平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(木下義夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 それでは、通告いたしました順番に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、有害コミック漫画についてでございます。このことについては、昨日、那須秀雄議員も質問をしておりますが、私は私なりの立場で一生懸命質問をいたしますので、意のあるところをお含みいただき、真剣な答弁を賜りたいと思います。
 「銀も金も玉も何せむに 勝れる宝 子に及めやも」という万葉歌人の山上憶良の歌があります。子供というものは何物にもかえがたいもので、子供にまさる宝はないという意味であります。これは、子供を持つ親だけではなしに、その国、その地域社会、地球全体にとっても子供ほど大切な宝はないということであります。
 特に日本にとって、わけても急速なスピードで高齢化社会へと進んでいる我が和歌山県にとって、和歌山県の将来を支える子供ほど大切な宝はない、このことは仮谷知事初め県民一致した考えであります。この宝が大事に磨かれ、本当に宝物になるように育成されているかについて考えてみたいと思い、質問をいたす次第でございます。
 青少年を健全に育成させるために和歌山県青少年健全育成条例があります。その前文に、「次代を担う青少年が、社会の成員として尊ばれながら、希望に満ち、心身ともに健やかに成長することは、県民すべての願いである。 この願いは、青少年自らが生きがいの目標を確立し、個の充実と連帯性を伸ばすよう努めるとともに、県民一人ひとりが、青少年を健全に育成しようとする深い認識と強い意欲をもち、まごころのこもった社会づくりに努めることにより実現されるものである。 われら県民は、この重大な責務の達成に努力することを決意し、ここに全県民の願いをこめて、この条例を制定する」とある。
 この条例は昭和五十三年十月十九日に制定され、自来、十二年の歳月が流れており、この変化の激しい、刺激の強い社会情勢の中では、この条例だけでは前文に掲げている崇高かつ必須の目的が達成できなくなっている現状であります。このことは多方面で種々な現象としてあらわれておりますが、今回は特に有害コミック漫画を中心にして質問をさせていただきたいと思います。
 少年少女向けの漫画がだんだんとエロチックになってきたとは聞いてはいたが、実際は読んでいなかった。仮谷知事、読んだことがありますか──いや、きのう読んでいましたね。きのう、その辺もう全部読んでおった。こっちは余り読んでなかった。教育長、読んだ。
 聞くと見るとは大違いと言いますが、その刺激の強さ、えげつなさに実際びっくりした。内容も題名も児童生徒を中心としたものであって、一例を挙げますと「いけない!ルナ先生」「みんなあげちゃう」、こういうふうな題名で、先生と生徒の肉体関係を露骨に描写したものであり、その他、学園ものが多く、セーラー服を着たかわいい児童生徒が主人公になったり、先生が主人公になったり、先生と子供の人権を大きく侵害して子供に与える悪影響は大変なものであります。
 また出版社も、一流出版社と認められている講談社、小学館、集英社などの大手出版社であり、父兄は一流の出版社の出版物であるので教育的にも有益なものであると安心し切っているため、このことも大きな問題であり、その影響するところは非常に大であります。
 また、書店でのコミック漫画の置く場所及び販売方法にも大きな問題があり、普通の漫画と同じ場所に置いていて非常に買いやすくなっている。また、本そのものがビニールに包まれておって、ある種の本については題名、表紙からは内容がわからず、父兄が子供の教育のためと思って買って帰って子供に与えたら、子供が見てびっくりして親に渡して、親が書店へ返品と抗議に来たという現実もあるのであるから、このことについても書店等へ善処するように指導すべきであると思います。
 そこで、仮谷知事に質問いたします。
 九月三十日の自由民主党県連主催の政経文化パーティーで、津島厚生大臣が、子供が非常に少ない、多く産んでほしい、多く産むように努めてほしい、こういうふうに言うておりましたが、出産率が全国平均で一・五七と非常に低く、将来の社会構造にも大きな問題を投げかけ、数少ない宝物である児童生徒が有害コミック漫画等で健全な育成が阻害されている現状は、日本にとっても、我が和歌山県にとっても大変なことであり、「健康・福祉和歌山」「教育・文化和歌山」を県政の三本柱の中心としている仮谷知事の認識を、まずお尋ねしたいと思います。
