平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(大江康弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時十分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、申し上げます。
 議員平木繁実君には、九月二十九日、逝去されました。まことに哀悼、痛惜のきわみであります。ここに、故平木繁実君の御冥福をお祈りして黙祷をささげたいと思います。
 黙祷。
 〔一同起立・黙祷〕
○議長(岸本光造君) 黙祷を終わります。
 なお、同君の功績に対し、和歌山県議会より別途弔詞を贈らせていただきますので、御了承を願います。
 この際、知事から発言がございます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) お許しをいただいて、去る九月二十九日、御家族の方々の手厚い看護もむなしく逝去されました平木繁実議員のみたまに、謹んで哀悼の意を表します。
 平木議員には、昭和三十年以来五期二十年間、橋本市議会議員として、また昭和五十四年以来三期十一年有余の間、県勢の発展に御尽力せられ、終始、議会人として本県地方自治の進展に活躍されてまいりました。
 ここに、生前の御遺徳をしのび、謹んで御冥福をお祈りいたします。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第九十三号から議案第百六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 12番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 お許しをいただきまして、この九月定例議会の本会議一般質問の初日、一番目をやらせていただくことになります。
 その前に、ただいま議長、そして仮谷知事からお言葉がございましたが、平木先生を思い起こしますならば、ちょうど十二年前の昭和五十四年、ともども和歌山県議会に当選をさせていただいた同期であります。同期と言いましても大変大先輩で、あのお人柄、御人徳にはかねがね敬服、尊敬をしておったところでありまして、今回の訃報を聞き、まことに残念やる方ない思いであります。心から哀悼の誠をささげさせていただきたいと思います。
 知事さん、きょうは、日置川町の町長さん初め議長さん、また日置川町の住民の皆さんがたくさん傍聴に来られております。きょうの一般質問の予定を見られると、私と浜本先生とが日置川町の関電関係について言及することになっておるんですが、何もこれは、浜本先生と私が原発反対だから関電をやるというようなことではないのであります。
 今回の台風十九号の被災につきましては、先輩の町田先生、堀本先生、浜本先生、そして私と、四名の者は、台風通過後、大変な思いで、それぞれ郡内や特に被災のひどかった日置川町をお互いの立場で現地調査させていただいたのであります。いわば、このきょうの私の質問は、自民、社会の西牟婁共同軍団の突破口として、まず最初にやらしていただくということでとらえていただきたいと思います。
 私の質問の内容につきましては、恐らく町田先生、堀本先生も同様のお気持ちであられると思います。きょうは、こうしてたくさんの地元の皆さん、町長さん初め町議会の皆さんが来られておりますが、今まで見て聞いた住民の皆さんの声を私がここでどれだけ反映できるか、私自身、非常に疑問はありますが、この場は住民の皆さんの声なき声を反映する場でありますので、議会人としての使命、責任を与えられた時間の中で精いっぱい全うさせていただきたいと思います。
 「野分のまたの日こそ いみじうあはれにをかしけれ」、これは「枕草子」の中の一文であります。「野分のあしたこそをかしけれ」、またこれは「徒然草」の一文であります。知事さんは、何と大江は博学だなあというような顔で聞かれておりますが、私はとてもそんな頭はないわけであります。これはまあ世間の常識の一端でございますので、安心をしていただきたいと思うのであります。
 「野分」というのは、いわゆる台風のあらしのことであります。さすれば、台風の被災風景を「をかし」とつづることも、これまたどういうことなのか。「をかし」という古語にはいろんな意味合いがあるわけですが、この二つの文意の注釈といたしまして、「野分のあしたこそをかしけれ」と表現をしたのは、台風災害を避けることのできない宿命として考え、いわゆる我々の地域はアジアモンスーン地帯に生まれた人間の悲しいあきらめでもあったのではないかと書かれているのであります。
 「昭和の三大台風」と言われた伊勢湾台風、室戸台風、そして枕崎台風、これら三つの台風ではいずれも死者が五千人を超えていたのであります。しかし、世の中の進歩のおかげや人類の知恵、努力により、ここ三十年来は気象情報の進歩、また治山治水の努力が実を結び、被災が小さくなってきていることは喜ばしいことでありますが、痛ましい犠牲には一人も千人も変わらぬ絶対の不幸であるということは言うまでもないことであります。
 九月十九日に白浜町に上陸した台風十九号も死者、行方不明三十八名ということであり、行方不明の中には日置川町役場に勤務をされていた中村さんがございます。ただいま、地元の皆さん、また警察、消防等、多くの関係の皆さんの連日のたゆまぬ捜査をいただいておるのですが、きょう現在、発見をされていないのであります。私は、この場をおかりして、これら関係の皆さん方の日夜の努力に心より感謝とお礼を申し上げますとともに、警察を初め関係機関に対し、重ねて早期発見をしていただきますようお願いを申し上げる次第であります。
