平成2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成二年十月一日(月曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第九十三号から議案第百六号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第九十三号から議案第百六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
 1 番 井 出 益 弘
 2 番 和 田 正 一
 3 番 町 田 亘
 4 番 中 村 利 男
 5 番 山 本 一
 6 番 宗 正 彦
 7 番 岡 本 保
 8  番 鈴 木 俊 男
 9 番 阪 部 菊 雄
 11 番 平 越 孝 哉
 12 番 大 江 康 弘
 13 番 中 西 雄 幸
 14 番 橋 本 進
 15 番 古 田 新 蔵
 16 番 浦 武 雄
 17 番  堀 本 隆 男
 18 番 宇治田   栄 蔵
 19 番 下 川 俊 樹
 20 番 石 田 真 敏
 21 番 木 下 秀 男
 22 番 中 村 隆 行
 23 番 藁 科 義 清
 24 番 門 三佐博 
 25 番 尾 崎 要 二
 26 番  那 須 秀 雄
 27 番 木 下 義 夫
 28 番 上野山 親 主
 30 番 尾 崎 吉 弘
 32 番 岸 本 光 造
 33 番 松 本 貞 次
 34 番  浜 本  収
 35 番 和 田 正 人
 36 番 浜 口 矩 一
 37 番 山 崎 幹 雄
 39 番 田 中  実三郎  
 40 番 森 利 一
 41 番 村 岡  キミ子  
 42 番 森 本 明 雄
 43 番 中 村 博
 44 番 中 村 千 晴
 45 番 小 林 史 郎
 46 番 渡 辺 勲
 47 番 藤 沢 弘太郎 
欠 席 議 員(二人)
 10 番 中 村 裕 一
 31 番 西 本 長 浩
〔備 考〕
 29 番 欠 員
 38 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 高 瀬 芳 彦
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 天 谷 一 郎
 農林水産部長 安 田 重 行
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 吉 井 清 純
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  上 野 寛
 教育長 高 垣 修 三
 以下教育次長
 公安委員会委員 玉 置 英 夫
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
  寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時十分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、申し上げます。
 議員平木繁実君には、九月二十九日、逝去されました。まことに哀悼、痛惜のきわみであります。ここに、故平木繁実君の御冥福をお祈りして黙祷をささげたいと思います。
 黙祷。
 〔一同起立・黙祷〕
○議長(岸本光造君) 黙祷を終わります。
 なお、同君の功績に対し、和歌山県議会より別途弔詞を贈らせていただきますので、御了承を願います。
 この際、知事から発言がございます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) お許しをいただいて、去る九月二十九日、御家族の方々の手厚い看護もむなしく逝去されました平木繁実議員のみたまに、謹んで哀悼の意を表します。
 平木議員には、昭和三十年以来五期二十年間、橋本市議会議員として、また昭和五十四年以来三期十一年有余の間、県勢の発展に御尽力せられ、終始、議会人として本県地方自治の進展に活躍されてまいりました。
 ここに、生前の御遺徳をしのび、謹んで御冥福をお祈りいたします。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第九十三号から議案第百六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 12番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 お許しをいただきまして、この九月定例議会の本会議一般質問の初日、一番目をやらせていただくことになります。
 その前に、ただいま議長、そして仮谷知事からお言葉がございましたが、平木先生を思い起こしますならば、ちょうど十二年前の昭和五十四年、ともども和歌山県議会に当選をさせていただいた同期であります。同期と言いましても大変大先輩で、あのお人柄、御人徳にはかねがね敬服、尊敬をしておったところでありまして、今回の訃報を聞き、まことに残念やる方ない思いであります。心から哀悼の誠をささげさせていただきたいと思います。
 知事さん、きょうは、日置川町の町長さん初め議長さん、また日置川町の住民の皆さんがたくさん傍聴に来られております。きょうの一般質問の予定を見られると、私と浜本先生とが日置川町の関電関係について言及することになっておるんですが、何もこれは、浜本先生と私が原発反対だから関電をやるというようなことではないのであります。
 今回の台風十九号の被災につきましては、先輩の町田先生、堀本先生、浜本先生、そして私と、四名の者は、台風通過後、大変な思いで、それぞれ郡内や特に被災のひどかった日置川町をお互いの立場で現地調査させていただいたのであります。いわば、このきょうの私の質問は、自民、社会の西牟婁共同軍団の突破口として、まず最初にやらしていただくということでとらえていただきたいと思います。
 私の質問の内容につきましては、恐らく町田先生、堀本先生も同様のお気持ちであられると思います。きょうは、こうしてたくさんの地元の皆さん、町長さん初め町議会の皆さんが来られておりますが、今まで見て聞いた住民の皆さんの声を私がここでどれだけ反映できるか、私自身、非常に疑問はありますが、この場は住民の皆さんの声なき声を反映する場でありますので、議会人としての使命、責任を与えられた時間の中で精いっぱい全うさせていただきたいと思います。
 「野分のまたの日こそ いみじうあはれにをかしけれ」、これは「枕草子」の中の一文であります。「野分のあしたこそをかしけれ」、またこれは「徒然草」の一文であります。知事さんは、何と大江は博学だなあというような顔で聞かれておりますが、私はとてもそんな頭はないわけであります。これはまあ世間の常識の一端でございますので、安心をしていただきたいと思うのであります。
 「野分」というのは、いわゆる台風のあらしのことであります。さすれば、台風の被災風景を「をかし」とつづることも、これまたどういうことなのか。「をかし」という古語にはいろんな意味合いがあるわけですが、この二つの文意の注釈といたしまして、「野分のあしたこそをかしけれ」と表現をしたのは、台風災害を避けることのできない宿命として考え、いわゆる我々の地域はアジアモンスーン地帯に生まれた人間の悲しいあきらめでもあったのではないかと書かれているのであります。
 「昭和の三大台風」と言われた伊勢湾台風、室戸台風、そして枕崎台風、これら三つの台風ではいずれも死者が五千人を超えていたのであります。しかし、世の中の進歩のおかげや人類の知恵、努力により、ここ三十年来は気象情報の進歩、また治山治水の努力が実を結び、被災が小さくなってきていることは喜ばしいことでありますが、痛ましい犠牲には一人も千人も変わらぬ絶対の不幸であるということは言うまでもないことであります。
 九月十九日に白浜町に上陸した台風十九号も死者、行方不明三十八名ということであり、行方不明の中には日置川町役場に勤務をされていた中村さんがございます。ただいま、地元の皆さん、また警察、消防等、多くの関係の皆さんの連日のたゆまぬ捜査をいただいておるのですが、きょう現在、発見をされていないのであります。私は、この場をおかりして、これら関係の皆さん方の日夜の努力に心より感謝とお礼を申し上げますとともに、警察を初め関係機関に対し、重ねて早期発見をしていただきますようお願いを申し上げる次第であります。
 私は、今回の台風を見ながら感じたことは、何と人間というのは大自然の猛威の前にはまだまだ非力だなあと。大変非力である。しかし、決して人間は無力ではないと思うのであります。非力であっても、無力ではない。また、このような災害が起こるたびに、受け身の立場なら立場らしく、まずそのことを我々が自覚することの大切さ、そして、ともすればこの時代の流れの中ですべてを科学や機械に頼ってしまって人間としての我々が持ち得る感性の部分での判断を怠ることの無念さも、また心しておくべきことだと知らされたのであります。
 こういう思いの中で、以下、質問をさせていただきたいと思います。
 昨日も台風二十号が白浜町へ上陸をした。私の今住んでおる白浜町は、台風に大変人気があります。十九号も白浜だ。今回も白浜だ。この十九号というのは、私は「リゾート型台風」という形で呼ばせていただいておるのであります。「長期滞在型」。発生してからずうっと非常に長かった。十九日の八時五分ですか、和歌山県の白浜町へ上陸をして、それから中部、東海、関東、そして北陸、東北へ抜けていくという期間が非常に長かった。まあ、台風も時代を象徴しておるんだなあと。昔ならば二日ぐらいでさあっと通り抜けたけれども、四日も五日もかけてずうっとゆっくりと行く。まあ世の中変わったなということを感じたんですけれども。
 まず最初に、今回の九・一九台風での本県下の被害状況を教えてください。また、今後どのような形での復旧や被害補償がなされていくかも、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
 この機会に、当局にお礼を申し上げたいと思います。台風通過後の被災地の状況調査のため、すぐ関係機関に連絡をして回っていただいたことには感謝を申し上げたいと思います。しかし、これから私が質問することに対して、御礼と質問の厳しさは別ですので、その点はひとつ区別をしておいていただきたいと思うのであります。
 きのう自民党のパーティーの席上で、たまさか副知事が前に座られて、きのうの台風の状況について、私もちょっと耳が遠かったのですが、「河川課の課長から連絡があって、今回はうまいこと、ちゃんとやりました」というような意味のことをおっしゃられた。「今回は」──たしか「今回も」だったと思うんですが。「今回は」じゃなかったと思います。
 今回、十六日からずうっと天気が悪かったんです。そういう中で、予測がなぜできなかったのかなあと。今回の雨量、特に日置川町の問題についてはこれから言及させていただきますけれども、十六日からあれだけ雨が降っておった。そして十八日には、知事さん、報告も受けておられると思うんですけれども、水量というのは、十八日に日置のダム下流で百四十六ミリ──これは十七日との合計であります──殿山のダム地点では百六十・五ミリ、ダム上流の野中では百二十九ミリ、五味地域では百八十ミリであります。そして、十九日の十時からずうっとまた雨が続いていく。それで、今回の出された雨量の報告というのは、ダムの下流の日置では三百二十六ミリ、ダムの殿山地点では四百三十八ミリ、野中では五百十一ミリ、五味では五百四十二ミリ。それだけの雨が降っていながら──この雨量というのは少ないんですか。
 ここに、関電の殿山ダムが放水をした後の報告があります。まず最初に、九月十七日、オリフィスゲート一門目のあける操作があったんです。その一門目の通知開始をしたのが九時二十分で、あけ始めたのが十時三十分。二門目をあけて放流開始したのが、同じく九月十七日の十七時三十分。そして、台風が来ている九月十九日十四時四十分、また二門目をずうっとあけている。
 私が大変問題だと思いますのは、九月十九日の十九時十分──もう白浜町へ上陸するんだということをテレビをつけたらどんどん言っているわけなんです。どのテレビをつけたって言っておる。十九時十分に三門目の放流ということで広報車を出そうと思ったら、玉伝付近で道路がつかって広報ができない。それで、帰ってきているわけなんです。そして、広報車の応援車が出動したのが二十時二十分。応援車が来たけれども、県道通行どめにより待機と。これは知事さん、どこで待機をしておったか。日置川町のテニスコートの前であります。テニスコートの前でずうっとしこっておったんです。私はこういうことも問題だと思うんです。待機の場所はほかになかったのか。ダム管理の方と連絡をとる方法の中で、日置川町の役場に何らかの情報を周知さす、徹底さすという義務は、当然、関電側にあったと思うのであります。なぜ、テニス場の前で雨がやむまでずうっと待っておられたのか。このことも大変問題だと思うのであります。
 そして、その広報ができず、住民の皆さんに何も教えられないまま待っている間に、十九時三十分に三門目の放流を開始して、十九時十五分に四門目の警報を開始したんですけれども、下流の警報が異常発生をして停止しておる。放送ができない。危険なことを教えられない。これはどういうことですか。何ですか、これ。そして二十時直前に、広報車出動不可能という報告をしておるんです。管理者は和歌山県です。それで、二十時に四門目の放流を開始しておる。そして、二十時五十分に五門目放流開始。住民の皆さんがパニックに陥ったと言われる六門目の放流開始が二十一時三十分。そして二十一時三十八分には六門目操作停止。開度二メートル。そして、二十一時四十分にまた六門目を閉める操作を行っている。完全に六門目が閉まったのは二十一時四十九分。六門目をあけて、それがきちっと閉まるまでに八分と言われておりますが、八分じゃない。八分というのは数字のごまかしであります。十九分間あけておったことになるわけなんです。皆さん、関電は八分しかあけていないと言っておるんです。これは数字のごまかしなんです。閉める操作をしたのが八分後なんです。ずうっとずっと閉める操作をして、完全に閉まったのが十九分後。和歌山県は、八分後ということで報告を受けておると思うんです。こんな報告を和歌山県は了解するんですか。こんなうその報告で、今回、操作規程に基づいた形でやったと言えるんですか。
 そういう中で、今言いましたように、町を初め住民の皆さんが関電に対して申し上げたら、「県の操作規程どおりで問題はない」と言った。県の操作規程というのは何ですか。私も操作規程というのを読ませていただいたんですけれども、これは各県、河川の状況によって違うそうであります。今、殿山ダムが使用しておる県の操作規程と言われるものは、いわゆる五十三年十二月一日から有効になったという操作規程であります。中身を読みました。「県の操作規程どおりで問題はない」と言っている。それに問題がないんだったら、さすれば問題があるのは和歌山県ですか。お答えください。
 こういうことを考えたとき、なぜ十分な予備放水というのがもう少し事前になされなかったのか、なぜもっと前にできなかったのかと。「決められたとおりやったから問題がなかった」と言うんじゃなしに──実は、私がここで立たせていただいておるのは非常にくしき縁を感じておるんです。昭和三十二年に殿山ダムができた。そして、明くる年の昭和三十三年の八月二十六日には台風が来た。言われるところの「三十三災」であります。そのときには日置川町の皆さんも大変な迷惑をこうむった。大変な災害を受けた。実は、そのときに被災者の闘争委員会の委員長をしておったのが私の祖父であります。私の祖父が、くしくも三十三災のあの日置川被災のとき、関電や県に対しての闘争委員会の委員長をさせていただいた。私は、今回、これは何かの縁かなあと。同じようなこうした立場で、こうして言わせていただいておる。まさに何かの縁かなあと思いながらも、今回、三十二年前の経験、体験というのが一体どこで生かされておったのか。そういう貴重な経験、非常にとうとい犠牲というのが、今回の台風十九号において、特に日置川町のあの地域において生かされたことがあったのか。私は大変疑問に思うのであります。このことも教えていただきたい。そして、河川管理者としての県の立場で関電に対して、こうしたいろんな予測のもと、いろんな状況判断の中で事前に指導をされたのかどうか。あったとすればどういうことなのか、教えていただきたいと思うのであります。
 次に、九月二十五日に行われた日置川町議会の議決に関して申し上げたいと思います。
 日置川町議会も、当初、九月二十二日に終わる議会予定を延長され、そして議会の皆さんが町長初め町当局の皆さんと全員で町をくまなく視察され、現状を把握認識されたのであります。そうして、どうしても今回の被災というのは人災だ、関電に大きな責任がある、その関電のダムの設置を許しておる県は一体どういう考えを持っておるのかという中で九月二十五日に議会の議決をされ、そして私ども、町田先生、堀本先生、浜本先生ともども四人が九月二十六日に議決の申し入れ書を持って県に寄せていただきました。知事さんは御不在でしたので、副知事さん、また土木部長、河川課長に会わせていただき、皆さんの気持ちを訴えたのであります。
 ちなみに、この要望書の項目を申し上げますと、六つあるのでありますが、「一、大雨・洪水・暴風雨警報並びにそれぞれの注意報の発令や、または洪水発生の恐れがあると認められる時は、調整池貯水位(最低水位・予備放流水位)を現状より可能な限り引き下げられたい。 二、ダムゲートの放流に際して開扉の通知は、避難等に充分ゆとりのある時間帯前とすること。 三、放流の際の一般に周知させるための措置はサイレン等の外、警報車の場合四門以上の放流において危害が予測され、事実上運行は困難となる。抜本的な万全の措置を別途講じられたい。 四、異常が予測される時点での洪水吐ゲートの開扉に当たっては河川管理者に報告し、指示に従うよう改められたい。 五、非常時には職員(社員)を町役場に出向を義務付けられたい。 六、和支発第三百三十五号、昭和五十九年六月二十九日付け和歌山支店長より日置川町水利権更新対策協議会会長宛の要求書に対する回答文中、殿山ダムの安全性について次のように表明されているが、この件は河川管理者におかれては充分認識されておられるのか。関電の回答の点が河川工学的にも充分立証出来るのか、見解を示されたい」。
