平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浜口矩一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 私は、去る六月二日、続いての六日の新聞報道に接し、一九八〇年代の後半から国際的に問題化、特に最近、緊急の課題として注目を集めている地球環境の危機的な現象とも申すべき温暖化問題と原発とのかかわりについて、問題点を提示し、県当局としての御見解をお伺いいたします。
 まず報道の内容ですが、「通産省資源エネルギー庁は、去る五月三十一日、二〇一〇年度までの我が国エネルギー政策の基本とも言うべき長期エネルギー需給の見通し案を決定した。それによると、二〇一〇年度に必要な総エネルギー量を原油換算で六億六千六百万キロリットルと予測し、原子力発電の総設備容量を現在の約三千万キロワットから七千二百五十万キロワットにふやす。このため、今後二十年間に百万キロワット級原発四十基程度を建設する」とのことであります。
 これは、エネルギーの安定供給の確保と炭酸ガスを排出する石油、石炭削減の立場から今後も原発推進政策堅持の姿勢を明確にしたものであるが、反原発の住民運動が世界的に高まっている中だけに、実現への疑問の声は電力業界からも出ている。さらに、問題の地球温暖化を防ぐためCO2(炭酸ガス)削減を求める世界的な動きをにらみ、二〇一〇年度にはCO2総排出量は三億四千五百万トンで安定化するとした上で、原子力は供給の安定性、経済性にすぐれ、CO2削減の点でも有利で、高い技術力を有する先進国として最大限の導入努力が重要としています。
 総合エネルギー調査会も六月五日、二〇一〇年度までのエネルギー政策の基本となる、これも中間報告「地球規模のエネルギー新潮流への挑戦」を正式発表。今後、生活のゆとりと豊かさ維持のためにはエネルギー消費量の増大は避けられないとしながらも、二〇一〇年度までに強力な省エネ努力を進め、同年度に必要な総エネルギー量を原油換算で六億六千六百万キロリットルと予測し、また地球温暖化防止のために炭酸ガス削減を進める立場から、CO2を排出しない原発の優位性を強調し、二〇一〇年度までに四十基を新設という推進路線を追認しています。
 また、新たな省エネ対策未導入の場合の二〇一〇年度総需要見通し、原油換算七億四千九百万キロリットルを一一・二%削減して六億六千六百万キロリットルと省エネ努力を求め、その内容として、民生用の冷暖房機の効率向上、自動車燃費の改善、発電効率の向上のほか、地下鉄やごみ処理場から出る廃熱など未利用エネルギーの活用等を挙げ、これにより民生部門エネルギー需要全体の一〇%を賄うとの目標設定とともに、エネルギー供給については、安定保障とCO2削減を重視して、引き続き石油依存度低減を目指すとともに、非化石エネルギーすなわち原子力や新・再生可能エネルギーへの依存度を高める方針を重視しております。
 原子力発電については、これまた最大限の導入努力が大切として、原子力の総エネルギー供給に占める割合を八八年度の九・〇%から二〇一〇年度には一六・七%と二倍近くにふやす一方、石油、石炭については、八八年度五七・三%だった石油の割合を二〇一〇年度四六・〇%と五割弱にし、またCO2の年間排出量については、二〇〇〇年度までは増加するがそれ以降は横ばいと予測している旨の報道内容で、同日付の経済欄では、「『原発推進』業界内にも悲観論」との見出しで、中間報告は「豊かさの追求と炭酸ガス削減を両立するには原発は不可欠」を強調しているが、世界的に反原発運動が高まり、フランスを除く先進国で原発見直しを求める動きが広がっている中での推進路線に対して、同調査会の一部からも批判。加えて、電力業界内部にも「原発の新設四十基はかなり努力しなければ追いつかない」との見方が出ている上、報告発表に当たっての稲葉秀三・総合エネルギー調査会会長の「地球温暖化問題、経済成長のあり方、われわれのライフスタイル、現代文明のあり方などにかかわる難解な連立多元方程式を解くような苦しみを味わいながら審議」云々との談話のとおり、審議の焦点になったと伝えられる、民生用を中心に急増予想のエネルギー需要への対応、CO2増加による地球温暖化問題、先進国のエネルギー多消費批判等々、難問山積の審議の結果、報告は、経済成長と豊かさ維持のために必要最低限の需要見通しを打ち出すとともに、原子力発電の必要性を訴えた、いわば原発導入は豊かさと地球環境保全の両立には不可欠というものである。
