平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(阪部菊雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番阪部菊雄君。
 〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 伊都地方の出身議員でございますので、一昨日来、幽明境を異にいたしました故平木議員に対しまして、心より哀悼の誠をささげるものであります。
 さて、天高く馬肥ゆるさわやかな好季節、お許しを得て、通告に従い質問いたします。
 平成二年二月議会において仮谷知事は、「二十一世紀に向けての『和歌山』の新たな離陸のためエネルギーを充てんし、さらにエンジンを始動させるときにあると言えます。 以上のような認識に立ちまして、平成二年度においては『新しい時代に挑む力強い地域産業の発展』『健康で快適なくらしと生きがいのある福祉社会の建設』『明日を担う人づくり』『魅力ある文化の創造』を柱として、県勢のさらなる伸展に全力を傾注する」と力説されました。いずれもすべて本県にとって重要な課題であることは、私も同感とするところであります。
 しかしながら、世界の激変は、何人といえども予想することはできません。突如、イラクは隣国クウェートを侵略、占領いたしました。世界の中での日本の果たすべき役割についてもいろいろと論議されておりますが、これら一連の大変革の中で知事が力説された県勢浮揚策が今後どのような影響を受けるとお思いでございましょうか、知事の忌憚なきお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 去る六月十九日の新聞紙上に、「『第二国土軸』構想が浮上」と出ておりました。「東京─静岡─渥美半島─和歌山─四国─大分─長崎を高速道路で一本に結ぼうという『第二国土軸』建設構想」であります。
 この構想は、昭和四十年、国連調査団がワイズマンリポートの中で提案され、また仮谷知事も紀伊半島に国土軸をということで紀淡海峡トンネル構想を推進されてきたところであります。この十月三十一日には、関係府県、経済団体による推進組織の設立総会と記念フォーラムがこの和歌山で開催されるとのことで、まことに画期的なことだと考える次第ですが、開催県の知事としてどのような姿勢で臨むのか、御所見をお伺いいたします。
 続きまして、企画部長にお伺い申し上げます。
 昨年の十月六日、議会一般質問で私が地価監視区域の指定拡大について提言し、本年二月、地価高騰抑制策として監視区域の大幅な拡大と、その後、届け出面積の一律引き下げを実施されました。政府もまた金融面での貸出規制等を実施し、ようやく鎮静化しつつあると思考されます。
 企画部長、その後の本県の実態について詳しく御説明をいただきたいのであります。
 次に、加太の土砂採取事業についてお伺いいたします。
 平成元年五月八日、待望の搬出開始してより本年八月二十九日まで、第一期工事完成、搬出土砂三千百二十万立方メートル、平成三年十二月末までに当初の予定の六千五百万立方メートルが完了する予定でありますが、見込みどおり完了ができるのかどうか、また予期せざる事態に万全の措置等の対策があるのか、お伺いいたす次第でございます。
 さらに、関西国際空港全体構想実現への挑戦と第二期埋立工事着工の見通し、それに対応して加太地区における土砂搬出事業の計画等、将来計画が策定されているのか、お伺いするものであります。
 あと一点、知事が、有力高速交通手段であるヘリコプターの活用について、その発着場の適地性等について調査し、その具体化に向けて一歩前進したと発表し、南紀地方に調査費が計上されたところであります。
 そこで、伊都、橋本地方におけるヘリポート整備についてどのようなお考えなのか、率直にお答えいただきたいのであります。
 続いて、商工労働部長にお伺いいたします。
 今や、全国津々浦々で中小企業は人手不足に悩んでおります。本県もまた、その例外ではありません。いろんな国から、景気拡大、人手不足の日本を目指して外国労働者があの手この手で法網をくぐり抜けて入国しており、その是非をめぐって論議もまたさまざまであります。こうした深刻な人手不足に対処するため、県が受け皿となり、ブラジル在住の日系人を期間作業員として県内中小企業に対しあっせんする考えはありませんか。