 次に、心身ともに健全な児童生徒の育成を目標にして教育行政を推進している立場から、この問題について高垣教育長に、その認識、考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。
 本日、お忙しいところ、田辺地方から大勢の皆さんが傍聴においでになっておりますが、新聞、テレビ等のマスコミを通じて御存じのように有害コミック漫画等を排除し、自分の子供、地域の子供を本当の宝物として磨きをかけ、健全育成をして明るい、心豊かな家庭、地域社会を築こうとして行っている有害図書等排除住民運動に対する県の対応を高瀬民生部長にお尋ねいたします。
 次に、昭和二十六年五月五日に宣言されている児童憲章に、「われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。 児童は、人として尊ばれる。 児童は、社会の一員として重んぜられる。 児童は、よい環境のなかで育てられる」と規定している。
 しかし仮谷知事、有害コミック漫画等がはんらんする社会が児童憲章とどのような関係になるのか、調和がとれているのか、またとれていないとすればその改善等についてお尋ねをいたしたいと思います。
 そして昭和三十二年十月二十七日に、日本書籍出版協会、日本雑誌協会が制定している出版倫理綱領には、「我々出版人は、文化の向上と社会の進展に寄与すべき出版事業の重要な役割にかんがみ、社会公共に与える影響の大きな責務を認識し、ここに我々の指標を掲げて出版道義の向上を図り、その実践に努めようとするものである。 一 出版物は、知性と情操に基づいて民衆の生活を正しく形成し豊富ならしめるとともに、清新な創意を発揮せしめるに役立つものでなければならない。我々は、出版物の品性を保つことに努め、低俗な興味に迎合して文化水準の向上を妨げるような出版は行わない」、このように書いている。
 また昭和三十八年十月十六日、社団法人日本雑誌協会の雑誌編集倫理綱領には、「文化の向上と社会の進展に寄与すべき雑誌の使命は重大であり、国家社会に及ぼす影響も大である。この社会的責任により、雑誌は高い倫理水準を保たなければならない。 その中で、社会・風俗について社会的秩序、道徳を尊重し、健全な社会、家庭の建設に寄与すべきである。  1あらゆる暴力を否定する 2児童憲章を尊重し、常に青少年の精神形成に役立つ配慮がなされなければならない」と規定しているのであります。
 この出版倫理綱領と雑誌編集倫理綱領と有害コミック漫画等とは全く相矛盾しており、知事、あなたの宝物である児童生徒の精神、身体の健全な育成が非常に阻害されて和歌山県の将来に大きな暗雲がたれかけようとしている、このことに対する考え方とその対策をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、今後ますますエロチックな、暴力を内容とする有害コミック漫画がはんらんして出版されることが予想される現在、これを排除し、健全な青少年を育成して和歌山県の将来を希望に満ち、明るく、心豊かな社会にするためには現在の県青少年健全育成条例では不備であり、その改善を図るべきだと思います。また、この問題は単に和歌山県一県の問題ではなしに全国的な大きな問題であるので、日本の将来の発展のためにも適切な法律を制定するよう国に働きかけるべきだと存じますが、仮谷知事の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 続いて、児童生徒の健康についてであります。
 「人生のすべてではないけれども、人生のすべての基礎は健康である」と言われております。人生八十年時代を迎えて、国民が充実した人生を過ごし、社会を活力あるものにするには、幼児期からの生涯を通ずる健康づくりを進めていくことが必要であります。
 私ごとでまことに申しわけありませんが、現在の体重は五十三・五キログラムで、私にとって最良の体重であります。昨年の九月定例会でも質問をいたしましたが、そのときの体重は約四十三キログラムであったので、一年間で約十キログラム増加したのであります。昨年の六月には六十・五キログラムになったので、九月までの四カ月間で普通の生活をしながら三十九日間の断食をし、十八キログラム体重の減少をさせた。
