。上富田町その他でもこのような運動が起こされておりますけれども、例えば、「山形県あすをきずく青少年県民会議」とか各「青少年育成市町村民会議」が「有害図書類の自動販売機撤去県民運動にご協力を」ということで署名運動を提唱しているんです。これは、例えば学校のPTAとか小学校・中学校・高等学校の校長会、また青少年や婦人の団体から始まって、ビデオレンタル協会、あるいはマスコミ倫理懇談会というようなところも加わった大きな運動になっている。
 私は、こういった県民運動を進めていくことが青少年を退廃的な映像文化から守っていく上での大事な点だと思いますし、これらの運動につきまして、ぜひ自治体、特に県行政が積極的な協力を進めていくことが青少年を守る上でも大切だと思いますので、その点あわせて、これは要望をいたしまして、私の再質問を終わります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 情報公開に関して、重ねてのお尋ねでございます。
 まず、実施時期については、先ほどお答えを申し上げたように、実施に向けてなお検討すべき課題がたくさん残されております。精力的に検討をしているところでございますが、情報公開制度の制定・実施そのものは時代の趨勢であるという認識を持っております。具体的に平成何年度から実施するということを現段階でお答え申し上げることは困難でございますが、実施に向けて積極的に今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、守秘義務の関連でお尋ねがございましたが、公務員の守秘義務の保持と情報公開制度とはもともとの趣旨は別個のものでございますが、一方の範囲を広く認めると他方の範囲が狭まるという意味からいきますと、両者は切り離して考えることができない関係にあると思っております。この問題は、情報公開の制度化の検討を進めていく際にも大変重要かつ困難な問題であるというふうに考えております。
 先ほども御指摘がございましたが、地方公務員の守秘義務については、地方公務員法の三十四条に規定がございますが、これに違反した職員に対しては罰則の適用がなされるということでございます。
 何が秘密であるかということについては、昭和五十二年に最高裁の判例もございまして、秘密の概念は実質的に考える必要があるということでございますが、個別具体のケースについての取り扱いを決めるに際しては慎重な対処が必要であろうと考えております。
 ただ、こういった守秘義務の問題が前面に出過ぎますと、せっかく情報公開制度をつくりながら、その持つ意味を減殺することにもなりかねないということで、今後、制度化に向けて検討をしていく中で、開かれた県政の推進という基本的な観点に立ち、他県における取り扱いもよく研究をしながら検討をしてまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず最初に、関西国際空港についてお尋ねをいたします。
 去る九月三十日、自民党本部より小沢幹事長、綿貫建設大臣、津島厚生大臣らを迎えて自民党県連主催の政経文化パーティーが開催されました。それに先立ち仮谷知事、岡本県連会長より、来賓の先生方に県勢浮揚のための施策十四項目にわたり実現を要望されました。
 特に関西国際空港に関しては、関西国際空港の早期実現、国際線の一元化、国内便の確保、全体構想の事業主体の三点を強く要望され、これを受けて小沢幹事長は、関西国際空港については年末にかけて具体化していくが、三大プロジェクトの一つでもあるので、地元の皆さんの御要望を踏まえ党としても十分協力したいと、大変心強い御答弁をいただきました。ともすれば孤軍奮闘になりがちな本県にとりまして、まさに百万の味方を得たものと意を強くしている次第です。知事はこのことに対しいかにお考えか、お示しをいただきたいと思います。
 関西国際空港の開港は、国際国家日本の象徴として、また関西地方、本県にとっての活性化ための大プロジェクトとして、だれもが期待しているところであります。そして本県では、その開港の時期である平成五年の春に照準を合わせて、県勢浮揚のためのさまざまなプロジェクトが展開されていることは御高承のところであります。
 しかしながら、さきに「新空港九三年春開港断念」という大見出しで、「当初予定の九三年三月には間に合わないことが二十九日、確定的となった。これは運輸省、関西国際空港会社など関係者から関西財界首脳に非公式に伝えられた」とし、また、宇野関経連会長談として「今は経済界としてこの問題に言及すべきではないと考える。政府の対応を見守りたい」とし、その流れに沿うような報道がありました。
 このことは、例えば平成五年夏開催予定のリゾート博の開催だけを見ても重大な影響を及ぼすものでありますが、どのようにお考えか、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 二番目に、TAP地方会議開催についてお伺いをいたします。
 「空青し山青し海青し」と佐藤春夫が詠んだ私たちのふるさと和歌山県は、気候温暖で大変自然に恵まれたところであります。昨今の週休二日制の普及や休日の増加は来るべき余暇時代の到来を予感させ、関西国際空港の開港や高速道路の延伸により国際的に通用するリゾート開発の機運がいよいよ盛り上がってまいりました。今こそ観光立県を目指し、さまざまな施策を講じるべきと考えます。
 ことし六月、第三回観光立県推進地方会議が北海道において開催されました。本県にとりまして非常に興味深いものであります。この地方会議は、地域の活性化、国際化の進展、価値観の多様化など時代のトレンドを踏まえ、二十一世紀を目指した観光のより一層の振興を図るため、運輸省が昭和六十三年に策定した九〇年代観光振興行動計画、略称「TAP90’s」に基づくものであります。
 地方会議では、その地域の特色を生かしつつ、その地域への旅行の促進を図っていき、また中央レベルでは、国民の余暇活動の充実を図り旅行需要を拡大するという観点から、休暇制度の改善、オフシーズンにおける営業割引の充実など基礎的な諸条件の整備を強力に進めていき、この観点からの旅行関連事業者による重点的、統一的なキャンペーン実施など、観光振興のための具体的施策を中央、地方の官民一致協力して検討し、実行に移すと聞きます。
 このTAP地方会議を本県と三重、奈良の三県共催で開催すべく運動されたと聞くが、成否はいかがか、また選定された場合どのようなプランで取り組まれるのか、お教えいただきたいと思います。
 三番目の質問として、御坊田園テクノタウン構想についてお伺いします。
 ことし二月の定例会でこの構想について知事のお考えをお伺いし、積極的な御答弁をいただきました。そしてその後も、湯浅御坊道路の事業の一層の推進、重要港湾日高港への積極的かつ具体的な取り組みなど、構想実現のための条件整備を着々と進めていただいております。さらに、いよいよ今回、土地造成事業会計補正予算に御坊工業用地造成に係る経費として十億四千八百万円を追加計上していただきました。
 昭和四十八年に御坊田園都市構想として産声を上げ、昭和五十五年に御坊田園テクノタウン構想として成長し、県勢浮揚の大プロジェクト、特に日高・御坊地方の活性化の目玉として、その実現は長年の県民、日高郡市民の悲願でもあります。ここに至るまでの、仮谷知事を初め多くの先輩の皆さん方の長年にわたる地道な活動と「どうしてもやらねば」というかたい御意志のたまものであります。ここに深甚なる敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 この十億四千八百万円の追加予算は郡市民挙げて期待しておるところでございますが、どういった施策を講じられるのか、お伺いをします。
 四番目に、地籍調査についてお尋ねをいたします。
 地籍調査については、昨年十二月、本年二月の定例会において先輩の尾崎吉弘議員が質問され、知事もその重要性を述べられ、土木部長や当時の担当部長であった農林水産部長からかなり積極的な答弁がされております。また、四月から土地問題全般に対応するために新たに土地対策課を設置されたこともあり、その後、地籍調査の必要性を認識し、実施しようとする機運が一層盛り上がってきたように伺います。今後一層事業が進むことを期待しつつ、質問をさせていただきます。
 「日本の国土で世界が買える」という話を聞きます。実際には買えはしませんが、同じ価値であるということであります。このびっくりするほど高い値段の日本の土地が、一筆ごとの面積は測量しなければわからないということであります。それじゃ困るというので、地籍調査があるのであります。
 地籍調査は、昭和三十八年、国土調査事業として始められ、町づくりの基礎資料、境界紛争の防止、行政財産の管理、公共事業の円滑化、不公平課税の是正、災害等の復旧などのため、なくてはならない調査であります。つまり、国土調査は国土の総合的な開発及びその利用の高度化に資するため緊急に行わなければならない事業であるにもかかわらず、全国的に見て近畿地方がおくれており、また本県においても地域によっておくれているところがあります。
 この事業には大きなさまざまなメリットがある一方、推進を困難にしている事情もあります。しかし、この事業が市町村の事業であることや三十分の一の負担を市町村に求めていること、また国土庁の推進用パンフレットは主に市町村用であることから、やはり市町村が本当にやる気になってもらわなければ事業は進まないのであります。
 そこで、現在、県下での取り組み状況はどうなっているのか、また課題はないのか、さらに今後事業の推進を図るためどのように取り組んでいかれるのか、お示しいただきたいと思います。
 最後に、御坊市を南北に通過する国道四十二号線の天田橋北詰交差点の交通渋滞についてお尋ねいたします。
 御坊以南にお越しいただいた方であれば御承知のことと存じますが、当交差点は天田橋北詰に位置し、右折車線のない交差点であります。当交差点は以南にスイカ、豆、花卉の大産地である名田町、印南町を控え、大型トラックが頻繁に往来し、また日高川河口の両岸には木材を加工する各種産業があり、十一トントラックやトレーラーが往来する日々であります。
 また、御坊市には官公庁や学校、事業所が集中し、近隣の町村から通勤、通学している人が多く、また、買い物や用事で市内に来られる人も大変多いことは、昭和六十年国勢調査において昼夜間人口比が一一二・六%であることからも明らかであります。この数値は県下一の高さであります。
 さらに、南には白浜、勝浦等の名勝を控え、マイカーや観光バスが往来し、紀南の経済を支える物資を運ぶ唯一の道路であります。建設省の調査でも、天田橋南詰では平日でも一日平均約一万九千四百台もの交通量があります。この状況下で、朝夕の通勤ラッシュの時間帯での停滞は想像をはるかに超えるものがあります。
 天田橋北詰交差点においては、御坊市内には交差点が多いため、特に北進車にとっては渋滞の影響を受けやすく、さらに当交差点より日高川右岸沿いの市街地へ進入する右折車両により一時的に交通を妨げられ、あたかもダムが河川を遮断しているがごとき状況に陥ります。例えば、交差点北詰において普通乗用車が右折しようとするとき、後方より二トントラックが来ただけでもう通行不能になり、後続車の流れを停滞させますし、逆に、大きなトラックが右折しようとすると、軽自動車すら通行できない状況になります。
 この交差点の渋滞に巻き込まれると、御坊市内を通過するのに一時間も要することもあり、とても国道としての機能を果たしているとは思われません。御坊市において国道四十二号線は生活道路として、また産業道路として住民に密着しているわけでありますが、道路法の国道の定義からはかなりかけ離れた感覚を覚えるのは私一人ではないと考えます。
 しかしながら、現在、国道四十二号線の整備計画において、技術的にも難しいため、この箇所の改良は計画されていないように聞いております。そこで、スムーズな交通を得るため、交通規制はできないのか、また抜本的な対策方法はないのか、県としてどのように考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村裕一議員にお答え申し上げます。