 労働基準法規に基づき、就労時間、賃金、快適な住宅、日常生活等々の一定の基準を設定し、特に日本での就労希望者が少なくないとされるブラジルの日系人社会からの採用については、同国と特別に深い友好県である我が和歌山県が全国に先駆けて実施することは、国際交流の見地からも極めて重要かつ望ましいことではないでしょうか。外国人の日本国内での就労については、日系人を含め出入国管理法で厳しく制限されているが、日系人の場合は日本への定住希望などがあれば在住資格を取ることができ、その場合、入国後に就労しても違反とはならないと聞いておりますが、いかがなものでありましょうか。
 次いで、お伺いいたします。
 これだけ深刻な人手不足にもかかわらず、六十歳以上の高年齢者の男性と社会的弱者と言われる障害者の雇用促進が、まことに残念ながらいまひとつ定着いたしておりません。これについては、県高年齢者雇用開発協会、障害者雇用促進協会の役職員が必死の活動をし、また御加入いただいているそれぞれの法人の方々に大変御理解を賜っております。改めて、心より感謝申し上げる次第でございます。
 部長、特に本県は他県に比べて高齢化が急速に進行しております。六十歳代前半層の失業率は平均の二倍近い高率であり、働いていない男性のうち三人に二人が適当な仕事が見つからないと答えており、これまでの技能や経験を生かしたいのだが、その場がないのであります。あと五年足らずで若い学卒者が急減し始め、人口構造の上でこれから二十一世紀初めにかけてさらに人手不足が続く見通しであり、雇用の場を広げる努力が緊急に求められておりますが、その対応について所見を求めるものであります。
 土木部長にお尋ねいたします。
 伊都、橋本地方の開発について、仮谷知事を筆頭に土木部の皆さんが実に誠実に取り組んでいただいており、感謝申し上げます。
 平成二年度以降特に重要なものは、一つ目、国道三百七十一号バイパス、京奈和高規格道路、すなわち橋本─高野口間十一・三キロの進捗状況、二つ目、泉大津粉河線、那賀高野線の国道昇格のめど、三つ目、和歌山橋本線の改良整備、四つ目、高野口町の田原川、這谷川の改修、吉原川、特に伏原地内の改修促進、五つ目、北部臨海田園都市線国道昇格のめど、六つ目、花園村内の国道三百七十一号線の早期改良促進、以上、いずれも地元市町村の熱烈な願望であります。盛りだくさんでございますが、再質問は決していたさないつもりでございますので、特に親切に詳しくお答えいただきたいと存ずるものであります。
 土木部長並びに関係する部長に対する質問であります。
 今、世界で一番問題視されておることは、二酸化炭素による大気と大地の汚染であります。
 私は、以前「恐るべき酸性雨」という谷山鉄郎先生の本を読ませていただきました。私はここで、雨や霧に溶け込んだ大気汚染物質が森を枯らし、水生動物を激減させる地球的規模の生態系破壊の実態と被害のメカニズムについて部長と議論しようとは思っておりません。
 恐らく、台風十九号、二十号は、日本全土に酸性雨を多量に降らせたものと思います。世界的な気象異常がもたらすものは何か。アマゾンやインドネシアやインドなどの熱帯雨林と言われる世界最大の森林帯地域においても、降雨量の減少により食糧生産が危機に瀕しておると言われております。また、アフリカのように人為的な原因も絡んで砂漠化が進行し、乾燥地帯が日に日にその面積を拡大し、まさに人類生存の危機さえ感じるところであります。
 そこで、極めて卑近な例としてお伺いいたします。
 こうした酸性雨が原因でコンクリートのカルシウム分が溶け出し、つらら状に固まったと見られる酸性雨つららが各府県で発見され、大問題になっております。広島県では、酸性雨によって公共構造物がどの程度の影響を受けているかを見るため県独自で調査することになり、その調査対象はコンクリートを使用している橋梁と県営住宅等の建造物とされております。本県においても調査すべきだと考えますが、土木部長初め関係部長の御答弁を求めるものであります。
 次いで、農林水産部長にお伺い申し上げます。
 日ごろ多忙な中、農林水産の基盤確立のために御努力を賜っておりますが、特に紀の川用水の問題について仮谷知事さん同様大変御心配をいただき、恐縮いたしているところでありますが、本件についてもさらに一段の御高配を切望するものであります。
