平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成二年十月二日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第九十三号から議案第百六号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第九十三号から議案第百六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 井 出 益 弘
 2 番 和 田 正 一
 3 番 町 田  亘
 4 番 中 村 利 男
 5 番 山 本  一
 6 番 宗  正 彦
 7 番 岡 本  保
 8  番 鈴 木 俊 男
 9 番 阪 部 菊 雄
 10 番 中 村 裕 一
 11 番 平 越 孝 哉
 12 番 大 江 康 弘
 13 番 中 西 雄 幸
 14 番 橋 本  進
 15 番 古 田 新 蔵
 16 番 浦  武 雄
 17 番  堀 本 隆 男
 18 番 宇治田   栄 蔵
 19 番 下 川 俊 樹
 20 番 石 田 真 敏
 21 番 木 下 秀 男
 22 番 中 村 隆 行
 23 番 藁 科 義 清
 24 番 門  三佐博 
 25 番 尾 崎 要 二
 26 番  那 須 秀 雄
 27 番 木 下 義 夫
 28 番 上野山 親 主
 30 番 尾 崎 吉 弘
 31 番 西 本 長 浩
 32 番 岸 本 光 造
 33 番 松 本 貞 次
 34 番  浜 本  収
 35 番 和 田 正 人
 36 番 浜 口 矩 一
 37 番 山 崎 幹 雄
 39 番 田 中  実三郎  
 40 番 森  利 一
 41 番 村 岡  キミ子  
 42 番 森 本 明 雄
 43 番 中 村  博
 44 番 中 村 千 晴
 45 番 小 林 史 郎
 46 番 渡 辺  勲
 47 番 藤 沢 弘太郎 
欠 席 議 員(な し)
〔備 考〕
 29 番 欠 員
 38 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 高 瀬 芳 彦
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 天 谷 一 郎
 農林水産部長 安 田 重 行
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 吉 井 清 純
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   上 野  寛
 教育長 高 垣 修 三
 以下教育次長
 公安委員会委員 山 階 清 弘
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
   寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ─────────────────
 午前十時五分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
 ─────────────────
○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第九十三号から議案第百六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 46番渡辺 勲君。
 〔渡辺 勲君、登壇〕(拍手)
○渡辺 勲君 通告に従いまして、質問を行いたいと思います。
 関西国際空港問題についてお尋ねをいたします。
 かねてより、関西国際空港の全体構想の問題、そして国内便の確保の問題、さらにこれらに密接に関連いたします大阪国際空港の存廃問題について、本会議あるいは委員会において私の考え方を申し述べさせていただくとともに、仮谷知事を初め当局の考え方をただしてまいりました。
 知事を先頭に取り組んできた関西国際空港問題の一つの大きな節目が、皆様も御承知のように、この八月にめぐってきたのでございます。私は、ここ二年間ほど大阪国際空港存廃問題について知事の英断を持った行動を促してまいったところでありますが、去る八月二十四日に航空審議会の中間取りまとめが行われ、平成三年度から始まる第六次空港整備五箇年計画のアウトラインが示されたわけであります。
 その中で、まず大阪国際空港の存廃について明確に記述されております。原文は、「大阪国際空港については、大阪圏における国内航空需要の増大、周辺環境対策の進捗等に鑑み、利用者の利便の確保と周辺地域との調和を図りつつ、同空港を存続することとする」となってございます。以前から予想されていたこととはいえ、「存続」という言葉がずっしりと重みを持っております。
 この存続の方針が導き出されるに当たって、航空審議会において種々の論議があったことと推察されますが、この航空審の動きに歩調を合わせるように、知事あるいは副知事が上京し、運輸省に対し本県の立場、考え方を説明していただきました。当局にとって、まさに暑い八月であったことと存じます。また、この暑い八月を一緒になって汗をかいていただいた岸本議長に改めて敬意を表するとともに、感謝を申し上げたいと存じます。
 七月末に出そろった大阪国際空港の地元である大阪府、兵庫県、さらに伊丹市を初めとする十一市協の存続を求める意見書の国への提出を待って、まず八月一日付で知事名で運輸大臣あての文書が出されております。タイトルは「大阪国際空港問題について」でありました。これまで関西国際空港問題についての文書は数多く出されておりますけれども、大阪国際空港問題がタイトルとなった和歌山県の公文書は初めてのことだと思います。本問題について直接の関係県ではない立場の本県ではありますけれども、本問題が関西国際空港全体構想を含む関西国際空港の機能に影響を及ぼすことがあってはならないという知事初め議会の並み並みならぬ決意であったと私は思うわけでございます。
 この申し入れ文書の中で、本県の主張として、昭和四十九年の航空審議会の「関西国際空港の機能が十分に発揮されるようになった時点で大阪国際空港を廃止することを前提とする」という従来の主張とともに、その結論については今後の航空需要を見きわめた上で結論を出すべきであると考え、したがって関西国際空港の機能が十分発揮し得るまで大阪国際空港問題の結論を保留されたいとの主張がなされたわけでございます。この主張は、これまでの本県の主張とやや毛色を異にする内容でありまして、知事初め県当局が苦渋と苦心を重ねられた、まあ傑作だというところまでいきませんけれども、大変な決断であったと思います。
 この文書を皮切りに、八月六日には副知事が議長とともに上京され、運輸省の幹部と会談されております。また県議会空港対策特別委員会も、八月九日、十四日とお盆の休みを返上して異例の委員会を開催し対応策を練ったところでございます。さらに、航空審中間取りまとめ直前の二十一日には、知事みずから岸本議長とともに上京され、運輸大臣に本県の主張を強く申し述べられております。
 また大阪府との関係につきましては、従来、議会内部においては大阪国際空港問題における不信感から、紀の川分水凍結といった強硬論まで出ていたわけでありますが、本県から国に文書が出されて間もなくの八月四日に大阪府の西村副知事が来県され、西口副知事との間で大阪・関西両空港の問題あるいは紀泉地域の振興についての両府県の意見交換が行われております。
 それぞれの会談内容はともあれ、本県の大阪国際空港問題に対する取り組みは、この八月の中間取りまとめに向け懸命の努力を試みたのでありました。しかしながら、航空審議会の方針は大阪国際空港存続であり、和歌山県の正論は関西全体の便益に押し流されてしまったわけであります。
 我が国あるいは関西の今後の航空需要の伸び、あるいは現在の大阪国際空港への経済集積を考えた場合、関西全体の経済のパイを縮小させるわけにもまいりません。東京一極集中の是正を図るためにも、大阪圏に複数空港が必要であるという趣旨について、すべてに異論を申し述べるわけではございません。現実的な対応も、そのときどきで必要でありましょう。ただ、これまで二十年近くにわたる県議会生活の中で空港問題をライフワークとして取り組んでまいりました私にとって、無念の情を禁じ得ないものもあるわけでございます。この場で、今さら本県のこれまでの空港問題に対する取り組み、苦悩の歴史について繰り返す気は毛頭ございません。
 現実論に戻って話を進めたいと思いますが、聞くところによりますと、今回の大阪国際空港存続の方針を受けて、国においては地元と協議の上、今年の十一月末までに大阪国際空港の門限、ジェット枠等、空港の残し方あるいは関西国際空港との路線配分等の機能分担について結論が出されるということであります。本県としては、関西国際空港の今後を方向づける重要事項ととらえ、大阪国際空港との機能分担に重大な関心を示しながら事に当たらなければならないと考えます。
 知事は、大阪国際空港の存続を予期しておられたのか、議会答弁の中でも、また四月の大阪国際空港のあり方調査に関する知事コメントにおいても、「大阪国際空港が仮に存続したとしても、関西国際空港の補完空港でなければならない」との見解を示されております。したがいまして、大阪国際空港の存続が既定の事実となった今日、県益のため新たなる行動を起こさざるを得ないのではないでしょうか。大阪国際空港と関西国際空港の関係を、東の成田と羽田の関係のようにしてはならないと思います。関西国際空港は、あくまで国際、国内の基幹空港としての機能を果たさなければならないと思うのであります。
 そこで、現実的な対応として、今後の大阪国際空港と関西国際空港との関連をどのように位置づけていかれるつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、今回の航空審中間取りまとめの中での関西国際空港の全体構想の取り扱いについてでありますが、この中で全体構想の事業着手の方針が示されたことは、知事の並み並みならぬ御努力あるいはオール関西での運動組織である期成会に先駆けて、昨年、県内の政・財・官一体となって設立された促進協議会の運動の成果であると評価をするところであります。また、県議会としても大阪国際空港の廃止決議まで行った真意は全体構想の早期実現にあったわけで、関西国際空港対策特別委員会のメンバーや議長のたび重なる中央行動によるところも大と感ずる次第でございます。
 しかしながら、今回の中間取りまとめは全体構想について決してバラ色の内容とはなっておりません。事業着手の方針は示されたものの、さまざまな厳しい条件がつけられております。
 一つには、全体構想については、航空需要の増大に適切に対応できるよう段階的に整備を図ることとし、まず新たな滑走路一本の建設及びそれに関連する施設整備を第二期計画として、第一期計画の滑走路処理能力の限界に達するまでの間に整備を進めることとするとされたことで、我々が目標とする滑走路三本の全体構想がとりあえず二本の滑走路で今後の航空需要増を待たねばならないということになったわけであります。成田については、全体計画がまず認知されて、それを分割して一期、二期として着工されたのとは明らかに大きな違いがあるのはまことに遺憾なことであります。
 二つには、第二期計画の着手条件としての地元協力の問題があります。中間取りまとめには、「第二期計画は、第一期計画よりも建設費が多額となり、また供用されても直ちには大幅な需要増が見込めないこと等の理由により、第一期計画に比べて収支採算が悪化することが予想される。このため、事業費の抑制、地元負担のあり方、開発利益の還元等を含めた事業の健全な経営を図るための措置や第一期計画の経験を踏まえた事業の円滑な実施を図るための措置を、地元の協力を得てあらかじめ確立しておく必要がある。したがって、本五箇年計画段階においては、第二期計画について早急に本格的な調査を行い、上記の措置について関係者において調整され、十分な見通しが立つことを前提としてその事業着手に移行するものとする」と、こうなっています。こうした多岐にわたる地元条件の克服が事業着手の前提となっておるわけでございます。
 なぜ、関西国際空港がこれほどまでに厳しい条件がつけられるのか。同じ第一種空港の中で成田、羽田に対する取り扱いとの格段の違い、国の国際社会に対する責務を放棄したかに見えるこの仕打ちに対しては、関西が一丸となって立ち向かっていかなければならないと考えるのであります。私も、空港整備財源の厳しさは認識しております。現在の空港整備には昭和四十年代に利用者負担の原則が導入され、事業費は空港整備特別会計によって賄われてきており、その財源は航空機燃料税、空港使用料が大半である。しかしながら、利用者負担の原則に従う限り、一挙に大規模な空港を整備するには限界があったということであります。その結果、東京、大阪の国際ハブ空港の整備が立ちおくれ、航空輸送のグローバル化が進む中で、日米構造協議でも批判されたように、我が国は国際的責務を果たしているとは言いがたいのが実情であります。こういった背景をもとに、空港整備財源の再検討、新しい空港整備システムの構築が来年度から始まる第六次空港整備五箇年計画の大きなテーマとなるべきだと私は考えるのであります。
 そういった動きの中で地元協力の問題がクローズアップされてきているのでありますが、財源問題についてこれを地元に求めるのは本末転倒の議論であります。当時の経済情勢あるいはまた財源の状態は我々も認識し、今日の第三セクター方式を私どもとしてもそれなりに理解をし協力をしてきたわけでございますけれども、当然、国として一般財源の投入を図ってでも空港整備を推進するのが責務であります。もちろん、地元として応分の協力を行うことについてはやぶさかではございませんし、協力もしてまいりました。当然、関西国際空港の関係県として本県もでき得る限りの協力はしていかなければならないと思うわけでございます。
