平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(藤沢弘太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時六分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告がありましたので、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第七十一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第五号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 通告に従いまして、質問をいたします。
 最初に、登校拒否問題についてお伺いをいたします。
 まず、登校拒否とは何か、このことについて改めて考えてみたいと思うわけであります。
 和歌山県教育会館内にある和歌山県教育相談センターと和歌山県国民教育研究所が共同して昨年七月に発行をいたしました、「学校へ行きたくない子はいない」という登校拒否を克服するための手引書から紹介をしてみたいと思います。
 「登校拒否」とは、一口に言えば、いじめや暴力、嫌がらせや仲間外れ、さまざまなトラブル、家庭の事情など、いろいろな理由で人間関係がうまくいかなくなり、本人が「学校へ行かなければならない」「行きたい」と思っているのに、行く力を失い、行けないで苦しんでいる、そして助けを求めて家庭へ逃げ帰ってきた、この状態を登校拒否と考えている、このように述べております。
 登校拒否の前兆、すなわち兆しの段階では、毎日学校へ登校し、それほど目立つこともなく学校生活を送っておりますが、家庭では平素と比べると変化が見え始めている。夜はいつもと変わらないけれども、朝、学校へ行くまでの間に次のような状況が見られるようになります。
 朝起きるとき、気分が重そうで起きづらくなる。起きてからも、不機嫌で怒りっぽくなる。洗顔、歯みがき、食事など、ぐずぐずする。いつもより便所に入っている時間が長い。元気がなく、学校へは何となく行き渋る。それでも休まないで毎日登校するし、先生に尋ねると学校ではいつもと変わりがないということで、親もそう気にとめないことが多いわけでありますけれども、子供は既に苦しみ始めている、このように言われております。
 これがだんだん進行してくると、今度は「学校へ行きたくない」「休みたい」「頭が痛い」「腹が痛い」「吐き気がする」などと言って行き渋る。この段階では、親が学校へ行くように励ましたり、あるいは厳しく迫ると気を取り直して学校へ行く。はた目にも怠け者、あるいはずるを構えておるというように思われます。しかし、この段階で子供は苦しさが進行しているのであります。
 こうして無理をしていると、「頭が痛い」「腹が痛い」と言って、そばから励ましても聞き入れなくなる。一日休んで十日くらい登校をするような状態になる。また、休むということが決まると今まで出ていた熱が下がるというような状態とか、またそれがさらに進行していきますと、一日休んで二日くらい登校する、二日休んで一日登校するなどという断続的な不登校を繰り返すようになります。やがて力尽きて、連続して休むことになります。
 このように見てみると、登校拒否は前兆の段階で気をつけてやれば発現を防ぐことができるし、初期の段階で親や学校が回復のための正しい取り組みをしてやれば、比較的早く力を取り戻し回復できる、このように言われております。
 登校拒否の前兆者は一学級に数名はいるのではないかとも言われております。また、登校拒否はこの前兆を含めて全校生徒の二〇%近くにもなるのではないかというような見方もあります。しかし、連続不登校に入ってからも学校へ行くように迫ることを続けますと、一層ひどくなって、家庭での暴力、食事もとらずに部屋に閉じこもり、夜こっそり起きて食事をする、もっと追い込むと自殺にもなりかねない、このように述べております。
 貴重な実践の上でつくられた今紹介してまいりました手引書は、既に九千人の親に活用されていると聞きましたが、それほど、親にとってこの登校拒否の問題は切実な問題となっているのであります。
 また、私は先日、教育研修センターで教育相談主事の方にお会いをし、この方の「教師へのコンサルテーションの試み」という論文を読ませていただきましたが、この中で登校拒否に対する八つの留意点がまとめられてありました。
 それは、「『なぜか?』と子供に聞くのではなく、チームで追求し続けること」「マイナスの批評や評価はしないこと」「悪者や犯人をつくらないこと」「『たった一人の子供のために』と思わないこと」「直そうと焦らないこと」「無条件性の強い人間関係を創造すること」「会うために会うこと」「教師自身の心境、経験、イマジネーションを引き出すこと」、このように指摘をしております。