 さて、お伺いする点は、河南農道実現への具体的な計画の促進であります。本件に関して、各年次、若干の調査費を計上していただいておりますが、いまいち脂が乗っていないように思います。河南農道実現は、長年にわたる農民や地域住民の切なる願いであります。また、河南発展と生活の利便上、必要欠くべからざる重要な農道と位置づけしていただき、今後の取り組みについて積極的な御答弁をお願いいたす次第でございます。
 続いて、民生部長にお尋ねいたします。
 去る六月議会において、議員全員の御賛同により議決された議請第八十三号「伊都地方に心身障害者更生施設の設置について」、その後の経過についてお伺いするものであります。
 障害児の行く末を案じ、願う父母、肉親の心情を察するとき、何をさておいても最優先で取り上げなければならない問題であります。福祉和歌山県を推進する仮谷知事にとっても崇高な政治の目標であります。今日までの取り組みについてお伺い申し上げるものであります。
 続きまして、教育長にお伺いいたします。
 本県山間部は急激な過疎化の進展に伴い、小・中学校での生徒数の減少により本県の教育上ゆゆしき問題が提起されており、地域住民、父兄に深刻な不安を与えております。
 教育長、いよいよ本県独自の教育のあり方を抜本的に見直さなければならないという極めて厳しい時代が到来いたしております。大変頭の痛いことだと心中お察し申し上げます。これについて教育長の基本的な考え方をお伺いするものであります。
 また、第三回全国スポレク祭が目前に迫り、多用に次ぐ多忙で、職員各位に対し心より感謝と激励を申し上げる次第であります。
 さらにもう一点、お伺いいたします。
 土木部長に申し上げましたごとく、恐るべき酸性雨の実態と相まって提起されている重要問題についてであります。
 去る七月九日、読売新聞が「美術館建設ブームに警鐘 コンクリートからアンモニア 油絵・絹類が黄ばむ」と、また東大や大手建設会社の研究発表がありました。多分ごらんになっておられると存じます。
 さて現在、計画進行中の美術館建設についてどのように対応していくのか。聞くところによりますと、平均的な日本の美術館の場合、アンモニアが美術品に影響を与えなくなるまでは五十年はかかると言われております。教育長の御所見を承りたいのであります。
 さて仮谷知事、四選後、早くも丸三年が瞬く間に過ぎ去りました。仮谷知事の評価について、それぞれの立場から厳しいもののあることは、政治を行う者について回る宿命であります。きのうの一般質問でも、原発凍結の提言や十九号台風の問題、殿山ダム等の問題がありました。しかし、県勢浮揚の拡大のために日夜、東奔西走されている知事に衷心より敬意を表するものであります。残る一年後、知事選挙が始まります。既に、各種団体より五選出馬要請が多数寄せられていることと存じます。
 仮谷知事、食欲の秋とは申せ、暴飲暴食をせず、せっかく健康に御留意いただき、ぜひ五選出馬されんことを要請し、私の第一回目の質問にいたします。ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 最近の中東情勢と県勢の浮揚についてであります。
 お話ございましたように、最近の国際情勢は非常にテンポが激しいものがございます。明十月三日には東西ドイツが合併する運びになっております。特に、中東の情勢が日本並びに和歌山県に与える影響でございますけれども、経済的にも社会的にもどのような影響を及ぼすか予断を許さないものがあるのではないかと考えておるわけでございます。
 本県は、御承知のように、基礎資材型の産業の構造不況等により低迷状態が長く続き、ようやく回復基調に向かっておるわけでございます。また、減少を続けておりました人口も増加傾向に転じていくことが予測されるのでございます。
 議員御指摘のような、こうした国際情勢激動の時期にあってこそ、私は和歌山県の産業構造の高度化、多角化を積極的に進めていかなければならないし、また現在進めておる大型プロジェクトをなお一層積極的に進めていかなければならないのではないか、こうすることが県勢浮揚につながるものだと確信しておるわけでございます。
 次に、第二国土軸構想の推進についてでございます。
