平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村 博議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕(拍手)
○中村 博君 それでは、一般質問を申し上げてまいります。
 まず最初に、平成元年度一般会計予算における繰越明許費の関係についてお尋ねを申し上げます。
 昭和六十三年度一般会計における繰越明許費の総額は九十一億円余でありましたが、平成元年度では百四十五億円余と大幅な増加になっております。申し上げるまでもなく、予算は単年度主義が大原則でありますから、常々、予算の年度内執行を高めることについて御指摘をいたしてまいりましたが、このように当初予算額の四%近くになろうとする繰り越しになったことを重視いたしまして、お尋ねを申し上げることにした次第でございます。
 参考に、款別に繰越明許費を見てみますと、総務費が一億四千万円余、民生費が十二億二千万円余、農林水産業費が十二億五千万円余、商工費が三千万円余、土木部費が八十三億円余、警察費が二億二千万円余、教育費が三億二千万円余、災害復旧費が二十五億四千万円余となっております。特に土木費に至りましては、当初予算の一○%近くが繰り越しという予算執行の状況にあります。
 平成元年度予算における繰越明許がこのように大幅に増加した要因に、地価の高騰によるところが大きかったと見ておるのでございますが、そうした経緯によるところにあるといたしますと、用地を必要とする多くの公共事業、基盤整備事業がなかなか進まないということで、まさしく深刻に受けとめているところであります。
 そこで総務部長にお尋ねをいたしますが、以上申し上げた繰越明許費について、昭和六十三年度に比べ大幅増となった理由について、まず御説明を願いたいと思います。
 お聞きするところによりますと、用地交渉等にかかわる事務執行のおくれが大きいとのことでございます。今のところ土地問題の対応についてはなかなか決め手がないと見ているのでありますが、しかし公共事業のおくれ等の深刻な事態を考えますならば、より真剣な対応策をとらなきゃならないと考えておりますので、そういう点についてもお答えをいただきたいと思います。
 続きまして、関係部長にお尋ねを申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、款別の繰越明許について触れましたが、相対的に多いと思われる民生費、農林水産業費、土木費について、担当部長から今議会に報告いただいているような事務執行の結果についてその主な要因を御説明願うとともに、年度内執行を高めるということが大前提でございますので、そういう点についても各部でどう対処するのか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、これらに関連して非常に重大な問題となりつつある土地問題についてお尋ねを申し上げます。
 大都市圏における異常な地価高騰が地方都市に波及してまいりまして、和歌山市を初め県下主要市町においても異常な地価高騰に見舞われておることは御承知のとおりでございます。前段において、土地問題に起因する公共事業、基盤整備のおくれの問題について御指摘を申し上げましたが、土地問題は県民のみならず本県行政においても深刻な問題を提起していると受けとめております。
 昨年の春から本年の春先にかけて、私どもの知る範囲においてもほとんどが大阪からの買いが入って、考えられないような価格の取引になってございます。最近に至って政府は、金融引き締め、また公定歩合の引き上げ等によって一定の対応をとられてきています。こうした中で、ちまたでは、銀行から融資が受けられないので土地の取引がとまったとか、多くの土地を抱え込んだ不動産関係の会社が売りに出して土地が下がったとか、さまざまな情報が飛んでいますが、実際の趨勢としては、全般として地価が下降傾向にあるのではなく上がり方が鈍くなった程度で、むしろ上昇傾向にあると見ております。事務処理の結果からどのように把握されているのか、お答えを願います。
 平成二年度に至って地価抑制策の一つとして、先ほど申し上げた金融引き締め等の措置がとられてきていますが、実際、行政を通じて土地取引の状況や地価抑制について、金融引き締めによってどのような効果が出てきているのか、あわせお答えをいただきたいと思います。
 知事にお尋ねを申し上げます。