 一方、関西経済連合会を初めとする地元経済界は、第一期計画以上の事業費が必要と予想される第二期計画について、関西国際空港会社の採算上の観点から公団による建設、空港会社による管理を提案しております。この経済界の考え方と国の考え方との間には大きな隔たりがあります。このままでは、全体構想の早期実現は難しいのではないかと思われます。
 思えば、関西国際空港については、昭和四十三年に運輸省が調査を開始し、昭和四十九年八月には航空審議会が泉州沖最適を答申、以降、本格的な調査に取りかかり、昭和六十二年一月の着工以来、現在、約二百ヘクタールを超す陸地が海面上にあらわれるとともに、空港と対岸部を結ぶ連絡橋についても海上部の橋げたがすべて設置され、上部の橋げたが架設されているところでありまして、現在はまさに平成五年春の開港に向かってカウントダウンが始まったといっても過言ではないと思われます。
 しかしながら、ここに至るまで、まさに山あり谷あり、あるときには神戸沖のあらしあり、またあるときには大阪湾の津波ありと、さまざまな山場を乗り越えて今日に至っているわけでございます。全体構想についても、運輸省は逃げてばっかりだと思うんです。大蔵省は、見向きもしなかったと思うんです。それを今回の審議会の中間取りまとめで条件つきながらも事業着手の方針を出させたのは、知事を先頭にして各府県に先駆けて本県独自の全体計画促進協議会を県内の各種団体に呼びかけ設立され、早期実現へのアドバルーンを掲げるとともに、大阪府、兵庫県を初めとする地元自治体、関西経済連合会、大阪商工会議所などの経済団体等とともにオール関西の全体構想早期実現期成会を設立され、関西全体の機運醸成に努められた結果だと私は思っております。右も左も見えなかった滑走路三本の全体構想がおぼろげながらも見えるようになったのは仮谷知事を初めとする関係者の多大な努力の結晶であり、これまでの御労苦に改めて敬意を表したいと思います。
 今後、早期に全体構想に事業着手するための前提となる諸課題をクリアすることが求められております。先ほど申し上げたとおり、関西の経済界の考え方と国の考え方との間には大きな隔たりがあり、また大阪、兵庫などの地元自治体の考え方もこれからまとめていかなければなりません。昭和五十七年六月に和歌浦で開催した大阪湾岸サミットを思い起こしてください。あのときは、兵庫県、神戸市の横車で関西国際空港がにっちもさっちも動かなくなったときでございました。知事あなたは絶妙の調整能力を発揮されて湾岸サミットを成功に導き、関西国際空港が動き出したわけでございます。
 そこで、今回もあのようなリーダーシップを再び発揮され、国と経済界、自治体の接点を見出し、諸問題を解決する努力を行うべきだと考えるのでありますが、今後の全体構想早期実現に向けての知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの渡辺勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港についての問題でございます。所見を述べての御質問でございます。
 まず第一点の、現実的な対応として今後の大阪国際空港と関西国際空港をどのように位置づけるかという問題でございます。
 渡辺議員からお話ございましたように、大阪国際空港問題については、県議会の皆さん方の熱烈なる御支援、叱咤激励をいただいて、国に対して議会と一緒になって、また関西の各府県とも共同して本県の主張を邁進してきたところでございます。また、お話ございましたように、昭和五十七年八月三十一日に本県が関西国際空港建設に同意した経過やこれまでの関西国際空港に対する取り組みを思いますときに、時代の変遷はあったとはいえ、私も渡辺議員と同様な感じがするのでございます。警戒的白紙の立場のときから、渡辺議員初め県議会の皆さんには本当にお世話になったのでございます。
 また、御指摘のとおり、大阪国際空港と関西国際空港との機能分担については、私も非常に重要なことだと考えており、これまでも機会あるごとに本県の主張を申し上げてまいったところでございます。八月二十一日には岸本議長とともに運輸大臣に会って本県の主張を申し上げたところ、大臣から、国内、国際の基幹空港として関西国際空港を位置づけており、大阪国際空港が存続しても重点は関西国際空港に置くということでございました。また九月十三日には、政府主催の全国知事会においても内閣総理大臣にも要望してまいったところであり、海部総理から「関西国際空港は国際、国内の基幹空港として建設されており、基幹空港としての必要な便数は確保する」との御答弁をいただいたところでございます。
 この問題については、今後とも県議会の協力をいただきながら、関西国際空港が国内、国際の基幹空港として機能を十分発揮できるように、また県民の利便を図るように努めてまいりたいと思っております。
 次に、関西国際空港全体構想早期実現への今後の取り組みについてでございます。
 渡辺議員から、種々お話がございました。議会の皆さんには大変お骨折りをいただいて中間取りまとめを得たわけでございます。しかし、御指摘のようにいろいろな問題点がございます。滑走路の問題、地方負担の財政的問題等々ございますけれども、現行の空港整備の手法については法律上の問題点もございましたが、第三セクター方式を採用した当時と時代の変化もあり、また国際空港整備は国際社会との調和を図るために国の責務として推進することが基本だと考えておるわけでございます。そうしたいろいろな問題点がございます。
 また、先ほど申し上げた全国知事会においても、全体構想の早期実現についても私は関西の知事を代表して総理大臣の考え方を聞いてまいったわけでございます。この中で私は、平成四年度末の第一期計画の完成に引き続いて第二期計画に着手すべきであり、平成三年度予算においてそのための所要の経費を確保すべきだと主張してまいったわけでございます。今後は、早期に第二期計画の事業着手を図るために、先ほど申し上げた諸問題を解決していく必要がございます。
 また今度の場合、中間取りまとめにおいて変わった事情というのは、特に中部において国際空港を設立しようとする調査の問題が挙がっております。また東京において、第三空港を設立するという問題点もあります。北海道並びに福岡における地方空港の国際化等、いろいろな問題が発生しておるわけでございます。
 それだけに、今後の関西空港の全体構想を推進する上においては、御指摘ございましたように、関西財界、地方自治体、各政治団体、政治の力等を結集してこれに当たらなければならないんではないかと思うわけでございます。こうした点、県議会並びに国会の先生方の格段の御支援をお願いしてまいりたいと存じておる次第でございます。
 よろしくお願い申し上げます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 46番渡辺 勲君。
○渡辺 勲君 時間が少し残っておりますので、質問というよりも要望にしておきたいと思いますけれども。
 思い起こしてみますと、構想が持ち上がって、そして前段の調査が始まってもう二十年以上、答申が出て十六年、非常に長い今日までの足取りがあったと思います。
 和歌山県としても、県益を確保するために、そのときどきに相当な決断をしながら今日まで来たわけでございます。我々、国を相手に回し、あるいは関西政財界を相手に回して和歌山県の主張の十なら十、聞き入れられるということはなかなかあり得ることでもございませんし、また関西全体の便益というものを重視しなければならないという一面もございます。
 しかし考えてみますと、中間取りまとめの中に関空の全体構想は位置づけられたとはいえ、滑走路三本が二本に後退し、相当地元に対して負担を強いると申しましょうか、成田とは随分違った形態の取り組みをしていかなければならないという大きな課題がございます。そして、段階的施行ということで、いつが具体的な出発点になるのかということは不明確でございます。
 しかし、和歌山県が、県議会が、知事が一丸となって真剣に取り組んできたことによって、和歌山にも多くの企業が進出し、またリゾート構想が浮かび上がり、次の時代への大きな展望も開かれつつあるという現実もしっかりと見ていかなければなりません。どうぞ、次の世代のために、大きな和歌山県の展望を開いていくために、一歩も油断することなく全体構想実現に向かって和歌山県の主張をなお一層強く訴え続けていく、こういう決意で知事に先頭に立っていただきますことを心から要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で渡辺勲君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番阪部菊雄君。
 〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 伊都地方の出身議員でございますので、一昨日来、幽明境を異にいたしました故平木議員に対しまして、心より哀悼の誠をささげるものであります。
 さて、天高く馬肥ゆるさわやかな好季節、お許しを得て、通告に従い質問いたします。
 平成二年二月議会において仮谷知事は、「二十一世紀に向けての『和歌山』の新たな離陸のためエネルギーを充てんし、さらにエンジンを始動させるときにあると言えます。 以上のような認識に立ちまして、平成二年度においては『新しい時代に挑む力強い地域産業の発展』『健康で快適なくらしと生きがいのある福祉社会の建設』『明日を担う人づくり』『魅力ある文化の創造』を柱として、県勢のさらなる伸展に全力を傾注する」と力説されました。いずれもすべて本県にとって重要な課題であることは、私も同感とするところであります。
 しかしながら、世界の激変は、何人といえども予想することはできません。突如、イラクは隣国クウェートを侵略、占領いたしました。世界の中での日本の果たすべき役割についてもいろいろと論議されておりますが、これら一連の大変革の中で知事が力説された県勢浮揚策が今後どのような影響を受けるとお思いでございましょうか、知事の忌憚なきお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 去る六月十九日の新聞紙上に、「『第二国土軸』構想が浮上」と出ておりました。「東京─静岡─渥美半島─和歌山─四国─大分─長崎を高速道路で一本に結ぼうという『第二国土軸』建設構想」であります。
 この構想は、昭和四十年、国連調査団がワイズマンリポートの中で提案され、また仮谷知事も紀伊半島に国土軸をということで紀淡海峡トンネル構想を推進されてきたところであります。この十月三十一日には、関係府県、経済団体による推進組織の設立総会と記念フォーラムがこの和歌山で開催されるとのことで、まことに画期的なことだと考える次第ですが、開催県の知事としてどのような姿勢で臨むのか、御所見をお伺いいたします。
 続きまして、企画部長にお伺い申し上げます。
 昨年の十月六日、議会一般質問で私が地価監視区域の指定拡大について提言し、本年二月、地価高騰抑制策として監視区域の大幅な拡大と、その後、届け出面積の一律引き下げを実施されました。政府もまた金融面での貸出規制等を実施し、ようやく鎮静化しつつあると思考されます。
 企画部長、その後の本県の実態について詳しく御説明をいただきたいのであります。
 次に、加太の土砂採取事業についてお伺いいたします。
 平成元年五月八日、待望の搬出開始してより本年八月二十九日まで、第一期工事完成、搬出土砂三千百二十万立方メートル、平成三年十二月末までに当初の予定の六千五百万立方メートルが完了する予定でありますが、見込みどおり完了ができるのかどうか、また予期せざる事態に万全の措置等の対策があるのか、お伺いいたす次第でございます。
 さらに、関西国際空港全体構想実現への挑戦と第二期埋立工事着工の見通し、それに対応して加太地区における土砂搬出事業の計画等、将来計画が策定されているのか、お伺いするものであります。
 あと一点、知事が、有力高速交通手段であるヘリコプターの活用について、その発着場の適地性等について調査し、その具体化に向けて一歩前進したと発表し、南紀地方に調査費が計上されたところであります。
 そこで、伊都、橋本地方におけるヘリポート整備についてどのようなお考えなのか、率直にお答えいただきたいのであります。
 続いて、商工労働部長にお伺いいたします。
 今や、全国津々浦々で中小企業は人手不足に悩んでおります。本県もまた、その例外ではありません。いろんな国から、景気拡大、人手不足の日本を目指して外国労働者があの手この手で法網をくぐり抜けて入国しており、その是非をめぐって論議もまたさまざまであります。こうした深刻な人手不足に対処するため、県が受け皿となり、ブラジル在住の日系人を期間作業員として県内中小企業に対しあっせんする考えはありませんか。
 労働基準法規に基づき、就労時間、賃金、快適な住宅、日常生活等々の一定の基準を設定し、特に日本での就労希望者が少なくないとされるブラジルの日系人社会からの採用については、同国と特別に深い友好県である我が和歌山県が全国に先駆けて実施することは、国際交流の見地からも極めて重要かつ望ましいことではないでしょうか。外国人の日本国内での就労については、日系人を含め出入国管理法で厳しく制限されているが、日系人の場合は日本への定住希望などがあれば在住資格を取ることができ、その場合、入国後に就労しても違反とはならないと聞いておりますが、いかがなものでありましょうか。
 次いで、お伺いいたします。
 これだけ深刻な人手不足にもかかわらず、六十歳以上の高年齢者の男性と社会的弱者と言われる障害者の雇用促進が、まことに残念ながらいまひとつ定着いたしておりません。これについては、県高年齢者雇用開発協会、障害者雇用促進協会の役職員が必死の活動をし、また御加入いただいているそれぞれの法人の方々に大変御理解を賜っております。改めて、心より感謝申し上げる次第でございます。