 前段が若干長くなりましたけれども、以下、具体的課題を提起して、教育長からの積極的な答弁をいただくことを切望いたします。
 一九八九年版「青少年白書」によりますと、登校拒否児童生徒数の推移が明らかにされております。昭和五十年の登校拒否は、中学生七千七百四人、小学生二千八百三十人の計一万五百三十四人。これが昭和六十年になりますと、中学生でその三・六倍の二万七千九百二十六人、小学生では一・四倍の四千七十一人。昭和六十三年には、同じく昭和五十年対比で、中学生は四・七倍の三万六千百人、小学生は二・二倍の六千二百八十五人へと激増をしております。総数で見ますと、昭和六十年は三万一千九百九十七人で、昭和五十年の三・〇倍、六十三年は同じく四・〇六倍にもなっております。
 和歌山県教育相談センターでは、昨年からことしにかけて百二十四件、高教組の教育相談センターで十五件の相談があったと言われております。なお、病院その他への相談を含めると相当な数に上るものと見られます。
 そこで、第一に、教育研修センターにおける相談件数とその内容について、また、県教委ではスーパービジョン方式による教育相談の推進が行われていると聞いておりますが、いつごろから実施され、どのような成果を上げているのかという点であります。
 一方、センターには教育相談主事一名、アルバイト一名、また紀南教育研修所には指導主事一名の配置と聞いております。ふえ続けている登校拒否の現状から考えると、専門的な人員の増員が何としても緊急課題ではないかと考えます。
 第二に、私の承知している県下の登校拒否にかかわる相談センターは、和教組、高教組の教育相談センターと、和教組関係では、現在、有田、日高を除く全郡市に相談センターを設置しております。また、登校拒否を考える親の会が約二百人でつくられておりまして、それに和歌山大学の学生三十数名による研究サークル、いわゆる「プラットホーム」というのがあります。
 県の教育研修センターと、その関係する教職員も多数おられると考えております。私は、こうした関係者が集まって、各種の行事や研究など、経験を交流し、また協力、共同の取り組みや支援活動に取り組むことは大変重要な意義があると考えるわけであります。
 第三に、教育委員会として、自由学級的な取り組みやそのための施設の開放など、他府県や県内で取り組み成果を上げている、そうした教訓を生かすことも大切と考えます。あわせて、キャンプなどの計画も必要ではないかと考えるわけであります。
 第四に、県教育研修センターの改築についてであります。これは県議会文教委員会でも重要課題として論議されてまいっております。また、県総合教育センター──これは仮称でありますけれども──の建設検討委員会がつくられておるところでもあります。今日、美術館あるいはまた図書館建設が重点となっておりますけれども、念願の研修センターの改築も、引き続き積極的に取り組まるべきであると考えるわけであります。
 最後に、登校拒否の要因についてであります。要因にはいろいろなことが重なっていると考えられますけれども、その直接のきっかけとなるのは、学校とのかかわりが多くを占めているのではないかと思います。
 先ほど、昭和五十年と六十年、六十三年の登校拒否の小・中学生の推移を挙げましたが、一九六〇年代、高度経済成長の時代から登校拒否が加速度的にふえてきております。その背景には、高度成長時代以降の学校や地域における子供たちの生活、あるいは教育の変化があることは否めない事実だと思います。
 教育の面では、中教審答申、学習指導要領の改訂などによって、管理体制の強化と校則の押しつけなど管理主義教育が強化をされる。テストの結果によって「偉い子」「だめな子」というように分けられて、この中でいじめ、嫌がらせなどが行われる。学校自体が選別をされ、「いい学校」ヘ行くことを求めて子供の自発性が押しつぶされる。家庭では、親が職場で長時間労働や低賃金、夫婦共稼ぎの中で起こってきた家庭不和や崩壊、こうした今日の教育のあり方や生活が登校拒否を生み出す要因の大きな一つになっていると思うのであります。
 以上、五点にわたりまして教育長からお答えをいただきたいと存じます。
 第二に、紀の川大堰と有本揚排水場、すなわち有本ポンプ場の問題についてお尋ねをいたします。
 まず、紀の川大堰についてであります。
 昭和六十二年十二月の定例県議会に提出をされた紀の川大堰の建設に関する基本計画の作成についての議案に対し、我が党県議団は、次の問題点が明らかにされていないとして反対の立場を表明いたしました。