 私は、今回の台風を見ながら感じたことは、何と人間というのは大自然の猛威の前にはまだまだ非力だなあと。大変非力である。しかし、決して人間は無力ではないと思うのであります。非力であっても、無力ではない。また、このような災害が起こるたびに、受け身の立場なら立場らしく、まずそのことを我々が自覚することの大切さ、そして、ともすればこの時代の流れの中ですべてを科学や機械に頼ってしまって人間としての我々が持ち得る感性の部分での判断を怠ることの無念さも、また心しておくべきことだと知らされたのであります。
 こういう思いの中で、以下、質問をさせていただきたいと思います。
 昨日も台風二十号が白浜町へ上陸をした。私の今住んでおる白浜町は、台風に大変人気があります。十九号も白浜だ。今回も白浜だ。この十九号というのは、私は「リゾート型台風」という形で呼ばせていただいておるのであります。「長期滞在型」。発生してからずうっと非常に長かった。十九日の八時五分ですか、和歌山県の白浜町へ上陸をして、それから中部、東海、関東、そして北陸、東北へ抜けていくという期間が非常に長かった。まあ、台風も時代を象徴しておるんだなあと。昔ならば二日ぐらいでさあっと通り抜けたけれども、四日も五日もかけてずうっとゆっくりと行く。まあ世の中変わったなということを感じたんですけれども。
 まず最初に、今回の九・一九台風での本県下の被害状況を教えてください。また、今後どのような形での復旧や被害補償がなされていくかも、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
 この機会に、当局にお礼を申し上げたいと思います。台風通過後の被災地の状況調査のため、すぐ関係機関に連絡をして回っていただいたことには感謝を申し上げたいと思います。しかし、これから私が質問することに対して、御礼と質問の厳しさは別ですので、その点はひとつ区別をしておいていただきたいと思うのであります。
 きのう自民党のパーティーの席上で、たまさか副知事が前に座られて、きのうの台風の状況について、私もちょっと耳が遠かったのですが、「河川課の課長から連絡があって、今回はうまいこと、ちゃんとやりました」というような意味のことをおっしゃられた。「今回は」──たしか「今回も」だったと思うんですが。「今回は」じゃなかったと思います。
 今回、十六日からずうっと天気が悪かったんです。そういう中で、予測がなぜできなかったのかなあと。今回の雨量、特に日置川町の問題についてはこれから言及させていただきますけれども、十六日からあれだけ雨が降っておった。そして十八日には、知事さん、報告も受けておられると思うんですけれども、水量というのは、十八日に日置のダム下流で百四十六ミリ──これは十七日との合計であります──殿山のダム地点では百六十・五ミリ、ダム上流の野中では百二十九ミリ、五味地域では百八十ミリであります。そして、十九日の十時からずうっとまた雨が続いていく。それで、今回の出された雨量の報告というのは、ダムの下流の日置では三百二十六ミリ、ダムの殿山地点では四百三十八ミリ、野中では五百十一ミリ、五味では五百四十二ミリ。それだけの雨が降っていながら──この雨量というのは少ないんですか。
 ここに、関電の殿山ダムが放水をした後の報告があります。まず最初に、九月十七日、オリフィスゲート一門目のあける操作があったんです。その一門目の通知開始をしたのが九時二十分で、あけ始めたのが十時三十分。二門目をあけて放流開始したのが、同じく九月十七日の十七時三十分。そして、台風が来ている九月十九日十四時四十分、また二門目をずうっとあけている。
 私が大変問題だと思いますのは、九月十九日の十九時十分──もう白浜町へ上陸するんだということをテレビをつけたらどんどん言っているわけなんです。どのテレビをつけたって言っておる。十九時十分に三門目の放流ということで広報車を出そうと思ったら、玉伝付近で道路がつかって広報ができない。それで、帰ってきているわけなんです。そして、広報車の応援車が出動したのが二十時二十分。応援車が来たけれども、県道通行どめにより待機と。これは知事さん、どこで待機をしておったか。日置川町のテニスコートの前であります。テニスコートの前でずうっとしこっておったんです。私はこういうことも問題だと思うんです。待機の場所はほかになかったのか。ダム管理の方と連絡をとる方法の中で、日置川町の役場に何らかの情報を周知さす、徹底さすという義務は、当然、関電側にあったと思うのであります。なぜ、テニス場の前で雨がやむまでずうっと待っておられたのか。このことも大変問題だと思うのであります。