 部長、特に本県は他県に比べて高齢化が急速に進行しております。六十歳代前半層の失業率は平均の二倍近い高率であり、働いていない男性のうち三人に二人が適当な仕事が見つからないと答えており、これまでの技能や経験を生かしたいのだが、その場がないのであります。あと五年足らずで若い学卒者が急減し始め、人口構造の上でこれから二十一世紀初めにかけてさらに人手不足が続く見通しであり、雇用の場を広げる努力が緊急に求められておりますが、その対応について所見を求めるものであります。
 土木部長にお尋ねいたします。
 伊都、橋本地方の開発について、仮谷知事を筆頭に土木部の皆さんが実に誠実に取り組んでいただいており、感謝申し上げます。
 平成二年度以降特に重要なものは、一つ目、国道三百七十一号バイパス、京奈和高規格道路、すなわち橋本─高野口間十一・三キロの進捗状況、二つ目、泉大津粉河線、那賀高野線の国道昇格のめど、三つ目、和歌山橋本線の改良整備、四つ目、高野口町の田原川、這谷川の改修、吉原川、特に伏原地内の改修促進、五つ目、北部臨海田園都市線国道昇格のめど、六つ目、花園村内の国道三百七十一号線の早期改良促進、以上、いずれも地元市町村の熱烈な願望であります。盛りだくさんでございますが、再質問は決していたさないつもりでございますので、特に親切に詳しくお答えいただきたいと存ずるものであります。
 土木部長並びに関係する部長に対する質問であります。
 今、世界で一番問題視されておることは、二酸化炭素による大気と大地の汚染であります。
 私は、以前「恐るべき酸性雨」という谷山鉄郎先生の本を読ませていただきました。私はここで、雨や霧に溶け込んだ大気汚染物質が森を枯らし、水生動物を激減させる地球的規模の生態系破壊の実態と被害のメカニズムについて部長と議論しようとは思っておりません。
 恐らく、台風十九号、二十号は、日本全土に酸性雨を多量に降らせたものと思います。世界的な気象異常がもたらすものは何か。アマゾンやインドネシアやインドなどの熱帯雨林と言われる世界最大の森林帯地域においても、降雨量の減少により食糧生産が危機に瀕しておると言われております。また、アフリカのように人為的な原因も絡んで砂漠化が進行し、乾燥地帯が日に日にその面積を拡大し、まさに人類生存の危機さえ感じるところであります。
 そこで、極めて卑近な例としてお伺いいたします。
 こうした酸性雨が原因でコンクリートのカルシウム分が溶け出し、つらら状に固まったと見られる酸性雨つららが各府県で発見され、大問題になっております。広島県では、酸性雨によって公共構造物がどの程度の影響を受けているかを見るため県独自で調査することになり、その調査対象はコンクリートを使用している橋梁と県営住宅等の建造物とされております。本県においても調査すべきだと考えますが、土木部長初め関係部長の御答弁を求めるものであります。
 次いで、農林水産部長にお伺い申し上げます。
 日ごろ多忙な中、農林水産の基盤確立のために御努力を賜っておりますが、特に紀の川用水の問題について仮谷知事さん同様大変御心配をいただき、恐縮いたしているところでありますが、本件についてもさらに一段の御高配を切望するものであります。
 さて、お伺いする点は、河南農道実現への具体的な計画の促進であります。本件に関して、各年次、若干の調査費を計上していただいておりますが、いまいち脂が乗っていないように思います。河南農道実現は、長年にわたる農民や地域住民の切なる願いであります。また、河南発展と生活の利便上、必要欠くべからざる重要な農道と位置づけしていただき、今後の取り組みについて積極的な御答弁をお願いいたす次第でございます。
 続いて、民生部長にお尋ねいたします。
 去る六月議会において、議員全員の御賛同により議決された議請第八十三号「伊都地方に心身障害者更生施設の設置について」、その後の経過についてお伺いするものであります。
 障害児の行く末を案じ、願う父母、肉親の心情を察するとき、何をさておいても最優先で取り上げなければならない問題であります。福祉和歌山県を推進する仮谷知事にとっても崇高な政治の目標であります。今日までの取り組みについてお伺い申し上げるものであります。
 続きまして、教育長にお伺いいたします。
 本県山間部は急激な過疎化の進展に伴い、小・中学校での生徒数の減少により本県の教育上ゆゆしき問題が提起されており、地域住民、父兄に深刻な不安を与えております。
 教育長、いよいよ本県独自の教育のあり方を抜本的に見直さなければならないという極めて厳しい時代が到来いたしております。大変頭の痛いことだと心中お察し申し上げます。これについて教育長の基本的な考え方をお伺いするものであります。
 また、第三回全国スポレク祭が目前に迫り、多用に次ぐ多忙で、職員各位に対し心より感謝と激励を申し上げる次第であります。
 さらにもう一点、お伺いいたします。
 土木部長に申し上げましたごとく、恐るべき酸性雨の実態と相まって提起されている重要問題についてであります。
 去る七月九日、読売新聞が「美術館建設ブームに警鐘 コンクリートからアンモニア 油絵・絹類が黄ばむ」と、また東大や大手建設会社の研究発表がありました。多分ごらんになっておられると存じます。
 さて現在、計画進行中の美術館建設についてどのように対応していくのか。聞くところによりますと、平均的な日本の美術館の場合、アンモニアが美術品に影響を与えなくなるまでは五十年はかかると言われております。教育長の御所見を承りたいのであります。
 さて仮谷知事、四選後、早くも丸三年が瞬く間に過ぎ去りました。仮谷知事の評価について、それぞれの立場から厳しいもののあることは、政治を行う者について回る宿命であります。きのうの一般質問でも、原発凍結の提言や十九号台風の問題、殿山ダム等の問題がありました。しかし、県勢浮揚の拡大のために日夜、東奔西走されている知事に衷心より敬意を表するものであります。残る一年後、知事選挙が始まります。既に、各種団体より五選出馬要請が多数寄せられていることと存じます。
 仮谷知事、食欲の秋とは申せ、暴飲暴食をせず、せっかく健康に御留意いただき、ぜひ五選出馬されんことを要請し、私の第一回目の質問にいたします。ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 最近の中東情勢と県勢の浮揚についてであります。
 お話ございましたように、最近の国際情勢は非常にテンポが激しいものがございます。明十月三日には東西ドイツが合併する運びになっております。特に、中東の情勢が日本並びに和歌山県に与える影響でございますけれども、経済的にも社会的にもどのような影響を及ぼすか予断を許さないものがあるのではないかと考えておるわけでございます。
 本県は、御承知のように、基礎資材型の産業の構造不況等により低迷状態が長く続き、ようやく回復基調に向かっておるわけでございます。また、減少を続けておりました人口も増加傾向に転じていくことが予測されるのでございます。
 議員御指摘のような、こうした国際情勢激動の時期にあってこそ、私は和歌山県の産業構造の高度化、多角化を積極的に進めていかなければならないし、また現在進めておる大型プロジェクトをなお一層積極的に進めていかなければならないのではないか、こうすることが県勢浮揚につながるものだと確信しておるわけでございます。
 次に、第二国土軸構想の推進についてでございます。
 関係の十七府県、また八経済団体による推進組織が設立される運びになっておるわけでございまして、広域的な組織でもございます。その推進に向けて大きな弾みになるものだと思っておるわけでございます。開催される十月三十一日は思い出の多い日になるように努力してまいりたい、全力を注ぎたいと思っております。
 昭和五十四年の新春の夢として紀淡海峡トンネル構想を発表して以来、十年余りにしてようやく各界の皆さんの御理解をいただくことになったわけでございます。
 国においても、第二国土軸促進国会議員連名を設立していただいております。当日は、国、関係府県、経済界の多数の皆さんがお越しになるわけでございますが、この大プロジェクトを今後とも積極的に強力に進めてまいりたいと思っておりまして、議会の皆さんや関係の皆さんの御協力をお願い申し上げたいと思います。
 最後に、阪部議員からありがたいお言葉をいただいたわけでございまして、心から厚く御礼申し上げます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず第一点は、地価の状況についてお答えを申し上げます。
 本県の地価動向については、去る九月二十日発表いたしました平成二年地価調査結果によりますと、昨年に比べて県下の住宅地の平均変動率は二二・二%、商業地では二二・一%となってございます。また地域別に見てみますと、紀北地域では住宅地で四一・九%、商業地で四五・四%の平均変動率となってございます。大阪圏の地価高騰の波及あるいは関西国際空港建設等の影響を受けた和歌山市を初め、紀の川筋の一部地域では五○%を超える地価上昇が見られ、またリゾートブームによる別荘地等の地価上昇の影響を受けた田辺市、白浜町でも上昇が見られましたが、その他の紀中地域、紀南地域では比較的、安定的に推移いたしてございます。
 県といたしましては、県経済活性化及び県民生活安定のために昨年三月以来、四回にわたって監視区域の指定を行い、また既に指定している区域の届け出対象面積の引き下げを行いまして、より厳しく地価対策に取り組んでいるところでございます。
 議員御指摘のとおり、監視区域の指定や金融機関の不動産取引への融資の規制等によりまして、昨年来の地価上昇の見られた地域でも、ことし四月以降、三カ月間の動向では一○%以内に上昇率が鈍化している状況でございます。
 今後とも、地価の動向を十分見きわめ、監視区域制度の厳正な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に第二点は、土砂採取事業の見通しについてでございます。
 土砂採取事業については、第一期工事の土量三千百二十万立方メートルの搬出を計画どおり八月二十九日に終了いたしまして、引き続き第二期工事に着手いたしているところでございます。
 なお、第二期工事は三千三百八十万立方メートルを搬出しようとするもので、現在、毎月二百五十万立方メートルから二百八十万立方メートルをコンスタントに搬出いたしてございますので、埋立期間内の平成三年十二月末までには六千五百万立方メートルの全計画土量を搬出できる予定でございます。
 また、不慮の事故等に対応すべく、機械設備については十分な保守管理を行うとともに、過激派対策の警備体制についても、警察当局、海上保安庁等の協力もいただきながら万全を期しているところでございます。
 また、関西国際空港全体構想に伴う第二期計画に対応した土砂搬出については、種々の課題もあり、今後、関係機関と協議しながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に第三点は、関西国際空港全体構想の対応についてでございます。
 今回の航空審議会の中間取りまとめにおいて、関西国際空港については、我が国及び東アジアの玄関口としての国際ハブ空港の役割を担うこととされ、将来の航空需要に十分対応できるようその整備を図り、玄関口にふさわしい機能、利便の充実を図ることとして全体構想が改めて位置づけられるとともに、第二期計画の整備方針が示されたところでございます。
 しかしながら、早期に事業着手するためには種々の課題もございますので、本県として、国初め関係自治体、経済団体等と密接な連携の上、また県議会の御支援をいただきながら、全体構想の早期実現に向けて努力してまいりたいと存じてございます。
 最後に第四点は、ヘリポート整備についてでございます。
 ヘリポート整備については、昭和六十三年、平成元年度の二年間に行った基礎的な調査を踏まえて、現在、紀南地域を中心に適地等の調査を進めているところでございます。将来的には、県内各定住圏ごとに拠点的なヘリポートを配置することが望ましいと考えてございます。
 近畿圏におけるヘリコプター利用の動向等を勘案しながら、伊都、橋本地域についても今後、市町村とも協議しながら検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 人手不足対策についてでございます。
 日系二世、三世の方々については、就労を含めて日本国内の活動に制限を加えられないことは議員御指摘のとおりでございます。既に、民間団体において類似の活動を行っているところもあるやに聞いてございます。また、本県から明治以降約六千七百名の方がブラジルに移住するなど、本県とブルジルが歴史的に見て深いつながりがあることも認識しているところであります。
 このように、ただいまの議員の御提言には傾聴すべき点が多々ございますが、人手不足に向けた対策としては、まず御提起のありました高年齢者を初めとする労働力需給のミスマッチ解消、雇用管理面の改善等を中心に進めるべきと考えておりまして、県が外国から労働者を受け入れ、県内企業へのあっせんを一手に引き受けて行うことが法制度上可能であるか等々研究すべき課題がございます。
 なお、国においては、平成三年度に向け、日系二世等に係る適正な就労の確保のための情報提供等について検討中とのことでございますので、県としても、これらの動向を踏まえ対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、高年齢者雇用の実態でございます。
 五十五歳以上の高年齢者の有効求人倍率は、本年八月○・二三倍となっておりまして、全体の有効求人倍率一・一九倍に比べ、極めて厳しい状況でございます。