 しかし、この推進路線には電力業界でも一部悲観的な見方に加えて、「原発の現代史」の著者・西尾氏の「反原発運動が激しくなる一方なのに、どこに四十基もつくるというのか。非現実的な内容だ。また、地球環境保全をCO2問題だけでとらえているが、放射能問題には全く触れていない」との厳しい批判もあり、資源エネルギー庁幹部の「もっと原発を減らすとなると、経済成長を下方修正し、生活レベルを下げざるを得ない。それで国民合意が可能か」との言葉のとおり、この中間報告は「原発が嫌なら豊かさは実現できない」という論法を打ち出して国民の選択を迫ったものと言える。
 多少長くなりましたが、以上の報道内容に関連して、地球の温暖化問題と原発立地とのかかわりについて、以下、数点お尋ねいたします。
 まず最初に、言葉の整理として、これまでになかったような高温、低温や季節外れの暴風、大雨あるいは干ばつ等、そうした世界的な異常気象をもたらしている現象として最も有力な説明に「地球の温暖化」問題があり、温暖化をもたらす原因として最も有力な仮説が「温室効果」である。なお、温暖化は温室効果だけによってもたらされるものではなく、森林破壊や海洋汚染、砂漠化現象等も相互に大きく影響し合って起こります。
 以上の観点を踏まえて、地球の温暖化の原因等について質問いたします。
 温室効果気体として一番有名なのは二酸化炭素(炭酸ガス)ですが、原因となる気体はそれだけではなく、ほかにもメタンガス、フロンガス、亜酸化窒素なども温室効果を起こします。なお、これらの温室効果の原因となる気体のことを「温室効果気体」と言う、これは御承知のとおりです。
 さて、私どもは「温室効果」と聞くと二酸化炭素のことだけを思い浮かべてしまいますが、現在、温室効果中で二酸化炭素の果たしている役割は五〇%。残り半分は、メタンやフロンガス等、その他の温室効果気体が寄与していると考えられており、しかも、松野太郎氏の「温室効果ガスの増加による気候変化の推定」資料によりますと、一九六〇年代には二酸化炭素の影響が大部分であったのに対して、一九八〇年代には二酸化炭素とその他の気体の役割はほぼ半分ずつになっており、今後、二〇〇〇年代にかけては二酸化炭素以外の効果気体の役割は今以上に大きくなると予想されているとのこと。
 そこで、多少時間を割き、二酸化炭素以外の温室効果気体について少し触れたいと思います。
 まずメタンは、バクテリアの嫌気性発酵によって発生する気体で、身近なところではどぶや沼地などからぶくぶくと出てくるのを見ることができます。問題視されるゆえんは、同じ体積で比較した場合、二酸化炭素よりもメタンの方が熱吸収効果が大きいからで、また、現在の大気中のメタン濃度は一・六ppmほどで二酸化炭素の二百分の一程度ですが、メタンは年々一%の割合で激しくふえ続けているため問題化しているとのことです。また、増加の原因については多くの説がありますが、定説になっているものはなく、専門家の間でも議論が始まったばかりとのことであります。
 次にフロンガスですが、これはオゾン層破壊の問題で世界的に問題化し、モントリオール議定書で二〇〇〇年までに全廃することが合意成立と聞いております。なお、このフロンは、言われているオゾン層破壊の面からだけでなく、温室効果気体としても、メタン同様、少ない量でも温室効果──だけでなく、放出されたガスはなかなか分解されず、まず大気圏に広がって温室効果の原因となり、次に成層圏まで上がっていくとオゾン層破壊の原因となるという厄介な代物で、問題化したときまず注目されたのが缶スプレーの充てん材としてのフロンガスでしたが、現在、重要視されているのは半導体製造の際の洗浄剤とクーラーの冷媒とのことです。
 次に亜酸化窒素は、土壌の嫌気性発酵などによって発生する気体で、これもまた同じ体積で比べた温室効果は二酸化炭素よりも大きいため問題にされており、発生についての詳細は未解明でございますが、増加率は年〇・三%程度と聞いています。
 以上のとおりですが、現時点では二酸化炭素は最大の温室効果気体であり、かつその増加の傾向についても、例えばハワイ・マウナロア山で一九五八年以来ずっと観測されているデータでも明らかなとおり、年々周期的な増減を繰り返しながらも、じわじわと濃度が上がっています。なお、この増減は植物の光合成の季節変化によって起こるもの、すなわち春から夏にかけては多くの植物が成長し、光合成を行うことによって大気中の二酸化炭素濃度が減り、秋から冬は光合成の量が減り、濃度がふえると考えられているとのことです。この一事からも、植物の存在が二酸化炭素問題では大きな位置を占めていることがおわかりと存じます。
 次に、問題化されている二酸化炭素の発生について、一つの見積もりデータを提示いたしたいと思います。