 関西空港問題でございまして、過日の政経文化パーティーにおきまして、小沢幹事長、また綿貫建設大臣に関空の早期実現を要望した点についてでございます。
 小沢幹事長からは、いろいろ難しい問題もあるけれども、関西国際空港は成田、羽田とともに日本の三大空港の一つであるという認識を持っており、年末の予算編成に向けて具体化していくように党としても十分協力していきたいという回答をいただいたわけでございますし、また、特に和歌山県については県の状況を十分肌で感じておるので精いっぱいの仕事をさせていただくという言葉をいただいたわけでございまして、意を強くしているところでございます。
 関空のような大規模プロジェクトについては、私は大きな政治力で進めていくことが必要だと思っております。まして、関西国際空港の早期実現については、きのうもいろいろ申し上げましたけれども、いろいろな問題があるわけでございます。そうした問題を解決しながら前へ進めていくということは、非常な力でもって頑張っていかなければなりません。そうした意味からも、県議会の皆さんや県選出の国会議員の皆さんの強力な力をおかりして、なお一層努力してまいりたいと思っておるところでございます。
 次に、関西国際空港の開港の時期についてでございます。
 現在、関西国際空港株式会社においては、平成五年春の開港を目指して、最大限の努力をすべく種々の方策を検討しているということを聞いておるわけでございます。
 本県としては、土砂の搬出については九月十日に六千五百万立米の半分の三千二百五十万立米を完了したわけでございまして、来年の十二月までには計画どおり和歌山県の土砂を搬出する計画で進んでおります。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 観光立県推進地方会議の誘致の成否と選定後のプランについてでございますけれども、先ほど議員も申されたように、この会議は、国際化の進展やレジャー、余暇生活の充実に対応するための観光の方策を検討するためのものであり、運輸省において提唱、推進されているものでございます。
 本県では、その開催について、昨年来、奈良・三重両県とともに強く要望してまいりましたが、このたび、来年度の開催地に内定をいただいたところでございます。
 日本を代表する旅行関連事業者等で構成される中央会議のメンバーが地元三県の関係者と一堂に会し、二十一世紀を目指した当該地域の観光振興方策を検討するものであり、本県にとって今後の観光の礎を築く、またとない絶好の機会であると考えてございます。
 県としては、早急に実行委員会を結成し、関係二県とともども、地元での受け入れ態勢及び交通アクセス、人材、サービスなどの検討テーマ、さらには誘客を図る観光統一キャンペーンの内容等について煮詰めてまいりたいと考えてございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、御坊田園テクノタウン構想につきましてお答えを申し上げます。
 御坊田園テクノタウン構想については、御坊周辺地域の現状と二十一世紀に向けての社会の発展方向を踏まえながら、当地域のすぐれた自然的歴史文化環境を生かした地域主導型の産業振興を図ることが重要であるとの考えのもとに、湯浅御坊道路計画等、交通基盤の具体化に合わせ、地元市町村と協力しながら、工業導入による若者が定住できる町づくりを目指して取り組んでいるところでございます。
 現在、企業集積の受け皿となる企業団地を造成すべく、企業局により準備が進められているところでございます。これを核としてこの地域の振興が図られるよう、地元と力を合わせて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 第二点は、地籍調査についてでございます。
 地籍調査は、議員御指摘のとおり、市町村事業でございますが、土地行政に必要な基礎的資料ができ、公共事業の円滑化や土地に関する権利の明確化に役立つものであります。こうした点も基本的に理解され、最近の数年間では事業を実施する市町村が増加し、本年度は、近畿では最も多い十三の市町で事業を実施しているところでございます。
 また、既に二つの町で全域完了あるいは一部完了してございますが、残り三十五市町村が未着手という状況でございます。未着手の市町村においても、地籍調査事業のメリットは理解されているものと考えてございますが、今後とも、地籍調査事業を計画的に促進していくため、平成元年度から発足させている地籍調査専門技術者制度を活用するとともに、事業の啓発普及活動を十分行い、着手市町村の増加に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、和歌山県地籍調査促進協議会へ未加入の十三の市町村についても、加入を働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 御坊田園テクノタウン構想の事業の進捗状況についてお答えをいたします。
 企業局としては、御坊田園テクノタウン構想の中核機能をなす先端技術産業等の立地促進を図るため、その開発拠点整備として、総事業費二十四億円で御坊市熊野地区に約二十ヘクタールの規模の土地造成事業を行うものでございます。今議会で補正予算をお願いしているのは、これらの用地取得費、調査費等でございます。
 現在、御坊市ともども用地の買収交渉に鋭意努力しているところでありますが、今後、地元の方々の御協力をいただきながら、本年度内に実施設計を行い、来年度早々、工事に着手する予定でございます。
 なお、完成は平成四年度末を目途としてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 国道四十二号天田橋北詰の渋滞対策についてでございますが、この天田橋北詰交差点にかかわる日高川右岸堤防道路について、御坊市が都市計画道路道成寺天田橋線として整備を進めております。
 道成寺天田橋線と国道四十二号とが交差する当該交差点の計画については、現在、御坊市において調査を行っております。今後、関係機関と協議を進めることとしておりますが、県としても適切な計画となるよう市を指導してまいります。
 また、現在、湯浅御坊道路及びそのアクセス道路として、県道姉子御坊線、江川小松原線、また市道野口隠谷線等の整備が平成六年度末を目途に行われております。これらの道路整備が完成すると、天田橋北詰交差点の現在の交通渋滞は大きく改善されるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) 御指摘の天田橋周辺の交通渋滞についてでございますが、日曜、休日の午後、天田橋北詰交差点を先頭として北進車線が三キロから八キロにわたって渋滞しているのが現状でございます。
 これは、天田橋が片側一車線であることから、議員御指摘のとおり、北詰で右折車があると後続車が進行できないことがその原因であり、警察としてもその解消に向けて従来から懸命の努力を行ってきたところであります。
 例えば、交通信号機の高度化として、昭和五十四年には時差式信号に、昭和五十七年には右折矢印式に、また昭和六十二年には感応式信号にそれぞれ改良を行ってきたほか、周辺の交差点を含めて信号の秒数を毎年見直すなどの対策を講じてきたところでありますが、増加し続ける交通量に対して根本的な解決を見るに至ってはおりません。
 交通規制の方法として北詰交差点での右折禁止も考えられますが、御坊市内には適当な迂回路が見当たらないところから、実施は困難ではないかと考えております。
 今後とも、関係機関と連携を保ち、渋滞解消に向けて努力してまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 10番中村裕一君。
○中村裕一君 今、五点にわたってお答えをいただきました。それぞれの事業の大きな進展を心から期待申し上げますが、一点、天田橋の北詰に関して申し上げたいと思います。
 今お答えいただきましたように、交通規制は無理だということでございますね。そうしますと、残るは抜本的な解決方法を図っていかなければならないということになるわけであります。
 初めに申し上げましたように、ここは平日でも一万九千四百台という交通量があります。連休とか正月、盆は、もちろん大渋滞を起こすわけであります。この大渋滞を解消するためには、土木部長から御答弁ありましたように、御坊湯浅道路の完成、それからそれに連なるアクセス道路が完成しますと随分解消されるわけでありますが、根本的な解決にはならないと思うのであります。
 また、この交差点は非常に危険であります。片側一車線だけでございまして──前をよく見て運転するのは当たり前の話なんですが、前に忽然と車があらわれるんです。狭い交差点で、前に車があるとどうしても通れない。普段真っすぐ行っている習性からしますと思わず追突してしまうようなことがあるわけでございまして、実際にここで交通事故も過去に何度もありました。これが国道かなというふうに思うわけであります。
 もう一つ、先ほど、この交差点の解消のためには今市でやっている都市計画街路事業で考えたらいいということがございましたが、もともとこの天田橋の周辺というのは、天田橋を渡ってすぐ右折して現在の御坊市内の旧国道の方へ入っていたのですが、国道が新しく改修されたときに天田橋から真っすぐ道がつきました。そのときにこの交差点ができたわけでありますから、国で交差点をつくったと言えなくもないわけであります。
 以上のようなことから、建設省が自主的に解決すべき問題であるということを申し上げたいわけでありますが、これは県議会で申し上げても何ら答弁をいただけないものであると思います。
 ただ、建設省が技術的に難しいとかお金がないからほったらかしにしているというのは、まさに怠慢でございます。こういったことをぜひ建設省に強く働きかけていただくことを要望いたしまして、再質問にいたします。ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十二分休憩
 ───────────────────
 午後一時十四分再開
○議長(岸本光造君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、申し上げます。
 一昨日の小林議員の発言の中に不適切な箇所がありましたので、同議員の申し出もあり、この部分を取り消すことといたします。
 なお、これに関連する部分も同様の取り扱いとさせていただきます。
 以上、御了承願います。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番田中実三郎君。
 〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 十月三日は新しいドイツの生まれる日であり、第二次世界大戦ヤルタ体制下の四十五年がきょう終わりました。新しい息吹のドイツの生まれることを、我々としても祝福をしなければならないと思います。
 片や、新聞によりますと、財界が大型使節団を東欧五カ国に派遣するということも報ぜられております。第一次オイルショックの際は、我が日本国の経済というものは落ち込みを辛うじて輸出の面でカバーをし、つまり日本が外貨獲得の策で危機を乗り切ったというふうに私は理解をいたしております。
 今回は、御承知のように、貿易摩擦によって、またイラクの問題等もこれあり、オイル危機の到来を予期いたさなければなりませんが、日本の経済界へ、なかんずく国民社会生活への不安、影響について、若干でも今回のドイツ統一がいい影響をもたらすことを期待しなくてはならないと思います。そういう夢も含めながら、我々は県政に邁進をいたしたいというふうにも考えています。
 十九日の十九号及び二十号の大型台風により被災された皆さん方に心からお見舞いを申し上げるとともに、発生時の広報活動、さらには相次ぐ復旧作業に日夜取り組んでいらっしゃる当局及び関係職員の皆さんの御辛苦に、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 九月県議会の一般質問に当たりまして、私は、第一点として県行政と我が和歌山県選出国会議員との意思疎通といいますか、県行政の具体的な方向の理解と協力を先生方にどんな形で図っていらっしゃるのかお伺いをいたしたいのであります。