 そして、その広報ができず、住民の皆さんに何も教えられないまま待っている間に、十九時三十分に三門目の放流を開始して、十九時十五分に四門目の警報を開始したんですけれども、下流の警報が異常発生をして停止しておる。放送ができない。危険なことを教えられない。これはどういうことですか。何ですか、これ。そして二十時直前に、広報車出動不可能という報告をしておるんです。管理者は和歌山県です。それで、二十時に四門目の放流を開始しておる。そして、二十時五十分に五門目放流開始。住民の皆さんがパニックに陥ったと言われる六門目の放流開始が二十一時三十分。そして二十一時三十八分には六門目操作停止。開度二メートル。そして、二十一時四十分にまた六門目を閉める操作を行っている。完全に六門目が閉まったのは二十一時四十九分。六門目をあけて、それがきちっと閉まるまでに八分と言われておりますが、八分じゃない。八分というのは数字のごまかしであります。十九分間あけておったことになるわけなんです。皆さん、関電は八分しかあけていないと言っておるんです。これは数字のごまかしなんです。閉める操作をしたのが八分後なんです。ずうっとずっと閉める操作をして、完全に閉まったのが十九分後。和歌山県は、八分後ということで報告を受けておると思うんです。こんな報告を和歌山県は了解するんですか。こんなうその報告で、今回、操作規程に基づいた形でやったと言えるんですか。
 そういう中で、今言いましたように、町を初め住民の皆さんが関電に対して申し上げたら、「県の操作規程どおりで問題はない」と言った。県の操作規程というのは何ですか。私も操作規程というのを読ませていただいたんですけれども、これは各県、河川の状況によって違うそうであります。今、殿山ダムが使用しておる県の操作規程と言われるものは、いわゆる五十三年十二月一日から有効になったという操作規程であります。中身を読みました。「県の操作規程どおりで問題はない」と言っている。それに問題がないんだったら、さすれば問題があるのは和歌山県ですか。お答えください。
 こういうことを考えたとき、なぜ十分な予備放水というのがもう少し事前になされなかったのか、なぜもっと前にできなかったのかと。「決められたとおりやったから問題がなかった」と言うんじゃなしに──実は、私がここで立たせていただいておるのは非常にくしき縁を感じておるんです。昭和三十二年に殿山ダムができた。そして、明くる年の昭和三十三年の八月二十六日には台風が来た。言われるところの「三十三災」であります。そのときには日置川町の皆さんも大変な迷惑をこうむった。大変な災害を受けた。実は、そのときに被災者の闘争委員会の委員長をしておったのが私の祖父であります。私の祖父が、くしくも三十三災のあの日置川被災のとき、関電や県に対しての闘争委員会の委員長をさせていただいた。私は、今回、これは何かの縁かなあと。同じようなこうした立場で、こうして言わせていただいておる。まさに何かの縁かなあと思いながらも、今回、三十二年前の経験、体験というのが一体どこで生かされておったのか。そういう貴重な経験、非常にとうとい犠牲というのが、今回の台風十九号において、特に日置川町のあの地域において生かされたことがあったのか。私は大変疑問に思うのであります。このことも教えていただきたい。そして、河川管理者としての県の立場で関電に対して、こうしたいろんな予測のもと、いろんな状況判断の中で事前に指導をされたのかどうか。あったとすればどういうことなのか、教えていただきたいと思うのであります。
 次に、九月二十五日に行われた日置川町議会の議決に関して申し上げたいと思います。
 日置川町議会も、当初、九月二十二日に終わる議会予定を延長され、そして議会の皆さんが町長初め町当局の皆さんと全員で町をくまなく視察され、現状を把握認識されたのであります。そうして、どうしても今回の被災というのは人災だ、関電に大きな責任がある、その関電のダムの設置を許しておる県は一体どういう考えを持っておるのかという中で九月二十五日に議会の議決をされ、そして私ども、町田先生、堀本先生、浜本先生ともども四人が九月二十六日に議決の申し入れ書を持って県に寄せていただきました。知事さんは御不在でしたので、副知事さん、また土木部長、河川課長に会わせていただき、皆さんの気持ちを訴えたのであります。
 ちなみに、この要望書の項目を申し上げますと、六つあるのでありますが、「一、大雨・洪水・暴風雨警報並びにそれぞれの注意報の発令や、または洪水発生の恐れがあると認められる時は、調整池貯水位(最低水位・予備放流水位)を現状より可能な限り引き下げられたい。 二、ダムゲートの放流に際して開扉の通知は、避難等に充分ゆとりのある時間帯前とすること。 三、放流の際の一般に周知させるための措置はサイレン等の外、警報車の場合四門以上の放流において危害が予測され、事実上運行は困難となる。抜本的な万全の措置を別途講じられたい。 四、異常が予測される時点での洪水吐ゲートの開扉に当たっては河川管理者に報告し、指示に従うよう改められたい。 五、非常時には職員(社員)を町役場に出向を義務付けられたい。 六、和支発第三百三十五号、昭和五十九年六月二十九日付け和歌山支店長より日置川町水利権更新対策協議会会長宛の要求書に対する回答文中、殿山ダムの安全性について次のように表明されているが、この件は河川管理者におかれては充分認識されておられるのか。関電の回答の点が河川工学的にも充分立証出来るのか、見解を示されたい」。