 一方、六十歳定年制は着実に増加傾向にあり、常用労働者数百人以上規模の企業のうち五八%の企業が既に実施しており、今後、六十歳定年への引き上げを予定している企業も合わせると八○%を超える見込みでございます。
 このように着実に改善を見てはおりますが、さらに公共職業安定所の窓口における求人の年齢幅の五歳アップを事業主に求めるなどして再就職の促進を図るとともに、六十歳定年の定着化と六十五歳までの勤務延長や再雇用などにより六十歳代前半層の雇用就業機会の確保に努める一方、高年齢者の多様な就業ニーズにこたえるためシルバー人材センターの拡充を図るなど、総合的な雇用就業対策を進めてまいりたいと考えております。
 三点目は、障害者雇用の実態でございます。
 障害者の雇用については、近年、若干ではございますが改善の方向を示しているものの、依然として厳しい環境にございます。平成二年度では、民間企業における実雇用率は一・九%と、前年に比べ若干の上昇を見ておりますが、法定雇用率の未達成企業の割合は全体の三五%を占めているなど、必ずしも十分に進んでいるとはいえない状況にございます。
 このようなことから、職業安定課や公共職業安定所の幹部職員が戸別訪問による指導を行うなど、事業主の理解と協力を求めるとともに、関係機関と緊密な連携を図りながら障害者の雇用の促進と安定に、より一層努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 伊都、橋本地方の開発にかかわる御質問にお答えいたします。
 まず、国道三百七十一号橋本バイパスでございます。
 府県境から国道二十四号の間七・七キロのうち、慶賀野橋から三石台の間約一・三キロメートルについては既に完成いたしております。残る六・四キロメートルについては、平成元年度と二年度にかけて全区間が事業化されております。現在、このうち五・四キロは路線測量を完了しております。残る一キロメートルを含め、本年度中に六・四キロメートル全線の測量、詳細設計、地元協議を進め、平成三年度より本格的な用地買収に着手したいと考えております。
 また、京奈和自動車道・橋本道路については、橋本市─高野口町間十一・三キロメートルが平成元年度に建設省において事業化され、現在、測量立ち入りの了解の得られた十・七キロメートルについて路線測量、地質調査、詳細設計を行っております。残る区間についても、一日も早く地元了解を得て調査を進め、平成三年度より本格的な用地買収に着手する予定となっております。
 いずれの事業も、用地関係者数、面積ともに大規模な用地取得となりますが、関係者の方々の御理解と御協力が得られるよう、議員各位の御支援をいただきながら、県、地元市町が一体となって国を支援し事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、泉大津粉河線、那賀高野線並びに北部臨海田園都市線の国道昇格についてであります。
 次回の国道昇格は第十次道路整備五箇年計画期間内に行われる予定と言われておりますが、次期昇格は厳しい状況にあると聞いております。今後、国の調査状況を見きわめながら適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
 次に、和歌山橋本線の道路改良についてあります。
 現在、橋本市学文路地内延長九百五十メーター及びかつらぎ町三谷地内延長二千二百メーターを事業化し、主に用地買収を行っている状況にあります。また交通安全事業として、かつらぎ町平沼田地内延長四百四十メーター、かつらぎ町西渋田地内延長千二百メーター、九度山町入郷地内延長二百五十メーターを整備中でございます。今後とも、地元の皆様の御協力をいただきながら事業の促進に努めてまいります。
 次に、花園村内の国道三百七十一号の早期改良促進については、中南地区で平成二年度に宮前橋の拡幅、並びに局部改良に着手しております。早期に全区間を改良することは困難でありますが、当面、幅員の狭小部、屈曲部等で交通の隘路となっている区間について、順次、局部改良を行ってまいりたいと考えております。
 次に、高野口町内の田原川及び這谷川の改修でございます。
 田原川については嵯峨谷川との合流点より上流千七百メーター間を河川改修事業で促進し、這谷川上流は砂防ダムを施工中で、いずれも本年度中に完成予定であります。田原川上流及び這谷川下流の改修については、地元の御協力を得ながら、砂防事業として採択されるよう調査検討していきたいと考えております。
 また吉原川の河川改修については、昭和六十年度より紀の川合流点から国道二十四号までの千百五十メーターについて改修計画を策定し、小規模河川改修事業で工事の促進を図っているところでございます。用地買収についても、地元の方々の御協力により順調に進んでおりますので、工事面においても鋭意促進を図ってまいる所存でございます。
 次に、酸性雨による公共施設への影響調査の御質問でございます。
 酸性雨の環境に及ぼす影響については、最近、マスコミ等で関心事になっているところでもあります。しかし、酸性雨がコンクリート構造物に与える影響の検討は数少なく、日本においては調査研究が始まったばかりであります。
 本県においても、つららは従来より見受けられますが、構造物に影響を与えるか与えないかはまだ解明されていないのが現状でございます。
 なお、近隣府県にも照会いたしましたが、まだ調査は行われていない状況でございました。しかしながら、酸性雨の構造物に与える影響について、今後、注視してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 酸性雨についてでございます。
 酸性雨は、物の燃焼や動植物の呼吸、及び自然現象によってつくられた硫黄酸化物、窒素酸化物、炭酸ガス等が雨に吸収され、強い酸性を示す雨水となったものでございます。
 酸性雨は、議員御指摘のように、樹木を枯らしたり、湖沼や土壌の酸性化、地球の砂漠化及びコンクリートからカルシウムを溶出するなど、問題提起されております。   酸性雨の状況については、昨年度から県衛生公害研究センターにおいて調査を行っております。この結果によりますと、pH四・五から六・八、平均五・二であり、お話ございました広島の昭和五十九年から六十二年の結果のpH四・五から四・九と比較すると弱い酸性雨と考えられますが、今後も引き続き調査を行ってまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 紀の川の河南地域に広域農道の建設をということについては、議員諸先生方を初め多くの地元の皆さんの強い御要望を受けて、昭和六十三年度と平成元年度の二カ年にわたり調査検討を行ってまいりました。
 現在、実施中の紀の川地区の広域農道、これは三十四キロ、幅員八メーター、百七十二億の総事業費でございますが、平成二年度で九○%の進捗を見ますし、平成四年度末で完了することになってございます。
 しかしながら、河南地域については基盤整備が立ちおくれており、農業の振興、地域開発のためにも基幹となる農道の整備が急務でございます。広域営農団地農道整備事業によって、紀の川の左岸地区として推進することとして、平成三年度の政府要望の中でも重点新規要望として採択要望を行っておるところであり、知事みずから農林水産省に行って、この道路については強く働きかけておるところでございます。事務レベルでは、ただいま農林水産省との事前協議、建設省との道路協議などを重ねているところでございまして、本年中には事業採択申請を行う予定でございます。また那賀地方についても、一体的整備に向けて計画農道の延伸の調査費を今議会にお願いいたしております。
 この農道は新規事業でございますので、厳しい情勢にはございますけれども、平成三年度事業採択に向けて積極的に努力をしてまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) お答えいたします。
 伊都地方の心身障害者更生施設設置問題については、今後の養護学校卒業生の状況、及び在宅心身障害者の入所ニーズ、また現在、遠隔地の施設に入所されている心身障害者の状況から、当該施設の設置について本年八月から設置場所や運営主体等について伊都地方の関係者で協議をいただいておるところでございます。今月初めにも、地元の心身障害者父母の会も交えて話し合いをすることとなってございます。県といたしましては、今後これらの結果を見ながら対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 本県の教育のあり方、特に僻地の問題、もう一つは美術館建設に伴うアンモニア性物質についての御質問をいただきました。
 まず、僻地の教育でございます。
 僻地教育を充実させることは、本県の教育振興の上で極めて重要なものであると考えてございます。県教育委員会といたしましては、僻地教育研究指定校やふるさと教育推進地域を設けて僻地における教育のあり方の研究を深めるとともに、小規模校の特性を生かして創意に満ちた学校運営を行うよう指導いたしておるところでございます。
 また、僻地校の教育条件を改善するため、本年度は複式学級の学級編制基準を小学校、中学校で改善をするとともに、複式学級を持つ中学校においては教員の配置基準を改善し、増員を図ったところでございます。
 今後とも、僻地における効果的な学校教育を進め、僻地教育の振興充実を図ってまいる所存でございます。
 次に、美術館建設に伴うコンクリートから発生するアンモニア性物質に対する対応でございます。
 特に問題となる美術作品への影響をできるだけ少なくするために、施設完成後に養成期間を置くよう文化庁からも指導があるところでございます。
 このため本県においては、新しい美術館の養成期間を六カ月以上設けるよう計画するとともに、設計委託先に対して美術館で最も重要な収蔵庫の機密性、断熱性、そういった問題について十分留意をして設計するよう依頼しており、万全の措置を講じてまいっておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 9番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 各部の部長から大変御親切な御答弁をちょうだいし、感謝申し上げているところでございます。
 特に民生部長さん、伊都地方の心身障害者更生施設の設置でございます。
 担当課長さん等が市町村の方々と連絡をとって話し合いをしていただいておりますが、ただいまの御答弁の中で、障害者更生施設の陳情をなさった方、請願者の方々と近々お話しなされるとのことですので、積極的にお話を承っていただき、これの早期実現に向けて御努力賜りますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十分休憩
 ───────────────── 
 午後一時十五分再開
○議長(岸本光造君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕(拍手)
○中村 博君 議長のお許しをいただきまして、今お手元に旧県会議事堂の写真を資料としてお配りいたしておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、旧県会議事堂の修復並びに保存策についてお尋ねをいたします。
 県道泉佐野岩出線、風吹峠手前を右に折れ、菩提川の渓流に沿って進むと、見事に復元され、一層重厚さを感じさせる大門が展開してまいります。しばらくすると、黄ばんだ稲穂が目に映り、初秋の風情が漂う中に、新義真言宗総本山根来寺と記された門を抜けますと、右手に、今差し上げました写真のとおりの旧県会議事堂を目にすることができます。
 ただ、根来寺を訪れ、一乗閣と書かれた木造の大建築物を見ても、建物の由来を記された表示がないために、かつて県会議事堂であったのかと知る人はほとんどないのではないかと思われます。明治二十九年から三十年の建築でありますので、あと七年たちますと百年になります。まさに、歴史的重みを持つ貴重な文化財であろうと存じます。
 本論に入る前に、県政とのかかわりや旧県会議事堂について申し上げたいと思います。
 本県は、明治四年に和歌山、田辺、新宮の三県を廃止して和歌山県となったことは御承知のとおりでありますが、ことしでちょうど百十六年になります。こうした県政百十六年の歩みから見ますと、旧県会議事堂は、九十三年もの長い期間、風雪に耐え、二度にわたる移築があったものの根来寺の境内に現存していることは幸いなことでもございます。
 議会事務局に旧県会議事堂とのかかわりについてお尋ねをいたしましたところ、昭和六十三年にとり行われた県議会開会二百回記念式典の際に旧県会議事堂を使用できないものかと調査に行かれたようでありましたが、何しろ九十年余たった建物でありますから、もし大勢の方々がお入りになられて床でも落ちるようなことがあればと、残念ながら県民文化会館を使用したということでございました。
 根来寺に移築されたいきさつ等を知るために、このほど岩出町役場、根来寺に出向き、お聞きをいたしてまいりましたので、念のため申し上げておきますと、林町長、前田教育長から次のようなお話がございました。
 「前平野利一町長時代に旧県会議事堂の移築の話があったようで、平野町長が根来復興委員会の会長もされていたので、この会が母体となって浄財を集め、移築の費用に充て、根来寺に移した。たしか、県からは無償譲渡であったと聞いている。保存策については、現在のところ、寺の所有になっている関係から寺の意見を尊重しなければなりませんが、町の文化財委員の皆さん方からも保存について何とかしなければという意見も出ております。この機会に、町を経由して県の方で文化財としての措置をとっていただければ」ということでございました。