 それは、根本的には、大堰建設により影響を受ける住民との合意が得られていないことでありました。同時に、当初からの基本計画による治水事業にかかわる大堰の建設に当たって大阪府がダム使用権を設定するなどという、本県と県民にとりましても極めて重大な問題があったこと、また、紀の川大堰から大阪に分水するということ、大阪のダム使用権の設定ということになった建設省、大阪府、和歌山県の話し合いの結果なるものが県民を納得させるような県益保障の見通しがなかったこと、さらに、紀の川大堰にかかわる調査が昭和五十三年度から進められていましたが、九年たった時点、しかも重大な議決をする当議会に至ってもなお環境影響調査が建設省から提出されておらなかったこと、加えて、大阪分水に対する県民の合意について公聴会が一度も開かれていないこと、これらの理由によるものでありました。同時に、同十二月の和歌山市議会総務委員会での県知事に対する七項目の条件についてもただしてまいったわけでございます。
 以上の問題点とその後の一年半にわたる経過を踏まえながら、質問をいたしたいと存じます。
 まず初めに、井戸の調査の未公表問題であります。
 建設省は既に昭和五十八年度、今から七年前に、四箇郷地区約三百九十戸に対し、井戸の使用目的等のアンケート調査を行っております。この結果がいまだに公表をされていないということであります。
 住民の中では、去る二月、和歌山市小豆島中洲地区で、昨年十一月から建設省が進めている紀の川護岸工事の影響で約二十戸の農家の飲料水あるいは農業用井戸の水がかれ、ビニールハウスで栽培していたカーネーションが枯れるなどの被害が出たことなどから、さらにこれよりも大規模な大堰建設ではどのような被害を受けるかなど、不安が増大をしております。まず、この点、土木部長から具体的かつ明確な答弁をお願いいたします。
 続いて、工事の計画と進捗状況についてお伺いをいたします。
 新聞報道によりますと、本年度、大堰の右岸堰本体からの着手が、地元調整のおくれから完成が大幅にずれ込むという見方がされておるようであります。本年度、建設省は紀の川大堰に二十二億円の予算化を行いましたが、工事の開始によって、資材や土砂の搬出入を初め、騒音・粉じん被害、あるいは飲料水や農業用水への被害が推測されるわけであります。土木部長から、工事計画とその進捗状況について、できるだけ詳しくお答えをいただきたいと思います。
 続いて、和歌山市の上水道、工水道の取水口についてお尋ねをいたします。
 六十二年十二月定例県議会で私は、大堰の完成によって渇水期の水面位置が現在の新六箇井堰より約一メートル下がり、その結果、五カ所の取水口のうち三カ所が取水不能になって、新しい取水口の取りつけやそれに対応する浄水場設置に約四百億円近くかかり、これが市民の水道料の値上げにはね返るのではないかということで質問をいたしました。
 当時、企画部長は、事業実施に伴う取水口等の変更については、現機能の維持を含めた工事は建設省が対応し、既に市の水道局との協議調整が進められていると答えられております。この取水口問題はその後どのように決着を見たのか、土木部長からお答えをいただきたいと思います。
 また、大堰建設に伴う新六箇井堰の撤去などにより、JRの鉄橋のかけかえなどが必要となるのではないかと見られます。あわせて、六十谷橋などへの影響はないのかどうか、住民からのいろいろな不安も出ておりますので、あわせて土木部長からお答えを願います。
 次に、大阪への分水問題についてであります。
 毎秒四トンを上限に当面三トン送水の方向が出されておりますが、毎秒四トンと言えば、その一日量は四十万和歌山市民の上水道の量と同じであります。この導水管は大堰の上流に敷設されると言われておりますが、その工事計画などについて企画部長からお答えいただきたいと思います。
 次に、有本ポンプ場の問題についてお尋ねをいたします。
 昨年九月、和歌山市・紀北地区を中心とした集中豪雨によって増水した川に帰宅途中の小学生が落ち込み、痛ましい犠牲になりました。また、浸水や冠水などによって膨大な被害を受けたのであります。
 建設省近畿地建和歌山工事事務所が一九八一年に発行した有本揚排水機場のパンフレットによりますと、既設の宇治ポンプ場の老朽化に伴い、内川の浄化事業を見直して、最も効果のある改築計画として紀の川の左岸五・六キロ付近へ移し、紀の川から有本川、大門川へそれぞれ浄化用水を導入する計画と、さらに、このポンプ場の設置により、浸水に悩まされている有本地区の排水を兼ねさせて、和歌川水系の治水対策としても万全を期すよう計画をしているとしています。
 このポンプ場設置は、長年にわたって浸水に悩んできた地域の住民にとっては大きな期待がかけられているだけに、その完成期日、工事内容に大きな関心が寄せられております。
 そこで、土木部長にお伺いをします。
 現在、樋門の工事が進行しておりますが、揚排水機の本体工事の完成のめどと機能についてお聞かせいただきたいのであります。聞くところによりますと、揚水いわゆる浄化対策については、有本川へ毎秒三立方メートル、大門川へ毎秒十・五立方メートルの合計十三・五立方メートル計画が今度は毎秒八立方メートルに、一方、排水すなわち浸水対策も当初の毎秒十立方メートルが縮小されるやに伺っておりますが、事実かどうか。事実とすればその根拠についてお示しいただきたいのであります。あわせて、排水機能はどの範囲まで及ぶのか、また浸水対策の効果についてもお聞かせください。