 それに対して、昭和五十九年六月二十九日、和支発第三百三十五号──時の町長・坂本三郎さんが水利権更新対策協議会の会長をされておる。そして、水利権更新のときに町が大変心配する中での関電の回答書は、こうであります。今回、六項目目にある二つのことについて申し上げます。「殿山ダムの安全性についてはダム設計基準により十分な強度をもたせているとともにダムの周辺は堅固な岩盤であり、洪水量三千m3/sはもとより三千六百m3/sの流下時でも十分安全であります。 また、明治二十二年に田辺市内で記録した日雨量九百一・七ミリの雨が万一ダム上流に降った場合──知事さん、ここを聞いてください。関電が答えておるんです──ダム地点の流入量は約八千七百m3/s(推定)となり──九百一ミリ降ったのと同じ雨ですよ──ダム天端を越流することになりますが──いわゆるオーバーフローすると言っておる──この場合でもダムが決壊する心配は全くありません」と、関電はこんな答弁をしているんです。ここに関電の方がおられたら、よく聞いておいてくださいよ。「昭和四十九年に県のご指導を受け既設オリフィスゲート二門については水量調整可能な放流設備に改良いたしました。 これによって従来よりも洪水処理がより的確にできるようになりました」と。ちゃんとやりましたよ、もう住民の皆さんは心配ありませんと、こんなことを昭和五十九年に文書で回答しておるのであります。なのに、今回六門をあけるとき何と言われたか。「もうこれ以上ダムに水をためたらダムが壊れる。ダムが危ないから六門をあけさせてくれ」と言っておる。この矛盾を県はどういうふうにとらえられるのか、お答えをいただきたいのであります。
 昭和三十二年にダムができたということは、これはもう仕方がない。住民の皆さんから、取ってほしいという要望もある。しかし、これは一つの事実だ。仕方がない。そういう事実の中で今日までやってきた。三十三災の水害もあった。経験もした。そして、この九・十九災害を迎えた。なのに、こういうありさま。日置川町の住民の皆さんの不信を一体どういう形で県は取っていくんですか。それもお答えをいただきたいと思います。
 また、先ほど言いましたが、皆さん、知事さん、三門あけたら冠水する道路が何カ所もあるんです。六門あけたら、これはもう当然ふえるわけです。実は県の方でもいろいろとやっていただいているそうでありますが、本来、三門あけて冠水するような道路は一番最初に手直しすべきなんですよ。今慌てて、三門あいたから冠水するので道路をかさ上げしなければいけないと。それをどこでしなきゃいけないか。県がしなきゃいけないと。そんなこと、何で和歌山県がしないといけないんですか。関電にやらせればいいんですよ、関電に。これは当然じゃないですか。もし道路の冠水場所のかさ上げを和歌山県が──まあ「関電が負担をしましょう。そして、ともにやります」と言うのならまだまだわかるけれども、和歌山県ひとりで、そして「補助金が要るから日置川町が出せ」と言って道路のかさ上げをやったら、これは問題ですよ。そういうことはやらないと思いますけれども、土木部長、この道路の問題に関してはそういう点もひとつ勘案をしていただいて、冠水道路の箇所について、今回、何カ所、何キロ近くあったのか教えていただきたいと思います。
 また、この操作規程をつくった時点で、当然、和歌山県の日置川という河川を和歌山県も十分調べたはずだ。関電も調べたはずだ。その上に立ってあの操作規程ができたけれども、こういう状態である。私は、やっぱり河川の見直しをしなければいけない時期なのではないかな、こういうことも思うのであります。それで、和歌山県は「いや、もうそれでいいんだ」と言われるのかどうか、「いや、もう一度河川自体の構造なり、あるいはまたいろんな状況も勘案して調べ直してみましょう」ということになっていくのかどうかも教えていただきたいと思います。
 今、いろいろ申し上げましたが、今回、後ほどお聞きしますけれども、農作物あるいはまた林道等道路やその他で大変な被害があるので、こういうことも順番に直していってもらわなくてはいけないし、直す一つの土俵もつくってもらわなければならない。まあ農業関係者や林業関係者の方は、またそれぞれ農協なり森林組合で窓口になってもらって対応もしてもらわなければいけないと思うんですが。
 私はここで一つ民間で気の毒だと思いますのは、冠水の下流地域に虎屋さんという漬物屋さんがあるんですが、ここでは、日置川の川伝いにある、地元の七十戸近い農家の皆さんの梅を一手に買い取られて加工しておる。そして、日本ではここだけしかないという無塩、無添加の梅酢をつくっておる。これは二千円で売られているということでありますが、この三分の二以上は水につかってだめであります。──これまあ、社長さんから知事さんに飲んでいただきたいということであります。(現物を渡す)それは危険がない。ここに持ってきたのは、いわゆる梅でありますが、もう腐っておるんです。私はおとついも寄せていただいたんですけれども、たるの中の梅はもう全部だめであります。これはもう腐っておるので、これは食べないでください。そして、そのときの被災状況の写真もお借りしてきたんですけれども、大変ひどい。これまあ、知事さん、見てください。(写真を渡す)県の産業課が見に来てくれたり、いろいろと対応をやっていただいておるんですけれども、関電は、なかなか電話したって見に来ない。だれが言って見に来たか。県からですよ。県から「見に行ってやってくれ」と言われて、初めて重い腰を上げて現場に見に行ったというのが実情であります。
 そこで、この虎屋さんの被害というのは──設備関係ではまだ出ておりません。機械が腐ってきたりしますから、まだ出ないそうですけれども、原料関係で一億二千万、そして添加物や製品関係等、もろもろのものを合わせたら二億近い被害に遭っておられるんです。こういう民間の方に対して、今後、農作物の被害や山の被害と同じような対応をどのようにしていただけるのか、これを教えていただきたいと思うのであります。