 関係の十七府県、また八経済団体による推進組織が設立される運びになっておるわけでございまして、広域的な組織でもございます。その推進に向けて大きな弾みになるものだと思っておるわけでございます。開催される十月三十一日は思い出の多い日になるように努力してまいりたい、全力を注ぎたいと思っております。
 昭和五十四年の新春の夢として紀淡海峡トンネル構想を発表して以来、十年余りにしてようやく各界の皆さんの御理解をいただくことになったわけでございます。
 国においても、第二国土軸促進国会議員連名を設立していただいております。当日は、国、関係府県、経済界の多数の皆さんがお越しになるわけでございますが、この大プロジェクトを今後とも積極的に強力に進めてまいりたいと思っておりまして、議会の皆さんや関係の皆さんの御協力をお願い申し上げたいと思います。
 最後に、阪部議員からありがたいお言葉をいただいたわけでございまして、心から厚く御礼申し上げます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず第一点は、地価の状況についてお答えを申し上げます。
 本県の地価動向については、去る九月二十日発表いたしました平成二年地価調査結果によりますと、昨年に比べて県下の住宅地の平均変動率は二二・二%、商業地では二二・一%となってございます。また地域別に見てみますと、紀北地域では住宅地で四一・九%、商業地で四五・四%の平均変動率となってございます。大阪圏の地価高騰の波及あるいは関西国際空港建設等の影響を受けた和歌山市を初め、紀の川筋の一部地域では五○%を超える地価上昇が見られ、またリゾートブームによる別荘地等の地価上昇の影響を受けた田辺市、白浜町でも上昇が見られましたが、その他の紀中地域、紀南地域では比較的、安定的に推移いたしてございます。
 県といたしましては、県経済活性化及び県民生活安定のために昨年三月以来、四回にわたって監視区域の指定を行い、また既に指定している区域の届け出対象面積の引き下げを行いまして、より厳しく地価対策に取り組んでいるところでございます。
 議員御指摘のとおり、監視区域の指定や金融機関の不動産取引への融資の規制等によりまして、昨年来の地価上昇の見られた地域でも、ことし四月以降、三カ月間の動向では一○%以内に上昇率が鈍化している状況でございます。
 今後とも、地価の動向を十分見きわめ、監視区域制度の厳正な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に第二点は、土砂採取事業の見通しについてでございます。
 土砂採取事業については、第一期工事の土量三千百二十万立方メートルの搬出を計画どおり八月二十九日に終了いたしまして、引き続き第二期工事に着手いたしているところでございます。
 なお、第二期工事は三千三百八十万立方メートルを搬出しようとするもので、現在、毎月二百五十万立方メートルから二百八十万立方メートルをコンスタントに搬出いたしてございますので、埋立期間内の平成三年十二月末までには六千五百万立方メートルの全計画土量を搬出できる予定でございます。
 また、不慮の事故等に対応すべく、機械設備については十分な保守管理を行うとともに、過激派対策の警備体制についても、警察当局、海上保安庁等の協力もいただきながら万全を期しているところでございます。
 また、関西国際空港全体構想に伴う第二期計画に対応した土砂搬出については、種々の課題もあり、今後、関係機関と協議しながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に第三点は、関西国際空港全体構想の対応についてでございます。
 今回の航空審議会の中間取りまとめにおいて、関西国際空港については、我が国及び東アジアの玄関口としての国際ハブ空港の役割を担うこととされ、将来の航空需要に十分対応できるようその整備を図り、玄関口にふさわしい機能、利便の充実を図ることとして全体構想が改めて位置づけられるとともに、第二期計画の整備方針が示されたところでございます。
 しかしながら、早期に事業着手するためには種々の課題もございますので、本県として、国初め関係自治体、経済団体等と密接な連携の上、また県議会の御支援をいただきながら、全体構想の早期実現に向けて努力してまいりたいと存じてございます。