 化石燃料の燃焼によって一年当たり五十トンと言われるその中身について、これも電力中央研究所の西宮研究員による一九八六年の我が国の二酸化炭素の産業別発生量表によりますと、工業三三・三%、電力二七・九%、交通二一・四%、民生一三・六%、その他三・八%であり、この表を見る限りにおいては、火力発電所からの二酸化炭素発生率は、大きいには大きいが、決定的な要因ではなく、──だからといって火力発電所をどんどんふやしてもよいということにはもちろんなりませんが、二酸化炭素の問題は、輸送や産業構造全般の問題であると言うことができると存じます。
 そこで、一つの問題提起として自動車のことを挙げてみましょう。二酸化炭素問題の中で自動車の占める割合は決して少なくないにかかわらず、現在、国内でなされている二酸化炭素削減論議で自動車が本格的に論議、問題化されたことはほとんどございません。これは、産業中心に動いている政治がこの点での自動車交通の見直しと規制の論議を望まないからであります。
 私は、環境保全とエネルギー政策の面からどのような公共交通機関が望まれているかを考えることも重要な問題と考えますが、現在の政策下では経済成長が最重要視されており、二酸化炭素排出規制の観点を今の交通行政はまだ持っていないと考えます。この考え方はうがち過ぎでございましょうか。
 さらに、二酸化炭素の増加に関連して、先ほど触れましたとおり、森林の破壊(乱伐)という要素も大きくかかわっている。このことについて少し述べてみたいと思います。
 森林などの緑色植物は、光合成によって大気中の二酸化炭素を取り入れ、酸素を供給する働きを持っている。それゆえ、今、世界的に問題化しているブラジルや東南アジアの熱帯林乱伐は、地域の生態系、文化の破壊という問題と同時に、二酸化炭素増加の点でもまた大きな問題点、当然のことと思います。
 気候に直接的な影響の要素として、もう一つは熱汚染の問題等も等閑視できないと思います。これは、種々の廃熱によって起こる問題であり、このことがはっきりわかるのは、現在、都市部で起こっているヒート・アイランド現象。エアコンを備えたビルが林立し、舗装道路を自動車が走り回る大都市では、さまざまな廃熱の影響でそこだけ周辺地域よりも温度が高くなる。この現象をそう呼ぶのですが、このような現象を起こすほどの巨大な廃熱のかたまりが、直接地球規模の温暖化や気候の変化に結びつくかどうかはそう簡単には即断できないにせよ、少なくとも都市部の気候への影響は容易に想像できますし、省エネの必要性も理解できる問題と存じます。
 以上、長々と申し述べましたが、細部については科学的な究明の不確実さとの批判承知とは申せ、現在のエネルギー大量消費文明が今地球に大きなダメージを与えることは事実であり、その脱却の一側面として問われているのが地球温暖化対策だと考えますが、これらの点についての当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、原発が地球温暖化問題の解決策であるという考え方について質問いたします。
 私が冒頭長々と申し述べた二つの中間報告は、あたかも原発増設は温暖化解決の一救世主であるかのような言い分ですが、私はこれに多分の疑問を感じる一人です。
 以下、問題点を指摘して、当局の明快な御答弁をお願いいたします。
 まず第一は、原発立地で効果的な二酸化炭素削減が期待できるかについて。
 原子力発電所では、ウランの核分裂反応を利用して発電が行われています。核分裂反応そのものは、二酸化炭素の発生とは確かに無縁です。先ほども指摘のとおり、二酸化炭素排出のうち火電が占める割合は三〇%。その半分を原発で置きかえたとすると、この場合、ざっと計算して今の我が国原発の設備量を短期間で倍増することが必要となり、実現不可能と思います。仮に可能としても、その効果を考えてみますと、地球全体の二酸化炭素の温室効果のうち二酸化炭素の割合が五〇%、うち原発で最大限三〇の半分の一五%を減らすという計算ゆえ、〇・五掛ける〇・一五イコール〇・〇七五となり、効果は七・五%程度。しかも、この計算には原発の立地建設までに必要な時間やエネルギーは一切入っていません。
 また、二酸化炭素の問題から原発を考えた場合、核燃料の製造や後始末に必要なエネルギー、社会的なコスト等の要素は当然考えなければならないにかかわらず、これも全く考慮に入っていない。その七・五%であり、実際は七・五%でも大き過ぎる見積もりの上、現にアメリカのロッキー・マウンテン研究所の二人の研究員は、一九八八年、「今後四十年間にわたって三日に一基の割合で原発を建設し続けても、二酸化炭素の増加を防ぐことができない」との研究結果を発表しています。