 それに対して、昭和五十九年六月二十九日、和支発第三百三十五号──時の町長・坂本三郎さんが水利権更新対策協議会の会長をされておる。そして、水利権更新のときに町が大変心配する中での関電の回答書は、こうであります。今回、六項目目にある二つのことについて申し上げます。「殿山ダムの安全性についてはダム設計基準により十分な強度をもたせているとともにダムの周辺は堅固な岩盤であり、洪水量三千m3/sはもとより三千六百m3/sの流下時でも十分安全であります。 また、明治二十二年に田辺市内で記録した日雨量九百一・七ミリの雨が万一ダム上流に降った場合──知事さん、ここを聞いてください。関電が答えておるんです──ダム地点の流入量は約八千七百m3/s(推定)となり──九百一ミリ降ったのと同じ雨ですよ──ダム天端を越流することになりますが──いわゆるオーバーフローすると言っておる──この場合でもダムが決壊する心配は全くありません」と、関電はこんな答弁をしているんです。ここに関電の方がおられたら、よく聞いておいてくださいよ。「昭和四十九年に県のご指導を受け既設オリフィスゲート二門については水量調整可能な放流設備に改良いたしました。 これによって従来よりも洪水処理がより的確にできるようになりました」と。ちゃんとやりましたよ、もう住民の皆さんは心配ありませんと、こんなことを昭和五十九年に文書で回答しておるのであります。なのに、今回六門をあけるとき何と言われたか。「もうこれ以上ダムに水をためたらダムが壊れる。ダムが危ないから六門をあけさせてくれ」と言っておる。この矛盾を県はどういうふうにとらえられるのか、お答えをいただきたいのであります。
 昭和三十二年にダムができたということは、これはもう仕方がない。住民の皆さんから、取ってほしいという要望もある。しかし、これは一つの事実だ。仕方がない。そういう事実の中で今日までやってきた。三十三災の水害もあった。経験もした。そして、この九・十九災害を迎えた。なのに、こういうありさま。日置川町の住民の皆さんの不信を一体どういう形で県は取っていくんですか。それもお答えをいただきたいと思います。
 また、先ほど言いましたが、皆さん、知事さん、三門あけたら冠水する道路が何カ所もあるんです。六門あけたら、これはもう当然ふえるわけです。実は県の方でもいろいろとやっていただいているそうでありますが、本来、三門あけて冠水するような道路は一番最初に手直しすべきなんですよ。今慌てて、三門あいたから冠水するので道路をかさ上げしなければいけないと。それをどこでしなきゃいけないか。県がしなきゃいけないと。そんなこと、何で和歌山県がしないといけないんですか。関電にやらせればいいんですよ、関電に。これは当然じゃないですか。もし道路の冠水場所のかさ上げを和歌山県が──まあ「関電が負担をしましょう。そして、ともにやります」と言うのならまだまだわかるけれども、和歌山県ひとりで、そして「補助金が要るから日置川町が出せ」と言って道路のかさ上げをやったら、これは問題ですよ。そういうことはやらないと思いますけれども、土木部長、この道路の問題に関してはそういう点もひとつ勘案をしていただいて、冠水道路の箇所について、今回、何カ所、何キロ近くあったのか教えていただきたいと思います。
 また、この操作規程をつくった時点で、当然、和歌山県の日置川という河川を和歌山県も十分調べたはずだ。関電も調べたはずだ。その上に立ってあの操作規程ができたけれども、こういう状態である。私は、やっぱり河川の見直しをしなければいけない時期なのではないかな、こういうことも思うのであります。それで、和歌山県は「いや、もうそれでいいんだ」と言われるのかどうか、「いや、もう一度河川自体の構造なり、あるいはまたいろんな状況も勘案して調べ直してみましょう」ということになっていくのかどうかも教えていただきたいと思います。
 今、いろいろ申し上げましたが、今回、後ほどお聞きしますけれども、農作物あるいはまた林道等道路やその他で大変な被害があるので、こういうことも順番に直していってもらわなくてはいけないし、直す一つの土俵もつくってもらわなければならない。まあ農業関係者や林業関係者の方は、またそれぞれ農協なり森林組合で窓口になってもらって対応もしてもらわなければいけないと思うんですが。
 私はここで一つ民間で気の毒だと思いますのは、冠水の下流地域に虎屋さんという漬物屋さんがあるんですが、ここでは、日置川の川伝いにある、地元の七十戸近い農家の皆さんの梅を一手に買い取られて加工しておる。そして、日本ではここだけしかないという無塩、無添加の梅酢をつくっておる。これは二千円で売られているということでありますが、この三分の二以上は水につかってだめであります。──これまあ、社長さんから知事さんに飲んでいただきたいということであります。(現物を渡す)それは危険がない。ここに持ってきたのは、いわゆる梅でありますが、もう腐っておるんです。私はおとついも寄せていただいたんですけれども、たるの中の梅はもう全部だめであります。これはもう腐っておるので、これは食べないでください。そして、そのときの被災状況の写真もお借りしてきたんですけれども、大変ひどい。これまあ、知事さん、見てください。(写真を渡す)県の産業課が見に来てくれたり、いろいろと対応をやっていただいておるんですけれども、関電は、なかなか電話したって見に来ない。だれが言って見に来たか。県からですよ。県から「見に行ってやってくれ」と言われて、初めて重い腰を上げて現場に見に行ったというのが実情であります。
 そこで、この虎屋さんの被害というのは──設備関係ではまだ出ておりません。機械が腐ってきたりしますから、まだ出ないそうですけれども、原料関係で一億二千万、そして添加物や製品関係等、もろもろのものを合わせたら二億近い被害に遭っておられるんです。こういう民間の方に対して、今後、農作物の被害や山の被害と同じような対応をどのようにしていただけるのか、これを教えていただきたいと思うのであります。
 同時に、知事さんにお願いをし、そしてお答えもいただきたいのですが、私は、今回のこの被災は人災ととらえております。それだけに、今後、どうしても補償交渉というのに入っていくのであります。そういう場を和歌山県としてつくっていただける気があるのかどうなのか。「いや、今回の被害は、これはもう仕方がなかったんだ。皆さん、あきらめなさいよ。これはもう天が定めた運命だ」、そういうような形で行かれるのか、「やっぱりこれは重大な問題だな」というとらえ方をしていただけるのか。そして、そのとらえ方の中で、一歩進んだ中で補償交渉という場をつくっていただけるお気持ちがあるのかどうかについてお答えいただきたいと思います。
 三つ目の地元報道に入ります。
 今回のこの台風で、日置川町において四十六時間停電をしたのが十五戸、十三時間二十五分のところが三十戸、八時間四十分のところが四百二十戸、三時間二十分のところが千二十戸、合計で千四百八十五戸の家庭がずうっと電気が使えないままになっておるんです。それだけに、こういうときにテレビをつけたくてもつけられないということになれば、これはもうラジオになる。私どもの地元には、公共性を持って日夜情報伝達していただいておる、ラジオでは和歌山放送、テレビではテレビ和歌山があり、大変ありがたいわけであります。しかし、どうも今回、十六日から和歌山県を直撃するんだというような予測がありながら、テレビ和歌山さんには申しわけないが、あの十九日、八時に台風が白浜に到着するというのに、七時にも普通の番組をやっておられた。よその民放はいろいろと特番を組んで台風情報を入れていただいた。やっぱり和歌山県も、テレビ和歌山さんには八千万という資本を投下しておるんだから、当然、住民の皆さんに情報を与えてやってくれよというようなことを指導してやってほしかったと思うんですけれども、今後、どうされていくのか。
 また和歌山放送は、我々西牟婁郡では大塔村、中辺路、すさみ、そしてこの日置川町と難聴地域があるわけなんです。聞けば、中継局を設けたいけれども、なかなかいい場所がない、いい場所があっても土地の交渉がなかなかうまいこといかないと言う。そういうときに、もう少し連携をとっていただいて、和歌山県が地方の自治体と話をして土地の交渉してあげるとか、あるいはまた補助を出してやって十分電波が届くようにしてあげる。日置川町なんか、気の毒ですよ。四国の状況が入ってくる。徳島のどこで雨が降ったとか、どこがつかったとか、そんなこと、日置川町の人は関係ないですよ。聞きたいのは、今、和歌山県でどんな状態になっているのか、こういうことだと思うんです。
 あんまりマスコミの皆さんに言いますときょうのテレビ放映も半分で切られたら困りますので、この辺でやめますけれども、どうかこのことは、やっぱり公共性ということも勘案していただいて、ひとつ早急な対処をお願いしたいと思います。
 最後に、知事さん、危機管理であります。
 人間というのは突然やってきたら慌てるし、「災害は忘れたころにやってくる」ということわざがありますけれども、しかし、これだけの状態の中で、何が起こるかわからない時代の中で、お互いがもう少し危機管理をすべきだと思うんです。毎年防災活動もやっておられますけれども、私はまずこの日置川町のことに関して今後のことについてお尋ね申し上げたいのは、いわゆる操作規程の見直しをもう一度この時点でやられたらどうか、そしてもっと弾力的な運用が県の指導でできないのかどうか、さらに、県が中心となって、もう来るという地域においては対策本部を設けてそれの対応に当たるということが喫緊に求められておるんではないかなと思うんですが、どうでしょうか。
 きょうは、こうしてたくさんの地元の皆さんにおいでいただきました。私はそういうことを感じながらも、地元の皆さんには、この私の限られた時間内に十分に意を尽くせなかったことがあったと思いますけれども、今後、私ども西牟婁選出の四人がともども力を合わせながら今回の被災の早期復旧について、そして今後の対応についてやっていきますので、どうかひとつ県の皆さんも受けとめていただき、お願いを申し上げまして、第一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 大江議員にお答え申し上げます。
 十九号台風による日置川の水害等についてお答え申し上げる次第ででございます。
 先日の十九号台風に伴う風水害につきましては、県下全域にわたって相当被害があり、特に紀南地方においては甚大な被害を受けたわけでございます。また加うるに、昨日の二十号台風による被害がありましたが、これについては現在調査中でございます。被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げるとともに、特に日置川町において行方不明になられた中村さんの家族の方々に、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 このたびの台風十九号は、大江議員の話にもございましたように、昭和三十六年の第二室戸台風に匹敵するものであり、その経路となった日置川流域では、九月十九日夕方からの雨量が四時間で百八十ミリメートルを超えるという異常な豪雨となったのでございます。日置川町における水害は、この豪雨の出水により引き起こされたものでございます。
 このたびの関西電力殿山ダムの対応につきましては、いろいろ大江議員から詳細な説明がございました。現在、県においても詳しく調査を進めておるところであり、また水害の関係についても調査の結果を踏まえる必要があると考えております。
 過日の地元からの強い要望を私も十分関知しておるわけでございまして、今後、必要な措置について強く指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
 昭和三十三年のときの災害については、その後、私も関電と長期間にわたって交渉した経過もあり、実情も十分承知しておりますので、そうした態度で臨んでまいりたいと存じておる次第でございます。
 なお、詳しい問題等については関係部長から答弁いたしますけれども、危機管理の問題につきましては、お話ございましたように、絶えず平生からの体制について、県自体もお互い関係機関との連絡をとり、十分な配慮を行っているところでございます。特に報道関係等との問題、また災害が起こったときの処置の問題等について、今後とも十分な対策、体制を早急に確立してまいりたいと存じておりますけれども、特にお話ございました緊急時におけるダム操作の問題については、弾力的に運用できるよう、今後十分検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
 いずれにいたしましても、過去の幾多の災害を教訓として、先ほど申しました基本的な考え方に基づき、今後とも防災体制の整備に十分な配慮を図ってまいる所存でございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 台風十九号の被害の状況と今後の対応についてでございます。
 台風十九号につきましては、本県南部を中心に多くの被害をもらたしております。現在把握している被害状況を総括的に申し上げますと、行方不明の方が一名、負傷者七名、住家被害は七千戸を超えており、床上・床下浸水が六百戸以上ということでございます。
 また、農林関係の被害額が約六十九億円、土木関係で約五十四億円、その他約九億円でございまして、総額にすると約百三十二億円ということでございます。
 今後の災害復旧につきましては、関係部局とよく連携をとりながら、予算上の措置を含めて適切に対処してまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 台風十九号による商工関係の被害状況につきましては、和歌山県地域防災計画の報告要領に基づき、建物以外の商店の商品の冠水等による被害、また工場等への浸水による施設や製品等工業関係の被害、また観光施設の被害など、合わせて八十五件、被害総額四億七千万円以上と推計をしております。
 今後の対応といたしましては、中小企業の育成の立場から、また地域の産業振興の面から中小企業振興資金等融資制度を弾力的に活用してまいりたいと考えてございます。
 虎屋漬物株式会社の被害状況につきましては、無塩梅酢四万リッター、シソ梅酢八万リッター、シソ原料五十トンの原材料や製品、冷蔵庫その他の設備が冠水をし、また容器等の流出を含めて、現在精査はできておりませんが、被害額は一億円を超えるものと推計しております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農林水産の災害の状況と今後の対応でございます。
 畦畔等の農地被害が九億五千二百万円、農道等の農業用施設被害が十七億二千万円、農作物に対する被害が十八億二千五百万円、ハウス等の施設被害が一億九千四百万円、林道、治山、造林等の林業関係被害が十九億三千八百万円、水産関係二億五千三百万円、以上、被害総額は六十八億八千二百万円、総被害件数が三千九百件、農作物の被害面積が県下全般で五千六百ヘクタールに及んでございます。
 農作物の被害で特に目立つのは、紀北地域において柿でございまして、そのほかキウイフルーツ等、紀南においてはポンカン等にも被害が出てございます。ハウス被害につきましては、日置川町、白浜町、那智勝浦町、串本町、古座川町で倒伏や破損被害が発生をいたしてございます。
 林道関係でございますが、西牟婁郡から東牟婁郡にかけて六十一路線で路肩の崩壊、のり面の被害が発生しておりまして、木守平井線の古座川町内、将軍川線の日置川町内、南谷城ケ森線の美山村内でそれぞれ不通となってございます。また造林関係では、倒木等が主な被害でございます。
 今後の対応につきましては、災害発生後、直ちに現地調査を実施し、林道の不通箇所の応急措置を講じ、将軍川線、南谷城ケ森線が二十一日から通行可能となってございます。木守平井線の古座川町では被害が非常に大きく、応急措置ができずに、今、見通しも立ってございません。
 農作物被害につきましては、現在、病害防除あるいは植えかえ、まき直し等の技術営農対策を指導いたしますとともに、共済加入農家に対しては農業災害補償法に基づく共済金の支払いを早くできるように指導してまいる所存でございます。
 農道、林道、ため池などにつきましては、早期に国の災害査定を受けるため、市町村、県事務所挙げて査定設計書の作成に取りかかっている最中でございます。特に今回の災害につきましては、全国的に災害が発生しているところから、国において激甚災害法の適用が検討されることと存じますので、今後、高率補助の災害復旧事業が適用できるように市町村ともども国に働きかけてまいりたいと存じております。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、台風十九号による県下の被災状況と今後の復旧についてでございます。
 去る九月十九日二十時ごろ、中心気圧九百四十五ミリバールの強い勢力を保ったまま日置川町付近に上陸した台風十九号は昭和三十六年の第二室戸台風以来の大型台風でありまして、特に台風の進路に当たった紀南地方においては、日雨量では中辺路町野中で三百八十一ミリ、大塔村五味で三百五十七ミリ、最大風速は潮岬観測所で三十三・一メーター、瞬間最大風速は五十九・五メーターという暴風雨に見舞われ、各地において多大の被害が発生いたしました。
 また、昨日は小型ながら二十号が来襲いたしましたが、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 台風十九号による県下の土木部関係の公共土木施設災害につきましては、九月二十八日現在で、県工事分六百八十カ所、約四十二億八千万円、市町村分四百八十四カ所、約十六億一千万円、合計で千百六十四カ所、約五十八億九千万円の被害額となっております。
 これらの被害箇所で緊急に復旧を要する箇所につきましては、応急工事で早急に実施していくこととしております。また、応急工事以外の災害箇所につきましては、災害復旧制度を積極的に活用し、速やかな復旧を図るため全力で取り組んでまいる所存でございます。
 続きまして、日置川町における今回の水害についてでございます。
 まず、十六日からの天候不順の中での予測についてでありますが、九月十六日からの天候不順に際しては、秋雨前線及び台風十九号の本県への直接の影響が予測されたことから、県においては十七日十六時に県水防計画書に基づく水防配備体制第一号を、十六時十分に職員の防災体制等措置要領に基づく警戒体制を発令し、防災対策に万全を期しております。また関西電力殿山ダムにおいては、十八日六時に予備警戒体制に入っておりました。
 次に、関電殿山ダムの放流の仕方について、また関電が「県の操作規程のとおりで問題はない」と言っていることについてでございますが、ダムの操作規程は、河川法四十七条に基づき、ダムを設置する者があらかじめダムの操作方法について定め、河川管理者の承認を受けなければならないことになっております。殿山ダムにつきましては、ダム設置者である関西電力が定めたものであり、河川管理者である和歌山県の承認を受けたものであります。ダムの操作は、承認を受けた操作規程に従って行わなければならないことになっております。