 最後に第四点は、ヘリポート整備についてでございます。
 ヘリポート整備については、昭和六十三年、平成元年度の二年間に行った基礎的な調査を踏まえて、現在、紀南地域を中心に適地等の調査を進めているところでございます。将来的には、県内各定住圏ごとに拠点的なヘリポートを配置することが望ましいと考えてございます。
 近畿圏におけるヘリコプター利用の動向等を勘案しながら、伊都、橋本地域についても今後、市町村とも協議しながら検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 人手不足対策についてでございます。
 日系二世、三世の方々については、就労を含めて日本国内の活動に制限を加えられないことは議員御指摘のとおりでございます。既に、民間団体において類似の活動を行っているところもあるやに聞いてございます。また、本県から明治以降約六千七百名の方がブラジルに移住するなど、本県とブルジルが歴史的に見て深いつながりがあることも認識しているところであります。
 このように、ただいまの議員の御提言には傾聴すべき点が多々ございますが、人手不足に向けた対策としては、まず御提起のありました高年齢者を初めとする労働力需給のミスマッチ解消、雇用管理面の改善等を中心に進めるべきと考えておりまして、県が外国から労働者を受け入れ、県内企業へのあっせんを一手に引き受けて行うことが法制度上可能であるか等々研究すべき課題がございます。
 なお、国においては、平成三年度に向け、日系二世等に係る適正な就労の確保のための情報提供等について検討中とのことでございますので、県としても、これらの動向を踏まえ対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、高年齢者雇用の実態でございます。
 五十五歳以上の高年齢者の有効求人倍率は、本年八月○・二三倍となっておりまして、全体の有効求人倍率一・一九倍に比べ、極めて厳しい状況でございます。
 一方、六十歳定年制は着実に増加傾向にあり、常用労働者数百人以上規模の企業のうち五八%の企業が既に実施しており、今後、六十歳定年への引き上げを予定している企業も合わせると八○%を超える見込みでございます。
 このように着実に改善を見てはおりますが、さらに公共職業安定所の窓口における求人の年齢幅の五歳アップを事業主に求めるなどして再就職の促進を図るとともに、六十歳定年の定着化と六十五歳までの勤務延長や再雇用などにより六十歳代前半層の雇用就業機会の確保に努める一方、高年齢者の多様な就業ニーズにこたえるためシルバー人材センターの拡充を図るなど、総合的な雇用就業対策を進めてまいりたいと考えております。
 三点目は、障害者雇用の実態でございます。
 障害者の雇用については、近年、若干ではございますが改善の方向を示しているものの、依然として厳しい環境にございます。平成二年度では、民間企業における実雇用率は一・九%と、前年に比べ若干の上昇を見ておりますが、法定雇用率の未達成企業の割合は全体の三五%を占めているなど、必ずしも十分に進んでいるとはいえない状況にございます。
 このようなことから、職業安定課や公共職業安定所の幹部職員が戸別訪問による指導を行うなど、事業主の理解と協力を求めるとともに、関係機関と緊密な連携を図りながら障害者の雇用の促進と安定に、より一層努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 伊都、橋本地方の開発にかかわる御質問にお答えいたします。
 まず、国道三百七十一号橋本バイパスでございます。
 府県境から国道二十四号の間七・七キロのうち、慶賀野橋から三石台の間約一・三キロメートルについては既に完成いたしております。残る六・四キロメートルについては、平成元年度と二年度にかけて全区間が事業化されております。現在、このうち五・四キロは路線測量を完了しております。残る一キロメートルを含め、本年度中に六・四キロメートル全線の測量、詳細設計、地元協議を進め、平成三年度より本格的な用地買収に着手したいと考えております。
 また、京奈和自動車道・橋本道路については、橋本市─高野口町間十一・三キロメートルが平成元年度に建設省において事業化され、現在、測量立ち入りの了解の得られた十・七キロメートルについて路線測量、地質調査、詳細設計を行っております。残る区間についても、一日も早く地元了解を得て調査を進め、平成三年度より本格的な用地買収に着手する予定となっております。