 加えて、原発をふやしても、そのまま火力発電所の減少には結びつかない。それはなぜかというと、出力調整の問題が存在するゆえ。発電設備は昼夜の需要の違いに合わせて出力の調整が必要ですが、原発での調整は安全上不可能。したがって、調整用の火力、水力発電が必要の上、原発は一基が事故を起こした場合、同型機をすべてとめて総点検の必要が時にはあり、その場合の予備電力としても火電が必要となります。このように考えますと、果たして原発の推進はそのまま火電削減に結びつくかどうか。
 さらに、熱汚染の問題に視点を置いて検討いたしましても、原発は他の各種エンジンや火力発電所に比べて熱機関としての効率は悪く、熱効率は三〇%にすぎません。すなわち、原子炉内で発生の熱のうち約三分の一が電力になり、残りの三分の二は廃熱として温排水等の形で捨てられております。この廃熱が直接地球全体の温暖化に寄与することはないとしても、原発集中立地の現状から考え、周辺の地域的な気象への何らかの影響は間違いない上に、何よりも大切な放射能汚染による環境汚染の問題、これは、チェルノブイリのたった一基の原発事故による、いまだに終わらない放射能汚染による広域被害の現実と意味の大きさを考えましたとき、チェルノブイリ事故をもたらした原発こそが最大の環境汚染源と言うべきではないかとも考えられます。
 以上のほかに、例えば廃棄物の処理、廃炉の問題、その他ございますし、また、温暖化問題はエネルギー対策の問題、さしあたって省エネ実現が何よりもの課題。そのことと電力の大量消費に支えられている原発推進路線との矛盾など、検討課題はまだまだ残っております。都合で今回は省略するといたしましても、私は原発と温室効果削減論は両立しないと考える一人ですが、あえて原発推進を打ち出した関係当局の真意とも絡めて、県当局独自の明快な御所見、あわせて今後の対応等についてお伺いいたします。
 以上で、私の第一回の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜口矩一議員にお答え申し上げます。
 地球温暖化対策と原発立地効果についてでございます。
 地球温暖化問題につきまして、ただいま浜口議員から詳細なお話がございました。そのように、最近、さまざまな国際会議の場で活発に議論されておるわけでございますし、また昨年七月のアルシュ・サミットにおいても、その対応として、経済成長と環境保護が両立するための技術開発努力とともに、エネルギー効率の一層の向上と原子力発電の重要性の認識が確認されたところでございます。
 こうした国際的な合意を背景として、六月に発表された総合エネルギー調査会中間報告においても、原子力発電が地球温暖化の抑制に一定の効果があるように予測されてございます。
 県としても、原子力発電所の立地については、こうした内外の議論にも関心を寄せながら、従来どおり、適地性、安全性、地元の同意の三原則に基づいて対処してまいる所存でございます。
○副議長(宗 正彦君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 地球の温暖化の原因等についての御質問にお答え申し上げます。
 地球温暖化の原因となる温室効果気体、ガスでございますが、御指摘がございましたように、二酸化炭素、メタン、フロン、亜酸化窒素などが挙げられ、これらの温暖化への寄与率は、二酸化炭素が五〇%、次いでメタン、フロン、亜酸化窒素の順と推定をされております。
 エネルギー利用など、人間の各種活動によりこれら温室効果ガスの濃度が上昇し、その結果、気温の上昇とともに海面上昇、気象変化などにより生態系や人類系に重大な影響を及ぼすのではないかと懸念をされておるところでございます。
 地球温暖化問題は人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼす重大な問題と考えられており、国は、二酸化炭素等温室効果ガス排出量の安定化など、国際的な取り組みに積極的に参加することとしており、県としてもその動向を注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 地球温暖化対策と原発立地の御質問にお答え申し上げます。
 本年六月に発表された国の総合エネルギー調査会中間報告によると、今後のエネルギー政策は地球的視点で検討する必要があるとされ、その一つは世界的な石油需給の逼迫化の問題、二つ目は地球温暖化問題を初めとする地球環境問題の高まりであるとされてございます。