 もちろん、当局は、東京事務所を通じ、時には県首脳部、部課長が定例的に、あるいはそのときどきの適切な方法で来年度政府要望の説明なりを申し上げて云々と答弁なさると思いますが、私はそうした表面にあらわれていることだけではなく、実際に先生方に理解をいただいていないような印象を受けるといったことを、最近見聞いたします。そこで、あえて質問をいたしたのです。
 国会議員さんの折に触れての新聞発表やお知らせ等々を拝見いたしてみましても、県が取り組んでいらっしゃる方向といささか違和感を覚えることが過去あります。最近もありました。もちろん、数多くの県行政の内容でありますし、時としてお互いに十分な理解が得られない場合もあることは十分承知をするのでありますが、基本的に、年間どんな方法で相互理解を深めているのか、また県庁の内部ではこの種の取りまとめをどの部が担当していらっしゃるのか、さらには、今までとり来っている現行方法の中で将来改善すべき点を感じていらっしゃらないのか、これはひとつ西口副知事からお答えをいただきたいと思います。
 二番目に、南紀白浜空港飛行場施設変更に関する問題点について質問を申し上げます。
 去る九月九日、白浜町当局の招集で、古賀浦において田辺市、西牟婁郡選出県会議員七人全員の会合がなされました。建設常任委員会等では何回となく南紀白浜空港ジェット化整備事業に関する質疑、意見は交わされておりましたし、白浜町長選挙の際には一つの争点ともなり、某候補の応援弁士からこれに関する重要発言があったとかなかったとか、町のうわさ話とも受け取れる話題が流されました。
 そのことも十分承知をしていましたが、こうして県会議員七人も集まって、しかも地域の県事務所長等の人々が集まっている公式の場で、平成六年を期して各関係者大わらわの努力をなさっていらっしゃる、いわば和歌山県の重大プロジェクトの重要部面が変更されなくてはならない時点に立ち至っているということを知り、全く愕然といたしました。
 当然、九月十二日、十三日に予定をしていた建設常任委員会の県内視察につきましても、同僚・町田議員から相談を受けまして、委員長を初め各委員の皆さんにも御理解を求めて、急遽予定変更をお願いし、特に十三日の日程の中に南紀白浜空港建設事務所を追加していただいた次第であります。
 それぞれの会議内容に基づいて私自身が調査した資料をもとにして、以下、質問を申し上げたいと思います。
 まず、今日的感覚では愚念かもしれませんが、今日に至る機構及び財政面での歩みを振り返ってみたいと思います。
 まず機構的な面では、場所決定が昭和六十年一月二十六日になされています。整備室を設置したのが同年六月、事務所新設が六十二年四月、運輸大臣に申請書提出が六十三年九月であり、これの認可が同年十二月ということになっています。現地の構成人員では、田辺市、白浜町出向の方々を加えまして、十九名ないし二十名の陣容をもって事に当たっていただいているわけであります。
 財政投資的な面では、まず昭和六十二年当初予算で五千百八十四万六千円、次いで六十三年当初予算では公共事業費で十億八千万、県単独事業で五億、平成元年では公共費三十一億一千二百万、県単事業では二十七億一千六十万でありますけれども、この場合は、年次途中で用地費の関係で十四億六千八百六十八万円に減額をされております。平成二年度では、公共事業費六十八億六千万円、県単で二十三億二千二百八十一万円、以上を主体とし、その他を加えまして、私の概算では百五十億になんなんとする投入をされていると思考されます。
 こうした背景の中で、質問をいたしたいと存じます。
 一番目に、まず県当局の取り組みの中での問題点としてお伺いいたします。
 スモール一としては、飛行場なるものは本来、広義的に考えますと企業的性格の比重が大きいと思いますが、構成員メンバーは──それぞれ皆、立派な方々であります。よく知っている方もいらっしゃいます。しかし、企業的性格の比重が高いのに、こうした配慮が配置の場合に欠けておったのではなかろうか。
 スモール二としては、土木部が主体的な担当ということで表に出過ぎて、いわゆる土木部のみが突出をした運営になってはいなかっただろうか。具体的に申し上げますと、白浜の大森山の花卉団地の問題、あるいはつけかえ道路の新設、トンネル工事等々では、当然、農業経営者、漁労関係者、つまり農林水産部との連携に遺憾な点がなかっただろうか。
 二つ目、予算措置後における未消化残額について質問をいたします。
 スモール一、前述したように、私の推計では約百五十億になんなんとする金額が既に措置されておりますけれども、今日ただいま、どれぐらいの未消化金額があるのか明示をされたいのであります。
 スモール二、平成元年及び二年度で、債務負担行為の措置でつけかえ道路関係、トンネル関係十二億、鴨居地区水路関係で五億と計上し、たしか本年の一月中旬に入札を施行しているはずだと思いますけれども、その後、今日まで半年以上も経過をしておるのに、現場を拝見いたしますと、その実態は極めて不都合な状況にあります。こうした事態は、普通、我々が考える建設事業においては考えることのできない事柄であります。恐らく、全国でもまれでありましょう。どんな事情が不執行の内部に介在をしているのか、白浜町当局の対応ももちろん知りたいのでありますけれども、県のこれに対する措置を解明されたいのであります。
 あわせて総務部長からは、今言ったような事情にある未消化予算の関係で、年度がまたがります。特に、会計閉鎖期間も過ぎます。そういった場合の元年度決算期における事務的取り扱いについても、ひとつこの際、御教示をいただきたいのであります。
 三番目は、白浜町当局として対応すべき点をも含んで、今後の施工工程をこの際明確にしていただきたいのであります。
 過日の六月県会において、我が党浜本議員の質問の中で県と白浜町との間におけるいわゆる念書なるものが明らかにされました。今日までの私の疑問点はこの念書の解明をされたことによってある程度解明されたのでありますが、それと同時にまた新しい別の疑問点が生じたことも否定できません。
 その一例として、何回となく建設常任委員会の中において質問をいたしましたが、県・市・町の合同機構の中で本当に連係がとれているのかという一点であります。
 私は、先ほど申し上げましたように、現地に出向されていらっしゃる人と人との問題を指摘したのではありません。出向されていらっしゃる個人は、お互いに信頼をし、尊重するの余り、市当局、町当局、県当局相互間で、いわゆる俗に世に言う腹の割った連絡が行政機関の中でできておるか否かということが問題だと思うのです。逆に、極端な表現かもしれませんが、お互いにそれぞれの権限範囲に一線を画し過ぎているのではないかとすら思われるのであります。
 浜本議員の前回質問の言葉をかりますと、県、町一体感に立った推進への方途が必要だというふうに言っていらっしゃいますが、まさにそのとおりではないかと私も思うのであります。
 改めて、花卉団地問題及び町公共施設の移転計画も、私の知るところでは六十二年に作成をされていらっしゃいますけれども、これに今再検討を加え、関係者の意見も十分に配慮をされた中で実施計画を樹立されて事業推進に備える工事工程ができているなら、この際、明示されたいのであります。
 大きな三番として、交通問題に移ります。
 「交通死八千人を超える」、これはけさの新聞記事の見出しです。警察庁のまとめによりますと、十月一日でことし全国で交通事故によって死亡したのが八千人を超えた、十五年ぶりに一万一千人を超えた昨年同期より二日早く、昭和五十年以降では最悪のペースだというふうに記事として扱っています。その内容を見てみますと、今までは自動車対弱者であったのが、自動車中の乗務員の死亡者が多く増加をしているというふうに、事故死全体の比率の中で示されています。
 そういう意味合いで、人身死傷事故が一件でもなくなることを念願しながら、以下、質問を申し上げたいと思います。つまり、交通事故の防止、特に死傷事故の絶滅の立場から質問を申し上げたいと思うのです。
 県内の路線バスの運行といいますか、採算問題については、県民の足を守る、あるいは過疎対策の一環だということで、我が和歌山県は全国に先駆けて単独補助を実施したり、あるいはそれが国段階に移行され、運輸省の条例慣行を超越して助成をする等の対処が過去なされてまいりましたけれども、僻地バス路線の経営難の深刻さは一日一日深まる一方であり、経営者側は機会あるごとに経営合理化と称しまして、従業人員の削減を初め、路線バス運行必要時間の短縮等を強行してきている現状であります。当然のこととして、労働者に対する労働強化の一途をたどりつつあります。
 そこで、私は次の二点を、本来ならば和歌山陸運支局の方に出席を求めて答弁をいただきたいのでありますけれども、悲しいかな、和歌山県規則第八号、つまり昭和六十年四月以降、陸運事務所の組織の変更があり、これに伴い、今までは県知事を経由していた書類がしなくてもいいというふうに組織化された。したがって、本県議会には召還をお願いすることができないという立場から──法的にそういうふうになりましたから、やむを得ず企画部長及び公安委員会の見解と現状把握、並びにその対応方策を明らかにしていただきたいと思うのです。
 その一番目は、昭和四十七年以来、逐次増加をしてまいっておりますいわゆるワンマンバス──運転手一人乗務の形態をとりつつありますが、認可当時においてすら、たしか昭和四十六年だったと思いますが、昭和四十七年五月の大阪陸運局公示第一号に基づいて申請をされた。その後、変更がありまして、昭和六十一年十二月の近畿陸運事務所公示第一号を正確な意味で満たさなかったまま認可をしたという事例もあります。
 例えば、曲線のラディアス(半径)なり勾配の限度、あるいは道路幅員の狭隘等、この公示に抵触した部面があった、あるいは解釈のそごがあったと思うんですが、その後、道路改修が逐次進んでまいっている今日では、現在、果たして和歌山県下でどんな実情になっているのか。前述をいたしました事由と、さらには、当然そのときに会社側としてとらなければならないいわゆる具備すべき要件をその後満たしているのかいないのか、満たしておらない種類のものの中には今日どういうものがあるのか。
 一つの例を申し上げますと、その公示の中では、三百メートル以内に退避場がない場合には会社側は誘導員を配置して誘導しなさいというふうになっておる。つまり、三百メートルバックすることが危険を伴うというふうに理解をすべきだと思うんです。一つの例です。
 二番目には、自動車車両の安全基準の問題についてお伺いをいたします。
 ある書類によりますと、我が日本での年間自動車生産台数は六百万台だそうであります。そのうちの四〇%が米国向けの輸出用であるとのことでありますが、日本の車両安全基準とアメリカの車両安全基準との間に格差があり、アメリカへの輸出についてはアメリカの安全基準に合格する必要があるため、国内向けと異なる検査が必要だということになる。
 例えば、日本では一・八トンの車を衝突させて燃料漏れはあるかないかを検査するだけです。アメリカでは、それと同時に、車両検査はもちろん、車両の乗務員が衝撃によりどんな傷害を起こすか起こさないかも一緒に検査をする。あるいは、三トンに耐えられるドアをアメリカでは要求されているので、四〇%の車についてはさらに補強板を加えて輸出をしなければならないということであります。きのう、阪部先生にお聞きをすると、ドイツではボンネットのところに鉄骨で十字に補強をするそうです。ところが日本ではそれがなされていません。
 ちなみに、同じ衝撃を与えても、車の中央部に柱が一本あれば天井のくぼみは二十四センチだそうですが、ハードトップでは四十センチのくぼみができるそうです。アメリカは、ハードトップを使用禁止にしてしまった。そのことで、アメリカでは百十人の人の命を救ったというふうに書かれていました。
 なお、日本ではコンクリート壁に五十キロのスピードで衝突をさせて燃料漏れがあるかどうかは検査するけれども、先ほど言ったように人身に対する検査はしない。新車に対する衝突試験については、アメリカは五十トンを使うが日本は三十七トンだということであります。