 最後に、排水路計画と安全性などについては周辺の住民や関係者との十分な合意が図られなければならないと考えます。形式的な合意であってはならないことを申し述べ、答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回目の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、紀の川大堰に関する御質問でございます。
 井戸問題については、地元関係者が心配されているところであり、四箇郷地区の約三百九十戸の井戸調査結果の公表については、地元自治会等と十分調整を図っていくと聞いております。
 工事の内容でございますが、建設省の計画では、平成二年度は水理水文調査、測量等、諸調査の継続調査を行い、低水護岸、工事用道路、堰本体の一部に着工する予定であり、平成四年度の完成を目指して努力していくと聞いております。
 また、資材搬入等の工事用道路については、交通停滞を起こさないように堤外の高水敷を利用する計画であり、工事公害等の問題についても十分配慮してまいるとのことであります。
 また、和歌山市の取水口対策については、和歌山市水道局と協議を行っておりますが、具体的な方法については今後さらに調整し、対応していくと聞いております。
 JRの橋梁については、新六箇井堰の撤去により河床を掘削することとなるため、建設省では平成二年度にJRと協議調整を行うこととしております。
 なお、六十谷橋については、橋脚に影響がないので大堰による橋のかけかえは考えておりません。
 今後、県としても、和歌山市とともに建設省に協力して、地元周辺自治会、内水面漁業関係者等に御理解と御協力をいただき、早期に完成されるようさらに努めてまいる所存であります。
 次に、有本ポンプ場について、建設省は昭和五十四年度に事業着手し、現在施工中でありますが、昭和六十三年に和歌山市が公共下水道の区域変更を行い、有本川の周辺と大門川周辺の一部が下水道区域に編入されたことから、流入負荷量が軽減されること等を勘案して計画を見直し、浄化揚水量毎秒八立方メートルについて現在検証中であります。また排水計画については、有本川流域二・一平方キロメートルのうち、ポンプ場周辺から上流約一・六平方キロメートルについて、自然排水及びポンプ排水をする計画となっております。
 能力については、浸水被害の状況、投資効果等を検討し、排水区域内の水路改修を含め、計画の見直しを行っているところと聞いております。
 また排水路計画については、有本川及び支川を改修し、疎通の増加を図る必要があり、安全対策についても周辺住民と十分協議しながら進めてまいるとのことであります。
 建設省では、今後、関係機関及び地元と協議調整を進め、平成七年度を目標に一部供用すべく鋭意努力しているところでありまして、県としても円滑な事業執行が図られるよう積極的に働きかけてまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 紀の川大堰に関連しての導水管工事計画についてお答えを申し上げます。
 導水管の敷地については、紀の川利水協定に基づき、可能な範囲で道路として一般の用に供することとなってございます。
 導水管ルートの決定に当たっては、道路としての利便性を十分考慮し、地域の発展につながることを念頭に置き、大阪府を初め関係機関と協議を進めているところでございます。
 なお、大阪府上水道事業第七次拡張計画では、紀の川大堰から取水し、阪南浄水場へ結ぶ計画となってございまして、現在、大阪府において導水の工法等が検討されているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 登校拒否についての五項目の御質問に対してお答えを申し上げたいと思います。
 平成元年度の相談件数は全部で百九十八件でございまして、そのうち百二十七件が登校拒否、そして七十一件が拒食・過食、対人恐怖等でございます。
 登校拒否の要因としては、御指摘のとおり、家庭や学校、さらに社会の問題が複雑に絡んでいるところでございます。こうしたことから、各学校においては、日ごろから教職員と児童生徒、そしてまた児童生徒相互の心の触れ合いを深め、一人一人を生かす学校づくりが肝要でございます。このため、登校拒否児童生徒への対応についても、学校が主体的にかかわっていくことが大切であると考えてございます。本県においては、昭和五十九年から、全国に先駆けて教員に専門的な指導助言を行うスーパーバイズ方式を採用し、成果を上げてきたところでもございます。