 断食は、八尾市で開業している甲田光雄先生──阪大医学部卒のお医者さんでありますが──の御指導で十五年間で七回行った。今から十五年前の三十八歳のときの体重が七十六・五キログラムあり、小型小錦のようで非常にかっぷくがよかった。そのときは、身体の検査をしても何の異常もなかったが、少し疲れやすかったので、ある方の紹介で甲田光雄先生の診断を受けた。私を見るなり、「あなたは四十五歳までですよ」と言われた。その意味がわからず問い返しますと、「今のままの生活状態、食生活では四十五歳までに死ぬか倒れるかのどちらかである」、このように言われた。初対面でもあり、初めての診察でそのように言われたので非常に戸惑ったが、甲田先生を信じて、その後、先生の御指導をいただいて、元気に生活を送らせていただき、県政壇上より質問させていただく幸せを味わっている今日であります。もし、もっと若いときより食生活に気をつけておれば、もっともっと元気で野球もできたかもわからないし、もし気がついていなければ家庭に大変迷惑をかけただろうと思います。
 そこで九月十三日、総務庁が成人病対策に関する実態調査を発表した。それによると、小中学生の肥満児の約六割が高コレステロールなど体の異常を抱えていることがわかった。総務庁は、高コレステロールはがんや心疾患──心臓病ですね──などの成人病にかかる原因になりやすいと指摘し、子供のうちから成人病の予防対策を講じるべきだとして、文部省と厚生省に対し子供の成人病対策を充実させるように改善通知を出したのであります。少産少死の子供の少ない高齢化社会になればなるほど、子供が心身ともに健やかに成長しなければ社会の発展も将来の展望もない真っ暗やみの世の中になるだけに、どうしても子供の健やかな健全な成長のための努力を社会全体でしなければならず、その先頭に行政機関が立ってその旗を振るべきだと思う。
 総務庁の調査結果では、石川県の小中学生三百八十九人を健康診断したところ、三九・八%に当たる百五十五人が正常値より高いコレステロール値だった。また、高血圧と診断された子供が五十一人いるなど、全体の六三%に当たる二百四十五人が成人病の原因となる何らかの異常値を示した。また、千葉県八日市場市の五歳児全員八百六十七人を調べた結果、高コレステロールの幼児が二十六人で全体の三%いるなど、成人病の原因となる異常値を示した者が全体の一五・三%に相当する百三十三人もいた。五歳児で既にこのようになっておる。
 そこで、我が和歌山県の幼児及び児童生徒の健康についてどのように把握しているか、またそれに対する見解を高垣教育長にお尋ねいたします。
 次に、総務庁が発表した幼児及び小中学生の成人病対策の実態調査の結果について遠藤保健環境部長はどのように考えるか、また和歌山県の現状についてどのようになっているかをお尋ねいたしたいと思います。
 平成元年度の定期健康診断結果報告書によると──これは和歌山県のでございますが、内科的な疾病異常について、成人病の原因となる肥満傾向とすべての病気の原因となると言われている脊柱側わん症、いわゆる背骨が曲がる病気ですね、脊柱側わん症が幼児及び小中学校で全国平均よりわずかに高くなっていると報告されているが、その原因とそれに対する対策について教育長にお尋ねをいたします。
 先ほども申しましたが、「銀も金も玉も何せむに 勝れる宝 子に及めやも」と山上憶良が万葉集で歌っていますが、それほどの宝物である幼児、児童生徒を成人病から守り、健全な育成を促進し、すばらしい和歌山、活力ある和歌山、健康・福祉和歌山を実現するために今後どのような施策をとるべきかについて、仮谷知事の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 三つ目の問題は、田辺湾の浄化対策についてであります。
 我が国のナショナルトラスト運動の先駆けとなった天神崎海岸で、九月三日、汚染に非常に強いムラサキイガイが大量死し、磯辺一体に貝殻が漂着しているのが見つかった。これほどの異常繁殖を実証する貝殻の漂着はその例が少なく、地元の研究家は、大規模な繁殖は海の富栄養が原因と、そのメカニズム解明に取り組んでいるのであります。