 前段でも申し上げましたように、地価高騰が本県の行政にまで深刻な影響を及ぼしているのでございます。こうしたことで、このほど近畿府県知事会議が開かれたようであります。そこへ国土庁長官をお招きして、土地問題を共通課題として論議がなされ、国に対して要望された経緯が報道されてございますが、土地問題について知事の御認識をお伺いいたしたいと思います。
 近畿知事会議で論議の結果、国に対してどのような措置を要望されたのか、また国土庁長官としてどのような対応策を示されたのか、この機会に具体的に御説明をいただきたいと思います。
 次に、公共下水道計画並びに中小河川の整備問題でお尋ねをいたします。
 以前にも、和歌山市の河西地域での公共下水道計画の問題や土入川の抜本的整備の問題で御質問いたし、当局からそれなりの御答弁をいただいてまいりましたが、その当時から相当の時間も経過しておる関係もあり、また状況の変化もありますので、この機会にお尋ねをいたしたいと思います。
 私どもは重大な内政干渉であるとして強く反対をしております日米構造協議の問題でありますが、このほど公共投資をめぐる協議では十年間の投資総額を四百三十兆円として日米間で決着がついたとのことでありますが、これからの公共投資に係る国並びに地方公共団体における予算づけはこれを受けたものになっていくでありましょう。この最終報告によりますと、下水道の普及率を現在の四四%から十年後に七○%程度に引き上げるとのことでございます。
 御承知のように、本県の普及率は三%で全国最下位にあります。したがって、今後の十年間で普及率七○%を目標とした長期整備計画の策定作業に入っていくことになろうと思います。現在のところ県下で下水道計画を持っている市町は、和歌山市、高野町、太地町、橋本市、高野口町、白浜町、かつらぎ町で、このうち供給開始をしているのは和歌山市、高野町、太地町の一市二町にすぎない現状にあります。したがって、普及率七○%という整備計画になりますと、県下の市町村のうちどの程度の市町村が下水道計画を持つことになるのか。また、和歌山市について普及率七○%ということになりますと、現在の市街化区域内で一○○%の下水道が供給されることになろうかと存じます。大筋でも結構でございますから、以上の点についてお答えをいただきたいと思います。
 今申し上げた下水道事業についての基本的な方向を踏まえていただき、以下、具体的な点についてお尋ねを申し上げてまいります。
 二月県議会でも紀の川流域下水道計画のおくれの問題で御指摘をいたしましたが、この広域下水道計画は橋本市、高野口町、かつらぎ町の紀の川右岸地域を対象にしたもので、地形の関係からかつらぎ町に終末処理場を設置する計画で、したがって那賀郡から和歌山市の河北、河西地区にかけて二十万人の人口を有する紀の川右岸には下水道計画がございません。
 これらの地域の現状についてもう少し申し上げてみますと、御承知のように、打田町においては松下電池工場の鉄骨がもう既に組み上がってきております。緑花センターの東隣には、近畿大学のキャンパスの造成も相当進んできております。岩出町においては、最近、高層マンションの建設が目立つようになってきましたし、根来地区では民間による二十万坪に上る宅地造成に着手したようでもあります。和歌山市の河西地区になりますと、本県が計画しておりますコスモパーク加太計画、和歌山市が計画しております第四団地、木ノ本地区から和歌山大学周辺にかけて民間事業による定住二万五千人のニュータウン計画などが挙げられます。こうした点から、いずれもかつてない人口の増加が見込まれる現状にあるのであります。したがいまして、本県として下水道計画はこうした状況変化に対応したものでなければなりません。
 さらに、今後の状況を見ますと、関西国際空港に最も近い位置にあるということが開発を促進させている要因にあろうかと思います。また、交通体系整備の見通しも見定められる状況にあろうと思います。現在、大阪府下での開発が非常に困難であるということも聞いておりまして、どうしても和歌山に今、目が向けられている。こういうことでございますので、関西国際空港の開業後においてもこれらの地域においてはニュータウン建設などの開発が相当進む方向にあるのではないかと思います。こうなってまいりますと、都市化が一層進むことになります。当然、紀の川右岸の那賀郡から、和歌山市の河北、河西地区に至る紀の川流域下水道計画を早急に手がける事態に置かれていると考えております。紀の川の流域人口は約六十万人、県人口の六○%の県民が紀の川の水によって生活をしております。こうした現状を考え合わせると、紀の川の水質向上の上からも流域下水道の完成が急務と思われます。冒頭で申し上げたような基本点を踏まえていただき、これらの点について当局のお答えをいただきたいと思います。