 このたびの殿山ダムの放流につきましては、事前に予備放流を行い、洪水流入時においても流入量を下回る量の放流を行っており、ゲート操作に関しては現行の操作規程に従ったものでありました。
 放流の際の一般に周知させる措置でございますが、警報装置等の故障により下流の方々に不安感を与え、避難に際しては大きな混乱を招き、県としてまことに遺憾に存ずる次第でございます。今後、関係機関による検討の場を設け、このようなことのないよう関西電力に対し強く指導してまいります。
 気象情報をどうとらえているかについてでございますが、気象台から発表される警報、注意報等の気象情報につきましては、昼・夜間を問わず県防災行政無線を通じて市町村、関係機関等へ伝達するとともに、大雨洪水注意報が発表された段階で水防関係職員、ダム担当職員を待機させ、気象状況の把握に努め、災害が予想される場合、あるいは大雨洪水警報等が発表された場合には職員の警戒体制、水防配備体制を発令し、災害対策に万全を期することとしております。
 次に、なぜ十分な予備放水ができなかったかについてでございますが、予備放流につきましては、操作規程に基づき、十七日十時三十分から十八日九時及び十九日十四時四十分から十九日十八時に実施し、予備放流水位に貯水位を下げる措置を行っております。今回の状況を踏まえて今後の対応を検討するよう指導してまいります。
 また、なぜ三十三災の貴重な体験が生かされなかったのかについてでございます。
 殿山ダム完成の翌年の昭和三十三年八月に大洪水があり、下流域で大災害をこうむったことを教訓とし、その後、昭和四十八年六月に警報装置の増設、昭和五十年八月にオリフィスゲート二門を部分開閉できる構造とし、昭和五十年十月にダム操作規程を改正して予備放流水位を設定する等の改善を行ってきたところであります。今度の出水状況を踏まえ、さらに情報伝達体制等についても検討を加えるよう指導してまいる考えであります。
 次に、河川管理者として今回指導はあったか、あったとすればどのようなことかについてでございますが、利水ダムの操作について河川管理者が指示することにつきましては、現状では困難と考えてございます。したがいまして、今回の台風十九号に伴い、殿山ダムに対して洪水調節のための指示は行っておりませんでした。しかし、今回の経験を生かすためにも、県としては状況に即した対応を検討してまいりたいと考えております。
 町民の不安をどう取り除くのかについてでございますが、県といたしまして、関西電力に対し、洪水時の対応方法等について早急に検討を行い、地元の方々に御理解をいただくべく十分な説明を行うよう強く指導してまいりたいと考えております。
 九月二十五日に行われた町議会の議決をどうしていくのかについてでございますが、先日、九月二十六日に、大江議員、町田議員、浜本議員、堀本議員が同行され、日置川町長、町議会議長から「関西電力殿山ダム問題に係る是正・改善を求める申入書」が提出されており、六項目の要望が出されております。この要望項目につきましては、今回の状況を十分踏まえ、現在、調査並びに協議を進めており、県として関西電力に強く指導を行い、早期に日置川町に説明をいたしたいと考えております。
 次に、道路の冠水箇所についての対応でございますが、県道日置川大塔線につきましては、十二カ所で延長約三千五百メートルの区間が冠水により通行どめとなりました。この対策といたしまして、日置川の河川改修計画や対策必要箇所の対策内容と整合をとりながら道路のかさ上げ等の対応を検討してまいります。
 河川改修の是非についてでございますが、日置川の河川改修につきましては、国道橋である日置大橋から上流の田野井地区までの四千四百メーターについて昭和三十六年に改修計画を策定し、既に大古堤防、安宅堤防を完成し、本年度で矢田堤防を概成する予定で工事を進めているところでございます。平成三年度からは、今回の出水で浸水被害をこうむった田野井堤防の改築に着手する予定となってございます。
 一方、今回の出水を教訓といたしまして、河川の疎通能力等に関する調査を行い、それに基づいて対策の必要箇所並びにその対策方法を検討してまいりたいと考えております。
 関電側との被害補償の交渉についてでございますが、今回の被災は非常に勢力の強い台風十九号の直撃により発生したものであり、関西電力殿山ダムからの放流との関係については十分に調査を行い、対応していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 難聴地域の伝達についてでございます。
 災害時における情報伝達方法として、ラジオは最も有効な手段であると考えております。地形的な条件による和歌山放送の難聴地域につきましては、お説のように、有田郡、西牟婁郡、東牟婁郡の一部地域にございます。和歌山放送では、現在、橋本、高野、御坊、田辺、串本、新宮に中継局を設けておりますが、難聴地域を解消するためにはさらに増局する必要がございます。増局につきまして、和歌山放送においても努力を重ねられていると伺っております。県といたしましても、難聴地域の解消に十分協力してまいりたいと考えてございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) テレビ和歌山の台風情報等報道番組の内容充実についてお答えを申し上げます。
 テレビ和歌山におきましては、唯一の県域テレビとして、地域の報道、情報番組の充実に努力をされているところでございますが、議員御指摘のとおり、台風等災害時においては、とりわけその情報の質と速さが重要であると考えてございます。
 今後、広報担当部局を初め、関係部局と連携し、情報提供等、内容の充実が図られるよう取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 12番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕
○大江康弘君 もう時間がございませんので、要望ということでやらせていただきます。
 知事さん、新聞で梅本議長がコメントとして「台風によるダムの全門開放とはいえ人災の疑いが濃い」ということも申されている。前助役は、「避難命令を出した十九日夜は停電も重なり一時はパニック状態だった。三十二年前の大水害の教訓を生かされておらず、ダム全開はもうコリゴリだ」ということも言っておられる。
 まことに残念であったのは、人災か天災かということを明言してほしかった。私が、やっぱり人災というとらえ方をしたのは、殿山の合川のところに人が手を加えた工作物がある。ダム。富田はない。今回、地元の皆さんが非常に不安や不満や不信を抱いたのは、もう直前まで河原が普通の状態だった、それが、どっと流したものだから一気にふえた。これはもう当然つかりますよ。そうしたら関電は、「県の操作規程どおりにやったから問題はない」と。
 県警本部長、例えば車が時速四十キロで通っておった、そして子供がパーンと飛び出てきた、子供をはねた、けがをしたとする。しかし運転手は「私は四十キロを守っておったんだから問題ないのですよ」と、そんなことで通らないでしょう。私はまさにそういうことだと思うんです。富田川のように、上流地域に人が手を加えた工作物が何もない、その中でどんどん雨が降って水があふれ、山から流れてきて、そして自然増水して堤防を逸流してつかったというなら、まだしもあきらめがつく。しかし、まさに三十二年前につくった人為的なやつがあそこにあるわけなんです。人が手を加えたものです。それを操作規程どおりにやったから私のところは問題がなかったんだと、そういうことで許されないと思うのであります。
 まさに人災であります、これは。人災だ。そして、この際関電に対して県が強く指導してほしいというのは、構造的な体質の問題であります。十九日の台風が来るときに、もう十回も十五回も関電に電話をして「早く出してくれ」と言うたって、関電側は「そんなことはできません」と。そして、後で事故が起こっても、被災が起こったって、県が来なければ見に来ない。いわゆる上級監督が言わなければ動かないという、この体質の問題。こういうことを踏まえて、もう少し県が真剣になってこれからの補償交渉の場をつくっていただきたいと思います。
 日置川町民の皆さん、あるいはきょうの私の質問を聞いていただいた議会の先輩の皆さんや県民の皆さんは、どういうふうに今回の日置川町における災害をとらえられておるやもしれませんけれども、これは人災であるということを最後に申し上げ、県の的確な指導をお願いいたしまして、私の要望にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大江康弘君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕(拍手)
○小林史郎君 まず初めに、日高原発問題で質問いたします。
 何やかやとうっとうしいことの多い昨今でございますが、一松日高前町長の要請を受けて九月三日に開かれた比井崎漁協の総代協議会と理事会が「今後、原発建設には協力しない」という決定をしたニュースは近来にない朗報であり、これほど多くの県民にほっとした思いをさせたニュースはないのではないかと思います。昨夜はまた、明確に原発反対を掲げた志賀候補が当選しました。
 先日、一松前町長は、「今回の漁協総代協議会と理事会の結果を尊重しなければいけないと思う。私としても、その意向を踏まえて対処していくつもり」とのコメントを発表し、事実上、原発推進を断念する意向を明らかにしました。その後、地元の一部報道機関に、あくまで原発推進とも受け取れる別の町長コメントが掲載されたこともあって一時混乱を招く事態もありましたが、このコメントは関西電力によって新聞社に持ち込まれたものであるとの情報もあり、この辺の事情を含めた町長の率直な心境については、九月十三日の町議会における次のようなやりとりの中から十分にうかがい知ることができます。すなわち、山本源昭議員の行政報告と問題の町長コメントに関連しての質問に対し、「今のような環境のもとで、自治体だけでこういうような大きな問題に対処するということは非常に難しい、やれないと、こういうふうに判断いたしております。だから私は、この問題については絶対に今後やるべきでないと思っております。今のような体制では。だから、今まで新聞に載ったとか載らんとかいうことは訂正して、現在の心境は絶対にやるべきでないと、こういうふうに考えております」と答えています。
 一松前町長の言われる「今のような環境のもとで、自治体だけでこういうような大きな問題に対処するということは非常に難しい、やれない」という言葉は、いかに住民の原発に対する拒否反応が根強いものであるかを物語っています。このことは、昨夜の町長選挙の結果を見てもはっきりあらわれているわけであります。国や企業がどれほど安全神話を振りまいても、住民は万一事故が起きたときの恐ろしさを知り抜いています。
 先日、NHKテレビでチェルノブイリ原発事故のその後についての放送がありましたが、私はこれを見ていて肌のあわ立つ思いがいたしました。三十キロ圏に十三万五千人が住んでいて、その人たちはキエフ方面へ避難をしたけれども、白ロシア共和国では事故の現場から六百キロも離れた地域でもひどい放射能汚染が見られ、日本の基準値の実に四十倍にも及ぶ一平方キロ当たり四十キロキュリーという恐ろしい高濃度の汚染地域だけでも東京都、千葉県、神奈川県を合わせた面積に達しているということ、したがって、この地域に住んでいる一万二千人を今秋中に、これより少し低い十五ないし四十キュリー地域の九万人を来年半ばまでに、さらに五ないし十五キュリーの地域については子供だけを避難させる計画でありますが、それでもなお軽微な汚染地域には百七十万人もの人たちが残されるということであります。そして、汚染による農地の廃棄も二十六万ヘクタールに及んでいますし、とりわけ心に焼きついて離れないのは、幼い子供ほど被害が大きく、甲状腺がんや白血病が続発し、「少しでもよくなるなら、この子を日本へ連れて行ってほしい」と訴える母親の姿でした。また、移転先が狭いために子供や孫と別れて汚染地域に取り残されている老人たちがたむろする寂しい姿も、忘れ得ない光景の一つでありました。
 このように、一度事故が起きれば大変なことになります。だからこそ住民は、どれほど安全神話を聞かされても、金の誘惑に引かれるものがあっても、決して心を許さないのであります。
 思えば日高原発は、昭和四十二年の日高町の第二定例町議会で阿尾地区への立地の話が議題とされて以来、二十四年の長きにわたって論議されてきたところでありますが、昭和四十六年には阿尾原発の計画が白紙還元され、舞台が小浦地区に移されてからでも二十年近くになります。この間、スリーマイル島の原発事故があり、チェルノブイリ原発事故と続く中で、住民の原発建設への拒否反応はいかなる手だてをもってしても動かすことのできないほど強固なものとなり、ついに一松前町長もこのたびの断念声明を出さざるを得なくなったわけであります。
 一方、本県における日高町以外の候補地であった浦神半島、荒船海岸では、昭和四十六年に那智勝浦町議会において、四十七年には古座町議会において反対決議が行われ、もう一つの候補地であった日置川町においても、紆余曲折を見ながらも昭和六十三年七月の町長選挙で原発反対の現町長が当選する結果となりました。
 以上のことは、本県においては多くの県民が原発の危険を持ち込むことを許さないという決意をいかに根強く固めているか、また美しい紀州の自然を心から愛し、これを原発の危険と同居させないで子々孫々に伝えることにどれほど強い使命感を持っているかを示していると言えます。
 私は、このほど有田郡民の皆さんに対してアンケート調査をさしていただきました。それは、県政の中で緊急に取り組むべき課題として福祉・医療の充実や下排水対策など十五項目を挙げ、このうち、あなたにとって最も切実なものを三つ選んでくださいという形でお尋ねしたのでありますが、回答をお寄せくださった三百名余りの方の中で日高原発反対の項目に丸印をつけられた方が、第一位の消費税反対の四三%とほぼ並ぶ第五位の三〇%の多きを数えました。広川町では隣接町として過半数の有権者の反対署名が行われていますので、ある程度の数字は予測していましたが、清水町を含めた有田郡全体の中でこれほど高い関心度が示されるとは考えていませんでした。
 知事は、この間、原発建設については、今は亡き大橋知事以来の方針として、安全性、適地性、地元同意の三原則をもって対処されてきました。
 そこで、知事にお尋ねします。
 日高町において比井崎漁協が協力を拒否し、一松前町長が断念声明を行い、昨夜は原発反対の新町長が生まれたということは、本県における三つの原発立地候補地すべてにおいて住民がこれを拒否し、ここでの住民同意を得る見通しがなくなったと考えざるを得ないのでありますが、知事は、今日のこの事態について、三原則の地元同意の立場からどのような認識をお持ちかお示し願うとともに、この際、県民の心情を素直に受けとめて、今後、本県においては原発立地の推進を取りやめていただきたいと思いますが、御所見のほどを伺いたいのであります。
 次に、同和問題に関連して若干の問題で質問いたします。
 まず、同和問題の解決を目指す展望の問題でありますが、いよいよ二十三年間にわたる特別措置法による同和行政の最終年度を迎えようとしているわけであります。こうした中で、法の延長や新法の制定を求めるのか、それともこの際、地域的、分野的には必要な経過措置をとるとしても、基本的には一般行政に移行する方向で自立と融合の課題の追求を強めていくのかという相反する二つの考え方の議論が正念場を迎えてきています。
 私は、同和行政に依存し続けている限り、いつまでたっても同和問題の解決の日が来ないと思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(以下七行削除)
 私たちは、二十一世紀へ差別を持ち越さない、つまりあと十年で部落差別の問題を基本的に解決することを目標に掲げていますが、二十三カ年にわたる特別措置法による格差解消の成果を踏まえるならば、このことは十分に可能だと考えています。そして、このことを実現していくためには、ここらあたりで同和行政への依存から脱却していくことが何よりも大切だと考えています。
 皆さんも御存じのように、部落解放運動の原点である水平社運動は「部落民みずからの力で絶対の解放を期す」と宣言しているように、自立精神そのものの運動でした。
 私の父は水平社運動の活動家でしたが、子供心の記憶によれば、家で飼っている鶏やウサギを売って活動のための旅費をつくり出かけていった姿が浮かんできますし、大阪・西浜の水平社の本部を支えるために毎年何俵かのお米を送り続けていたことも覚えています。また、仲間の中から弾圧検挙を受ける人などが出た場合、お互いが金を出し合ってその人の家族の生活を支えるのが常でした。
 戦後の混乱期の昭和二十二年夏に、私たちは湯浅町で和歌山県部落解放大会を開催したのですが、そのとき、金英除虫菊の戸田専務さんから二千円と有田鉄道の川村社長さんから五百円のカンパをいただきました。これは当時として大変な金額で、小躍りしながら喜び勇んでこのことを父に報告したところ、こっぴどいおしかりを受けました。いわく、「わしら、長年水平社運動を続けてきたが、一度として人様のお情けにすがった覚えはない。事もあろうに資本家の援助を受けるとは何事か。すぐ返してこい」というわけで、本当に残念な思いで返しに行ったのであります。このことが果たして正しかったかどうかは別として、人の情けにすがることを恥とした戦前の水平社運動がいかに旺盛な自立精神に満ち満ちていたかをうかがい知ることができます。
 時代は大きく変化発展し、部落問題の解決が国民的課題として、行政の責務として取り組まれるようになったわけでありますが、運動というものはすべて弁証法的に発展するものであって、特別措置法の期限切れを前にした今日の時点において、自立精神に満ちあふれた水平社運動の原点に立ち返ってみることが必要でないかと思うのであります。そしてそれは、かつてのような孤立と対立の感情に根差した自立の精神ではなく、国民的課題としての広がりと行政の責務を土台にした、高いレベルの新しい自立精神の確立を求めていくものとなるのではないかと思うのであります。
 いま一つ部落問題の解決を展望するに当たって重要な問題は、どのような状態をもってして部落問題が解決したと言えるのかということであります。