 以上、私の知る範囲の数点を例示してみましたが、車自体の強度の問題点と申しますか、専門家に研究してもらえばまだまだ人身傷害につながっていく問題点は幾つかあると考えられます。最近、特に交通死傷事故の激増する昨今、車両検査、安全基準に直接的な関係はないとしても、傷害事故防止を強調し、事故処理及び対策に直接関係を持っていらっしゃる交通政策課及び警察本部としての見解と対応策をお答えいただきたいのであります。
 四番目、松くい虫の再発生についてお伺いをいたします。
 松くい虫に関しましては、過去数年、十分な論議がなされました。当局も防除及び予防のために各種方法を施行されて、その効果を上げていらっしゃいますので、細かな論議はさておき、一点、松くい虫繁殖のメカニズムといいますか、どちらの言葉を使っていいかわかりませんが、周期的現象について質問を申し上げたいと思うのです。
 過去の実例から考えますと、約十五年ぐらいの短期を周期として再発する傾向があるように思えます。言うまでもなく、松くい虫による松の枯損は、昭和三十三年ごろ新宮市の巴製紙工場付近から発生をしたとの諸説がありますが、このことは九州地方から搬入をした松が発生源となって広がったというふうにも記憶をしてございます。また、渡り鳥だ、あるいはヒヨドリがアメリカから松くい虫の幼虫を搬入するんだという諸説もあります。特に奈良県、熊本県における研究が一番進んでいるということで、奈良県の試験場へ視察に行ってまいったこともあります。
 ともあれ、我が県では南から漸次北上して──ちょうど思い出すんですが、田辺・西牟婁の県会議員が一生懸命に議会でやっている時分には、失礼だけれども、御坊から北の議員さんは比較的冷淡であった。だんだん月がたつと、今度は御坊から北の県会議員さんが一生懸命に力説をするという現象が過去にありました。つまり、南から漸次北側に拡大をして、いつの間にかその勢力が減退をしたのであります。
 そうして数年を経た今日、また紀南におけるその猛威はまことに驚きであります。本県の予算的推移を見ますと、六十三年度予算では五千三百九十四万円、決算では五千万円、平成元年度予算では五千二百万円、決算では五千百八十四万、平成二年度、つまりことしの当初予算は四千九百二十一万円といった推移を眺めてみますと、本年度だけの松くい虫対策ではだめだ、将来的な対策こそが我が和歌山県林業界にとっては重要と考えなくてはならないと思いますが、農林水産部の長期にわたる対策について、その見解を明らかにされたいのであります。
 日本全体的な研究の中でも、松くい虫は大きく分けて四つ、小さく分けて十九だとも二十五だとも言われています。対策については非常に難しいとは思いますけれども、難しいといってほうっておいては大変でございます。どうか、将来的展望に立っての見解を明らかにしていただきたいと思うんです。
 ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
 南紀新空港建設事業についてでございますけれども、県政の中でも最も重要な事業の一つと位置づけまして、昭和六十二年に現地に建設事務所を設け、県及び町が一体となって積極的に取り組んでまいっておる次第でございます。県議会においても、全議員で構成される新空港建設促進議員連盟を設置していただいて、一体となって本事業に取り組んでいただいており、力強く、心強く存ずる次第でございます。
 しかしながら、いろいろ御迷惑をかけてまことに恐縮に存じておるわけでございます。本事業を進めるに当たっては、何と申しても地元の協力が絶対不可欠でございまして、計画の当初段階から地元の関係者にその旨強い意識を持っていただいておるところでございますけれども、いろいろ難しい問題も多々ございます。
 しかしながら、今は建設事業にとって最も重要な時期であり、白浜町を初め地元の関係者の皆さんにこの事業の重要性を再認識していただいて、なお一層積極的に御指導、御協力をいただくつもりでございますし、県庁においても、庁内関係部局が一体となって総合的な取り組みを図り、南紀新空港建設事業の促進が図れるように努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
 質問の詳細については部長から答弁いたします。
○議長(岸本光造君) 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 県と県選出の国会議員の先生方との意思疎通に関する御質問でございます。
 県行政の推進に当たっては、各種施策の実現を図っていくために県議会の皆さん方の御理解、御支援をいただくことはもちろんでございますけれども、県選出の国会議員の先生方についても、各般にわたる御理解と御協力を賜らなければならないことは当然のことでございます。
 このために県としては、企画部が中心となり、これまでも国の概算要求時、さらには政府予算編成の際に、知事を初め各部長から国会議員各位に県の考え方を十分御説明申し上げ、ともに各省庁への要望活動を展開していただいておりますことは、御質問にございましたように、田中議員も既に御承知をいただいておるところでございます。
 これにとどまることなく、各部局の個別の案件に応じ、その都度、国会議員の先生方と緊密な連携をとりながら、情報を交換し、あるいは政策の方向を議論し、関係各省庁等への働きかけをお願いしておるわけでありまして、さらに東京事務所なども含め、機会あるごとに意思疎通に心がけているところでございます。
 御意見にございましたように、県としては、単なる形式にとらわれることなく、国会議員の先生方との日常不断の意思疎通が極めて重要であると認識をしておりますので、県政全体の基本方向あるいは各種政策については、国会議員という強い政治の立場からも一層の御理解と御協力が得られるよう、不十分な点には工夫を加え、今後とも努力を重ねてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 南紀新空港建設に関する問題点についてお答えいたします。
 一番目の、県の取り組み上の問題でございます。
 まず、企業的性格への配慮不足はなかったかについてでございますが、南紀新空港建設事業は、用地問題等、地元調整に係る事項については白浜町ほか地元が中心となって行うことを原則として進めております。特に、用地問題の対応については、公共事業としての制約もあり、難しい点もございますが、関係機関とも一体となって、今後一層広い角度から取り組んでまいります。
 次の、土木部独走で他部署との連携に欠けてなかったかということでございますが、南紀新空港建設事業については、庁内に副知事以下関係部長を構成員とする南紀新空港建設協議会を設け、総合的に取り組むこととし、関係部課の間で諸問題について意見交換を行い、そのもとで必要に応じて個別の課題について調整し、あるいは協力を求めるなどしてきております。
 議員御指摘の花卉団地計画については、白浜町が計画変更の決定をした上で白浜町から県の農林部局にお願いしたいとの考えで検討が進められていたものであり、また工事に係る漁業者との関係については、漁協としての要望を受け、白浜町との調整を図る一方、県の出先関係機関の担当者ともども地元との懇談の場を持つなどしたところであります。
 二番目の、予算執行における未消化問題でございます。
 約百五十億円の予算化のうち未消化残額は幾らかでございますが、予算については昭和六十三年度から事業化しており、平成二年度までの事業費は、補助事業及び県単独事業を合わせ百五十三億四千四百万円となっております。
 これまでに、用地買収を中心に三十八億六千万円の予算を執行しております。今後、平成元年度繰越予算及び今年度予算をもって残る百十四億八千四百万円の予算執行について全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 次の、債務負担行為の道路、水路関係の一月入札事業の進捗おくれについてでございますが、鴨居地区におけるつけかえ道路及びつけかえ河川のトンネル工事については、白浜町との調整を踏まえ、工事発注し、着工準備を進めてきておりましたが、地元関係者との調整が整うまで現地着工を見合わせられたいとの白浜町からの要請があり、現地未着手の状態にあります。この間、白浜町及び県において関係者の御理解を得るべく努力してきているところであります。
 三番目の、平成六年開港を目指しての取り組みと工事施工工程についてでございます。
 工事工程については、白浜町が実施する花卉団地計画、公共施設移転計画の工程と関係するものでありますが、これらについては白浜町において精力的に取り組んでいただいている現況であります。これらの事業工程と調整を図りつつ、おくれている現在の状況を踏まえた工事工程をもとにして、用地買収及び先行すべき工事について取り組む一方、施工方法についても技術的な検討を行い、工期の短縮に努力しており、初期の目的を達成するようなお一層全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 南紀新空港建設に関連して、債務負担行為により実施することとしている県道工事等の決算事務取扱の手続についてでございます。
 平成二年の二月議会において御承認いただきました南紀新空港建設に伴う県道工事及びつけかえ河川工事については、いずれも平成元年度から二カ年の期間を要するということで、債務負担行為に係る工事として予算化を行っているものでございます。
 元年度の歳出については、工事前払い金と工場製作を行うトンネル型枠の出来高払い等で一億七千六百余万円を支出し、元年度決算として計上をしております。
 残余については年度内執行の見込みが立たないことから、繰越予算としての手続を行い、平成二年六月の議会に繰越報告をさせていただいているところでございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、ワンマンバスに関連した御質問にお答えを申し上げます。
 ワンマンバスの運行に際しては、現在、事業者から運輸省に届け出をすることとなってございます。運輸省においては、ワンマンバス運行に伴い安全が確保されるよう、昭和六十一年十二月十七日に公示された「ワンマンバスの運行要件」に基づき、道路幅員、折り返し場所等の安全基準を設け、また届け出に際しては、添付図面、写真、現地確認等を行った上で届け出の受理を行っていると聞いてございます。
 県においては、ワンマンバスの運行について安全が確保されるよう運輸省に対して働きかけるとともに、路線バスの安全かつ円滑な運行が図られるよう、道路整備等について関係部局と連携を図りながら努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、自動車車両の安全基準に関する問題点についてでございます。
 我が国の交通事故の状況を欧米諸国と比較すると、歩行者、二輪車乗車中といった交通弱者の比率が高いことが特徴として挙げられます。このため、我が国では交通弱者の関係した交通事故防止対策に重点が置かれてまいりました。
 しかしながら、最近では自動車乗車中の死者の比率が徐々に増加してきてございます。議員御指摘のように、車両の安全性の向上等、乗員の被害軽減が重要となってきてございます。こうしたことを背景として、国においても自動車安全対策の強化、自動車の衝突安全性能に関する調査研究の充実等の措置が講じられているところでございます。
 また、県議会におかれても、本年二月、「交通死亡事故防止対策の強化に関する意見書」を全会一致で採択され、車両の構造強化の促進について関係省庁に働きかけていただいているところでございます。県としても、自動車乗車中の事故の全事故に占める割合が年々増加してきていることから、自動車の安全対策について運輸省に意見を申し上げるとともに、県警察、和歌山陸運支局等、関係機関と連携を図りながら交通安全対策を推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 松くい虫の被害の問題でございます。
 松くい虫被害の原因がマツノマダラカミキリに寄生するマツノザイセンチュウであること、被害発生の経過、メカニズムは一九七〇年に解明をされているところでございます。