 和歌山市の河北、河西地区においては、十三万人近い人々が生活いたしております。これらの地区において共通しておりますのが、昔の村当時の農業用の用排水路が下水になっております。まさに非衛生的で、恵まれた生活環境にないということであります。こういうような状況でありますから、農業用の用排水路を使用しないと簡易浄化槽の設置ができない、こういう関係であります。そのために、当事者間でのトラブルの絶え間がありません。特に、今申し上げてまいりましたように、最近の大型なニュータウン建設が進んでまいりますと、開発事業者と住民との間ではこうした事態が大きな紛争になります。和歌山市の河北、河西地区では下水道計画すらない現状でありますから、住民にとっては劣悪な生活環境にあるだけでなく地区の発展をも大きく阻害している、こういうことが申し上げられると思います。
 そこで、当局としては紀の川流域下水道計画について、和歌山市内においては土入川の流域下水道計画として考えていただきたい。これが地の利から言って最も適当ではないかと考えておりますので、以上の点で当局の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 さらに、今申し上げた土入川の流域下水道計画について、もう少し具体的に触れてまいりたいと思います。
 紀の川右岸の和歌山市山口地区から加太地区に至る地域では、現在、人口が十三万人ございます。そこに、先ほど申し上げましたようにコスモパーク加太や市の第四団地計画、民間のニュータウン計画、こういうような状況を見越すと将来の人口は約二十五万人、そういう供給体制を必要とするのではないかと考えております。これは大変な事業でありますから、和歌山市の行政に任せるということなく、本県が事業主体としてこれらの下水道計画について担当していただきたい。こういうことを前提に、これから進むであろう計画街路の西脇山口線の道路整備にあわせて下水道幹線を計画していただくことも大事ではないか。
 同時に終末処理場の問題でありますが、かつらぎ町の現状を考えましてもなかなか進んでおりません。河西地区の現状からいたしますと、御承知のとおり、現在、住友金属の埋立地に公共用地の予定がございます。ここに、一つ終末処理場を計画していただくことが先決ではないか。このように、和歌山市の河西、河北地区における下水道計画について具体的な提言を申し上げたわけでありますが、そういう点を踏まえていただきまして、県当局としては、和歌山市とも相談をなさっていることと思いますが、今後どういうような対応をされていくのか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、河西地区における河川整備の問題でお尋ねをいたします。
 和泉山系南ろくの大型開発が相当計画されており、こういう状況は今後、関西空港の開業後においても続いてまいるであろうということを前段でも申し上げましたが、そうなってまいりますと河西地区における河川整備が極めて重要になってまいります。現在の河西地区の河川の現状を申し上げますと、直接紀の川に流れているのは千手川、鳴滝川で、ほかは土入川を経て紀の川に流れ、堤川だけが加太湾に流れ、土入川を除き、いずれの河川も周囲に家が建ち並ぶ天井川で、災害と隣り合わせといった現状にあります。
 そこで当局にお尋ねをいたしますが、以上申し上げた河川に関係いたす開発計画の事前協議にも参画されてきておることでもございますので、以上申し上げた河西地区における危険な河川について一定の点検もされていると思われますが、河川整備についてどういうような御認識を持っておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
 なお、土入川を含め河西地区での河川の整備計画についても、この際、具体的に明らかにしていただきたいと存じます。
 まず、第一回の質問をこれで終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 土地対策についての知事の認識の問題でございます。
 かねて私も申し上げておりますとおり、土地問題は、県民生活はもちろんでございますけれども、公共事業等を行う上においても社会資本の充実においても非常に重大な影響を及ぼすものであり、現下の最重点項目と考えておるわけでございます。