 今でも各地でこれほど多くの差別事件が起きているのですから、部落差別の解決はまだまだ遠い先のことだという主張が広く聞かれます。しかし、差別事件を起こす不心得者が一人もいなくならない限り部落問題の解決はないのでしょうか。私は、決してそうでないと思います。たとえひどい差別言動を行う者があらわれても、その周囲の人たちによってそれが厳しく批判され、その地域社会がこのような不心得者を許さないような人権意識を持つようになっておれば、それをもって、その地域社会では部落差別の問題を一応解決していると言えるのではないでしょうか。例えば同和結婚の場合、もし偏見を理由に反対する親があっても、「何とまあ頭の古い、おくれた人だなあ」と、その地域社会では愚か者扱いされ、その批判の中で結局は二人の結婚を認めざるを得なくなるというふうな関係ができておれば、その地域社会においては結婚に係る部落差別の問題は解決していると考えられます。つまり、一人の差別者もいない社会の実現がたとえ遠い先のことであっても、部落差別を許さないという人権意識を備えた町づくりは今日においても十分に可能だということであって、こうした観点に立つならば、二十一世紀へ差別を持ち越さないという私たちの目標は極めて現実味を帯びてきます。
 以上のように、私たちは部落差別を二十一世紀へ持ち越さないとの目標を定めて取り組んでおりますが、知事としては、この部落問題の解決について、その時期、解決のための条件などとの関係でどのような展望をお持ちであるのか。また、この展望の中で同和地区住民の自立と融合の課題をどのように位置づけておられるのか。さらにまた、この自立の課題との関係で、いわゆる基本法制定を求める動きについてどのような御所見を持っておられるのかを伺いたいのであります。
 続いて、新宮市議会と那智勝浦町議会における議員の部落問題にかかわる発言問題について質問します。
 せんだって、県議会同和対策特別委員会において県下における差別事象の現況について報告があり、特に議会人にかかわる問題が多いとの指摘がありました。そのとき私は、下津町議会の問題はわかるとしても、紀南の問題については、それが差別事象であるかどうかの判断資料を何も持っておらず、事務局の報告をそのままに受け取るわけにはいかない旨、発言しておきました。その後、那智勝浦町議会と新宮市議会の問題については、議事録や関係資料を取り寄せ、一通り読ませていただきましたが、何が差別であるかがわかりにくいというのが率直な印象でした。
 例えば那智勝浦町の一九八七年八月の定例会における9番議員の質問内容は、その後、白紙撤回をされ、今もその陳謝をめぐってもめているとのことですが、速記録を読んだ限りでは、当局の提案説明に対する不満と工事費のむだ遣いを戒めているだけで、全く議員の正常な審議権の範囲の発言であって、とやかく外から文句のつけられる性質の問題とは到底思えません。
 新宮市の決算委員会の議事録についても、発言議員の同対事業や諸制度に対する理解の浅さはうかがえますが、意味不明瞭な部分が多いとしても、全体としては属人主義への疑問を投げかけているのであって、議会人の審議権として当然に容認されるべき範囲のものであり、このような発言を、どんな権限があってのことか存じませんが、特定の団体が恣意的に差別事件として社会問題化するようなことは許されてはならないのであります。
 私は、新宮市人権尊重委員会の基本的見解等の関係書類を読ませていただきましたが、そこには自分たちの考え方だけが最高に正しいとする唯我独尊的な一面性がうかがえますし、何か議会運営そのものについても指図できる権限を持っているかのような錯覚がその文脈から浮かんできます。
 皆さん、議会制度は民主社会の根幹であり、議会での発言権はだれにも侵されず、最大限に保障されるべきものであります。もし、同和問題にかかわって差別だと言われれば自由に物が言えなくなるというような雰囲気が議会の中につくられるようなことがあれば、それは議会制民主主義の自殺行為につながりかねません。
 以上のようなことで、新宮市と那智勝浦町の現状について危惧するところがあるわけでありますが、県としてどのような状況把握を行い、どのような指導を行っているのかを御報告願いたいのであります。
 続いて、井野前警察本部長の退任のあいさつに関連してお尋ねいたします。
 ここに九月三日付の朝日新聞のコピーがございますが、「吉備の贈収賄疑惑摘発に力 中部管区警察局へ転出の井野県警本部長」という見出しで、次のようなことが書かれております。「在任中、有田郡吉備町の食品工場進出をめぐる贈収賄疑惑(去年十月)など汚職摘発にはとりわけ力を入れた。『警察の力量は、汚職のような潜在している犯罪をどれだけえぐり出せるかということで一番問われる。汚職の摘発はどんどんやるようにというのが私の方針だった』。とはいえ、供述中心の汚職調査では、関係者がだんまりを決め込むと思うように捜査が進展しない難しさがある。『できるかぎりのことはした』としながらも、『他の県に比べて、和歌山では口の堅い事件関係者が多かったように思う』とくやしさもにじませた」という記事です。
 もちろん、今読んだ部分はすべて井野前警察本部長の発言というのではなく、記者の主観によって構成されている部分も多いわけです。しかし、この記事の流れを読む限りにおいては、いかにも井野前県警本部長が吉備町の汚職摘発に全力を挙げたかのように、そして関係者の口が余りにもかたかったので起訴に持ち込めなかったことを悔しがっているかのように読み取れます。
 吉備町は、昭和四十四年以来、ドーン計画という名の同対事業に取り組み、先ほど来強調してきたような自立の精神を身をもって実践しつつ、全国に先駆けて部落問題の完全解決宣言を出そうと懸命に努力をしているところであります。この吉備町役場に、昨年十月、同和汚職の強制捜査が行われたのでありますから、町民の受けたショックは大変なものでした。とりわけ、完全解決宣言を出そうとして二十周年記念事業に取り組んでいたドーン計画推進委員たちの警察の不当捜査に対する怒りにはすさまじいものがありました。
 本年二月、不起訴が決定されました。担当弁護士の話では、「個人に対する強制捜査が不起訴になることはあったが、行政に対する強制捜査が不起訴になった記憶がない」というほど、完全無罪の不起訴という結果が出たのであります。ドーン計画の名誉を傷つけなくて本当によかったと心の底から喜び合った町民はどれほど多かったかと思うのであります。そこへ、このような記事であります。私は、ドーン計画の旗のもとで完全解決へのひたむきな努力を続けている人たちの心を逆なでするものとして、絶対に許せない心境であります。
 そこで、県警本部長より、この朝日新聞の記事から受け取れるような吉備町を問題にした発言があったのかどうか、その真意は何であったのかを御報告願いたいのであります。
 次に、下水道事業について質問いたします。
 聞くところによりますと、本県の下水道普及率はわずか三%と全国最低で、このことが本議場でもたびたび問題になるところでありますが、最近は農村部においても農地の宅地化がどんどん進行し、また生活様式の変化から水洗便所への要望が強まるなど、本格的な公共下水道事業の実施を求める声が一段と広がってきています。
 例えば、先ほど原発のところで紹介した私のアンケート調査によっても、下排水対策など環境整備を要求する者は、日高原発反対を一ポイント上回る三一%を占める大きさであります。また、ちょっとした大きな雨が降ればすぐ床下浸水するような地域は、有田においては広川町でも湯浅町でも吉備町でもかなり多いわけで、しかもそのほとんどが小手先の対策ではどうにもならない重症地帯であって、本格的な下水道事業の実施が切望されています。
 そこで土木部長に、次の質問についてお答え願いたいのであります。
 その第一点は、県下の公共下水道事業を必要とする地域について、その実態を調査把握されているのか、またこれらに基づく市町村との連絡がどの程度行われているのかということであります。
 第二点は、吉備町では今年度から基本計画の策定に取りかかるとのことでありますが、平成七年度を目標年次とした有田川・紀中流域別下水道整備総合計画の実施見通しがどうなっているのか。有田郡市関係の市町別に大体のプログラムがあるならば御説明願いたいのであります。
 最後に、椿山ダム対策で質問いたします。
 椿山ダムの放水、管理問題については、昨年の二月定例会においてもいろいろ御要望申し上げたところでありますが、その後、関係者の皆さんの間では大変御努力をいただいているようで、感謝申し上げておきたいと思います。──先ほどの大江議員の話では、殿山ダムで大変なことが起きておりますが、幸い椿山ダムではなくて結構だと思っております。
 このたびもダム下流の人たちから幾つかの改善要望が参っておりますので、次の諸点について改善への御努力をお願いしたいのであります。
 その第一点は、放水を知らせる放送内容の改善の問題でありますが、洪水調節に至らない軽度な放水の場合でも、その放水量と、各地点でどの程度水位が上がるかについて知らしてほしいということであります。何でも、ことしの八月二十四日には、川辺町の三百瀬で釣り人が中州に取り残され、ヘリコプターで救出される事故があったようで、ぜひこのことを実現してほしいと思います。
 第二点は、警報車の増車の問題です。現在、ダム管理事務所にある二台の警報車だけでは放水の影響の出る三十分前の時間内に河口付近の人々まで徹底させることは大分無理なようですので、ダム下流の関係自治体の協力を含めて警報車の増車をぜひ実現してほしいということであります。
 第三点は、二年続きで起きた他府県からの釣り人事故の例から見ても、川辺町、御坊市などの下流地域においても警報機を設置してほしいということであります。
 第四点は、ダム操作規程の改善の問題です。八百トン以上放水すれば下流で冠水被害が出るとのことであり、この前の台風では千二百トンの放水があったようでありますが、こうした急激な水位の変動や濁水のアユ漁に及ぼす影響等、いろいろな苦情があるようであります。そこで土木部長にお尋ねしますが、これらの改善要望の中には比較的実現しやすいものもあれば、なかなか難しいものもあろうかと思います。それで、これらの改善要望について関係自治体と率直に話し合い、効果的な対策について意思疎通を図る場として協議機関の設置をお願いしたいわけでありますが、土木部長の御答弁をお願いいたしたいのであります。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの小林史郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小林議員にお答え申し上げます。
 最近の日高町の原発問題等に関連して、原発三原則の地元同意という立場から知事はどう認識しているかということ、また、今後、本県の原発推進を中止するような考えはないかという御質問でございます。
 三原則の一つである地元の同意につきましては、地元の首長及び議会の同意が必要であるとこれまで再三にわたり本会議でお答えしてまいったところでございまして、現在の状況から拝察して、現時点では地元の同意が成立している状況にはないと考えております。
 こうした状況を踏まえまして、今後とも、県の判断基準である三原則を堅持する立場から地元の意向を尊重してまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、同和問題でございます。
 部落差別が解決した事態とはどんな状況かという問題でございます。
 同和問題は、言うまでもなく、人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、憲法によって保障されている基本的人権にかかわる課題でございます。この基本理念を実現することが同和問題の解決になると思料しているところでございます。このため、本県においては従来から諸施策に懸命に努力しているところであり、その結果、ハード面はもとより、ソフト面においても県民の本問題に対する意識高揚等、相当な成果を上げて明るい展望が開かれているのも事実でございます。
 今後も、一日も早い完全解決を見出されるまで、議会初め県民の皆さん方の御理解と御協力を得ながら積極的に努力してまいりたいと思います。
 次に、部落差別の解決への展望の中で、自立の課題をどう位置づけているかということでございます。
 同和問題を解決するための行政の果たすべき役割は、関係者の自立を促進することが現在の状況の中で主要な課題であると受けとめてございます。関係住民の経済的、社会的、文化的な生活の向上に努めるために教育条件の整備、就労の場の確保などの施策を実施してまいった結果、生活実態等の改善はなされつつあるとはいえ、なお問題が残されているのも現実の姿でございます。
 今後はこれらの課題を一日も早く解決することが重要であると考え、努力しているところでございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 差別事件の処理に関しましては、同和問題の解決への展望を見失うことなく、県同和委員会の処理基本方針に基づき対応しているところでございます。
 御質問の両市町の差別事件に関しましては、それぞれの市町の主体性によりその解決に努力をしてございますが、県としては、地方の同和委員会と連絡を密にしながら、市や町の要請に応じ、指導に努めているところでございます。
 なお、議会における発言についてでございますが、人権尊重の立場に立ち、同和問題を解決しようという信念に基づく発言が前提であると考えます。しかし、人間をべっ視する発言、また同和問題解決を阻害しようとするような発言については問題として処理すべきではないかと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 県下における下排水対策の必要地域を調査把握しているのかということについてでございます。
 下水道の整備と排水対策に対する県民の方々の要求は、都市部のみならず、農山村地域においても強く求められているところでございます。県では、昭和五十二年以来、紀の川、有田川、田辺・南部湾の三流域において流域別下水道整備総合計画を策定し、下水道整備の指針とするほか、昭和六十三年から平成元年にかけ、庁内関係部局と協議を行い、県下全域において下水道の整備を必要とする一定規模以上の家屋連檐地や浸水の状況を調査し、その整備を計画的かつ効率的に進めるための指針となる下水道整備エリアマップを策定したところでございます。
 今後、この資料をもとに、公共下水道、農山漁村集落排水施設、地域し尿処理施設等、その地域に適合した整備手法や国庫補助金、地方債等の財政制度、県と市町村の役割等について検討し、下排水対策を積極的に進めてまいります。
 次に、有田川及び紀中地先海域流域別下水道整備総合計画の実施の見通しと有田郡市の実施プログラムについてお答えいたします。
 この計画では、有田川の流域に定められた水質環境基準を維持達成するため、流域にかかわる有田市等一市七町が平成七年までに、それぞれに公共下水道事業を実施する計画になっております。有田郡市では、吉備町が本年から事業化に向けて基本計画の策定を行います。有田市、湯浅町、広川町、金屋町についても、来年度以降、順次基本調査を行い、事業化が図れるよう市町を指導してまいります。
 次に椿山ダム対策について、放水警報の充実やダム操作規程の改善について関係自治体との協議機関を設置できないかということでございます。
 ダムの運営管理につきましては、地元関係者の方々のダムに対する深い御理解と温かい御協力が必要であります。今後、早い機会に、ダム管理上の各種情報の提供や洪水調節時及び渇水時におけるダム効果のPR等を含めてダムのありのままの姿を知っていただくとともに、議員御指摘の趣旨を踏まえ、関係者の方々の忌憚のない御意見を聞かせていただいて円滑なダム管理を図る協議のための組織を設立すべく、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) お答えいたします。
 御質問の件につきましては、前本部長が転任に当たって在任中の感想などについてインタビューに応じた際、選挙違反事件や汚職事件の捜査に関する質問に答えた内容の一部が記事になったものと承知しております。
 御質問の事件は、昨年十月に事件着手いたしまして、同年十二月、和歌山地方検察庁に書類送致したものであり、その事件についての感想を述べたものと承知しております。
 申すまでもなく、いかなる場合であっても、厳正、公平、不偏不党の立場で捜査活動を進めるのが警察の立場であります。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕
○小林史郎君 再質問させていただきます。
 先ほど、椿山ダムの関係で、何も問題がなくてよかったというように申し上げましたが、全くなかったということではないので。八百トンで冠水被害が出るところを千二百トン放水しておるんですから部分的には幾つか出ておるわけですが、殿山ダムのような大きな被害が出なくて結構であったという意味でございますので、訂正をしておきます。
 まず、原発の問題でございます。
 知事、なぜ「県民の心情を考えたらやれませんから、もうやめます」と、はっきりここで言えないんですか。町長選挙の結果を見てもはっきりしていると思うんです。原発を争点隠ししながらも、原発反対を掲げた町長があのような得票で当選するということは、もう絶対ここへ来てもらったら困るという町民の心情がよく出ていると思うんです。そういう点から、なぜはっきり言えないのかなあと不思議でなりません。
 有田に、もう亡くなられたのですが、尊敬する地方の財界人がおられました。知事の後援会で大きな役割を果たしておられる方だったと思いますけれども。その方は保守の立場でございますけれども、「わしは保守であっても、自民党であっても、原発と米の自由化だけは反対なんだ。このことを知事さんに言いたいんだ。知事の取り巻きの人はたくさんいるけれども、直言する人は少ない。何としてもわしは言いたいんだ」と言うて、「体の調子が悪いのに行くな」と言うてとめたのに何かの会合に出かけて、会場で心臓発作を起こして亡くなられた。こういう方がおられますけれども、いわゆる原発の問題というのは、政党政派とかいうものを超えた、一つの心情としては、今日の結果についてほっとする思いがお互いにあるのではないかと思うんです。そういうものを本当に押さえていただいて、県民の心情と関電の意向とどちらを大事にするのかということを明確にしていただきたい。だから、少なくともこの議場で「今後十年間、私は原発をやりません。凍結します」と言っていただけるかどうか、御答弁をお願いしたいと思います。
 水平社運動の問題でございますが、自立がいかに旺盛であったかということを訴えました。これは今もはっきり出ておるわけで、先ほど県警本部長の答弁がありましたが、例えば吉備町のドーン計画というのはどういうものであるかということも認識していただきたいわけです。このドーン計画は、町議会、県議会、国会へと請願書が出されて採択されたわけですけれども、その請願理由の中心点は何かと言うと、差別者のない吉備町ではなくて、差別される部落民のいない吉備町をつくりたいということ、これがドーン計画の請願趣旨であります。