 松くい虫発生の周期的な現象については、松くい虫の発生期における発生の度合い、気象条件、地形的条件等の要因が相互に関連すると推察をされてございます。
 本年度の紀南地方、特に田辺市、西牟婁郡を中心に発生をしている松くい虫の被害については、田中議員御指摘のとおりでございますが、特徴としては七月から八月にかけての高温少雨による大変な異常気象が松を極めて短期間に変色、枯損させたものと考えられます。被害発生の周期については、今後の被害状況の推移を注意深く見守ってまいりたいと考えてございます。
 長期対策でございますが、松林は森林資源として、また自然景観上も大変重要でございます。将来とも保存すべきところは重点的に防除事業の充実強化を図る、これは時期と方法も含め──また松くい虫に非常に強い抵抗性のあるものが開発されておりますので、既に五十六年度から県内では一万六千本植栽をしておりますけれども、こういった松類等の植栽をさらに進め、関係市町村とも協力を密にして地域全体の効率的な幅広い防除対策を進めていく所存でございます。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) まずワンマンバスの運行に関連した点でございますが、路線バスの運行に係る免許申請等の意見照会については、公安委員会から警察本部長が権限を委任されておりますので、私からお答えさせていただきます。
 ワンマンバスの認可についてでありますが、昭和六十一年九月二十六日に運輸省令が改正されて届け出制となっております。その運行要件等については、運輸局が所掌しており、公安委員会の権限ではございませんので、路線バスの安全な運行ということでお答えさせていただきます。
 現在、路線バスの運行に関して、陸運局長から公安委員会に意見照会があるのは、路線バス事業者から新規免許、路線延長、路線変更、バス停等の新設に関する申請があった場合であり、運輸省と警察庁との覚書に基づいて交通の安全と円滑を図るという観点から意見を申し上げているところであります。その意見の内容は、当該道路における交通事故の発生状況や交通規制の状況のほか、交通上危険な箇所があれば改善が必要な旨を記載しております。
 なお、本年に入ってから意見照会を受けているのは、新規免許が五件、路線の延長が三件、路線の変更が二件、バス停の新設が三件の合計十三件であり、うち二件については道路の改良等が必要との意見を提出した結果、改善された旨、回答をいただいております。今後とも、関係機関と連携を密にし、路線バスの交通事故の防止に努力してまいりたいと存じております。
 次に車両の安全基準についてでありますが、交通事故による死傷者を減少させるためには車両構造の安全性も大切であり、その向上が図られる必要があると考えております。
 車両構造の安全性向上に関する警察本部の対応状況でございますが、まず、警察にはその安全性を高めるための提言、働きかけを行う役割もあると認識しております。
 しかしながら、この問題は、国、警察庁レベルで対応されるべき全国的な問題でありますので、警察庁が関係省庁、機関等に適切な提言、働きかけを行えるよう、すべての人身事故について、車両損壊状況を初め、人の損傷部位と損傷状態、車両の衝突部位と損害程度、並びに人の損傷が車両構造のどこで生じたかなど、詳細にわたり電算入力により報告する等、車両の安全性向上のための働きかけを行っているところであります。
 また、県及び陸運支局等関係機関に対しては、毎年、交通統計を提供しているところでありますが、今後、警察庁に対する電算報告を参考にした資料を加えて提供してまいる所存であります。
 なお、この車両構造の強化促進の問題については、本年の二月県議会において、内閣を初め関係省庁に対し「交通死亡事故防止対策の強化に関する意見書」を提出していただく等、大変お力添えを賜っているところであり、今後もお力添えをくださるよう改めてお願い申し上げる次第であります。
 以上です。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 ありがとうございました。
 土木部長、まず南紀空港の問題から申し上げたいんですが、努力してないと私は一言も言うてないんですよ。全く気の毒なほど努力をなさっていらっしゃる。実は四、五日前もある地権者から──名前を出して悪いんですが、「副知事にせつかれて、とうとう判を押したよ」という話を聞きました。そういうふうに非常に努力をしていらっしゃることはよくわかるけれども、努力の仕方に着想が足らんのではないかなと実は思う。
 例えば、単価を上げるばっかりの交渉では、用地交渉はそううまくいかん。表へ出ない、地権者が何かを求めているというやつを探らないかんのです。替え地も一つの手でしょう。あるいは「○○業の認可をもらえたら、この土地を離してもいいんやよ」ということも内部事情としてあるでしょう。これは私も、実際に経験を持っています。どうしても転宅をしてくれない。その方はたばこ売店なんですが、専売公社の方へ頼んで、三カ月したら必ずもう一遍認可をおろしますよという条件を取りつけて、廃業手当を支給するという方向に話を詰めたらとんとんと判を押してくれた。これは一つの例ですが。
 そういうふうに、単に休業補償だけではなしに、廃業届もして、新規の認可についてはだれかがそれを約束してあげる。つまり、土木部だけが一生懸命に言っても、そういう認可の問題についてはらち外です。これは警察が管理するのか、あるいは商工あたりが管理するのかは知りませんが、そこの方が一緒に行って、その件についてはわしが責任を持ちますよという附帯条項を与えないと、なかなかうんと言わない。
 釈迦に説法ですが、こういうあたりに用地交渉の技術がある。そういう面を加味して「土木部が突出したんではないか」というふうな表現に変わっています。そういう点の連絡も密にしながら、自分とこの権限だけでは処理し切れない問題点も挙げて、ここはどこそこの部でぜひ力をくれよというふうなことにやっていかんと、なかなかいかんのではないかというように思います。これは参考のために。
 もう一つ、総務部長の答弁、もうちょっと腹へ入らんのやけれども、この場で論議することが、ひょっとすれば他に類を及ぼすような気もしますので、機会を変えて私の意見も申し上げてみたいと思います。
 ただ、愚念ですが、今日は単に土木部の事業ということで判断をしていらっしゃいますけれども、和歌山県という単位でいくならば、これが農林水産部の所管工事になったり、あるいは産業なり観光ということで同じような事柄が各部へ波及した場合の取り扱いについて、同じような定規でははかれないのではないかという気もいたしますので、その辺もひとつ御勘案をいただいて、今度の決算処理については十分御配慮をいただきたいと考えています。
 警察本部長と企画部長と、これは一緒になるかわかりませんが、権限のないことを質問されて困っていると。よくわかっているんです。陸運局を呼べたらと思って大分なにしたんですが、知事への経由権限というやつがどうも法的におかしくて。前は無理やりにここへ召還した記憶があるんですが、今回は陸運事務所の組織変更に伴う事務変更があったので、県の八号によって全部規制をされて呼べない。これが非常に残念ですが、呼べなければ、担当をしている行政の方から、こういう理由があるんだ、こういう現象が起きているんだということを知らしてあげないと、地域の現象というのはわからない。
 例えば、一つの具体例を言います。では本部長、ヘルメットがどうやって制度化されたんですか。ヘルメットをかぶってくれると人身傷害が少なくなるんだと各地から上がったから通産省が動いて、あるいは警察庁が動いてヘルメットをかぶるように義務づけたと思う。
 だから、事故の現場検証のときに、警察官の方があの長い票へいろいろ書き込んでいらっしゃる。カーブが何ぼだとか見通しがどうだとか、だれが見ていたとかというようなことをお書きになるけれども、一つ欄を設けていただいて、車体のどこに弱さがあったかということも意見として書くというふうなことを積み重ねていくと、私は中央では取り上げる要素になると思います。これは要望ですが、お願いをしておきます。
 私、きょうは再質問をほとんど要望にしたいと思うんです。ところが、要望は聞いただけやということでやられると、県議会の権威からして困る。私が申し上げる要望の中で、ごもっともですというやつはそのままほうっておいてください。田中議員が要望で言うたけれども、こいつはあきませんぞというやつは、あかんと答弁してください。要望の中でそういうふうに分けてください。そうせんと、要望しておいたけれども、できたかできんかわからんというようなことでは議会として困る。だから、「要望」とは言いますけれども、その中でできるやつは黙っておいてください。要望やから。できんやつは「それはあきませんよ」という答弁をしておいてくれないと、もう一遍こっちは考えなならん。そういうふうにひとつお願いをしておいて、重ねて申し上げます。
 警察本部と公安委員会と企画部の交通政策課──「政策」ですから。「対策」やないんで──ちょっと私もここらで不満あるんですが、政策を立てるためには、まず資料を集めて、対策を考えて政策に発展せないかん。これも一つの理かとも思いますので、両者ひとつ意思の通じ合いをしながら、今一つ具体的に要望として申し上げた、事故検証の場合には必ず書くような一欄を設けるように指導をお願いしたいと思います。
 ひとつ気になるんですが、公安委員長から前に答弁をいただいたときに、陸運局公示一号の認可条件の中で、「急な勾配、急な曲線」云々ということがある。「急な勾配、急な曲線」というのは半径何ぼから急というんですかと言ったら、「社会通念上処理します」という答弁があった。これは私は納得できないので、一回議会を中断して論議をさしてもらった記憶があります。
 その字句を調べて見ると、今度変わった認可条件の中でもやっぱり同じように、「急な曲線、急な勾配」ではという表現をしています。ここらも観念統一をしておいていただかないと、こいつは急な勾配ですよ、これは急なカーブですよということだけでは困る。私の常識では、直線に準ずるカーブというのはラディアス千八百からです。ですから、六百のラディアスが急カーブであるのか、千二百が急カーブであるかというのは、社会通念上ということだけでは非常に困る。こういう点もひとつ観念統一を図った中で対処をしていただきたい。
 以上です。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁はありますか。──ただいまの発言は要望でございますので、以上で田中実三郎君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 かつて、日米構造協議の中で社会資本の充実整備を中心として十年間に約四百三十兆円を投資していくというような話が出てまいりまして、本議場におきましても、過ぐる議会では、こういう時代の変わり目に際して和歌山県としていかに多くの県益を受け取るか、その対処の仕方を研究すべきだという意見が出されてまいりました。
 〔議長退席、副議長着席〕
 去る八月十日の新聞によりますと、建設省は平成三年度の重点施策として、先ほど申し上げた日米構造協議の最終報告を受けて五分野の重点施策というものを発表しております。この五分野の重点施策の発表ということに対して、それぞれの内容の把握と県としての対応をお伺い申し上げます。
 特にその中で、新たに建設労働者安定基金──仮称でございますが──の創設を盛り込んでおるわけでございます。若年労働者不足は、和歌山県のみならず全国に普遍している大きな悩みの一つでございますが、労働力の確保という見地から建設労働者安定基金を創設しようとする国の意図を受けて和歌山県としてはどう対応していこうとされるのか、お伺いを申し上げるものであります。
 次に、日米構造協議でも取り上げられ、この議会でも論議をされましたけれども、大規模小売店舗法いわゆる大店法の緩和と関連して平成三年度は商業市街地の振興整備を主要課題にしておるわけでありますが、もう一度これについての県の対応もお伺いを申し上げたいのであります。