 過日の近畿知事会議において取り上げられた問題、並びに国土庁長官の見解等でございます。
 六月に近畿知事会議を開催いたしました。ちょうど今、私が会長をやっておりますので、諸案件があるけれども当面の課題として土地問題が重要だということで、国土庁長官に来ていただいていろいろ協議をしたわけでございます。
 近畿は関東、東京に続いて大きな値上がりをしており、近畿にとって最重要課題でございます。そこで取り上げられたのは、土地の値上がりは、銀行やノンバンク等の金融面、また税制面等から総合的に考えていかなければならないのではないか、都道府県では監視区域の問題があるが、それよりも先行する問題は、土地基本法ができたんだから、それに基づいて各関係省庁の法令改正等を行うとともに、監視区域の届け出についても、国は指示するけれども金等については配慮していない、そうした点についてなお一層配慮すべきだ、また公共用地についての税制上の減免額は現在五千万だが、それ以上の対応を考えていかなければならないのではないか、また土地収用の手続にも非常に時間がかかる、そうした面について土地基本法ができたんだから早急に簡素化の方法を検討すべきじゃないか、等々の意見があったわけでございます。
 長官からは、土地政策は現下の重大な問題と認識しており、現在、政府が一体となって取り組みを行っている、特に税制問題を根本的に考え直しつつある、公共用地の提供者への優遇税制も考えてまいりたい、また国会内において国会を東京から移転する決議について今話し合っているところだという御意見等があったわけでございます。
 会議の終わりに、国土庁長官に対して、土地基本法の趣旨に沿った実効ある抜本的な土地対策に関する八項目について要望いたしたところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 繰越明許費が大幅増となった背景には、用地の取得がスムーズに進まないことや、近年の登記取扱基準の改正により不動産登記事務のスピードがおくれることとなったなどの用地問題に起因するところが多大であるわけでございます。これらの問題を克服するために、例えば開発公社による先行取得あるいは公図訂正手続の一部を民間に委託することなどについて関係部局とも十分な協議を行いまして、予算の年度内執行を高めるよう鋭意努力をしているところでございますが、今後さらに一層促進を図るため、全庁的な取り組みについて検討しているところでもございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 民生費関係の明許繰越額は十四件で十二億二千二百五十二万七千九百八十円でございます。その内訳は、南紀療育園の児者施設整備事業八億二千九百十七万六千九百八十円、老人福祉施設整備事業二件で一億三千八百二十三万四千円、同和地区環境整備事業十件で二億七百九十六万九千円のほか、県立有功ケ丘学園視覚障害児施設整備事業四千七百十四万八千円でございます。
 その主な要因は、南紀療育園では、用地取得に時間を要したことに加え、造成工事に伴う排水の問題等により地元調整に日数を要したためでございます。現在、早期完成を目指して鋭意努力しているところでございます。老人福祉施設については、増設工事に伴う既設建物の解体工事による騒音、振動対策等に相当時間を要した、また資材不足等によりやむを得ず繰り越しとなったもので、七月末までに完成の予定でございます。同和地区環境整備事業では、主な要因は用地取得及び補償交渉に時間を要したもの、排水処理の地元調整に時間を費やしたもの等で、やむを得ず繰り越しとなったものでございます。そのうち九件は八月中旬までに完成の予定で、残る一件は十一月末完成の予定でございます。県立有功ケ丘学園については、視覚障害児施設の設置場所の決定等に時間を要したためで九月末完成の予定でございます。
 いずれにいたしましても、年度内執行が原則でございますので、用地取得に関しては計画的、積極的に行うとともに、同和対策を初め福祉ニーズの高い今日、関係者のコンセンサスを早急に得るなど、計画的な執行を行っていくよう最善の努力をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農林水産業費として十二億五千七百三十二万六千円余を繰り越しいたしておりますことは、議員御指摘のとおりでございます。