 同時に、知事さんにお願いをし、そしてお答えもいただきたいのですが、私は、今回のこの被災は人災ととらえております。それだけに、今後、どうしても補償交渉というのに入っていくのであります。そういう場を和歌山県としてつくっていただける気があるのかどうなのか。「いや、今回の被害は、これはもう仕方がなかったんだ。皆さん、あきらめなさいよ。これはもう天が定めた運命だ」、そういうような形で行かれるのか、「やっぱりこれは重大な問題だな」というとらえ方をしていただけるのか。そして、そのとらえ方の中で、一歩進んだ中で補償交渉という場をつくっていただけるお気持ちがあるのかどうかについてお答えいただきたいと思います。
 三つ目の地元報道に入ります。
 今回のこの台風で、日置川町において四十六時間停電をしたのが十五戸、十三時間二十五分のところが三十戸、八時間四十分のところが四百二十戸、三時間二十分のところが千二十戸、合計で千四百八十五戸の家庭がずうっと電気が使えないままになっておるんです。それだけに、こういうときにテレビをつけたくてもつけられないということになれば、これはもうラジオになる。私どもの地元には、公共性を持って日夜情報伝達していただいておる、ラジオでは和歌山放送、テレビではテレビ和歌山があり、大変ありがたいわけであります。しかし、どうも今回、十六日から和歌山県を直撃するんだというような予測がありながら、テレビ和歌山さんには申しわけないが、あの十九日、八時に台風が白浜に到着するというのに、七時にも普通の番組をやっておられた。よその民放はいろいろと特番を組んで台風情報を入れていただいた。やっぱり和歌山県も、テレビ和歌山さんには八千万という資本を投下しておるんだから、当然、住民の皆さんに情報を与えてやってくれよというようなことを指導してやってほしかったと思うんですけれども、今後、どうされていくのか。
 また和歌山放送は、我々西牟婁郡では大塔村、中辺路、すさみ、そしてこの日置川町と難聴地域があるわけなんです。聞けば、中継局を設けたいけれども、なかなかいい場所がない、いい場所があっても土地の交渉がなかなかうまいこといかないと言う。そういうときに、もう少し連携をとっていただいて、和歌山県が地方の自治体と話をして土地の交渉してあげるとか、あるいはまた補助を出してやって十分電波が届くようにしてあげる。日置川町なんか、気の毒ですよ。四国の状況が入ってくる。徳島のどこで雨が降ったとか、どこがつかったとか、そんなこと、日置川町の人は関係ないですよ。聞きたいのは、今、和歌山県でどんな状態になっているのか、こういうことだと思うんです。
 あんまりマスコミの皆さんに言いますときょうのテレビ放映も半分で切られたら困りますので、この辺でやめますけれども、どうかこのことは、やっぱり公共性ということも勘案していただいて、ひとつ早急な対処をお願いしたいと思います。
 最後に、知事さん、危機管理であります。
 人間というのは突然やってきたら慌てるし、「災害は忘れたころにやってくる」ということわざがありますけれども、しかし、これだけの状態の中で、何が起こるかわからない時代の中で、お互いがもう少し危機管理をすべきだと思うんです。毎年防災活動もやっておられますけれども、私はまずこの日置川町のことに関して今後のことについてお尋ね申し上げたいのは、いわゆる操作規程の見直しをもう一度この時点でやられたらどうか、そしてもっと弾力的な運用が県の指導でできないのかどうか、さらに、県が中心となって、もう来るという地域においては対策本部を設けてそれの対応に当たるということが喫緊に求められておるんではないかなと思うんですが、どうでしょうか。
 きょうは、こうしてたくさんの地元の皆さんにおいでいただきました。私はそういうことを感じながらも、地元の皆さんには、この私の限られた時間内に十分に意を尽くせなかったことがあったと思いますけれども、今後、私ども西牟婁選出の四人がともども力を合わせながら今回の被災の早期復旧について、そして今後の対応についてやっていきますので、どうかひとつ県の皆さんも受けとめていただき、お願いを申し上げまして、第一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 大江議員にお答え申し上げます。
 十九号台風による日置川の水害等についてお答え申し上げる次第ででございます。
 先日の十九号台風に伴う風水害につきましては、県下全域にわたって相当被害があり、特に紀南地方においては甚大な被害を受けたわけでございます。また加うるに、昨日の二十号台風による被害がありましたが、これについては現在調査中でございます。被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げるとともに、特に日置川町において行方不明になられた中村さんの家族の方々に、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 このたびの台風十九号は、大江議員の話にもございましたように、昭和三十六年の第二室戸台風に匹敵するものであり、その経路となった日置川流域では、九月十九日夕方からの雨量が四時間で百八十ミリメートルを超えるという異常な豪雨となったのでございます。日置川町における水害は、この豪雨の出水により引き起こされたものでございます。
 このたびの関西電力殿山ダムの対応につきましては、いろいろ大江議員から詳細な説明がございました。現在、県においても詳しく調査を進めておるところであり、また水害の関係についても調査の結果を踏まえる必要があると考えております。