 現地調査をした日本貝類学会員の佐々木賢太郎先生は、「ことしの初め、同じ田辺湾内の国の天然記念物に指定されている神島でムラサキイガイの大量死を確認したが、今回の規模ははるかに大きい。これだけのムラサキイガイが天神崎の磯に繁殖していたと思うと、まさに驚異的だ。海の富栄養化で猛繁殖したものだと思うが、それ自体、海の汚染と密接な関係を持っており原因を調べたい」と話をしている。
 最近、天神崎周辺の磯では、汚染に弱いケガキやアオウミウシ、ミヤコウミウシなどがほとんど姿を消していると言われており、京都大学瀬戸臨海実験所の時岡隆名誉教授は、「大量死は海の汚染によるものだ。猛暑続きで富栄養化の海の表面が腐った状態になって窒息死したか、漁網に使用されている有機スズが分解して海中に拡散して中毒死したかいずれかではないか」と汚染の進行を強調しているのであります。また、田辺湾内の白浜町藤島で海水の富栄養化で異常繁殖したアサリガイが、余りの過密化で家庭排水やハマチ養殖などでヘドロ化した海岸で成長しないまま死んでいることが佐々木賢太郎先生の調査でわかった。
 このようなほとんど瀕死の状態になっている田辺湾の現状をどのように認識し、今後の田辺湾浄化の決意を仮谷知事にお尋ねいたしたいと思います。
 二年前の昭和六十三年九月定例会で田辺湾浄化対策の推進についてお尋ねをしており、それに対する川端企画部長、安田農林水産部長の力強い浄化推進の決意の披瀝を受けたが、その対策の進捗状況をお尋ねいたすとともに、両部長にも、ますます悪化の一途をたどる田辺湾の汚染の状況についての感想を求めたいと思います。
 九月定例会で、形式的な部会というものでなく、田辺湾の現状をよく知っている地元の行政機関、学識経験者、町内会代表、業界の代表で構成する田辺湾浄化対策委員会の設置を要望しましたが、県は県リゾート構想検討委員会の中で浄化部会とかなんとかを設けてお茶を濁しており、何ら対策を立てて実行していないことが田辺湾を汚染の一途をたどる運命にしているのであり、今こそ田辺湾を救える最高の機会だと存じますので、今述べた人々を委員とし、県庁の職員も入った田辺湾浄化対策委員会の設置を再び要求いたしたいと思います。
 四点目は、浄化槽の管理についてであります。
 物を中心とした社会から、心、ゆとりを中心とした社会に移行した現在、生活環境整備の重要性が地球規模で地域社会規模で叫ばれている。公共下水道の整備がされていない状態のもとで、今回は身近な生活の中での浄化槽の問題を取り上げてみたいと思います。
 浄化槽の普及率は三二%で八万八千二百五十六基あり、そのうち、し尿と生活雑排水を処理する合併浄化槽が千九十四基あり、約十九万基が未設置となっているのであります。公共下水道が完全に整備されるまでにはかなりの年月を要するので、浄化槽の設置、特に生活雑排水をあわせて処理する合併浄化槽の普及が生活環境を良好にするためには必要であると思うが、これに対する保健環境部長の見解と今後の見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、浄化槽の設置がなされても、完全に保守点検、清掃をしなければ効果が上がらない。保守点検、清掃の法律根拠がどこにあるのか、またその法律が順調に運用されて効果を発揮しているかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
 九月二十四日から十月一日までが環境衛生週間であった。本年度は白浜温泉で全国環境衛生大会が行われ、環境衛生思想の高揚が図られた。この環境衛生週間中、県浄化そう協会田辺支部では、浄化槽の保守点検、清掃の徹底、維持管理されていないところへそれらの啓発指導を行った。
 平成二年三月末現在で田辺市には一万二百一基の浄化槽があり、そのうち約三○%の浄化槽が保守点検、清掃がされていないと予想されております。浄化槽は、微生物の働きを利用して水を処理する装置でありますから、微生物が活動しやすい環境を保つよう維持管理することが大切であります。田辺市では約三○%の浄化槽が保守点検、清掃がされていないことが予想されているが、県下の八万八千二百五十六基のうちどれだけ保守点検されているかをお尋ねいたしたいと思います。
 最近、田辺保健所管内で発生した事件でありますが、ある大手企業の合併浄化槽が法的義務である清掃管理を怠っていたことから、その汚泥が用排水路に流れ込んで生活環境を悪化させたことがありました。県下の浄化槽で、法律で義務づけられている保守点検、清掃が行われていないことから生ずる生活環境破壊がどの程度あるか、それの改善方法について保健環境部長にお尋ねいたします。