 教育相談主事の増員については、スーパーバイザーは、技量、識見について高い専門性を備えることが必要であるため、今後、人材の育成を含め、研究課題としてまいりたいと考えてございます。
 教育相談関係者との連携については、関係者がお互いに専門性を高めるため、連携を深めることは大切でございまして、現在も県教育委員会の教育相談主事に指導助言が求められているところでもございます。
 また、キャンプや適応指導教室等の問題については、文部省が本年度から登校拒否児童の適応指導教室実践研究を始めたところでもございまして、この成果を参考にしながら、学校施設等の利用を含め、今後研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、教育研修センターの改築についての御質問でございますが、昭和三十九年に設置をした教育研修センターは、時代の進展に対応するためには、規模、設備とも十分とは言いがたい状況にもございます。
 教育委員会としては、調査研究機能、相談機能などを持つ総合教育センターの建設を重点課題の一つとして位置づけ、庁内にプロジェクトチームを設置して、用地の問題も含め、その基本的なあり方について種々検討を進めているところでございまして、早期にまとめるよう努力をしてまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 お答えをいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 まず土木部長でありますけれども、井戸調査の公表の問題について、軒数は三百九十戸ということでしたが、実際に調査をされたのは約千三百カ所ぐらいあったようであります。そのようなアンケート調査を五十八年からやっていた。そして、前回の答弁にもありましたけれども、例えばそのような千三百カ所の井戸調査の公表がされずに、一方では、建設省が十六カ所でやった調査だけを連合自治会に報告し、説明しているというような状況であります。
 このような状況ですから、その地域の住民の不安が去らないんです。建設省がみずから行ったアンケートでしょう。そのみずから行ったアンケートを住民に知らせない。これは建設省の常識かもわかりませんが、いわゆる世間一般の常識ではないんです。調査をやったものを報告するという当然のことがやられていない。ここに今日の問題があると思います。だから、地区との話し合いがなかなか進まない。これは、私はそこに要因があると思うわけであります。
 これは四箇郷という連合自治会の出している新聞でありますけれども、ここに六十二年度に調査をした地下水利用の数値が出ております。それによりますと、「生活用井戸」「アパート及びマンション用井戸」「農井戸」「工業及び商業井戸」「その他」となっておりますが、この中で「生活用井戸」が「アパート及びマンション用井戸」を加えて約二千を超えております。それで、合計が二千百九十カ所。
 結局、建設省がやった調査が発表されないから、再度また自治会が独自にこういう調査をやらなければならないという状態なのであります。ですから、私は、このような事業が進まないのは、今申し上げましたように、住民の側にあるのではなくて、住民の不安や疑問にこたえていない行政の側にあることを銘記すべきであると思うわけであります。
 そこで、再度土木部長にお尋ねをいたしますが、建設省が行った調査はあくまで公表されないのかどうか、この点についてひとつお答えをいただきたい。再度答弁をお願い申し上げます。
 それから、もう一つ。これは調査の過程で自治会の農家の方から出されたんですが、例えば、一つの自治会があって、その地域に井戸を持っている人がほかの自治会に住んでいるといった場合、その人の井戸は調査の対象にならない。あくまでもそこに住んでいる人の井戸だけが調査をされるわけですから、相当抜けておるというような問題もあります。これは、参考までに申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、要望でありますけれども、有本ポンプ場の問題であります。
 これについては今土木部長から答弁をいただきましたが、今のところは樋門工事でありまして、住宅地域とは大分離れているんです。ところが、本体工事に入りますと、今度はあのお宮さんの裏、住宅まで非常に近いわけなんです。ですから、当然、振動あるいは騒音といった対策に万全を期するよう建設省に要望していただきたい。建設省交渉に当たる県当局の担当の皆さん方は大変だろうと思うんですけれども、ひとつこの点は住民の立場に立って、ぜひともこれらの実現ができるように取り組みを進めていただきたい、このように思います。
 教育長から答弁をいただきました。それについて、二、三点、再質問と要望を申し上げたいと思います。