 根来寺の座主のお話によりますと、「以前はよく使っていただきましたが、最近ではほとんど使われていません。夏休みに高校生の吹奏楽の練習に使っていただく程度です。雨漏りもしたので屋根もふきかえましたが、今度漏り出すと多額の費用がかかるので寺としても大変で、台風十九号も心配でした。これを保存するということは、由緒ある建物ですから保存していかなければと思っております。何しろ大きい建物ですから、現状での維持管理は大層なことになります。寺としては、別の場所に移して保存していただければありがたいことです。境内地で利用できる場所も少ない関係から、ここに信徒会館でも建てられればと思っております。しかし、できない場合は何らかの措置で修復していただき、県の文化財にでもされ、維持管理について一定の御負担をしていただければとも考えております」というようなお話でございました。
 続きまして、本県の資料である「県政百年」から追ってみますと、和歌山県が設置された明治四年当時の県庁舎は和歌山城内の砂の丸に置かれたようで、翌年の明治五年に西汀丁、現在の経済センター西隣の汀丁公園に移転され、県庁舎の焼失、再建などを経て昭和十三年、現在地に県庁舎が移転成り、ここに県会議場が初めて併設され、現在に至っているのでございます。
 県議会の関係について見てまいりますと、明治十二年三月、四月になって初めて県会議員選挙が行われ、四十三名の県会議員が誕生、浜口梧陵翁が初代議長になられましたが、当時、県会議事堂はない状態で、和歌山師範学校の講堂を使用されたようで、これも長い期間使用できないために城内の和歌山集産場を議場に充てられ、十八年間ほど使用され、明治三十年になって和歌山市一番丁、現在の郵便局のところに敷地面積三千三十一坪余、建坪六百十九坪余、総工費三万四千二百円の巨費を投じて木造かわらぶき二階建ての県会議事堂が落成、当時としては余りにも立派な建物であった関係から名所はがきにも登場したと記されております。
 当時、県庁舎から離れた位置に独立した県会議事堂を計画した先人たちの英断に思いをいたすときに、議会の権限の重さを感じないでおられません。この議事堂は、昭和十三年、現庁舎に併設されるまで、明治、大正、昭和の三世代にわたって四十一年余の間、いろいろの時代背景があったとはいえ、我が県政の立法、言論の府として重要な役割を果たしてきたものでありますが、昭和十六年になり、県産業組合連合会館として美園町、現在の農業会館に移転され、昭和二十年七月九日、米軍による和歌山市の大空襲にも生き残り、昭和三十五年十一月、農業会館の新築に際し、前段でも紹介いたしましたように根来寺に再び移築されることになり、寺側では一乗閣と名づけ、講堂、客殿として使用されてきたようであります。
 現在の建物の状況について申し上げます。二度にわたる移築が行われた関係で、その都度手を加えられていましたので、外見はごらんのように、百年近くもたった建物と思えないほど良好な保存状況でございます。しかし、注意深く見てみますと、御影石の礎石が狂ってきたり、柱部分が腐食したり、窓の敷居が狂い、開閉ができなかったり、しっくい壁がはがれ落ちたり、裏の出入り口の屋根部分の破損がひどく、危険な状況にありますが、今時点で修復するならば今後百年は大丈夫だと思います。
 全国における旧議事堂の保存状況について議会調査課で御調査いただいたところ、明治十六年に建築された新潟県の県会議事堂と本県の県会議事堂しか残されていないということでございました。このようなことになりますならば、まさに歴史的にも価値の高い建物であることに間違いございません。新潟県の議事堂は西洋方式を取り入れたモダンな建物ですが、本県の場合は純日本建築でありますから、全国で唯一のものということになります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 旧県会議事堂についていろいろ申し上げてまいりましたが、知事におかれても、県庁職員から知事になられた関係で県政に大変長い期間携わってこられただけに、県政に対する思いも別段のものがあろうかと存じます。そういう私の認識のもとで御質問申し上げてまいりますので、まことに恐縮でございますが、答弁に心してお答え願いたいと存じます。
 前段において岩出町長、教育長、根来寺座主という方々のお話の内容について申し上げましたが、共通している点は、歴史的価値の高い建物であるということと、県において文化財としての措置をとっていただき、保存に努めてほしいということでございました。私としても同感でございます。旧県会議事堂が、今手を加えないでこのまま放置されてしまいますと根来寺境内で朽ち果ててしまいます。これでは、貴重な文化財を後世に継承させていくことができません。継承させていくべき必要な措置をとっていただくことが極めて重要と考えております。知事の御所見をお伺いいたします。
 教育長にお尋ねをいたします。
 「和歌山県議会百年小史」によりますと、旧県会議事堂は明治三十年度以来、県政の殿堂として長い歴史を持ったものと記述されていますし、また県下の社寺仏閣を除いて最大級の木造建築物で、しかも九十三年余の風雪に耐えてきていることなどの条件を考えますときに、当然、文化財的要素の大きい建築物として行政的措置がとられなければならない問題であります。教育委員会としてどのように認識されておられるのか、お答えを願います。
 修復の問題についてお尋ねを申し上げます。
 修復することになると多額の予算が必要となります。したがいまして、どのような措置がとられることによって修復が可能となるのか、手続上の措置も含め、お答え願います。
 前段でも申し上げましたように、根来寺を訪れ、一乗閣の前に立ちましても、これが旧県会議事堂であったということがわからないまま立ち去る人も多いと思われます。案内表示が必要ではないかと存じますので、こうした措置についてもお答えをいただきたいと思います。
 なお、この機会に特に議長に要望させていただきますが、私どもの先人たちが活躍されました議事堂の修復、保存策については県議会としても大いに関係がございますので、議会としても何らかの御検討をいただければと思っております。よろしくお取り計らいをお願い申し上げる次第であります。
 次に、関西国際空港の問題について、今後どのように対応するかという点でお尋ねを申し上げてまいります。
 本県としては、県益拡大の最大の重点策として、関西国際空港の全体構想の実現に向けて大いに力を入れてこられたところでありますが、こうした本県の取り組みに対し私ども県議団は、四十九年に航空審議会から答申のあった泉州沖立地が現大阪国際空港の廃止を前提とした考え方に立ち、あくまでも第一種空港である以上、空整法に基づき国の責任において空港建設を行うべきであるという立場をとってきたところでございます。したがいまして、関西国際空港会社による空港づくりに反対をいたしてきたところでありますが、まずこの点を明らかにしながら知事にお尋ねをいたします。
 御承知のように、注目されていた航空審議会部会の第六次空整の中間答申が八月二十四日に発表されたところで、これらの答申が今後、閣議了解、政府決定を得るべく、今、作業段階に入っているようでありますが、この中間答申が発表された直後、新聞報道によりますと、総じて関西国際空港の全体構想を推進する本県のあり方にとって「厳しい内容」という大見出しで報道されたところでございました。
 そこで、本県にとって厳しい内容となった中間答申の内容について触れることにいたします。
 本県が廃止の方向を望んでいた現大阪国際空港については、大阪圏における国内航空需要の増大、利用者の利便の確保等の点から存続を明確にしたこと、また関西国際空港の全体構想については、滑走路三本の構想に触れることなく、「新たな滑走路一本の建設及びそれに関連する施設整備を第二期計画として、第一期計画の滑走路処理能力の限界に達するまでの間に整備を進めることとする」とされております。「第二期計画は、第一期計画よりも建設費が多額となり、また供用されても大幅な需要増が見込めないこと等の理由により、第一期計画に比べ収支採算が悪化することが予想される。このため、事業費の抑制、地元負担のあり方、開発利益の還元等を含めた事業の健全な経営を図るための措置や第一期計画の経験を踏まえた事業の円滑な実施を図るための措置を、地元協力を得てあらかじめ確立しておく必要がある。二期計画について早急に本格的な調査を行い、上記の措置について関係者において調整され、十分な見通しが立つことを前提としてその事業着手に移行するものとする」という答申の内容でございます。
 簡単に申し上げますと、一期計画でも採算が難しいのに二期計画ともなれば大変なことになる、採算がとれるような負担協力を約束していただかないと、調査はするが二期計画に進むことはできないというようなことだと思われますが、まず知事として、こうした中間答申内容についてどのように認識しておられるのか、お答えを願います。
 なお、知事は中間答申発表直後の記者会見で、「東京一極集中を打破するためにも、関西が一体となって新空港問題に取り組まなければならない」ということを強調されておりますが、中間答申に示されている多額の費用を必要とすることや大幅な需要増を見込めないなどから、収支採算の悪化を予測した上での地元負担のあり方を求めていること自体を認められているのかどうか、以前と変わりなく全体構想の実現に向かって県の方針として今後取り組むことになるのかどうか。
 百歩譲って意見を申し上げてみますと、前知事が本県の関空問題の対応に当たって「警戒的白紙」という立場をとられたときがありましたが、六次空整についての中間答申が出された今日時点において、本県の立場としては「警戒的白紙」という状況に追い込められてきているのではないかとも考えられます。そこで、知事としてこうした状況についてどのように判断されておられるのか。
 なお、全体構想の推進に当たっては、本県の進む方向を決めるには、当然、県議会の関西国際空港対策特別委員会の議論も重要であろうと存じます。しかし、こうした議論もされていないのが実情でありますので、全体構想推進に当たって県議会との関係についても御所見をいただければと思います。
 以上、何点かにわたって御質問申し上げましたが、御答弁よろしくお願いを申し上げます。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 旧県会議事堂の保存についてでございます。
 お話のように、根来の旧議事堂は、和歌山県の県会議事堂として四十年有余にわたり和歌山県政推進の上で重要な役割を果たしてまいった、歴史的に価値のあるものでございます。いろいろな経過をたどって、現在、根来寺の境内に移築されて今日まで保存されているわけでございますが、この建物は全国的に見ても、明治時代の和風建築として数少ないものでございます。
 今後の扱いについては、文化財とするには教育委員会の文化財的価値の検討が先決でございます。そうしたところで検討していただいて、また議会の皆さんとも十分相談させていただいて対処してまいりたいと存じておる次第でございます。
 それから、関西国際空港の中間取りまとめについてでございます。
 けさほど渡辺議員からもお話があり、お答え申し上げたところでございますけれども、関西国際空港は、関西はもちろんのこと、我が国さらには世界の中でも必要な空港である、こうした認識のもとにその建設が進められておるわけでございます。
 中間取りまとめの中で、全体構想については、私は事業着手の方針を示したものだと考えておるわけでございます。我々が要望いたしました三つの滑走路ができなくて、とりあえず二つということでございます。
 関西国際空港は、和歌山県にとっても至近な距離に建設される空港でございます。国内、国際の基幹空港としての機能が十分発揮されることが本県の県益に最もつながるものだと思います。また、そうした形で現在影響もあるわけでございます。
 そういった考え方に立って、昨年、県議会の御協力も得ながら、全体構想について県民挙げての推進組織である促進協議会を設立するとともに、現在、オール関西での早期実現期成会の中核となって運動を進めている状況でございます。
 けさほども申し上げましたけれども、今後とも第二期計画の事業着手を図るための地元負担のあり方などいろいろな問題がございます。こうした問題を関係の大阪府、兵庫県と連携を保ち、また関西の財界、関西の政界等々と十分連絡するとともに、お話ございました県議会の意見は最重点でございますが、そうした皆さんと十分御協議をさせていただきながら、県益を図る立場で対処してまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 旧県会議事堂の保存等についての御質問にお答えをいたします。
 まず、県教育委員会といたしましては、旧県会議事堂は明治時代の和風建築としての歴史的な由緒ある建物であると認識をいたしてございます。
 次に、その修復のあり方でございますが、文化財保護法等により、所有者からの申請に基づき、文化財保護審議会に諮って指定を受けなければならないということに手続上はなってございます。先ほど知事答弁もございましたが、県教委としては、所有者や町教育委員会の意向を聞きながら調査等を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、表示案内板についてでございますが、今後、県民に周知をするために、所有者と町当局で検討していただくとともに、関係の部局とも協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 議長に対し要望がありましたことについて申し上げます。
 旧議事堂の件につきましては、県議会にとって特別な関係がありますので、皆さんと御相談をさせていただきます。御了承願います。
 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 議長からも大変配慮のあるお答えをいただきまして、感謝申し上げます。