 ここに、ドーン計画二十周年記念事業として出された「輝く心の命」というパンフレットがございますが、この中に、ドーン計画をやってきた中で現状はどうなっておるかということが出されております。吉備町の同和委員会では、「地区住民の生活安定度や自立意欲の向上度に絶えず関心を持って観察していますが、過去に比べ飛躍的な向上を示しています」と言って、「生活保護率 昭和三○年の受給率は二〇%であったのが、昭和四二年には八・二%、昭和六三年には三・五%と減っています。 所得税(国税)納付者 昭和四八年に八一人であったのが、昭和六三年には一四八人と増えています。 固定資産税納付者 右と同年度で比較してみると九八人が一九二人と増えています。 ドーン事業による住宅新築資金、宅地取得資金の借入金は毎月返済する制度になっていますが、その返済率は九八・二%というすばらしさです。 進学と奨励金受給 平成元年四月の高校進学者は一八人(卒業者全員)、その中で奨励金辞退者十一人。大学進学者五人、その中で奨励金辞退者三人となっています」と、いわゆる同和行政に依存しないでできるだけ自立でやっていこうと、こういう成果が上がってきておるわけです。
 そういう意味から言いますと、差別をされるような部落民のいない町づくりというのは、あと十年でできる見通しがはっきり出てきているのではないか。また社会においても、差別者が出た場合に、それを厳しく批判して許さないような人権意識があと十年すればできるのではないか。だから、ここでそうしたことに全力を挙げていく。同時に必要な経過措置はとるべきだと思いますが、いつまでも同和行政に依存し続けていくと、差別がまだ残っておるのだということを常に証明していかなければなりませんから、差別事件を摘発していく、社会問題化していく、こういうことが盛んに行われる傾向が出てくるわけで、そういう意味で私は、今度の那智勝浦町の問題、新宮の問題についても危惧を感じておるわけでございます。そういう点も含めて、答弁をいただきましたが、もうひとつしっくりしないところがございましたので、要望としてそれを申し上げておきます。
 最後にもう一点、下水道事業でございます。
 平成二年度の進捗率は、県の長計によれば一一%の予定でしたが、三%しか達成されていない。平成十二年度では三九%まで引き上げるということですが、それはなかなか難しい数字ではないかと思うんです。
 そういう意味で、国の財政措置が非常に求められるわけでございますが、特に財政力の規模の弱い町村段階では、そういう点、非常に重要だと思いますし、今度、生活関連重点枠ですか特別枠があるようでもございますので、この中でこうした弱体化した市町村に対していろいろと特例的な援助対策をしていただくよう政府に要望していただけるかどうかお伺いして、私の再質問を終わらせていただきます。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小林議員にお答え申し上げます。
 原発問題についてでございますけれども、さきに発言したとおりでございます。十分意味を酌み取っていただきたいと思います。
 それから、下水道の問題で国への要望につきましては、当然、これを国に対して要望してまいりたいと思っております。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 市町村の下水道整備を推進するに当たり、財政措置は非常に重要なことと考えております。建設省では来年度の予算要求に、国庫補助対象範囲の見直し、下水道基本計画策定費補助の充実、地方債に係る制度の改善、また生活関連経費重点化枠に町村の公共下水道を緊急に実施するための経費を計上しております。県といたしましても、これらのことが実現するよう、国に強く働きかけてまいります。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で小林史郎君の質問が終了いたしました。
 〔「議長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 33番松本貞次君。
○松本貞次君 ただいまの小林議員の発言について不適切な発言がありましたので、議長の対応をお願いしたいと思います。
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(以下十五行削除)
○議長(岸本光造君) 速記録を精査の上、善処いたします。よろしいですか。
 〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時十六分休憩
 ─────────────────
 午後一時九分再開
○副議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 まず最初に第四次長計における原子力立地政策の撤廃について、二つ目は教育問題について、三つ目には関西電力殿山ダムと十九号台風について質問をいたします。
 昨日九月三十日、日高町長選挙が執行されました。御承知のように、この選挙は、「原発問題、もう懲り懲り。原発には一切取り組まない。原発に頼らない行政。混乱の二十年を取り戻せ」とする町長選挙でありました。そして、けさほど来の新聞記事に掲載された「原発断固反対」の新町長の笑顔は、極めて印象的であります。特に、前町長より要請のあった原発の海上事前調査に対する比井崎漁業協同組合の九月三日の拒否声明以来この一カ月、各紙は連日、日高町を中心とする原発推進や原発拒否の経過や状況について掲載したところであります。
 けさほど来も小林議員から指摘がございましたが、紀伊半島における原発問題は、昭和四十二年七月、日高町は当時の日高町長による阿尾地区への原発誘致表明に端を発し、続いて東牟婁郡は古座町荒船地区への誘致計画、さらには那智勝浦町の浦神半島誘致計画、引き続き昭和五十年十一月、西牟婁郡は日置川町市江地区と、二十有余年の歳月の中で、該当地の町当局、町議会は住民の激しい賛否の政争に明け暮れたのであります。しかしながら、この間、紀伊半島に住む人々は原発推進とその立地政策に具体的に都度とどめを刺してきたのであります。原発推進とその必要性をいかに力説しようとも、該当地区住民は反原発の町づくりを選択したのであります。「事実は小説よりも奇なり」──この間、二十年にわたる反原発の闘いとその帰結は、好むと好まざるにかかわらず、紀伊半島の住民が果たした歴史的な現実であります。
 そこで、私は次の点について質問をいたします。
 一つ目。知事は、今期定例議会提案説明に先立ち、最近の県政の動きについて幾つかの重要な諸点について報告を行ったところであるが、これほど長きにわたり、これほど県内で大きく揺れ動いた原発問題については一言も触れなかったが、まさに終止符が打たれようとする紀伊半島、和歌山県のこの歴史的現実をどう認識しているのか、まずお答え願いたいのであります。
 二つ目。和歌山県長期総合計画は、原発立地の基本方針を次のようにうたい上げております。すなわち、「国が、電源三法等の諸施策により配慮している状況から、県としては、適地性・安全性・地元の同意という三原則を堅持し、立地地域を総合的に整備し、住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」、また「原子力発電所の立地に関し、安全性の確保を図るとともに、立地に伴う地域振興効果などの調査・研究を実施する。また、企業および関係自治体間の連絡・調整を積極的に推進する。さらに、原子力発電についての住民の正しい理解を得るために、地元自治体や関係団体と連携をとりながら、住民の合意形成に役立つ広報活動を推進する」。この基本方針、なかんずく「原子力発電についての住民の正しい理解を得るために、地元自治体や関係団体と連携をとりながら、住民の合意形成に役立つ広報活動を推進する」という県のこの積極策は見事に裏切られ、ついに住民の合意形成を得るには至らなかったのであります。それでもなお県は住民の正しい理解を得るための努力をしようとするのか、お答え願いたいのであります。
 この場合、「正しい理解」とは原発是認を指し、「正しくない理解」とは反原発を指すと私は文理上の解釈をするものだが、そうであるならば、反原発は愚民視されているものと解釈せざるを得ないのであります。では一体、「正しい理解」とはどういう中身を指すものか、この際、ぜひ開陳されたいのであります。
 三つ目。第四次長計の原発の基本方針はもはや和歌山県では形骸化したと私は判断をするがゆえに、この原発の基本方針は削除すべしと思うが、県はなおこの方針にしがみつこうとするのか、お答え願いたいのであります。
 四つ目。思い出すのでありますが、一昨年、私たちが日置川町長選挙を戦っている選挙期間中、関西電力の森井社長は日置川町長選挙に触れ、「非常に関心を持っており、結果について心配している。しかし、どういう結果になろうと日置川町、日高町に原発を建設する」とテレビや新聞紙上を通じて強調したが、知事はこの発言についてどのような見解を持っているのかと私がただしたところ、知事は「関西電力の森井社長の発言は、電気事業者として国のエネルギー需要を賄うといった立場に立って希望的方向を発言したものと受けとめている」と答えたが、さらに反原発町長の当選後、森井社長は、「選挙にはいろいろな争点があったと思うが、結果から見て、町民の皆様の原子力発電への御理解が十分得られなかったと受けとめている。しかし、立地に対しては、引き続き地元の御理解が得られるよう粘り強く努力したい」と発言しているのであります。
 また、今回の九月三日の「今後、事前調査問題は一切受け入れない」とする比井崎漁協の決定に対し、浦木立地部長は、「小浦地区で立地を推進していく考えに変わりはなく、今後とも組合員の理解をいただくよう、引き続き努力を重ねていきたい」とのコメントを行っているのであります。
 これらの発言は、民主主義の否定、地方自治の否定、企業の独善であると私は思うが、いま一度、これらの発言について県はどのような見解を持っているのか、伺うものであります。
 ちなみに、私はさきの六月県議会において住民合意を得ることのできなかった串本町のゴルフ場建設問題に触れたが、その際、「結果がどうなろうと、私どもは潮岬地域にゴルフ場を進めていく考えに変わりはなく、引き続き努力を重ねていきたい」と、オーナーに予定されていた紀陽銀行や島精機がコメントを行ったとすれば、これは一体どういうことになるのでしょうか。
 しかしながら、関西電力は依然としてこのような発言を繰り返しているが、これらの一連の発言について、県の毅然たる態度を明らかにされたいのであります。
 次に、教育問題についてお伺いをいたします。
 七月六日、兵庫県立神戸高塚高校の期末テストの第一日目。この日、午前八時三十分ごろ、入学してまだ三カ月の一年生であった石田僚子さん──十五歳であります──は、校門指導に当たっていた一人の教師によって勢いよく閉められた重さ約二百三十キロの鉄製の門扉と門柱に頭を挟まれ、二時間後、病院で亡くなった。入学後、これまで遅刻をしたことのない僚子さんが、この朝、どんな理由で時間ぎりぎりに駆け込んだのか。僚子さんは、どんな思いで学校への道を急いだのであろうか。その理由すら確かめることもなく、学校の「指導」の名によって死に至らしめたこの取り返しのつかない事件は、学校教育の名に値しないものと私は思う。なぜならば、「指導」という名のもとに管理を徹底する中で、人の命を奪う帰結が教育という営みの中で行われてもいいという論理はあってはならないからであります。そのような管理主義教育や暴力的行為は、恐怖の押しつけでしかない。恐怖は憎悪を生み、機械主義的押しつけは面従腹背の人間を育て、暴力は、それを軽べつする生徒を育てる一面と、より暴力的な報復の心を生徒に植えつける結果を招くのであります。
 本事件以外にも、この間、広島の教え子殺人事件、福岡市の生き埋め体罰事件など、教育現場にあってはならないこの種の事件が報道され、今、教育は国民の厳しい批判にさらされていると言っても過言ではありません。
 さて、六月県議会における常任委員会改選後、初めての文教委員会──八月六日に開催されました──その席で私は、県教育委員会は本問題について討議をされたのかどうかただしたところ、教育委員会は前口上をいろいろ話をして「そんなことは聞いておりません」と。「教育委員というのは五人いらっしゃるのですね。そこで討議をされたのかどうかということを聞いておるんです」。そうするとまた、どこかのだれかが立って何か言い出すので、「そういうことを聞いてはないんです。人の話をよく聞いてくれ。討議をされたのかどうか、それだけ答えてください」と言ったところ、教育委員会は静かに、「してございません」と答えました。
 教育委員会は、議事録が必要であります。会議の場所や日にちを示すことが必要であります。その討議状況と内容について、この際、ぜひ開陳されたいのであります。本県教育委員会は、県内の教育現状の分析、なかんずくその視点として暴力的教育の有無、力ずくで子供たちに向かう教育、管理主義偏重の教育の姿勢、校則の現状等々を検討する中で、この種の問題に対する基本理念と指導方針を全県民に明らかにすべきであると思うからであります。
 二つ目、来年度の高校募集定員について質問をいたします。
 今、県下各地のPTAでは、来年度の中学校卒業生徒数の状況に基づき来年度の高校募集定員の減少が行われるのではないかとして議会への請願、また県当局や教育委員会に対し、募集定員減に反対する署名を添えての陳情等、運動が展開されているところであります。
 私は、当議会で報告された文教委員会並びに総務委員会における委員長報告を子細に読ませていただきました。その骨子を要約いたしますならば、その一つは、従前は学級数を考えてきたが、今後は学級定数をも加味した両面から対応したいという答弁である、その二つは、従前は四十五人学級編成を主体としてきたが、生徒数が減少していく中で検討していくという答弁──いずれも大江文教委員長のときの委員長報告であります。その三つは、ことしだけ解決すればよいということではなく、説明のつく取り扱いをしたい──これは平越総務委員長からの報告であります。
 以上のそういった議会におけるそれぞれの委員会、あるいはこの場でも論議をされた経過を踏まえ、来年度の高校募集定員について、その指針を示されたいのであります。
 高校の募集定員は、一年立てば確実にやってくる。おわかりかと思うけれども、このことは早ければ早いほど教育的であるという私見を添えて質問といたします。
 三つ目、教育現場の実態と必要な対策についてお伺いをいたします。
 九月十日の教育委員会の発表によれば、平成元年度の県立高校の中途退学生徒数は、全日制で五百六十八人、前年度より二十二名増、在籍生徒数の一・四%、定時制では百九十一人で、在籍生徒数の一二・三%であります。また、県内三十四校、四分校すべてから退学者が出ており、最多校は五十九人であります。この点について学校教育課は、中学校時代に進路に対する意識や基本的な生活習慣が固まらないまま高校に進学し、入学後、学習についていけない、授業がおもしろくない、集団に溶け込めないといった原因等が重なって退学していくのではないかと概略分析をしているが、教育現場の実態から見て、その傾向は助長していくのではないかと私は危惧するものであります。
 具体的な事例はここでは省略いたしますけれども、仮に生徒が悪いことをしたとする。そうすると、その生徒は必ず謹慎となり、家で学習を指示され、その十日か二十日の間に読書についての感想文を課せられる。これは、生徒が登校拒否をしているのではないんですよ。その生徒は学校から登校を拒否されている、そういう状態に陥る。よほどの者でないと、その生徒は成績が下がっていく。学習意欲は高まるでしょうか。そのうち学校へ行くのが嫌になってくる。
 学校の話を申し上げます。この指導は引き算の論理であります。学校引く子供はゼロである。学校は、もっと足し算の論理で指導すべきではないでしょうか。謹慎すなわち引き算の指導は、足し算に向かう一つの方法としてとらえることもできるけれども、この指導は、総じて言うならば、やむを得ず措置する引き算の論理であります。しかしながら、今の教育現場の実態は複雑であり、困難を抱え込んでいるがゆえに、それを単に「教員の指導が悪い」と言って片づけて済むものではありません。
 参考までに、現場の先生が書かれた二つの文章を少し紹介いたします。
 光と影
 初秋とはいえ、まばゆく照りつける日差しの中での校内陸上競技大会。走り、跳ぶ子供たち。スポーツが引き起こす興奮が子供たちの顔を生き生きさせ、暑さによる不快を感じさせない。私が保健室で毎日出会う突っ張りの子供たちの顔は、その中には見当たらない。こんな日は彼らは、欠席または見学に回るようだ。時々暑さによる不快を訴えて連れ立って救護のベンチに座りに来る。彼らは、学力だけでなく体力においても落ちこぼれている。光の中で躍動する子供と日陰にいる子供。この落差。
 子供の問題は大人の問題 中学校の保健室で
 一学期にもあったが、最近また一部の子供たちが壁をたたき始めたらしい。こぶしに内出血の跡があったり、包帯を巻いていたりする子供が男女数人いる。いずれも三年生で、この子供たちは言うなれば保健室の常連であるが、最近特にいらいらしている様子で、けがの手当てや気分不良を理由に保健室に来ることが多い。三年の担任の先生とちょっと立ち話をしてわかったことは、二学期になってまだ二週間足らずであるが、この間、受験準備のための五教科のテストが二回あり、進路指導の機会が多くなっている。学級のみんなが進路を考え始めている中で、彼らは学級でいたたまれない気持ちになるのではないかということである。学習意欲をなくし、授業についていけなくなってから久しい彼らにとって将来のことを考えるということは苦しく、不安なことに違いない。
 だから、彼らは保健室へ逃げてくる─中略─彼らの中には自分の心の内を次から次へとしゃべってくれる子供がいるが、その子供の話を聞いていると相当不幸な家庭事情があり、心身ともに疲れ切った両親像が浮かんでくる。その子供にとって家庭は既に安らぎの場ではなく、人生の悲しさと苦しさを目の当たりに見せつけられる場所になっているようである。彼は、毎日わざと食事時間をずらし、一人で食事をとる。夜遅く遊んで帰り、就寝はいつも一時を過ぎている。彼らが言うには、「学校は全然おもしろくないが、早退すると親がうるさいし、行くところがない」と。
 時間が来て、渋々保健室を出ていくとき、彼は出口にある黒板をこぶしで激しくばんばんたたいた。
 私もやりきれない。彼に必要な教育は何?