 三番目として、国際化されていく日本社会の中で、特にすぐ隣接して関西国際空港を持つ和歌山県としては国際化に対応する県政でなくてはならないと思うのでありますが、国としては、国際化への対応として、建設市場への外国企業の参入推進のための情報提供を実施するほか、国際人材交流促進事業を創設して建設分野の海外研修生の受け入れ態勢の強化に取り組むとなっております。こうした国の態勢と連動して我が和歌山県としてはどうしていくのかということであります。
 次に、和歌山県でも一番大きな悩みの種でございますけれども、公共投資拡大の際に障害となる公共事業用地の取得についても、用地国債の発行要件の緩和や道路開発資金制度の活用で取得推進を図ることとするといたしております。こういった国の打ち出す方針を存分に活用することは当然でございますけれども、特に用地取得につきましては、国の制度、方針を活用すると同時に、我が和歌山県方式というものを工夫、努力の積み重ねによって打ち立ててもらいたいということをこの前にも申し上げておったわけでありますが、この際さらに、こういった国の方針に対応して和歌山県としてはどういう決意でおるのか、現状はどうかということをお伺い申し上げる次第であります。
 次に、冒頭に申し上げたように、四百三十兆円という膨大なお金を十年間、主として社会資本の充実整備に向けて投資をされる、これはもうほとんどの国民が知っておるわけであります。
 翻って、来年度の国の予算はどうであるかということを調べてみますと、平成三年度の概算要求は前年度と比較して一般道路事業費で一・〇〇の伸び率でございます。ということは、昨年と同じということでございます。
 御存じのように、労働者不足ということもございます。最近は特に、イラクにその発生の機を見ましたけれども、中東問題による石油事情の変化、油の高騰に伴う建築資材の高騰ということが当然予測されてくるわけであります。そうすると、予算の伸び率が前年度と比べて一・〇ということは仕事が減るということと同じでありますから、大変なことだと思うのであります。
 特に我が県は、近畿自動車道紀勢線の延長として南紀に伸びようとする路線、あるいは京奈和道路、また一般国道でも第二阪和等、国の直轄する重大な県勢発展のかぎとなる道路を幾つも抱えておるわけでありまして、こういった国の概算要求を見まして、一方でまた十年間に四百三十兆円を注ぎ込むという事実を頭に持ちながら、まことに不思議な感じと情けない感じを同時に抱くものでございます。
 和歌山県にとっては、今申し上げた道路以外に、府県間道路はもちろん、三─五軸を形成する国道から県道、さらには市町村道に至るまで、道路整備を体系的かつ可及的速やかに進めていくためには、この道路予算の枠をぜひとも拡大してもらわなければならないということになるのであります。
 私どもは、来年度、地方選挙を控えておりますけれども、それでも、同志の皆さん方と当局の熱意と相まって国に陳情することもやぶさかではないと決意をしてございます。和歌山県知事として、こういった時代に対処して、その大事な時点をとらえて建設省から大蔵省に働きかけていただく、あるいは全国知事会議、近畿の知事連絡会議ということもございましょうが、県庁として国の一般道路の枠拡大に対してどのような決意と方法で迫ろうとされておるのか、お伺いしたいと思うのであります。
 同時にまた、知事の決意、積極的な行政のあらわれだと思いますけれども、平成元年、平成二年と県単独事業いわゆる県単事業の大幅な伸びを見てまいりました。平成三年度においてもこの単独事業はますます必要になってくるわけでございますが、これに対する来年度の和歌山県財政の見通しについて、また来年度の財政見通しの中から道路関係の県単枠の見通しについてどのように考えておられるのか、諸物価、建築資材等が恐らく高騰していくであろう中でどのような予算編成をされようとするのか、総務部長にお伺いを申し上げたいと思うのであります。
 平成三年度への概算要求は今申し上げたとおりでございますけれども、幸い、私ども自民党県連においても近く上京して党本部に道路予算の獲得について陳情することとなっておりますし、平成二年八月二十三日には、「自由民主党政務調査会・道路調査会会長・金丸信」という名前で「第十次道路整備五箇年計画の達成を図るため、概算要求額及び要望額の全額確保はもとより、これを大幅に上回る道路予算を確保すること」と、総意をもって決議いたしております。
 こういった決議や自由民主党の道路枠拡大への熱意をてことし、和歌山県議会総力を挙げて当局を支援するとともに、これからの二十一世紀を築いていく上で一番大切な基盤となる道路行政について、平成三年度のあり方を充実したものにするために御努力をいただきたいと思うわけであります。
 次に、和歌山市の中心商業地区及び主要鉄道駅の活性化ということについてお伺いを申し上げます。
 今まで、土木部計画課等においても、市駅前を中心とする商店街、ぶらくり丁・丸正を中心とする中央商店街、和歌山駅を中心とする東の商店街等についていろいろな調査がされてきたと思うわけでありますけれども、こういったシンボルロードのネットワークや駐車場についての調査内容の発表、これらの計画を進めていく年次計画をお知らせいただきたいと思うのであります。
 同時に、調査計画という段階を経て実施していく非常に時間のかかるものと、比較的短期間でやろうと思えばできるもの──この一つにはキャブ工事やアーケードがございます。しかし、電線を地中に埋めるキャブ工事というものは、もともとは関西電力等の電力会社が石油の安定、油の値下がりという要因を受けて、その利益の一部を社会に還元していくというところから出てきたものでございますから、今回の油の値上げによってこのキャブ工事が中断するおそれはないのかと心配するわけでございます。特に和歌山駅前けやき通りのキャブ工事は進行中でございますので、この点についてもお伺いを申し上げる次第であります。
 次に、この前にも質問をさしていただきましたが、どこの県に行きましても、県都の玄関口である駅というものはその町の中心になっております。他府県から来られた人々にとっては駅におり立ったときがその県に接する対面のときであり、それがその県の顔に対する第一印象となるのであります。
 そういうことから考えても、和歌山駅の存在というものは、和歌山県にとっても、県都和歌山市にとっても極めて大切な存在であることは間違いないわけでありますが、今の和歌山駅とその周辺の形を考えた場合、これでよいのかという思いを強くするわけであります。現状を考え、将来、和歌山駅を県の玄関口として住民の皆さんや和歌山市と相談しながらどのようにしていこうという決意を持っておられるのか、知事にお伺いをするものであります。
 以下、関連部長にお伺いを申し上げます。
 和歌山駅周辺の将来構想については都市計画の速やかな促進ということが極めて大切でございますけれども、その現状、見通しについてお尋ねを申し上げます。
 和歌山駅の西側については、土木部計画課等によりいろいろな計画をしていただいているようでございます。駅前商店街の要望等を受けたこともございますが、先ほど申し上げたシンボルロードネットワークということと相まって、自主的に地下駐車場の調査を現在やっていただいておると聞いております。こういうことについても、現状あるいは調査の内容をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 駅の東側でございますが、御存じのように、主として地区住民の力によって仮駅舎が建ってございます。現在、東側の仮駅舎の乗降客数は、少ない日で約四千、多い日で五千、この間にあるということであります。ちなみに、御坊駅で約六千六百、湯浅で六千ということでございますが、近い将来、この東側の駅口だけでその数字に近づいていくだろうと思うわけであります。
 こういったことを考えて、今のような仮駅舎ではだめだ、本格的な駅をつくりたい、しかしこれを県や市にお願いしてもちょっといかんので、民間資本を導入して自分たちの力でここに駅舎を建てたいということが地方紙に出ておりました。その代表の方に聞きますと、人の集まる場所も少ないので、できればそこに千人ぐらい集められる集会場もつくりたい等、いろいろと夢を持っておられるようであります。
 こういった民間の動きについては、和歌山市を通じても聞き、あるいは直接にも存じ上げていただいておると思いますが、このような民間の意欲を、和歌山駅を中心に描くせめて半径一・五キロぐらいの面の振興という中でどんな形で考えていくのか。住民の熱意を地域発展の牽引力として位置づけていくために行政はどのような対処の仕方をしなければならないかということになるわけでございますが、こういった点についても、御所見がございましたらお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 また、その方々の申しておられるのを聞きますと、もう駅の東側のある場所では一坪一千万からするということでございます。こういう時代になってくると、用地買収で道路をつくったりしていくことはとてもできない。いろいろ苦労したけれども、区画整理事業はやっぱりよかったんではないか、駅の東側も区画整理事業で整備をしていく方がいいんじゃないかということになってきております。
 この間、行政とも話し合いをし、宮、宮北、四箇郷、西和佐各地区の住民に区画整理による地域整備についてのアンケートをとったようであります。特別反対という意見もなかったが、特別賛成という意見もなかったということでございますが、これは、この事業の何たるかということもまだ十分御理解をいただけておらないこともあるのではなかろうか、もう一度準備をしてアンケートをとりたいということも言っておられたわけであります。こういった区画整理事業と和歌山駅周辺の発展との関連について、お考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 また、和歌山駅周辺の商業圏をどのようにとらえておるか、そして現状をどのように分析しておられるか、商工労働部にお伺いをしておきます。
 次に、駅前広場についてお伺いをいたします。
 私がこの質問をしようとしておるときに、私の前に今この演壇でお話をなさった田中実三郎先生が、「実は私は駅前広場のことについて質問しようと思っておるんだけれども、あんたがするんだったらもう」ということでありました。「先生はどんなことを質問されるんですか」とお聞きをいたしますと、「和歌山市の方々は和歌山駅をよく知っておられるけれども、私は議会のたびに乗ったりおりたりする乗降客の一人として、日々和歌山駅を眺めながら考えることがあるので、それを言いたい」ということで、鋭い観察眼を持つ乗降客としての御意見であったように思うのであります。
 詳しくは聞いておりませんけれども、田中先生の御意見は「和歌山駅前は駅前広場としての機能は全然果たされておらない──全くそのとおりであります──バスとタクシーに占拠されておって、駅前広場という人の集まるゆとりのある場所ではない。むしろいらいらするような場所であるかもしれない。だから、このバスとタクシーを地下へ入れて、駅前広場を本来の駅前広場にしたらどうか」と、こういうような御意見も伺ったのであります。
 私は、これとよく似た形で、先ほど申し上げた駅前通りの地下駐車場等いろいろ考えてバスやタクシーを地下に入れることが大変難しいとすれば、近鉄百貨店の二階とステーションビルの二階部分をフラットにして、その二階におりてもらう。そして、二階の部分にいわゆる駅前広場に相当するものをつくり、その上に二十四時間型の透明の屋根をつければ、こちらの隅では若者が歌を歌っておる、こちらの片隅ではベンチに人がかけて憩っておるという、安らぎと潤いのある、人を引きつけることのできる駅前広場としての工夫ができるのではなかろうかと申し上げたことがございます。
 こういうこともこれからの和歌山駅を考えていく上で重要なことでありますので、こういった意見について、将来どのように取り入れていこうとされるのか、お考えをお聞かせいただきたいのであります。
 その次に、先日、私は税理士をしておる友人とあるところで話をしたわけでありますが、その中で極めて印象に残った二点を御紹介申し上げ、和歌山駅中心のあり方と連動さして質問をしてみたいと思うのであります。