 過日の地元からの強い要望を私も十分関知しておるわけでございまして、今後、必要な措置について強く指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
 昭和三十三年のときの災害については、その後、私も関電と長期間にわたって交渉した経過もあり、実情も十分承知しておりますので、そうした態度で臨んでまいりたいと存じておる次第でございます。
 なお、詳しい問題等については関係部長から答弁いたしますけれども、危機管理の問題につきましては、お話ございましたように、絶えず平生からの体制について、県自体もお互い関係機関との連絡をとり、十分な配慮を行っているところでございます。特に報道関係等との問題、また災害が起こったときの処置の問題等について、今後とも十分な対策、体制を早急に確立してまいりたいと存じておりますけれども、特にお話ございました緊急時におけるダム操作の問題については、弾力的に運用できるよう、今後十分検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
 いずれにいたしましても、過去の幾多の災害を教訓として、先ほど申しました基本的な考え方に基づき、今後とも防災体制の整備に十分な配慮を図ってまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 台風十九号の被害の状況と今後の対応についてでございます。
 台風十九号につきましては、本県南部を中心に多くの被害をもらたしております。現在把握している被害状況を総括的に申し上げますと、行方不明の方が一名、負傷者七名、住家被害は七千戸を超えており、床上・床下浸水が六百戸以上ということでございます。
 また、農林関係の被害額が約六十九億円、土木関係で約五十四億円、その他約九億円でございまして、総額にすると約百三十二億円ということでございます。
 今後の災害復旧につきましては、関係部局とよく連携をとりながら、予算上の措置を含めて適切に対処してまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 台風十九号による商工関係の被害状況につきましては、和歌山県地域防災計画の報告要領に基づき、建物以外の商店の商品の冠水等による被害、また工場等への浸水による施設や製品等工業関係の被害、また観光施設の被害など、合わせて八十五件、被害総額四億七千万円以上と推計をしております。
 今後の対応といたしましては、中小企業の育成の立場から、また地域の産業振興の面から中小企業振興資金等融資制度を弾力的に活用してまいりたいと考えてございます。
 虎屋漬物株式会社の被害状況につきましては、無塩梅酢四万リッター、シソ梅酢八万リッター、シソ原料五十トンの原材料や製品、冷蔵庫その他の設備が冠水をし、また容器等の流出を含めて、現在精査はできておりませんが、被害額は一億円を超えるものと推計しております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農林水産の災害の状況と今後の対応でございます。
 畦畔等の農地被害が九億五千二百万円、農道等の農業用施設被害が十七億二千万円、農作物に対する被害が十八億二千五百万円、ハウス等の施設被害が一億九千四百万円、林道、治山、造林等の林業関係被害が十九億三千八百万円、水産関係二億五千三百万円、以上、被害総額は六十八億八千二百万円、総被害件数が三千九百件、農作物の被害面積が県下全般で五千六百ヘクタールに及んでございます。
 農作物の被害で特に目立つのは、紀北地域において柿でございまして、そのほかキウイフルーツ等、紀南においてはポンカン等にも被害が出てございます。ハウス被害につきましては、日置川町、白浜町、那智勝浦町、串本町、古座川町で倒伏や破損被害が発生をいたしてございます。
 林道関係でございますが、西牟婁郡から東牟婁郡にかけて六十一路線で路肩の崩壊、のり面の被害が発生しておりまして、木守平井線の古座川町内、将軍川線の日置川町内、南谷城ケ森線の美山村内でそれぞれ不通となってございます。また造林関係では、倒木等が主な被害でございます。
 今後の対応につきましては、災害発生後、直ちに現地調査を実施し、林道の不通箇所の応急措置を講じ、将軍川線、南谷城ケ森線が二十一日から通行可能となってございます。木守平井線の古座川町では被害が非常に大きく、応急措置ができずに、今、見通しも立ってございません。
 農作物被害につきましては、現在、病害防除あるいは植えかえ、まき直し等の技術営農対策を指導いたしますとともに、共済加入農家に対しては農業災害補償法に基づく共済金の支払いを早くできるように指導してまいる所存でございます。
 農道、林道、ため池などにつきましては、早期に国の災害査定を受けるため、市町村、県事務所挙げて査定設計書の作成に取りかかっている最中でございます。特に今回の災害につきましては、全国的に災害が発生しているところから、国において激甚災害法の適用が検討されることと存じますので、今後、高率補助の災害復旧事業が適用できるように市町村ともども国に働きかけてまいりたいと存じております。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、台風十九号による県下の被災状況と今後の復旧についてでございます。