 最後に、今後ますます生活環境を向上発展させ、快適な生活を送るためには浄化槽管理方法は現在のままでよいかどうか、本当に生活環境をよくするためには現在の浄化槽法を改正して罰則規定を持ったものに改正すべきであり、そのことを国に働きかけるべきだと思うが、遠藤保健環境部長の見解をお尋ねいたしいたいと思います。
 以上をもって、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
 有害コミック漫画の子供に与える影響でございます。
 昨日、那須議員からもこの件について質問がございました。お話のように、私も、子供は国の宝であり、県の宝であり、家庭の宝であると認識しているわけでございます。このような雑誌については、青少年に悪影響をもたらすのは当然でございますし、性的な犯罪を誘発させる原因でもございまして、青少年健全育成上好ましくないと憂慮しているところでございます。
 次に、児童憲章、出版倫理綱領等と有害コミック漫画との関係についてでございます。
 児童憲章の理念にもとる悪い環境は改善しなければならないと考えておりまして、行政の立場としても積極的な対応はもちろん行っておるところでございますが、雑誌編集者や出版事業者がみずから定めた綱領の指標を守っていただかなければならないと思っております。
 そのために県としても、コミック漫画の社会問題化について住民運動の報道記事の投書、相談状況等の資料を添付して、国に対して業界の指導を要望してまいったところでございます。その結果、国において業界の指導をするとの確約を得ているところであり、業界の自粛を期待しているところでございます。
 次に、このコミック漫画についての条例並びに法律の問題でございます。
 条例だけでは難しいのではないかと。御意見のとおりでございますけれども、県としては、青少年への販売禁止の徹底など現行条例の適切な運用を図りながら、家庭初め県民の理解と協力を得て実施してまいりたい。しかし、それでは十分ではないと。法律の制定については、昭和五十九年の国会審議の経過の中で、各政党や出版関係者等によるさまざまな動きもあり、国会決議の検討もされたけれども、各党間の足並みがそろわずに法制定に至らなかったということを聞いておる次第でございます。県としても、今後強く働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、児童生徒の健康の問題でございます。
 健康づくりは、県の行政の中でも最重点として努力しているわけでございます。御指摘の幼児、児童生徒の成人病予防対策についてでございますけれども、現在、国の方で小児成人病の実態の解明と成人病予防のための生活改善指針策定のための調査研究が進められていると聞いております。
 県としても、幼児、児童生徒の成人病予防対策の必要性を重視いたしまして、幼児期からの健康的な生活習慣の確立のために、教育関係者、衛生関係者、医療関係者等と連携を深めて、各種の事業を通じて健康教育の推進を図ってまいりたいと思っております。
 次に、田辺湾の浄化でございます。
 お話のございました天神崎、また陸生生物の生存している神島等、多くのすぐれた環境がありますし、特に白浜は観光地であり、また田辺もリゾート計画を進めております。そうした環境から、田辺湾をきれいにするということが重要なことでございます。
 最近、例示された貝の被害、赤潮の発生等、ここ数年来、汚染の傾向が見られております。昨年は幾らかよくなったようでございますけれども、そうした状況でございます。住みやすい町づくり、環境整備は重要なことでございます。
 特に、田辺湾を汚染しているものは何か、生活雑排水、養殖、材木の問題等々あるわけでございますけれども、そうした点について市並びに関係機関の協力を得ながら努力してまいりたいと思っております。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 有害コミック漫画に対する対応についてお答えをいたします。
 県といたしましては、二十一世紀を担う青少年の健全育成のために、関係機関等を初め広く県民の御理解、御協力をいただきながら諸施策を推進しているところでございます。