 いずれの事業も、用地関係者数、面積ともに大規模な用地取得となりますが、関係者の方々の御理解と御協力が得られるよう、議員各位の御支援をいただきながら、県、地元市町が一体となって国を支援し事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、泉大津粉河線、那賀高野線並びに北部臨海田園都市線の国道昇格についてであります。
 次回の国道昇格は第十次道路整備五箇年計画期間内に行われる予定と言われておりますが、次期昇格は厳しい状況にあると聞いております。今後、国の調査状況を見きわめながら適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
 次に、和歌山橋本線の道路改良についてあります。
 現在、橋本市学文路地内延長九百五十メーター及びかつらぎ町三谷地内延長二千二百メーターを事業化し、主に用地買収を行っている状況にあります。また交通安全事業として、かつらぎ町平沼田地内延長四百四十メーター、かつらぎ町西渋田地内延長千二百メーター、九度山町入郷地内延長二百五十メーターを整備中でございます。今後とも、地元の皆様の御協力をいただきながら事業の促進に努めてまいります。
 次に、花園村内の国道三百七十一号の早期改良促進については、中南地区で平成二年度に宮前橋の拡幅、並びに局部改良に着手しております。早期に全区間を改良することは困難でありますが、当面、幅員の狭小部、屈曲部等で交通の隘路となっている区間について、順次、局部改良を行ってまいりたいと考えております。
 次に、高野口町内の田原川及び這谷川の改修でございます。
 田原川については嵯峨谷川との合流点より上流千七百メーター間を河川改修事業で促進し、這谷川上流は砂防ダムを施工中で、いずれも本年度中に完成予定であります。田原川上流及び這谷川下流の改修については、地元の御協力を得ながら、砂防事業として採択されるよう調査検討していきたいと考えております。
 また吉原川の河川改修については、昭和六十年度より紀の川合流点から国道二十四号までの千百五十メーターについて改修計画を策定し、小規模河川改修事業で工事の促進を図っているところでございます。用地買収についても、地元の方々の御協力により順調に進んでおりますので、工事面においても鋭意促進を図ってまいる所存でございます。
 次に、酸性雨による公共施設への影響調査の御質問でございます。
 酸性雨の環境に及ぼす影響については、最近、マスコミ等で関心事になっているところでもあります。しかし、酸性雨がコンクリート構造物に与える影響の検討は数少なく、日本においては調査研究が始まったばかりであります。
 本県においても、つららは従来より見受けられますが、構造物に影響を与えるか与えないかはまだ解明されていないのが現状でございます。
 なお、近隣府県にも照会いたしましたが、まだ調査は行われていない状況でございました。しかしながら、酸性雨の構造物に与える影響について、今後、注視してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 酸性雨についてでございます。
 酸性雨は、物の燃焼や動植物の呼吸、及び自然現象によってつくられた硫黄酸化物、窒素酸化物、炭酸ガス等が雨に吸収され、強い酸性を示す雨水となったものでございます。
 酸性雨は、議員御指摘のように、樹木を枯らしたり、湖沼や土壌の酸性化、地球の砂漠化及びコンクリートからカルシウムを溶出するなど、問題提起されております。   酸性雨の状況については、昨年度から県衛生公害研究センターにおいて調査を行っております。この結果によりますと、pH四・五から六・八、平均五・二であり、お話ございました広島の昭和五十九年から六十二年の結果のpH四・五から四・九と比較すると弱い酸性雨と考えられますが、今後も引き続き調査を行ってまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 紀の川の河南地域に広域農道の建設をということについては、議員諸先生方を初め多くの地元の皆さんの強い御要望を受けて、昭和六十三年度と平成元年度の二カ年にわたり調査検討を行ってまいりました。