 一つは、税理士でありますから、何百というお得意さんの帳面を見ております。その全体の結論として「ここ二、三年、もうけられなかったような商売人はやめた方がよい」ということでございます。府県によって差がございますけれども、それほど空前絶後の好景気と呼ばれた景気が長い間続いてまいったわけであります。
 しかるに、和歌山で最も地価の高いところの一つである和歌山駅のステーションビルに空き家が出てくる。美園商店街に空き家が出てくる。この現状をどう思うかということになるわけであります。
 もう一つは、ちょっと飛躍するように思いますけれども、これは商店街の皆さん方や地域の住民、行政や我々もよく考えてみなければならないと思うことでございます。
 それは、ペレストロイカを進めるソ連のPR漫画の話であります。どんな漫画かと申しますと、よくある話ですが、ソ連のある乳牛を飼っておる農家の方が裏の畑を掘っておると、つぼが出てくる。アラジンの魔法のランプのようなものですが、そのつぼをあけると一人の魔法遣いが出てまいりまして、「非常に長い間この中に閉じ込められておった。あんたは私をこの世に出してくれた大恩人であるから、一つだけ望みをかなえてあげよう。あなたの一番の関心事は何か」と。「私は、乳牛を飼っているから、乳がよく売れることを願っておるんだ」、「それでは、乳牛をたくさんやろうか」と魔法遣いが言いますと、答えは「隣の牛を飼っている人を殺してほしい」と。すなわち、競争相手をなくしてほしいと答えたという漫画であります。
 ペレストロイカはこうであってはならないということをPRするための漫画だそうでありますけれども、私の友人はその漫画を見て、今の日本人もそうなりはしないか、特に和歌山人はそうなりはしないか、一遍反省してみなければならないのではないかという話でありました。
 すなわち、商店街や駅を中心とした面的な発展というものはただ一人の力だけではどうしようもないものでありまして、ともに発展していく共存共栄の見地に立つこともぜひとも必要であろうと思うのであります。こういったことを含めまして、当局にいろいろなことを御質問さしていただいたわけであります。
 次に、和歌山市はインテリジェントシティという指定を受けておる指定都市であります。計画としては、コスモパークやマリーナシティといったところをインテリジェント要因の高い町にしていこうということが一つ。そうして、和歌山駅周辺にいわゆるインテリジェントビルを建てるということであります。
 このインテリジェントビルというのは、民間でもよいし第三セクターでもいいのですけれども、極めて高い情報機能を備えたビルだということであります。このビルを建てるについては融資や減免制度もあると聞いておりますが、このインテリジェントビルとは何物なのか、そしてどのような融資制度や減免制度があるのかということもお伺いを申し上げたいと思うのであります。
 先ほど申し上げたように、和歌山駅のステーションビルに空き家が出てくるという状態であります。和歌山県も株主であります。和歌山市も株主であります。経営に参加する者として、ここ二、三年もうかっていなければやめた方がよい、あるいは原点に返って考え直してみなければいけませんよと言われる時代に空き家が出てくるこのステーションビルのあり方について、原点に戻って考えてみなければならないのは当然のことだと思うわけでありますが、これについての御見解をお聞かせいただきたいのであります。
 最後に、経済センターについてお伺いを申し上げます。
 経済センターについては、経済センターで働いておる職員の皆さん方や出入りしておる方々からも、もう既にこの場所では行き詰まっておる、駐車場はもちろんのこと、将来の経済の中心としていろいろな仕事をしていく建物としてはとてもやっていけないのではなかろうかという意見を聞いてまいりました。また、我々の方から見ましても、そう思います。
 例えば、梅とか漆器とか県産品を売っておるところがありますが、これ一つをとってもそうでございます。置いておる物は非常によい。売ってくれている県の職員も一生懸命やってくれています。いろいろ工夫をしてくれて、最近はちょっと売れ行きの伸びが出てきたということでございます。その努力を多としなければならないと思いますけれども、それでも買いやすい場所ではない。
 少なくとも、いろいろなプロジェクトを持ち、県都和歌山市の商工業の情報提供や調査をしていく、あるいは貿易振興に資していくという経済センター本来の業務を行っていくためには、その置かれる場所、建物のあり方について根本的に考え直してみなければならないときであると思うのでございますけれども、知事並びに関係部長のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 次に、最近、「ルーズな公有地管理、問題に」ということで、経済センターの土地のことが地方紙に取り上げられております。これは、市民会館の前にある市の駐輪場の土地とこの経済センターの土地について、どちらも雄湊地方ですので戦災復興土地区画整理事業の清算事務が本年で終わり、それぞれ登記がなされておるわけでありますけれども、非常に長い年限の間に地価が高騰して、当時は市民会館前の土地の方がちょっと高目であったものが、現在では経済センターの土地の方が倍以上になってきたという時代の変移もございまして、いろいろともめておるようでございます。これについて、新聞に公有地の問題が載るということでありますから、はっきりとした説明もあわせてお願いを申し上げたいと思うのであります。
 和歌山駅と経済センターのことを申し上げましたけれども、最後に、経済センターを建てかえる位置としてはどこがよいかということでございます。
 当局でも恐らくいろいろお考えをいただいておると思いますが、一つは丸正の仮店舗を建てておるところでございます。あそこは国の土地ですから公共団体以外には払い下げないと思いますけれども、公共団体が窓口になって、民間資本を導入して建てるということも一つの案でございましょう。
 私は、この和歌山駅の問題をいろいろ考えてまいります中で、これからの経済センターというものは同時にインテリジェントビルでもなければならない、経済の中心になって助言や調査をしていこうとするそういうところは、少なくとも高い情報機能、インテリジェントの機能を備えたところでなくてはならないと思うのであります。
 そこで、こういった経済センターとインテリジェントビルとの合体ということは考えられないであろうか。インテリジェントビルについて一番いいのは、民間で建てていただくビルにインテリ機能を備えることでございます。経済センター、インテリジェントビル、いずれにしても民間の資本を導入しなければできないことは事実でございますから、民間の資本を導入できる、投入したいという魅力のあるものでなければなりません。
 確かに、丸正仮店舗のところは和歌山の一等場所であります。しかしまた、和歌山駅も一等場所であります。
 例えばの話でございますが、和歌山駅に線路をまたぐ跨線橋というのがあります。「跨線ビル」という言葉があるのかないのか知りませんけれども、線路の上にまたがってビルを建てて、その最下部を南と東をつなぐ通路とする。それによって駅の東側と西側とを完全に連絡すると同時に、その両端に東側の駅舎と西側の駅舎をつくる。その上に経済センターや民間商社等が入る、そうしたインテリジェント機能を備えたビルをつくることができないか。
 もしこういうことを実現できるといたしますならば、和歌山駅を中心とする商業圏の一大核になり得るし、また駅の機能をアップすることもできる。和歌山が投資をしているステーションビルを今後どうしていくかを考える際に、大きな見地から考えることのできる余裕が出てくるのではなかろうかと思うのであります。
 こういった私の提案を含めまして、当局の賢明な御答弁を期待して質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 建設省重点施策の五分野に対する県の対応の問題と国の道路予算枠拡大に向けての具体的な取り組みについて、まず最初に申し上げたいと思います。
 お話のように、建設省が平成三年度予算の概算要求の中で公共投資基本計画の初年度として定めた新五カ年計画関係事業のほか、道路、治水事業等の社会資本整備などの五分野については、本県にとりましても極めて重要な施策でございますし、これは千載一遇のチャンスではないかと思います。これについて、本県の均衡ある発展と活力に満ちた快適な地域づくりをいたすべく、特に道路網の整備については最も重要な柱としてとらえてまいりたいと思っております。
 具体的には、第十次道路整備五箇年計画の達成は本県とも深くかかわる問題でございまして、おっしゃるとおり、このためには国の道路予算の拡大ということがぜひとも必要でございます。このことについては、さきにも自民党とともに建設大臣にもお願い申し上げたところでございますし、過日の知事会議においても申し上げてまいったところでございます。
 お話ございましたように、県議会の皆さんの格別の御協力をいただかなければこの枠拡大は成就し得ないんじゃないかという感じがするわけでございまして、年末の予算の時期に向けて、関係の皆さんのなお一層の御努力をお願いしてまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、和歌山駅周辺の将来構想でございます。
 JR和歌山駅は、県都の玄関として、また関西国際空港への結節の拠点として、私はますます重要な役割を担ってくると考えておるわけでございます。
 話ございましたように、駅周辺は本県の中枢機関が立地すべき地域でございまして、国際化の波の中で情報化に対応する地域として、また魅力と潤いのある町づくりを進めまして、二十一世紀の都市のあるべき姿を実現したいと考えておるわけでございます。
 本地域の整備の基本的な方針を策定するために、過年度より「うるおいのある街づくり調査」を国の予算もいただきながら進めてまいってきておるわけでございます。今後は、そこで出た結論、成果を踏まえ、シンボルロードや駐車場、地下駐車場等の整備等も考え、和歌山市、地元の皆さんと協力して推進してまいりたいと存じておるわけでございます。
 詳細につきましては、関係部長から答弁いたします。
 次に、経済センターの問題でございます。
 現在の経済センターは昭和三十三年に建設されまして、県の経済界の振興に大きく貢献してきたところでございます。しかしながら、近年、施設等の附帯機能が時流に合わなくなっていることは私も認識してございまして、県としても、今後、経済界の中核となる新しい形の経済センターを研究してまいる所存でございます。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 一番目の、建設省重点施策五分野に対する県の対応についてでございます。
 まず、建設労働者安定基金(仮称)の創設についてでございますが、建設業が健全に発展していくために若年建設従事者の確保は緊急を要し、かつ重要な課題であります。議員お話しの基金は、建設業における労働条件を改善するため、建設業者が労働者の賃金の一定比率に相当する額を積み立て、この積立金から休業その他の手当を支払うというシステムであります。国においては平成三年度予算にそのための調査費用を要求している段階でございますが、県としても、この趣旨を十分踏まえ、若年労働者の確保に向けて一層工夫したいと考えております。
 次の国際化への対応についてでございますが、我が国の国際的地位の向上に伴い、国際協力の重要性はますます高まっているところであります。建設省においては、その対応として、建設市場への外国企業の参入推進のための情報提供の実施、建設分野の海外研修生の受け入れ態勢の強化等、検討が進められているところでありますが、県としては国の情報などを得て対処してまいる考えであります。
 次の、公共事業用地の取得についてでございます。
 議員御指摘のとおり、公共事業用地の確保が極めて困難な中で、公共投資の拡大に対応するため、国では用地取得制度の弾力的運用等、新しい措置が検討されておりますが、県としても、これらの制度の具体的運用などについて、国との連絡を密にしながら積極的に活用を図るとともに、県独自として土地開発基金による先行取得事業を今議会にお願いしているほか、代替地に関する民間との連携による情報システムの構築なども実施いたすべく、取り組んでいるところでございます。