 その繰り越しの主な理由でございますけれども、農地費については、紀の川右岸の広域営農団地農道整備事業や県営畑地総合整備事業の実施に伴う用地取得交渉並びに補償交渉の難航等から工事着工のおくれによるものでございます。また水産業費については、防波堤の設置場所の地質が軟弱であったため、設置位置・延長等、技術的な検討に思わぬ時間を要したため、それぞれやむを得ず繰り越しに至ったものでございます。
 予算の年度内執行の向上については、用地問題の解決が重要な課題であり、大変難しい問題ではございますが、今後、関係者の御理解と御協力を得ながら、これらの問題解決に一層努力を重ね、事業の促進に努めてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、土木部関係の明許繰り越しについての主な原因としては、地権者の権利意識の変化のほか、議員御指摘のとおり、地価高騰に伴う用地取得の困難及び公図の混乱によるものなど用地に係るもので七四・七%と、その大半を占めているところでございます。目下、事業の早期完了を図るべく懸命の努力を重ねているところでございますが、なお一層工事の早期発注に努めるべく、緊急を要する事業の代替地等確保に関する資金手当て及び土地収用法の活用を図るなどの具体的な対応策の検討を行っており、これらの方策を通じて予算の年度内執行を高めるよう努力してまいります。
 次に、下水道の整備についてでございます。
 公共投資十箇年計画の整備目標である下水道普及率七○%を県下に当てはめてみますと、想定される下水道の整備区域は、和歌山市の市街化区域全域及び六市十九町の都市計画区域、並びに特定環境保全公共下水道事業等、都市計画区域以外の小規模下水道の実施区域も含まれるものと考えられます。
 紀の川流域下水道計画についてでございますが、現在、昭和六十年を基準年次として、二十年後の平成十七年を目標とした紀の川流域別下水道整備総合計画の策定作業を行っております。特に、那賀町から岩出町に至る紀の川中流域については、この作業が終わり次第、関係町と協議を行い、平成三年度から始まる第七次下水道整備五箇年計画の期間内に事業着手できるよう努力してまいる所存でございます。
 次に、和歌山市の土入川流域の下水道計画でございますが、流域下水道は二以上の市町村の区域における下水を処理する場合を言います。したがって、和歌山市の北部市街化区域の下水道は和歌山市が単独で行う公共下水道事業により整備を行うことになります。この区域の下水道整備計画については、基本計画の策定を終え、平成三年には都市計画決定ができるよう作業を進めているところでございます。
 次に、河西地区での河川整備についてでございます。
 開発行為に伴って生ずる流出増については、開発行為者がその責任において調節池等で流量調整を図り、関連河川に負担がかかることのないよう指導しているところでございます。しかし、近年における市街化の進展を考えますと、早期に一定の計画に基づいた改修を計画的に進める必要があると認識しております。
 河西地区での河川整備計画としては、コスモパーク加太、第四団地にかかわる河川として堤川、木ノ本地区から和歌山大学周辺にかけての開発にかかわる河川として土入川、打手川、七箇川がございます。これらの河川については、従前より一定の計画に基づいて現在、事業を推進しているところでございます。また鳴滝川については、昨年九月の出水を契機として激甚災害対策特別緊急事業で着手したところでございます。千手川については、人家連檐地区の改修は昭和六十三年度で完了いたしました。これにより、昨年九月の出水時の状況から見ても相当効果が発揮されたところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、県内の地価動向についてお答えを申し上げます。
 県内の地価の上昇動向でございますが、去る三月に発表された平成二年の地価公示によりますと、和歌山市の商業地の上昇率が五三%、準工業地で四九・一%となっているほか、和歌山市のほかの地域、海南市、橋本市で一○%から二○%強の上昇率を示してございます。県の地価動向調査によりましても、紀の川沿いの各町や田辺市、白浜町で相当の上昇が見られます。