 去る九月十九日二十時ごろ、中心気圧九百四十五ミリバールの強い勢力を保ったまま日置川町付近に上陸した台風十九号は昭和三十六年の第二室戸台風以来の大型台風でありまして、特に台風の進路に当たった紀南地方においては、日雨量では中辺路町野中で三百八十一ミリ、大塔村五味で三百五十七ミリ、最大風速は潮岬観測所で三十三・一メーター、瞬間最大風速は五十九・五メーターという暴風雨に見舞われ、各地において多大の被害が発生いたしました。
 また、昨日は小型ながら二十号が来襲いたしましたが、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 台風十九号による県下の土木部関係の公共土木施設災害につきましては、九月二十八日現在で、県工事分六百八十カ所、約四十二億八千万円、市町村分四百八十四カ所、約十六億一千万円、合計で千百六十四カ所、約五十八億九千万円の被害額となっております。
 これらの被害箇所で緊急に復旧を要する箇所につきましては、応急工事で早急に実施していくこととしております。また、応急工事以外の災害箇所につきましては、災害復旧制度を積極的に活用し、速やかな復旧を図るため全力で取り組んでまいる所存でございます。
 続きまして、日置川町における今回の水害についてでございます。
 まず、十六日からの天候不順の中での予測についてでありますが、九月十六日からの天候不順に際しては、秋雨前線及び台風十九号の本県への直接の影響が予測されたことから、県においては十七日十六時に県水防計画書に基づく水防配備体制第一号を、十六時十分に職員の防災体制等措置要領に基づく警戒体制を発令し、防災対策に万全を期しております。また関西電力殿山ダムにおいては、十八日六時に予備警戒体制に入っておりました。
 次に、関電殿山ダムの放流の仕方について、また関電が「県の操作規程のとおりで問題はない」と言っていることについてでございますが、ダムの操作規程は、河川法四十七条に基づき、ダムを設置する者があらかじめダムの操作方法について定め、河川管理者の承認を受けなければならないことになっております。殿山ダムにつきましては、ダム設置者である関西電力が定めたものであり、河川管理者である和歌山県の承認を受けたものであります。ダムの操作は、承認を受けた操作規程に従って行わなければならないことになっております。
 このたびの殿山ダムの放流につきましては、事前に予備放流を行い、洪水流入時においても流入量を下回る量の放流を行っており、ゲート操作に関しては現行の操作規程に従ったものでありました。
 放流の際の一般に周知させる措置でございますが、警報装置等の故障により下流の方々に不安感を与え、避難に際しては大きな混乱を招き、県としてまことに遺憾に存ずる次第でございます。今後、関係機関による検討の場を設け、このようなことのないよう関西電力に対し強く指導してまいります。
 気象情報をどうとらえているかについてでございますが、気象台から発表される警報、注意報等の気象情報につきましては、昼・夜間を問わず県防災行政無線を通じて市町村、関係機関等へ伝達するとともに、大雨洪水注意報が発表された段階で水防関係職員、ダム担当職員を待機させ、気象状況の把握に努め、災害が予想される場合、あるいは大雨洪水警報等が発表された場合には職員の警戒体制、水防配備体制を発令し、災害対策に万全を期することとしております。
 次に、なぜ十分な予備放水ができなかったかについてでございますが、予備放流につきましては、操作規程に基づき、十七日十時三十分から十八日九時及び十九日十四時四十分から十九日十八時に実施し、予備放流水位に貯水位を下げる措置を行っております。今回の状況を踏まえて今後の対応を検討するよう指導してまいります。
 また、なぜ三十三災の貴重な体験が生かされなかったのかについてでございます。
 殿山ダム完成の翌年の昭和三十三年八月に大洪水があり、下流域で大災害をこうむったことを教訓とし、その後、昭和四十八年六月に警報装置の増設、昭和五十年八月にオリフィスゲート二門を部分開閉できる構造とし、昭和五十年十月にダム操作規程を改正して予備放流水位を設定する等の改善を行ってきたところであります。今度の出水状況を踏まえ、さらに情報伝達体制等についても検討を加えるよう指導してまいる考えであります。
 次に、河川管理者として今回指導はあったか、あったとすればどのようなことかについてでございますが、利水ダムの操作について河川管理者が指示することにつきましては、現状では困難と考えてございます。したがいまして、今回の台風十九号に伴い、殿山ダムに対して洪水調節のための指示は行っておりませんでした。しかし、今回の経験を生かすためにも、県としては状況に即した対応を検討してまいりたいと考えております。
 町民の不安をどう取り除くのかについてでございますが、県といたしまして、関西電力に対し、洪水時の対応方法等について早急に検討を行い、地元の方々に御理解をいただくべく十分な説明を行うよう強く指導してまいりたいと考えております。
 九月二十五日に行われた町議会の議決をどうしていくのかについてでございますが、先日、九月二十六日に、大江議員、町田議員、浜本議員、堀本議員が同行され、日置川町長、町議会議長から「関西電力殿山ダム問題に係る是正・改善を求める申入書」が提出されており、六項目の要望が出されております。この要望項目につきましては、今回の状況を十分踏まえ、現在、調査並びに協議を進めており、県として関西電力に強く指導を行い、早期に日置川町に説明をいたしたいと考えております。