 今、高校や中学では、今の例に見られるような生徒たちが一番集まるのは保健室であります。この間も、お会いをしたある中学校の養護教員から伺ったのでありますけれども、土曜日でありますが、朝から十二時までに十六人が部屋へ順番に来たと。保健室の女の先生に子供たちは、だれにも話せないことや家庭のこと、成績のこと、友人について話をする。それは、その子供たちが意識するとしないにかかわらず、悲しいからであります。
 結論を急ぎます。教育委員会は、こういった教育現場の実態や教育困難校への対策について、同和教育推進教員の配置、教育相談所の設置、カウンセラー教員の配置等、その努力を払っているけれども、抗し切れない教育現場の実態をありのままに、より的確に把握分析し、教育相談体制の拡充、教育相談推進事業の拡充、カウンセラー教員、教育相談所の教員、養護教員の大幅な増員を年次別に、計画的に行うべしと要求し、質問といたします。
 関西電力殿山ダムと十九号台風について質問をいたします。
 去る九月二十六日、日置川町当局と町議会は、西牟婁郡選出四名の県議ともども町議会の要望決議を添えて県当局並びに関西電力にその回答を求め、今後の対策を強く要求したところであります。
 本日、午前中、大江県議からも本問題について余すところなく強く指摘されたところであります。日置川町議会要望決議の六項目に関する答弁とそれに関連する幾つかの答弁もなされましたが、今後ともなお関西電力に対する県の強い指導と協議を踏まえ、早急に時と所を設定し、日置川町当局、町議会を通じ、全町民にその結果を公表されたいのであります。時、所を設定すべしということを──よく、こういうところで話をすると「早急にいたします」、「そうか」、「農林水産部長が病気になって行けませんでした」と言うて。これは仕方のないことでありますけれども。例の南紀用水については、六月の委員会で私は「事のいい悪いは別だ。だから、早く現地で説明をしてくださいよ」と、こう申し上げた。「直ちにいたします」と言って病気になった。そして、おくれた。そのうちに台風が来た。まだできていない。こういうことになってございまするから──そのことは質問ではない、例として申し上げたのでありますが、時、所を設定し、町当局、町議会を通じて全町民にその結果を公表されたい。これを第一点の質問といたします。
 二つ目。大江県議とも随分重複はいたしますけれども、お許しを願いたいと思います。
 私ども西牟婁郡選出四名の県議は、台風の翌日以来、一斉に日置川町における被災の状況と住民の怒りを肌で感じながら流域の現場を駆けめぐったが、関西電力はその被災の現場にみずから訪ねるといった姿もなく、ただ「操作規程に従ってダムの放水を行った」との資料説明に終始するだけで、住民の声を体で受けとめ、今後に処していくといった謙虚さは、私の知る限りでは見受けられなかった。それは、後の補償を恐れて来なかったのかどうかはわかりませんけれども、このような姿勢について県はどう思うか、はっきりと答えられたいのであります。
 三つ目。殿山ダム操作規程第十五条は「放流の際の一般に周知させる措置」をうたっているが、これまた大江県議の指摘どおり、ダム放水一門、二門の開扉時には──まだその前は静かであったが、警報車でやかましく知らせてきた。しかし、肝心かなめの四門、五門、六門開扉のときにはその警報車は通行不可能となり、警報無線は故障。そして朝も指摘があったように、警報車は事もあろうに日置川町のテニスコート──近くスポレクが行われます──で待機していた。まさか雨宿りをしたのではなかろうがとは思いますけれども、役に立たなかったのであります。
 操作規程第十五条と関電の措置について、すなわち規程に幾ら書いていても、そのとおりにしなかった、あるいはできなかったというこの状況について、県の見解を伺うものであります。謝罪すべきであります。そのとおりできなかったのだから、幾らこんなものを書いても仕方がない。書くことは大事でありますから、規程は。しかし、そのとおりできなかった。しなかった。これについて関電は謝罪すべきであると思うが、県の見解を伺うものであります。
 四つ目。十九日二十時、関電はオリフィス六門目放流を二十一時三十分から開始する旨を町役場に連絡。町長は「六門放流は避けられないか」とただしたが、関電は「ダム天端の溢流は危険である」と伝えたため、町は町民に対して緊急避難の通報を発動。停電と暴風雨、下流の水位の急速な上昇の中で、千余名の下流沿線住民はそれぞれ村の公民館やお寺や高台に避難を続けたのであります。
 六門開扉に当たり、関電は「ダム天端の溢流は危険であるから六門放流を行う」と町長に伝えたと言ったが、このことと、先ほども指摘がございましたが、昭和五十九年六月、関電より日置川水利権更新対策協議会会長への回答、すなわち「ダム天端を越流することになってもダムの決壊は心配がない」という回答についてどう解釈したらいいのか、あわせて明確にお答え願いたいのであります。
 五つ目。昭和三十三年八月二十五日、台風十七号襲来。ダム六門開扉の中で日置川町民は未曾有の大災害を受け、その一カ月後、日置川町罹災者同盟は六百五十名の参加のもとに決起大会を開催。「ダム撤去を闘い抜く。関電に一片の誠意なし」として、出席された当時の県議会議員はそれぞれ次の激励を行ったところであります。
 浜本純一県議──親戚ではございません──「関電には全く誠意がない。あれだけ放水して、天災とは思えない。明らかにダム放水に責任がある」。今は亡き竹中節県議、「関電側は政治力で、人災ではないと強調すると思うが、団結の力でともに闘おう」。町田亘さんのお父さんである町田義友県議、「一致団結しなければ効果がない。皆さんの勝利を祈り、微力ながら県議ともども一生懸命に協力を誓います」。
 あれから三十有余年、日置川町民はこのダムとのかかわりの中で、今も地区選出の議員は超党派でこの問題に真正面から取り組んでいるのが状況であります。そしてこれは西牟婁郡選出県議の宿命でもあります。
 往年の日置川町は、自然美に抱かれ、豊かな水の流れと清流をたたえ、住民はこの母なる日置川とともに産業、経済、教育、文化、生活環境を発展させ、町の栄枯盛衰は河川とともに存在し、この川は流域住民にとってかけがえのない共有財産であった。しかし、関西電力が昭和三十二年五月、上流の大塔村合川にアーチダムと日置川町殿山に発電所を構築し、その操業運転を開始して以来、都度、大型台風時には下流住民は生活の打撃を受けてきたのであります。
 以前、日置川は、人呼んで「日置川三郎」と名づけられたが、それは、日置川は県下の河川の三本の中に数えられる河川であったがゆえである──町田亘県議のお話であります。しかし、日置川、「日置川三郎」には、今はその面影はない。大型台風時には、日置川は沿線住民に必ず被害をもたらす。必ずもたらす。それは、この二級河川日置川のせいでありましょうか。そうではない。この原因は、ダム放水とのかかわりでなくて何でありましょうか。それは、大江県議が指摘するとおり、まさに人災である。明快にお答え願いたいのであります。
 六点目、ダム問題と日置川、その抜本的な検討と対策、それは焦眉の急であります。あわせて答弁を求めるものであります。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 第一点は原子力立地政策について、紀伊半島二十年にわたる原発立地の現状認識でございます。
 お話ございましたように、一松日高町長は二十年にわたり、町の活性化のために原子力発電所の誘致が必要であるとの信念を持って取り組んでこられましたが、事前調査を実施する海域に漁業権を有する比井崎漁協の合意が形成されるに至らず、事実上、断念する旨の発言をされ、町議会も九月二十一日、原発問題特別委員会を解散し、また昨日の町長選挙では志賀氏が当選されたところでございます。
 私は従来から、先ほども申しましたように、電源立地については地元の意向を尊重し、適地性、安全性、地元の同意という三原則を判断の基準として堅持してまいったところでありまして、現時点の地元の状況を拝察する限りにおいては、この三原則が満たされていないと認識している次第でございます。
 次に、関西電力ダムと十九号台風についてでございます。
 朝、大江議員からもこれについて質問があり、答弁もさせていただいたのでございますけれども、地元日置川町長、町議会議長から提出された「関西電力殿山ダム問題に係る是正・改善を求める申入書」については、今回の状況を十分に踏まえ、関西電力に対して強く指導・協議の上、今後、早期に地元の日置川町に説明をいたしたいと思っておるところでございます。先ほど大江議員にもお答え申し上げたとおりでございます。
 また、関西電力の地元に対する反応の問題でございますけれども、かかることのないように、特に関電のダムと地元が共存する立場で強く指導してまいりたいと考えておるところでございます。
 他の点につきましては部長から答弁いたします。
○副議長(橋本 進君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず第一点、住民の正しい理解を得る努力についてお答えを申し上げます。
 原子力発電所の立地問題につきましては、議員のお話にもございましたとおり地元町の誘致に端を発しており、県は立地の前提として適地性、安全性、地元の同意を三原則として堅持しているところでございます。その中で、地元住民の皆様方が原子力発電所の立地問題について、原子力発電所の仕組みや安全性、立地に伴うメリットやデメリットといった事項について、既に立地している現地を見学したり専門家の意見を聞いたりしながら議論を進めることは必要なことであると考えてございます。
 なお、一般論といたしまして、エネルギー問題の今後の行方等については、情報の収集と、これの県民への提供は必要があるのではないかと考えてございます。
 第二点は、第四次長計における原子力立地政策についてでございます。
 昭和六十一年に各界各層の御意見を伺いながら策定した和歌山県長期総合計画には、原子力発電所、火力・水力発電所等々、すべての電源立地問題に対処するための基本方針と施策を明らかにいたしてございます。
 基本方針については二〇〇〇年までの長期的な方向づけをしたものであり、施策については、そのときどきの国の方針や社会環境、あるいは地元の動向といった情勢に応じた施策を展開するため、三年ごとに中期実施計画を策定することとしているところでございます。
 なお、昭和六十三年度に策定をした第一次中期実施計画は今年度が最終年度でございますので、現在、平成三年度を初年度とする第二次中期実施計画の策定作業中でございます。
 第三点は、関西電力の一連の発言と県の態度についてでございます。
 電力の確保は国家経済の健全な発展と豊かな国民生活を維持するために必要不可欠なものであるとの国の方針に基づき、電気事業者としての立場で発言されたものであろうと思っております。しかしながら、県といたしましては、地元の意向を尊重し、県独自の立場で対応してまいる考えでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 関西電力殿山ダムと十九号台風についてお答えいたします。
 まず、議員御指摘のダム操作規程十五条の「放流の際の一般に周知させるための措置」でございますが、警報装置等の故障により下流の方々に不安感を与え、避難に際しては大きな混乱を招き、県としてはまことに遺憾に存ずる次第であります。今後、このようなことのないよう強く指導してまいります。
 次に、先ほど大江議員からもございましたが、ダム天端からの越流につきましては、ダム施設への影響等、技術的に検討の余地があると思われます。
 また、関西電力殿山ダムの放流と下流での水害発生との関連につきましては、十分調査する必要があると考えております。
 日置川の抜本的対策につきましては、河川改修により、国道橋の日置大橋から上流田野井地区までの四千四百メーターについて昭和三十六年に改修計画を策定し、本年度で約三千メーターが概成する予定となってございます。次の工区として、来年度より、今回の出水で浸水被害をこうむった田野井堤防の改築に着手いたしたいと考えております。
 一方、今回の出水を教訓といたしまして、ダム下流の河川能力調査を行い、それに基づいて十分な対策、方法を検討してまいる所存でございます。
○副議長(橋本 進君) 教育委員会委員長上野 寛君。
 〔上野 寛君、登壇〕
○教育委員会委員長(上野 寛君) お答えいたします。
 教育基本法には、教育は個人の尊厳を重んじ、人格の完成を目指し、自主的精神に満ちた、心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないと示されているところであり、児童生徒一人一人の可能性を豊かに開花させていくことであります。
 こうした観点から、教師はおのずからの使命を自覚し、人間尊重の精神を持ち、児童生徒との愛情に基づく信頼関係を築くことなどが大切であります。したがって、体罰や厳し過ぎる規則からでは適切な生徒指導は期待できないと考えてございます。
 高塚高校の事件にかかわり、人命のとうとさ、教育の基本理念、教師の使命、生徒指導のあり方などについて協議を行い、生命の尊重や心に鏡を当てた指導が大切であることを再確認したところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 教育問題にかかわる二点の御質問に対してお答えを申し上げます。
 まず、来年度の高校募集の定員問題でございますが、平成三年三月に中学校を卒業する予定の生徒数は、前年度に比べるとおよそ千三百九十名の減少であり、平成三年度以降についても減少が続く状況でございます。
 こうしたことから、現在、高等学校教育協議会の答申を踏まえて中・長期の計画を策定中であり、その内容の取り組みを考慮しながら中学校卒業生徒数の推移や進学率、私学の振興及び地域の実情等の総合的な検討を行い、慎重に決定をしてまいる考えでございます。
 また、小学校、中学校の学級定員につきましては、昭和六十一年度から四十人学級を実施し、平成三年度には全学年で実施となる予定でございます。高等学校につきましては、国や近府県の状況及び本県の実情などを踏まえ、総合的に研究を行っているところでございます。さらにまた国に対しては、全国の教育長協議会等を通じ、高校の四十人学級の実現に係る法改正を働きかけているところでもございます。
 なお、募集定員の発表時期につきましては、進路の指導など教育的配慮の上から見ても、できる限り早めてまいる所存でございます。
 次に教育相談に関してでございますが、情緒不安や無気力、あるいは怠け等のために学校へ登校しない児童生徒が増加の傾向にあり、また心の問題等が原因で頭痛や腹痛などを訴えて保健室を訪れる児童生徒が多い現状でございます。
 本県では、児童生徒を直接指導する教員に対し、教育相談主事が専門的な指導助言を行うスーパーバイズ方式をとっているところでございます。また、全教員を対象として教育相談合宿研修会や特別の研修講座を実施し、教育相談に必要な基礎的技術を習得させるとともに、さらに高度なカウンセリング技術を身につけ、学校における中核的な役割を果たすよう、カウンセリングワークショップや長期研修員制度によって人材の育成を図っているところでございます。
 今後とも、より一層事業の充実を期して研究を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 原発問題について再質問をいたします。
 先ほど知事が答弁されたのは、一松日高町長がどうであったこうであった、そしてきのうの選挙でこうなったと。それはもう経過報告である。私は、まあそういう経過を踏まえるわけですけれども、きのうの選挙も含めて、昭和四十二年から和歌山県もこれに加勢をしてきたことがつぶれた、そういう現実をどう認識しているのかと。「私は、和歌山県知事として非常に残念だ。やりたいんだけれども、ああ、つぶされるよ」と、そういう認識をされておるのか。それともまた、「これ、もう仕方がないな。幾ら言うてもあかん。反対しまくられるのであかん」と認識されているのか。
 三年前ですか、高知県知事が知事選で、「原発よりも高速道路、原発よりも高知の港の根本的な改修を」と絶叫して当選をかち得た。そしてそのことが、くすぶっておった窪川町に導火線となった。「知事さんがあんなに言っている。今まで『やれ、やれ』と言うてきたけれども、ちょっと違うようになってきてあるで」と。「原発よりも高速道路、高知の港をもっとちゃんとしよう」、これが高知県における知事選の公約であります。