 今後も、県青少年健全育成条例を適正に運用いたしまして、有害指定と十八歳未満の青少年への販売禁止、販売方法の改善、書店等に対する自主規制の要請、青少年補導センター等との連携による書店への立ち入り指導に努めるとともに、関係機関、団体と連携しながら、家庭を初め広く県民への啓発を積極的に行い、既に熱心にお取り組みをいただいている各地の皆様を初め多くの県民の方々と一体となって、昨日も那須議員にお答えいたしましたが、子供たちの周囲からこうした有害図書の排除をする運動を近く実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) まず、児童生徒の健康についてでございます。
 さきに総務庁行政監察局から発表された成人病対策に関する実態調査結果によりますと、小児期からの成人病対策の重要性とその遂行のための関係各部局の連携の重要性が指摘されているところでございます。食生活を初めとする生活環境、生活様式が成人病の発現に大きな影響を与えるという学説があり、これについては今後大きく研究が進むことが期待されます。
 本県における幼児の健康状態については、三歳児健診を実施いたしましたところ、昭和六十三年度において肥満傾向を有する者は二百二十八人で全体の三・四%となってございます。
 本県の将来を担う子供の健康の重要性にかんがみまして、保健環境部としては、幼児、児童生徒の成人病予防対策として、小児成人病予防教室の開催、食生活改善のためのグリーン&ホワイト運動の実施、小学生を対象とした健康読本の配布等、関係部局と十分連携を図りながら推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、浄化槽管理についてでございます。
 合併浄化槽については、公共下水道未普及地域における水質浄化の効果的手段と考え、その普及促進のため住民への啓発指導に努めているところでございます。このため県では、平成元年度から国の補助制度に基づき、合併浄化槽設置に対する市町村への補助制度を導入し、今後この制度を用いてさらにその普及促進に努めてまいりたいと考えております。
 浄化槽の保守点検の法的根拠については、浄化槽法第十条により、一般家庭の場合、清掃については年一回、保守点検については年三回以上となっております。
 定期的な保守点検の県下の実施率については、現行の法制度では保守点検及び清掃について関係者から行政機関への報告義務はなく、県下の正確な実施率の把握は困難でございます。このことについては、関係業界の協力を要請してまいりたいと考えております。
 生活環境とのかかわりについては、し尿を含め、家庭から排出される汚濁物質の量は一人一日当たりBODで四十グラムになりますが、この内訳は、し尿が十三グラム、台所、ふろ、洗濯等によるものが二十七グラムでございます。浄化槽は、し尿の十三グラムを五グラムまで浄化し、生活環境に対する影響としては生活排水全体の六分の一を占めてございます。
 保守点検、清掃が適正に実施されない場合、浄化槽の持つ本来の機能が十分発揮できず環境悪化につながるため、浄化槽使用者、関係業界及び行政機関の連携を深め、浄化槽の維持管理の徹底を一層図るよう指導してまいります。
 また、保守点検等に対する罰則規定の導入は難しい面があると考えますが、効果的な維持管理の手法について国に要望してまいります。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、その後の田辺湾浄化対策の推進等についてお答えを申し上げます。
 田辺湾の水質については、本年度の「環境白書」によりますと、昨年のCODの基準値については適合しているものの、ここ数年来は汚染傾向にあると認識いたしてございます。
 快適な生活環境を持つ地域づくりのためにも、またリゾート整備のためにも、きれいな海は重要な要素と考えているところでございます。したがいまして、田辺湾浄化対策については、さきの議員の御提言を踏まえ、和歌山県リゾートゾーン構想推進委員会に環境対策部会を設置して関係各課で資料収集に努めてまいりましたが、さらに本年度、保健環境部において、地域環境管理基礎調査事業の中で田辺湾海域をモデル地域として設定して、水質汚濁の要因と水質保全の方途について将来水質シミュレーションを行うなど、専門的に調査することといたしてございます。また、田辺湾流域別下水道整備計画の策定、農業集落排水施設や合併処理浄化槽の設置状況等を踏まえて、環境対策部会及び和歌山県リゾートゾーン構想推進委員会において検討を深めてまいりたいと考えてございます。