 次に、道路の冠水箇所についての対応でございますが、県道日置川大塔線につきましては、十二カ所で延長約三千五百メートルの区間が冠水により通行どめとなりました。この対策といたしまして、日置川の河川改修計画や対策必要箇所の対策内容と整合をとりながら道路のかさ上げ等の対応を検討してまいります。
 河川改修の是非についてでございますが、日置川の河川改修につきましては、国道橋である日置大橋から上流の田野井地区までの四千四百メーターについて昭和三十六年に改修計画を策定し、既に大古堤防、安宅堤防を完成し、本年度で矢田堤防を概成する予定で工事を進めているところでございます。平成三年度からは、今回の出水で浸水被害をこうむった田野井堤防の改築に着手する予定となってございます。
 一方、今回の出水を教訓といたしまして、河川の疎通能力等に関する調査を行い、それに基づいて対策の必要箇所並びにその対策方法を検討してまいりたいと考えております。
 関電側との被害補償の交渉についてでございますが、今回の被災は非常に勢力の強い台風十九号の直撃により発生したものであり、関西電力殿山ダムからの放流との関係については十分に調査を行い、対応していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 難聴地域の伝達についてでございます。
 災害時における情報伝達方法として、ラジオは最も有効な手段であると考えております。地形的な条件による和歌山放送の難聴地域につきましては、お説のように、有田郡、西牟婁郡、東牟婁郡の一部地域にございます。和歌山放送では、現在、橋本、高野、御坊、田辺、串本、新宮に中継局を設けておりますが、難聴地域を解消するためにはさらに増局する必要がございます。増局につきまして、和歌山放送においても努力を重ねられていると伺っております。県といたしましても、難聴地域の解消に十分協力してまいりたいと考えてございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) テレビ和歌山の台風情報等報道番組の内容充実についてお答えを申し上げます。
 テレビ和歌山におきましては、唯一の県域テレビとして、地域の報道、情報番組の充実に努力をされているところでございますが、議員御指摘のとおり、台風等災害時においては、とりわけその情報の質と速さが重要であると考えてございます。
 今後、広報担当部局を初め、関係部局と連携し、情報提供等、内容の充実が図られるよう取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 12番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕
○大江康弘君 もう時間がございませんので、要望ということでやらせていただきます。
 知事さん、新聞で梅本議長がコメントとして「台風によるダムの全門開放とはいえ人災の疑いが濃い」ということも申されている。前助役は、「避難命令を出した十九日夜は停電も重なり一時はパニック状態だった。三十二年前の大水害の教訓を生かされておらず、ダム全開はもうコリゴリだ」ということも言っておられる。
 まことに残念であったのは、人災か天災かということを明言してほしかった。私が、やっぱり人災というとらえ方をしたのは、殿山の合川のところに人が手を加えた工作物がある。ダム。富田はない。今回、地元の皆さんが非常に不安や不満や不信を抱いたのは、もう直前まで河原が普通の状態だった、それが、どっと流したものだから一気にふえた。これはもう当然つかりますよ。そうしたら関電は、「県の操作規程どおりにやったから問題はない」と。
 県警本部長、例えば車が時速四十キロで通っておった、そして子供がパーンと飛び出てきた、子供をはねた、けがをしたとする。しかし運転手は「私は四十キロを守っておったんだから問題ないのですよ」と、そんなことで通らないでしょう。私はまさにそういうことだと思うんです。富田川のように、上流地域に人が手を加えた工作物が何もない、その中でどんどん雨が降って水があふれ、山から流れてきて、そして自然増水して堤防を逸流してつかったというなら、まだしもあきらめがつく。しかし、まさに三十二年前につくった人為的なやつがあそこにあるわけなんです。人が手を加えたものです。それを操作規程どおりにやったから私のところは問題がなかったんだと、そういうことで許されないと思うのであります。
 まさに人災であります、これは。人災だ。そして、この際関電に対して県が強く指導してほしいというのは、構造的な体質の問題であります。十九日の台風が来るときに、もう十回も十五回も関電に電話をして「早く出してくれ」と言うたって、関電側は「そんなことはできません」と。そして、後で事故が起こっても、被災が起こったって、県が来なければ見に来ない。いわゆる上級監督が言わなければ動かないという、この体質の問題。こういうことを踏まえて、もう少し県が真剣になってこれからの補償交渉の場をつくっていただきたいと思います。
 日置川町民の皆さん、あるいはきょうの私の質問を聞いていただいた議会の先輩の皆さんや県民の皆さんは、どういうふうに今回の日置川町における災害をとらえられておるやもしれませんけれども、これは人災であるということを最後に申し上げ、県の的確な指導をお願いいたしまして、私の要望にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大江康弘君の質問が終了いたしました。

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