 今、旧県会議事堂の保存策について、知事並びに教育長からお答えをいただいたのでありますが、そこでまず答弁を通じて感じた点を申し上げますと、教育長は、この旧県会議事堂の認識ととらまえ方について「歴史的な由緒ある建物だ」と、こういう御答弁であったように思います。ところが、知事がお答えになりました内容は「歴史的に価値のあるものだ」、こういうお答えであります。
 私は、この旧県会議事堂について、何としても今皆さんのお力をかりて保存しないと後世に継承させていくことはできないと思います。知事もお答えになりましたように、全国的にも非常に希少価値の高いものであります。
 私は、根来寺を訪ね、あるいはまた岩出町長さんや教育長さんにもお会いして、その当時のいきさつ等についても調べてここで申し上げたんです。そういうことから、これは何としても保存のために英知を絞ってほしい。冒頭申し上げたように、議長からもわざわざ御発言をいただき、非常に感謝をいたしております。
 そこで、教育長にもう一度重ねて申し上げたい。
 今、知事がお答えになりましたように「歴史的に価値のあるものだ」、あなたは「由緒ある建物だ」、これは受けとめ方が違うんです。なぜ、私は力を入れるか。教育委員会として、所管事項は文化財保護であります。これは、文化財保護として必要のあるものかどうか。今お答えのあったように、それぞれの手続を経ながら、あるいは文化庁の意見も聞くということになろうかと思いますが、その場合、教育委員会の受けとめ方がどうであるかが極めて大事なんです。そういうことで申し上げているわけです。
 知事がお答えになりました「歴史的に価値のあるもの」、あなたがお答えになった「由緒ある建物」、これは受けとめ方が異なります。これから教育委員会の所管に係る問題として、我々県議会の意を体していただいて所定の手続を進めていただくことになろうと思いますので、重ねてその点についてもう一度、意のあるところをお答え願いたいと存じます。
 そこで、この機会に要望として申し上げておきたいと思いますが、きょうは議会の事務局長のところに県農協の方から──今、県農協の方で農協史の編さんをされているようです。
 これは、先ほど申し上げたように、昭和十六年にあの公園前のところから移築されるに当たって、現在の農協の前身である産業組合連合会館として使用される、こういう決定を当時の和歌山県がされたわけです。そのいきさつについて照会していただきましたので、この際、当時の和歌山県の意思は何であったのか、こういう点を参考のために申し上げておきます。
 昭和十六年、現在の県庁舎が新築されたので──この議場であります──旧県会議事堂を文化遺産として保存するため県産業組合連合会に払い下げられ、その記念すべき建物を保存することになった。それは、当時の県知事も含めた意見であったと思います。何が大事か。つまり、県会議事堂を文化遺産として後世に残すということ。当時は、県の指定にすればいいじゃないか、こういう議論もあったろうが、何しろ戦時中でありますので、大事な建物を県下の農業振興のためにも使ってもらおう、そしてそこを通じて後世にこれを保存してもらおう、こういう当時の英断であったと私は思うんです。少なくとも、こういうようにして一つ一つの歴史の一こま、行政の判断があったわけであります。
 だから、そういう点からいたしましても、先ほど教育長にも申し上げたように──これは、教育長は知らないでしょう。あなたたちは調べなきゃならないんです。そういたしますならば、繰り返しくどいようなことを申し上げますが、「由緒ある建物」で抽象化することにはならないと思う。あなたたちは、行政者として的確な行政対応をされる以上は、言葉、表現についても的確にしてもらわないと困るということなんです。だから、念のためにこれは申し上げておきたいと思います。
 旧県会議事堂について重ねて申し上げておきたいと思いますのは、先ほども申し上げたように、二度にわたる移築があったからこそ、百年近くたった建物とは思えないほど保存状況が良好であります。これは、現在の県農協連、根来寺、また移築に当たっていろいろ努力された先人たちのお力添えがあったからこそ、今日、県議会議事堂がこの状況に保存されたと、私はそう思います。この場をおかりして、それらの方々にありがたくお礼を申し上げておきたいと思います。
 したがいまして、今答弁いただきましたように、また議長からも御発言がございましたが、この保存策についてよろしくお願いをし、後世に残していただきたい、重ねて要望いたします。
 最後に、関西国際空港の問題について若干要望を申し上げておきます。
 今、知事からもお答えいただきましたように、地元負担のあり方の問題であります。
 第一期計画においては御承知のとおりのような負担結果を伴って今日に至ってございますが、第二期計画になりますならば──一期計画が約一兆円、二期計画はまだ需用費の内容は運輸省の方で発表されておりませんが、一期計画から考えてみますと恐らく一兆二、三千億はかかるのではないかと、私なりに判断いたしております。そして、採算の問題について運輸省も非常に神経をとがらせておりますが、第一期計画でも採算問題は見通せないというのが現状であります。そういたしますと、二期計画の負担のあり方は、全体総事業費の三○%ぐらいのものが出てくるのではないかと予想されます。そうすると、約四千億円近い負担が関西財界あるいはまた関西における地方公共団体に来るということで、恐らく大問題になるであろうと予測されます。こういう問題が明らかになりますと、県民の側から見ますと、何で国が国際空港をつくるのに財政の厳しい本県がそんな多額の負担をしなきゃならないんだ、必ず県民からそういう意見が出るでしょう。
 そういうことが予想されますので、この負担については非常に大きい問題として知事にお答えをいただきましたところ、これは我が県だけが先走ってどうこうする問題ではない関係で、関係団体との協議、あるいはまた県議会の意見を特に重視するという知事の答弁でありました。これは今後、議会の中でどのように論議していくかになると思いますが、とりわけ基本的には、最初の出発であった「国が責任を持つ」という視点が極めて大事であります。そういうことを強調して、今後どういうような対応になっていくか、知事としても、そういう点に心していただき、ひとつ慎重な対応をいただきたい、こういうことを最後に要望いたしまして、以上で私の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 先ほどお答えをいたしました「歴史的な由緒ある建物」と申しましたのは、当然その中には価値を認めた上でのそういう表現でありますので、御理解をいただきたいと思います。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、中村博君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 それでは、通告いたしました順番に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、有害コミック漫画についてでございます。このことについては、昨日、那須秀雄議員も質問をしておりますが、私は私なりの立場で一生懸命質問をいたしますので、意のあるところをお含みいただき、真剣な答弁を賜りたいと思います。
 「銀も金も玉も何せむに 勝れる宝 子に及めやも」という万葉歌人の山上憶良の歌があります。子供というものは何物にもかえがたいもので、子供にまさる宝はないという意味であります。これは、子供を持つ親だけではなしに、その国、その地域社会、地球全体にとっても子供ほど大切な宝はないということであります。
 特に日本にとって、わけても急速なスピードで高齢化社会へと進んでいる我が和歌山県にとって、和歌山県の将来を支える子供ほど大切な宝はない、このことは仮谷知事初め県民一致した考えであります。この宝が大事に磨かれ、本当に宝物になるように育成されているかについて考えてみたいと思い、質問をいたす次第でございます。
 青少年を健全に育成させるために和歌山県青少年健全育成条例があります。その前文に、「次代を担う青少年が、社会の成員として尊ばれながら、希望に満ち、心身ともに健やかに成長することは、県民すべての願いである。 この願いは、青少年自らが生きがいの目標を確立し、個の充実と連帯性を伸ばすよう努めるとともに、県民一人ひとりが、青少年を健全に育成しようとする深い認識と強い意欲をもち、まごころのこもった社会づくりに努めることにより実現されるものである。 われら県民は、この重大な責務の達成に努力することを決意し、ここに全県民の願いをこめて、この条例を制定する」とある。
 この条例は昭和五十三年十月十九日に制定され、自来、十二年の歳月が流れており、この変化の激しい、刺激の強い社会情勢の中では、この条例だけでは前文に掲げている崇高かつ必須の目的が達成できなくなっている現状であります。このことは多方面で種々な現象としてあらわれておりますが、今回は特に有害コミック漫画を中心にして質問をさせていただきたいと思います。
 少年少女向けの漫画がだんだんとエロチックになってきたとは聞いてはいたが、実際は読んでいなかった。仮谷知事、読んだことがありますか──いや、きのう読んでいましたね。きのう、その辺もう全部読んでおった。こっちは余り読んでなかった。教育長、読んだ。
 聞くと見るとは大違いと言いますが、その刺激の強さ、えげつなさに実際びっくりした。内容も題名も児童生徒を中心としたものであって、一例を挙げますと「いけない!ルナ先生」「みんなあげちゃう」、こういうふうな題名で、先生と生徒の肉体関係を露骨に描写したものであり、その他、学園ものが多く、セーラー服を着たかわいい児童生徒が主人公になったり、先生が主人公になったり、先生と子供の人権を大きく侵害して子供に与える悪影響は大変なものであります。
 また出版社も、一流出版社と認められている講談社、小学館、集英社などの大手出版社であり、父兄は一流の出版社の出版物であるので教育的にも有益なものであると安心し切っているため、このことも大きな問題であり、その影響するところは非常に大であります。
 また、書店でのコミック漫画の置く場所及び販売方法にも大きな問題があり、普通の漫画と同じ場所に置いていて非常に買いやすくなっている。また、本そのものがビニールに包まれておって、ある種の本については題名、表紙からは内容がわからず、父兄が子供の教育のためと思って買って帰って子供に与えたら、子供が見てびっくりして親に渡して、親が書店へ返品と抗議に来たという現実もあるのであるから、このことについても書店等へ善処するように指導すべきであると思います。
 そこで、仮谷知事に質問いたします。
 九月三十日の自由民主党県連主催の政経文化パーティーで、津島厚生大臣が、子供が非常に少ない、多く産んでほしい、多く産むように努めてほしい、こういうふうに言うておりましたが、出産率が全国平均で一・五七と非常に低く、将来の社会構造にも大きな問題を投げかけ、数少ない宝物である児童生徒が有害コミック漫画等で健全な育成が阻害されている現状は、日本にとっても、我が和歌山県にとっても大変なことであり、「健康・福祉和歌山」「教育・文化和歌山」を県政の三本柱の中心としている仮谷知事の認識を、まずお尋ねしたいと思います。
 次に、心身ともに健全な児童生徒の育成を目標にして教育行政を推進している立場から、この問題について高垣教育長に、その認識、考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。
 本日、お忙しいところ、田辺地方から大勢の皆さんが傍聴においでになっておりますが、新聞、テレビ等のマスコミを通じて御存じのように有害コミック漫画等を排除し、自分の子供、地域の子供を本当の宝物として磨きをかけ、健全育成をして明るい、心豊かな家庭、地域社会を築こうとして行っている有害図書等排除住民運動に対する県の対応を高瀬民生部長にお尋ねいたします。
 次に、昭和二十六年五月五日に宣言されている児童憲章に、「われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。 児童は、人として尊ばれる。 児童は、社会の一員として重んぜられる。 児童は、よい環境のなかで育てられる」と規定している。
 しかし仮谷知事、有害コミック漫画等がはんらんする社会が児童憲章とどのような関係になるのか、調和がとれているのか、またとれていないとすればその改善等についてお尋ねをいたしたいと思います。
 そして昭和三十二年十月二十七日に、日本書籍出版協会、日本雑誌協会が制定している出版倫理綱領には、「我々出版人は、文化の向上と社会の進展に寄与すべき出版事業の重要な役割にかんがみ、社会公共に与える影響の大きな責務を認識し、ここに我々の指標を掲げて出版道義の向上を図り、その実践に努めようとするものである。 一 出版物は、知性と情操に基づいて民衆の生活を正しく形成し豊富ならしめるとともに、清新な創意を発揮せしめるに役立つものでなければならない。我々は、出版物の品性を保つことに努め、低俗な興味に迎合して文化水準の向上を妨げるような出版は行わない」、このように書いている。
 また昭和三十八年十月十六日、社団法人日本雑誌協会の雑誌編集倫理綱領には、「文化の向上と社会の進展に寄与すべき雑誌の使命は重大であり、国家社会に及ぼす影響も大である。この社会的責任により、雑誌は高い倫理水準を保たなければならない。 その中で、社会・風俗について社会的秩序、道徳を尊重し、健全な社会、家庭の建設に寄与すべきである。  1あらゆる暴力を否定する 2児童憲章を尊重し、常に青少年の精神形成に役立つ配慮がなされなければならない」と規定しているのであります。