 次に、地元関係者等も含めた田辺湾浄化対策委員会の設置についてでございます。
 議員御提言の田辺湾浄化対策委員会についてでございますが、先ほども申し上げましたとおり、現在、田辺湾の浄化については環境対策部会において検討を深めているところでございますけれども、本部会の審議の中で、当面必要に応じて地元の市や町の御意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 田辺湾の浄化対策のその後でございます。
 かねてより、養殖業者に対して、みずから海を汚さないように、えさの量が少なくて済む餌料のペレット化及び魚種の転換を指導してまいった結果、先ほどお話ありましたように、ちょうど二年前に議会で御質問された時期と今日を比較してみますと、ペレット化の量は当時は一一%、現在は八○%に上がってまいりました。この面で、かなりの改善が図られてございます。さらに、徹底を図ってまいる所存でございます。
 また魚については、ハマチ、ブリからタイ、ヒラメ、フグということで、えさの少なくて済む高級魚に相当大幅に変わってまいっております。
 次に、木皮・バークの関係でございますが、田辺湾における外材輸入量はここ数年、若干減少傾向にございます。また原木は、輸出国の事情により木皮の薄い比較的小径級のものが増加いたしてございます。湾内の木皮回収については、六十三年以降においても、海中回収を中心とした漁場クリーンアップ事業の実施を初め、業界の自助努力によりその回収率を高めるとともに、木材取り扱い時に海中にネットを敷設するなどの作業規制の強化や新たな船上回収の奨励等によって、木皮の飛散、海洋落下を防ぐなどして環境保全に努めているところでございます。
 製材工場の立地の現状、港湾施設の状況などから、この問題の抜本的な解消は大変難しいところでございますが、今後とも業界組合に対してなお一層の環境保全対策を指導するとともに、関係部局並びに市町村とも連携をとりつつ、効果的な方策を検討してまいる所存でございます。
 なお、田辺湾に対する部長としての感想、考え方を述べよということでございますけれども、現状については認識をいたしてございます。
 先ほど知事からも御答弁がございましたけれども、市街地の背後の宅地化も進んでございまして、会津川を中心に八つの中小河川が流れているわけでございますが、生活排水などが議員御指摘の富栄養化を促進していることも事実だと思います。特に今日、ウォーターフロントということが大変重要視されている中でございますので、田辺湾内の水質の浄化を含めた環境保全と産業の振興は非常に大切なことではないかと考えております。そういった面からの取り組みが今後必要ではないかというのが感想でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、有害コミック漫画についてお答えを申し上げたいと思います。
 各学校においては、豊かな人間形成を目指して、生命の尊重、人間の尊重、そしてまた男女平等の精神に基づく正しい異性観と望ましい行動力を育てる指導を行っているところでございます。
 昨今、書店等で販売されている有害図書は、性のモラルを踏みにじり、児童生徒の健全な育成を阻害するものであります。とりわけ、生徒や教員を主人公にしたものは、生徒、教員の人間性を冒涜するものであると受けとめてございます。
 このため各学校に対し、保護者の協力を得て、こうした有害図書を見ない、買わない、借りないように指導すること、また情報選択能力の育成や健全な書物を読む能力の充実に努めるよう改めて通知したところであります。
 今後、学校長に対して、まず性に関する教育の充実を図ること、学級活動やホームルーム活動などで正しい読書のあり方等を取り上げ検討させること、保護者への理解を図り、環境浄化活動の展開を進めることなどを指導してまいる所存でございます。
 また、関係部局との連携を一層密にして、書店等に対し有害図書販売の自粛などの要請を行ってまいる考えでございます。
 次に、児童生徒の健康についてお答えを申し上げます。