 知事は、五選を行くか行かんか──どうも行きそうな感じがしてならんのですけど。それはまあ別の機会にしますけれども。そういうことも、これあり。だから、もうぼつぼつこれから原発立地の政策の転換をせざるを得ない。同じ「せざるを得ない」のであったら──そうなりますよ。絶対になります。かけをしていい、ここで。同じなるんだったら、「原発よりもリゾート、原発よりも高速道路、原発よりも空港のより早期完成を」、そういう形に県政の課題を位置づけるべきである。こんなことで何十年も町の中が、親戚まで──葬式へ行くにも、兄貴は原発賛成や、私は反対やと。兄貴の葬式は兄弟ですけれども、親戚の人が行かんという状態をどの町村でもつくり上げられているんですよ。これは、つくり上げられているんです。過去においてずっと。「市江のやつら、変わってある」と。変わってあるんじゃないでしょう。そういうようにつくり上げられている。その一翼を加勢している県の指導方針も免れることはできない。だから、この際、奈良の天理高校の野球のなんじゃないけど「ぼつぼつ行こうか」、「ぼつぼつやめようか」、そういう次元で考えていくべきと私は思うが、もう一度答えられたい。
 それと、川端部長が何か難しいことを言うんで、私、今ちょっと理解できないんですが。平成三年度中期どうこうと、そんなことを言われておりますけれども、それは、平成三年度までに原発の問題についての検討をする機会があるんだ、そのときに、まだやるという結論を出すのか、あるいは、もうせんという結論を出すのか、そういうことを言うているのかどうか、もっとわかりやすい言い方をしてほしい。我々にはわからん。中期がどうやとか、平成三年とか。まあ、平成三年はわかりますけれども、その中身がわからない。だから、それをもっとかみ砕いて説明をしてほしいと思います。実は、そういう言い方をするというのは、ちょっと、言いたくないのでごまかしているのかなという気持ちさえ持ちます。
 教育委員会。私は、前に教育相談所のことをこの議場で取り上げたことがございます。ある先生は教育相談所三日、南部の高校三日という状態であるので、そんなことはするなと。まあ、せんな言い方ですが、県全体から言ったら小さな問題ですけど、それを一生懸命ここで言わせてもらったことがある。そうしたらその結果──結果かどうか知りませんけれども、〇・五、〇・五といった勤務状態が一になった。〇・五の方は解消されて、別の先生が来ておる。
 そういうことが役に立っているのかどうか。夏に、三十人ぐらいのそういう先生方とお会いしました。これは選挙には関係ないんですよ。遠くの人から近くの人、考えの違う人とか、三十人ばかりの方にいろんな意見を聞いた。そうしたら、その中の一人が、「あの先生が一になってくれたので四人助かった」と言うんです。もうまああかんという子供が一年間のうち四人助かったと、こんなお話をされた。だから、そういうことから言うと、もっと数をふやすべきです。増員をすべきです。
 先ほども教員の加配の問題とかいろんなことを申し上げましたけれども──私は執行者のような質問をしているんです。年次別、計画的にされたいと。それについて執行者たちは答えない。ただ、「努力します」とかなんとか。私の方が執行者的である。年次別、計画的にそれを措置をすべしということに対し、来年度はこうである、再来年度はこうである、こういう努力をしますという、そういう形での答弁を私は願いたいのでありますが、これは文教委員会でより一層皆さん方の協力を得て深めてまいりたいと思います。答えなくてもよろしい。
 土木部長。大江さんが言われるように、明治二十二年に大雨が降り、あの日置川に大水害があった。あのときの話を古老に聞きました。大水害以外は、一般的な水害というのですか災害というのか、例えばけさほどもありましたが、富田川で決壊することはよくある。しかし日置川の場合は、台風というたら、大型台風、白浜上陸となってくると──富田川はどうなるのかという心配もしますけれども、そんなに思わない。日置川となると、またダムをあけたり閉めたり、くさったことをするのと違うか、また間違わないのかと。そんなこと、きのうも私は思いました。それはなぜな。なぜ、そうなる。ダムが原因です。それとの関係で田野井地区なんかは水浸しとなる。近所のみんなが、もみすりにかけなければならないと言うて四百五十の新米の袋を一つの小屋へ寄せ集めても、そんなものは瞬く間です。ここまで来る。行けんと言うんですよ。それが一気に来る。
 「操作規程に従ってやりました」と。操作規程──本に書いてあるとおりにやったと言うかもしれないけれども、水というのは、初め流れている水を後の水が追っかけてくる。そうすると、県道の低いところは必ず大浸しになる。実は田野井地区というのは、事もあろうに堀本さんの出生の地である。今度の水害ではそこが一番あかなんだ。そういうことでありますので、これは人災であるという規定をここでしようとは思いませんけれども、人災であるという考え方が正しいと私は思う。だから、これを「抜本的に」というのは、そういう意味で申し上げているんです。「抜本的に」。田野井地区は今までこうしてあるとか、ああしてあるとか、そして予定はこうなっているとか、それはダムとの関係で、台風との関係で考えたものではない。前からしてあるやつを読んだだけです。それはそれで意味のあることではありますけれども、この際、土木部長、殿山から全部、抜本的に現地を歩いてほしいな。西牟婁の県会議員も全部歩きますよ。そして、合川ダムからみんな下って、そこらをきっちり見て回る。住民の皆さんも来る。そういう中でこの川をどうするんだという立場で一度ぜひとも現地調査をしてほしいということを強く要望して、答弁をされたい。
 以上です。
○副議長(橋本 進君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 紀伊半島二十年にわたる原発立地の問題について知事はどう現状認識をしておるかということでございますけれども、先ほど述べたように、私は地元の情勢をさよう分析しておるわけでございまして、慎重に対処してまいりたいと思っております。
 御意見ございました点については十分拝聴させていただきます。
○副議長(橋本 進君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在、第二次中期実施計画の策定作業中であり、その中で、諸情勢を見きわめながら検討してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 日置川の現状について調査を進めていきたいと思います。これを糧に改修の計画を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕(拍手)
○那須秀雄君 けさほど来、大江さん、小林さん、そして今の浜本さんと、三県議から質問が行われました。すべてこの方々の問題点は、原子力発電、そして殿山ダム、椿山ダム、さらに殿山ダムと、関西電力はけさからこぶだらけであります。
 私は、ダム問題についてはさておくとして、エネルギーとりわけ原子力発電問題について所見を述べながら質問をいたしたいと思っております。
 右会津川、奇絶峡の下流の川中というところに小さな発電所があります。今も関西電力が無人で管理をし、発電を続けておると聞いております。その発電所は、今は田辺市内の製材工場一戸分の電力しか供給できないそうであります。私どもが子供のころには、今で言えばおもちゃのような発電所が田中実三郎先生の住む上秋津、そして私の住む三栖村、その付近の村に電気を供給していたのでございます。日和続きで渇水期になりますと、二十燭の裸電球がすうっとかすれていって停電した。また、そのうちにタービンが回り出すと、ぼやっと電気がついてきた。そういうのを今でも思い出すのであります。
 けさほどより論議の的になった日置川の殿山ダムは昭和三十二年に完成され、昭和三十三年に下流に甚大な被害を及ぼす一大水害があったのであります。そうして今日まで、下流の皆さん方は、いつ水害があるかという心配をされながら辛苦されてまいったのでありますが、このダムが起こす電力によって、当地方いわゆる紀南地方の電力供給に大いに貢献し、その恩恵に浴してまいったのであります。しかし、今日的に表現するならば、わずかに一万七千キロワットであります。既にお役御免的な存在になっておるのであります。今朝来の両県議の意見に加えて、将来、このような観点からもこのダムの論議を続けていただいたらありがたいと思うのであります。
 いずれにいたしましても、事ほどさように、文明は電力を要求するのであります。また、人々には、電力は金さえ出せば湯水のごとくふんだんに使えるものとの風潮が蔓延しておるのであります。暑ければ冷房、寒ければ暖房、扉は自動、上り下りはエレベーター、電灯は昼でもつけっ放し、台所には冷蔵庫が二つ三つ、電子レンジにオーブンに、各部屋一台ずつのカラーテレビ、まさに物質文明と電力の需要は追っかけごっこであり、ウナギ登りであります。
 先般の台風でも、停電が何日も続いたところがございました。文明生活の中で停電ということは──かつての生活文明の中では明かりが消えるだけでありました。しかし、今日の食糧事情から言いますと、冷蔵庫の中で食物が腐ってしまうのであります。我々の暮らしの中で、日々のなりわいの中で、電気のない生活が一日も半日も、一時間も許されないのであります。したがって電力会社は、他の大企業と違って、万難を排して国民に電力を供給しなくてはならない社会性を持つものでなければならないのであります。また、極めて独占的な企業でありますから、需要に応じて幾ら金をかけても供給すればよいというものではなく、国民生活を圧迫するものであってはならない、すなわち強い公共性を持つものでもあります。
 そこで、二十一世紀の電力需要の見通しの中で、また今日の中東情勢の不安の中で電力の三十数%を石油に依存している体質を変えるため、また比較的安い電力を供給したいがため代替エネルギーを原子力に求めることは、決して間違った選択ではなかったと言えるのではないでしょうか。また、私ども日本国民は、すべからく既に電力の一七%が原子力によってつくられ、その恩恵に浴していることも、また事実として厳粛に受けとめなければならないと思うのであります。
 原子力発電所とて、人のつくるものであります。大江さんの言われるように、人工のものであります。事故さえ起こさなければ、原子力は未来をつくるエネルギーとして重宝なものであります。このような状態の中で和歌山県仮谷知事は、安全性、立地性、県民の合意すなわち地元住民の合意が整えば進めていきたいということでありました。我が国のエネルギー政策の中で三原則が満たされればという知事のこの政策も、決して間違ってはいなかったと思うのであります。しかしながら、現実に、いうところの三原則の最も大事な住民の合意が得られないのが現状であります。
 昨年の日置川町の選挙、また本年、今まさに投票が終わった日高町町長選挙。日高町長選挙は原発をやらない同士で戦ったと言われておりますが、ボルテージの高い方が勝ったと表現されております。
 かつて、ポーランドのワレサ連帯議長は、「地球上に人工衛星が飛び交い、世界から秘密がなくなって世界は平和になる」と報道されました。今や、地球を回っている宇宙衛星は、サハラ砂漠で鉛筆が倒れるのまでとらえると言われております。鉄のカーテン健在なころなら隠し通されたかもしれないチェルノブイリ事故も白日天下に公表され、和歌山県民は、住民は、原発立地に反対の意思表示をしているのであります。
 新聞報道によりますと、平和の国と言われるスイスでも、向こう十年間、凍結を宣言したと言われております。その凍結を決めるために国民投票をやったということであります。県民投票までする必要もないと思いますが、民主主義はあくまでも主権在民であります。二十一世紀のエネルギーの選択は次の世代の方々に任し、この際、原発立地を凍結しようではありませんか。所見をお聞かせ願いたいと思います。
 前二氏の意見と少し違うのは、浜本先生も小林先生も強く凍結を迫られましたが、私は、原子力の将来はさらに安全性を増し、世界の趨勢として原子力発電の立地が進められるような時期が必ず来ると信ずる者であります。
 次に、石炭火力、LNGについて所見を聞きたいと思います。
 原子力発電についていろいろ所見を申し上げてまいりましたが、私は、電力の需要は電力会社の予測をさらに超えるものになるのではないかと心配するものであります。その理由は那辺にあるかと申しますと、電力会社の予測はあくまでも物理的な予測であろうと思われますが、我々のように物のありがたさ、もったいなさを知るその時代に生まれた者は総じてお年寄りであり、先に死ぬのでありますから、若い世代にどんどんと変わっていくのであります。飽食暖衣の時代を生きてきた人々には、よほどの節約、節資源の思想を普及しない限り、思わぬ資源の浪費をされるのではないかと心配するものであります。
 原子力は凍結せよ、電力需要は予想を上回るぞと。おまえ、まさに矛盾するじゃないかということになりますが、かつて早川先生が生前に提唱された石炭火力専焼発電やLNG火力発電の研究をなされてはいかがでしょうか、御提案を申し上げます。
 LNGはクリーンエネルギーと言われております。石炭火力は、すぐ近くの岬町多奈川に立地しております。またLNGは、大阪南港に立地しております。勉強家の企画部長でありますから既に研究済みかと思いますが、所見をお聞かせいただければありがたいと思います。
 もう一点、私の考えを述べ、知事に御教示いただきたいと思います。
 私は、政治をつかさどる者、行政に携わる者はすべからく清廉でなければならないし、政治姿勢や信念は確固不動のものでなければならないと思っております。しかし、事、政策に関しては、その立案に関しては、広く会議を開き、柔軟な頭脳で論議すべきであると思うのであります。また、一たん決められた政策でも、人々の意識の変遷により、また時代のニーズの変化に対し反応すべきものであると思うのであります。
 政策はあくまで人が立案したものであり、オールマイティーとは言えないと思います。客観情勢の変化や人心の変遷に対応できる県政でなければならないと思うのでありますが、いかがでございましょうか。知事の所見を伺いたいと思います。
 次に、今、紀南地方で行われている住民運動について二点ほど取り上げてみたいと思います。
 まず、これです。(現物を示す)これは小学生の子供を持つ親御さんが持ってきてくれまして、「これ、何とかなりませんか、那須さん」と、こういう話であります。「何とかならんかて、かわいらしい漫画やらよ」と。まあ、あけてみてください。びっくりです。恥ずかしくて見ておれません。本当に。きょうだけ結構ですから、あけてみてください。まさに恥ずかしい。これが、しかも裏を見てびっくりした。講談社や。講談社とか小学館とか、有名な児童の本の売っているところが、こんなコミック漫画を売っておるのであります。これが今、はやっておるわけであります。まあ言えば、「きょうびの子供ら、そら恐ろしいで」ということを言うている大人が、いかに金もうけのためとはいえ、こういう悪書を出版しておるのであります。まさに悲憤を覚えるのでございます。今や、隠れたベストセラーだと言われておるのであります。これを売るともうかるわけです。しかし、もうかるから何でもしたらいいというんだったら、世の中やみでっせ。私はそう思います。しかも白昼堂々と、無防備な青少年、特に幼年期の子供たち、小学校の低学年の子供たちにも売られておるわけであります。
 あるお父さんが本屋でビニールをかぶっておるこの本を見て、かわいらしい漫画だということで、出張から帰りにお土産に何冊か買って子供に与えた。「お父さん、あんたは何と文化の程度の低い人やなあ」と子供に言われた。このお父さんは死ぬまで子供の信用を回復できない。そりゃ、そうや。中を見たら、そう思います。
 この俗悪な書物を追放しようということで、一生懸命にお母さんが立ち上がっておるのであります。新聞社も一斉にキャンペーンをしています。まだまだ一紀南地方における運動にしかなっておらないのであります。しかし、この本が国の将来を背負って立つ青少年を読者とするならば、国家的な問題であります。そこまで運動を盛り上げなければこの悪書は追放できません。
 言論の自由、出版の自由、いろんな自由がまかり通る世の中でございます。真っ暗やみでございます。この中で、これを追放するためには、地域住民も一体になって、行政も一体になって立ち上がらなければならないのではないかと思うわけであります。民生部長の方で既に各地域の本屋さんに対しても何らかの手を打たれておると聞いておりますが、どういう形でこの運動に加担していくのか、お聞かせ願いたいと思います。