 この出版倫理綱領と雑誌編集倫理綱領と有害コミック漫画等とは全く相矛盾しており、知事、あなたの宝物である児童生徒の精神、身体の健全な育成が非常に阻害されて和歌山県の将来に大きな暗雲がたれかけようとしている、このことに対する考え方とその対策をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、今後ますますエロチックな、暴力を内容とする有害コミック漫画がはんらんして出版されることが予想される現在、これを排除し、健全な青少年を育成して和歌山県の将来を希望に満ち、明るく、心豊かな社会にするためには現在の県青少年健全育成条例では不備であり、その改善を図るべきだと思います。また、この問題は単に和歌山県一県の問題ではなしに全国的な大きな問題であるので、日本の将来の発展のためにも適切な法律を制定するよう国に働きかけるべきだと存じますが、仮谷知事の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 続いて、児童生徒の健康についてであります。
 「人生のすべてではないけれども、人生のすべての基礎は健康である」と言われております。人生八十年時代を迎えて、国民が充実した人生を過ごし、社会を活力あるものにするには、幼児期からの生涯を通ずる健康づくりを進めていくことが必要であります。
 私ごとでまことに申しわけありませんが、現在の体重は五十三・五キログラムで、私にとって最良の体重であります。昨年の九月定例会でも質問をいたしましたが、そのときの体重は約四十三キログラムであったので、一年間で約十キログラム増加したのであります。昨年の六月には六十・五キログラムになったので、九月までの四カ月間で普通の生活をしながら三十九日間の断食をし、十八キログラム体重の減少をさせた。
 断食は、八尾市で開業している甲田光雄先生──阪大医学部卒のお医者さんでありますが──の御指導で十五年間で七回行った。今から十五年前の三十八歳のときの体重が七十六・五キログラムあり、小型小錦のようで非常にかっぷくがよかった。そのときは、身体の検査をしても何の異常もなかったが、少し疲れやすかったので、ある方の紹介で甲田光雄先生の診断を受けた。私を見るなり、「あなたは四十五歳までですよ」と言われた。その意味がわからず問い返しますと、「今のままの生活状態、食生活では四十五歳までに死ぬか倒れるかのどちらかである」、このように言われた。初対面でもあり、初めての診察でそのように言われたので非常に戸惑ったが、甲田先生を信じて、その後、先生の御指導をいただいて、元気に生活を送らせていただき、県政壇上より質問させていただく幸せを味わっている今日であります。もし、もっと若いときより食生活に気をつけておれば、もっともっと元気で野球もできたかもわからないし、もし気がついていなければ家庭に大変迷惑をかけただろうと思います。
 そこで九月十三日、総務庁が成人病対策に関する実態調査を発表した。それによると、小中学生の肥満児の約六割が高コレステロールなど体の異常を抱えていることがわかった。総務庁は、高コレステロールはがんや心疾患──心臓病ですね──などの成人病にかかる原因になりやすいと指摘し、子供のうちから成人病の予防対策を講じるべきだとして、文部省と厚生省に対し子供の成人病対策を充実させるように改善通知を出したのであります。少産少死の子供の少ない高齢化社会になればなるほど、子供が心身ともに健やかに成長しなければ社会の発展も将来の展望もない真っ暗やみの世の中になるだけに、どうしても子供の健やかな健全な成長のための努力を社会全体でしなければならず、その先頭に行政機関が立ってその旗を振るべきだと思う。
 総務庁の調査結果では、石川県の小中学生三百八十九人を健康診断したところ、三九・八%に当たる百五十五人が正常値より高いコレステロール値だった。また、高血圧と診断された子供が五十一人いるなど、全体の六三%に当たる二百四十五人が成人病の原因となる何らかの異常値を示した。また、千葉県八日市場市の五歳児全員八百六十七人を調べた結果、高コレステロールの幼児が二十六人で全体の三%いるなど、成人病の原因となる異常値を示した者が全体の一五・三%に相当する百三十三人もいた。五歳児で既にこのようになっておる。
 そこで、我が和歌山県の幼児及び児童生徒の健康についてどのように把握しているか、またそれに対する見解を高垣教育長にお尋ねいたします。
 次に、総務庁が発表した幼児及び小中学生の成人病対策の実態調査の結果について遠藤保健環境部長はどのように考えるか、また和歌山県の現状についてどのようになっているかをお尋ねいたしたいと思います。
 平成元年度の定期健康診断結果報告書によると──これは和歌山県のでございますが、内科的な疾病異常について、成人病の原因となる肥満傾向とすべての病気の原因となると言われている脊柱側わん症、いわゆる背骨が曲がる病気ですね、脊柱側わん症が幼児及び小中学校で全国平均よりわずかに高くなっていると報告されているが、その原因とそれに対する対策について教育長にお尋ねをいたします。
 先ほども申しましたが、「銀も金も玉も何せむに 勝れる宝 子に及めやも」と山上憶良が万葉集で歌っていますが、それほどの宝物である幼児、児童生徒を成人病から守り、健全な育成を促進し、すばらしい和歌山、活力ある和歌山、健康・福祉和歌山を実現するために今後どのような施策をとるべきかについて、仮谷知事の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 三つ目の問題は、田辺湾の浄化対策についてであります。
 我が国のナショナルトラスト運動の先駆けとなった天神崎海岸で、九月三日、汚染に非常に強いムラサキイガイが大量死し、磯辺一体に貝殻が漂着しているのが見つかった。これほどの異常繁殖を実証する貝殻の漂着はその例が少なく、地元の研究家は、大規模な繁殖は海の富栄養が原因と、そのメカニズム解明に取り組んでいるのであります。
 現地調査をした日本貝類学会員の佐々木賢太郎先生は、「ことしの初め、同じ田辺湾内の国の天然記念物に指定されている神島でムラサキイガイの大量死を確認したが、今回の規模ははるかに大きい。これだけのムラサキイガイが天神崎の磯に繁殖していたと思うと、まさに驚異的だ。海の富栄養化で猛繁殖したものだと思うが、それ自体、海の汚染と密接な関係を持っており原因を調べたい」と話をしている。
 最近、天神崎周辺の磯では、汚染に弱いケガキやアオウミウシ、ミヤコウミウシなどがほとんど姿を消していると言われており、京都大学瀬戸臨海実験所の時岡隆名誉教授は、「大量死は海の汚染によるものだ。猛暑続きで富栄養化の海の表面が腐った状態になって窒息死したか、漁網に使用されている有機スズが分解して海中に拡散して中毒死したかいずれかではないか」と汚染の進行を強調しているのであります。また、田辺湾内の白浜町藤島で海水の富栄養化で異常繁殖したアサリガイが、余りの過密化で家庭排水やハマチ養殖などでヘドロ化した海岸で成長しないまま死んでいることが佐々木賢太郎先生の調査でわかった。
 このようなほとんど瀕死の状態になっている田辺湾の現状をどのように認識し、今後の田辺湾浄化の決意を仮谷知事にお尋ねいたしたいと思います。
 二年前の昭和六十三年九月定例会で田辺湾浄化対策の推進についてお尋ねをしており、それに対する川端企画部長、安田農林水産部長の力強い浄化推進の決意の披瀝を受けたが、その対策の進捗状況をお尋ねいたすとともに、両部長にも、ますます悪化の一途をたどる田辺湾の汚染の状況についての感想を求めたいと思います。
 九月定例会で、形式的な部会というものでなく、田辺湾の現状をよく知っている地元の行政機関、学識経験者、町内会代表、業界の代表で構成する田辺湾浄化対策委員会の設置を要望しましたが、県は県リゾート構想検討委員会の中で浄化部会とかなんとかを設けてお茶を濁しており、何ら対策を立てて実行していないことが田辺湾を汚染の一途をたどる運命にしているのであり、今こそ田辺湾を救える最高の機会だと存じますので、今述べた人々を委員とし、県庁の職員も入った田辺湾浄化対策委員会の設置を再び要求いたしたいと思います。
 四点目は、浄化槽の管理についてであります。
 物を中心とした社会から、心、ゆとりを中心とした社会に移行した現在、生活環境整備の重要性が地球規模で地域社会規模で叫ばれている。公共下水道の整備がされていない状態のもとで、今回は身近な生活の中での浄化槽の問題を取り上げてみたいと思います。
 浄化槽の普及率は三二%で八万八千二百五十六基あり、そのうち、し尿と生活雑排水を処理する合併浄化槽が千九十四基あり、約十九万基が未設置となっているのであります。公共下水道が完全に整備されるまでにはかなりの年月を要するので、浄化槽の設置、特に生活雑排水をあわせて処理する合併浄化槽の普及が生活環境を良好にするためには必要であると思うが、これに対する保健環境部長の見解と今後の見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、浄化槽の設置がなされても、完全に保守点検、清掃をしなければ効果が上がらない。保守点検、清掃の法律根拠がどこにあるのか、またその法律が順調に運用されて効果を発揮しているかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
 九月二十四日から十月一日までが環境衛生週間であった。本年度は白浜温泉で全国環境衛生大会が行われ、環境衛生思想の高揚が図られた。この環境衛生週間中、県浄化そう協会田辺支部では、浄化槽の保守点検、清掃の徹底、維持管理されていないところへそれらの啓発指導を行った。
 平成二年三月末現在で田辺市には一万二百一基の浄化槽があり、そのうち約三○%の浄化槽が保守点検、清掃がされていないと予想されております。浄化槽は、微生物の働きを利用して水を処理する装置でありますから、微生物が活動しやすい環境を保つよう維持管理することが大切であります。田辺市では約三○%の浄化槽が保守点検、清掃がされていないことが予想されているが、県下の八万八千二百五十六基のうちどれだけ保守点検されているかをお尋ねいたしたいと思います。
 最近、田辺保健所管内で発生した事件でありますが、ある大手企業の合併浄化槽が法的義務である清掃管理を怠っていたことから、その汚泥が用排水路に流れ込んで生活環境を悪化させたことがありました。県下の浄化槽で、法律で義務づけられている保守点検、清掃が行われていないことから生ずる生活環境破壊がどの程度あるか、それの改善方法について保健環境部長にお尋ねいたします。
 最後に、今後ますます生活環境を向上発展させ、快適な生活を送るためには浄化槽管理方法は現在のままでよいかどうか、本当に生活環境をよくするためには現在の浄化槽法を改正して罰則規定を持ったものに改正すべきであり、そのことを国に働きかけるべきだと思うが、遠藤保健環境部長の見解をお尋ねいたしいたいと思います。
 以上をもって、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
 有害コミック漫画の子供に与える影響でございます。
 昨日、那須議員からもこの件について質問がございました。お話のように、私も、子供は国の宝であり、県の宝であり、家庭の宝であると認識しているわけでございます。このような雑誌については、青少年に悪影響をもたらすのは当然でございますし、性的な犯罪を誘発させる原因でもございまして、青少年健全育成上好ましくないと憂慮しているところでございます。
 次に、児童憲章、出版倫理綱領等と有害コミック漫画との関係についてでございます。
 児童憲章の理念にもとる悪い環境は改善しなければならないと考えておりまして、行政の立場としても積極的な対応はもちろん行っておるところでございますが、雑誌編集者や出版事業者がみずから定めた綱領の指標を守っていただかなければならないと思っております。
 そのために県としても、コミック漫画の社会問題化について住民運動の報道記事の投書、相談状況等の資料を添付して、国に対して業界の指導を要望してまいったところでございます。その結果、国において業界の指導をするとの確約を得ているところであり、業界の自粛を期待しているところでございます。
 次に、このコミック漫画についての条例並びに法律の問題でございます。
 条例だけでは難しいのではないかと。御意見のとおりでございますけれども、県としては、青少年への販売禁止の徹底など現行条例の適切な運用を図りながら、家庭初め県民の理解と協力を得て実施してまいりたい。しかし、それでは十分ではないと。法律の制定については、昭和五十九年の国会審議の経過の中で、各政党や出版関係者等によるさまざまな動きもあり、国会決議の検討もされたけれども、各党間の足並みがそろわずに法制定に至らなかったということを聞いておる次第でございます。県としても、今後強く働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、児童生徒の健康の問題でございます。
 健康づくりは、県の行政の中でも最重点として努力しているわけでございます。御指摘の幼児、児童生徒の成人病予防対策についてでございますけれども、現在、国の方で小児成人病の実態の解明と成人病予防のための生活改善指針策定のための調査研究が進められていると聞いております。
 県としても、幼児、児童生徒の成人病予防対策の必要性を重視いたしまして、幼児期からの健康的な生活習慣の確立のために、教育関係者、衛生関係者、医療関係者等と連携を深めて、各種の事業を通じて健康教育の推進を図ってまいりたいと思っております。
 次に、田辺湾の浄化でございます。
 お話のございました天神崎、また陸生生物の生存している神島等、多くのすぐれた環境がありますし、特に白浜は観光地であり、また田辺もリゾート計画を進めております。そうした環境から、田辺湾をきれいにするということが重要なことでございます。