 児童生徒の健康の現状については、学校保健法に基づいて行う定期健康診断結果により把握しているところでございます。平成元年度の本県児童生徒の健康診断結果によると、全国平均と比較すると、視力、う歯、内科系の疾病は全体として全国平均とほぼ同じか、やや少ない状況でございます。また、脊柱側わんの項目や成人病に係る肥満傾向の者の項目については、高等学校ではわずかではあるものの低くなってございますし、小中学校ではわずかに高くなってございますけれども、これらはいずれも全国的な課題でございます。
 各学校では、学校医の指導のもとに、異常のあった児童生徒には、検査あるいは治療について学校から指導して早期治療に努めているところでございます。また、これらの疾病異常については、好ましくない生活習慣の結果によるものと推察されますので、規則正しい生活習慣の形成、学校給食を通じてのよりよい食習慣の指導、日常生活における適切な運動量の確保など、学校、家庭、地域等の連携を図り、総合的に取り組むことが肝要であると考えてございます。
 そのため、教員、保護者、学校医等で組織している学校保健委員会の活動を通じて成果を上げている学校もございますので、その設置の促進、活動内容の充実についてさらに努力をしてまいる考えでございます。
 今後、関係機関、団体との連携のもとに、生涯を通じて健康な生活を送れるような基盤を培うという観点から、健康教育の一層の充実に努めてまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番木下義夫君。
○木下義夫君 再質問する前に、教育長に対する言葉の中で不適切な言葉がありましたので、議長に善処方をお願いしたいと思います。
 今、いろいろと答弁をいただいたわけでございますが、この質問は人と生活環境の問題、こういうふうな二つの問題でございます。
 質問いたしましたように、本当に子供は宝であるということを考えていただいて、もっと厳しい考え方でこの問題に取り組んでいただきたい。
 青少年保護条例についても、この前文の趣旨を生かすためには、今の条例ではこの刺激の激しい、変化の激しい社会には対応し切れないのではなかろうかとも思います。また、全国的な問題でございますから、国の法律の制定をより一層力強く働きかけていただかなければ、有害コミック漫画が次々と出版されるのは火を見るよりも明らかでありますので、仮谷知事においてもいま一段の努力をお願いしたいと思います。
 それから、児童の健康の問題でございます。
 成人病というのは、字のとおり成人の病気でありまして、児童病ではないわけです。その成人病が児童、幼児まで来た、これは大変なことである、異常なことであるという認識を保健環境部長には持っていただいて、もっと真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 それから、田辺湾の浄化の問題でございます。
 ある一部では「田辺湾はもう死んだ」と、こういうふうに言われております。燦リゾート構想、総合リゾート法の適用の申請をしている和歌山県、これからリゾートを中心とした観光立県を目指す和歌山県にとっては、この田辺湾の再生、活性化はなくてはならない問題でございますから、もっと地元の意見を聞いてやっていただきたい、こういうふうに思います。新聞で大きく報道されても、県庁の職員でだれ一人現地へ行ってみたというふうな形跡もございませんので、いま一段の努力をお願いしたいと思います。
 それから、浄化槽の問題でございます。
 浄化槽の設置は八万八千二百五十六基がある。この中でどれだけが正常な機能を果たしているかについてもつかんでいない現状で生活環境の浄化を願うのは非常に難しいと思いますから、それも正確につかめるように一生懸命やっていただいて生活環境の浄化を図っていただきたい、このように思います。
 以上、要望して私の質問を終わらせていただきます。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
 ただいま木下義夫君から発言訂正の申し出がございましたが、速記録を精査の上、議長において善処いたします。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(岸本光造君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十九分散会

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