 地価上昇の要因といたしましては、関西国際空港などの建設の進捗、道路等公共施設整備による利便性の向上、大都市に比べての県内地価の割安感等が考えられます。このまま地価上昇が続きますと、県民生活や社会資本の整備、公共事業の推進等に支障を来すおそれがございます。したがいまして、県としては七月十六日から現行の監視区域については届け出面積の引き下げを行う一方、高速道路の延伸による効果の大きい地域やリゾート整備の見込まれる地域など、今後、地価上昇のおそれのある地域を新たに監視区域として指定を行ったところでございます。今後とも、監視区域制度を的確に運用して地価対策に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、金融引き締めに伴う地価抑制の効果についてでございます。
 三月二十七日から金融機関等の不動産部門に対する貸し出し総量規制が行われましたが、その後まだ日も浅く、現時点では国においても実態が明らかにされておらず、県においても定量的には把握できてございません。金融引き締め措置に伴う地価抑制効果については、いましばらく注意深く状況を見守ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 お昼前で時間もございませんので、簡潔に申し上げてまいりたいと思います。
 まず、一番と二番の問題で御質問いたしました趣旨は、御答弁にもありましたように、地価高騰問題が県民の生活のみならず本県の行政にも深刻にその事態をつくり出しているということです。
 平成元年度の予算の繰り越しでありますが、各部長が共通してお答えいただきましたように、やはり土地の高騰問題が六十三年度に比べて非常に深刻な事態になってきているのであります。平成二年の予算結果がどうなるか、これははっきりした見通しは申し上げられませんが、全体の流れとしては二年の繰り越しは平成元年よりふえるんじゃないか、こう見ざるを得ません。そうしますと、恐らく二百億円近い繰り越しができる。まさに異常な事態であり、極めて深刻でございます。
 したがって、近畿知事会議において、知事が会長という役割を果たされて国土庁長官との間で、知事会議としてはかなり具体的な対策の方向が出されたと思っております。しかし、それは完全に手が打たれていくかというと、なかなかそうはまいらない。展開には今後かなり時間がかかると思われます。そうなると、本県の行政執行においても大変深刻な事態になってまいります。これらをどう解決していくかというのは、私はやはり国の責任以外にないと思います。地方の役割というのは全くありませんので、そういう点を厳しく受けとめていただいて、今後、政府に対して現状よりもより厳しく対応できるような地価抑制対策の方向をとっていただくよう要望申し上げておきます。
 それから、土木部長についてであります。
 私は、河西地区の開発の現状から、今後の地区民の住環境の整備について、極めて大事である公共下水道の問題を一つの中心課題として御質問申し上げました。今、御答弁いただきましたように、事態の深刻さについては当局も十分踏まえていただいておるわけであります。
 そこで、河西を対象にして、公共下水道計画について平成三年を一つの目標にして和歌山市と協議された結果、都市計画決定の中に今後、公共下水道を実施していく方向で法的な手続を完了している、こういう御答弁をいただいたわけです。
 この御答弁から考えてみますと、我々の地域は御承知のとおり、昭和十五年に湊、野崎地区が和歌山市に合併されたわけです、私どもの地区は、昭和十七年に木ノ本、貴志、楠見、昭和三十二年になりまして西脇、加太。したがいまして、約半世紀を経過しているわけですが、事態は村当時のままであります。しかし、今、御答弁にありましたように、この地域において本県が和歌山市に対していろいろ行政指導をされて公共下水道を計画し、それを実施に移していく、そういう目安として平成三年度を示されたことは、私ども地元にとって大変ありがたいことだと考えております。
 ただ、今後いろんな財政事情等の問題もございましょうし、先ほど申し上げた地価高騰の問題もございましょうが、どれだけ短期間にこの事業を完成していただくか、そして住民にとって住環境がより整備される状況のもとで暮らしができるか、こういうことにかかっていると思いますので、今後の行政的な対応に期待して、私の要望を終わりたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村博君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十二分休憩
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