 最近、例示された貝の被害、赤潮の発生等、ここ数年来、汚染の傾向が見られております。昨年は幾らかよくなったようでございますけれども、そうした状況でございます。住みやすい町づくり、環境整備は重要なことでございます。
 特に、田辺湾を汚染しているものは何か、生活雑排水、養殖、材木の問題等々あるわけでございますけれども、そうした点について市並びに関係機関の協力を得ながら努力してまいりたいと思っております。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 有害コミック漫画に対する対応についてお答えをいたします。
 県といたしましては、二十一世紀を担う青少年の健全育成のために、関係機関等を初め広く県民の御理解、御協力をいただきながら諸施策を推進しているところでございます。
 今後も、県青少年健全育成条例を適正に運用いたしまして、有害指定と十八歳未満の青少年への販売禁止、販売方法の改善、書店等に対する自主規制の要請、青少年補導センター等との連携による書店への立ち入り指導に努めるとともに、関係機関、団体と連携しながら、家庭を初め広く県民への啓発を積極的に行い、既に熱心にお取り組みをいただいている各地の皆様を初め多くの県民の方々と一体となって、昨日も那須議員にお答えいたしましたが、子供たちの周囲からこうした有害図書の排除をする運動を近く実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) まず、児童生徒の健康についてでございます。
 さきに総務庁行政監察局から発表された成人病対策に関する実態調査結果によりますと、小児期からの成人病対策の重要性とその遂行のための関係各部局の連携の重要性が指摘されているところでございます。食生活を初めとする生活環境、生活様式が成人病の発現に大きな影響を与えるという学説があり、これについては今後大きく研究が進むことが期待されます。
 本県における幼児の健康状態については、三歳児健診を実施いたしましたところ、昭和六十三年度において肥満傾向を有する者は二百二十八人で全体の三・四%となってございます。
 本県の将来を担う子供の健康の重要性にかんがみまして、保健環境部としては、幼児、児童生徒の成人病予防対策として、小児成人病予防教室の開催、食生活改善のためのグリーン&ホワイト運動の実施、小学生を対象とした健康読本の配布等、関係部局と十分連携を図りながら推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、浄化槽管理についてでございます。
 合併浄化槽については、公共下水道未普及地域における水質浄化の効果的手段と考え、その普及促進のため住民への啓発指導に努めているところでございます。このため県では、平成元年度から国の補助制度に基づき、合併浄化槽設置に対する市町村への補助制度を導入し、今後この制度を用いてさらにその普及促進に努めてまいりたいと考えております。
 浄化槽の保守点検の法的根拠については、浄化槽法第十条により、一般家庭の場合、清掃については年一回、保守点検については年三回以上となっております。
 定期的な保守点検の県下の実施率については、現行の法制度では保守点検及び清掃について関係者から行政機関への報告義務はなく、県下の正確な実施率の把握は困難でございます。このことについては、関係業界の協力を要請してまいりたいと考えております。
 生活環境とのかかわりについては、し尿を含め、家庭から排出される汚濁物質の量は一人一日当たりBODで四十グラムになりますが、この内訳は、し尿が十三グラム、台所、ふろ、洗濯等によるものが二十七グラムでございます。浄化槽は、し尿の十三グラムを五グラムまで浄化し、生活環境に対する影響としては生活排水全体の六分の一を占めてございます。
 保守点検、清掃が適正に実施されない場合、浄化槽の持つ本来の機能が十分発揮できず環境悪化につながるため、浄化槽使用者、関係業界及び行政機関の連携を深め、浄化槽の維持管理の徹底を一層図るよう指導してまいります。
 また、保守点検等に対する罰則規定の導入は難しい面があると考えますが、効果的な維持管理の手法について国に要望してまいります。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、その後の田辺湾浄化対策の推進等についてお答えを申し上げます。
 田辺湾の水質については、本年度の「環境白書」によりますと、昨年のCODの基準値については適合しているものの、ここ数年来は汚染傾向にあると認識いたしてございます。
 快適な生活環境を持つ地域づくりのためにも、またリゾート整備のためにも、きれいな海は重要な要素と考えているところでございます。したがいまして、田辺湾浄化対策については、さきの議員の御提言を踏まえ、和歌山県リゾートゾーン構想推進委員会に環境対策部会を設置して関係各課で資料収集に努めてまいりましたが、さらに本年度、保健環境部において、地域環境管理基礎調査事業の中で田辺湾海域をモデル地域として設定して、水質汚濁の要因と水質保全の方途について将来水質シミュレーションを行うなど、専門的に調査することといたしてございます。また、田辺湾流域別下水道整備計画の策定、農業集落排水施設や合併処理浄化槽の設置状況等を踏まえて、環境対策部会及び和歌山県リゾートゾーン構想推進委員会において検討を深めてまいりたいと考えてございます。
 次に、地元関係者等も含めた田辺湾浄化対策委員会の設置についてでございます。
 議員御提言の田辺湾浄化対策委員会についてでございますが、先ほども申し上げましたとおり、現在、田辺湾の浄化については環境対策部会において検討を深めているところでございますけれども、本部会の審議の中で、当面必要に応じて地元の市や町の御意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 田辺湾の浄化対策のその後でございます。
 かねてより、養殖業者に対して、みずから海を汚さないように、えさの量が少なくて済む餌料のペレット化及び魚種の転換を指導してまいった結果、先ほどお話ありましたように、ちょうど二年前に議会で御質問された時期と今日を比較してみますと、ペレット化の量は当時は一一%、現在は八○%に上がってまいりました。この面で、かなりの改善が図られてございます。さらに、徹底を図ってまいる所存でございます。
 また魚については、ハマチ、ブリからタイ、ヒラメ、フグということで、えさの少なくて済む高級魚に相当大幅に変わってまいっております。
 次に、木皮・バークの関係でございますが、田辺湾における外材輸入量はここ数年、若干減少傾向にございます。また原木は、輸出国の事情により木皮の薄い比較的小径級のものが増加いたしてございます。湾内の木皮回収については、六十三年以降においても、海中回収を中心とした漁場クリーンアップ事業の実施を初め、業界の自助努力によりその回収率を高めるとともに、木材取り扱い時に海中にネットを敷設するなどの作業規制の強化や新たな船上回収の奨励等によって、木皮の飛散、海洋落下を防ぐなどして環境保全に努めているところでございます。
 製材工場の立地の現状、港湾施設の状況などから、この問題の抜本的な解消は大変難しいところでございますが、今後とも業界組合に対してなお一層の環境保全対策を指導するとともに、関係部局並びに市町村とも連携をとりつつ、効果的な方策を検討してまいる所存でございます。
 なお、田辺湾に対する部長としての感想、考え方を述べよということでございますけれども、現状については認識をいたしてございます。
 先ほど知事からも御答弁がございましたけれども、市街地の背後の宅地化も進んでございまして、会津川を中心に八つの中小河川が流れているわけでございますが、生活排水などが議員御指摘の富栄養化を促進していることも事実だと思います。特に今日、ウォーターフロントということが大変重要視されている中でございますので、田辺湾内の水質の浄化を含めた環境保全と産業の振興は非常に大切なことではないかと考えております。そういった面からの取り組みが今後必要ではないかというのが感想でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、有害コミック漫画についてお答えを申し上げたいと思います。
 各学校においては、豊かな人間形成を目指して、生命の尊重、人間の尊重、そしてまた男女平等の精神に基づく正しい異性観と望ましい行動力を育てる指導を行っているところでございます。
 昨今、書店等で販売されている有害図書は、性のモラルを踏みにじり、児童生徒の健全な育成を阻害するものであります。とりわけ、生徒や教員を主人公にしたものは、生徒、教員の人間性を冒涜するものであると受けとめてございます。
 このため各学校に対し、保護者の協力を得て、こうした有害図書を見ない、買わない、借りないように指導すること、また情報選択能力の育成や健全な書物を読む能力の充実に努めるよう改めて通知したところであります。
 今後、学校長に対して、まず性に関する教育の充実を図ること、学級活動やホームルーム活動などで正しい読書のあり方等を取り上げ検討させること、保護者への理解を図り、環境浄化活動の展開を進めることなどを指導してまいる所存でございます。
 また、関係部局との連携を一層密にして、書店等に対し有害図書販売の自粛などの要請を行ってまいる考えでございます。
 次に、児童生徒の健康についてお答えを申し上げます。
 児童生徒の健康の現状については、学校保健法に基づいて行う定期健康診断結果により把握しているところでございます。平成元年度の本県児童生徒の健康診断結果によると、全国平均と比較すると、視力、う歯、内科系の疾病は全体として全国平均とほぼ同じか、やや少ない状況でございます。また、脊柱側わんの項目や成人病に係る肥満傾向の者の項目については、高等学校ではわずかではあるものの低くなってございますし、小中学校ではわずかに高くなってございますけれども、これらはいずれも全国的な課題でございます。
 各学校では、学校医の指導のもとに、異常のあった児童生徒には、検査あるいは治療について学校から指導して早期治療に努めているところでございます。また、これらの疾病異常については、好ましくない生活習慣の結果によるものと推察されますので、規則正しい生活習慣の形成、学校給食を通じてのよりよい食習慣の指導、日常生活における適切な運動量の確保など、学校、家庭、地域等の連携を図り、総合的に取り組むことが肝要であると考えてございます。
 そのため、教員、保護者、学校医等で組織している学校保健委員会の活動を通じて成果を上げている学校もございますので、その設置の促進、活動内容の充実についてさらに努力をしてまいる考えでございます。
 今後、関係機関、団体との連携のもとに、生涯を通じて健康な生活を送れるような基盤を培うという観点から、健康教育の一層の充実に努めてまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番木下義夫君。
○木下義夫君 再質問する前に、教育長に対する言葉の中で不適切な言葉がありましたので、議長に善処方をお願いしたいと思います。
 今、いろいろと答弁をいただいたわけでございますが、この質問は人と生活環境の問題、こういうふうな二つの問題でございます。
 質問いたしましたように、本当に子供は宝であるということを考えていただいて、もっと厳しい考え方でこの問題に取り組んでいただきたい。
 青少年保護条例についても、この前文の趣旨を生かすためには、今の条例ではこの刺激の激しい、変化の激しい社会には対応し切れないのではなかろうかとも思います。また、全国的な問題でございますから、国の法律の制定をより一層力強く働きかけていただかなければ、有害コミック漫画が次々と出版されるのは火を見るよりも明らかでありますので、仮谷知事においてもいま一段の努力をお願いしたいと思います。
 それから、児童の健康の問題でございます。
 成人病というのは、字のとおり成人の病気でありまして、児童病ではないわけです。その成人病が児童、幼児まで来た、これは大変なことである、異常なことであるという認識を保健環境部長には持っていただいて、もっと真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 それから、田辺湾の浄化の問題でございます。
 ある一部では「田辺湾はもう死んだ」と、こういうふうに言われております。燦リゾート構想、総合リゾート法の適用の申請をしている和歌山県、これからリゾートを中心とした観光立県を目指す和歌山県にとっては、この田辺湾の再生、活性化はなくてはならない問題でございますから、もっと地元の意見を聞いてやっていただきたい、こういうふうに思います。新聞で大きく報道されても、県庁の職員でだれ一人現地へ行ってみたというふうな形跡もございませんので、いま一段の努力をお願いしたいと思います。
 それから、浄化槽の問題でございます。
 浄化槽の設置は八万八千二百五十六基がある。この中でどれだけが正常な機能を果たしているかについてもつかんでいない現状で生活環境の浄化を願うのは非常に難しいと思いますから、それも正確につかめるように一生懸命やっていただいて生活環境の浄化を図っていただきたい、このように思います。
 以上、要望して私の質問を終わらせていただきます。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
 ただいま木下義夫君から発言訂正の申し出がございましたが、速記録を精査の上、議長において善処いたします。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(岸本光造君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十九分散会

このページの先頭へ