 また、可能な限り法的に規制できないものかということを御相談申し上げたいと思います。できれば、こんな本が出回る以前に版元で規制をすることが一番効果があるのではなかろうかと思うのであります。既に運動体の方々が国会の先生方にも陳情を繰り返されたと報道されております。きょうも、おばさん方が「傍聴に行こうか」と言うていましたが、「こんなことは、一生懸命やっておられます皆さんのことを考えると、県会議員が壇上で言うのは当たり前ですから、どうぞ、うちで台風の後始末でもしてください」と申しておきました。こういうことで、本当に真剣に取り組んでおる問題でございます。県の方としても、国へも、そして各地域の本屋に対しても厳しく通達をしていただきたい。このことをお願いいたしたいと思います。
 次に、これまた市民運動として着々としてその成果を上げている田辺市における暴力団事務所買い取り運動についてであります。
 暴力団のことを必要悪──ネセサリーイーブルなどと言うような風潮もあります。まことに嘆かわしいことであります。おおよそ正当な社会生活を営まれる社会において、暴力団などはまさに悪であります。最初に申し上げたような風潮こそ暴力団にはびこらす余地を与えるものであり、人々が秩序ある生活を送る中においては不要のものであります。
 先般来の新聞報道により既に御存じのことと存じますが、これはすばらしい市民運動であります。二十団体から成る田辺市暴力追放協議会を結成し、暴力団体の巣くう物件を落札、買い取りしたものであり、市民総参加のもとに暴力団排除に立ち上がったものであります。これは、田辺市当局や田辺警察署、市民団体の熱心な取り組みによる運動の盛り上がりの成果であります。
 県警本部長はこのことをいかに評価するか。また、四千万円に余る金額を満たすために市民団体の皆さんや市職員、警察職員等が休日を返上して募金運動に参加しておるのでありますが、彼らは、まさにこの運動に参加することは市民文化活動に参加することだと、誇りを持ち続けておるのであります。
 住民運動とは、官民一体となり、住民総参加のもとに行われるべきものであります。その意味でもこの運動は大いに意義があると思うのですが、県警本部長さん、いかがでございますか。その評価をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、林業関係であります。
 昨年の六月定例会一般質問において、知事及び農林水産部長に対して県の森林、林業の将来展望について私の所信を述べ、質問をいたしました。御両所からは、その施策について力強い答弁をいただいたところでございますが、森林の資源が年々充実する中で、一方では林業労働者の減少並びに高齢化は森林、林業を進めていく上で大変心配な問題であります。
 日本の経済は、現在、好景気の中で推移しておりますが、一次産業はもちろんのこと、二次、三次産業においても労働力の問題について頭を悩ましているのであります。特に林業労働は自然の厳しい条件下で過酷な仕事をしているわけで、若い人に敬遠されるところが多いわけであります。
 そこで提言をいたしたいと思いますが、山村地域の建設業に従事し、働く場所が同じであっても、パワーショベル等大型建設機械のオペレーターについては興味を引く若い人が結構いるわけであります。ここで私は、林業の作業についても、大型機械を積極的に導入するに当たり、高性能林業機械のオペレーターを養成することが最も肝要と考えるわけであります。
 県林業センターにおいては林業技能者養成を行い、既に基礎技術を体得した若い方々が百名になんなんとするほど現地で活躍しておるのであります。私は、この人たちを林業センターに集めて最新の高性能林業機械の操作技術を習得させるオペレーター養成事業や研修・普及用の高性能機械を林業センターに導入する事業を予算化し、具体的に林業労働対策を進めていく必要があると思うのであります。恐らく農林水産部から財政当局に対して予算の要求があろうと思いますが、よろしくお計らいをいただきたい。部長さん、財政課長さん、この辺、よく聞いておいてください。農林水産部長からの答弁をいただきたいと思います。
 最後に、高校野球であります。私は、これはしぶといほど言います。何回でもやります。
 昭和六十三年度、二万三千九百六十人、平成元年二万三千七百三十五人、平成二年度一万九千四百四十八人──一体、この数字は何でございましょう。ここ三年間の夏の高校野球和歌山県予選の入場者数であります。一試合の入場者と間違うぐらいの数でありますが、そうではありません。一日四試合の入場者数でもありません。大会を通じての入場者数であります。何と少ない数字ではないでしょうか。特にことしは二万人を切ったのであります。恐らく他府県には例を見ないような数ではないかと思うのであります。
 ある大会関係者から、ことしは観衆を引きつける人気チームが一回戦で多く敗退したからとの話を聞かせていただきました。なるほど、過去最高の入場者を集めたときは昭和五十二年の箕島高校対田辺高校の優勝戦で、当時の新聞報道によれば七千人だったそうであります。ところが、この学校、両校とも和歌山市内ではないのであります。試合場は和歌山市内、両校とも市外であります。そうして、過去に最高の観衆を集めたのであります。もし、この試合が箕島に近い、あるいは田辺に近いところで行われておったなら、さらに盛り上がったことだろうと思うのであります。
 新聞、ラジオ、テレビ、それこそ笛、かね、太鼓であります。こうしてはやし立てる高校野球、少なくとも和歌山においては甚だ盛り上がりに欠けるのではないでしょうか。
 かつての野球王国和歌山も、甲子園十一連敗。やっとことしの夏、星林高校に勝っていただきました。十二連敗を免れたのでありますが、しょせんは二回戦で敗退であります。野球王国の影も薄れた高校野球、入場者が極端に少ない高校野球。かつての栄光の中で、マンネリ化された和歌山市以外での県予選の開催は考えられないのでしょうか。「それは、とても考えられない」という頑迷固陋なボーンヘッドから脱皮して、和歌山市以外での高校野球県予選を考えてみてはいかがかと思うのであります。
 ある関係者は、「公式試合すなわち春、秋の近畿大会の予選は田辺の市営でもやっていますぜ、那須さん」、こう言うんです。「あそこは、人は入りませんのや。なぎの里でもやっています。千里でもやっています」と言うんですが、普通のマイナーな予選と夏の大会とは違うわけであります。新聞もテレビもラジオも、取り組みが違う。私は、「じゃんじゃんと、あれだけはやし立てられても和歌山市であかんのやさかい、田辺でやろうらよ」、こう言うわけであります。
 私は、四年前、当時の中川教育長にお願いをいたしました。高野連や主催者の朝日新聞に申し入れてほしいということをこの席から申し上げましたが、中川教育長にはお返事をいただけないままに遠いところへ行かれました。高垣教育長さん、このことをぜひひとつ関係者に対して強く申し入れてほしいと思うのであります。私は決して、代替開催地が田辺でなければいかんと申しているのではありません。湯浅にもいい球場があります。そしてまた、それが来ることによってその地域のスポーツが、その地域の教育がさらにさらに飛躍することを確信してやまない次第であります。どうか、この点について高垣教育長からの御答弁をいただきたいと思います。
 以上をもちまして、一回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの那須秀雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 那須議員にお答え申し上げます。
 まず第一点は、本県における原発立地の凍結についての御提言でございます。
 お話ございましたように、現代社会においてエネルギーは欠くことのできないものでありまして、中でも電気はクリーンで使いやすいエネルギーであり、社会の高度化とともにその重要性がなおますます盛んになっておるのが現実の姿でございます。こうしたことから、我が国の経済が健全に発展し、豊かな国民生活を維持するために電気の安定供給は必要不可欠なものでございます。
 本県における原子力発電所の立地問題につきましては、これを地域振興に役立てたいとする地元の町が誘致に取り組んでまいったところであり、こうした地元の積極的な意向を見きわめながら、県としても電源立地に対して三原則を設けて対応してまいったところでございます。
 現時点におきましては、先ほど来申しておりますように、三原則が満たされていないと認識しておる実情でございます。今後、こうした状況を踏まえ、地元の意向を尊重してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に政策の問題について、一定不変ではなく、客観情勢により、また住民の意識の変化等により、時代のニーズの変化により対応すべきではないかという御提言でございます。
 まことにさようでございまして、私も、そうした移り変わる社会情勢の変化、県民のニーズの変遷というものに十分対処してまいらなければならないと思います。
 きのうも、NHKのスペシャルで、ポーランドの変遷の問題が放映されておりました。大きな時代の移り変わりの激しい現時点でございます。それだけに時代に十分マッチした政策を行うことが必要であり、県政においても長期計画というものを行っておりますけれども、三年ごとに中期実施計画を策定し、社会情勢のニーズに合った形で修正等を行っておるところでございます。今後、そうした面について十分配慮してまいりたいと存じておるところでございます。
○副議長(橋本 進君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 石炭やLNGによる発電への取り組みについてでございます。
 国におきましては、二度にわたる石油危機を経験し、電力の安定供給の確保や低廉な供給のために、原子力発電、石炭火力発電、LNG火力発電等の石油代替電源の開発を積極的に進め、電源の多様化を図っているところでございます。
 議員御指摘の石炭専焼及びLNG火力発電につきましては、自然エネルギーや省エネルギー問題も含め、県民生活を支えるという観点からも勉強していく必要があると考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) コミック漫画等、悪書への対応についてお答えいたします。
 最近、著しく性的感情を刺激するような少年向けのコミック漫画等の悪書が数多く販売され、全国的にも社会問題化しているところでございます。こうした図書につきましては、思慮分別の未熟な青少年の性に対する価値観に悪影響を及ぼし、性的な逸脱行為を助長し、青少年の健全な育成に及ぼす影響は大きいと考えられますので、その対策については、関係機関、団体を初め、広く県民の御理解と御協力をいただきながら積極的に推進いたしているところであります。
 また、近く実施予定の青少年健全育成強調月間でも悪書追放を取り上げ、県民運動として取り組むとともに、今後も和歌山県青少年健全育成条例に基づく有害指定と青少年への販売禁止措置、書店等に対する自粛要請、青少年補導センター等関係機関との連携による監視をより強化してまいる所存であります。
 国としての法規制につきましては、昭和五十九年に国会で議論された経過もあり、現状では難しいと伺っておりますが、本県としても、さきに総務庁に対して出版社等に対する自主規制の指導を強化するよう要望したところ、先般、総務庁から出版社等に対する指導を強化する旨の回答を得たところでございます。
 今後もさらに、家庭を中心に県民に対する認識と理解を深めるため、より積極的な啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 高性能林業機械オペレーターの養成のために林業センターの予算化いかんということでございます。
 林業労働力の減少に対応するため、また低コストの林業を展開するために機械化は大変重要な課題と考えてございます。
 お話のように、昭和五十六年度より今日まで林業センターにおいてグリーンマイスターあるいはグリーンワーカー等の養成を初めとする各種研修を行い、基礎的な機械の操作から木材搬出等に至る技能者の養成も進めてまいりました。
 議員御提言のオペレーター養成につきましては、現在、農林水産省においても、我が国の急峻な地形に適した高性能機械の開発と導入、機械作業システム化等とあわせて、事業化のために平成三年度の予算措置が具体的に検討されているところでございます。これらの動きを注視しながら、本県における高性能林業機械のオペレーター養成の予算化に向けて対応をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) お答えいたします。
 御質問の件につきましては、田辺市を初め、田辺市暴力追放協議会、地域住民の暴力追放に向けての熱意と努力が見事に結実したものと受けとめております。また、地域暴力排除組織である暴力追放協議会が落札し、その費用を地域住民等の寄附金で賄い、足らざるところを行政が負担するという、全国にも例を見ないケースであり、組事務所撤去活動に新たな道を開くリーディングケースとして各地で大いに注目されていると聞いております。長期間御尽力された関係者に対して、深く敬意を表する次第でございます。
 警察といたしましては、今後とも、この件に代表されるように、地域住民が主体となった組事務所撤去活動への全面的なバックアップを含め、地域住民、関係行政機関と一体となり、この種活動を一層強力に推進してまいる所存であります。
○副議長(橋本 進君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 高校野球選手権大会における県予選の紀南地方での実施につきましては、かねて議員から御提言をいただいておるところでございます。しかしながらこの大会は、御承知のように県高野連と報道機関とが主催となっており、競技役員の円滑な確保の問題、施設・設備面並びに報道体制等の関係から和歌山市以外での開催は極めて困難であると伺ってございます。
 しかしながら、なお県高等学校野球連盟においては検討を重ね、本年度から秋季の県大会一次予選においては紀北のチームも紀南で試合を行うなど、紀南、紀北の二つの会場で開催する配慮をいたしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番那須秀雄君。
○那須秀雄君 原発凍結につきましては、けさからお二人も随分食い下がっておられましたが、やっぱりこの場で言いにくいのかなという気もいたします。ただ、時の流れというもの、最後に申し上げましたように、政策というものは常に柔軟に流れていくということを考えますと、ある意味で柔軟な、いわゆるボーンヘッドにならないように、その手前で一歩先に出てショートゴロをとった方がいいのと違うかなという気もいたします。それは要望にとどめておきます。
 ただ、高校野球の話ですが、教育長さんのおっしゃられたように、高野連や朝日新聞の方々は全くそう言うわけであります。そして、さっきも申したように、「いや、紀南でもやっていますよ。やっているけど、人は入れへんで」と言うわけです。一番大きなことは、経費なんですね。「経費を補うのに、入れ物の大きい、人の多いところでやらなんだらあかんのや」と、こう言うわけです。「そうしたら和歌山市でなければあかん」と言うけど、私がさっき申したように、たった一万九千人しか入ってない。たった、一万九千人やで。こんなのは恥ずかしい話です。よその県へ見せられん。
 田辺へ来たら十万入ると、そんな大きなことは言いません。ただ、高校野球というのも教育ですから、その地域に出ていくことによって、その地域のスポーツに、あるいは教育の振興にある程度役を果たさなければいけないのではないか。もう今日、PLや何Lやというような学校だけが野球をやっているのと違うんですから。細々と和歌山県の片田舎で──かつて「野球王国」と言われた和歌山県でも二十一対一の試合があったりする中で、一生懸命に高校生たちがやっている。そのことに意義があるんだということを考えないといけないのではないか。そういうふうに思うわけであります。高野連さん、朝日新聞さん、その辺が少し、言うところのボーンヘッド、「骨の頭」になってはいないかと私は指摘をしたいと思うのであります。もしかしたら朝日新聞さんが来られているかもしれないけど、私はそう思うんです。真剣に思っているんですから、新聞へ書いてください。構いません。そういうことであります。
 以上、要望にとどめます。ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で那須秀雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十七分散会

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