 現在、実施中の紀の川地区の広域農道、これは三十四キロ、幅員八メーター、百七十二億の総事業費でございますが、平成二年度で九○%の進捗を見ますし、平成四年度末で完了することになってございます。
 しかしながら、河南地域については基盤整備が立ちおくれており、農業の振興、地域開発のためにも基幹となる農道の整備が急務でございます。広域営農団地農道整備事業によって、紀の川の左岸地区として推進することとして、平成三年度の政府要望の中でも重点新規要望として採択要望を行っておるところであり、知事みずから農林水産省に行って、この道路については強く働きかけておるところでございます。事務レベルでは、ただいま農林水産省との事前協議、建設省との道路協議などを重ねているところでございまして、本年中には事業採択申請を行う予定でございます。また那賀地方についても、一体的整備に向けて計画農道の延伸の調査費を今議会にお願いいたしております。
 この農道は新規事業でございますので、厳しい情勢にはございますけれども、平成三年度事業採択に向けて積極的に努力をしてまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) お答えいたします。
 伊都地方の心身障害者更生施設設置問題については、今後の養護学校卒業生の状況、及び在宅心身障害者の入所ニーズ、また現在、遠隔地の施設に入所されている心身障害者の状況から、当該施設の設置について本年八月から設置場所や運営主体等について伊都地方の関係者で協議をいただいておるところでございます。今月初めにも、地元の心身障害者父母の会も交えて話し合いをすることとなってございます。県といたしましては、今後これらの結果を見ながら対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 本県の教育のあり方、特に僻地の問題、もう一つは美術館建設に伴うアンモニア性物質についての御質問をいただきました。
 まず、僻地の教育でございます。
 僻地教育を充実させることは、本県の教育振興の上で極めて重要なものであると考えてございます。県教育委員会といたしましては、僻地教育研究指定校やふるさと教育推進地域を設けて僻地における教育のあり方の研究を深めるとともに、小規模校の特性を生かして創意に満ちた学校運営を行うよう指導いたしておるところでございます。
 また、僻地校の教育条件を改善するため、本年度は複式学級の学級編制基準を小学校、中学校で改善をするとともに、複式学級を持つ中学校においては教員の配置基準を改善し、増員を図ったところでございます。
 今後とも、僻地における効果的な学校教育を進め、僻地教育の振興充実を図ってまいる所存でございます。
 次に、美術館建設に伴うコンクリートから発生するアンモニア性物質に対する対応でございます。
 特に問題となる美術作品への影響をできるだけ少なくするために、施設完成後に養成期間を置くよう文化庁からも指導があるところでございます。
 このため本県においては、新しい美術館の養成期間を六カ月以上設けるよう計画するとともに、設計委託先に対して美術館で最も重要な収蔵庫の機密性、断熱性、そういった問題について十分留意をして設計するよう依頼しており、万全の措置を講じてまいっておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 9番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 各部の部長から大変御親切な御答弁をちょうだいし、感謝申し上げているところでございます。
 特に民生部長さん、伊都地方の心身障害者更生施設の設置でございます。
 担当課長さん等が市町村の方々と連絡をとって話し合いをしていただいておりますが、ただいまの御答弁の中で、障害者更生施設の陳情をなさった方、請願者の方々と近々お話しなされるとのことですので、積極的にお話を承っていただき、これの早期実現に向けて御努力賜りますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十分休憩
 ───────────────── 

このページの先頭へ