 二番目の、県の単独予算の拡大についてでございます。
 土木部関係単独予算については、平成元年度では対前年度比三二・九%増の百六十三億五千余万円、平成二年度においても一四・六%増の百八十七億三千余万円の予算を承認いただき、地方財政計画の伸びを大幅に上回る投資的事業の推進を図っているところでございます。
 新年度においても、国に対して公共事業枠の大幅獲得に努力することはもちろん、県の予算編成方針の決定を踏まえ、半島振興道路整備事業を初めとして、県民生活に密接に関連する県単独事業の積極的な拡大を図ってまいりたいと存じます。
 次に、国の道路予算枠拡大に向けての具体的取り組みでございますが、道路整備が県政の重点施策の一つである本県にとっては、国の道路予算枠の拡大に向けて積極的な取り組みが必要であると考えております。
 しかしながら、平成三年度の国の道路予算の概算要求時での一般道路予算は事業費で対前年度費一・〇、伸び率ゼロであり、生活関連要望分を含めても対前年度比一・〇二と、非常に厳しい状況であります。このままの予算額では、第十次道路整備五箇年計画を達成するために最終年度となる平成四年度は対前年度比一・三七の予算を組むことが必要となり、事実上達成は不可能となってしまう事態を憂慮しております。
 県としては、十二月の国の平成三年度予算編成に向け、道路整備を求める地方の声が国の財政当局並びに関係省庁に理解されるよう、県議会の皆様、市町村及び各種団体の御支援をいただきながら、また他府県とも連携をとりつつ、あらゆる機会を通じて働きかけを行ってまいります。また、県民の皆様に道路整備及び予算増額の必要性を認識してもらえるよう、PR活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 四番目の、和歌山市の中心商業地区及び主要鉄道駅の活性化の調査についてでございます。
 和歌山市の中心市街地の再整備については緊急かつ重要な課題と考え、昭和六十三年度より「うるおいのある街づくり調査」を行っています。これは、JR和歌山駅、南海和歌山市駅、ぶらくり丁周辺の三つの商業核を含む地区を対象として、学識経験者、地元関係者、行政機関等による協議会により調査検討を行っているものであります。この秋に最終委員会を開催し、これからの時代のニーズに合わせた質の高い歩行者空間の整備として、シンボルロードネットワークの計画、また中心市街地活性化のキーポイントとなる駐車場整備計画等について提案がなされることになっております。
 次のキャブ工事やアーケード整備の対応についてでありますが、主要県道和歌山停車場線(愛称名・けやき通り)については、当該路線が本来保持している機能をより発揮させるため、安全で快適な通行空間の確保や都市災害の防止、都市景観の向上等を図る電線地中化事業を推進しております。
 今年度末で西汀丁より南休賀町間約一キロメートル区間が完成となり、引き続き平成三年度より和歌山駅市道交差点より柳通りまでの約四百メートルを施工すべく現在計画中でございます。当該事業は電力会社の参画が必要となりますので、最近の原油価格の高騰により厳しい状況下にある企業に対し、事業趣旨等について御理解をいただくよう努力し、事業推進を図ってまいります。
 なお、これらの事業と並行して、駅前商店街の活性化を図るためにアーケードの美装化等も必要であり、関係者に対してお願いをしてまいります。
 五番目の、和歌山駅周辺の主要な将来構想についてでございますが、都市計画の分野については県及び和歌山市が協議し、策定をしております。
 まず土地利用については、県都和歌山市の玄関口にふさわしい商業的土地利用が必要と考えております。このため、用途地域については商業地域を設定し、容積率についても配慮しているところでございます。
 次に都市基盤施設の整備構想でございますが、和歌山駅から西の地区については戦災復興土地区画整理事業によりおおむね市街地の整備が完了しておりますが、これからの時代の要求に合わせた「ゆとりとうるおい」を持たせた町づくりのため、シンボルロードの整備、またモータリゼーションに対応するため駐車場の整備を推進する必要があると考えております。
 駅から東の地区については、広大な後背地を持ち、和歌山市発展のための重要な場所であります。町の発展を促すため、土地区画整理事業等の活用により積極的に市街地の整備を推進したいと考えています。また、鉄道による市街地の分断に対処するため、市駅小倉線等、鉄道と立体交差する道路の整備を推進しております。
 次に駅前広場の問題でございますが、JR和歌山駅の西口駅前広場はバス、タクシーがふくそうし、駅前広場としての機能が十分には発揮されておりません。当面は土地区画整理事業により整備した東口の駅前広場との適切な機能分担を図り、駅前広場の交通のふくそう緩和を図るよう、駅前広場の管理者である和歌山市等を指導してまいります。
 将来的には、和歌山駅前及びその周辺地区においては、駐車場、駐輪場の整備、都市の再開発事業等により多様な課題に対応して整備を行う必要があると考えており、駅前広場に関する議員御提言の趣旨を踏まえ、和歌山市等とともに検討を進めてまいります。
 次に駅舎の問題でございますが、和歌山駅東口駅舎については、地元自治会が中心となって計画の具体化が進められ、平成元年十一月に竣工したものでございます。駅東口は、土地区画整理事業の実施に伴い近年飛躍的な発展を遂げつつある和歌山市東部地域のかなめとなっており、和歌山駅利用者の一割程度が利用しております。
 駅舎全体の改築については、議員御提言の貴重な御意見の趣旨を十分踏まえつつ、現在の東口駅舎の利用動向、周辺の町づくりの動向、駅前広場と鉄道の間にある土地区画整理事業の保留地処分のあり方等を勘案しながら、和歌山市、地元関係者、JR西日本、県等の協議を進めてまいりたいと考えております。
 次に、インテリジェントビル推進についてであります。
 和歌山市の策定したインテリジェントシティ整備基本計画によれば、駅周辺は重点整備地区に指定され、情報基盤等の整備がされることとなっております。これに伴い、民間の事務所ビルについても、これら情報基盤を活用する等により、快適性の向上や機能の高度化を図ったインテリジェントビルが建築される動きが予想されます。
 県にあっては、このような高度情報化社会に対応した良好な建築ストックの整備を図ることが重要であると考えており、このため、民間が建築するインテリジェントビルについて、建築物整備費に対する日本開発銀行による融資及び事業所税の減免等の税制上の優遇措置を活用しながら、その立地促進に努めてまいります。
 次に区画整理事業の点でございますが、和歌山市では土地区画整理事業により和歌山駅東において東和歌山第一地区及び第二地区の事業が進められており、引き続き東部地区についても区画整理手法による町づくりが望ましいとの観点から調査を進めてきております。
 事業化するためには地元の方々の理解と同意が必要であり、今後、地元説明会等により事業意識の高揚を図るための基礎資料として、東部地区の町づくりについてのアンケートを行ったところであります。区画整理事業は地区の皆さんの意向を組み入れて行う事業であり、事業を具体化していく中で十分反映していくよう市を指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 大店法の運用緩和と建設省の重点施策との関連でございます。
 この運用緩和により、大型店の出店の増加が予想されます。今後の対応としては、出店する大型店の中に地元中小小売商が入居できるスペースを確保するなどにより共存共栄が図れるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 また商業基盤施設整備については、今後、関係部局と協議してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山駅周辺の将来構想についての商業圏としてのとらえ方等でございます。
 JR和歌山駅周辺は県都の玄関口であり、交通網の中心として、また広域的な商業圏の中核でもございまして、周辺商店街は、こうした立地条件から長年繁栄してきたところでございます。しかし、近年の現状は、商業施設の老朽化、大型店の増加、駐車場問題等による顧客の減少により大きな影響を受けているところでございます。
 この商店街の活性化を図るため、県としては、商店街が策定する中・長期的な活性化構想に基づき、駐車場、共同店舗の設置並びに商店街の空き店舗の有効利用等、商業施策の整備事業を支援してまいりたいと考えてございます。
 今後、消費者ニーズを先取りし、魅力ある商店街づくりのため、関係者の意向を踏まえ、和歌山市並びに関係部局等と連携しながら推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、経済センターでございます。
 経済センターについては、駐車場やインテリジェント機能等、新たなる産業支援機能が必要となってきておりますが、今後、新しい機能を経済センターにどのように付加させるのか、または新たに建設を考えるのか、敷地の問題、民活導入の方策や、ただいま議員御提言の新しい発想に立てとの御趣旨も踏まえ、関係機関等とともに調査研究してまいりたいと考えております。
 また、土地問題については、昭和三十二年以来、県・市の覚書に基づき、公園用地であった経済センター敷地と保留地であった市民会館前の市営駐輪場敷地を相互に使用してきたところでございまして、本年、区画整理事務が完了したため、おのおのの所有権保存登記を済ましたところでございます。
 現在、和歌山市と今後の相互の使用について協議を行っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 本県の来年度の財政見通しと単独事業についてでございます。
 来年度の予算については、本県財政の場合、特に歳入面で地方交付税等に依存する度合いが大きいことは御承知のとおりでございまして、こうしたことから国の予算編成や地方財政対策等の動向に左右される面が大きく、現段階においては予算編成の前提となる国の予算あるいは地方財政計画が定かでございませんので、税収を含めて確たる見通しを申し上げることは困難な状況にあることを、まず御理解賜りたいと存じます。
 こうした中で事務事業の見直しとか既定経費の節減合理化に努めながら、限られた財源の重点的、効率的な配分を行い、また国庫補助事業の優先採択、あるいはふるさとづくり、地域づくり事業といった国の財源措置のある県債の活用を図るなどし、工夫を凝らして予算編成に当たる必要があると考えております。
 単独事業についても、これまでの実績あるいは地方財政対策の策定状況を踏まえ、必要な事業規模の確保に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(橋本 進君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 株式会社和歌山ステーションビルについては、昭和四十三年の開業以来二十余年を経過し、消費者のニーズの多様化等により、近年、売り上げが低迷している状況でございます。
 現在、株式会社和歌山ステーションビルにおいては、消費者の感覚に合った全館の業態の見直し、内装の刷新等についてテナントの方々の意向を踏まえつつ、種々の検討が進められていると聞いているところでございます。
 今後、JR西日本、和歌山市、関係部局と連携を図りながら、和歌山駅周辺の将来構想との関連も含めて会社側と協議してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(橋本 進君) 以上で、尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時十六分散会

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