 まず、教育長が申しておられましたし、私も先ほど紹介いたしましたように、今、こういった登校拒否の問題では、登校拒否を考える親の会というのがあります。また、県の教育相談センターがあります。和大の学生サークルに「プラットホーム」というのがあります。
 これらの三者が共同して、一年に一回、三泊四日のキャンプ──これはことしで二回目だそうでありますが、今度は美里町の国吉小学校で七月二十七日から三十日の四日間にわたってキャンプが行われます。これは全部、父母の自費であります。一万三千円。これでもって楽しいキャンプというのが行われる。
 これについて、次のように紹介をしております。「このキャンプは昨年の七月末にも実施いたしました。その結果、参加した子どもの六〇%が二学期から再登校をはじめました。三学期からは二〇%の子どもが、そして残りの二〇%の子どもは新しい学年から学校へいける(一部不安定登校を含む)ようになりました。 家族と遠く離れた地のみどりの山と静かな川の流れにかこまれて、自分の未来の姿をみる学生達に導かれ、見知らぬ友達と起居、食事、行動を共にするこの夏のキャンプは、子ども達の心をひらかせ、回復をはやめることに大変役だったということで、今年も和歌山大学の学生たちと協同して取り組むことになりました」、このように言っております。
 いろいろなケースはあると思いますけれども──同時にまた、この三者の共同の行事としては、二カ月に一回の一日行事が行われております。親と学生サークルと本人で、約百人近くが集まっています。もう一つは「プランタン」といって、週一日ないし二日、田辺では二日やっているそうでありますけれども、自由学校といって、自由に勉強し、話し合い、散歩をする、このようなことが行われているというように聞いております。
 この一日行事に二回以上参加をした子供たちで六〇%が、自由学校に来た子の八〇%が回復をしておる、そういう方向にあるということが出されております。
 先ほども申しましたように、いろいろなケースがあるとは思いますけれども、私はこのような問題というのは、今、教育長もことしから文部省がキャンプを行うと言っておられましたけれども、当然、教育委員会、教育に携わる行政が行っていくべきだと思います。和歌山ではこういった経験がつくられておるわけでありますから、ぜひこういったいろいろな経験を学びながら、できるだけ早くこの和歌山でも進めていただくように、これは要望を申し上げたいと思います。
 それから、専門家の人員の問題であります。
 確かに、予算問題とか人の問題とか、いろいろあると思いますが、私は、この登校拒否児に対する問題が今日の教育問題の非常に重要な内容であるということをもう一度改めて自覚をいただきまして、ひとつこの点については積極的な対処を教育長にお願いをしたい、このように思います。
 そこで、もう一つ、これは答弁をいただきたいわけでありますけれども、登校拒否を考える親の会については、聞くところによりますと、たしか今まで一回、交流というか懇談会が持たれたようであります。ぜひこういった親の切実な気持ち、そのような願いを十分に聞いてこれを生かしていただきたい、このように思います。
 もう一つ、要望でありますけれども、こうした不登校児のために行われるいろいろな行事については、できるだけ学校施設の開放などについてもぜひ強めていただきたい。この点、要望いたしまして、土木部長に一つ、教育長に一つ、それぞれ答弁をお願いいたしたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 井戸調査結果の公表については、建設省では地元の方々の意向を十分お聞きし、対応していくと聞いておりますが、重ねて要請してまいります。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 登校拒否児童生徒を考える親の会についての御質問でございました。
 このことについては、昨年の七月に県教委の担当者も出席させていただいて御要望をいただいたところでありますが、今後も、父母の悩み、要望等をお聞かせいただきまして、それを教育相談の中で十分活用してまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
○藤沢弘太郎君 土木部長から再度答弁をいただきました。建設省も住民の意向が特にあれば公表していくという方向をとっているようであります。これは私、今までよりも一歩前進したと思いますので、そういった住民合意の立場、住民の切実な要望、不安に対してこたえていくように、この点ぜひひとつ積極的な対応をお願いして、質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。

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