 このため、今後のエネルギー問題についての国の主要政策課題は、国民生活の向上を図りながら環境への負荷を軽減することを基本に、第一に新しい省エネルギーへの取り組み、第二に地球温暖化の原因物質の一つとされる二酸化炭素を排出しない原子力などの非化石エネルギーの導入を強力に推進する必要があるとされてございます。
 このため、供給安定性と経済性にすぐれた石油代替エネルギーである原子力を、地球環境保全の観点からも、安全の確保と国民の理解を前提として導入のための努力をしなければならないとされてございます。
 県としては、先ほども知事がお答え申し上げたとおり、エネルギー消費と環境問題とのかかわりといった内外の議論や動向にも関心を払いながら、適地性、安全性、地元の同意の三原則、中でも安全の確保は何にも増して重要との考えで対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 地球の温暖化対策と原発立地効果につきまして知事は、「温暖化問題は国際的にも注目されておる。対応として、経済成長と環境保護の両立のための技術開発努力とともに、エネルギー効果の一層の向上と原発の重要性の認識が確認されている」とされて、総合エネルギー調査会報告内容に一部触れながら、「原発立地については、内外の議論に関心を寄せながらも、従来どおり、三原則に基づき対処」と御答弁されてございます。
 また企画部長は、「中間報告によると」とされて、今後のエネルギー政策は地球的な視点で検討の要ありとされ、世界的な石油需給逼迫化の問題、地球温暖化を初めとする環境問題を挙げられ、このため、今後の政策課題として、国民生活の向上を図りながら、環境への負荷の軽減を基本に、新しい省エネへの取り組み、CO2を排出しない原子力など非化石エネルギーの導入推進の必要から、供給の安定性と経済性のすぐれている原子力について、地球環境保全の観点からも、安全確保と国民の理解を前提として導入努力がされている──これは中間報告の内容の分析だと思います。
 県としては、知事答弁と同様に、エネルギー消費と環境問題とのかかわり、内外の論議や動向に注目しながら、三原則を堅持、安全確保を重視しながら対応と、こういうような御答弁をされております。
 私が先ほど第一回の質問で申し述べた内容は、中間報告で言われている原発立地で温暖化の解決、二酸化炭素の効果的な削減が可能かという点につき、立地による削減率七・七%の問題と、それに相殺される必要なエネルギー、また出力調整の問題、熱汚染等々の附帯的な事実の考察の一端をお示しするとともに、放射能汚染、廃棄物処理、廃炉の問題点を挙げ、その効果いかんをお尋ねしたわけでございます。御答弁ではその点全く触れられておらず、中間報告の内容の要点のみお答えですが、この件に関しては、今論議が始まったばかりで、専門家、学者の間でも数々の諸説があって現在まだ定説になっていないということも聞いておりますし、私の質問も適切を欠いたうらみなきにしもあらずだった、このようにも考えますので、この件については、ここで御答弁いただくよりも今後十分に検討していただきたい、そうして私を交えて御討論をお願い申し上げたい。このように要望としてお願い申し上げたいと思います。
 なお、ちょっと触れたいと思いますけれども、二酸化炭素との関連で、いわゆる原発の立地にしても、コストもかかるし非常に長い時間もかかる。あるいはまた、廃炉の問題、廃棄物の問題にしても先の長い話である。温暖化あるいは二酸化炭素の増加、これも先の長い話である。
 そういうようなことを考えましたときに、ただ一つお願いしておきたいと思いますのは、今の中間報告、すなわち温暖化対策即原発推進、このことを根拠としたそれぞれの論争というか説明というようなことについては、十分慎重にお願い申し上げたい。このこともあわせて要望として、それだけにとどめておきたいと思います。
 なお、保健環境部長さんの御答弁、そのとおりでございますので、今後、そのことについて、いわゆる生活面あるいは環境保全という面から、これまた十分な御検討をひとつお願い申し上げたいと存じます。
 以上で、時間が余りましたけれども、終わりたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜口矩一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十五分散会

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